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特開2016-225042導電性シートの製造方法及びその製造方法で製造された導電性シート
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  • 特開2016225042-導電性シートの製造方法及びその製造方法で製造された導電性シート 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225042(P2016-225042A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】導電性シートの製造方法及びその製造方法で製造された導電性シート
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/00 20060101AFI20161205BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20161205BHJP
   H01B 1/12 20060101ALI20161205BHJP
   C08J 7/04 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 5/24 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 145/00 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 125/06 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 127/12 20060101ALI20161205BHJP
   C09D 183/00 20060101ALI20161205BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20161205BHJP
   B05D 5/12 20060101ALI20161205BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20161205BHJP
   H01B 1/20 20060101ALN20161205BHJP
【FI】
   H01B13/00 503B
   H01B5/14 A
   H01B1/12 F
   C08J7/04 DCFD
   C09D201/00
   C09D5/24
   C09D145/00
   C09D125/06
   C09D127/12
   C09D183/00
   B32B27/18 J
   B05D5/12 B
   B05D3/10 A
   H01B1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-107756(P2015-107756)
(22)【出願日】2015年5月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】水谷 拓雄
(72)【発明者】
【氏名】土畑 美由喜
(72)【発明者】
【氏名】野村 涼
【テーマコード(参考)】
4D075
4F006
4F100
4J038
5G301
5G307
5G323
【Fターム(参考)】
4D075BB76Z
4D075BB93Z
4D075BB95Z
4D075CA22
4D075DA04
4D075DB48
4D075EB16
4D075EB42
4D075EB56
4F006AA35
4F006AB16
4F006AB19
4F006AB32
4F006AB39
4F006BA07
4F006CA08
4F006DA04
4F006EA01
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK12B
4F100AK12C
4F100AK17B
4F100AK42
4F100AK52B
4F100AK52C
4F100AK80B
4F100AK80C
4F100AS00B
4F100AS00C
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CC00B
4F100CC00C
4F100EH46B
4F100EH46C
4F100EJ86B
4F100EJ86C
4F100GB41
4F100JB07
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4F100JG01C
4F100JG04B
4F100JG04C
4F100JN01
4F100YY00B
4F100YY00C
4J038CC031
4J038CD091
4J038CM021
4J038DL001
4J038EA011
4J038GA13
4J038KA06
4J038NA20
4J038PC08
5G301DA28
5G301DA42
5G301DA47
5G301DD01
5G301DE01
5G307FA01
5G307FA02
5G307FB03
5G307FC10
5G323BA05
5G323BB01
5G323BB02
5G323BB06
5G323BC03
(57)【要約】
【課題】導電層の表面電気抵抗値の経時変化が小さい導電性シートを提供する。
【解決手段】本発明は、基材11と、基材11の少なくとも一方の主面に配置された導電層12とを備えた導電性シート10の製造方法であって、導電性高分子と、バインダ樹脂と、溶媒とを含む導電層形成用塗料を作製する塗料作製工程と、前記導電層形成用塗料を基材11の上に塗布して乾燥することにより、基材11の上に導電層12を形成する導電層形成工程と、導電層12を酸性水溶液に接触させる酸接触工程とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを含む導電性シートの製造方法であって、
導電性高分子と、バインダ樹脂と、溶媒とを含む導電層形成用塗料を作製する塗料作製工程と、
前記導電層形成用塗料を基材の上に塗布して乾燥することにより、前記基材の上に導電層を形成する導電層形成工程と、
前記導電層を酸性水溶液に接触させる酸接触工程とを含むことを特徴とする導電性シートの製造方法。
【請求項2】
前記導電性高分子は、ポリチオフェン系化合物とポリスチレンスルホン酸とを含む請求項1に記載の導電性シートの製造方法。
【請求項3】
前記酸接触工程において、
前記酸性水溶液のpHが、3未満であり、
前記酸性水溶液の温度が、10℃以上45℃以下であり、
前記酸性水溶液を前記導電層に接触させる時間が、5秒以上30分以下である請求項2又は3に記載の導電性シートの製造方法。
【請求項4】
前記酸性水溶液に含まれる酸が、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸及びヨウ化水素酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性シートの製造方法。
【請求項5】
前記バインダ樹脂は、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性シートの製造方法。
【請求項6】
前記導電層形成用塗料における前記バインダ樹脂の含有量は、前記導電性高分子と前記バインダ樹脂との合計質量に対して、30.0質量%以上99.3質量%以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性シートの製造方法。
【請求項7】
前記溶媒は、プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒とを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性シートの製造方法。
【請求項8】
基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを含む導電性シートであって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性シートの製造方法により製造されたことを特徴とする導電性シート。
【請求項9】
酸性水溶液に接触させる前の前記導電層の表面電気抵抗値をRaとし、酸性水溶液に接触させた後の前記導電層の表面電気抵抗値をRbとした場合、下記式(1)が成立する請求項8に記載の導電性シート。
(|Rb−Ra|/Ra)×100<10 (1)
【請求項10】
酸性水溶液に接触させる前の前記導電層の表面電気抵抗値をRaとし、酸性水溶液に接触させた後の前記導電層を、温度25℃、相対湿度50%の大気中に10日間曝露した後の、前記導電層の表面電気抵抗値をRcとした場合、下記式(2)が成立する請求項8又は9に記載の導電性シート。
(|Rc−Ra|/Ra)×100<10 (2)
【請求項11】
酸性水溶液に接触させる前の前記導電層の表面電気抵抗値をRaとし、酸性水溶液に接触させた後の前記導電層の表面を、純水を含ませた白ネルを用いて、加重100g/cm2、速度4500mm/分、摺動幅25mmで、20往復させた後の、前記導電層の表面電気抵抗値をRdとした場合、下記式(3)が成立する請求項8〜10のいずれか1項に記載の導電性シート。
(|Rd−Ra|/Ra)×100<10 (3)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性シートの製造方法及びその製造方法で製造された導電性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、チオフェン系高分子は優れた安定性及び導電性を有することから、有機導電性材料としてその活用が期待されている。その活用の一つとして、液晶ディスプレイ、透明タッチパネル等の各種デバイスに用いられる透明電極の形成に、上記高分子にドーパントを付加した導電性高分子を溶媒に分散させたコーティング組成物が用いられている。
【0003】
しかし、上記チオフェン系高分子としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を用い、上記ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸を用いた混合物(PEDOT/PSSともいう。)をコーティング組成物として使用し、このコーティング組成物を用いて基材上に導電性膜を形成し、上記導電性膜を大気中に放置すると導電性膜の表面電気抵抗値が経時変化するという問題がある。これは、大気中の水蒸気や汚染物質である塩等の影響により、導電性膜中のドーパントであるPSSが電離し、PSSの一部がスルホン酸イオン又はスルホン酸塩となり、チオフェン系高分子であるPEDOTからドーパントであるPSSが脱離して、PSSのドーパントとしての機能が低下するためと考えられる。
【0004】
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、ポリチオフェン系導電性ポリマーによる導電層に絶縁シートを熱圧着することで保護層を形成することが提案されている。
【0005】
一方、非特許文献1には、PEDOT/PSSからなる導電性膜に酸処理を行うことにより、導電性膜の表面電気抵抗が低下することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−52975号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Applied Materials & Interfaces, Vol.2, No.2, 474-483, 2010 “Significant Conductivity Enhancement of Conductive Poly(3,4-ethylenedioxythiophene): Poly(styrenesulfonate) Films through a Treatment with Organic Carboxylic Acids and Inorganic Acids”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の保護層を用いることで、導電層を大気から遮断することができるが、タッチパネル等の各種デバイスに用いられる透明電極の形成には、導電層のパターニング工程が必要であり、そのパターニング工程において導電層が大気と接触することは避けられない。
【0009】
また、非特許文献1に記載の酸処理は、導電性膜を構成するPEDOT/PSSからPSSが脱離することにより、導電性膜の表面電気抵抗を低下させるものであるが、PEDOT/PSSからドーパントであるPSSが脱離すると、PSSのドーパントとしての機能が低下するため、導電性膜の表面電気抵抗値が変化することになる。タッチパネル等の各種デバイスに用いられる透明電極の表面電気抵抗値は、デバイス毎に厳密に設定されており、その透明電極に用いる導電性膜の表面電気抵抗値の変化はできるだけ抑制する必要がある。
【0010】
本発明は、上記問題を解消するためになされたものであり、導電性高分子を含む導電膜の表面電気抵抗値の経時変化を小さくできる導電性シートの製造方法と、その製造方法で製造した導電性シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の導電性シートの製造方法は、基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを含む導電性シートの製造方法であって、導電性高分子と、バインダ樹脂と、溶媒とを含む導電層形成用塗料を作製する塗料作製工程と、前記導電層形成用塗料を基材の上に塗布して乾燥することにより、前記基材の上に導電層を形成する導電層形成工程と、前記導電層を酸性水溶液に接触させる酸接触工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の導電性シートは、基材と、前記基材の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを含む導電性シートであって、上記本発明の導電性シートの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導電性高分子を含む導電層の表面電気抵抗値の経時変化が小さい導電性シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の導電性シートの一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の導電性シートの製造方法)
本発明の導電性シートの製造方法は、基材と、上記基材の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを含む導電性シートの製造方法であって、導電性高分子と、バインダ樹脂と、溶媒とを含む導電層形成用塗料を作製する塗料作製工程と、上記導電層形成用塗料を基材の上に塗布して乾燥することにより、上記基材の上に導電層を形成する導電層形成工程と、上記導電層を酸性水溶液に接触させる酸接触工程とを備えることを特徴とする。
【0016】
<塗料作製工程>
本発明の塗料作製工程は、導電性高分子と、バインダ樹脂と、溶媒とを含む導電層形成用塗料を作製する工程である。
【0017】
[導電性高分子]
上記導電層形成用塗料に用いる導電性高分子としては、ポリチオフェン系化合物を用いることができる。
【0018】
上記ポリチオフェン系化合物としては、例えば、ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−デシルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヒドロキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ジドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−ブテンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)等が挙げられる。上記ポリチオフェン系化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
本発明においては導電性高分子の電気伝導度を高めるために、ドーパントを併用する。上記ドーパントとしては、硝酸、硫酸等のプロトン酸類が使用できる。
【0020】
本発明では、上記導電性高分子として、ポリチオフェン系化合物とドーパントとを含むものを用いることが好ましく、上記ポリチオフェン系化合物としてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を用い、上記ドーパントとしてポリスチレンスルホン酸とを用いた混合物(PEDOT/PSS)を用いることが最も好ましい。
【0021】
上記導電層形成用塗料における上記導電性高分子の含有量は、上記導電層形成用塗料に含まれる全固形成分の質量に対して0.7質量%以上70.0質量%以下であることが好ましい。上記導電性高分子の含有量が、上記導電層形成用塗料に含まれる全固形成分の質量に対して0.7質量%を下回ると導電層の導電性が低下し、70.0質量%を超えると導電層の物理特性や耐湿熱性が低下する傾向にある。
【0022】
[バインダ樹脂]
上記導電層形成用塗料は、バインダ樹脂を含んでいるため、導電性シートを形成した際に、導電層と基材との間の密着性が向上し、基材から導電層が剥離することを抑制できる。また、上記バインダ樹脂を用いることにより、導電層を形成した際に、導電性高分子からドーパントが脱離することがなく、導電層の表面電気抵抗値の変化を小さくできる。このように、バインダ樹脂を用いることにより、物理的及び化学的に耐久性のある導電層を形成できる。更に、上記導電層がバインダ樹脂を含むことにより、導電層の耐水性が向上する。
【0023】
上記バインダ樹脂としては、フッ素系樹脂又はシリコーン系樹脂が好ましい。これらの樹脂は、耐水性に優れ、後述する酸性水溶液に対する耐性が大きいからである。
【0024】
上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−アクリル共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を用いることが好ましく、導電層と基材との間の密着性をより向上させる観点からPVDFがより好ましい。上記フッ素系樹脂を用いることにより、耐水性と透明性の高い導電層を形成できる。
【0025】
上記シリコーン系樹脂としては、アルコキシシランモノマー又はアルコキシシランオリゴマーを用いることができる。上記シリコーン系樹脂を用いることにより、高硬度の導電層を形成できる。上記シリコーン樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
上記アルコキシシランモノマーとしては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロピルシラン、テトラブトキシシラン、ビニルメトキシシラン、p−スチリルメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
上記アルコキシシランオリゴマーとしては、上記アルコキシシランモノマーを縮合して得られるものを用いることができ、例えば、信越化学工業社製のアルコキシシランオリゴマー“KR−500”、“KC−89S”、“X−40−9225”、“X−40−9226”、“X−40−9250”、“X−40−2308”、“X−40−9238”(商品名)、コルコート社製のシリケートオリゴマー“エチルシリケート40”、“エチルシリケート48”、“メチルシリケート51”、“メチルシリケート53A”、“EMS−485”、“SS-101”(商品名)等が挙げられる。
【0028】
上記バインダ樹脂の含有量は、上記導電性高分子と上記バインダ樹脂との合計質量に対して30.0質量%以上99.3質量%以下が好ましく、より好ましくは65.0質量%以上95.0質量%以下である。上記バインダ樹脂の含有量が少なすぎると、導電層と基材との十分な密着性を得られにくい傾向にあり、上記バインダ樹脂の含有量が多すぎると、導電層における導電性高分子による導電パスが十分に形成されにくくなり、導電層の表面電気抵抗値が低下する傾向にある。
【0029】
[溶媒]
上記導電層形成用塗料に用いる溶媒は、プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒とを含んでいることが好ましい。プロトン性極性溶媒と非プロトン性極性溶媒とを併用することにより、比較的短時間且つ低い乾燥温度で均質な導電性シートを得ることができる。
【0030】
上記プロトン性極性溶媒としては、例えば、水、エチルアルコール、メチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸等が挙げられ、上記非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0031】
上記非プロトン性極性溶媒の含有量は、上記溶媒の全質量に対して1.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。上記非プロトン性極性溶媒の含有量が、上記溶媒の全質量に対して1.0質量%を下回ると導電層の光学特性が低下する傾向にあり、50.0質量%を超えると導電層の耐湿熱性が低下する傾向にある。
【0032】
上記溶媒の全含有量は特に限定されないが、上記導電層形成用塗料の全質量に対して、50.0質量%以上99.5質量%以下とすればよい。また、上記溶媒には、無極性溶媒を含んでいてもよい。
【0033】
<導電層形成工程>
本発明の導電層形成工程は、上記導電層形成用塗料を基材の上に塗布して乾燥することにより、上記基材の上に導電層を形成する工程である。
【0034】
上記導電層形成用塗料を基材の上に塗布する方法としては、例えば、バーコート法、リバース法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ダイコート法、ディッピング法、スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法等の塗布方法を用いることができる。
【0035】
上記塗布後の乾燥は、上記導電層形成用塗料の溶媒成分が蒸発する条件であればよく、100〜150℃で5〜60分間行うことが好ましい。溶媒が導電層に残っていると強度が劣る傾向にある。乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、加熱乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥等により行うことができる。また、必要に応じて、塗膜にUV光やEB光を照射して塗膜を硬化させたりして、導電層を形成してもよい。
【0036】
上記基材としては特に限定されないが、透明性を有する透明基材が好ましい。上記透明基材の材質としては、例えば、樹脂、ゴム、ガラス、セラミックス等の種々のものが使用できる。
【0037】
<酸接触工程>
本発明の酸接触工程は、上記導電層を酸性水溶液に接触させる工程である。
【0038】
導電性高分子とドーパントとを含む導電層に酸性水溶液を接触させることにより、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値の経時変化を小さくできる。そのメカニズムは明らかではないが、次のように考えられる。
【0039】
即ち、導電性高分子とドーパントとを含む導電層に酸性水溶液を接触させることにより、ドーパントの電離が抑制され、ドーパントの脱離を防止でき、このため、導電性シートを大気中に曝露しても、導電層中のドーパントとしての機能が低下せず、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値の経時変化を小さくできると考えられる。
【0040】
例えば、導電性高分子としてPEDOTを用い、そのドーパントとしてPSSを用いて導電層を作製した場合、その導電層を、水分を含む大気中に置くと、PSSのイオン化は下記の平衡状態になると考えられる。
−SO3H ⇔ −SO3- + H+
【0041】
上記平衡状態において、導電層にスルホン酸と同等以上の酸性度を有する酸性水溶液を接触させると、上記平衡式は左方向へ移行し、PSSのイオン化を抑制できると考えられる。また、上記導電層に酸性水溶液を接触させた後に乾燥させても、導電層の表面に酸成分が残存するため、上記PSSのイオン化抑制効果は維持されると考えられる。
【0042】
また、上記導電層は、バインダ樹脂を含んでいるため、上記酸性水溶液に接触させても、上記導電層が基材から剥離することはない。一方、前述の非特許文献1では、PEDOT/PSSからなる導電性膜にはバインダ樹脂が含まれていないため、酸処理によりPEDOT/PSSからなる導電性膜の剥離が懸念される。
【0043】
上記酸性水溶液の酸性度は、用いるドーパントの酸性度と同等以上であることが必要である。スルホン酸の酸性度は有機酸の中でもとりわけ大きく、PEDOT/PSS水溶液のpHは2〜3程度である。従って、上記酸性水溶液のpHは、3未満であることが好ましく、2未満であることがより好ましい。
【0044】
上記酸性水溶液に含まれる酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸及びヨウ化水素酸からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。これらの中でも、取り扱いが容易で副反応を起こし難い硫酸、硝酸、塩酸が好ましく、特に硫酸、塩酸が好ましい。上記酸性水溶液は、上記酸を純水により希釈して、所定のpHに調整して使用すればよい。
【0045】
上記酸性水溶液の温度は、10℃以上45℃以下が好ましく、20℃以上40℃以下がより好ましい。上記酸性水溶液の温度が高いと、酸接触工程時間を短縮できるが、上記温度が高すぎると導電層の一部が溶解する場合がある。また、上記酸性水溶液の温度が低すぎると、酸接触工程時間を長くする必要があり、生産効率が低下する。
【0046】
上記酸性水溶液を上記導電層に接触させる時間は、長すぎると酸処理効果が飽和すると同時に導電層の一部が溶解する場合があり、上記酸性水溶液の温度にもよるが、酸処理効果と生産性とを考慮すると、5秒以上30分以下が好ましく、10秒以上10分以下がより好ましい。また、上記酸接触工程時間が短いほうが、導電性シートのロール・ツウ・ロール又は枚葉での連続生産が可能となり、生産性の面で好ましい。
【0047】
上記条件下で導電性シートを上記酸性水溶液に接触させる方法は特に限定されず、浸漬、噴霧等の方法で行えばよい。例えば、樹脂基材を用いた導電性シートをロール・ツウ・ロールで連続生産する場合は、酸性水溶液を入れた水槽に浸漬することにより、上記導電性シートに上記酸性水溶液を接触させればよく、ガラス等の硬質基材を用いた導電性シートの場合は、コンベアで移動させながら酸性水溶液を噴霧することにより、上記導電性シートに上記酸性水溶液を接触させればよい。
【0048】
上記酸接触工程の後に、上記導電性シートを純水で洗浄してもよい。導電性シートの表面に不揮発性の酸性水溶液が多く残る状態で次工程の加工を行うと、残存した酸性水溶液により次工程に悪影響を及す場合があるからである。上記導電性シートを純水で洗浄する方法は特に限定されず、導電性シートを純水の入った水槽に浸漬してもよいし、導電性シートに純水を噴霧してもよい。上記洗浄時間は、導電性シートの用途にもよるが1秒から5分でよいが、洗浄時間が5分を超えると酸性水溶液に接触させた効果を損ねる場合がある。
【0049】
<パターニング工程>
本発明の導電性シートの製造方法は、上記導電層上の導電パターンを形成する位置にレジスト膜を形成した後、導電性を失活させる不活性剤を用いて、上記レジスト膜をマスクとして、上記導電層の露出部の導電性を失活させて上記導電層をパターニングする工程を更に備えることができる。
【0050】
上記導電層上の導電パターンを形成する位置に形成されるレジスト膜は、例えば、レジスト剤を上記導電層上にスクリーン印刷することにより形成できる。上記レジスト剤は特に限定されず、適宜選択できる。
【0051】
上記導電層の露出部の導電性を失活させるために用いる不活性剤としては、上記導電性高分子を失活できるものであればよく、例えば、酸化性化合物、塩基性化合物が挙げられる。
【0052】
上記酸化性化合物としては、例えば、過酸化水素系化合物、過塩素酸系化合物、次亜塩素酸系化合物、過酢酸系化合物、メタクロロ安息香酸系化合物、亜硫酸系化合物等が挙げられる。
【0053】
また、上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、4−メチルピリジン、水酸化テトラメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0054】
上記パターニング工程において、上記導電層はバインダ樹脂を含んでいるため、上記不活性剤が上記導電層に浸透しにくい。このため、上記導電層に上記不活性剤が徐々に浸透するため、導電パターンを精度よく形成できる。
【0055】
(本発明の導電性シート)
本発明の導電性シートは、基材と、上記基材の少なくとも一方の主面に配置された導電層とを備え、上記本発明の導電性シートの製造方法により製造されたことを特徴とする。
【0056】
本発明の導電性シートは、上記本発明の導電性シートの製造方法により製造されているので、上記導電層はバインダ樹脂を含んでいる。これにより、導電性高分子のみからなる導電層に比べて、硬度が高く基材への密着性が高い導電層を形成できる。また、上記導電層がバインダ樹脂を含むことにより、基材上に厚みのばらつきが小さい導電層を形成できるため、導電層全体の電気抵抗値を均一にできる。更に、上記導電層は、パターニングしてもよく、これによりタッチパネル用途に適した導電層を形成できる。
【0057】
上記導電層の表面電気抵抗値は、50Ω/sq以上10000Ω/sq以下であることが好ましい。更に、上記導電層をタッチパネル用電極として用いる場合には、上記導電層の表面電気抵抗値は、50Ω/sq以上1000Ω/sq以下が好ましく、50Ω/sq以上500Ω/sq以下がより好ましい。表面電気抵抗値が小さいほど良好な電気特性を示す。上記導電層の表面電気抵抗値は、接触式の4探針法、非接触式の渦電流法等により測定することができる。
【0058】
酸性水溶液に接触させる前の上記導電層の表面電気抵抗値をRaとし、酸性水溶液に接触させた後の上記導電層の表面電気抵抗値をRbとした場合、下記式(1)が成立することが好ましい。これにより、上記導電層の酸処理による影響を小さくできる。
(|Rb−Ra|/Ra)×100<10 (1)
【0059】
また、酸性水溶液に接触させる前の上記導電層の表面電気抵抗値をRaとし、酸性水溶液に接触させた後の上記導電層を、温度25℃、相対湿度50%の大気中に10日間曝露した後の、上記導電層の表面電気抵抗値をRcとした場合、下記式(2)が成立することが好ましい。これにより、上記導電層の耐湿熱性を向上できる。
(|Rc−Ra|/Ra)×100<10 (2)
【0060】
更に、酸性水溶液に接触させる前の上記導電層の表面電気抵抗値をRaとし、酸性水溶液に接触させた後の上記導電層の表面を、純水を含ませた白ネルを用いて、加重100g/cm2、速度4500mm/分、摺動幅25mmで、20往復させた後の、上記導電層の表面電気抵抗値をRdとした場合、下記式(3)が成立することが好ましい。これにより、上記導電層の耐久性を向上できる。
(|Rd−Ra|/Ra)×100<10 (3)
【0061】
上記導電層の厚みは、用途に応じて適宜設定されるものであるが、通常、0.01〜10μm程度である。上記導電層の厚みが薄すぎても厚すぎても、均一な導電層を形成することが困難となる。上記導電性高分子の割合にもよるが、上記導電層の厚みが0.01μmより薄いと、表面電気抵抗値が上昇したり、表面電気抵抗値の場所によるばらつきが大きくなる傾向にあり、上記導電層の厚みが10μmより厚くなると、導電層の厚みが大きくなりすぎて、全光線透過率が低下する傾向にある。
【0062】
次に、本発明の導電性シートを図面に基づき説明する。図1は、本発明の導電性シートの一例を示す模式断面図である。図1において、導電性シート10は、基材11と、基材11の上に形成された導電層12とを備えている。前述のとおり、導電層12は導電性高分子とバインダ樹脂とを含み、導電層12は酸性水溶液に接触して形成されている。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に述べる。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。特に指摘がない場合、下記において、「部」は「質量部」を意味する。
【0064】
(実施例1)
<導電層形成用塗料の調製>
以下の成分を添加、混合して導電層形成用塗料aを調製した。
(1)導電性高分子分散液(ヘレウス社製、商品名“PH−1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.0質量%、溶媒:水):46部
(2)バインダ樹脂分散液(PVDF分散液、PVDF粒子の平均分散粒子径:0.2μm、固形分濃度:30質量%、溶媒:水):4.5部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):12部
(4)プロトン性極性溶媒(ノルマルプロピルアルコール):36部
(5)プロトン性極性溶媒(水):1.5部
【0065】
<導電性シートの形成>
次に、厚さ100μmのPETフィルム(東洋紡社製、商品名“A4100”、ヘイズ:0.9%、全光線透過率:92.0%)を基材として用い、基材の一方の主面に上記導電層形成用塗料aを、バーコータを用いて塗布し、その後110℃で5分間乾燥した。これにより、一方の主面に導電層が形成された実施例1の導電性シートを作製した。上記導電層の厚みは、0.3μmであった。
【0066】
<作製直後の導電層の表面電気抵抗値Raの測定>
先ず、上記導電性シートの作製直後の導電層の表面電気抵抗値Raを、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。その結果、Raは180Ω/sqであった。
【0067】
<導電性シートの酸接触>
作製した導電性シートを5cm角に切り出し、その切り出した導電性シートを、温度25℃、濃度0.1Nの硫酸水溶液(pH:1.5)100mLに、10秒間浸漬した。その後、上記導電性シートを純水に5秒間浸漬して洗浄して乾燥した。
【0068】
<酸接触後の導電層の表面電気抵抗値Rbの測定>
次に、酸接触後の導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Rbを、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。
【0069】
<導電層の耐湿熱試験後の表面電気抵抗値Rcの測定>
酸性水溶液に接触させた後の上記導電性シートを、温度25℃、相対湿度50%の恒温恒湿槽に遮光した状態で10日間静置した後の、上記導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Rcを、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。
【0070】
<導電層の摺動試験後の表面電気抵抗値Rdの測定>
酸性水溶液に接触させた後の上記導電性シートの導電層の表面を、純水を含ませた白ネル(#400)を用いて、加重100g/cm2、速度4500mm/分、摺動幅25mmで、20往復させた後の、上記導電層の表面電気抵抗値をRdを、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。
【0071】
<導電層の表面電気抵抗値の変化率の算出>
上記で測定した表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを用いて、下記式(4)〜(6)から、酸接触前後の表面電気抵抗値の変化率CR1、耐湿熱試験前後の表面電気抵抗値の変化率CR2、及び摺動試験前後の表面電気抵抗値の変化率CR3を算出した。
【0072】
CR1(%)=(|Rb−Ra|/Ra)×100 (4)
CR2(%)=(|Rc−Ra|/Ra)×100 (5)
CR3(%)=(|Rd−Ra|/Ra)×100 (6)
【0073】
上記測定の結果、上記表面電気抵抗値の変化率が5%未満の場合、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値の変化が極めて小さく、優良(A)と判断し、上記表面電気抵抗値の変化率が5%以上10%未満の場合、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値の変化が小さく、良好(B)と判断し、上記表面電気抵抗値の変化率が10%を超えた場合、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値の変化が大きく、不良(C)と判断した。
【0074】
(実施例2)
導電性シートの酸浸漬時間を1分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0075】
(実施例3)
導電性シートの酸浸漬時間を5分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0076】
(実施例4)
導電性シートの酸浸漬時間を15分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0077】
(実施例5)
導電性シートの酸浸漬時間を25分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0078】
(実施例6)
硫酸水溶液の温度を15℃に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を5分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0079】
(実施例7)
硫酸水溶液の温度を40℃に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を5分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0080】
(実施例8)
硫酸水溶液の濃度を0.01N、pHを2.5に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を5分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0081】
(実施例9)
硫酸水溶液の濃度を0.01N、pHを2.5に変更し、硫酸水溶液の温度を40℃に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を1分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0082】
(実施例10)
硫酸水溶液を濃度0.1Nの塩酸水溶液(pH:1.5)に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を1分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0083】
(実施例11)
<導電層形成用塗料の調製>
以下の成分を添加、混合して導電層形成用塗料bを調製した。
(1)導電性高分子分散液(ヘレウス社製、商品名“PH−1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.0質量%、溶媒:水):13.4部
(2)バインダ樹脂(アルコキシシランオリゴマー、信越化学工業社製、商品名“X40−2308”):0.6部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):15部
(4)プロトン性極性溶媒(エタノール):64.2部
(5)プロトン性極性溶媒(水):6.8部
【0084】
<導電性シートの形成>
次に、サイズ10cm四方、厚さ0.7mmの無アルカリガラス(全光線透過率:91.2%)を基材として用い、基材の一方の主面に上記導電層形成用塗料bを、スピンコーティング法により30秒間、回転速度1000rpmで塗布し、その後120℃で1時間乾燥した。これにより、一方の主面に導電層が形成された実施例11の導電性シートを作製した。上記導電層の厚みは、0.5μmであった。
【0085】
<作製直後の導電層の表面電気抵抗値Raの測定>
上記導電性シートの作製直後の導電層の表面電気抵抗値Raを、三菱化学アナリテック社製の抵抗率測定装置“Loresta−GP”(MCP−T610型)とLSPプローブを用いて測定した。その結果、Raは400Ω/sqであった。
【0086】
<導電性シートの酸接触>
作製した導電性シートを5cm角に切り出し、その切り出した導電性シートを、温度25℃、濃度0.1Nの硫酸水溶液(pH:1.5)100mLに、10秒間浸漬した。その後、上記導電性シートを純水に5秒間浸漬して洗浄して乾燥した。
【0087】
上記導電性シートを用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0088】
(実施例12)
導電性シートの酸浸漬時間を3秒に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0089】
(実施例13)
導電性シートの酸浸漬時間を45分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0090】
(実施例14)
硫酸水溶液の温度を50℃に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を5分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0091】
(実施例15)
硫酸水溶液の温度を5℃に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を1分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0092】
(実施例16)
硫酸水溶液を濃度0.01Nの酢酸水溶液(pH:3.4)に変更し、導電性シートの酸浸漬時間を5分に変更した以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0093】
(比較例1)
導電性シートを酸接触させなかった以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、この酸接触させなかった導電性シートを用いた以外は、実施例1と同様にして表面電気抵抗値Ra、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0094】
(比較例2)
導電性シートを酸接触させなかった以外は、実施例11と同様にして導電性シートを作製し、この酸接触させなかった導電性シートを用いた以外は、実施例1と同様にして表面電気抵抗値Ra、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0095】
(比較例3)
硫酸水溶液を純水(pH:7)に変更し、導電性シートの純水浸漬時間を5分とした以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb(純水浸漬後の導電層の表面電気抵抗値)、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0096】
(比較例4)
硫酸水溶液を純水(pH:7)に変更し、導電性シートの純水浸漬時間を30分とした以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb(純水接触後の導電層の表面電気抵抗値)、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0097】
(比較例5)
硫酸水溶液を濃度0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液(pH:12.1)に変更し、導電性シートのアルカリ浸漬時間を5分とした以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb(アルカリ浸漬後の導電層の表面電気抵抗値)、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。
【0098】
(比較例6)
<導電層形成用塗料の調製>
以下の成分を添加、混合して導電層形成用塗料cを調製した。
(1)導電性高分子分散液(ヘレウス社製、商品名“PH−1000”、導電性高分子:PEDOT−PSS、固形分濃度:1.0質量%、溶媒:水):46部
(3)非プロトン性極性溶媒(ジメチルスルホキシド):12部
(4)プロトン性極性溶媒(ノルマルプロピルアルコール):36部
(5)プロトン性極性溶媒(水):6部
【0099】
上記導電層形成用塗料cを用いた以外は、実施例1と同様にして導電性シートを作製し、実施例1と同様にして、導電性シートの導電層の表面電気抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdを測定して、表面電気抵抗値の変化率CR1、CR2及びCR3を算出し、各表面電気抵抗値の変化の大きさを評価した。上記導電層の厚みは0.2μmであり、Raは150Ω/sqであった。
【0100】
以上の実施例1〜16及び比較例1〜6の評価結果を表1〜3に示す。また、表1〜3では、使用した導電層形成用塗料の種類、導電性シートの表面処理条件も合せて示した。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
表1及び表2から、本発明の実施例1〜11では、表面電気抵抗値の変化率RC1、RC2、RC3の全てで優秀(A)となった。また、浸漬時間が5秒未満となった実施例12、処理液の温度が10℃未満となった実施例15及び処理液のpHが3以上となった実施例16では、酸処理の効果が若干低下したためか、表面電気抵抗値の変化率RC1は優秀(A)となったが、RC2及びRC3では良好(B)にとどまった。また、浸漬時間が30分を超えた実施例13及び処理液の温度が45℃を超えた実施例15では、酸処理の効果が若干強すぎたためか、表面電気抵抗値の変化率RC1、RC2、RC3の全てで良好(B)にとどまった。
【0105】
一方、表3から、酸処理を行わなかった比較例1及び2では、表面電気抵抗値の変化率RC2及びRC3が不良(C)となり、純水の浸漬時間が5分の比較例3では、表面電気抵抗値の変化率RC1が良好(B)となったものの、表面電気抵抗値の変化率RC2及びRC3が不良(C)となり、純水の浸漬時間が30分の比較例4、アルカリ処理を行った比較例4、及びバインダ樹脂を含まない導電層形成用塗料を用いた比較例6では、表面電気抵抗値の変化率RC1、RC2、RC3の全てで不良(C)となった。
【符号の説明】
【0106】
10 導電性シート
11 基材
12 導電層
図1