【解決手段】積層装置1は、複数のシート状の電極10が積層された積層体12を収容するマガジン2と、マガジン2から電極10を取り出す供給機構3と、供給機構3によりマガジン2から取り出されて供給された電極10が、セパレータ11を介して極性が交互となるように積層されて載置される載置部4と、を備え、マガジン2は、積層体12の積層方向を制御する一対の柱状部7を有し、積層方向は、一対の柱状部7により、積層体12における電極10の主面に垂直な方向である第1方向D1と、第1方向D1に対して傾斜する第2方向D2との間で切替可能とされ、供給機構3は、積層方向が第2方向D2とされた積層体12の両端部のいずれかに位置する電極10を一枚ずつ取り出して載置部4に供給する。
前記方向制御部は、前記積層方向を前記第2方向とした状態で、前記積層体の前記両端部のいずれかに位置する前記電極を一枚ずつ通過させるように、前記第2方向に移動する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の積層装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る積層装置の構成図である。積層装置1は、二次電池の製造工程に使用される装置である。二次電池は、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。二次電池は、複数のシート状の電極10がセパレータ11を介して電極10の極性が交互となるように積層されてなる電極組立体を有している。積層装置1は、特に、電極組立体を得る工程において使用される装置である。
図1に示されるように、積層装置1は、セパレータ11を介して電極10の極性が交互となるようにシート状の電極10を積層する。
【0016】
電極組立体を得る工程は、また、各々別個の生産ラインで製造された正負の電極10、およびセパレータ11を積層装置1に搬送し、1つの電極組立体とする工程でもある。正負の電極10は、図示しない各々別個の生産ラインで製造されて、マガジン2に積層及び収容された状態にて、積層装置まで搬送される。
【0017】
積層装置1は、電極10の搬送にも用いられる一対のマガジン2と、一対の供給機構3と、載置部4と、を備えている。以下の説明においては、載置部4に対して、セパレータ11が設けられている方向は「上」とされ、その反対の方向は「下」とされる。また、「平行」および「垂直」は、厳密な意味の「平行」および「垂直」だけでなく、「平行」および「垂直」から少しずれているものも含む広い意味とされる。
【0018】
各マガジン2は、複数の同極の電極10が積層された積層体12を収容している。一方のマガジン2は、複数の正極の電極10が積層された積層体12を収容し、他方のマガジン2は、複数の負極の電極10が積層された積層体12を収容している。積層体12において、各電極10は、主面が第1方向(上下方向)D1に垂直となるように積層されている。各マガジン2は、載置部4を挟んで対向するように配置されている。
【0019】
マガジン2は、底部6と、一対の柱状部7と、を有している。底部6は、矩形状の板状部材である。底部6には、積層体12が載置されている。底部6の主面の面積は、電極10の主面の面積よりも小さい。したがって、電極10は、底部6からはみ出した状態で底部6上に載置されている。
【0020】
一対の柱状部7は、円柱状の棒状部材であり、例えば、ステンレス鋼によって構成される。一対の柱状部7は、積層体12の積層方向を制御する方向制御部である。積層体12の積層方向とは、積層体12における各電極10の特定の部分同士を結んでなる直線の向く方向である。積層体12の積層方向は、一対の柱状部7により、第1方向D1と、第1方向D1に対して傾斜する第2方向D2との間で切替可能とされている。一対の柱状部7は、積層体12の側面に沿って配置されている。一対の柱状部7の軸方向は、積層体12の積層方向と一致している。ここでは、一対の柱状部7の軸方向は、第2方向D2とされている。即ち、積層体12の積層方向は、第2方向D2とされている。
【0021】
積層体12の積層方向が第2方向D2とされていることにより、積層体12の電極10同士は、第3方向D3に少しずつずれて配置されている。第3方向D3は、電極10の主面に平行な方向であって、第1方向D1から見て、第2方向D2と同じ方向となる方向である。積層体12の積層方向の両端部に位置する電極10は、他の電極10よりも、第3方向D3に沿って突出している。積層体12の底部6側の端部に位置する電極(以下、「下端部に位置する電極」ともいう)10は、第3方向D3に沿って載置部4側に突出している。積層体12の底部6とは逆側の端部に位置する電極(以下、「上端部に位置する電極」ともいう)10は、第3方向D3に沿って載置部4とは逆側に突出している。マガジン2のより詳細な構造、及びマガジン2の動作についての説明は後述する。
【0022】
各供給機構3は、各マガジン2から電極10を一枚ずつスライドさせて取り出し、取り出した電極10を載置部4に供給する。一方の供給機構3は、一方のマガジン2と載置部4との間に配置され、一方のマガジン2から載置部4に正極の電極10を供給する。他方の供給機構3は、他方のマガジン2と載置部4との間に配置され、他方のマガジン2から載置部4に負極の電極10を供給する。本実施形態では、各供給機構3は、各マガジン2から、積層体12の下端部に位置する電極10を第3方向D3に沿って取り出す。
【0023】
各供給機構3は、例えば、ロボットハンドである。各供給機構3は、積層体12の下端部に位置する電極10の突出している部分10pを電極10の厚さ方向に挟み込んで取り出す。ここでは、電極10の厚さ方向は第1方向D1と一致している。なお、各供給機構3は、ローラー及び吸着パッド等であってもよい。また、供給機構3は、フックであってもよい。この場合、電極10の主面にフックに係合する孔が設けられる。本実施形態では、各供給機構3をロボットハンドとして説明を行う。
【0024】
載置部4は、各供給機構3により供給された複数の電極10がセパレータ11を介して電極10の極性が交互となるように積層されて載置される部分である。載置部4は、矩形状の板状部材である。載置部4は、図示しない駆動部により、第1方向D1に移動可能に設けられている。
【0025】
次に、マガジン2のより詳細な構造についての説明を行う。
【0026】
図2は、
図1のマガジンの構造を示す斜視図である。一対の柱状部7は、軸方向の一端7aと他端7bとを有している。一対の柱状部7は、底部6の一対の側面6aに設けられた回動軸(不図示)に回動可能に取り付けられている。回動軸は、一対の側面6aが互いに対向する方向に沿って設けられている。一対の柱状部7は、一端7a側の外周面と一対の側面6aとを対向させた状態で、当該回動軸に取り付けられている。
【0027】
一対の柱状部7は、当該回動軸を中心として回動可能である。一対の柱状部7は、互いに連動して回動する。一対の柱状部7が回動することにより、一対の柱状部7の軸方向が変化する。積層体12の積層方向は、一対の柱状部7の軸方向に一致する。
図2では、一対の柱状部7の軸方向及び積層体12の積層方向は、第1方向D1とされている。この状態をマガジン2の第1状態という。例えば、空のマガジン2に電極10を供給して収容させる場合、マガジン2は第1状態とされる。
【0028】
電極10は、第1方向D1から見て略矩形状をなしている。電極10は、対向する一対の端面10aと、一対の端面10bとを有している。なお、端面10a及び端面10bは、実際には平面をなしていない端部である場合もある。例えば、端面10a近傍及び端面10b近傍において、電極10の厚さが、端面10a及び端面10bに近づくにつれて徐々に薄くなり、端面10a及び端面10bにおいて、電極10が、実質的な厚さを有していない場合等が挙げられる。
【0029】
一対の端面10aのそれぞれには、一対の端面10bの対向方向の中央に、切り欠き状の凹部10sが設けられている。一対の端面10aのうちの一方には、一対の端面10bの対向方向の中央よりも一方の端面10b側に、電極10の外方に突出するタブ10tが設けられている。各凹部10sは、第1方向D1から見て半円状をなしている。マガジン2では、電極10は、各凹部10sが各柱状部7に嵌合することにより、電極10の主面に平行な方向への移動が制限された状態で積層されている。ここでは、一方の端面10b(一対の端面10bのうち、タブ10tまでの距離が短い方)が、積層装置1において載置部4(
図1参照)側を向くように、マガジン2が配置されている。
【0030】
上述のように、一方のマガジン2には、正極の電極10が積層され、他方のマガジンには、負極の電極10が積層されている。正極の電極10と、負極の電極10とでは、タブ10tの位置が異なっている。具体的には、正極の電極10のタブ10tと、負極の電極10のタブ10tとは、一対の端面10aのうちの一方において、一対の端面10bの対向方向の中央よりも一方の端面10b側にあるか他方の端面10b側にあるかの点で異なっている。
図1に示されるように、積層装置1において、各マガジン2は、一対の端面10bのうちタブ10tまでの距離が近い方が、載置部4(
図1参照)側を向くように配置されている。
【0031】
積層体12は、矩形柱状をなしている。積層体12は、互いに対向する一対の側面12aと、一対の側面12bとを有している。一対の側面12aは、電極10の一対の端面10aが積層されてなる。一対の側面12bは、電極10の一対の端面10bが積層されてなる。なお、側面12a及び側面12bは、実際には平面をなしていない場合もある。一対の側面12aのそれぞれには、内面が半円柱状をなす凹部12sが設けられている。各凹部12sは、電極10の各凹部10sが積層されてなる。マガジン2では、積層体12は、各凹部12sが各柱状部7に嵌合することにより、電極10の主面に平行な方向への移動が制限された状態で収容されている。
【0032】
図3(a)は
図1の積層体の積層方向が第1方向とされた状態を説明する正面図であり、
図3(b)は
図3(a)のIIIb−IIIb線に沿っての断面図である。
図4(a)は
図1の積層体の積層方向が第2方向とされた状態を説明する正面図であり、
図4(b)は
図4(a)のIVb−IVb線に沿っての断面図である。ここでは、簡単のために積層体12の最下部に位置する電極10以外は想像線で示される。また、簡単のためにタブ10tは省略して示される。
【0033】
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、一対の柱状部7は、積層体12の側面12aに沿って配置され、積層体12を挟持している。各柱状部7は、凹部12s(
図2参照)に嵌合している。即ち、各柱状部7は、各電極10の凹部10s(
図2参照)に嵌合している。各柱状部7には、所定幅Lで所定方向に延在するスリット8が設けられている。所定幅Lは、電極10の一枚の厚さ(第1方向D1に沿う幅)よりも広く、且つ電極10の二枚の厚さよりも狭い。電極10の一枚の厚さが、例えば、0.3mmの場合、所定幅Lは、例えば、0.5mmとされる。
【0034】
スリット8は、柱状部7の一端7a側であって、積層体12の一対の側面12aと対向する側に設けられている。スリット8の延在方向は、柱状部7の軸方向に対して傾斜している。柱状部7の軸方向に対するスリット8の延在方向の傾斜角αは、例えば、45度である。積層体12の積層方向が第1方向D1とされた状態(即ち、第1状態)において、積層体12の下端部に位置する電極10は、凹部10s(
図2参照)の一部が柱状部7のスリット8以外の部分と嵌合している。第1状態では、各側面12a及び各側面12bは、第1方向D1に平行な平面をなしている。即ち、各端面10a及び各端面10bは、第1方向D1に垂直な方向における位置が一致している。
【0035】
図4(a)及び
図4(b)に示されるように、各柱状部7は、各側面6aに設けられた回動軸を中心として、他端7bが載置部4(
図1参照)と反対側に移動する方向に回動することにより、軸方向を第1方向D1に対して傾斜角βで傾斜する第2方向D2とすることができる。傾斜角βは、90度−αとされる。傾斜角βは、例えば、45度である。各柱状部7は、積層体12の側面12aにおいて凹部12s(
図2参照)に嵌合しているので、各柱状部7の軸方向が第1方向D1から傾斜するのに伴って、電極10の凹部10sが各柱状部7によって押されるため、電極10同士が第3方向D3に少しずつずれる。これにより、積層体12の積層方向も第2方向D2とされる。一対の柱状部7の軸方向及び積層体12の積層方向が第2方向D2とされている状態を、マガジン2の第2状態という。
【0036】
このように、一対の柱状部7の軸方向が、第1方向D1から第2方向D2とされると共に、積層体12の積層方向が、第1方向D1から第2方向D2とされることによって、マガジン2が第1状態から第2状態とされる。なお、第2状態では、側面12aは、略平行四辺形となる。側面12aにおいて、側面12bにより構成される辺は、実際には階段状をなしている。側面12bは、実際には階段状をなす複数の端面10bの集合体である。
【0037】
第2状態では、スリット8の延在方向が第3方向D3となる。スリット8の部分では、一対の柱状部7同士がなす間隔は、積層体12の一対の側面12a同士がなす間隔よりも広い。スリット8の底部6側の端部は、積層体12の底部6側の端部と一致する。上述のように、所定幅Lは、電極10の一枚の厚さよりも広い。このため、下端部に位置する電極10は、凹部10s(
図2参照)の全部が柱状部7と嵌合しなくなり、スリット8を通過可能な状態となる。また、所定幅Lは、電極10の二枚の厚さよりも狭い。このため、下端部に位置する電極10の一枚のみがスリット8を通過可能な状態となる。即ち、スリット8は、一対の柱状部7が第2方向D2に傾斜した状態で、下端部に位置する電極10を第3方向D3に沿って一枚ずつ通過させる。
【0038】
図5は、
図4のマガジンから電極を取り出す方法を説明する図である。
図5では、第1方向D1に沿って上方からマガジン2を見た状態が示されている。
図4及び
図5に示されるように、マガジン2は第2状態とされ、積層体12の積層方向は、柱状部7により第2方向D2とされている。供給機構3は、積層体12の下端部に位置する電極10の突出している部分10pを厚さ方向に挟み込み、電極10を一枚ずつ取り出す。マガジン2から積層体12の下端部に位置する電極10が取り出されると、残りの積層体12の全体は、凹部12sが柱状部7に嵌合したまま第2方向D2に沿って一端7a側に移動する。これにより、残りの積層体12の下端部に位置する電極10がスリット8を第3方向にD3沿って通過可能な状態となるので、マガジン2から電極10を順次一枚ずつ取り出すことができる。
【0039】
次に、
図1を参照して積層装置1の動作について説明する。
【0040】
図1に示されるように、積層装置1を動作させるに際して、予め各マガジン2では、他端7b(
図2参照)が載置部4と反対側に移動する方向に、一対の柱状部7を回動させることにより、積層体12の積層方向が第2方向D2とされる。また、載置部4上にはセパレータ11が配置される。
【0041】
セパレータ11は、電極10同士を絶縁するためのシートである。セパレータ11は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布及び不織布等である。セパレータ11は、長尺状であり、葛折りされている。セパレータ11は、載置部4上において、屈曲しながら第1方向D1に延在するように配置されている。セパレータ11の下端部は、載置部4上に当接している。セパレータ11は、葛折りされることにより、一方の面側には複数の収容空間S1を有し、他方の面側には複数の収容空間S2を有している。収容空間S1と収容空間S2とは、第1方向D1に沿って交互に配置されている。
【0042】
各マガジン2は、各マガジン2から取り出される各電極10の第1方向D1の位置が、隣り合う収容空間S1及び収容空間S2のそれぞれの第1方向D1の位置と同等となるように配置されている。即ち、各マガジン2は、第1方向D1において、1つの収容空間に対応する距離だけずれて配置されている。本実施形態では、積層体12の下端部に位置する電極10が各マガジン2から取り出される。このため、各マガジン2は、積層体12の下端部に位置する電極10の第1方向D1の位置が、隣り合う収容空間S1及び収容空間S2のそれぞれの第1方向D1の位置と同等となるように配置されている。積層装置1の動作開始時においては、各マガジン2は、積層体12の下端部に位置する電極10の第1方向D1の位置が、複数の収容空間S1及び複数の収容空間S2のうち最も下方に位置する収容空間S1及び収容空間S2のそれぞれの第1方向D1の位置と同等となるように配置されている。
【0043】
積層装置1の動作が開始されると、まず、各供給機構3は、各マガジン2における積層体12の下端部に位置する電極10の突出している部分10pを第1方向D1に挟み込む。各供給機構3は、突出している部分10pを挟み込んだ状態で、電極10を第3方向D3に一枚ずつスライドさせて取り出す。各供給機構3は、取り出した電極10を載置部4に供給し、最も下方に位置する収容空間S1及び収容空間S2のそれぞれに挿入する。
【0044】
このように、隣り合う収容空間S1及び収容空間S2に各電極10が挿入されると、セパレータ11では、上方に各電極10が載置された部分が、各電極10の重さによって下方に移動し、各電極10がセパレータ11を介して積層される。各電極10が積層されると、駆動部により載置部4が下方に移動する。これにより、各供給機構3によって次に取り出される各電極10の第1方向D1の位置と、次に各電極10が挿入される隣り合う収容空間S1及び収容空間S2の第1方向D1の位置とが再び一致する。
【0045】
以上の動作を繰り返し、最も下方に位置する収容空間S1及び収容空間S2から順に、各電極10を挿入する。これにより、各収容空間S1には正極の電極10が収容され、各収容空間S2には負極の電極10が収容される。この結果、複数の電極10がセパレータ11を介して電極10の極性が交互となるように積層されてなる電極組立体が得られる。
【0046】
以上のように構成された積層装置1では、マガジン2は、積層体12の積層方向を制御する一対の柱状部7を有している。これにより、積層体12の積層方向を、第1方向D1に対して傾斜する第2方向D2とすることができる。これに伴い、積層体12の電極10同士を第3方向D3に少しずつずらすことができる。
【0047】
このとき、積層体12の積層方向の下端部に位置する電極10は、他の電極10よりも第3方向D3に沿って載置部4側に突出する。したがって、供給機構3は他の電極10と干渉することなく、当該電極10を容易に取り出すことができる。当該電極10を取り出した後は、次に積層体12の下端部に位置する電極10が、他の電極10よりも第3方向D3に沿って載置部4側に突出するので、供給機構3は当該電極10を再び容易に取り出すことができる。このように、供給機構3によりマガジン2から電極10を一枚ずつ容易に取り出すことができる。
【0048】
また、供給機構3は、このようにマガジン2から取り出した電極10を載置部4に直接供給するので、複数のガイド板を有する別のマガジンに電極10を一旦配置する追加の工程が不要となる。その結果、生産性の向上を図ることができる。
【0049】
また、供給機構3は、電極10を厚さ方向に挟み込んで取り出すロボットハンドである。これにより、積層体12の下端部に位置する電極10において、他の電極10よりも第3方向D3に突出している部分10pを供給機構3が挟み込むことができる。したがって、供給機構3によりマガジン2から電極10を一枚ずつ確実に取り出すことができる。
【0050】
一対の柱状部7は、積層体12の側面12aに沿って配置され、凹部12sに嵌合した状態で、積層体12を挟持している。したがって、一対の柱状部7の軸方向が第1方向D1から傾斜するのに伴って、電極10の凹部10sが各柱状部7によって押されるため、電極10同士が第3方向D3に少しずつずれる。これにより、容易に積層体12の積層方向を制御することができる。一対の柱状部7の軸方向は、積層体12の積層方向と一致している。このため、回動軸を中心として一対の柱状部7を回動させることにより、一対の柱状部7の軸方向を制御すると共に、積層体12の積層方向を制御することができる。
【0051】
一対の柱状部7のそれぞれには、積層方向を第2方向D2とした状態で、積層体12の下端部に位置する電極10を一枚ずつ第3方向D3に通過させるスリット8が設けられている。これにより、供給機構3により複数の電極10が一度に取り出されるのを抑制することができる。
【0052】
また、マガジン2が第2状態にあるとき、供給機構3は電極10を直接マガジン2から水平方向に取出し、セパレータ11上に積層する。電極を直接マガジンから取り出す従来の吸着パッドを用いたロボットハンドと比較した場合も、電極10の取り出しに、上下動の動作を伴わないため、作業時間を短縮できる。
【0053】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る積層装置のマガジンの動作を説明する側面図である。第2実施形態に係る積層装置では、マガジン2の一対の柱状部7は、一対の側面6aに回動可能、且つ着脱自在に取り付けられ、軸方向を第2方向D2とした状態で、一対の側面6aから取り外されて、第2方向D2に沿って他端7b側に移動する点で、第1実施形態に係る積層装置と主に相違している。
【0054】
図6(a)及び
図6(b)に示されるように、第2実施形態では第1実施形態と同様に、一対の柱状部7は、積層体12の一対の側面12aに沿って配置された状態で、積層体12の積層方向を第1方向D1に対して傾斜させる。これにより、積層体12の積層方向は、第1方向D1に対して傾斜する第2方向D2とされる。
【0055】
図6(c)に示されるように、柱状部7は、凹部12s(
図2参照)に嵌合した状態で、一対の側面6aの対向方向から見たときに、底部6との間隔が所定幅Lとなるように、第2方向D2に沿って他端7b側に移動する。上述のように、所定幅Lは、電極10一枚の厚さよりも広い。このため、下端部に位置する電極10は、凹部10s(
図2参照)が、柱状部7と嵌合しなくなり、柱状部7と底部6との間に形成される間隙を通過可能な状態となる。また、所定幅Lは、電極10の二枚の厚さよりも狭い。このため、下端部に位置する電極10の一枚のみが、柱状部7と底部6との間に形成される間隙を第3方向D3に通過可能な状態となる。第1実施形態と同様に、供給機構3は、柱状部7により、積層方向が第1方向D1から第2方向D2とされた積層体12の下端部に位置する電極10を一枚ずつ取り出す。
【0056】
以上のように構成された第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第2実施形態では、柱状部7は、第2方向D2に傾斜した状態で、積層体12の下端部に位置する電極10を一枚ずつ通過させるように、第2方向D2に移動する。このため、供給機構3により複数の電極10が一度に取り出されるのを抑制することができる。
【0057】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る積層装置のマガジンの動作を説明する側面図である。第3実施形態に係る積層装置では、マガジン2は一対の柱状部7の代わりに、一対の板状部9を有している点で、第2実施形態に係る積層装置と主に相違している。また、電極10として、凹部10s(
図2参照)を有さないものを用いることができる。
【0058】
図7(a)に示されるように、一対の板状部9は、互いに平行をなし、かつ、積層体12を介して互いに対向する矩形状の板状部材である。一対の板状部9は、積層体12の一対の側面12bに沿って配置され、積層体12を挟持している。ここでは、積層方向は第1方向D1となっている。
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、一対の板状部9は、一対の側面6aの対向方向に平行な回動軸を中心として、互いに平行を保ったまま連動して回動する。これにより、一対の板状部9は、積層体12を挟持した状態で回動し、積層方向を第1方向D1に対して傾斜させる。
【0059】
ここでは、一対の板状部9の回動軸は、積層体12の下端部に配置された電極10の上側の主面より、第1方向D1において下方とされる。一対の板状部9の回動により、積層体12の積層方向は、第1方向D1に対して傾斜する第2方向D2とされる。このとき、一方の板状部9は、積層体12の下端部に位置する電極10の突出している部分10pに当接している。他方の板状部9は、積層体12の上端部に位置する電極10の突出している部分10pに当接している。
【0060】
図7(c)に示されるように、一方の板状部9は、側面12bに当接した状態で、第2方向D2に沿って上方に移動する。一方の板状部9が側面12bに当接した状態とは、一方の板状部9が電極10の各端面10bの少なくとも一部分に当接した状態である。一方の板状部9は、一対の側面6aの対向方向から見たときに、底部6との間隔が所定幅Lとなるように移動する。
【0061】
上述のように、所定幅Lは、電極10の一枚の厚さよりも広い。このため、下端部に位置する電極10は、柱状部7と底部6との間に形成される間隙を第3方向D3に通過可能な状態となる。また、所定幅Lは、電極10の二枚の厚さよりも狭い。このため、下端部に位置する電極10の一枚のみが、柱状部7と底部6との間に形成される間隙を第3方向D3に通過可能な状態となる。第2実施形態と同様に、供給機構3は、板状部9により、積層方向が第1方向D1から第2方向D2とされた積層体12の下端部に位置する電極10を一枚ずつ取り出す。
【0062】
積層体12の下端部に位置する電極10が取り出されると、残りの積層体12は、一対の板状部9に当接した状態で第2方向D2に沿って底部6に向かう方向に移動する。以上の動作を繰り返すことにより、マガジン2から電極10を順次一枚ずつ取り出すことができる。
【0063】
以上のように構成された第3実施形態では、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第3実施形態では、積層体12の下端部に位置する電極10を一枚ずつ通過させるように、一対の板状部9は、第2方向D2に傾斜した状態で、第2方向D2に沿って上方に移動する。供給機構3により積層体12の下端部に位置する電極10が一枚取り出される度に、残りの積層体12は、一対の板状部9に当接した状態で第2方向D2に沿って底部6に向かう方向に移動する。この結果、供給機構3により複数の電極10が一度に取り出されるのを抑制することができる。
【0064】
なお、本発明に係る積層装置は、上記実施形態に限定されない。例えば、積層装置1は、マガジン2を少なくとも1つ以上備えていればよい。また、積層装置1は、供給機構3を少なくとも1つ以上備えていればよい。例えば、1つの供給機構3が、2つ以上のマガジン2からそれぞれ電極10を取出して載置部4に供給してもよい。この場合、部品点数を減らすことができる。
【0065】
また、マガジン2は、突出している部分10pであって、供給機構3により挟み込まれる部分が、必ずしも載置部4側を向くように配置さていなくてもよい。例えば、マガジン2は、突出している部分10pであって、供給機構3により挟み込まれる部分が、載置部4と反対側を向くように配置されていてもよい。この場合、供給機構3は、マガジン2から載置部4と反対側に電極10を取り出した後、載置部4側に電極10を供給してもよい。
【0066】
また、マガジン2は積層体12上に設けられる天板を備えていてもよい。この場合、積層体12上にごみ等が付着するのを抑えることができる。
【0067】
また、載置部4が下方に移動する代わりに、各マガジン2が上方に移動して、各供給機構3により取り出される各電極10の第1方向D1の位置と、当該各電極10が挿入される収容空間S1及び収容空間S2の第1方向D1の位置とを一致させる構成としてもよい。また、載置部4及び各マガジン2は移動せず、供給機構3が第1方向D1にも移動して、各マガジン2から載置部4に電極10を供給する構成としてもよい。
【0068】
また、各柱状部7及び各板状部9の回動軸は、各柱状部7及び各板状部9が回動することにより、積層体12の積層方向を第1方向D1に対して傾斜させることができる位置であれば、どこに設けられてもよい。
【0069】
また、第1実施形態では、供給機構3は、積層体12の上端部に位置する電極10の突出している部分10pを厚さ方向に挟み込んで、電極10を取り出してもよい。この場合、スリット8は、例えば、マガジン2が第2状態のときに、積層体12の上端部に位置する電極10が第3方向D3に沿って通過可能となる位置に設けられる。また、マガジン2は、例えば、電極10が一枚取り出されるたびに、残りの積層体12の全体を第2方向D2に沿って他端7b側に移動可能な構成を備える。例えば、一対の柱状部7の一端7aが連結された底部6は、矩形枠状とされ、底部6と積層体12の間に、積層体12を支持する支持板が設けられる。支持板は、電極10と同様に、一対の柱状部7に沿って上下動可能とされる。積層装置1に別途設けたアクチュエータにより、支持板は他端7b側に移動する。これにより、残りの積層体12の上端部に位置する電極10がスリット8を第3方向D3に沿って通過可能な状態となるので、マガジン2から電極10を順次一枚ずつ取り出すことができる。なお、電極10は、供給機構3によって取り出される際に、タブ10tが一対の柱状部7に引っ掛からないようにマガジン2に収容される。即ち、タブ10tは、一対の柱状部7に対して、供給機構3によって取り出される方向に位置する。
【0070】
また、第2実施形態では、柱状部7は、第2方向D2に沿って一端7a側に移動して、積層体12の上端部に位置する電極10を一枚ずつ通過させてもよい。このとき、柱状部7は、凹部12s(
図2参照)に嵌合した状態で、一対の側面6aの対向方向から見たときに、積層体12の上端部との間隔が所定幅Lとなるように移動する。供給機構3は、柱状部7により傾斜させられた状態の積層体12の上端部に位置する電極10を一枚ずつ取り出して載置部4に供給する。