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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225290(P2016-225290A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/052 20100101AFI20161205BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20161205BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20161205BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20161205BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20161205BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20161205BHJP
   H01M 4/74 20060101ALI20161205BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20161205BHJP
【FI】
   H01M10/052
   H01M4/36 C
   H01M4/525
   H01M4/505
   H01M4/48
   H01M10/0566
   H01M4/74 C
   H01M4/74 A
   H01M10/0567
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2016-103922(P2016-103922)
(22)【出願日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-111651(P2015-111651)
(32)【優先日】2015年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】日立マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078064
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 鐵雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115901
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 英樹
(72)【発明者】
【氏名】関谷 智仁
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 章
(72)【発明者】
【氏名】吉川 進
(72)【発明者】
【氏名】橋本 裕志
(72)【発明者】
【氏名】石澤 政嗣
(72)【発明者】
【氏名】阿部 敏浩
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017CC05
5H017EE05
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AK03
5H029AK18
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL18
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029BJ04
5H029BJ12
5H029DJ07
5H029DJ09
5H029EJ11
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ07
5H029HJ17
5H029HJ18
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB29
5H050DA09
5H050EA10
5H050EA12
5H050EA23
5H050EA24
5H050EA28
5H050FA18
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA07
5H050HA17
5H050HA18
(57)【要約】
【課題】 高容量で優れた充放電サイクル特性を発揮し得るリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】 正極は、正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を用いており、Al含有酸化物の平均被覆厚みが5〜50nmであり、前記正極材料が含有する正極活物質は、Coと、Mg、Zr、Ni、Mn、TiおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mとを少なくとも含有するコバルト酸リチウムであり、前記負極は、負極活物質としてSiO(ただし、0.5≦x≦1.5である)を含む材料Sを含有し、前記負極中に含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、負極活物質中の材料Sの含有率が少なくとも10質量%であるリチウムイオン二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、
前記正極は、正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を含み、前記Al含有酸化物の平均被覆厚みが5〜50nmであり、前記正極材料が含有する正極活物質は、Coと、Mg、Zr、Ni、Mn、TiおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mとを少なくとも含有するコバルト酸リチウムであり、
前記負極は、負極活物質としてSiO(ただし、0.5≦x≦1.5である)を含む材料Sを含有し、前記負極中に含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、負極活物質中の材料Sの含有率が少なくとも10質量%であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記リチウムイオン二次電池を、0.1Cの放電電流レートで電圧が2.0Vに達するまで放電した時の、前記正極に含まれる全正極材料および正極活物質に含まれるLiとLi以外の金属Mとのモル比率(Li/M)が0.9〜1.05である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記正極材料の比表面積は0.1〜0.4m/gである請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記負極は、前記負極活物質を含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有しており、
前記負極の集電体は、一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を有する金属箔である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記非水電解液は、ニトリル系添加剤を含有している請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記非水電解液は、1,3−ジオキサンを含有している請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
前記正極は、NiおよびCoと、Mg、Mn、Ba、W、Ti、Zr、MoおよびAlよりなる群から選択される元素Mとを含有するニッケル酸リチウムを、前記正極材料と共に含有している請求項1〜6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高容量であるとともに、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気化学素子の1種であるリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯機器、自動車、電動工具、電動椅子や家庭用、業務用の電力貯蔵システムへの適用が検討されている。特に携帯機器としては、携帯電話やスマートフォン、またはタブレット型PCなどの電源として広く用いられている。
【0003】
そして、リチウムイオン二次電池には、その適用機器の広がりなどに伴って、高容量化と共に各種の電池特性を向上させることが求められている。特に二次電池であるため、充放電サイクル特性の向上は強く求められている。
【0004】
通常、リチウムイオン二次電池の負極活物質には、リチウム(Li)イオンを挿入および脱離可能な、黒鉛などの炭素材料が広く用いられている。一方、より多くのLiイオンを挿入および脱離可能な材料としてSiもしくはSn、またはこれらの元素を含む材料も検討され、特にSiの微粒子がSiO中に分散した構造の化合物SiOが注目されている。また、これら材料は導電性が低いため、粒子の表面に炭素などの導電体を被覆した構造が提案されている(特許文献1、2)。
【0005】
特許文献1、2にみられる従来のSiOは充放電に伴う体積変化により、充放電サイクルを繰り返すと電池特性が著しく低下する傾向にあった。そこで、負極合剤層を低密度(1.4g/cm以下)とし、負極活物質として、15μm以上20μm以下の人造黒鉛と、10μm以下のピッチコート黒鉛と、炭素被覆SiO(全負極活物質の全重量に対し1〜10重量%)とを用い、電池の大電流による負荷特性とサイクル特性を向上させる提案がなされている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−47404号公報
【特許文献2】特開2005−259697号公報
【特許文献3】特許第5302456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献3に記載の構成では、確かに黒鉛のみを負極活物質とした電池よりも容量は高いものの、SiO量が全負極活物質の全重量に対し10重量%以下であり、更なる高容量化に改善の余地がある。また、特許文献3では、電池の300サイクル目の放電容量について数値が示されているに留まり、充放電サイクルの繰り返しにおける容量維持率について言及されていないため、サイクル特性の改善効果については不明である。
【0008】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、高容量でサイクル特性にも優れたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極は、正極活物質の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなる正極材料を用いており、前記Al含有酸化物の平均被覆厚みが5〜50nmであり、前記正極材料が含有する正極活物質は、Coと、Mg、Zr、Ni、Mn、TiおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種の元素Mとを少なくとも含有するコバルト酸リチウムであり、前記負極は、負極活物質としてSiO(ただし、0.5≦x≦1.5である)を含む材料Sを含有し、前記負極中に含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、負極活物質中の材料Sの含有率が少なくとも10質量%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高容量であるとともにサイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極の一例を模式的に表す平面図である。
図2】本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極の一例を模式的に表す平面図である。
図3】本発明のリチウムイオン二次電池の一例を模式的に表す平面図である。
図4図3のI−I線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
SiOを含む材料Sは、1000mAh/g以上の容量を示し、黒鉛の理論容量と言われる372mAh/gを大幅に上回ることが特徴である。また、一般的な黒鉛の充電時のLiの挿入電位と比較し、SiOを含む材料Sは充電時のLiの挿入電位が低いことも知られている。
【0013】
ところで、一般にリチウムイオン二次電池においては定電流定電圧充電(CC−CV)方式で充電される場合がほとんどである。定電流定電圧充電とは、リチウムイオン二次電池の充電し始めでは定電流で充電(CC充電)を行い、電池が充電上限電圧に達すると一定の電圧を保つように充電(CV充電)を行う方式である。このCV充電ではCC充電時の電流値よりも非常に低い電流値で充電を行う。近年のリチウムイオン二次電池は、この充電上限電圧が4.2V〜4.7Vの間に設定されることが多い。
【0014】
負極活物質中のSiOを含む材料Sの比率を10質量%以上と高くしたときに、充電時にLiの析出が起こりやすくなるためにリチウムイオン二次電池のサイクル特性が劣化してしまうことがあった。これは、以下のような理由であると推測している。リチウムイオン二次電池をCC−CV充電すると、CCモードでの充電のときに正極からLiイオンの脱離が進んで電池電圧が上がっていき、充電初期段階においては、Liイオンは問題なくSiOへ挿入されていく。そして、CCモードの充電が進み電池電圧が充電上限電圧(CCモード末期)に近づくと、負極の電位は0Vに近づき、Liイオンを受け入れると同時にLi析出も生じる。この析出したLiは、それ以降充放電には寄与しなくなるため、サイクル特性が低下すると考えられる。
【0015】
このような問題に対して、本発明者らは、充電時に正極の抵抗を大きくすることでCCモードでの正極電位が高くなり、相対的に電池電圧を上げることができるため、負極でLiの析出が起こりやすいCCモード末期からCVモードに早く切り替え、充電電流を減衰させて分極を小さくすることで、負極でのLiの析出を起こりにくくできることを見出した。
【0016】
本発明では、コバルト酸リチウムを正極活物質に使用し、その表面にAl含有酸化物を形成して充電時の抵抗が大きい組成とした正極材料を用いることで、充電時の正極での抵抗を大きくし、これにより負極でのLiの析出を起こりにくくして、SiOを含む材料Sの比率を高くしても、充放電サイクル特性が良好なリチウムイオン二次電池の提供を可能としている。
【0017】
また、正極活物質粒子の表面を被覆するAl含有酸化物は、正極活物質でのLiイオンの出入りを阻害するため、例えば、電池の負荷特性を低下させる作用も有しているが、本発明では、Al含有酸化物での平均被覆厚みを特定値とすることで、Al含有酸化物での被覆による電池の特性の低下抑制も可能としている。
【0018】
正極材料におけるコバルト酸リチウムは、本発明のリチウムイオン二次電池において、正極活物質として作用するものである。コバルト酸リチウムは、Co、Mg、Zr、Ni、Mn、TiおよびAlよりなる群から選択される少なくとも1種の元素M、並びに、更に含有してもよい他の元素を纏めて元素群Mとしたときに、組成式LiMで表されるものである。
【0019】
コバルト酸リチウムにおいて、元素Mは、コバルト酸リチウムの高電圧領域での安定性を高め、Coイオンの溶出を抑制する作用を有しており、また、コバルト酸リチウムの熱安定性を高める作用も有している。
【0020】
コバルト酸リチウムにおいて、元素Mの量は、前記の作用をより有効に発揮させる観点から、Coとの原子比M/Coが、0.003以上であることが好ましく、0.008以上であることがより好ましい。
【0021】
ただし、コバルト酸リチウム中の元素Mの量が多すぎると、Coの量が少なくなりすぎて、これらによる作用を十分に確保できない虞がある。よって、コバルト酸リチウムにおいて、元素Mの量は、Coとの原子比M/Coが、0.06以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましい。
【0022】
コバルト酸リチウムにおいて、Zrは、非水電解液中に含まれるLiPFが原因となって発生し得るフッ化水素を吸着し、コバルト酸リチウムの劣化を抑制する作用を有している。
【0023】
リチウムイオン二次電池に使用される非水電解液中に若干の水分が不可避的に混入していたり、他の電池材料に水分が吸着していたりすると、非水電解液が含有するLiPFと反応してフッ化水素が生成する。電池内でフッ化水素が生成すると、その作用で正極活物質の劣化を引き起こしてしまう。
【0024】
ところが、Zrも含有するようにコバルト酸リチウムを合成すると、その粒子の表面にZr酸化物が析出し、このZr酸化物がフッ化水素を吸着する。そのため、フッ化水素によるコバルト酸リチウムの劣化を抑制することができる。
【0025】
なお、正極活物質にZrを含有させると、電池の負荷特性が向上する。正極材料が含有するコバルト酸リチウムが、平均粒子径の異なる2つの材料である場合、平均粒子径が大きい方をコバルト酸リチウム(A)、平均粒子径が小さい方をコバルト酸リチウム(B)とする。一般に、粒子径が大きい正極活物質を使用すると電池の負荷特性が低下する傾向にある。よって、前記正極材料を構成する正極活物質のうち、より平均粒子径が大きいコバルト酸リチウム(A)にはZrを含有させることが好ましい。他方、コバルト酸リチウム(B)は、Zrを含有していてもよく、含有していなくてもよい。
【0026】
コバルト酸リチウムにおいて、Zrの量は、前記の作用をより良好に発揮させる観点から、Coとの原子比Zr/Coが、0.0002以上であることが好ましく、0.0003以上であることがより好ましい。ただし、コバルト酸リチウム中のZrの量が多すぎると、他の元素の量が少なくなって、これらによる作用を十分に確保できない虞がある。よって、コバルト酸リチウムにおけるZrの量は、Coとの原子比Zr/Coが、0.005以下であることが好ましく、0.001以下であることがより好ましい。
【0027】
コバルト酸リチウムは、Li含有化合物(水酸化リチウム、炭酸リチウムなど)、Co含有化合物(酸化コバルト、硫酸コバルトなど)、Mg含有化合物(硫酸マグネシウムなど)、Zr含有化合物(酸化ジルコニウムなど)および元素Mを含有する化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)を混合し、この原料混合物を焼成するなどして合成することができる。なお、より高い純度でコバルト酸リチウムを合成するには、Coおよび元素Mを含む複合化合物(水酸化物、酸化物など)とLi含有化合物などとを混合し、この原料混合物を焼成することが好ましい。
【0028】
コバルト酸リチウムを合成するための原料混合物の焼成条件は、例えば、800〜1050℃で1〜24時間とすることができるが、一旦焼成温度よりも低い温度(例えば、250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、その後に焼成温度まで昇温して反応を進行させることが好ましい。予備加熱の時間については特に制限はないが、通常、0.5〜30時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気(すなわち、大気中)、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)と酸素ガスとの混合雰囲気、酸素ガス雰囲気などとすることができるが、その際の酸素濃度(体積基準)は、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る正極は、Liを吸蔵・放出する材料として、コバルト酸リチウムの粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されている(例えば、コバルト酸リチウムの粒子の表面の全面積中の90〜100%以上に、Al含有酸化物が存在している)正極材料を含んでいる。コバルト酸リチウムの粒子の表面を被覆するAl含有酸化物としては、Al、AlOOH、LiAlO、LiCo1−wAl(ただし、0.5<w<1)などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、例えば後述する方法でコバルト酸リチウムの表面をAlで被覆した場合、Al中に、コバルト酸リチウムから移行するCoやLi、Alなどの元素を含むAl含有酸化物が一部混在する被膜が形成されるが、本発明に係る正極材料を構成するコバルト酸リチウムの表面を覆うAl含有酸化物で形成された被膜は、このような成分を含む被膜であってもよい。
【0030】
本発明に係る正極材料を構成する粒子におけるAl含有酸化物の平均被覆厚みは、正極材料に係る電池の充放電時における正極活物質でのリチウムイオンの出入りをAl含有酸化物が阻害することによる抵抗を増加させ、負極でのLi析出を抑制することによる電池の充放電サイクル特性を向上させる観点と、正極材料に係る正極活物質と非水電解液との反応を良好に抑制する観点から、5nm以上であり、15nm以上であることが好ましい。また、電池の充放電時における正極活物質でのリチウムイオンの出入りをAl含有酸化物が阻害することによる電池の負荷特性低下を抑制する観点から、本発明に係る正極材料を構成する粒子におけるAl含有酸化物の平均被覆厚みは、50nm以下であり、35nm以下であることがより好ましい。
【0031】
本明細書でいう「本発明に係る正極材料を構成する粒子におけるAl含有酸化物の平均被覆厚み」は、集束イオンビーム法により加工して得られた正極材料の断面を、透過型電子顕微鏡を用いて40万倍の倍率で観察し、500×500nmの視野に存在する正極材料粒子のうち、断面の大きさが正極材料の平均粒子径(d50)±5μm以内の粒子を10視野分だけ任意に選択し、各視野ごとに、Al含有酸化物の被膜の厚みを任意の10か所で測定し、全視野で得られた全ての厚み(100箇所の厚み)について算出した平均値(数平均値)を意味している。
【0032】
本発明に係る正極材料は、比表面積(正極材料全体の比表面積)が、好ましくは0.1m/g以上、更に好ましくは0.2m/g以上であって、好ましくは0.4m/g以下、更に好ましくは0.3m/g以下である。正極材料の比表面積が上記の値にある場合には、電池の充放電時における抵抗を増加させるため、電池の充放電サイクル特性がより良好となる。
【0033】
なお、正極材料を構成する正極活物質粒子の表面をAl含有酸化物で被覆したり、正極活物質粒子の表面にZr酸化物が析出するようにしたりした場合には、通常、正極材料の表面が粗くなって比表面積が増大する。そのため正極材料は、比較的大きな粒径とすることに加えて、正極活物質粒子の表面を被覆するAl含有酸化物の被膜の性状が良好であると、前記のような小さな比表面積となりやすいことから、好ましい。
【0034】
正極材料が含有するコバルト酸リチウムについては、1種類であってもよいし、上述したように平均粒子径が異なる2つの材料であってもよいし、平均粒子径が異なる3つ以上の材料であってもよい。
【0035】
正極材料の比表面積(正極材料全体の比表面積)を前記の値に調整するには、1種類のコバルト酸リチウムを使用する場合、正極材料の平均粒子径を10〜35μmとすることが好ましい。
【0036】
正極材料が含有するコバルト酸リチウムに平均粒子径が異なる2つの材料を使用する場合、コバルト酸リチウム(A)の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなり、平均粒子径が1〜40μmである正極材料(a)と、コバルト酸リチウム(B)の粒子の表面がAl含有酸化物で被覆されてなり、平均粒子径が1〜40μmであり、かつ前記正極材料(a)よりも平均粒子径が小さい正極材料(b)とを少なくとも含んでいると好ましい。更に好ましくは、平均粒子径が24〜30μmの大粒子〔正極材料(a)〕と、平均粒子径が4〜8μmの小粒子〔正極材料(b)〕とで構成されている態様である。そして、正極材料が、正極材料(a)と正極材料(b)とを含んでいる場合、正極材料全量中での正極材料(a)の割合は、75〜90質量%であることが好ましい。これによって比表面積の調整ができるだけではなく、正極合剤層のプレス処理において、大粒径の正極材料の隙間に小粒径の正極材料が入り込むことで、正極合剤層にかかる応力が全体に分散し、正極材料粒子の割れが良好に抑制されてAl含有酸化物での被覆による作用をより良好に発揮することができる。
【0037】
本明細書でいう正極材料の粒度分布は、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」を用いて、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める方法により得られる粒度分布を意味している。また、本明細書における正極材料や、その他の粒子の平均粒子径は、前記の装置を用いて、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(d50)を意味している。
【0038】
コバルト酸リチウムといった正極活物質粒子の表面をAl含有酸化物で被覆して前記正極材料とするには、例えば下記の方法が採用できる。pHを9〜11とし、温度を60〜80℃とした水酸化リチウム水溶液中に、正極活物質粒子を投入し攪拌して分散させ、ここにAl(NO・9HOと、pHの変動を抑えるためのアンモニア水とを滴下して、Al(OH)共沈物を生成させ、正極活物質粒子の表面に付着させる。その後、この反応液からAl(OH)共沈物が付着した正極活物質粒子を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、熱処理して、正極活物質粒子の表面にAl含有酸化物の被膜を形成して、前記正極材料とする。Al(OH)共沈物が付着した正極活物質粒子の熱処理は大気雰囲気中で行うことが好ましく、また、熱処理温度を200〜800℃とし、熱処理時間を5〜15時間とすることが好ましい。この方法で正極活物質粒子の表面をAl含有酸化物で被覆する場合、前記の熱処理温度の調整によって、被膜を構成する主成分となるAl含有酸化物を、Alとしたり、AlOOHとしたり、LiAlOとしたり、LiCo1−wAl(ただし、0.5<w<1)としたりすることができる。
【0039】
本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極は、例えば、正極活物質(前記正極材料)、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが挙げられる。また、電池の形態によっては、正極活物質(前記正極材料)、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤を成形したペレット(正極合剤ペレット)を正極として使用することもできる。
【0040】
正極活物質には、前記正極材料のみを用いてもよいが、他の正極活物質を併用してもよい。前記正極材料と併用し得る他の正極活物質としては、リチウムイオン二次電池において、従来から使用されているもの(リチウムイオンを吸蔵放出し得るリチウム含有複合酸化物)が挙げられるが、電池の連続充電特性がより向上すると共に、前記正極材料によるリチウムイオン二次電池の高温下での充放電サイクル特性や貯蔵特性を損なわないことから、NiおよびCoと、Mg、Mn、Ba、W、Ti、Zr、MoおよびAlよりなる群から選択される元素Mとを含有するニッケル酸リチウムが好ましい。
【0041】
ニッケル酸リチウムは、Ni、Coおよび元素M、並びに、更に含有してもよい他の元素を纏めて元素群Mとしたときに、化学式LiMで表されるものであり、元素群Mの全原子数100mol%中のNi、Coおよび元素Mの量を、それぞれ、s(mol%)、t(mol%)およびu(mol%)で表したとき、30≦s≦97、0.5≦t≦40、0.5≦u≦40であることが好ましく、70≦s≦97、0.5≦t≦30、0.5≦u≦5であることがより好ましい。
【0042】
ニッケル酸リチウムは、Li含有化合物(水酸化リチウム、炭酸リチウムなど)、Ni含有化合物(硫酸ニッケルなど)、Co含有化合物(硫酸コバルト、酸化コバルトなど)、および必要に応じて元素Mを含有する化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)を混合し、この原料混合物を焼成するなどして製造することができる。なお、より高い純度でニッケル酸リチウムを合成するには、Ni、Coおよび必要に応じて含有させる元素Mのうちの複数の元素を含む複合化合物(水酸化物、酸化物など)と、他の原料化合物(Li含有化合物など)とを混合し、この原料混合物を焼成することが好ましい。
【0043】
ニッケル酸リチウムを合成するための原料混合物の焼成条件も、コバルト酸リチウムの場合と同様に、例えば、800〜1050℃で1〜24時間とすることができるが、一旦焼成温度よりも低い温度(例えば、250〜850℃)まで加熱し、その温度で保持することにより予備加熱を行い、その後に焼成温度まで昇温して反応を進行させることが好ましい。予備加熱の時間については特に制限はないが、通常、0.5〜30時間程度とすればよい。また、焼成時の雰囲気は、酸素を含む雰囲気(すなわち、大気中)、不活性ガス(アルゴン、ヘリウム、窒素など)と酸素ガスとの混合雰囲気、酸素ガス雰囲気などとすることができるが、その際の酸素濃度(体積基準)は、15%以上であることが好ましく、18%以上であることが好ましい。
【0044】
本発明のリチウムイオン二次電池において、前記正極材料と他の正極活物質〔例えばニッケル酸リチウム〕とを使用する場合には、前記正極材料と他の正極活物質との合計100質量%中の前記正極材料の量が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい(すなわち、前記正極材料と共に使用される他の正極活物質の量が、前記正極材料と他の正極活物質との合計100質量%中、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい)。なお、前記の通り、本発明のリチウムイオン二次電池では、前記正極材料以外の正極活物質を使用せずに前記正極材料のみを用いてもよいため、前記正極材料と他の正極活物質との合計100質量%中の前記正極材料の量の好適上限値は、100質量%である。ただし、上述したニッケル酸リチウムの使用による電池の連続充電特性向上効果をより良好に確保するためには、前記正極材料とニッケル酸リチウムとの合計100質量%中のニッケル酸リチウムの量が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
【0045】
本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極に使用される導電助剤としては、天然黒鉛(鱗片状黒鉛など)、人造黒鉛などの黒鉛(黒鉛質炭素材料);アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカ−ボンブラック;炭素繊維;などの炭素材料などが挙げられる。また、本発明のリチウムイオン二次電池に係る正極に使用されるバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが好適に用いられる。
【0046】
正極は、例えば、前記正極材料、導電助剤およびバインダなどを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させたペースト状やスラリー状の正極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理などのプレス処理を施す工程を経て製造される。
【0047】
ただし、正極は、前記の製造方法で製造されたものに限定される訳ではなく、他の方法で製造したものであってもよい。例えば、正極を、ペレット状の正極合剤成形体とする場合には、前記正極材料、導電助剤およびバインダなどを含有する正極合剤をプレス処理してペレット状に成形する方法で、正極を製造することができる。
【0048】
集電体は、従来から知られているリチウムイオン二次電池の正極に使用されているものと同様のものが使用でき、例えば、アルミニウム製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどがあげられ、厚みは5〜30μmが好ましい。
【0049】
SiOを含む材料Sは不可逆容量が大きい材料であることが知られているが、そのことが原因で生じる初回の充放電効率の低下を減少させるために、負極合剤層にLiをあらかじめ導入しておく方法が知られている。Li源を接触させて負極合剤層にLiを導入する方法を採用する場合、後述する負極集電体に一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を複数有した金属箔を用い、かつ正極集電体についても一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を複数有した金属箔を用いることで、負極集電体と正極集電体の貫通孔を介してLiが電池内部全体に移動していくので、Li源をすべての負極と接触させる必要がなくなり、作業効率を高めることができる。
【0050】
正極集電体として前記一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を複数個有した金属箔を用いる場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は4μmであることが望ましい。また、貫通孔の大きさはLiの移動を均一にさせるなどの目的から0.05mm以上が好ましい。ただし、貫通孔が大きすぎると、機械的強度が保てなくなるなどの理由から、1mm以下が望ましい。更に、貫通孔間のピッチは1〜5mm程度にすることが望ましい。
【0051】
正極合剤層や正極合剤成形体の組成としては、正極活物質(前記正極材料を含む)の量が60〜95質量%であることが好ましく、バインダの量が1〜15質量%であることが好ましく、導電助剤の量が3〜20質量%であることが好ましい。また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30〜150μmであることが好ましい。更に、正極合剤成形体からなる正極の場合、その厚みは、0.15〜1mmであることが好ましい。
【0052】
本発明のリチウムイオン二次電池に係る負極には、負極活物質やバインダなどを含有する負極合剤層を、集電体の片面または両面に有する構造のものが使用される。
【0053】
本発明における負極は、負極活物質としてSiO(ただし、0.5≦x≦1.5である)を含む材料Sを含有し、前記負極中に含まれる全負極活物質の合計を100質量%とした場合、高容量化の観点から負極活物質中の材料Sの含有率が少なくとも10質量%である。
【0054】
上記SiOは、Siの微結晶または非晶質相を含んでいてもよく、この場合、SiとOの原子比は、Siの微結晶または非晶質相のSiを含めた比率となる。すなわち、SiOには、非晶質のSiOマトリックス中にSi(例えば、微結晶Si)が分散した構造のものが含まれ、この非晶質のSiOと、その中に分散しているSiを合わせて、前記の原子比xが0.5≦x≦1.5を満足していればよい。例えば、非晶質のSiOマトリックス中にSiが分散した構造で、SiOとSiのモル比が1:1の材料の場合、x=1であるので、構造式としてはSiOで表記される。このような構造の材料の場合、例えば、X線回折分析では、Si(微結晶Si)の存在に起因するピークが観察されない場合もあるが、透過型電子顕微鏡で観察すると、微細なSiの存在が確認できる。
【0055】
そして、SiOを含む材料Sは、炭素材料と複合化した複合体であることが好ましく、例えば、SiOの表面が炭素材料で被覆されていることが望ましい。通常、SiOは導電性が乏しいため、これを負極活物質として用いる際には、良好な電池特性確保の観点から、導電性材料(導電助剤)を使用し、負極内におけるSiOと導電性材料との混合・分散を良好にして、優れた導電ネットワークを形成する必要がある。SiOを炭素材料と複合化した複合体であれば、例えば、単にSiOと炭素材料などの導電性材料とを混合して得られた材料を用いた場合よりも、負極における導電ネットワークが良好に形成される。
【0056】
即ち、SiOの比抵抗値は、通常、10〜10kΩcmであるのに対して、上記例示の炭素材料の比抵抗値は、通常、10-5〜10kΩcmであり、SiOと炭素材料とを複合化することにより、材料Sの導電性を向上できる。
【0057】
上記SiOと炭素材料との複合体としては、上記のように、SiOの表面を炭素材料で被覆したものの他、SiOと炭素材料との造粒体などが挙げられる。
【0058】
上記SiOとの複合体の形成に用い得る上記炭素材料としては、例えば、低結晶性炭素、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維などの炭素材料が好ましいものとして挙げられる。
【0059】
上記炭素材料の詳細としては、繊維状またはコイル状の炭素材料、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、人造黒鉛、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料が好ましい。繊維状またはコイル状の炭素材料は、導電ネットワークを形成しやすく、かつ表面積の大きい点において好ましい。カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラックを含む。)、易黒鉛化炭素及び難黒鉛化炭素は、高い電気伝導性、高い保液性を有しており、更に、SiO粒子が膨張・収縮しても、その粒子との接触を保持しやすい性質を有している点において好ましい。
【0060】
上記例示の炭素材料の中でも、SiOとの複合体が造粒体である場合に用いるものとしては、繊維状の炭素材料が特に好ましい。繊維状の炭素材料は、その形状が細い糸状であり柔軟性が高いために電池の充放電に伴うSiOの膨張・収縮に追従でき、また、嵩密度が大きいために、SiO粒子と多くの接合点を持つことができるからである。繊維状の炭素としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、カーボンナノチューブなどが挙げられ、これらの何れを用いてもよい。
【0061】
上記負極にSiOと炭素材料との複合体を使用する場合、SiOと炭素材料との比率は、炭素材料との複合化による作用を良好に発揮させる観点から、SiO:100質量部に対して、炭素材料が、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。また、上記複合体において、SiOと複合化する炭素材料の比率が多すぎると、負極合剤層中のSiO量の低下に繋がり、高容量化の効果が小さくなる虞があることから、SiO:100質量部に対して、炭素材料は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましい。
【0062】
上記のSiOと炭素材料との複合体は、例えば下記の方法によって得ることができる。
【0063】
上記SiOの表面を炭素材料で被覆して複合体とする場合には、例えば、SiO粒子と炭化水素系ガスとを気相中にて加熱して、炭化水素系ガスの熱分解により生じた炭素を、粒子の表面上に堆積させる。このように、気相成長(CVD)法によれば、炭化水素系ガスがSiO粒子の隅々にまで行き渡り、粒子の表面に導電性を有する炭素材料を含む薄くて均一な皮膜(炭素材料被覆層)を形成できることから、少量の炭素材料によってSiO粒子に均一性よく導電性を付与できる。
【0064】
上記炭素材料で被覆されたSiOの製造において、CVD法の処理温度(雰囲気温度)については、炭化水素系ガスの種類によっても異なるが、通常、600〜1200℃が適当であり、中でも、700℃以上であることが好ましく、800℃以上であることが更に好ましい。処理温度が高い方が不純物の残存が少なく、かつ導電性の高い炭素を含む被覆層を形成できるからである。
【0065】
上記炭化水素系ガスの液体ソースとしては、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどを用いることができるが、取り扱いやすいトルエンが特に好ましい。これらを気化させる(例えば、窒素ガスでバブリングする)ことにより炭化水素系ガスを得ることができる。また、メタンガスやアセチレンガスなどを用いることもできる。
【0066】
また、SiOと炭素材料との造粒体を作製する場合には、SiOが分散媒に分散した分散液を用意し、それを噴霧し乾燥して、複数の粒子を含む造粒体を作製する。分散媒としては、例えば、エタノールなどを用いることができる。分散液の噴霧は、通常、50〜300℃の雰囲気内で行うことが適当である。上記方法以外にも、振動型や遊星型のボールミルやロッドミルなどを用いた機械的な方法による造粒方法においても、SiOと炭素材料との造粒体を作製することができる。
【0067】
材料Sの平均粒子径は、小さすぎると材料Sの分散性が低下して本発明の効果が十分に得られなくなる虞があることや、材料Sは電池の充放電に伴う体積変化が大きいため、平均粒子径が大きすぎると膨張・収縮による材料Sの崩壊が生じやすくなる(この現象は材料Sの容量劣化につながる)ことから、0.1μm以上10μm以下とすることが好ましい。
【0068】
リチウムイオン二次電池の高容量化の観点から、負極合剤層中の、全負極活物質に対する材料Sの含有率は、10質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましい。
【0069】
負極活物質には、前記材料Sのみ(つまり、負極活物質中の材料Sの含有率が100質量%)を用いてもよいが、他の負極活物質を併用してもよい。
【0070】
材料Sと共に使用できる他の負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素材料、リチウムまたはリチウム合金や、SiまたはSnの単体、SiまたはSnを含む合金、SiまたはSnを含む酸化物(材料Sに該当するものを除く)などが挙げられ、これらの他の負極活物質を本発明の効果を阻害しない程度に使用することができる。
【0071】
負極合剤層に係るバインダとしては、例えば、負極の使用電位範囲において、Liに対して電気化学的に不活性であり、他の物質にできるだけ影響を及ぼさない材料が選択される。具体的には、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、メチルセルロース、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル酸、およびこれらの誘導体や共重合体などが好適なものとして挙げられる。これらのバインダは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
上記負極合剤層には、更に導電助剤として導電性材料を添加してもよい。このような導電性材料としては、電池内において化学変化を起こさないものであれば特に限定されず、例えば、カーボンブラック(サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等)、炭素繊維、金属粉(銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの粉末)、金属繊維、ポリフェニレン誘導体(特開昭59−20971号公報に記載のもの)などの材料を、1種または2種以上用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックを用いることが好ましく、ケッチェンブラックやアセチレンブラックがより好ましい。
【0073】
負極は、例えば、負極活物質およびバインダ、更には必要に応じて導電助剤を、NMPや水などの溶剤に分散させた負極合剤含有組成物を調製し(ただし、バインダは溶剤に溶解していてもよい)、これを集電体の片面または両面に塗布し、乾燥した後に、必要に応じてカレンダー処理を施す工程を経て製造される。ただし、負極の製造方法は、前記の方法に制限される訳ではなく、他の製造方法で製造してもよい。
【0074】
負極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり10〜100μmであることが好ましい。また、負極合剤層の密度(集電体に積層した単位面積あたりの負極合剤層の質量と、厚みから算出される)は、電池の高容量化を図る意味で1.0g/cm以上であることが好ましく、1.2g/cm以上であることがより好ましい。更に、負極合剤層の密度は、高すぎると非水電解液の浸透性が低下するなどの悪影響が生じるので、1.6g/cm以下であることが好ましい。また、負極合剤層の組成としては、例えば、負極活物質の量が80〜99質量%であることが好ましく、バインダの量が0.5〜10質量%であることが好ましく、導電助剤を使用する場合には、その量が1〜10質量%であることが好ましい。
【0075】
負極の集電と負極合剤層を支持するための支持体(集電体)としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得る。この負極支持体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は4μmであることが望ましい。
【0076】
一般的な黒鉛の充放電効率(90%以上)と比較し、SiOでは初回の充放電効率が80%を下回るものが多く、その分不可逆容量が増える。材料Sが全負極活物質中に10質量%以上含まれるような場合には、正極から脱離したLiイオンが初回充電時に負極側へ移動し、その後放電しても正極側へ戻ってくるLiイオンが減ってしまう現象が顕著に起きる。そこで電池容量を更に向上させるために、あらかじめLi源を負極に導入することが好ましい。
【0077】
前述の負極活物質にLiを導入する方法として、例えば金属Li箔を負極合剤層に貼付るなどして負極合剤層にLi源を接触させた状態の負極を電池ケース内に収容し、その後電池ケース内に非水電解液を注入することで、負極合剤層にLiを導入させる手法を採用した場合、支持体として金属箔を用い、金属箔の両面に負極合剤層を設けた構成にすると、Li源を両面の負極合剤層に配置する必要が生じる。一方、支持体(集電体)として一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を有した金属箔を用いた場合は、支持体の両面に設けた負極合剤層は貫通孔を介して電気的に接続しているので、どちらか一方の面にLi源を配置すれば、一方の負極合剤層から、貫通孔を介して他方の負極合剤層へとLiイオンが移動し、両面にある負極合剤層にLiが導入されことになり、Li源を配置する作業が簡略化できる。
【0078】
負極合剤層の支持体(集電体)として前記一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を複数個有した金属箔を用いる場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、機械的強度を確保するために下限は4μmであることが望ましい。また、貫通孔の大きさはLiの導入を均一にさせるなどの目的から0.05mm以上が好ましい。ただし、貫通孔の大きさが大きすぎると、機械的強度が保てなくなるなどの理由から、1mm以下が望ましい。さらに、貫通孔間のピッチは1〜5mm程度にすることが望ましい。
【0079】
負極合剤層にLiを導入する方法としては、上述した通りLi箔を負極合剤層に貼付したり、粒子状のLiを負極合剤層中に含ませたり、負極表面にLiを蒸着させるなど、種々の公知の方法でLi源と接触させた状態の負極を電池ケース内に収容し、その後電池ケース内に非水電解液を充填して充放電させる方法や、負極とLi源とを接触しないように配置した電池ケース内に非水電解液を充填し、外部接続により充放電させる方法などが挙げられる。
【0080】
セパレータは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレートや共重合ポリエステルなどのポリエステル;などで構成された多孔質膜であることが好ましい。なお、セパレータは、100〜140℃において、その孔が閉塞する性質(すなわちシャットダウン機能)を有していることが好ましい。そのため、セパレータは、融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、100〜140℃の熱可塑性樹脂を成分とするものがより好ましく、ポリエチレンを主成分とする単層の多孔質膜であるか、ポリエチレンとポリプロピレンとを2〜5層積層した積層多孔質膜などの多孔質膜を構成要素とする積層多孔質膜であることが好ましい。ポリエチレンとポリプロピレンなどのポリエチレンより融点の高い樹脂を混合または積層して用いる場合には、多孔質膜を構成する樹脂としてポリエチレンが30質量%以上であることが望ましく、50質量%以上であることがより望ましい。
【0081】
このような樹脂多孔質膜としては、例えば、従来から知られているリチウムイオン二次電池などで使用されている前記例示の熱可塑性樹脂で構成された多孔質膜、すなわち、溶剤抽出法、乾式または湿式延伸法などにより作製されたイオン透過性の多孔質膜を用いることができる。
【0082】
セパレータの平均孔径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上であって、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0083】
また、セパレータの特性としては、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mmの圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値が、10〜500secであることが望ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。更に、セパレータの強度としては、直径1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き破れによる短絡が発生する場合がある。
【0084】
前記セパレータとして、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有する積層型のセパレータを使用してもよい。前記セパレータは、シャットダウン特性と耐熱性(耐熱収縮性)および高い機械的強度とを兼ね備えている。また積層型セパレータを用いることで、さらにサイクル特性が改善されることも見出した。その理由は定かではないが、このセパレータの示す高い機械的強度が充放電サイクルに伴う負極の膨張・収縮に対して高い耐性を示し、セパレータのよれを抑制して負極とセパレータと正極間の密着性を保つことができることが理由であると推測される。
【0085】
本明細書において、「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
【0086】
セパレータに係る多孔質層(I)は、主にシャットダウン機能を確保するためのものであり、電池が多孔質層(I)の主体となる成分である熱可塑性樹脂の融点以上に達したときには、多孔質層(I)に係る熱可塑性樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
【0087】
多孔質層(I)の主体となる熱可塑性樹脂としては、融点が140℃以下の樹脂が好ましく、具体的には、例えばポリエチレンが挙げられる。また、多孔質層(I)の形態としては、電池用のセパレータとして通常用いられている微多孔膜や、不織布などの基材にポリエチレンの粒子を含む分散液を塗布し、乾燥するなどして得られるものなどのシート状物が挙げられる。ここで、多孔質層(I)の構成成分の全体積中〔空孔部分を除く全体積。セパレータに係る多孔質層(I)および多孔質層(II)の構成成分の体積含有率に関して、以下同じ。〕において、主体となる融点が140℃以下の樹脂の体積含有率は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましい。なお、例えば多孔質層(I)を前記ポリエチレンの微多孔膜で形成する場合は、融点が140℃以下の樹脂の体積含有率が100体積%となる。
【0088】
セパレータに係る多孔質層(II)は、電池の内部温度が上昇した際にも正極と負極との直接の接触による短絡を防止する機能を備えたものであり、耐熱温度が150℃以上のフィラーによって、その機能を確保している。すなわち、電池が高温となった場合には、たとえ多孔質層(I)が収縮しても、収縮し難い多孔質層(II)によって、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止することができる。また、この耐熱性の多孔質層(II)がセパレータの骨格として作用するため、多孔質層(I)の熱収縮、すなわちセパレータ全体の熱収縮自体も抑制できる。
【0089】
多孔質層(II)に係るフィラーは、耐熱温度が150℃以上で、電池の有する電解液に対して安定であり、更に電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定なものであれば、無機粒子でも有機粒子でもよいが、分散などの点から微粒子であることが好ましく、また、無機酸化物粒子、より具体的には、アルミナ、シリカ、ベーマイトが好ましい。アルミナ、シリカ、ベーマイトは、耐酸化性が高く、粒径や形状を所望の数値などに調整することが可能であるため、多孔質層(II)の空孔率を精度よく制御することが容易となる。なお、耐熱温度が150℃以上のフィラーは、例えば前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0090】
本発明のリチウムイオン二次電池に係る非水電解液としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液を使用できる。
【0091】
上記非水電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトン等の環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
【0092】
上記非水電解液に用いるリチウム塩としては、溶媒中で解離してリチウムイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限はない。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩;LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(2≦n≦7)、LiN(RfOSO〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩;を用いることができる。
【0093】
このリチウム塩の非水電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/Lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/Lとすることがより好ましい。
【0094】
非水電解液には、ニトリル系添加剤や1,3−ジオキサンを含有させることが好ましい。これにより、電池の充放電サイクル特性の更なる向上を図ることができる。
【0095】
ニトリル系添加剤としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4−ジシアノヘプタン、1,5−ジシアノペンタン、1,6−ジシアノヘキサン、1,7−ジシアノヘプタン、2,6−ジシアノヘプタン、1,8−ジシアノオクタン、2,7−ジシアノオクタン、1,9−ジシアノノナン、2,8−ジシアノノナン、1,10−ジシアノデカン、1,6−ジシアノデカン、2,4−ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジニトリルがより好ましい。
【0096】
電池に使用する非水電解液中のニトリル系添加剤の含有量は、その使用による前記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中のニトリル系添加剤の量が多すぎると、電池内でのガス発生量が多くなって、却って膨れの抑制効果が小さくなる虞がある。よって、電池に使用する非水電解液中のニトリル系添加剤の含有量は、7質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0097】
電池に使用する非水電解液中の1,3−ジオキサンの含有量は、その使用による前記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中の1,3−ジオキサンの量が多すぎると、電池の負荷特性の向上効果や充放電サイクル特性の向上効果が小さくなる虞がある。よって、電池に使用する非水電解液中の1,3−ジオキサンの含有量は、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
【0098】
また、非水電解液には、充放電サイクル特性の更なる改善や、高温貯蔵性や過充電防止などの安全性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水酸、スルホン酸エステル、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼン、ホスホノアセテート類化合物などの添加剤(これらの誘導体も含む)を適宜加えることもできる。
【0099】
更に、非水電解液には、ポリマーなどの公知のゲル化剤を添加してゲル化したもの(ゲル状電解質)を用いることもできる。
【0100】
本発明のリチウムイオン二次電池の形態については、特に制限はない。例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、扁平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。
【0101】
本発明のリチウムイオン二次電池は、0.1Cの放電電流レートで電圧が2.0Vに達するまで放電した時、前述した正極に含まれる全正極材料および正極活物質Liと、Li以外の金属Mとのモル比率(Li/M)が0.9〜1.05であることが好ましい。前述の通り、SiOなど不可逆容量の高い負極活物質を負極に用いると、充電で正極から脱離したLiイオンが負極側へ移動し、その後放電しても正極側へ戻ってくるLiイオンが減ってしまう現象が起きる。そこで前述の通り、負極にあらかじめLiを導入しておけば、電池の放電時に正極の容量を使い切ることができ、電池の容量を大きくすることができる。上記の(Li/M)が0.9〜1.05は、前述した材料Sを含む負極合剤層に、前記の各種方法によってLiを導入することで実現できる。
【0102】
また、0.1Cの放電電流レートで電圧が2.0Vに達するまで放電した時の正極材料の組成分析は、ICP(Inductive Coupled Plasma)法を用いて以下のように行うことができる。先ず、測定対象となる正極材料を0.2g採取して100mL容器に入れる。その後、純水5mL、王水2mL、純水10mLを順に加えて加熱溶解し、冷却後、更に純水で25倍に希釈してJARRELASH社製のICP分析装置「ICP−757」を用いて、検量線法により組成を分析する。得られた結果から、組成量を導くことができる。
【0103】
Li/Mについて、後述する実施例1を例にとって説明すると、実施例1ではLiCo0.9795Mg0.011Zr0.0005Al0.009のコバルト酸リチウム(A1)の表面にAl含有酸化物の被膜を形成した正極材料(a1)と、LiCo0.97Mg0.012Al0.009のコバルト酸リチウム(B1)の表面にAl含有酸化物の被膜を形成した正極材料(b1)とを用いているが、その際のLi以外の金属Mとは、Co、Mg、Zr、Alのことを指す。つまり、リチウムイオン二次電池作製後、所定の充放電後の電池を分解し、正極合剤層から正極材料(この実施例1では混合物)を採取・分析し、Li/Mを導き出す。
【0104】
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池と同様に充電の上限電圧を4.2V程度として使用することもできるが、充電の上限電圧を、これよりも高い4.4V以上に設定して使用することも可能であり、これにより高容量化を図りつつ、長期にわたって繰り返し使用しても、安定して優れた特性を発揮することが可能である。なお、リチウムイオン二次電池の充電の上限電圧は、4.5V以下であることが好ましい。
【0105】
本発明のリチウムイオン二次電池は、従来から知られているリチウムイオン二次電池と同様の用途に適用することができる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
【0107】
実施例1
<正極の作製>
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Mg含有化合物であるMg(OH)と、Zr含有化合物であるZrOと、Al含有化合物であるAl(OH)とを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で24時間焼成し、ICP法で求めた組成式がLiCo0.9795Mg0.011Zr0.0005Al0.009のコバルト酸リチウム(A1)を合成した。
【0108】
次に、pHを10とし、温度を70℃とした水酸化リチウム水溶液:200g中に、前記コバルト酸リチウム(A1):10gを投入し、攪拌して分散させた後、ここにAl(NO・9HO:0.0154gと、pHの変動を抑えるためのアンモニア水とを、5時間かけて滴下して、Al(OH)共沈物を生成させ、前記コバルト酸リチウム(A1)の表面に付着させた。その後、この反応液からAl(OH)共沈物が付着した前記コバルト酸リチウム(A1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で、400℃の温度で10時間熱処理することで、前記コバルト酸リチウム(A1)の表面にAl含有酸化物の被膜を形成して、正極材料(a1)を得た。得られた正極材料(a1)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0109】
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Mg含有化合物であるMg(OH)と、Al含有化合物であるAl(OH)とを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で4時間焼成し、ICP法で求めた組成式がLiCo0.97Mg0.012Al0.009のコバルト酸リチウム(B1)を合成した。
【0110】
次に、pHを10とし、温度を70℃とした水酸化リチウム水溶液:200中gに、前記コバルト酸リチウム(B1):10gを投入し、攪拌して分散させた後、ここにAl(NO・9HO:0.077gと、pHの変動を抑えるためのアンモニア水とを、5時間かけて滴下して、Al(OH)共沈物を生成させ、前記コバルト酸リチウム(B1)の表面に付着させた。その後、この反応液からAl(OH)共沈物が付着した前記コバルト酸リチウム(B1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で、400℃の温度で10時間熱処理することで、前記コバルト酸リチウム(B1)の表面にAl含有酸化物の被膜を形成して、正極材料(b1)を得た。得られた正極材料(b1)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0111】
そして、正極材料(a1)と正極材料(b1)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(1)を得た。得られた正極材料(1)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(1)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a1)および正極材料(b1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(1)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0112】
正極材料(1):96.5質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液:20質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
【0113】
この正極合剤含有ペーストを、厚みが15μmのアルミニウム箔(正極集電体)の片面または両面に塗布した後、120℃で12時間の真空乾燥を行って、アルミニウム箔の片面または両面に正極合剤層を形成した。プレス処理を行い、所定の大きさで切断して、帯状の正極を得た。なお、アルミニウム箔への正極合剤含有ペーストの塗布の際には、アルミニウム箔の一部が露出するようにし、アルミニウム箔の両面に正極合剤含有ペーストを塗布したものでは、表面で塗布部とした箇所は裏面も塗布部とした。得られた正極の正極合剤層の厚み(アルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成したものでは、片面あたりの厚み)は、55μmであった。
【0114】
アルミニウム箔の片面に正極合剤層を形成した帯状の正極、およびアルミニウム箔の両面に正極合剤層を形成した帯状の正極を、タブ部とするためにアルミニウム箔(正極集電体)の露出部の一部が突出するように、かつ正極合剤層の形成部が四隅を曲線状とした略四角形状になるようにトムソン刃で打ち抜いて、正極集電体の片面に正極合剤層を有する電池用正極と、正極集電体の両面に正極合剤層を有する電池用正極とを得た。図1に、前記電池用正極を模式的に表す平面図を示している(ただし、正極の構造の理解を容易にするために、図1に示す正極のサイズは、必ずしも実際のものと一致していない)。正極10は、正極集電体12の露出部の一部が突出するように打ち抜いたタブ部13を有する形状とし、正極合剤層11の形成部の形状を四隅を曲線状にした略四角形とし、図中a、bおよびcの長さを、それぞれ5mm、30mmおよび2mmとした。
【0115】
<負極の作製>
平均粒子径d50が22μm、d002が0.338nmで、BET法による比表面積が3.8m/gである黒鉛A(表面を非晶質炭素で被覆していない黒鉛)と、平均粒子径d50が10μm、d002が0.336nmで、BET法による比表面積が3.9m/gである黒鉛B(黒鉛からなる母粒子の表面を非晶質炭素で被覆した黒鉛)と、SiO表面を炭素材料で被覆した複合体Si−1(材料S、平均粒子径が8μm、比表面積が7.9m/gで、複合体における炭素材料の量が20質量%)とを、25:25:50の質量比で混合した混合物:98質量部、CMC:1.0質量部、およびSBR:1.0質量部を、イオン交換水と混合して、水系の負極合剤含有ペーストを調製した。
【0116】
前記負極合剤含有ペーストを厚みが6μmの銅箔の両面に塗布し乾燥を行って、銅箔の両面に負極合剤層を形成し、プレス処理を行って負極合剤層の密度を1.4g/cmに調整した後に所定の大きさで切断して、帯状の負極を得た。なお、銅箔への負極合剤含有ペーストの塗布の際には、銅箔の一部が露出するようにし、表面で塗布部とした箇所は裏面も塗布部とした。得られた負極の負極合剤層の厚み(負極集電体である銅箔の片面あたりの厚み)は、65μmであった。
【0117】
前記帯状の負極を、タブ部とするために銅箔(負極集電体)の露出部の一部が突出するように、かつ負極合剤層の形成部が四隅を曲線状とした略四角形状になるようにトムソン刃で打ち抜いて、負極集電体の両面に負極合剤層を有する電池用負極を得た。図2に、前記電池用負極を模式的に表す平面図を示している(ただし、負極の構造の理解を容易にするために、図2に示す負極のサイズは、必ずしも実際のものと一致していない)。負極20は、負極集電体22の露出部の一部が突出するように打ち抜いたタブ部23を有する形状とし、負極合剤層21の形成部の形状を四隅を曲線状にした略四角形とし、図中d、eおよびfの長さを、それぞれ6mm、31mmおよび2mmとした。
【0118】
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒に、アジポニトリル、1,3−ジオキサン、およびビニレンカーボネートを、それぞれ、1.0質量%、1.0質量%および3.0質量%となる量で溶解させ、更にLiPFを1.0mol/lの濃度で溶解させて、非水電解液を調製した。
【0119】
<電池の組み立て>
正極集電体の片面に正極合剤層を形成した電池用正極2枚、正極集電体の両面に正極合剤層を形成した電池用正極14枚、および負極集電体の両面に負極合剤層を形成した電池用負極15枚を用いて積層電極体を形成した。積層電極体では、上下の両端を正極集電体の片面に正極合剤層を形成した電池用正極として、それぞれの集電体が外側を向くように配置し、それらの間に負極集電体の両面に負極合剤層を形成した電池用負極と正極集電体の両面に正極合剤層を形成した電池用正極とを交互に配置し、各正極と各負極との間にはPE製セパレータ(厚み16μm)を介在させ、正極同士のタブ部、負極同士のタブ部を、それぞれ溶接して積層電極体を作製した。そして、前記積層電極体が収まるように窪みを形成した厚み:0.15mm、幅:34mm、高さ:50mmのアルミニウムラミネートフィルムの、前記窪みに前記積層電極体を挿入し、その上に前記と同じサイズのアルミニウムラミネートフィルムを置いて、両アルミニウムラミネートフィルムの3辺を熱溶着した。そして、両アルミニウムラミネートフィルムの残りの1辺から上述の非水電解液を注入した。その後、両アルミニウムラミネートフィルムの前記残りの1辺を真空熱封止して、図3に示す外観で、図4に示す断面構造のリチウムイオン二次電池を作製した。
【0120】
ここで、図3および図4について説明すると、図3はリチウムイオン二次電池を模式的に表す平面図であり、図4は、図3のI−I線断面図である。リチウムイオン二次電池100は、2枚のアルミニウムラミネートフィルムで構成したアルミニウムラミネートフィルム外装体101内に、正極と負極とをセパレータを介して積層して構成した積層電極体102と、非水電解液(図示しない)とを収容しており、アルミニウムラミネートフィルム外装体101は、その外周部において、上下のアルミニウムラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図4では、図面が煩雑になることを避けるために、アルミニウムラミネートフィルム外装体101を構成している各層や、積層電極体を構成している正極、負極およびセパレータを区別して示していない。
【0121】
積層電極体102の有する各正極は、タブ部同士を溶接して一体化し、この溶接したタブ部の一体化物を電池100内で正極外部端子103と接続しており、また、図示していないが、積層電極体102の有する各負極も、タブ部同士を溶接して一体化し、この溶接したタブ部の一体化物を電池100内で負極外部端子104と接続している。そして、正極外部端子103および負極外部端子104は、外部の機器などと接続可能なように、片端側をアルミニウムラミネートフィルム外装体101の外側に引き出している。
【0122】
以上の通りに作製したリチウムイオン二次電池を、60℃の恒温槽内で24時間保管した。
【0123】
実施例2
Al(OH)共沈物が付着したコバルト酸リチウム(A1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で熱処理する際の温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様にして正極材料(a2)を作製した。得られた正極材料(a2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0124】
また、Al(OH)共沈物が付着したコバルト酸リチウム(B1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で熱処理する際の温度を200℃に変更した以外は、実施例1と同様にして正極材料(b2)を作製した。得られた正極材料(b2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0125】
次に、正極材料(a2)と正極材料(b2)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(2)を得た。得られた正極材料(2)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlOOHであった。更に、正極材料(2)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a2)および正極材料(b2)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(2)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0126】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(2)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0127】
実施例3
Al(OH)共沈物が付着したコバルト酸リチウム(A1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で熱処理する際の温度を700℃に変更した以外は、実施例1と同様にして正極材料(a3)を作製した。得られた正極材料(a3)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0128】
また、Al(OH)共沈物が付着したコバルト酸リチウム(B1)を取り出し、洗浄後、乾燥させた後に、大気雰囲気中で熱処理する際の温度を700℃に変更した以外は、実施例1と同様にして正極材料(b3)を作製した。得られた正極材料(b3)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0129】
次に、正極材料(a3)と正極材料(b3)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(3)を得た。得られた正極材料(3)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がLiAlOであった。更に、正極材料(3)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a3)および正極材料(b3)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(3)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0130】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(3)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0131】
実施例4
Al(NO・9HOの使用量を0.0026gに変更した以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(a4)を作製した。得られた正極材料(a4)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0132】
また、Al(NO・9HOの使用量を0.013gに変更した以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(b4)を作製した。得られた正極材料(b4)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0133】
次に、正極材料(a4)と正極材料(b4)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(4)を得た。得られた正極材料(4)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、5nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(4)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a4)および正極材料(b4)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(4)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0134】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(4)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0135】
実施例5
Al(NO・9HOの使用量を0.128gに変更した以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(a5)を作製した。得られた正極材料(a5)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0136】
また、Al(NO・9HOの使用量を0.0256gに変更した以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(b5)を作製した。得られた正極材料(b5)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0137】
次に、正極材料(a5)と正極材料(b5)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(5)を得た。得られた正極材料(5)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、50nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(5)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a5)および正極材料(b5)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(5)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0138】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(5)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0139】
実施例6
正極材料(a1)と正極材料(b1)とを、質量比で95:5の割合で混合して、電池作製用の正極材料(6)を得た。得られた正極材料(6)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(6)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a1)および正極材料(b1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(6)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.1m/gであった。
【0140】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(6)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0141】
実施例7
正極材料(a1)と正極材料(b1)とを、質量比で70:30の割合で混合して、電池作製用の正極材料(7)を得た。得られた正極材料(7)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(7)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a1)および正極材料(b1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(7)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.4m/gであった。
【0142】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(7)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0143】
実施例8
アジポニトリルを添加しなかった以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0144】
実施例9
1,3−ジオキサンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0145】
実施例10
正極材料(1)とニッケル酸リチウム(組成式LiNi0.85Co0.120Mg0.01Al0.02)との質量比80:20の混合物:96.5質量部と、バインダであるPVDFを10質量%の濃度で含むNMP溶液:20質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部とを、二軸混練機を用いて混練し、更にNMPを加えて粘度を調節して、正極合剤含有ペーストを調製した。
【0146】
前記の正極合剤含有ペーストを用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0147】
実施例11
ニッケル酸リチウムを、組成がLiNi0.82Co0.16Al0.02のものに変更した以外は実施例10と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0148】
実施例12
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Mg含有化合物であるMg(OH)と、Al含有化合物であるAl(OH)とを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で24時間焼成し、ICP法で求めた組成式がLiCo0.9881Mg0.011Al0.0009のコバルト酸リチウム(A12)を合成した。
【0149】
そして、コバルト酸リチウム(A1)に代えてコバルト酸リチウム(A12)を用いた以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(a12)を作製した。得られた正極材料(a12)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0150】
次に、正極材料(a12)と正極材料(b1)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(12)を得た。得られた正極材料(12)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(12)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a12)および正極材料(b1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(12)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0151】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(12)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0152】
実施例13
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Zr化合物であるZrOとを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で24時間焼成し、ICP法で求めた組成式がLiCo0.9995Zr0.0005のコバルト酸リチウム(A13)を合成した。
【0153】
そして、コバルト酸リチウム(A1)に代えてコバルト酸リチウム(A13)を用いた以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(a13)を作製した。得られた正極材料(a13)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0154】
Li含有化合物であるLiCOと、Co含有化合物であるCoと、Zr化合物であるZrOとを適正な混合割合で乳鉢に入れて混合した後、ペレット状に固め、マッフル炉を用いて、大気雰囲気中(大気圧下)で、950℃で4時間焼成し、ICP法で求めた組成式がLiCo0.9995Zr0.0005のコバルト酸リチウム(B13)を合成した。
【0155】
そして、コバルト酸リチウム(B1)に代えてコバルト酸リチウム(B13)を用いた以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(b13)を作製した。得られた正極材料(b13)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0156】
次に、正極材料(a13)と正極材料(b13)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(13)を得た。得られた正極材料(13)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(13)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a13)および正極材料(b13)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(13)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0157】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(13)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0158】
実施例14
実施例1と同様にして作製した負極の両負極合剤層の表面の一部に、厚さ30μmのLi箔を打ち抜いて配置した。1つの負極に配置したLi箔は合計で0.5mgであった。この作業はアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で実施した。この負極を用いた以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0159】
実施例15
実施例1で作製した負極合剤含有ペーストを、一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を有した銅箔(厚みが10μm、貫通孔の直径が0.3mm、貫通孔間のピッチが2mm)の両面に塗布し乾燥を行って、銅箔の両面に負極合剤層を形成し、プレス処理を行って負極合剤層の密度を1.4g/cmに調整した後に所定の大きさで切断して、帯状の負極を得た。
【0160】
前記負極の片面の負極合剤層の表面の一部に、厚さ30μmのLi箔を打ち抜いて配置した。1つの負極に配置したLi箔は0.5mgであった。この作業はアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で実施した。
【0161】
この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0162】
実施例16
黒鉛Aと、黒鉛Bと、Si−1とを、45:45:10の質量比で混合して負極合剤含有ペーストを作製した以外は、実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0163】
実施例17
負極活物質をSi−1のみとして負極合剤含有ペーストを作製した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。
【0164】
この負極の両負極合剤層の表面の一部に、厚さ30μmのLi箔を打ち抜いて配置した。1つの負極に配置したLi箔は合計で1.0mgであった。この作業はアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で実施した。この作業はアルゴンガス雰囲気のグローブボックス内で実施した。
【0165】
この負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0166】
実施例18
正極材料(a1)と正極材料(b1)とを、質量比で15:85の割合で混合して、電池作製用の正極材料(18)を得た。得られた正極材料(18)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(18)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(a1)および正極材料(b1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(18)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.5m/gであった。
【0167】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(18)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0168】
実施例19
正極材料(1)に代えて正極材料(18)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製した。
【0169】
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒に、アジポニトリル、1,3−ジオキサン、およびビニレンカーボネートを、それぞれ2.0質量%、1.0質量%および3.0質量%となる量で溶解させ、更にLiPFを1.0mol/lの濃度で溶解させて、非水電解液を調製した。
【0170】
この正極と非水電解液とを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0171】
比較例1
Al含有酸化物による被覆を行わなかった以外は正極材料(a1)と同様にして正極材料(c1)を作製した。また、Al含有酸化物による被覆を行わなかった以外は正極材料(b1)と同様にして正極材料(d1)を作製した。正極材料(c1)および正極材料(d1)の平均粒子径は、それぞれ、27μm、7μmであった。
【0172】
次に、正極材料(c1)と正極材料(d1)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(101)を得た。得られた正極材料(101)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(c1)および正極材料(d1)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(101)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0173】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(101)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0174】
比較例2
Al(NO・9HOの使用量を0.154gに変更した以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(c2)を作製した。得られた正極材料(c2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0175】
また、Al(NO・9HOの使用量を0.0308gに変更した以外は、正極材料(b1)と同じ方法で正極材料(d2)を作製した。得られた正極材料(d2)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0176】
次に、正極材料(c2)と正極材料(d2)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(102)を得た。得られた正極材料(102)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、60nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(102)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(c2)および正極材料(d2)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(102)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0177】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(102)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0178】
比較例3
負極活物質を黒鉛Aと黒鉛Bとを50:50の質量比で混合した混合物に変更して負極合剤含有ペーストを作製した以外は実施例1と同様にして負極を作製し、この負極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0179】
比較例4
Mg(OH)、Al(OH)およびZrOを使用しなかった以外はコバルト酸リチウム(A1)と同じ方法で、ICP法で求めた組成式がLiCoOのコバルト酸リチウム(C4)を合成した。
【0180】
そして、コバルト酸リチウム(A1)に代えてコバルト酸リチウム(C4)を用いた以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(c4)を作製した。得られた正極材料(c4)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、27μmであった。
【0181】
Mg(OH)およびAl(OH)を使用しなかった以外はコバルト酸リチウム(B1)と同じ方法で、ICP法で求めた組成式がLiCoOのコバルト酸リチウム(D4)を合成した。
【0182】
そして、コバルト酸リチウム(A1)に代えてコバルト酸リチウム(D4)を用いた以外は、正極材料(a1)と同じ方法で正極材料(d4)を作製した。得られた正極材料(d4)について、前記の方法で平均粒子径を測定したところ、7μmであった。
【0183】
次に、正極材料(c4)と正極材料(d4)とを、質量比で85:15の割合で混合して、電池作製用の正極材料(104)を得た。得られた正極材料(104)の表面のAl含有酸化物の平均被覆厚みを前記の方法で測定したところ、30nmであった。また、平均被覆厚みの測定の際に元素マッピングによって被膜の組成を確認したところ、主成分がAlであった。更に、正極材料(104)の体積基準の粒度分布を前記の方法で確認したところ、平均粒子径は25μmで、正極材料(c4)および正極材料(d4)の各平均粒子径の箇所にピークトップを有する2つのピークが認められた。また、正極材料(104)のBET比表面積を、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定したところ、0.25m/gであった。
【0184】
そして、正極材料(1)に代えて正極材料(104)を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0185】
実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池の構成を表1〜3に示す。
【0186】
また、実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池について、下記の電池特性評価を行った。各電池の評価結果を表4に示す。
【0187】
<正極活物質中のLi量測定>
45℃の恒温槽で24時間保管したリチウムイオン二次電池を、0.1Cの放電電流レートで電圧が2.0Vに達するまで放電した。その後、グローブボックス内でアルミラミネートを解体し、正極のみを取り出した。取り出した正極をジエチルカーボネートで洗浄したのち、正極合剤層を掻き出し、前述したICP法により、LiとLi以外の金属の組成比率;Li/M(Li;Li量、M;Li以外の金属量)を算出した。
【0188】
<初期放電容量と充放電サイクル特性評価>
実施例および比較例のリチウムイオン二次電池(上述したLi/M算出用とは別のもの)を、25℃の恒温槽内に5時間静置し、その後、各電池について、0.5Cの電流値で4.4Vまで定電流充電し、引き続いて4.4Vで定電圧充電し(定電流充電と定電圧充電との総充電時間が2.5時間)、その後に0.2Cの定電流で2.0Vまで放電を行って、初回放電容量を求めた。次に、各電池について、1Cの電流値で4.4Vまで定電流充電し、引き続いて4.4Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電した後に、1Cの電流値で2.0Vまで放電する一連の操作を1サイクルとして、これを300サイクル実施した。そして、各電池について、前記の初回放電容量測定時と同じ条件で定電流−定電圧充電および定電流放電を行って、放電容量を求めた。そして、これらの放電容量を初回放電容量で除した値を百分率で表して、容量維持率(サイクル維持率)を算出した。なお、初回放電容量は、比較例3の放電容量を100%とした場合の比率として示す。
【0189】
<負荷特性>
実施例および比較例の各リチウムイオン二次電池に用いた正極と同じものを用い、対極にリチウム箔を用い、実施例1のリチウムイオン二次電池に用いたものと同じ非水電解液を用いて、モデルセルを作製した。そして、各モデルセルについて、23℃で、0.1Cの電流値でリチウムの電位に対して4.5Vになるまで定電流充電を行った後、電流値が0.01Cになるまでリチウムの電位に対して4.5Vで定電圧充電を行って、充電容量を測定した。充電後の各モデルセルについて、0.1Cの電流値でリチウムの電位に対して3.1Vになるまで定電流で放電して、放電容量(0.1C放電容量)を測定した。
【0190】
また、前記の各モデルセルについて、定電流充電時および定電流放電時の電流値を0.5Cに変更した以外は0.1C放電容量測定時と同じ条件で定電流充電、定電圧充電および定電流放電を行って、充電容量および放電容量(0.5C放電容量)を測定した。
【0191】
そして、各電極について、0.5C放電容量を0.1C放電容量で除した値を百分率で表して、負荷特性を求めた。
【0192】
【表1】
【0193】
【表2】
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
【符号の説明】
【0196】
10 正極
11 正極合剤層
12 正極集電体
13 タブ部
20 負極
21 負極合剤層
22 負極集電体
23 タブ部
100 リチウムイオン二次電池
101 金属ラミネートフィルム外装体
102 積層電極体
103 正極外部端子
104 負極外部端子

図1
図2
図3
図4