【解決手段】半導体装置1は、アクティブ面13aと該アクティブ面13aの反対側の非アクティブ面13bを有する半導体素子13と、半導体素子13を取り囲んで封止する封止樹脂層30と、半導体素子13及び封止樹脂層30の上に形成されるビルドアップ層20とを備える。ビルドアップ層20の第1主面20aの上には導体パッド25が形成され、ビルドアップ層20の内部にはビア導体24,26が形成されている。封止樹脂層30には、非アクティブ面13bと該非アクティブ面13bに隣接する周壁面13cの一部とを露出させる凹部31が形成され、その内部に封止樹脂層32が充填されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明に係る半導体装置の実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複説明は省略する。
【0010】
<第1実施形態>
本実施形態に係る半導体装置1は、半導体素子13と、半導体素子13の周囲に配置される封止樹脂層(第1封止樹脂層)30と、半導体素子13及び封止樹脂層30の上に形成され、複数の絶縁層を積層してなるビルドアップ層20とを備えている。半導体素子13は、アクティブ面13aと、該アクティブ面13aの反対側の非アクティブ面13bと、アクティブ面13a及び非アクティブ面13b間の周壁面13cとを有する。半導体素子13の下部には、基板14(例えばSi)が配置されている。本実施形態では、基板14の上表面は半導体素子13のアクティブ面13a、基板14の下表面は非アクティブ面13bを構成している。
【0011】
半導体素子13のアクティブ面13aの上には、複数の基板端子15が所定の間隔で配列されている。これらの基板端子15は、例えばアルミニウム材料によって形成されている。基板端子15の中央部を除くアクティブ面13aの上には、酸化シリコン等からなる絶縁膜17と、感光性ポリイミド等からなる保護膜18とがこの順序で積層されている。基板端子15の中央部に対応する絶縁膜17及び保護膜18の位置には、基板端子15の中央部まで至る貫通孔19が設けられている。
【0012】
また、半導体素子13のアクティブ面13a側には、基板端子15と電気的に接続する端子16が複数形成されている。これらの端子16は、再配線によって形成されている。以下の説明において、端子16を「再配線層16」と称する。
図1に示すように、再配線層16は、貫通孔19の内部及び保護膜18の上に形成され、下地金属層16a及びその上に形成される上層金属層16bによって構成されている。
【0013】
保護膜18の上には、更に絶縁膜10が形成されている。絶縁膜10は、周囲から再配線層16を封止するように保護膜18の全面に配置され、その上表面10aは、再配線層16の上表面16cと同一平面に位置している。絶縁膜10は、例えば層間樹脂絶縁層用の樹脂フィルム(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:ABF−45SH)によって形成されている。なお、絶縁膜10は感光性樹脂によって形成されても良い。
【0014】
封止樹脂層30は、例えばシリカフィラーを含むエポキシ樹脂によって形成され、周囲から半導体素子13を取り囲んで封止している。封止樹脂層30の上表面(すなわち、ビルドアップ層20に隣接する面)30aは、絶縁膜10の上表面10a及び再配線層16の上表面16cと同一平面に位置している。一方、封止樹脂層30の下表面30bは、外部に露出している。この下表面30bは、封止樹脂層30のビルドアップ層20と反対側の表面(すなわち、ビルドアップ層20から遠ざかる面)である。
【0015】
図1に示すように、半導体素子13の非アクティブ面13bは、封止樹脂層30の下表面30bより内部に凹んでいる。このため、封止樹脂層30には凹部31が形成されている。凹部31は、非アクティブ面13b全体のみならず、更に該非アクティブ面13bに隣接する周壁面13cの一部まで露出させるように形成されている。そして、凹部31の内部には、該凹部31を埋めるように封止樹脂層(第2封止樹脂層)32が充填されている。
【0016】
図2は封止樹脂層32を取り除いた状態の半導体装置1を示す底面図である。
図2に示すように、凹部31は、非アクティブ面13b全体を露出させる矩形状の第1部分31aと、第1部分31aを取り囲むように該第1部分31aと連通する枠状の第2部分31bとを有する。そして、第2部分31bは、非アクティブ面13bから更に周壁面13cに沿って内部に凹み、周壁面13cの一部を露出させている(
図1参照)。それに対応し、凹部31に充填された封止樹脂層32は、凹部31の第1部分31aを埋める第1封止部32aと、第2部分31bを埋める第2封止部32bから構成されている。更に、第2封止部32bは、凹部31の第2部分31bの形状に倣って半導体素子13の周壁面13cに沿って所定の高さまで盛り上がっている。封止樹脂層32の下表面32cは、外部に露出し、封止樹脂層32の露出面となる。この下表面32cは、封止樹脂層30の下表面30bと同一平面に位置している。
【0017】
封止樹脂層32は、封止樹脂層30と同じ材料によって形成されても良いが、本実施形態では、封止樹脂層30より大きい熱膨張係数を有する材料により形成されている。言い換えれば、封止樹脂層30の熱膨張係数は封止樹脂層32の熱膨張係数よりも小さい。このようにすれば、反りの発生を防止することができる。好適には、封止樹脂層32は、カーボンファイバを含有する材料によって形成されている。カーボンファイバを含有する材料として、例えば高い熱伝導率を持つ炭素繊維、カーボンナノチューブ等が挙げられる。このようすることで、封止樹脂層32を介して熱を外部に放出し易くなるので、半導体装置1の放熱性を向上することができる。
【0018】
ビルドアップ層20は、第1主面20aと該第1主面20aの反対側の第2主面20bとを有し、第1主面20aが上に向くように半導体素子13及び封止樹脂層30の上に形成されている。このビルドアップ層20は、半導体素子13のアクティブ面13a側に設けられる絶縁層21を有する。絶縁層21は、再配線層16、絶縁膜10及び封止樹脂層30を覆うように、これらの上に積層されている。この絶縁層21は、例えば熱硬化性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部に感光性基が付与された樹脂、熱可塑性樹脂、又はこれらの樹脂を含む樹脂複合体等により形成されている。
【0019】
絶縁層21の上には、無電解めっき層と電解めっき層からなる導体層22が形成されている。絶縁層21の内部には、再配線層16と導体層22とを電気的に接続するビア導体24が複数形成されている。ビア導体24は、無電解めっき層と電解めっき層によって構成され、再配線層16と対応する絶縁層21の所定位置に配置されている。
図1に示すように、ビア導体24は、円錐台形状を呈し、第1主面20aから第2主面20bに向かう方向に縮径されている。
【0020】
絶縁層21及び導体層22の上には、絶縁層23が更に積層されている。この絶縁層23は、絶縁層21と同じ材料によって形成されている。そして、絶縁層21及び絶縁層23のうち、絶縁層23が絶縁層21の上に位置するので、絶縁層23の上表面はビルドアップ層20の第1主面20aを構成し、絶縁層21の下表面はビルドアップ層20の第2主面20bを構成している。
【0021】
ビルドアップ層20の第1主面20aの上には、導体パッド(導体部材)25が複数形成されている。導体パッド25は、他のプリント配線板と接続するために設けられたものであり、無電解めっき層と電解めっき層によって構成されている。導体パッド25の外部に露出する最表面25aは、第1主面20aより突出し、外部に露出している。
【0022】
また、絶縁層23の内部には、導体パッド25と導体層22とを電気的に接続するビア導体26が複数形成されている。ビア導体26は、ビア導体24と同様に円錐台形状を呈し、第1主面20aから第2主面20bに向かう方向に縮径されている。そして、半導体素子13の複数の基板端子15のうち、一部は再配線層16及びビア導体24を介して導体層22と電気的に接続され、他の一部は、再配線層16、ビア導体24、導体層22及びビア導体26を介して導体パッド25と電気的に接続されている。更に、電気的に接続された基板端子15、再配線層16、ビア導体24、及びビア導体26のうち、一部は絶縁層21,23の積層方向に沿って直線状に積み重ねてスタック構造をなし、他の一部は積層方向に沿って位置をずらして積み重ねてオフセット構造をなしている。
【0023】
以上の構成を有する半導体装置1では、半導体素子13の周囲に封止樹脂層30、半導体素子13の上にビルドアップ層20が設けられており、半導体素子13の下側の凹部31には、封止樹脂層32が充填されている。このように半導体素子13の上下両側及び周囲に、バランス良く封止樹脂層30,32及びビルドアップ層20を配置することで、材料の熱膨張係数の違いに起因する反りの発生を抑制することができる。
【0024】
本実施形態では、ビルドアップ層20、封止樹脂層30及び半導体素子13の熱膨張係数は、ビルドアップ層20の熱膨張係数>封止樹脂層30の熱膨張係数>半導体素子13の熱膨張係数の関係を満たしている。このようにビルドアップ層20、封止樹脂層30及び半導体素子13の配置位置に合せて、それぞれの熱膨張係数の大きさを調整することにより、熱膨張係数の違いに起因する反りの発生を防止することができる。また、封止樹脂層32がカーボンファイバを含有する材料によって形成される場合には、封止樹脂層32を介して熱を外部に放出し易くなるので、半導体装置1の放熱性の向上を図ることができる。
【0025】
以下、本実施形態の半導体装置1の製造方法について説明するが、その前に
図3A〜
図3Eを参照して半導体素子13の製造方法について説明する。
【0026】
まず、基板端子15と絶縁膜17とを有する半導体素子13を用意し、基板端子15及び絶縁膜17の上に保護膜18を積層し、更に基板端子15の中央部を露出させるように絶縁膜17及び保護膜18を貫通する貫通孔19を形成する(
図3A参照)。
【0027】
次に、保護膜18の上表面全体及び貫通孔19の内部に下地金属層16aを形成する(
図3B参照)。本実施形態では、下地金属層16aは無電解銅めっき層(銅めっき膜)のみからなっているが、スパッタリング法で形成された銅層のみであっても良く、或いはスパッタリング法で形成されたチタン等の薄膜層の上にスパッタリング法で銅層を形成したものであっても良い。続いて、下地金属層16aの上に感光性のレジスト層を塗布した後、露光処理及び現像処理を施すことで所定のレジストパターン43を形成する。
【0028】
次に、下地金属層16aを給電層として電解銅めっき(銅めっき膜)を施すことによって、レジストパターン43が形成されていない下地金属層16aの上に上層金属層16bを形成する(
図3C参照)。続いて、モノエタノールアミンを含む溶液でレジストパターン43を剥離除去し、更に剥離したレジストパターン43の下の下地金属層16aをエッチング処理で溶解除去する。そして、保護膜18の上及び貫通孔19の内部に残された下地金属層16a及び上層金属層16bは再配線層16を構成する(
図3D参照)。
【0029】
次に、保護膜18及び再配線層16の上に層間樹脂絶縁層用の樹脂フィルム(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:ABF−45SH)を昇温しながら真空圧着ラミネートすることによって、絶縁膜10を積層する。その後、再配線層16の上表面16cと絶縁膜10の上表面10aとを同一平面に位置させるように、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)でこれらの表面を平坦化する。これによって、半導体素子13の作製が完成する(
図3E参照)。
【0030】
以下、
図4A〜
図6Dを参照して半導体装置1の製造方法を説明する。まず、支持板40を用意する(
図4A参照)。支持板40には、銅箔付きプリプレグ材、ガラス、シリコン、セラミックス、樹脂、金属等の材料が用いられる。
【0031】
次に、接着層41を介して半導体素子13を支持板40に載置する。このとき、非アクティブ面13bが下に向くように半導体素子13を接着層41の上に載置する。接着層41は、支持板40の全体に形成する必要がなく、半導体素子13の非アクティブ面13bの全体よりやや大きく形成すれば足りる。接着層41には、例えばダイアタッチフィルム等が用いられる。また、非アクティブ面13bにダイアタッチフィルムを予め貼り付けた半導体素子13を支持板40に載置しても良い。
【0032】
半導体素子13を支持板40に載置した後、半導体素子13の自重を利用し、又は力で半導体素子13を押し込むことにより、接着層41の接着材料が非アクティブ面13bと周壁面13cとのエッジから周壁面13cに盛り上がるような形状を形成させる(
図4B参照)。
【0033】
接着層41が固まった後、支持板40の上に半導体素子13を封止する封止樹脂層30を形成する(
図4C参照)。このとき、半導体素子13の周囲のみならず、その上方にも封止樹脂層30が形成されている。封止樹脂層30には、シリカフィラーを含むエポキシ樹脂が用いられる。続いて、封止樹脂層30を研磨し、半導体素子13の再配線層16の上表面16c、及び絶縁膜10の上表面10aを外部に露出させる(
図4D参照)。
【0034】
次に、半導体素子13及び封止樹脂層30の上にビルドアップ層20を形成する。具体的には、まず、半導体素子13及び封止樹脂層30の上に、層間樹脂絶縁層用の樹脂フィルム(味の素ファインテクノ(株)製、商品名:ABF−45SH)を昇温しながら真空圧着ラミネートすることにより、絶縁層21を積層する(
図5A参照)。層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムは、平均粒径5μm以下、30〜80wt%無機粒子を含む。
【0035】
続いて、再配線層16と対応する絶縁層21の所定位置に、CO
2ガス又はUVレーザで絶縁層21を貫通するビアホール21aを複数形成する(
図5B参照)。ビアホール21aは、円錐台形状を呈し、その直径が支持板40から離れる方向に沿って拡がるように形成されている。そして、ビアホール21aの形成によって、再配線層16の上表面16cの一部は外部に露出される。
【0036】
次に、絶縁層21の上表面、ビアホール21aの内壁面、及び外部に露出した再配線層16の上表面16cにパラジウムなどの触媒を付与させて、無電解めっき液に浸漬させることにより、無電解めっき層27を形成する(
図5C参照)。ここでは、無電解めっき層27に代えて、スパッタリング法を用いてシード層を形成しても良い。
【0037】
続いて、無電解めっき層27の上に感光性のレジスト層を塗布し、その後に露光処理及び現像処理を施すことによって所定のレジストパターン42を形成する。次に、無電解めっき層27を給電層として電解めっきを施すことにより、レジストパターン42が形成されていない無電解めっき層27の上に電解めっき層28を形成する(
図5D参照)。
【0038】
続いて、モノエタノールアミンを含む溶液でレジストパターン42を剥離除去し、更に剥離したレジストパターン42の下の無電解めっき層27をエッチング処理で溶解除去する。そして、絶縁層21の上に残された無電解めっき層27及び電解めっき層28は、導体層22を形成する。一方、ビアホール21aの内部に充填された無電解めっき層27及び電解めっき層28は、ビア導体24を形成する(
図6A参照)。
【0039】
次に、絶縁層21の積層と同じ方法を用いて、絶縁層21及び導体層22の上に絶縁層23を積層する。その後、上述した方法で絶縁層23の内部に導体層22に至るビアホールを複数形成した後に、ビアホールの内部にビア導体26を形成すると共に、絶縁層23の上に導体パッド25を形成する(
図6B参照)。
【0040】
次に、接着層41に熱を加えて軟化させることにより支持板40を取り外し、その後、アッシング処理で接着層41を除去する。これによって、半導体素子13の非アクティブ面13b、周壁面13cの一部、及び封止樹脂層30の下表面30bは、外部に露出される(
図6C参照)。そして、接着層41の除去により半導体素子13と封止樹脂層30とで形成した空間は凹部31になる。この凹部31は、非アクティブ面13b全体を露出させる第1部分31aと、第1部分31aを取り囲んで更に周壁面13cの一部を露出させる第2部分31bとを有するように構成されている。
【0041】
続いて、凹部31を埋めるように該凹部31の内部に封止樹脂層32を充填する(
図6D参照)。ここでは、封止樹脂層32にカーボンファイバを含有する材料を用いるのが好適である。このとき、封止樹脂層32の下表面32cと封止樹脂層30の下表面30bとを同一平面上に揃えるように、封止樹脂層32の充填を行う。これにより、半導体装置1の作製が完成する。
【0042】
<第2実施形態>
図7Aは第2実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置2と第1実施形態との相違点は、封止樹脂層(第2封止樹脂層)33が封止樹脂層30の下表面30bの全体を覆うように形成されることである。具体的には、凹部31を埋めるように充填された封止樹脂層33は、凹部31の第1部分31aを埋める第1封止部33aと、第2部分31bを埋める第2封止部33bのほか、更に封止樹脂層30の下表面30bに形成されて該下表面30bの全体を覆う第3封止部33cを有する。
【0043】
このような構成を有する半導体装置2は、第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、封止樹脂層33が更に封止樹脂層30の下表面30bの全体を覆うように形成されているので、封止樹脂層33全体の厚さを更に大きくし、且つ形成の範囲も広くすることで、反りの発生を抑制する効果を一層高めることができる。加えて、封止樹脂層33がカーボンファイバを含有する材料によって形成される場合には、半導体装置2の放熱性の向上を更に図り易くなる。
【0044】
図7Bは第2実施形態に係る半導体装置の変形例を示す断面図である。
図7Bに示す変形例では、封止樹脂層(第2封止樹脂層)34の露出面が封止樹脂層30の下表面30bより凹んでいる。具体的には、凹部31に充填された封止樹脂層34は、凹部31の第1部分31aに対応する第1封止部34aと、第2部分31bに対応する第2封止部34bとを有する。そして、封止樹脂層34は、凹部31の全体を埋めていない。このため、封止樹脂層34の露出面である下表面34cは、封止樹脂層30の下表面30bより内部に凹んでいる。このように構成された半導体装置2’は、
図7Aに示す半導体装置2と同様な作用効果を得られる。
【0045】
<第3実施形態>
図8は第3実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置3と第1実施形態との相違点は、導体パッド25の外部に露出する最表面25aがビルドアップ層20の第1主面20aと同一平面に位置することである。このような構成を有する半導体装置3は、例えば以下の方法によって製造される。まず、上述した第1実施形態の半導体装置1を作製し、次に、絶縁層23の上に更に導体パッド25を覆う他の絶縁層を積層する。その後、他の絶縁層を研磨することにより導体パッド25の最表面25aを露出させ、最表面25aと他の絶縁層の表面とを同一平面に位置させる。この場合、他の絶縁層の表面は導体パッド25の最表面25aとともにビルドアップ層20の第1主面20aを構成する。
【0046】
本実施形態に係る半導体装置3は、第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、更に以下の作用効果を奏する。導体パッド25の最表面25aがビルドアップ層20の第1主面20aと同一平面に位置するので、第1主面20aの平坦性を保つことができる。このため、第1主面20aを介してマザーボード等を含む他のプリント配線板と実装する際に、実装性の向上を図ることができる。加えて、セルフアライメント効果を利用することで実装時の半田ブリッジの発生を防止することができる。
【0047】
<第4実施形態>
図9は第4実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置4と第1実施形態との相違点は、ビルドアップ層20の第1主面20aの上にソルダーレジスト層50が形成されることである。
図9に示すように、ソルダーレジスト層50は、導体パッド25の一部を外部に露出させる開口50aを複数有する。このような構成を有する半導体装置4は、例えばビルドアップ層20の第1主面20aの上に先にソルダーレジスト層50を積層し、その後にソルダーレジスト層50に露光・現像処理等を行い、導体パッド25の一部を外部に露出させる開口50aを形成することによって作製される。
【0048】
本実施形態に係る半導体装置4は、第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、ビルドアップ層20の第1主面20aの上にソルダーレジスト層50が形成されるので、第1主面20a及び導体パッド25の最表面25aを保護することができるとともに、実装の際に必要でない部分への半田付着を防止でき、実装の信頼性を高めることができる。
【0049】
<第5実施形態>
図10は第5実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置5と第1実施形態との相違点は、導体パッド25に代えて導体ポスト(導体部材)29を有することである。
図10に示すように、ビルドアップ層20の第1主面20aの上には、複数の円柱状の導体ポスト29が立設されている。導体ポスト29は、他のプリント配線板と接続するために設けられたものであり、その最表面29aのみならず、周壁面29bも外部に露出している。そして、外部に露出する導体ポスト29の最表面は、第1主面20aより外部に突出している。
【0050】
導体ポスト29は、第1実施形態の導体パッド25と比べて厚く(すなわち、高さを有するように)形成されているが、導体パッド25と同様に無電解めっき層と電解めっき層によって構成されている。この導体ポスト29は、例えば導体パッド25の形成と同様に先に無電解めっき層を形成し、無電解めっき層の上に更に電解めっき層を形成することで作製される。導体ポスト29の高さは、電解めっき層の厚さを調整することにより行われる。導体ポスト29は、絶縁層23の内部に形成されるビア導体26を介して導体層22と電気的に接続されている。本実施形態に係る半導体装置5は、上述の第1実施形態と同様な作用効果を得られると共に、他のプリント配線板に実装する際に、発生する実装応力の緩和も可能であるため、実装性を高める作用効果も得られる。
【0051】
<第6実施形態>
図11は第6実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置6と第5実施形態との相違点は、ビルドアップ層20の第1主面20aの上に更にモールド樹脂層51が形成されることである。そして、導体ポスト29は、モールド樹脂層51によって封止され、その外部に露出する最表面29aは、モールド樹脂層51の上表面51aと同一平面に位置している。モールド樹脂層51は、封止樹脂層30と同様にシリカフィラーを含むエポキシ樹脂によって形成されている。
【0052】
このような構成を有する半導体装置6は、例えば以下の方法で作製される。まず、上述した第5実施形態に係る半導体装置5を作製し、その後、ビルドアップ層20の第1主面20aの上に、導体ポスト29全体を封止するようにモールド樹脂層51を塗布する。次に、モールド樹脂層51の上表面51aと導体ポスト29の最表面29aとを同一平面上に揃えるように、モールド樹脂層51を研磨する。本実施形態に係る半導体装置6は、上述の第5実施形態と同様な作用効果を得られるほか、導体ポスト29を封止するモールド樹脂層51が形成されるため、導体ポスト29の強度を高めることができると同時に、半導体装置6の表裏にモールド樹脂層51が形成されているため、半導体装置6への反り抑制効果も得られる。
【0053】
<第7実施形態>
図12は第7実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置7と第5実施形態との相違点は、ビルドアップ層20の第1主面20aの上に更にモールド樹脂層52が形成されることである。そして、導体ポスト29は、モールド樹脂層52によって封止されている。モールド樹脂層52は、封止樹脂層30と同様にシリカフィラーを含むエポキシ樹脂によって形成されている。また、モールド樹脂層52には、導体ポスト29の最表面29a全体と周壁面29bの一部とを外部に露出させる開口52aが形成されている。
【0054】
このような構成を有する半導体装置7は、例えば以下の方法で作製される。まず、上述した第5実施形態に係る半導体装置5を作製し、その後、ビルドアップ層20の第1主面20aの上に、導体ポスト29全体を封止するようにモールド樹脂層52を塗布する。次に、レーザ加工でモールド樹脂層52に開口52aを形成することにより、導体ポスト29の最表面29a全体と周壁面29bの一部とを外部に露出させる。本実施形態に係る半導体装置7は、上述の第5実施形態と同様な作用効果を得られるほか、導体ポスト29を封止するモールド樹脂層52が形成されるため、導体ポスト29の強度を高めることができる。
【0055】
<第8実施形態>
図13は第8実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置8と第1実施形態との相違点は、半導体素子13の保護膜18の上に絶縁膜10が形成されておらず、それに代えて封止樹脂層30が形成されることである。このような構成を有する半導体装置8は、第1実施形態と同様な作用効果を得られる。
【0056】
本実施形態に係る半導体装置8は、例えば以下の方法により作製される。まず、上述した
図3Dに示すように絶縁膜10を設けない半導体素子13を作製し、その後、封止樹脂層30を形成するときに、半導体素子13の周囲及び上方にシリカフィラーを含むエポキシ樹脂を塗布する。その際に、エポキシ樹脂は再配線層16同士の間にも流れ込み、再配線層16を封止する。次に、封止樹脂層30を研磨することにより再配線層16の上表面16cを外部に露出させ、その後、上述の方法で半導体装置8を作製すれば良い。
【0057】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、上述の実施形態では、ビルドアップ層20の例として、2層の絶縁層を有するものを挙げて説明したが、必要に応じて絶縁層の数を増減しても良い。また、必要に応じて、ビルドアップ層20の絶縁層21、23の材質を変更しても良い。例えば、ビルドアップ層20にファイン配線層を形成する場合、絶縁層21、23に感光性樹脂を利用しても良い。半導体装置の反り抑制の場合、絶縁層21、23にガラスクロス等補強材入りプリプレグ材を利用しても良い。
【0058】
また、第4実施形態において、ビルドアップ層20の第1主面20aの上にソルダーレジスト層50を形成する例を挙げて説明したが、ソルダーレジスト層50は必ずしも形成する必要がなく、ソルダーレジスト層50に代えて、第1主面20aの上に無電解Ni/Pd/Au膜、無電解Ni/Au膜、又はOSP(Organic Solderability Preservative)膜等の処理膜のみを形成しても良い。更に、上記実施形態において、導体部材として導体パッド及び導体ポストの例を挙げて説明したが、他の形の導体部材としても良い。また、上記の実施形態に係る図面では、支持板40の上に1個の半導体素子13を搭載したことを示したが、実際のプロセスでは、大判の支持板40の上に複数の半導体素子13を搭載し、例えば
図3A〜
図6Dに示す工程を経た後に、切断することによって最終個片構造になっている。また、上述の実施形態では、それぞれの実施形態について説明したが、言うまでもなく、これらの実施形態を組み合わせても良い。