(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225511(P2016-225511A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20161205BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20161205BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20161205BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20161205BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
H01L21/78 L
H01L29/78 652H
H01L29/78 658Z
H01L29/78 652Q
H01L29/78 658E
H01L29/78 658A
H01L29/78 652T
H01L29/06 301V
H01L29/06 301D
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-111772(P2015-111772)
(22)【出願日】2015年6月1日
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】皆澤 宏
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA35
5F063BA13
5F063BA45
5F063BB03
5F063CC12
5F063DD59
(57)【要約】
【課題】信頼性が高く、放熱性が高く、かつ低抵抗な半導体装置を提供すること。当該半導体装置を生産性よく製造することができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体ウエハ1のおもて面を覆う熱硬化性樹脂からなる表面保護膜13を選択的に除去して形成されたスクライブライン2に、半導体ウエハ1のおもて面から所定深さdの溝3を形成する。スクライブライン2に溝3を形成することにより、表面保護膜13を形成するための焼き締め時に生じる表面保護膜13の熱収縮により半導体ウエハ1のおもて面側にかかる圧縮応力の逃げ道が確保される。これによって、半導体ウエハ1のおもて面側にかかる圧縮応力が緩和されるため、その後、半導体ウエハ1の薄板化が容易となる。そして、薄板化した半導体ウエハ1の裏面に裏面電極を形成した後、半導体ウエハ1をダイシングして個片化する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハのおもて面側に素子構造を形成する素子形成工程と、
前記素子形成工程の後に、前記半導体ウエハのおもて面に熱硬化性樹脂からなる表面保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記表面保護膜を選択的に除去して前記半導体ウエハのおもて面を露出させた部分を、前記半導体ウエハを切断する際の切り代となるスクライブラインとする除去工程と、
前記除去工程の後、前記表面保護膜を焼き締める焼き締め工程と、
前記半導体ウエハのおもて面の前記スクライブラインの位置に、前記半導体ウエハのおもて面から所定深さの溝を形成する溝形成工程と、
前記溝形成工程の後、前記半導体ウエハの厚さを裏面側から薄くする薄板化工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記溝形成工程では、前記焼き締め工程の後の前記表面保護膜の厚さの1/2以上の前記所定深さで前記溝を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記溝形成工程では、前記スクライブラインの幅よりも狭い幅で前記溝を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記薄板化工程の後、前記半導体ウエハの裏面に電極を形成する裏面電極形成工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記裏面電極形成工程の後、前記半導体ウエハを個片化する切断工程をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記溝形成工程では、前記半導体ウエハを切断するブレードの刃の厚さよりも広い幅で前記溝を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記溝形成工程では、異方性ドライエッチングにより前記溝を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体ウエハをスクライブラインに沿って切断した半導体基板の端面は、
前記半導体ウエハのおもて面からスクライブラインに所定深さで設けられた溝と、
前記半導体基板のおもて面側の、前記溝の側面よりも内側を覆う熱硬化性樹脂からなる表面保護膜と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基板の端面の前記溝以外の面は、ブレードによる切断面であることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体基板のおもて面側に設けられた素子構造をさらに備え、
前記表面保護膜は、前記素子構造を覆うことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の省エネルギー化に対応して、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置に使用される電力用デバイスの省エネルギー化、さらに普及拡大のために低価格化が進んでいる。このような電力用デバイスとしては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子が代表的である。また、高耐圧化、低抵抗化および高効率化を狙って、ドリフト層を、不純物濃度を高めたn型領域とp型領域とを交互に配置した並列pn層とした超接合(SJ:Super Junction)構造のMOSFETの製品化も加速している。また、次世代デバイスとして炭化珪素(SiC)を用いたスイッチング素子の開発も進んでいる。
【0003】
これらのスイッチング素子は、スイッチング動作時に発熱を伴い、ある一定温度以上に達すると誤動作して破壊に至るため、半導体チップの厚さを薄くして放熱性を向上させることが好ましい。また、これらのスイッチング素子は、半導体チップの厚さ方向に電流を流す縦型にすることで、半導体チップの厚さを薄くすることによる低抵抗化が可能であり、高効率化に寄与する。そこで、放熱性向上や低抵抗化を目的として半導体ウエハの薄板化が課題として挙げられる。一方、スイッチング素子の信頼性を向上させるためには、表面保護膜(パッシベーション膜)の材料として熱硬化性樹脂、例えばポリイミドを用いることが好ましい。しかしながら、熱硬化性樹脂膜の形成には焼き締め工程が必須であり、焼き締めにより熱硬化性樹脂膜が熱収縮し、半導体ウエハのおもて面(主面)にはウエハおもて面に平行な方向に圧縮応力が生じる。このため、その後、半導体ウエハを薄板化した場合、半導体ウエハのおもて面にかかる圧縮応力により、半導体ウエハにおもて面を凹面とする反りが生じてしまう。
【0004】
半導体ウエハに反りが生じた場合、その後、裏面電極を形成する際に半導体ウエハに割れが生じたり、半導体ウエハをダイシングなどにより個々のチップ状に切断する際に半導体チップに欠けや割れが生じて不良になる等の問題がある。
図10は、従来の半導体装置の製造方法における半導体ウエハの反り量を示す特性図である。一般的な方法によりウエハおもて面側の最終工程として熱硬化性樹脂からなる表面保護膜102を形成した後に、半導体ウエハ101の厚さt101を薄くしたときの半導体ウエハ101の反り量t102を
図10(a)に示す。半導体ウエハの反り量t102とは、反った状態の半導体ウエハ101の凸面(裏面101b)の最も厚さ方向外側(下方)に突出した頂点部101cからウエハ端部の凸面側の角部101dまでの距離である(
図10(b))。符号101aは、反った状態の半導体ウエハ101の凹面(おもて面)である。
図10(a)に示すように、従来の半導体装置の製造方法では、半導体ウエハ101を200μm以下の厚さt101に薄くした場合、半導体ウエハ101の厚さt101に対して半導体ウエハ101の反り量t102が大きくなり、上述した半導体ウエハ101の反りによる問題が生じることが確認された。
【0005】
半導体ウエハの反りを抑制する方法として、半導体ウエハの外周部を所定幅で厚く残し、中央部のみを所定の素子特性が得られる程度に薄くした状態で製造プロセスを行う方法が提案されている(例えば、下記特許文献1〜3参照。)。
【0006】
また、半導体ウエハをダイシングする方法として、半導体ウエハ上にトランジスタを形成する前に、フォトリソグラフィおよびエッチングによりスクライブラインに溝を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献4(第0011段落)参照。)。下記特許文献4では、ブレードの幅よりも広い幅で形成された溝によってダイシング時のブレードの位置ずれが補正されることで、半導体チップの欠けや割れが抑制されている。
【0007】
また、半導体ウエハをダイシングする別の方法として、半導体ウエハのおもて面にスクライブラインに対応する部分を開口したレジスト膜を形成し、半導体ウエハの裏面を研削した後に、レジスト膜をマスクとして等方性ドライエッチングを行い、半導体素子形成層よりも深い溝をスクライブラインに形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献5(第0032〜0034段落)参照。)。下記特許文献5では、溝の幅をブレードの幅よりも広くし、ダイシングによる切断屑の排出効率を向上させることで、品質低下や汚染を抑制している。
【0008】
また、半導体ウエハをダイシングする別の方法として、半導体ウエハ上に半導体素子を形成し、半導体ウエハの裏面全面を研削した後に、半導体ウエハのおもて面にスクライブラインに対応する部分を開口したレジスト膜を形成し、レジスト膜をマスクとしてエッチングを行うことでスクライブラインに溝を形成する方法が提案されている(例えば、下記特許文献6(第0006〜0007段落)参照。)。下記特許文献6では、スクライブラインの幅よりも狭い幅で溝を形成することで、ダイシング時に半導体チップに直接応力がかかることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−165771号公報
【特許文献2】特開2008−227521号公報
【特許文献3】特開2007−208074号公報
【特許文献4】特開平10−083976号公報
【特許文献5】特開2008−103433号公報
【特許文献6】特開平05−218195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献1〜3では、半導体ウエハの中央部の厚さの薄い部分を有効チップ領域とし、半導体ウエハの外周部の厚く残した部分は半導体チップとして切断しないため、半導体ウエハの有効チップ領域の面積が減少する。このため、1枚の半導体ウエハから切断可能な有効チップ数が少なくなるという問題がある。また、上記特許文献4〜6では、半導体素子の信頼性を向上させるために表面保護膜として熱硬化性樹脂膜を形成した場合、次の問題が生じる。
【0011】
表面保護膜として熱硬化性樹脂膜を形成することにより半導体ウエハのおもて面側に生じる圧縮応力は、酸化膜(SiO
2、SiN)やポリシリコン膜の形成により半導体ウエハのおもて面に生じる応力に比べて極めて大きい。このため、上記特許文献4のように半導体ウエハに素子構造を形成する前にスクライブラインに溝を形成する場合、溝の熱硬化性樹脂膜を完全に除去することが難しく、溝内に残った熱硬化性樹脂膜の収縮によって半導体ウエハに変形が生じる。上記特許文献5,6のように半導体ウエハの厚さを薄くした後にスクライブラインに溝を形成する場合、熱硬化性樹脂膜によって半導体ウエハのおもて面に生じた圧縮応力を緩和することができず、半導体ウエハに反りが生じる。
【0012】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、信頼性が高く、放熱性が高く、かつ低抵抗な半導体装置を提供することを目的とする。また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、信頼性が高く、放熱性が高く、かつ低抵抗な半導体装置を生産性よく製造することができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、半導体ウエハのおもて面側に、素子構造を形成する素子形成工程を行う。次に、前記素子形成工程の後に、前記半導体ウエハのおもて面に熱硬化性樹脂からなる表面保護膜を形成する保護膜形成工程を行う。次に、前記表面保護膜を選択的に除去して前記半導体ウエハのおもて面を露出させた部分を、前記半導体ウエハを切断する際の切り代となるスクライブラインとする除去工程を行う。次に、前記除去工程の後、前記表面保護膜を焼き締める焼き締め工程を行う。次に、前記半導体ウエハのおもて面の前記スクライブラインの位置に、前記半導体ウエハのおもて面から所定深さの溝を形成する溝形成工程を行う。次に、前記溝形成工程の後、前記半導体ウエハの厚さを裏面側から薄くする薄板化工程を行う。
【0014】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記溝形成工程では、前記焼き締め工程の後の前記表面保護膜の厚さの1/2以上の前記所定深さで前記溝を形成することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記溝形成工程では、前記スクライブラインの幅よりも狭い幅で前記溝を形成することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記薄板化工程の後、前記半導体ウエハの裏面に電極を形成する裏面電極形成工程をさらに含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記裏面電極形成工程の後、前記半導体ウエハを個片化する切断工程をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記溝形成工程では、前記半導体ウエハを切断するためのブレードの刃の厚さよりも広い幅で前記溝を形成することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記溝形成工程では、異方性ドライエッチングにより前記溝を形成することを特徴とする。
【0020】
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、半導体ウエハをスクライブラインに沿って切断した半導体基板の端面が、前記半導体ウエハのおもて面からスクライブラインに所定深さで設けられた溝と、前記半導体基板のおもて面側の、前記溝の側面よりも内側を覆う熱硬化性樹脂からなる表面保護膜と、を備えることを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板の端面の前記溝以外の面は、ブレードによる切断面であることを特徴とする。
【0022】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記半導体基板のおもて面側に設けられた素子構造をさらに備え、前記表面保護膜は、前記素子構造を覆うことを特徴とする。
【0023】
上述した発明によれば、製造プロセスをほぼ変更せずに、かつ新たな設備を追加せずに、表面保護膜の形成により半導体ウエハのおもて面側に生じた圧縮応力を緩和させることができる。これにより、薄板化工程において半導体ウエハにほぼ反りが生じない。このため、半導体ウエハの薄板化が容易となる。また、半導体ウエハの薄板化後に行う、裏面電極の形成や半導体ウエハを個片化するダイシングなどの工程を安定して行うことができる。これにより、チップ不良を低減させることができる。また、上述した発明によれば、従来のように半導体ウエハの外周部を所定幅で厚く残して半導体ウエハの強度を確保する構成にしないため、半導体ウエハの有効チップ領域の面積を増大させることができる。これにより、1枚の半導体ウエハから切断可能な有効チップ数を増やすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、信頼性が高く、放熱性が高く、かつ低抵抗な半導体装置を提供することができるという効果を奏する。また、本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、信頼性が高く、放熱性が高く、かつ低抵抗な半導体装置を生産性よく製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図4】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図5】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1にかかる半導体装置の端部形状を示す断面図である。
【
図8】スクライブラインの溝の深さと半導体ウエハの反り量との関係を示す特性図である。
【
図9】実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図10】従来の半導体装置の製造方法における半導体ウエハの反り量を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる半導体装置の構造方法について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。
図2は、実施の形態1にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図3〜6は、実施の形態1にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
図1(a)には、半導体ウエハ1を個々のチップ状に切断する前の状態を示す。
図1(b)には、
図1(a)の丸枠Aで囲む部分を拡大して示す。
図1(a)の切断線B−B’における断面を
図6に示す。
図1(a),3〜6では、表面保護膜13,41以外の各部を図示省略する。
図1(b)には、各種電極パッド11,12および表面保護膜13のみを示す。
【0028】
まず、
図1に示すように、例えばシリコン(Si)からなる700μm程度の厚さの半導体ウエハ1のおもて面側に、おもて面素子構造を形成する。おもて面素子構造とは、活性領域に形成される例えば縦型MOSFETのMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)構造(不図示)などの単位セル構造(素子の機能単位)や、終端構造領域に形成されるガードリング等の耐圧構造(不図示)である。活性領域は、オン状態のときに電流が流れる領域である。終端構造領域は、活性領域の周囲を囲むように配置され、チップおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する領域である。おもて面素子構造は、半導体ウエハ1に複数配置されたチップ領域10にそれぞれ形成される。
【0029】
チップ領域10は、半導体ウエハ1を個々のチップ状に切断したときに半導体チップ(半導体基板)となる領域であり、その周囲をスクライブライン2に囲まれている。具体的には、スクライブライン2は半導体ウエハ1のおもて面に格子状の平面レイアウトに配置され、チップ領域10はスクライブライン2で囲まれたマトリクス状の平面レイアウトに配置される。スクライブライン2は、半導体ウエハ1のおもて面の後述する表面保護膜13の形成されていない露出部分であり、半導体ウエハ1を個々のチップ状に切断するときの切り代となる。チップ領域10に形成される素子構造の一例として、nチャネル型の超接合MOSFETを
図2に示す。
図2に示す超接合MOSFETをチップ領域10に形成する場合、例えば、n
+型ドレイン層となる出発ウエハ21を用意する。
【0030】
出発ウエハ21は、例えば、1×10
19/cm
3のドーズ量で砒素(As)がドープされた例えば725μm程度の厚さのシリコン(Si)ウエハであってもよい。次に、例えばn型エピタキシャル層を積層するごとにp型不純物のみ、またはp型不純物およびn型不純物を選択的にイオン注入する多段エピ方式により、出発ウエハ21のおもて面に、n型領域23とp型領域24とをウエハおもて面に平行な方向に交互に繰り返し配置した並列pn層25を形成する。このとき、例えば、出発ウエハ21上に積層する最下層および最上層のn型エピタキシャル層22,26にはイオン注入を行わなくてもよい。ここまでの工程により、出発ウエハ21上に最下層のn型エピタキシャル層22、並列pn層25および最上層のn型エピタキシャル層26を順に積層してなる半導体ウエハ1が作製される。
【0031】
次に、半導体ウエハ1のおもて面側に、例えば、プレーナゲート型のMOSゲート構造等の単位セル構造や、ガードリング等の耐圧構造を形成する。具体的には、半導体ウエハ1のおもて面に50nmの厚さのスクリーン酸化膜(不図示)を形成し、スクリーン酸化膜を介して半導体ウエハ1のおもて面に例えばリン(P)などのn型不純物をイオン注入することにより、n型エピタキシャル層26の表面層にn型領域27を形成する。n型領域27の不純物濃度は、後述するp型ベース領域30の不純物濃度の10
-1倍で、かつn型領域23の不純物濃度の10
2倍であってもよい。
【0032】
次に、スクリーン酸化膜を除去した後、n型領域27の表面に100nmの厚さのゲート絶縁膜28を形成する。次に、ゲート絶縁膜28上に、ゲート電極29となるポリシリコン層を500nmの厚さで堆積(形成)してパターニングする。次に、ゲート電極29をマスクとして例えばボロン(B)などのp型不純物をイオン注入した後、例えば1150℃の温度の熱処理(アニール)により不純物を拡散し、n型領域27の表面層にp型領域24に達する深さでp型ベース領域30を選択的に形成する。このとき、p型ベース領域30とともに、終端構造領域にガードリング等の耐圧構造を形成してもよい。次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入を繰り返し行い、熱処理により不純物を拡散させることで、p型ベース領域30の内部にp
+型コンタクト領域31およびn
+型ソース領域32をそれぞれ選択的に形成する。
【0033】
次に、半導体ウエハ1を洗浄する。次に、例えば化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法により、半導体ウエハ1のおもて面に、ゲート電極29を覆うように、例えばBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)等の層間絶縁膜33を形成する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、層間絶縁膜33を深さ方向に貫通するコンタクトホール34を形成することで、p
+型コンタクト領域31およびn
+型ソース領域32を露出させる。次に、スパッタリングにより、コンタクトホール34に埋め込むように層間絶縁膜33上に、例えばアルミニウム−シリコン−銅(Al−Si−Cu)合金からなるソース電極35および電極パッド(不図示)などを形成する。
【0034】
次に、ソース電極35および電極パッドを低抵抗化させるための例えば400℃の温度の熱処理を行う。このソース電極35は
図1(b)の例えば電極パッド(ソース電極パッド)11に相当し、ここで形成する電極パッドは
図1(b)の例えば電極パッド12に相当する。ソース電極35および電極パッドは別々に形成されてもよい。次に、半導体ウエハおもて面全体に表面保護膜(パッシベーション膜)13を形成し、表面保護膜13でおもて面素子構造を覆う。表面保護膜13の材料として、ポリイミド(PI)やポリベンゾオキサゾール(PBO)などの熱硬化性樹脂を用いる。次に、表面保護膜13を選択的に除去することで、各種電極パッド11,12を露出させるとともに、チップ領域10を囲むようにスクライブライン2を形成する(
図1(b))。
【0035】
スクライブライン2を形成する理由は、半導体ウエハ1を個々のチップ状に切断する際に、表面保護膜13が切断屑となりパーティクルを発生させる原因となるからである。表面保護膜13は、各種電極パッド11,12の端部上に若干延在していてもよい。
図1(b)には、各種電極パッド11,12の端部上に表面保護膜13が延在している状態を示す。表面保護膜13の材料は、非感光性であってもよいし、感光性であってもよい。表面保護膜13の材料を非感光性とする場合、フォトリソグラフィおよびエッチングにより表面保護膜13を選択的に除去すればよい。一方、表面保護膜13の材料を感光性とする場合、次のようにフォトリソグラフィのみで表面保護膜13を選択的に除去することができる。
【0036】
図3に示すように、半導体ウエハ1のおもて面全体に、感光性および熱硬化性の樹脂からなる表面保護膜41を形成する。焼き締め前の表面保護膜41の厚さt1は、例えば16μm程度であってもよい。次に、
図4に示すように、表面保護膜41上にレジスト膜42を形成し、露光および現像によりレジスト膜42をパターニングする。このとき、レジスト膜42とともに、レジスト膜42と同じパターンで表面保護膜41がパターニングされる。これによって、各種電極パッド11,12を露出させるとともに、半導体ウエハ1のおもて面をマトリクス状に配置されたチップ領域10を囲む格子状に露出させる。この半導体ウエハ1のおもて面を格子状に露出させた部分がスクライブライン2である。スクライブライン2の幅w1は、ダイシングブレードのぶれ量をマージンとして見込んでダイシングブレードの刃の厚さよりも広いことがよく、例えば80μm程度であってもよい。スクライブライン2の幅w1をダイシングブレードの刃の厚さよりも広くすることで、ダイシングブレードによってチップ領域10や表面保護膜13が削れてしまうことを抑制することができ、チップ不良を低減させることができる。
【0037】
次に、
図5に示すように、レジスト膜42を除去した後、例えば400℃程度の温度での熱処理(ベーキング)により、表面保護膜41を焼き締める。この熱処理は、例えば、半導体ウエハ1全体を例えば380℃程度の温度に保った恒温炉内で75分間保持してもよい。この熱処理により表面保護膜41が熱収縮し、焼き締め後の表面保護膜13の厚さt2は例えば10μm程度になる。また、表面保護膜41が熱収縮することにより、半導体ウエハ1のおもて面側には、焼き締め後の表面保護膜13の端部付近(すなわちチップ領域10とスクライブライン2との境界付近)からチップ領域10側へ向う方向に圧縮応力43が生じる。このとき、半導体ウエハ1は薄板化されておらず厚い状態であるため、半導体ウエハ1に反りはほぼ生じないが、半導体ウエハ1のおもて面側にかかる圧縮応力43は表面保護膜13の端部付近に集中する。
【0038】
そこで、
図6に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、半導体ウエハ1のスクライブライン2の位置に溝3を形成する。スクライブライン2に溝3を形成することにより、半導体ウエハ1のおもて面側に生じた圧縮応力43の逃げ道を確保することができるため、半導体ウエハ1のおもて面側にかかる圧縮応力43が緩和される。溝3の幅w2は、スクライブライン2の幅w1以下であることがよい(w1≧w2)。好ましくは、溝3の幅w2は、スクライブライン2の幅w1よりも狭いことがよく(w1>w2)、例えば50μm程度であってもよい。溝3の内壁にチップ領域10が露出しないため、ダイシングブレードによってチップ領域10が削れてしまうことを回避することができる。また、溝3の幅w2は、ダイシングブレードの刃の厚さよりも狭くてもよいが、ダイシングブレードが溝3に引っかかるなどによって、ダイシングブレードの寿命が短くなったり、半導体チップの端部に割れや欠けが生じる虞がある。このため、溝3の幅w2は、ダイシングブレードの刃の厚さよりも広いことが好ましい。
【0039】
溝3の深さdは、半導体ウエハ1のおもて面側の圧縮応力43が集中する深さ以上とすることがよい。具体的には、溝3の深さdは、焼き締め後の表面保護膜13の厚さt2の1/2以上程度であることがよい(d≧1/2×t2)。溝3の深さdを焼き締め後の表面保護膜13の厚さt2の1/2以上の深さで深くするほど、半導体ウエハ1の厚さを薄くしたときに半導体ウエハ1に生じる反りを低減させることができる。また、例えば、四フッ化炭素(CF
4)および水素(H
2)を含む雰囲気ガス等を用いた異方性ドライエッチングにより略矩形状の断面形状で溝3を形成することが好ましい。その理由は、寸法精度よく溝3を形成することができるからである。次に、溝3を形成するためのエッチング用のレジストマスク、および、エッチング時に生成されたポリマーを除去する。したがって、表面保護膜13の焼き締めによって発生する圧縮応力を後述する半導体ウエハ1を裏面側から研削を行う前に緩和することができ、圧縮応力がかかった状態でその後の製造工程を行うことがなくなる。これにより、半導体ウエハ1を裏面側からの研削を行う薄板化工程において半導体ウエハ1にほぼ反りが生じない。このため、半導体ウエハ1の薄板化が容易となる。また、半導体ウエハ1の薄板化後に行う、裏面電極の形成や半導体ウエハ1を個片化するダイシングなどの工程を安定して行うことができ、チップ不良を低減させることができる。
【0040】
次に、半導体ウエハ1を裏面側から研削していき、半導体装置として用いる製品厚さ(例えば180μm程度)の位置まで研削する。上述したように半導体ウエハ1のおもて面側にかかる圧縮応力43はスクライブライン2に形成した溝3により緩和されている。このため、半導体ウエハ1にほぼ反りを生じさせることなく、半導体ウエハ1の厚さを薄くすることができる。次に、半導体ウエハ1の研削後の裏面に、ドレイン電極となる裏面電極36を形成する。その後、半導体ウエハ1を個々のチップ状に切断(個片化)する。すなわち、半導体ウエハ1をスクライブライン2に沿って切断し、各チップ領域10を個々の半導体チップとして分離することで、
図2に示す縦型MOSFET(半導体チップ)が完成する。そして、この半導体チップを絶縁基板の回路パターン上に実装し、ワイヤボンディング、配線および封止など一般的な組立工程を行うことで半導体デバイスが完成する。
【0041】
次に、半導体チップ(すなわち製品の状態)の端部形状について説明する。
図7は、実施の形態1にかかる半導体装置の端部形状を示す断面図である。
図7では、素子構造の表面保護膜13以外の各部を図示省略する。また、
図7には、
図1の半導体ウエハ1から切断された半導体チップ(半導体基板)の切断線B−B’における断面の一方の端部を示すが、略矩形状の半導体チップの周囲(すなわち4辺)すべてがほぼ同じ状態になっている。具体的には、上述したようにスクライブライン2の幅w1がダイシングブレードの刃の厚さよりも広く設定されていることで、半導体チップの端部にはチップ領域10を囲むように、表面保護膜13が形成されていないスクライブライン2が残っている。そして、半導体チップの側面(端面)は、スクライブライン2に形成する溝3の幅w2により異なる。
【0042】
図7(a)に示すように、溝3の幅w2がダイシングブレードの刃の厚さよりも広い場合、溝3はダイシングブレードにより分断される。このため、半導体チップの側面には、チップおもて面側に例えば側壁と底部とでL字状をなす溝3が残る。半導体チップの側面のチップ裏面側は、溝3の底部からチップ裏面にわたってダイシングブレードによる切断面14aとなる。すなわち、半導体チップのおもて面側に溝3が残ることで、半導体チップは裏面側の幅w12よりもおもて面側の幅w11が狭くなっている。一方、
図7(b)に示すように、溝3の幅w2がダイシングブレードの刃の厚さよりも狭い場合、溝3はダイシングブレードによって削られてなくなる。このため、半導体チップの側面は、チップおもて面から裏面にわたってダイシングブレードによる切断面14bとなる。すなわち、半導体チップの幅w13はおもて面側から裏面側にわたって一様である。半導体チップの幅w11〜13とは、略矩形状の平面形状を有する半導体チップの1辺の長さである。
【0043】
次に、溝3の深さdと半導体ウエハ1の反り量との関係について検証した。
図8は、スクライブラインの溝の深さと半導体ウエハの反り量との関係を示す特性図である。
図8(a)の横軸はスクライブライン2に形成した溝3の深さdであり、縦軸は半導体ウエハの反り量t12である。半導体ウエハの反り量t12とは、反った状態の半導体ウエハ1の凸面(裏面1b)の最も厚さ方向外側(下方)に突出した頂点部1cからウエハ端部の凸面側の角部1dまでの距離である(
図8(b))。符号1aは、反った状態の半導体ウエハ1の凹面(おもて面)である。
図8(b)では、スクライブライン2に形成された溝3を図示省略する。
【0044】
まず、上述した実施の形態1にかかる半導体装置の製造方法にしたがい、おもて面側におもて面素子構造を形成する工程から、半導体ウエハ1の厚さを薄くする工程までを行った複数の試料(半導体ウエハ1)を用意した。各試料は、スクライブライン2に形成した溝の深さdがそれぞれ異なり、溝3の深さd以外の条件を例示した上記諸条件としている。すなわち、焼き締め前の表面保護膜41の厚さt1を16μmとした。焼き締め後の表面保護膜13の厚さt2を10μmとした。半導体ウエハ1の薄板化後の厚さt1は180μmまで薄くした。そして、これら各試料の反り量を測定した。その結果を
図8(a)に示す。
【0045】
図8(a)に示す結果より、溝3の深さdが焼き締め後の表面保護膜13の厚さt2に対して1/2程度(=5μm)であるときに、半導体ウエハ1の反り量を、半導体ウエハ1の厚さt1が200μmであるときの反り量(≒200μm)と同程度にすることができることが確認された。また、さらに溝3の深さdを深くすることで、半導体ウエハ1の反り量をより低減させることができることが確認された。
【0046】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、表面保護膜の材料として熱硬化性樹脂を用いた場合であっても、表面保護膜を焼き締める前にスクライブライン上の表面保護膜を除去することで、製造プロセスをほぼ変更せずに、かつ新たな設備を追加せずに、表面保護膜の形成により半導体ウエハのおもて面側に生じた圧縮応力を緩和させることができる。これにより、その後、半導体ウエハの厚さを薄くしたときに、半導体ウエハにほぼ反りが生じない。このため、半導体ウエハの薄板化が容易となり、容易に半導体チップの放熱性向上や半導体素子の低抵抗化が可能となる。半導体チップの放熱性が向上することで、例えばスイッチング動作時に発生する熱を効率よく放熱することができ、素子動作の安定性が向上する。半導体素子の低抵抗化を図ることで、エネルギー損失を低減させることができる。
【0047】
また、実施の形態1によれば、表面保護膜の材料として熱硬化性樹脂を用いても、半導体素子の信頼性を向上させることができる。また、実施の形態1によれば、半導体ウエハの厚さを薄くしても半導体ウエハにほぼ反りが生じないため、その後に行う、裏面電極の形成や半導体ウエハを個片化するダイシングなどの工程を安定して行うことができる。これにより、チップ不良を低減させることができる。また、実施の形態1によれば、従来のように半導体ウエハの外周部を所定幅で厚く残して半導体ウエハの強度を確保する構成としないため、半導体ウエハの有効チップ領域の面積を増大させることができる。これにより、1枚の半導体ウエハから切断可能な有効チップ数を増やすことができるため、製造コストを低減させることができる。
【0048】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる半導体装置の製造方法について説明する。
図9は、実施の形態2にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。実施の形態2にかかる半導体装置は、スクライブライン2に形成する溝53の断面形状が実施の形態1にかかる半導体装置と異なる。具体的には、
図9に示すように、溝53の断面形状を開口側から底部に向って徐々に幅が狭くなるテーパー状(台形状)としてもよい(w3>w4)。溝53の開口側の幅w3を、実施の形態1と同様に、スクライブライン2の幅w1以下とすることが好ましい(w1≧w3)。また、溝53の開口側の幅w3(好ましく溝53の底部の幅w4)は、ダイシングブレードの刃の厚さよりも狭くてもよいが、ダイシングブレード(不図示)の刃の厚さよりも広くすることが好ましい。その理由は、実施の形態1と同様である。溝53の底部の幅w4は、ダイシングブレードの刃の厚さよりも狭くてもよいが、ダイシングブレードの刃の厚さよりも広いことが好ましい。その理由は、実施の形態1と同様である。
【0049】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0050】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した各実施の形態では、表面保護膜の材料として熱硬化性樹脂を用いた場合を例に説明しているが、本発明は表面保護膜の材料として硬化により収縮する材料を用いた場合にも適用可能であり、同様の効果を奏する。また、上述した実施の形態では、半導体ウエハを裏面側から研削することで半導体ウエハの厚さを薄くしているが、これに限らず、例えば、半導体ウエハの裏面側をエッチングしたり、支持基板に他の半導体ウエハを貼りあわせたり、支持基板上エピタキシャル層を積層した後に支持基板を分離することで半導体ウエハの厚さを薄くしてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、超接合MOSFETを例に説明しているが、これに限らず、通常のMOSFETやIGBT等、半導体チップのおもて面を表面保護膜で覆うすべての素子構造に適用可能である。また、本発明は、シリコン基板に限らず、例えば炭化珪素(SiC)基板など様々な半導体材料からなる半導体基板に適用可能である。また、上述した各実施の形態において、例えば各部の寸法や不純物濃度、製造プロセスの処理条件等は要求される仕様等に応じて種々設定される。また、各実施の形態は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、インバータなどの電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0053】
1 半導体ウエハ
2 スクライブライン
3,53 溝
10 チップ領域
11,12 電極パッド
13,41 表面保護膜
14a,14b 半導体チップの端部の切断面
21 出発ウエハ
22,26 n型エピタキシャル層
23 並列pn層のn型領域
24 並列pn層のp型領域
25 並列pn層
27 n型領域
28 ゲート絶縁膜
29 ゲート電極
30 p型ベース領域
31 p
+型コンタクト領域
32 n
+型ソース領域
33 層間絶縁膜
34 コンタクトホール
35 ソース電極
36 裏面電極
42 レジスト膜
43 圧縮応力
w1 スクライブラインの幅
w2 溝の幅
w3 溝の開口側の幅
w4 溝の底部の幅
w11〜w13 半導体チップの幅