技術分野
複合ウェーハの製造に関する。より詳しくは、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハの製造方法
要約特許出願時に添付された[要約書]
【課題】支持ウェーハと酸化物単結晶薄膜との貼り合わせ界面に割れや剥がれが生じにくく、支持ウェーハ上の全面にタンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムである酸化物単結晶の薄膜が転写された複合ウェーハを提供する。 【解決手段】表面から水素原子イオンまたは水素分子イオンを注入し、酸化物単結晶ウェーハの内部にイオン注入層を形成する工程と、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と支持ウェーハの表面の少なくとも一方に、表面活性化処理を施す工程と、酸化物単結晶ウェーハのイオン注入した表面と支持ウェーハの表面とを貼り合わせて接合体を得る工程と、接合体を90℃以上であって割れを生じない温度で熱処理する工程と、熱処理した接合体に超音波振動を与える工程であって、イオン注入層に沿って剥離し支持ウェーハ上に転写された酸化物単結晶薄膜を得る、工程とを少なくとも含む複合ウェーハの製造方法である。 【選択図】図1
発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋
タンタル酸リチウム(LT)やニオブ酸リチウム(LN)等の酸化物単結晶は、硬く且つ非常に脆いものであり、また、図3に示すように、シリコン、ガラスおよびサファイアと比べて熱膨張係数が極めて大きい。このため、酸化物単結晶は、シリコン、ガラスおよびサファイア等の異種のウェーハと貼り合わせた後に高温で熱処理すると、両ウェーハの熱膨張係数の差によって、貼り合わせたウェーハの間で剥がれや割れが発生してしまうという問題がある。例えば、タンタル酸リチウムと、一般的に支持ウェーハとして用いられる、特に熱膨張係数が大きいサファイアとの差は、図3から確認できるとおり、7×10
−6 /K(=7ppm/K)以上もある。
非特許文献2は、タンタル酸リチウムのウェーハと薄膜の間に、金属層とSiO
2 基板を挟む構造とすることで、熱処理時に熱膨張の差によるウェーハの剥がれや割れを抑制し、タンタル酸リチウム薄膜の転写を可能とする報告である。しかし、この方法では、下地の基板を薄膜と同じタンタル酸リチウムとするため、上述した圧電材料としての課題である温度安定性は解決できない。また、熱処理を200℃以上としないと、薄膜を転写することができない。さらに、金属層を挟み込む構造であるため、適用可能な用途は制限される。また、ウェーハの割れを抑制するために高価なタンタル酸リチウムを必要以上に使用しなければならなく、製造コストが高くなる。
非特許文献3は、熱処理を200〜800℃で試みたと記載しているが、具体的にSmart−Cut法を用いてシリコンウェーハ上にタンタル酸リチウム薄膜を転写した例としては200℃のみであり、また、この例において、シリコンウェーハの全面にタンタル酸リチウム薄膜を転写し得たか否かについては記載されていない。本発明者らは、非特許文献3と同様の手法を用いて、200℃での熱処理による剥離についての検証実験を行ったところ、タンタル酸リチウム薄膜は、シリコンウェーハの全面には転写されず、ごく一部分においてのみ転写が認められた。特に、シリコンウェーハの外周部分においては、タンタル酸リチウム薄膜が全く転写されなかった。これは、熱処理中に両ウェーハの熱膨張の差に起因して貼り合わせウェーハの反りが生じ、シリコンウェーハの外周部分においてタンタル酸リチウムウェーハとの貼り合わせ界面から剥がれたものと思われる。また、熱処理温度を200℃以上とした場合についても、上述したように、両ウェーハの熱膨張の差に起因した貼り合わせウェーハの反りを抑制できず、シリコンウェーハの全面にタンタル酸リチウム薄膜を安定的に転写することができないと推察する。
課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、予想に反して、熱膨張係数の近い材料を組み合わせて応力の発生を抑える従来のアプローチとは異なり、敢えて酸化物単結晶と熱膨張係数が大きく異なる(具体的には酸化物単結晶よりも7ppm/K以上熱膨張係数の小さい)材料を支持ウェーハとして選択することにより、低コスト、かつ、貼り合わせ界面で剥がれや割れが生じにくい、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を備えた複合ウェーハ・・・ 続きを
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【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、支持ウェーハと酸化物単結晶薄膜との貼り合わせ界面での密着性が高く、且つ、剥がれや割れが生じにくく、支持ウェーハ上の全面に均一の厚みの酸化物単結晶薄膜が転写された複合ウェーハを得ることができる。また、支持ウェーハ上に酸化物単結晶薄膜を転写して分離した後の酸化物単結晶ウェーハを、再度、複合ウェーハの製造に用いることができ、低コスト化することが可能となる。
この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]
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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋
【図1】 本発明の一態様の複合ウェーハの製造方法の模式図である。
【図2】 接合体に超音波振動を与える工程の他の態様の概念図である。
【図3】 各種材料の熱膨張係数を比較した図である。
11 :酸化物単結晶ウェーハ
11s :酸化物単結晶ウェーハの表面
11a :酸化物単結晶薄膜
11b :剥離した後の酸化物単結晶ウェーハの一部
12 :水素イオン
13 :イオン注入層
14 :支持ウェーハ
14s :支持ウェーハの表面
15 :イオンビーム照射
16 :接合体
18 :複合ウェーハ
19 :超音波カッターの楔状の刃
31 :水槽
32 :水槽中の液体
33 :振動子
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