【解決手段】この給電装置100(受電装置)は、1つの平面上で巻回されているとともに、端部52が固定的に配置されている給電コイル5と、給電コイル5の端部51を移動可能に支持するとともに、端部51と端部52との間の少なくとも一部が、給電コイル5の径方向に移動可能に支持する径変更部4とを備える。
前記径変更部は、前記回動部材に駆動力を伝達可能に接続され、前記給電コイルよりも外側に回動中心を有する回動力伝達部材を含む、請求項3または4に記載の給電装置。
前記給電コイルは、導体により形成されているとともに前記平面上で渦巻き状に巻回されている線部材と、前記線部材の直径の2分の1以上の厚みを有するとともに、絶縁体でかつ非磁性体により形成されており、前記線部材の表面のうちの少なくとも一部を覆うように設けられている被覆部材とを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の給電装置。
前記径変更部は、前記給電コイルの端部を移動させる駆動部と、外部受電装置に対する給電に関する情報を取得するとともに、取得した前記給電に関する情報に基づいて、前記駆動部の動作を制御するように構成されている制御部とを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の給電装置。
前記給電コイルにそれぞれ接続されている複数のコンデンサと、前記複数のコンデンサに対してそれぞれ設けられ、前記複数のコンデンサに直列に接続されているスイッチ部とを含む、補償回路をさらに備え、
前記制御部は、前記給電に関する情報に基づいて、前記駆動部により、前記給電コイルの端部を移動させる制御を行うとともに、前記給電に関する情報に基づいて、前記スイッチ部により、前記補償回路の前記複数のコンデンサの接続状態を切り替える制御を行うように構成されている、請求項10〜12のいずれか1項に記載の給電装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1〜
図11を参照して、本発明の第1実施形態による給電装置100の構成について説明する。
図1に示すように、第1実施形態による給電装置100は、給電装置100の近傍に配置された受電装置200に対して、給電装置100と受電装置200との間に配線および接点等を設けずに、磁気共鳴方式を用いて、(非接触給電装置または非接点給電装置として)電力を供給するように構成されている。
【0027】
(給電装置の全体構成)
図1に示すように、給電装置100は、筐体部1を含む。筐体部1は、筐体部1の天板11の矢印Z1方向側の面に、受電装置200を載置することが可能に構成されている。そして、給電装置100は、天板11に受電装置200を載置した状態で、給電を行うように構成されている。なお、天板11は、本発明の「移動規制部材」の一例である。
【0028】
図2に示すように、給電装置100には、電源部2と、共振回路3と、径変更部4とが設けられている。そして、電源部2は、所定の駆動周波数を有する交流の電力を、共振回路3に供給するように構成されている。
【0029】
共振回路3は、給電コイル5と、共振コンデンサ6とを含み、給電コイル5のインダクタンスと共振コンデンサ6のキャパシタンスにより定められる共振周波数を有する。給電コイル5は、電源部2から供給される電力により給電磁界を発生させて、受電装置200に電力を供給(給電)するように構成されている。
【0030】
ここで、第1実施形態では、
図3に示すように、給電コイル5は、1つの平面(XY平面)上で巻回されるとともに、端部52が固定的に配置されている。また、径変更部4は、給電コイル5の端部51を移動可能に支持するとともに、端部51と端部52との間の少なくとも一部が、給電コイル5の径方向(X方向およびY方向)に移動可能に支持するように構成されている。そして、径変更部4は、給電コイル5の端部51を移動させて給電コイル5の少なくとも一部の巻回径D(巻回径Dの平均値Da)を変更するように構成されている。これにより、給電装置100は、給電コイル5の巻回径Dが変更されることにより、給電コイル5のインダクタンスが変更され、共振周波数を変更することが可能に構成されている。なお、端部51は、本発明の「他端」の一例である。
【0031】
(給電装置の各部の構成)
図3に示すように、給電装置100には、基板7が設けられている。基板7は、絶縁体および非磁性体により形成されている。また、基板7は、平板状に形成されているとともに、表面および内部に導体のパターンを形成することが可能に構成されている。基板7は、本発明の「基台」および「移動規制部材」の一例である。
【0032】
基板7には、矢印Z1の方向の面71に、ランド72と接点柱部73とが設けられている。そして、ランド72は、配線(図示せず)を介して、電源部2(
図2参照)に接続されている。また、接点柱部73は、中心軸を軸C1とする円柱形状に形成されている。また、接点柱部73の表面には金属メッキ加工が施されている。そして、接点柱部73は、導体膜73aを有する。そして、導体膜73aは、基板7内のパターン(図示せず)および配線(図示せず)を介して、共振コンデンサ6(
図2参照)に接続されている。
【0033】
ここで、第1実施形態では、給電コイル5の端部52は、給電コイル5の外周側において、基板7のランド72に固定的に接続(配置)されている。また、給電コイル5の端部51は、給電コイルの内周側(軸C1の近傍)に配置されている。
【0034】
具体的には、給電コイル5は、スパイラルコイルとして形成されており、基板7の表面(XY平面)上で渦巻き状に巻回されている。すなわち、給電コイル5は、端部52が接続されているランド72から、巻回径Dが徐々に小さくなるように、円弧を描きながら、軸C1に近付くように配置されている。なお、給電コイル5の巻回径Dの平均値を、平均値Daとする。
【0035】
(径変更部の構成)
第1実施形態では、径変更部4は、給電コイル5の中心部(軸C1の近傍)に配置され、給電コイル5の端部51と共に回動可能に構成されている回動部材8を含む。また、径変更部4(回動部材8)は、給電コイル5の端部51を移動させて、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daを変更するように構成されている。
【0036】
具体的には、
図4に示すように、回動部材8は、カラー部材81と、接点端子82と、頂部材83とを含む。そして、回動部材8は、基板7の接点柱部73に取付けられるように構成されている。具体的には、接点柱部73、カラー部材81、接点端子82、および、頂部材83が、Z方向に、互いに組み合わさるように構成されている。
【0037】
カラー部材81は、円筒形状を有し、円筒の内部に接点柱部73および接点端子82を配置可能に構成されている。また、カラー部材81は、矢印Z1方向側の表面に、矢印Z1方向に突出する2つの突起部81aを有する。そして、2つの突起部81aは、頂部材83の2つの穴部83aと嵌合するように構成されている。
【0038】
接点端子82は、導体により円筒形状に形成されている円筒状部82aと、円筒状部82aに接続され、カラー部材81の外周表面81bの一部を覆うように設けられるハング部82bとを含む。
【0039】
円筒状部82aの矢印Z2方向側(基板7側)は、付勢部材82cとして形成されている。付勢部材82cは、接点柱部73に取付けられた状態で、軸C1に向かう方向に、付勢するように構成されている。これにより、接点端子82は、付勢部材82cにより、接点柱部73に対して接触した状態を維持しながら、円筒状部82aにより、接点柱部73に対して軸C1を回動中心として、回動することが可能である。
【0040】
ハング部82bは、
図3に示すように、給電コイル5の端部51に半田付け等により接続されている。これにより、接点端子82は、軸C1を回動中心として回動する際に、給電コイル5の端部51と共に、回動するように構成されている。また、カラー部材81と接点端子82とは、ハング部82bにより互いに固定されており、カラー部材81と接点端子82とは、共に軸C1を回動中心として接点柱部73に対して回動するように構成されている。
【0041】
頂部材83は、矢印Z2方向側に2つの穴部83aと、矢印Z1方向側に溝部83bとを含む。2つの穴部83aは、上記した突起部81aに嵌合するように構成されている。そして、溝部83bは、たとえば、回動工具(図示せず、たとえば、ドライバ)の先端と係合するように構成されている。これにより、頂部材83は、回動工具を用いて、矢印C2方向または矢印C3方向に回動されるように構成されている。
【0042】
これにより、頂部材83が回動されると、カラー部材81と、接点端子82と、給電コイル5の端部51とは、共に、矢印C2方向または矢印C3方向に回動される。
【0043】
たとえば、
図3に示すように、頂部材83が矢印C2方向に回動された場合には、給電コイル5は、端部51が移動され、回動部材8(カラー部材81)に対して巻き取られるので、巻回径Dの平均値Daは、回動される前よりも小さくなる。一方、頂部材83が矢印C3方向に回動された場合には、給電コイル5の巻回は緩められ、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daは、回動される前よりも大きくなる。すなわち、給電コイル5は、回動部材8が回動されることにより、巻回径Dの平均値Daを変更可能に構成されている。
【0044】
ここで、
図5に示す給電コイル5は、複数のコイルの組み合わせとしてモデル化することが可能である。たとえば、
図6に示すように、巻回径D1を有するコイルと、巻回径D2を有するコイルと、巻回径D3のコイルの組み合わせとしてモデル化することが可能である。この場合、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daは、巻回径D1〜D3の平均値として表すことが可能である。
【0045】
そして、巻回径Dの平均値Daが小さくなる程、給電コイル5のインダクタンスは小さくなって、共振周波数は大きくなり、巻回径Dの平均値Daが大きくなる程、給電コイル5のインダクタンスは大きくなって、共振周波数は小さくなる。
【0046】
また、給電コイル5は、
図7に示すように、内径Dbおよび外径Dcを有するコイルとしてモデル化することも可能である。そして、回動部材8により給電コイル5の内周側の巻回径Dを変更するので、第1実施形態の給電装置100では、内径Dbのみが変更されるように構成されているとみなすことが可能である。ここで、たとえば、外径Dcを一定の43mmとして、内径Dbが35mmの状態から、巻回径Dの平均値Daが変更されることにより、内径Dbが30mmに変化した場合には、給電コイル5のインダクタンスは、0.3μHから0.24μHに変化する。
【0047】
ここで、第1実施形態では、共振コンデンサ6は、給電コイル5の端部51が移動される前の位置である初期の位置に配置されている状態で、共振コンデンサ6のキャパシタンスと給電コイル5のインダクタンスとにより定められる共振周波数が、所定の規格に基づいて定められる共振周波数とは異なる値になるように、キャパシタンスが設定されている。
【0048】
具体的には、共振コンデンサ6は、たとえば、キャパシタンスが約2.3nFとなるように構成されている。そして、給電コイル5の端部51が移動される前の位置である初期の位置に配置されている状態を、たとえば、上記の内径Ddが35mmの状態とした場合、共振周波数は、下記の式(1)を用いて、6.06MHzである。また、所定の規格とは、たとえば、A4WP規格などであり、この場合、定められる共振周波数は、6.78MHzである。すなわち、共振コンデンサ6は、給電コイル5が初期の状態において、共振周波数が、6.78MHzとは異なる6.06MHzとなるように、キャパシタンスが設定されている。
【数1】
【0049】
そして、給電コイル5は、
図8に示すように、巻回径Dの平均値Daが変更されることにより、インダクタンスが約10%分、変更可能に構成されている。これにより、たとえば、給電コイル5に電流値が約1.5Aの電流しか流れない状態であっても、インダクタンスを10%分変化させることにより、電流値が5Aの電流を流すことが可能な状態に変更することが可能である。
【0050】
また、第1実施形態では、
図9に示すように、給電コイル5は、導体により形成されている線部材53を含む。ここで、線部材53が互いに近接して配置された場合には、電流が流れにくくなる現象である近接効果が生じる場合がある。そこで、第1実施形態では、給電コイル5は、被覆部材54を含み、被覆部材54は、絶縁体でかつ非磁性体により形成されており、線部材53同士の近接効果を抑制することが可能な厚み以上の厚みt1を有するとともに、線部材53の表面を覆うように設けられている。
【0051】
具体的には、被覆部材54は、線部材53の直径d1の2分の1以上の厚みt1を有する。ここで、第1実施形態による給電コイル5では、線部材53の直径d1の2分の1にすることにより線部材53同士の近接効果を抑制することが可能である。これにより、隣り合う被覆部材54に覆われた線部材53同士の距離は、少なくとも厚みt1の2倍となり、近接効果が抑制される。
【0052】
また、第1実施形態では、天板11と、基板7とは、給電コイル5を、Z方向において、両側から挟んでいる。
【0053】
具体的には、天板11は、たとえば、絶縁体でかつ非磁性体により形成されているとともに、給電コイル5が巻回されている平面(XY平面)に平行な面上に広がるように、平板状に形成されている。そして、天板11と基板7とは、Z方向に沿って間隔D4を有している。間隔D4は、給電コイル5の直径(厚みt2の2倍と直径d1とを加算した大きさ)よりも大きく構成されている。そして、給電コイル5は、天板11と基板7との間に配置されている。これにより、給電コイル5は、上面1と基板7とにより、間隔D4の範囲を超えて、矢印Z1方向または矢印Z2方向に移動する(給電コイル5が浮き上がる)のが規制されている。
【0054】
また、天板11の中央部(軸C1の近傍)には、開口部11aが設けられており、開口部11aには、上記した頂部材83が配置されるように構成されている。これにより、給電装置100の外部から頂部材83を回動させることが可能である。
【0055】
ここで、第1実施形態では、給電装置100には、案内部9が設けられている。案内部9は、
図10に示すように、渦巻き状に巻回されている給電コイル5に沿って、給電コイル5が配置されている基板7に固定的に配置されているとともに、
図11に示すように、巻回径Dが変更される際(端部51と端部52との間の少なくとも一部が、給電コイル5の径方向(X方向およびY方向)に移動される際)に、給電コイル5の一部(たとえば、
図11の点A)に接触して案内するように構成されている。
【0056】
具体的には、
図9に示すように、案内部9は、絶縁体でかつ非磁性体により形成されており、基板7から、矢印Z1方向側に、突出するように形成されている。そして、案内部9は、巻回されている給電コイル5の大きさD5を有する隙間に配置されるように構成されている。また、案内部9は、
図10に示すように、矢印Z1方向側から見て、円弧形状を有するとともに、巻回されている給電コイル5に沿って配置されている。また、案内部9の厚みt2は、巻回されている給電コイル5の隙間の大きさD5(ピッチの大きさ)よりも小さく構成されている。
【0057】
(受電装置の構成)
次に、
図2を参照して、受電装置200の構成について説明する。
【0058】
受電装置200は、たとえば、携帯電話機(スマートフォン)からなる。受電装置200には、共振回路201と、負荷202と、制御部203とを含む。
【0059】
共振回路201は、共振コンデンサ211と、受電コイル212とを含む。共振回路201は、共振コンデンサ211のキャパシタンスと、受電コイル212のインダクタンスとにより定められる共振周波数が、所定の規格(たとえば、A4WP規格など)により定められる共振周波数(たとえば、6.78MHz)となるように、構成されている。そして、受電コイル212は、給電コイル5と電磁界結合するように構成されており、給電コイル5からの電力を受電するように構成されている。
【0060】
負荷202は、たとえば、受電装置200の各種機能(たとえば、スマートフォンとしての機能)を発揮するために電力を消費する回路として構成されている。
【0061】
制御部203は、負荷202の動作を制御するように構成されている。
【0062】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、給電装置100に、給電コイル5の端部51を移動可能に支持するとともに、端部51と端部52との間の少なくとも一部が、給電コイル5の径方向(X方向およびY方向)に移動可能に支持するように構成されている径変更部4を設ける。これにより、給電コイル5の巻回径Dを変更することができるので、給電コイル5のインダクタンスを調整することができ、バリキャップを用いなくても、給電コイル5を含む共振回路3の共振周波数を調整することができる。その結果、比較的大きな電力が給電される場合にも、共振周波数を調整することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、給電コイル5の端部52を、給電コイル5の外周側に固定的に配置して、給電コイル5の端部51は、給電コイル5の内周側に配置する。また、径変更部4を、給電コイル5の端部51を移動させて、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daを変更するように構成されている。これにより、給電コイル5の内周側に配置されている端部52を移動させて、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daを変更することができるので、給電コイル5の外周側に配置されている端部51を移動させる場合と異なり、給電コイル5の外径Dcが大きくなるのを抑制することができる。その結果、給電コイル5の外径Dcが大きくなるのが抑制される分、給電装置100が大型化するのを抑制することができる。また、径変更部4を、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daを変更するように構成することにより、給電コイル5のうちの1つの巻回径Dのみを変更する場合に比べて、変更される巻回径1つあたりの変化を小さくすることができる。その結果、変更される巻回径1つあたりの変化を小さくすることができる分、給電コイル5の巻回の形状の変化(巻回の形状が崩れること)を抑制することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、径変更部4を、給電コイル5の中心部(軸C1の近傍)に配置して、給電コイル5の端部51と共に回動可能に構成されている回動部材8を設ける。これにより、回動部材8を回動させることにより、回動部材8(径変更部4)の位置を移動させない状態(軸C1の近傍に配置した状態)で、給電コイル5の巻回径Dを変更することができる。その結果、径変更部4の位置を移動させるための空間を設ける必要がない分、給電装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、天板11および基板7が、平面に垂直な方向(Z方向)において、給電コイル5を両側から挟む。これにより、給電コイル5が平面に垂直な方向(Z方向)に移動するのを規制することができるので、巻回径Dを変更する際に、給電コイル5の一部が平面に垂直な方向(矢印Z1方向または矢印Z2方向)に移動して、給電コイル5の線部材53同士が交差するなど巻回の形状が崩れるのを抑制することができる。その結果、給電コイル5の端部51を移動させた場合に、給電コイル5の巻回された形状を維持しながら、給電コイル5の巻回径Dを変更することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、給電コイル5を、導体により形成されているとともに平面(XY平面)上で渦巻き状に巻回されている線部材53と、線部材53同士の近接効果を抑制することが可能な所定の厚み以上の厚みt1を有するとともに、絶縁体でかつ非磁性体により形成されており、線部材53の表面のうちの少なくとも一部を覆うように設けられている被覆部材54とを含むように構成する。これにより、ある程度厚みの大きい被覆部材54により、線部材53同士の近接効果を抑制することができるので、近接効果に起因する給電効率の低下を抑制することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、給電コイル5を、平面(XY平面)上で渦巻き状に巻回するように構成する。また、給電装置100に、渦巻き状に巻回されている給電コイル5に沿って、給電コイル5が配置されている基板7に固定的に配置されているとともに、端部51が移動される際に、給電コイル5の一部に接触して案内するように構成されている案内部9を設ける。これにより、案内部9に案内されながら、給電コイル5の巻回径Dが変更されるので、給電コイル5の巻回された形状を、より確実に維持しながら、給電コイル5の巻回径Dを変更することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、給電コイル5の端部52が移動される前の位置である初期の位置に配置されている状態で、共振コンデンサ6のキャパシタンスと給電コイルのインダクタンスとにより定められる共振周波数が、所定の規格に基づいて定められる共振周波数とは異なる値になるように、共振コンデンサ6のキャパシタンスを設定する。これにより、所定の規格に基づいて定められる共振周波数とは異なる値から、所定の規格に基づいて定められる共振周波数に向かって、一方向に給電コイル5の端部51を移動させながら、給電装置100の共振周波数を調整することができる。これにより、一方向と他方向とに交互に移動させながら給電装置100の共振周波数を調整する場合と異なり、調整方向を変更する必要がないので、調整動作が複雑化するのを抑制することができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、
図2、および、
図12〜
図16を参照して、第2実施形態による給電装置300の構成について説明する。第2実施形態による給電装置300には、回動部材308を複数の回動角度で固定するロック部材301が設けられている。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
(第2実施形態による給電装置の構成)
図2および
図12に示すように、第2実施形態による給電装置300は、給電コイル305を有する共振回路303と、ロック部材301および回動部材308を有する径変更部304とを含む。また、
図12に示すように、給電装置300には、基板307が設けられている。なお、基板307は、本発明の「基台」の一例である。
【0072】
ここで、第2実施形態では、径変更部304は、回動部材308を複数の回動角度で(角度θ毎に)固定するロック部材301を含む。
【0073】
ロック部材301は、爪部311を含む。爪部311は、回動部材308の歯部381と係合するように構成されており、爪部311と歯部381とが係合される状態で、回動部材308の回動角度が固定される。また、回動部材308が、中心C4を回動軸として矢印C5方向または矢印C6方向に回動される際には、爪部311は、歯部381により矢印B1方向に力が加えられる。これにより、爪部311は、矢印B2方向に移動(変形)して、係合が外れ、回動部材308が回動されるように構成されている。
【0074】
具体的には、
図13に示すように、ロック部材301は、それぞれ導体(金属板)により形成されている、爪部311と、カシメ312と、接点部材313と、第1支持部314と、第2支持部315と、穴部316と、係合部317とを含む。
【0075】
第1支持部314は、基板307に平行な面(XY平面)を有する平板状に形成されている。また、第1支持部314には、Z方向に貫通する穴部316が設けられている。
【0076】
カシメ312は、穴部316を介して、基板307のホール371(
図14参照)に圧入されることにより、カシメ312は、第1支持部314とともに、固定されるように構成されている。また、
図14に示すように、基板307のホール371の近傍の表面には、ランド372が設けられており、ランド372は、カシメ312が固定された状態で、第1支持部314に接触するように設けられている。
【0077】
第2支持部315は、
図13に示すように、第1支持部314に接続されており、YZ平面に広がる平板状に形成されている。第2支持部315は、爪部311と接点部材313とに接続されている。そして、第2支持部315は、
図12に示すように、爪部311が、歯部381により、矢印B1方向に力が加えられた場合には、爪部311を矢印B2方向に移動させるように、弾性変形(
図12の点線部分参照)するように構成されている。
【0078】
係合部317は、第1支持部314に接続されており、YZ平面に広がる平板状に形成されている。また、係合部317は、基板307の端部373に係合するように構成されている。そして、係合部317は、爪部311が矢印B1方向に力が加えられた時に、第1支持部314が、矢印B3方向に回動しないように、端部373に係合された状態を維持するように構成されている。
【0079】
接点部材313は、
図13に示すように、板部313aと接点313bとを含む。板部313bは、第2支持部315から回動部材308の中心C4に向かって延びるように形成されている。また、
図15に示すように、接点313bは、回動部材308の上面382に接触するように構成されている。
【0080】
回動部材308は、
図16に示すように、導体により形成されており、中心C4を回動中心として、回動可能な歯車として構成されている。そして、回動部材308は、歯部381と、上面382と、穴部383と、軸部384とを含む。
【0081】
歯部381は、ロック部材301の爪部311と係合するように構成されている。上面382は、ロック部材301の接点部材313に接触しており、電気的に接続されている。穴部383は、中心C4近傍に設けられており、Z方向に貫通される貫通穴として構成されている。軸部384は、中心C4を中心軸とした円柱形状を有するように形成されており、基板307に形成されている筒状部374に、中心C4を回動軸として回動可能な状態で、取付けられるように構成されている。
【0082】
給電コイル305は、
図14に示すように、基板307の矢印Z1方向側の面に配置され、渦巻き状に巻回されている。また、給電コイル305は、
図15に示すように、穴部383を介して、回動部材308の上面382側に配線されている。そして、給電コイル305の端部351は、回動部材308の上面382に、半田付けなどにより固定されている。また、
図14に示すように、給電コイル305の端部352は、基板307のランド375に接続されている。
【0083】
そして、ロック部材301に接続されているランド372は、配線(図示せず)を介して、電源部2に接続されている。また、給電コイル305に接続されているランド375は、配線(図示せず)を介して、共振コンデンサ6に接続されている。これにより、電源部2と、ロック部材301と、回動部材308と、給電コイル305とによって、給電のための回路が形成されている。
【0084】
基板307の筒状部374は、矢印Z2方向側に開口374aを有する。これにより、基板307は、たとえば、回動工具を用いて、矢印E方向(外部)から、中心C4を回動軸として、回動部材308を回動することが可能に構成されている。
【0085】
また、第2実施形態による給電装置300のその他の構成は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0086】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0087】
第2実施形態では、上記のように、径変更部304に、回動部材308を複数の回動角度で(角度θ毎に)固定するロック部材301を設ける。これにより、径変更部304により給電コイル305の巻回径Dを変更させた後に、回動角度がずれるのを抑制することができる。
【0088】
また、第2実施形態による給電装置300のその他の効果は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0089】
[第3実施形態]
次に、
図17および
図18を参照して、第3実施形態による給電装置400の構成について説明する。第3実施形態による給電装置400には、第1実施形態による給電装置100の構成に加えて、制御部401と、駆動部402と、回動伝達部材403と、通信部405とが設けられている。また、第3実施形態による給電装置400と受電装置500とは、給電装置400から受電装置500に給電を行う給電システムとして機能することが可能に構成されている。なお、上記第1実施形態または上記第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0090】
(第3実施形態による給電装置の構成)
図17に示すように、第3実施形態による給電装置400には、径変更部404と、通信部405と、報知部406とが設けられている。そして、径変更部404は、制御部401と、駆動部402と、回動伝達部材403と、回動部材408とを含む。
【0091】
ここで、第3実施形態では、
図18に示すように、回動伝達部材403は、給電コイル5よりも外側(の矢印X2方向側)に回動中心(軸C5)を有する。
【0092】
具体的には、回動伝達部材403は、ウォーム歯車431と、ハスバ歯車432と、ベルト433と、プーリ434とを含む。なお、ウォーム歯車431は、本発明の「ロック部材」の一例である。また、ハスバ歯車432は、本発明の「ロック部材」の一例である。
【0093】
ウォーム歯車431は、歯部431aと、穴部431bとを含む。穴部431bは、駆動部402の軸部402aが取付けられるように構成されている。そして、ウォーム歯車431は、軸部402aの矢印F1方向の回動に伴って、矢印F1方向に回動するように構成されている。
【0094】
また、ウォーム歯車431の歯部431aは、ハスバ歯車432の歯車部432aと歯合するように構成されており、歯車部432aに対して、駆動部402による矢印F1方向の回動を、矢印F2方向の平行移動に変換するように構成されている。
【0095】
ハスバ歯車432は、軸C5を中心に直径d2を有する歯車部432aと、軸C5を中心に直径d2よりも小さい直径d3を有するプーリ部432bとにより構成されている。歯車部432aおよびプーリ部432bは、ウォーム歯車431により、矢印F2方向に力が加えられることにより、軸C5を中心に回動するように構成されている。プーリ部432bには、外周にベルト433(平ベルト)の一方側が取付けられており、回動をベルト433に伝達するように構成されている。なお、直径d3は、直径d2よりも小さいので、ウォーム歯車431からの回動は、減速されて、ベルト433に伝達される。
【0096】
ここで、軸C5と、給電コイル5が巻回されている中心軸である軸C6との間の距離D6は、給電コイル5の巻回径Dの外径D7よりも大きい。すなわち、回動伝達部材403(ハスバ歯車432)は、給電コイル5よりも外側(の矢印X2方向側)に回動中心(軸C5)を有する。
【0097】
また、ベルト433の他方側は、プーリ434の外周に取付けられている。そして、ベルト433は、ハスバ歯車432からの回動を、プーリ434に伝達するように構成されている。
【0098】
プーリ434は、直径d3よりも大きい直径d4を有する円板状に形成されており、給電コイル5の回動中心である軸C6を中心に回動するように構成されている。これにより、ハスバ歯車432からの回動は、減速されて、プーリ434に伝達される。
【0099】
また、プーリ434の矢印Z2方向側には、2つの穴部434aが設けられている。穴部434aは、回動部材408のカラー部材81の突起部81aと嵌合されるように構成されており、軸C6を中心軸とした回動をカラー部材81に伝達するように構成されている。これにより、駆動部402の軸部402aを回動させることにより、給電コイル5の端部51が回動され、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daが変更される。
【0100】
また、給電コイル5の巻回径Dの平均値Daが変更されることにより生じる、巻回径Dを元に戻すための力(トルク)は、ハスバ歯車432からウォーム歯車431に矢印F2方向に伝達された場合でも、ウォーム歯車431は、矢印F1方向には回動されることはない。すなわち、ウォーム歯車431およびハスバ歯車432は、給電コイル5の回動角度を固定するロック部材としての機能を有する。
【0101】
駆動部402は、たとえば、モータにより構成されている。そして、駆動部402は、制御部401からの指令に基づいて、軸部402aを矢印F1方向に回動させるように構成されている。
【0102】
通信部405は、受電装置500と、たとえば、所定の規格(たとえば、Bluetooth(登録商標) Low Energy規格)に基づいた無線通信を行うように構成されている。
【0103】
報知部406は、表示部、インジケータや音声発生部等を含み、制御部401からの指令に基づいて、表示部による表示、インジケータによる光の発生や、音声発生部による音の発生を行い、所定の情報をユーザに対して報知するように構成されている。
【0104】
ここで、第3実施形態では、制御部401は、受電装置500に対する給電に関する情報を取得するとともに、取得した給電に関する情報に基づいて、駆動部402の動作を制御するように構成されている。
【0105】
そして、第3実施形態では、受電装置500から、通信部405を介して、受電電力の情報を取得して、取得した受電電力の情報と、受電装置500に対する給電電力の情報とに基づいて、給電電力に対する受電電力の割合が大きくなるように、駆動部402により、巻回径D(の平均値Da)を変更させる(端部51を移動させる)制御を行うように構成されている。
【0106】
具体的には、制御部401は、給電中において、電源部2から、受電装置500に対する給電電力の情報として給電電力値Ptを取得するように構成されている。また、制御部401は、通信部405を介して、受電装置500から、受電電力の情報として受電電力値Prを取得するように構成されている。
【0107】
そして、制御部401は、給電効率η(=受電電力値Pr/給電電力値Pt)を算出するように構成されている。
【0108】
ここで、給電効率ηが、著しく低い場合(たとえば、停止用しきい値Th1未満の場合(たとえば、25%未満))には、給電装置400または受電装置500に不具合(故障等)が生じている場合がある。そこで、制御部401は、給電効率ηが、停止用しきい値Th1未満であった場合には、電源部2からの電力の供給を停止する制御を行うように構成されている。また、この場合、制御部401は、報知部406によりユーザに、給電効率ηが著しく低い旨(給電装置400または受電装置500に不具合が生じている可能性がある旨)を報知させる制御を行うように構成されている。電源部2からの電力の供給を停止されることにより、給電装置400または受電装置500の不具合等の状態が悪化するのが抑制される。
【0109】
そして、制御部401は、給電が停止された後に、給電効率ηが、停止用しきい値Th1以上になった場合には、電源部2からの電力の供給を再開する制御を行うように構成されている。
【0110】
また、給電効率ηが、比較的低い場合(たとえば、報知用しきい値Th2未満(たとえば、50%未満)で、かつ、停止用しきい値Th1以上あった場合)には、たとえば、給電装置400に対する受電装置500の配置位置が適切でない場合や、給電装置400と受電装置500との間に異物(金属など)が配置されている場合がある。そこで、制御部401は、給電効率ηが、報知用しきい値Th2未満で、かつ、停止用しきい値Th1以上あった場合には、報知部406からユーザに対して、給電効率ηが比較的低い旨(給電に関する異常が生じている可能性がある旨)を知らせるための報知を行う制御を行うように構成されている。これにより、ユーザに対して、異常の可能性を報知することができる。その結果、給電装置400において、ユーザにより異常が改善されると、より給電効率ηを大きくした状態で、給電装置400から受電装置500に給電を行うことが可能になる。
【0111】
そして、制御部401は、給電効率ηが、報知用しきい値Th2以上の場合、給電効率ηが最適しきい値Th3以上(たとえば、90%以上)になるように、駆動部402の駆動を制御するように構成されている。具体的には、制御部401は、駆動部402を駆動と、給電効率ηと最適しきい値Th3との比較とを繰り返す制御を行うように構成されている。
【0112】
(第3実施形態による受電装置の構成)
受電装置500は、
図17に示すように、電圧測定部501と、通信部502と、制御部503とを含む。
【0113】
電圧測定部501は、共振回路201と負荷202との間に接続されており、受電電圧値Vrを測定するように構成されている。そして、制御部503は、電圧測定部501から受電電圧値Vrを取得するとともに、受電電圧値Vrに基づいて、受電電力値Prを算出する制御を行うように構成されている。また、通信部502は、所定の規格(たとえば、Bluetooth(登録商標) Low Energy規格)に基づいた無線通信により給電装置400と通信するように構成されている。そして、制御部503は、通信部502を介して、受電電力値Prを、給電装置400に伝達するように構成されている。
【0114】
また、第3実施形態による給電装置400のその他の構成は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0115】
(給電コイルの巻回径の変更制御処理)
次に、
図19を参照して、第3実施形態の給電装置400による給電コイル5の巻回径Dの変更制御処理フローについて説明する。以下の制御処理は、制御部401により実行される。
【0116】
まず、ステップS1において、給電が開始される。その後、ステップS2に進む。
【0117】
ステップS2において、通信部405を介して、受電装置500から受電電力値Prを取得する。その後、ステップS3に進む。
【0118】
ステップS3において、電源部2から給電電力値Ptを取得して、給電効率η(=Pr/Pt)を算出する。その後、ステップS4に進む。
【0119】
ステップS4において、給電効率ηが停止用しきい値Th1未満であるか否かが判断される。給電効率ηが停止用しきい値Th1未満である場合には、ステップS7に進み、給電効率ηが停止用しきい値Th1未満でない(Th1以上である)場合には、ステップS5に進む。
【0120】
ステップS5において、給電効率ηが報知用しきい値Th2未満であるか否かが判断される。給電効率ηが報知用しきい値Th2未満である場合には、ステップS9に進み、給電効率ηが報知用しきい値Th2未満でない(Th2以上である)場合には、ステップS6に進む。
【0121】
ステップS6において、給電効率ηが最適しきい値Th3未満であるか否かが判断される。給電効率ηが最適しきい値Th3未満である場合には、ステップS10に進み、給電効率ηが最適しきい値Th3未満でない(Th3以上である)場合には、巻回径Dの変更制御処理は終了される。
【0122】
また、ステップS4において給電効率ηが停止用しきい値Th1未満である場合に進むステップS7において、報知部406により給電効率ηが著しく低い旨(給電装置400または受電装置500に不具合が生じている可能性がある旨)が報知される。その後、ステップS8に進む。
【0123】
ステップS8において、給電が停止される。その後、巻回径Dの変更制御処理は終了される。なお、巻回径Dの変更制御処理は終了された後に、再びステップS1が開始される制御を行う場合には、ステップS4において給電効率ηが停止用しきい値Th1以上になった(給電効率ηが改善された)場合には、給電が再開されることになる。
【0124】
また、ステップS5において給電効率ηが報知用しきい値Th2未満である場合に進むステップS9において、報知部406により給電効率ηが比較的低い旨が報知される。その後、ステップS2に戻る。すなわち、ステップS2に戻ることにより、給電効率ηが報知用しきい値Th2未満である場合、ステップS2〜S5、および、S9が繰り返される。そして、給電効率ηが報知用しきい値Th2以上となった場合、報知が終了される。
【0125】
また、ステップS6において給電効率ηが最適しきい値Th3未満である場合に進むステップS10において、駆動部402を駆動させて給電コイル5の巻回径Dが変更される。その後、ステップS2に戻る。すなわち、ステップS2に戻ることにより、給電効率ηが最適しきい値Th3以上になるまで、ステップS2〜S6、および、S10が繰り返される。そして、給電効率ηが最適しきい値Th3以上となった場合、巻回径Dの変更制御処理は終了される。
【0126】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0127】
第3実施形態では、上記のように、径変更部404を、回動部材408に駆動力を伝達可能に接続され、給電コイル5よりも外側に回動中心(軸C5)を有する回動力伝達部403(ハスバ歯車432)を含むように構成する。ここで、手や工具を用いて(給電コイル5の内側(近傍)に手や工具を配置した状態で)回動部材408を回動させて給電コイル5の巻回径Dを変更した場合、手や工具の性質(材質)に起因して、変更途中の給電装置400の共振周波数と、変更後に手や工具を給電コイルから遠ざけた場合の給電装置400の共振周波数とが、変化する場合があると考えられる。そこで、給電コイル5よりも外側に回動中心(軸C5)を有する回動力伝達部403(ハスバ歯車432)を設けることにより、給電コイル5の巻回径Dを、回動力伝達部403を用いて給電コイル5よりも外側から変更することができる。その結果、手や工具が変更途中の給電装置400の共振周波数に影響を与えるのを抑制することができるので、適切に、給電装置400の共振周波数を調整することができる。
【0128】
また、第3実施形態では、上記のように、径変更部404に、給電コイル5の端部51を移動させる駆動部402と、受電装置500に対する給電に関する情報(受電電力値Pr)を取得するとともに、取得した給電に関する情報に基づいて、駆動部402の動作を制御するように構成されている制御部401とを設ける。これにより、制御部401と駆動部402とにより、自動で、給電コイル5の巻回径Dを変更して、給電装置500の共振周波数を調整することができる。また、制御部401を、給電に関する情報に基づいて、駆動部402の動作を制御するように構成することにより、給電装置500を使用していない状態(製造時など)のみならず、給電装置500により給電中においても、給電コイル5の巻回径Dを変更して、給電装置500の共振周波数を調整することができる。
【0129】
また、第3実施形態では、上記のように、給電装置500に、受電装置500と通信するように構成されている通信部405を設ける。また、制御部401を、受電装置500から、通信部405を介して、受電電力値Prを取得して、取得した受電電力値Prと、受電装置500に対する給電電力値Ptとに基づいて、給電電力値Ptに対する受電電力値Prの割合(給電効率η)が大きくなるように、駆動部402により、巻回径Dを変更させる制御を行うように構成する。ここで、給電装置400の共振周波数と受電装置500の共振周波数とが一致している場合は、給電装置400の共振周波数と受電装置500の共振周波数とが一致していない場合に比べて、給電効率ηが大きくなる。そこで、第3実施形態では、制御部401を、給電効率ηが大きくなるように、駆動部402により、巻回径Dを変更させる(端部51を移動させる)制御を行うように構成することにより、給電装置400の共振周波数を、受電装置500の共振周波数に近付ける(略一致させる)ことができる。
【0130】
また、第3実施形態による給電装置400のその他の効果は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0131】
[第4実施形態]
次に、
図20および
図21を参照して、第4実施形態による給電装置600の構成について説明する。第4実施形態による給電装置600は、給電効率ηに基づいて、給電コイル5の巻回径Dを変更する制御を行うように構成されていた第3実施形態による給電装置500と異なり、定在波比ρに基づいて、給電コイル5の巻回径Dを変更する制御を行うように構成されている。なお、上記第1実施形態〜上記第3実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0132】
(第4実施形態による給電装置の構成)
図20に示すように、第4実施形態による給電装置600には、径変更部604と、報知部406とが設けられている。径変更部604には、制御部601と、定在波比測定部602とが設けられている。
【0133】
ここで、第4実施形態では、定在波比測定部602は、給電コイル5に電力を供給する電源部2と、共振回路3(給電コイル5)との間に配置され、電力の定在波比ρを測定するように構成されている。そして、制御部601は、定在波比測定部602の電力の定在波比ρの測定結果に基づいて、電力の定在波比ρが小さくなるように、駆動部402により、巻回径Dを変更させる(端部51を移動させる)制御を行うように構成されている。
【0134】
ここで、電源部2と共振回路3との間では、電力の波形は、電源部2から共振回路3に進む進行波と共振回路3(受電装置700)からの反射波とが合成された状態となる。
【0135】
そして、定在波比測定部602は、
図21に示すように、たとえば、トランスTR1と、コンデンサC11〜C16と、半固定コンデンサSC1およびSC2と、ダイオードD1およびD2と、抵抗R1〜R4と、可変抵抗VR1と、電流計CMと、スイッチ部SW1とを含む。そして、定在波比測定部602は、電源部2から共振回路3に進む進行波と、共振回路3から電源部2に戻る反射波との比率である定在波比ρを測定するように構成されている。そして、制御部601は、定在波比測定部602から定在波比ρを取得するように構成されている。
【0136】
制御部601は、定在波比ρが、停止用しきい値Th4以上(たとえば、75%以上)であった場合には、電源部2からの電力の供給を停止する制御を行うように構成されている。また、この場合、制御部601は、報知部406によりユーザに、定在波比ρが著しく低い旨(給電装置600または受電装置700に不具合が生じている可能性がある旨)を報知させる制御を行うように構成されている。電源部2からの電力の供給を停止されることにより、給電装置600または受電装置700の不具合等の状態が悪化するのが抑制される。
【0137】
また、制御部601は、給電が停止された後に、定在波比ρが、停止用しきい値Th4以上になった場合には、電源部2からの電力の供給を再開する制御を行うように構成されている。
【0138】
また、制御部601は、定在波比ρが、報知用しきい値Th5(たとえば、50%以上で、かつ、停止用しきい値Th4未満あった場合には、報知部406からユーザに対して、定在波比ρが比較的大きい旨(給電に関する異常が生じている可能性がある旨)を知らせるための報知を行う制御を行うように構成されている。
【0139】
そして、制御部601は、定在波比ρが、報知用しきい値Th5未満の場合、定在波比ρが最適しきい値Th6以上(たとえば、10%未満)になるように、駆動部402の駆動を制御するように構成されている。
【0140】
(第4実施形態による受電装置の構成)
受電装置700は、
図20に示すように、共振回路201と、負荷202とにより構成されている。すなわち、受電装置700は、第3実施形態による受電装置500と異なり、通信部502は設けられていない。
【0141】
また、第4実施形態による給電装置600のその他の構成は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0142】
(給電コイルの巻回径の変更制御処理)
次に、
図22を参照して、第4実施形態の給電装置600による給電コイル5の巻回径Dの変更制御処理フローについて説明する。以下の制御処理は、制御部601により実行される。また、第3実施形態による給電装置400による給電コイル5の巻回径Dの変更制御処理フロー(
図19参照)と同一の処理については、同一の符号を付している。
【0143】
まず、ステップS1において、給電が開始される。その後、ステップS101に進む。
【0144】
ステップS101において、定在波比ρが算出される。その後、ステップS102に進む。
【0145】
ステップS102において、定在波比ρが停止用しきい値Th4以上であるか否かが判断される。定在波比ρが停止用しきい値Th4以上である場合には、ステップS105に進み、定在波比ρが停止用しきい値Th4以上でない(Th4未満である)場合には、ステップS103に進む。
【0146】
ステップS103において、定在波比ρが報知用しきい値Th5以上であるか否かが判断される。定在波比ρが報知用しきい値Th5以上である場合には、ステップS106に進み、定在波比ρが報知用しきい値Th5以上でない(Th5未満である)場合には、ステップS104に進む。
【0147】
ステップS104において、定在波比ρが最適しきい値Th6以上であるか否かが判断される。定在波比ρが最適しきい値Th6以上である場合には、ステップS10に進み、定在波比ρが最適しきい値Th6以上でない(Th6未満である)場合には、巻回径Dの変更制御処理は終了される。
【0148】
また、ステップS102において定在波比ρが停止用しきい値Th4以上である場合に進むステップS105において、報知部406により定在波比ρが著しく高い旨(給電装置400または受電装置500に不具合が生じている可能性がある旨)が報知される。その後、ステップS8に進む。
【0149】
ステップS8において、給電が停止される。その後、巻回径Dの変更制御処理は終了される。
【0150】
また、ステップS103において定在波比ρが報知用しきい値Th5以上である場合に進むステップS106において、報知部406により定在波比ρが比較的高い旨が報知される。その後、ステップS101に戻る。
【0151】
また、ステップS104において定在波比ρが最適しきい値Th6以上である場合に進むステップS106において、駆動部402を駆動させて給電コイル5の巻回径Dが変更される。その後、ステップS101に戻る。
【0152】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0153】
第4実施形態では、上記のように、給電装置600に、給電コイル5に電力を供給する電源部2と、電源部2と給電コイル5との間に配置され、電力の定在波比ρを測定する定在波比測定部602とを設ける。また、制御部601を、定在波比測定部602の電力の定在波比ρの測定結果に基づいて、電力の定在波比ρが小さくなるように、駆動部402により、巻回径Dを変更させる(端部51を移動させる)制御を行うように構成する。ここで、給電装置600の共振周波数と受電装置700の共振周波数とが一致している場合は、給電装置600の共振周波数と受電装置700の共振周波数とが一致していない場合に比べて、反射波が少なくなり、定在波比ρ(反射波/進行波)が小さくなる。そこで、第4実施形態では、制御部601を、電力の定在波比ρが小さくなるように、駆動部402により、巻回径Dを変更させる制御を行うように構成することにより、給電装置600の共振周波数と受電装置700の共振周波数とを略一致させることができる。また、給電装置600に設けられている定在波比検出部602により、定在波比ρ(受電装置700に対する給電に関する情報)を取得することができるので、給電電力に対する受電電力の割合を取得する場合と異なり、給電装置600および受電装置700に電力の情報をやりとりするための通信部を設ける必要がない。その結果、通信部が設けられていない受電装置700に対しても、適切に、巻回径Dを変更して、給電装置600の共振周波数を調整することができる。
【0154】
また、第4実施形態による給電装置600のその他の効果は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0155】
[第5実施形態]
次に、
図23および
図24を参照して、第5実施形態による給電装置800の構成について説明する。第5実施形態による給電装置800は、共振回路803に、給電コイル5および共振コンデンサ6に加えて、補償回路831が設けられている。なお、上記第1実施形態〜上記第4実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0156】
(第5実施形態による給電装置の構成)
図23に示すように、第5実施形態による給電装置800には、共振回路803と径変更部804とが設けられている。径変更部804は、制御部801を含む。共振回路803は、補償回路831を含む。
【0157】
ここで、第5実施形態では、補償回路831は、給電コイル5にそれぞれ接続されているコンデンサ831a〜831cと、コンデンサ831a〜831cに対してそれぞれ設けられているスイッチ部831d〜831fとを含む。そして、制御部801は、給電に関する情報に基づいて、駆動部402により、巻回径Dを変更させる制御を行うとともに、給電に関する情報に基づいて、スイッチ部831d〜831fにより、補償回路831のコンデンサ831a〜831cの接続状態を切り替える制御を行うように構成されている。なお、給電に関する情報は、第3実施形態による給電に関する情報(給電効率η)と同様である。
【0158】
具体的には、補償回路831のコンデンサ831a〜831cは、
図24に示すように、給電コイル5と共振コンデンサ6との間に、それぞれ直列に接続されている。
【0159】
スイッチ部831dは、コンデンサ831aと共振コンデンサ6との間に設けられている。そして、スイッチ部831は、制御部801の指令に基づいて、コンデンサ831aと共振コンデンサ6との間の接続状態を切り替えるように構成されている。また、スイッチ部831eは、コンデンサ831bと共振コンデンサ6との間に設けられている。そして、スイッチ部831は、制御部801の指令に基づいて、コンデンサ831aと共振コンデンサ6との間の接続状態を切り替えるように構成されている。また、スイッチ部831fは、コンデンサ831cと共振コンデンサ6との間に設けられている。そして、スイッチ部831は、制御部801の指令に基づいて、コンデンサ831aと共振コンデンサ6との間の接続状態を切り替えるように構成されている。
【0160】
これにより、制御部801は、スイッチ部831d〜831dの接続状態を変更することにより、共振回路803の合成キャパシタンスを変更することが可能になるので、共振周波数の大きさを変更することが可能である。なお、スイッチ部831d〜831dおよびコンデンサ831a〜831cを用いることにより、共振回路803の共振周波数を段階的に変更することが可能である。そして、径変更部804を用いて給電コイル5の巻回径Dを変更することにより、共振回路803の共振周波数を(段階的ではなく)線形に変更することが可能である。
【0161】
また、第5実施形態による給電装置800のその他の構成は、第3実施形態における給電装置400と同様である。
【0162】
(補償回路のキャパシタンスの変更制御処理)
次に、
図25を参照して、第5実施形態の給電装置800による補償回路802のキャパシタンスの変更制御処理フローについて説明する。以下の制御処理は、制御部801により実行される。ここで、第1番目のスイッチを、スイッチ部831dとし、第2番目のスイッチを、スイッチ部831eとし、第3番目のスイッチを、スイッチ部831fとする。また、nを1〜3の整数とする。
【0163】
まず、ステップS201において、第1番目のスイッチをオンして、その他のスイッチ(第2番目および第3番目のスイッチ)をオフする。その後、ステップS202に進む。
【0164】
ステップS202において、受電装置500から受電電力値Prの取得が行われる。その後、ステップS203に進む。
【0165】
ステップS203において、給電効率ηの算出が行われる。その後、ステップS204に進む。
【0166】
ステップS204において、nに1が加えられる。その後、ステップS205に進む。
【0167】
ステップS205において、第n番目のスイッチをオンして、その他のスイッチをオフする。その後、ステップS206に進む。
【0168】
ステップS206において、受電装置500から受電電力値Prの取得が行われる。その後、ステップS207に進む。
【0169】
ステップS207において、給電効率ηの算出が行われる。その後、ステップS208に進む。
【0170】
ステップS208において、給電効率ηが向上したか否かが判断される。すわなち、前回算出された給電効率ηと、今回ステップS207において算出された給電効率ηとの比較を行い、今回の給電効率ηの方が大きい場合、ステップS209に進む。今回の給電効率ηの方が、前回の給電効率η以下の場合、ステップS215に進む。
【0171】
ステップS209において、nに1が加えられる。その後、ステップS210に進む。
【0172】
ステップS210において、nは最大値X(3)か否かが判断される。nは最大値X(3)の場合、ステップS211に進み、nは最大値X(3)でない場合、ステップS205に戻る。
【0173】
ステップS211において、第X番目(第3番目)のスイッチをオンして、その他のスイッチをオフする。その後、ステップS212に進む。
【0174】
ステップS212において、受電装置500から受電電力値Prの取得が行われる。その後、ステップS213に進む。
【0175】
ステップS213において、給電効率ηの算出が行われる。その後、ステップS214に進む。
【0176】
ステップS214において、給電効率ηが向上したか否かが判断される。すわなち、前回算出された給電効率ηと、今回ステップS213において算出された給電効率ηとの比較を行い、今回の給電効率ηの方が大きい場合、補償回路831のキャパシタンスの変更制御処理フローは終了される。今回の給電効率ηの方が、前回の給電効率η以下の場合、ステップS215に進む。
【0177】
ステップS215において、スイッチの状態が切り替え前の接続状態に戻される。すなわち、第1番目〜第3番目のスイッチの状態が、直前に実施されたスイッチの切り替え動作の前の状態に戻される。その後、補償回路831のキャパシタンスの変更制御処理フローは終了される。
【0178】
そして、補償回路831のキャパシタンスの変更制御処理フローは終了後に、上記した給電コイル5の巻回径Dの変更制御処理(
図19参照)が実行され、より詳細に共振回路803の共振周波数が調整される。
【0179】
(第5実施形態の効果)
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0180】
第5実施形態では、上記のように、給電装置800に、給電コイル5にそれぞれ接続されているコンデンサ831a〜831cと、コンデンサ831a〜831cに対してそれぞれ設けられ、コンデンサ831a〜831cに直列に接続されているスイッチ部831d〜831fとを含む、補償回路831を設ける。また、制御部801を、給電に関する情報に基づいて、駆動部402により、巻回径Dを変更させる(端部51を移動させる)制御を行うとともに、給電に関する情報に基づいて、スイッチ部831d〜831fにより、補償回路831のコンデンサ831a〜831cの接続状態を切り替える制御を行うように構成する。これにより、給電コイル5の巻回径Dを変更させることのみにより、給電装置800の共振周波数を調整する場合に比べて、より大きな範囲で給電装置800の共振周波数を調整することができる。
【0181】
また、第5実施形態による給電装置800のその他の効果は、第1実施形態における給電装置100と同様である。
【0182】
[第6実施形態]
次に、
図26を参照して、第6実施形態による受電装置200aの構成について説明する。第6実施形態による受電装置200aには、径変更部4aが設けられている。なお、上記第1実施形態〜上記第5実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0183】
(第6実施形態による受電装置の構成)
図26に示すように、第6実施形態による受電装置200aには、共振回路201と、負荷202と、制御部203と、径変更部4aとが設けられている。なお、径変更部4aは、本発明の「受電装置側径変更部」の一例である。
【0184】
ここで、第6実施形態では、受電コイル212は、1つの平面上で巻回されているとともに、端部のうちの一端が固定的に配置されている。径変更部4aは、受電コイル212の端部のうちの他端を移動可能に支持するとともに、一端と他端との間の少なくとも一部が、受電コイル212の径方向に移動可能に支持するように構成されている。
【0185】
なお、径変更部4aの構成は、第1実施形態による給電装置100の径変更部4の構成と同様である。
【0186】
また、第6実施形態による給電装置900のその他の構成は、第1実施形態における受電装置200と同様である。
【0187】
(第6実施形態の効果)
第6実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0188】
第6実施形態では、上記のように、受電装置200aに、受電コイル212の端部のうちの他端を移動可能に支持するとともに、一端と他端との間の少なくとも一部が、受電コイル212の径方向に移動可能に支持するように構成されている径変更部4aを設けることにより、比較的大きな電力が給電される場合にも、共振周波数を調整することができる。
【0189】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0190】
たとえば、上記第1〜第6実施形態では、本発明の受電装置を、携帯電話(スマートフォン)に適用する例を示したが、本発明はこれに限らない。すなわち、受電装置を携帯電話以外に適用してもよい。たとえば、電気自動車などの輸送機器に適用してもよい。この場合、給電装置は、輸送機器のための給電ステーションとして構成されていてもよい。
【0191】
また、上記第1〜第6実施形態では、径変更部を、給電コイル(受電コイル)の内周側の端部を移動させるように構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、径変更部を、給電コイル(受電コイル)の外周側の端部を移動させるように構成してもよい。
【0192】
また、上記第1〜第6実施形態では、径変更部に回動部材を設けて、給電コイル(受電コイル)の端部を回動することにより、給電コイル(受電コイル)の巻回径を変更するように構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、径変更部を、給電コイル(受電コイル)の端部を平行移動させるように構成してもよい。
【0193】
また、上記第1〜第6実施形態では、被覆部材を、線部材の表面の全体を覆うように構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、
図27の第1変形例に示すように、被覆部材54aを、線部材53の表面のうちの一部を覆うように構成してもよい。
【0194】
ここで、
図27に示すように、第1〜第6実施形態の第1変形例による被覆部材54aは、渦巻き状に巻回されている線部材53の表面のうちの一部を覆うように、互いに間隔を隔てて、8つ設けられている。
【0195】
また、上記第1実施形態では、基板と上面とを移動規制部材として用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、
図28の第2変形例に示すように、基板7と移動規制部材11bとを移動規制部材として用いるように構成してもよい。
【0196】
ここで、
図28に示すように、第1実施形態の第2変形例による移動規制部材11bと基板7とは、渦巻き状に巻回されている給電コイル5を矢印Z方向の両側から挟みこむように配置されている。また、移動規制部材11bは、平板状に形成されており、矢印X1方向側と、矢印X2方向側とに、合計2つ設けられている。
【0197】
また、上記第2実施形態では、回動部材を、ロック部材により複数の回動角度で固定されるように構成するとともに、巻回径が変更される際に、両側の回動方向(
図12の矢印C5方向および矢印C6方向)に回動可能に構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、
図29の第3変形例に示すように、回動部材908を、ロック部材901により複数の回動角度で固定されるように構成するとともに、巻回径が変更される際に、一方側の回動方向(矢印C7方向)のみに回動可能に構成してもよい。
【0198】
ここで、
図29に示すように、第2実施形態の第3変形例による回動部材908は、鋸歯状の歯部を有する。また、ロック部材901は、爪部911と、ロック解除部912とを含む。爪部911は、回動部材908の歯部に係合されている。回動部材908は、一方側の回動方向(矢印C7方向)に回動するように力が加えられた時は、爪部911を矢印G方向側に押して移動させて、回動される。一方、回動部材908は、他方側の回動方向(矢印C7方向とは反対方向)に回動するように力が加えられた時は、爪部911と接触することにより、他方側の回動方向には回動されない。また、巻回径を初期の大きさに戻す場合には、ロック解除部912が、たとえば、ユーザ(巻回径を変更しようとする者)により、矢印G方向に引っ張られることにより、爪部911と回動部材908の歯部との係合が外れ、他方側の回動方向に回動部材908が回動され、巻回径を初期の大きさに戻すこと(矢印C7と反対方向に回動されるの)が可能に構成されている。
【0199】
また、上記第3〜第5実施形態では、回動伝達部材として、ベルトを用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、回動伝達部材として、ベルトを用いずに、複数の歯車を用いて、歯車同士を歯合させて、駆動部からの回動を回動部材に伝達するように構成してもよい。
【0200】
また、上記第3〜第5実施形態では、回動伝達部材のベルトとして、平ベルトを用いる例を示したが、本発明はこれに限らない。すなわち、回動伝達部材のベルトとして、平ベルト以外のベルトを用いてもよい。たとえば、回動伝達部材のベルトとして、タイミングベルト(歯付ベルト)を用いてもよい。
【0201】
また、上記第3〜第5実施形態では、制御部を、給電に関する情報に基づいて、給電効率が小さい場合や定在波比が大きい場合に、給電を停止するように構成する例を示したが、本発明はこれに限らない。たとえば、制御部を、給電に関する情報に基づいて、給電効率が小さい場合や定在波比が大きい場合に、給電電力を低下させるように構成してもよい。
【0202】
また、上記第1〜第6実施形態を、別々の形態として説明したが、本発明はこれに限らない。たとえば、第6実施形態の受電装置に、第1〜第5実施形態において説明した径変更部を設けるように構成してもよい。
【0203】
また、第3〜第5実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。