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特開2016-225735電源重畳通信システム、電源重畳通信モデム、および電源重畳通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-225735(P2016-225735A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】電源重畳通信システム、電源重畳通信モデム、および電源重畳通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/54 20060101AFI20161205BHJP
   H04L 12/10 20060101ALI20161205BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20161205BHJP
【FI】
   H04B3/54
   H04L12/10
   H04L12/28 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-108579(P2015-108579)
(22)【出願日】2015年5月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】蒋 偉
【テーマコード(参考)】
5K030
5K033
5K046
【Fターム(参考)】
5K030GA08
5K030HB06
5K030JL06
5K030KA23
5K033AA04
5K033BA08
5K033DB09
5K033DB23
5K033DB25
5K046AA03
5K046BA02
5K046BB05
5K046PS03
5K046PS16
5K046PS31
5K046PS36
(57)【要約】
【課題】既存機器を利用しつつ、配線工事全体のコストを削減する。
【解決手段】機器20ごとに対応して複数のモデム10を設けて、配線30により互いにカスケード接続し、このモデム10が、配線30を介して前段モデム10Aから供給された電源を自己の対応機器20に供給するとともに、配線30を介して後段モデム10Bに供給し、対応機器20から入力された低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、配線30上の電源に重畳して前段モデム10Aまたは後段モデム10Bへ送信し、前段モデム10Aまたは後段モデム10Bから送信された高帯域通信信号を配線30上の電源から分離して、低帯域通信信号に復調した後、対応機器30へ出力することにより、配線30を介した対応機器20のデータ通信を実現する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、
前記各機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線と、
前記機器ごとに対応して設けられた複数のモデムとを備え、
前記モデムは、前記配線により互いにカスケード接続されて、当該配線を介して前段モデムから供給された電源を自己の対応機器に供給するとともに、当該配線を介して後段モデムに供給し、前記対応機器から入力された前記低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、前記配線上の電源に重畳して前段モデムまたは後段モデムへ送信し、前段モデムまたは後段モデムから送信された前記高帯域通信信号を前記配線上の電源から分離して、前記低帯域通信信号に復調した後、前記対応機器へ出力することにより、前記配線を介した前記対応機器のデータ通信を実現する
ことを特徴とする電源重畳通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源重畳通信システムにおいて、
前記モデムは、
前記低帯域通信信号を用いて前記対応機器との間でデータ通信を行う低帯域通信I/F部と、
前記高帯域通信信号を用いて前段モデムまたは後段モデムとの間でデータ通信を行う高帯域通信I/F部と、
前記低帯域通信信号と前記高帯域通信信号とを相互に変換する信号変復調部と、
前記配線を介して前段モデムから供給された前段電源を、前記対応機器に電源供給するとともに、前記配線を介して後段モデムへ後段電源として電源供給し、前記高帯域通信I/F部から出力された前記高帯域通信信号を前記前段電源または前記後段電源に重畳し、前記前段電源または前記後段電源から分離した前記高帯域通信信号を前記高帯域通信I/F部へ出力する重畳・分離部とを備える
ことを特徴とする電源重畳通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の電源重畳通信システムにおいて、
前記機器は、これら機器間のデータ通信を制御する1つの親機と、当該親機の制御に基づきデータ通信を行う複数の子機とからなり、
前記低帯域通信I/F部は、前記親機からなる前記対応機器との間で前記低帯域通信信号をやり取りするスレーブI/F部と、前記子機からなる前記対応機器との間で前記低帯域通信信号をやり取りするマスターI/F部とを有し、
前記信号変復調部は、前記対応機器が前記親機の場合には、前記スレーブI/F部を介して当該親機とやり取りする前記低帯域通信信号を、後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と相互に変復調し、前記対応機器が前記子機の場合には、前記マスターI/F部を介して当該子機とやり取りする前記低帯域通信信号を、前段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号、および、後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と相互に変復調するとともに、前段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号とを変復調せずに中継転送する
ことを特徴とする電源重畳通信システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電源重畳通信システムにおいて、
前記高帯域通信I/F部は、当該モデム内で動作異常が発生した場合、前段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号とをバイパス接続するリレーを有することを特徴とする電源重畳通信システム。
【請求項5】
低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器をカスケード接続するとともにこれら機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線と、前記機器ごとに対応して設けられた複数の電源重畳通信モデムとを備える電源重畳通信システムで用いられる前記電源重畳通信モデムであって、
前記低帯域通信信号を用いて前記対応機器との間でデータ通信を行う低帯域通信I/F部と、
前記高帯域通信信号を用いて前段または後段の電源重畳通信モデムとの間でデータ通信を行う高帯域通信I/F部と、
前記低帯域通信信号と前記高帯域通信信号とを相互に変換する信号変復調部と、
前記配線を介して前段の電源重畳通信モデムから供給された前段電源を、前記対応機器に電源供給するとともに、前記配線を介して後段の電源重畳通信モデムへ後段電源として電源供給し、前記高帯域通信部から出力された前記高帯域通信信号を前記前段電源または前記後段電源に重畳し、前記前段電源または前記後段電源から分離した前記高帯域通信信号を前記高帯域通信部へ出力する重畳・分離部とを備える
ことを特徴とする電源重畳通信モデム。
【請求項6】
低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器をカスケード接続するとともにこれら機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線と、前記機器ごとに対応して設けられた複数のモデムとを備える通信システムで用いられる電源重畳通信方法であって、
前記モデムが、前記配線を介して前段モデムから供給された電源を自己の対応機器に供給するとともに、当該配線を介して後段モデムに供給するステップと、
前記モデムが、前記対応機器から入力された前記低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、前記配線上の電源に重畳して前段モデムまたは後段モデムへ送信するステップと、
前記モデムが、前段モデムまたは後段モデムから送信された前記高帯域通信信号を前記配線上の電源から分離して、前記低帯域通信信号に復調した後、前記対応機器へ出力するステップと
を備えることを特徴とする電源重畳通信方法。
【請求項7】
低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器をカスケード接続するとともにこれら機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線を備える電源重畳通信システムにおいて、前記機器ごとに対応して設けられた各モデムで用いられる電源重畳通信方法であって、
前記低帯域通信信号を用いて前記対応機器との間でデータ通信を行う低帯域通信ステップと、
前記高帯域通信信号を用いて前段または後段の電源重畳通信モデムとの間でデータ通信を行う高帯域通信ステップと、
前記低帯域通信信号と前記高帯域通信信号とを相互に変換する信号変復調ステップと、
前記配線を介して前段の電源重畳通信モデムから供給された前段電源を、前記対応機器に電源供給するとともに、前記配線を介して後段の電源重畳通信モデムへ後段電源として電源供給し、前記高帯域通信部から出力された前記高帯域通信信号を前記前段電源または前記後段電源に重畳し、前記前段電源または前記後段電源から分離した前記高帯域通信信号を前記高帯域通信部へ出力する重畳・分離ステップとを備える
ことを特徴とする電源重畳通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ通信技術に関し、特に電源を供給する配線に通信信号を重畳することによりデータ通信を行うための電源重畳通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設における設備機器を監視・制御する監視システムでは、複数の設備機器間で各種データをやり取りするものとなっている。例えば、空調設備を監視・制御する空調システムの場合、親機となる空調器コントローラに対し、子機となる複数のVAVコントローラを、通信配線を介してカスケード接続し、親機から各子機に対して順にリクエストを送信し、このリクエスト信号に応じて子機がレスポンスを返送するものとなっている(例えば、特許文献1など参照)。具体例としては、ベースバンドで4800bpsの低帯域通信信号を用い、配線総長が1Km、接続子機数が50台、ネットワークトポロジーがマルチドロップ(例えばRS−485)としたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−258619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来技術では、各機器への電源供給は、データ通信用の通信配線とは別個に電源配線を設け、通信配線と同様に、この電源配線により各機器をカスケード接続することにより、各機器へ電源供給を行う構成が考えられる。これにより、子機の出力先がダンパモータやアクチュエータなどの場合でも、大電流を提供することができる。
しかしながら、このような配線構成によれば、同じ経路で通信配線と電源配線を二重に配線することになり、このような二重配線を行った場合、配線の線材コストだけでなく配線工事の作業負担も大きくなるため、結果として配線工事全体で必要とされるコストが増大するという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、既存機器を利用しつつ、配線工事全体のコストを削減できる電源重畳通信技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電源重畳通信システムは、低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線と、前記機器ごとに対応して設けられた複数のモデムとを備え、前記モデムは、前記配線により互いにカスケード接続されて、当該配線を介して前段モデムから供給された電源を自己の対応機器に供給するとともに、当該配線を介して後段モデムに供給し、前記対応機器から入力された前記低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、前記配線上の電源に重畳して前段モデムまたは後段モデムへ送信し、前段モデムまたは後段モデムから送信された前記高帯域通信信号を前記配線上の電源から分離して、前記低帯域通信信号に復調した後、前記対応機器へ出力することにより、前記配線を介した前記対応機器のデータ通信を実現するようにしたものである。
【0007】
また、本発明にかかる上記電源重畳通信システムの一構成例は、前記モデムが、前記低帯域通信信号を用いて前記対応機器との間でデータ通信を行う低帯域通信I/F部と、前記高帯域通信信号を用いて前段モデムまたは後段モデムとの間でデータ通信を行う高帯域通信I/F部と、前記低帯域通信信号と前記高帯域通信信号とを相互に変換する信号変復調部と、前記配線を介して前段モデムから供給された前段電源を、前記対応機器に電源供給するとともに、前記配線を介して後段モデムへ後段電源として電源供給し、前記高帯域通信I/F部から出力された前記高帯域通信信号を前記前段電源または前記後段電源に重畳し、前記前段電源または前記後段電源から分離した前記高帯域通信信号を前記高帯域通信I/F部へ出力する重畳・分離部とを備えるものである。
【0008】
また、本発明にかかる上記電源重畳通信システムの一構成例は、前記機器が、これら機器間のデータ通信を制御する1つの親機と、当該親機の制御に基づきデータ通信を行う複数の子機とからなり、前記低帯域通信I/F部は、前記親機からなる前記対応機器との間で前記低帯域通信信号をやり取りするスレーブI/F部と、前記子機からなる前記対応機器との間で前記低帯域通信信号をやり取りするマスターI/F部とを有し、前記信号変復調部は、前記対応機器が前記親機の場合には、前記スレーブI/F部を介して当該親機とやり取りする前記低帯域通信信号を、後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と相互に変復調し、前記対応機器が前記子機の場合には、前記マスターI/F部を介して当該子機とやり取りする前記低帯域通信信号を、前段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号、および、後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と相互に変復調するとともに、前段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号とを変復調せずに中継転送するようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかる上記電源重畳通信システムの一構成例は、前記高帯域通信I/F部が、当該モデム内で動作異常が発生した場合、前段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号と後段モデムとやり取りする前記高帯域通信信号とをバイパス接続するリレーを有するものである。
【0010】
また、本発明にかかる電源重畳通信モデムは、低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器をカスケード接続するとともにこれら機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線と、前記機器ごとに対応して設けられた複数の電源重畳通信モデムとを備える電源重畳通信システムで用いられる前記電源重畳通信モデムであって、前記低帯域通信信号を用いて前記対応機器との間でデータ通信を行う低帯域通信I/F部と、前記高帯域通信信号を用いて前段または後段の電源重畳通信モデムとの間でデータ通信を行う高帯域通信I/F部と、前記低帯域通信信号と前記高帯域通信信号とを相互に変換する信号変復調部と、前記配線を介して前段の電源重畳通信モデムから供給された前段電源を、前記対応機器に電源供給するとともに、前記配線を介して後段の電源重畳通信モデムへ後段電源として電源供給し、前記高帯域通信部から出力された前記高帯域通信信号を前記前段電源または前記後段電源に重畳し、前記前段電源または前記後段電源から分離した前記高帯域通信信号を前記高帯域通信部へ出力する重畳・分離部とを備えている。
【0011】
また、本発明にかかる電源重畳通信方法は、低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器をカスケード接続するとともにこれら機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線と、前記機器ごとに対応して設けられた複数のモデムとを備える通信システムで用いられる電源重畳通信方法であって、前記モデムが、前記配線を介して前段モデムから供給された電源を自己の対応機器に供給するとともに、当該配線を介して後段モデムに供給するステップと、前記モデムが、前記対応機器から入力された前記低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、前記配線上の電源に重畳して前段モデムまたは後段モデムへ送信するステップと、前記モデムが、前段モデムまたは後段モデムから送信された前記高帯域通信信号を前記配線上の電源から分離して、前記低帯域通信信号に復調した後、前記対応機器へ出力するステップとを備えている。
【0012】
また、本発明にかかる他の電源重畳通信方法は、低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器と、前記各機器をカスケード接続するとともにこれら機器で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線を備える電源重畳通信システムにおいて、前記機器ごとに対応して設けられた各モデムで用いられる電源重畳通信方法であって、前記低帯域通信信号を用いて前記対応機器との間でデータ通信を行う低帯域通信ステップと、前記高帯域通信信号を用いて前段または後段の電源重畳通信モデムとの間でデータ通信を行う高帯域通信ステップと、前記低帯域通信信号と前記高帯域通信信号とを相互に変換する信号変復調ステップと、前記配線を介して前段の電源重畳通信モデムから供給された前段電源を、前記対応機器に電源供給するとともに、前記配線を介して後段の電源重畳通信モデムへ後段電源として電源供給し、前記高帯域通信部から出力された前記高帯域通信信号を前記前段電源または前記後段電源に重畳し、前記前段電源または前記後段電源から分離した前記高帯域通信信号を前記高帯域通信部へ出力する重畳・分離ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各機器に電源を供給するための電源配線と、機器間でデータ通信を行う通信配線とを、一本化することができる。また、モデムにより機器と配線とのインターフェースをとるようにしたので、既存の機器を利用することができる。このため、同じ経路で通信配線と電源配線を二重に配線する場合と比較して、配線の線材コストだけでなく配線工事の作業負担も軽減でき、結果として配線工事全体で必要とされるコストを削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施の形態にかかる電源重畳通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】LCフィルタを用いた電源重畳通信システムの構成例である。
図3】マンチェスター符号化方式を示す信号波形例である。
図4】マルチドロップ形式のネットワークトポロジーを示す説明図である。
図5】ポイントツーポイント形式を示す説明図である。
図6】第1の実施の形態にかかるモデムの構成を示すブロック図である。
図7】信号変復調部の動作を示す説明図である。
図8】第2の実施の形態にかかる機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電源重畳通信システム1について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる電源重畳通信システムの構成を示すブロック図である。
この電源重畳通信システム1は、空調設備を監視・制御する空調システムなど、施設における設備機器を監視・制御する監視システムで用いられる通信システムである。
【0016】
図1に示すように、電源重畳通信システム1は、低帯域通信信号を用いてデータ通信を行う複数の機器20と、各機器20で用いる電源を供給する2芯ケーブルからなる配線30と、機器20ごとに対応して設けられた複数のモデム(電源重畳通信モデム)10とから構成されている。
図1では、これら機器20間のデータ通信を制御する1つの親機21(#0)と、この親機21によるトークンパッシング方式などの通信制御に基づきデータ通信を行うN(Nは2以上の整数)個の子機22とが設けられており、これら親機21および子機22ごとに、合わせてN+1個のモデム10(#0〜#N)が設けられている。
【0017】
本実施の形態は、このような電源重畳通信システム1において、配線30により各モデム10を互いにカスケード接続し、それぞれのモデム10が、配線30を介して前段モデムから供給された電源を自己の対応機器20に供給するとともに、配線30を介して後段モデムに供給するようにしたものである。なお、前段モデムとは、任意のモデム10から見て親機21側に接続された隣接モデムのことであり、後段モデムとは、任意のモデム10から見て親機21とは反対側に接続された隣接モデムのことである。
【0018】
また、本実施の形態は、それぞれのモデム10が、対応機器20から入力された低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、配線30上の電源に重畳して前段モデムまたは後段モデムへ送信し、前段モデムまたは後段モデムから送信された高帯域通信信号を配線30上の電源から分離して、低帯域通信信号に復調した後、対応機器20へ出力することにより、配線30を介した対応機器20のデータ通信を実現するようにしたものである。
【0019】
本実施の形態では、低帯域通信信号が4.8Kbpsの信号からなり、高帯域通信信号が500Kbpsからなるものとし、配線30の総配線長を1.0Kmとし、カスケード接続可能な接続子機数を50とし、供給電源が100VACからなる場合を例に説明する。なお、これら前提条件は単なる一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。
【0020】
[本発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。
機器を接続する配線に関する配線工事全体で必要とされるコストを削減するための効果的な方法として、電源配線と通信配線とを一本化する方法が考えられる。この一本化が実現されれば、配線の線材コストだけでなく配線工事の作業負担も大幅に削減されるからである。この一本化の具体的な実現方法としては、電源に通信信号を重畳させる電源重畳通信が一般的である。
【0021】
図2は、LCフィルタを用いた電源重畳通信システムの構成例である。電源に通信信号を重畳させる方式として、LCフィルタを用いる方式が、最も簡素な構成の1つである。しかし、既存機器の低帯域通信信号が4.8Kbpsと信号周波数が低いため、AC電源から通信信号を分離するには、LCフィルタとして数H程度のコイルLが必要となる。また、機器に供給する電源電流が数Aとなるため、コイルLが極めて大きくなり、一般的で安価な市販品には存在しない。さらに、AC電源がコイルLを通過する際に発生する損失が大きくなるため、この損失による発熱も大きくなる。
【0022】
したがって、コイルLを小型化してLCフィルタを設計しやすくするには、電源に重畳させる通信信号を、低帯域通信信号より高い通信速度(周波数)の高帯域通信信号に変換する必要がある。この際、電源に重畳する通信信号として高帯域通信信号を用いる場合、周波数が高いほど通信距離が短くなるため、最大配線長1.0Kmの場合の信号減衰や、自己放射雑音を考慮して、高帯域通信信号の通信速度や符号化方式を決定する必要がある。
【0023】
ここで、例として高帯域通信信号の通信速度を500Kbpsとし、符号化方式としてマンチェスター符号化方式とした場合について検討する。
図3は、マンチェスター符号化方式を示す信号波形例である。マンチェスター(Manchester)符号化方式は、図3に示すように、ビットごとに電位レベルを切り替える符号化方式であり、500Kbpsの通信帯域における最大周波数は約500KHzとなる。
【0024】
配線用のケーブルとして弱電計装用の一般的なシールドケーブル(IPEV−S/0.5mm2)を想定した場合、500KHzの通信信号が1Kmの通信距離において減衰する減衰量は、約21.5dBとなる。この減衰量は、受信感度が40〜50dBの既存機器において対応可能な値であり、より減衰量の大きいケーブルを採用したとしても、ある程度の余裕があることがわかる。
【0025】
また、LCフィルタにおいて、コンデンサCの抵抗成分はZC=1/2ΠfCで求められるが、ケーブル特性インピーダンス(約100Ω)の1/10倍以上であることが望ましいとされている。f=500KHzの場合、C=0.032μFとなる。
一方、コイルLの抵抗成分は、ZL=2ΠfLで求められるが、ケーブル特性インピーダンス(約100Ω)の100倍以上であることが望ましいとされている。f=500KHzの場合、L=3.2mHとなる。
【0026】
本発明は、以上のような試算結果に鑑み、電源に重畳する通信信号として、既存機器の低帯域通信信号より通信速度の高い高帯域通信信号を用いることにより、最大配線長の通信距離に対応しつつ、LCフィルタの時定数L,Cを高くすることができ、これによりLCフィルタの小型化さらには低コスト化を実現したものである。また、本発明では、既存機器の利用を前提としているため、既存機器と配線との間に電源重畳通信用のモデムを設け、このモデムにより既存機器の低帯域通信信号と高帯域通信信号とを相互に変復調するようにしたものである。
【0027】
一方、電源に通信信号を重畳する場合、配線容量の増加に応じて通信信号が減衰する。図4は、マルチドロップ形式のネットワークトポロジーを示す説明図である。図4に示したネットワークトポロジーは、配線に対して各機器が並列的に接続されるマルチドロップ形式である。このようなマルチドロップ形式では、配線に接続される機器の増加に応じて、機器の入力容量Cinが配線に接続されることになるため、配線容量が増加することになり、高帯域通信信号が減衰しやすくなるという悪影響が無視できなくなる。また、配線の両端に終端抵抗Rを接続する必要があるため、配線時の作業負担が増大する要因にもなる。
【0028】
本発明は、このようなネットワークトポロジーに由来する影響に鑑み、ポイントツーポイント形式を採用することとした。図5は、ポイントツーポイント形式を示す説明図である。ポイントツーポイント形式によれば、2つのノード間が独立した配線により1対1で接続されることになるため、例えば子機が増加しても配線容量は増加せず、高帯域通信信号が減衰しやすくなることもない。
【0029】
このようなポイントツーポイント形式を用いる通信方式の代表として、Ethernet(登録商標)の100BASE−TX(100Mbps)があるが、一般的な100BASE−TX用回路は比較的コストが高い。
ここで、空調システムなどの一般的な監視システムでは、100Mbpsほど高い通信帯域を必要としない。また、図5に示すように、ポイントツーポイント形式は、配線を終端するためのバランストランスと、このバランストランスを駆動するためのドライバ回路とから構成されており、基本回路構成が比較的シンプルである。
【0030】
また、バランストランスを用いているため配線上の通信信号は平衡信号となり、コモン雑音の影響を受けにくいだけでなく、自身からの妨害放射も少ないため、厳密な回路を必要するものではない。
本発明では、このような観点から、ドライバ回路としては、汎用のCPUに搭載されている標準シリアルポートUARTと親和性の高いRS−485用の安価な市販のドライバ回路を利用し、モデム間で2線式半二重のシリアルデータ通信を行うようにしたものである。
【0031】
[モデム]
次に、図6を参照して、本実施の形態にかかるモデム10の構成について詳細に説明する。図6は、第1の実施の形態にかかるモデムの構成を示すブロック図である。
このモデム10(#i,i=0〜Nの整数)には、主な回路部として、低帯域通信I/F部11、信号変復調部(CPU)12、高帯域通信I/F部13、および重畳・分離部14が設けられている。
【0032】
低帯域通信I/F部11は、低帯域通信信号(4.8Kbps)用のI/F回路からなり、低帯域通信信号を用いて当該モデム10と対応する対応機器20との間でデータ通信を行う機能を有している。この低帯域通信I/F部11には、スレーブI/F部11AとマスターI/F部11Bが設けられている。
【0033】
スレーブI/F部11Aは、対応機器20が親機21である場合に用いられて、親機21に搭載されているマスターI/F部との間で、端子SINを介して低帯域通信信号をやり取りする機能を有している。マスターI/F部11Bは、対応機器20が子機22である場合に用いられて、子機22に搭載されているマスターI/F部との間で、端子SOUTを介して低帯域通信信号をやり取りする機能を有している。なお、スレーブI/F部11AとマスターI/F部11Bは、いずれか一方が用いられ、両方に親機21および子機22が接続されることはない。
【0034】
信号変復調部12は、CPUからなり、低帯域通信I/F部11で扱う低帯域通信信号(4.8Kbps)と高帯域通信I/F部13で扱う高帯域通信信号(500Kbps)とを相互に変復調する機能を有している。図7は、信号変復調部の動作を示す説明図である。ここでは、低帯域通信信号(4.8Kbps)から高帯域通信信号(500Kbps)への変換処理が符号化処理とされ、高帯域通信信号(500Kbps)から低帯域通信信号(4.8Kbps)への変換処理が復号処理とされている。
【0035】
この信号変復調部12には、標準シリアルポートUARTからなるシリアルポートUART1,UART2が設けられている。シリアルポートUART1は、前段モデム10Aとやり取りする高帯域通信信号を高帯域通信I/F部13との間で送受信する機能を有している。シリアルポートUART2は、後段モデム10Bとやり取りする高帯域通信信号を高帯域通信I/F部13との間で送受信する機能を有している。
【0036】
また、信号変復調部12は、対応機器20が親機21の場合には、スレーブI/F部11Aを介して親機21とやり取りする低帯域通信信号を、後段モデム10Bとやり取りする高帯域通信信号と相互に変復調する機能と、対応機器20が子機22の場合には、マスターI/F部11Bを介して子機22とやり取りする低帯域通信信号を、前段モデム10Aとやり取りする高帯域通信信号、および、後段モデム10Bとやり取りする高帯域通信信号と相互に変復調するとともに、前段モデム10Aとやり取りする高帯域通信信号と後段モデムとやり取りする高帯域通信信号とを変復調せずに中継転送する機能とを有している。
【0037】
高帯域通信I/F部13は、高帯域通信信号を用いて前段モデム10Aまたは後段モデム10Bとの間でデータ通信を行う機能を有している。この高帯域通信I/F部13には、RS−485用のドライバ回路U1,U2、バラントランスT1,T2、およびリレーRLが設けられている。
【0038】
ドライバ回路U1は、UART1の送信端子TXから出力された高帯域通信信号を、バラントランスT1を介して前段モデム10Aへ送信する機能と、前段モデム10AからバラントランスT1を介して受信した高帯域通信信号を、UART1の受信端子RXへ入力する機能とを有している。
【0039】
ドライバ回路U2は、UART2の送信端子TXから出力された高帯域通信信号を、バラントランスT2を介して後段モデム10Bへ送信する機能と、後段モデム10BからバラントランスT2を介して受信した高帯域通信信号を、UART2の受信端子RXへ入力する機能とを有している。
【0040】
リレーRLは、当該モデム10や対応機器20で動作異常や停電が発生した場合、前段モデム10Aとやり取りする高帯域通信信号と後段モデム10Bとやり取りする高帯域通信信号とを、バラントランスT1,T2に入力される手前でバイパス接続する機能を有している。これにより、任意のモデム10や対応機器20の不具合による、他のモデム10や対応機器20への影響を回避することができる。
【0041】
重畳・分離部14は、配線30を介して前段モデム10Aから供給された前段電源を、対応機器20に電源供給するとともに、配線30を介して後段モデム10Bへ後段電源として電源供給する機能と、高帯域通信I/F部13から出力された高帯域通信信号を前段電源または後段電源に重畳し、前段電源または後段電源から分離した高帯域通信信号を高帯域通信I/F部13へ出力する機能とを有している。
【0042】
この重畳・分離部14には、コイルL1,L2と、コンデンサC1,C2,C3,C4とが設けられている。コイルL1は、前段モデム10Aが接続される端子S/PINから入力された前段電源を高帯域通信信号から分離して、対応機器20が接続される電源端子PWへ供給する機能を有している。コイルL2は、前段モデム10Aが接続される端子S/PIN入力された前段電源を高帯域通信信号から分離して、後段モデム10Bが接続される端子S/POUTから出力される後段電源として供給する機能を有している。
【0043】
コンデンサC1,C2は、端子S/PINから入力された前段電源から高帯域通信信号を分離してバラントランスT1へ入力するとともに、バラントランスT1から出力された高帯域通信信号を前段電源へ重畳する機能を有している。コンデンサC3,C4は、端子S/POUTから出力される後段電源から高帯域通信信号を分離してバラントランスT2へ入力するとともに、バラントランスT2から出力された高帯域通信信号を後段電源へ重畳する機能を有している。
【0044】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図1および図6を参照して、本実施の形態にかかる電源重畳通信システム1およびモデム10の動作について説明する。
【0045】
[電源供給]
まず、子機#1〜#N(22)の動作に用いる電源、例えばAC100Vの供給について説明する。なお、親機#0(21)の電源は、モデム#0を介すことなく別個に供給される
親機#0のモデム#0において、電源端子PWから入力された電源が、重畳・分離部14のコイルL1,L2および端子S/POUTを介して配線30に出力され、モデム#0の後段モデムに相当する子機#1のモデム#1への後段電源として供給される。
【0046】
一方、子機#1のモデム#1において、前段モデム#0から供給された前段電源は、配線30から端子S/PINに入力され、重畳・分離部14のコイルL1および電源端子PWを介して子機#1に供給されるとともに、コイルL2および端子S/POUTを介して配線30に出力され、モデム#1の後段モデム#2への後段電源として供給される。
このようにして、各子機#1〜#Nの電源は、親機#0のモデム#0から配線30および各子機#1〜#Nのモデム#1〜#Nを介して順に供給される。
【0047】
[通信信号]
次に、親機#0(21)および子機#1〜#N(22)でのデータ送受信における通信信号の流れについて説明する。
【0048】
[親機#0での送受信]
まず、親機#0での送信動作における通信信号の流れについて説明する。
親機#0から送信された低帯域通信信号は、モデム#0の端子SINを介して低帯域通信I/F部11のスレーブI/F部11Aに入力され、スレーブI/F部11Aの送信端子TXから信号変復調部12に入力される。ここで、この低帯域通信信号は、高帯域通信信号に符号化された後、UART2の送信端子TXから出力され、高帯域通信I/F部13のドライバ回路U2およびバラントランスT2を介して重畳・分離部14に入力される。この後、この高帯域通信信号は、コンデンサC3,C4を介してコイルL2からの後段電源に重畳された後、端子S/POUTを介して配線30に出力され、子機#1の後段モデム#1へ送信される。
【0049】
次に、親機#0での受信動作における通信信号の流れについて説明する。
親機#0のモデム#0において、端子S/POUTから供給している後段電源に対して、子機#1の後段モデム#1が重畳した高帯域通信信号は、重畳・分離部14のコンデンサC3,C4により後段電源から分離され、高帯域通信I/F部13のバラントランスT2およびドライバ回路U2を介して、信号変復調部12のUART2の受信端子RXに入力される。ここで、この高帯域通信信号は、低帯域通信信号に復調された後、低帯域通信I/F部11のスレーブI/F部11Aの受信端子RXに入力され、端子SINを介して親機#0へ出力される。
【0050】
[子機#iでの送受信]
まず、子機#iでの送信動作における通信信号の流れについて説明する。
子機#1から送信された低帯域通信信号は、モデム10の端子SOUTを介して低帯域通信I/F部11のマスターI/F部11Bに入力され、マスターI/F部11Bの送信端子TXから信号変復調部12に入力される。ここで、この低帯域通信信号は、高帯域通信信号に符号化された後、UART1の送信端子TXから高帯域通信I/F部13のドライバ回路U1およびバラントランスT1を介して重畳・分離部14に入力される。この後、この高帯域通信信号は、コンデンサC1,C2を介して端子S/PINからの前段電源に重畳された後、端子S/PINを介して配線30に出力され、親機#0または子機#i−1の前段モデム#i−1へ送信される。
【0051】
この際、信号変復調部12で得られた高帯域通信信号は、UART2の送信端子TXから高帯域通信I/F部13のドライバ回路U2およびバラントランスT2を介して重畳・分離部14にも入力される。この後、この高帯域通信信号は、コンデンサC3,C4を介してコイルL2からの後段電源に重畳された後、端子S/POUTを介して配線30に出力され、子機#i+1の後段モデム#i+1へ送信される。
【0052】
次に、子機#iでの受信動作における通信信号の流れについて説明する。
子機#iのモデム#iにおいて、配線30から端子S/PINに入力される前段電源に対して、親機#0または子機#i−1の前段モデム#i−1が重畳した高帯域通信信号は、重畳・分離部14のコンデンサC1,C2により前段電源から分離され、高帯域通信I/F部13のバラントランスT1およびドライバ回路U1を介して、信号変復調部12のUART1の受信端子RXに入力される。ここで、この高帯域通信信号は、低帯域通信信号に復調された後、低帯域通信I/F部11のマスターI/F部11Bの受信端子RXに入力され、端子SOUTを介して子機#iへ出力される。
【0053】
この際、UART1の受信端子RXに入力された高帯域通信信号は、変復調されることなくUART2の送信端子TXにも中継転送され、高帯域通信I/F部13のドライバ回路U2およびバラントランスT2を介して重畳・分離部14に入力される。この後、この高帯域通信信号は、コンデンサC3,C4を介してコイルL2からの後段電源に重畳された後、端子S/POUTを介して配線30に出力され、子機#i+1の後段モデム#i+1へ送信される。
【0054】
一方、子機#iのモデム#iにおいて、配線30から端子S/POUTに入力される後段電源に対して、子機#i+1の後段モデム#i+1が重畳した高帯域通信信号は、重畳・分離部14のコンデンサC3,C4により前段電源から分離され、高帯域通信I/F部13のバラントランスT2およびドライバ回路U2を介して、信号変復調部12のUART2の受信端子RXに入力される。ここで、この高帯域通信信号は、低帯域通信信号に復調された後、低帯域通信I/F部11のマスターI/F部11Bの受信端子RXに入力され、端子SOUTを介して子機#iへ出力される。
【0055】
この際、UART2の受信端子RXに入力された高帯域通信信号は、変復調されることなくUART1の送信端子TXにも中継転送され、高帯域通信I/F部13のドライバ回路U1およびバラントランスT1を介して重畳・分離部14に入力される。この後、この高帯域通信信号は、コンデンサC1,C2を介して端子S/POUTからの前段電源に重畳された後、端子S/PINを介して配線30に出力され、親機#0または子機#i−1の前段モデム#i−1へ送信される。
【0056】
なお、最後端に接続されているモデム#Nでは、端子S/POUTに後段モデム10Bが接続されていないため、モデム#N−1からの前段電源から分離した高帯域通信信号は、低帯域通信信号に復調されて子機#Nで受信されるだけとなり、後段モデムへの中継転送は行われない。また、モデム#Nからの低帯域通信信号の送信時にも、符号化して得られた高帯域通信信号は、モデム#N−1からの前段電源に重畳されて送信されるだけであり、後段電源に重畳されて送信されることはない。
【0057】
このようにして、親機#0から送信された低帯域通信信号は、モデム#0で高帯域通信信号に符号化された後、配線30の電源上に重畳され、隣接する後段モデム#1でこの電源から分離された高帯域通信信号が、低帯域通信信号に復調されて子機#1で受信される。さらに、この高帯域通信信号は、変復調されることなく高帯域通信信号のまま、モデム#1からさらに後段のモデム#2へ中継転送されて子機#2で受信される。これにより、親機#0から送信された低帯域通信信号は、高帯域通信信号に符号化された後、子機#1〜#Nへ順に中継転送されることになる。
【0058】
また、子機#iから送信された低帯域通信信号は、モデム#iで高帯域通信信号に符号化された後、配線30の電源上に重畳され、隣接する前段モデム#i−1および後段モデムi+1でこの電源から分離された高帯域通信信号が、低帯域通信信号に復調されて子機#i−1,#i+1で受信される。さらに、この高帯域通信信号は、変復調されることなく高帯域通信信号のまま、モデム#i−1からさらに前段のモデム#i−2へ中継転送されて子機#i−2で受信されるとともに、モデム#i+1からさらに後段のモデム#i+2へ中継転送されて子機#i+2で受信される。これにより、子機#iから送信された低帯域通信信号は、前段の子機#i−1〜#1および親機#0へ順に中継転送されるとともに、後段の子機#i+1〜#Nへ順に中継転送されることになる。
【0059】
なお、従来のマルチドロップ形式では、任意の機器から配線上に送信された通信信号は、すべての機器に配信される。本実施の形態では、モデム10の信号変復調部12で、受信した高帯域通信信号を隣接するモデム10へ中継転送するようにしたので、従来の方式を踏襲することができる。これにより、各モデム10では、宛先アドレスにかかわらず、受信したすべての通信信号を対応機器20へ出力することになるが、対応機器20では、受信した通信信号に含まれる宛先アドレスにより、自己宛てか否か判定し、自己宛てである場合には取り込んで処理し、自己宛てでない場合には破棄している。
【0060】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、機器20ごとに対応して複数のモデム10を設けて、配線30により互いにカスケード接続し、このモデム10が、配線30を介して前段モデム10Aから供給された電源を自己の対応機器20に供給するとともに、配線30を介して後段モデム10Bに供給し、対応機器20から入力された低帯域通信信号を、当該低帯域通信信号より通信速度が高い高帯域通信信号に変調して、配線30上の電源に重畳して前段モデム10Aまたは後段モデム10Bへ送信し、前段モデム10Aまたは後段モデム10Bから送信された高帯域通信信号を配線30上の電源から分離して、低帯域通信信号に復調した後、対応機器20へ出力することにより、配線30を介した対応機器20のデータ通信を実現するようにしたものである。
【0061】
これにより、各機器20に電源を供給するための電源配線と、機器20間でデータ通信を行う通信配線とを、一本化することができる。また、モデム10により機器20と配線30とのインターフェースをとるようにしたので、既存の機器20を利用することができる。このため、同じ経路で通信配線と電源配線を二重に配線する場合と比較して、配線の線材コストだけでなく配線工事の作業負担も軽減でき、結果として配線工事全体で必要とされるコストを削減することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態では、機器20の低帯域通信信号をモデム10で高帯域通信信号に符号化して、配線30上の電源に重畳するようにしたので、電源と通信信号の分離に必要となるLCフィルタの時定数L,Cを高くすることができ、LCフィルタの小型化さらには低コスト化を実現することが可能となる。
【0063】
[第2の実施の形態]
次に、図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システム1について説明する。図8は、第2の実施の形態にかかる機器の構成を示すブロック図である。
【0064】
第1の実施の形態では、機器20と配線30との間にモデム10を設け、このモデム10により、機器20が扱う低帯域通信信号と、電源に重畳する高帯域通信信号との間の、変復調を行う場合を例として説明した。
ここで、モデム10における通信信号の変復調処理については、CPUで実現可能であるため、機器20のCPUでも実現可能であることがわかる。
【0065】
本実施の形態は、このような観点から、前述した図6のモデム10で説明した高帯域通信I/F部13と重畳・分離部14を、機器20内に設けたものである。これにより、モデム10を省くことができる。また、機器20間でやり取りするデータ量を増やすことができ、より高度な監視・制御にも対応することができる。
【0066】
また、本実施の形態にかかる次世代機器20については、既存機器20にモデム10を接続したものと、同一通信システムにおいて混用することができる。このため、すでに設置されている既存機器20については、すべて次世代機器20にリプレースしてもよいが、すでに設置されている既存機器20を利用する際は、モデム10を追加設置するものとし、新規に機器20を設置する場合にのみ、次世代機器20を設置すればよい。これにより、設備コストの増大を抑制しつつ、通信システムを刷新することが可能となる。
【0067】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…電源重畳通信システム、10…モデム、10A…前段モデム、10B…後段モデム、11…低帯域通信I/F部、11A…スレーブI/F部、11B…マスターI/F部、12…信号変復調部、13…高帯域通信I/F部、14…重畳・分離部、U1,U2…ドライバ回路、T1,T2…バラントランス、RL…リレー、L1,L2…コイル、C1,C2,C3,C4…コンデンサ、20…機器、21…親機、22…子機、30…配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8