【解決手段】ワイヤレス給電装置100は、電源110から電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイル131を含む給電コイル部130と、給電コイル部130の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドーム140と、を備え、電磁気遮蔽ドーム140は、給電コイル部130が配置される底部141と、当該底部141の外縁に沿って立設される側壁部142(第一〜第四側壁部143,144,145,146)と、給電コイル部130を間に介在して、底部141と対向する蓋部147と、を含み、第一側壁部143は、交流磁界を介して、給電コイル131から電力を受電する受電コイル211を含む受電コイル部210が侵入可能な侵入開口部を有している。
前記電磁気遮蔽ドーム内に、前記給電コイルと磁気結合し、前記給電コイルからの電力をワイヤレスで前記受電コイルに伝送する中継コイルをさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のワイヤレス給電装置。
前記コイル保持部は、前記受電コイル部を前記電磁気遮蔽ドーム内の空間と外部空間との間を移動させることを特徴とする請求項10に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、給電用共鳴器の周囲に配設される電磁気遮蔽材と受電用共鳴器の周囲に配設される電気遮蔽材との間の領域から外部に電磁ノイズが漏洩してしまうという課題が依然として残っていた。
【0007】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制したワイヤレス給電装置およびワイヤレス電力伝送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が鋭意研究した結果、上記目的を達成するために、給電コイル部の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドームをもち、電力伝送時には、受電コイル部が電磁気遮蔽ドームの中に格納された状態で電力伝送されることにより、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できることが見出されたため、以下の技術的手段を採用するに至った。
【0009】
本発明に係るワイヤレス給電装置は、ワイヤレス受電装置にワイヤレスで電力を伝送するワイヤレス給電装置であって、電源からの電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイルを含む給電コイル部と、給電コイル部の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドームと、を備え、電磁気遮蔽ドームは、給電コイル部が配置される底部と、当該底部の外縁に沿って立設される側壁部と、給電コイル部を間に介在して、底部と対向する蓋部と、を含み、側壁部は、交流磁界を介して、給電コイルから電力を受電する受電コイルを含む受電コイル部が侵入可能な侵入開口部を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、給電コイル部の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドームを備え、電磁気遮蔽ドームは、給電コイル部が配置される底部と、当該底部の外縁に沿って立設される側壁部と、給電コイル部を間に介在して、底部と対向する蓋部と、を含み、側壁部は、交流磁界を介して、給電コイルから電力を受電する受電コイルを含む受電コイル部が侵入可能な侵入開口部を有している。そのため、給電コイル部と受電コイル部のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズを抑制できるとともに、給電コイル部と受電コイル部の間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズも抑制することができる。したがって、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できる。
【0011】
好ましくは、給電コイル部への電力の供給を制御する給電制御部と、侵入開口部を通過する受電コイル部を検知するコイル侵入検知部をさらに備え、給電制御部は、コイル侵入検知部が受電コイル部を検知したとき、給電コイル部への電力の供給を開始するとよい。この場合、受電コイル部が電磁気遮蔽ドーム内に存在するときに電力伝送が行われるため、電磁ノイズの漏洩を確実に抑制することができるとともに、効率的な給電動作が実現できる。
【0012】
好ましくは、側壁部は、受電コイル部が退出可能な退出開口部を有し、蓋部は、侵入開口部と退出開口部とを連結するスリットを有しているとよい。この場合、電磁気遮蔽ドーム内への受電コイル部の出入りを同じ部分でなく、異なる部分とすることができる。また、蓋部が侵入開口部と退出開口部を連結するスリットを有していることから、電磁気遮蔽ドーム内における受電コイル部の保持・移動を円滑に行うことができる。したがって、走行中給電にも適用することができる。
【0013】
好ましくは、退出開口部を通過する受電コイル部を検知するコイル退出検知部をさらに備え、給電制御部は、コイル退出検知部が受電コイル部を検知したとき、給電コイル部への電力供給を停止するとよい。この場合、受電コイル部が電磁気遮蔽ドーム内に存在するときに電力伝送が行われるため、電磁ノイズの漏洩を確実に抑制することができるとともに、効率的な給電動作が実現できる。
【0014】
好ましくは、給電コイルは、スリットの延在方向に沿って配置される複数のコイルを有するとよい。この場合、走行中給電において、受電コイルに複数のコイルから電力の給電が行われるため、給電時間を長くすることができる。
【0015】
好ましくは、電磁気遮蔽ドーム内における受電コイル部の存在の有無を検知する受電コイル検知部と、侵入開口部を開閉自在に覆う第一シャッターと、退出開口部を開閉自在に覆う第二シャッターと、第一および第二シャッターの開閉動作を制御するシャッター制御部とをさらに備え、シャッター制御部は、受電コイル検知部が受電コイル部を検知したとき、第一および第二シャッターを閉じるとよい。この場合、給電コイル部と受電コイル部の周囲全体を電磁気遮蔽ドームにより覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの漏洩を一層確実に抑制することができる。
【0016】
好ましくは、侵入開口部の前方における受電コイル部の存在の有無を検知する受電コイル存在検知部をさらに備え、シャッター制御部は、受電コイル存在検知部が受電コイル部を検知したとき、第一および第二シャッターを開くとよい。この場合、受電コイル部が侵入開口部の前方に存在しないときは第一および第二シャッターを閉じておくことができるため、電力伝送しないときに電磁気遮蔽ドーム内に異物が混入することを防ぐことができる。
【0017】
好ましくは、侵入開口部の前方における受電コイル部の位置を検知する受電コイル位置検知部と、電磁気遮蔽ドームを移動させる移動動作部をさらに備え、移動動作部は、受電コイル位置検知部が検知した受電コイル部の位置に侵入開口部が合うように、電磁気遮蔽ドームを移動させるとよい。この場合、受電コイル部を電磁気遮蔽ドーム内へ確実に導くことができる。
【0018】
好ましくは、電磁気遮蔽ドーム内に、給電コイルと磁気結合し、給電コイルからの電力をワイヤレスで受電コイルに伝送する中継コイルをさらに備えるとよい。この場合、給電コイルと受電コイルの相対位置が多少ずれたとしても、中継コイルにより電力伝送効率の低下を防ぐことができる。したがって、高い電力伝送効率を維持しながら、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0019】
本発明に係るワイヤレス電力伝送システムは、上記ワイヤレス給電装置と、ワイヤレス受電装置と、を備え、ワイヤレス受電装置は、交流磁界を介して給電コイルから電力を受電する受電コイルを含む受電コイル部と、受電コイル部を支持するコイル保持部と、受電コイル部が電磁気遮蔽ドーム内に存在するとき、侵入開口部を塞ぐ電磁気遮蔽板を備えていることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、給電コイル部と受電コイル部のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズを抑制できるとともに、給電コイル部と受電コイル部の間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズも抑制することができる。したがって、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できる。また、給電コイル部と受電コイル部の周囲全体を電磁気遮蔽ドームおよび電磁気遮蔽板により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩をより一層確実に抑制することができる。
【0021】
好ましくは、コイル保持部は、受電コイル部を電磁気遮蔽ドーム内の空間と外部空間との間を移動させるとよい。この場合、非電力伝送時において、ワイヤレス受電装置に搭載される受電コイル部が突出することが抑制されるため、受電コイル部が他の障害物と接触することによる破損を防止できる。
【0022】
本発明に係るワイヤレス電力伝送システムは、上記ワイヤレス給電装置と、ワイヤレス受電装置と、を備えることを特徴とする。本発明によれば、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制したワイヤレス電力伝送システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制したワイヤレス給電装置およびワイヤレス電力伝送システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図8を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームと受電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームと受電コイル部を拡大して示す斜視図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの受電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
図6は、
図1において、電力伝送する際のワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
図7は、
図3において、電力伝送する際の電磁気遮蔽ドーム内の様子を示す模式構成図である。
図8は、
図4において、電力伝送する際の電磁気遮蔽ドームの様子を示す斜視図である。
【0027】
ワイヤレス電力伝送システム10は、
図1に示されるように、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。本実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用した例を用いて説明する。すなわち、ワイヤレス給電装置100は、地上に配設される給電設備に搭載され、ワイヤレス受電装置200は、移動体に搭載されることとなる。
【0028】
ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、コイル侵入検知部150と、給電制御部160と、を有する。このワイヤレス給電装置100は、地上に配設され、ワイヤレス受電装置200にワイヤレスで電力を伝送する装置である。
【0029】
電源110は、直流電力を後述するインバータ120に供給する。電源110としては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータなどのスイッチング電源装置などが挙げられる。
【0030】
インバータ120は、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換する機能を有している。本実施形態では、インバータ120は、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換し、後述する給電コイル部130に供給する。インバータ120としては、図示しない複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。
【0031】
給電コイル部130は、インバータ120から供給された交流電力を後述する受電コイル部210に給電する機能を有する。本実施形態のように、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用した場合、給電コイル部130は、後述する電磁気遮蔽ドーム140の底部141に配設されることとなる。この給電コイル部130は、
図2に示されるように、給電コイル131と、磁性体132と、給電側共振コンデンサ133と、を有し、給電コイル131と磁性体132が絶縁性を有する筺体134によってパッケージングされている。なお、給電コイル部130は、給電コイル131のみから構成されていてもよく、給電コイル131と磁性体132から構成されていてもよい。
【0032】
給電コイル131は、電源110からの電力を受けて交流磁界を発生させる。具体的には、給電コイル131は、インバータ120から所定の駆動周波数の交流電圧が供給されると、交流電流が流れて交流磁界を発生させる。この給電コイル131は、銅やアルミニウムなどのリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、給電コイル131の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。
【0033】
磁性体132は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体132は、給電コイル131が効率良く磁界を発生するための機能を果たす。給電コイル131を平面コイルで構成する場合、磁性体132は、給電コイル131の後述する受電コイル211と対向する面とは反対側である給電コイル131の背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体132と給電コイル131の間には、絶縁性のシート(図示しない)が設置されていてもよい。一方、給電コイル131をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体132は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体132を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に給電コイル131の導線を巻回するようにしてもよい。この磁性体132としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
【0034】
給電側共振コンデンサ133は、給電コイル131と接続されており、給電コイル131とともに給電側LC共振回路を形成している。給電側共振コンデンサ133は、給電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この給電側共振コンデンサ133は、給電コイル131に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、給電側LC共振回路の共振周波数を後述する受電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、
図2に示す給電側共振コンデンサ133は、説明の簡略化のため、筐体134から離間して配置されているかのように示しているが、実際は、筐体134の外表面に設置されることとなる。また、本実施形態では、給電側共振コンデンサ133は、筐体134の外部に配置されているが、給電コイル131および磁性体132とともに、筐体134の内部に収容しても構わない。
【0035】
電磁気遮蔽ドーム140は、電磁気を遮蔽する材料から構成されていれば特に制限されず、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、給電コイル部130の周囲を覆うように配設されている。具体的には、電磁気遮蔽ドーム140は、
図3および
図4に示すように、給電コイル部130が設置される底部141と、底部141の外縁に沿って立設される側壁部142と、給電コイル部130を間に介在して、底部141と対向する蓋部147とを含んで構成されている。本実施形態では、側壁部142は、第一〜第四側壁部143,144,145,146から構成され、第一側壁部143と第二側壁部144が対向し、第三側壁部145と第四側壁部146が対向するように配置されている。つまり、電磁気遮蔽ドーム140は、箱状を呈している。ここで、第一〜第四側壁部143,144,145,146の高さは、電力伝送する際に、後述する受電コイル部210を格納できる高さであればよく、後述する受電コイル部210の給電コイル部130と対向する面とは反対側の面を越える高さであるとより好ましい。この場合、給電コイル部130と後述する受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズおよび給電コイル部130と後述する受電コイル部210との間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズの抑制効果を向上させることができる。このように構成される電磁気遮蔽ドーム140の外観形状は、立方体形状や直方体形状や円柱形状が挙げられ、底部141が給電コイル131および磁性体132を収容する筐体134と相似形状であるとより好ましい。
【0036】
第一側壁部143は、交流磁界を介して、給電コイル131から電力を受電する後述する受電コイル211を含む受電コイル部210が侵入可能な侵入開口部を有している。つまり、給電コイル131との間で電力の伝送が行われる後述する受電コイル211を含む受電コイル部210が侵入可能な侵入開口部を有している。第一側壁部143の侵入開口部は、第一側壁部143における鉛直上方寄りの位置であって、後述する受電コイル部210が地面に対して平行移動することで電磁気遮蔽ドーム140内に侵入可能な高さに設けられている。また、第一側壁部143の侵入開口部の大きさは、後述する受電コイル部210をスムーズに電磁気遮蔽ドーム140内に導くという観点から、後述する受電コイル部210の大きさよりも大きく設定されている。
【0037】
コイル侵入検知部150は、第一側壁部143の侵入開口部を通過する後述する受電コイル部210を検知している。具体的には、コイル侵入検知部150は、第一側壁部143の侵入開口部を通過する後述する受電コイル部210を検知すると、後述する受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に侵入したことを示す信号を後述する給電制御部160に出力する。本実施形態では、コイル侵入検知部150は、電磁気遮蔽ドーム140の内部であって、第一側壁部143の侵入開口部付近に設けられている。このコイル侵入検知部150としては、光センサや超音波センサのような非接触式のセンサであってもよく、マイクロスイッチのような接触式のセンサが、後述する受電コイル部210の外縁に接触することによって検知するものであってもよい。
【0038】
給電制御部160は、インバータ120の給電動作を制御する機能を有する。具体的には、給電制御部160は、インバータ120を構成するスイッチング素子のスイッチング動作を制御している。言い換えれば、給電制御部160は、給電コイル部130への電力の供給を制御する役割を担っている。本実施形態では、給電制御部160は、コイル侵入検知部150が後述する受電コイル部210を検知したとき、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。つまり、給電制御部160は、コイル侵入検知部150からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始させる。また、給電制御部160は、インバータ120の給電動作が駆動中、すなわちワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送中に、コイル侵入検知部150が後述する受電コイル部210を検知すると、インバータ120の給電動作を停止(給電動作OFF)させるように制御する機能も有する。つまり、給電制御部160により、後述する受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に存在している場合にのみ、給電コイル部130への電力の供給が行われることとなる。これにより、電磁ノイズの漏洩を確実に抑制することができるとともに、効率的な給電動作が実現できる。
【0039】
ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、コイル保持部230と、電磁気遮蔽板240と、を有する。このワイヤレス受電装置200は、移動体に搭載され、ワイヤレス給電装置100から給電された電力を受電する機能を有している。ここで、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)などの車両が挙げられる。車両は、運転者や乗員が座る座席空間とワイヤレス受電装置200および充電部510や蓄電部520やモータ部530などの負荷500が搭載される空間を含む車体と、車体前方下部に懸架されている左右の前輪と、車体後方下部に懸架されている左右の後輪を有し、左右の前輪は、車輪の略中心を貫通する前輪軸によって回動可能に支持されており、左右の後輪は、車輪の略中心を貫通する後輪軸によって回動可能に支持されている。そして、これらの車輪が回動することにより、車両に推進力が生まれ、車両が所定の進行方向に移動可能となる。なお、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体としては、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両だけではなく、工場内で物品等を搬送する走行車や移動ロボットなども挙げられる。また、本実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用しているがこれに限られることなく、例えばワイヤレス電力伝送システム10を、車輪を持たず、外部の駆動手段によって移動するエレベータへの給電設備に適用した場合、ワイヤレス受電装置200はエレベータかごに搭載されることとなる。
【0040】
受電コイル部210は、ワイヤレス給電装置100から給電された交流電力を受電する機能を有する。本実施形態のように、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用した場合、受電コイル部210は、後述するコイル保持部230を介して移動体下部に搭載されることとなる。この受電コイル部210は、
図5に示されるように、受電コイル211と、磁性体212と、受電側共振コンデンサ213と、を有し、受電コイル211と磁性体212が絶縁性を有する筐体214によってパッケージングされている。なお、受電コイル部210は、受電コイル211のみから構成されていてもよく、受電コイル211と磁性体212から構成されていてもよい。
【0041】
受電コイル211は、給電コイル131が発生させる交流磁界を介して、給電コイル131から電力を受電する。具体的には、受電コイル211は、給電コイル131が発生する交流磁界により、電磁誘導作用による起電力が生じ、この起電力に基づく交流電流が流れる。そして、受電コイル211に発生した交流電流は、後述する整流部230に供給される。この受電コイル211は、銅やアルミニウムなどのリッツ線を巻き回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、受電コイル211の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。
【0042】
磁性体212は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体212は、給電コイル131が発生する交流磁界を効率良く受電コイル211に集中させる機能を果たす。なお、受電コイル211を平面コイルで構成する場合、磁性体212は、受電コイル211の給電コイル131と対向する面とは反対側である背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体212と受電コイル211の間には、絶縁性のシート(図示しない)が設置されていてもよい。一方、受電コイル211をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体212は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体212を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に受電コイル211の導線を巻回するようにしてもよい。この磁性体212としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
【0043】
受電側共振コンデンサ213は、受電コイル211と接続されており、受電コイル211とともに受電側LC共振回路を形成している。受電側共振コンデンサ213は、受電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この受電側共振コンデンサ213は、受電コイル211に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、受電側LC共振回路の共振周波数を給電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、
図5に示す受電側共振コンデンサ213は、説明の簡略化のため、筐体214から離間して配置されているかのように示しているが、実際は、筐体214の外表面に設置されることとなる。また、本実施形態では、受電側共振コンデンサ213は、筐体214の外部に配置されているが、受電コイル211および磁性体212とともに、筐体214の内部に収容しても構わない。
【0044】
整流部220は、受電コイル部210が受電した交流電力を直流電力に整流して、負荷500に出力する。整流部220を構成する素子としては、トランジスタやダイオード等の半導体素子が挙げられる。例えば、複数のダイオードがブリッジ接続されたブリッジ型回路と、このブリッジ型回路に並列に接続され、整流された電圧を平滑して直流電圧を生成する平滑コンデンサから構成される。
【0045】
コイル保持部230は、受電コイル部210を介して受電コイル211を支持している。本実施形態では、コイル保持部230は、受電コイル部210を車両下部に支持している。また、コイル保持部230は、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内の空間と外部空間との間を移動させる機能を有している。つまり、コイル保持部230は、受電コイル部210を車両下部近傍の位置から電磁気遮蔽ドーム140内の位置まで移動させる格納動作と、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内の位置から車両下部近傍の位置まで移動させる退出動作を行う。このコイル保持部230は、電力伝送する際、すなわち移動体がワイヤレス給電装置100の配設された給電エリアの駐車位置に駐車すると、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納し、受電コイル211を電磁気遮蔽ドーム140内の給電コイル部130の給電コイル131と対向する位置まで移動させる。なお、本実施形態では、コイル保持部230により、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に移動させているがこれに限られることなく、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体の推進力を利用して受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に移動させるように構成してもよい。ここで、「外部空間」とは、電磁気遮蔽ドーム140の底部141と、第一〜第四側壁部143,144,145,146と、蓋部147によって囲まれる空間以外の空間のことを意味し、受電コイル部210が車両下部ではなく車両内に搭載されることまでも排除する意味ではない。このように構成されるコイル保持部230としては、例えば直動式アクチュエータや単軸ロボットから構成されていてもよく、サーボ制御により移動動作をするものであってもよい。
【0046】
電磁気遮蔽板240は、略平板状を呈しており、電磁気を遮蔽する材料から構成されていれば特に制限されず、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成される。具体的には、電磁気遮蔽板240は、コイル保持部230に貫通支持され、コイル保持部230の受電コイル部210を支持する部分(先端側)よりも後端側に位置している。この電磁気遮蔽板240は、第一側壁部143の侵入開口部を全て覆うことが可能な大きさで構成されている。つまり、電磁気遮蔽板240は、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に存在するとき、電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143の侵入開口部を塞ぐ大きさとなっている。本実施形態では、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に存在するとき、電磁気遮蔽板240の周縁が電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143に接触する大きさで構成されている。したがって、コイル保持部230により受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納させるよう移動させると、第一側壁部143の侵入開口部が電磁気遮蔽板240により自動的に塞がれることとなる。これにより、電磁気遮蔽ドーム140を閉空間とすることが可能となる。
【0047】
このような構成を備えることにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200にワイヤレスにて電力伝送するワイヤレス電力伝送システム10が実現される。
【0048】
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の給電動作について説明する。
【0049】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入し、駐車位置に停車する。このとき、受電コイル部210は、
図1に示すように、コイル保持部230により車両下部に保持されている状態である。
【0050】
続いて、車両に設置されたコイル保持部230が動作し、受電コイル部210を外部空間から電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143に設けられた侵入開口部を介して、電磁気遮蔽ドーム140内の空間に移動させる。このとき、コイル侵入検知部150が、電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143の侵入開口部を通過する受電コイル部210を検知すると、コイル侵入検知部150は、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に侵入したことを示す信号を給電制御部160に出力する。そして、給電制御部160が、コイル侵入検知部150からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。これにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送が開始する。この状態で電力伝送が開始すると、受電コイル部210は、電磁気遮蔽ドーム140内に格納され、電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143の侵入開口部が電磁気遮蔽板240によって塞がれるため、給電コイル131から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム140の底部141、第一〜第四側壁部143,144,145,146、蓋部147、電磁気遮蔽板240に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10は、ワイヤレス受電装置200にワイヤレスで電力を伝送するワイヤレス給電装置100であって、電源110からの電力を受けて交流磁界を発生させる給電コイル131を含む給電コイル部130と、給電コイル部130の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドーム140を備え、電磁気遮蔽ドーム140は、給電コイル部130が配置される底部141と、当該底部141の外縁に沿って立設される側壁部142(第一〜第四側壁部143,144,145,146)と、給電コイル部130を間に介在して、底部141と対向する蓋部147と、を含み、側壁部142(第一側壁部143)は、交流磁界を介して、給電コイル131から電力を受電する受電コイル211を含む受電コイル部210が侵入可能な侵入開口部を有している。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズを抑制できるとともに、給電コイル部130と受電コイル部210の間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズも抑制することができる。したがって、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できる。
【0052】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10においては、給電コイル部130への電力の供給を制御する給電制御部160と、側壁部142(第一側壁部143)の侵入開口部を通過する受電コイル部210を検知するコイル侵入検知部150をさらに備え、給電制御部160は、コイル侵入検知部150が受電コイル部210を検知したとき、給電コイル部130への電力の供給を開始している。そのため、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に存在するときに電力伝送が行われるため、電磁ノイズの漏洩を確実に抑制することができるとともに、効率的な給電動作が実現できる。
【0053】
さらに、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10においては、ワイヤレス受電装置200は、交流磁界を介して給電コイル131から電力を受電する受電コイル211を含む受電コイル部210と、受電コイル部210を支持するコイル保持部230と、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に存在するとき、侵入開口部を塞ぐ電磁気遮蔽板240を備えている。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズを抑制できるとともに、給電コイル部130と受電コイル部210の間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズも抑制することができる。したがって、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できる。また、給電コイル部130と受電コイル部210の周囲全体を電磁気遮蔽ドーム140および電磁気遮蔽板240により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩をより一層確実に抑制することができる。
【0054】
またさらには、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10においては、コイル保持部230は、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内の空間と外部空間との間を移動させている。そのため、非電力伝送時において、ワイヤレス受電装置200に搭載された受電コイル部210が突出することが抑制されるため、受電コイル部210が他の障害物と接触することによる破損を防止できる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、
図9〜12を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20の構成について説明する。
図9は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
図10は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームと受電コイル部を拡大して示す斜視図である。
図11は、
図9において、電力伝送する際のワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
図12は、
図10において、電力伝送する際の電磁気遮蔽ドームの様子を示す斜視図である。
【0056】
第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部330と、電磁気遮蔽ドーム310と、コイル侵入検知部150と、コイル退出検知部151と、給電制御部340と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、コイル保持部350と、を有する。電源110、インバータ120、コイル侵入検知部150、受電コイル部210、整流部220の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の電磁気遮蔽ドーム140、給電コイル部130、給電制御部160に代えて電磁気遮蔽ドーム310、給電コイル部330、給電制御部340を備えている点、コイル退出検知部151を備えている点、コイル保持部230に代えてコイル保持部350を備えている点、電磁気遮蔽板240を備えない点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0057】
電磁気遮蔽ドーム310は、電磁気を遮蔽する材料から構成されていれば特に制限されず、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、後述する給電コイル部330の周囲を覆うように配設されている。本実施形態では、電磁気遮蔽ドーム310は、
図9および
図10に示すように、後述する給電コイル部330が設置される底部141と、底部141の外縁に沿って立設される側壁部142と、給電コイル部330を間に介在して、底部141と対向する蓋部316とを含んで構成されている。本実施形態では、側壁部142は、第一〜第四側壁部312,313,145,146から構成され、第一側壁部312と第二側壁部313が対向し、第三側壁部145と第四側壁部146が対向するように配置されている。つまり、電磁気遮蔽ドーム310は、箱状を呈している。このように構成される電磁気遮蔽ドーム310の外観形状は、多角柱形状や円柱形状が挙げられ、底部141が後述する給電コイル331および磁性体132を収容する筐体134と相似形状であるとより好ましい。
【0058】
第一側壁部312は、交流磁界を介して、後述する給電コイル331から電力を受電する受電コイル211を含む受電コイル部210が侵入可能な侵入開口部を有している。つまり、後述する給電コイル331との間で電力の伝送が行われる受電コイル211を含む受電コイル部210が侵入可能な侵入開口部を有している。第一側壁部312の侵入開口部は、第一側壁部312の鉛直上方寄りの位置であって、受電コイル部210が地面に対して平行移動することで電磁気遮蔽ドーム310内に侵入可能な高さに設けられている。また、第一側壁部312の侵入開口部の大きさは、受電コイル部210をスムーズに電磁気遮蔽ドーム310に導くという観点から、受電コイル部210の大きさよりも大きく設定されている。
【0059】
第二側壁部313は、交流磁界を介して、後述する給電コイル331から電力を受電する受電コイル211を含む受電コイル部210が退出可能な退出開口部を有している。つまり、後述する給電コイル331との間で電力の伝送が行われる受電コイル211を含む受電コイル部210が退出可能な退出開口部を有している。第二側壁部313の退出開口部は、第二側壁部313の鉛直上方寄りの位置であって、受電コイル部210が地面に対して平行移動することで電磁気遮蔽ドーム310から退出可能な高さに設けられている。本実施形態では、第二側壁部313の退出開口部は、第一側壁部312と第二側壁部313の対向方向から見て、第一側壁部312の侵入開口部と対向する位置に設けられている。また、第二側壁部313の退出開口部の大きさは、受電コイル部210をスムーズに電磁気遮蔽ドーム310から取り出すという観点から、受電コイル部210の大きさよりも大きく設定されている。なお、本実施形態では、受電コイル部210が退出可能な退出開口部を第二側壁部313に設けているがこれに限られることなく、第三側壁部145あるいは第四側壁部146に設けてもよい。
【0060】
蓋部316は、第一側壁部312の侵入開口部と第二側壁部313の退出開口部とを連結するスリットを有している。本実施形態では、蓋部316のスリットは、第一側壁部312と第二側壁部313の対向方向に沿って直線状に設けられている。ここで、蓋部316のスリットは、侵入開口部と退出開口部を連結するものであればよく、必ずしも直線状を呈している必要はない。例えば、退出開口部が第三側壁部145あるいは第四側壁部146に設けられている場合は、蓋部316のスリットは、L字状を呈することとなる。蓋部316のスリットの幅(第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向における長さ)は、コイル保持部350が地面に対して平行移動する際に通過できる大きさに設定されている。本実施形態では、蓋部316のスリットの幅は、第一側壁部312の侵入開口部の幅および第二側壁部の退出開口部の幅よりも小さく設定されている。このような構成により、受電コイル部210は、第一側壁部312から第二側壁部313に向かって、外部空間から電磁気遮蔽ドーム310内に侵入し、電磁気遮蔽ドーム310内から外部空間に退出することが可能となっている。
【0061】
給電コイル部330は、インバータ120から供給された交流電力を受電コイル部210に給電する機能を有する。本実施形態では、給電コイル部330は、給電コイル331と、磁性体132と、給電側共振コンデンサ133と、を有する。給電コイル331は、蓋部316のスリットの延在方向に沿って配置される複数のコイルを有する。本実施形態では、給電コイル331は、第一側壁部312と第二側壁部313との対向方向、すなわち蓋部316のスリットが直線状に伸びる延在方向に並置された2つのコイルから構成されている。つまり、給電コイル331を構成する2つのコイルは、受電コイル部210が外部空間から電磁気遮蔽ドーム310および電磁気遮蔽ドーム310から外部空間に移動する方向に並置されていることとなる。これら給電コイル331を構成する2つのコイルは、銅やアルミニウムなどのリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、給電コイル331を構成する2つのコイルのそれぞれの巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。また、給電コイル331を構成する2つのコイルは、単一の筐体に収容されていてもよく、それぞれのコイルが磁性体とともに別々の筐体に収容されていてもよい。
【0062】
コイル退出検知部151は、第二側壁部313の退出開口部を通過する受電コイル部210を検知している。具体的には、コイル退出検知部151は、第二側壁部313の退出開口部を通過する受電コイル部210を検知すると、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310から退出したことを示す信号を後述する給電制御部340に出力する。本実施形態では、コイル退出検知部151は、電磁気遮蔽ドーム310の内部であって、第二側壁部313の退出開口部付近に設けられている。このコイル退出検知部151としては、光センサや超音波センサのような非接触式のセンサであってもよく、マイクロスイッチのような接触式のセンサが、受電コイル部210の外縁に接触することによって検知するものであってもよい。
【0063】
給電制御部340は、第1実施形態に係る給電制御部160と同様、インバータ120の給電動作を制御する機能を有する。具体的には、給電制御部340は、インバータ120を構成するスイッチング素子のスイッチング動作を制御している。言い換えれば、給電制御部340は、給電コイル部330への電力の供給を制御する役割を担っている。本実施形態では、給電制御部340は、コイル侵入検知部150が受電コイル部210を検知したとき、インバータ120を駆動させ、給電コイル部330への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。また、給電制御部340は、コイル退出検知部151が受電コイル部210を検知したとき、インバータ120の給電動作を停止(給電動作OFF)させる。つまり、給電制御部340が、コイル退出検知部151からの信号を受信すると、インバータ120を停止させ、給電コイル部330への電力の供給を停止させる。
【0064】
コイル保持部350は、第1実施形態に係るコイル保持部230と同様、受電コイル部210を介して受電コイル211を支持している。本実施形態では、コイル保持部350は、受電コイル部210を車両下部に懸架している。このコイル保持部350は、電力伝送する際、すなわち移動体がワイヤレス給電装置100の配設された給電エリアを走行すると、受電コイル部210が、外部空間から第一側壁部312の侵入開口部を介して電磁気遮蔽ドーム310に侵入し、電磁気遮蔽ドーム310内において給電コイル部330の給電コイル331を構成する2つのコイル上を第一側壁部312側から順に移動し、電磁気遮蔽ドーム310から第二側壁部313の退出開口部を介して外部空間に退出するように保持することとなる。
【0065】
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20の給電動作について説明する。
【0066】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに侵入し、給電エリア内を走行する。つまり、本実施形態では、走行中給電が行われる。
【0067】
続いて、車両の走行に伴い、車両下部に設置された受電コイル部210が、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を介して電磁気遮蔽ドーム310内に侵入し、それに伴って、コイル保持部350が蓋部316に設けられたスリットに侵入する。このとき、コイル侵入検知部150が、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を通過する受電コイル部210を検知すると、コイル侵入検知部150は、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310内に侵入したことを示す信号を給電制御部340に出力する。そして、給電制御部340が、コイル侵入検知部150からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部330への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。これにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送が開始する。なお、給電制御部340は、電磁気遮蔽ドーム310内においては、受電コイル211の位置に応じて、給電コイル部330の給電コイル331を構成する2つのコイルのうち、受電コイル211に対向するコイルを選択して電力の供給を行う。
【0068】
続いて、さらに車両が走行を続けると、車両下部に設置された受電コイル部210が、電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部を介して外部空間に退出し、それに伴って、コイル保持部350が蓋部316に設けられたスリットから外部空間に退出する。このとき、コイル退出検知部151が、電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部を通過する受電コイル部210を検知すると、コイル退出検知部151は、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310から退出したことを示す信号を給電制御部340に出力する。そして、給電制御部340が、コイル退出検知部151からの信号を受信すると、インバータ120を停止させ、給電コイル部330への電力の供給を停止(給電動作OFF)させる。このように、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310内に存在するときに電力伝送が行われるため、給電コイル331から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム310の底部141、側壁部142(第一〜第四側壁部312,313,145,146)、蓋部316に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0069】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20は、側壁部142(第二側壁部313)は、交流磁界を介して、給電コイル331から電力を受電する受電コイル211を含む受電コイル部210が退出可能な退出開口部を有し、蓋部316は、侵入開口部と退出開口部とを連結するスリットを有している。そのため、電磁気遮蔽ドーム310内への受電コイル部210の出入りを同じ部分でなく、異なる部分とすることができる。また、蓋部316が侵入開口部と退出開口部を連結するスリットを有していることから、電磁気遮蔽ドーム310内における受電コイル部210の保持・移動を円滑に行うことができる。したがって、走行中給電にも適用することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20においては、給電コイル331は、蓋部316のスリットの延在方向に沿って配置される複数のコイルから構成されている。そのため、走行中給電において、受電コイル211に複数のコイルから電力の給電が行われるため、給電時間を長くすることができる。
【0071】
(第3実施形態)
次に、
図13を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図13aは、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームと受電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
図13bは、
図13aにおいて、電磁気遮蔽ドームに受電コイル部が接近したときの模式構成図である。
図13cは、
図13aにおいて、電磁気遮蔽ドーム内に受電コイル部が存在するときの模式構成図である。
【0072】
第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部330と、電磁気遮蔽ドーム310と、コイル侵入検知部150と、コイル退出検知部151と、第一シャッター148と、第二シャッター149と、受電コイル検知部360と、受電コイル存在検知部370と、シャッター制御部380と、給電制御部340と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、コイル保持部350と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部330、電磁気遮蔽ドーム310、コイル侵入検知部150、コイル退出検知部151、給電制御部340、受電コイル部210、整流部220、コイル保持部350の構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20と同様である。すなわち、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20に対して、第一シャッター148と、第二シャッター149と、受電コイル検知部360と、受電コイル存在検知部370と、シャッター制御部380をさらに備えている点において、第2実施形態と相違する。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0073】
第一シャッター148は、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を開閉自在に覆う機能を有する。第一シャッター148は、略平板状を呈しており、電磁気を遮蔽する材料から構成されていれば特に制限されず、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、第一側壁部312の侵入開口部を全て覆うことが可能な大きさで構成されている。本実施形態では、第一シャッター148が閉じている状態のとき、第一シャッター148の周縁が電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312に接触する大きさで構成されている。また、本実施形態では、第一シャッター148は、ロータリアクチュエータなどの回転動作機構を介して第一側壁部312に取り付けられており、後述するシャッター制御部380により、開閉動作を行う。なお、本実施形態では、第一シャッター148は回転動作により電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を開閉自在に覆っているがこれに限られることなく、第一シャッター148は、直動アクチュエータなどの直動駆動させることが可能な電動アクチュエータにより、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を覆う領域と電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を覆わない領域との間をスライド移動するように構成されていてもよい。
【0074】
第二シャッター149は、電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部を開閉自在に覆う機能を有する。第二シャッター149は、略平板状を呈しており、電磁気を遮蔽する材料から構成されていれば特に制限されず、例えば銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、第二側壁部313の退出開口部を全て覆うことが可能な大きさで構成されている。本実施形態では、第二シャッター149が閉じている状態のとき、第二シャッター149の周縁が電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313に接触する大きさで構成されている。また、本実施形態では、第二シャッター149は、ロータリアクチュエータなどの回転動作機構を介して第二側壁部313に取り付けられており、後述するシャッター制御部380により、開閉動作を行う。なお、本実施形態では、第二シャッター149は回転動作により電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部を開閉自在に覆っているがこれに限られることなく、第二シャッター149は、直動アクチュエータなどの直動駆動させることが可能な電動アクチュエータにより、電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部を覆う領域と電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部を覆わない領域との間をスライド移動するように構成されていてもよい。
【0075】
受電コイル検知部360は、電磁気遮蔽ドーム310内における受電コイル部210の存在の有無を検知している。具体的には、受電コイル検知部360は、電磁気遮蔽ドーム310内における受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310内に存在することを示す信号を後述するシャッター制御部380に出力する。本実施形態では、受電コイル検知部360は、電磁気遮蔽ドーム310の内部であって、給電コイル部330上の受電コイル部210が通過する高さに設けられている。この受電コイル検知部360としては、光センサや超音波センサのような非接触式のセンサであってもよく、マイクロスイッチのような接触式のセンサが、受電コイル部210の外縁に接触することによって検知するものであってもよい。
【0076】
受電コイル存在検知部370は、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部の前方における受電コイル部210の存在の有無を検知している。具体的には、受電コイル存在検知部370は、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部の前方を通過する受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310に接近していることを示す信号を後述するシャッター制御部380に出力する。本実施形態では、受電コイル存在検知部370は、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の前方の地面上に設けられている。つまり、受電コイル存在検知部370は、ワイヤレス受電装置200が搭載された車両の給電エリアへの進入方向において、電磁気遮蔽ドーム310よりも手前に配置されることとなる。この受電コイル存在検知部370としては、光センサや超音波センサのような非接触式のセンサであってもよく、カメラを用いた画像認識処理によって受電コイル部210を検知するものであってもよい。
【0077】
シャッター制御部380は、第一および第二シャッター148,149を制御する機能を有する。具体的には、本実施形態では、シャッター制御部380は、受電コイル検知部360が受電コイル部210を検知したとき、第一および第二シャッター148,149を閉じるように動作させる。つまり、シャッター制御部380は、受電コイル検知部360からの信号を受信すると、第一および第二シャッター148,149を閉じるように動作させる。また、シャッター制御部380は、受電コイル存在検知部370が受電コイル部210を検知したとき、第一および第二シャッター148,149を開くように動作させる。つまり、シャッター制御部380は、受電コイル存在検知部370からの信号を受信すると、第一および第二シャッター148,149を開くように動作させる。
【0078】
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電動作について説明する。
【0079】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入する。このときは、
図13aに示すように、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312に設けられた第一シャッター148および第二側壁部313に設けられた第二シャッター149は閉じた状態となっている。
【0080】
続いて、車両が給電エリアの電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部の前方に設置された受電コイル存在検知部370上に進入する。このとき、
図13bに示すように、受電コイル存在検知部370が、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部の前方を通過する受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310に接近していることを示す信号をシャッター制御部380に出力する。そして、シャッター制御部380が、受電コイル存在検知部370からの信号を受信すると、第一および第二シャッター148,149を開くように動作させる。
【0081】
続いて、車両の走行に伴い、車両下部に設置された受電コイル部210が、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を介して電磁気遮蔽ドーム310内に侵入し、それに伴って、コイル保持部350が蓋部316に設けられたスリットに侵入する。このとき、受電コイル検知部360が、電磁気遮蔽ドーム310内における受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310内に存在することを示す信号をシャッター制御部380に出力する。そして、シャッター制御部380が、受電コイル検知部360からの信号を受信すると、第一および第二シャッター148,149を閉じるように動作させる。また、コイル侵入検知部150が、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部を通過する受電コイル部210を検知すると、コイル侵入検知部150は、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム310内に侵入したことを示す信号を給電制御部340に出力する。そして、給電制御部340が、コイル侵入検知部150からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部330への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。この状態で電力伝送が開始すると、受電コイル部210は、電磁気遮蔽ドーム310内に格納され、電磁気遮蔽ドーム310の第一側壁部312の侵入開口部が第一シャッター148によって塞がれ、電磁気遮蔽ドーム310の第二側壁部313の退出開口部が第二シャッター149によって塞がれるため、給電コイル131から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム310の底部141、第一〜第四側壁部312,313,145,146、蓋部316、第一および第二シャッター148,149に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0082】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、電磁気遮蔽ドーム310内における受電コイル部210の存在の有無を検知する受電コイル検知部360と、侵入開口部を開閉自在に覆う第一シャッター148と、退出開口部を開閉自在に覆う第二シャッター149と、第一および第二シャッター148,149の開閉動作を制御するシャッター制御部380と、をさらに備え、シャッター制御部380は、受電コイル検知部360が受電コイル部210を検知したとき、第一および第二シャッター148,149を閉じている。そのため、給電コイル部330と受電コイル部210の周囲全体を電磁気遮蔽ドーム310により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの漏洩を一層確実に抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいては、侵入開口部の前方における受電コイル部210の存在の有無を検知する受電コイル存在検知部370をさらに備え、シャッター制御部380は、受電コイル存在検知部370が受電コイル部210を検知したとき、第一および第二シャッター148,149を開いている。そのため、受電コイル部210が侵入開口部の前方に存在しないときは第一および第二シャッター148,149を閉じておくことができるため、電力伝送しないときに電磁気遮蔽ドーム310内に異物が混入することを防ぐことができる。
【0084】
(第4実施形態)
次に、
図14を参照して、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図14は、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームと受電コイル部を拡大して示す斜視図である。
【0085】
第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、コイル侵入検知部150と、給電制御部160と、受電コイル位置検知部410と、移動動作部420と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、コイル保持部230と、電磁気遮蔽板240を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、電磁気遮蔽ドーム140、コイル侵入検知部150、給電制御部160、受電コイル部210、整流部220、コイル保持部230、電磁気遮蔽板240の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10に対して、受電コイル位置検知部410と、移動動作部420を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する
【0086】
受電コイル位置検知部410は、電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143の侵入開口部の前方における受電コイル部210の位置を検知している。具体的には、受電コイル位置検知部410は、電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143の侵入開口部に対する受電コイル部210の第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向のずれを検知し、受電コイル部210の位置ずれ情報を示す信号を後述する移動動作部420に出力する。ここで、受電コイル部210の位置ずれ情報とは、電磁気遮蔽ドーム140の第一側壁部143の侵入開口部の中心と受電コイル部210の中心の第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向における相対的位置関係の情報のことである。この受電コイル位置検知部410としては、光センサや超音波センサのような非接触式のセンサであってもよく、カメラを用いた画像認識処理によって受電コイル部210の位置を検知するものであってもよい。
【0087】
移動動作部420は、電磁気遮蔽ドーム140を第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向に移動させる機能を有する。具体的には、移動動作部420は、受電コイル位置検知部410が検知した受電コイル部210の位置ずれ情報に基づいて、受電コイル部210の位置に第一側壁部143の侵入開口部が合うように、電磁気遮蔽ドーム140を移動させる。この移動動作部420としては、サーボ制御された単軸ロボットが挙げられる。なお、移動動作部420は、受電コイル部210の中心位置に第一側壁部143の侵入開口部の中心位置が合うように電磁気遮蔽ドーム140を移動させると好ましいが、本発明の効果が奏される限りにおいて、受電コイル部210が第一側壁部143の侵入開口部を通過できる位置となるように電磁気遮蔽ドーム140を移動させればよい。
【0088】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第一側壁部143の侵入開口部の前方における受電コイル部210の位置を検知する受電コイル位置検知部410と、電磁気遮蔽ドーム140を第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向に移動させる移動動作部420をさらに備え、移動動作部420は、受電コイル位置検知部410が検知した受電コイル部210の位置に第一側壁部143の侵入開口部が合うように、電磁気遮蔽ドーム140を移動させている。そのため、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム10内へ確実に導くことができる。
【0089】
(第5実施形態)
次に、
図15を参照して、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図15は、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームと受電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
【0090】
第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部330と、電磁気遮蔽ドーム310と、コイル侵入検知部150と、コイル退出検知部151と、給電制御部340と、中継コイル600と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、コイル保持部350と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部330、電磁気遮蔽ドーム310、コイル侵入検知部150、コイル退出検知部151、給電制御部340、受電コイル部210、整流部220、コイル保持部350の構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20と同様である。すなわち、第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20に対して、中継コイル600を備えている点において、第2実施形態と相違する。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する
【0091】
中継コイル600は、電磁気遮蔽ドーム310内に配置されている。具体的には、中継コイル600は、給電コイル部330と受電コイル部210の間に位置するように配置されている。言い換えれば、中継コイル600は、給電コイル部330の受電コイル部210と対向する面側の鉛直上方に位置するように配置されている。この中継コイル600は、給電コイル331と磁気結合し、給電コイル331からの電力をワイヤレスで受電コイル211に伝送する。つまり、中継コイル600は、給電コイル331からの電力を受電コイル211に中継する役割を果たすこととなる。この中継コイル600は、銅やアルミニウムなどのリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルが挙げられる。なお、中継コイル600の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。このように構成される中継コイル600は、電磁気遮蔽ドーム310内において、自由に移動できるように構成されていると好ましい。すなわち、中継コイル600は、給電コイル331と受電コイル211の相対的位置関係に基づいて、第一側壁部312と第二側壁部313の対向方向および第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向に移動できるように構成されているとよい。また、本実施形態では、中継コイル600は、そのコイル軸が鉛直上方と平行となるように配置されているが、給電コイル331と受電コイル211の相対的位置関係に基づいて、コイル軸を傾斜できるように構成されていてもよい。
【0092】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、電磁気遮蔽ドーム310内に、給電コイル331と磁気結合し、給電コイル331からの電力をワイヤレスで受電コイル211に伝送する中継コイル600をさらに備えている。そのため、給電コイル331と受電コイル211の相対位置が多少ずれたとしても、中継コイル600により電力伝送効率の低下を防ぐことができる。したがって、高い電力伝送効率を維持しながら、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0093】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明したが、本発明は上述の実施形態に限られることなく、様々な変形や変更が可能である。例えば、上述の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの受電コイル位置検知部410と、移動動作部420の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10に組み合わせた例を用いて説明したがこれに限られることなく、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20に組み合わせてもよい。また、上述の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの中継コイル600の構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム20に組み合わせた例を用いて説明したがこれに限られることなく、第1実施形態のワイヤレス電力伝送システム10に組み合わせてもよい。
【0094】
さらに、上述の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムでは、受電コイル位置検知部410が侵入開口部に対する受電コイル部210の第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向のずれを検知し、移動動作部420が受電コイル部210の位置に侵入開口部が合うように、電磁気遮蔽ドーム140を第三側壁部145と第四側壁部146の対向方向に移動させているがこれに限られず、受電コイル位置検知部410が侵入開口部に対する受電コイル部210の底部141と蓋部147の対向方向のずれを検知し、移動動作部420が受電コイル部210の位置に侵入開口部が合うように、電磁気遮蔽ドーム140を底部141と蓋部147の対向方向に移動させる機能を備えていてもよい。これにより、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム10内へより確実に導くことができる。