【解決手段】ワイヤレス電力伝送システム10は、ワイヤレス給電装置100は、給電コイル部130の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドーム140を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210を昇降可能に保持する昇降動作部230を有し、電磁気遮蔽ドーム140は、給電コイル部130が設置される設置部141と、当該設置部141の外縁に沿って立設される側壁部142と、受電コイル部210が通過可能な開口部を含み、昇降動作部230は、電力伝送する際に、受電コイル部210を移動させて、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納する。
前記ワイヤレス給電装置は、前記給電コイル部への電力の供給を制御する給電制御部と、前記電磁気遮蔽ドーム内における前記受電コイル部の存在の有無を検知する受電コイル検知部を、さらに備え、
前記給電制御部は、前記受電コイル検知部が前記受電コイル部を検知したとき、前記給電コイル部への電力の供給を開始することを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス電力伝送システム。
前記側壁部は、前記設置部に対して回動自在に保持された互いに対向する第一および第二側壁部と、前記設置部に固定された互いに対向する第三および第四側壁部と、を含み、
前記第一蓋は、前記第一側壁部に連結され、前記第一側壁部の回動動作に連動して開閉動作を行うように構成され、
前記第二蓋は、前記第二側壁部に連結され、前記第二側壁部の回動動作に連動して開閉動作を行うように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス電力伝送システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0023】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図7を参照して、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の構成について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す模式構成図である。
図5は、本発明の第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの受電コイル部を拡大して示す模式構成図である。
図6は、電力伝送する際の電磁気遮蔽ドーム内の様子を示す斜視図である。
図7は、電力伝送する際の電磁気遮蔽ドーム内の様子を示す模式構成図である。
【0024】
ワイヤレス電力伝送システム10は、
図1に示されるように、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。本実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用した例を用いて説明する。すなわち、ワイヤレス給電装置100は、地上に配設される給電設備に搭載され、ワイヤレス受電装置200は、移動体に搭載されることとなる。
【0025】
ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、給電制御部150と、受電コイル検知部160を有する。このワイヤレス給電装置100は、地上に配設される。
【0026】
電源110は、直流電力を後述するインバータ120に供給する。電源110としては、直流電力を出力するものであれば特に制限されず、商用交流電源を整流・平滑した直流電源、二次電池、太陽光発電した直流電源、あるいはスイッチングコンバータなどのスイッチング電源装置などが挙げられる。
【0027】
インバータ120は、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換する機能を有している。本実施形態では、インバータ120は、電源110から供給される直流電力を交流電力に変換し、後述する給電コイル部130に供給する。インバータ120としては、図示しない複数のスイッチング素子がブリッジ接続されたスイッチング回路から構成される。このスイッチング回路を構成するスイッチング素子としては、例えばMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor−Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。
【0028】
給電コイル部130は、インバータ120から供給された交流電力を後述する受電コイル部210に給電する機能を有する。本実施形態のように、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用した場合、給電コイル部130は、後述する電磁気遮蔽ドーム140の設置部141に配設されることとなる。この給電コイル部130は、
図2に示されるように、給電コイル131と、磁性体132と、給電側共振コンデンサ133と、を有し、給電コイル131と磁性体132が絶縁性を有する筺体134によってパッケージングされている。なお、給電コイル部130は、給電コイル131のみから構成されていてもよく、給電コイル131と磁性体132から構成されていてもよい。
【0029】
給電コイル131は、電源110からの電力を受けて交流磁界を発生させる。具体的には、給電コイル131は、インバータ120から所定の駆動周波数の交流電圧が供給されると、交流電流が流れて交流磁界を発生させる。この給電コイル131は、銅やアルミニウムなどのリッツ線を巻回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、給電コイル131の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。
【0030】
磁性体132は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体132は、給電コイル131が効率良く磁界を発生するための機能を果たす。なお、給電コイル131を平面コイルで構成する場合、磁性体132は、給電コイル131の後述する受電コイル211と対向する面とは反対側である給電コイル131の背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体132と給電コイル131の間には、絶縁性のシートが設置されていてもよい。一方、給電コイル131をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体132は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体132を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に給電コイル131の導線を巻回するようにしてもよい。この磁性体132としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
【0031】
給電側共振コンデンサ133は、給電コイル131と接続されており、給電コイル131とともに給電側LC共振回路を形成している。給電側共振コンデンサ133は、給電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この給電側共振コンデンサ133は、給電コイル131に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、給電側LC共振回路の共振周波数を後述する受電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、
図2に示す給電側共振コンデンサ133は、説明の簡略化のため、筐体134から離間して配置されているかのように示しているが、実際は、筐体134の外表面に設置されることとなる。また、本実施形態では、給電側共振コンデンサ133は、筐体134の外部に配置されているが、給電コイル131および磁性体132とともに、筐体134の内部に収容しても構わない。
【0032】
電磁気遮蔽ドーム140は、銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、給電コイル部130の周囲を覆うように配設されている。具体的には、電磁気遮蔽ドーム140は、
図3および
図4に示されるように、給電コイル部130が設置される設置部141と、設置部141の外縁に沿って立設される側壁部142と、後述する受電コイル部210が通過可能な開口部を含んで構成されている。つまり、電磁気遮蔽ドーム140は、給電コイル部130の電力伝送が行われる側(給電コイル131の受電コイル211と対向する側)が開口していることとなる。言い換えれば、電磁気遮蔽ドーム140は、鉛直上方のみが開口している箱状の形状を呈している。ここで、側壁部142の高さは、電力伝送する際に、後述する受電コイル部210を格納できる高さであればよく、後述する受電コイル部210の給電コイル部130と対向する面とは反対側の面を越える高さであるとより好ましい。この場合、給電コイル部130と後述する受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズおよび給電コイル部130と後述する受電コイル部210との間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズの抑制効果を向上させることができる。このように構成される電磁気遮蔽ドーム140の外観形状は、立方体形状や円柱形状が挙げられ、設置部141が給電コイル131および磁性体132を収容する筐体134と相似形状であるとより好ましい。
【0033】
給電制御部150は、インバータ120の給電動作を制御する機能を有する。具体的には、給電制御部150は、インバータ120を構成するスイッチング素子のスイッチング動作を制御している。言い換えれば、給電制御部150は、給電コイル部130への電力の供給を制御する役割を担っている。本実施形態では、給電制御部150は、後述する受電コイル検知部160が後述する受電コイル部210を検知したとき、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。また、給電制御部150は、インバータ120の給電動作が駆動中、すなわちワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200への電力伝送中に、後述する受電コイル検知部160が後述する受電コイル部210を検知しなくなると、インバータ120の給電動作を停止(給電動作OFF)させるように制御する機能も有する。つまり、給電制御部150により、後述する受電コイル検知部160が後述する受電コイル部210を検知しているときのみ、給電コイル部130への電力の供給が行われることとなる。
【0034】
受電コイル検知部160は、電磁気遮蔽ドーム140内における後述する受電部コイル210の存在の有無を検知している。具体的には、受電コイル検知部160は、電磁気遮蔽ドーム140内に受電コイル部210を検知すると、受電コイル部210が存在することを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150が、受電コイル検知部160からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始させる。本実施形態では、受電コイル検知部160は、
図3および
図4に示されるように、電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142の内壁に設置されている。具体的には、電力伝送する際に、電磁気遮蔽ドーム140内に位置する後述する受電コイル部210の高さ近傍の側壁部142の内壁に設けられている。この受電コイル検知部160としては、光センサや超音波センサなどの非接触式のセンサであってもよく、マイクロスイッチのような接触式のセンサが後述する受電コイル部210の外縁に接触することによって検知するものであってもよい。
【0035】
ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、を有する。このワイヤレス受電装置200は、移動体に搭載される。ここで、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体は、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッド自動車(HV:Hybrid Vehicle)などの車両が挙げられる。車両は、運転者や乗員が座る座席空間とワイヤレス受電装置200および充電部510や蓄電部520やモータ部530などの負荷500が搭載される空間を含む車体と、車体前方下部に懸架されている左右の前輪と、車体後方下部に懸架されている左右の後輪を有し、左右の前輪は、車輪の略中心を貫通する前輪軸によって回動可能に支持されており、左右の後輪は、車輪の略中心を貫通する後輪軸によって回動可能に支持されている。そして、これらの車輪が回動することにより、車両に推進力が生まれ、車両が所定の進行方向に移動可能となる。なお、ワイヤレス受電装置200が搭載される移動体は、電気自動車やハイブリッド自動車だけではなく、工場内で物品等を搬送する走行車や移動ロボットなども挙げられる。また、本実施形態では、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用しているがこれに限られることなく、例えばワイヤレス電力伝送システム10を、車輪を持たず、外部の駆動手段によって移動するエレベータへの給電設備に適用した場合、ワイヤレス受電装置200はエレベータかごに搭載されることとなる。
【0036】
受電コイル部210は、ワイヤレス給電装置100から給電された交流電力を受電する機能を有する。本実施形態のように、ワイヤレス電力伝送システム10を移動体への給電設備に適用した場合、受電コイル部210は、後述する昇降動作部230を介して移動体下部に搭載されることとなる。この受電コイル部210は、
図5に示されるように、受電コイル211と、磁性体212と、受電側共振コンデンサ213と、を有し、受電コイル211と磁性体212が絶縁性を有する筐体214によってパッケージングされている。なお、受電コイル部210は、受電コイル211のみから構成されていてもよく、受電コイル211と磁性体212から構成されていてもよい。
【0037】
受電コイル211は、給電コイル131が発生させる交流磁界を介して、給電コイル131から電力を受電する。具体的には、受電コイル211は、給電コイル131が発生する交流磁界により、電磁誘導作用による起電力が生じ、この起電力に基づく交流電流が流れる。そして、受電コイル211に発生した交流電流は、後述する整流部220に供給される。この受電コイル211は、銅やアルミニウムなどのリッツ線を巻き回して形成され、形状としては、例えば平面コイルやソレノイドコイルが挙げられる。なお、受電コイル211の巻数は、所望の電力伝送効率に基づいて適宜設定される。
【0038】
磁性体212は、磁路の磁気抵抗を減らし、コイル間の磁気的な結合を高める作用を有する。つまり、磁性体212は、給電コイル131が発生する交流磁界を効率良く受電コイル211に集中させる機能を果たす。なお、受電コイル211を平面コイルで構成する場合、磁性体212は、受電コイル211の給電コイル131と対向する面とは反対側である背面側に設置され、板状または棒状の磁性材料から構成される。このとき、磁性体212と受電コイル211の間には、絶縁性のシートが設置されていてもよい。一方、受電コイル211をソレノイドコイルで構成する場合、磁性体212は、ソレノイドコイルのコイル軸を貫通するように設置され、コアとして機能することとなる。このとき、中空状の絶縁性ボビンに磁性体212を挿入し、この絶縁性ボビンの外表面に受電コイル211の導線を巻回するようにしてもよい。この磁性体212としては、比較的透磁率の高いフェライトなどが挙げられる。
【0039】
受電側共振コンデンサ213は、受電コイル211と接続されており、受電コイル211とともに受電側LC共振回路を形成している。受電側共振コンデンサ213は、受電側LC共振回路の共振周波数を調整する機能を有する。この受電側共振コンデンサ213は、受電コイル211に直列接続されていてもよく、並列接続されていてもよく、あるいは直並列接続されていてもよい。そして、受電側LC共振回路の共振周波数を給電側LC共振回路の共振周波数とほぼ等しく構成することで、高効率な磁界共鳴方式のワイヤレス電力伝送を実現することが可能となる。なお、
図5に示す受電側共振コンデンサ213は、説明の簡略化のため、筐体214から離間して配置されているかのように示しているが、実際は、筐体214の外表面に設置されることとなる。また、本実施形態では、受電側共振コンデンサ213は、筐体214の外部に配置されているが、受電コイル211および磁性体212とともに、筐体214の内部に収容しても構わない。
【0040】
整流部220は、受電コイル部210が受電した交流電力を直流電力に整流して、負荷500に出力する。整流部220を構成する素子としては、トランジスタやダイオード等の半導体素子が挙げられる。例えば、複数のダイオードがブリッジ接続されたブリッジ型回路と、このブリッジ型回路に並列に接続され、整流された電圧を平滑して直流電圧を生成する平滑コンデンサから構成される。
【0041】
昇降動作部230は、受電コイル部210を介して受電コイル211を支持している。本実施形態では、昇降動作部230は、受電コイル部210を車両下部から吊り下げるように支持している。また、昇降動作部230は、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内の空間と外部空間との間を昇降させる機能を有している。つまり、昇降動作部230は、受電コイル部210を昇降可能に保持している。具体的には、昇降動作部230は、受電コイル部210を車両下部近傍の位置から電磁気遮蔽ドーム140内の位置まで下降させる動作と、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内の位置から車両下部近傍の位置まで上昇させる動作を行う。この昇降動作部230は、
図6および
図7に示されるように、電力伝送する際、すなわち給電コイル部130上に受電コイル部210が位置するとき、受電コイル部210を移動させて、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納するように動作する。なお、本実施形態では、昇降動作部230は、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内の空間と外部空間との間を昇降させるとき、受電コイル211が給電コイル131に対向する状態を維持しつつ昇降動作を行っている。ここで、「外部空間」とは、電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142によって囲まれる空間以外の空間のことを意味し、受電コイル部210が車両下部ではなく車両内に搭載されることまでも排除する意味ではない。このように構成される昇降動作部230としては、例えば直動式アクチュエータや単軸ロボットから構成されていてもよく、サーボ制御により昇降動作をするものであってもよい。
【0042】
このような構成を備えることにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200にワイヤレスにて電力伝送するワイヤレス電力伝送システム10が実現される。
【0043】
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10の給電動作について説明する。
【0044】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入し、駐車位置に停車する。
【0045】
続いて、給電コイル部130上に受電コイル部210が位置すると、車両に設置された昇降動作部230が動作し、受電コイル部210を外部空間から電磁気遮蔽ドーム140内の空間に下降させ、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納する。このとき、受電コイル検知部160が受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル検知部160は受電コイル部210が存在することを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150が、受電コイル検知部160からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。これにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送が開始する。この状態で電力伝送が開始すると、受電コイル部210は、電磁気遮蔽ドーム140内に格納されているため、給電コイル131から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0046】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10は、ワイヤレス給電装置100が、給電コイル部130の周囲に配設される電磁気遮蔽ドーム140を有し、ワイヤレス受電装置200が、受電コイル部210を昇降可能に保持する昇降動作部230を有し、電磁気遮蔽ドーム140は、給電コイル部130が設置される設置部141と、当該設置部141の外縁に沿って立設される側壁部142と、受電コイル部210が通過可能な開口部を含み、昇降動作部230は、電力伝送する際に、受電コイル部210を移動させて、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納している。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズを抑制できるとともに、給電コイル部130と受電コイル部210との間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズも抑制することができる。したがって、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できる。
【0047】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10においては、ワイヤレス給電装置100は、給電コイル部130への電力の供給を制御する給電制御部150と、電磁気遮蔽ドーム140内における受電コイル部210の存在の有無を検知する受電コイル検知部160を、さらに備え、給電制御部150は、受電コイル検知部160が受電コイル部210を検知したとき、給電コイル部130への電力の供給を開始している。そのため、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に存在するときに電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩を確実に抑制することができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、
図8および
図9を参照して、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図8は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。
図9は、本発明の第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す模式構成図である。なお、
図8および
図9においては、蓋部170が開いている状態を示している。
【0049】
第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、蓋部170と、蓋制御部173と、蓋検知部174と、給電制御部150と、受電コイル検知部160と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、電磁気遮蔽ドーム140、給電制御部150、受電コイル検知部160、受電コイル部210、整流部220、昇降動作部230の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、蓋部170と、蓋制御部173と、蓋検知部174を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0050】
蓋部170は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を開閉自在に覆う機能を有する。具体的には、蓋部170は、
図8および
図9に示されるように、電磁気遮蔽ドーム140の開口部の半分の領域を覆うことが可能な第一蓋171と、電磁気遮蔽ドーム140の開口部の残り半分の領域(第一蓋171によって覆われない領域)を覆うことが可能な第二蓋172から構成されている。第一蓋171は、略平板状の導電性材料から構成され、一方の先端部が開閉動作機構175を介して電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142の先端部に連結され、この開閉動作機構175を軸に回動可能に構成されている。また、第一蓋171の他方の先端部には、昇降動作部230の形状の一部に合わせた凹部が設けられている。本実施形態のように、昇降動作部230が略円柱状から構成されている場合、第一蓋171の他方の先端部には、略U字状の凹部が設けられることとなる。同様に、第二蓋172は、略平板状の導電性材料から構成され、一方の先端部が開閉動作機構175を介して電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142の先端部に連結され、この開閉動作機構175を軸に回動可能に構成されている。また、第二蓋172の他方の先端部には、昇降動作部230の形状の残部に合わせた凹部が設けられている。本実施形態のように、昇降動作部230が略円柱状から構成されている場合、第二蓋172の他方の先端部には、略U字状の凹部が設けられることとなる。つまり、蓋部170は、観音開き構造を呈している。なお、第一蓋171と第二蓋172を回動させる開閉動作機構175としては、ロータリアクチュエータなどの電力により旋回動作させることが可能な電動アクチュエータが挙げられる。
【0051】
蓋制御部173は、蓋部170の開閉動作を制御している。具体的には、蓋制御部173は、給電制御部150が受電コイル検知部160から電磁気遮蔽ドーム140内に受電コイル部210が存在することを示す信号を受信すると、給電制御部150の指示に基づき、開閉動作機構175を駆動させて、第一蓋171が電磁気遮蔽ドーム140の開口部の半分の領域を塞ぐように閉じ、第二蓋172が電磁気遮蔽ドーム140の開口部の残り半分の領域を塞ぐように閉じさせる。つまり、蓋制御部173は、受電コイル検知部160が受電コイル部210を検知したとき、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を塞ぐように第一および第二蓋171,172を閉じさせている。
【0052】
蓋検知部174は、第一および第二蓋171,172の開閉状態を検知している。具体的には、蓋検知部174は、
図8および
図9に示されるように、電磁気遮蔽ドーム140内に設置され、第一および第二蓋171,172が電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆うように閉じられていることを検知すると、第一および第二蓋171,172が閉じられていることを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150は、受電コイル検知部160からの信号を受信し、且つ、蓋検知部174からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始させる。この蓋検知部174としては、光センサなどの非接触式のセンサやマイクロスイッチなどの接触式のセンサが挙げられる。
【0053】
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電動作について説明する。
【0054】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入し、駐車位置に停車する。
【0055】
続いて、給電コイル部130上に受電コイル部210が位置すると、車両に設置された昇降動作部230が動作し、受電コイル部210を外部空間から電磁気遮蔽ドーム140内の空間に下降させ、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納する。このとき、第一および第二蓋171,172は開いた状態であって、電磁気遮蔽ドーム140の開口部は完全に開口した状態となっている。そして、受電コイル検知部160が受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル検知部160は、受電コイル部210が存在することを示す信号を給電制御部150に出力する。蓋制御部173は、給電制御部150が受電コイル検知部160から電磁気遮蔽ドーム140内に受電コイル部210が存在することを示す信号を受信すると、給電制御部150の指示に基づき、開閉動作機構175を駆動させて、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を塞ぐように、第一および第二蓋171,172を閉じさせる。
【0056】
続いて、蓋検知部174が第一および第二蓋171,172が電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆うように閉じられていることを検知すると、第一および第二蓋171,172が閉じられていることを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150が、受電コイル検知部160からの信号を受信し、且つ、蓋検知部174からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。これにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送が開始する。この状態で電力伝送が開始すると、受電コイル部210は、電磁気遮蔽ドーム140内に格納されているため、給電コイル131から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。また、本実施形態では、電力伝送する際に、受電コイル部210の背面側(受電コイル211の給電コイル131と対向する側とは反対側)も導電性材料の蓋部170で覆われているため、電磁ノイズの漏洩を一層抑制することができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス給電装置100は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を開閉自在に覆う蓋部170と、蓋部170の開閉動作を制御する蓋制御部173を、さらに備え、蓋部170は、昇降動作部230の形状の一部に合わせた凹部が設けられた第一蓋171と、昇降動作部230の形状の残部に合わせた凹部が設けられた第二蓋172から構成され、蓋制御部173は、受電コイル検知部160が受電コイル部210を検知したとき、開口部を塞ぐように第一および第二蓋171,172を閉じている。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210の周囲全体を電磁気遮蔽ドーム140および蓋部170により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩を一層確実に抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいては、ワイヤレス給電装置100は、第一および第二蓋171,172の開閉状態を検知する蓋検知部174を、さらに備え、給電制御部150は、受電コイル検知部160が受電コイル部210を検知し、且つ、蓋検知部174が第一および第二蓋171,172が閉じていることを検知したとき、給電コイル部130への電力の供給を開始している。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140および蓋部170により確実に覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩をより一層確実に抑制することができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、
図10を参照して、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図10aは、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。
図10bは、本発明の第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。なお、
図10aは、蓋部370が開いた状態を示し、
図10bは、蓋部370が閉じた状態を示している。
【0060】
第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムと同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、蓋部370と、蓋制御部173と、蓋検知部174と、給電制御部150と、受電コイル検知部160と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、電磁気遮蔽ドーム140、給電制御部150、受電コイル検知部160、蓋制御部173、蓋検知部174、受電コイル部210、整流部220、昇降動作部230の構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムと同様である。すなわち、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの蓋部170に代えて、蓋部370を備えている点において、第2実施形態と相違する。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
蓋部370は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を開閉自在に覆う機能を有する。具体的には、蓋部370は、
図10aおよび
図10bに示されるように、電磁気遮蔽ドーム140の開口部の半分の領域を覆うことが可能な第一蓋371と、電磁気遮蔽ドーム140の開口部の残り半分の領域(第一蓋371によって覆われない領域)を覆うことが可能な第二蓋372から構成されている。第一蓋371は、略平板状の導電性材料から構成され、一部が開閉動作機構375を介して電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142の先端部に連結されている。また、第一蓋371は、第二蓋372と対向する端部に昇降動作部230の形状の一部に合わせた凹部が設けられている。本実施形態のように、昇降動作部230が略円柱状から構成されている場合、第一蓋371の第二蓋372と対向する端部には、略U字状の凹部が設けられることとなる。同様に、第二蓋372は、略平板状の導電性材料から構成され、一部が開閉動作機構375を介して電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142の先端部に連結されている。また、第二蓋372は、第一蓋371と対向する端部に昇降動作部230の形状の残部に合わせた凹部が設けられている。本実施形態のように、昇降動作部230が略円柱状から構成されている場合、第二蓋372の第一蓋371と対向する端部には、略U字状の凹部が設けられることとなる。
【0062】
本実施形態では、第一蓋371は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆う領域と、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆わない領域との間をスライド移動するように構成されている。また、第二蓋372は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆う領域と、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆わない領域との間をスライド移動するように構成されている。この第一蓋371と第二蓋372のスライド動作は、開閉動作機構375により行われる。なお、第一蓋371と第二蓋372をスライド移動させる開閉動作機構375としては、直動アクチュエータなどの電力によって直動駆動させることが可能な電動アクチュエータが挙げられる。また、開閉動作機構375によって第一蓋371と第二蓋372をスライド移動させる部分に摺動抵抗の低いスライドガイド(図示しない)が設けられていてもよい。この場合、蓋部370のスライド移動がよりスムーズに実施することができる。ここで、本実施形態では、第一および第二蓋371,372は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆う領域と、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆わない領域との間をスライド移動させているが、昇降動作部230により受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納させる動作を阻害しない程度であれば、第一および第二蓋371,372は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆わない領域にスライド移動させる際に、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を一部覆っていてもよい。
【0063】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス給電装置100は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を開閉自在に覆う蓋部370と、蓋部370の開閉動作を制御する蓋制御部173を、さらに備え、蓋部370は、昇降動作部230の形状の一部に合わせた凹部が設けられた第一蓋371と、昇降動作部230の形状の残部に合わせた凹部が設けられた第二蓋372から構成され、蓋制御部173は、受電コイル検知部160が受電コイル部210を検知したとき、開口部を塞ぐように第一および第二蓋371,372を閉じている。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210の周囲全体を電磁気遮蔽ドーム140および蓋部370により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩を一層確実に抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムにおいては、ワイヤレス給電装置100は、第一および第二蓋371,372の開閉状態を検知する蓋検知部174をさらに備え、給電制御部150は、受電コイル検知部160が受電コイル部210を検知し、且つ、蓋検知部174が第一および第二蓋371,372が閉じていることを検知したとき、給電コイル部130への電力の供給を開始している。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210を電磁気遮蔽ドームおよび蓋部370により確実に覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩をより一層確実に抑制することができる。
【0065】
(第4実施形態)
次に、
図11を参照して、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図11aは、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。
図11bは、本発明の第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。なお、
図11aは、蓋部470が開いた状態を示し、
図11bは、蓋部470が閉じた状態を示している。
【0066】
第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムと同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム440と、蓋部470と、蓋制御部173と、蓋検知部174と、給電制御部150と、受電コイル検知部160と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、給電制御部150、受電コイル検知部160、受電コイル部210、整流部220、昇降動作部230の構成は、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムと同様である。すなわち、第4実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドーム140に代えて、電磁気遮蔽ドーム440を備えている点、蓋部170に代えて蓋部470を備えている点において、第2実施形態と相違する。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0067】
電磁気遮蔽ドーム440は、銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、給電コイル131の周囲を覆うように配設されている。具体的には、電磁気遮蔽ドーム440は、
図11aおよび
図11bに示されるように、給電コイル部130が設置される設置部141と、設置部141の外縁に沿って立設される側壁部480と、受電コイル部210が通過可能な開口部を含んで構成されている。つまり、電磁気遮蔽ドーム440は、給電コイル部130の電力伝送が行われる側(給電コイル131の受電コイル211と対向する側)が開口していることとなる。言い換えれば、電磁気遮蔽ドーム440は、鉛直上方のみが開口している箱状の形状を呈している。本実施形態では、側壁部480は、設置部141に対して回動自在に保持された互いに対向する第一および第二側壁部481,482と、設置部141に固定された互いに対向する第三および第四側壁部483,484を含んで構成されている。
【0068】
蓋部470は、電磁気遮蔽ドーム440の開口部を開閉自在に覆う機能を有する。具体的には、蓋部470は、
図11aおよび
図11bに示されるように、電磁気遮蔽ドーム440の開口部の半分の領域を覆うことが可能な第一蓋471と、電磁気遮蔽ドーム440の開口部の残り半分の領域(第一蓋471によって覆われない領域)を覆うことが可能な第二蓋472から構成されている。第一蓋471は、略平板状の導電性材料から構成され、一方の先端部が電磁気遮蔽ドーム440の第一側壁部481に連結され、他方の先端部には昇降動作部230の形状の一部に合わせた凹部が設けられている。同様に、第二蓋472は、略平板状の導電性材料から構成され、一方の先端部が電磁気遮蔽ドーム440の第二側壁部482に連結され、他方の先端部には昇降動作部230の形状の残部に合わせた凹部が設けられている。
【0069】
本実施形態では、第一側壁部481は、一方の先端部が第一蓋471に連結され、他方の先端部が旋回動作機構475を介して設置部141に連結され、この旋回動作機構475を軸に回動可能に構成されている。また、第二側壁部482は、一方の先端部が第二蓋472に連結され、他方の先端部が旋回動作機構475を介して設置部141に連結され、この旋回動作機構475を軸に回動可能に構成されている。つまり、蓋制御部173が、給電制御部150が受電コイル検知部160から電磁気遮蔽ドーム440内に受電コイル部210が存在することを示す信号を受信すると、給電制御部150の指示に基づき、旋回動作機構475を駆動させて、第一蓋471が電磁気遮蔽ドーム440の開口部の半分の領域を塞ぐように閉じ、第二蓋472が電磁気遮蔽ドーム440の開口部の残り半分の領域を塞ぐように閉じさせる。このとき、第一側壁部481と第一蓋471は連結されているため、第一蓋471は、第一側壁部481の回動動作に連動して開閉動作を行い、第二側壁部482と第二蓋472は連結されているため、第二蓋472は、第二側壁部482の回動動作に連動して開閉動作を行う。言い換えれば、本実施形態では、第一および第二側壁部481,482を回動動作させることにより、第一および第二蓋471,472の開閉動作を行うように構成されている。なお、第一および第二側壁部481,482を回動させる旋回動作機構475としては、ロータリアクチュエータなどの電力により旋回動作させることが可能な電動アクチュエータが挙げられる。
【0070】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、側壁部480は、設置部141に対して回動自在に保持された互いに対向する第一および第二側壁部481,482と、設置部141に固定された互いに対向する第三および第四側壁部483,484と、を含み、第一蓋471は、第一側壁部481に連結され、第一側壁部481の回動動作に連動して開閉動作を行うように構成され、第二蓋472は、第二側壁部482に連結され、第二側壁部482の回動動作に連動して開閉動作を行うように構成されている。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210の周囲全体を電磁気遮蔽ドーム440および蓋部470により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩を一層確実に抑制することができる。
【0071】
(第5実施形態)
次に、
図12を参照して、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図12は、本発明の第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す斜視図である。なお、
図12は、蓋部370が閉じた状態を示している。
【0072】
第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムと同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、蓋部370と、蓋制御部173と、蓋検知部174と、給電制御部150と、受電コイル検知部160と、受電コイル位置検知部180と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、電磁気遮蔽ドーム140、蓋部370、蓋制御部173、蓋検知部174、給電制御部150、受電コイル検知部160、受電コイル部210、整流部220、昇降動作部230の構成は、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムと同様である。すなわち、第5実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第3実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムに追加して、受電コイル位置検知部180を備えている点において、第3実施形態と相違する。以下、第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0073】
受電コイル位置検知部180は、電磁気遮蔽ドーム140上における受電コイル部210の存在の有無を検知している。具体的には、受電コイル位置検知部180は、電磁気遮蔽ドーム140上に受電コイル部210を検知すると、受電コイル部210が存在することを示す信号を蓋制御部173に出力する。そして、蓋制御部173が、受電コイル位置検知部180からの信号を受信すると、開閉動作機構375を駆動させて、第一蓋371が電磁気遮蔽ドーム140の開口部の半分の領域を開放するように開き、第二蓋372が電磁気遮蔽ドーム140の開口部の残り半分の領域を開放するように開く。本実施形態では、受電コイル位置検知部180は、
図12に示されるように、電磁気遮蔽ドーム140の外表面に設置されている。なお、受電コイル位置検知部180は、蓋部370の開閉動作を阻害しない位置であれば特に制限されない。この受電コイル位置検知部180としては、光センサや超音波センサなどの非接触式のセンサが挙げられる。
【0074】
続いて、
図13を参照して、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの給電動作について説明する。
図13aは、車両が駐車位置に停車したときの電磁気遮蔽ドームの様子を示す斜視図である。
図13bは、蓋部が電磁気遮蔽ドームの開口部を開放させるときの様子を示す斜視図である。
図13cは、昇降動作部により受電コイルを電磁気遮蔽ドーム内に格納させるときの様子を示す斜視図である。
図13dは、蓋部が電磁気遮蔽ドームの開口部を塞ぐときの様子を示す斜視図である。
【0075】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入し、駐車位置に停車する。このとき、
図13aに示されるように、第1蓋371および第2蓋372はいずれも閉じており、電磁気遮蔽ドーム140の開口部は蓋部370によって覆われている。
【0076】
続いて、受電コイル部210が、電磁気遮蔽ドーム140上に進入し、受電コイル位置検知部180が電磁気遮蔽ドーム140上に受電コイル部210を検知すると、受電コイル部210が存在することを示す信号を蓋制御部173に出力する。そして、蓋制御部173が、
図13bに示されるように、受電コイル位置検知部180からの信号を受信すると、開閉動作機構375を駆動させて、第一蓋371が電磁気遮蔽ドーム140の開口部の半分の領域を開放するように開き、第二蓋372が電磁気遮蔽ドーム140の開口部の残り半分の領域を開放するように開く。このとき、蓋検知部174により、蓋部370が開いたことが認識される。
【0077】
続いて、給電コイル部130上に受電コイル部210が位置すると、車両に設置された昇降動作部230が動作し、
図13cに示されるように、受電コイル部210を外部空間から電磁気遮蔽ドーム140内の空間に下降させ、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に格納する。このとき、第一および第二蓋371,372は開いた状態であって、電磁気遮蔽ドーム140の開口部は完全に開口した状態となっている。
【0078】
続いて、受電コイル検知部160が受電コイル部210の存在を検知すると、受電コイル検知部160は受電コイル部210が存在することを示す信号を給電制御部150に出力する。蓋制御部173は、給電制御部150が受電コイル検知部160から電磁気遮蔽ドーム140内に受電コイル部210が存在することを示す信号を受信すると、給電制御部150の指示に基づき、開閉動作機構375を駆動させて、
図13dに示されるように、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を塞ぐように、第一および第二蓋371,372を閉じさせる。
【0079】
そして、蓋検知部174が第一および第二蓋371,372が電磁気遮蔽ドーム140の開口部を覆うように閉じられていることを検知すると、第一および第二蓋371,372が閉じられていることを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150が、受電コイル検知部160からの信号を受信し、且つ、蓋検知部174からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。これにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送が開始する。この状態で電力伝送が開始すると、受電コイル部210は、電磁気遮蔽ドーム140内に格納されているため、給電コイル131から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。また、本実施形態では、電力伝送する際に、受電コイル部210の背面側(受電コイル211の給電コイル131と対向する側とは反対側)も導電性材料の蓋部370で覆われているため、電磁ノイズの漏洩を一層抑制することができる。さらに、車両が駐車位置に停車していない状態、すなわち受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140上に存在しないときは第一および第二蓋371,372は閉じられているため、電力伝送しないときに電磁気遮蔽ドーム140内に異物が混入することを防ぐことができる。
【0080】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス給電装置100は、電磁気遮蔽ドーム140上における受電コイル部210の存在の有無を検知する受電コイル位置検知部180を、さらに備え、蓋制御部173は、受電コイル位置検知部180が受電コイル部210を検知したとき、第一および第二蓋371,372を開いている。そのため、受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140上に存在しないときは第一および第二蓋371,372を閉じておくことができるため、電力伝送しないときに電磁気遮蔽ドーム140内に異物が混入することを防ぐことができる。
【0081】
(第6実施形態)
次に、
図14を参照して、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの構成について説明する。
図14aは、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す模式構成図である。
図14bは、本発明の第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムの電磁気遮蔽ドームを拡大して示す模式構成図である。
【0082】
第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、給電制御部150と、受電コイル検知部160と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、電磁気遮蔽板240と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、電磁気遮蔽ドーム140、給電制御部150、受電コイル検知部160、受電コイル部210、整流部220、昇降動作部230の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第6実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10のワイヤレス受電装置200に追加して、電磁気遮蔽板240を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0083】
電磁気遮蔽板240は、略平板状の導電性材料から構成されている。この電磁気遮蔽板240は、
図14aに示されるように、昇降動作部230に支持されており、受電コイル部210の背面に配設されている。具体的には、昇降動作部230が電磁気遮蔽板240を貫通支持している。また、電磁気遮蔽板240は、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を全て覆うことが可能な大きさで構成されている。つまり、電磁気遮蔽板240は、
図14bに示されるように、昇降動作部230により受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140に格納されたとき、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を塞ぐ大きさとなっている。本実施形態では、昇降動作部230により受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140に格納するとき、電磁気遮蔽板240の周縁が電磁気遮蔽ドーム140の側壁部142の先端部に接触する大きさで構成されている。これにより、電磁気遮蔽ドーム140を閉空間とすることが可能となる。
【0084】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムは、ワイヤレス受電装置200は、昇降動作部230に支持される電磁気遮蔽板240を、さらに備え、電磁気遮蔽板240は、昇降動作部230により受電コイル部210が電磁気遮蔽ドーム140内に格納されたとき、電磁気遮蔽ドーム140の開口部を塞ぐように、受電コイル部210の背面に配設されている。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210の周囲全体を電磁気遮蔽ドーム140および電磁気遮蔽板240により覆った状態で電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩を一層確実に抑制することができる。また、昇降動作部230の昇降動作に付随して電磁気遮蔽ドーム140の開口部を塞ぐことができるため、別途アクチュエータなどが不要となり、電力消費を抑えることができる。
【0085】
(第7実施形態)
次に、
図15を参照して、本発明の第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム70の構成について説明する。
図15は、本発明の第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
【0086】
ワイヤレス電力伝送システム70は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、電磁気遮蔽ドーム140と、給電制御部150と、受電コイル検知部160と、受電ポジションマーカ190と、を有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、昇降動作部230と、受電ポジション検知部250と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、電磁気遮蔽ドーム140、給電制御部150、受電コイル検知部160、受電コイル部210、整流部220、昇降動作部230の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第7実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム70は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10のワイヤレス給電装置100に追加して、受電ポジションマーカ190を備え、ワイヤレス受電装置200に追加して、受電ポジション検知部250を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0087】
受電ポジションマーカ190は、給電コイル131と受電コイル211が適正位置にあることを示す機能を有している。本実施形態では、受電ポジションマーカ190は、地上に設置され、給電コイル131に対して所定の位置関係となっている。ここで、「適正位置」とは、給電コイル131と受電コイル211の相対的位置関係が所望の電力伝送効率を満足できる範囲に収まっている位置のことを意味する。したがって、必ずしも給電コイル131と受電コイル211が完全に正対している必要はない。
【0088】
受電ポジション検知部250は、受電ポジションマーカ190を検知する機能を有する。具体的には、受電ポジション検知部250は、車両下部に設置され、受電コイル211に対して所定の位置関係となっている。ここで、受電コイル211に対する受電ポジション検知部250の位置関係と給電コイル131に対する受電ポジションマーカ190の位置関係は同じ距離、同じ方向となっている。つまり、受電ポジション検知部250により、受電ポジションマーカ190を検知すると、給電コイル131に対して受電コイル211が適正位置にあることを示すこととなる。本実施形態では、受電ポジション検知部250が、受電ポジションマーカ190を検知すると、給電コイル131と受電コイル211が適正位置にあることを示す信号を昇降動作部230に出力する。そして、昇降動作部230は、受電ポジション検知部250からの信号を受信すると、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140に格納させる格納動作を開始する。
【0089】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム70は、ワイヤレス給電装置100は、給電コイル131と受電コイル211が適正位置にあることを示す受電ポジションマーカ190を、さらに備え、ワイヤレス受電装置200は、受電ポジションマーカ190を検知する受電ポジション検知部250を、さらに備え、昇降動作部230は、受電ポジション検知部250が受電ポジションマーカ190を検知したとき、受電コイル部210の電磁気遮蔽ドーム140への格納動作を開始している。そのため、受電コイル部210を電磁気遮蔽ドーム140内に確実に格納することができる。
【0090】
(第8実施形態)
次に、
図16および
図17を参照して、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム80の構成について説明する。
図16は、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムを示す模式図である。
図17aは、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムのワイヤレス給電装置とワイヤレス受電装置の一部を拡大して示す模式構成図である。
図17bは、本発明の第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送システムのワイヤレス給電装置とワイヤレス受電装置の一部を拡大して示す模式構成図である。
【0091】
第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム80は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様に、ワイヤレス給電装置100と、ワイヤレス受電装置200と、を有する。ワイヤレス給電装置100は、電源110と、インバータ120と、給電コイル部130と、昇降動作部830と、給電制御部150と、給電コイル位置検知部831とを有し、ワイヤレス受電装置200は、受電コイル部210と、整流部220と、電磁気遮蔽ドーム810と、を有する。電源110、インバータ120、給電コイル部130、給電制御部150、受電コイル部210、整流部220の構成は、第1実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム10と同様である。すなわち、第8実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム80は、ワイヤレス給電装置100に昇降動作部830と給電コイル位置検知部831を備え、ワイヤレス受電装置200に、電磁気遮蔽ドーム810を備えている点において、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0092】
昇降動作部830は、給電コイル部130を介して給電コイル131を支持している。本実施形態では、昇降動作部830は、給電コイル部130を地上側から鉛直上方に持ち上げるように支持している。また、昇降動作部830は、給電コイル部130を後述する電磁気遮蔽ドーム810内の空間と外部空間との間を昇降させる機能を有している。つまり、昇降動作部830は、給電コイル部130を昇降可能に保持している。具体的には、昇降動作部830は、給電コイル部130を地面近傍の位置から電磁気遮蔽ドーム810内の位置まで上昇させる動作と、給電コイル部130を電磁気遮蔽ドーム810内の位置から地面近傍位置まで下降させる動作を行う。この昇降動作部830は、
図17aおよび
図17bに示されるように、電力伝送する際、すなわち給電コイル部130上に受電コイル部210が位置するとき、給電コイル部130を移動させて、給電コイル部130を電磁気遮蔽ドーム810内に格納するように動作する。なお、本実施形態では、昇降動作部830は、給電コイル部130を電磁気遮蔽ドーム810内の空間と外部空間との間を昇降させるとき、給電コイル131が受電コイル211に対向する状態を維持しつつ昇降動作を行っている。ここで、「外部空間」とは、電磁気遮蔽ドーム810の側壁部812によって囲まれる空間以外の空間のことを意味し、給電コイル部130が地上ではなく地中に埋設されることまでも排除する意味ではない。このように構成される昇降動作部830としては、例えば直動式アクチュエータや単軸ロボットから構成されていてもよく、サーボ制御により昇降動作をするものであってもよい。
【0093】
給電コイル位置検知部831は、給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したか否かを検知している。具体的には、給電コイル位置検知部831は、給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したことを検知すると、給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したことを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150が、給電コイル位置検知部831からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始させる。本実施形態では、給電コイル位置検知部831は、
図17aおよび
図17bに示されるように、昇降動作部830の近傍に設けられている。この給電コイル位置検知部831としては、光センサなどの非接触式のセンサやマイクロスイッチなどの接触式のセンサが挙げられる。ここで、給電コイル位置検知部831により給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したか否かを検知する方法の一例を説明する。例えば、昇降動作部830が給電コイル部130を後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに上昇させた際に現れるマーク831aを昇降動作部830の昇降機構部分に設けておき、このマーク831aを給電コイル位置検知部831が読み取ることで、給電コイル部130の高さ位置を判定してもよい。具体的には、昇降動作部830が給電コイル部130を地面近傍の位置に支持しているとき、給電コイル位置検知部831はマーク831aを読み取ることができず、給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達していないと判定する。一方、昇降動作部830が給電コイル部130を後述する電磁気遮蔽ドーム810内の空間に上昇させると、給電コイル位置検知部831はマーク831aを読み取ることができ、給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達していると判定する。なお、本実施形態においては、給電制御部150は、インバータ120の給電動作が駆動中、すなわちワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200への電力伝送中に、給電コイル位置検知部831が、給電コイル部130が後述する電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達していないことを検知すると、インバータ120の給電動作を停止(給電動作OFF)させるように制御する機能を有していてもよい。つまり、給電制御部150により、給電コイル位置検知部831が、給電コイル部130が所定位置に存在するときのみ、給電コイル部130への電力の供給が行われることとなる。
【0094】
電磁気遮蔽ドーム810は、銅やアルミニウムなどの導電性材料から構成され、受電コイル部210の周囲を覆うように配設されている。具体的には、電磁気遮蔽ドーム810は、
図17aおよび
図17bに示されるように、受電コイル部210が設置される設置部811と、設置部811の外縁に沿って垂設される側壁部812と、給電コイル部130が通過可能な開口部を含んで構成されている。つまり、電磁気遮蔽ドーム810は、受電コイル部210の電力伝送が行われる側(受電コイル211の給電コイル131と対向する側)が開口していることとなる。言い換えれば、電磁気遮蔽ドーム810は、鉛直下方のみが開口している箱状の形状を呈している。ここで、側壁部812の高さは、電力伝送する際に、給電コイル部130を格納できる高さであればよく、給電コイル部130の受電コイル部210と対向する面とは反対側の面を越える高さであるとより好ましい。この場合、給電コイル部130と受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズおよび給電コイル部130と受電コイル部210との間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズの抑制効果を向上させることができる。このように構成される電磁気遮蔽ドーム810の外観形状は、立方体形状や円柱形状が挙げられ、設置部811が受電コイル211および磁性体212を収容する筐体214と相似形状であるとより好ましい。
【0095】
続いて、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム80の給電動作について説明する。
【0096】
まず、ワイヤレス受電装置200を備えた車両が、ワイヤレス給電装置100が配設されている給電エリアに進入し、駐車位置に停車する。
【0097】
続いて、給電コイル部130上に受電コイル部210が位置すると、地上に設置された昇降動作部830が動作し、給電コイル部130を外部空間から電磁気遮蔽ドーム810内の空間に上昇させ、給電コイル部130を電磁気遮蔽ドーム810内に格納する。このとき、給電コイル位置検知部831が、給電コイル部130が電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したことを検知すると、給電コイル位置検知部831は、給電コイル部130が電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したことを示す信号を給電制御部150に出力する。そして、給電制御部150が、給電コイル位置検知部831からの信号を受信すると、インバータ120を駆動させ、給電コイル部130への電力の供給を開始(給電動作ON)させる。これにより、ワイヤレス給電装置100からワイヤレス受電装置200へのワイヤレス電力伝送が開始する。この状態で電力伝送が開始すると、給電コイル部130は、電磁気遮蔽ドーム810内に格納されているため、給電コイル131から発生する交流磁界のうち、電力伝送に寄与する磁束は受電コイル211に鎖交し、受電コイル211に鎖交しない漏洩磁束は、電磁気遮蔽ドーム810の側壁部812に吸収されるので、電磁ノイズの漏洩を抑制することができる。
【0098】
以上のように、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム80は、ワイヤレス給電装置100が、給電コイル部130を昇降可能に保持する昇降動作部830を有し、ワイヤレス受電装置200が、受電コイル部210の周囲を覆うように配設される電磁気遮蔽ドーム810を有し、電磁気遮蔽ドーム810は、受電コイル部210が設置される設置部811と、設置部811の外縁に沿って垂設される側壁部812と、給電コイル部130が通過可能な開口部を含み、昇降動作部830は、電力伝送する際に、給電コイル部130を移動させて、給電コイル部130を電磁気遮蔽ドーム810内に格納している。そのため、給電コイル部130と受電コイル部210のそれぞれの周囲に発生する漏洩電磁ノイズを抑制できるとともに、給電コイル部130と受電コイル部210との間の領域から外部に漏れる漏洩電磁ノイズも抑制することができる。したがって、ワイヤレス電力伝送時における電磁ノイズの漏洩を大幅に抑制できる。
【0099】
また、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送システム80においては、ワイヤレス給電装置100は、給電コイル部130への電力の供給を制御する給電制御部150と、給電コイル部130が電磁気遮蔽ドーム810内に格納される高さに達したことを検知する給電コイル位置検知部831を、さらに備え、給電制御部150は、給電コイル位置検知部831が、給電コイル部130が電磁気遮蔽ドーム810に格納される高さに達したことを検知したとき、給電コイル部130への電力の供給を開始している。そのため、給電コイル部130が電磁気遮蔽ドーム810内に存在するときに電力伝送が行われるため、電磁ノイズの外部への漏洩を確実に抑制することができる。