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特開2016-226252電力変換装置及び電力変換装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-226252(P2016-226252A)
(43)【公開日】2016年12月28日
(54)【発明の名称】電力変換装置及び電力変換装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20161205BHJP
【FI】
   H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-3692(P2016-3692)
(22)【出願日】2016年1月12日
(31)【優先権主張番号】特願2015-111542(P2015-111542)
(32)【優先日】2015年6月1日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】廣田 将義
(72)【発明者】
【氏名】田代 圭司
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AA15
5H730AA18
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS08
5H730AS13
5H730AS17
5H730BB25
5H730BB26
5H730BB27
5H730BB57
5H730BB66
5H730BB86
5H730CC04
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD32
5H730EE03
5H730EE04
5H730EE18
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】サージ電圧の発生を抑制することができる電力変換装置及び該電力変換装置の制御方法を提供する。
【解決手段】第1制御部は、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子をオンにする第1制御状態と、第1制御状態から移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子をオンにする第2制御状態とを有し、第2制御状態に移行する前の第1制御状態の所定期間に亘って、変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御する第2制御部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部をさらに備える電力変換装置であって、
前記制御部は、
一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、
該第1制御状態から移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子がオンである第2制御状態にすべく制御するようにしてあり、
さらに、前記第2制御状態に移行する前の前記第1制御状態の所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御するようにしてある電力変換装置。
【請求項2】
第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部を備える電力変換装置であって、
前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタと、
前記第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、前記第2スイッチング素子の他端に前記一方側の巻線の他端を接続し、前記一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器と
を備え、
前記制御部は、
前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、
該第1制御状態から移行し、前記第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方がオンである第2制御状態にすべく制御するようにしてあり、
さらに、前記第2制御状態に移行する前の前記第1制御状態の所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御するようにしてある電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2制御状態にて前記変圧器に流れる電流と同方向に電流が流れるように前記所定電圧を印加すべく制御するようにしてある請求項1又は請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点それぞれに前記変圧器の他方側を接続してあり、
前記制御部は、
一方の直列回路の第3スイッチング素子及び他方の直列回路の第4スイッチング素子をオンにして前記所定電圧を印加すべく制御するようにしてある請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点の少なくとも一方は、インダクタを介して前記変圧器の他方側に接続してあり、
前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子それぞれの両端にキャパシタを接続してある請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を直列に接続した直列回路を備え、
前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点に前記変圧器の他方側の巻線の一端を接続してあり、
前記制御部は、
前記第3スイッチング素子又は第4スイッチング素子のいずれか一方をオンにして前記所定電圧を印加すべく制御するようにしてある請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項7】
第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフする電力変換装置の制御方法であって、
一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を制御部がオンにする第1制御ステップと、
該第1制御ステップから移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子を制御部がオンにする第2制御ステップと、
該第2制御ステップに移行する前の前記第1制御ステップの所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御部が制御するステップと
を含む電力変換装置の制御方法。
【請求項8】
第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部と、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタと、前記第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、前記第2スイッチング素子の他端に前記一方側の巻線の他端を接続し、前記一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器とを備える電力変換装置の制御方法であって、
前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を前記制御部がオンにする第1制御ステップと、
該第1制御ステップから移行し、前記第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方を前記制御部がオンにする第2制御ステップと、
該第2制御ステップに移行する前の前記第1制御ステップの所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく前記制御部が制御するステップと
を含む電力変換装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双方に電力を変換する電力変換装置及び該電力変換装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラグインハイブリッド車(PHEV:Plugin Hybrid Electric Vehicle)及び電気自動車(EV:Electric Vehicle)には、車載充電器(例えば、AC/DCコンバータ)が搭載され、電力系統(AC側)から車載高圧バッテリ(DC側)を充電することができる。一方で、車載高圧バッテリを家庭用電源(V2H:Vehicle to Home)として、あるいは電力系統の安定化のためのバッファ(V2G:Vehicle to Grid)として利用するという期待が高まっている。そのためには、双方向に電力を変換することができる双方向充電器が必要となる。
【0003】
このような双方向充電器は、充電時にはPFC(Power Factor Correction)機能を有し交流を直流に変換するとともに、放電時には直流を交流に変換するインバータ機能を有する交直変換回路、及びDC/DCコンバータなどを備える。
【0004】
このようなDC/DCコンバータは、例えば、2つの単相ブリッジインバータと、単相ブリッジインバータ間を絶縁するトランスとを備え、単相ブリッジインバータは、2つのスイッチング素子を直列に接続した直列回路を並列に設けた構成をなしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−196089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のDC/DCコンバータにあっては、単相ブリッジを構成するスイッチング素子が所定の順序でオン/オフした場合、トランスには急峻な電流が流れる。その結果、トランスの漏れインダクタンスには、電流の時間的変化に対応する過大なサージ電圧が発生し、発生したサージ電圧は、オフ状態にあるスイッチング素子に印加されるため、スイッチング素子が破損する可能性がある。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、サージ電圧の発生を抑制することができる電力変換装置及び該電力変換装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部をさらに備える電力変換装置であって、前記制御部は、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、該第1制御状態から移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子がオンである第2制御状態にすべく制御するようにしてあり、さらに、前記第2制御状態に移行する前の前記第1制御状態の所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0009】
本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部を備える電力変換装置であって、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタと、前記第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、前記第2スイッチング素子の他端に前記一方側の巻線の他端を接続し、前記一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器とを備え、前記制御部は、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、該第1制御状態から移行し、前記第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方がオンである第2制御状態にすべく制御するようにしてあり、さらに、前記第2制御状態に移行する前の前記第1制御状態の所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0010】
本発明の実施の形態に係る電力変換装置の制御方法は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフする電力変換装置の制御方法であって、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を制御部がオンにする第1制御ステップと、該第1制御ステップから移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子を制御部がオンにする第2制御ステップと、該第2制御ステップに移行する前の前記第1制御ステップの所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御部が制御するステップとを含む。
【0011】
本発明の実施の形態に係る電力変換装置の制御方法は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部と、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタと、前記第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、前記第2スイッチング素子の他端に前記一方側の巻線の他端を接続し、前記一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器とを備える電力変換装置の制御方法であって、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を前記制御部がオンにする第1制御ステップと、該第1制御ステップから移行し、前記第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方を前記制御部がオンにする第2制御ステップと、該第2制御ステップに移行する前の前記第1制御ステップの所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく前記制御部が制御するステップとを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の電力変換装置の回路構成の一例を示す説明図である。
図2】双方向変換回路の動作の一例を示す説明図である。
図3】双方向変換回路の動作状態の一例を示す説明図である。
図4】双方向変換回路のトランジスタに発生するサージ電圧の一例を示すタイムチャートである。
図5】第1実施形態の電力変換装置の動作状態の一例を示す説明図である。
図6】第1実施形態の電力変換装置の各部の電圧・電流波形の一例を示すタイムチャートである。
図7】第1実施形態の電力変換装置の回路構成の他の例を示す説明図である。
図8】第2実施形態の電力変換装置の回路構成の一例を示す説明図である。
図9】第2実施形態の双方向変換回路の動作の一例を示す説明図である。
図10】第2実施形態の双方向変換回路の動作状態の一例を示す説明図である。
図11】第2実施形態の双方向変換回路のトランジスタに発生するサージ電圧の一例を示すタイムチャートである。
図12】第2実施形態の電力変換装置の動作状態の一例を示す説明図である。
図13】第2実施形態の電力変換装置の各部の電圧・電流波形の一例を示すタイムチャートである。
図14】第3実施形態の電力変換装置の動作状態の一例を示す説明図である。
図15】第3実施形態の電力変換装置の各部の電圧・電流波形の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本願発明の実施形態の説明]
(1)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部をさらに備える電力変換装置であって、前記制御部は、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、該第1制御状態から移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子がオンである第2制御状態にすべく制御するようにしてあり、さらに、前記第2制御状態に移行する前の前記第1制御状態の所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0015】
(7)本発明の実施の形態に係る電力変換装置の制御方法は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフする電力変換装置の制御方法であって、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を制御部がオンにする第1制御ステップと、該第1制御ステップから移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び前記一方の直列回路の第2スイッチング素子を制御部がオンにする第2制御ステップと、該第2制御ステップに移行する前の前記第1制御ステップの所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御部が制御するステップとを含む。
【0016】
電力変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、各直列回路の一端にインダクタを接続してあり、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の一方側を接続してあり、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する第1制御部をさらに備える。すなわち、各直列回路の第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子によりブリッジ回路を構成してある。
【0017】
制御部は、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、第1制御状態から移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び一方の直列回路の第2スイッチング素子がオンである第2制御状態にすべく制御する。第1制御状態では、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子をオンにするので、インダクタに電流が流れインダクタに電気エネルギーが蓄えられる。第2制御状態では、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び一方の直列回路の第2スイッチング素子をオンにするので、インダクタに蓄えられたエネルギーに基づく急峻な電流が変圧器を流れる。この場合、変圧器の漏れインダクタンスと電流の時間的変化とに基づくサージ電圧が、オフ状態にある、他方の直列回路の第2スイッチング素子及び一方の直列回路の第1スイッチング素子に印加されるおそれがある。
【0018】
そこで、制御部は、第2制御状態に移行する前の第1制御状態の所定期間に亘って、変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御する。変圧器に急峻な電流が流れる第2制御状態の開始前の所定期間に亘って、変圧器の他方側に所定電圧を印加することにより、変圧器に予め電流を流すことができ、第2制御状態に移行したときに変圧器に流れる電流の変化を緩やかにすることができ、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0019】
(2)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部を備える電力変換装置であって、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタと、前記第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、前記第2スイッチング素子の他端に前記一方側の巻線の他端を接続し、前記一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器とを備え、前記制御部は、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、該第1制御状態から移行し、前記第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方がオンである第2制御状態にすべく制御するようにしてあり、さらに、前記第2制御状態に移行する前の前記第1制御状態の所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0020】
(8)本発明の実施の形態に係る電力変換装置の制御方法は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部と、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタと、前記第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、前記第2スイッチング素子の他端に前記一方側の巻線の他端を接続し、前記一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器とを備える電力変換装置の制御方法であって、前記第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を前記制御部がオンにする第1制御ステップと、該第1制御ステップから移行し、前記第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方を前記制御部がオンにする第2制御ステップと、該第2制御ステップに移行する前の前記第1制御ステップの所定期間に亘って、前記変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく前記制御部が制御するステップとを含む。
【0021】
電力変換装置は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を所定周波数でオン/オフすべく制御する制御部、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の一端に接続されたインダクタ、第1スイッチング素子の他端に一方側の巻線の一端を接続し、第2スイッチング素子の他端に一方側の巻線の他端を接続し、一方側の巻線の中途に接続点を有する変圧器を備える。すなわち、変圧器は、一方側が、いわゆるセンタータップ方式の変圧器であり、一方側の巻線の両端に第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を接続してある。
【0022】
制御部は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子がオンである第1制御状態にすべく制御し、第1制御状態から移行し、第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方がオンである第2制御状態にすべく制御する。第1制御状態では、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子をオンにするので、インダクタに電流が流れインダクタに電気エネルギーが蓄えられる。第2制御状態では、第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方がオンとなる状態、すなわち第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方がオフとなるので、インダクタに蓄えられたエネルギーに基づく急峻な電流が変圧器を流れ、変圧器に流れる電流によりオン状態のスイッチング素子(例えば、第1スイッチング素子)が接続された変圧器の巻線の一端と接続点(センタータップ)との間に発生する過大なサージ電圧が、変圧器の巻線の他端に接続されたオフ状態のスイッチング素子(例えば、第2スイッチング素子)に印加されるおそれがある。
【0023】
そこで、制御部は、第2制御状態に移行する前の第1制御状態の所定期間に亘って、変圧器の他方側に所定電圧を印加すべく制御する。変圧器に急峻な電流が流れる第2制御状態の開始前の所定期間に亘って、変圧器の他方側に所定電圧を印加することにより、変圧器に予め電流を流すことができ、第2制御状態に移行したときに変圧器に流れる電流の変化を緩やかにすることができ、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0024】
(3)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、前記制御部は、前記第2制御状態にて前記変圧器に流れる電流と同方向に電流が流れるように前記所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0025】
制御部は、第2制御状態にて変圧器に流れる電流と同方向に電流が流れるように所定電圧を印加すべく制御する。予め第2制御状態の開始時に変圧器に流れる電流と同方向に所要の電流を第2制御状態の開始前の所定期間に亘って流すことにより、第2制御状態の開始時に変圧器に流れる電流の見かけの波高値を小さくすることができるので、オフ状態にあるスイッチング素子に印加される、第2制御状態の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0026】
(4)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点それぞれに前記変圧器の他方側を接続してあり、前記制御部は、一方の直列回路の第3スイッチング素子及び他方の直列回路の第4スイッチング素子をオンにして前記所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0027】
第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を直列に接続した直列回路を複数備え、各直列回路を並列に接続してあり、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点それぞれに変圧器の他方側を接続してある。制御部は、一方の直列回路の第3スイッチング素子及び他方の直列回路の第4スイッチング素子をオンにして所定電圧を印加すべく制御する。一方の直列回路の第3スイッチング素子及び他方の直列回路の第4スイッチング素子をオンにすることにより、変圧器の他方側に所定電圧を印加し、第2制御状態にて変圧器に流れる電流と同方向に電流が流れるようにすることができる。これにより、オフ状態にあるスイッチング素子に印加される、第2制御状態の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0028】
(5)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点の少なくとも一方は、インダクタを介して前記変圧器の他方側に接続してあり、前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子それぞれの両端にキャパシタを接続してある。
【0029】
一方の直列回路の第3スイッチング素子及び他方の直列回路の第4スイッチング素子をオンにすることにより、変圧器の他方側に所定電圧を印加し、第2制御状態にて変圧器に流れる電流と同方向に電流が流れるようにすることができる。これにより、オフ状態にあるスイッチング素子に印加される、第2制御状態の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0030】
(6)本発明の実施の形態に係る電力変換装置は、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を直列に接続した直列回路を備え、前記第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点に前記変圧器の他方側の巻線の一端を接続してあり、前記制御部は、前記第3スイッチング素子又は第4スイッチング素子のいずれか一方をオンにして前記所定電圧を印加すべく制御するようにしてある。
【0031】
第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子を直列に接続した直列回路を備え、第3スイッチング素子及び第4スイッチング素子の接続点に変圧器の他方側の巻線の一端を接続してある。すなわち、変圧器の他方側は、いわゆるハーフブリッジ回路を構成してある。制御部は、第3スイッチング素子又は第4スイッチング素子のいずれか一方をオンにして所定電圧を印加すべく制御する。
【0032】
第3スイッチング素子又は第4スイッチング素子のいずれか一方をオンにすることにより、変圧器の他方側に所定電圧を印加し、第2制御状態にて変圧器に流れる電流と同方向に電流が流れるようにすることができる。これにより、オフ状態にあるスイッチング素子に印加される、第2制御状態の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0033】
[本願発明の実施形態の詳細]
(第1実施形態)
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は第1実施形態の電力変換装置1の回路構成の一例を示す説明図である。本実施の形態の電力変換装置1は、例えば、プラグインハイブリッド車又は電気自動車に搭載され、交流電圧及び直流電圧を双方向に交直変換する絶縁型の変換装置である。電力変換装置1は、ノイズフィルタ4、PFC(Power Factor Correction)機能を有する双方向変換回路5、双方向DC−DC変換回路(例えば、絶縁型DC/DCコンバータ)を構成する双方向変換回路6、変圧器7及び双方向変換回路8、各変換回路を構成する後述のスイッチング素子のオン/オフの制御を行う制御部9などを備える。
【0034】
双方向変換回路5は、トランジスタ51、52を直列に接続した直列回路及びトランジスタ53、54を直列に接続した直列回路それぞれを並列に接続した回路を有する。トランジスタ51、52、53、54は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではなく、IGBTに代えて、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることもできる。また、トランジスタ51、52、53、54それぞれのコレクタ・エミッタ間には、ダイオード55、56、57、58が逆並列に接続(コレクタにカソードを、エミッタにアノードを接続)してある。
【0035】
トランジスタ51のエミッタとトランジスタ52のコレクタとの接続点には、コイルL1の一端を接続してあり、トランジスタ53のエミッタとトランジスタ54のコレクタとの接続点には、コイルL2の一端を接続してあり、コイルL1、L2の他端は、ノイズフィルタ4を介して、交流入力端子T1、T2に接続してある。また、コイルL1、L2の他端間には、キャパシタC1を接続してある。コイルL1、L2及びキャパシタC1は、フィルタを構成する。交流入力端子T1、T2には、交流電源2が接続される。
【0036】
双方向変換回路8は、第1スイッチング素子としてのトランジスタ81及び第2スイッチング素子としてのトランジスタ82を直列に接続した第1直列回路80a、第1スイッチング素子としてのトランジスタ83及び第2スイッチング素子としてのトランジスタ84を直列に接続した第2直列回路80bを備え、第1直列回路80aと第2直列回路80bとを並列に接続してある。具体的には、トランジスタ81のエミッタとトランジスタ82のコレクタとを接続し、トランジスタ83のエミッタとトランジスタ84のコレクタとを接続してある。また、トランジスタ81、83のコレクタ同士を接続してあり、トランジスタ82、84のエミッタ同士を接続してある。トランジスタ82、84のエミッタは、直流出力端子T4に接続してある。すなわち、第1直列回路80a及び第2直列回路80bにより、ブリッジ回路を構成してある。
【0037】
第1直列回路80a及び第2直列回路80bの一端、すなわち、トランジスタ81、83のコレクタには、インダクタL3の一端を接続してあり、インダクダL3の他端は直流出力端子T3に接続してある。直流出力端子T3、T4間にはキャパシタC3を接続してある。直流出力端子T3、T4間には、バッテリ3が接続される。
【0038】
トランジスタ81のエミッタとトランジスタ82のコレクタとの接続点、及びトランジスタ83のエミッタとトランジスタ84のコレクタとの接続点には、トランス7の一方側を接続してある。また、各トランジスタ81、82、83、84のコレクタ・エミッタ間には、それぞれダイオード85、86、87、88を逆並列に接続してある。
【0039】
制御部9は、各トランジスタ81、82、83、84を所定周波数(例えば、50kHzであるが、これに限定されない)でオン/オフすべく制御する。トランジスタ81、82、83、84は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではなく、IGBTに代えて、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることもできる。
【0040】
双方向変換回路6は、第3スイッチング素子としてのトランジスタ61及び第4スイッチング素子としてのトランジスタ62を直列に接続した第1直列回路60a、第3スイッチング素子としてのトランジスタ63及び第4スイッチング素子としてのトランジスタ64を直列に接続した第2直列回路60bを備え、第1直列回路60aと第2直列回路60bとを並列に接続してある。具体的には、トランジスタ61のエミッタとトランジスタ62のコレクタとを接続し、トランジスタ63のエミッタとトランジスタ64のコレクタとを接続してある。また、トランジスタ61、63のコレクタ同士を接続してあり、トランジスタ62、64のエミッタ同士を接続してある。トランジスタ62、64のエミッタは、双方向変換回路5のトランジスタ52、54のエミッタに接続してあり、トランジスタ61、63のコレクタは、双方向変換回路5のトランジスタ51、53のコレクタに接続してある。すなわち、第1直列回路60a及び第2直列回路60bにより、ブリッジ回路を構成してある。
【0041】
トランジスタ61のエミッタとトランジスタ62のコレクタとの接続点、及びトランジスタ63のエミッタとトランジスタ64のコレクタとの接続点には、トランス7の他方側を接続してある。また、各トランジスタ61、62、63、64のコレクタ・エミッタ間には、それぞれダイオード65、66、67、68を逆並列に接続してある。
【0042】
双方向変換回路6の双方向変換回路5側には、キャパシタC2を接続してある。すなわち、トランジスタ61のコレクタとトランジスタ62のエミッタ間に、キャパシタC2を接続してある。
【0043】
制御部9は、各トランジスタ61、62、63、64を所定周波数(例えば、50kHzであるが、これに限定されない)でオン/オフすべく制御する。トランジスタ61、62、63、64は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではなく、IGBTに代えて、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることもできる。
【0044】
充電時には、交流入力端子T1、T2間に印加された交流電源2からの交流が双方向変換回路5により力率改善されるとともに直流に変換され、変換された直流は双方向変換回路6により一旦交流に変換され、さらに双方向変換回路8により整流されてバッテリ3を充電する。
【0045】
放電時には、バッテリ3からの直流が双方向変換回路8により一旦交流に変換され、さらに双方向変換回路6により整流されて直流に変換され、変換された直流は、双方向変換回路5により交流に変換されて、交流を出力する。
【0046】
次に、双方向変換回路8の動作について説明する。図2は双方向変換回路8の動作の一例を示す説明図である。図2は、バッテリ3からの直流が交流に変換される様子を模式的に表すものである。以下、図2AからDに基づいて説明する。図2Aから図2Dまでの時間、すなわち、トランジスタ81、82、83、84のオン/オフの周期Tを、20μsとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0047】
図2Aに示すように、制御部9は、トランジスタ81、82をオフにし、トランジスタ83、84をオンにする。図2Aに示す状態の時間は、例えば、数μsとすることができる。図2Aに示す状態では、バッテリ3からの直流電流がトランジスタ83、84を流れ、インダクタL3に電気エネルギーが蓄積される。
【0048】
次に、図2Bに示すように、制御部9は、トランジスタ83、82をオフにし、トランジスタ81、84をオンにする。図2Bに示す状態の時間は、例えば、(10μs−数μs)程度とすることができる。図2Bに示す状態では、トランス7には、図示した方向に電流が流れる。また、この場合、インダクタL3に蓄えられた電気エネルギーが放出されるので、トランスから出力される電圧は昇圧される。
【0049】
図2Aの開始時点から半周期T/2が経過した時点で、図2Cに示すように、制御部9は、トランジスタ81、82をオンにし、トランジスタ83、84をオフにする。図2Cに示す状態の時間は、例えば、数μsとすることができる。図2Cに示す状態では、バッテリ3からの直流電流がトランジスタ81、82を流れ、インダクタL3に電気エネルギーが蓄積される。
【0050】
次に、図2Dに示すように、制御部9は、トランジスタ81、84をオフにし、トランジスタ82、83をオンにする。図2Dに示す状態の時間は、例えば、10μs−数μs程度とすることができる。図2Dに示す状態では、トランス7には、図示した方向(図2Bとは反対方向)に電流が流れる。また、この場合、インダクタL3に蓄えられた電気エネルギーが放出されるので、トランスから出力される電圧は昇圧される。
【0051】
次に、双方向変換回路8の動作で発生するサージ電圧について説明する。図3は双方向変換回路8の動作状態の一例を示す説明図であり、図4は双方向変換回路8のトランジスタに発生するサージ電圧の一例を示すタイムチャートである。図3の破線で示す電流は、図2Aの状態に流れる電流を示し、図3の実線で示す電流は、図2Bの状態に流れる電流を示す。また、図4の上段のチャートは、トランジスタ81、82、83、84のベースに印加されるベース電圧を示し、ベース電圧がありの状態でトランジスタはオンする。
【0052】
図4において、符号t1で示す期間は、図3の破線で示す電流が流れる期間であり、トランジスタ83、84がオンとなっている。また、図4において、符号t2で示す期間は、図3の実線で示す電流が流れる期間であり、トランジスタ81、84がオンとなっている。期間t1は、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子(図3の例では、トランジスタ83、84)をオンにする第1制御状態であり、期間t2は、第1制御状態から移行し、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び一方の直列回路の第2スイッチング素子(図3の例では、トランジスタ81、84)をオンにする第2制御状態である。
【0053】
図4に示すように、期間t1から期間t2に移行するとき、すなわち、トランジスタ84がオンしている状態で、トランジスタ81がオフからオンになると、トランス7に急峻な電流が流れる。このため、図3に示すように、トランス7の漏れインダクタンスを71、72で表すと、漏れインダクタンス71に流れる急峻な電流Ir(図4中、符号Sで示す)の時間的変化に比例する電圧Vzが、オフ状態のトランジスタ82のコレクタ・エミッタ間にサージ電圧として発生する(図4中、符号Sで示す)。なお、オフ状態であるもう一方のトランジスタ83のコレクタ・エミッタ間にも同様のサージ電圧が発生する。このようなサージ電圧に耐えるためには、高耐圧仕様のトランジスタを使用することは、あるいは、サージ吸収回路などを別途設ける必要があり、コスト上昇の要因となる。
【0054】
そこで、以下に、本実施の形態の電力変換装置の制御方法について説明する。図5は第1実施形態の電力変換装置の動作状態の一例を示す説明図であり、図6は第1実施形態の電力変換装置の各部の電圧・電流波形の一例を示すタイムチャートである。図5において、符号71は、トランス7の漏れインダクタンスである。また、図6には、トランジスタ81、82、83、84、61、62、63、64のベース電圧、オフ状態であるトランジスタ82のコレクタ・エミッタ間の電圧Vz、漏れインダクタンス71に流れる電流Irを模式的に図示している。
【0055】
制御部9は、第2制御状態(図6の期間t2)に移行する前の第1制御状態(図6の期間t1)の所定期間(図6の期間t3)に亘って、図5に示すように、トランス7の他方側に所定電圧を印加すべく制御する。
【0056】
トランス7に急峻な電流が流れる期間t2の開始前の所定期間(期間t3)に亘って、トランス7の他方側に所定電圧を印加することにより、トランス7に予め電流を流すことができ、トランジスタ81、84がオンとなる期間t2に移行したときにトランス7に流れる電流の変化を緩やかにすることができ、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0057】
より具体的には、制御部9は、トランジスタ81、84がオンとなる期間t2にてトランス7に流れる電流と同方向に電流が流れるように所定電圧を印加すべく制御する。予め期間t2の開始時にトランス7に流れる電流と同方向に所要の電流を期間t2の開始前の所定期間t3に亘って流すことにより(図6の符号Ir1で示す電流)、期間t2の開始時にトランス7に流れる電流の見かけの波高値を小さくすることができるので、漏れインダクタンス71で発生する電圧を小さくすることができ、オフ状態にあるトランジスタ82、83に印加される、期間t2の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0058】
トランス7に所定電圧を印加するには、例えば、以下のようにすればよい。図5に示すように、制御部9は、一方の直列回路の第3スイッチング素子(図5の例では、トランジスタ63)及び他方の直列回路の第4スイッチング素子(図5の例では、トランジスタ62)をオンにして所定電圧を印加すべく制御する。一方の直列回路の第3スイッチング素子及び他方の直列回路の第4スイッチング素子をオンにすることにより、トランス7の他方側に所定電圧を印加し、期間t2にてトランス7に流れる電流と同方向に電流が流れるようにすることができる。
【0059】
これにより、オフ状態にあるスイッチング素子(図5の例では、トランジスタ82、83)に印加される、期間t2の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができ、高耐圧仕様のトランジスタを使用する必要がなく、あるいは、サージ吸収回路などを別途設ける必要がなく、コスト上昇を抑制することができる。
【0060】
図7は第1実施形態の電力変換装置1の回路構成の他の例を示す説明図である。図6の例では、図1に例示した双方向変換回路6に、共振用キャパシタ及び共振用インダクタを追加した点が異なる。
【0061】
すなわち、図7に示すように、双方向変換回路6は、第3スイッチング素子としてのトランジスタ61及び第4スイッチング素子としてのトランジスタ62を直列に接続した第1直列回路60a、第3スイッチング素子としてのトランジスタ63及び第4スイッチング素子としてのトランジスタ64を直列に接続した第2直列回路60bを備え、第1直列回路60aと第2直列回路60bとを並列に接続してある。具体的には、トランジスタ61のエミッタとトランジスタ62のコレクタとを接続し、トランジスタ63のエミッタとトランジスタ64のコレクタとを接続してある。また、トランジスタ61、63のコレクタ同士を接続してあり、トランジスタ62、64のエミッタ同士を接続してある。すなわち、第1直列回路60a及び第2直列回路60bにより、ブリッジ回路を構成してある。
【0062】
トランジスタ61のエミッタとトランジスタ62のコレクタとの接続点は、共振用のインダクタ69を介して、トランス7の他方側を接続してある。また、トランジスタ63のエミッタとトランジスタ64のコレクタとの接続点には、トランス7の他方側を接続してある。また、各トランジスタ61、62、63、64のコレクタ・エミッタ間には、それぞれダイオード65、66、67、68を逆並列に接続してある。また、各トランジスタ61、62、63、64のコレクタ・エミッタ間には、それぞれ共振用のキャパシタ611、621、631、641を接続してある。なお、図7の例では、トランジスタ61のエミッタとトランジスタ62のコレクタとの接続点にインダクタ69の一端を接続しているが、これに代えて、トランジスタ63のエミッタとトランジスタ64のコレクタとの接続点にインダクタ69の一端を接続してもよい。また、トランジスタ61のエミッタとトランジスタ62のコレクタとの接続点及びトランジスタ63のエミッタとトランジスタ64のコレクタとの接続点それぞれにインダクタの一端を接続し、2個のインダクタを用いるようにしてもよい。
【0063】
双方向変換回路6を充電モードで動作させる場合、共振用のキャパシタ611、621、631、641及び共振用のインダクタ69により、フェーズシフト制御を行ってトランジスタ61、62、63、64のスイッチング時の電圧と電流の重なりを少なくしてスイッチング損失を低減することができる。
【0064】
なお、双方向変換回路6を放電モードで動作させる場合、図7に示す回路の動作は、図5図6の例と同様であるので、説明を省略する。
【0065】
上述の実施の形態では、図2Aに示すように、制御部9は、トランジスタ81、82をオフにし、トランジスタ83、84をオンにし、また、図2Cに示すように、制御部9は、トランジスタ81、82をオンにし、トランジスタ83、84をオフにする構成であったが、これに限定されるものではない。例えば、図2A及び図2Cにおいて、トランジスタ81、82、83、84をすべてオンにしてもよい。すなわち、期間t1で示す第1制御状態において、一方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子(図3図5の例では、トランジスタ83、84)をオンにするのに加えて、他方の直列回路の第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子(図3図5の例では、トランジスタ81、82)をオンにしてもよい。トランジスタ81、82、83、84をすべてオンにすることにより、電流が分流し、トランジスタ81、82、83、84の導通損失を低減することができる。
【0066】
(第2実施形態)
図8は第2実施形態の電力変換装置1の回路構成の一例を示す説明図である。第2実施形態では、トランス7に代えてトランス11(変圧器)を備え、双方向変換回路8に代えて双方向変換回路10を備える。なお、第1実施形態と同様の箇所は同一符号を付して説明を省略する。
【0067】
双方向変換回路10は、第1スイッチング素子としてのトランジスタ101、第2スイッチング素子としてのトランジスタ102、トランジスタ101、102の一端に接続されたインダクタL3、トランジスタ101の他端に一方側の巻線の一端を接続し、トランジスタ102の他端に一方側の巻線の他端を接続し、一方側の巻線の中途に接続点を有するトランス11を備える。トランス11は、一方側の巻線の中途に接続点を有する、いわゆるセンタータップ方式となっている。
【0068】
より具体的には、トランジスタ101、102のコレクタ同士は接続され、インダクタL3の一端に接続してある。インダクタL3の他端は、直流出力端子T3に接続してある。トランジスタ101のエミッタは、トランス11の一方側の巻線の一端に接続してある。トランジスタ102のエミッタは、トランス11の一方側の巻線の他端に接続してある。また、トランス11の一方側の巻線のセンタータップ(中途の接続点)は、直流出力端子T4に接続してある。また、トランジスタ101、102のコレクタ・エミッタ間には、それぞれダイオード103、104を逆並列に接続してある。
【0069】
制御部9は、各トランジスタ101、102を所定周波数(例えば、50kHzであるが、これに限定されない)でオン/オフすべく制御する。トランジスタ101、102は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができるが、これに限定されるものではなく、IGBTに代えて、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることもできる。
【0070】
次に、双方向変換回路10の動作について説明する。図9は第2実施形態の双方向変換回路10の動作の一例を示す説明図である。図9は、バッテリ3からの直流が交流に変換される様子を模式的に表すものである。以下、図9AからDに基づいて説明する。
【0071】
図9Aに示すように、制御部9は、トランジスタ101、102をオンにする。図9Aに示す状態の時間は、例えば、数μsとすることができる。図9Aに示す状態では、バッテリ3からの直流電流がトランジスタ101、102を流れ、インダクタL3に電気エネルギーが蓄積される。
【0072】
次に、図9Bに示すように、制御部9は、トランジスタ101をオンにしたまま、トランジスタ102をオフにする。図9Bに示す状態の時間は、例えば、(10μs−数μs)程度とすることができるが、これに限定されるものではない。図9Bに示す状態では、トランス11には、図示した方向に電流が流れる。また、この場合、インダクタL3に蓄えられた電気エネルギーが放出されるので、トランス11から出力される電圧は昇圧される。
【0073】
図9Aの開始時点から半周期T/2が経過した時点で、図9Cに示すように、制御部9は、トランジスタ101をオンにしたまま、トランジスタ102をオンにする。図9Cに示す状態の時間は、例えば、数μsとすることができる。図9Cに示す状態では、バッテリ3からの直流電流がトランジスタ101、102を流れ、インダクタL3に電気エネルギーが蓄積される。
【0074】
次に、図9Dに示すように、制御部9は、トランジスタ102をオンにしたまま、トランジスタ101をオンにする。図9Dに示す状態の時間は、例えば、10μs−数μs程度とすることができる。図9Dに示す状態では、トランス11には、図示した方向(図9Bとは反対方向)に電流が流れる。また、この場合、インダクタL3に蓄えられた電気エネルギーが放出されるので、トランス11から出力される電圧は昇圧される。
【0075】
次に、双方向変換回路10の動作で発生するサージ電圧について説明する。図10は第2実施形態の双方向変換回路10の動作状態の一例を示す説明図であり、図11は第2実施形態の双方向変換回路10のトランジスタに発生するサージ電圧の一例を示すタイムチャートである。図10の実線で示す電流は、図9Bの状態に流れる電流を示す。また、図11のチャートは、上段から順番にトランジスタ101のベースに印加されるベース電圧、トランジスタ102のベースに印加されるベース電圧、トランス11に流れる電流、トランジスタ102のコレクタ・エミッタ間の電圧を示す。図11のチャートの横軸は時間を示す。
【0076】
図11において、符号t4で示す期間は、トランジスタ101、102がオンとなっている期間である。また、図11において、符号t5で示す期間は、図10の実線で示す電流が流れる期間であり、トランジスタ101がオン、トランジスタ102がオフとなっている。期間t4は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子(図10の例では、トランジスタ101、102)をオンにする第1制御状態であり、期間t5は、第1制御状態から移行し、第1スイッチング素子又は第2スイッチング素子のいずれか一方(図10の例では、トランジスタ101)をオンにする第2制御状態である。
【0077】
図11に示すように、期間t4から期間t5に移行するとき、すなわち、トランジスタ101がオンしている状態で、トランジスタ102がオフからオンになると、インダクタL3に蓄えられたエネルギーに基づく急峻な電流がトランス11を流れる。図10に示すように、トランス11の漏れインダクタンスを111、112で表すと、漏れインダクタンス111に流れる急峻な電流Ir(図11中、符号Rで示す)の時間的変化に比例する電圧Vzが発生する。すなわち、トランス11に流れる急峻な電流Irにより、オン状態のトランジスタ101のエミッタが接続されたトランス11の巻線の一端と、接続点(センタータップ)との間に過大なサージ電圧Vzが発生する。
【0078】
トランス11の接続点(センタータップ)と、オフ状態のトランジスタ102のエミッタとは導通し、またトランジスタ101はオン状態であるので、トランジスタ101のコレクタ(すなわち、トランジスタ102のコレクタ)と、トランジスタ101のエミッタ(すなわち、トランス11の巻線の一端)とはほぼ同電位となる。このため、トランス11の巻線の他端に接続されたオフ状態のトランジスタ102のコレクタ・エミッタ間には、上述のサージ電圧Vzが発生するおそれがある(図11中、符号Rで示す)。
【0079】
このようなサージ電圧に耐えるためには、高耐圧仕様のトランジスタを使用することは、あるいは、サージ吸収回路などを別途設ける必要があり、コスト上昇の要因となる。
【0080】
そこで、以下に、第2実施形態の電力変換装置の制御方法について説明する。図12は第2実施形態の電力変換装置1の動作状態の一例を示す説明図であり、図13は第2実施形態の電力変換装置1の各部の電圧・電流波形の一例を示すタイムチャートである。図12には、上段から順番に、トランジスタ101のベース電圧、トランジスタ102のベース電圧、トランジスタ62、63のベース電圧、トランジスタ61、64のベース電圧、トランス11(漏れインダクタンス111)に流れる電流Ir、オフ状態であるトランジスタ102のコレクタ・エミッタ間の電圧Vzを模式的に図示している。また、図13において、横軸は時間を示す。
【0081】
制御部9は、第2制御状態(図13の期間t5)に移行する前の第1制御状態(図13の期間t4)の所定期間(図13の期間t6)に亘って、図12に示すように、トランス11の他方側に所定電圧を印加すべく制御する。
【0082】
トランス11に急峻な電流が流れる期間t5の開始前の所定期間(期間t6)に亘って、トランス11の他方側に所定電圧を印加することにより、トランス11に予め電流を流すことができ、トランジスタ101がオンのままであり、トランジスタ102がオフとなる期間t5に移行したときにトランス11に流れる電流の変化を緩やかにすることができ、サージ電圧の発生を抑制することができる。
【0083】
より具体的には、制御部9は、期間t5にてトランス11に流れる電流と同方向に電流が流れるように所定電圧を印加すべく制御する。予め期間t5の開始時にトランス11に流れる電流と同方向に所要の電流を期間t5の開始前の所定期間t6に亘って流すことにより(図13の符号Ir1で示す電流)、期間t5の開始時にトランス11に流れる電流の見かけの波高値を小さくすることができるので、漏れインダクタンス111で発生する電圧を小さくすることができ、オフ状態にあるトランジスタ102のコレクタ・エミッタ間に印加される、期間t5の開始時のサージ電圧の発生を抑制することができる。なお、トランス11に所定電圧を印加する方法は第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0084】
(第3実施形態)
上述の第1実施形態及び第2実施形態では、双方向変換回路6は、第1直列回路60a及び第2直列回路60bを備える、いわゆるブリッジ回路で構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、双方向変換回路6をハーフブリッジ回路で構成することもできる。
【0085】
図14は第3実施形態の電力変換装置1の動作状態の一例を示す説明図であり、図15は第3実施形態の電力変換装置1の各部の電圧・電流波形の一例を示すタイムチャートである。図14に示すように、第3実施形態の双方向変換回路6は、第3スイッチング素子としてのトランジスタ121及び第4スイッチング素子としてのトランジスタ122を備える。より具体的には、トランジスタ121のエミッタとトランジスタ122のコレクタを接続し、トランジスタ121のコレクタとトランジスタ122のエミッタとの間には、キャパシタC4、C5を直列に接続した回路を接続してある。
【0086】
トランジスタ121とトランジスタ122との接続点には、トランス11の他方側の巻線の一端を接続してある。キャパシタC4とキャパシタC5との接続点には、トランス11の他方側の巻線の他端を接続してある。すなわち、トランス11の他方側は、いわゆるハーフブリッジ回路を構成してある。
【0087】
図15に示すように、制御部9は、トランジスタ121又はトランジスタ122のいずれか一方をオンにして所定電圧を印加すべく制御する。
【0088】
トランジスタ121又はトランジスタ122のいずれか一方をオンにすることにより、トランス11の他方側に所定電圧を印加し、第2制御状態にてトランス11に流れる電流と同方向に電流が流れるようにすることができる。これにより、オフ状態にあるトランジスタ(図15の例では、トランジスタ102)のコレクタ・エミッタ間に印加される、第2制御状態の開始時のサージ電圧Vzの発生を抑制することができる。なお、図15のチャートは、図13の場合と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0089】
以上に開示された実施の形態及び実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態及び実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての修正や変形を含むものと意図される。
【符号の説明】
【0090】
5、6、8 双方向変換回路
7、11 トランス
9 制御部
60a、80a 第1直列回路
60b、80b 第2直列回路
51、52、53、54 トランジスタ
55、56、57、58 ダイオード
61、62、63、64、81、82、83、84 トランジスタ
65、66、67、68、85、86、87、88 ダイオード
101、102、121、122 トランジスタ
L3 インダクタ
図1
図2
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図4
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図12
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図15