前記洗浄液が、缶水、給水と熱交換後の缶水、間欠ブロー液、給水と熱交換後の間欠ブロー液、負荷機器からの戻り液、給水と熱交換後の負荷機器からの戻り液、及び給水からなる群から選ばれる少なくとも1種の水を含む、請求項1又は2に記載の熱交換器の洗浄方法。
前記洗浄液が、キレート剤、界面活性剤、溶剤及びpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄剤成分を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器の洗浄方法。
キレート剤、界面活性剤、溶剤及びpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄剤成分を含み、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器の洗浄方法に使用される、熱交換器用洗浄剤。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面の寸法比率は、必ずしも実際の寸法比率とは一致していない。
【0018】
図1は、本実施形態の洗浄方法が実施される燃焼設備の一例を示す図である。
図1に示される燃焼設備は、ボイラ1、煙道6、煙道に設けられた熱交換器7、洗浄液配管10及び制御装置14を備える。ボイラ1は、ボイラの内部に設けられた缶体2、缶体2を加熱するための燃焼装置3及び燃焼装置に空気を供給する送風機4から構成される。缶体を加熱した結果生じる燃焼排ガスは、ボイラ1の側部から煙道6を通り放出され、煙道には熱交換器7が設けてある。熱交換器7は、給水ポンプPで加圧された給水を、煙道6内に流れる燃焼排ガスとの熱交換により加熱することができ、加熱された給水を給水管8から缶体2の底部に供給する。煙道6にはU形のドレン管9が設けられている。
【0019】
洗浄液配管10は、熱交換器7の表面に洗浄液を噴射する噴射管11と、途中に開閉制御弁Vを有し、噴射管11と缶体の下部とを接続する連絡管12とから構成される。
【0020】
ボイラの外部には缶体2内の圧力を検出する圧力計13が設けてあり、圧力計は缶体内の圧力値を制御装置14に出力する。ボイラ1には、缶体2内に発生する飽和蒸気を取り出すための蒸気取出管5が接続されており、蒸気取出管5を通して負荷機器に蒸気を供給することができる。更に、制御装置14は開閉制御弁Vにも接続されており、制御装置14からの稼働の情報に基づき開閉制御弁Vの開閉を制御することで熱交換器7の洗浄を実施することができる。
【0021】
熱交換器7は、熱交換を行う装置であれば特に限定されず、例えば、エコノマイザ、エアヒータ等が挙げられる。本実施形態においては、熱交換器7として、エコノマイザが用いられている。
【0022】
熱交換器7の材質についても特に限定されないが、腐食抑制の観点から、ステンレスであることが好ましく、SUS304以上の耐腐食性を持ったステンレスであることがより好ましく、SUS316L以上の耐腐食性を持ったステンレスであることが更により好ましい。なお、耐食性の高い材料を使用しても、硫黄成分を含んだ燃焼排ガスの凝縮が発生する熱交換器では、適切な管理を行っていないと早期に腐食が発生することがあったが、本発明に係る洗浄方法が適用されることにより熱交換器の腐食を抑制することができる。例えば、ステンレスは、中濃度の酸性成分に比較的強いが、高濃度の酸性成分に比較的弱い性質を有するため、凝縮した酸性成分が高濃度にならないように本発明に係る洗浄を行うことで、より有効に熱交換器の腐食を抑制することができる。
【0023】
上記燃焼設備において用いられる熱交換器7は、燃焼排ガス流の上流側となる高温伝熱管群と、燃焼排ガス流の下流側となる低温伝熱管群に分割されていてもよい。ボイラからの蒸気供給を受けている負荷機器において蒸気が凝縮して生じる水を回収し、回収した水をボイラの給水タンクで補給水と混合する場合には、蒸気が凝縮して生じた水と低温伝熱管群を通って予熱されたボイラ補給水とが混合されるように、高温伝熱管群と低温伝熱管群との間に給水タンクを設けていてもよい。また、ボイラから排出している濃縮ブロー水とボイラ補給水との間で熱交換を行うブロー熱交換器を設けていてもよい。ブロー熱交換器は、例えば、給水タンクと低温伝熱管群との間に設置することができる。
【0024】
また、高温伝熱管群と低温伝熱管群との間に真空脱気槽を設けていてもよい。ここで、真空脱気槽とは、真空脱気によってボイラ補給水中の溶存酸素を除去するものである。ボイラ補給水を真空脱気槽内にためた状態で、真空脱気槽の内部をボイラ補給水が沸騰する圧力より低くなるように減圧することで、ボイラ補給水から溶存酸素が除去される。
【0025】
洗浄液配管10を構成する噴射管11としては、例えば、噴射口として孔が設けられた噴射管、噴射口として設けられた孔に邪魔板が設けられた噴射管、噴射口としてノズルが設けられた噴射管等が挙げられる。
【0026】
噴射管11は、熱交換器の所定の表面に所定量の洗浄液を接触させることができるように配置されていればよい。熱交換器の所定の表面としては、例えば、燃焼排ガスによる汚れが付着し凝縮する表面が挙げられる。このような熱交換器においては、高温部側ほど酸性成分の濃縮度合いが高いため、熱交換器の高温部側に本発明に係る洗浄方法を適用することが好ましい。熱交換器の高温部側とは、燃焼排ガス流の上流側の部分を指す。本実施形態に係る燃焼設備においては、熱交換器の高温部側とは、熱交換器の給水流の下流側且つ燃焼排ガス流の上流側である。
【0027】
熱交換器を通る給水の温度が約60℃以下となる部分で酸性成分の凝縮が起きやすい。また、燃焼排ガスの温度が約150℃以下である場合、燃焼排ガスには適度な水分が含まれている。これらの条件が重なる熱交換器の表面においては、酸性成分が水分を取り込んで硫酸などの中濃度の酸性成分が発生しやすい。これらの条件が重なる熱交換器の表面の中でもより高温部分においては更に濃縮されて濃硫酸などの高濃度の酸性成分が発生しやすい。そのため、洗浄する熱交換器の所定の表面としては、熱交換器を通る給水の温度が60℃以下となる部分及び/又は燃焼排ガスの温度が約150℃以下である部分が好ましく、これらの部分中でもより高温部分に洗浄を行うことがより好ましい。
【0028】
熱交換器7が高温伝熱管群と低温伝熱管群とに分割されている場合、低温伝熱管群において給水温度が約60℃以下となる傾向があるため、少なくとも低温伝熱管群、好ましくは低温伝熱管群の燃焼排ガス流の上流側に本発明に係る洗浄方法を適用することが好ましい。
【0029】
また、噴射管11は、熱交換器の表面へ均一に洗浄液を接触させることができるという観点から、燃焼排ガス流の上流側から下流側にかけて複数設けられていることが好ましい。
【0030】
噴射管11は、少なくとも1つの噴射口が設けられていればよいが、熱交換器の表面へ均一に洗浄液を接触させることができるという観点から、複数の噴射口を備えることが好ましい。この場合、噴射口の噴射量によっても異なるが、熱交換器の表面1m
2に対して、2〜20個の噴射口を備えることが好ましく、4〜10個の噴射口を備えることが好ましい。複数の噴射口を使用する場合、各噴射口から洗浄液を同時に噴射してもよいし、時間をずらして別々に噴射してもよい。
【0031】
噴射管11による洗浄液を噴射する方向は、熱交換器の所定の表面に対し、上下方向、横方向、斜め方向など、いずれの方向からであっても構わない。
【0032】
本実施形態に係るボイラは、重油又は灯油などの硫黄が含まれる燃料を使用する油焚きボイラとすることができる。
【0033】
次に、上述した燃焼設備の熱交換器を洗浄する方法について説明する。
【0034】
本実施形態の洗浄方法は、熱交換器の所定の表面に対して、20秒以内に35ml/m
2以上の洗浄液を接触させる洗浄工程(1)を備え、この洗浄工程(1)を洗浄工程間の燃焼時間の合計が60分を超えないように繰り返し実施する。
【0035】
本実施形態においては、洗浄液の量、洗浄液を接触させる範囲の制御が容易であることから、噴射管によって洗浄液を噴射することにより洗浄液を熱交換器の所定の表面に接触させる。
【0036】
洗浄工程(1)における洗浄液の接触量は、熱交換器の所定の表面に対して35ml/m
2以上であればよく、35〜1000ml/m
2であることが好ましく、50〜500ml/m
2であることがより好ましい。
【0037】
熱交換器の所定の表面に対する洗浄液の接触量を35ml/m
2以上とすることにより、熱交換器に付着した燃焼由来の酸性成分や煤などを含む燃焼排ガス汚れを十分に洗浄することができる。洗浄液の接触量が1000ml/m
2を超える場合、それ以上の洗浄効果の向上が少なく、熱交換器を必要以上に冷却し熱交換率を低下させるため、経済的に好ましくない傾向がある。
【0038】
上記接触量は、例えば、噴射管11の噴射口数や配置に応じて、熱交換器への洗浄液の噴射量、噴射回数、噴射圧等を適宜変更することにより調整することができる。
【0039】
洗浄工程(1)においては20秒以内に上記の接触量を満たすように洗浄液が噴射されるが、噴射装置の性能、熱交換器の所定の表面への洗浄液の均一な接触、燃焼排ガスによる洗浄液のpH低下とそれによる洗浄効果の低下の抑制の観点から、0.05〜15秒以内で上記の接触量を満たすことが好ましく、0.1〜10秒以内で上記の接触量を満たすことがより好ましい。なお、20秒以内に上記の接触量が満たされる限りにおいては、例えば、噴射の回数を1回としてもよく、複数回に分けてもよい。
【0040】
洗浄液の噴射圧は、洗浄効果を向上させる観点から、0.1MPa以上であることが好ましい。
【0041】
洗浄液の温度は、熱交換効率の観点から、熱交換器内の水温以上であることが好ましい。
【0042】
噴射管による洗浄液の噴射方向は、20秒以内に上記の接触量が満たされるのであれば、熱交換器の所定の表面に対して上下方向、横方向、斜め方向など、どの方向からであってもよい。
【0043】
洗浄工程(1)は、先の洗浄工程(1)と次の洗浄工程(1)との間の燃焼時間の合計が60分を超えないように繰り返し実施される。燃焼時間の合計とは、洗浄工程(1)が実施されずに燃焼装置で燃焼が行われている時間の合計を意味し、燃焼装置が停止している時間は含まれない。燃焼時間の合計が60分を超えると、付着した汚れが長時間接触することにより熱交換器表面の腐食が発生し、次の洗浄で汚れを十分に落とすことが困難となり、その結果、熱交換器表面の腐食が進行してしまう。なお、初回の洗浄工程は、起動開始からの燃焼時間の合計が60分を超えないときに実施されることが好ましい。
【0044】
本実施形態においては、次の洗浄工程(1)を、燃焼時間の合計が1分以上30分以内になる任意の時点で実施することが好ましく、燃焼時間の合計が5分以上20分以内になる任意の時点で実施することがより好ましい。燃焼時間の合計が1分未満の時点で次の洗浄工程(1)を行うと、熱交換器表面の汚れが少ないため洗浄の効果が得られにくく、また、熱交換器を必要以上に冷却して熱交換率が低下するため、経済的に好ましくない傾向がある。
【0045】
本実施形態の洗浄方法においては、洗浄工程(1)が、洗浄工程(1)間の燃焼時間の合計が60分を超えないように繰り返し行われればよく、先の洗浄工程(1)から次の洗浄工程(1)を行うまでの間隔は、一定であってもよいし、異なっていてもよい。また、熱交換器の所定の表面に接触させる洗浄液の量についても、洗浄工程(1)毎に異なっていてもよい。なお、本実施形態において、先の洗浄工程(1)から次の洗浄工程(1)を行うまでの間隔は、先の洗浄工程(1)において洗浄液の噴射が終了した時点から次の洗浄工程(1)において洗浄液の噴射を開始する時点までの時間とすることができる。
【0046】
本実施形態においては、少なくとも熱交換器の高温部側に対して洗浄工程(1)が実施されることが好ましい。洗浄液の熱交換器表面への噴射は、1つの噴射管で行ってもよいが、熱交換器表面へより均一に洗浄液を接触させることができるという観点から、複数の噴射管を使用することが好ましい。
【0047】
本実施形態では、
図1に示されるように、熱交換器の1、2段目を洗浄する第1の噴射管と、熱交換器の3、4段目を洗浄する第2の噴射管と、熱交換器の5、6段目を洗浄する第3の噴射管と、が設けられており、熱交換器の高温部側(ここでは給水流最下流側且つ排ガス流最上流側)に位置する1、2段目を洗浄する第1の噴射管において、上記洗浄工程(1)が洗浄工程間の燃焼時間の合計が60分を超えないように繰り返し実施される。
【0048】
この場合、洗浄性と洗浄液の有効活用の観点から、洗浄液の噴射タイミングをずらして、熱交換器の上段から下段に向かって順に噴射していくことが好ましい。
【0049】
図2は、燃焼装置の燃焼時間と洗浄液の噴射時間との関係を示すタイムチャートの一例である。この例では、燃焼装置で燃焼が行われているときに、第1の噴射管において一定の間隔t1で洗浄液の噴射が行われる。間隔t1は60分以内である。また、第2の噴射管及び第3の噴射管において、洗浄液の噴射タイミングをずらして第1の噴射管と同様の間隔で洗浄液の噴射が行われる。なお、燃焼装置が停止する場合は、例えば
図2に示される、洗浄工程(1)が終了してから次の洗浄工程(1)までの時間t11から、t11の中で燃焼装置が停止している時間の合計(例えば、t
a+t
b)を引いた時間が60分以内となるように制御装置14による開閉制御弁Vの制御が行われる。
【0050】
本実施形態においては、第2の噴射管及び/又は第3の噴射管において、上記洗浄工程(1)を洗浄工程間の燃焼時間の合計が60分を超えないように繰り返し実施してもよい。
【0051】
本実施形態のように複数の噴射管を使用する場合、又は複数の噴射口を使用する場合、各噴射管又は各噴射口における噴射口の数、噴射口の大きさ、洗浄液の噴射時間、噴射間隔、噴射圧力等を調節することによって、熱交換器の部分ごとに洗浄液の接触量を調節してもよい。熱交換器の高温部側ほど酸性成分の濃縮度合いが高いため、洗浄性の観点から、熱交換器の高温部側に洗浄液を多量に接触させることが好ましい。
【0052】
本実施形態の洗浄方法においては、プレパージ時及び/又はポストパージ時に、熱交換器の所定の表面に洗浄液を接触させる工程を更に備えることができる。
【0053】
通常、燃焼停止時は洗浄も停止しているため、濃縮した酸性成分が熱交換器に長時間付着した状態となる。また、プレパージやポストパージ時には、燃焼時に比べると少ないが、酸性成分の濃縮が発生する。特にポストパージ後、点火するまでの時間が長い場合や、短時間の燃焼を繰り返し実施する場合には、熱交換器がより腐食しやすくなる。上記工程を実施することにより、濃縮した酸性成分が熱交換器に長時間付着した状態になることを防ぎ、熱交換器の腐食を更に抑制することができる。なお、プレパージとは、燃焼設備の点火の前に、燃焼用ファンや排気ファンによってボイラ炉内に滞留した可燃性ガスを系外へ排出する工程をいい、ポストパージとは、燃焼停止時に、燃焼用ファンや排気ファンによってボイラ炉内に滞留した可燃性ガスを系外へ排出する工程をいう。
【0054】
図3は、プレパージ時及びポストパージ時に熱交換器の所定の表面に洗浄液を接触させる工程を実施する場合の燃焼装置の燃焼時間と洗浄液の噴射時間との関係を示すタイムチャートの一例である。この例では、
図2に示されるタイムチャートにおいて、プレパージ時及びポストパージ時に第1の噴射管、第2の噴射管及び第3の噴射管が洗浄液を噴射する工程を更に実施している。
【0055】
プレパージ時及び/又はポストパージ時に洗浄液を接触させる工程は、洗浄性の観点から、全てのプレパージ及び/又はポストパージにおいて行われることが好ましい。プレパージは、燃焼設備によって異なるが、通常、20秒程度行われる。また、ポストパージは、燃焼設備によって異なるが、通常、2秒程度行われる。
【0056】
プレパージ時及び/又ポストパージ時に洗浄液を接触させる工程は、プレパージ時やポストパージ時の煙道内の湿度が80%以上となるように洗浄液を接触させることが好ましい。湿度を80%以上とすることにより、熱交換器表面に付着した酸性成分がプレパージやポストパージで濃縮されて熱交換器の腐食が進行することをより確実に抑制できる。
【0057】
プレパージ時及び/又ポストパージ時に洗浄液を接触させる工程における洗浄液の接触量としては、例えば、熱交換器表面に対して、0.2ml/m
2以上であることが好ましく、10〜1000ml/m
2であることがより好ましい。0.2ml/m
2未満である場合、酸性成分の濃縮を防止する効果が得られにくくなる傾向にあり、1000ml/m
2を超える場合、それ以上の洗浄効果の向上が少なく、熱交換器を必要以上に冷却して熱交換率が低下するため経済的に好ましくない傾向にある。
【0058】
本発明においては、洗浄性向上と腐食防止の観点から、燃焼停止時にも洗浄工程(1)を行うことが好ましい。また、同様の観点から、燃焼装置の燃焼直前(例えば、ボイラ点火直前)及び/又は燃焼装置の停止直後(例えば、ボイラ消火直後)にも洗浄工程(1)を行うことが好ましい。
【0059】
本実施形態の洗浄方法において用いられる洗浄液としては、缶水、給水と熱交換後の缶水、間欠ブロー液、給水と熱交換後の間欠ブロー液、負荷機器からの戻り液、給水と熱交換後の負荷機器からの戻り液、及び給水等の水を用いることができる。これらの水は、1種類を使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0060】
間欠ブロー液とは、缶水の濃縮防止の目的で、定期的又は非定期的にボイラから廃棄される濃縮した缶水のことであり、濃縮した缶水としては、例えば、気水分離器からの戻り液が挙げられる。ここで、気水分離器とは、水蒸気(気水混合物)を蒸気と水に分離するものである。ボイラの缶体内で缶水が激しく沸騰して発生する蒸気は水分を含んで乾き度の低いものとなっているが、気水分離器によって乾き度が高められた蒸気と水とに分離される。そして、分離した水は気水分離器からの戻り液として再利用される。この戻り液はボイラ内で最も濃縮が進んだ缶水であるため、気水分離器からの戻り液の一部を廃棄するようにすれば、より少ない量で濃縮防止の目的を達成することができる。
【0061】
負荷機器とは、蒸気の供給を受ける装置であり、例えば、蒸気を熱源として食品の加熱調理を行う食品機械が挙げられる。負荷機器でボイラから供給された蒸気の熱を使用すると、負荷機器により熱を奪われた蒸気は凝縮して液体に戻る。蒸気が凝縮して生じた水は、熱交換前の給水に比べて高温であることから、ボイラ給水に再利用することができる。
【0062】
給水としては、例えば、工業用水、水道水、井戸水、軟化水、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。
【0063】
缶水、間欠ブロー液又は負荷機器からの戻り液を洗浄液として用いる場合、熱回収の観点からは、給水と熱交換した後に使用することが好ましい。
【0064】
缶水、間欠ブロー液及び負荷機器からの戻り液は、給水と混合して使用することができる。この場合、例えば、洗浄液として噴射するラインに所定量の給水を導入して、給水と、缶水、間欠ブロー液又は負荷機器からの戻り液とを混合することもできるし、サービスタンクなどで混合することもできる。
【0065】
このような洗浄液の中でも、熱の再利用の観点からは、間欠ブロー液又は負荷機器からの戻り液を用いることが好ましい。また、ボイラの缶水は腐食防止のためにアルカリ性の薬品を使用してアルカリ度を高めているため、酸性成分の洗浄性の観点から、間欠ブロー液を用いることがより好ましい。ボイラでは、缶水が過濃縮することを防止するために、濃縮した缶水の一部を排出する間欠ブローを行うため、その分給水量を多くしている。このような間欠ブロー液を熱交換器の洗浄に再利用することで、廃棄物を再利用することができ、経済的にも好ましい。なお、
図1に示される燃焼装置においては、気水分離器の記載は行っておらず、缶体の下部に接続された連絡管を通じて間欠ブロー液を利用している。気水分離器がある場合には、間欠ブロー液は気水分離器又は気水分離器から缶体の下部に戻る降水管から取り出すことができる。
【0066】
本実施形態の洗浄方法において用いられる洗浄液は、酸性成分の洗浄性の観点から、25℃でのpHが10以上であることが好ましい。pHの調整は、例えば、アルカリ性化合物を使用することにより、pHを10以上とすることができる。
【0067】
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウムなどの水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウムなどの炭酸化物;炭素数1〜12の有機アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルエチルアミン、ブチルオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族アミン類;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン類;アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、メチルベンジルアミン等の芳香族アミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミノアルコール類、;ピリジン、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン等の複素環式アミン類など)などを挙げることができる。これらのアルカリ性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアルカリ性化合物の中でも、入手が容易であるといった観点から、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。
【0068】
本実施形態の洗浄方法において用いられる洗浄液は、洗浄性を向上させる観点から、キレート剤、界面活性剤、溶剤及びpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄剤成分を含むものであることが好ましい。
【0069】
このような洗浄液は、例えば、キレート化合物、界面活性剤、溶剤及びpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄剤成分を含む熱交換器用洗浄剤を、上述した缶水、給水と熱交換後の缶水、間欠ブロー液、給水と熱交換後の間欠ブロー液、負荷機器からの戻り液、給水と熱交換後の負荷機器からの戻り液、及び給水等の水に添加することで得ることができる。添加の方法は、例えば、
図1の連絡管12内を流れる間欠ブロー液に薬注ポンプにて洗浄剤成分を注入する方法が挙げられる。
【0070】
キレート剤としては、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ等の縮合リン酸系キレート剤;ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA)、メチルグリシン二酢酸塩(MGDA)、イミノ二コハク酸塩(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸塩(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩(HEIDA)、グリシン二酢酸塩(GLDA)などのアミノカルボン酸類及びそれらの塩;ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体などのポリカルボン酸類及びそれらの塩;ニトリロトリメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸などの有機ホスホン酸類及びそれらの塩;リンゴ酸、クエン酸、グリコン酸、グルコヘプトン酸等のオキシカルボン酸類及びそれらの塩;フィチン酸、D−ソルビトール等の天然物もしくは天然物由来のキレート剤などを使用することができる。これらのキレート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
キレート剤としては、(a)ポリカルボン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種、又は、(a)と(b)有機ホスホン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種とを併用することが好ましい。(a)ポリカルボン酸類及びそれらの塩としては、重量平均分子量が500〜100,000であることが好ましい。重量平均分子量は、分子量が既知のポリエチレングリコールを標準物質として用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法(GPC法)により測定することができる。
【0072】
(a)のポリカルボン酸類としては、ポリアクリル酸とポリマレイン酸とを併用することが好ましい。ポリアクリル酸とポリマレイン酸との配合比率(質量基準)は、ポリアクリル酸:ポリマレイン酸=10:90〜40:60であることが好ましい。(a)と(b)とを併用する場合、ポリカルボン酸類と有機ホスホン酸類との配合比率(質量基準)は(a):(b)=30:70〜70:30であることが好ましい。これらの範囲に上記の配合比率(質量基準)があることにより、洗浄液の洗浄性をより向上させることができる。
【0073】
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などを使用することができる。
【0074】
非イオン界面活性剤としては、例えば、炭素数8〜24のアルコール類又はアルケノール類のアルキレンオキサイド付加物、多環フェノール類(例えば1〜5モルスチレン化フェノール)のアルキレンオキサイド付加物、アルキル多環フェノール類のアルキレンオキサイド付加物、炭素数8〜44の脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物、炭素数8〜44の脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物、炭素数8〜24の脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物などの非イオン界面活性剤、多価アルコールと炭素数8〜24の脂肪酸とアルキレンオキサイドとの反応物、油脂類のアルキレンオキサイド付加物、プルロニック型界面活性剤、テトロニック型界面活性剤、リバースプルロニック型界面活性剤、リバーステトロニック型界面活性剤などが挙げられる。これらの非イオン界面活性剤としては、洗浄性向上の観点からHLBが6〜20であることが好ましい。ここでHLBとはグリフィンのHLBに準じたものであり、グリフィンの式を下記の式に変更したものである。式中、親水基とはエチレンオキサイド基を指す。
HLB=(非イオン界面活性剤中の親水基の分子量×20)/非イオン界面活性剤の分子量
【0075】
これらの非イオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合、加重平均したHLBが6〜20となるように非イオン界面活性剤を使用すればよい。
【0076】
アニオン界面活性剤としては、例えば、上記非イオン界面活性剤の硫酸エステル塩、リン酸エステル塩、カルボン酸塩及びスルホコハク酸型アニオン界面活性剤、炭素数8〜24のアルコールの硫酸エステル塩及びリン酸エステル塩、油脂類のスルホン化物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物などが挙げられる。これらのアニオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
カチオン界面活性剤としては、例えば、炭素数8〜24のモノアルキルトリメチルアンモニウム塩、炭素数8〜24のジアルキルジメチルアンモニウム塩、炭素数8〜24のモノアルキルアミン酢酸塩、炭素数8〜24のジアルキルアミン酢酸塩、炭素数8〜24のアルキルイミダゾリン4級塩などが挙げられる。これらのカチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
両性界面活性剤としては、例えば、ベタイン型、グリシン型、アラニン型、スルホベタイン型、脂肪族アミン系非イオン型界面活性剤に硫酸化剤を反応させた硫酸エステル型両性界面活性剤が挙げられる。これらの両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
上記の各界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0080】
溶剤としては、水に混和する親水性溶剤が好ましい。このような親水性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、へキシレングリコール、グリセリン、ブチルグリコール、ソルフィットなどが挙げられる。これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0081】
pH調整剤としては、上述したアルカリ性化合物が挙げられる。
【0082】
本実施形態の洗浄方法において用いられる洗浄液には、上記の洗浄剤成分が、1〜500質量ppm含まれることが好ましく、10〜200質量ppm含まれることがより好ましい。1質量ppm未満の場合、洗浄性の向上効果が得られにくくなる傾向がある。500質量ppmを超える場合、それ以上の洗浄性の向上が少なく、経済的に好ましくない傾向がある。
【0083】
本実施形態の洗浄方法において用いられる洗浄液は、洗浄性向上の観点から、キレート剤を含むことがより好ましい。
【0084】
熱交換器の腐食抑制の観点から、洗浄液は、熱交換器の表面を洗浄した後の洗浄廃液の25℃でのpHが4以上となるものが好ましい。また、洗浄廃液は、鉄含有量が20質量ppm以下であることが好ましい。
【0085】
上述した本実施形態の洗浄方法は、特に、硫黄を含む燃料を使用する油焚きボイラの熱交換器に適用することが好ましい。
【0086】
本実施形態の熱交換器用洗浄剤は、キレート剤、界面活性剤、溶剤及びpH調整剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の洗浄剤成分を含むものである。
【0087】
キレート化合物、界面活性剤及び溶剤としては、上述したキレート剤、界面活性剤及び溶剤と同じものを使用することができる。pH調整剤としては、上述したアルカリ性化合物が挙げられる。本実施形態の熱交換器用洗浄剤は、洗浄性を向上させる観点から、キレート剤を含むことがより好ましい。キレート剤として、(a)ポリカルボン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種、又は、(a)と(b)有機ホスホン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種とを含む場合、上述した配合比率であることが好ましい。
【0088】
本実施形態の熱交換器用洗浄剤は、取り扱いの観点から液状であることが好ましい。また、洗浄液における溶解性の観点から、水を含んでいることが好ましく、水溶液又は乳化分散物の状態であることが好ましい。この場合、洗浄剤中に洗浄剤成分は1〜99質量%含まれていることが好ましく、10〜70質量%含まれていることがより好ましい。
【実施例】
【0089】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0090】
[燃焼設備]
本実施例では、
図1に示される燃焼設備と同様の構成を有する設備を用意し、燃料としてA重油を用い、熱交換器として以下の特徴を備える熱交換器を用いた。なお、熱交換器の給水流最下流側(最高温部側)を1段目とし、給水流最上流側を6段目とした。また、熱交換器の1段目は排ガス流最上流側でもある。
熱交換器素材:SUS304
熱交換器の段数:6段
熱交換器通過前の燃焼排ガス温度:240℃
熱交換器通過後の燃焼排ガス温度:50℃
ボイラ容量:換算蒸発量 300kg/h
【0091】
[洗浄液用の水(洗浄水)]
(洗浄水1)
給水と熱交換した後の間欠ブロー液と、軟化水(pH=7.0)とを、[給水と熱交換した後の間欠ブロー液]:[軟化水(pH=7.0)]=2:1の質量比で混合し、pH=11.5としたものを用意し、これを洗浄水1とした。
【0092】
(洗浄水2)
軟化水(pH=7.0)を用意し、これを洗浄水2とした。
【0093】
[洗浄剤]
以下の洗浄剤1〜6を用意した。
洗浄剤1:ポリアクリル酸ナトリウム(セロポールPC−300、三洋化成工業(株)製、固形分43質量%)
洗浄剤2:ポリマレイン酸(ベルクリン200、BWA Water Additive UK Ltd製、固形分質量50%)
洗浄剤3:有機ホスホン酸ナトリウム(ディクエスト2066、イタルマッチジャパン株式会社製、固形分質量32%)
洗浄剤4:アミノカルボン酸ナトリウム(クレワットDP−80、ナガセケムテックス株式会社製、固形分40%)
洗浄剤5:ベルクリン200を15質量部(ポリマレイン酸7.5質量部)、ディクエスト2066を15質量部(有機ホスホン酸ナトリウムとして4.8質量部)、トリエタノールアミンを20質量部、及びイオン交換水を50質量部配合したもの(固形分32.3質量%)
洗浄剤6:ベルクリン200を60質量部(ポリマレイン酸30質量部)、カヤクリルレジンH−32(日本化薬株式会社製、固形分質量50%)を12質量部(ポリアクリル酸6質量部)、セロポールPC−300を4.7質量部(ポリアクリル酸ナトリウム2.0質量部)、苛性ソーダを19質量部、及びイオン交換水を5.3質量部配合したもの(固形分47.1質量%)
【0094】
(実施例1)
ボイラを1日8時間、稼働率80%(燃焼時間1日あたり6.4時間、休止回数70〜80回/8時間)で5日間稼働させ、ボイラの稼働中、以下の洗浄工程1〜7により熱交換器を洗浄した。洗浄水1に洗浄剤1を固形分で50質量ppmの割合で配合したものを洗浄液として用いた。なお、燃焼装置の燃焼直前及び停止直後にはそれぞれ、20秒間のプレパージ及び2秒間のポストパージを行った。
(洗浄工程1)
ボイラの稼働直後、洗浄液を水圧0.6MPaにて0.6秒間連続して噴射し、熱交換器の1〜2段目の表面に対して、50ml/m
2の洗浄液を接触させた。
(洗浄工程2)
ボイラの稼働直後、洗浄工程1の5分後に、洗浄液を水圧0.6MPaにて0.2秒間連続して噴射し、熱交換器の3〜4段目の表面に対して、22ml/m
2の洗浄液を接触させた。
(洗浄工程3)
ボイラの稼働直後、洗浄工程2の5分後に、洗浄液を水圧0.6MPaにて0.2秒間連続して噴射し、熱交換器の5〜6段目の表面に対して、17ml/m
2の洗浄液を接触させた。
(洗浄工程4)
洗浄工程1の後、燃焼時間の合計が16分経過した時点で、洗浄工程1と同様の条件で熱交換器の1〜2段目の表面を洗浄し、その後、燃焼時間の合計が16分経過した時点で、洗浄工程1と同様の条件で熱交換器の1〜2段目の表面を洗浄することをボイラの稼働中繰り返し行った。
(洗浄工程5)
洗浄工程2の後、燃焼時間の合計が16分経過した時点で、洗浄工程2と同様にして熱交換器の3〜4段目の表面を洗浄し、その後、燃焼時間の合計が16分経過した時点で、洗浄工程2と同様の条件で熱交換器の3〜4段目の表面を洗浄することをボイラの稼働中繰り返し行った。
(洗浄工程6)
洗浄工程3の後、燃焼時間の合計が16分経過した時点で、洗浄工程3と同様にして熱交換器の5〜6段目の表面を洗浄し、その後、燃焼時間の合計が16分経過した時点で、洗浄工程3と同様の条件で熱交換器の5〜6段目の表面を洗浄することをボイラの稼働中繰り返し行った。
(洗浄工程7)
プレパージ中及びポストパージ中、洗浄液を水圧0.6MPaにて噴射し、熱交換器の1〜2段目の表面に対して10ml/m
2接触させた。
【0095】
なお、洗浄液の接触量は、洗浄液の噴射量と熱交換器の洗浄液が接触した面積とに基づき算出した。
【0096】
(実施例2)
洗浄工程4〜6における先の洗浄工程から次の洗浄工程を行うまでの燃焼時間の合計を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0097】
(実施例3〜7)
洗浄工程1〜6において接触させる洗浄液の量、及び、洗浄工程4〜6における先の洗浄工程から次の洗浄工程を行うまでの燃焼時間の合計を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0098】
(実施例8〜10)
洗浄剤の配合量(固形分)を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0099】
(実施例11)
洗浄工程7を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0100】
(実施例12)
洗浄水1に代えて洗浄水2を用いた以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0101】
(実施例13)
洗浄水1に代えて洗浄水2を用い、洗浄剤を配合しないものを洗浄液として用いた以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0102】
(実施例14〜18)
洗浄剤の種類を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0103】
(比較例1)
洗浄工程4〜6における先の洗浄工程から次の洗浄工程を行うまでの燃焼時間の合計を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0104】
(比較例2〜4)
洗浄剤の種類、洗浄工程1〜6において接触させる洗浄液の量、及び、洗浄工程4〜6における先の洗浄工程から次の洗浄工程を行うまでの燃焼時間の合計を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして熱交換器の洗浄を行った。
【0105】
[評価]
実施例1〜18及び比較例1〜4について、5日後の熱交換器の1、2段目の表面状態を目視にて観察し、下記の基準に従って汚れ及び腐食を判定した。その結果を表1〜3に示す。なお、腐食の判定は、汚れの判定後、表面の汚れを洗い落としてから行った。
【0106】
(汚れ)
◎:全く汚れが付着しておらず表面のほぼ全体が綺麗に見えている。
○:フィンの先端に若干の汚れが付着しているが、大部分の表面が見える。
△:フィンの先端に汚れが付着しているが、半分前後の表面が見える。
×:フィンの先端に多くの汚れが付着しており、一部の表面しか見えない。
××:フィンの先端に付着した汚れが成長し、全体に汚れが付着しており、表面が全く見えない。
【0107】
(腐食)
◎:全く錆が見えず、溶接ビードの模様も変化が無い。
○:若干の錆が確認できるが、溶接ビードの模様は変化が無い。
△:明らかに錆があり、溶接ビードの模様も若干薄くなっている。
×:錆のザラザラが確認でき、溶接ビードの模様が明らかに薄くなっている。
××:錆のザラザラが何箇所も確認でき、溶接ビードの模様が錆で確認できない部分がある。
【0108】
[洗浄廃液のpHと鉄含有量]
実施例1〜18及び比較例1〜4について、5日目の最後の1時間の洗浄廃液のpHと鉄含有量を測定した。その結果を表1〜3に示す。なお、洗浄廃液のpHの測定にはpHメーター(堀場製作所製、F−52S)を用い、鉄含有量の測定にはICP発光分光分析装置(パーキンエルマー製、Optima 5300DV)を用いた。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【表3】