(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-24654(P2016-24654A)
(43)【公開日】2016年2月8日
(54)【発明の名称】料金収受装置用ガジェット
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20160112BHJP
【FI】
G07B15/00 P
G07B15/00 N
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-148736(P2014-148736)
(22)【出願日】2014年7月22日
(11)【特許番号】特許第5632983号(P5632983)
(45)【特許公報発行日】2014年11月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開日 平成26年6月12日から平成26年7月1日 公開箇所 別紙1(設置箇所一覧)、別紙2(設置状況写真)のとおり
(71)【出願人】
【識別番号】508154335
【氏名又は名称】西日本高速道路サービス関西株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167380
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 隆
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 忠
(72)【発明者】
【氏名】碓井 武義
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127AA18
3E127BA17
3E127BA70
3E127CA20
3E127CA21
3E127FA24
3E127FA55
3E127FA70
(57)【要約】
【課題】料金収受装置に備えられるカメラの位置をひと目で把握できるようにし、カメラに対して証明書をかざす位置を、利用者にわかりやすく示す。
【解決手段】料金収受装置Mが備えるカメラ9の周囲に取り付けられる基部21と、基部21から前方に向かって立ち上がるガイド部材23と、そのガイド部材23の前端に設けられ、カメラで撮影する対象物Pをかざす位置を視覚で示す提示目標部25とを備える料金収受装置用ガジェット20とした。基部21は料金収受装置Mの前面部に磁力の作用により着脱自在に取り付けられ、ガイド部材23はカメラ9の周囲に沿って4本配置された軸状部材で、提示目標部25は、軸状部材の軸の直径よりも大きい球体とした。ガイド部材23は基部21に対して可倒式であり、ガイド部材23が外力を受けて倒れた際に、外力の解放とともに弾力をもって基部21から立ち上がって元の状態に復帰する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
料金収受装置が備えるカメラの周囲に取り付けられる基部と、前記基部から前方に向かって立ち上がるガイド部材と、そのガイド部材の前端に設けられ、前記カメラで撮影する対象物をかざす位置を視覚で示す提示目標部とを備える料金収受装置用ガジェット。
【請求項2】
前記基部は、前記料金収受装置の前面部に磁力の作用により着脱自在に取り付けられる請求項1に記載の料金収受装置用ガジェット。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記カメラの周囲に沿って複数本配置された軸状部材である請求項1又は2に記載の料金収受装置用ガジェット。
【請求項4】
前記提示目標部は、前記軸状部材の軸の直径よりも大きい球体である請求項3に記載の料金収受装置用ガジェット。
【請求項5】
前記ガイド部材は前記基部に対して可倒式であり、前記ガイド部材が外力を受けて前記料金収受装置の前面部に対して上下左右いずれかの方向に倒れた際に、そのガイド部材は外力の解放とともに弾力をもって前記基部から前方に向かって立ち上がる元の状態に復帰する請求項1から4のいずれか一つに記載の料金収受装置用ガジェット。
【請求項6】
前記基部に挿通孔が設けられ、前記ガイド部材の後端は前記挿通孔に挿入されて前端が前方へ向かって立ち上がっており、前記挿通孔と前記ガイド部材との間にコイルバネを介在させて、そのコイルバネの弾力により、外力によって倒れた前記ガイド部材を元の状態に復帰させる請求項5に記載の料金収受装置用ガジェット。
【請求項7】
前記料金収受装置は、有料道路の料金所において車両が通過するレーンに沿って設けられ、前記提示目標部の前方への突出位置は、前記レーンを通行する車両の通行料金又はチケット、カード等の媒体の投入口などの処理部の最大突出位置よりも後方側である請求項1から6のいずれか一つに記載の料金収受装置用ガジェット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路の通行料金や、その他各種料金の支払い、精算のために設置される料金収受装置に取り付けられ、その料金収受装置が備える証明書類撮影手段(カメラ)に向けて、各種の証明書類をかざすためのガイドとなるガジェットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路等の有料道路の料金所や、駐車場の出入口、その他各種の施設では、料金の支払い、精算のために無人の料金収受装置が設けられる場合がある。
【0003】
この種の料金収受装置では、利用者は、硬貨や紙幣等をそれぞれの投入口へ投入するとともに、受取口からは、必要に応じて、おつりや料金を支払ったことを示す領収証等を受け取ることができる。また、通行券や入場券等の各種チケット類、ETC(登録商標)カードやクレジットカード等のカード類を投入する場合もある。
【0004】
料金収受装置の前面部には、硬貨や紙幣、チケット類、カード類等を機器に投入するための各投入口や、そのそれぞれに対応する返却口、係員呼出用のボタンやレバー等の操作部、あるいは、領収書の収受口等の各種処理部が設けられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
このような多数の投入口、返却口、その他の処理部が、限られたスペース内に密に設けられているため、料金収受装置に対面した利用者は、どこに何を投入すればよいのか、瞬時にわかりにくいという問題がある。このため、各処理部に大きな案内板や、操作の手順に対応した通し番号を付す等、操作をわかりやすくする工夫がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−156999号公報
【特許文献2】特開2006−331010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、料金収受装置には、カメラが備えられている場合がある。このカメラは、例えば、利用者が携行する料金の割引券や割引証、定期利用証等の各種証明書を撮影し、その撮影した画像を、離れた場所にある事務所の係員が、視覚で確認できるようになっている。証明の内容が確認できれば、遠隔操作により料金収受装置を制御して、利用者から対応する料金を収受する。このような遠隔操作で確認する必要のある証明書としては、特に、有料道路の料金所の場合は、緊急自動車の通行証や、身体障害者手帳等が挙げられる。
【0008】
しかし、上述のように、料金収受装置には多数の処理部が配置されているため、料金収受装置に対面した利用者は、証明書等をかざすカメラの位置を瞬時に把握しにくいという問題がある。
【0009】
特に、有料道路の料金所では、利用者は、車の運転席に乗車した状態で、この料金収受装置に対面することとなる。このため、利用者は、料金収受装置を一定の限られた方向、すなわち、運転席の方向からしか見ることができず、各種処理部の配置や、自身がこれから操作を行おうとしている処理部の位置を瞬時に把握することが、より難しいものとなっている。
【0010】
また、この種のカメラにおいて、カメラのレンズの前端位置に対して、証明書等をどの程度の距離を隔ててかざせばよいのか、わかりにくいという問題がある。仮に、証明書等が近すぎるとピントが合わず、また、証明書全体の画像を取得できない場合がある。また、逆に遠すぎてもピントが合わず、また、証明書の文字が小さすぎて内容を認識できない場合がある。固定焦点式のカメラである場合は、さらにその傾向が顕著である。
【0011】
そこで、この発明は、料金収受装置に備えられるカメラの位置をひと目で把握できるようにし、また、そのカメラに対して証明書をかざす位置を、利用者にわかりやすく示すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明は、料金収受装置が備えるカメラの周囲に取り付けられる基部と、前記基部から前方に向かって立ち上がるガイド部材と、そのガイド部材の前端に設けられ、前記カメラで撮影する対象物をかざす位置を視覚で示す提示目標部とを備える料金収受装置用ガジェットを採用した。
【0013】
前記基部は、前記料金収受装置の前面部に磁力の作用により着脱自在に取り付けられる構成を採用することができる。
【0014】
前記の各構成において、前記ガイド部材は、前記カメラの周囲に沿って複数本配置された軸状部材である構成を採用することができる。
【0015】
このとき、前記提示目標部は、前記軸状部材の軸の直径よりも大きい球体である構成を採用することができる。
【0016】
前記の各構成において、前記ガイド部材は前記基部に対して可倒式であり、前記ガイド部材が外力を受けて前記料金収受装置の前面部に対して上下左右いずれかの方向に倒れた際に、そのガイド部材は外力の解放とともに弾力をもって前記基部から前方に向かって立ち上がる元の状態に復帰する構成を採用することができる。
【0017】
この構成において、前記基部に挿通孔が設けられ、前記ガイド部材の後端は前記挿通孔に挿入されて前端が前方へ向かって立ち上がっており、前記挿通孔と前記ガイド部材との間にコイルバネを介在させて、そのコイルバネの弾力により、外力によって倒れた前記ガイド部材を元の状態に復帰させる構成を採用することができる。
【0018】
前記料金収受装置は、有料道路の料金所において車両が通過するレーンに沿って設けられるものであるとき、前記提示目標部の前方への突出位置は、前記レーンを通行する車両の通行料金又はチケット、カード等の媒体の投入口などの処理部の最大突出位置と同一又はその最大突出位置よりも後方側であることが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
この発明は、料金収受装置が備えるカメラの周囲に取り付けられる基部と、前記基部から前方に向かって立ち上がるガイド部材と、そのガイド部材の前端に設けられ、前記カメラで撮影する対象物をかざす位置を視覚で示す提示目標部とを備える料金収受装置用ガジェットとしたので、料金収受装置に備えられるカメラの位置が把握しやすく、また、そのカメラに対して証明書をかざす位置を利用者にわかりやすく示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】一実施形態を示し、(a)は料金収受装置用ガジェットを示す斜視図、(b)は(a)の正面図
【
図2】同実施形態を示し、(a)は料金収受装置用ガジェットを示す平面図、(b)は右側面図、(c)は左側面図、(d)は底面図
【
図3】基部とガイド部材との接続部の詳細を示し、(a)は断面図、(b)は(a)の変形例を示す断面図
【
図4】料金収受装置用ガジェットを料金収受装置の前面部に取り付けた状態を示し、(a)は料金収受装置を側方から見た図、(b)は料金収受装置に対面する方向から見た図
【
図5】料金収受装置用ガジェットを料金収受装置の前面部に取り付けた状態を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。この実施形態は、高速道路等の有料道路の料金所において、通行料金の支払いや精算のために設置される料金収受装置Mに取り付けられる料金収受装置用ガジェット20(以下、単に「ガジェット20」と称する。)である。
【0022】
ガジェット20は、その料金収受装置Mが備える証明書類撮影手段(カメラ)9(以下単に「カメラ9」と称する。)に向けて、利用者が各種の証明書類をかざす際に、カメラ9の位置をわかりやすく示す役割、及び、証明書類をカメラ9からどれぐらい離れた位置にかざせばよいかを示すガイドの役割を果たす。カメラ9が画像を取得する各種の証明書類を、以下撮影の「対象物P」と称する。対象物Pの例としては、緊急自動車の通行証や、身体障害者手帳等が挙げられる。
【0023】
料金収受装置Mの構成をまず説明する。
図5に示すように、料金収受装置Mは、ドライバーが着席する運転席が比較的高い位置にある車両を対象とする第一操作エリアA1、比較的低い位置にある車両を対象とする第二操作エリアA2とを備える。各操作エリアA1,A2において、それぞれ、通行券処理部1、硬貨処理部2、紙幣処理部3、カード類処理部4、おつり返却部5、領収書発行処理部6、係員呼出レバー7、撮影手段8、カメラ9、証明書投入部10、係員呼出ボタン11等の各種処理部を備える。
【0024】
通行券処理部1、硬貨処理部2、紙幣処理部3、おつり返却部5は、それぞれ表示部1a,2a,3a,5aと、投入返却部1b,2b,3b,5bを備える。表示部1a,3a,5aは、利用者が次に操作するべき処理部を、ランプの点滅で知らせる。表示部2aは、そのすぐ下に配置された処理部が、硬貨処理部2であることを示す文字や数字が記載されている。表示部9aは、そのすぐ上に配置された処理部が、カメラ9であることを示す文字や数字が記載されている。同じく、表示部11aは、そのすぐ下に配置された処理部が、係員呼出ボタン11であることを示す文字や数字が記載されている。
【0025】
利用者は、有料道路の入口の発券装置で取得した通行券を、通行券処理部1の投入返却部1bに投入する。必要な料金が表示され、硬貨処理部2、紙幣処理部3の各投入返却部2b,3bに硬貨や紙幣を投入する。このとき、カード類処理部4に、ETC(登録商標)カードやクレジットカードを挿入して料金を支払うこともできる。
【0026】
おつり返却部5では、必要に応じておつりが返却される。領収書発行処理部6では、料金を支払ったことを示す領収証等を受け取ることができる。係員呼出レバー7は、身体障害者のドライバーが、必要な際に係員を呼出すためのレバー(操作部)を備える。
【0027】
このように、多数の処理部が、限られたスペース内に密に設けられているため、料金収受装置Mに対面した利用者のうち、特に、対象物P(証明書類)をカメラ9に向かって提示する必要のある利用者は、その対象物Pをどこにかざせばよいのか、瞬時にわかりにくいという問題がある。そこで、前述のように、カメラ9の周辺にガジェット20が取り付けられている。
【0028】
ガジェット20は、
図1及び
図2に示すように、カメラ9のレンズ前端の周囲に取り付けられる基部21と、その基部21から前方に向かって、すなわち、利用者側に向かって立ち上がる4本のガイド部材23とを備える。
【0029】
基部21は、軽量な発泡樹脂素材からなり、四角柱状の躯体の中央に、表裏に貫通する中央孔21aを備えている。中央孔21aは断面円形状であり、四角柱状の躯体を柱の高さ方向に貫通するように設けられ、その中央孔21aの孔の伸びる方向が、料金収受装置Mの前後方向を向くように取り付けられる。
【0030】
また、中央孔21aは、左右両側と上側は閉塞して円筒状内面となっており、下側は底面に至る開口21bを有している。このため、基部21を料金収受装置Mの前面部に取り付けた状態で、利用者側から、中央孔21aを通じてカメラ9のレンズを臨むことができるように、中央孔21aの断面は、レンズの断面よりも大きく設定されている。また、レンズのすぐ下にある表示部9aを、底面への開口21bを通じて臨むことができる。
【0031】
基部21の裏面の四隅には、このガジェット20の取付手段22として、板状の永久磁石22が接着固定されている。料金収受装置Mの前面部に磁力の作用により着脱自在に取り付けられる。
【0032】
この4箇所の永久磁石22の板厚は等しく、その厚さは表示部9aを構成する板材よりも厚く設定されている。このため、ガジェット20を備えない既設の料金収受装置Mにガジェット20を取り付けた際に、表示部9aと基部21の裏面とが当たらず、互いに支障しないようになっている。
【0033】
基部21には、その前面に開口する挿通孔21cが設けられている。この実施形態では、基部21の四隅に合計4つの挿通孔21cが設けられている。各挿通孔21cは、前面の開口から深さL3のところで閉塞しているが、これを裏面まで貫通させてもよい。
【0034】
この実施形態では、ガイド部材23は同じ長さの4本の軽量な樹脂製の軸状部材からなる。軸状部材からなるガイド部材23の後端は、それぞれ挿通孔21c内に差し込まれている。また、軸状部材からなるガイド部材23の前端は、前方へ向かって立ち上がっている。
【0035】
挿通孔21cとガイド部材23との間には、コイルバネ24が介在している。コイルバネ24は、
図3(a)に示すように、その一端がガイド部材23の後端の外周に嵌められて、他端は、挿通孔21c内に嵌め込まれている。
【0036】
図3(a)に鎖線で示すように、外力によって倒れたガイド部材23は、外力が解放されるとともにそのコイルバネ24の弾力(弾性力)によって、実線で示す元の状態に復帰する。このため、仮にガジェット20に、車両の一部や利用者の手等が接触したとしても、ガイド部材23は折れたり損傷したりしないようになっている。
【0037】
すなわち、ガイド部材23は基部21に対して可倒式であり、ガイド部材23が上下左右等、軸周りいずれの方向に倒れても、自動的に元の状態に復帰することができる。
【0038】
ガイド部材23のコイルバネ24や挿通孔21c内への差し入れ深さは、この復帰の機能が維持される限りにおいて自由に設定できる。例えば、
図3(a)に示すように、コイルバネ24の挿通孔21c内への差し入れ深さL3に対して、ガイド部材23の他端位置における挿通孔21c開口からの寸法L2を挿通孔21cの外側に設定、すなわち、コイルバネ24に嵌め込まれたガイド部材23の他端位置を挿通孔21c外に設定してもよいし、逆に、
図3(b)に示すように、コイルバネ24に嵌め込まれたガイド部材23の他端の位置を挿通孔21c内に設定してもよい。ここで、コイルバネ24の挿通孔21c内への差し入れ深さL3に対して、ガイド部材23の他端位置における挿通孔21c開口からの寸法L2’を、例えば、L3の半分以下としてもよいし、あるいは、半分以上としてもよく、その入り込み深さは自由である。また、L3とL2やL2’を等しくしてもよい。
【0039】
ここでは、ガイド部材23は、コイルバネ24の弾力によって倒れた状態で復帰するようになっているが、樹脂で成型されたガイド部材23自身の弾性変形や、挿通孔21c周囲の基部21の弾性変形によっても、上記復帰の機能を発揮することができる。このため、コイルバネ24の設置を省略し、ガイド部材23の弾力や基部21の弾力のみによって、ガイド部材23に上記復帰の機能を発揮させてもよい。
【0040】
また、仮に、ガイド部材23が強い外力を受けたとしても、基部21は料金収受装置Mの前面部に磁力の作用で吸着しているので、ガジェット20は料金収受装置Mから容易に外れて、機器を損傷することがない。
【0041】
このとき、ガジェット20は、脱落防止手段26として、紐やワイヤー等からなる接続部材を備えている。接続部材は、基部21やガイド部材23あるいはコイルバネ24と、料金収受装置Mの前面部に設けた係止部(図示せず)とを結んでいる。このため、ガジェット20が料金収受装置Mから外れても、そのガジェット20は路面に脱落せず、車両の通行を阻害することがない。接続部材を繋ぐ料金収受装置M側の係止部は、例えば、硬貨処理部2の投入返却部2bの受け皿を支える係止部と兼用してもよい。
【0042】
また、4本のガイド部材23の前端には、それぞれ、カメラ9で撮影する対象物Pをかざす位置を視覚で示す提示目標部25が備えられている。対象物Pは、提示目標部25の前端の少し手前にかざしてもよいし、提示目標部25の前端に当接させた状態でかざしてもよい。
【0043】
このように、料金収受装置Mが備えるカメラ9の周囲に取り付けられる基部21と、基部21から前方に向かって立ち上がるガイド部材23と、そのガイド部材23の前端に設けられ、カメラ9で撮影する対象物Pをかざす位置を視覚で示す提示目標部25とを備えるガジェット20を採用したので、料金収受装置Mに備えられるカメラ9の位置が把握しやすく、また、そのカメラ9に対して対象物Pをかざす位置を利用者にわかりやすく示すことができる。
【0044】
また、この実施形態では、提示目標部25は、ガイド部材23を構成する軸状部材の軸の直径よりも大きい球体としたので、利用者は、ガイド部材23の前端位置を視認しやすく、対象物Pをかざす位置を一目で把握できる。また、提示目標部25の前端を球面としたことにより、利用者が触れた際に怪我をしたり、あるいは、車両の一部が触れた際に車両が傷つくことを防止している。
【0045】
さらに、この提示目標部25の色彩を、オレンジ色等の警戒色とすることで、さらにその視認性が高まる。提示目標部25の色は、料金収受装置Mの前面部や他の処理部で使用されていない色であって、提示目標部25以外の他の部分よりも視認しやすい色とすることが望ましい。なお、提示目標部25の形状は、この実施形態のような球体には限定されず、利用者が視認しやすい任意の形状の部材を採用できる。
【0046】
ここで、
図4(a)に示すように、全てのガイド部材23の突出長さL1、すなわち、全ての提示目標部25の前端の位置は、料金収受装置Mの前後方向に対して同じ位置となっている。また、そのガイド部材23の突出長さL1は、最も前方へ突出している処理部である硬貨処理部2の最大突出位置(突出長さL0に相当)を目安に設定されている。すなわち、提示目標部25の前方への突出位置は、その最大突出位置と同一、又は、その最大突出位置よりも後方側に設定されている。このため、前述のような車両の一部の接触が生じにくい。
【0047】
上記の実施形態では、ガイド部材23として4本の軸状部材を採用したが、軸状部材の本数は自由である。軸状部材の本数は1本であってもよいし、2本、3本、あるいは、5本以上をカメラ9の周囲に沿って配置してもよい。軸状部材を複数配置する場合、カメラ9のレンズの中心周りに等分方位に配置されることが望ましい。
【0048】
また、軸状部材以外のガイド部材23を採用してもよい。例えば、軸状部材に代えて板状部材のガイド部材23を採用してもよい。ガイド部材23を板状部材とする場合、例えば、一定幅、一定厚さの板材を、カメラ9のレンズを囲むように、基部21から前方へ立ち上げるとよい。このとき、板面の方向は、カメラ9のレンズを中心として放射状に配置することもできるし、カメラ9のレンズを中心として内径側と外径側に表裏面が向くように配置してもよい。また、例えば、断面L字型の棒状の部材をガイド部材23として採用してもよい。断面L字型のガイド部材23の場合は、例えば、その屈曲部が外向きに凸となるように、カメラ9の周囲に沿って、複数本のガイド部材23を配置することができる。
【0049】
いずれの形態においても、ガイド部材23の本数は自由に設定できる。これらの各構成において、提示目標部25は、それらの板材や棒状の部材等の板厚や断面よりも、相対的に大きい板厚や断面を有する部材であることが望ましい。
【0050】
また、この実施形態では、ガジェット20の料金収受装置Mの前面部への取付手段22として、基部21の裏面の四隅に板状の永久磁石22を接着固定したが、永久磁石22以外にも、吸盤や面ファスナー等、周知の構成からなる取付手段22を採用することができる。
【0051】
上記の実施形態は、ガジェット20を、高速道路等の有料道路の料金所に配置される料金収受装置Mに取り付けたが、駐車場の出入口やその他各種の施設における料金精算のための料金収受装置Mにも、この発明のガジェット20を用いることができる。利用者が車両に乗車しながら取り扱う料金収受装置Mであってもよいし、利用者が料金収受装置Mの前に立って取り扱う料金収受装置Mであってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 通行券処理部
2 硬貨処理部
3 紙幣処理部
4 カード類処理部
5 おつり返却部
6 領収書発行処理部
7 係員呼出レバー
8 撮影手段
9 カメラ(証明書類撮影手段)
10 証明書投入部
11 係員呼出ボタン
1a,2a,3a,5a,9a,11a 表示部
1b,2b,3b,5b 投入返却部
20 料金収受装置用ガジェット(ガジェット)
21 基部
21a 中央孔
21b 開口
21c 挿通孔
22 取付手段(永久磁石)
23 ガイド部材
24 コイルバネ
25 提示目標部
26 脱落防止手段(接続部材)
A1 第一操作エリア
A2 第二操作エリア
M 料金収受装置
P 対象物