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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-24982(P2016-24982A)
(43)【公開日】2016年2月8日
(54)【発明の名称】コネクタ構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/631 20060101AFI20160112BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20160112BHJP
【FI】
   H01R13/631
   H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-148947(P2014-148947)
(22)【出願日】2014年7月22日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】澤田 高生
(72)【発明者】
【氏名】竹松 幸介
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC31
5E021FC40
5E021HA01
5E021HA03
5E021HC09
(57)【要約】
【課題】小型化を阻むことなくハウジング間のガタつきを防ぐことができるコネクタ構造。
【解決手段】互いに縦壁100で仕切られた第1コンタクト10を収容するキャビティ130が横方向に並ぶ第1ハウジング11と、このキャビティ130に嵌り合う、対応する第2コンタクト250を側壁215で囲む箱体部210が横方向に並ぶ第2ハウジング21とからなり、箱体部210は隣の箱体部210との間に縦壁100の進入を許容する、底壁235を有する進入路230を形成し、第1ハウジング11と第2ハウジング21とが嵌合途中にあるとき、先端部110は進入路230の底壁235の手前にあり、それらが正規嵌合姿勢の手前にあるとき、先端部110が進入路230の左右側壁215から姿勢修正がなされ、先端部110は凸部120が形成される段付き構造であって、進入路230の底壁235は段付き構造の凸部120の進入を許容する凹部245が備わる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに縦壁で仕切られた第1コンタクトを収容するキャビティが横方向に並ぶ第1ハウジングと、このキャビティに嵌り合う、対応する第2コンタクトを側壁で囲む箱体部が横方向に並ぶ第2ハウジングとからなるコネクタ構造であって、
前記箱体部は隣の箱体部との間に前記縦壁の進入を許容する、底壁を有する進入路を形成し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが嵌合途中にあるとき、前記縦壁の先端は前記進入路の底壁の手前にあり、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが正規嵌合姿勢の手前にあるとき、前記先端が前記進入路の左右側壁によって左右方向の姿勢修正がなされ、この状態で正規嵌合姿勢にいたるところに特徴を有するコネクタ構造。
【請求項2】
前記縦壁の先端部は凸部が形成される段付き構造であって、前記進入路の底壁は前記段付き構造の凸部の進入を許容する凹部が備わるところに特徴を有する請求項1記載のコネクタ構造。
【請求項3】
前記縦壁の先端部は断面先細のテーパー面を備え、対応する前記進入路の側壁の基端部は前記テーパー面に倣うテーパー面を備えるところに特徴を有する請求項1又は2記載のコネクタ構造。
【請求項4】
前記正規嵌合姿勢を保持するためのロック手段が前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングに備わるところに特徴を有する請求項3記載のコネクタ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正規嵌合姿勢でガタつき防止機構を構成するコネクタ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
嵌合時のハウジング間のガタつきを防止する手段としていくつかの技術が開示されている。たとえば特許文献1記載の技術によれば、雄ハウジングの側壁にガイドリブ、雌ハウジングの側壁に対応する案内溝が備わり、コネクタの嵌合時、雌ハウジングを左右方向に広げ、この作用でハウジングの開口部を上下方向に沿って狭めることができ、これにより両ハウジングの協働でコネクタ間のガタつきを防ぐものである。
【0003】
また、特許文献2記載の技術によれば、雄ハウジングには、別部材からなるバネを設け、雌ハウジングには、バネと係合する係合部を設け、これにより、コネクタの嵌合時のガタつきを防ぐものである。同じく、特許文献3記載の技術によれば、雌ハウジングの内側壁にバネを設け、雄ハウジングの外側壁に係合凸部を設け、これにより、コネクタの嵌合方向とこれに直交する方向の2方向のガタつきを防ぐものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−48995号公報
【特許文献2】特開2011−40251号公報
【特許文献3】特開2010−73361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1記載の技術によれば、ハウジング間のガタつきを防ぐことはできるけれども、雌ハウジングの側壁に外向きに張り出すガイドリブ、およびこのガイドリブを受ける案内溝が雄ハウジングの側壁に備わるので、雌雄両ハウジングは、その構造を複雑にする。これにより、特にコネクタの横方向が拡大されるのでコネクタの小型化を阻害するおそれがある。またこのような雄ハウジングの側壁構造は金型の構造を複雑にするものなので、生産効率が低下するおそれがある。
【0006】
また、特許文献2記載の技術によれば、雌ハウジングに別途準備が必要なバネを組み付ける必要があり、これにより、部品点数の増加、組み付け工数の増加が生じ、生産効率の低下を招くおそれがある。
さらに、特許文献3記載の技術によれば、雌ハウジングの内側壁に別途加工を要するバネを組み付け、雄ハウジングの係合凸部に係合させるものであり、この結果、ハウジングの構造が複雑化しコネクタの小型化を妨げるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、コネクタの小型化を妨げることがなく、組み付ける部品点数の増加をともなうこともなく、ハウジング間のガタつきを防ぐことができるコネクタ構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るコネクタ構造は、(1)互いに縦壁で仕切られた第1コンタクトを収容するキャビティが横方向に並ぶ第1ハウジングと、このキャビティに嵌り合う、対応する第2コンタクトを側壁で囲む箱体部が横方向に並ぶ第2ハウジングとからなるコネクタ構造であって、前記箱体部は隣の箱体部との間に前記縦壁の進入
を許容する、底壁を有する進入路を形成し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとが嵌合途中にあるとき、前記縦壁の先端は前記進入路の底壁の手前にあり、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが正規嵌合姿勢の手前にあるとき、前記先端が前記進入路の左右側壁によって左右方向の姿勢修正がなされ、この状態で正規嵌合姿勢にいたるところに特徴を有するものである。
【0009】
この発明によれば、第2ハウジングは、第1ハウジングに対して特に左右方向のクリアランスをもって嵌合が開始される。このクリアランスは、第1ハウジングの全体の大きさと、第2ハウジングの全体の大きさとの間に差が設けられているとともに、縦壁の厚みと、進入路の幅との間に隙間が設けられていることから生じるものである。
【0010】
嵌合が進み正規嵌合姿勢の手前で、縦壁の左右側面は進入路の左右側壁に当接し、これにより姿勢制御がなされ、この状態で正規嵌合姿勢へと導かれる。すなわち嵌合開始時の比較的大きめのクリアランスが正規嵌合姿勢の手前で比較的小さめのクリアランスに修正されるものである。これにより、コネクタの小型化を妨げるような新たな構造が付け加えられることがなく、また別途準備が必要な部品が組み付けられる必要がなく、ハウジング間のガタつきを防ぐことができるコネクタが得られる。
【0011】
両ハウジング間のクリアランスによって生じる姿勢のズレは、正規嵌合時に修正される。嵌合姿勢の修正は、縦壁の先端部に対して、これに対応する進入路の基端部が当接することによっておこなわれる。縦壁および進入路は、ともにそれぞれの左右側面にテーパーが備わっていてもよく、このテーパーは、縦壁と進入路との間で角度に差異が設けられていて、この角度の差異は、縦壁の進入路に対する進入量が増えるにしたがい、両者間のクリアランスが減少するように設計されているものであってよい。これにより正規嵌合姿勢においては、ハウジング間に生じるガタつきが取り除かれることになる。
【0012】
縦壁の高さについて特に制限を設けるものではないが、一般的に縦壁は内に収容する第1コンタクトの先端が隠れる程度の高さがあり、直接第1コンタクトに指が触れることがないように寸法調整がなされている。また、縦壁の厚みと進入路の幅との間に設けられているクリアランスの大きさは、嵌め合わせの容易さに影響するものなので作業性等を考慮して適宜最適値が決められるものである。また、これによりテーパー角度が決定されるものであってもよい。
【0013】
さらに好ましくは、本発明に係るコネクタ構造は、(2)前記縦壁の先端部は凸部が形成される段付き構造であって、前記進入路の底壁は前記段付き構造の凸部の進入を許容する凹部が備わるところに特徴を有する(1)記載のものである。
【0014】
この発明によれば、縦壁の先端部には凸部が備わり、進入路の底壁にはこれに対応する凹部が備わる。この凸部と凹部との係合によって縦壁と進入路とのクリアランスが修正され、これにより、小型化の妨げにならないハウジング間のガタつきが取り除かれるコネクタ構造が得られる。
【0015】
段付きは凸部が一段であってもよく、凸部がふたつ重なる二段であってもよい。凸部は縦壁の先端部の長手方向全域に備わっていてもよく、部分的に間隔を置いて備わっていてもよい。凸部は先端が鋭角であってもよく、先端が平坦あるいは曲面であってもよい。また凸部の周面にテーパーがつけられていてもよい。
【0016】
さらに好ましくは、本発明に係るコネクタ構造は、(3)前記縦壁の先端部は断面先細のテーパー面を備え、対応する前記進入路の側壁の基端部は前記テーパー面に倣うテーパー面を備えるところに特徴を有する(1)又は(2)記載のものである。
【0017】
この発明によれば、縦壁の先端部、および対応する進入路を形成する側壁の基端部はテーパー面を備える。これにより、正規嵌合姿勢の手前から姿勢修正がなされ、嵌合完了時には、ハウジング間のガタつきが取り除かれたコネクタ構造が得られる。
縦壁全体にテーパーがつけられていて、その先端部により角度のあるテーパーが設けられ、さらに対応する進入路の側壁にも全体にテーパーがつけられていて、その基端部により角度のあるテーパーが設けられている場合であってよい。全体につけられているテーパーは射出成形時の金型の抜け勾配としても作用するものであってもよい。
【0018】
さらに好ましくは、本発明に係るコネクタ構造は、(4)前記正規嵌合姿勢を保持するためのロック手段が前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングに備わるところに特徴を有する(3)記載のものである。
【0019】
この発明によれば、正規嵌合姿勢を保持するロック手段が備わるので、ハウジング間のガタつきが取り除かれた状態が保持される。ロック手段は係合片からなるものがハウジングの側面に備わる態様であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ構造の要素であるベースコネクタの外観斜視図である。
図2図2は、同コネクタ構造の要素であるソケットコネクタの外観斜視図である。
図3図3は、図1のIII−III切断面に沿った断面図である。
図4図4は、図2のIV−IV切断面に沿った断面図である。
図5図5は、図3に示される凸部の拡大図である。
図6図6は、図4に示される凹部の拡大図である。
図7図7は、図3に示される凸部と、図4に示される凹部との嵌合拡大図である。
図8図8は、本発明の第1実施形態に係るベースコネクタとソケットコネクタとの嵌合図であって、(1)は嵌合開始、(2)嵌合途中、(3)は正規嵌合姿勢である。
図9図9は、本発明の第2実施形態に係る要部拡大図である。
図10図10は、本発明の第3実施形態に係る要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態に係るコネクタ構造について図面に従って説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るコネクタ構造の要素であるベースコネクタの外観斜視図である。図2は、同コネクタ構造の要素であるソケットコネクタの外観斜視図である。図3は、図1のIII−III切断面に沿った断面図である。図4は、図2のIV−IV切断面に沿った断面図である。図5は、図3に示される凸部の拡大図である。図6は、図4に示される凹部の拡大図である。なお説明で特定する方向は図中に示す方向定義に従う。
【0022】
〈ベースコネクタ〉 ベースコネクタ10は、図1図3に示されるように、導電性の第1コンタクト150と、第1コンタクト150を収容する非導電性の第1ハウジング11とを備える。第1コンタクト150は、導電性および加工性に優れた銅合金が用いられ、圧延銅合金の板状体から打ち抜き加工で所定形状に成形される。第1コンタクト150は、軸方向に延び、相手コンタクト(第2コンタクト250)と接触する接触部、第1ハウジング11に保持される保持部、図示しない回路基板に接続される接続部が連なる。第1コンタクト150は、左右方向1列に3つ備わり、第1ハウジング11の開口部140から装着され底壁145で保持される。コネクタ嵌合時第1コンタクト150の後方への抜けを防ぐために保持部上端に環状の張出部が備わる。
【0023】
第1ハウジング11は、図1図3に示されるように、非導電性の合成樹脂からなる射
出成形品であり、前方に開口部140をもつ箱体である。第1ハウジング11は、内側に第1コンタクト150を収容するためのキャビティ130を左右方向1列に3つ備える。キャビティ130は、前方に開口部140を有し、側壁135、底壁145、および縦壁100で3つに区画されている。
【0024】
底壁145は、図3に示されるように、第1コンタクト150を保持するために比較的厚めに作られていて、略同じ厚みで左右方向に延びている。底壁145には、第1コンタクト150の保持部を保持するための保持孔が同一線上に離間して3つ形成されている。底壁145の周面から上方に側壁135が延び、内側にキャビティ130が形成される。さらにキャビティ130は、前後方向に延びる縦壁100によって3つに仕切られている。
【0025】
キャビティ130は、図3に示されるように、底壁145、側壁135、および縦壁100、あるいは底壁145、2つの縦壁100で区画され、前方に開口部140が形成されている。開口部140は、第2コネクタ20を受け入れるために開かれている。
【0026】
側壁135は、図1図3に示されるように、第1コンタクト150への不用意な異物の接触を防ぐとともに作業性を向上させるために、第1コンタクト150の周囲をカバーするように全周で且つ同じ位置に備わる。側壁135は、底壁145に比べて薄く略同じ肉厚で平坦な表面を形成するように広がる。
【0027】
縦壁100は、図1図3に示されるように、キャビティ130間を隙間なく仕切るように、底壁145から上方に真直ぐ延び、側壁135の高さに比べて若干低い開口部140手前の位置で止まる。縦壁100の高さは、図3に示されるように、第1コンタクト150の先端が隠れる程度の位置で、指が誤って第1コンタクト150に接触するおそれがない高さである。縦壁100の先端部110には凸部120が備わる。
【0028】
〈ソケットコネクタ〉 ソケットコネクタ20は、図2図4に示されるように、導電性の第2コンタクト250と、第2コンタクト250を収容する非導電性の第2ハウジング21とを備える。第2コンタクト250は、導電性および加工性に優れた銅合金が用いられ、圧延銅合金の板状体から所定形状に成形される。第2コンタクト250は、軸方向に延び、相手コンタクト(第1コンタクト150)と接触する接触部、第2ハウジング21に保持される保持部、電線に接続されるバレル部が連なる。第2コンタクト250は、左右方向1列に3つ備わり、第2ハウジング21の後方の開口部240から装着され所定の位置で保持される。
【0029】
第2ハウジング21は、図2図4に示されるように、非導電性の合成樹脂からなる射出成形品であり、前方に、第2コンタクト250ごとに独立する箱体部210を左右方向に3つ備え、後方に、この3つの箱体部210を一つにまとめる本体部200を備える。箱体部210は、第1ハウジング11のキャビティ130に収容される部分であって、内部には第2コンタクト250の収容空間が形成されている。
【0030】
箱体部210は、図4に示されるように、前方に前壁225、後方に本体部200に連通する開口部、および周囲に側壁215を備える。前壁225には、嵌合のとき、第1コンタクト250が通過するための開口部240が形成されている。第2コンタクト250を収容するための収容空間は、後方の開口部227を通して本体部200の収容空間に連通する。本体部200の収容空間は、内壁205によって隣り合う収容空間と区画されている。
【0031】
箱体部210は、図4に示されるように、離間して左右方向に3つ連なり、隣り合う箱
体部210の間には、互いの側壁215および215によって前後方向に延びる進入路230が形成されている。隣り合う箱体部210の2つの側壁215および215は、後端で一つにつながり、本体部200の内壁205に連なる。隣り合う箱体部210の2つの側壁215および215、さらに本体部200の一つの内壁205は、Y字状に1箇所で出合い、この出合いの場所に底壁235を形成する。底壁235は、2つの側壁215および215間にあり、前方に開口部246を向ける凹部245が備わる。
【0032】
〈凸部、凹部の説明〉 縦壁100の先端部110に備わる凸部120、進入路230の底壁235に備わる凹部245について図面に従って説明する。図5は、図3に示される凸部の拡大図である。図6は、図4に示される凹部の拡大図である。図7は、図3に示される凸部と、図4に示される凹部との嵌合拡大図である。
【0033】
凸部120は、図5に示されるように、縦壁100の先端部110に形成される。縦壁100は、後方の基端部から前方の先端部110にかけて先細りになるように左右両面にテーパーが形成されている。長手方向に比較的長く延びる縦壁100のテーパーは、射出成形時、金型の離形成を助ける抜け勾配としても機能させてよい。凸部120は、テーパーが形成された縦壁100の先端部110に備わり嵌合開始時、縦壁100をスムーズに嵌合へと誘導するパイロットとして機能する。
【0034】
縦壁100の先端部110は、凸部120によって、急激に左右の幅が狭められることとなる。凸部120の座面125は、若干中央部が盛り上がる皿状であり、凸部120の尖頭126は、平坦で角部に長手方向にC面127が形成されている。凸部120は、対応する凹部245と協働して、縦壁100と進入路230との間にあるクリアランスを縮小し、ハウジング11および12間のガタつきを取り除くことができる。
【0035】
凹部245は、図6に示されるように、前方に開口部246、後方に底面247を有する、底壁235に形成された溝である。凹部245の底面247には、左右両端に長手方向にC面248が形成されている。凹部245と、凸部120とは、互いに比較的少ないクリアランスで嵌合するように調整されている。
【0036】
凸部120と凹部245との前後方向の正規嵌合位置は、図7に示されるように、凸部120の座面125と、凹部245が備わる底壁235とが当接する位置である。また凸部120と凹部245との左右方向の正規嵌合位置は、凸部120と凹部245との嵌合により調整される。すなわち、縦壁100と進入路230との嵌合初期の比較的大きなクリアランスに比べて、比較的小さなクリアランスに縮小された凸部120と凹部245との嵌合状態に移行することによって、凸部120と凹部245との左右方向の正規嵌合位置が調整されることとなる。なお、前後方向の正規嵌合位置の位置出し基準は、本実施形態の基準面に限定して解釈されるものではない。
【0037】
凸部120と凹部245との幅方向(図7紙面奥行き方向)の正規嵌合位置は、第1ハウジング11、および第2ハウジング21の幅方向の側壁同士の重なりによって調整される。なお、幅方向の正規嵌合位置の位置出し基準は、本実施形態の基準面に限定して解釈されるものではない。
【0038】
第1ハウジング11および第2ハウジング21ともに左右方向は、コンタクトの増加によって延びるので、コンタクトの増加とともにハウジング11および21間のガタつきも増える傾向にある。そのため特に左右方向のハウジング11および21間のガタつきを防ぐことは、安全な作業にとって重要性は高いものである。
【0039】
〈嵌合過程〉 ベースコネクタ10と、ソケットコネクタ20との嵌合過程について図
面に従って説明する。図8は、本発明の第1実施形態に係るベースコネクタとソケットコネクタとの嵌合図であって、(1)は嵌合開始、(2)嵌合途中、(3)は正規嵌合姿勢である。
【0040】
嵌合開始時、第1ハウジング11と第2ハウジング21との間の、特に左右方向のクリアランスは大きく、嵌合間口に余裕があり、そのために、比較的スムーズな操作で第2ハウジング21の先端が第1ハウジング11の開口部140に掛かり始める。縦壁100は、進入路230に対して比較的大きなクリアランスがあるので、引掛かりなく挿入が進められる。正規嵌合位置の手前で縦壁100の先端部110の凸部120が進入路230の底壁235の凹部245に入り始める。縦壁100が進入路230内にある状態で、左右方向の触れ幅の範囲が制限されるので、クリアランスの比較的厳しい状態にある凸部120と凹部245との嵌め合いも、このような予め調整がない場合に比べて比較的容易に行なうことができる。
【0041】
凸部120が凹部245に完全に嵌り込むことによって、ソケットコネクタ20は、ベースコネクタ10に対して正規嵌合姿勢をとることができる。これにより、正規嵌合姿勢で、第1ハウジング11、および第2ハウジング21間のガタつきが取り除かれたコネクタ構造が得られる。
【0042】
正規嵌合姿勢にあるとき、図8の(3)に示されるように、第1ハウジングのロック部と、第2ハウジングのロック部とは、係合完了状態にある。これにより、第1ハウジングと第2ハウジングとの間のガタつきが取り除かれたコネクタ構造が保持されることとなる。
【0043】
〈効果〉 本発明の第1実施形態に係るコネクタ構造によれば次の効果が得られる。
(1)第1実施形態に係るコネクタ構造1は、第1ハウジング11の縦壁100の先端部110に凸部120を備え、第2ハウジング21の進入路230の底壁235に凹部245を備える。これにより、小型化を妨げることなく、第1ハウジング11と第2ハウジング21との間のガタつきが取り除かれたコネクタ構造1が得られる。
【0044】
(2)第1実施形態に係るコネクタ構造1は、第1ハウジング11の縦壁100の先端部110に凸部120を備え、第2ハウジング21の進入路230の底壁235に凹部245を備える。これにより、新たな部品を付加することなく、第1ハウジング11と第2ハウジング2との間のガタつきが取り除かれたコネクタ構造1が得られる。
【0045】
(3)第1実施形態に係るコネクタ構造1は、嵌合開始時、第1ハウジング11と、第2ハウジング21とのクリアランスは比較的大きく、正規嵌合姿勢で比較的クリアランスの小さい凸部120と凹部245との嵌合が完了するので、挿入しやすく、且つ第1ハウジング11と第2ハウジング21との間のガタつきが取り除かれたコネクタ構造1が得られる。
【0046】
(4)第1実施形態に係るコネクタ構造は、第1ハウジングの縦壁の左右側面にテーパーが形成されている。また対応する第2ハウジングの進入路の左右側壁にもテーパーが形成されている。これにより、成形時キャビティからの離型性がよい第1ハウジングおよび第2ハウジングが得られる。
【0047】
〈他の実施形態〉 本発明の技術的範囲は、本実施形態に表される構成、配置、材料、及び手段等に限定して解釈されるものではない。本実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる実施形態の一例に過ぎない。本発明の技術的思想の範囲以内で、本実施形態以外の構成、位置、形状をとることは許容される。
他の実施形態について図面に従って説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る要部拡大図である。図10は、本発明の第3実施形態に係る要部拡大図である。
図9は、縦壁100の凸部1120の段付きが2つある実施形態である。クリアランスの縮小率を2段階に分けることができるので、よりスムーズに正規嵌合姿勢への移行ができるコネクタ構造1Aが得られる。このような変更を加えても概ね上記した効果が得られる。
【0048】
図10は、先端部110が尖った山形の凸部2120である。凹部2245の形状に習いながら凸部2120が進むので、スムーズな正規嵌合姿勢への挿入ができるコネクタ構造1Bが得られる。このように変更を加えても概ね上記した効果が得られる。
【符号の説明】
【0049】
1、1A、1B コネクタ構造
10 第1コネクタ
11 第1ハウジング
100 縦壁
110 先端部
120 1120 2120 凸部
130 キャビティ
135 側壁
145 底壁
150 第1コンタクト
20 第2コネクタ
21 第2ハウジング
200 本体部
210 箱体部
215 側壁
225 前壁
230 進入路
235 底壁
245 1245 2245 凹部
250 第2コンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10