(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-25935(P2016-25935A)
(43)【公開日】2016年2月12日
(54)【発明の名称】血圧測定のデジタル式制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/022 20060101AFI20160115BHJP
A61B 5/0225 20060101ALI20160115BHJP
【FI】
A61B5/02 634F
A61B5/02 630C
A61B5/02 636F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-187209(P2015-187209)
(22)【出願日】2015年9月24日
(62)【分割の表示】特願2012-535957(P2012-535957)の分割
【原出願日】2010年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/256,110
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/256,081
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512110835
【氏名又は名称】シーエヌシステムズ メディジンテクニク アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォーティン、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】グルレンベルガー、ルパート
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA08
4C017AA09
4C017AB03
4C017AC27
4C017AD01
4C017AD30
4C017BC01
4C017BC16
4C017FF08
4C017FF15
(57)【要約】
【課題】血圧測定システム用のデジタル制御システムと制御方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1実施例によれば、光容積測定(PPG)システムが、該システムにより測定された光に相応する周波数信号を発生させる。この光は、動脈または静脈内の血液量を示すことができる。該周波数信号が、該システムの1つ以上の圧力弁を制御するのに使用され、それにより血圧が測定され、かつ周波数信号が一定に維持されることが可能になる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に血圧を測定する装置において、該血圧測定装置が、
ヒトの指動脈に装着するようにされた圧力カフ、それも、少なくとも1光源と少なくとも1光検出器とを有するPPGシステムを含む圧力カフと、
少なくとも1ポンプ、少なくとも1つの弁または弁システム、少なくとも1圧力センサを含む圧力システムと、
前記弁または弁システムの動作を変更することによりカフ内の圧力を制御する制御器とを含み、
しかも、前記1つ以上の光検出器が少なくとも1つの光/周波数変換(LFC)装置と関係づけられている、血圧測定装置。
【請求項2】
前記制御器が計算装置(computing device)である、請求項1記載の血圧測定装置。
【請求項3】
前記LFC装置が、計算装置のデジタル入力に電気接続されている、請求項2記載の血圧測定装置。
【請求項4】
前記LFC装置が、1つ以上の光検出器からの測定光強度に基づき周波数出力を発生させ、かつその周波数出力が、カフ内圧の変更により事実上一定に維持される、請求項3記載の血圧測定装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの弁または弁システムが、計算装置からの出力を介して制御される、請求項2記載の血圧測定装置。
【請求項6】
前記デジタル出力がパルス幅変調(PWM)信号である、請求項5記載の血圧測定装置。
【請求項7】
前記少なくとも1光源と前記少なくとも1光検出器が、計算装置のデジタル出力を介して制御される、請求項2記載の血圧測定装置。
【請求項8】
光源の空白の合い間が周囲光の検出に利用される、請求項7記載の血圧測定装置。
【請求項9】
前記計算装置が較正装置から情報を受け取る、請求項2記載の血圧測定装置。
【請求項10】
前記血圧測定装置が静水圧修正システムからの情報を受け取る、請求項1記載の血圧測定装置。
【請求項11】
前記血圧測定装置が少なくとも1つの他の装置からのスケーリング情報を受け取る、請求項1記載の血圧測定装置。
【請求項12】
前記血圧測定装置が、スケーリングされた血圧曲線を計算し、かつその血圧曲線を他の装置へ伝送する、請求項11記載の血圧測定装置。
【請求項13】
連続的に血圧を測定する方法において、前記方法が、
光容積測定(PPG)システムを、ヒトの指の動脈または静脈の外部に配置する作業を含み、該PPGシステムが動脈または静脈の容積に基づくPPG信号を発生させ、また該PPGシステムが少なくとも1光源と少なくとも1光検出器とを含み、前記方法が、さらに
ポンプおよび圧力センサに接続された弁または弁システムの動作を変更することによりカフの内圧を変化させるのに計算装置を利用する作業を含んでおり、
その場合、動脈または静脈の測定血液量に基づいて、周波数信号が光/周波数変換(LFC)装置により発生させられ、かつ
前記計算装置が、カフ圧力の変更により周波数信号を事実上一定に維持する、連続的に血圧を測定する方法。
【請求項14】
前記計算装置が、周波数信号に基づいて弁または弁システムの動作を変更する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記LFC装置が、前記1つ以上の光検出器により測定された光強度に基づいて周波数出力を生じさせる、請求項13記載の方法。
【請求項16】
更に、光源の空白の合い間に周囲光を検出する作業を含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
連続的な血圧測定用のセンサにおいて、該センサが、
ヒトの指の動脈の外側に配置するようにされた圧力カフと、
少なくとも1光源および少なくとも1光検知器を有するカフ内のPPGシステムと、
電気デジタル信号および給電信号を受信し送信する少なくとも1計算装置と、
カフに与圧するための1つ以上の空気コネクタとを含んでおり、
その場合、前記少なくとも1光検出器が光/周波数変換(LFC)装置として構成されており、更に
前記LFC装置が、測定光に基づいて、前記少なくとも1計算装置への、それもセンサの制御ユニットへの周波数信号を発生させる、連続的な血圧測定用のセンサ。
【請求項18】
前記少なくとも1計算装置が、
プロセッサと、
命令を記憶させたプロセッサに結合された記憶装置(memory storage)とを含み、該命令がプロッセッサによって実行されると、前記計算装置が諸機能を実行し、該諸機能には、
カフ内圧を変化させることにより周波数信号を事実上一定に維持する機能が含まれる、請求項17記載のセンサ。
【請求項19】
カフ内圧を変化させる作業が、ポンプおよび圧力センサに接続された弁または弁システムの動作を変更する作業を含む、請求項18記載のセンサ。
【請求項20】
ポンプおよび圧力センサに接続された弁または弁システムの動作を変更する作業が、パルス幅変調(PWM)信号を使用して弁または弁システムを制御する作業を含み、その場合、弁または弁システムの開閉がPWM信号のデューティ・サイクルの一機能である、請求項19記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは血圧測定方法に関わり、より具体的には、PPG(Photoplethymography‐光容積測定法)血圧測定システムの光信号中のノイズ効果を低減する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
関連出願のクロス・リファレンス
本出願は、2009年10月29日提出の米国仮特許出願第61/256,081号および2009年10月29日提出の米国仮特許出願第61/256,110号による優先権を請求するものである。ここに引用することで、これらの出願の内容全体が本明細書に取り入れられるものとする。
【0003】
脈動波形解析法(PCA−Pulse Contour Analysis)は、血圧脈波、特に脈波波形から得られる計算パラメータの処理法である。PCAは、血圧(BP)測定で開始される。
【0004】
血圧は色々な手段で測定できる。一例として、上腕または手首のところで測定する標準的な非侵襲的血圧計(NBP)が使用できる。NBPは、動脈血圧に適用されるが、その場合、動脈が締め付けられ、血流が制限される。圧力が放出されると、血流が動脈内で回復され、収縮期血圧と拡張期血圧とが測定できる。NBPでは、血圧が連続的にではなく、間欠的に測定されるため、PCAには利用できない。
【0005】
血圧測定の別の装置は、指用のカフ(駆血帯)と、赤外光源と、パルスオキシメトリによっても知られる光容積測定法(PPG)の信号測定用光検出器とを備えたものである。このPPG信号は制御システムに送られ、この信号により指用カフには対圧が発生する。この対圧は、PPG信号が一定に保たれている場合、動脈内圧に等しい。このようにして、間接的に動脈内圧と同等の対圧が測定される。この方法は、「血管無負荷技術」として知られ、連続血圧信号は、PCAに利用できる。
【0006】
侵襲的な装置、例えば動脈内カテーテルも血圧測定に使用できる。動脈内トランスデューサは、比較的高い周波数伝送(最大200Hz)能を有し、したがってPCAに使用できる。
【0007】
脈動波形から計算できる幾つかのパラメータ例には、1回拍出量(SV)、心拍出量(CO)、1回拍出量の変動(SVV)、脈圧変動(PPV)、全末梢抵抗(TRR)が含まれている。加えて、PCAは、ヒトの血管特性、例えば動脈壁の固さを判定できる他の測定法に使用することもできる。したがって、測定血圧信号はできるだけ精確であるのが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
侵襲的装置は、患者に過度の負担や苦痛を与える欠点があり、他方、非侵襲的装置の信号には、信号の忠実度または精度の点で問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここには、本発明による血圧測定システム用のデジタル制御システムと方法とを開示する。一実施例では、連続血圧測定のための装置が開示される。この装置は、ヒトの指の動脈外部に装着するようにされた血圧測定用カフを含み、該カフが、少なくとも1光源および少なくとも1光検出器と、少なくとも1ポンプを含む圧力システムと、少なくとも1つの弁または弁装置と、少なくとも1圧力センサとを有するPPGシステムと、弁また弁装置の動作を変化させることによりカフの内圧を制御する制御器とを含み、しかも前記1つ以上の光検出器が少なくとも1光/周波数変換 (LFC)装置と組み合わされされている。
【0010】
別の実施例では、連続的に血圧測定する方法が開示される。この方法は、光容積測定(PPG)システムをヒトの指の動脈または静脈外部に装着する作業を含み、しかも、PPGシステムが、動脈または静脈の容積に基づく信号を発し、少なくとも1光源および少なくとも1光検出器を含んでおり、さらに、前記方法は、計算装置を利用して、ポンプおよび圧力センサに接続された弁または弁装置の動作を変更することでカフ内圧を変更する作業を含み、また動脈または静脈測定血液量に基づき、周波数信号が光/周波数変換器(LFC)から発せられ、計算装置が、この周波数信号をカフ圧の変更により事実上一定に維持する。
【0011】
更に別の実施例により、連続血圧測定用のセンサが開示される。このセンサは、ヒトの指の動脈外部に装着するようにされた血圧測定カフと、少なくとも1光源および少なくとも1光検出器を有するカフ内部のPPGシステムと、電気デジタル信号および給電信号を受信し送信する少なくとも1計算装置と、カフに与圧するための1つ以上の空気コネクタとを含み、しかも、前記少なくとも1光検出器が、測定光に基づく光/周波数変換器(LFC)として構成され、前記少なくとも1計算装置への、ひいてはセンサの制御ユニットへの周波数信号を発生させる。
以下で、本発明の一実施例を図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】血圧測定のためカフ圧を制御する光容積測定(PPG)システムを用いた一実施例による血管無負荷技術(VUT)による制御システムの図。
【
図2】光/デジタル変換器および周囲光制御器を含む、一実施例によるPPGシステムの図。
【
図3】一実施例によるVUTシステムのデジタル制御を示す図。
【
図4】一実施例によるVUT制御システムのブロック図。該システムには、間欠的なNBPの高さ修正手段およびパテント・モニターへの接続手段が含まれている。
【
図5】一実施例による血圧測定用のセンサ例を示す図。測定には、二本の指を交互に血圧測定する複式カフが用いられる。
【
図6】一実施例による計算装置例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
非侵襲的動脈圧連続(CNAP)測定システムの高度デジタル制御用のシステムおよび方法を説明する。この場合、患者の種々のパラメータ、例えば1回拍出量(SV)、心拍出量(CO)、全末梢抵抗(TPR)、動脈壁の固さ等を、より精確に計算するために、CNAP測定出力信号を使用することができる。この計算処理を脈動波形解析法(PCA)と呼ぶことができる。
【0014】
図1は、通常の「血管無負荷技術」(VUT)システム100と、その制御原理とを示している。このシステムおよび制御原理は、例えば本願と同一日付で提出された米国同時係属出願第xx/xxx,xxx号「非侵襲的連続血圧測定装置からの信号を強化かつ解析する装置および方法」に説明されており、これをここに引用することにより、その全内容が本明細書に取り入れられるものである。VUTシステム100は「光容積測定」(PPG)システムを含み、PPGシステムは、1つ以上の光源104と1つ以上の光検出器106とを有する指用カフ102を含んでいる。PPG信号は、カフ102内に圧力を生じさせる制御システム114へ送られる。
【0015】
使用時、ヒトの指108は指用カフ102内へ挿入される。指用カフ102は、指108の動脈110内の血液量を測定する。心収縮期に指108内の血液量が増加すると、制御器114が、指用カフ102の圧力p
cuff(t)を増大させ、過剰な血液量をカフの圧力によって絞り出す。他方、心拡張期には、指内の血液量が減少するため、制御器114は、圧力p
cuff(t)を減圧することで、動脈内の全血液量を一定に維持する。血液量v(t)が長時間にわたって一定に維持されるので、カフの圧力p
cuff(t)と動脈内圧p
art(t)との圧力差は零である。したがって、動脈内圧p
art(t)とカフの圧力p
cuff(t)とは等しく、そのことは、例えばマノメータ(圧力測定器)によって測定できる。このように、動脈内圧p
art(t)自体が間接的に測定され、測定域(例えば指)での動脈血量変化を反映するPPG信号v(t)が得られる。PPG信号が一定に維持されるので、対圧により動脈血量の変動が除去され、動脈直径も一定に維持される。このように動脈110への流入が保証される一方、指先からの静脈112内の戻り流は僅かに減少する。
【0016】
PPGシステムは、1つ以上の光源104から動脈110内へ光を照射し、1つ以上の光検出器106で指を通過する照射光を検出することにより動脈血量を測定できる。照射光の強度に対し反射光の強度を測定することによって、動脈100の測定血量v(t)が判明する。光源は、LED、レーザ・ダイオード、その他の種類のランプ等を含む、どのような種類のものでもよい。
精確に読み取れるように、光源の発光器/検出器(光電流を発生させる1つ以上のフォトダイオードを含む)は、通常、できるだけ動脈近くに配置される。測定に必要な他の電子素子、例えば信号処理素子および/または電源は、発光器および検出器から離れたところに配置される。通常、これらの素子は、1つ以上の導体(電線)を介して発光器/検出器に電気接続される。
【0017】
幾つかの方法の場合、発光器/検出器は、光の検出結果として光電流を発生させる少なくとも1フォトダイオードを含んでいる。この光電流は、圧力ループに戻され、既述のように、必要とあれば、カフ圧力を調節する。この種の信号は、通常、ほぼナノ・アンペアである。したがって、これらの信号は、隣接電子素子、例えば抵抗器、高インピーダンス増幅器による干渉(すなわちノイズ)、同相信号除去比(CMRR)の干渉、導体によるその他の干渉を、特に受けやすい。通常、光電流信号は、電磁遮蔽体を使用することでノイズから保護される。しかし、この遮蔽技術は、常に有効とが限らず、またシステムに追加費用を生じさせることがある。
【0018】
ここで幾つかの方法を開示しておく。開示する複数の方法の一実施例では、検出された照射光が光電流に変換されず、光エネルギーが交流(AC)信号に変換される。その場合、AC信号の周波数には光の情報が含まれている。この周波数(f(t)で表す)は、事実上、照射光(l(t)で表す)により変調される。
少なくとも一実施例では、この周波数への光の変換が光/周波数変換器と呼ばれる装置で行われる。この装置は、周波数への光の変換(LFC)と呼ばれる作業を実施できる。少なくとも一実施例では、少なくともこの目的のために、テキサス・インストルメント社製のTSL245を使用できる。LFCは、光の強度が比較的高い場合、比較的高い周波数を生じさせる。LFCは、光の強度が比較的低い場合には、比較的低い周波数を生じさせる。
【0019】
LFCのモデリング用の方程式例を方程式1で示す。この式においてH()は、LFCの伝達関数である。
f(t)=H(l(t)) (1)
【0020】
LFCからのAC信号(f(t))は、次いでセンサから電気制御ユニットへ送られ、該制御ユニットは、少なくとも1タイマー・ユニットを含んでいる。AC信号は、入力としてタイマー・ユニットへ送られる。AC信号は、タイマー・ユニットにより一方の方向(例えば陰電圧から陽電圧への通過またはその逆)での「ゼロ(点)通過」または「境界」に維持されたタイマーの動作を開始させる。タイマーは、AC信号が、他方向で再びゼロ(点)通過するか、または境界を有する場合には、停止する。このようにして、タイマーは、半デューティ・サイクルの持続時間を計算し測定する。この作業は方程式2によりモデル化できる。
T/2=l/f(t)=l/H(l(t)) (2)
【0021】
タイマーが停止すると、タイマー・ユニットはタイマーの値を保持する。このタイマーの値は、LFC周波数の半デューティ・サイクルの時間と同等であり、発光器/検出器により測定された照射光の強度に反比例する。AC信号がゼロ交差する場合、信号は高い過渡性を有している(最良の場合でモデル化すると、矩形波信号となる)。少なくともこの理由により、信号はノイズには比較的不感である。
更に、本発明の方法の利点を備えた制御システムには、高価な電子素子、例えば良好なCMRRを有する計装増幅器や電磁遮蔽体を使用する必要がない。本発明の方法の少なくとも一実施例では、光信号がタイマー値として表され、その後の何らかの処理にデジタル・データとして利用できる。
【0022】
図2には、光制御システム200の例が示されている。少なくとも一実施例では、光制御システムは、デジタルPPG信号を発生し、周囲光を排除する。図では、手足108(例えば指)が、光源(例えばLED104)からの照射光により照明されている。照射光は、手足を通して伝搬されるか、または骨に反射し、反射光がLFC装置202により検出される。LED104とLFC装置202とは、両方とも手足108の近くに配置され、カフ102内に収容されている。
幾つかの実施例では、LFC装置202は、矩形波信号を(出力として)発生する。この信号は、光情報を含み、幾つもの他の電気素子または計算装置、例えばマイクロコントローラμC204に接続できる。光/デジタル変換ユニットは、少なくとも、マイクロコントローラを実装したタイマーの形式をとり、その後の処理に用いられる時系列デジタル信号を発生する。周囲光制御ユニット208はLED104の脈動を制御できる。周囲光の検出は、LEDパルスの「オフ」期間(「空白の合い間」と呼ばれる)に行われる。
【0023】
本発明のシステムおよび方法の利点の一つが
図3に示されている。計算装置204(例えばデジタル信号処理装置(DSP))は、信号(p
cuff(t))を発生させる圧力計306とLFC装置202とから信号を受信する。更に、計算装置204は、少なくとも1制御信号を1つ以上の光源(LED1〜LEDx)と、弁または弁システム302とへ送信する。LEDと弁または弁システム302とは、計算装置204から出力されるデューティ・サイクル変調信号(例えばパルス幅変調された(PWM)信号)により制御される。
VUT法によれば、PPG信号は一定に維持されるのが望ましい。PPG信号(反射照射光)はLFC周波数(f(t))によって符号化されるので、この周波数は、対圧p
cuffのため、同じように一定に維持されるのが望ましい。
【0024】
計算装置204(または少なくとも計算装置のDSP部分)は、1つ以上のデジタル制御ループを実施するようにプログラム化され、該制御ループが、弁または弁システム302にPWM信号を送ることで、LFC周波数が、ひいてはデューティ・サイクルが一定に維持される。この一定値は、VUTフィードバック・ループを利用することで得ることができる。
【0025】
図4には、デジタルVUTシステムの一実施例が示されている。図示のこのシステムは、複式弁システムと2つ以上の制御ループとを有している。当業者には、このデジタルVUTシステムが、複式弁システム無しで、単一制御ループのみでも操作可能であることが分かるだろう。
図4には、少なくとも一実施例の全体的な原理が示されている。
【0026】
内部ループは、血圧(BP)変化に迅速に反応するために、別個の入口弁と出口弁とを用いて指内の対圧を制御する。入口弁と出口弁とは各々が制御ループおよび組み合わせ制御ループを有することで、より精密な圧力信号を発生させる。
図4に見られるように、電子ゲージからの圧力信号は、圧力制御ユニットへ戻され、デジタル制御ループ・システムからの計算圧力設定値と比較される。圧力実際値が目標圧力設定値を下回る場合、増圧ユニットによりポンプおよびリザーバへの入口弁が開かれる一方、出口弁が閉じられる。これによって装置内の圧力が上昇する。実際値が目標圧力設定値を上回る場合は、入口弁が閉じられ、放圧ユニットにより出口弁は開かれる。これによって装置内の圧力が減圧される。これらのループは、例えば圧電式の弁の使用により10msec未満の時間で反応(例えば開閉)するので、迅速な動作が可能である。この迅速に反応する圧力システムにより、生理学的なBP変化が、適切な反応時間で追跡(追従)できる。加えて、弁システムの精密な線形性は不要になる。これによって、システムの再現および較正が容易になり、その結果、より安価のシステムが得られる。
【0027】
2つの弁のうちの1つは随時閉じられるので、ポンプは、外部へ空気を放出する必要はない。更に、リザーバ内に絶えず圧力を充てんする必要がない。簡単で信頼性のより低いポンプを断続的に使用できるので、電力消費および費用が有意に低減される。これらの改善点は、形状因子(form factor)−特に実際のセッティング、例えば患者の輸送に使用される装置、麻酔後の看護ユニット(PACU)、集中看護ユニット(ICU)等の重要な問題に影響を与える。
図2および
図4に示したように、PPGシステムは、周囲光制御方法により周囲光の効果を調整できる。したがって、ノイズの低減されたPPG信号が、カフ内部の対圧により一定に維持されるLFC周波数に符号化される。1つ以上のLEDと該システムのLFC装置とが、直接にカフ内に統合できる。
【0028】
VUTの方法による圧力調整には、デジタル制御ループ・システムを使用できる。このシステムは、2つ以上の連動制御ループを含むことができる。これらの制御ループは、
図4の破線で囲まれた他のすべての要素同様、計算装置またはDSPにソフトウェアとして実装できる。
加えて、次の要素、すなわち、上腕BP値較正用の標準NPB、指(センサ・レベル)/心レベル間の静水圧差の修正用高さ修正システム、少なくとも1モニタ装置へのBP信号スケーリング用の少なくとも1外部モニタ装置からの励起電圧、BP信号を表示するためのディスプレーのいずれもが既述の実施例のいずれとも統合できる。
【0029】
医師は、心レベルで得た血圧値を利用する。指は往々にして異なる静水圧レベルにあるので、その場合には、指レベルと心レベルとの差は、これら2か所間の水充填管によって修正できる。したがって、高さ修正システムは、既述のシステムおよび方法の実施例と協働でき、それによって指センサと心レベルの静水圧差は解消できる。この高さ修正システムは、液体充填管で構成され、その場合の、液体密度は、血液密度に合致する。管の一端は心レベルに配置され、他端は指のカフに配置される。液体の流出を防止するための浮動ダイアフラムを、心レベルの端部に付加しておくことができよう。液体に直接に接続されている指端部の圧力センサは、静水圧差を測定する。この高さ修正システムの圧力センサは、センサ箇所での周波数信号またはデジタル信号を発生し、全体の制御システムに送信するように構成できる。
また、既述のシステムおよび方法により、BP信号(p
cuff(t))のスケーリングされた測定値が得られる一方、制御システムは、BP信号p
cuff(t)、較正装置からの単一BP値、高さ修正の入力、標準的な患者モニタからの励起電圧を変換できる。
【0030】
図5には、複式指カフとして具体化された典型的な指センサ500が示されている。センサ使用時には、測定時間が1時間を超えると押圧の跡が残るので、測定指を時々替えて跡が残らないようにする。各指センサは、位置502に配置された光源(既述のような)(例えばLED)と、位置504に配置されたLFC(既述のような)として構成された光検出器と、カフ506とから構成されている。電気および空気の供給は全体のコネクタ508を介してセンサに供給される。
【0031】
図6のブロック図に示した計算装置600の例は、本発明のシステムおよび方法と組み合わせることができ、かつ既述の少なくとも1計算装置に代わることができる。この計算装置600は、本発明の方法の少なくとも1段階を実施できる。
きわめて基本的な構成601の場合、計算装置600は、通常、1つ以上のプロセッサ610と、システム・メモリとを含んでいる。メモリ・バス630は、プロセッサ610とシステム・メモリ間の通信に使用できる。
【0032】
所望の構成に応じて、プロセッサ600は、どのような種類のマイクロプロセッサ(μP)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル式信号プロセッサ(DSP)、これらのなんらかの組み合わせをも含むことができるが、これらには限定されない。プロセッサ610は、1以上のレベルのキャッシュ構成、例えばレベル1のキャッシュ611およびレベル2のキャッシュ612と、プロセッサ・コア613と、レジスタ614とを含むことができる。プロセッサ・コア613は、演算論理ユニット(ALU)613と、浮動小数点演算ユニット(FPU)と、デジタル信号処理コア(DSPコア)とを含むか、またはこれらの組み合わせを含むことができる。また、メモリ制御器615は、プロセッサ610と一緒に使用できるが、幾つかの実施例では、プロセッサ610の内蔵部品とすることもできる。
【0033】
所望の構成によれば、システム・メモリ620は、どのような種類の揮発性メモリ(例えばRAM)、または不揮発性メモリ(例えばROM、フラッシュ・メモリ等)、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、それらには限定されない。システム・メモリ620は、通常、操作システム621と、1つ以上のアプリケーション622と、プログラム・データ624と含んでいる。例えばアプリケーション622は、PPGシステムからの何らかの入力と該入力の基本デシジョン・オフとを受信するように構成できる。例えば、該アプリケーションは、PPGシステム、NBPからの入力を受信するように、またおそらくはその他のシステムからの入力も受信するように構成できる。出力としては、アプリケーション622は、既述の方法のどれをも実施でき、高い忠実度のBP信号を発することができる。
【0034】
計算装置600は、付加的な特徴または機能性と、基本構成601との通信を容易にする付加的インタフェースとを有することができる。例えば、バス/インタフェース制御器640を使用し、記憶インタフェース・バス641を介して基本構成601と1つ以上のデータ記憶装置650との間の通信を容易にすることができる。データ記憶装置650は、取外し可能の記憶装置651または取外し不能の記憶装置652またはこれらの組合わせのいずれかにすることができる。取外し可能の記憶装置651および取外し不能の記憶装置652の例には、フレキシブルディスク・ドライブおよびハードディスク・ドライブ(HDD)等の磁気ディスク装置、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多目的ディスク(DVD)ドライブ等の光学ディスクドライブ、ソリッドステート・ドライブ(SSD)、少数のテープ・ドライブが含まれる。コンピュータ記憶媒体の例には、例えばコンピュータ判読可能な命令、データ構造、プログラム・モジュール、その他のデータ等の情報を記憶するための、どのような方法または技術にも実装される揮発性および不揮発性の、また取外し可能および取外し不能の媒体が含まれる。
【0035】
システム・メモリ620、取外し可能な記憶装置651、取外し不能な記憶装置652は、すべてコンピュータ記憶媒体の例である。コンピュータ記憶媒体は、RAM,ROM,EEPROM,フラッシュ・メモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM,デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光学記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、その他所望の情報の記憶に使用可能かつ計算装置600からアクセス可能なすべての媒体を含むが、それらには限定されない。それらのどのようなコンピュータ記憶媒体も装置600の部品とすることができる。
【0036】
計算装置600は、また種々のインタフェース装置からバス/インタフェース制御器640を介して基本構成601へ容易に通信可能にするためのインタフェース・バスを含むことができる。出力インタフェース660の例は、グラフィック処理ユニット661とオーディオ処理ユニット662とを含み、これらのユニットは、1つ以上のA/Vポート663を介して、例えばディスプレーまたはスピーカー等の種々の外部装置と通信するように構成できる。出力インタフェース660の例は、シリアル・インタフェース制御器671またはパラレル・インタフェース制御器672を含み、これらの制御器は、外部装置、例えば入力装置(例えばキーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置等)または他の周辺装置(例えばプリンタ、スキャナ等)と、1つ以上のI/Oポート673を介して通信可能に構成できる。通信インタフェース680の例は、ネットワーク制御器681を含み、該制御器は、ネットワーク通信全体にわたって、1つ以上の通信ポート682を介して1つ以上の他の計算装置690と容易に通信するように構成できる。
【0037】
通信の接続は、通信媒体の一例である。通信媒体は、通常、コンピュータ判読可能な命令、データ構造、プログラム・モジュール、その他の変調データ信号でのデータ、例えば搬送波または他の駆動機構により具体化でき、かつ何らかの情報発信媒体を含んでいる。「変調データ信号」は、1組以上の特徴を有する信号、または信号の情報を符号化するように変えられた信号でよい。実施例では、通信媒体は、有線媒体、例えば有線ネットワークまたは直接配線接続、および無線媒体、例えば音響周波、無線周波(RF)、赤外線媒体、その他の無線媒体を含むことができる。ここで用いたコンピュータ判読可能な媒体という用語は、記憶媒体と通信媒体の両方を含むことができる。
【0038】
計算装置600は、小型形状因子(スモール・フォームファクター)の携帯(または可動)電子装置、例えば携帯電話、携帯情報端末(PDA)パーソナル・メディアプレーヤー、無線ウェブ‐ウオッチ装置、パーソナル・ヘッドフォン装置、特定アプリケーション用の装置、前記諸機能のいずれかを含むハイブリッド装置の一部として実装できる。計算装置600は、またラップトップ、デスクトップ両方のコンピュータ構成を含むパーソナル・コンピュータとして実装することもできる。
【0039】
以上、本発明を一定の実施例およびアプリケーションとの関連で説明したが、当業者には、発明の構想の精神の枠内で改変、変更態様、変化形その他類似の変更が可能であることが理解できるだろう。それらの変更も、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【手続補正書】
【提出日】2015年10月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に血圧を測定する装置において、該血圧測定装置が、
ヒトの指動脈に装着するようにされた圧力カフ、それも、少なくとも1光源と少なくとも1光検出器とを有するPPGシステムを含む圧力カフと、
少なくとも1ポンプ、少なくとも1つの弁または弁システム、少なくとも1圧力センサを含む圧力システムと、
前記弁または弁システムの動作を変更することによりカフ内の圧力を制御する制御器とを含み、
しかも、前記1つ以上の光検出器が少なくとも1つの光/周波数変換(LFC)装置と関係づけられている、血圧測定装置。