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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-26903(P2016-26903A)
(43)【公開日】2016年2月18日
(54)【発明の名称】研磨物品及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 3/18 20060101AFI20160122BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20160122BHJP
   B24D 3/02 20060101ALI20160122BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20160122BHJP
【FI】
   B24D3/18
   B24D3/00 330G
   B24D3/02 310A
   B24D3/00 320B
   B24D3/00 340
   H01L21/304 631
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-225559(P2015-225559)
(22)【出願日】2015年11月18日
(62)【分割の表示】特願2014-550532(P2014-550532)の分割
【原出願日】2012年12月30日
(31)【優先権主張番号】61/582,048
(32)【優先日】2011年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】391010770
【氏名又は名称】サンーゴバン アブレイシブズ,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】507169495
【氏名又は名称】サン−ゴバン アブラジフ
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100188857
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 智文
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】シブシャンカー・シバスブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン・ラマナス
(72)【発明者】
【氏名】ラマヌジャン・ヴェーダンサム
(72)【発明者】
【氏名】ラチャナ・ウパディヤイ
(72)【発明者】
【氏名】シグノ・レイス
(57)【要約】
【課題】特に高い気孔率を有する研磨物品を提供する。
【解決手段】結合研磨体を含む研磨物品であって、前記結合研磨体は、ビトリファイド材料を含む結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料、及び前記第1の中央粒径未満の第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料、を含む研磨粒子、前記結合研磨体の全体積の少なくとも50体積%の気孔率、を含有し、前記結合材料は、第一の量の前記第1の種類の超砥粒材料と、第二の量の前記第2の種類の超砥粒材料とを含み、前記第一の量は、前記第二の量よりも大きい、研磨物品。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合研磨体を含む研磨物品であって、
前記結合研磨体は、
ビトリファイド材料を含む結合材料、
第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料、及び
前記第1の中央粒径未満の第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料、を含む研磨粒子、
前記結合研磨体の全体積の少なくとも50体積%の気孔率、
を含有し、
前記結合材料は、第一の量の前記第1の種類の超砥粒材料と、第二の量の前記第2の種類の超砥粒材料とを含み、前記第一の量は、前記第二の量よりも大きい、研磨物品。
【請求項2】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合材料は、14モル%以下の酸化ナトリウム(NaO)を含む、研磨物品。
【請求項3】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記超砥粒材料は、ダイヤモンドを含む、研磨物品。
【請求項4】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記第2の中央粒径は、前記第1の中央粒径の1.1分の1以下、及び前記第1の中央粒径の10分の1以上である、研磨物品。
【請求項5】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記第1の種類の超砥粒材料は、少なくとも1ミクロン、及び20ミクロン以下の中央粒径を含む、研磨物品。
【請求項6】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記第2の種類の超砥粒材料は、少なくとも0.01ミクロン、及び0.9ミクロン以下の中央粒径を含む、研磨物品。
【請求項7】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、結合研磨体の全体積に対して、少なくとも58体積%の気孔率、及び85体積%以下の気孔率を含む、研磨物品。
【請求項8】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記第一の量(重量%)は、前記第二の量(重量%)よりも、少なくとも1.5倍多い、研磨物品。
【請求項9】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、結合研磨体の全体積に対して、少なくとも70体積%、及び85体積%以下の気孔率を含む、研磨物品。
【請求項10】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも50体積%、及び90体積%以下の前記結合材料を含む、研磨物品。
【請求項11】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも5体積%、及び約35体積%以下の研磨粒子を含む、研磨物品。
【請求項12】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、炭化ケイ素を含まない、研磨物品。
【請求項13】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、黒鉛を含む、研磨物品。
【請求項14】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合材料は、少なくとも200℃、及び560℃以下の軟化点温度を含む、研磨物品。
【請求項15】
請求項1に記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、半導体ウェハの研削用に構成された結合研磨ディスクを含む、研磨物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、研磨物品、より詳細には、特に高い気孔率を有する結合研磨物品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子装置の製造において、IC及びLSIなどの複数の回路を有する半導体ウェハの裏面は、半導体ウェハが個々のチップに分割される前に研削盤により所定の厚さに研削される。効率的に半導体ウェハの裏面を研削するために、粗研削ユニット及び仕上げ研磨ユニットを備えた研削盤が一般に使用される。一般に、粗研削プロセスを行うために利用される物品は結合研磨体又は結合砥石であり、それは比較的大きなサイズを有するダイヤモンド砥粒をビトリファイド結合材料又は金属結合材料と共に結合させることで得られる。樹脂結合材中に含まれる2ミクロン以上の中央粒径のダイヤモンド砥粒を有する樹脂結合砥石は、典型的に仕上げ研削作業に使用される。より小さなサイズのダイヤモンドは、一般に樹脂結合物品において利用することができない。
【0003】
いくつかの場合では、無機結合剤の含有量は、ビトリファイド砥石のグレード、また、無機結合剤が砥粒を共に保持する強さの程度を増加させるために、比較的高くされている。しかしながら、このような砥石は減少した気孔率を有するために完全に満足できるものではなく、それは使用済み砥粒の破砕及び除去を困難又は不十分にし、比較的容易なビトリファイド砥石の表面の目潰れ又は目詰まり、研磨材構造のチッピング、砥石の乏しいドレッシング性、及び他の欠点につながり得る。
【0004】
気孔率の高い砥石の形成が開示されている。一般に、気孔率の高い砥石体は形成中に発泡剤を使用することによって達成される。発泡剤は気泡を形成するため、最終的に形成された研磨製品中に気孔が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
それでもなお、当業界は、改善された研削性能を達成可能な改善された砥石材料を求め続けている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様によれば、結合研磨物品を形成する方法は、結合材料と超砥粒材料とを含む研磨粒子を含有する未焼成体を形成する工程、及び、超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換して結晶炭化ケイ素を含まない結合研磨体を形成する工程、を含む。
【0007】
第2の態様では、研磨物品は結合研磨体を含み、結合研磨体は、ビトリファイド材料を含む結合材料、結合材料中に含まれる第1の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、結合研磨体の全体積の少なくとも約50体積%の気孔率、を含有し、結合材料及び第1の種類の研磨粒子は約5.5ppm/℃以下のΔCTEを有し、ΔCTEは結合材料のCTEと研磨粒子のCTEとの間の差として定義される。
【0008】
第3の態様によれば、研磨物品は結合研磨体を含み、結合研磨体は、ビトリファイド材料を含む結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料及び第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、を含有する。また、結合研磨体は結合研磨体の全体積の少なくとも約50体積%の気孔率を含む。
【0009】
さらに別の態様では、研磨物品は結合研磨体を含み、結合研磨体は、結合材料の全モル数に対して約14モル%以下の酸化ナトリウム(NaO)を含む結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料及び第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、を含有する。また、結合研磨体は結合研磨体の全体積の少なくとも約50体積%の気孔率を含む。
【0010】
別の態様の場合では、結合研磨物品を形成する方法は、結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料及び第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、を含有する未焼成体を形成する工程、及び第2の種類の超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換する工程、を含む。
【0011】
また別の態様によれば、結合研磨物品を形成する方法は、結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料及び第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、を含有する未焼成体を形成する工程を含む。本方法は、さらに第2の種類の超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換する工程、及び気相物質の少なくとも一部を結合材料中に捕捉する工程、を含む。
【0012】
さらに別の態様によれば、結合研磨物品を形成する方法は、酸化物を含む結合材料、超砥粒材料を含む研磨粒子、ダイヤモンドを含む超砥粒材料の一部、を含有する未焼成体を形成する工程、及びダイヤモンドの少なくとも一部を気相物質に変換する工程を含む未焼成体から結合研磨体を形成する工程、を含み、気相物質は結合研磨体中で気孔の一部を形成する。
【0013】
別の態様においては、研磨物品は結合研磨体を含み、結合研磨体は、ビトリファイド材料を含む結合材料、約1ミクロン以下の第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子であって、第2の種類の超砥粒材料の一部は酸化されている研磨粒子、及び結合研磨体の全体積の少なくとも約50体積%の気孔率、を含有する。
【0014】
添付の図面を参照することによって、本開示をより深く理解することができ、その数多くの特徴及び利点が当業者に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態による結合研磨体を形成する方法を提供するフローチャートを含む。
図2A】結合研磨体のSEM像を含む。
図2B】結合研磨体のSEM像を含む。
図2C】結合研磨体のSEM像を含む。
【発明を実施するための形態】
【0016】
異なる図面において、同じ参照符号を使用して、類似又は同一の要素を示す。
【0017】
以下の記載は、材料除去用途における使用に適した結合研磨物品を含む。本明細書の実施形態における結合研磨物品は、特にウェハ又は基板などの精密電子材料を製造する際に使用される硬質材料の研削に適し得る。特定の例では、研磨物品は半導体ウェハ材料の裏面研削作業に用いる砥石の形態であってもよい。
【0018】
図1は、実施の形態に従って結合研磨物品を形成する方法を示すフローチャートを含む。図示されるように、プロセスはステップ101にて、結合材料及び研磨粒子を含み得る混合物を形成する工程によって開始し得る。実施の形態によれば、結合材料は無機材料、より具体的には、適切な熱処理によりガラス相材料を形成し得るフリット材料で形成され得る。ある実施態様においては、結合材料は酸化物、より具体的には、酸化化合物の組み合わせを含むことができる。ある好適な結合材料はシリカ系材料であり得、大部分の量の材料はシリカ(SiO)で形成され得る。混合物を形成する工程は、混合物の成分が互いの範囲内で均一に分散するように、混合プロセスを含んでもよい。
【0019】
混合物の研磨粒子は超砥粒材料を含むことができる。好適な超砥粒材料は、立方晶窒化ホウ素(cBN)、ダイヤモンド及びこれらの組み合わせを含むことができる。特定の実施形態では、超砥粒材料は、実質的にダイヤモンドから成り得る。ダイヤモンドは天然又は合成であってもよい。結合研磨体は、実質的に炭化ケイ素を含まないとすることができる。
【0020】
ある実施態様においては、研磨粒子は第1の種類の超砥粒材料及び第2の種類の超砥粒材料を含むことができる。いくつかの例では、第1の種類の超砥粒材料及び第2の種類の超砥粒材料は、各種類の中央粒径に基づいて互いに異なり得る。例えば、第1の種類の超砥粒材料は第1の中央粒径を有し得、第2の種類の超砥粒材料は第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有し得る。一実施形態によれば、第2の中央粒径[PS2]は第1の中央粒径[PS1]未満、より具体的には、第1の中央粒径[PS1]の約1.1分の1以下であり得る。別の言い方をすれば、第1の中央粒径は、例えば[PS1]≧[PS2]1.1のように、第2の中央粒径[PS2]よりも少なくとも約1.1倍大きくてもよい。他の例では、第2の中央粒径は第1の中央粒径の約1.3分の1以下、例えば、第1の中央粒径の約1.3分の1以下、約1.5分の1以下、約2分の1以下、又はさらに約2.5分の1以下であり得る。さらに、特定の非限定的な一実施形態では、第2の中央粒径は第1の中央粒径の約10分の1以上であり得る。第1の中央粒径と第2の中央粒径との間の差は、上記で提供されたいずれの値の間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0021】
ある実施態様においては、第1の種類の超砥粒材料は、少なくとも約1ミクロンである第1の中央粒径を有することができる。他の例では、第1の中央粒径は、例えば、少なくとも約1.5ミクロン、少なくとも約2ミクロン、又はさらに少なくとも約2.5ミクロンなど、より大きくてもよい。さらに、少なくとも1つの非限定的な実施形態では、第1の中央粒径は約20ミクロン以下、例えば、約18ミクロン以下、又はさらに約8ミクロン以下であり得る。第1の中央粒径は、上記で提供されたいずれの最小値と最大値との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0022】
一実施形態においては、第2の種類の超砥粒材料は、約1ミクロン以下であり得る第2の中央粒径を有することができる。さらに、他の例では、第2の中央粒径は、例えば、約0.9ミクロン以下、約0.8ミクロン以下、約0.7ミクロン以下、又はさらに約0.5ミクロン以下など、より小さくてもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、第2の中央粒径は、少なくとも約0.01ミクロン、例えば、少なくとも約0.05ミクロン、少なくとも約0.08ミクロン、少なくとも約0.01ミクロン、又はさらに少なくとも約0.2ミクロンであり得る。第2の中央粒径は上記で提供されたいずれの最小値と最大値との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0023】
ある研磨物品においては、第1の種類の超砥粒材料及び第2の種類の超砥粒材料は同一の組成を有することができる。例えば、第1の種類の超砥粒材料は、実質的にダイヤモンドから成り得、かつ第2の種類の超砥粒材料は、実質的にダイヤモンドから成り得る。さらに、少なくとも1つの非限定的な実施形態では、第2の種類の超砥粒材料は、第1の種類の超砥粒材料とは異なる組成を有することができる。
【0024】
混合物は、様々な量の第1の種類の超砥粒材料及び第2の種類の超砥粒材料を含むことができる。例えば、ある例では、混合物は第2の種類の超砥粒材料よりも多い量の第1の種類の超砥粒材料を含むように形成され得る。一実施形態によれば、混合物は第2の種類の超砥粒材料よりも少なくとも約1.5倍多い量(重量%)の第1の種類の超砥粒材料を含むことができる。さらに別の例では、混合物は第2の種類の超砥粒材料よりも少なくとも約1.8倍多い、例えば、少なくとも約2倍多い、少なくとも約2.5倍多い、少なくとも約3倍多い量(重量%)の第1の種類の超砥粒材料を含むことができる。
【0025】
あるいは、混合物は第1の種類の超砥粒材料と比較してより多い量の第2の種類の超砥粒材料を含んでもよい。例えば、混合物は第1の種類の超砥粒材料より少なくとも約1.5倍多い量(重量%)の第2の種類の超砥粒材料を含むように形成されてもよい。さらに別の例では、混合物は第1の種類の超砥粒材料よりも少なくとも約1.8倍多い、例えば少なくとも約2倍多い、少なくとも約2.5倍多い、少なくとも約3倍多い量(重量%)の第2の種類の超砥粒材料を含むことができる。
【0026】
混合物を形成する工程は、結合材料及び研磨粒子に加えて他の材料の供給を含んでもよい。例えば発泡剤、結合剤、研削剤等の他の添加剤を混合物に添加してもよい。ある例では、混合物はポリエチレングリコール(PEG)などの有機材料を含み得る少量の結合剤を含んでもよい。このような結合剤は混合物の未焼成体への形成を促進し得る。さらに、他の材料は、例えばケイ酸ナトリウム(NaSiO)などの発泡剤、又は酸化セリウム(CeO)など研削補助剤を含めて、少量が添加され得る。
【0027】
ステップ101において混合物を形成した後、プロセスはステップ103にて、混合物から未焼成体を形成する工程によって継続し得る。未焼成体についての言及は、最終的に形成されておらず、かつ材料を高密度化するために、例えば焼成プロセス、例としては締焼又は焼結のプロセスを介してなど、更なるプロセスを経ることができる物体を含むことが理解されよう。一実施形態によれば、未焼成体を形成する1つの好適なプロセスは圧縮作業を含み得る。ある好適な圧縮作業は、冷間プレス作業、より具体的には冷間静水圧プレス作業を含み得る。一実施形態によれば、冷間プレス作業は、約0.25トン/平方インチ(3.44MPa)〜約10トン/平方インチ(137.90MPa)の範囲内で混合物に圧力を加えながら、ほぼ室温で行うことができる。
【0028】
ステップ103で未焼成体を形成した後、プロセスはステップ105にて、超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換する工程によって継続し得る。実施の形態によれば、超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換するプロセスは、焼成プロセスを含むことができる。焼成は、未焼成体を特定の焼成温度まで加熱する工程、及び未焼成体を焼成温度で保持して超砥粒材料の少なくとも一部の気相物質への変換を促進する工程、を含んでもよい。一実施形態では、焼成温度は少なくとも約200℃であり得る。他の実施形態では、焼成温度は、例えば少なくとも約300℃、少なくとも約400℃、又はさらに少なくとも約500℃など、より高くてもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、焼成温度は約1000℃以下、例えば、約900℃以下、約800℃以下、約850℃以下、又はさらに約800℃以下であってもよい。焼成温度は上記で提供されたいずれの最小温度と最大温度との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0029】
さらに、焼成プロセスは焼成温度にて特定の持続時間にわたって行われ得る。例えば、適切な持続時間は約10時間以下、例えば約8時間以下、約6時間以下、又はさらに約5時間以下の時間を含むことができる。さらに、焼成プロセスは、焼成温度での持続時間が、少なくとも約10分、例えば少なくとも約30分、少なくとも約1時間、又はさらに少なくとも約2時間であり得るように行ってもよい。焼成温度での持続時間は上記で提供されたいずれの最小時間と最大時間との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0030】
さらに、超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換するプロセスは、特定の雰囲気中で未焼成体を処理する工程、特に未焼成体を熱処理する工程を含むことができる。例えば、未焼成体は酸化雰囲気中で焼成を受けることができる。より具体的な例では、酸化雰囲気は酸素が豊富な雰囲気であってもよい。一実施形態によれば、酸素が豊富な雰囲気は、焼成中のチャンバの全容積に対して少なくとも30体積%の酸素を含み得る。雰囲気は周囲雰囲気であり得ることが理解されよう。
【0031】
特定の実施形態では、結合材料は特定の軟化点温度を有することができ、それは結合材料が膨張計測による測定で約8〜9log10(η、Pa・s)の間の粘度を有する温度として定義することができる。ガラス転移温度は約560℃以下であり得る。他の例では、結合材料は約550℃以下、例えば約540℃以下、又はさらに約530℃以下の軟化点温度を有してもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、結合材料の軟化点温度は、例えば、少なくとも約200℃、又はさらに少なくとも約250℃のように、限定され得る。ガラス転移温度は上記で提供されたいずれの最小温度と最大温度との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0032】
超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換するプロセスの間、軟化点温度に関連する特定の温度で熱処理プロセスが行われ得る。例えば、焼成温度が結合材料の軟化点温度を超え得るように、変換を実施することができる。ある例では、焼成温度と軟化点温度との間の差は、焼成温度と軟化点温度との間の差が230℃以下であり得るように、特定の方法で設定されてもよい。本明細書の実施形態における別のプロセスによれば、焼成温度と結合材の軟化点温度との間の差は、約220℃以下、約200℃以下、約195℃以下、約190℃以下、又はさらに約185℃以下であり得る。さらに、非限定的な一実施形態では、焼成温度と結合材の軟化点温度との間の差は、少なくとも約10℃、例えば少なくとも約20℃、少なくとも約50℃、少なくとも約100℃、少なくとも約120℃、又はさらに少なくとも約130℃であってもよい。焼成温度と軟化点温度との間の差は、上記で提供されたいずれの最小温度と最大温度との間の範囲間であってもよいことが理解されよう。
【0033】
一実施形態においては、超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換するプロセスは、ダイヤモンド材料の一部を非ダイヤモンド炭素相材料に変換する工程を含むことができる。非ダイヤモンド炭素相材料の適切な例としては、黒鉛が挙げられる。
【0034】
特定の例では、変換プロセスは、超砥粒材料の一部を気相物質に変更することにより、未焼成体中で超砥粒材料を含む研磨粒子の体積割合を減少させる工程を含むことができる。より具体的な例では、ダイヤモンド材料を酸化することで、酸素、炭素、及びこれらの組み合わせを含む気相物質が形成され得る。例えば、ダイヤモンドは酸化されて、二酸化炭素、一酸化炭素、及びこれらの組み合わせの気相物質が生成され得る。
【0035】
特定の例では、超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換するプロセスは捕捉プロセスを含むことができ、超砥粒材料から生じた気相物質の一部は未焼成体の結合材料中に捕捉され得る。未焼成体中で捕捉された気相物質は、未焼成体中で気孔を形成することができる。注目すべきことに、特定の実施形態では、変換プロセス、より具体的には気相物質を捕捉するプロセスは、結合材料の少なくとも一部が流体状態にある間に変換プロセスを行うことによって促進され得る。結合材料の少なくとも一部が流体(例えば、液体又は低粘度)状態にある間に変換プロセスを行うことにより、結合材料の流体部分中に気泡として気相物質を捕捉することが促進されるため、結合研磨体中の気孔の形成が促進され得る。このように、焼成プロセスを適切な温度で行うことで、超砥粒材料の一部を気相物質に変換しながら、結合材料の少なくとも一部を液体状態に変換することができる。
【0036】
変換プロセスは、第2の種類の超砥粒材料の一部を変換する工程を含むことができる。特定の例では、研磨粒子は第1の種類の超砥粒材料及び第2の種類の超砥粒材料を含み、第2の種類の超砥粒材料は第1の種類の超砥粒材料よりも優先的に酸化され得る。すなわち、例えば、第1の中央粒径よりも小さい第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料は、第1の種類の超砥粒材料より前に優先的に酸化され得る。従って、第1の種類の超砥粒材料よりも多い量の第2の種類の超砥粒材料が、処理中に気相物質に変換され得る。
【0037】
変換プロセスが完了した後、最終的に形成される結合研磨体の形成を促進するために、本体を焼成温度から冷却してもよい。さらなる機械加工作業が行われてもよいことが理解されよう。例えば、本明細書の実施形態によれば、実際には結合研磨材料の大きなブランクが形成され得、それはブリック又はパックの形態であり得る。ブランクはさらに、例えば適切な寸法の結合研磨体を取り出すための切断プロセスを介して処理され得る。
【0038】
実施の形態によれば、結合研磨材体はかなりの量の気孔を有することができる。例えば、結合研磨体は、アルキメデス法により測定される固体材料の体積及び気孔の体積を含む結合研磨体の全体積に対して、少なくとも約50体積%を有することができる。さらに他の実施形態では、気孔の量は、例えば、少なくとも約54体積%、少なくとも約56体積%、又はさらに少なくとも約58体積%など、より多くてもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、気孔の量は、結合研磨体の全体積に対して、約85体積%以下、例えば約82体積%以下、又はさらに約80体積%以下であり得る。結合研磨体中の気孔の量は、上記で提供されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲間であってもよいことが理解されよう。
【0039】
さらに、結合研磨体は特定の含有量の研磨粒子を有してもよい。例えば、結合研磨体は、結合研磨体中の気孔体積を除いた結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約5体積%の研磨粒子を含んでもよい。他の例では、結合研磨体中の研磨粒子の量は、結合研磨体の固形成分の全体積に対して、例えば、少なくとも約10体積%、少なくとも約14体積%、少なくとも約16体積%、又はさらに少なくとも約17体積%など、より多くてもよい。さらに、少なくとも1つの非限定的な実施形態では、結合研磨材料中の研磨粒子の総量は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、約35体積%以下、例えば約30体積%以下、約30体積%以下、約26体積%以下、又はさらに約23体積%以下であり得る。結合研磨体中の研磨粒子の総量は、上記で提供されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0040】
さらに、本明細書の実施形態によれば、結合研磨体は特定量の結合材料を含むことができる。例えば、結合研磨体は、結合研磨体の気孔体積含有量を除いた結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、約50体積%の結合材料を含むことができる。他の例では、結合研磨体は、例えば、少なくとも約55体積%、例えば、少なくとも60体積%、少なくとも約63体積%、少なくとも約66体積%、又はさらに少なくとも約75体積%など、より多い量の結合材料を含むことができる。さらに、非限定的な一実施形態によれば、結合研磨体中の結合材料の量は、約90体積%以下、例えば約86体積%以下、例えば約82体積%以下、約78体積%以下、又はさらに約74体積%以下であり得る。結合研磨体中の結合材料の量は、上記で提供されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲間であってもよいことが理解されよう。
【0041】
結合研磨体は、特定の含有量の充填材料を含んでもよい。特定の適した充填剤は、ナトリウム、セリウム、及びこれらの組み合わせなどの元素を有する化合物を含むことができる。特定の実施形態では、結合研磨体は、気孔体積を除いた結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約0.4体積%の含有量の酸化セリウム(CeO)を有することができる。他の実施形態では、酸化セリウムの含有量は、少なくとも約0.8体積%、又はさらに少なくとも約1体積%などのように、より多くてもよい。さらに、非限定的な一実施形態によれば、結合研磨体中の酸化セリウムの含有量は、約6体積%以下、又は4体積%以下であり得るように、限定され得る。結合研磨体中の酸化セリウムの量は、上記に記載のいずれの最小割合と最大割合との間の範囲間であってもよいことが理解されよう。
【0042】
結合研磨体は、さらに特定の含有量のケイ酸ナトリウム(NaSiO)を含んでもよい。例えば、結合研磨体は、結合研磨体の固形成分の全体積に対して、少なくとも約1体積%のケイ酸ナトリウムを含むことができる。別の実施形態では、結合研磨体中のケイ酸ナトリウムの量は、例えば、少なくとも約2体積%、少なくとも約3体積%、少なくとも約4体積%、又はさらに少なくとも約5体積%など、より多くてもよい。さらに、特定の非限定的な実施形態では、結合研磨体中のケイ酸ナトリウムの量は、約12体積%以下、例えば10体積%以下、又はさらに9体積%以下であり得る。結合研磨体は、上記に記載のいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内の含有量のケイ酸ナトリウムを含んでもよいことが理解されよう。
【0043】
加えて、特定の例では、結合研磨体は限定量の遊離金属元素を含むように形成されてもよい。例えば、下部研磨体は、研磨体の全重量に対して、約1重量%以下の遊離金属元素を含んでもよい。他の例では、遊離金属元素の含有量は、例えば約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、又はさらに約0.05重量%以下など、より少なくてもよい。特定の例では、結合研磨体は、実質的に遊離金属元素を含まなくてもよい。このような組成物は、精密電子部品の研削における結合研磨体の使用を容易にし得る。
【0044】
一実施形態によれば、結合材料は、本明細書に記載のプロセスによる結合研磨体の形成を促進する特定の組成物を有してもよい。例えば、結合材料はガラス相材料、特に酸化物材料であり得る。より具体的には、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、少なくとも約50モル%(SiO)を含むシリカベースの材料であってもよい。他の例では、シリカの含有量は、例えば少なくとも約52モル%、又はさらに少なくとも約54モル%のシリカなど、より多くてもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、結合材料中のシリカの量は、約70モル%以下、又はさらに約65モル%以下であり得る。結合材料中のシリカの含有量は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0045】
加えて、結合材料は、特定の含有量のアルミナ(A1)を含んでもよい。例えば、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、約4モル%以下のアルミナを含んでもよい。他の例では、アルミナの量は、結合材料の全モル数に対して約3モル%以下など、より少なくてもよい。非限定的な一実施形態では、アルミニウムの量は、少なくとも約0.5モル%、例えば少なくとも約1モル%であってもよい。結合材料中のアルミナの量は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合のうちの範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0046】
さらに、結合材料は、特定の含有量の酸化ホウ素(B)を含んでもよい。例えば、一実施形態では、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、少なくとも約16モル%の酸化ホウ素を含んでもよい。他の例では、酸化ホウ素の量は、例えば少なくとも約17モル%、又はさらに約20モル%など、より多くてもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、結合材料中の酸化ホウ素の量は、30モル%以下、又はさらに26%モル以下であってもよい。結合材料は、上記に記載のいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内の含有量の酸化ホウ素を含んでもよいことが理解されよう。
【0047】
ある実施態様においては、結合材料は特定量の酸化カルシウム(CaO)を含んでもよい。例えば、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、約9モル%以下、例えば約8モル%以下、7モル%以下、又はさらに約3モル%以下の酸化カルシウムを含んでもよい。少なくとも1つの非限定的な実施形態では、結合材料中の酸化カルシウムの量は、少なくとも0.5モル%、又はさらに1モル%であり得る。結合材料中の酸化カルシウムの量は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0048】
結合材料は、特定の含有量の酸化バリウム(BaO)を含んでもよい。例えば、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、少なくとも約0.2モル%、例えば、少なくとも約0.5モル%、又はさらに少なくとも1モル%の酸化バリウムを有するように形成され得る。しかしながら、非限定的な一実施形態では、酸化バリウムの量は6モル%以下、又はさらに約4モル%以下であってもよい。結合材料は上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内の量の酸化バリウムを含んでもよいことが理解されよう。
【0049】
別の実施形態によれば、結合材料は特定の含有量の酸化カリウム(KO)を有するように形成されてもよい。例えば、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、少なくとも2モル%、又はさらに少なくとも約2.5モル%の酸化カリウムを含むことができる。非限定的な一実施形態によれば、結合材料中の酸化カリウムの量は、約8モル%以下、例えば約6モル%以下であってもよい。結合材料中の酸化カリウムの量は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0050】
結合材料は、特定の含有量の酸化リチウム(LiO)を有するように形成されてもよい。例えば、結合材料は、少なくとも約0.5モル%の酸化リチウムを含んでもよい。他の例では、酸化リチウムの量は、結合材料の総モル数に対して、少なくとも約0.8モル%、又はさらに少なくとも1モル%であってもよい。特定の非限定的な一例では、結合材は、約9モル%以下、例えば7モル%以下の酸化リチウムを含んでもよい。結合材料中の酸化リチウムの量は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0051】
別の実施形態によれば、結合材料は特定の含有量の酸化ナトリウム(NaO)を有するように形成されてもよい。例えば、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、約14モル%以下、例えば約12モル%以下、約10モル%以下、約8モル%以下、又はさらに約6モル%以下の酸化ナトリウムを含むことができる。しかしながら、別の非限定的な実施形態では、結合材料は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、少なくとも約0.5モル%、例えば少なくとも約1モル%、又はさらに少なくとも約3モル%の酸化ナトリウムを含んでもよい。結合材料は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内の量の酸化ナトリウムを含んでもよいことが理解されよう。
【0052】
結合材料は、特定の含有量の酸化亜鉛(ZnO)を含んでもよい。例えば、結合材料中の酸化亜鉛の含有量は、結合材料中のモル数の総含有量に対して、少なくとも0.5モル%であってもよい。別の実施形態では、結合材料は、少なくとも約0.8モル%、又はさらに約1モル%を含んでもよい。非限定的な例によれば、結合材料中の酸化亜鉛の量は、約5モル%以下、又はさらに約4モル%以下であってもよい。結合材料中の酸化亜鉛の量は、上記に記載されたいずれの最小割合と最大割合との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0053】
特定の例では、結合材料は、本明細書に記載の特徴を有する結合研磨体の形成を促進するために、特定の線熱膨張係数(CTE)を有するように形成されてもよい。例えば、結合材料は、300℃で測定した約9ppm/℃以下の線熱膨張係数を有することができる。他の実施形態では、結合材料の熱膨張係数は、例えば約8.5ppm/℃以下、約8ppm/℃以下、7.8ppm/℃以下、又はさらに約7.6ppm/℃以下など、より小さくてもよい。さらに、非限定的な一実施形態では、結合材料の熱膨張係数は、少なくとも約2ppm/℃、例えば少なくとも約3ppm/℃、又はさらに少なくとも約4ppm/℃であってもよい。結合材料中の熱膨張係数は、上記に記載されたいずれの最小値と最大値との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0054】
特定の例では、結合研磨体は、結合材料及び研磨粒子が熱膨張係数において特定の差(ΔCTE)を有するように形成することができる。CTEにおける特定の差は、本明細書に記載の特徴を有する結合研磨体の形成を促進し得る。例えば、結合材料と研磨粒子との間のCTEの差は、約5.5ppm/℃以下であってもよい。他の例では、CTEの差は約5ppm/℃以下、例えば約4.5ppm/℃以下、約4ppm/℃以下、3.8ppm/℃以下、又はさらに約3.6ppm/℃以下であってもよい。しかしながら、非限定的な一実施例によれば、結合材料と研磨粒子との間のCTEの差は、少なくとも約0.2ppm/℃、又はさらに少なくとも約0.5ppm/℃であってもよい。結合材料と研磨粒子との間の熱膨張係数の差は、上記に記載されたいずれの最小値と最大値との間の範囲内であってもよいことが理解されよう。
【0055】
図2A〜2Cは結合研磨体のSEM写真を含む。例えば、図2Aは結合研磨体の表面のSEM像を含む。図に示されるように、結合研磨体は結合材料201及び結合材料中に含まれる気孔203を含むことができる。図2Aにおいて提供される断面図を見ると、結合研磨体の気孔はほぼ球形であり得、より具体的には、大部分の気孔は楕円形又は円形の形状を有し得る。さらに、大部分の量の気孔は、断面図を見ると滑らかな円弧状の表面を有する。
【0056】
図2Bは一部の結合研磨体のSEM像を含む。図2Bの画像において提供されるように、結合研磨体は大孔205を含む様々な種々の孔径を有することができ、大孔205はその間で伸びる結合ポスト207によって分離されている。さらに、結合研磨体は、結合材料、特に、大孔205の間の結合ポストに配置される小孔209を含むことができる。結合研磨体は、マルチモーダル孔径分布を有することができる。例えば、結合研磨体は孔径の非ガウス分布を含むバイモーダル孔径分布を有し得るため、平均孔径対頻度のプロットは、微細孔209を定義する第2モードよりも大きい平均孔径を有する大孔205を定義する第1モードを実証し、微細孔209は大孔205の平均孔径よりも小さい平均孔径を有する。図に示されるように、微細孔209は大孔205の平均孔径の2分の1以下の平均孔径を有することができる。
【0057】
図2Cは結合研磨体の一部のSEM像を含む。図2Cは、さらに結合研磨体を構成している大孔205と小孔209との間の差異を示している。さらに、図2Cは大孔205の一般的な形態を示しており、断面図を見ると、特に大孔の各々は、通常、球形の三次元形状、及び円形又は楕円形の二次元形状を有している。
【0058】
変換プロセス中に酸化され得る第2の種類の超砥粒材料を組み込んだこれらの実施形態に関して、このような酸化は黒鉛などの非ダイヤモンド炭素相材料を形成し得る。特定の例では、結合研磨体は、結合材料中に含まれ得る特定の含有量の非ダイヤモンド炭素相材料を含んでもよい。さらに、又は代替的に、非ダイヤモンド炭素相材料は、第2の種類の超砥粒材料の少なくとも一部の外表面に配置されてもよい。
【0059】
ある例では、本明細書の実施形態における結合研磨体は、変換プロセス中に形成される気相物質の一部を含み得る気孔を含むことができる。従って、結合研磨体中の気孔は、炭素、酸素、及びこれらの組み合わせを含む1種以上の組成物を含んでもよい。実際には、特定の一実施形態において、結合研磨体の気孔の一部は、二酸化炭素、一酸化炭素、又はこれらの組み合わせの気相物質を含むことができる。
【0060】
結合研磨物品を形成する方法の実施形態は、結合材料、超砥粒材料を含む研磨粒子を含有する未焼成体を形成する工程、及び超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換して結晶炭化ケイ素を含まない結合研磨体を形成する工程、を含み得る。
【0061】
超砥粒材料の実施形態はダイヤモンドを含んでもよい。例えば、超砥粒材料はダイヤモンドであり得、又は超砥粒材料は、実質的にダイヤモンドから成り得る。超砥粒材料の実施形態は、炭化ケイ素を含まなくてもよく、又は実質的に若しくは実質的に結晶炭化ケイ素を含まなくてもよい。超砥粒材料はダイヤモンド及び炭化ケイ素のアモルファス(すなわち、非結晶)形態のみを含むことができる。
【0062】
研磨物品の他の実施形態は、結晶炭化ケイ素を含まない結合研磨体を含み、かつビトリファイド材料を含む結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料;第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、及び結合研磨体の全体積の少なくとも約50体積%の気孔、を含有し得る。
【0063】
結合研磨物品を形成する方法のいくつかの実施形態は、結合材料及び第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料;第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子を含有する未焼成体を形成する工程、及び結晶炭化ケイ素を形成することなく、第2の種類の超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換する工程、を含むことができる。
【0064】
他の実施例では、結合研磨物品を形成する方法の実施形態は、結合材料、第1の中央粒径を有する第1の種類の超砥粒材料;第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有する第2の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子を含有する未焼成体を形成する工程、結晶炭化ケイ素を形成することなく(又は実質的に若しくは実質的に結晶炭化ケイ素を含まずに)第2の種類の超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換する工程、及び結合材料中に気相物質の少なくとも一部を捕捉する工程、を含み得る。
【実施例】
【0065】
実施例1
本明細書の実施形態に従って、0.5〜1ミクロンの中央粒径を有する25重量%のダイヤモンド粒子を、表1に提供される組成を有する75重量%のフリット材料と混合することにより、試料を作る。混合物を適切に混合し、165メッシュスクリーンを通してふるいにかける。ポリエチレングリコール(PEG)の97%溶液の16重量%の結合剤。混合物を再度混ぜ合わせ、20メッシュを通してふるいにかける。混合物を約16時間乾燥させ、次いで室温にて1トン/平方インチで10秒間冷間プレスすることにより、未焼成体を形成する。次いで、未焼成体を550℃で1時間、その後690℃で約4時間の加熱を含む焼成サイクルにより焼成し、変換プロセスを完了して結合研磨ブランクを形成する。次いで、水ジェット切断作業により、結合研磨体を結合研磨ブランクから取り出す。
【0066】
試料S1の結合研磨体は、固形成分の全体積に対して、約72体積%の結合材、19体積%の研磨粒子、2体積%のCeO、及び7体積%のNaSiOを有する。結合研磨体はまた、結合研磨体の全体積に対して約70〜85体積%の気孔率を含む。
【0067】
【表1】
【0068】
CS1は、Saint−Gobain Abrasives社から市販されている半導体ウェハの裏面研削作業で利用される比較砥石である。CS1体は、0.5〜1ミクロンの中央粒径を有する19体積%のダイヤモンド、78体積%の結合材料、2体積%のCeO、0体積%のNaSiO、及び約72〜74体積%の気孔率を含む。
【0069】
CS2はDisco社からPoligrindとして市販されている半導体ウェハの裏面研削作業に利用される比較砥石である。CS2体は、2ミクロンの中央粒径を有する25重量%のダイヤモンド、25重量%の結合材料、25重量%のNaSiO、25重量%のポリスチレン(Polystryrene)粒子、及び75〜90体積%の気孔率を含む。試料CS2の結合材料をICPにより測定し、以下の表2に提供する。
【0070】
【表2】
【0071】
試料S1及びCS2を裏面研削プロセスに使用して摩耗を測定する。100グリットのサンドペーパの非研削材上で、約45Nの荷重、15秒の研削時間、150rpmの主軸速度を用いて裏面研削作業を行う。試料S1の摩耗は試料CS2の摩耗にほぼ等しい。特定の理論に縛られることを望むものではないが、構成要素の特定の組み合わせの使用により、最先端の砥石物品と比べて改善した結合研磨体の摩耗が助長されると考えられる。
【0072】
実施例2
試料CS3は、Saint−Gobain Abrasives社からSupernanoとして市販されている半導体ウェハの裏面研削作業に利用される比較砥石である。CS3体は、0.72ミクロン(d50)及び0.15ミクロン(SD)の中央粒径を有する19体積%のダイヤモンド、78体積%の結合材料、2体積%のCeO、1体積%のSiC、及び約68〜72体積%の気孔率を含む。
【0073】
CS3の製造時に、CS3は気相に変換される約1重量%〜2重量%のSiCを含んでいた。しかしながら、CS3は残存する結晶炭化ケイ素量を保持しており、それは最終製品に残る。対照的に、試料S1は検出可能な結晶炭化ケイ素を有していなかった。
【0074】
上述した実施形態は研磨製品、特に結合研磨製品に関し、それは最新技術からの脱却を表すものである。本明細書の実施形態における結合研磨製品は、研削性能の改善を促進する特徴の組み合わせを利用している。本願に記載されるように、本明細書の実施形態における結合研磨体は、特定の量及び種類の研磨粒子、特定の量及び種類の結合材料、特定の量及び種類の気孔、及び他の添加剤を利用している。さらに、本実施形態の結合研磨物品は、いくつかの最先端の従来物品に対して、例えば摩耗を含む、ある機械的特性において顕著な相違を有することが可能であることが見出された。
【0075】
前述において、特定の実施形態及び特定の構成要素の関係についての言及は例示である。結びつけられた、又は関係付けられた構成要素についての言及は、本明細書に記載の方法を実行するのに理解されるように、前記構成要素間の直接的な関係、又は1つ以上の介在構成要素を介した間接的な関係のいずれかを開示することを意図するものであることが理解されよう。このように、上記の開示された対象物は例示であり、限定するものではないと考えられるべきであり、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に入るそのような修正形態、拡張形態、及び他の実施形態の全てを包含するよう意図されている。従って、本発明の範囲は、法律によって許容される最大範囲で、以下の特許請求の範囲及びその均等物の許容される最も広い解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明によって限定又は制限されるものではない。
【0076】
開示の要約は、特許法を遵守するために提供され、かつ特許請求の範囲又は趣旨を解釈又は制限するために使用されないという理解で提出される。加えて、前述の詳細な説明において、様々な特徴は、グループ化するか、又は開示を簡素化するために単一の実施形態で説明することができる。本開示は、記載の実施形態が各請求項に明示的に記載された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が示すように、本発明の対象物は、開示された実施形態のいずれかの全特徴よりも少ない特徴に関するものであろう。従って、以下の特許請求の範囲は詳細な説明に組み込まれ、各請求項は別個に請求項に係る対象物を定義してそれ自身で成立する。
【0077】
研磨物品及びその形成方法は、以下の技術思想を含む。
[1] 結合材料と超砥粒材料とを含む研磨粒子を含有する未焼成体を形成する工程、及び
前記超砥粒材料の少なくとも一部を気相物質に変換して、実質的に結晶炭化ケイ素を含まない結合研磨体を形成する工程、
を含む結合研磨物品を形成する方法。
[2] 前記[1]に記載の方法であって、前記未焼成体を形成する工程の前に、さらに前記結合材料と前記研磨粒子との混合物を形成する工程を含む、方法。
[3] 前記[1]又は[2]に記載の方法であって、前記結合材料は無機材料を含み、前記結合材料はガラス相材料を含み、前記結合材料は酸化物材料を含み、前記結合材料はシリカ系材料を含み、前記結合材料は少なくとも約50モル%のシリカ(SiO)、少なくとも約52モル%のシリカ、及び約70モル%以下のシリカ、約65モル%以下のシリカを含む、方法。
[4] 前記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、約4モル%以下の含有量のアルミナ(Al)、約3モル%以下の含有量のアルミナ、及び少なくとも約0.5モル%の含有量のアルミナ、及び少なくとも約1モル%の含有量のアルミナを含む、方法。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、少なくとも約16モル%、少なくとも約17モル%、少なくとも約20モル%、及び約30モル%以下、約26モル%以下の含有量の酸化ホウ素(B)を含む、方法。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、約9モル%以下、約8モル%以下、約7モル%以下、約3モル%以下、及び少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%の酸化カルシウム(CaO)を含む、方法。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、少なくとも0.2モル%、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、及び約6モル%以下、約4モル%以下の酸化バリウム(BaO)を含む、方法。
[8] 前記[1]〜[7]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、少なくとも約2モル%、少なくとも約2.5モル%、及び約8モル%以下、約6モル%以下の酸化カリウム(KO)を含む、方法。
[9] 前記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、少なくとも0.5モル%、少なくとも約0.8モル%、少なくとも約1モル%、及び約9モル%以下、約7モル%以下の酸化リチウム(LiO)を含む、方法。
[10] 前記[1]〜[9]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、約14%以下、約12モル%以下、約10モル%以下、約8モル%以下、約6モル%以下、及び少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、少なくとも約3モル%の酸化ナトリウム(NaO)を含む、方法。
[11] 前記[1]〜[10]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約0.8モル%、少なくとも約1モル%、及び約5モル%以下、約4モル%以下の酸化亜鉛(ZnO)を含む、方法。
[12] 前記[1]〜[11]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、約9ppm/℃以下、約8.5ppm/℃以下、約8ppm/℃以下、約7.8ppm/℃以下、少なくとも約2ppm/℃、少なくとも約3ppm/℃の線熱膨張係数(CTE)(300℃)を含む、方法。
[13] 前記[1]〜[12]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料及び前記研磨粒子は約5.5ppm/℃以下のΔCTEを有し、該ΔCTEは前記結合材料のCTEと前記研磨粒子のCTEとの間の差として定義され、前記ΔCTEは約5ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは約4.5ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは約4ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは約3.8ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは少なくとも約0.2ppm/℃である、方法。
[14] 前記[1]〜[13]のいずれかに記載の方法であって、前記結合材料は、約560℃以下、約550℃以下、約540℃以下、少なくとも約200℃、少なくとも約250℃の軟化点温度を含む、方法。
[15] 前記[1]〜[14]のいずれかに記載の方法であって、前記超砥粒材料はダイヤモンドを含み、前記超砥粒材料はダイヤモンドであり、前記超砥粒材料は実質的にダイヤモンドから成り、前記超砥粒材料は炭化ケイ素を含まず、前記超砥粒材料はダイヤモンド及び炭化ケイ素のアモルファス形態のみを含む、方法。
[16] 前記[1]〜[15]のいずれかに記載の方法であって、前記研磨粒子は第1の種類の超砥粒材料及び第2の種類の超砥粒材料を含み、前記第1の種類は第1の中央粒径を有し、かつ前記第2の種類は前記第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有し、該第2の中央粒径は前記第1の中央粒径未満であり、前記第2の中央粒径は前記第1の中央粒径の約1.1分の1以下、約1.3分の1以下、約1.5分の1以下、約2分の1以下、約2.5分の1以下であり、かつ約10分の1以上である、方法。
[17] 前記[1]〜[16]のいずれかに記載の方法であって、前記第1の種類の超砥粒材料は、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約1.5ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約2.5ミクロン、及び約20ミクロン以下、約18ミクロン以下、約8ミクロン以下の中央粒径を含む、方法。
[18] 前記[1]〜[17]のいずれかに記載の方法であって、前記第2の種類の超砥粒材料は、約1ミクロン以下、例えば約0.9ミクロン以下、及び少なくとも約0.01ミクロン、少なくとも約0.05ミクロンの中央粒径を含む、方法。
[19] 前記[1]〜[18]のいずれかに記載の方法であって、前記変換は前記第2の種類の超砥粒材料の一部を変換する工程を含む、方法。
[20] 前記[1]〜[19]のいずれかに記載の方法であって、前記変換は熱処理を含み、前記変換は酸化雰囲気中で前記未焼成体を焼成する工程を含み、前記酸化雰囲気は酸素が豊富な雰囲気を含み得、前記酸素が豊富な雰囲気は少なくとも30体積%の酸素であり得る、方法。
[21] 前記[1]〜[20]のいずれかに記載の方法であって、前記焼成は、少なくとも約200℃、少なくとも約300℃、少なくとも約400℃、少なくとも約500℃、及び約1000℃以下、約900℃以下、約850℃以下、約800℃以下の焼成温度で行われ得る、方法。
[22] 前記[1]〜[21]のいずれかに記載の方法であって、前記焼成は、前記結合材料の前記軟化点温度よりも高い温度で行われ得、前記焼成温度は、約230℃以下、約220℃以下、約200℃以下、約195℃以下、約190℃以下、少なくとも約10℃、少なくとも約20℃、少なくとも約50℃、少なくとも約100℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、軟化点温度と比べて異なる、方法。
[23] 前記[1]〜[22]のいずれかに記載の方法であって、前記焼成は約10時間以下、例えば約8時間以下、約6時間以下、及び少なくとも約10分、少なくとも約30分、少なくとも約50分の持続時間で行われ得る、方法。
[24] 前記[1]〜[23]のいずれかに記載の方法であって、前記研磨粒子は前記第1の種類の超砥粒材料及び前記第2の種類の超砥粒材料を含み、前記変換は前記第2の種類の超砥粒材料の一部を酸化して酸化物を含む前記気相物質を形成する工程を含み、前記変換は前記第1の種類の超砥粒材料より前に優先的に前記第2の種類の超砥粒材料を酸化する工程を含み、前記気相物質は炭素を含み、前記気相物質は二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの1つを含む、方法。
[25] 前記[1]〜[24]のいずれかに記載の方法であって、前記未焼成体を形成する工程は、前記混合物を圧縮して前記未焼成体を形成する工程を含み、前記圧縮は冷間プレス作業を含み、前記圧縮は冷間静水圧プレスを含み、該冷間静水圧プレスは少なくとも約0.25トン/平方インチ(3.44MPa)、及び約10トン/平方インチ(137.90MPa)以下の圧力で行われる、方法。
[26] 前記[1]〜[25]のいずれかに記載の方法であって、前記変換は前記未焼成体から前記結合研磨体までで前記研磨粒子の体積割合を減少させる工程を含み、前記変換は前記結合研磨体中に気孔を形成する工程を含み、前記気孔は前記変換中に酸化される前記超砥粒材料の一部から生じる前記気相物質から形成され、前記気相物質は前記結合研磨体中で気孔を形成し、前記変換は、前記結合材料の少なくとも一部が液体状態である間に、前記超砥粒材料の少なくとも一部を前記気相物質に酸化する工程を含み、前記変換は、前記結合材料の少なくとも一部が液体状態にある間に、前記結合材料中で前記気相物質を捕獲する工程を含む、方法。
[27] 前記[1]〜[26]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体は前記結合材料中に含まれる前記研磨粒子を含み、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約5体積%、少なくとも約10体積%、少なくとも約14体積%、少なくとも約16体積%、及び約35体積%以下、約30体積以下、約26体積%以下、約23体積%以下の前記研磨粒子を含む、方法。
[28] 前記[1]〜[27]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体は、結合研磨体の全体積に対して、少なくとも約50体積%、少なくとも約54体積%、少なくとも約56体積%、少なくとも約58体積%の気孔率、及び前記結合研磨体の全体積に対して、約85体積%以下の気孔率、約82体積%以下、約80体積%以下の気孔率を含む、方法。
[29] 前記[1]〜[28]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約50体積%、少なくとも約55体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約63体積%、少なくとも約66体積%、少なくとも約70体積%、及び約90体積%以下、約86体積%以下、約82体積%以下、約78体積%以下、約74体積%以下の前記結合材料を含む、方法。
[30] 前記[1]〜[29]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体は充填剤を含み、該充填剤は、ナトリウム(Na)、セリウム(Ce)及びこれらの組み合わせから成る群より選択される元素を含有する化合物を含む、方法。
[31] 前記[1]〜[30]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体はセリウム(Ce)を含み、前記結合研磨体は酸化セリウム(CeO)を含み、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約0.4体積%、少なくとも約0.8体積%、少なくとも約1体積%、及び約6体積%以下、約4体積%以下の前記酸化セリウムを含む、方法。
[32] 前記[1]〜[31]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体はナトリウム(Na)を含み、前記結合研磨体はケイ酸ナトリウム(NaSiO)を含み、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約1体積%、少なくとも約2体積%、少なくとも約3体積%、少なくとも約4体積%、及び約12体積%以下、約10体積%以下、約9体積%以下の前記ケイ酸ナトリウムを含む、方法。
[33] 前記[1]〜[32]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体は半導体ウェハの研削用に構成された結合研磨ディスクを含む、方法。
[34] 前記[1]〜[33]のいずれかに記載の方法であって、前記結合研磨体は、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下の遊離利金属元素を含み、前記結合研磨体は、実質的に遊離金属元素を含まない、方法。
[35] 結合研磨体を含む研磨物品であって、
前記結合研磨体は、
ビトリファイド材料を含む結合材料、
前記結合材料中に含まれる第1の種類の超砥粒材料を含む研磨粒子、
前記結合研磨体の全体積の少なくとも約50体積%の気孔率、
を含有し、
前記結合材料及び前記第1の種類の超砥粒材料は約5.5ppm/℃以下のΔCTEを有し、該ΔCTEは前記結合材料のCTEと前記研磨粒子のCTEとの間の差として定義される、研磨物品。
[36] 前記[35]に記載の研磨物品であって、前記ΔCTEは約5ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは約4.5ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは約4ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは約3.8ppm/℃以下であり、前記ΔCTEは少なくとも約0.2ppm/℃である、研磨物品。
[37] 前記[35]又は[36]に記載の研磨物品であって、前記結合材料は酸化物材料を含み、前記結合材料はシリカ系材料を含み、前記結合材料は少なくとも約50モル%のシリカ(SiO)、少なくとも約52モル%のシリカ、及び約70モル%以下のシリカ、約65モル%以下のシリカを含む、研磨物品。
[38] 前記[35]〜[37]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、約4モル%以下の含有量のアルミナ(Al)、約3モル%以下の含有量のアルミナ、及び少なくとも約0.5モル%の含有量のアルミナ、及び少なくとも約1モル%の含有量のアルミナを含む、研磨物品。
[39] 前記[35]〜[38]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、少なくとも約16モル%、少なくとも約17モル%、少なくとも約20モル%、及び約30モル%以下、約26モル%以下の含有量の酸化ホウ素(B)を含む、研磨物品。
[40] 前記[35]〜[39]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、約9モル%以下、約8モル%以下、約7モル%以下、約3モル%以下、及び少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%の酸化カルシウム(CaO)を含む、研磨物品。
[41] 前記[35]〜[40]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、少なくとも0.2モル%、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、及び約6モル%以下、約4モル%以下の酸化バリウム(BaO)を含む、研磨物品。
[42] 前記[35]〜[41]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、少なくとも約2モル%、少なくとも約2.5モル%、及び約8モル%以下、約6モル%以下の酸化カリウム(KO)を含む、研磨物品。
[43] 前記[35]〜[42]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約0.8モル%、少なくとも約1モル%、及び約9モル%以下、約7モル%以下の酸化リチウム(LiO)を含む、研磨物品。
[44] 前記[35]〜[43]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、約14モル%以下、約12モル%以下、約10モル%以下、約8モル%以下、約6モル%以下、及び少なくとも約0.5モル%、少なくとも約1モル%、少なくとも約3モル%の酸化ナトリウム(NaO)を含む、研磨物品。
[45] 前記[35]〜[44]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、少なくとも約0.5モル%、少なくとも約0.8モル%、少なくとも約1モル%、及び約5モル%以下、約4モル%以下の酸化亜鉛(ZnO)を含む、研磨物品。
[46] 前記[35]〜[45]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、約9ppm/℃以下、約8.5ppm/℃以下、約8ppm/℃以下、約7.8ppm/℃以下、少なくとも約2ppm/℃、少なくとも約3ppm/℃の線熱膨張係数CTE(300℃)を含む、研磨物品。
[47] 前記[35]〜[46]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合材料は、約560℃以下、約550℃以下、約540℃以下、少なくとも約200℃、少なくとも約250℃の軟化点温度を含む、研磨物品。
[48] 前記[35]〜[47]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記超砥粒材料はダイヤモンドを含み、前記超砥粒材料はダイヤモンドであり、前記超砥粒材料は実質的にダイヤモンドから成り、前記超砥粒材料は炭化ケイ素を含まず、前記超砥粒材料はダイヤモンド及び炭化ケイ素のアモルファス形態のみを含む、研磨物品。
[49] 前記[35]〜[48]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記研磨粒子はさらに第2の種類の超砥粒材料を含み、前記第1の種類は第1の中央粒径を有し、及び前記第2の種類は前記第1の中央粒径とは異なる第2の中央粒径を有し、該第2の中央粒径は前記第1の中央粒径未満であり、前記第2の中央粒径は前記第1の中央粒径の少なくとも約1.1分の1、約1.3分の1以下、約1.5分の1以下、約2分の1以下、約2.5分の1以下であり、かつ約10分の1以上である、研磨物品。
[50] 前記[35]〜[49]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記第1の種類の超砥粒材料は、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約1.5ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約2.5ミクロン、及び約20ミクロン以下、約18ミクロン以下、約8ミクロン以下の中央粒径を含む、研磨物品。
[51] 前記[35]〜[50]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記第2の種類の超砥粒材料は、約1ミクロン以下、例えば約0.9ミクロン以下、及び少なくとも約0.01ミクロン、少なくとも約0.05ミクロンの中央粒径を含む、研磨物品。
[52] 前記[35]〜[51]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記気孔率は気孔を含み、該気孔の一部は炭素を含む気相物質を含み、該気相物質は二酸化炭素及び一酸化炭素のうちの1つを含む、研磨物品。
[53] 前記[35]〜[52]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は前記結合材料中に含まれる前記研磨粒子を含み、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約5体積%、少なくとも約10体積%、少なくとも約14体積%、少なくとも約16体積%、及び約35体積%以下、約30体積以下、約26体積%以下、約23体積%以下の前記研磨粒子を含む、研磨物品。
[54] 前記[35]〜[53]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、結合研磨体の全体積に対して、少なくとも約50体積%、少なくとも約54体積%、少なくとも約56体積%、少なくとも約58体積%の気孔率、及び前記結合研磨体の全体積に対して、約85体積%以下の気孔率、約82体積%以下、約80体積%以下の気孔率を含む、研磨物品。
[55] 前記[35]〜[54]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約50体積%、少なくとも約55体積%、少なくとも約60体積%、少なくとも約63体積%、少なくとも約66体積%、少なくとも約70体積%、及び約90体積%以下、約86体積以下、約82体積%以下、約78体積%以下、約74体積%以下の前記結合材料を含む、研磨物品。
[56] 前記[35]〜[55]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は充填剤を含み、該充填剤は、ナトリウム(Na)、セリウム(Ce)及びこれらの組み合わせから成る群より選択される元素を含有する化合物を含む、研磨物品。
[57] 前記[35]〜[56]のいずれかに記載研磨物品であって、前記結合研磨体はセリウム(Ce)を含み、前記結合研磨体は酸化セリウム(CeO)を含み、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約0.4体積%、少なくとも約0.8体積%、少なくとも約1体積%、及び約6体積%以下、約4体積%以下の前記酸化セリウムを含む、研磨物品。
[58] 前記[35]〜[57]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体はナトリウム(Na)を含み、前記結合研磨体はケイ酸ナトリウム(NaSiO)を含み、前記結合研磨体は、結合研磨体中の固形成分の全体積に対して、少なくとも約1体積%、少なくとも約2体積%、少なくとも約3体積%、少なくとも約4体積%、及び約12体積%以下、約10体積%以下、約9体積%以下の前記ケイ酸ナトリウムを含む、研磨物品。
[59] 前記[35]〜[58]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は半導体ウェハの研削用に構成された結合研磨ディスクを含む、研磨物品。
[60] 前記[35]〜[59]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下の遊離金属元素を含み、前記結合研磨体は、実質的に遊離金属元素を含まない、研磨物品。
[61] 前記[35]〜[60]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記結合研磨体は、実質的に炭化ケイ素を含まない、研磨物品。
[62] 前記[35]〜[61]のいずれかに記載の研磨物品であって、前記研磨粒子は、実質的にダイヤモンドから成る、研磨物品。
図1
図2A
図2B
図2C