【解決手段】耕作地に、AHAS阻害性イミダゾリノン系除草剤である、イマザピル、イマザピック又はそれらの組合せからなる組成物を処理する。AHAS阻害性除草剤に対する耐性をもたらす突然変異したAHASコーディング配列を有するイベント127大豆植物は、少なくともある特定の配列番号の核酸配列を有するゲノム/トランス遺伝子のジャンクションを含むことができる。イベント127のゲノム挿入部位の特徴付けは、育種効率の強化を提供し、育種集団及びそれらの子孫中のトランス遺伝子インサートを追跡するための分子マーカーの使用を可能にする。さらに、イベント127大豆植物の特定、検出及び使用のためのさまざまな方法及び組成物を提供する。
配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む核酸分子を含む大豆植物を有する耕作地に、AHAS阻害性イミダゾリノン系除草剤を含む有効量の除草剤組成物を適用するステップを含み、有効量は耕作地の雑草の成長及び野生型大豆植物の成長を阻害する、耕作地において雑草を防除する方法。
除草剤組成物がさらに1又は2以上の他のイミダゾリノン系除草剤、他のAHAS阻害性除草剤、EPSPS阻害性除草剤、GS阻害性除草剤、PPO阻害性除草剤、オーキシン系除草剤及びそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
さらに耕作地に、有効量の1又は2以上の他のイミダゾリノン系除草剤、他のAHAS阻害性除草剤、EPSPS阻害性除草剤、GS阻害性除草剤、PPO阻害性除草剤、オーキシン系除草剤及びそれらの組合せを適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む核酸分子を含む大豆植物を有する作物畑に、AHAS阻害性イミダゾリノン系除草剤を含む有効量の除草剤組成物を適用するステップを含む、作物畑においてグリホセート耐性雑草を防除する方法。
AHASタンパク質の修飾型をエンコードし、653位(S653N)でセリン−アスパラギンの置換を含み、かつ配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む単離又は組み換え核酸分子。
配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む核酸分子を増幅できる第1及び第2の単離核酸分子を含む、標的核酸分子の増幅で使用するための核酸プライマーの単離対。
第1及び第2の核酸プライマーを含み、第1及び第2の核酸プライマーが配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む核酸分子を増幅できる、生物学的試料中の前記核酸分子を特定するキット。
(a)大豆DNA及び第1及び第2の核酸プライマーを含有する生物学的試料を含む混合物を形成し、第1の核酸プライマーが配列番号37、39、41、43及び67から選択される核酸配列を含み、かつ第2の核酸プライマーが配列番号38、40、42、44及び68から選択される核酸配列を含むステップ、
(b)第1及び第2の核酸プライマーが、アンプリコンの診断のため又は配列番号1の1312から6069位のヌクレオチドの核酸配列の存在を示す核酸分子を増幅できる条件下で混合物を反応させるステップであって、当該核酸分子は(i)配列番号1のヌクレオチド1から1311を含む5’大豆フランキング配列部位、(ii)配列番号1のヌクレオチド1から1311の核酸配列によって特徴付けられるジャンクション配列、および(iii)配列番号1の1312から6069位の核酸配列部位を含み、並びに
(c)増幅されたアンプリコンの存在又は欠如を検出し、増幅されたアンプリコンの存在が、生物学的試料は当該大豆核酸分子を含むものであることを示すステップ
を含む、生物学的試料において配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む大豆核酸分子の存在を検出する方法。
(a)大豆DNA及び核酸分子部位及び(i)5’フランキング領域部位又は(ii)3’フランキング領域部位のいずれかとハイブリダイズできる核酸分子プローブを含有する生物学的試料を含む混合物を形成するステップであって、前記5’フランキング領域は配列番号1の1〜1311位からなり、および前記3’フランキング領域は配列番号1の6070〜10656位からなり、
(b)核酸分子プローブと、前記核酸分子部位及び(i)5’フランキング領域部位又は(ii)3’フランキング領域部位のいずれかとハイブリダイズできる条件下で混合物を反応させるステップ、並びに
(c)プローブと大豆DNAのハイブリダイゼーションを検出し、核酸分子プローブと大豆DNAとのハイブリダイゼーションの存在が、前記核酸分子の生物学的試料中における存在を示すステップ
を含む、生物学的試料において配列番号1の1312〜6069位の核酸配列を含む大豆核酸分子を有する大豆植物を検出する方法。
AHASタンパク質の修飾型をエンコードし、653位(S653N)でセリン−アスパラギンの置換を含み、かつ配列番号1の1312から6069位の核酸配列を含む核酸分子をさらに含むトランスジェニック大豆植物の種子。
種子が系BPS−CV127−9の植物又は系BPS−CV127−9の子孫の植物であって、前記系の種子の代表的試料がNCIMB受託番号41603で寄託された、請求項35に記載の種子。
除草剤組成物が、(1)イミダゾリノン系除草剤、スルファミド系除草剤及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の組成物と、(2)防かび剤、抗菌剤、有機リン酸エステル系除草剤、スルファミド系除草剤、ベンゾチアジアジノン系除草剤及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種の他の有効成分との組合せを含む、請求項41に記載の方法。
免疫学的アッセイが、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、免疫染色、免疫組織化学法、タンパク質チップアッセイ、放射性免疫沈降法、イムノクロマト膜による迅速アッセイ、イムノクロマトスティックによる迅速アッセイ及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
固体支持体が、(A)ガラス、ゲル、ポリマー、プラスチック、弾性素材、セラミック、金属及びそれらの組合せからなる群から選択される、若しくは(B)プレート、チップ、膜、棒、スティック、ビーズ、ファイバー、マット、格子、布、血管壁及びそれらの組合せからなる群から選択される、又は(C)(A)及び(B)の両方から選択される、請求項49に記載の装置。
抗体が、モノクローナル抗体、一本鎖抗体及び前記核酸分子によってコードされる前記ポリペプチドに対する結合特異性を保有する免疫反応性の抗体断片からなる群から選択される、請求項51に記載の装置。
装置が複数の画定されたゾーンのアレイを含み、個々のゾーンが(a)固体支持体の表面の一部及びそれに結合する(b)前記少なくとも1種の診断分子を含む、請求項49に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、AHAS阻害性除草剤、例えばイミダゾリノン系除草剤、スルホニル尿素系除草剤、トリアゾロピリミジンスルホアニリド系除草剤及び/又はピリミジルオキシベンソエート系除草剤に対する耐性を示す大豆植物を提供する。本発明の大豆植物は、大豆ゲノム中の特徴付けられた位置に配置された挿入された核酸分子を含有する。さらに、開示された大豆植物を使用するための方法及び組成物を提供する。
【0027】
さらに詳細に本発明を記載する前に、まず下記の用語を定義する。
【0028】
I.定義
本明細書において使用する場合、「大豆」及び「大豆植物」はGlycine max植物を意味し、大豆を育種できるすべての植物種を含む。「大豆植物」という用語は、植物部位を含む。本明細書において使用する場合、「植物部位」という用語は、植物細胞、植物器官、植物プロトプラスト、植物が再生され得る植物細胞組織培養、植物のカルス、植物塊及び植物又は植物の一部中の無傷な植物細胞、例えば、胚、花粉、胚珠、種子、種子の鞘、葉、花、枝、果実、茎、根、根端、葯、子葉、胚軸などを含む。穀物は、種の成長又は再生以外の目的のための、商業的栽培者により生産される成熟種子を意味することを意図する。再生植物の子孫、誘導体、変異体及び突然変異体もまた本発明の範囲内に含まれ、イベント127核酸分子を含むこれらの部位も提供される。
【0029】
「イベント127核酸分子」は、配列番号1の1312〜6069位の核酸配列を含む核酸分子、天然のセリン(S653N)ではなく、653位に対応するアスパラギンを含有するAHASLタンパク質を有するAHAS酵素の修飾型の発現を提供し、AHAS酵素の修飾型が野生型AHAS酵素の酵素活性を正常に阻害するAHAS阻害剤に対する耐性を示す伝統的植物育種により得られるそれらの変異体或いはこれらの任意の相補体を指す。イベント127核酸分子は、配列番号1の1312〜6069位に隣接するさらなる配列(又は、変異体に関しては、5’及び3’位に隣接するさらなる配列)を含有していてもよい。
【0030】
「イベント127領域」は、イベント127核酸分子の少なくとも断片を含み、イベント127植物を表示している核酸分子を指す。イベント127領域は、5’及び/又は3’ジャンクション領域、インサートDNA又はインサートDNAのcsr1−2重複ジャンクション領域及びインサートDNAの残りの1つ又は複数を含むことができ、さらに5’及び/又は3’隣接配列DNAもさらにイベント127領域に含まれ得る。
【0031】
本明細書において使用する場合、「イベント127特異的核酸分子」という用語は、試料中のイベント127核酸分子を識別的に特定する、又は識別的に特定できる核酸分子配列を指す。イベント127特異的核酸分子は、形質転換イベントにより得られたインサートDNA中のジャンクション領域及び固有の突然変異又は重複を含むことができる。例えば、PCR反応における配列番号37及び38の核酸配列を有するPCRプライマーの使用は、イベント127核酸分子を表示しているアンプリコンの増幅をもたらす。
【0032】
「イベント127分子」は、イベント127核酸分子に由来する、イベント127核酸分子から得られる又はイベント127核酸分子によりコードされる核酸分子、ポリペプチド分子及び他の生体分子を指す。
【0033】
「イベント127診断分子」は、イベント127核酸分子を直接又は間接的のどちらかで検出するために使用できる分子を指す。イベント127診断分子は、イベント127核酸分子又はこのような核酸分子から発現したポリペプチドを検出する方法に使用できる核酸分子、例えばプライマー及びプローブ、抗体及びそれらの結合部位保有断片(例えば、v、Fab、Fab’、F(ab’)及びHドメイン欠失抗体)、ポリペプチド及びそれらの誘導体、核酸類似体、アプタマーなどを含む。
【0034】
本明細書において使用する場合、「インサートDNA」は形質転換処理を介して植物材料に導入された異種DNAを指し、本明細書に説明したような形質転換に使用されたもともとのDNAとは異なるDNAを含む。「イベント127インサート核酸」及び「イベント127インサートDNA」は、(イベント127を生み出すために使用したDNAすなわち
図12に提供されるpAC321構築体に由来する6156bpのPvuII断片(配列番号4)とは異なる)配列番号:1の1312〜6069位の核酸配列を有する核酸分子を指す。
【0035】
「イベント127」植物、細胞、種子、植物部位又は植物組織は、イベント127核酸分子を含有する、好ましくは少なくとも1つのイベント127固有の核酸を含有する任意の植物、細胞、種子、植物部位又は植物組織を指す。イベント127植物は、配列番号1の配列を有する核酸分子を含有するイベント127〜9大豆植物、例えばBPS−CV127−9と称される大豆植物を含む。
【0036】
「隣接DNA」という用語は、生物、例えば、植物中に、挿入された核酸分子のすぐ上流又はすぐ下流且つ近接して天然に存在するゲノムDNAを指す。本明細書において使用する場合、「隣接領域」又は「隣接配列」は、もともとの外来の挿入されたDNA分子のすぐ上流(5’)且つ近接する、又はもともとの外来インサートDNA分子のすぐ下流(3’)且つ近接した、どちらかに位置する、少なくとも10、20、50、100、200、300、400、1000、1500、2000、2500若しくは5000塩基対又はそれ以上の配列を指す。イベント127の隣接領域の限定されない例は、配列番号2及び3並びにそれらの変異体及び断片で示され、配列番号2は配列番号1の1〜1311位を表し、配列番号3は配列番号1の6070〜10,656位を表す。
【0037】
外来インサートDNAのランダムな統合をもたらす形質転換手順は、各形質転換体に特徴的及び固有のさまざまな隣接領域を含有する、個別の形質転換体をもたらす。組み換えDNAが、伝統的な交雑を介して植物に導入された場合、その隣接領域は、一般的にもともとの形質転換体の隣接領域から変化しないと思われる。個別の形質転換イベントは、一片の異種インサートDNAとゲノムDNAとの間、又は二片のゲノムDNAの間又は二片の異種DNAの間に固有のジャンクションを含有すると思われる。
【0038】
「ジャンクションポイント」は2つの特異的DNA断片が連結するポイント、例えばインサートDNAが隣接DNAと連結するポイントである。ジャンクションポイントは、天然生物に見出される様式から改変された様式で2つのDNA断片が1つに連結した形質転換生物にも存在する。本明細書において使用する場合、「ジャンクションDNA」又は「ジャンクション領域」は、ジャンクションポイントを含むDNAを指す。大豆イベント127由来のDNA中のジャンクションポイントの限定されない例は、例えば配列番号5及び6に示される配列を含み、配列番号5は配列番号1の1311〜1312位を表し、配列番号6は配列番号1の6069〜6070位を表す。
【0039】
本明細書において使用する場合、「トランスジェニック」という用語は、任意の細胞、細胞系、カルス、組織、植物部位若しくは植物、初期にそのように改変されたトランスジェニックな遺伝子型及び初期再生イベントにより有性交雑又は無性繁殖により生み出された遺伝子型を含む、異種核酸の存在によって改変されている遺伝子型を含むと理解するべきである。本明細書において使用する場合、「トランスジェニック」という用語は、従来の植物育種方法による、又は天然発生イベント、例えばランダムな他家受精、非組み換えウィルス感染、非組み換え細菌性形質転換、非組み換え転位又は自然突然変異によるゲノムの改変(染色体又は染色対外)は包含しない。
【0040】
「形質転換」は、遺伝的に安定な遺伝的形質をもたらす核酸断片の宿主生物のゲノムへの転移を指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「トランスジェニック」生物と称される。植物の形質転換法の例は、当分野において公知の方法及び下記の方法を含む。
【0041】
「トランスジェニックイベント」は、対象のトランス遺伝子を含む核酸発現カセット、植物ゲノムへのトランス遺伝子のインサートによってもたらされる植物集団の再生、及び特定のゲノム位置へのインサートを特徴とする特定の再生植物の選択を含む、異種DNA構築体(単数又は複数)を有する植物細胞の形質転換により生み出される。イベントは、トランス遺伝子(単数又は複数)の発現によって、表現型の上で特徴付けられる。遺伝子レベルにおいて、イベントは、植物の遺伝子構造の一部である。
【0042】
本明細書において使用する場合、「試料」は、核酸分子又はポリペプチドを含有する任意の試料を含み、植物、植物材料に由来する、又は製品中、例えば、限定するものではないが、植物材料を含む、又は植物材料に由来する食品又は試料(生鮮品又は加工品)中に存在する。
【0043】
形質転換に関連した「導入(introducing)」又は「導入された(introduced)」は、異種DNA構築体の、構築体が植物細胞内部への接近を獲得するような様式における植物への提示を意図する。本発明の植物及び方法は、核酸構築体が植物の少なくとも一細胞の内部への接近を獲得するだけの、核酸構築体を植物に導入する特定の方法に依存しない。限定するものではないが、安定な形質転換方法、一時的形質転換方法及びウィルス媒介方法を含む核酸構築体を植物に導入する方法は、当分野において公知である。
【0044】
「子孫」という用語は、イベント127植物と別の種との間の有性交雑(例えば、異系交雑、自己交雑又は戻し交雑)により生み出された植物を指す。反復親への戻し交雑を繰り返した後でさえ、イベント127親に由来する挿入されたDNA及び/又は隣接DNAは、同じ染色体位置における交雑の子孫中に存在し、例えば、イベント127特異的領域に関するスクリーニングによって特定できる。
【0045】
本明細書において使用する場合、核酸分子に関連した「異種」は、外来種を起源とする核酸分子、又は同じ種に由来する場合、意図的なヒトの介入によって構成及び/又はゲノム遺伝子座において、その天然型から改変された核酸分子である。
【0046】
「単離された」若しくは「精製された」核酸分子又はそれらの生物学的に活性な部分は、その天然発生の環境において見出だされる核酸分子に通常伴う又は相互作用する成分を実質的に又は基本的に含まない。したがって、単離された、又は精製された核酸分子は、他の細胞材料、若しくは組み換え技術により作製された場合、培養培地を実質的に含まない、又は化学的に合成された場合、化学的前駆体又は他の化学物質を実質的に含まない。
【0047】
「プローブ」は、検出可能の標識又はレポーター分子例えば、放射性同位元素、リガンド、化学発光剤、酵素などと結合した核酸分子を指す。このようなプローブは、標的核酸分子鎖と相補的であり、この場合、大豆植物由来又は本イベント由来のDNAを含む試料由来であっても、大豆イベント127植物の生体材料由来の単離DNA鎖と相補的である。プローブは、デオキシリボ核酸又はリボ核酸を含むだけではなく、標的DNA配列の存在を特異的に検出できるポリアミド及び他のプローブも含む。
【0048】
本明細書において使用する場合、「プライマー」は、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的標的DNA鎖とアニーリングでき、プライマーと標的DNA鎖の間にハイブリッドを形成でき、その後ポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼによって、標的DNA鎖に沿って伸長され得る単離核酸分子である。「プライマー対」は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又は他の既存の核酸増幅方法による、標的核酸分子の増幅に使用するための一対のプライマーを指す。「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」は、特定のDNAセグメントの増幅に使用する技術である。
【0049】
「系」又は「株」は、一般的にある程度同系交配であり、一般的に同質遺伝子又は準同質遺伝子である、同一の家系の個別の群である。
【0050】
本発明に関連する「交雑された」又は「交雑する」という用語は、例えば植物の場合、例えば子孫(例えば、細胞、種子又は植物)を生み出すための受粉を介した配偶子の融合を意味する。この用語は、有性交雑(1種の植物と別の植物による受粉)及び植物の場合、自殖(自家受粉、すなわち花粉及び胚株が同じ植物由来である場合)の両方を包含する。
【0051】
「遺伝子移入」という用語は、1つの遺伝的背景から別の遺伝的背景への遺伝子座の所望の対立遺伝子の伝達を指す。一方法において、所望の対立遺伝子は、2つの親の間の有性交雑を介して遺伝子移入でき、親の一方の少なくとも1つはそのゲノム中に所望の対立遺伝子を有する。
【0052】
II.大豆イベント127植物
トランスジェニックAHAS阻害剤耐性大豆植物に関する組成物及び方法を提供する。このような組成物は、イベント127大豆植物を含む。イベント127大豆植物は、イミダゾリノン耐性アセトヒドロキシ酸シンターゼの大型サブユニット遺伝子のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(csr1−2)から本明細書に定義の大豆ゲノムへの挿入又は遺伝子移入によって、野生型又は非形質転換大豆植物から改変されている。いくつかの実施形態において、csr1−2遺伝子の大豆ゲノムへのインサートは、天然のセリン(S653N)ではなく653位に対応するアスパラギンを含有するAHASLタンパク質を有する、改変型のアセトヒドロキシ酸シンターゼ(AHAS)酵素の発現をもたらす。AHAS酵素は、分枝型アミノ酸の生合成にとって重要であり、特定の除草剤(AHAS阻害性除草剤)により阻害される。AHAS遺伝子の改変はこの阻害を克服し、したがって、広範囲のAHAS阻害性除草剤に対する耐性をもたらす。したがって、大豆イベント127植物は少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤に対して耐性であり、又はイベント127核酸分子を欠いた大豆植物と比較して、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤に対して耐える量が増加する。
【0053】
AHAS阻害剤耐性をもたらす核酸分子は、大豆ゲノムの特徴的な位置におけるインサートが見出され、その結果127イベントを生じる。一実施形態において、列挙した染色体位置にイベント127核酸分子を担持するイベント127大豆植物は、少なくとも配列番号5及び/又は6の核酸分子配列を有する、1つ又は複数のゲノム/トランス遺伝子のジャンクションを含む。イベント127のゲノムインサート部位の特徴付けは、育種効率の強化をもたらし、育種集団及びそれらの子孫中のトランス遺伝子インサートを追跡するための分子マーカーの使用を可能にする。イベント127大豆植物の特定、検出及び使用に関するさまざまな方法及び組成物を、本明細書において提供する。
【0054】
csr1−2発現カセット、プラスミドpAC321由来のPvuII断片を、大豆ゲノム中の単一の特徴付けられた遺伝子座において統合し、イベント127をもたらした。一実施形態において、イベント127において挿入されたcsr1−2カセットは、プラスミドpAC321由来のもともとの形質転換断片と比較して、3か所に突然変異を含有し、1つの突然変異はAHASコーディング配列の中であり、他の2つはAHASL 3’非翻訳領域(UTR)の下流である。このような突然変異は、コーディング配列におけるGからAへの突然変異を含み、これによりR
272からK
272へのアミノ酸置換を有するAHASポリペプチドの発現がもたらされる。点突然変異のサザンブロット分析及び配列検証により、このインサートが少なくも8世代にわたって安定であることが示される。イベント127中に挿入されたDNAは、3’統合ポイント(重複は、配列番号1の5694〜6069位により表される)の直前に、csr1−2コーディング配列の一部の376の塩基対(bp)の重複もさらに含有する。この重複した376bpのセグメントは、3’隣接配列に及ぶ501bpのオープンリーディングフレーム(ORF)をもたらす。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)の結果は、この501bpのORFが転写されないことを示唆している。いくつかの実施形態において、イベント127核酸分子は、シロイヌナズナSEC61γサブユニットの遺伝子座(At3g48570)の大部分をさらに含有し、これは、形質転換に使用したDNA断片の構成要素である。他の実施形態において、SEC61γサブユニット遺伝子は大豆イベント127植物において発現され得る。例えば、以下の実施例においてより詳細に開示されるように、RT−PCR実験は、シロイヌナズナSEC61γサブユニット遺伝子が、イベント127の葉の組織においてわずかに転写されることを示す。合計約1.3キロベース(kb)の5隣接大豆DNAは、約4.6kbの3’隣接大豆DNAと一緒に配列決定されている。本発明に従って、隣接配列の情報を、イベント127特異的定性PCR検出方法の開発に使用できる。特定された点突然変異及び重複などのイベント127核酸分子の他の特徴もまた、子孫及びそれらの誘導体を含むイベント127植物の検出のために本明細書に提供される方法に使用できる。
【0055】
本発明のイベント127植物は、AHAS阻害性除草剤の適用に対して耐性である。イベント127植物は、50g ai/haと約500g ai/haとの間、70g ai/haと約400g ai/haとの間、及び70g ai/haと約300g ai/haとの間の除草剤適用量と同等の量を含む適用レベルにおいて、AHAS阻害性除草剤のレベルに対して耐性又は耐性の強化を示す。このような耐性は、除草剤の市販の適用レベルの1×、2×、3×、4×、5×又はそれを超える量のAHAS阻害性除草剤のレベルに対する耐性もまた含み得る。
【0056】
AHAS阻害性除草剤に対する耐性は、除草剤耐性を決定する任意の方法によって決定できる。例えば、大豆イベント127植物が、適切な対照植物と比較して、対照植物により示される損傷より少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%若しくは1000%又はそれ以上少ない損傷を示す場合、大豆イベント127植物はAHAS阻害性除草剤又は他の化学物質に対する耐性を実証することができる。この様式においてAHAS阻害性除草剤又は他の化学物質に対して耐性である植物は、適切な対照植物と比較して「耐性の改善」を示す。除草剤又は他の化学物質による処理からもたらされる損傷は、当業者によって適切と見なされる植物の成長又は健全性の任意のパラメーターを評価することによって査定される。損傷は、外観検査及び/又は個別の植物若しくは植物群の適切なパラメーターの統計学的分析によって査定され得る。したがって、損傷は、例えば草高、植物の重量、葉の色、開花、繁殖力、産出高、種子生産などのパラメーターを評価することによって査定され得る。損傷は、発生の特定の段階(例えば、成熟又は開花)までの経過時間又は植物が特定の化学物質及び/又は除草剤による処理から回復するまでの経過時間を評価することによって査定され得る。
【0057】
AHAS阻害性除草剤又は他の化学物質により引き起こされる損傷は、イベント127植物が除草剤によって処理された後、又は除草剤と接触させられた後のさまざまな時点において査定され得る。対照植物が最大の損傷を示す時間について査定され得る、又は除草剤若しくは他の化学物質により処理されなかった対照植物が、処理を受けた時点のサイズ若しくは段階と比較して測定可能に成長した、及び/又は発達した期間後に査定され得る。さらに、損傷は、試験植物が除草剤により処理された後さまざまな時間、例えば12時間若しくは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日若しくは3週間、4週間又はそれより長い時間において査定され得る。試験植物及び対照植物の処理に応じた差が検出可能である限り、いずれの査定時間も適切である。
【0058】
本発明は、イベント127核酸分子を含有する大豆系CV603(「BPS−CV127−9」としても公知である)の種子をさらに含み、NCIMB特許受託番号41603及びそれに由来する植物、植物細胞及び種子として寄託されている。出願(単数又は複数)は、イベント127核酸分子を含有する大豆植物の少なくとも2500種の種子を、国立産業食品及び海洋菌収集所(National Collections of Industrial,Food,and Marine Bacteria(NCIMB))、23 St.Machar Drive、Aberdeen AB2 1RY、スコットランド、英国に2008年12月22日に寄託し、NCIMB受託番号41603に指定された。これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際承認に関するブダペスト条約ブダペスト条約の条件下で維持される。この寄託は、単に当業者の便宜のために実施されたものであり、寄託が35U.S.C.§112のもとに要求されたことを承認するものではない。2008年12月22日にNCIMBに寄託された種子は、Embrapa (Empresa Brasileira de Pesquisa Agropecuaria)により維持された寄託から採取した。この寄託物の利用は、本出願の係属期間中、特許商標庁長官及び要請に応じて長官により権利があると決定された者に利用可能にされるものである。出願における任意の特許請求の許可において、出願人(単数又は複数)は、37C.F.R.§1.808に準じて、国立産業食品及び海洋菌収集所(National Collections of Industrial,Food,and Marine Bacteria (NCIMB))、23 St.Machar Drive、Aberdeen AB2 1RY、スコットランド、英国に寄託されたイベント127核酸分子を含有する大豆植物の少なくとも2500種の種子の試料(単数又は複数)を公衆に利用可能にするものである。大豆系CV603の種子のこの寄託は、公共の寄託機関であるNCIMB 寄託機関において、30年間若しくは最新の請求後5年間又は特許の権利行使可能期間のどちらかより長い期間維持され、その期間中に生き残れない場合再寄託される。さらに、出願人(単数又は複数)は、寄託における試料の生存の表示を含む37C.F.R.§§1.801〜1.809の要件をすべて満たしている。出願人(単数又は複数)は、生物学的材料の運搬又はその商業的輸送に関して、法律により課せられている任意の制限を放棄する権限は有さない。出願人(単数又は複数)は、この特許のもとに認められたそれらの権利又は植物防疫法(Plant Variety Protection Act)(7 USC 2321 et seq.)のもとに大豆系CV603に適用可能な権利の任意の侵害を放棄しない。無認可の種子増殖は禁止されている。種子は規制され得る。
【0059】
本発明のイベント127大豆植物は、イベント127大豆植物を生じる初期形質転換イベントの子孫、誘導体、変異体及び突然変異体をさらに含む。このような植物は、限定するものではないが、育種記録、除草耐性法、分子検出法、本明細書に開示の方法及びそれらの組合せを含む、このような植物の任意の特定方法を使用して特定され得る。
【0060】
本発明のイベント127大豆植物は、少なくとも1種のS653N突然変異を欠いた内因性AHAS酵素の活性に干渉する除草剤(AHAS阻害性除草剤)に対して耐性である。AHAS酵素の活性に干渉する除草剤は、イミダゾリノン系除草剤、スルホニル尿素系除草剤、トリアゾロピリミジン系除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート系除草剤、スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン系除草剤又はそれらの混合物若しくは組合せを含む。一実施形態において、このような除草剤は、イミダゾリノン系除草剤、スルホニル尿素系除草剤又はそれらの混合物である。イミダゾリノン系除草は、限定するものではないが、PURSUIT(登録商標)(イマゼタピル)、CADRE(登録商標)(イマザピック)、RAPTOR(登録商標)(イマザモックス)、SCEPTER(登録商標)(イマザキン)、ASSERT(登録商標)(イマザメタベンズ)、ARSENAL(登録商標)(イマザピル)、前述の除草剤の任意の誘導体及び前述の除草剤の2種以上の混合物又は組合せ、例えばイマザピル/イマザモックス(ODYSSEY(登録商標))を含む。イミダゾリノン系除草剤は、限定するものではないが、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミジアゾリン−2−イル)−ニコチン酸、[2−(4−イソプロピル)−4−][メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−3−キノリンカルボン]酸、[5−エチル−2−(4−イソプロピル−)4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル]−ニコチン酸、2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸、[2−(4−イソプロピル−4−メチル5−オキソ−2−)イミダゾリン−2−イル]−5−メチルニコチン酸及びメチル[6−(4−イソプロピル−4−)メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル]−m−トルエート及びメチル[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−)オキソ−2−イミダゾリン−2−イル]−p−トルエートの混合物からも選択できる。一実施形態において5−エチル−2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−ニコチン酸及び[2−(4−イソプロピル−4−メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−)イル]−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸が使用される。別の実施形態において、[2−(4−イソプロピル−4−]メチル−5−オキソ−2−イミダゾリン−2−イル)−5−(メトキシメチル)−ニコチン酸が使用される。
【0061】
本発明に使用できるスルホニル尿素系除草剤は、限定するものではないが、クロロスルフロン、メトスルフロンメチル、スルホメツロンメチル、クロリムロンエチル、チフェンスルフロンメチル、トリベヌロンメチル、ベンスルフロンメチル、ニコスルフロン、エタメトスルフロンメチル、リムスルフロン、トリフルスルフロンメチル、トリアスルフロン、ピリミスルフロンメチル、シノスルフロン、アミドスルフロン、フルザスルフロン、イマゾスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、ハロスルフロン、アジムスルフロン、シクロスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロンメチル、ホラムスルフロン、ヨードスルフロン、オキサスルフロン、メソスルフロン、プロスルフロン、スルホスルフロン、トリフルオキシスルフロン、トリトスルフロン、前述の除草剤の任意の誘導体及び前述の除草剤の2種以上の混合物を含む。本発明のトリアゾロピリミジン系除草は、限定するものではないが、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム及びペノキススラムを含む。本発明のピリミジニルオキシベンゾエート(又はピリミジニルカルボキシ)系除草剤は、限定するものではないが、ビスピリバック、ピリチオバック、ピリミノバック、ピリベンゾキシム及びピリフタリドを含む。スルホニルアミノ−カルボニルトリアゾリノン系除草剤は、限定するものではないが、フルカルバゾン及びプロポキシカルバゾンを含む。
【0062】
ピリミジニルオキシベンゾエート系除草剤は、ピリミジニルチオベンゾエート系除草剤と関係があり、米国雑草学会(Weed Science Society of America)によりピリミジニルチオベンゾエート系除草剤の表題で一般化され得るものと認識される。したがって、本発明の除草剤は、限定するものではないが、上記のピリミジニルオキシベンゾエート系除草剤を含むピリミジニルチオベンゾエート系除草剤をさらに含む。
【0063】
III.核酸分子
本発明は、単離されたイベント127核酸分子をさらに提供する。本明細書において使用する場合、「核酸分子」という用語の使用は、DNAを含む核酸分子に限定する意図のものではなく、任意のヌクレオチド、例えば、リボヌクレオチド及びリボヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドの組合せを含むことができる。このようなデオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドは、天然発生分子及び合成類似体の両方を含む。核酸分子は、限定するものではないが、一本鎖型、二本鎖型、ヘアピン、ステム−アンド−ループ構造などを含むすべての配列型をさらに包含する。一実施形態において、イベント127核酸分子は、配列番号1の1312から6069位の核酸配列を有する核酸分子を含む。別の実施形態において、イベント127核酸分子は、配列番号1の1302から6079位のヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む。
【0064】
イベント127核酸分子は、配列番号1の断片をさらに含む。ヌクレオチド配列の「断片」は、任意の長さ、例えば、少なくとも7、15、20、25、30、40、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、550、650、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3500、4000、4500又はそれ以上のヌクレオチド(nt)長の断片であり得る。これらの断片は、限定するものではないが、診断プローブ及びプライマーを含む多くの用途を有する。当然のこととして、大型の断片、例えば、601〜8000nt長の断片は、すべてではない場合、配列番号1のヌクレオチド配列の大部分に対応する断片であるので、本発明に従って有用である。例えば、少なくとも20長の断片は、配列番号1のヌクレオチド配列由来の20又はそれ以上の連続した塩基を含む断片が意図される。
【0065】
イベント127植物は、イミダゾリノン阻害性除草剤に対する抵抗性又は耐性をもたらし得る、S653N突然変異を有するAHASLコーディング配列を有するトランスジェニック発現カセットを含む。このカセットは、AHASLコーディング配列に動作可能に連結された5’調節配列及び3’調節配列をさらに含む。「動作可能に連結された」は、2つ以上の構成要素の間の機能性連結を意味することが意図される。例えば、対象の核酸分子と調節配列(例えばプロモーター)と間の動作可能な連結は、対象の核酸分子の発現を可能にする機能性連結である。動作可能に連結された構成要素は、連続であっても、又は非連続であってもよい。動作可能な連結を、2つのタンパク質のコーディング領域の連結を指すために使用する場合、コーディング領域は同一のリーディングフレーム内に存在することが意図される。
【0066】
したがって、大豆イベント127植物中の発現カセットは、5’〜3’の転写方向に、植物において機能性の、転写及び翻訳の開始領域(例えばプロモーター)、AHASL S653Nコーディング領域及び転写及び翻訳の終止領域を含有する。「プロモーター」は、コーディング配列又は機能性RNAの発現を調節できるヌクレオチド配列を指す。一般に、コーディング配列は、プロモーター配列の3’に位置する。プロモーター配列は、近接及びより遠位の上流構成要素を含むことができ、後者の構成要素は多くの場合エンハンサーと呼ばれる。したがって、「エンハンサー」は、プロモーター活性を刺激することができるヌクレオチド配列であり、プロモーターの固有の構成要素であっても、又はプロモーターのレベル又は組織特異性を強化するために挿入された異種構成要素であってもよい。プロモーターは、それら全体が天然遺伝子に由来してもよく、又は天然に見出される異なるプロモーターに由来する異なる構成要素から構成されていてもよく、さらに合成ヌクレオチドセグメントを含んでいてもよい。異なるプロモーターは、異なる組織型若しくは細胞型において、又は発達の異なる段階において、又は異なる環境条件に応じて遺伝子の発現を対象とできることは、当業者には理解される。常時、大部分の細胞型において発現される核酸断片を生じるプロモーターは、「構成的プロモーター」と称される。
【0067】
一実施形態において、大豆イベント127植物中の発現カセットは、動作可能に連結した構成要素として、シロイヌナズナcsr1−2プロモーターの調節下において配列をコードするAHASL S653N及びcsr1−2転写終止領域を含有する。発現カセットは、PvuII断片として核酸構築体pAC321に由来する。一実施形態において、発現カセットは配列番号4の配列を有する。
【0068】
イベント127核酸分子の検出及び/又は特定のためのさまざまな方法に使用できる単離核酸分子を提供する。一実施形態において、「単離」核酸分子は、核酸分子が由来する生物のゲノムDNAにおいて核酸分子に天然に隣接する配列(例えば、配列をコードするタンパク質)(すなわち、核酸の5’末端及び3’末端に位置する配列)を含まない。例えば、さまざまな実施形態において、単離核酸分子は核酸分子が由来する細胞のゲノムDNAにおいて核酸分子に天然に隣接する、約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kb又は0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有できる。
【0069】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、配列番号5及び/又は6で示されるジャンクションDNA配列を含む。他の実施形態において、核酸分子は、配列番号5及び/又は6で示されるジャンクションDNA配列或いはそれらの変異体及び断片を含む。ジャンクションDNA配列の変異体及び断片は、イベント127DNAを識別的に特定するために適している。本明細書の別の箇所において述べたように、このような配列は、試料中のイベント127インサートDNAの検出に使用するためのプライマー及び/又はプローブとしての使用が見出される。
【0070】
他の実施形態において、イベント127植物、イベント127インサートDNA又はイベント127特異的核酸分子を検出できる核酸分子を提供する。このような配列は、配列番号5及び/又は6で示される核酸分子、又はそれらの変異体又はそれらの相補体を含む、任意の核酸分子を含む。いくつかの実施形態において、イベント127核酸分子を検出するために使用される核酸分子は、配列番号5及び/又は6で示される配列又はそれらの相補体を含む。イベント127核酸分子、イベント127インサートDNA又はイベント127特異的領域を検出する核酸分子の断片及び変異体は、イベント127植物を識別的に特定するために適している。本明細書の別の箇所において述べたように、このような配列は、プライマー及び/又はプローブとしての使用が見出される。さらに、配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、67、68、69、70に出示される配列若しくはそれらの相補体又は配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、67、68、69、70の変異体及び断片若しくはそれらの相補体を含む、又はそれらからなる単離DNAヌクレオチドプライマー配列を提供する。
【0071】
一実施形態において、本明細書において使用するための特異的プライマー対は、(特定された配列番号1に対する相対的位置とともに)以下に示すフォワードプライマー及びリバースプライマーを含む。プライマーは327塩基対のバンドサイズを作り出すことが予測される。
【表1】
【0072】
本明細書において使用する場合、核酸配列に関する「変異体」は、実質的に類似の配列を指す。核酸分子に関しては、変異体は、5’末端及び/又は3’末端における欠失(例えば切断);天然の核酸分子中の1つ又は複数の内部部位における、1つ又は複数のヌクレオチドの欠失及び/又は付加;並びに/或いは天然の核酸分子中の1つ又は複数の部位における、1つ又は複数のヌクレオチドの置換を有する核酸分子を含む。
【0073】
本発明において、イベント127特異的領域(例えば、配列番号35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47、67、68、69,及び70)の検出のために、本明細書において開示したようなプライマーの任意の組合せが使用できる。プライマー対の限定されない例は、配列番号35及び36;配列番号37及び38;配列番号39及び40;配列番号41及び42;配列番号43及び44、配列番号67及び68、配列番号69及び70を含む。さらなるプライマー及びプライマー対は、開示された方法における使用のために、本発明に従ってさらに設計され得る。
【0074】
提供された方法における使用のためのプローブ及びプライマーは、標的DNA配列と結合し、生物学的試料、例えば試験される植物から得られた試料中の核酸分子を特異的に検出及び/又は特定するために十分なヌクレオチド長のプローブ及びプライマーである。ハイブリダイゼーション条件又は反応条件が、この結果を得るために操作者によって決定され得ることが認識される。この長さは、選択した検出方法において有用である任意の長さ、例えば8、10、11、14、16、18、20、22、24、26、28、30、40、50、75、100、200、300、400、500、600、700ヌクレオチド若しくはそれ以上、又は約11〜20、20〜30、30〜40、40〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800又はそれ以上のヌクレオチド長であってよい。このようなプローブ及びプライマーは、高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の下で標的配列と特異的にハイブリダイズできる。標的DNA配列と異なり、標的DNA配列を特異的に検出及び/又は特定する能力を保有するプローブは既存の方法で設計され得るが、実施形態に従ったプローブ及びプライマーは、標的配列を含む連続ヌクレオチドの完全なDNA配列の同一性を有することができる。したがって、プローブ及びプライマーは、標的核酸分子(例えば、配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44)に対して約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列の同一性又は相補性を共有でき、或いは、標的配列(例えば、配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44)と1、2、3、4、5、6又はそれ以上のヌクレオチドが異なってもよい。プローブは、プライマーとしても使用できるが、一般的に標的DNA又はRNAと結合するように設計され、増幅過程には使用されない。
【0075】
いくつかの実施形態において、イベントDNAの断片を増幅するために特異的プライマーを使用して、「特異的プローブ」として使用できるアンプリコンを作製でき、又はアンプリコンそれ自体が、生物学的試料中のイベント127核酸分子の特定のために検出され得る。又は、PCR反応の際にプローブを使用して、増幅イベントの検出を可能にできる(例えば、Taqmanプローブ又はMGBプローブ)(いわゆるリアルタイムPCR)。プローブと試料との結合が可能な条件下で、プローブが生物学的試料中の核酸分子とハイブリダイズする場合、この結合は検出でき、したがって、生物学的試料中のイベント127の存在が表示できる。結合されたプローブのこのような特定は、当分野において記載されている。一実施形態において、最適条件下でプローブは、イベントの5’隣接領域又は3’隣接領域を含む領域と特異的にハイブリダイズする配列であり、それらと連続するインサートDNAの一部をさらに含み、したがってジャンクション領域にまたがる。特異的プローブは、イベント127核酸分子の特異的領域に対して少なくとも80%、80及び85%の間、85及び90%の間、90及び95%の間並びに95及び100%同一(又は相補的)の配列を含むことができる。
【0076】
本明細書において使用する場合、「増幅されたDNA」又は「アンプリコン」は、核酸の鋳型の一部である標的核酸分子の核酸分子増幅の産物を指す。例えば、有性交雑から得られた大豆植物がイベント127核酸分子を含有するかどうかを決定するために、大豆植物組織試料から抽出されたDNAを、挿入された異種DNAの挿入部位に近接する隣接配列に由来する第1のプライマー及びイベント127核酸分子の存在の診断である、又はその表示であるアンプリコンを産生する挿入された異種DNAに由来する第2のプライマーを含むDNAプライマー対を使用する、核酸分子増幅法に供することができる。イベント127領域に関する「診断」によって、生物学的試料中のイベント127領域の存在又は不在を識別する任意の方法又はアッセイの使用が意図される。又は、第2のプライマーは、隣接配列に由来し得る。さらに他の実施形態において、プライマー対は、発現構築体の挿入された核酸分子全体及びトランスジェニックインサートに隣接する配列、例えば配列番号1を含むアンプリコンを作製するように挿入されたDNAの両側の隣接配列に由来し得る。アンプリコンは、イベントを診断する長さであり、イベントを診断する配列を有する(例えば、イベント127領域由来のジャンクションDNAを含有する)。アンプリコンは、プライマー対+1ヌクレオチド塩基対の組み合わされた長さから、DNA増幅プロトコルによって作製可能な任意の長さのアンプリコンまでの長さに及ぶことができる。隣接配列に由来するプライマー対のメンバーは、挿入されたDNA配列から遠位に位置することができ、この距離は、1ヌクレオチド塩基対から増幅反応の限界まで、又は約2万ヌクレオチド塩基対まで及ぶことができる。別の実施形態において、プライマー対は、インサートDNA又はインサートDNAの断片を増幅するために設計できる。このようなプライマー対は、生物学的試料中のイベント127インサートDNAの存在を検出するために有用である。「アンプリコン」という用語の使用は、DNA熱増幅反応において形成され得るプライマー二量体を明確に排除する。
【0077】
特定の実施形態において、有用なプライマー対は、インサートDNAと隣接5’又は3’ゲノムDNAとのジャンクションポイントと重複する1つのプライマーを含むであろう。このようなプライマーは、5’隣接DNAとインサートDNAとの間のジャンクションポイント(すなわち、配列番号1の1311と1312位との間のジャンクション)周辺並びにインサートDNAと3’隣接DNAとの間のジャンクションポイント(すなわち、配列番号1の6069と6070位との間のジャンクション)周辺に設計できる。このようなプライマーは、隣接領域又はインサートDNAのどちらかに由来する約10ヌクレオチドと、インサートDNA又は隣接領域中のジャンクションポイントを横切る少なくとも1ヌクレオチドとがハイブリダイズするように設計できる。したがって、例えば、プライマーは、少なくとも配列番号1の以下の位置:1311〜1321、1302〜1312、6060〜6070及び/又は6069〜6079によって表されるヌクレオチドとハイブリダイズするように設計されたヌクレオチド配列を含むことができる。
【0078】
他の実施形態において、有用なプライマー対は、インサートDNAのcsr1−2コーディング配列の重複された部分の5’末端(配列番号1の5694位)と近接インサートDNA(すなわち、配列番号1の5693位)との間のジャンクションポイントと重複する1つのプライマーを含むであろう。このようなプライマーは、重複領域又は近接インサートDNAのどちらかに由来する約10ヌクレオチドと、ジャンクションポイント(例えば、配列番号1の少なくとも5693〜5603又は少なくとも5684〜5694)を横切る少なくとも1ヌクレオチドとがハイブリダイズするように設計できる。
【0079】
本発明における使用のためのプローブ及びプライマーを調製及び使用する方法は、当分野において公知である。PCRプライマー対は、例えば、Vector NTIバージョン6(Informax Inc.、Bethesda Md.);PrimerSelect(DNASTAR Inc.、Madison、Wis.);及びPrimer(Version 0.5(著作権)、1991年、Whitehead Institute for Biomedical Research、Cambridge、Mass.)におけるPCRプライマー分析ツールを目的として意図されたコンピュータプログラムを使用することによって、公知の配列に由来してもよい。さらに、この配列は視覚的にスキャンでき、プライマーは、当業者に公知の指針を使用して、手作業で特定され得る。
【0080】
IV.育種方法
開示されたイベント127大豆植物は、さらなるイベント127大豆植物、例えば子孫植物を生み出す育種方法を使用する育種プログラムに使用できる。このような育種方法は、例えばさまざまな地理的領域における商業生産における使用又はさらなる大豆育種集団の生産のために、大豆植物の生産に使用できる。
【0081】
さらに、イベント127大豆植物は、AHAS阻害剤耐性を組み合わせたさらなる対象の形質、例えば、グリホセート、グルホシネート及び/又はジカンバなどのさらなる除草剤に対する抵抗性の組合せを有する(「スタック形質」又は「形質のスタッキング」とも称される)大豆植物を生産するための育種方法を使用する育種プログラムに使用できる。さらに、イベント127大豆植物は、多数のAHAS阻害性除草剤抵抗性コーディング配列を有する大豆植物を生産するための育種方法を使用する育種プログラムに使用できる。さらに、開示された植物は、入力形質(例えば疾患及び病原体抵抗性、例えばBt遺伝子によってもたらされる抵抗性)及び出力形質、例えば油及びタンパク質の質及び量を含む、他の農学的に重要な形質と組み合わせたAHAS阻害性除草剤耐性形質を有する植物を生産するための育種方法を使用する育種プログラムに使用できる。
【0082】
AHAS阻害性除草剤抵抗性大豆植物を育種する開示された方法は、(a)イベント127大豆植物と第2の大豆植物を交雑するステップ、及び(b)交雑種から種子を得るステップを含む。得られた種子は、さらにスクリーニングされ、イベント127核酸分子を有するDNAを含有する種子を特定できる。このような方法は、交雑種からDNA試料を得るステップ及び試料を、イベント127核酸分子の存在又は不在に関してアッセイするステップを含み得る。又は、種子は、AHAS阻害性除草剤耐性に関してスクリーニングされ、イベント127DNAを含有する種子及び子孫を特定できる。
【0083】
イベント127大豆植物は、大豆に関して利用可能な任意の育種方法を使用して育種できる。例えば、イベント127大豆植物は、トランスジェニックイベント127大豆植物から成長した、第1の親大豆植物(又は、除草剤耐性をもたらす、実施形態の発現カセットによる形質転換に由来するそれらの子孫)と、除草剤耐性表現型を欠いた第2の親大豆植物とをまず有性交雑し、その結果、複数の第1子孫植物を生産し、次いで所望の除草剤耐性を示す第1子孫植物を選択し、第1子孫植物を自殖させ、その結果複数の第2子孫植物を生産し、次いで所望の除草剤耐性を示す第2子孫植物から選択することによって育種できる。これらのステップは、第1除草剤耐性子孫植物又は第2除草剤耐性子孫植物と、第2の親大豆植物又は第3の親大豆植物とを戻し交雑し、その結果所望の除草剤耐性を示す大豆植物を生産するステップをさらに含むことができる。表現型に関する子孫のアッセイが必要ないことがさらに認識される。本明細書の別の箇所において開示したように、さまざまな方法及び組成物が、イベント127インサートを検出及び/又は特定するために使用できる。
【0084】
2種の異なるトランスジェニック植物を有性交雑し、2種の独立に分離して加えられた外来遺伝子を含有する子を生産できることもまた理解されるべきである。適切な子孫の自殖は、加えられた外来遺伝子の両方がホモ接合である植物を生産できる。親植物への戻し交雑及び非トランスジェニック植物との異系交雑も企図され、栄養繁殖も企図される。しかし、任意の方法を用いてこのような植物を生じることも可能である。
【0085】
イベント127核酸分子を含有する同系交配させた大豆系は、大豆種の生産における使用及び新しい且つ異なる同系交配大豆系を作出するための育種プログラムにおける親植物としての使用のために開発できる。同系交配させた大豆系は、多くの場合、伝統的な育種及び/又は分子遺伝子移入の技術を介した新規な形質遺伝子移入のための標的として使用される。同系交配させた系のホモ接合性及び表現型安定性を決定するために、多くの分析方法が利用可能である。
【0086】
いくつかの実施形態において、本発明のイベント127大豆植物の生産をもたらす核酸分子は、第2の除草剤、例えばグリホセートに対する抵抗性をもたらす核酸分子とともに、分子スタックに操作できる。他の実施形態において、分子スタックは、第3の除草剤に対する耐性をもたらす少なくとも1種のさらなる核酸分子をさらに含む。一実施形態において、この配列はグルホシネートに対する耐性をもたらし、特定の実施形態において、この配列は、patを含む。
【0087】
他の実施形態において、本発明のイベント127大豆植物は、1つ又は複数の対象の形質を含み、いくつかの実施形態において、形質の所望の組合せを有する植物を作出するために、イベント127DNAは核酸分子配列及び/又は対象の形質の任意の組合せをスタックされる。本明細書において使用する場合、形質は、特定の配列又は配列群に由来する表現型を指す。例えば、除草剤耐性核酸分子は、殺虫性及び/又は殺虫活性を有するポリペプチド、例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)毒性タンパク質(Btタンパク質)、レクチンなどをコードする、任意の他の核酸分子をスタックされ得る。作製された組合せは、対象の核酸分子の任意の1つの多数のコピーをさらに含むことができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、大豆イベント127DNAは、さらに改善された特性を有する本発明のトランスジェニック植物を作出するために、他の除草剤耐性形質をスタックされ得る。このような実施形態に使用できる他の除草剤耐性核酸分子は、例えば、グリホセート酸化還元酵素をコードする遺伝子などの他の作用様式によって、グリホセート又はAHAS素媒材に対する耐性をもたらす核酸分子を含む。大豆イベント127DNAと組み合わせることができる他の形質は、植物により高レベルの5−エノールピルビニルシキミ酸−3−リン酸合成酵素(EPSPS)を産生する能力をもたらす核酸分子に由来する形質を含む。大豆127イベントと組み合わせることができる他の形質は、スルホニル尿素及び/又はイミダゾリノンに対する耐性をもたらす形質を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、大豆イベント127DNAは、例えば、パラ−ヒドロキシフェニルピルベート(HPP)がホモジゲンチジン酸に変換される反応を触媒する酵素であるヒドロキシフェニルピルベートジオキシゲナーゼをスタックされ得る。この酵素を阻害し、HPPのホモジゲンチジン酸への変換を阻害するためにこの酵素と結合する分子は、除草剤として有用である。このような除草剤に対する耐性をもたらす植物中の形質は、当分野において公知である。大豆イベント127DNAにスタックされ得る適切な除草剤耐性形質の他の例は、アリールオキシアルカノエートジオキシゲナーゼ核酸分子(2,4−D及び他のフェノキシオーキシン系除草剤に対する耐性並びにアリールオキシフェノキシプロピオネート系除草剤に対する耐性をもたらすことが報告されている)及びジカンバ耐性核酸分子を含む。
【0090】
大豆イベント127DNAと組み合わせることができる形質の他の例は、外来ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする核酸分子によりもたらされる形質を含む。外来ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼを含有する植物は、酵素のグルタミン合成酵素を阻害する、グルホシネート系除草剤に対する耐性の改善を示すことができる。大豆イベント127DNAと組み合わせることができる除草剤耐性形質の他の例は、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(protox)活性の改変をもたらす核酸分子によってもたらされる形質を含む。このような核酸分子を含有する植物は、protox酵素を標的とする任意のさまざまな除草剤(「protox阻害剤」とも称される)に対する耐性の改善を示すことができる。
【0091】
AHAS阻害剤耐性形質と組み合わせることができる除草剤耐性形質の他の例は、少なくとも1種の除草剤に対する耐性を植物、例えば大豆植物中にもたらす形質を含む。特定の除草剤に対するそれらの耐性が変動する植物として、除草剤耐性大豆は当分野において公知である。これらの耐性に関与する形質(単数又は複数)を、イベント127大豆植物を育種することによって、又はイベント127大豆植物を用いた他の方法を介して組み合わせ、本発明の植物及びそれらの使用方法を提供できる。
【0092】
大豆イベント127DNAを、さまざまな所望の形質組合せをさらに含む本発明の植物を生産するために、限定するものではないが、高油含有量、アミノ酸組成物、タンパク質含有量、消化率改善又は改変脂肪酸組成物などの動物試料として望ましい形質を含む、少なくとも1種の他の形質と組み合わせることができる。
【0093】
大豆イベント127DNAは、他の所望の形質、例えば、大豆シスト線虫抵抗性形質などの非病原性且つ疾患抵抗性の遺伝子、例えばSCN及び油含有量の増加又は改変脂肪酸組成物などの加工又は加工製品に望ましい形質(例えば、脂肪酸不飽和化酵素遺伝子及びポリマー又はバイオプラスチック(例えば、β−ケトチオラーゼ、ポリヒドロキシ酪酸シンターゼ及びアセトアセチル−CoA還元酵素)はポリヒドロキシアルカノエート(PHA)の発現を容易にする)と組み合わせることができる。除草剤耐性核酸分子と任意の農業形質を提供する核酸分子とを組み合わせることもできる。
【0094】
これらのスタックされた組合せは、限定するものではないが、任意の公知の方法論又は遺伝的形質転換による植物育種を含む、任意の方法によって作出され得る。配列が、植物を遺伝的に形質転換することによってスタックされる場合、対象の核酸分子配列は、任意の時に任意の順番で組み合わせることができる。形質は、任意の形質転換カセットの組合せにより提供された対象の核酸分子を用いて、同時形質転換プロトコルにおいて同時に導入できる。例えば、2つの配列を導入する場合、2つの配列は個別の形質転換カセットに含有され得る(トランス)か、又は同じ形質転換カセットに含有され得る(シス)。配列の発現は、同じプロモーターによって、又は異なるプロモーターによって駆動され得る。ある場合において、対象の核酸分子の発現を抑制すると思われる形質転換カセットを導入することが望ましいことがある。これを、他の抑制カセット又は過剰発現カセットの任意の組合せと組み合わせ、植物中に形質の所望の組合せを作り出すことができる。核酸分子は、部位特異的組み換え系を使用して所望のゲノム位置にスタックされ得ることがさらに認識される。
【0095】
イベント127DNAを有する大豆植物の育種方法をさらに提供し、この方法は、(a)イベント127大豆植物又はそれらの誘導体と、第2の大豆親植物とを交雑させるステップ、(b)交雑種から種子を得るステップ、(c)1つ又は複数の種子からDNA試料を得るステップ、及び(d)イベント127核酸分子の存在を検出するステップを含む。
【0096】
V.形質転換植物
イベント127形質と組み合わせた形質を有する大豆植物は、イベント127大豆植物から得られた植物材料又は部分の形質転換によって生産できる。さらなる形質を、技術者に利用可能な任意の形質転換方法を使用してイベント127大豆植物内に組み合わせることができる。したがって、イベント127大豆植物は、イベント127大豆植物内にさらなる異種核酸分子を導入する形質転換方法における使用のための植物材料の供給源として使用できる。例えば、形質質転換ベクターを調製し、対象遺伝子をイベント127大豆植物内に導入し、多数の導入形質を有する大豆植物を生産できる。
【0097】
このような方法に使用する形質転換ベクターを使用して、本明細書に記載の遺伝子を含む任意の対象遺伝子を用いて形質転換された植物を生産できる。形質転換ベクターは、選択可能なマーカー及び導入される対象の遺伝子を含むことができ、通常、形質転換されたイベント127大豆植物において発現される。このような選択可能なマーカーは、当分野において公知である。本発明の対象の遺伝子は、導入される所望の形質に依存して変化する。例えば、表現型におけるさまざまな変化は、植物中の脂肪酸組成物の改変、植物のアミノ酸含有率の改変、植物の昆虫及び/又は病原体の防御の機序の改変などを含む対象の変化であってよい。これらの結果は、植物中の異種産物の発現の提供又は内因性産物の発現の増加によって達成することができる。又は、この結果は、植物中の1種又は複数種の内因性産物、特に酵素又は補因子の発現の減少を提供することによって達成することができる。これらの変化は、形質転換植物の表現型における変化をもたらす。
【0098】
任意の形質転換ベクターは、本発明の方法において使用できる。多くの植物形質転換ベクター及び植物を形質転換させる方法が利用可能である。形質転換方法を使用して、本明細書に記載の形質を含む、イベント127インサートによって提供されるAHAS阻害性除草剤耐性形質を有する任意の形質がスタックできる。
【0099】
VI.検出方法
例えば、子孫及び誘導体を含む大豆植物から得られた試料由来の、生物学的試料中のイベント127核酸分子を特定及び/又は検出するための方法及び組成物を提供する。このような方法は、任意の生物学的材料においてイベント127領域又は核酸分子の特定及び/又は検出における使用を見出す。このような方法は、例えば、種子の純度を確認する方法及びイベント127核酸分子のための種地において種子をスクリーニングする方法を含む。一実施形態において、生物学的試料中の127インサート核酸分子を特定する方法を提供し、この方法は生物学的試料と、イベント127核酸分子を増幅できる第1及び第2の核酸プライマーとの混合物を形成するステップ、第1及び第2の核酸プライマーが大豆イベント127核酸分子を増幅可能な条件下で混合物を反応させるステップ、及び増幅されたイベント127核酸分子の存在又は不在を検出するステップを含む。いくつかの実施形態において、イベント127核酸分子はイベント127特異的核酸分子である。
【0100】
大豆DNAを有する生物学的試料と、大豆イベント127核酸分子とハイブリダイズできる核酸分子プローブとを含有する混合物を形成するステップ、核酸分子プローブとイベント127核酸分子とがハイブリダイズ可能な条件下で混合物を反応させるステップ、及び試料中で核酸分子プローブとイベント127核酸分子とがハイブリダイズしたかどうかを検出し、ハイブリダイゼーションの存在がイベント127核酸分子の存在を示すステップを含む、生物学的試料中のイベント127核酸分子を特定する方法をさらに提供する。
【0101】
本発明の方法は、生物学的試料中のイベント127インサート核酸分子を特定及び/又は検出するためにも使用できる。一実施形態において、生物学的試料中のイベント127核酸分子を特定する方法を提供し、この方法は、生物学的試料と、イベント127インサート核酸分子を増幅できる第1及び第2の核酸プライマーとの混合物を形成するステップ、第1及び第2の核酸プライマーがイベント127インサート核酸分子を増幅可能な条件下で混合物を反応させるステップ、及び増幅されたイベント127インサート核酸分子の存在又は不在を検出するステップを含む。
【0102】
DNAを有する生物学的試料と、イベント127核酸分子とハイブリダイズできる核酸分子プローブとを含有する混合物を形成するステップ、核酸分子プローブとイベント127核酸分子とがハイブリダイズ可能な条件下で混合物を反応させるステップ、及び試料中で核酸分子プローブとイベント127核酸分子とがハイブリダイズしたかどうかを検出し、ハイブリダイゼーションの存在がイベント127核酸分子の存在を示すステップを含む、生物学的試料中のイベント127核酸分子を特定する方法をさらに提供する。
【0103】
生物学的試料中のイベント127領域の検出方法をさらに提供する。本発明の方法を使用して検出され得るイベント127領域は、イベント127インサートDNA、5’ジャンクション領域、3’ジャンクション領域、5’隣接領域、3’隣接領域、形質転換イベントからもたらされたインサートDNA中の固有の突然変異若しくは重複又は任意のそれらの組合せ及び断片を含む。
【0104】
生物学的試料は、イベント127核酸分子を有するDNAが存在するかどうかの決定が所望される任意の試料を含むことができる。例えば、生物学的試料は、任意の植物材料又は植物材料を含む若しくは植物材料に由来する材料、例えば、限定するものではないが、食品又は試料を含むことができる。本明細書において使用する場合、「植物材料」は、植物又は植物部位から得られる、又は植物又は植物部位に由来する材料を指す。特定の実施形態において、生物学的試料は大豆組織を含む。他の実施形態において、生物学的試料は大豆の葉の組織から得られる。さらに他の実施形態において、生物学的試料は大豆の種子組織から得られる。
【0105】
任意のイベント127関連核酸分子は、本発明の方法を使用して検出及び/又は特定され得る。例えば、検出され得る核酸分子は、限定するものではないが、DNA、mRNA、cDNAなどを含む。他の実施形態において、イベント127核酸分子によりコードされるポリペプチドは、本発明の方法を使用して検出及び/又は特定され得る。検出及び/又は特定される核酸分子は、インサートDNA中の特定された突然変異、例えば、S653N又はR272Kなどを有するAHASポリペプチドをコードする核酸分子、プロモーター配列、終始配列、このような配列の断片及びそれらの組合せを含むイベント127インサートDNAの任意の断片を包含できる。
【0106】
本明細書に開示の方法に使用するプライマー及びプローブは、既存の方法によって、例えば、このような配列の再クローニング及び配列決定によって、開示された配列を確認(及び必要に応じて修正)するために使用できる。核酸分子のプローブ及びプライマーは、標的DNA配列を特異的に検出する。任意の既存の核酸ハイブリダイゼーション法又は増幅法は、試料中のトランスジェニックイベント由来の核酸分子の存在を検出又は特定するために使用できる。「特異的に検出する」は、核酸分子が、127特異的領域を増幅するためのプライマーとして使用できるか、又は核酸分子が、イベント127特異的領域を有する核酸分子と、ストリンジェントな条件の下でハイブリダイズするプローブとして使用できるかのどちらかであることを意図する。127イベント又は127イベントの特異的領域の特異的検出を可能にするハイブリダイゼーションのレベル又は程度は、127特異的領域を含む核酸分子と、この領域を欠いた核酸分子との識別のために十分であり、その結果、イベント127分子の識別的特定を可能にする。「イベント127核酸分子の増幅を可能にするために十分な配列の同一性又は相補性を共有する」は、配列が、イベント127核酸分子を有する核酸分子の断片に対して、又は完全長に及んで、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性又は相補性を共有することを意図する。
【0107】
特定の増幅プライマー対を使用する(例えばPCRによる)標的核酸分子の増幅に関して、「ストリンジェントな条件」は、プライマー対が、対応する野生型配列(又はその相補体)を有するプライマーが結合するであろう標的核酸分子とハイブリダイズし、好ましくはDNAの熱増幅反応において、イベント127核酸分子を有する特定可能な増幅産物(アンプリコン)を作製可能な条件である。PCRの取組みにおいて、オリゴヌクレオチドプライマーをPCR反応に使用するために設計し、イベント127核酸分子を増幅できる。PCRプライマーの設計及びPCRクローニングの方法は、当分野において一般に公知である。特定のPCRプロトコルにおける多くのパラメーターは、特定の実験室条件に応じて調整する必要があると思われ、わずかに改変され得、さらに同様の結果の収集を可能にすることが理解されている。これらの調整は当業者には明らかであろう。
【0108】
開示された方法に使用するプライマーを使用して、任意の127核酸分子を増幅できる。例えば、プライマー対は、イベント127核酸分子断片を含有する植物の表示である領域を増幅できるように設計され得る。一実施形態において、このようなプライマー対は、単一のジャンクション、例えば5’ジャンクション領域又は3’ジャンクション領域を含む領域を増幅できる。このようなプライマー対は、隣接染色体領域(例えば、5’隣接領域又は3’隣接領域)からインサートDNAの方向に伸長をプライミングできる1つのプライマーを含み、一方、第2のプライマーは、隣接染色体領域中の第1のプライマーの方向にインサートDNAからプライミングできる。このようなプライマー対は、ジャンクション領域を包含する核酸分子を増幅する。いくつかの実施形態において、増幅対に使用されるプライマーの1つは、ジャンクション領域(例えば、5’ジャンクション領域又は3’ジャンクション領域)の1つをまたがる領域とアニーリングでき、染色体領域方向又はインサートの方向に増幅できる。このような方法に使用する隣接染色体領域のプライマーは、5’隣接染色体領域又は3’隣接染色体領域のどちらともアニーリングでき、インサートの方向に増幅をプライミングする。他の実施形態において、プライマー対は、2つのジャンクションを増幅できるように設計され得る。
【0109】
5’隣接領域又は3’隣接領域とアニーリングできる適切なプライマーの他の例は、このような方法に使用するために設計でき、配列番号1の1〜1311位の間又は配列番号1の6070から10,656位までの核酸分子とアニーリングできる、約10又は12から約40ヌクレオチドのプライマー配列を含むことができる。
【0110】
又は、植物ゲノム全体を通してアニーリングでき、インサート特異的プライマーと連結して使用し、インサートDNA及び隣接配列の断片を包含する核酸分子を増幅できる、ランダムなプライマーを開発できる。いくつかの実施形態において、インサート特異的プライマーは、インサート特異的プライマーを使用して増幅された断片の検出が可能なように標識され得る。他の実施形態において、得られた増幅された核酸分子を標識プローブとハイブリダイズさせ、イベント127核酸分子を特定又は検出できる。
【0111】
別の実施形態において、全インサートDNA又はイベント127DNAの表示であるインサートの一部を増幅するプライマー対を開発できる。例えば、いくつかの実施形態において、インサートの5’隣接領域及び3’隣接領域からプライミングするプライマーを使用して全DNAを増幅するプライマー対を設計できる。又は、イベント127インサート単独の領域を増幅でき、インサートの存在を特定するプライマー対を設計できる。例えば、生物学的試料中のインサートの存在を検出するために使用する、プラスミドpAC321のPvuII断片内の任意の領域を増幅するプライマーを設計できる。このようなプライマーは、配列番号1の1312及び6069位の間の領域を含むインサートDNAの任意の領域を増幅できるプライマーを含む。いくつかの実施形態において、インサートDNAのシロイヌナズナ突然変異AHASコーディング配列(例えば、2762から4774又はそれらの断片)又はインサートのコーディング配列及び調節配列の任意の組合せを増幅できるプライマー対を開発できる。
【0112】
増幅核酸分子(アンプリコン)は、イベント127核酸分子を検出できる任意の長さの核酸分子であり得る。例えば、アンプリコンは、約10、50、100、200、300、500、700、100、2000、3000、4000、5000ヌクレオチド長又はそれ以上である。
【0113】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数のイベント127核酸分子の特異的領域が検出され得る。
【0114】
イベント127核酸分子を増幅及び/又は検出できる任意のプライマーを、本発明の方法に用いることができる。一実施形態において、プライマーは、イベント127核酸分子、例えば、配列番号1の配列を有する核酸分子に対応する、又は配列番号1の配列を有する核酸分子と相補的な8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれ以上の連続するヌクレオチドを含むか、又はそれらに相補的である。例えば、いくつかの実施形態において、第1又は第2のプライマーが、イベント127核酸分子を増幅する核酸分子との十分な配列同一性又は配列相補性を共有する場合、第1及び第2のプライマーは、配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、67、68、69及び70の核酸分子を含む。その上さらなる実施形態において、第1及び第2のプライマーは、配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、67、68、69及び70で示される配列の任意の1つ又は任意の組合せを含むことができる。プライマーは、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、15若しくは30又は約7〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45若しくはそれより長いヌクレオチドを含む大豆イベント127領域を増幅するために十分な任意の長さのプライマーであり得る。
【0115】
上記のように、ある実施形態において、有用なプライマー対は、インサートDNA及び隣接5’ゲノムDNA又は隣接3’ゲノムDNAの間のジャンクションポイントと重複する1つのプライマーを含むであろう。このようなプライマーは、5’隣接DNAとインサートDNAとの間のジャンクションポイント(すなわち、配列番号1の1311と1312位との間のジャンクション)周辺並びにインサートDNAと3’隣接DNAとの間のジャンクションポイント(すなわち、配列番号1の6069と6070位との間のジャンクション)周辺に設計できる。このようなプライマーは、隣接領域又はインサートDNAのどちらかに由来する約10ヌクレオチドと、インサートDNA又は隣接領域中のジャンクションポイントを横切る少なくとも1ヌクレオチドとがハイブリダイズするように設計できる。したがって、例えば、プライマーは、少なくとも配列番号1の以下の位置:1311〜1321、1302〜1312、6060〜6070及び/又は6069〜6079によって表されるヌクレオチドとハイブリダイズするように設計されたヌクレオチド配列を含むことができる。
【0116】
他の実施形態において、有用なプライマー対は、インサートDNAのcsr1−2コーディング配列の重複された部分の5’末端(配列番号1の5694位)と近接インサートDNA部分(すなわち、配列番号1の5693位)の3’末端との間のジャンクションポイントと重複する1つのプライマーを含むであろう。このようなプライマーは、重複領域又は近接インサートDNAのどちらかに由来する約10ヌクレオチドと、ジャンクションポイント(例えば、配列番号1の少なくとも5693〜5603又は少なくとも5684〜5694)を横切る少なくとも1ヌクレオチドとがハイブリダイズするように設計できる。
【0117】
本明細書の他の箇所で述べたように、例えばリアルタイムPCRを含む、イベント127核酸分子をPCR増幅する任意の方法を用いることができる。
【0118】
したがって、いくつかの実施形態において、生物学的試料中のイベント127核酸分子の存在を検出する方法を提供する。この方法は、(a)生物学的試料からDNA飼料を抽出するステップ、(b)限定するものではないが、i)配列番号:35及び配列番号:36の配列、ii)配列番号:37及び配列番号:38、iii)配列番号:39及び配列番号:40、iv)配列番号:41及び配列番号:42、v)配列番号:43及び配列番号:44、vi)配列番号:67及び配列番号:68、並びにvii)配列番号:69及び配列番号:70を含む、DNAプライマー分子対(例えば、組合せにより大豆イベント127領域が増幅される、配列番号35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、67、68、69、及び70の任意の組合せ)を提供するステップ、(c)DNA増幅反応条件を提供するステップ、(d)DNA増幅反応を実施し、その結果DNAアンプリコン分子を作製するステップ、並びに(e)DNAアンプリコン分子を検出し、DNA増幅反応におけるDNAアンプリコンの検出が、試料中のイベント127核酸分子の存在を示すステップを含む。核酸分子がプライマー又はプローブとして機能するためには、特定の溶媒及び塩濃度を用いた下で安定な二本鎖構造を形成できるように、配列が十分に相補的であることだけが必要である。
【0119】
ハイブリダイゼーション技術において、標的イベント127核酸分子と選択的にハイブリダイズする核酸分子の全部又は一部を用いることができる。核酸分子プローブを指す場合、「ストリンジェントな条件」又は「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブがその標的配列と、他の配列とハイブリダイズするよりも検出可能に大きい程度(例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍を超える)にハイブリダイズする条件を意図する。特定の増幅プライマー対を使用する標的核酸分子の増幅(例えばPCRによる)に関して、「ストリンジェントな条件」は、プライマー対が、対応する野生型を有するプライマーが結合するであろう標的核酸分子とハイブリダイズ可能な条件である。ストリンジェントな条件は、配列依存性であり、さまざまな環境において異なる。ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄の条件のストリンジェンシーを調節することによって、プローブに対して100%相補的である標的配列を特定できる(相同プロービング(homologous probing))。或いは、配列にいくつかの不一致を可能にするようにストリンジェンシー条件を調整することにより、より程度の低い同一性を検出することができる(非相同的プロービング(heterologous probing))。一般に、プローブは約1000ヌクレオチド長未満又は500ヌクレオチド長未満である。
【0120】
本明細書において使用する場合、実質的に同一又は相補的な配列は、高度にストリンジェントな条件下で比較される、核酸分子の相補体と特異的にハイブリダイズする核酸分子である。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェント条件は、例えば、約45℃において6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、その後、50℃において2×SSCの洗浄は、当業者にとって公知である。通常、ハイブリダイゼーション及び検出のためのストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.5M Naイオン未満、通常pH7.0から8.3において約0.01から1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)であり、温度は、短いプローブ(例えば10から50ヌクレオチド)に関しては少なくとも約30℃及び長いプローブ(例えば50ヌクレオチドを超える)に関しては少なくとも60℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定な薬剤を加えることによっても達成できる。低ストリンジェンシーの条件の例は、37℃における30から35%のホルムアミドの緩衝液、1MのNaCl、1%のSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を用いたハイブリダイゼーション及び50から55℃における1×から2×SSC(20×SSC=3.0MのNaCl/0.3Mクエン酸3ナトリウム)中の洗浄を含む。中程度のストリンジェンシーの条件の例は、37℃における40から45%のホルムアミド、1.0MのNaCl、1%のSDSを用いたハイブリダイゼーション及び50から60℃における0.5×から1×SSC中の洗浄を含む。高度なストリンジェンシー条件の例は、37℃における50%のホルムアミド、1MのNaCl、1%のSDSを用いたハイブリダイゼーション及び60から65℃における0.1×SSC中の洗浄を含む。場合により、洗浄緩衝液は、約0.1%から約1%のSDSを含み得る。ハイブリダイゼーション期間は約24時間以内、ふつうは訳4時間から訳12時間である。洗浄時間は少なくとも平衡に達するために十分な時間の長さであろう。
【0121】
ハイブリダイゼーション反応において、特異性は典型的にはハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、重大な因子は最終洗浄溶液のイオン強度及び温度である。DNA−DNAハイブリッドについて、T
mは、Meinkoth及びWahl(1984年)Anal.Biochem.138巻:267〜284頁の式、すなわちT
m=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%form)−500/Lから近似することができ、式中、Mは一価陽イオンのモル濃度、%GCはDNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドの百分率であり、%formはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセントであり、Lは塩基対中のハイブリッドの長さである。T
mは、(所定のイオン強度及びpH下の)相補的標的配列の50%が完全一致のプローブとハイブリダイズする温度である。T
mはそれぞれ1%の不一致ごとに約1℃減少し、したがって、T
m、ハイブリダイゼーション、及び/又は洗浄条件を調整して、所望の同一性の配列とハイブリダイズさせることができる。例えば、≧90%の同一性を有する配列が求められる場合、T
mは10℃減少し得る。一般に、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度及びpHにおいて、特異的配列及びその相補体についての熱融解温度(T
m)よりも約5℃低くなるように選択される。しかし、重度にストリンジェントな条件は、熱融解温度(T
m)よりも1、2、3、又は4℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ、中程度にストリンジェントな条件は、熱融解温度(T
m)よりも6、7、8、9、又は10℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができ、低ストリンジェンシー条件は、熱融解温度(T
m)よりも11、12、13、14、15、又は20℃低い温度でのハイブリダイゼーション及び/又は洗浄を利用することができる。当業者は、この式、ハイブリダイゼーション及び洗浄の条件、並びに所望のT
mを使用して、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄溶液のストリンジェンシーにおける変動が本質的に説明されることを理解しているであろう。所望の程度の不一致が45℃(水溶液)又は32℃(ホルムアミド溶液)未満のT
mをもたらす場合、SSC濃度を増加させることにより、高温を使用できるようにすることが最適である。プローブと標的DNA分子とのハイブリダイゼーションは、当業者に高知の任意の数の方法によって検出でき、これらは、限定するものではないが、蛍光タグ、放射活性タグ、抗体に基づくタグ及び化学発光タグを含むことができる。
【0122】
核酸分子は、それらが相補性を示す場合、別の核酸分子の「相補体」であると言われる。本明細書において使用する場合、核酸分子の1つの個々のヌクレオチドが他のヌクレオチドと相補的である場合、分子は「完全な相補性」を示すと言われる。少なくとも従来の「低ストリンジェンシー」な条件下で、十分な安定性で相互にハイブリダイズし、相互にアニーリングしたままでいることができる場合、2つの分子は「最小限に相補的」であると言われる。同様に、従来の「高度にストリンジェンシー」な条件下で、十分な安定性で相互にハイブリダイズし、相互にアニーリングしたままでいることができる場合、分子は「相補的」であると言われる。
【0123】
他の実施形態において、イベント127植物は、シロイヌナズナAHASポリペプチドの発現の検出によって検出又は特定され得る。AHASポリペプチドの検出には任意の方法が使用できる。例えば、導入されたAHASタンパク質に対して惹起された抗体を使用して、AHASポリペプチドの発現の存在を検出できる。
【0124】
限定するものではないが、Genetic Bit Analysisを含む任意の方法を使用して、イベント127核酸分子又はそれらのアンプリコンを検出できる。一方法において、近接する隣接DNA配列及び挿入されたDNA配列の両方と重複するDNAオリゴヌクレオチドが設計される。他の実施形態において、イベント127特異的アンプリコンを可能にするDNAプライマーオリゴが設計される。オリゴヌクレオチドをマイクロウェルプレートのウェルに固定する。対象領域のPCR後に、一本鎖PCR産物を固定されたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼ及び予想される次の塩基に特異的な標識ddNTPを使用する一塩基伸長反応の鋳型として機能させることができる。読出しは、蛍光又はELISAに基づいて実施できる。シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション及び一塩基伸長法が成功することにより、インサート/隣接配列の存在を示す。
【0125】
本発明の方法に使用する別の検出方法は、パイロシーケンシング技術である。この方法において、近接DNAとインサートDNAとのジャンクションと重複するオリゴヌクレオチドが設計されるか、又はイベント127特異的領域を増幅できるオリゴ対が用いられる。オリゴヌクレオチドを、対象領域(挿入された配列中の一プライマー及び隣接配列中の一プライマー)由来の一本鎖PCR産物とハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’ホスホ硫酸及びルシフェリンの存在下でインキュベートする。dNTPを個別に加え、取込みにより測定される光シグナルがもたらされる。光シグナルは、増幅、ハイブリダイゼーション及び一塩基伸長法又は多塩基伸長法の成功によるトランス遺伝子インサート/隣接配列の存在を示す。
【0126】
蛍光偏光法を使用して、本発明のアンプリコンを検出することもまた可能である。この方法を使用して、近接DNAとインサートDNAとのジャンクションと重複するオリゴヌクレオチドが設計されるか、又はイベント127特異的領域を増幅できるオリゴ対が用いられる。オリゴヌクレオチドを、対象領域(挿入されたDNA列中の一プライマー及び隣接DNA中の一プライマー)由来の一本鎖PCR産物とハイブリダイズさせ、DNAポリメラーゼ及び傾向標識ddNTPの存在下でインキュベートする。一塩基伸長法はddNTPの取込みをもたらす。取込みは、蛍光光度計を使用して、偏光の変化として測定できる。蛍光の変化は、増幅、ハイブリダイゼーション及び一塩基伸長法の成功によるトランス遺伝子インサート/隣接配列の存在を示す。
【0127】
Taqman(登録商標)遺伝子発現アッセイ(PE Applied Biosystems、Foster City、Calif.)は、イベント127核酸分子の存在の検出及び定量にもさらに使用できる。簡潔に言うと、近接DNAとインサートDNAとのジャンクションと重複するFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計されるか、又はイベント127核酸分子を増幅できるオリゴ対が用いられる。FRETプローブ及びPCRプライマー(インサートDNA配列中の一プライマー及び隣接ゲノム配列中の一プライマー)を、熱安定性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下で循環させる。FRETプローブのハイブリダイゼーションにより、FRETプローブのクエンチ部分から離れた蛍光部分の切断及び放出がもたらされる。蛍光シグナルは、増幅及びハイブリダイゼーションの成功による隣接配列/トランス遺伝子インサート配列の存在を示す。
【0128】
分子指標もまた、開示の方法に使用できる。簡潔に言うと、隣接DNAとインサートDNAとのジャンクションと重複するFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計されるか、又は127特異的領域を増幅できるオリゴ対が用いられる。FRETプローブの固有の構造は、ごく近接した蛍光部分及びクエンチ部分を維持する二次構造の包含をもたらす。FRETプローブ及びPCRプライマー(インサートDNA列中の一プライマー及び隣接配列中の一プライマー)を、熱安定性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下で循環させる。PCR増幅の成功後、FRETプローブと標的配列とのハイブリダイゼーションにより、プローブ二次構造の除去及び蛍光部分及びクエンチ部分の空間的隔離がもたらされる。蛍光シグナルが生じる。蛍光シグナルは、増幅及びハイブリダイゼーションの成功による隣接配列/トランス遺伝子インサート配列の存在を示す。
【0129】
アンプリコン内に見出される配列に特異的なプローブを使用するハイブリダイゼーション反応は、本発明のPCR反応によって作製されるアンプリコンを検出するためのさらに別の方法である。
【0130】
別の実施形態において、イベント127核酸分子は、イベント127核酸分子により作製されるポリペプチドを検出するための方法により検出又は特定され得る。例えば、csr−1AHAS遺伝子の発現産物は、本明細書に開示の方法を使用して検出され得る。このような方法は、挿入されたイベント127核酸分子により作製されたポリペプチドと結合できる結合タンパク質の使用を含む。このような方法は、限定するものではないが、免疫学的アッセイ、例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)、抗原アッセイ、免疫染色、免疫組織化学法、タンパク質チップアッセイ、放射性免疫沈降法、イムノクロマト膜による迅速アッセイ及びイムノクロマトスティックによる迅速アッセイ(側方フロー試験)を含む。
【0131】
本明細書に開示の方法は、例えば、診断分子(プライマー及び/又はプローブなど)を基質に結合し、装置、例えばアレイ又はマイクロアレイ又はマルチウェルプレートを形成することによって、ハイスループット技術における使用に適号させることができる。この装置は、チップ、スライド、プレート、膜、ファイバー、ビーズ、ストリップ、スティック、マット、格子、棒、布、血管壁などの任意の有用なフォーマットで提供できる。さらに、基質は、ガラス、セラミック、ゲル(例えば、ヒドロゲル、ミクロゲル、擬似ゲル)及びポリマー材料(例えば、プラスチック、シリコン、フッ素ポリマー)などの利用可能な任意の材料で作製できる。したがって、本発明の装置及び方法に使用する基質は、限定するものではないが、シリカチップ、ナイロン膜、光ファイバー、マルチウェルプレートなどを含む。プローブ又は他のイベント127診断分子を、共有結合、配位結合及び非共有結合(例えば、イオン結合、水素結合、親油性引力)などの、利用可能な任意の結合方法を使用して基質に結合できる。
【0132】
ハイスループットな検出、特定又は発現のモニタリングのためのアレイに基づく方法を利用して、イベント127核酸分子ハイブリダイゼーションの標的を測定できる。この「チップ」に基づく取組みは、遺伝子特異的ハイブリダイゼーションの標的として核酸分子のマイクロアレイを使用して、対応する遺伝子の発現を定量的に測定するステップを含む。大きな配列の個々のヌクレオチドを、同時にクエリできる。ハイブリダイゼーションを使用して、ヌクレオチド配列を効率的に分析できる。
【0133】
利用可能な任意のマイクロアレイ法を、本発明の方法に使用できる。例えば、マイクロアレイ法により、すべての可能なサブ配列候補を表す一連のオリゴヌクレオチド又はcDNA分子とのハイブリダイゼーションによって、分析する配列を比較できる。第2の方法は、試料と、オリゴヌクレオチド又はcDNAプローブのアレイとをハイブリダイズする。イベント127標的配列のサブ配列と相補的なオリゴヌクレオチド又はcDNA分子からなるアレイを使用して、標的配列の同一性を決定し、その量を測定し、標的配列と参照配列との差を検出することができる。核酸分子のマイクロアレイを、タンパク質分子又はそれらの断片を用いてスクリーニングし、タンパク質分子又はそれらの断片と特異的に結合する核酸分子を決定することもできる。本発明の方法に使用する他のマイクロアレイ診断方法は、例えば、米国特許公開第2007/0298423号に開示の方法を含む。
【0134】
したがって、イベント127核酸分子は、試料中で利用可能な任意の方法を使用して特定又は検出できる。このような方法は、限定するものではないが、ゲル分離技術、核酸ブロット検出(例えば、サザンハイブリダイゼーション、ノーザンハイブリダイゼーション)、定性的、半定量的又は定量的PCR、改変AHASLの発現の検出のための免疫アッセイ(例えば、ELISA、任意の免疫グロブリン、モノクローナル抗体、一本鎖後退又は結合領域保有抗体断片を使用するストリップアッセイ(例えば、側方フローストリップ))及びマイクロアレイ又は「マイクロチップ」に基づく検出アッセイを含む。他の実施形態において、この方法は、質量分析法又は核磁気共鳴(NMR)技術を使用して、生物学的試料中のイベント127核酸分子の存在を検出又は特定できる。
【0135】
このような検出方法において有用な装置を、本明細書のさまざまな実施形態においてさらに提供し、この装置は表面を有する個体支持体を含み、少なくとも1つのイベント127診断分子と結合する。これらは、ハイブリダイゼーションアッセイ装置、免疫アッセイ装置、レポーター−リガンド結合アッセイ装置又は当分野において公知の任意の他の装置であり得る。
【0136】
VII.キット
本発明は、イベント127植物又はイベント127核酸分子を検出するキットをさらに提供し、このキットは、イベント127核酸分子を増幅できる第1及び第2の核酸プライマーを含む。得られた増幅されたイベント127核酸分子は、直接検出され得る、又はDNAを含有する生物学的試料との反応においてハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。
【0137】
本明細書において使用する場合、「キット」は、方法実施形態、より具体的には、生物学的試料中の127イベントの特定及び/又は検出を実施する目的のための、一連の試薬を指す。品質管理(例えば種地の純度)、植物材料又は植物材料を含む若しくは植物材料に由来する材料、例えば、限定するものではないが食品又は飼料中のイベント127核酸分子の検出の目的のために、このキットを使用でき、その成分を具体的に調節できる。
【0138】
特定の実施形態において、生物学的試料中のイベント127核酸分子を特定するキットを提供する。このキットは第1及び第2のプライマーを含み、第1及び第2のプライマーはイベント127核酸分子を増幅できる。さらなる実施形態において、このキットはイベント127核酸分子の検出のための核酸分子をさらに含む。このキットは、例えば、第1のプライマー及び第2のプライマー配列番号35、36、37、38、39、40、41、42、43、及び44の配列を有する核酸分子を含み、第1又は第2のプライマーは、イベント127核酸分子を増幅する核酸分子との、十分な配列相同性又は配列相補性を共有する。例えば、特定の実施形態において、第1のプライマー又は第2のプライマーは配列番号35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、67、68、69及び70の配列を有する核酸分子の断片を含み、第1又は第2のプライマーは、イベント127分子を増幅する核酸分子との、十分な配列相同性又は配列相補性を共有する。プライマー対は、列番号5の配列を有する核酸分子の断片及び配列番号6の配列を有する核酸分子の断片を含むことができ、又はプライマー対は、i)配列番号:35及び配列番号:36、ii)配列番号:37及び配列番号:38、iii)配列番号:39及び配列番号:40、iv)配列番号:41及び配列番号:42、v)配列番号:43及び配列番号:44、vi)配列番号:67及び配列番号:68、及びvii)配列番号:69及び配列番号:70の配列から選択され得る。その上さらなる実施形態において、第1及び第2のプライマーは配列番号:35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、67、68、69、及び70で示される配列の1つ又は任意の組合せを含むことができる。プライマーは、少なくとも6、7、8、9、10、15、20、15若しくは30又は約7〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜35、35〜40、40〜45若しくはそれより長いヌクレオチドを含むイベント127領域を増幅するために十分な任意の長さであり得る。
【0139】
イベント127領域を特異的に検出できる少なくとも1つの核酸分子を含むDNA検出キットをさらに提供し、この核酸分子は配列番号:5及び/又は6と相同又は相補的な、十分な長さの連続するヌクレオチドの少なくとも1つのDNA分子を含む。いくつかの実施形態において、このDNA検出キットは、配列番号:5及び/又は6を有する核酸分子を含む、又はイベント127領域を特異的に検出する配列とハイブリダイズする配列、例えば、配列番号5及び/又は6からなる群から選択される配列を含む。
【0140】
VIII.雑草を防除する方法
本発明は、雑草又は望ましくない植物を防除するための方法及び組成物をさらに提供する。この方法は、一般的に有効量の1種又は複数種の非選択性除草剤を、1種又は複数種のイベント127大豆植物を含有する耕作地又は作物畑に適用するステップを含む。任意の雑草は開示の方法で防除できるが、いくつかの実施形態において、この方法は、AHAS阻害性除草剤に対して感受性の、地域又は田畑中の雑草又は望ましくない植物を、まず特定するステップを含むことができる。
【0141】
作地域において雑草を防除し、耕作地において雑草又は望ましくない植物の発達又は出現を防止し、作物を生産し、作物の安全を増加する方法を提供する。「防除」及びそれらの派生語、例えば「雑草を防除する」は、雑草及び/又は望ましくない植物の成長、発芽、生殖及び/又は増殖の1種又は複数種の阻害、並びに/或いは雑草及び/又は望ましくない植物の出現及び/又は活性の殺害、除去、破壊又は他の低下を指す。
【0142】
本発明の方法は、同じ量及び同じ型の除草剤を用いて処理されていない地域と比較して、地域において雑草又は望ましくない植物の量を少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%減少させるなど、地域において任意の測定可能な量によって雑草又は望ましくない植物を防除できる。雑草又は望ましくない植物の防除は、任意の再現可能な測定方法によって測定できる。一実施形態において、雑草又は望ましくない植物の防除は、除草剤を用いて処理した地域において成長した雑草又は望ましくない植物の数を計測し、同じ大きさの未処理地域において成長した雑草又は望ましくない植物の数と比較することによって測定される。
【0143】
本発明は、イベント127大豆植物の種子を、播種前及び/又は予備発芽後にAHAS阻害性除草剤に接触させることにより、雑草又は望ましくない植物を防除する方法をさらに提供する。この方法は、種子を、例えば適切な成長培地、例えば畑土壌又は温室の鉢植え用培地に播種するステップをさらに含むことができる。本方法は、種子のすぐ近隣における雑草及び/又は望ましくない植物の防除において特に用途が見出される。
【0144】
広い意味において、雑草は、望まれない場所に成長するすべての植物を意味すると理解される。
【0145】
本発明によって防除され得る雑草は、例えば、双子葉植物及び単子葉植物の雑草を含む。開示の方法を使用して防除できる双子葉植物の雑草は、限定するものではないが、シロガラシ属(Sinapis)、マメグンバイナズナ属(Lepidium)、ヤエムグラ属(Galium)、ハコベ属(Stellaria)、シカギク属(Matricaria)、ローマカミツレ属(Anthemis)、ハキダメギクゴメギク属(Galinsoga)、アカザ属(Chenopodium)、イラクサ属(Urtica)、キオン属(Senecio)、ヒユ属(Amaranthus)、スベリヒユ属(Portulaca)、オナモミ属(Xanthium)、ヒルガオ属(Convolvulus)、サツマイモ属(Ipomoea)、タデ属(Polygonum)、ツノクサネム属(Sesbania)、ブタクサ属(Ambrosia)、アザミ属(Cirsium)、ヒレアザミ属(Carduus)、ノゲシ属(Sonchus)、ナス属(Solanum)、イヌガラシ属(Rorippa)、キカシグサ属(Rotala)、アゼナ属(Lindernia)、オドリコソウ属(Lamium)、クワガタソウ属(Veronica)、イチビ属(Abutilon)、イヌスイバ属(Emex)、チョウセンアサガオ属(Datura)、スミレ属(Viola)、チシマオドリコソウ属(Galeopsis)、ケシ属(Papaver)、ヤグルマギク属(Centaurea)、シャジクソウ属(Trifolium)、キンポウゲ属(Ranunculus)及びタンポポ属(Taraxacum)の各属の雑草を含む。開示の方法を使用して防除できる単子葉植物の雑草は、限定するものではないが、ヒエ属(Echinochloa)、エノコログサ属(Setaria)、キビ属(Panicum)、メヒシバ属(Digitaria)、アワガエリ属(Phleum)、イチゴツナギ属(Poa)、ウシノケグサ属(Festuca)、オヒシバ属(Eleusine)、ビロードキビ属(Brachiaria)、ドクムギ属(Lolium)、スズメノチャヒキ属(Bromus)、カラスムギ属(Avena)、カヤツリグサ属(Cyperus)、モロコシ属(Sorghum)、カモジグサ属(Agropyron)、ギョウギシバ属(Cynodon)、ミズアオイ属(Monochoria)、フィムブリスチリス属(Fimbristyslis)、オカダモ属(Sagittaria)、ハリイ属(Eleocharis)、ホタルイ属(Scirpus)、スズメノヒエ属(Paspalum)、カモノハシ属(Ischaemum)、ナガボノウルシ属(Sphenoclea)、ツノツメガヤ属(Dactyloctenium)、コヌカグサ属(Agrostis)、スズメノテッポウ属(Alopecurus)及びセイヨウヌカボ属(Apera)の各属の雑草を含む。本発明の方法によって防除できる特定の雑草は、限定するものではないが、農業的に重要な雑草、例えば、サツマイモ属(Ipomoea spp.)、ツユクサ属(Commelina spp.)、コトブキギク(Tridax procumbens)、トウダイグサ属(Euphorbia spp.)、シダ属(Sida spp)、センダイグサ属(Bidens spp.)、ハキダメギク属(Galinsoga spp.)、ナス属(Solanum spp.)、オナモミ属(Xanthium spp.)、カザ属(Chenopodium spp.)、ヒロハフタバムグラ(Spermacoce latifolia)、ブラジルハシカグサモドキ(Richardia brasiliensis)、ノゲシ(Sonchus oleraceous)、イズハハコ属(Conyza spp)、アマランサス属(Amaranthus spp.)、アカントスペルマム属(Acanthospermum spp.)、イガニガクサ属(Hyptis spp.)、スベリヒユ(Portulaca oleracea)、エビスグサ(Casia obtusifolia)を含み、カヤツリグサ属(Cyperus spp.)のカヤツリグサ科(cyperaceas species)並びにビードロキビ属(Brachiaria spp.)、メシヒバ属(Digitaria spp.)、キビ属(Panicum spp.)、エノコログサ属(Setaria spp.)、セイバンモロコシ(Sorghum halepense)、ヒエ属(Echnochloa spp.)、ヒシバ(Eleusine indica)、及びチカラシバ属(Pennisetum spp.)を含む草種の防除をさらに含む。非選択性イミダゾリノン系除草剤の使用で、開示された方法が防除雑草、例えば、ツユクサ属、イズハハコ属、カマエシス・ヒルタ(Chamaesise hirta)、ヒロハフタバムグラ、ブラジルハシカグサモドキ、サツマイモ属、ショウジョウソウ(Euphorbia heterophylla)、ヒエ属及びエビスグサを防除する困難の制御にとって有利である。
【0146】
さらに、本発明の方法によって防除できる雑草は、例えば、特定の場所に成長している望ましくない作物植物を含む。例えば、大豆植物の田畑においてトウモロコシ植物が望ましくない場合、イベント127大豆植物を優勢に含む田畑中に存在する自生のトウモロコシ植物は、雑草と見なすことができる。
【0147】
本発明の方法によって防除できる望ましくない植物は、昨シーズンに特定の田畑に以前植えられた望ましくない植物、又は近接地域に植えられた望ましくない植物を含み、大豆、トウモロコシ、キャノーラ、綿、ヒマワリなどを含む作物植物を含む。いくつかの態様において、作物植物は、除草剤、例えば、グリホセート系除草剤又はグルホシネート系除草剤に対して耐性であり得、又はAHAS阻害性除草剤に対して耐性であり得る。
【0148】
本明細書において使用する場合、「耕作地域」又は「耕作地」は、1種又は複数種の植物、例えば、イベント127大豆植物の成長が望まれる任意の領域を含む。このような耕作地域は、限定するものではないが、イベント127大豆植物が栽培される田畑(作物畑、野外試験など)、温室、成長チャンバーなどを含む。
【0149】
本方法は、耕作地域にイベント127大豆種子又は大豆植物を植え付けるステップを含み、いくつかの実施形態において、作物、種子、雑草、望ましくない植物、土壌又はそれらの耕作地域に、有効量の対象の除草剤を適用するステップを含む。除草剤は、イベント127大豆植物の栽培期間中任意の時間に適用できる。除草剤は、作物を耕作地域に植え付ける前又は後に適用できる。このような除草剤の適用は、AHAS阻害性除草剤又はそれらの組合せを含み得る。
【0150】
「有効量」という用語は、耕作地において雑草又は望ましくない植物防除の任意の観察可能な測定がもたらされるために十分な除草剤の量を意味する。有効量のAHAS阻害性除草剤は、約50g ai/haから約500g ai/haまでの間、約50g ai/ha及び約400g ai/haの間又は約50g ai/haから約300g ai/haまでの間の範囲であり得る。有効量の AHAS阻害性除草剤は、さらに約 70g ai/ha、140g ai/ha又は280g ai/haであり得る。AHAS阻害性除草剤に関する本発明の方法における適用の有効率は、環境を含む多くの因子により影響を受けることがあり、実際の使用条件下で決定されるべきである。雑草又は望ましくない植物の防除は、1種又は複数種のAHAS阻害性除草剤を、イベント127大豆を有さない地域におけるこのような防除に使用する量と同様又はそれを超える率で適用することにより得ることができる。このような適用率は、70g ai/ha、140又は280g ai/haの率又はこれらと同等を含む。通常の市販の適用率は、約70g ai/ha のAHAS阻害性除草剤であり、さらに1×率の適用と称される。
【0151】
いくつかの実施形態において、有効量は、防除される雑草又は望ましくない植物が耐性である量を超えるAHAS阻害性除草剤の量であり得る。例えば、雑草又は望ましくない植物が70g ai/haの適用に対して耐性であるが、140g ai/haの適用に対しては感受性である実施形態において、その場合、有効量は140g ai/haである。
【0152】
したがって、本発明は、有効量の非選択性除草剤を、1種又は複数種のイベント127大豆植物を有する耕作地に適用するステップを含む、耕作地において雑草又は望ましくない植物の成長を防除する方法を提供する。
【0153】
有効量のAHAS阻害性除草剤を、1種又は複数種のイベント127大豆植物を有する耕作地に適用するステップを含む、耕作地においてAHAS阻害性除草剤の雑草又は植物を防除する方法をさらに提供する。
【0154】
有効量のAHAS阻害性除草剤を、1種又は複数種のイベント127大豆植物を有する耕作地に適用するステップを含む、耕作地においてAHAS阻害性除草剤耐性の雑草又は植物を防除する方法をさらに提供する。このような実施形態において、有効量のAHAS阻害性除草剤は、雑草を防除するために十分な量で適用され、一方、イベント127大豆植物には実質的に全く影響を与えない。
【0155】
いくつかの実施形態において、雑草は、イベント127大豆の種子の地域への植え付け前に防除され得る。例えば、AHAS阻害性除草剤などの非選択性除草剤は、種子の植え付け前に地域において雑草を減少又は除去するための有効量で、種子の植え付け前に適用できる。このような適用は、雑草を防除するために有効な、植え付け前の任意の時間、例えば、植え付け前1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又はそれを超える日数実施できる。さらに、農業用組成物の任意の組合せが、このような方法に適用できる。
【0156】
他の実施形態において、雑草は、イベント127大豆種子の植え付け後に防除できる。例えば、AHAS阻害性除草剤は、成長大豆植物、植物部位、成長植物の周辺及びその近隣の(土壌などの)成長培地又は地域、すなわち、大豆イベント127植物(単数又は複数)が成長する局所環境に、地域において雑草を防除するために有効な量で、適用できる。成長大豆イベント127植物は、任意の発達段階にあってよい。いくつかのこのような実施形態において、除草剤を適用する時に、成長大豆は少なくとも第1本葉期にある。さらに、農業用組成物の任意の組合せが、このような方法に適用できる。
【0157】
農業用組成物の組合せを本方法に使用する場合、このような組合せは、除草剤、防かび剤、殺菌剤、殺虫剤などの組合せを含むことができる。例えば、AHAS阻害性除草剤は、他の除草剤、例えば、5−エノールピルビルシキミ酸3−リン酸シンターゼ(EPSPS)−阻害性除草剤、グルタミンシンターゼ(GS)阻害性除草剤、プロトポルフィノーゲン[IX]オキシダーゼ(PPO)阻害性除草剤、オーキシン系除草剤又はそれらの組合せと組み合わせることができる。
【0158】
IX.収率を上げる方法
1種又は複数種のイベント127大豆植物を有する耕作地に有効量のAHAS阻害性除草剤を適用するステップ、及び大豆植物に由来する種子の収穫ステップを含む、大豆植物(単数又は複数)の収率を上げる方法をさらに提供する。いくつかの実施形態において、大豆植物(単数又は複数)の収率の増加は、大豆植物(単数又は複数)の局所地域において成長する、通常は大豆植物(単数又は複数)と競合するであろう雑草の減少の結果である。
【0159】
このような方法を使用することによって、地域における大豆の収率は、大豆イベント127植物を有さない、比較可能な地域と比較して上げることができる。大豆の収率は、限定するものではないが、有効量のAHAS阻害性除草剤がイベント127大豆植物を有さない地域に適用される、比較可能な地域から得られた収率と比較して5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%又はそれ以上を含む、任意の量上げることができる。
【0160】
X.農業用化学組成物
本発明は、開示された大豆127植物に適用するための農業用組成物をさらに提供する。このような組成物は、除草剤、防かび剤、抗菌剤、肥料などを含むことができる。一実施形態において、この農業用組成物は、1種若しくは複数種の除草剤又は1種若しくは複数種の除草剤と別の農業用組成物、例えば防かび剤、抗菌剤、肥料などとの組合せを含む、除草組成物である。
【0161】
任意の除草剤は、大豆イベント127作物、作物部位、又はイベント127大豆植物を含有する耕作地域に適用できる。除草剤の分類(すなわち、除草剤のクラス及びサブクラスへのグループ分け)は当分野において周知であり、HRAC(除草剤抵抗性(対策)委員会(Herbicide Resistance Action Committee))及びWSSA(アメリカ雑草学会(the Weed Science Society of America))による分類を含む。HRAC分類は、例えば、ウェブサイトのhracglobal.com/Publications/Classificationof HerbicideModeofAction/tabid/222/Default.aspxにおいてワールドワイドに利用できる。HRAC分類の簡略版(対応するWSSAグループに関する覚書も含む)。
【0162】
いくつかの実施形態において、本発明は、イミダゾリノン系除草剤、スルホニル尿素系除草剤、トリアゾロピリミジン系除草剤、ピリミジニルオキシベンゾエート系除草剤、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系除草剤及びそれらの混合物からなる群から選択される、少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤の使用を含む方法を提供する。これらの方法において、AHAS阻害性除草剤は、限定するものではないが、種子処理、土壌処理及び茎葉処理を含む当分野において公知の任意の方法によって適用できる。
【0163】
いくつかの実施形態において、AHAS阻害性除草剤は、1種又は複数種のさらなる農業用組成物、例えば、さらなる除草剤、防かび剤、抗菌剤、抗ウィルス組成物又はそれらの組合せと組み合わせることができる。この組合せに使用するさらなる除草剤は、スルファミド系除草剤、有機リン酸エステル系除草剤及びベンゾチアジアジノン系除草剤を含む、任意の除草剤を含む。スルファミド系除草剤は、限定するものではないが、サフルフェナシルを含む。有機リン酸エステル系除草剤は、限定するものではないが、グリホセート及びグルホシネートを含む。ベンゾチアジアジノン系除草剤は、限定するものではないが、ベンタゾンを含む。このような組合せに使用する防かび剤は、限定するものではないが、ピラクロストロビンを含む。
【0164】
AHAS阻害性除草剤組成物の組合せを用いた処理、及び/又は1種又は複数種のAHAS阻害性除草剤組成物及び1種又は複数種のさらなる農業用組成物を用いた処理は、このような組成物の混合物、このような組成物の同時適用、このような組成物の連続適用又はそれらの任意の組合せの適用によって発生し得る。
【0165】
いくつかの実施形態において、AHAS阻害性除草剤組成物は、少なくとも1種のA)AHAS阻害性除草剤及び少なくとも1種のB)クラスb1)からb15)までの除草剤:
b1)脂質生合成阻害剤;
b2)アセト乳酸シンターゼ阻害剤(AHAS阻害剤);
b3)光合成阻害剤;
b4)プロトポルフィリノーゲン−IXオキシダーゼ阻害剤;
b5)白化除草剤;
b6)エノールピルビニルシキミ酸−3−リン酸合成酵素阻害剤(EPSP阻害剤);
b7)グルタミンシンターゼ阻害剤;
b8)7,8−ジヒドロプロテイン酸シンターゼ阻害剤(DHP阻害剤);
b9)有糸分裂阻害剤;
b10)長鎖脂肪酸合成の阻害剤(VLCFA阻害剤);
b11)セルロース生合成阻害剤;
b12)脱共役除草剤;
b13)オーキシン除草剤;
b14)オーキシン輸送阻害剤;
b15)ベンゾイルプロップ、フラムプロップ、フラムプロップ−M、ブロモブチド、クロルフルレノール、シンメチリン、メチルダイムロン、エトベンザニド、ホサミン、メタム、ピリブチカルブ、オキサジクロメホン、ダゾメット、トリアジフラム及び臭化メチルからなる群から選択される他の除草剤、並びに
それらがカルボキシ基を有するという条件で、活性化合物Bの農業的に許容可能な塩及び活性化合物Bの農業的に許容可能な誘導体
から選択されるさらなる活性化合物を含む。
【0166】
他の場合において、少なくとも1種のA)AHAS阻害性除草剤及び少なくとも1種の除草剤Bのこのような組合せを、毒性緩和剤C(このような毒性緩和剤は少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤と組み合わせてもまた使用できる)と組み合わせて使用できる。毒性緩和剤Cは、ベンキサコール、クロキントセット、シオメトリニル、ジクロライド、ジシクロノン、ジエトレート、フェンクロラゾ−ル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イキサジフェン、メフェンピル、メフェネート、ナフタル酸無水物、2,2,5−トリメチル−1−3−(ジクロロアセチル)−1,3−オキサゾリジン(R−29148)、4−(ジクロロアセチル)−1−オキサ−4−アザスピロ[4.5]デカン(AD−67;MON4660)及びオキサベトリニル並びに活性化合物Cのそれらの農業的に許容可能な塩及びそれらがカルボキシル基を有するという条件で、活性化合物Cの農業的に許容可能な誘導体から選択できる。
【0167】
AHAS阻害化合物と組み合わせて使用できる除草剤Bの例は、
b1)脂質生合成阻害剤の群から:クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ−P、フェチアプロップ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−P、イソキサピリホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ−P、トリホップ、アロキシジム、ブトロキシジム、クレトジム、クロプロキシジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、ブチレート、シクロエート、ジアルレート、ジメピペレート、EPTC、エスプロカルブ、エチオレート、イソプロリネート、メチオベンカルブ、モリネート、オルベンカルブ、ペブレート、プロスルホカルブ、スルファルレート、チオベンカルブ、チオカルバジル、トリアルレート、ベルノレート、ベンフレセート、エトフメセート及びベンスリド;
b2)AHAS阻害剤の群から:アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロロスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、ピリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフルオキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド及びピリチオバック;
b3)光合成阻害剤の群から:アトラトン、アトラジン、アメトリン、アジプロトリン、シアナジン、シアナトリン、クロラジン、シプラジン、デスメトリン、ジメタメトリン、ジプロペトリン、エグリナジン、イパジン、メソプラジン、メトメトン、メトプロトリン、プロシアジン、プログリナジン、プロメトン、プロメトリン、プロパジン、セブチラジン、セクブメトン、シマジン、シメトン、シメトリン、テルブメトン、テルブチラジン、テルブチリン、トリエタジン、アメトリジオン、アミブジン、ヘキサジノン、イソメチオジン、メタミトロン、メトリブジン、ブロマシル、イソシル、レナシル、テルバシル、ブロムピラゾン、クロリダゾン、ジミダゾン、デスメジファム、フェニソファム、フェンメジファム、フェンメジファム−エチル、ベンゾチアズロン、ブチウロン、エチジムロン、イソウロン、メタベンズチアズロン、モノイソウロン、テブチウロン、チアザフルロン、アニスロン、ブツロン、クロルブロムロン、クロレツロン、クロロトルロン、クロロクスロン、ジフェノクスロン、ジメフロン、ジウロン、フェヌロン、フルオメツロン、フルオチウロン、イソプロツロン、リヌロン、メチウロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトクスロン、モノリヌロン、モヌロン、ネブロン、パラフルロン、フェノベンズロン、シズロン、テトラフルロン、チジアズロン、シペルクアット、ジエタムクアット、ジフェンゾクアット、ジクアット、モルファムクアット、パラクアット、ブロモボニル、ブロモキシニル、クロロキシニル、ヨードボニル、イオキシニル、アミカルバゾン、ブロモフェノキシム、フルメジン、メタゾール、ベンタゾン、プロパニル、ペンタノクロル、ピリダート及びピリダホル;
b4)プロトポルフィリノーゲン−IXオキシダーゼ阻害剤の群から:アシフルオルフェン、ビフェノックス、クロメトキシフェン、クロルニトロフェン、エトキシフェン、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、ホメサフェン、フリルオキシフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン、オキシフルオルフェン、フルアゾラート、ピラフルフェン、シニドン−エチル、フルミクロラック、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルチアセット、チジアジミン、オキサジアゾン、オキサジアルジル、アザフェニジン、カルフェントラゾン、スルフェントラゾン、ペントキサゾン、ベンズフェンジゾン、ブタフェナシル、ピラクロニル、プロフルアゾル、フルフェンピル、フルプロパシル、ニピラクロフェン及びエトニプロミド;
【0168】
b5)白化除草剤の群から:メトフルラゾン、ノルフルラゾン、フルフェニカン、ジフルフェニカン、ピコリナフェン、ベフルブタミド、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、メソトリオン、スルコトリオン、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、ベンゾフェナップ、ピラゾリナート、ピラゾキシフェン、ベンゾビシクロン、アミトロール、クロマゾン、アクロニフェン、4−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリミジン及びさらに、式I:の3−ヘテロシクリル−置換ベンゾイル誘導体
【化1】
式中、可変のR
8からR
13を以下のように定義する:R
8、R
10は水素、ハロゲン、C
1〜C
6−アルキル、C
1〜C
6−ハロアルキル、C
1〜C
6−アルコキシ、C
1〜C
6−ハロアルコキシ、C
1〜C
6−アルキルチオ、C
1〜C
6−アルキルスルフィニル又はC
1〜C
6−アルキルスルホニルであり、R
9は、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、10イソオキサゾール−5−イル、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−4−イル及び4,5−ジヒドロイソオキサゾール−5−イルからなる群から選択される複素環基であり、述べた9個の基は、非置換であっても又はハロゲン、C
1〜C
4−アルキル、C
1〜C
4−アルコキシ、C
1〜C
4−ハロアルキル、C
1〜C
4−ハロアルコキシ又はC
1〜C
4−アルキルチオによる一置換若しくは多置換、例えば一、二、三、若しくは四置換であってもよく、R
11は、水素、ハロゲン又はC
1〜C
6−アルキルであり、R
12は、C
1〜C
6−アルキルであり、R
13は水素又はC
1〜C
6−アルキルである;
b6)EPSPシンターゼ阻害剤の群から:グリホセート;
b7)グルタミンシンターゼ阻害剤の群から:グルホシネート及びビラナホス;
b8)DHPシンターゼ阻害剤の群から:アスラム;
b9)有糸分裂阻害剤の群から:ベンフルラリン、ブトラリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、メタプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、プロフルラリン、トリフルラリン、アミプロホス−メチル、ブタミホス、ジチオピル、チアゾピル、プロピザミド、テブタム、クロルタール、カルベタミド、クロルブファム、クロルプロファム及びプロファム;
b10)VLCFA阻害剤の群から:アセトクロル、アラクロル、ブタクロル、ブテナクロル、デラクロル、ジエタチル、ジメタクロル、ジメテナミド、ジメテナミド−P、メタザクロル、メトラクロル、S−メトラクロル、プレチラクロル、プロパクロル、プロピソクロル、プリナクロル、テルブクロル、テニルクロル、キシラクロル、アリドクロル、CDEA、エプロナズ、ジフェナミド、ナプロパミド、ナプロアニリド、ペトキサミド、フルフェナセット、メフェナセット、フェントラザミド、アニロホス、ピペロホス、カフェンストロール、インダノファン及びトリジファン;
b11)セルロース生合成阻害剤の群から:ジクロベニル、クロルチアミド、イソオキサベン及びフルポキサム;
b12)脱共役剤除草剤の群から:ジノフェナート、ジノプロプ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、DNOC、エチノフェン及びメジノテルブ;
b13)オーキシン系除草剤の群から:クロメプロップ、2,4−D、2,4,5−T、MCPA、MCPAチオエチル、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ−P、メコプロップ、メコプロップ−P、2,4−DB、MCPB、クロラムベン、ジカンバ、2,3,6−TBA、トリカムバ、キンクロラック、キンメラック、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、トリクロピル及びベナゾリン;
b14)オーキシン輸送阻害剤の群から:ナプタラム、ジフルフェンゾピル;
b15)ベンゾイルプロップ、フラムプロップ、フラムプロップ−M、ブロモブチド、クロルフルレノール、シンメチリン、メチルジムロン、エトベンザニド、ホサミン、メタム、ピリブチカルブ、オキサジクロメホン、ダゾメット、トリアジフラム及び臭化メチル
である。
【0169】
群b1)からb15)の活性化合物B及び活性化合物Cは公知の除草剤及び毒性緩和剤であり、例えば、The Compendium of Pesticide Common Names(hclrss.demon.co.uk/index.htmlのサイトにおいてワールドワイドに利用可能); Farm Chemicals Handbook 2000 Vol.86、Meister Publishing Company、2000年;B.Hock、C.Fedtke、R.R.Schmidt、Herbizide、Georg Thieme Verlag、Stuttgart 1995年;W.H.Ahrens、Herbicide Handbook、第7版、Weed Science Society of America、1994年;及びK.K.Hatzios、Herbicide Handbook、第7版の付録、Weed Science Society of America、1998年を参照されたい。2,2,5−トリメチル−3−(ジクロロアセチル)−1,3−オキサゾリジン[CAS No.52836−31−4]は、R−29148の名称でも公知である。4−(ジクロロアセチル)−1−オキサ−4−アザスピロ[4.5]デカン[CAS No.71526−07−03]は、AD−67及びMON4660の名称でも公知である。式IIの白化除草剤は、WO96/26202、WO97/41116、WO97/41117及びWO97/41118に開示されている。
【0170】
活性化合物Cとして、この組成物は、下記の化合物の少なくとも1種を含むことができる:ベノキサコール、クロキントセット、ジクロルミド、フェンクロラゾ−ル、フェンクロリム、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン、メフェンピル、2,2,5−トリメチル−3−(ジクロロアセチル)−1,3−オキサゾリジン、4−(ジクロロアセチル)−1−オキサ−4−アザスピロ[4.5]デカン及びオキサベトリニル及び/又はそれらの農業的に許容可能な塩及び/又は化合物がCOOH基を有する場合には農業的に許容可能な誘導体。
【0171】
有効成分の組合せを含有する組成物は、活性化合物Aとして少なくとも1種のAHAS阻害性化合物及びクラスb1)からb15)より選択される少なくとも1種の除草剤並びに必要に応じて1種又は複数種の毒性緩和剤Cを含む、二元組成物及び三元組成物であってよい。
【0172】
成分Aとして少なくとも1種のAHAS阻害性化合物及び少なくとも1種の除草剤Bを含む二元組成物において、活性化合物A:Bの重量比は、1:500から10:1の範囲、1:100から10:1の範囲、1:50から10:1の範囲、又は1:25から5:1の範囲であってよい。
【0173】
少なくとも1種のAHAS阻害性化合物及び少なくとも1種の毒性緩和剤C,を含む二元組成物において、活性化合物A:Cの重量比は、通常1:100から10:1の範囲、1:50から10:1の範囲、又は1:25から5:1の範囲である。
【0174】
成分AとしてAHAS阻害性化合物、少なくとも1種の除草剤B及び少なくとも1種の毒性緩和剤Cの両方を含む三元組成物において、成分A:B:Cの相対的重量比は、10:1:1から1:500:10の範囲、10:1:1から1:100:10の範囲、10:1:1から1:50:1の範囲、又は5:1:1から1:25:5の範囲であってよい。一実施形態において、三元組成物において、除草剤B対毒性緩和剤Cの重量比は50:1から1:10の範囲である。
【0175】
米国特許第7,375,058号(参照によりその全体は本明細書に組み込まれる)に記載の除草性活性混合物もまた、大豆イベント127植物に関する処理に使用できる。
【0176】
プロトポルフィリノーゲン[IX]オキシダーゼ(PPO)阻害性除草剤もまた、本発明の組成物における使用を見出される。PPO阻害性除草剤は当分野において公知であり、限定するものではないが、ジフェニルエーテル系除草剤(ニトロフェニルエーテル系除草剤を含む)、例えば、アシフルオルフェン(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ニトロ安息香酸)、ビフェノキス(メチル5−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−ニトロベンゾエート)、DPEI(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−2−ニトロアセトフェノンオキシム−o−(酢酸、メチルエステル))、DPEII(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−3−メトキシフタリド)、エトキシフェン((1S)−1−カルボキシエチル2−クロロ−5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゾエート)、ホメサフェン(5−[2−クロロ−4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]−N−(メチルスルホニル)−2−ニトロベンズアミド)、ラクトフェン(エチルO−[5−(2−クロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリルオキシ)−2−ニトロベンゾイル]−DL−ラクテート)及びオキシフルオルフェン(2−クロロ−1−(3−エトキシ−4−ニトロフェノキシ)−4−(トリフルオロメチル)ベンゼン)を含む。PPO阻害性除草剤は、ジカルボキシイミド系除草剤、例えば、N−フェニル−フタルイミデスフルミクロラク([2−クロロ−5−(シクロヘキサ−1−エン−1,2−ジカルボキシミド)−4−フルオロロフェノキシ]酢酸)、フルミオキサジン(N−(7−フルオロ−3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−プロプ−2−イニル−2H−1,4−ベンゾオキサジン−6−イル)シクロヘキサ−1−エン−1,2−ジカルボキサミド)をさらに含む。PPO阻害性除草剤はトリアゾリノン系除草剤、例えば、カルフェントラゾン(α,2−ジクロロ−5−[4−(ジフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3−メチル−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]−4−フルオロベンゼンプロパン酸)及びスルフェントラゾン(N−[2,4−ジクロロ−5−[4−(ジフルオロメチル)−4,5−ジヒドロ−3−メチル−5−オキソ−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル]フェニル]メタンスルホンアミド)さらに含む。PPO阻害性除草剤は、限定するものではないが、ニピラクロフェン(1−[2,6−ジクロロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ニトロ−1H−ピラゾール−5−アミン)及びピラフルフェン(2−クロロ−5−(4−クロロ−5−ジフルオロメトキシ−1−メチルピラゾール−3−イル)−4−フルオロフェノキシ酢酸)を含む、フェニルピラゾール系除草剤をさらに含む。PPO阻害性除草剤は、オキサジアゾロン系除草剤、例えば、オキサジアゾン(3−[2,4−ジクロロ−5−(1−メチルエトキシ)フェニル]−5−(1,1−ジメチルエチル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)及びオキサジアルギル(5−tert−ブチル−3−[2,4−ジクロロ−5−(プロパ−2−イニルオキシ)フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン)もまた含む。PPO阻害性除草剤チアジアゾロン系除草剤は、例えば、フルチアセト([[2−クロロ−4−フルオロ−5−[(テトラヒドロ−3−オキソ−1H,3H−[1,3,4]チアジアゾロ[3,4−a]ピリダジン−1−イリデン)アミノ]フェニル]チオ]酢酸);Zagar及びSievernichの米国特許公開第2008254985号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)のIII.4)項に記載のチアジアゾロン系除草剤もさらに含む。
【0177】
オーキシン系除草剤もまた、本発明の組成物における使用が見出される。オーキシン系除草剤は、有効成分作用様式がオーキシン模倣体又はオーキシン阻害剤(抗オーキシン)としてである除草性有効成分を含むオーキシン系除草剤を含む。オーキシン系除草剤の例は、限定するものではないが、ピクロラム(4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸);ジカンバ(3,6−ジクロロ−2−メトキシ安息香酸);クロフィブル酸((p−クロロフェノキシ)イソ酪酸);2−(4−クロロフェノキシ)−2−メチルプロパン酸);ベナゾリン(4−クロロ−2−オキソ−3−ベンゾチアゾール酢酸;4−クロロ−2−オキソベンゾチアゾリン−3−イル−酢酸);TIBA(2,3,5−トリヨードベノズ酸);2,3,6−TBA(2,3,6−トリクロロ安息香酸);トリクロピル(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジルオキシ酢酸);キンクロラック(3,7−ジクロロキノリン−8−カルボン酸);及びオーキシン模倣性除草剤又はオーキシン遮断フェノキシ系除草剤、例えば、2,4−D((2,4−ジクロロフェノキシ)酢酸)、MCPA((4−クロロ−2−メチルフェノキシ)酢酸)、2,4−DB(4−(2,4−ジクロロフェノキシ)酪酸)、2,4−DEP(トリス[2−(2,4−ジクロロフェノキシ)エチル]ホスフェート)、4−CPA(4−クロロフェノキシ酢酸)、2,4,5−T((2,4,5−トリクロロフェノキシ)酢酸)、ジクロルプロプ(2−(2,4−ジクロロフェノキシ)プロパン酸)、フェノプロプ(2−(2,4,5−トリクロロフェノキシ)プロパン酸)及びメコプロプ(2−(2−メチル−4−クロロ−フェノキシ)プロピオン酸)を含むフェノキシ酢酸、フェノキシプロピオン酸及びフェノキシ酪酸除草剤を含む。
【0178】
本発明の農業用組成物の組合せの例は、イマザピル及びイマザピック;イマザピル及びベンタゾン;イマザピル、イマザピック及びベンタゾン;イマザピル及びピラクロストロビン;イマザピル、イマザピック及びピラクロストロビン;イマザピル及びサフルフェナシル;イマザピル、イマザピック及びサフルフェナシル;イマザピック、サフルフェナシル及びグリホセート;イマザピル、イマザピック、サフルフェナシル及びグリホセート;イマザピック及びグリホセート;イマザピル及びグリホセート;イマザピル、サフルフェナシル及びグリホセート;並びにサフルフェナシル及びグリホセートを含む。
【0179】
適用前に、AHAS阻害性除草剤などの除草剤を、日常的な製剤、例えば、溶液、エマルジョン、懸濁液、ダスト、散剤、ペースト及び顆粒に変換され得る。使用形態は、特定の意図する目的に依存し、それぞれの場合、本発明に従った化合物の細かく、且つ均一な分散が確保されるべきである。
【0180】
本発明の方法に使用する製剤は、任意の公知の方法、例えば、農薬製剤に適した補助剤、例えば溶媒及び/又は担体、所望であれば乳化剤、界面活性剤及び分散剤、保存剤、消泡剤、凍結防止剤、種子処理用製剤に関しては場合により着色剤及び/又は結合剤及び/又はゲル化剤を用いて活性化合物を拡大することによって調製され得る。
【0181】
製剤に使用する適切な溶媒の例は、水、芳香族溶媒(例えば、Solvesso製品、キシレン)、パラフィン(例えば、鉱油分画)、アルコール(例えば、メタノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例えば、シクロヘキサノン、ガンマ−ブチロラクトン)、ピロリドン(NMP、NOP)、酢酸塩(グリコールジアセテート)、グリコール、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸及び脂肪酸エステルを含む。溶媒混合物もまた使用できる。
【0182】
本発明の製剤に使用する適切な担体の例は、粉砕天然鉱物(例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク)及び粉砕合成鉱物(例えば、高度な分散シリカ、ケイ酸塩)を含む。
【0183】
本発明の製剤に使用する適切な乳化剤は、非イオン性及びアニオン性乳化剤(例えば、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、アルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸)を含む。
【0184】
本発明の製剤に使用する適切な分散剤の例は、リグニン−亜硫酸パルプ廃液及びメチルセルロースを含む。
【0185】
本発明の製剤に使用する適切な界面活性剤は、リグノスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸塩、脂肪アルコール硫酸塩、脂肪酸及び硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテルのアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウムの塩、さらにスルホン化ナフタレン及びナフタレン誘導体とホルムアルデヒドの縮合物、ナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、エトキシ化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグリコールエーテル、トリステアリールフェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコールエチレンオキサイド縮合物、エトキシ化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシ化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグノ亜硫酸パルプ廃液及びメチルセルロースを含む。
【0186】
直接噴霧可能な溶液、エマルジョン、ペースト又は油分散液の調製に適切な物質は、ケロシン又はディーゼル油などの高沸点の媒体の鉱油分画、さらにコールタール油及び植物起源又は動物起源の油、脂肪族、環状及び芳香族の炭水化物、例えば、トルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はそれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、イソホロン、極性の高い溶媒、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン又は水である。
【0187】
グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの凍結防止剤及び殺菌剤なども製剤に加えることができる。
【0188】
本発明の製剤に使用する適切な消泡剤は、例えば、シリコン又はステアリン酸マグネシウムに基づく消泡剤を含む。
【0189】
本発明の製剤に使用する適切な保存剤は、例えば、ジクロロフェノール及びベンジルアルコールヘミホルムアルデヒドを含む。
【0190】
本発明の種子処理製剤は、結合材及び場合により着色剤をさらに含むことができる。
【0191】
結合剤を開示の種子製剤に加え、処理後に活性材料の種子への接着を改善できる。適切な結合剤は、ブロックコポリマーEO/PO界面活性剤であるが、さらに、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリエチレンアミン、ポリエチレンアミド、ポリエチレンイミン、(Lupasol(登録商標)、Polymin(登録商標))、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリビニルアセテート、チロース及びこれらのポリマーに由来するコポリマーである。
【0192】
場合により着色剤もまた本製剤に含まれ得る。種子処理製剤のために適切な着色剤又は染料は、ローダミンB(Rhodamin B)、C.I.ピグメントレッド(C.I.Pigment Red)112、C.I.ソルベントレッド(C.I.Solvent Red)1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベーシックレッド10、ベーシックレッド108である。
【0193】
適切なゲル化剤の例は、カラギーナン(Satiagel(登録商標))である。
【0194】
散剤、拡散材料及びダスト散布可能(dustable)な製品は、活性物質と固体担体とを混合し、同時に粉砕することによって調製され得る。
【0195】
顆粒、例えば、コーティング顆粒、含浸顆粒及び均質顆粒は、活性化合物を固体担体に結合させることによって調製され得る。固体担体の例は、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレイ(attaclay)、石灰岩、石灰、チョーク、膠灰粘土、黄土、粘土、ドロマイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどの鉱物土類、粉砕した合成材料、肥料、例えば、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素など、及び植物起源の製品、例えば穀類粗挽き粉、樹皮粗挽き粉、木材粗挽き粉及び木の実の殻の粗挽き粉、セルロース粉末及び他の個体担体である。
【0196】
一般的に、製剤は、除草剤、例えばAHAS阻害性除草剤の0.01から95重量%、好ましくは0.1から90重量%を含む。除草剤は、90重量%から100重量%、好ましくは95重量%から100重量%(NMRスペクトルによる)の純度で用いられ得る。種子処理の目的に関しては、それぞれの製剤は2〜10倍に希釈し、0.01から60重量%の活性化合物、好ましくは0.1から40重量%のすぐに使える調整品の濃度をもたらし得る。
【0197】
本発明のAHAS阻害性除草剤は、それらの製剤自体の形態で、又はそれらから調製された使用形態、例えば、直接噴霧可能な溶液、散剤、懸濁液又は分散液、エマルジョン、油分散液、ペースト、ダスト散布可能な製品、拡散材料又は顆粒の形態で、噴霧、散布、ダスト散布、拡散又は注入によって、使用され得る。使用形態は、意図する目的に完全に依存し、個々の場合において、本発明によるAHAS阻害性除草剤の最も細かい分散を可能にすることを確実にすることが意図される。
【0198】
水性の使用形態は、水を加えることによって、エマルジョンの濃縮物、ペースト又は可湿性散剤(噴霧可能な粉末、油分散液)から調製され得る。エマルジョン、ペースト又は油分散液を調製するために、そのまま、又は油又は溶媒に溶解した物質は、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤を用いて水中で均質化できる。しかし、さらに、活性物質、湿潤剤、粘着付与剤、分散剤又は乳化剤、必要に応じて溶媒又は油からなる濃縮物を調製でき、このような濃縮物は、水による希釈に適している。
【0199】
すぐ使える調製品中の活性化合物の濃縮物は、比較的広範囲に変更できる。一般的に、それらは0.0001から10%、好ましくは0.01から1重量%である。
【0200】
本発明のAHAS阻害性除草剤はまた、超微量法(ultra−low−volume process)(ULV)においても良好に使用することができ、この場合、95重量%を超える活性化合物を含有する製剤を適用すること、或いは活性化合物を添加剤なしに適用することも可能である。
【0201】
以下は、本発明の方法に使用するためのAHAS阻害性除草剤製剤の例である。
【0202】
1.葉面適用のために水で希釈する製品。種子処理の目的に関しては、このような製品を希釈して、又は希釈しないで種子に適用できる。
【0203】
A)水溶性濃縮物(SL、LS)
10重量部のAHAS阻害性除草剤を90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解する。代替として、湿潤剤又は他の補助剤を加える。AHAS阻害性除草剤は水で希釈すると溶解し、それによって10%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0204】
B)分散性濃縮物(DC)
20重量部のAHAS阻害性除草剤を70重量部のシクロヘキサンに溶解し、10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを加える。水で希釈して分散液を得、それによって、20%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0205】
C)乳化性濃縮物(EC)
15重量部のAHAS阻害性除草剤を7重量部のキシレンに溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びエトキシル化ヒマシ油(それぞれ5重量部)を加える。水で希釈してエマルジョンを得、それによって15%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0206】
D)エマルジョン(EW、EO、ES)
25重量部のAHAS阻害性除草剤を35重量部のキシレンに溶解し、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びエトキシル化ヒマシ油(それぞれ5重量部)を加える。この混合物に、乳化装置(例えばUltraturrax)を用いて30重量部の水を導入し、均質なエマルジョンを得る。水で希釈してエマルジョンを得、それによって25%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0207】
E)懸濁液(SC、OD、FS)
振とうさせたボールミルにおいて、20重量部のAHAS阻害性除草剤を粉砕し、10重量部の分散剤、湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて微細なAHAS阻害性除草剤の懸濁液を得る。水で希釈してAHAS−阻害性除草剤の安定な懸濁液を得、それによって20%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0208】
F)水分散性顆粒及び水溶性顆粒(WG、SG)
50重量部のAHAS阻害性除草剤を、細かく粉砕し、50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて、技術装置(例えば、押し出し機、噴霧塔、流動床)を用いて水分散性又は水溶性の顆粒として作製する。水で希釈してAHAS−阻害性除草剤の安定な懸濁液又は溶液を得、それによって50%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0209】
G)水分散性散剤及び水溶性散剤(WP、SP、SS、WS)
75重量部のAHAS阻害性除草剤をローターステーターミルにおいて粉砕し、25重量部の分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを加える。水で希釈してAHAS−阻害性除草剤の安定な懸濁液又は溶液を得、それによって75%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。
【0210】
H)ゲル製剤(GF)
振とうさせたボールミルにおいて、20重量部のAHAS阻害性除草剤を粉砕し、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて、微細なAHAS阻害性除草剤懸濁液を得る。水で希釈してAHAS阻害性除草剤の安定な懸濁液を得、それによって20%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤を得る。このゲル製剤は、種子処理としての使用に適している。
【0211】
2.葉面適用に希釈しないで用いる製品。種子処理の目的のためには、このような製品は希釈して種子に適用できる。
【0212】
A)ダスト散布可能な散剤(DP、DS)
5重量部のAHAS阻害性除草剤を微細に粉砕し、95重量部の微細に分割したカオリンと密に混合する。これにより、5%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を有するダスト散布可能な製品が得られる。
【0213】
B)顆粒(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部のAHAS阻害性除草剤を微細に粉砕し、95.5重量部の担体を合わせ、それによって0.5%(w/w)のAHAS阻害性除草剤を含む製剤が得られる。通常の方法は、押し出し、噴霧乾燥又は流動床である。これにより顆粒を得、希釈せずに葉面使用に適用される。
【0214】
従来の種子処理用製剤は、例えば流動可能な濃縮物FS、溶液LS、乾燥処理用散剤のDS、スラリー処理のための水分散可能な散剤WS、水溶性散剤SS及びエマルジョンES及びEC並びにゲル製剤GFを含む。これらの製剤は、希釈して、又は希釈しないで種子に適用できる。種子への適用は、播種前に実施するか、又は種子に直接適用するかのどちらかである。
【0215】
一実施形態において、FS製剤を種子処理に使用する。通常、FS製剤は、1〜800g/lの有効成分、1〜200g/lの界面活性剤、0から200g/lの凍結防止剤、0から400g/lの結合剤、0から200g/lの顔料及び1リットルまでの溶媒、好ましくは水を含むことができる。
【0216】
種子処理に関しては、本発明のイベント127大豆植物の種子を除草剤、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロロスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメツルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、ピリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフルオキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド、ピリチオバック及びそれらの混合物などのAHAS阻害性除草剤からなる群から選択される除草剤、又はAHAS阻害性除草剤を含む製剤を用いて処理する。
【0217】
種子処理という用語は、当分野において公知の適切な種子処理技術、例えば、種子粉衣、種子のコーティング、種子へのダスト散布、種子の浸漬及び種子のペレット化を含む。
【0218】
本発明の一変形に従って、本発明のさらなる主題は、組成物/製剤としてAHAS阻害性除草剤を含有するいずれかの顆粒製剤(例えば、場合により1種又は複数種の個体又は液体、農業的に許容可能な担体を含み、及び/又は場合により1種又は複数種の農業的に許容可能な界面活性剤を含む顆粒製剤)の、特に種子を播く畝への適用による土壌の処理方法である。この方法は、例えば穀物、トウモロコシ、綿及びヒマワリの苗床に有利に用いられる。
【0219】
本発明は、アミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロロスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメツルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、ピリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフルオキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキススラム、ビスピリバック、ピリミノバック、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリド及びピリチオバックからなる群から選択される少なくとも1種のAHAS阻害性除草剤を含む種子処理用製剤を用いてコーティングされた種子、又はそれらを含有する種子をさらに含む。
【0220】
「種子」という用語は、限定するものではないが、真の種子、種子の一部、吸枝、球茎、球根、果実、塊茎、挿し木、摘梢などを含む、すべての種類の種子及び植物のむかごを包含する。好ましい実施形態において、真の種子を用いる。「真の種子」は、種皮又は外種皮内に封入された、胚を含有する熟した植物の胚珠並びに例えば穀果又はそう果として果皮又は殻中に封入されたこれらを含有できる種子様生殖構造を指す。
【0221】
「によりコーティングされた及び/又は含有する」という用語は、一般的に、適用方法に依存して原料は多かれ少なかれ増殖産物に浸透するが、有効成分は、適用時に増殖産物の表面の大部分に存在することを意味する。前記増殖産物が(再度)植え付けられた時、前記増殖産物は有効成分を吸収できる。
【0222】
AHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤を含む製剤による種子処理適用を、植物の播種前、及び植物の発生前に種子に噴霧又はダスト散布することによって実施する。
【0223】
種子の処理において、有効量のAHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤を含む製剤を用いて種子を処理することによって、対応する製剤を適用する。本明細書において、適用率は一般的に、0.1gから10kg/種子100kg、好ましくは1gから5kg/種子100kg、特に1gから2.5kg/種子100kgのa.i.(又はa.i.の混合物若しくは製剤)である。レタスなどの特定の作物に関しては、この比率はより高くなり得る。
【0224】
イベント127大豆植物に適用された任意の除草剤製剤は、「タンク混合」組成物として調製できる。このような実施形態において、個々の原料又は原料の組合せは、相互に分離して保存できる。その後原料は、適用前に相互に混合できる。通常、このような混合は適用直前に行われる。タンク混合過程において、混合前、個々の原料は水又は適切な有機溶媒中に存在する。このような製剤の調製方法及びガイダンスは当分野において公知である。
【0225】
本方法は、さらにイベント127大豆植物に使用する除草剤の組合せの開発を可能にする。このような方法において、耕作地域の環境条件が評価される。評価され得る環境条件は、限定するものではないが、土地及び表面の水質汚染の懸念、作物の使用目的、作物の耐性、残積土、耕作地域に存在する雑草、土質、土壌のpH、土壌中の有機質の量、適用機器、及び耕作の実践を含む。環境条件の評価において、有効量の除草剤の組合せを作物、作物部位、作物の種子又は耕作地域に適用できる。
【0226】
いくつかの実施形態において、イベント127大豆植物に適用された除草剤は、感受性の雑草若しくは望ましくない植物の成長の開始を防止するために機能し、及び/又は対象地域において成長している雑草若しくは望ましくない植物に損傷を与えるために機能する。いくつかの実施形態において、除草剤又は除草剤混合物は、対象地域(すなわち、田畑又は耕作地域)にその後に植え付けられた作物に影響を与える雑草又は望ましくない植物に、これらの効果を発揮する。この方法において、除草剤の組合せの適用は、必ずしも同時には起こらない。作物を植え付けられた田畑が、検出可能な量の第1の除草剤を含有し、耕作地域に作物が存在する期間のある時点において第2の除草剤を適用するならば、作物は本発明に従った混合物を用いて処理されていると見なされる。したがって、提供する方法は、「発芽前」、「発芽後」、「植え付け前の組み込み」である除草剤の適用、及び/又は植え付け前の種子処理を含む除草剤の適用を包含する。
【0227】
さらに、イベント127大豆植物の種子のコーティング方法を提供する。本方法は、有効量の除草剤又は(本明細書の別の箇所で開示した)除草剤の組合せを用いて種子をコーティングするステップを含む。その後、種子を耕作地域に植え付けることができる。有効量の除草剤又は(本明細書の別の箇所で開示した)除草剤の組合せを含むコーティングを有するイベント127植物の種子をさらに提供する。
【0228】
「発芽前」は、植物が目に見えるように土から現れる前、及び/又は種子の発芽前に対象地域(例えば、田畑又は耕作地域)に適用される除草剤を指す。「発芽後」は、植物が土から目に見えるように現れた後に地域に適用される除草剤を指す。いくつかの事例において、「発芽前」及び「発芽後」という用語は、対象地域中の雑草又は望ましくない植物に関して使用され、いくつかの事例において、これらの用語は対象地域中の作物に関して使用される。雑草又は望ましくない植物に関して使用される場合、これらの用語は、特定の型の雑草、対象地域に存在する、又は対象地域に存在すると考えられている雑草又は望ましくない植物の種だけに当てはめることができる。任意の除草剤が、発芽前及び/又は発芽後の処理に使用できるが、いくつかの除草剤は、発芽前、又は発芽後のどちらかに適用した時に、雑草(単数又は複数)又は望ましくない植物の防除においてより有効であることが公知である。例えば、リムスルフロンは、発芽前及び発芽後の両方の活性を有するが、他の除草剤は発芽前(メトラクロル)又は発芽後(グリホセート)の活性が優勢である。特定の除草剤のこれらの特性は当分野において公知であり、当業者によって容易に決定される。さらに、当業者は、適切な除草剤並びに本発明のトランスジェニック植物及び/又は本発明のトランスジェニック植物を植え付ける地域に使用する適用時期を容易に選択できるであろう。「植え付け前の組み込み」は、植え付け前の土壌に化合物を組み込むことを含む。
【0229】
したがって、例えば、雑草若しくは望ましくない植物をよりよく防除するために、対象作物の植え付け前に地域を1種又は複数種の除草剤で処理する「植え付け前の焼き払い」などの、作物を成長させる、及び/又は雑草若しくは望ましくない植物を防除するための改善された方法を提供する。さらに、「不耕起」又は「低耕起」(「耕起減少」とも称される)である、作物を成長させる、及び/又は雑草若しくは望ましくない植物を防除する方法を提供する。このような方法において、伝統的な方法と比較して土壌は耕作されない、又は成長周期の間頻繁には耕作されず、これらの方法は、そうしなければ人件費及び燃料費を含むさらなる耕作により被るであろうコストを節減できる。
【0230】
本方法は、多数のクラスの除草剤の同時適用及び/又は連続適用の使用を包含する。いくつかの実施形態において、本方法は、本発明の植物及び/又は対象地域(例えば、田畑又は耕作地域)及び/又は雑草及び/又は望ましくない植物を、唯一の除草剤又は他の化学物質、例えばイミダゾリノン系除草剤を用いて処理するステップを含む。
【0231】
除草剤を対象地域(及びその中の任意の植物)に適用する時期は、雑草又は望ましくない植物の防除を最適にするために重要であり得る。除草剤の適用時期は、植物のサイズ及び/又は成長段階及び/又は対象地域における植物、例えば、地域において成長する作物植物又は雑草若しくは望ましくない植物の発達を参照して決定できる。成長段階及び/又は植物の発達は当分野において公知である。例えば、大豆植物は、V
E(発芽)、Vc(単小葉)、V
1(第1の三つ葉)及びV
2からV
Nとして公知の栄養成長段階を介して通常発達する。その後、大豆は、光周期の指示に反応して生殖成長期に転換し、生殖段階は、R
1(開花開始)、R
2(完全に開花)、R
3(鞘ができ始める)、R
4(完全に鞘ができる)、R
5(結実開始)、R
6(完全に結実)、R
7(成熟開始)及びR
8(完全に成熟)を含む。したがって、例えば、除草剤又は他の化学物質を、植物が成長している対象地域に適用する時期は、特定の地域における一部の、又はすべての植物が少なくとも特定のサイズ及び/又は成長段階及び/又は発達に達している時期であっても、又は特定の地域における一部の、又はすべての植物が、特定のサイズ及び/又は成長段階及び/又は発達にいまだ達していない時期であってもよい。
【0232】
いくつかの実施形態において、イベント127大豆植物は、発芽後の除草剤処理に対する耐性の改善を示す。例えば、イベント127植物は、高用量の除草剤に対して耐性であり得、広範囲の除草剤に対して耐性であり得(すなわち、複数のAHAS阻害剤化学物質に対する耐性)、及び/又は適切な対照植物との比較において、発達の初期又は後期に適用された除草剤の用量に対して耐性であり得る。
【0233】
除草剤などの異なる化学物質は、異なる「残存」効果を有する、すなわち、化学物質又は除草剤により処理が、処理された地域において成長する植物に対して効果を有する時間が異なる。このような効果は、処理された地域(例えば、田畑又は耕作地)の所望の将来の目的に依存して、望ましくも、又は望ましくなくもあり得る。したがって、作物のローテーションスキームは、個々の作物に使用されるであろう処理による残存効果及び同じ地域においてその後成長するであろう作物に対するそれらの効果に基づいて選択され得る。当業者は除草剤の残存効果を評価するために使用できる技術をよく知っており、例えば、AHASに作用し阻害する除草剤は、それらの残存活性レベルが変動する。さまざまな除草剤の残存活性は当分野において公知であり、例えば、土壌中の水分レベル、温度、pH及び土壌の組成(質及び/又は有機物質)などのさまざまな環境因子により変動することもまた公知である。除草剤の残存活性に対する耐性の改善が有益である場合、イベント127大豆植物は、作物を成長させる方法における特定の使用が見出される。
【0234】
さらに、本発明の大豆イベント127植物は、除草剤処理と組み合わせて作物に使用するさらなる化学物質、例えば、毒性緩和剤、スルホン酸アンモニウムなどのアジュバント及び作物油濃縮物などによる処理に対する耐性の改善を提供する。
【0235】
さらに、開示された方法は、AHAS阻害性除草剤又は除草剤の混合物並びに1種又は複数種の殺虫剤、防かび剤、殺線虫剤、抗菌剤、殺ダニ剤、成長調節因子、不妊化剤、情報化学物質、忌避剤、誘引剤、フェロモン、摂食刺激物質若しくは他の生物学的活性化合物又は昆虫病原性の細菌、ウィルス又は真菌の使用を含み、さらにより広域性の農業保護をもたらす多成分混合物を形成する。方法に使用できるこのような農業保護剤の例は、:殺虫剤、例えば、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アミドフルメト(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、カルタップ、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルメトフェン、シフルトリン、ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ディルドリン、ジフルベンズロン、ジメフルトリン、ジメトエート、ジノテフラン、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチオカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィピロニル、フロニカミド、フルベンジアミド、フルシトリネート、タウ−フルバリネート、フルフェネリム(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、ヒドラメチルノン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタフルミゾン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロール、メトフルトリン、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニテンピラム、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、プロフルトリン、ピメトロジン、ピラフルプロール、ピレトリン、ピリダリル、ピリプロール、ピリプロキシフェン、ロテノン、リアノジン、スピノサド、スピロジクロフェン、スピロメシフェン(BSN2060)、スピロテトラマト、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トラロメトリン、トリアザメート、トリクロルホン及びトリフルムロン;防かび剤、例えば、アシベンゾラル、アルジモルフ、アミスルブロム、アザコナゾール、アゾキシストロビン、ベナラキシル、ベノミル、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、バイノミアル(binomial)、ビフェニル、ビテルタノール、ブラストサイジン−S、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)、ボスカリド/ニコビフェン、ブロムコナゾール、ブピリメート、ブチオベート、カルボキシン、カルプロパミド、カプタホール,キャプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、クロゾリネート、クロトリマゾール、オキシ塩化銅、硫酸銅及び水酸化銅などの銅塩、シアゾファミド、シフルナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、ジクロフルアニド、ジクロシメット、ジクロメジン、ジクロラン、ジエトフェンカルブ、ジフェノコナゾール、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ジノカップ、ジスコストロビン、ジチアノン、ドデモルフ、ドジン、エコナゾール、エタコナゾール、エジフェンホス、エポキシコナゾール、エタボキサム、エチリモール、エトリジアゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド、フェンフラム、フェンヘキサミド、フェノキサニル、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ、トリフェニルスズヒドロキシド、フェルバム、フェルフラゾエート、フェリムゾン、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル、フルオピコリド、フルオキサストロビン、フルキンコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルスルファミド、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、ホセチルアルミニウム、フベリダゾール、フララキシル、フラメタピル、ヘキサコナゾール、ヒメキサゾール、グアザチン、イマザリル、イミベンコナゾール、イミノクタジン、イオジカルブ(iodicarb)、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イプロバリカルブ、イソコナゾール、イソプロチオラン、ガスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マンジプロパミド、マンネブ、マパニピリン(mapanipyrin)、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メタスルホカルブ、メチラム、メトミノストロビン/フェノミノストロビン、メパニピリム、メトラフェノン、ミコナゾール、ミクロブタニル、ネオ−アソジン(メタンアルソン酸第二鉄)、ヌアリモル、オクチリノン、オフレース、オリサストロビン、オキサジキシル、オキソリン酸、オキスポコナゾール、オキシカルボキシン、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、ペンシクロン、ペンチオピラド、ペルフラゾエート、ホスホン酸、フタリド、ピコベンザミド、ピコキシストロビン、ポリオキシン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロシミドン、プロパモカルブ、塩酸プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロピネブ、プロキナジド、プロチオコナゾール、ピラクロストロビン、ピラゾホス、ピリフェノックス、ピリメタニル、ピリフェノックス、ピロルニトリン、ピロキロン、キンコナゾール、キノキシフェン、キントゼン、シルチオファム、シメコナゾール、スピロキサミン、ストレプトマイシン、硫黄、テブコナゾール、テクラゼン、テクロフタラム、テクナゼン、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファナート、チオファナート−メチル、チラム、チアジニル、トルクロホス−メチル、トリフルアニド、トリアジメホン、トリアジメノール、トリアリモール、トリアゾキシド、トリデモルフ、トリモルファミドトリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、バリダマイシン、ビンクロゾリン、ジネブ、ジラム,及びゾキサミド;殺線虫剤、例えば、アルディカルブ、オキサミル及びフェナミホス;抗菌剤、例えば、ストレプトマイシン;殺ダニ剤、例えば、アミトラズ、キノメチオネート、クロロベンジレート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベン及びテブフェンピラド;並びに昆虫病原性の細菌、例えば、バチルス・チューリンゲンシス亜種アイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.Aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス亜種クルスターキ(Bacillus thuringiensis subsp.Kurstaki)及びバチルス・チューリンゲンシスのカプセル化されたデルタ−エンドトキシン(例えば、Cellcap、MPV、MPVII);昆虫病原性の真菌、例えば、黒きょう病真菌(green muscardine fungus);及びバキュロウィルス、HzNPV、AfNPVなどのヌクレオポリヘドロウィルス(NPV)を含む昆虫病原性のウィルス及びCpGVなどの顆粒病ウィルス(GV)を含む生物学的作用因子を含む。本方法に使用されるこれらのさまざまな混合相手と、他の組成物(例えば、除草剤)との重量比は、通常、100:1及び1:100の間、又は30:1及び1:30の間、10:1及び1:10の間又は4:1及び1:4の間である。
【0236】
生物学的有効量の対象のAHAS阻害性除草剤又は除草剤の混合物及び有効量の少なくとも1種のさらなる生物学的活性化合物又は薬品を含む組成物をさらに提供し、さらに少なくとも1種の界面活性剤、固体希釈剤又は液体希釈剤をさらに含むことができる。このような生物学的活性化合物又は薬品の例は、:殺虫剤、例えば、アバメクチン、アセフェート、アセタミプリド、アミドフルメト(S−1955)、アベルメクチン、アザジラクチン、アジホス−メチル、ビフェントリン、ビフェナゼート、ブプロフェジン、カルボフラン、クロルフェナピル、クロルフルアズロン、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロマフェノジド、クロチアニジン、シフルトリン,ベータ−シフルトリン、シハロトリン、ラムダ−シハロトリン、シペルメトリン、シロマジン、デルタメトリン、ジアフェンチウロン、ダイアジノン、ジフルベンズロン、ジメトエート、ジオフェノラン、エマメクチン、エンドスルファン、エスフェンバレレート、エチプロール、フェノチカルブ、フェノキシカルブ、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フィピロニル、フロニカミド、フルシトリネート、タウ−フルバリネート、フルフェネリム(UR−50701)、フルフェノクスロン、ホノホス、ハロフェノジド、ヘキサフルムロン、イミダクロプリド、インドキサカルブ、イソフェンホス、ルフェヌロン、マラチオン、メタアルデヒド、メタミドホス、メチダチオン、メトミル、メトプレン、メトキシクロール、モノクロトホス、メトキシフェノジド、ニチアジン、ノバルロン、ノビフルムロン(XDE−007)、オキサミル、パラチオン、パラチオン−メチル、ペルメトリン、ホレート、ホサロン、ホスメト、ホスファミドン、ピリミカーブ、プロフェノホス、ピメトロジン、ピリダリル、ピリプロキシフェン、ロテノン、スピノサド、スピロメシフェン(BSN2060)、スルプロホス、テブフェノジド、テフルベンズロン、テフルトリン、テルブホス、テトラクロルビンホス、チアクロプリド、チアメトキサム、チオジカルブ、チオスルタップ−ナトリウム、トラロメトリン、トリクロルホン及びトリフルムロン;防かび剤、例えば、アシベンゾラル、アゾキシストロビン、ベノミル、ブラストサイジン−S、ボルドー液(三塩基性硫酸銅)、ブロムコナゾール、カルプロパミド、カプタホール、キャプタン、カルベンダジム、クロロネブ、クロロタロニル、オキシ塩化銅、銅塩、シフルフェナミド、シモキサニル、シプロコナゾール、シプロジニル、(S)−3,5−ジクロロ−N−(3−クロロ−1−エチル−1−メチル−2−オキソプロピル)−4−メチルベンザミド(RH7281)、ジクロシメット(S−2900)、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェノコナゾール、(S)−3,5−ジヒドロ−5−メチル−2−(メチルチオ)−5−フェニル−3−(フェニル−アミノ)−4H−イミド−アゾール−4−オン(RP407213)、ジメトモルフ、ジモキシストロビン、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ドジン、エジフェンホス、エポキシコナゾール、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナリモル、フェンブコナゾール、フェンカラミド(SZX0722)、フェンピクロニル、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、酢酸トリフェニルスズ、トリフェニルスズヒドロキシド、フルアジナム、フルジオキソニル、フルメトベル(RPA403397)、フルモルフ/フルモリン(flumorf/flumorlin)(SYP−L190)、フルオキサストロビン(HEC5725)、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトラニル、フルトリアフォル、フォルペット、ホセチルアルミニウム、フララキシル、フラメタピル(S−82658)、ヘキサコナゾール、イプコナゾール、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、カスガマイシン、クレソキシム−メチル、マンコゼブ、マンネブ、メフェノキサム、メプロニル、メタラキシル、メトコナゾール、メトミノストロビン/フェノミノストロビン(SSF−126)、メトラフェノン(AC375839)、ミクロブタニル、ネオ−アソジン(メタンアルソン酸第二鉄)、ニコビフェン(BAS510)、オリサストロビン、オキサジキシル、ペンコナゾール、ペンシクロン、プロベナゾール、プロクロラズ、プロパモカルブ、プロピコナゾール、プロキナジド(DPX−KQ926)、プロチオコナゾール(JAU6476)、ピリフェノックス、ピラクロストロビン、ピリメタニル、ピロキロン、キノキシフェン、スピロキサミン、硫黄、テブコナゾール、テトラコナゾール、チアベンダゾール、チフルザミド、チオファナート−メチル、チラム、チアジニル、トリアジメホン、トリアジメノール、トリシクラゾール、トリフロキシストロビン、トリチコナゾール、バリダマイシン及びビンクロゾリン;殺線虫剤、例えば、アルディカルブ、オキサミル及びフェナミホス;抗菌剤、例えば、ストレプトマイシン;殺ダニ剤、例えば、アミトラズ、キノメチオネート、クロロベンジレート、シヘキサチン、ジコホール、ジエノクロル、エトキサゾール、フェナザキン、酸化フェンブタスズ、フェンプロパトリン、フェンピロキシメート、ヘキシチアゾクス、プロパルギット、ピリダベン及びテブフェンピラド; 並びに昆虫病原性の細菌、例えば、バチルス・チューリンゲンシス亜種アイザワイ(Bacillus thuringiensis subsp.Aizawai)、バチルス・チューリンゲンシス亜種クルスターキ(Bacillus thuringiensis subsp.Kurstaki)及びバチルス・チューリンゲンシスのカプセル化されたデルタ−エンドトキシン(例えば、Cellcap、MPV、MPVII);昆虫病原性の真菌、例えば、黒きょう病真菌(green muscardine fungus);及びバキュロウィルス、HzNPV、AfNPVなどのヌクレオポリヘドロウィルス(NPV)を含む昆虫病原性のウィルス及びCpGVなどの顆粒病ウィルス(GV)を含む生物学的作用因子を含む。本方法は、遺伝的に形質転換され無脊椎動物有害生物に対する毒性タンパクを発現する(バチルス・チューリンゲンシスのデルタエンドトキシンなど)植物の使用をさらに含み得る。このような実施形態において、外来的に適用された無脊椎動物有害生物の防除化合物の効果は、発現された毒性タンパク質との相乗作用であり得る。
【0237】
したがって、本方法は、AHAS阻害性除草剤又はAHAS阻害性除草剤の組合せを用いることができ、殺虫剤及び/又は防かび剤及び/又は肥料などの他の農業用化学物質の使用をさらに含むことができる。このような併用処理の使用はさらなる雑草種に対する活性範囲を拡大でき、任意の抵抗性生物型の増殖を抑制できる。
【0238】
実施形態を以下の実施例においてさらに定義する。これらの実施例は、例示目的のみで示されることを理解すべきである。上記の考察及びこれらの実施例から当業者は本質的な特徴を確認し、それらの精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態のさまざまな変形及び改良を作製し、それをさまざまな用法及び条件に適合させることができる。したがって、本明細書に示し、記載したものに加えて、前述の記載から本発明の実施形態のさまざまな改良が当業者には明らかであろう。このような改良もまた、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【実施例】
【0239】
(例1):トランスジェニック植物の調製
トランスジェニック大豆(Glycine max L.)植物を、イミダゾリノン系除草剤に抵抗性をもたらす突然変異アセトヒドロキシ酸シンターゼ大サブユニット(AHASL)コーディング配列を含有する、プラスミドpAC321由来のDNAの線状化断片(PvuII)を使用して開発した。pAC321プラスミドは、653位に対応する位置に、天然のセリンではなくアスパラギンを有する、突然変異シロイヌナズナAHASL遺伝子(csr1−2)(S653N)コーディング配列を含有する。AHAS(S653N)コーディング配列は、天然のシロイヌナズナAHASプロモーター配列及び転写終止配列の調節下にある。例えば、米国特許公開第2005/0034187号を参照されたく、この全体は参照により本明細書に組み込まれる。PvuII断片は、シロイヌナズナAHASLプロモーター、除草剤耐性シロイヌナズナAHASLl(csr1−2)コーディング配列及びシロイヌナズナAHASLターミネーターを含む。このプロモーター、コーディング配列及びターミネーターのカセットは、本明細書においてcsr1−2カセットと称される。
【0240】
市販品種「Conquista」の単一大豆種子の頂端分裂組織由来の胚発生軸組織を、微粒子銃形質転換のために使用した。微粒子銃形質転換(微粒子銃又は粒子照射)(Aragao、F.J.L.ら、Theor.Appl.Genet.1996年;93巻:142〜150頁)を使用して、csr1−2遺伝子を含有する大豆形質転換イベントを作製した。照射の前に、csr1−2電子断片を含有するDNAを顕微鏡レベルの金粒子上に沈殿させた。次いで、沈殿させたDNA及び粒子をプラスチックマクロキャリア(macrocarrier)に配置し、ストッピングスクリーン(stopping screen)がマクロキャリアを保持するように高速で加速した。DNAを有する粒子を、それらのflightの継続、最終貫通及び大豆植物細胞への組み込みを可能にした。照射された細胞を、50g ai/ha相当のイミダゾリノン系除草剤であるイマザピルを含有する選択培地に移し、csr1−2遺伝子を形質転換された照射細胞のみを成長させ続けた。この過程により、耐性T0植物を特定し、大豆イベント127と名付けた(表1)。
【0241】
(例2)系統発達
以下の表1に示すように、大豆イベント127の初代形質転換体を、によりT4世代まで維持した。
【表2】
【0242】
9種のT3植物(E01、E02、E03、E04、E05、E06、E07、E09及びE10)由来の種子の遺伝子解析により、トランス遺伝子分離は、必ずしも単純なメンデルのパターンに従ってはおらず、複数の活性遺伝子座があることが示唆された。正常な表現型を有する、イマザピルに対する耐性に関してメンデルの分離を示すT3植物由来のT4子孫(E09、E10及びE05)を、非トランスジェニック品種(BRS137、Conquista及びBR97−7066)と交雑させ、4種の集団を発生させた(表2、
図2)。
【表3】
【0243】
F2及びF3世代において、温室において正常な表現型及びイマザピルに対する耐性を有するファミリー及び個別の植物を選択した。トランスジェニックConquista(T4−E10)×非トランスジェニックConquistaの間の交雑のF2集団において、イマザピル(100g ai/ha)に対する耐性についての分離パターン(耐性38:非耐性13)は、イベント127を含有するトランスジェニック系V03−603(CV−603)中の単一優勢遺伝子がイマザピルに対する耐性を調節することを示した。
【0244】
4種の交雑(表2)それぞれに由来するF4及び/又はF5系を使用した引き続く野外試験により、その後の分析及び開発のための優良大豆系としてのイベント127を含有するV03−603系の選択が支持された。野外試験に、3種の複製を用いるランダムな完全ブロック計画及び分割処理実験を使用して、4つの位置に植え付けた。エントリーは全試験区であり、イマザピル適用率(0、70、240又は280g ai/ha)がサブ試験区であった。植物に、植え付け後18〜21日に噴霧、適用後14日に評価した。植物を、損傷パーセントで評価した(0=試験区において死亡した植物なしから100=試験区において全植物が死亡)。収集したさらなるデータは、植物の丈、種子の収率、種子のサイズ、開花までの日数及び成熟までの日数を含んだ。
【表4】
【表5】
【表6】
【0245】
(例3):分子の特徴付け
A:DNA及びRNAの単離及び定量の方法
DNAを、改変臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)法(Carlsonら、1991年)を介して大豆の葉組織から単離した。シリカゲル乾燥させた葉の組織を液体窒素で凍結し、Autogrinder(Autogen;Holliston、MA)により粉砕した。粉砕した組織を予備加熱した、2%(w/v)のCTAB、100mMのTris−HCl、1.4MのNaCl、1%(w/v)のポリビニルピロリドン(PVP)、20mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、pH9.5(5ml/60mg乾燥葉組織)及びβ−メルカプトエタノール(10μl/ml緩衝液)からなる抽出緩衝液とともに、74℃において20分間インキュベートした。2440×gにおいて10分間の遠心分離後、上清を、等量のクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)で2回抽出した。DNAを、0.7容量のイソプロパノールで沈殿させ、0.5mg/mlのRNase A(Invitrogen;Carlsbad、CA)を、最終濃度約500ng/μlになるように加えたTE緩衝液(10mMのTris−HCl、1mMのEDTA、pH8.0)に溶解した。単離DNAを、Hoechst33258染料(Invitrogen)を用い、仔ウシ胸腺DNA(Invitrogen)をDNA基準として使用して、Packard FluoroCount(商標)BF10000 Microplate Fluorometer(Packard Instrument Company;Meriden、CT)において蛍光光度計ユーザーマニュアルに従って定量した。
【0246】
全RNAを、Qiagen RNeasy Mini Kit(Qiagen;Valencia、CA)を用いて、イベント127のF7及びF8世代植物に由来するシリカゲル乾燥した若い葉から、及び非トランスジェニック親大豆品種Conquistaの葉から抽出した。約25mgのシリカゲル乾燥した葉の組織を液体窒素で凍結し、Autogrinderを用いて粉砕した。全RNA単離手順を、製造業者の指示書に従って実施した。カラムにおけるDNase消化を、RNase−Free DNase(Qiagen)を用いて実施し、RNeasy Mini Kitのユーザーマニュアルにおける推奨に従った全RNA調製品からの任意の大豆ゲノムDNAを除去した。単離RNAを、BioMate(商標)3分光光度計(Thermo Electron Corporation;Waltham、MA)を使用して260nmにおいて吸光度を測定することによって定量した。
【0247】
B:プローブの単離及び標識方法
トランス遺伝子プローブとして使用するDNA断片の位置を、
図1Bに示す。ベクター骨格プローブを、
図5C示す。特定されたトランス遺伝子及びベクタープローブの作製に使用するためのPCRプライマーを、以下の表3に提供する。これら5種の重複プローブは全プラスミドに及ぶ。具体的には、プローブ1はAHASLプロモーター領域に及び、プローブ2はcsr1−2コーディング配列、プローブ3はAHASL終止領域並びにプローブ4及び5は、一緒に完全ベクター骨格(VB)を含む。プローブDNA断片を、プラスミドpAC321を鋳型として使用してPCR増幅によって作製した。プローブ(それぞれ25〜50ng)を、Rediprime(標識)II DNA Labeling System(Amersham;Piscataway、NJ)を使用して製造業者の指示書に従って、50μCiの(α−
32P)−dCTP(3000Ci/mmol)(MP Biomedicals;Irvine、CA)で放射標識した。標識したプローブを、Spin−X(登録商標)Centrifuge Tube Filter(Corning Costar Corporation;Acton、MA)を用いて精製した。
【表7】
【0248】
C:コピー数、インサートの完全性及び安定性
サザンブロット分析を使用して、csr1−2発現カセットのコピー数及び完全性を決定し、イベント127中のプラスミド骨格の不在を確認した。制限酵素NcoI、SpeI及びXbaIを使用して、イベント127植物及び非トランスジェニック対照のConquistaから得たゲノムDNAを消化した。pAC321 PvuII形質転換断片を、
図3において大豆イベント127を用いてアライメントした。大豆を形質転換させるために使用したプラスミドpAC321由来のPvuII断片を
図3の上部に示す。大豆イベント127中のトランス遺伝子インサートに含有されないこの断片の部分を、対角の縞模様で満たされた四角で示す。大豆イベント127中のトランス遺伝子インサート及び隣接ゲノム大豆DNAの特徴を図の下部に示す。PvuII形質転換断片のマップ及びトランス遺伝子挿入領域のマップの間に描かれた垂直の破線の間のDNAは両方のDNA断片に共通である。サザンブロット分析に関する制限部位を示す。PvuII形質転換断片のナンバリングシステムは、
図1のpAC321プラスミドマップのナンバリングシステムに対応する。大豆イベント127インサートに関するナンバリングシステムは、1番が、大豆ゲノム隣接配列(灰色の四角で示された隣接配列)の5’末端の第1ヌクレオチドである
図8のナンバリングシステムに対応する。csr1−2カセット中の単一のNcoI制限部位は、csr1−2コーディング配列の5’末端に位置し、NcoIを有するイベント127のゲノムDNAの消化は、csr1−2カセット由来のDNAを含有する2つの断片を作製することが予測された。両方の断片はcsr1−2カセット中のNcoI部位及び隣接大豆ゲノム配列中の最も近いNcoI部位により画定される。5’隣接大豆ゲノム配列中に1つのSpeI制限部位及びイベント127中のAHASL3’UTRの下流に2つのSpeI制限部位がある。XbaI制限部位は、完全csr1−2発現カセットに隣接する。サザンハイブリダイゼーションにより検出されることが期待されるDNA断片の数及びサイズを、以下の表7に記載する。
【表8】
【0249】
予測される断片サイズは、イベント127植物中のクローニングされたインサート及び隣接配列に基づいて見積もられる。5’UTRプローブ及び3’UTRプローブはそれぞれXbaI部位と重複し、したがって、プラスミドpAC321(
図4A及び4Cのレーン11において点で記されている)の両方のXbaI断片とハイブリダイズする。イベント127領域の配列分析により、csr1−2コーディング領域の小型部分は、3’トランス遺伝子統合部位のすぐ上流で重複し、これらのサザンブロットの結果において特定される800bpのバンドの特定を裏付けることが示された。
【0250】
イベント127のF8世代由来のゲノムDNA(7μg)及び非トランスジェニック対照Conquista由来のゲノムDNAを、容量40μl中で上記の制限酵素(8ユニット/μgDNA)を用いて、酵素の製造業者(New England Biolabs;Ipswich、MA;又はAmersham)により規定された条件下で一晩消化した。制限消化物を、10cmの長さの0.8%アガロースゲルにおいて電気泳動によって分離した。DNAを、0.25NのHCl中に約20分間ゲルを浸すことによってさらに断片化し、0.4NのNaOHを用いて、約30分間変性させた。このゲルを、2×NaCl/クエン酸ナトリウム溶液(SSC)を用いてすすぎ、変性DNAを、Hybond N+ナイロン膜(Amersham)上に、0.4NのNaOHを転写緩衝液として使用して転写した。サザンハイブリダイゼーションを、Sambrookら(1989年)に従って実施した。この膜を、65℃において2〜4時間予備ハイブリダイズし、65℃において一晩、20〜30ml(約0.2ml/cm
2)のハイブリダイゼーション緩衝液(2×SSC、0.6%のSDS、50mMのNa
2HPO
4、1×Denhardt溶液、2.5mMのEDTA、5%の硫酸デキストラン、pH7.2)中で、Hybaid MAXI 14ハイブリダイゼーションオーブン(Thermo Electron Corporation)においてハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、この膜を、2×SSC、0.5%のSDS(1ml/cm
2)を用いて室温において15分間、2×SSC、0.1%のSDS(4ml/cm
2)を用いて65℃において30分間、及び最終的に0.1×SSC、0.1%のSDS(4ml/cm
2)を用いて65℃において15分間洗浄した。洗浄後、この膜をプラスチックラップで包み、放射活性シグナル強度次第では、−80℃において増感スクリーンを有するカセットにおいて、Hyperfilm(商標)MPフィルム(Amersham)に2〜5日間曝露した。
【0251】
さらにサザンブロット分析を上記のように実施し、多世代にわたってインサートの安定性をモニターした。T4、F4、F8及びF9世代から植物材料を得た(
図2)。これらの試料由来のゲノムDNAを、NcoI及びSpeIを用いて(上記のように)消化し、サザンブロット分析を上記のように実施した。
【0252】
イベント127中のインサートのコピー数を、NcoI、SpeI及びXbaI制限酵素を用い、上記の方法を使用して消化されたイベント127のF8世代植物由来のゲノムDNAのサザンブロット分析によって評価した。
【0253】
サザンブロット分析の結果を
図4A、4B及び4Cに提供する。非トランスジェニック大豆品種のConquistaのゲノムDNA(レーン1、5及び9);pAC321の1−ゲノムコピー同等物をスパイクしたConquista(レーン2、6及び10);又はpAC321の2−ゲノムコピー同等物(レーン3、7及び11);並びにF8世代由来の大豆イベント127のゲノムDNA(レーン4、8及び12)を、記載のようにNcoI(1−4)、SpeI(5−8)及びXbaI(9−12)制限酵素を用いて消化した。ブロットを、プローブ5’UTR(
図4A)、プローブAHAS(
図4B)及びプローブ3’UTR(
図4C)とハイブリダイズした。第1及び最後のレーン(標識M)は、λ/HindIIIラダーを含有し、バンドサイズはキロベースで示される。
図4Dは、サザンハイブリダイゼーションプローブとイベント127インサートの間の相同領域を示す。
図4B中の矢印は、3’隣接配列ジャンクションにおいてイベント127中に存在するcsr1−2のさらなる376bpの断片を含有するおよそ885bpのSpeI断片を示す。
【0254】
3種すべての制限酵素を用いて消化し、3種のプローブとハイブリダイズさせた非トランスジェニックConquistaのDNAは任意のシグナルを示さず、使用したサザンブロットストリンジェンシー条件において、内因性大豆AHASL遺伝子も内因性大豆Sec61γ遺伝子も検出されないことを示している(
図4、レーン1、5及び9)。異なる酵素及びプローブの組合せを用いて処理されたイベント127のF8世代由来のDNA試料は、AHASLコーディング配列プローブとハイブリダイズしたSpeI消化物を除いて、すべて単一のバンドを示し(
図4A、B及びC、レーン4、8及び12)、AHASLコーディング配列プローブとハイブリダイズしたSpeI消化物は約800bpのさらなる小さいバンドを有した(
図4B、レーン8、矢印)。このAHASLハイブリダイズ800bpのSpeI断片は、AHASLコーディング配列の小型断片がイベント127中の3’隣接配列ジャンクションにおいて反復されるという観察と一致する(例3E;完全配列に関する項を参照されたい)。すべての主要なバンドは、pAC321の1ゲノムコピー同等物と概略で類似のシグナル強度を有した。
【0255】
NcoIで消化され、At AHASL5’UTRを用いてプロービングされたイベント127由来のゲノムDNAは、およそ4.5kbのサイズのハイブリダイジングバンドを作製した。このバンドのサイズは、インサート内のNcoI部位及び5’ゲノム大豆隣接配列中のおよそ4.5kb上流のNcoI部位により画定される単一DNA断片の(nt2761、
図4D)作製物と一致する。AtAHASLコーディング配列又はAtAHASL3’UTRのどちらかを用いてプロービングされた同じ消化物は、およそ9.0kbのサイズのハイブリダイジングバンドを作製した。このバンドのサイズは、インサート内のNcoI部位(nt2761、
図4D)及び3’大豆ゲノム隣接配列中のおよそ9.0kb下流のNcoI部位により画定される単一DNA断片と一致する。
【0256】
SpeIを用いて消化し、At AHASL 5’UTRを用いてプロービングしたイベント127ゲノムDNAは、およそ4.4kbのサイズのハイブリダイジングバンドを生じた。これは、インサート中のSpeI部位(nt5620、
図4D)及び大豆ゲノム中の5’DNA隣接配列中の、およそ4.4kb上流のSpeI制限酵素(nt1268、
図4D)による単一DNA断片の作製と一致する。上流のSpeI部位の存在が、イベント127の5’隣接配列の分析において確認された(隣接配列についての項を参照されたい;(例3D))。At AHASLコーディング配列又はAt AHASL 3’UTRのどちらかを用いてプロービングした同じ消化物もまた、上記の同じ断片に対応する4.4kbのハイブリダイジングバンドを作製した。さらに、SpeI消化物をAt AHASLコーディング配列を用いてプロービングした場合およそサイズ0.8kbのハイブリダイジングバンドが検出され、3’隣接DNA配列ジャンクションにおいてcsr1−2遺伝子の376bpのセグメントを含有する単一のSpeI DNA断片と一致する。このハイブリダイジング断片は、DNAインサート中のSpeI部位及び大豆ゲノム中の0.8kb下流のSpeI部位から作製された(nt5620〜6505、
図4D)。0.8kbのハイブリダイジングバンドは、At AHASL 3’UTRのプローブによっては検出されず、At AHASL 3’UTRのDNAが0.8kbの断片中に含まれず、インサート中のSpeI nt5620部位がcsr1−2遺伝子の376bpのセグメントに隣接することを示した。したがって、形質転換に使用したプラスミドpAC321の線状PvuII断片中のヌクレオチド5622及び5719にあるSpeI制限酵素部位(
図1Bに示した)は、イベント127ゲノム中のDNAインサートには含まれなかった。このことを、DNAインサートのDNA配列分析によって確認した(完全配列の項;(例3E)を参照されたい)。pAC321をスパイクされた対照中の280及び97bpの、より小型の予測SpeI断片は、この方法を使用する検出レベルより低いシグナルを発生すると思われる。
【0257】
XbaIを用いて消化し、At AHASL 5’UTRを用いてプロービングした場合、イベント127ゲノムDNAはおよそサイズ10kbの単一のハイブリダイジングバンドを示す。形質転換に使用した線状DNA中のXbaI制限部位の位置に基づいて(
図1B)、イベント127ゲノム中のDNAインサート内から作製された、およそ5.7kbのハイブリダイジングバンドが期待された。しかし、イベント127中のDNAインサートの配列分析により、線状形質転換DNA中のXbaI制限部位はDNAインサート中にどちらも含まれなかったことが示された(完全配列の項;(例3E)を参照されたい)。したがって、10kbのハイブリダイジングバンドを、5’及び3’DNA配列の隣接インサート内のXbaI部位から作製した(nt410及び10652、
図4D)。したがって、同じ消化物を、上記の同じDNA断片に対応する同じ10kbハイブリダイジングバンドを発生するAt AHASLコーディング配列又はAt AHASL 3’UTRのどちらかを用いてプロービングした。
【0258】
図4に示すサザンブロットのすべてのハイブリダイジングバンドの数及びサイズの分析は、csr1−2遺伝子の単一の機能性コピーを含有するイベント127大豆ゲノム中の単一のDNAインサート並びにcsr1−2遺伝子の5’末端のタンパク質SEC61γのためのコーディング配列及びインサートの3’末端にcsr1−2遺伝子の376bpのセグメントを含有する単一のDNA断片の統合と一致する。
【0259】
ベクター骨格DNAを含まなかったpAC321のPvuII制限断片を用いて形質転換を実施したが、サザンブロット研究を実施して、イベント127ゲノム中のプラスミドpAC321ベクターDNAの不在を確認した。イベント127に統合された任意のベクター骨格が存在したかどうかを確認するために、上記(
図4)のサザンブロット分析に使用した、同じセットのブロットを、2種のベクター骨格特異的プローブとハイブリダイズした(
図5)。期待通り、非トランスジェニックConquistaゲノムDNAを含有するレーンにおいてハイブリダイジングバンドは検出されなかった。形質転換プラスミドpAC321の1つ又は2つのゲノムコピー同等物をスパイクされた非トランスジェニックConquistaゲノムDNAは、期待したサイズのハイブリダイジングバンドを示した(表7)。このブロットを、プローブVP1(
図5A)及びプローブVP2(
図5B)とハイブリダイズした。イベント127F8世代のDNAにおいてハイブリダイジングバンドは検出されず、ベクター骨格DNAは、このイベント中の大豆ゲノムに統合されたかったことを示唆する。
図5Cは、pAC321の構成要素に相当するプローブVP1及びVP2の位置を示す。
【0260】
イベント127中のインサートの安定性を決定するために、4種の異なる世代、T4、F4、F8及びF9(
図2)に由来するDNA試料をサザンブロット分析に供した。ゲノムDNA試料を、NcoI及びSpeIを用いて消化し、At AHASL 5’UTR、At AHASLコーディング配列又は形質転換に使用した全DNA断片に及ぶAt AHASL 3’UTRプローブのいずれかを用いて、プロービングした。これらの制限酵素及びプローブの組合せは、イベント127中のDNAインサートに関する固有のフィンガープリントを提供した(
図4)。非トランスジェニックConquistaゲノムDNAを陰性対照として使用して、pAC321の1つ又は2つのゲノムコピー同等物をスパイクしたConquistaを陽性対照として使用した(
図6)。NcoI又はSpeIのどちらかを用いて消化した127のT4世代DNAに由来する複数のバンドを、3種すべてのプローブを用いて検出し、T4世代がcsr1−2カセットの複数のコピーを含有することを示した。しかし、F4、F8及びF9世代由来のDNAはすべて、インサート及びコピー数の分析においてすでに観察された(
図4)同じサザンパターン(
図6)を示した。この結果は、T4世代におけるインサートの複数コピーがT4及びConquistaとの間の交雑の子孫に分離され、単一のコピーだけが選択された分離固体に保有されていることを示す。さらに、この単一コピーは次の世代に安定して受け継がれる。
【0261】
D:インサートDNAの5’及び3’末端に隣接するゲノム配列
インバースPCRを使用して、挿入されたcsr1−2カセットに隣接する大豆ゲノムDNAの配列を得た(Trigliaら、1988年)。イベント127のF7世代由来のゲノムDNA(1μg)を、15ユニットのXbaI、SpeI、HindIII、NcoI、EcoRI、BamHI又はBglIIを用いて20μlの反応量で3時間消化した。XbaI、HindIII、NcoI及びEcoRIの消化物を、65℃において、20分間インキュベートし、酵素を不活性化し、一方BamHI及びBglII消化物はイソプロパノール沈殿に供した。T4DNAリガーゼ(800ユニット、New England Biolabs)を、各消化反応液に直接加えた。さらに水を加え、反応量を200μlにした。反応液を16℃において一晩インキュベートし、環状化DNAをインバースPCRの鋳型として直接使用した。トランス遺伝子隣接配列を、GeneAmp(登録商標)XL PCRキット(Applied Biosystems; Foster City、CA)を用いて増幅した。100μlのプライマリーPCRは、1×製造業者に供給されたPCR緩衝液、200μMの各dNTP、25ngの環状化ゲノムDNA断片、1.2mMの酢酸マグネシウム、2ユニットのrTth DNAポリメラーゼXL及び0.2μMの各プライマリーPCRプライマーを含有した。100μlネスティッドPCRは、プライマリーPCRの1:50希釈液の10μlを鋳型として使用したことを除き、プライマリーPCRと同じ成分を含有した。プライマリーPCR及びネスティッドPCRを、GeneAmp PCR System 9700(Applied Biosystems)において実施した。プライマー及びネスティッドプライマーの配列を、以下の表4に提供する。初めの94℃における1分の変性ステップ後、94℃、94℃15秒、60℃8分及び72℃2分を30サイクル実施し、その後、最終の72℃において、10分間の伸長ステップを続けた。
【表9】
【0262】
PCR反応が完了後、産物を、Zymo DNA Clean&Concentrator(商標)−5(Zymo Research;Orange、CA)を用いて精製した。PCR産物を、直接配列決定するか、又はクローニング後に配列決定するかのどちらかを実施した。PCR産物又はクローン化した断片が、1kbより長かった場合、プライマーウォーキングを用いて、完全長配列を得た。両方のDNA鎖を配列決定し、各塩基においてPhred40を超えるクオリティの配列を得た。BigDye(商標)Terminator v3.1 Ready Reaction Cycle Sequencing Kit 及びApplied Biosystemsによる ABI 3730 DNA Analyzerを用いてシーケンシングを実施した。
【0263】
XbaI消化物から増幅された3’隣接PCR産物は約6kbであり、増幅が弱すぎて直接シーケンシングのために十分なDNAは得られなかった。したがって、PCR産物をSpeIを用いて消化し、得られた制限断片、一方は約800bp及び他方は約5.2kbをDNA Polymerase I Large(Klenow)Fragment(New England Biolabs)を用いて処理して平滑末端を作製し、pCR(登録商標)−Blunt II−TOPO クローニング ベクター(Zero Blunt(登録商標)TOPO(登録商標)PCR Cloning Kit;Invitrogen)にクローニングした。個々の断片の10のクローンを、制限消化により評価し、プライマーウォーキングにより配列決定した。制限断片のジャンクションをPCR増幅により確認し、ジャンクションにわたってシーケンシングした。
【0264】
3kbのDNA断片を、イベント127のF7世代のゲノムDNAの分子内環状化NcoI消化物からインバースPCRにより増幅した。断片の両方の末端のシーケンシングは、トランス遺伝子インサートの5’側から特異的に増幅されたことを示した。断片を、さらに配列決定し、1.3kbの5’大豆隣接ゲノム配列を得た。6kbのDNA断片を、イベント127のF7世代のゲノムDNAのXbaI消化物からインバースPCRにより増幅し、サブクローニング後に完全に配列決定した。得られた配列は、それがインサートの3’側に隣接することを示す。5’及び3’隣接領域由来のプライマーを使用して、非トランスジェニック品種ConquistaのDNAのPCR分析を実施し、隣接配列が植物ゲノムに生まれつき備わっていたことが確認された(データ非掲載)。
【0265】
5’及び3’隣接配列を含む全大豆イベント127トランス遺伝子インサート配列を、
図8に示す(配列番号:1)。利用可能な公共のDNAデータベース(GenBank+EMBL+DDBJ+PDB配列すべて)及びBASF Plant Science所有のDNAデータベースに対して問い合わせた5’隣接配列のBLAST分析により、専売の大豆の発現配列タグ(EST)と配列同一性の領域が明らかになり、特定された隣接配列の起源が天然の大豆DNAであることを確認した。配列を、予測オープンリーディングフレームに関してさらに分析した。結果は、隣接配列のヌクレオチド941から1255であり、挿入の5’末端の上流にある315bpのORFの存在を示した。形質転換配列を含む5’隣接配列のアライメントにより、統合ポイントはヌクレオチド1312(
図8;配列番号:1)にあり、予測ORFの終止コドンの下流60bpであることが明らかになった。
【0266】
3’隣接配列の分析により、3’統合ポイントの前に、csr1−2コーディング配列(
図8;配列番号:1のヌクレオチド3768〜4143)の一部と一ヌクレオチドだけ異なる配列の376bpのセグメントがあることを示した。3’隣接配列ジャンクションにおけるこの376bp配列の挿入により、トランス遺伝子インサートから3’隣接配列に伸長された501bpのORFが作り出された。このORFの転写の可能性をRT−PCRにより調査した。利用可能な公共のDNAデータベース(GenBank+EMBL+DDBJ+PDB配列すべて)及びBASF Plant Science所有のDNAデータベースに対して問い合わせた3’隣接配列のBLAST分析により、大豆カタラーゼ遺伝子に対する近位3’隣接配列中に配列類似性の領域が明らかになった(受託番号Z12021)。しかし、統合ポイントは潜在的遺伝子ホモログの上流約500bpであり、推定コーディング配列は、統合ポイントの下流約2.4kbである。したがって、可能性のあるカタラーゼホモログが活性遺伝子であったとしても、挿入によって影響を受けるとは思われない。さらに、遠位3’隣接配列の領域は、専売の大豆ESTと配列同一性を共有していた。
【0267】
非トランスジェニックConquistaのゲノム由来のイベント127統合部位のPCR増幅についての研究を実施した。挿入部位を増幅するために5’隣接領域に一方のプライマー及び3’隣接領域に第2のプライマーを含む、PCRプライマーセットA及びBは、非トランスジェニック品種Conquista由来のゲノムDNAを鋳型として使用して、増幅されたDNA産物を作製しなかった。3’隣接配列に特異的なプライマーを含むPCRプライマーセットCは、非トランスジェニック品種ConquistaのDNA由来の増幅産物を作製しなかったが、イベント127由来のゲノムDNAにより期待されたアンプリコンが作製された(データ非記載)。これは、プライマーセットCにより増幅されたDNA断片がイベント127中には存在しているが、同じ関連のConquistaのゲノム中には存在していないことを実証しており、挿入部位におけるDNAの再配列が、イベント127において発生したことを示唆している。このことは、挿入されたDNA及びゲノム大豆DNAのジャンクションに近いcsr1−2コーディング領域由来の重複配列の376bpのセグメントの特定と一致する。
【0268】
E.インサートDNAの完全配列
6種のPCRにより作製されたアンプリコンを、全インサート及び近接大豆ゲノム配列を含むジャンクションに及ぶように設計した(
図7)。挿入されたDNAの完全配列を、これらの6種の重複断片をPCR増幅し、その後DNA配列分析することによって得た。配列PCR増幅に使用したプライマーの配列を、表5に提供する。形質転換断片の配列に対する配列不一致を含有するPCRアンプリコンを、rTth DNAポリメラーゼXLを用いて再増幅した。PCR産物をZymo DNA Clean&Concentrator(商標)5を用いて精製し、両方の鎖の配列に関して、直接シーケンシング及びプライマーウォーキンングによってPhred 40のクオリティレベルまで配列決定した。DNAシーケンシングを上記のように実施した。
【表10】
【0269】
サザンブロット分析は、トランス遺伝子インサートが完全csr1−2発現カセットを含んだことを示唆したが、インサートのクローニング及びシーケンシングを実施し、挿入の完全性を確認した。挿入されたDNAの完全配列を、Taq DNAポリメラーゼを用いて、6種の重複するアンプリコンのPCR増幅によって得た(
図7)。完全な大豆イベント127インサート配列は4758bp長であり、3’統合ポイントにあるcsr1−2由来の376bpの断片の挿入ではなく、この配列は、3点の突然変異を除いて形質転換断片の配列と同一である(
図8;配列番号1)。点突然変異の1つはAHASLコーディング配列におけるGからAへの突然変異であり、これによってR
272からK
272へのアミノ酸の変更がもたらされる。これは、保存的アミノ酸置換であり、At AHASタンパク質の除草剤耐性又は酵素特性に影響はない。他の2つの突然変異は、GからAへの突然変異及びGからCへの突然変異を含み、これらの両方は、csr1−2遺伝子の3’UTRの下流に位置し、遺伝的にサイレントである。
【0270】
大豆イベント127の生産及び育種開発におけるどの時点で、AHASLコーディング配列においてGからAへの突然変異が起こるかを決定するための実験を実施した。初めに、インサートのシーケンシングに使用したPCR4反応(
図7)を、イベント127のT4及びF8世代の両方に由来するゲノムDNAを鋳型として用いて設定し、PCR産物を配列決定した。イベント127のT4世代由来の配列は、期待した(pAC321)配列と異ならなかった。T4世代がインサートの多数のコピーを含有することを考慮すると、PCR4産物はインサートのさまざまなコピー由来の配列の混合と思われ、2.5kbのイベント127遺伝子座特異的PCRアンプリコンを、フォワード5’隣接 配列中のフォワードプライマー(5’−GCCCTCCTTATTTATCCCCTTA−3’;配列番号:35)及びcsr1−2コーディング配列中のリバースプライマー(5’−ACAAACCTACCCAATTCATCGC−3’;配列番号:36)を用いて設計した。PCR産物を直接配列決定した。配列比較により、GからAへの突然変異がイベント127のT4世代にも存在することが明らかになり、突然変異がT4世代の前のいつかに発生し(データ非掲載)、その後の8世代の間維持されていることを示唆した。
【0271】
初期形質転換配列は、もともとはAHASLプロモーター及び5’UTRとしてアノテーションされた2.5kbのセグメントを含有する。近年の配列分析は、この配列セグメントが多量体輸送タンパク質であるSEC61のガンマサブユニットをコードする、以前にアノテーションされていないシロイヌナズナ遺伝子をさらに含有することを明らかにしている。イベント127位インサート配列は、完全コーディング配列を含むAtSec61γサブユニット遺伝子の大部分を含有する。Arabidopsis Information ResourceによりアノテーションされたAtSec61γ5’UTRは、5’トランス遺伝子統合部位から18ヌクレオチド下流ではじまる。したがって、インサートがAtSec61γ遺伝子のための完全天然プロモーターを含有するとは思えない。
【0272】
大豆イベント127中のインサートに見出されるシロイヌナズナAtSEC61γサブユニット遺伝子の転写の可能性を、RT−PCR使用して評価した。RT−PCRを、イベント127のF7世代から抽出された、DNase処理全RNAを鋳型として使用して実施した。2つの内因性大豆遺伝子に特異的なプライマー、Iota及びGmSec61γを陽性対象として使用し、鋳型RNAのクオリティを確認した。DNase処理をしていないシロイヌナズナの葉及び根の組織由来の全RNAもまた、陽性対照として使用した。結果は、両方の内因性大豆陽性対照であるIota及びGmSec61γが、若い大豆の葉の組織に強く転写されており、一方イベント127のF7世代中のAtSec61γサブユニット遺伝子はわずかに弱く転写された。
図9中の矢印は、イベント127から増幅されたAtSec61γのサブユニットに対応する、かすかなRT−PCR産物を示す。イベント127のF7世代由来の増幅された393bpAtSec61γサブユニットDNAは、シロイヌナズナの葉及び根から増幅されたものと同じサイズである(
図9)。プライマーの同じ対もまた、シロイヌナズナの葉及び根の試料中の汚染されたゲノムDNAから期待されたサイズ、965bpのバンドを増幅した。イベント127RT−PCR産物の同一性を確認するために、それを配列決定し、AtSec61γサブユニットの予測されたmRNA配列と比較した(データ非掲載)。両方の配列は一致し、AtSec61γサブユニットがイベント127の葉において弱く転写されることを示している。
【0273】
3’隣接配列ジャンクションの近くへのcsr1−2コーディング配列の376bpの部分の挿入は(
図7)501bpのORFを作り出した。このORFの転写の可能性を、RT−PCR分析によって調査した。RT−PCRを、2つの異なる量、500ng及び125ngのRNAの鋳型を用いて実施した。イベント127F8世代ゲノムDNAもまた、ORF特異的プライマーを用いた陽性対照反応に使用した。大豆Iota遺伝子に特異的なプライマーを陽性対照反応に使用して、鋳型RNAのクオリティを確認した。ORF特異的プライマーは、イベント127ゲノムDNA由来の435bpの断片を増幅する。しかし、若い葉の組織由来の全RNAを鋳型として使用して、検出可能なRT−PCR産物は観察されず、ORFがイベント127において発現されないことを示唆している(
図10)。
【0274】
F.定量的イベント特異的検出のためのPCRアッセイ
イベント特異的PCRを、DNA隣接配列及びインサート配列の両方から得られた情報を使用して開発した。4対のプライマーを設計し、プライマー中の個々の対の1つのプライマーは5’大豆隣接配列にあり、他方はcsr1−2カセット中にある。イベント特異的PCRに使用するプライマーの配列を、以下の表10に提供する。
【表11】
【0275】
プライマーを設計し、約200から約400bp長の間のPCR産物を増幅した。イベント127及び非トランスジェニック品種Conquistaの両方に由来するゲノムDNAを鋳型として使用した。PCRを、25ngの鋳型DNA、200μMの各dNTP、0.4μMの各プライマー及び1ユニットのTaqDNAポリメラーゼ/反応液を含む、全容量25μlにおいて実施した。94℃における初めの4分の変性後、94℃で30秒、60℃(イベントPCR1及び3)又は66℃(イベントPCR2及び4)で30秒及び72℃で45秒を30サイクル実施し、その後、72℃において最後の10分間の伸長を続けた。6種の異なる植え付け場所からの大豆イベント127及び非トランスジェニック品種Conquistaのそれぞれ4種を、「イベントPCR3」プライマーセットを使用して定量的PCRによって分析した。
【0276】
4種すべてのPCRにより、大豆イベント127に特異的な、期待されるサイズの産物が作製され(
図11A)、4種のプライマーセットのいずれもが、試料中のイベント127核酸分子の検出に使用できることを示唆している。イベント特異的PCR産物3を、6種の異なる植え付け場所から収集したイベント127大豆植物及び非トランスジェニック品種Conquistaの試料を用いてさらに評価した。結果は、PCR産物3は、イベント127大豆の24種すべての試料において特異的に増幅されたが、非トランスジェニック対照品種Conquistaにおいては特異的に増幅されなかったことを示した(
図11B及びC)。
【0277】
G.定量的イベント特異的検出のためのPCRアッセイ
イベント特異的定量的PCRを検出のために設計し、イベント127核酸大豆が試料中に存在する核酸の全量の0.08%及び5%の間で試料中に存在する場合、種子の混合バッチ中のイベント127核酸を正確且つ精密に定量する。この方法において、介在するプローブとともに2対のプライマーを使用する。イベント特異的PCRに使用するプライマーの配列を、以下の表11に提供する。
【表12】
【0278】
このTaq−Manに基づくアッセイにおいて、イベント特異的産物のレベルを、2種の反応混合物において各サイクルの間に内因性対照のレベルと比較する。
【0279】
アッセイのフォーマットは、2種のPCR系それぞれに関して標準曲線を利用し、個々の標準曲線は、3連の測定値に由来するそれぞれ4つの標準点を含む。標準は、10%イベント127大豆DNA(標準1)及びその後の希釈緩衝液による段階1:5希釈液(標準2から4)を含有する、20ng/μlの全ゲノムDNA溶液を調製することによって作成する。
3つの鋳型のない対照(NTC)/系を実施し、試薬の純度を検証する。各試料(未知)を、100ngゲノムDNA/反応液で分析する。
【0280】
イベント及び内因性PCRのプローブをFAM(励起495nm;放射520nm)と接合する。プライマーを、100bp長未満の短いアンプリコンを作製するように設計する。イベント127大豆(10%)及びConquista(非−GM)(90%)由来のゲノムDNAの混合物を20ng/μlに希釈する。標準曲線のために、次いでこれを、10ng/μlのサケ精子DNAを用いて20、4及び0.8ngの大豆DNAに希釈した(反応の容量は5μlである)。PCR反応を、標準成分(TaqMan Universal PCRマスターミックス及びUracil−N−グリコシラーゼ(AmpErase(登録商標)UNG、ABI))すべてを用いて、96ウェルプレートにおいて25μl容量において実施した。イベントPCRに関しては、プライマーを、400nMの濃度で、及びプローブを100nMの濃度で加える。内因性PCRに関しては、プライマーを150nMの濃度で、及びプローブを50nMの濃度で加える。アッセイを、Applied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR Systemにおいて実施する。最初の50℃において2分及び95℃において10分の1サイクル後、95℃で15秒及び60℃で60秒を45サイクル実施する。イベント127大豆及び非トランスジェニック品種Conquista並びに混合物のそれぞれの3種の試料を定量的PCRにより分析する。
【0281】
H.重複及びSEC61γ遺伝子の分析
RT−PCRを実施して、csr1−2コーディング配列の一部の376bpの重複又は大豆イベント127中に存在するAtSec61γ遺伝子のどちらが転写されたかを決定した。全RNAを、Qiagen OneStep RT−PCR Kit(Qiagen)を使用するRT−PCRの鋳型として使用した。AtSec61γコーディング配列のRT−PCR分析に関して、葉及び根に由来するシロイヌナズナの全RNA試料を陽性対照としてさらに使用した。シロイヌナズナの全RNA試料は、TRIzol試薬(Invitrogen)を用いてDNase処理を行わずに調製した。RT−PCR反応液は、全容量50μl中に1×Qiagen OneStep RT−PCR Buffer、400μMの各dNTP、0.6μMの各プライマー、2μlのQiagen OneStep RT−PCR Enzymeミックス、及び500ng若しくは125ngの全RNAを含有した。RT−PCRを、GeneAmp PCR System 9700を使用して実施した。50℃におけるリバース転写ステップの30分後、PCR増幅を、以下の条件下:95℃における15分の変性ステップ1サイクル;94℃で30秒、64℃で30秒及び72℃で1分を30サイクル並びに;72℃における10分間の伸長を1サイクルで実施した。RT−PCR分析に使用したプライマーの配列を、以下の表12に提供する。
【0282】
内因性大豆Sec61γサブユニット及びIota遺伝子を、陽性対照として使用した。大豆Iotaサブユニット遺伝子は、大豆において構成的且つ普遍的に発現される。(Yamamoto及びKnap、2001年)。
【表13】
【0283】
I.統合部位のPCR分析
3種のPCR反応を実施し、非トランスジェニック大豆品種Conquista中の挿入部位を特徴付けた。本研究に使用したPCRプライマーは、イベント127のゲノム中の新規な発現カセットに隣接する5’及び3’ゲノム領域に関して決定されたDNA配列に由来した。
【0284】
PCRAのためのPCRプライマー(以下の表13を参照されたい)を、フォワードプライマーが5’隣接配列に結合し、リバースプライマーが3’統合ポイントの直後の3’隣接配列に結合するように設計した。PCRBのためのプライマーを、フォワードプライマーが5’隣接配列に結合し、一方、リバースプライマーは3’隣接配列の遠位末端に近接して結合するように設計した。PCRCのための両方のプライマーは、3’隣接配列内に結合するように設計した。
【表14】
【0285】
PCRA及びPCRCを、Qiagen Taq DNAポリメラーゼを用いて実施し、PCR2はGeneAmp(登録商標)XLPCRキットを用いて実施した。イベント127又はConquistaのDNAどちらかの25ngを、すべてのPCR増幅に使用した。Qiagen Taq DNAポリメラーゼを用いたPCRに関して、反応液は、全容量25μl中に1×Qiagen PCR緩衝液、200μMの各dNTP、0.4μMの各プライマー及び1ユニットのTaq DNAポリメラーゼを含有した。最初の94℃において4分の変性ステップ後、94℃で30秒、66℃で45秒及び72℃で2分間を30サイクル実施し、その後、最終の72℃において10分間の伸長ステップを実施した。
【0286】
GeneAmp(登録商標)XL PCRキットを用いたPCRに関して、反応液は、鋳型DNAを除いて、隣接配列のクローニングに使用した同じ成分を含有した。最初の94℃において1分の変性ステップ後、94℃で1分及び66℃で10分を30サイクル実施し、その後、最終の72℃において10分間の伸長ステップを実施した。
【0287】
J.バイオインフォマティクス分析
DNA配列アセンブリを、Staden Pregap4及びGap4(Staden、1996年)を用いて実施した。クローニングし、期待したインサート配列のアライメントを、LI−COR AlignIRソフトウェア(Licor Biotechnology;Lincoln、NE)を用いて実施した。隣接配列を、利用可能な公共のDNAデータベース(GenBank+EMBL+DDBJ+PDB配列すべて)及びBLAST分析(Altschulら、1997年)を介したBASF Plant Science所有のDNAデータベースに対して問い合わせた。30コドン又はそれ以上のオープンリーディングフレームを、Vector NTI v9.0のORF分析機能(Invitrogen)を用いて特定した。
【0288】
これらの実験結果に基づき、大豆イベント127は、csr1−2の完全発現カセット並びにAtSec61γサブユニット遺伝子の5’UTR、全コーディング配列及び3’UTRを含む、4758bpの単一コピーインサートを含有する。csr1−2遺伝子由来のコーディング配列の376bpの反復は、隣接配列と3’ジャンクションにおいてさらに統合される。ベクター骨格配列は、大豆ゲノム中に統合されていることが見出されなかった。インサートは、8育種世代にわたって安定に受け継がれており、このインサートが大豆ゲノム中に安定して統合されていることを実証した。csr1−2発現カセット中には3点の突然変異が存在し、1つは突然変異AHASLタンパク質の除草剤耐性又は酵素特性に影響を与えないAHASLコーディング配列中の保存的突然変異であり、2つは3’UTRの下流にある。大豆ゲノムDNAの再配列が、インサートの3’末端に隣接するDNAにおいて起こり、これはDAN統合過程において起こった可能性が最も高いと思われる。このインサートは、AtSec61γサブユニット遺伝子のコーディング配列を含有し、これは、形質転換に使用したDNA断片に含まれた。この遺伝子は弱く転写されただけである。csr1−2コーディング配列の376bpの断片は、新しい501bpのORFを作り出した。RT−PCR実験は、このORFの検出可能な転写を示さなかった。
【0289】
(例4):雑草防除
A.(例4A):発芽後適用
3つの野外実験を、ブラジルの中心地域の3か所の異なる場所:Santo Antonio de Posse、SP、Embrapa RiceのAgricultural Research Station(ARS)及びSanto Antonio de Goias、GOのBeans(CNPAF)及びUberaba、MGのEmbrapa−Epamig(CTTP)に設置した。各用地の雑草のまん延を、表13に提示した。
【表15】
【0290】
植え付けから収穫までの全手順は、3か所すべての場所に関して同じであった。除草剤は、発芽後初期、雑草が2から4つの葉を有し、大豆作物は最初の三つ葉が完全に開いた時に適用した。3つの複製を有する、完全にランダム化されたブロック計画を使用した。主な処理を、表15に提示する。
【表16】
【0291】
イミダゾリノン系除草剤を、イミダゾリノン耐性大豆(イベント127由来)の表面に適用し、グリホセートを、ラウンドアップレディー(Roundup Ready)大豆(Valiosa RR)の表面に適用し、各場所に隣合わせに植え付けた。イミダゾリノン系除草剤(イマザピル及びKifix)は、非イオン性アジュバントであるダッシュ(Dash)0.25%v/vとともに適用した。190kpaで170l/haを散布する80015の低圧ノズルを有するCO2バックパック噴霧器を、すべての除草剤の適用に使用した。すべての大豆種子を、50cmの列間隔で、380,000種子/haの個体数を5cmの深さで植え付けた。
【0292】
作物の損傷を、適用後日数(DAA)15及び30に、0は損傷なしであり、100は作物の死である0から100スケールに基づいて査定した。除草剤の有効性を、15、30及び60DAAにおいて、0は防除なしであり、100はすべて防除である0から100のスケールに基づいて査定した。
【0293】
以下の表16は、地域において除草剤適用の時点に存在した雑草にわたった、カギとなるこれらの処置の効率を示す。これらの結果に従って、イマザピル及びイマザピル+イマザピックの組合せは同様の有効性を有した。30DAAにおいて、両方の製品は、これらの7種の重要なブラジルの雑草:CYPRO(87%)、COMBE(87〜90%)、EPHHL(85〜87%)、IPOGR(90〜91%)、BOILF(82〜83%)、SIDRH(86〜87%)及びRCHBR(83%)にわたって非常に効率的であった。60DAAにおいて、発芽後に適用した場合、CYPRO、COMBE、RCHBR及びIPOGRにわたってイミダゾリノン系除草剤はグリホセートより優れていた。
【表17】
【0294】
(例4B):焼き払い適用
3つの野外実験を、ブラジルの中心地域の3か所の異なる場所:Santo Antonio de Posse、SP、Embrapa RiceのAgricultural Research Station(ARS)及びSanto Antonio de Goias、GOのBeans(CNPAF)及びUberaba、MGのEmbrapa−Epamig(CTTP)に設置した。これらの各用地の雑草のまん延を、表17に提示した。
【表18】
【0295】
植え付けから収穫までの全手順は、3か所すべての場所に関して同じであった。除草剤は、大豆植え付け5日前の焼き払い時に適用した。
【0296】
3つの複製を有する、完全にランダム化されたブロック計画を使用した。主な処理を、表18に記載した。
【表19】
【0297】
イベント127由来のイミダゾリノン耐性大豆を、50cmの列間隔で、380,000種子/haの個体数を5cmの深さで植え付けた。イミダゾリノン系除草剤は、非イオン性アジュバントであるダッシュ(Dash)0.25%v/vとともに適用した。190kpaで170l/haを散布する80015の低圧ノズルを有するCO
2バックパック噴霧器を、すべての除草剤の適用に使用した。(表18)。
【0298】
作物の損傷を、植え付け後日数(DAP)15及び30に、0は損傷なしであり、100は作物の死である0から100スケールに基づいて査定した。除草剤の有効性を、15、30及び60DAPにおいて、0は防除なしであり、100はすべて防除である0から100のスケールに基づいて査定した。
【0299】
表19は、地域において焼き払い適用の時点に存在した雑草にわたった、カギとなるこれらの処置の効率を示す。30及び60DAAにおける結果は、グリホセートと比較したイミダゾリノン系除草剤の残存効果を示した。30DAAにおいて、イマザピル+イマザピックの組合せはイマザピックよりわずかに優れていたが、両方ともBRAPL(85%)、DIGHO(95%)、CYPRO(88%)、COMBE(75〜94%)、EPHHL(95%)、IPOGR(75%)、GASPA(84〜95%)及びBIDPI(79〜93%)に関して効率的であった。グリホセートは、残存活性は有さず、グリホセートは30及び60DAAにおいてこれら8種の雑草にわたって効率的ではなかった。
【表20】
【0300】
(例4C):グリホセート耐性植物の防除
イミダゾリノン系除草剤が耕作地で成長する望ましくないグリホセート耐性の雑草及び作物の防除に使用できるかどうかを決定するために、温室実験を実施した。グリホセート抵抗性植物の種子を、発芽後適用のためにメトロミックス及び発芽前適用のためにNorth Carolinaの土並びに遅延放出性肥料を土壌表面に使用して、4.5インチのポットに植え付けた。植物を、葉上潅水を用いて温室で維持した。
【0301】
グリホセート抵抗性の大豆、トウモロコシ及びヒメムカシヨモギそれぞれの5種の個別の植物を、発芽後又は発芽前のどちらかで適用したグリホセート、イマザピル又はイマザピックの噴霧処理に供した。発芽後噴霧は、トウモロコシ及び大豆に関しては2本葉段階並びにヒメムカシヨモギに関しては9本葉段階において実施した。グリホセートは、774g ae/haの率で適用し、一方、イマザピル及びイマザピック除草剤は、20g ai/ha、40g ai/ha、80g ai/ha、160g ai/ha及び240g ai/haの率で適用した。全体の損傷率パーセントを、処理後日数14及び処理後日数(DAT)25において視覚的に決定した。未処理対照植物は、いずれの研究においても視覚的損傷は示さなかった。発芽後試験の結果を、表20に要約し、発芽前研究の結果を表21に要約する。結果は、5つの個別の植物の平均として提供する。
【表21】
【表22】
【0302】
これらの結果は、イミダゾリノン系除草剤が、グリホセート耐性の雑草及び作物を、発芽の前又は後のどちらでも防除に使用できることを示している。1つ有利なことは、グリホセートがもはや防除に有効でない、耐性の雑草及び望ましくない植物を防除するために、イベント127植物にイミダゾリノン系除草剤を使用できることである。
【0303】
(例4D):大豆イベント127を使用する大豆生産の増加
非トランスジェニック同系対照(ヌル)及び他の非トランスジェニック(既存)大豆品種(基準)と比較した、イミダゾリノン系除草剤に対する耐性を有するトランスジェニック大豆系(イベント127)の農学的、表現型的及び生物季節学的特徴を評価するために、野外試験を実施した。この目的のために、市販の大豆生産の代表的地域であり、遺伝子型が適応されるブラジルの現場において研究を実施した。
【0304】
5種の処理(表22)を、完全にランダム化されたブロック計画において、すべての現場で4回再現した。個々の区画は、同じ区画内の列の間の間隔が0.5mである6つの8mの長さの列からなり、隣の区画との間の間隔が1.0mであった。表現型及び農学的測定値を、3番目及び4番目の列内の植物から決定した。
【0305】
これらの評価に含まれる5種の処理は、これらの研究の目的に合う適切なデータを作り出すために必要な、特異的大豆遺伝型と除草剤製剤(イミダゾリノン及び非イミダゾリノン系除草剤)との組合せを表した。
【0306】
2種の除草剤処理を、これらの評価に使用した:1)イマザピル、70g ai/haの率で噴霧、及び2)Volt、ベンタゾン(400g ai/ha)及びアジフルオルフェン(Acifluorfen)(170g ai/ha)の組合せ、570g ai/haの率で噴霧。さまざまな大豆の遺伝子型及び除草剤製剤を組み合わせ、5種の処理を作り出した(表22)。これら5種の処理(T1、T2、T3、T4、T5)は、実験計画において完全な再現を構成した。
【表23】
【0307】
実験を、ブラジルの7か所の試験場において植え付けた(表23)。試験場は、大豆生産の代表的地域であり、大豆の遺伝子型が適応する地域である。すべての場所は、バイオセイフティーの品質証明書(CQB)を有しており、基盤、実験室施設及び現場機器並びに農学研究の経験者及びバイオセイフティーの訓練を受けた者が設置されていた。
【表24】
【0308】
イベント127、同系対照及び基準品種の表現型的、生物季節学的及び農学的類似性を、大豆遺伝型の表現型及び挙動を記載するために日常に使用されるさまざまな特徴を記録することによって決定した。特性は、(特に注釈がなければ)全場所で全区画に関して記録された。チューキー法を使用して、特定の特性に関する有意な効果を有する、ANOVAにより決定された変動の供給源の手段を比較した。
【0309】
場所にわたった平均として、イマザピル(T1)又はVolt(T2)を用いたイベント127の実績と、イマザピル(T3)を用いた同系対照の実績とは、発芽、最終的な立木(Final Stand)、茎の緑度(Green Stem)、倒れ(Lodging)、開花までの日数、成熟までの日数又は収率に関して有意な差はなかった(表24)。植物の丈及び種子のサイズだけに関しては、T1はT3と有意に差があり、種子のサイズだけに関しては、T2はT3と有意に差があった。さらに、T1及びT2に関する形質、手段、場所における差はいずれも有意な差はなかった(表24)。
【表25】
【0310】
本研究の結果は、イベント127を含有する大豆系を使用して、このような除草剤の適用がない他の市販の品種と同等である残存活性を有するイミダゾリノン系除草剤の適用後の収率レベルを維持できることを示している。
【0311】
(例5):定性的イベント特異的検出のための、ゲルに基づくPCRアッセイ
定性的ゲルに基づくPCRアッセイ法を、種子及び穀物試料中のイベント127核酸の検出に使用するために開発した。この方法は、非トランスジェニック大豆のDNAの混合物中の0.05%のイベント127大豆のDNAを検出できた。
【0312】
穀物及び種子の試料を、ミキサーミルMM400(Retsch;Haan、Germany)を使用して30Hzにおいて30秒間、25mlの粉砕ビーカーにおいて粉砕し、均質な粉末を得た。ゲノムDNAを、0.1〜1gの粉砕穀物試料からCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)緩衝液、その後クロロホルム−オクタノール抽出液を使用して抽出し、アルコール沈殿させた。得られた沈殿物を溶解し、残った阻害剤を、Genomic−tip20/G重力フローカラム(Qiagen;Hilden、Germany)を使用して陰イオン交換クロマトグラフィーにより除去した。
【0313】
DNAの濃度及び純度を分光光度計Nanodrop ND−1000(Peqlab Biotechnologie;Erlangen、Germany)を用いて試料の吸光度比を波長260及び280nm(A
260/280)において、並びに260及び230nm(A
260/230)において決定することによってアッセイした。1.8に近いA
260/280比及び1.8より高いA
260/230を有するDNAを次のPCRのために選択した。
【0314】
別のセットのプライマーを開発してイベント127特異的領域を増幅し、大豆特異的遺伝子を内因性対照として使用した。イベント特異的PCRアッセイは、イベント127に固有のトランス遺伝子インサート−天然大豆ゲノムDNAのジャンクションを標的とする。すべてのPCR増幅を、T1 Thermal Cycler(Biometra;Gottingen、Germany)において実施した。100ナノグラムのゲノムDNAを、各PCR反応において鋳型として使用した。
【0315】
Glycine max(大豆)のレクチン遺伝子(Le1)、(GenBank受託番号K00821)を検出するための大豆特異的PCR系を、参照系として使用した。レクチン遺伝子PCRのためのプライマー配列及びPCR周期の条件を、Hirdら(J.AOAC Int.、86巻:66〜71頁(2003年))から適合させた。プライマー配列は、SoyLec−F(5’−TGGTCGCGCCCTCTACTC)(配列番号65)及びSoyLec−R(5’−GGCGAAGCTGGCAACG)(配列番号66)であった。プライマーは、70塩基対(bp)の大豆に特異的な断片を増幅するように設計した。
【0316】
内因性対照のためのPCRを、100ngのゲノムDNA、200μMのdNTP、2mMのMgCl
2、500nMの各プライマー及び1ユニットのTaq DNAポリメラーゼ/反応液を含む、全容量20μlにおいて実施した。最初の94℃において2分の変性ステップ後、94℃で30秒、60℃で30秒及び72℃で30秒を32サイクル実施し、その後、最終の72℃において1分間の伸長ステップを実施した。
【0317】
上記のプライマー及び条件を使用する反応を、コメ(Oryza sativa)、ナタネ(Brassica napus)、綿(Gossypium hirsutum、2種の異なる系)、トウモロコシ(Zea mays)、大豆Conquista、大豆イベント127及びDNA鋳型なし(対照として)から得た個別のDNA試料を用いて実施し、アガロースゲル上を走らせた。70塩基対の産物を、大豆植物(Conquista及びイベント127)由来のDNA試料において得たが、他の試料において、増幅産物は得られなかった。したがって、内因性対照プライマーは、大豆から特異的にゲノムDNAを検出できる。
【0318】
イベント127大豆のためのイベント特異的アッセイは、5’インサートとゲノム大豆DNAとのジャンクションにおいて設置した。フォワードプライマー結合部位は天然ゲノム大豆DNA(127−61F:5’−GGGCAAACTAGTCTCGTAATATAT)(配列番号:67)内に位置し、リバースプライマーの結合部位は127インサート(127−176R:5’−CGGAATTGGTAATCGAAATT)(配列番号:68)中に位置する。この反応は、116塩基対(bp)の断片を増幅する。
【0319】
イベント特異的プライマー(127−61F及び127−176R)の特異性を、100ngのゲノムDNA(コメ(Oryza sativa)、ナタネ(Brassica napus)、綿(Gossypium hirsutum)、トウモロコシ(Zea mays)、大豆GTS40−3−2、大豆305423、大豆356043、大豆A2704−12、大豆Conquista、大豆イベント127及び鋳型なしの対照由来)を使用して決定した。イベント特異的反応のためのPCRを、100ngの鋳型DNA、200μMのdNTP、2mMのMgCl
2、500nMの各プライマー及び1ユニットのTaq DNAポリメラーゼ/反応液を含む、全量20μlにおいて実施した。最初の94℃において2分の変性ステップ後、94℃で30秒、56℃で30秒及び72℃で30秒を32サイクル実施し、その後、最終の72℃において1分間の伸長ステップを実施した。
【0320】
試料中に大豆イベント127が存在するかしないかを、増幅されたイベント127に特異的な116bpのPCR断片を、臭化エチジウム染色された4%アガロースゲルにおいて分離することによって決定した。
【0321】
イベント127に特異的な116bpのPCR断片を、大豆イベント127試料に対応するすべての反応液において得たが、任意の他の試料において127−特異的PCR断片は得られなかった。したがって、イベント特異的プライマー127−61F及び127−176Rは、イベント127大豆植物由来のDNAを特異的に検出できる。増幅されたイベント特異的アンプリコン配列を使用するヌクレオチド配列の調査は、DNA−DNA Basic Local Alignment Search Tool (BLASTN)分析を使用して、100%の一致を少しも特定しなかった。
【0322】
127−61F及び127−176Rプライマーを使用する反応の検出限界を決定するために、所定のイベント127DNAの含有量(100%、1%、0.5%、0.1%、0.05%及び0%)を含有する基準を、Conquista DNAによるイベント127DNAの段階希釈液によって作製した。各希釈液において、22の複製PCR増幅を上記の条件を使用して実施した。1つのDNA鋳型なしの対照(NTC)/系を実施し、試薬の純度を検証した。
【0323】
イベント127特異的PCR産物(116bp断片)を、0.05%から100%のイベント127DNAの範囲で試験したすべての希釈液中に検出した。期待したように、すべての非トランスジェニック大豆試料が大豆特異的PCR増幅において期待されるアンプリコンの存在によって増幅可能なDNAを有することを示したとしても、非トランスジェニック大豆試料又は鋳型なしの対照(NTC)においてイベント127特異的バンドは検出されなかった。127−61F及び127−176Rプライマーを使用して確実に検出できる試料中の最も少量のイベント127DNAは0.05%である。
【0324】
127−61F及び127−176Rプライマーを使用するイベント特異的PCRにより、95%の信頼性を有する0.1%未満の相対的LODが実証される。さらに、127−61F及び127−176Rプライマーは、0%のイベント127参照(100%の非トランスジェニック大豆)又は鋳型なしの対照反応液において任意の検出可能なPCR産物を増幅しない。
【0325】
PCR反応におけるさまざまなアニーリング温度の影響を査定するために、4種の試料(非トランスジェニックConquista大豆DNAのバックグラウンドで希釈された0%、0.05%、1%及び100%のイベント127大豆DNA)を、アニーリング温度が54℃及び58℃の実験において3連に分析した。結果は、アニーリング温度が、最適なアニーリング温度から±2℃まで外れてもイベント127特異的DNAの100%正確な検出がもたらされることを実証している。
【0326】
さまざまなPCRプラットフォームの影響を査定するために、3種の試料(非トランスジェニックConquista大豆DNAのバックグラウンドで希釈された0.05%、1%及び100%のイベント127大豆DNA)を、ABI 7500 Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems;Darmstadt、Germany)を使用して3連に分析した。0%のイベント127試料(100% のConquista DNA)及びDNAの鋳型を含まない試料は対照として含まれた。
【0327】
結果は、さまざまなPCR装置において127−61F及び127−176Rプライマーを使用するイベント127特異的PCRアッセイの優れた性能を実証している。検出の相対的限界は、3種すべての反応液において0.05%であった。期待したように、非トランスジェニック大豆DNAバックグラウンド又は鋳型なしの対照中に0%のイベント127DNAを含有する試料においてPCR産物は検出されなかった。
【0328】
研究室の間のアッセイの再現性(研究室間の交換可能性)を査定するために、2つの独立した実験を、別個の研究室において実施した。非トランスジェニック大豆DNAのバックグラウンド中0.05%から100%のイベント127DNA含有量を含有するさまざまな試料を、100ngのゲノムDNA/反応を使用し、DNA Engine Dyad thermal cycler(BioRad;Munchen、Germany)において、2つの独立した実験において2連に分析した。結果は、研究室の間のアッセイの優れた再現性(研究室間の交換可能性)を示した。結果は、100%陽性の結果が、100%、1%及び0.5%のイベント127DNA試料によりもたらされることを実証した。さらに、少なくとも95%の陽性結果を、0.1%及び0.05%のイベント127DNA試料により得られ(相対的LOD≦0.05%と仮定)、陽性なしの結果が、0%イベント127DNA試料又は鋳型なしの対照において得られた。
【0329】
127−61F及び127−176Rプライマーを使用する、定性的イベント特異的、ゲルに基づくPCR検出方法は、トランスジェニック大豆DNAバックグラウンド中0.05%のイベント127DNAの混合物中のイベント127特異的標的配列を検出できる。非トランスジェニック大豆DNAだけ、又は他のトランスジェニックイベントを含有する試料はどれも、検出可能なイベント127特異的PCR産物を作製せず、その結果本方法の特異性を実験的に実証している。
【0330】
(例6):イミダゾリノン及びストロビルリンの組合せと共に大豆イベント127を使用する、植物の健康増加
大豆イベント127植物を、(1)イミダゾリノン系除草剤(単数又は複数)、(2)ストロビルリン系防かび剤及び(3)イミダゾリノン系除草剤(単数又は複数)とストロビルリン系防かび剤と組合せを用いて処理した。
【0331】
大豆イベント127植物を、5植物/ポットで直径25cmのポットにおいて成長させた。除草剤(単数又は複数)及び/又は防かび剤(以下の表Xに記載)のさまざまな適用は、処理1〜16に関しては、播種後23日に実施し、処理17〜32に関しては播種後24日に実施した。
【表26-1】
【表26-2】
【0332】
適用後日数(DAA)1、7及び14において、植物を、植物毒性、活力、植物の丈、相対的光合成、相対的SPAD(すなわち、葉のクロロフィル/緑の相対的程度)及び気孔コンダクタンスに関して査定した。
【0333】
以下の表26に示すように、イマザピック又はイマザピック+イマザピルを用いた処理にピラクロストロビンを加えることにより、特定の時点においてピラクロストロビンを含まない特定の処理と比較して光合成の正味量が著しく増加し、植物全体の緑化(相対的SPAD)が増加し、気孔コンダクタンス増加する。
【表27】
【0334】
このことは、ピラクロストロビンとAHAS阻害性除草剤(単数又は複数)との組合せが、イベント127大豆植物に驚くべき程度の有利性を提供することを示している。