【課題】本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができ、開口部への継手部材(導管)の挿入し過ぎによる流量の低下を防止できるとともに、挿入不足による固着の強度不足、気密不良が発生することのない継手部材の接合構造を提供する。
【解決手段】本体ケース34の開口部40a,40bに対して、継手部材を接合するための継手部材の接合構造であって、本体ケースの継手部材を接合するための開口部に対して、本体側、または、継手部材側に、継手部材の挿入位置を規定するためのストッパーを形成した。
前記ストッパーが、継手部材の本体ケース側の先端と当接して、前記本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定するための当接部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の継手部材の接合構造。
前記ストッパーが、継手部材の外径を、本体ケースの開口部の内径よりも大きく形成した拡径部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の継手部材の接合構造。
前記ストッパーが、継手部材の側周壁を、本体ケースの開口部の内径よりも大きく形成した突出部から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の継手部材の接合構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の遠心ポンプでは、頑丈な気密構造ではない。例えば、内燃機関などの冷却水、エアコン・冷凍機などの冷媒循環回路などに用いられる冷媒などの流体、可燃性流体、毒性を有する流体などを閉回路内で循環させるためには、遠心ポンプの耐圧性・気密性に課題がある。
【0007】
また、従来の遠心ポンプの構造では、モーターステーターであるコイル部の脱着ができない。このため、耐圧性、気密性が求められる遠心ポンプに使用するために金属製のケース、配管などを使用しようとしても、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができない。
【0008】
さらに、羽根車部材の軸受が、羽根車部材の軸の片方側に配置した軸受からなり、不安定であり、耐久性、静音性に問題がある。
【0009】
さらに、このような従来の構造の遠心ポンプでは、軸受が流体中にあり、潤滑油を使用できないので、羽根車部材の回転によって軸部材と羽根車部材が摩耗損傷することになり、羽根車部材にガタツキや偏心が生じて、所期の目的とするポンプ性能を保持することが困難となってしまう。
【0010】
また、このような遠心ポンプにおいて、本体ケースに連通するように、吸込側継手部材(吸い込み側導管)、吐出側継手部材(吐出側導管)を固定する場合、下記のような問題が発生することがある。
【0011】
図7(A)、
図7(B)は、遠心ポンプにおけるこのような問題を、吸込側継手部材(吸い込み側導管)について、模式的に示す部分拡大断面図である。
【0012】
図7(A)、
図7(B)の遠心ポンプ200は、回転羽根部材202を収容する金属製の本体ケース204を備えている。本体ケース204は、上側本体ケース206を備えており、上側本体ケース206は、頂壁208と、頂壁208の外周から下方に延設された側周壁210とから構成されている。
【0013】
そして、
図7(A)、
図7(B)に示したように、上側本体ケース206の側周壁210には、金属製の吸込側継手部材(吸い込み側導管)212を固定するための開口部210aが形成されたフランジ214が形成されている。
【0014】
図7(A)、
図7(B)に示したように、このフランジ214に、吸込側継手部材212が、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース204内に、吸込側継手部材212が連通するように構成されている。
【0015】
また、
図7(A)、
図7(B)に示したように、本体ケース204は、下側本体ケース(ロータケース)216を備えている。そして、上側本体ケース206の側周壁210の下端218の内壁に、下側本体ケース216の外周フランジ220を、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース204内に、上側本体ケース206と下側本体ケース216で囲まれた内部空間S1が形成されている(後述する
図9(A)参照)。
【0016】
さらに、
図7(A)、
図7(B)に示したように、本体ケース204は、羽根ケース222を備えている。この羽根ケース222は、吸込側継手部材212側において、この羽根ケース222の外周フランジ224が、上側本体ケース206の側周壁210に、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。
【0017】
これによって、羽根ケース222と下側本体ケース216によって、回転部収容空間S2が形成されている(後述する
図9(B)参照)。
【0018】
これにより、
図7(A)、
図7(B)の矢印Cで示したように、吸込側継手部材212から吸い込まれた流体が、羽根ケース222と上側本体ケース206によって形成された流体導入流路226から、回転部収容空間S2に導入されるようになっている。
【0019】
しかしながら、
図7(A)に示したように、上側本体ケース206の側周壁210の吸込側継手側の開口部210aへの吸込側継手部材212の挿入代が大きくなる場合(
図7(A)の突出距離H1参照)がある。
【0020】
この場合には、
図7(A)に示したように、吸込側継手部材212の本体ケース204側の先端212aと、羽根ケース222の側周壁228との間の距離Lが小さくなって、吸込側継手部材212からの流体の流入が阻害されてしまい、流量が低下してしまうことになる。
【0021】
一方、
図7(B)に示したように、上側本体ケース206の側周壁210の吸込側継手側の開口部210aへの吸込側継手部材212の挿入代が小さくなる場合がある。
この場合には、
図7(B)に示したように、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、上側本体ケース206の側周壁210に形成されたフランジ214への吸込側継手部材212の固着の強度不足が発生するとともに、気密不良が発生してしまうことになる。
【0022】
また、同様に、
図8(A)、
図8(B)は、遠心ポンプにおけるこのような問題を、吐出側継手部材(吐出側導管)について、模式的に示す部分拡大断面図である。なお、
図7(A)、
図7(B)と同一部材については、同じ参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0023】
図8(A)、
図8(B)に示したように、上側本体ケース206の側周壁210には、吸込側継手部材212を固定するための開口部210aと対向するように、金属製の吐出側継手部材(吐出側導管)230を固定するための開口部210bが形成されたフランジ232が形成されている。
【0024】
一方、羽根ケース222は、吐出側継手部材230側において、羽根ケース222の側周壁228に開口部222aが形成されている。そして、
図8(A)に示したように、この羽根ケース222の側周壁228に開口部222aの周囲が、上側本体ケース206の側周壁210のフランジ232に、吐出側継手部材230とともに、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。
【0025】
しかしながら、
図8(A)に示したように、上側本体ケース206の側周壁210の吐出側継手側の開口部210bへの吐出側継手部材230の挿入代が大きくなる場合(
図8(A)の突出距離H2参照)がある。
【0026】
この場合には、
図8(A)に示したように、吐出側継手部材230の本体ケース204側に突出する突出部分230aによって、吐出側継手部材230内への流体の流入が阻害されてしまい、流量が低下してしまうことになる。
【0027】
一方、
図8(B)に示したように、上側本体ケース206の側周壁210の吐出側継手側の開口部210bへの吐出側継手部材230の挿入代が小さくなる場合がある。
この場合には、
図8(B)に示したように、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、上側本体ケース206の側周壁210に形成されたフランジ232への吐出側継手部材230の固着の強度不足が発生するとともに、気密不良が発生してしまうことになる。
【0028】
本発明は、このような現状に鑑み、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができ、継手部材(導管)の開口部への挿入し過ぎによる流量の低下を防止できるとともに、挿入不足による固着の強度不足、気密不良が発生することのない継手部材の接合構造、および、継手部材の接合方法、ならびに、これを用いた遠心ポンプを提供することを目的とする。
【0029】
また、本発明は、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができ、気密性の高い金属ケースと配管が使用でき、例えば、冷媒、可燃性流体、毒性を有する流体などを閉回路内で循環させ、その耐圧性・気密性・耐腐食性が求められる遠心ポンプに使用することが可能で、ポンプ性能に優れたな遠心ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の継手部材の接合構造は、
本体ケースの開口部に対して、継手部材を接合するための継手部材の接合構造であって、
前記本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定するためのストッパーを、前記本体側、または、継手部材側に形成したことを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、継手部材の挿入位置を規定するためのストッパーが、本体側、または、継手部材側に形成されているので、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができる。
【0032】
従って、開口部への継手部材(導管)の挿入し過ぎによる流量の低下を防止できるとともに、継手部材(導管)の挿入不足による固着の強度不足、気密不良が発生することのない継手部材の接合構造を提供することができる。
【0033】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記ストッパーが、継手部材の本体ケース側の先端と当接して、前記本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定するための当接部から構成されていることを特徴とする。
【0034】
このように構成することによって、継手部材の挿入位置を規定するための当接部が、継手部材の本体ケース側の先端と当接してストッパーとして機能する。これによって、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができる。
【0035】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記当接部が、本体ケースの開口部に形成されていることを特徴とする。
【0036】
このように構成することによって、本体ケースの開口部に形成された、継手部材の挿入位置を規定するための当接部が、継手部材の本体ケース側の先端と当接してストッパーとして機能する。これによって、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができる。
【0037】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記当接部が、本体の内部を区画するために、本体ケースに接合された区画ケースに形成されていることを特徴とする。
【0038】
このように当接部が、本体の内部を区画するために、本体ケースに接合された区画ケースに形成されていても良い。
【0039】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記ストッパーが、継手部材の外径を、本体ケースの開口部の内径よりも大きく形成した拡径部から構成されていることを特徴とする。
【0040】
このように構成することによって、継手部材の外径を、本体ケースの開口部の内径よりも大きく形成した拡径部が、開口部と当接してストッパーとして機能する。これによって、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができる。
【0041】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記ストッパーが、継手部材の側周壁を、本体ケースの開口部の内径よりも大きく形成した突出部から構成されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、継手部材の側周壁を、本体ケースの開口部の内径よりも大きく形成した突出部が、開口部と当接してストッパーとして機能する。これによって、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができる。
【0043】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記突出部が、継手部材の側周壁に環状に形成されていることを特徴とする。
【0044】
このように、突出部が、継手部材の側周壁に環状に形成されていても良い。
【0045】
また、本発明の継手部材の接合構造は、前記突出部が、継手部材の側周壁に環状に一定間隔離間して形成された複数の突出部から構成されていることを特徴とする。
【0046】
このように、突出部が、継手部材の側周壁に環状に一定間隔離間して形成された複数の突出部から構成しても良い。
【0047】
また、本発明の継手部材の接合方法は、前述のいずれかに記載の継手部材の接合構造によって、本体ケースの開口部に対して、継手部材を接合することを特徴とする。
【0048】
また、本発明のポンプは、前述のいずれかに記載の継手部材の接合構造を備えたことを特徴とする。
【0049】
また、本発明のポンプは、前記ポンプが、遠心ポンプであることを特徴とする。
【0050】
また、本発明のポンプは、
前記遠心ポンプが、
羽根車部材と羽根車部材の下方に設けられたロータマグネットとから構成される回転羽根部材と、
前記回転羽根部材を収容する金属製の本体ケースと、
前記羽根車部材に流体を導入するために、本体ケースに連通するように設けられた金属製の吸込側継手部材と、
前記羽根車部材の回転により流体を排出するために、本体ケースに連通するように設けられた金属製の吐出側継手部材と、
前記ロータマグネットの周囲に位置するように配置され、回転羽根部材を回転させるコイル部とを備え、
前記本体ケースが、
上側本体ケースと、
前記上側本体ケースに固定された下側本体ケースと、
前記上側本体ケースと下側本体ケースとで形成された内部空間を仕切り、上方に流体導入流路を形成するとともに、下方に回転羽根部材を収容する回転部収容空間を形成する羽根ケースとを備え、
前記ストッパーが形成される本体側が、上側本体ケースと羽根ケースの両方、または、いずれか一方であることを特徴とする。
【0051】
このような構成の遠心ポンプに、本発明の継手部材の接合構造を適用すれば、継手部材(導管)の開口部への挿入し過ぎによる流量の低下を防止できるとともに、挿入不足による固着の強度不足、気密不良が発生することがなく、例えば、冷媒、可燃性流体、毒性を有する流体などを閉回路内で循環させ、その耐圧性・気密性・耐腐食性が求められる遠心ポンプを提供することができる。
【発明の効果】
【0052】
本発明によれば、継手部材の挿入位置を規定するためのストッパーが、本体側、または、継手部材側に形成されているので、本体ケースの開口部に対して、継手部材の挿入位置を規定することができる。
従って、継手部材(導管)の開口部への挿入し過ぎによる流量の低下を防止できるとともに、挿入不足による固着の強度不足、気密不良が発生することのない継手部材の接合構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0055】
図1は、本発明の継手部材の接合構造を遠心ポンプに適用した実施例を示す縦断面図、
図2は、
図1の本発明の遠心ポンプの部分拡大断面図である。
なお、本明細書中、「上側」、「上部」、「上方」、「下側」、「下部」、「下方」などの上下方向を示す用語は、各図面において、上下方向を示すものであり、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0056】
図1〜
図2においては、符号10は、全体で本発明の遠心ポンプを示している。
【0057】
図1〜
図2に示したように、本発明の遠心ポンプ10は、回転羽根部材12を備えている。この回転羽根部材12は、
図1〜
図2に示したように、円管状の軸受け部14の上部に、外周方向に放射状に延設された複数枚の羽根車部材16を備えている。
【0058】
なお、この羽根車部材16の枚数は、遠心ポンプ10の用途や、必要とするポンプ能力に応じて選択すれば良く、特に限定されるものではない。
【0059】
図1に示したように、羽根車部材16は、軸受け部14から上部外周方向に延設された基端部分18と、この基端部分18から上方に外周方向に拡径した拡径部20と、この拡径部20から外周方向に延設された外側羽根部22とから構成されている。
【0060】
羽根車部材16の形状をこのような形状とすることで、羽根車部材16の回転による外側羽根部22の作用によって、吐出能力を向上することができる。
【0061】
また、回転羽根部材12は、軸受け部14の外周に一定間隔離間して、また、基端部分18の外周にロータマグネット収容部24が形成されている。ロータマグネット収容部24は、基端部分18の下部から下方に延設されたフランジ部26と、フランジ部26の先端が拡径した支持部28を備えている。
【0062】
そして、これらのフランジ部26と支持部28とから構成される装着部30に、環状の永久磁石からなるロータマグネット32の嵌着孔32aが嵌着されている。これにより、拡径した支持部28によって、ロータマグネット32の抜け落ちが防止されるように構成されている。
【0063】
また、本発明の遠心ポンプ10は、
図1に示したように、回転羽根部材12を収容する金属製の本体ケース34を備えている。本体ケース34は、上側本体ケース36を備えており、上側本体ケース36は、頂壁38と、頂壁38の外周から下方に延設された側周壁40とから構成されている。
【0064】
そして、
図1、
図2に示したように、上側本体ケース36の側周壁40には、金属製の吸込側継手部材42を固定するための開口部40aが形成されたフランジ44が形成されている。
図1に示したように、このフランジ44に、吸込側継手部材(吸い込み側導管)42が、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吸込側継手部材42が連通するように構成されている。
【0065】
また、
図1、
図2に示したように、上側本体ケース36の側周壁40には、吸込側継手部材42を固定するための開口部40aと対向するように、金属製の吐出側継手部材(吐出側導管)46を固定するための開口部40bが形成されたフランジ50が形成されている。
【0066】
なお、この場合、フランジ44とフランジ50の位置は、限定されるものではなく、中心角度をずらして(例えば、45度中心角度をずらして)配置することもでき、ずらし角度は、特に限定されるものではなく、用途などに応じて設計変更することが可能である。
【0067】
図1、
図2に示したように、このフランジ50に、吐出側継手部材46が、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、本体ケース34内に、吐出側継手部材46が連通するように構成されている。
【0068】
また、
図1、
図2に示したように、本体ケース34は、下側本体ケース(ロータケース)48を備えている。そして、上側本体ケース36の側周壁40の下端51の内壁に、下側本体ケース48の外周フランジ52を、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。これにより、
図9(A)に示したように、本体ケース34内に、上側本体ケース36と下側本体ケース48で囲まれた内部空間S1が形成されている。
【0069】
この下側本体ケース48は、
図1に示したように、下側本体ケース48の外周フランジ52から、内周側に略水平に延びた羽根収容部54と、この羽根収容部54から下方に延びたロータマグネット収容部56とを備えている。さらに、このロータマグネット収容部56の下方に、有底筒状の下側軸受部材収容部58が形成されている。
【0070】
そして、下側軸受部材収容部58に、下側軸受部材60が、例えば、圧入などによって嵌着されている。この下側軸受部材60に形成された軸穴62に、軸部材64の下端部66が、例えば、圧入などによって、スラストワッシャー61を介して、軸支されるように固定されている。
【0071】
また、この回転羽根部材12の軸受け部14内に、回転羽根部材12が回転できるように軸部材64が挿通されている。
【0072】
さらに、
図1、
図2(A)に示したように、本体ケース34は、本体の内部を区画するために、本体ケース34に接合された区画ケースを構成する羽根ケース68を備えている。この羽根ケース68は、吸込側継手部材42側において、この羽根ケース68の外周フランジ70が、上側本体ケース36の側周壁40のフランジ44の下方に、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。
【0073】
また、羽根ケース68の外周フランジ70は、上側本体ケース36の側周壁40のフランジ44の下方に固着するための固着部70aと、この固着部70aから上方に鉛直方向に屈曲するように延設された当接部70bを備えている。
【0074】
この当接部70bは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手部材42を接合するための開口部40aに対して、吸込側継手部材42の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0075】
この当接部70bは、吸込側継手部材42の本体ケース34側の先端42aに当接する位置まで延設されている。また、この場合、当接部70bは、吸込側継手部材42の内径部分までは延設されておらず、吸込側継手部材42からの流体の流入が阻害されないように構成されている。
【0076】
これにより、吸込側継手部材42の本体ケース34側の先端42aが、この羽根ケース68の外周フランジ70の当接部70bに当接して、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの吸込側継手部材42の挿入位置が規定されることになる。
【0077】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの吸込側継手部材42の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ44への吸込側継手部材42の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0078】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへ吸込側継手部材42を挿入し過ぎることにより、羽根ケース68の側周壁72との間の距離が小さくなって、後述するように、吸込側継手部材42からの流体の流入が阻害されることがない。
【0079】
一方、羽根ケース68は、吐出側継手部材46側において、羽根ケース68の側周壁72に開口部72aが形成され、この側周壁72の開口部72aの周囲が、上側本体ケース36の側周壁40のフランジ50に、吐出側継手部材46とともに、例えば、溶接・ろう付・溶着などによって、密封状態で固着されている。
【0080】
この場合、
図2(B)に示したように、吐出側継手部材46側において、羽根ケース68の側周壁72の開口部72aから、その内径が小さくなるように延設された当接部72bを備えるようにしても良い。なお、説明の便宜上、
図1では、このような当接部72bを備えていないものを図示している。
【0081】
この当接部72bは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手部材46を接合するための開口部40bに対して、吐出側継手部材46の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0082】
この当接部72bは、吐出側継手部材46の本体ケース34側の先端46aに当接する位置まで延設されている。また、この場合、当接部72bは、吐出側継手部材46の内径部分までは延設されておらず、吐出側継手部材46への流体の流入が阻害されないように構成されている。
【0083】
これにより、吐出側継手部材46の本体ケース34側の先端46aが、この羽根ケース68の側周壁72の開口部72aの当接部72bに当接して、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへの吐出側継手部材46の挿入位置が規定されることになる。
【0084】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部72aへの吸込側継手部材42の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ50への吐出側継手部材46の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0085】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへ吐出側継手部材46を挿入し過ぎることにより、本体ケース34側に突出する吐出側継手部材46の突出部分46bによって、後述するように、吐出側継手部材46内への流体の流入が阻害されることがなく、流量が低下してしまうことがない。
【0086】
なお、これらの当接部70b、当接部72bの数、配置位置は特に限定されるものではない。例えば、それぞれ、1個でも良い。また、それぞれ、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の円周方向に全周にわたって形成しても良い。また、複数個の当接部70b、当接部72bを円周方向に、それぞれ一定間隔離間して形成しても良い。
【0087】
また、羽根ケース68は、外周フランジ70から上方に延びた側周壁72と、側周壁72から、羽根車部材16の外側羽根部22に沿うように水平方向内側に延設された延設部74を備えている。
【0088】
このような形状とすることで、羽根ケース68と下側本体ケース48の羽根収容部54との間に、羽根車部材16を収容することができるようになっている。
【0089】
そして、上側本体ケース36の頂壁38の中央部分に下方に突出した突設部38aに、上側軸受部材78が、固定ホルダー71によって、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部74a内に下方に突出するように固定されている。
【0090】
これにより、上側本体ケース36の頂壁38の突設部38aによって、上側軸受部材78が安定して支持され、回転羽根部材12の回転による偏心や振動を防止することができる。
【0091】
この上側軸受部材78に形成された軸穴80に、回転羽根部材12の軸受け部14内に挿通された軸部材64の上端部82が、例えば、圧入などによって、スラストワッシャー73を介して、軸支されるように固定されている。
【0092】
また、
図1、
図2に示したように、羽根ケース68の側周壁72の径は、上側本体ケース36の側周壁40の径より小さく形成されているとともに、羽根ケース68の側周壁72の高さは、上側本体ケース36の側周壁40の高さより小さく形成されている。
【0093】
これにより、
図9(B)に示したように、羽根ケース68によって、上側本体ケース36と下側本体ケース48とで形成された内部空間S1が仕切られて、上方に流体導入流路84が形成されるとともに、下方に回転羽根部材12を収容する回転部収容空間S2が形成されている。
【0094】
これにより、
図1の矢印Aで示したように、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部74aを通過する。そして、内周側開口部74aを通過した流体は、羽根ケース68と下側本体ケース48によって形成された回転部収容空間S2に導入されるようになっている。
【0095】
さらに、
図1に示したように、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56の外周に、脱着手段を構成する金属製の本体ケース側固定金具96が、例えば、溶接・ろう付・溶着・圧入などによって固定されている。
【0096】
この本体ケース側固定金具96は、
図1に示したように、内周側に屈曲して突設するように係止部98が形成されている。
【0097】
また、
図1に示したように、本発明の遠心ポンプ10は、ロータマグネット32の周囲に位置するように、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56の外周に配置され、回転羽根部材12を回転させるコイル部104を備えている。コイル部104は、ボビンケース106に巻かれた巻線108から構成される複数個のコイル110が、電子制御を行うための電子基板112の上に、図示しないが、周方向に一定間隔で離間して設けられている。
【0098】
そして、これらのコイル110が、略円筒形状のコイルカバー本体114の内部に形成されたコイル装着部114a内に嵌合されている、そして、コイル110が、電子基板112とともに、蓋形状のコイルカバー111によって、コイルカバー本体114内に固定されている。
【0099】
また、
図1に示したように、コイル部104の中央部分には、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56と下側軸受部材収容部58とを収容するための収容用開口部118が形成されている。
【0100】
また、電子基板112の中央部分には、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56の下側軸受部材収容部58を収容するための収容用開口部112aが形成されている。
【0101】
一方、コイルカバー本体114の中央部には、開口部114bが形成されており、この開口部114bを介して、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56と下側軸受部材収容部58とを、コイル部104の収容用開口部118、電子基板112の収容用開口部112aに収容するように構成されている。
【0102】
さらに、
図1に示したように、コイルカバー本体114には、脱着手段を構成するコイル側固定突出部116を備えている。コイル側固定突出部116は、
図1に示したように、コイルカバー本体114の開口部114bから、上方に突出して外側に突出する係止片124が形成されている。
【0103】
これにより、本体ケース側固定金具96の係止部98と、コイル側固定突出部116の係止片124とを係合することによって、コイル部104を収容した、コイルカバー111で閉蓋されたコイルカバー本体114を、本体ケース34の下方に脱着自在に取り付けることができるように構成されている。
【0104】
なお、
図1中、符号126は、コネクター、128は、リード線、130は、ロータマグネット32の回転方向と回転位置を検知するための磁極センサーを示している。
【0105】
このように本発明の遠心ポンプ10によれば、コイル部104を収容し、コイルカバー111で閉蓋されたコイルカバー本体114と、本体ケース34とが、脱着手段によって脱着が自在である。この実施例の場合には、本体ケース側固定金具96の係止部98と、コイル側固定突出部116の係止片124との係合によって脱着自在な構成となっている。
【0106】
従って、コイル部104を収容し、コイルカバー111で閉蓋されたコイルカバー本体114を、本体ケース34に固定する前に、本体ケース34に、例えば、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着、加熱を要する加工を行うことができ作業性が向上する。
【0107】
また、コイル部104を収容し、コイルカバー111で閉蓋されたコイルカバー本体114と、本体ケース34とが、脱着手段によって脱着自在に固定されているので、コイル部104が故障した際の交換も容易にできる。さらに、配線の引出し方向と継手方向(吸込側継手部材42と吐出側継手部材46)を任意に選ぶことができる。
【0108】
しかしながら、このような脱着手段としては、何ら限定されるものではなく、例えば、ネジ係合、凹凸による係合などその他の脱着手段を採用することができる。
【0109】
さらに、回転羽根部材12の軸部材64が、上側軸受部材78と下側軸受部材60とで軸支されているので、回転羽根部材12の軸受が、安定な構造であり、耐久性、静音性に優れた遠心ポンプ10を提供することができる。
【0110】
すなわち、回転羽根部材12の回転が安定し、回転時の騒音が低減され、回転羽根部材12の振動が低減することで、耐久性も向上する。
【0111】
また、回転羽根部材12の軸部材64が、上側軸受部材78と下側軸受部材60に固定され、回転羽根部材12が、軸部材64の外周を回転するので、回転羽根部材12と軸部材64の外周との間で回転摺動面積が増大し、接触面圧も低減することになる。
【0112】
これにより、回転羽根部材12の回転が安定し、回転時の騒音が低減され、回転羽根部材12の振動が低減することで、耐久性も向上する。
【0113】
この場合、回転羽根部材12と軸部材64との間の回転部分、すなわち、少なくとも回転羽根部材12の軸受け部14の内周と、軸部材64の外周が、摺動性のよい合成樹脂から構成されているのが望ましい。
【0114】
従って、回転羽根部材12の軸受け部14と、軸部材64自体を摺動性のよい合成樹脂から構成する他、回転羽根部材12の軸受け部14の内周と、軸部材64の外周の表面のみをこのような摺動性のよい合成樹脂で被覆することもできる。
【0115】
この場合、摺動性のよい合成樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、PPS、PTFEなどの耐薬品性の優れた樹脂を使用することができる。
【0116】
このように回転部分を、摺動性のよい合成樹脂を使用することで、軸受が流体中にある無潤滑条件においても、摺動性に優れ、回転羽根部材12の回転によって軸部材64と回転羽根部材12が摩耗損傷することがなく耐久性が向上するとともに、回転羽根部材12にガタツキや偏心が生じず、所期の目的とするポンプ性能を保持することが可能である。
【0117】
この場合、図示しないが、回転羽根部材12に軸部材64が固着され、上側軸受部材78と軸部材64との間、および、下側軸受部材60と軸部材64との間で、回転羽根部材12が回転するように構成することも可能である。
【0118】
このように構成することによって、回転羽根部材12の回転が安定し、回転時の騒音が低減され、回転羽根部材12の振動が低減することで、耐久性も向上する。
【0119】
さらに、この場合にも、同様に、上側軸受部材78と軸部材64との間、および、下側軸受部材60と軸部材64との間の回転部分を、摺動性のよい合成樹脂を使用することができる。
【0120】
このように構成される本発明の遠心ポンプ10は、以下のように作動される。
【0121】
先ず、コイル部104のコイル110に電流を流すことによって、コイル110が励磁され、これにより、回転羽根部材12のロータマグネット32に作用して、回転羽根部材12が軸受け部14に挿通された軸部材64の周りで回転できるようになっている。
【0122】
これにより、回転羽根部材12の羽根車部材16が回転して、
図1の矢印Aで示したように、吸込側継手部材42から吸い込まれた流体が、羽根ケース68と上側本体ケース36によって形成された流体導入流路84から、羽根ケース68の延設部74の内周側開口部74aを通過する。
【0123】
そして、内周側開口部74aを通過した流体は、羽根ケース68と下側本体ケース48によって形成された回転部収容空間S2に導入される。
【0124】
また、回転羽根部材12の羽根車部材16の回転力によって、回転部収容空間S2に導入された流体は、
図1の矢印Bで示したように、本体ケース34の回転部収容空間S2から、吐出側継手部材46を介して吐出されるようになっている。
【0125】
このように構成される本発明の遠心ポンプ10によれば、本体ケース34が、上側本体ケース36と、上側本体ケース36に固定された下側本体ケース(ロータケース)48とを備え、下側本体ケース48が、下側本体ケース48の外周から、内周側に水平に延びた羽根収容部54と、羽根収容部54から下方に延びたロータマグネット収容部56とを備えている形状である。
【0126】
従って、この上側本体ケース36と、上側本体ケース36に固定された下側本体ケース48との間に形成された内部空間S1内に、羽根車部材16と羽根車部材16の下方に設けられたロータマグネット32とから構成される回転羽根部材12をコンパクトに収容することができる。
【0127】
しかも、ロータマグネット32の周囲に位置するように配置され、回転羽根部材12を回転させるコイル部104を備えるので、ロータマグネット32の周囲に位置するように配置されたコイル部104を起電することによって発生する磁路によって、下側本体ケース48のロータマグネット収容部56を介して、羽根車部材16の下方に設けられたロータマグネット32に作用することになる。
【0128】
これによって、安定的に回転羽根部材12を回転させることが可能となる。従って、駆動モーター(コイル部104とロータマグネット32)の作動ロスを生じることがなく、ポンプ性能に優れた遠心ポンプを提供することができる。
【0129】
また、金属製の本体ケース34を構成する上側本体ケース36と、下側本体ケース48とを、例えば、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができ、密封状態で固着することができる。
【0130】
すなわち、これらの接続部に、溶接やろう付などの高い気密性と保持強度を持った接合方法が可能な構造となっている。
【0131】
従って、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができるので、例えば、冷媒、可燃性流体、毒性を有する流体などを閉回路内で循環させその耐圧性・気密性・耐腐食性が求められる遠心ポンプを提供することができる。
【0132】
また、金属製の本体ケース34(上側本体ケース36のいずれか、またはその両方)と、羽根ケース68との接合部を、例えば、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができ、密封状態で固着することができる。
【0133】
また、金属製の吸込側継手部材42と本体ケース34との接合部、および、吐出側継手部材46と本体ケース34との接合部を、例えば、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができ、密封状態で固着することができる。
【0134】
すなわち、これらの接続部に、溶接やろう付などの高い気密性と保持強度を持った接合方法が可能な構造となっている。
【0135】
従って、溶接・ろう付・溶着など加熱による固着ができるので、気密性の高い金属ケースと配管が使用でき、例えば、冷媒、可燃性流体、毒性を有する流体などを閉回路内で循環させ、その耐圧性・気密性・耐腐食性が求められる遠心ポンプを提供することができる。
【0136】
また、上側本体ケース36と下側本体ケース48とで形成された内部空間S1を仕切り、上方に流体導入流路84を形成するとともに、下方に回転羽根部材12を収容する回転部収容空間S2を形成する羽根ケース68を備えるので、流体の経路を容易に形成することができる。
【0137】
この場合、本体ケース34が、金属製のプレス成形品から構成されるとともに、吸込側継手部材42と吐出側継手部材46が、金属パイプによって構成されているのが望ましい。これにより、これらの接続部に、溶接やろう付などの高い気密性と保持強度を持った接合方法が可能で、しかも、コストを低減することができる。
(実施例2)
【0138】
図3は、本発明の継手部材の接合構造を遠心ポンプに適用した別の実施例を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0139】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0140】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図3に示したように、吸込側継手部材42側において、上側本体ケース36の側周壁40には、金属製の吸込側継手部材42を固定するための開口部40aの一部が、半径方向内側に屈曲した屈曲部40cと、この屈曲部40cから鉛直方向上方へ延設された当接部40dを備えている。
【0141】
この当接部40dは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手部材42を接合するための開口部40aに対して、吸込側継手部材42の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0142】
この当接部40dは、吸込側継手部材42の本体ケース34側の先端42aに当接する位置まで延設されている。また、この場合、当接部40dは、吸込側継手部材42の内径部分までは延設されておらず、吸込側継手部材42からの流体の流入が阻害されないように構成されている。
【0143】
これにより、吸込側継手部材42の本体ケース34側の先端42aが、この上側本体ケース36の側周壁40の当接部40dに当接して、吸込側継手部材42の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの挿入位置が規定されることになる。
【0144】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの吸込側継手部材42の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ44への吸込側継手部材42の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0145】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへ吸込側継手部材42を挿入し過ぎることにより、羽根ケース68の側周壁72との間の距離が小さくなって、吸込側継手部材42からの流体の流入が阻害されることがない。
(実施例3)
【0146】
図4は、本発明の継手部材の接合構造を遠心ポンプに適用した別の実施例を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0147】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0148】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図4に示したように、吐出側継手部材46側において、羽根ケース68の側周壁72の開口部72aの一部に、内径方向内側に延設した爪部材形状の爪部材75が形成されている。
【0149】
すなわち、この爪部材75は、羽根ケース68の側周壁72の開口部72aから半径方向内側へ屈曲する屈曲部75aと、この屈曲部75aから鉛直方向上方へ延設された当接部75bから構成されている。
【0150】
この当接部75bは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手部材46を接合するための開口部72aに対して、吐出側継手部材46の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0151】
この当接部75bは、吐出側継手部材46の本体ケース34側の先端46aに当接する位置まで延設されている。また、この場合、当接部75bは、吐出側継手部材46の内径部分までは延設されておらず、吐出側継手部材46への流体の流入が阻害されないように構成されている。
【0152】
これにより、吐出側継手部材46の本体ケース34側の先端46aが、この羽根ケース68の側周壁72の開口部72aの当接部75bに当接して、吐出側継手部材46の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへの挿入位置が規定されることになる。
【0153】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへの吸込側継手部材42の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ50への吐出側継手部材46の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0154】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへ吐出側継手部材46を挿入し過ぎることにより、本体ケース34側に突出する吐出側継手部材46の突出部分46bによって、吐出側継手部材46内への流体の流入が阻害されることがなく、流量が低下してしまうことがない。
【0155】
なお、この爪部材75(当接部75b)の数、配置位置は特に限定されるものではない。例えば、1個でも良い。また、羽根ケース68の側周壁72の開口部72aの円周方向に全周にわたって形成しても良い。また、複数個の爪部材75(当接部75b)を開口部72aの円周方向に、それぞれ一定間隔離間して形成しても良い。
(実施例4)
【0156】
図5は、本発明の継手部材の接合構造を遠心ポンプに適用した別の実施例を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0157】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0158】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図5(A)に示したように、吸込側継手部材42側において、吸込側継手部材42の外径を、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手部材42を接合するための開口部40aの内径よりも大きく形成した拡径部42bを備えている。
【0159】
この拡径部42bは、半径方向外側に傾斜したテーパー傾斜面42cと、一定の外径および内径を有するように構成した継手本体を構成する拡径部本体42dを備えている。
【0160】
この拡径部42bは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手部材42を接合するための開口部40aに対して、吸込側継手部材42の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0161】
これにより、吸込側継手部材42の拡径部42bのテーパー傾斜面42cが、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aに当接して、吸込側継手部材42の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの挿入位置が規定されることになる。
【0162】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの吸込側継手部材42の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ44への吸込側継手部材42の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0163】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへ吸込側継手部材42を挿入し過ぎることにより、羽根ケース68の側周壁72との間の距離が小さくなって、後述するように、吸込側継手部材42からの流体の流入が阻害されることがない。
【0164】
また、この実施例の遠心ポンプ10では、
図5(B)に示したように、吐出側継手部材46側において、吐出側継手部材46の外径を、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手部材46を接合するための開口部40bの内径よりも大きく形成した拡径部46cを備えている。
【0165】
この拡径部46cは、半径方向外側に傾斜したテーパー傾斜面46dと、一定の外径および内径を有するように構成した継手本体を構成する拡径部本体46eを備えている。
【0166】
この拡径部46cは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手部材46を接合するための開口部40bに対して、吐出側継手部材46の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0167】
これにより、吐出側継手部材46の拡径部46cのテーパー傾斜面46dが、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bに当接して、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへの吐出側継手部材46の挿入位置が規定されることになる。
【0168】
従って、吐出側継手部材46の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへの挿入位置が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ44への吐出側継手部材46の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0169】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへ吐出側継手部材46を挿入し過ぎることにより、本体ケース34側に突出する吐出側継手部材46の突出部分46bによって、吐出側継手部材46内への流体の流入が阻害されることがなく、流量が低下してしまうことがない。
(実施例5)
【0170】
図6は、本発明の継手部材の接合構造を遠心ポンプに適用した別の実施例を示す
図2と同様な部分拡大断面図である。
【0171】
この実施例の遠心ポンプ10は、
図1〜
図2に示したと基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0172】
この実施例の遠心ポンプ10では、
図6(A)に示したように、吸込側継手部材42側において、吸込側継手部材42の側周壁を、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手部材42を接合するための開口部40aの内径よりも大きく形成した突出部42eを備えている。
【0173】
この突出部42eは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手部材42を接合するための開口部40aに対して、吸込側継手部材42の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0174】
これにより、吸込側継手部材42の突出部42eが、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aに当接して、吸込側継手部材42の上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの挿入位置が規定されることになる。
【0175】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへの吸込側継手部材42の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ44への吸込側継手部材42の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0176】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吸込側継手側の開口部40aへ吸込側継手部材42を挿入し過ぎることにより、羽根ケース68の側周壁72との間の距離が小さくなって、吸込側継手部材42からの流体の流入が阻害されることがない。
【0177】
また、この実施例の遠心ポンプ10では、
図6(B)に示したように、吐出側継手部材46側において、吐出側継手部材46の側周壁を、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手部材46を接合するための開口部40bの内径よりも大きく形成した突出部46fを備えている。
【0178】
この突出部46fは、本体ケース34の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手部材46を接合するための開口部40bに対して、吐出側継手部材46の挿入位置を規定するためのストッパーとして機能する。
【0179】
これにより、吐出側継手部材46の突出部46fが、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bに当接して、吐出側継手部材46の上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部72aへの挿入位置が規定されることになる。
【0180】
従って、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへの吐出側継手部材46の挿入代が不足して、例えば、ろう材などの回り込み量が少なくなってしまい、接合面積が減少する。その結果、フランジ44への吐出側継手部材46の固着の強度不足が発生することがなく、気密不良が発生しないように構成されている。
【0181】
また、この構成によって、上側本体ケース36の側周壁40の吐出側継手側の開口部40bへ吐出側継手部材46を挿入し過ぎて、本体ケース34側に突出する吐出側継手部材46の突出部分46bによって、吐出側継手部材46内への流体の流入が阻害されることがなく、流量が低下してしまうことがない。
【0182】
この場合、突出部42e、突出部46fの数、配置位置は、特に限定されるものではなく、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の側周壁に部分的に1個形成しても良い。また、それぞれ、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の側周壁に、環状に形成しても良い。さらに、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の側周壁に、環状に一定間隔離間して形成しても良い。
【0183】
なお、本発明において、ストッパーが形成される「本体側」とは、上側本体ケース36の側と羽根ケース68の側との両方、または、いずれか一方を意味する。
【0184】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記実施例では、コイル部104をコイルカバー本体114に収容し、コイルカバー111で閉蓋したが、コイル部104をモールド樹脂でモールドして、これを、本体ケース34の下方に脱着自在に取り付けるようにすることもできる。
【0185】
また、上記実施例では、本発明の継手部材の接合構造を遠心ポンプに適用した実施例を示したが、遠心ポンプに限定されることなく、継手部材の接合構造を有するポンプ、制御弁などに適用できる。
【0186】
さらに、上記実施例では、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数をそれぞれ1個としたが、吸込側継手部材42、吐出側継手部材46の数を複数個設けることも可能であるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。