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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-30265(P2016-30265A)
(43)【公開日】2016年3月7日
(54)【発明の名称】低圧鋳造装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 18/08 20060101AFI20160208BHJP
   B22D 47/00 20060101ALI20160208BHJP
   B22D 33/06 20060101ALI20160208BHJP
   B22D 18/04 20060101ALI20160208BHJP
【FI】
   B22D18/08 501B
   B22D47/00
   B22D33/06
   B22D18/04 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-152773(P2014-152773)
(22)【出願日】2014年7月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 澄雄
(72)【発明者】
【氏名】梅田 浩司
(57)【要約】
【課題】 溶湯を保持炉に保持し、且つ、保持炉内の加圧を行うための電力量などのコストを削減することができる低圧鋳造装置を提供する。
【解決手段】 第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機を備える低圧鋳造装置であって、一方に配設された前記第1低圧鋳造機と、他方に配設されると共に前記第1低圧鋳造機の保持炉より容量の大きい保持炉を備えた前記第2低圧鋳造機と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉のどちらか一方に加圧用のエアーを供給する空圧制御装置と、前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉に加圧用のエアーを供給するかを切替える第1切替え手段と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉のどちらか一方の保持炉内圧力を測定する圧力測定手段と、前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉内圧力を測定するかを切替える第2切替え手段と、を具備する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯を貯留する保持炉内を空圧によって加圧することにより、ストークを介して上方にある鋳型内に該溶湯を押し上げて鋳造をする第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機を備える低圧鋳造装置であって、
一方に配設された前記第1低圧鋳造機と、他方に配設されると共に前記第1低圧鋳造機の保持炉より容量の大きい保持炉を備えた前記第2低圧鋳造機と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉に第1エアー流路を介して連通接続されると共に該各々の保持炉のどちらか一方に加圧用のエアーを供給する空圧制御装置と、前記第1エアー流路の途中に配設されると共に前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉に加圧用のエアーを供給するかを切替える第1切替え手段と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉に第2エアー流路を介して連通接続されると共に該各々の保持炉のどちらか一方の保持炉内圧力を測定する圧力測定手段と、前記第2エアー流路の途中に配設されると共に前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉内圧力を測定するかを切替える第2切替え手段と、を具備することを特徴とする低圧鋳造装置。
【請求項2】
前記第1切替え手段及び第2切替え手段は、エアーの流れる方向を切替えるアクチュエータと、該アクチュエータで切替えた方向を検出する切替え方向検出手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の低圧鋳造装置。
【請求項3】
前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機は、前記鋳型を上方から押えつける鋳型押え装置を備え、該鋳型押え装置は、型合せされた前記鋳型の上面を押圧する鋳型押え部材と、該鋳型押え部材を昇降させる昇降手段と、該昇降手段を前記鋳型押え部材と共に回動させることにより前記鋳型押え部材を前記鋳型の上方に位置させる回動手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の低圧鋳造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金等の溶解された軽合金を保持炉に供給した後、設定された圧力により保持炉からストークを介して上方にある鋳型内に押し上げて鋳造をする低圧鋳造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、低圧鋳造装置は、特許文献1の図2に示されるように、保持炉と空圧制御装置を一つずつ備えたものが一般的であった。このため、保持炉としては、様々な種類の鋳造品と注湯数に対応するために、余裕をもって比較的大きな容量の保持炉を使用することが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−28794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、低圧鋳造装置の使い方としては、体積の小さな鋳造品(重量の軽い鋳造品)を鋳造する場合や、少ない注湯数の鋳造を行う場合も考えられる。従来は、このような場合でも、上述した比較的大きな容量の保持炉を使用せざるを得なかった。このため、溶湯を保持炉に保持し、且つ、保持炉内の加圧を行うためのコスト(電力量など)がかかるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みて成されたもので、溶湯を保持炉に保持し、且つ、保持炉内の加圧を行うための電力量などのコストを削減することができる低圧鋳造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の低圧鋳造装置は、溶湯を貯留する保持炉内を空圧によって加圧することにより、ストークを介して上方にある鋳型内に該溶湯を押し上げて鋳造をする第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機を備える低圧鋳造装置であって、一方に配設された前記第1低圧鋳造機と、他方に配設されると共に前記第1低圧鋳造機の保持炉より容量の大きい保持炉を備えた前記第2低圧鋳造機と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉に第1エアー流路を介して連通接続されると共に該各々の保持炉のどちらか一方に加圧用のエアーを供給する空圧制御装置と、前記第1エアー流路の途中に配設されると共に前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉に加圧用のエアーを供給するかを切替える第1切替え手段と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉に第2エアー流路を介して連通接続されると共に該各々の保持炉のどちらか一方の保持炉内圧力を測定する圧力測定手段と、前記第2エアー流路の途中に配設されると共に前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉内圧力を測定するかを切替える第2切替え手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また本発明の低圧鋳造装置は、前記第1切替え手段及び第2切替え手段は、エアーの流れる方向を切替えるアクチュエータと、該アクチュエータで切替えた方向を検出する切替え方向検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに本発明の低圧鋳造装置は、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機は、前記鋳型を上方から押えつける鋳型押え装置を備え、該鋳型押え装置は、型合せされた前記鋳型の上面を押圧する鋳型押え部材と、該鋳型押え部材を昇降させる昇降手段と、該昇降手段を前記鋳型押え部材と共に回動させることにより前記鋳型押え部材を前記鋳型の上方に位置させる回動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、溶湯を貯留する保持炉内を空圧によって加圧することにより、ストークを介して上方にある鋳型内に該溶湯を押し上げて鋳造をする第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機を備える低圧鋳造装置であって、一方に配設された前記第1低圧鋳造機と、他方に配設されると共に前記第1低圧鋳造機の保持炉より容量の大きい保持炉を備えた前記第2低圧鋳造機と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉に第1エアー流路を介して連通接続されると共に該各々の保持炉のどちらか一方に加圧用のエアーを供給する空圧制御装置と、前記第1エアー流路の途中に配設されると共に前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉に加圧用のエアーを供給するかを切替える第1切替え手段と、前記第1低圧鋳造機及び第2低圧鋳造機の各々の前記保持炉に第2エアー流路を介して連通接続されると共に該各々の保持炉のどちらか一方の保持炉内圧力を測定する圧力測定手段と、前記第2エアー流路の途中に配設されると共に前記第1低圧鋳造機又は第2低圧鋳造機のどちらの保持炉内圧力を測定するかを切替える第2切替え手段と、を具備するようにしたから、溶湯を保持炉に保持し、且つ、保持炉内の加圧を行うための電力量などのコストを削減することができる等種々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態を示す一部断面正面図である。
図2】本発明の実施形態を示す一部省略平面図である。
図3】第1低圧鋳造機を拡大して示した一部断面正面図である。
図4】第2低圧鋳造機を拡大して示した一部断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。本実施形態では、溶湯を貯留する保持炉内を空圧によって加圧することにより、ストークを介して上方にある鋳型内に該溶湯を押し上げて鋳造をする方式の低圧鋳造機を2台用いている。
【0012】
図1において、一方(図1における左側)には第1低圧鋳造機100が配設されている。該第1低圧鋳造機100は比較的小容量の保持炉101を備えている。また、他方(図1における右側)には第2低圧鋳造機200が配設されている。該第2低圧鋳造機200は、第1低圧鋳造機100の保持炉101より容量の大きい保持炉201を備えている。
【0013】
そして、第1低圧鋳造機100と第2低圧鋳造機200の間位置には、空圧制御装置1が配設されている。該空圧制御装置1は図2に示すように、第1低圧鋳造機100及び第2低圧鋳造機200の各々の保持炉101、201に第1エアー流路としての第1エアー配管2を介して連通接続されており、該各々の保持炉101、201のどちらか一方に加圧用のエアーを供給するようになっている。なお、空圧制御装置1の上部に配設された符号7(図1参照)は制御盤である。
【0014】
そして、第1エアー配管2の途中には、第1低圧鋳造機100又は第2低圧鋳造機200のどちらの保持炉101、201に加圧用のエアーを供給するかを切替える第1切替え手段3が配設されている。また、空圧制御装置1には圧力測定手段としての圧力計4(図2参照)が付属されており、該圧力計4は空圧制御装置1の内部に配設されている。
【0015】
そして、該圧力計4は、第1低圧鋳造機100及び第2低圧鋳造機200の各々の保持炉101、201に第2エアー流路としての第2エアー配管5を介して連通接続されており、該各々の保持炉101、201のどちらか一方の保持炉内圧力を測定するようになっている。そして、第2エアー配管5の途中には、第1低圧鋳造機100又は第2低圧鋳造機200のどちらの保持炉内圧力を測定するかを切替える第2切替え手段6が配設されている。
【0016】
ここで、第1切替え手段3及び第2切替え手段6について詳しく説明する。該第1切替え手段3及び第2切替え手段6は、エアーの流れる方向を切替えるアクチュエータ3a、6aを備えている。さらに、該アクチュエータ3a、6aで切替えた方向を検出する切替え方向検出手段としてのリミットスイッチ(図示せず)を備えている。
【0017】
該第1切替え手段3は、空圧制御装置1から供給される加圧用のエアーを各々の保持炉101、201のどちらに供給するかをアクチュエータ3aの作動により切替えるようになっている。そして、該切替えた方向、即ち、どちらの保持炉101、201に切替えたのかはリミットスイッチで検出されるようになっている。
【0018】
また該第2切替え手段6は圧力計4を各々の保持炉101、201のどちらに連通させるかをアクチュエータ6aの作動により切替えるようになっている。そして、該切替えた方向、即ち、どちらの保持炉101、201に切替えたのかはリミットスイッチで検出されるようになっている。
【0019】
次に第1低圧鋳造機100について図3に基づき詳しく説明する。該第1低圧鋳造機100は保持炉101を備えている。そして、該保持炉101内には加圧室102が形成されている。そして、該加圧室102の一方の側面には、第1エアー配管2が連通接続されており、該第1エアー配管2は第1切替え手段3の一方の接続口に接続されている。また、該加圧室102の他方の側面には、第2エアー配管5が連通接続されており、該第2エアー配管5は第2切替え手段6の一方の接続口に接続されている。
【0020】
また、加圧室102内には坩堝103が配設されており、該坩堝103内には溶湯(本実施形態ではアルミニウム合金の溶湯)が貯留されている。さらに、該坩堝103内にはストーク104が挿入されており、該ストーク104は保持炉101の最上部に配設されたダイベース105に吊設されている。なお符号106は溶湯の温度を測る溶湯温度センサであり、該溶湯温度センサ106もダイベース105に吊設されている。
【0021】
そして、ダイベース105上には、上鋳型と下鋳型が型合せされた鋳型107が載置されている。該鋳型107は図示されない鋳型搬送手段により、ダイベース105上に搬入、もしくは、ダイベース105上から搬出されるようになっている。なお本実施形態では、鋳型107は砂鋳型である。
【0022】
また保持炉101の上位部外側には支持フレーム108が固定されており、該支持フレーム108上には鋳型107を上方から押えつける鋳型押え装置109が立設されている。ここで、鋳型押え装置109について説明する。該鋳型押え装置109の先端には、型合せされた鋳型107の上面を押圧する鋳型押え部材110が配設されている。そして、鋳型押え部材110は、該鋳型押え部材110を昇降させる昇降手段としての昇降シリンダ111の先端に連結されている。
【0023】
そして、該昇降シリンダ111は回動手段としての回動アーム112の先端に装着されており、該回動アーム112は回動軸113を中心に回動可能にされている。回動アーム112は駆動手段としてのモータ(図示せず)により駆動されて回動されるようになっている。回動アーム112によって昇降シリンダ111を鋳型押え部材110と共に回動させることにより、鋳型押え部材110を鋳型107の上方に位置させるようになっている。また、回動軸113は支柱114を介して支持フレーム108に固定されている。
【0024】
なお符号115(図2参照)は第1位置確認スイッチであって、鋳型押え部材110が鋳型107の上方に位置しているときにONするようになっている。また符号116は第2位置確認スイッチであって、鋳型押え部材110が鋳型107の上方から搬出される方向に90度回動された位置のときにONするようになっている。第1位置確認スイッチ115、第2位置確認スイッチ116とも、本実施形態ではリミットスイッチを使用している。
【0025】
第1低圧鋳造機100は、このような構成にされている。なお、第1低圧鋳造機100と第2低圧鋳造機200は、保持炉の容量の大小の違いはあるが、装置構成は基本的に同じである。したがって、第2低圧鋳造機200の構成についての説明は省略する。なお、第1低圧鋳造機100が100番台の符号を付したのに対し、第2低圧鋳造機200において同様の構成要素は200番台の符号を付している(図4参照)。
【0026】
このように構成されたものの作動について説明する。本実施形態では、第1低圧鋳造機100と第2低圧鋳造機200を交互に用いる例を説明する。最初は第1低圧鋳造機100を用いる。まず、前記鋳型搬送手段により型合せされた鋳型107がダイベース105上に搬入され、載置される。この際、鋳型107内のキャビティ117とストーク104は連通される。
【0027】
次に、前記モータを正作動させることにより、回動アーム112を90度、正方向に回動させて鋳型押え部材110を鋳型107の上方に位置させる。鋳型押え部材110が鋳型107の上方の位置に到着したら第1位置確認スイッチ115がONする。その後、昇降シリンダ111を伸長作動させることにより、鋳型押え部材110を下降させて鋳型107の上面を押圧する。これにより、ストーク104と鋳型107の密着を、より確実なものとする。
【0028】
次に、アクチュエータ3aの作動により、空圧制御装置1から供給される加圧用のエアーを第1低圧鋳造機100の保持炉101に供給するように第1切替え手段3を切替える。切替えた方向は前記リミットスイッチで検出される。次に、アクチュエータ6aの作動により、圧力計4を第1低圧鋳造機100の保持炉101に連通させるように第2切替え手段6を切替える。切替えた方向は前記リミットスイッチで検出される。
【0029】
次に、空圧制御装置1内に配設された図示されない給気弁を開く。これにより、空圧制御装置1から加圧用のエアーが供給され、該加圧用のエアーは第1エアー配管2を通って加圧室102に供給される。そうすると、坩堝103内の溶湯の上面がエアーにより加圧され、該溶湯がストーク104を介して鋳型107内のキャビティ117に充填される。そして、この加圧状態を所定時間、保持する。
【0030】
次に、前記給気弁を閉じると共に、空圧制御装置1内に配設された図示されない排気弁を開く。これにより、加圧室102内のエアーが第1エアー配管2を通って該排気弁を介して排気される。そうすると、ストーク104内の残湯は下降し、坩堝103内に戻される。その後、このままの状態を所定時間、維持する。即ち、キャビティ117内の鋳物製品を冷却するということである。
【0031】
そして、該鋳物製品の冷却を所定時間行った後、昇降シリンダ111を収縮作動させることにより、鋳型押え部材110を上昇させて鋳型107上面の押圧を解除する。次に、前記モータを逆作動させることにより、回動アーム112を90度、逆方向に回動させて鋳型押え部材110を鋳型107の上方から搬出させる。この際、回動端で第2位置確認スイッチ116がONする。次に、前記鋳型搬送手段により、注湯済みの鋳型107をダイベース105上から搬出させる。
【0032】
なお本実施形態における空圧制御装置1について、より詳しく説明すると、該空圧制御装置1は、保持炉内に形成された加圧室を、所定の時間−圧力曲線(目標パターン)に従って加圧制御する機能を有している。したがって、本実施形態においては、上述した坩堝103内の溶湯の上面をエアーにより加圧する際には、保持炉101内に形成された加圧室102を、所定の時間−圧力曲線、即ち、目標パターンに従って加圧制御する。なお加圧室102内の圧力は圧力計4により測定されるようになっている。
【0033】
次に、第1低圧鋳造機100に替えて第2低圧鋳造機200を用いる。これについて説明する。第1低圧鋳造機100と第2低圧鋳造機200は、保持炉の容量の大小の違いはあるが、作動も基本的に同じである。したがって、第2低圧鋳造機200の作動についての説明は省略する。
【0034】
使用する低圧鋳造機を第1低圧鋳造機100から第2低圧鋳造機200に切替える場合、まず、アクチュエータ3aの作動により、空圧制御装置1から供給される加圧用のエアーを第2低圧鋳造機200の保持炉201に供給するように第1切替え手段3を切替える。切替えた方向は前記リミットスイッチで検出される。次に、アクチュエータ6aの作動により、圧力計4を第2低圧鋳造機200の保持炉201に連通させるように第2切替え手段6を切替える。切替えた方向は前記リミットスイッチで検出される。このようにして切替えられる。
【0035】
なお本実施形態では、第1低圧鋳造機100又は第2低圧鋳造機200のどちらか一方で上述の加圧する工程から冷却する工程までを行っている間、他方の低圧鋳造機では別のことを行うようにしている。詳述すると、この間、他方の低圧鋳造機では、前記鋳型搬送手段により型合せされた鋳型をダイベース上に搬入し、載置する。そして、鋳型押え部材を鋳型の上方に位置させた後に下降させ、鋳型の上面を押圧する。即ち、加圧する工程の前まで、準備を完了しておくということである。
【0036】
なお本発明は、一方に配設された第1低圧鋳造機100と、他方に配設されると共に第1低圧鋳造機100の保持炉101より容量の大きい保持炉201を備えた第2低圧鋳造機200と、を備え、鋳造する製品重量の軽重の違いなどに基づき、どちらの低圧鋳造機を使用するかを選択することができる。
【0037】
例えば、製品重量0.5kgの製品を10個と製品重量25kgの製品を10個鋳造する必要がある場合、まず、比較的小容量の保持炉101を備えた第1低圧鋳造機100で製品重量0.5kgの製品を10個鋳造する。その後、使用する低圧鋳造機を第1低圧鋳造機100から第2低圧鋳造機200に切替える。そして、第1低圧鋳造機100の保持炉101より容量の大きい保持炉201を備えた該第2低圧鋳造機200で製品重量25kgの製品を10個鋳造する。
【0038】
このようにして、鋳造する製品重量の軽重の違いなどに基づき、適切な容量の保持炉を備えた低圧鋳造機を選択して使用することができる。このため、溶湯を保持炉に保持し、且つ、保持炉内の加圧を行うための電力量などのコストを削減することができるという利点がある。なお、少ない注湯数の鋳造を行う場合は、比較的小容量の保持炉101を備えた第1低圧鋳造機100のみを使用して鋳造を行うようにすればよい。また本発明では、第1低圧鋳造機100と第2低圧鋳造機200の2台の低圧鋳造機を用いているが、空圧制御装置1は一つで済むという利点もある。
【0039】
また本発明では、第1切替え手段3及び第2切替え手段6は、エアーの流れる方向を切替えるアクチュエータ3a、6aと、該アクチュエータ3a、6aで切替えた方向を検出する切替え方向検出手段と、を備えた構成にされている。本構成によれば、使用する低圧鋳造機を簡単な構成で素早く切替えることができるという利点がある。
【0040】
さらに本発明では、第1低圧鋳造機100は、鋳型107を上方から押えつける鋳型押え装置109を備え、該鋳型押え装置109は、型合せされた鋳型107の上面を押圧する鋳型押え部材110と、該鋳型押え部材110を昇降させる昇降手段111と、該昇降手段111を鋳型押え部材110と共に回動させることにより鋳型押え部材110を鋳型107の上方に位置させる回動手段112と、を備えた構成にされている。また、第2低圧鋳造機200も同様な構成にされている。本構成によれば、鋳型の上面を押圧することにより、ストークと鋳型の密着を、より確実なものとする工程を簡単な構成で容易に実現できるという利点がある。
【0041】
なお本発明の実施形態では、鋳型として砂鋳型を用いたが、該鋳型の種類は、これに限定されるものではなく、鋳型として例えば、金型を用いるようにしてもよい。また砂鋳型を用いる場合、該砂鋳型は、鋳枠に保持された枠付鋳型、又は、鋳枠の無い無枠鋳型のどちらでもよい。
【0042】
また本発明の実施形態では、回動アーム112、212をモータ駆動によって回動させているが、これに限定されるものではなく、モータを用いず、回動アーム112、212を作業者が手作業により回動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 空圧制御装置
2 第1エアー流路
3 第1切替え手段
3a アクチュエータ
4 圧力測定手段
5 第2エアー流路
6 第2切替え手段
6a アクチュエータ
100 第1低圧鋳造機
200 第2低圧鋳造機
101 201 保持炉
104 204 ストーク
107 207 鋳型
109 209 鋳型押え装置
110 210 鋳型押え部材
111 211 昇降手段
112 212 回動手段
図1
図2
図3
図4