特開2016-30723(P2016-30723A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2016030723-アルデヒド低減用組成物 図000006
  • 特開2016030723-アルデヒド低減用組成物 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-30723(P2016-30723A)
(43)【公開日】2016年3月7日
(54)【発明の名称】アルデヒド低減用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/18 20060101AFI20160208BHJP
   A61K 36/81 20060101ALI20160208BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20160208BHJP
   A61K 8/97 20060101ALI20160208BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20160208BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20160208BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20160208BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20160208BHJP
【FI】
   A61K35/78 C
   A61K35/78 R
   A61K35/78 T
   A61K8/97
   A61Q11/00
   A61P1/02
   A61K31/353
   A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-152066(P2014-152066)
(22)【出願日】2014年7月25日
(71)【出願人】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100102808
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 憲通
(74)【代理人】
【識別番号】100128646
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 恒夫
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】菅野 範
(72)【発明者】
【氏名】小柳津 正典
【テーマコード(参考)】
4C083
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB322
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC742
4C083AC782
4C083AC841
4C083AC852
4C083AD272
4C083BB21
4C083BB41
4C083CC41
4C083DD08
4C083DD22
4C083EE34
4C086AA01
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA67
4C088AB12
4C088AB26
4C088AB44
4C088AB45
4C088AB48
4C088AB56
4C088AB99
4C088AC04
4C088AC05
4C088BA08
4C088MA27
4C088MA57
4C088NA14
4C088ZA67
(57)【要約】
【課題】アルデヒドを低減する組成物の提供。
【解決手段】ジャスミン茶抽出物、トマトパウダー、ブルーベリー抽出物、カシス抽出物、エピガロカテキンガレート、チャ抽出物、ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物、アッサム抽出物、およびベニバナ抽出物から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とするアルデヒド低減用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジャスミン茶抽出物、トマトパウダー、ブルーベリー抽出物、カシス抽出物、エピガロカテキンガレート、チャ抽出物、ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物、アッサム抽出物、およびベニバナ抽出物から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とするアルデヒド低減用組成物。
【請求項2】
口腔内のアルデヒドを低減することを特徴とする請求項1のアルデヒド低減用組成物。
【請求項3】
咀嚼されることにより口腔内のアルデヒドを低減することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のアルデヒド低減用組成物。
【請求項4】
ジャスミン茶抽出物を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアルデヒド低減用組成物。
【請求項5】
ジャスミン茶抽出物が1.0重量%から10重量%含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアルデヒド低減用組成物。
【請求項6】
組成物がガムであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアルデヒド低減用組成物。
【請求項7】
組成物がリキッド部を含み、リキッド部中のジャスミン茶抽出物が15重量%以下であることを特徴とする請求項6に記載のアルデヒド低減用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
口腔内のアルデヒドの低減。
【背景技術】
【0002】
アルコール飲料を飲んだ後は、口臭が生じ、他人に不快感を生じさせる。このような口臭の原因の一つは、アルコールの代謝過程で生じるアルデヒドである。また、アルコール摂取後、代謝過程で生じるアセトアルデヒドは、頭痛、不快感、倦怠感などといった、宿酔を引き起こす。飲酒後の口臭、あるいは、宿酔の低減、治療のためには、体内のアルデヒドの低減が求められる。なお、アセトアルデヒド臭を消臭する食品に関しては、鉄クロロフィリンまたはその誘導体を有効成分とするものが知られているが(特許文献1)、消臭活性の面や、食品に使用した場合に香味が悪くなってしまう点で望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−266604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アルデヒドを低減する組成物の提供。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ジャスミン茶抽出物、トマトパウダー、ブルーベリー抽出物、カシス抽出物、エピガロカテキンガレート、チャ抽出物、ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物、アッサム抽出物、およびベニバナ抽出物から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とするアルデヒド低減用組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
飲酒後の息のアルデヒド臭を除去することができる。宿酔の治療に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例3の結果を示す。
図2】実施例4の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明はジャスミン茶抽出物、トマトパウダー、ブルーベリー抽出物、カシス抽出物、エピガロカテキンガレート、チャ抽出物、ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物、アッサム抽出物、およびベニバナ抽出物から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とするアルデヒド低減用組成物を提供する。
【0009】
ジャスミン茶は、ベースとなる茶葉にジャスミンの花の香りを吸わせ、着香後に花を除去し、乾燥させたのち、必要に応じて再度着香したものであり、ジャスミン茶抽出物は、得られたジャスミン茶から水や極性有機溶媒などで抽出を行い、遠心分離・濾過などの濃縮工程を経て、殺菌・凍結乾燥したのち、粉砕したものである。
【0010】
ジャスミン茶の抽出の方法は特に限定されない。抽出に使用できる抽出溶媒としては、水、もしくはメタノール、エタノール、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール等の極性有機溶媒、およびこれら極性有機溶媒と水との混合物が好適に使用できる。ヒトが摂取することを考慮に入れると、これらの中でも特に、水単独(冷水または熱水)、もしくは水とエタノールとの混合物(含水エタノール)がより好適に使用できる。抽出溶媒の添加量は、ジャスミン茶の乾燥重量を1とした場合、10〜200倍重量、好ましくは20〜100倍重量となるように添加すればよい。加熱抽出を行う場合の抽出温度は40〜100℃が好ましく、更に好ましくは70〜100℃である。また加熱時間は1〜120分、好ましくは5〜60分である。
【0011】
本発明の組成物は、口腔内のアルデヒドを低減することができる。また、本発明の組成物は、咀嚼されることにより口腔内のアルデヒドを低減することができる。本実施形態の組成物は、咀嚼されるに従い、ジャスミン茶抽出物が徐々に溶出することで、充分な消臭効果を期待することができる。
【0012】
組成物中のジャスミン茶抽出物の含有量は限定されないが、好ましくは、組成物中0.1重量%から10重量%である。組成物の好ましい例としてチューインガムを挙げることができる。組成物がチューインガムである場合、組成物中のジャスミン茶抽出物の含有割合は好ましくは1.0重量%から10重量%である。これは、1.0重量%未満であると、充分なアルデヒド低減効果を得られず、一方、10重量%を超えると、結着性が悪く、ボソボソになり、成型できないためである。
【0013】
また、本発明の組成物はリキッド部を含むことができる。リキッド部とは、適度な粘性を有する液体部分であり、組成物に内包され、組成物が咀嚼された際に、口腔内に流出することを目的とするものである。組成物がリキッド部を含む場合、好ましくは、リキッド部中のジャスミン茶抽出物の含有量はリキッド部あたり15重量%以下である。リキッド部中のジャスミン茶抽出物の含有割合が15重量%を超えると、リキッド部の粘性が高くなりすぎ、組成物内への充填が困難となることが考えられるためである。リキッド部にジャスミン茶抽出物を含有することで、組成物を咀嚼した直後に即効的な消臭効果を得ることができる。
【0014】
本発明の組成物の例として、アセトアルデヒド低減のための食品である、チューインガム、キャンディ、錠菓、飲料、グミゼリー、チョコレート、ビスケット、アイスクリーム、シャーベット、あるいは、アセトアルデヒド低減のための医薬組成物である、口臭用スプレー、練り歯磨、トローチ、医薬用ガムを挙げることができる。
【実施例】
【0015】
本発明につき以下実施例を挙げて説明する。ただし、本発明は以下実施例に限定されることはない。
【0016】
実施例1
アセトアルデヒド低減効果を有する物質のスクリーニング
アセトアルデヒド低減効果を有する物質のスクリーニングを行った。スクリーニングの対象としたのは、以下の物質である。すなわち、トマトパウダー、ブルーベリー抽出物、カシス抽出物、EGCg高純度品、ジャスミン茶抽出物、チャ抽出物、ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物、アッサム抽出物、ベニバナ抽出物、青シソ抽出物、フェンネルシード、シークワーサー、柿粉末、花椒抽出物末、セイロン抽出物、ユーカリ香料、カメリア抽出物、月見草抽出物、ライム香料、ローズマリー抽出物、ペパーミント香料、生豆コーヒー、パッションフラワー、紅茶抽出物、ダージリン抽出物、キャロットパウダー、赤シソ抽出物、カルダモン、カモミール抽出物、ミルク、マテ茶、レモンバーベナ、リンゴンベリー、ザクロ花、ルイボス茶抽出物、ノブドウ乾燥、ザクロ果実、ベルガモット抽出物、甜茶抽出物、エルダーベリー、セイヨウサンザシ、紅麹抽出物、金時草抽出物、グァバ抽出物、ホーステイル、クエン酸、プルーン抽出物、マンゴスチンアクア、ライチ種子、麦茶抽出物、ミントポリフェノール、マリアアザミ、バラ花、ほうじ茶抽出物、ソバの実抽出物、キンセンカ、ワサビ抽出物、レモンパウダー、レモンバーム、レッドクローバー、硫酸亜鉛、ユズポリフェノール、モリンガ、ムラサキサツマイモ、マキベリー、ブラッククミン、ヒハツ抽出物、バレリアン、ハトムギ、ドクダミ抽出物、銅クロロフィル、デビルスクロー、鉄クロロフィリンNa、タンポポ葉、セージ、セイヨウトネリコ、ジンジャー抽出物、ザクロエラグ酸、桜の花抽出物、玄米茶、ゲッケイジュ葉、クランベリー、クチナシ黄、クチナシ青、金時しょうが、キウイ種子、カクタス、オリーブ果実、うんしゅうみかん、ウメ抽出物、ウーロン茶抽出物、イチゴポリフェノール、アラニン、アムラ抽出、アマチャ、赤ブドウ葉、赤キャベツである。
【0017】
実験は、次の通り行った。すなわち、密栓可能なガラス試験管(容積18mL)に、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.5)1mL、水あるいは試料溶液1mL(各試料100mgを1mLの水に溶解または分散させたもの)、アセトアルデヒド1/500(v/v)液0.5mLを添加し、密栓、撹拌後、37℃湯浴中で10分間放置した。10分後シリンジにて試験管ヘッドスペースガスを100μL回収し、ガスクロマトグラフィーでアセトアルデヒド量を分析した。水との比較でアセトアルデヒド消去量を算出した。
【0018】
0.2Mリン酸緩衝液(pH7.5)1mL、水1mL、アセトアルデヒド1/500(v/v)液0.5mLを添加した場合に検出されたヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量は22.3μg/tubeであった(表1)。それぞれの物質によるヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド消去量を表2に示す。ジャスミン茶抽出物はヘッドスペースガス中のアセトアルデヒドを3.0μg/tube、すなわち13.3重量%消去した。また、ジャスミン茶抽出物と同等の消去能を示した成分として、トマトパウダー(ヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド消去量は3.4μg/tube、すなわち15.2重量%)、ブルーベリー抽出物(3.3μg/tube、すなわち15.0重量%)、カシス抽出物(3.3μg/tube、すなわち15.0重量%)、EGCg高純度品(3.0μg/tube、すなわち13.4重量%)、チャ抽出物(2.9μg/tube、すなわち13.1重量%)、ヨウバイヒ抽出物(2.9μg/tube、すなわち12.9重量%)、グレープシード抽出物(2.6μg/tube、すなわち11.7重量%)、アッサム抽出物(2.1μg/tube、すなわち9.2重量%)、ベニバナ抽出物(2.0μg/tube、すなわち9.1重量%)の9素材があった。これら9素材については、詳細な実験結果を表3に記載する。
【0019】
なお、用いられた試料の詳細は以下の通りである。すなわち、トマトパウダーは、ブリックス値5のトマト果肉を使用した乾燥果実粉末である。ブルーベリー抽出物は、ブルーベリー果実からの抽出物であり、総アントシアニジン量は25.0%以上である。カシス抽出物は、カシス(クロスグリ)果実からの抽出物であり、総アントシアニン量は30.0%以上である。EGCg高純度品は、緑茶由来の抽出物であり、EGCg含量は90.0%以上である。チャ抽出物は、黄褐色の粉末であり、カテキン類の含量は30.0%以上である。ヨウバイヒ抽出物は、ヨウバイヒ(ヤマモモ)の樹皮から含水アルコールにて抽出を行ったものである。
【0020】
グレープシード抽出物は、ブドウ種子からの抽出物であり、プロアントシアニジン含量は95.0%以上である。アッサム抽出物は、アッサム茶の茶葉を100%使用し、熱水抽出を行ったものである。ベニバナ抽出物は、乾燥した紅花由来の抽出物である。ジャスミン茶抽出物については、上記のとおりである。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
表2中の数値は、ヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド消去量(μg/tube)、並びにアセトアルデヒド消去率(重量%)を示す。
【0023】
【表3】
表3中の数値は、ヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド消去量(μg/tube)を示す。
【0024】
上記の9種類のアセトアルデヒド低減効果が認められた物質から、本発明の実施形態の一つである、咀嚼されることにより口腔内のアルデヒドを低減することを特徴とする低減用組成物として、適した物質を選んだ。トマトパウダーやブルーベリー抽出物は素材特有の味が強く、香味や品種が限定されるため、咀嚼用組成物として最適でない。トマトパウダーは吸湿性が強く、組成物の物性に与える影響が大きい。カシス抽出物、アッサム抽出物、ベニバナ抽出物は渋みが強く、EGCg高純度品やチャ抽出物は苦み・渋みが特に強く、香味や品種が限定されるため、咀嚼用組成物として最適でない。ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物は組成物に含めると、咀嚼時、歯がうずくような(歯とガムがこすれ合うような)感触を与えるため、咀嚼用組成物として用いるのに最適でない。一方、ジャスミン茶抽出物は味・香りの点で、咀嚼用組成物として優れており、また、ミント香料、メントール香料との相性も良い。また、他の植物抽出物と比較して細かな粉末であり、咀嚼用組成物の一例である、ガムに用いる場合、ガムへの分散性および、リキッド部への分散性の点において、優れていた。以上を理由に、本発明においては、アセトアルデヒド低減効果を有する物質として最適な物質として、ジャスミン茶抽出物を選んだ。
【0025】
実施例2
本発明の組成物の一例として、ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1,ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム2および対照である対照リキッドセンターガムを作製した。これらのリキッドセンターガムは、ガム部、糖衣部、リキッド部からなり、ガム1粒は2.5グラムである。それぞれの配合を表4に示す。
【0026】
【表4】
表4中の数値はそれぞれの原料の重量%を示す。作製されたリキッドセンターガムはそれぞれ2.5グラム/粒である。
【0027】
実施例3
ジャスミン茶抽出物配合ガムによる咀嚼唾液のアセトアルデヒド消去効果の評価
ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1を2粒を咀嚼した被験者より唾液を10mL回収した。比較試料としてモリタ社製サリバリーガムを咀嚼した被験者の唾液も回収した。なお、被験者に対し、分泌された唾液は一切飲み込まずに回収容器に吐出するように指示を行った。ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1とサリバリーガムの咀嚼はそれぞれ、唾液が10mL回収されるまで継続して行われた。密栓可能なガラス試験管(容積18mL)に、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.5)1mL、それぞれの唾液1mL、アセトアルデヒド1/10000(v/v)液0.5mLを添加し、密栓、撹拌後、37℃湯浴中で30分間放置した。30分後シリンジにて試験管ヘッドスペースガスを100μL回収し、ガスクロマトグラフィーでアセトアルデヒド量を分析した。サリバリーガム咀嚼唾液でのヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量を100とした時のジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1咀嚼唾液のアセトアルデヒド量を算出した。
【0028】
結果を図1に示す。図1のグラフの縦軸は、サリバリーガムを咀嚼した被験者の唾液を用いた場合のヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量を100とした時のアセトアルデヒド量を示す。ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1を咀嚼した被験者の唾液を用いた場合のヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量は78.7となり、揮発アセトアルデヒド量が2割強減少したことが示された。また、t検定の結果有意差が検出された(p<0.05)。
【0029】
実施例4
ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液の飲酒後呼気アセトアルデヒドへの影響評価
ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1および対照リキッドセンターガムそれぞれ1粒から、乳棒・乳鉢を用い5mLの水で5分間溶出し、溶出液として用いた。
男性被験者3名(平均32.3±5.1歳)はビール(アサヒビール株式会社製スーパードライ)500mLを自分のペース(15分以内)を摂取し、飲酒後30分間安静を保った。30分の安静後、におい袋(3L)を1分間口にくわえ、自分の呼吸のペースで呼気をにおい袋に回収した(すすぎ前呼気)。次に、上記、溶出液2種のどちらか5mLで口を1分間すすぎ、同様ににおい袋を1分間口にくわえ、自分の呼吸ペースで呼気をにおい袋に回収した(すすぎ後呼気)。その後水で口をすすぎ、5分安静にし、2回目のすすぎ前呼気回収を行い、もう一方の溶出液5mLで口をすすぎ、すすぎ後の呼気回収を行った。におい袋から固相マイクロ抽出(SPME、SUPELCO社製)法によりアセトアルデヒドをファイバーに10分間吸着させた。吸着後、ガスクロマトグラフィーに供した。すすぎ前と比較し、減少したアセトアルデヒド量を算出した。なお、被験者2,3については上記の翌日(2日目)に、再度、すすぐ溶出液の順番を変更して、同様の実験を行った。
【0030】
結果を図2に示す。被験者1では、対照リキッドセンターガム溶出液ですすいだ時は0.0ppm(すすぎ前のアセトアルデヒド量:11.4ppm→すすぎ後:11.4ppm)、ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液ですすいだ時は2.8ppm(すすぎ前:11.4ppm→すすぎ後:8.6ppm)呼気中のアセトアルデヒド量が減少した。被験者2では、1日目(対照リキッドセンターガム溶出液→ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液)、2日目(ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液→対照リキッドセンターガム溶出液)のアセトアルデヒド減少量はそれぞれ、対照リキッドセンターガム溶出液では7.0、0.4ppm(すすぎ前:103.3ppm、52.1ppm→すすぎ後:96.3ppm、51.7ppm)、ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液では16.8、2.8ppm(すすぎ前:106.8ppm、53.8ppm→すすぎ後:90.0ppm、51.0ppm)であった。被験者3では、1日目、2日目のアセトアルデヒド減少量はそれぞれ、対照リキッドセンターガム溶出液では0.7、7.0ppm(すすぎ前:163.7ppm、209.3ppm→すすぎ後:163.0ppm、202.3ppm)、ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液では26.7、36.5ppm(すすぎ前:200.2ppm、220.5ppm→すすぎ後:173.5ppm、184.0ppm)であった。被験者1の1回の結果並びに、被験者2,3のすすぐ順番を入れ替えた場合でも、ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液ですすいだ場合の方が、対照リキッドセンターガム溶出液ですすいだ場合よりも呼気中アセトアルデヒドの減少量は大きかった。
【0031】
図2には、3被験者(被験者1は1回の値、被験者2,3については2回の平均値)における、対照リキッドセンターガム溶出液、ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1溶出液で口をすすいだ前後でのアセトアルデヒド減少量を示した。
【0032】
実施例5
ジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガムにおける、ジャスミン茶抽出物の配合量の設定
表4にて示したジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1、並びにジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム2においては、ガム総量中のジャスミン茶抽出物の配合量はそれぞれ、2.0重量%、3.2重量%である。また、リキッド部中のジャスミン茶抽出物の配合量はそれぞれ、2.1重量%、2.8重量%である。どちらのガムも、アセトアルデヒド消臭効果を示し、また、ガムの成形性に問題が無いことが判明している。
【0033】
まず、表4のジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1の配合を基本として、(1)リキッド部中のジャスミン茶抽出物の配合量を、ガム総量中1.07重量%(リキッド中15重量%)とした場合、(2)ガム総量中1.14%(リキッド中16重量%)とした場合、について、リキッドセンターガムの成形性について調べた。なお、ジャスミン茶抽出物の配合の増加分については、還元麦芽糖水あめ、グリセリン、ソルビトールシロップの配合量を、三者の配合比を保ちつつそれぞれ減少させることで、リキッド部総量が同じになるように各々調整を行った。
【0034】
その結果、(1)のガム、すなわちリキッド中に15重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、リキッド部の粘性が高いもののガム部への充填が可能であったが、(2)のガム、すなわちリキッド中に16重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、リキッド部の粘性が高すぎてガム部内にリキッド部がうまく充填されない不良品が多く発生する結果となってしまった。
【0035】
以上の結果より、リキッド部中のジャスミン茶抽出物の含有割合は、リキッド部あたり15重量%以下が好ましいことが判明した。
【0036】
また、ガム総量中のジャスミン茶抽出物の配合量を変更した場合のガムの成形性がどのように変化するのかを確認するため、表4のジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1の配合を基本として、(3)ガム部中のジャスミン茶抽出物の配合量をガム総量中4.0重量%とした場合、(4)5.0重量%とした場合、(5)10重量%とした場合、(6)11重量%とした場合、について成形性を確認した。なお、リキッド部中のジャスミン茶抽出物の配合量は0とした。なお、ジャスミン茶抽出物の配合を増加させた分、エリスリトールの配合量をそれぞれ減少させることで、ガム部の総重量が一定になるように調整を行った。
【0037】
その結果、(3)のガム、すなわちガム総量中4.0重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、ジャスミン茶抽出物の影響により、一般的なガムよりもボソつきが若干強くなる傾向が見られたが、軟化剤の配合割合を増量して調整することでボソつきが抑えられ、成形することが可能となった。(4)のガム、すなわちガム総量中5.0重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガム、並びに(5)のガム、すなわちガム総量中10重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、ジャスミン茶抽出物の影響により、一般的なガムよりもボソつきがかなり強くなったが、軟化剤の配合割合を増量することに加え、還元麦芽糖水あめの配合割合を増量して調整することでボソつきが抑えられ、成形することが可能となった。
【0038】
しかし、(6)のガム、すなわちガム総量中11重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、ジャスミン茶抽出物の影響により、一般的なガムよりもボソつきが非常に強く、軟化剤と還元麦芽糖水あめの配合割合を大きく増量することで何とかボソつきが抑えられたものの、今度はガム全体が非常に柔らかくなってしまい、成形することが不可能となってしまった。
【0039】
以上の結果より、ガム総量中のジャスミン茶抽出物の配合割合は、10重量%以下が好ましいことが判明した。
【0040】
更に、ガム総量中のジャスミン茶抽出物の配合量を低減させた場合、ガム咀嚼における呼気中のアセトアルデヒド量の減少がどのように変化するのかを確認するため、表4のジャスミン茶抽出物含有リキッドセンターガム1の配合を基本として、(7)ガム部中のジャスミン茶抽出物の配合量を1.35重量%(ガム総量中のジャスミン茶抽出物配合量は1.5重量%)とした場合、(8)0.85%(ガム総量中については1.0重量%)とした場合、(9)0.55%(ガム総量中については0.7重量%)とした場合、におけるアセトアルデヒド量の減少について調べた。なお、ジャスミン茶抽出物の配合の減少分を補うために、エリスリトールの配合量をそれぞれ増量させた。
試験は実施例3と同様にして行った。(7)〜(9)のガムそれぞれ2粒を咀嚼した被験者から、唾液を10mL回収した。比較試料としてモリタ社製サリバリーガムを咀嚼した被験者の唾液も回収した。その後のアセトアルデヒド量の算出方法は、実施例3に準じた。
【0041】
その結果、(7)のガム、すなわちガム総量中1.5重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、被験者の唾液のヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量は81.0であった。(8)のガム、すなわちガム総量中1.0重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、被験者の唾液のヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量は84.7であった。一方、(9)のガム、すなわちガム総量中0.7重量%のジャスミン茶抽出物を含有するガムについては、被験者の唾液のヘッドスペースガス中のアセトアルデヒド量は95.2であった。このことにより、ガム総量中1.0重量%以上のジャスミン茶抽出物を配合するガムを咀嚼した場合はある程度のアセトアルデヒド低減効果が見られたものの、ガム総量中1.0重量%未満のジャスミン茶抽出物を配合するガムを咀嚼した場合は、アセトアルデヒド低減効果が急激に低くなることが判明した。
【0042】
実施例6
本発明の組成物として、チューインガム、キャンディ、錠菓、飲料、グミゼリー、チョコレート、ビスケット、アイスクリーム、シャーベット、口臭用スプレー、練り歯磨、トローチ、医薬用ガムのそれぞれについて、以下の処方をもとに、常法に従って製造した。これらはいずれも、摂取後に口腔内のアルデヒドの低減効果が示された。なお、各処方におけるジャスミン茶抽出物を、トマトパウダー、ブルーベリー抽出物、カシス抽出物、EGCg高純度品、チャ抽出物、ヨウバイヒ抽出物、グレープシード抽出物、アッサム抽出物、ベニバナ抽出物から選択されるいずれか1つ、もしくはこれらの組み合わせに変更した場合においても、組成物の摂取後に同様に、口腔内のアルデヒドの低減効果が示された。
【0043】
チューインガムの処方
ガムベース 20.00重量%
マルチトール 52.70
キシリトール 15.30
エリスリトール 7.50
香料 0.50
ジャスミン茶抽出物 4.00
計 100.0
【0044】
キャンディの処方
砂糖 50.0重量%
水飴 34.0
クエン酸 1.0
香料 0.2
ジャスミン茶抽出物 0.4
水 残
計 100.0
【0045】
錠菓の処方
ソルビトール 95.1重量%
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
香料 0.2
ジャスミン茶抽出物 0.5
水 残
計 100.0
【0046】
飲料の処方
オレンジ果汁 30.00重量%
異性化糖 15.24
クエン酸 0.10
ビタミンC 0.04
香料 0.10
ジャスミン茶抽出物 0.10
水 残
計 100.0
【0047】
グミゼリーの処方
ゼラチン 59.05重量%
水飴 23.00
砂糖 8.50
植物油脂 4.50
マンニトール 2.95
レモン果汁 1.00
ジャスミン茶抽出物 1.00
計 100.0
【0048】
チョコレートの処方
粉糖 40.80重量%
カカオビター 20.00
全脂粉乳 20.00
カカオバター 17.00
マンニトール 1.00
香料 0.20
ジャスミン茶抽出物 1.00
計 100.0
【0049】
ビスケットの処方
薄力粉1級 25.59重量%
中力粉1級 22.22
精白糖 4.80
食塩 0.73
ブドウ糖 0.78
パームショートニング 11.78
炭酸水素ナトリウム 0.17
重亜硫酸ナトリウム 0.16
米粉 1.45
全脂粉乳 1.16
代用粉乳 0.29
ジャスミン茶抽出物 0.50
水 残
計 100.0
【0050】
アイスクリームの処方
脱脂粉乳 50.0重量%
生クリーム 25.0
砂糖 10.0
卵黄 10.0
ジャスミン茶抽出物 0.5
香料 0.1
水 残
計 100.0
【0051】
シャーベットの処方
オレンジ果汁 25.0重量%
砂糖 25.0
卵白 10.0
ジャスミン茶抽出物 1.0
水 残
計 100.0
【0052】
口臭用スプレーの処方
エタノール 10.0重量%
グリセリン 5.0
香料 0.05
着色料 0.001
ジャスミン茶抽出物 1.0
水 残
計 100.0
【0053】
練り歯磨の処方
炭酸カルシウム 50.0重量%
グリセリン 20.0
カルボキシメチルセルロース 2.0
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0
香料 1.0
サッカリン 0.1
ジャスミン茶抽出物 1.0
クロルヘキシジン 0.01
水 残
計 100.0
【0054】
トローチの処方
ブドウ糖 72.3重量%
乳糖 19.0
アラビアガム 6.0
香料 1.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7
ジャスミン茶抽出物 1.0
計 100.0
【0055】
医薬用ガムの処方
ガムベース 20.0重量%
マルチトール 50.7
キシリトール 9.3
エリスリトール 6.0
ジャスミン茶抽出物 10.0
軟化剤 2.0
還元麦芽糖水あめ 2.0
計 100.0
図1
図2