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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-32100(P2016-32100A)
(43)【公開日】2016年3月7日
(54)【発明の名称】高性能線形成光学システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/265 20060101AFI20160208BHJP
   H01L 21/268 20060101ALI20160208BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20160208BHJP
   H01S 3/10 20060101ALI20160208BHJP
【FI】
   H01L21/265 602C
   H01L21/268 J
   H01S3/00 B
   H01S3/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2015-118041(P2015-118041)
(22)【出願日】2015年6月11日
(31)【優先権主張番号】62/030,391
(32)【優先日】2014年7月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】502400304
【氏名又は名称】ウルトラテック インク
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】アニキチェフ、セルゲイ
【テーマコード(参考)】
5F172
【Fターム(参考)】
5F172AD05
5F172NR02
5F172NR06
5F172ZZ01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高性能な線画像を形成する線形成光学システム及び方法を提供する。
【解決手段】少なくとも第1の方向でガウス分布とともに第1の強度プロファイルを有するレーザ光線を形成することと、レーザ光線の少なくとも50%を第1の方向に通過させて第1の透過光を形成することとを備える。また、本方法は、第1の透過光を中間像面で焦点合わせして、中央ピーク及び該中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有する第2の強度プロファイルを規定することと、その後、各第1のサイドピーク内の第2の強度プロファイルを切り捨てて第2の透過光を規定することと、その後、画像面に、第2の透過光から線画像を形成することとを備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物面及び画像面を有し、前記画像面に線画像を形成する線形成光学システムであって、
初期レーザ光線を放射するレーザ光源と、光線調整光学システムと、第1の絞り装置と、中継光学システムとを備え、
前記光線調整光学システムは、前記初期レーザ光線を受光し、前記初期レーザ光線から、ガウス分布とともに第1の強度プロファイルを有する調整レーザ光線を少なくとも第1の方向に形成し、
前記第1の絞り装置は、前記対物面に動作可能に配置され、前記第1の方向の前記第1の強度プロファイルを切り捨てる第1のスリット開口部を規定し、前記調整レーザ光線の少なくとも50%を構成する第1の透過光を規定し、
前記中継光学システムは、前記対物面及び前記画像面を規定するとともに、第2の絞り装置が動作可能に配置される中間像面を規定し、前記中間像面において、中央ピーク及び前記中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有する第2の強度プロファイルを規定し、前記第2の絞り装置は、前記第1の方向において、各第1のサイドピーク内の第2の強度プロファイルを切り捨てて、第2の透過光を規定するように構成され、
前記中継光学システムは、前記画像面に、前記第2の透過光から前記線画像を形成する線形成光学システム。
【請求項2】
前記第1のサイドピークはそれぞれ、最大値MX、並びに第1の最小値m1及び第2の最小値m2によって規定され、前記第2の絞り装置は、第2のスリット開口部を規定し、前記第2のスリット開口部は、各第1のサイドピークにおける、前記最大値MXと前記第2の最小値m2との間の前記第2の強度プロファイルを切り捨てるように構成される、請求項1に記載の線形成光学システム。
【請求項3】
前記中継光学システムは、前記第1の方向において、実質的に1倍倍率を有する、請求項1または2に記載の線形成光学システム。
【請求項4】
前記中継光学システムは、前記第1の方向にのみ光学出力を有する円筒状の光学システムである、請求項3に記載の線形成光学システム。
【請求項5】
前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有し、かつ、前記長さLに対して±5%以内の強度均一性を有する、請求項1から4の何れか1項に記載の線形成光学システム。
【請求項6】
前記中継光学システムは、反射光学部品のみから構成される、請求項1から5の何れか1項に記載の線形成光学システム。
【請求項7】
前記レーザ光源は、公称10.6μmの操作波長を有する、請求項6に記載の線形成光学システム。
【請求項8】
前記第1の絞り装置は、前記対物面に動作可能に配置された一対のブレードを備える、請求項1から7の何れか1項に記載の線形成光学システム。
【請求項9】
前記第2の絞り装置は、前記中間像面に動作可能に配置された一対のブレードを備える、請求項8に記載の線形成光学システム。
【請求項10】
前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有し、かつ、25μm≦w≦500μmの範囲の幅wを有する、請求項1から9の何れか1項に記載の線形成光学システム。
【請求項11】
表面を有するウエハをアニーリングするためのレーザアニーリングシステムであって、
請求項1から10の何れか1項に記載の線形成光学システムと、ステージとを備え、
前記線形成光学システムにおいて、前記線画像は、長さLで規定された長手寸法を有し、
前記ステージは、前記画像面において前記ウエハを動作可能に支持し移動させるように構成され、これにより、ウエハ表面上で前記線画像を走査方向に走査し、前記ウエハ表面をアニールし、ここで、前記走査方向は、前記線画像の前記長手寸法に対して垂直である、
レーザアニーリングシステム。
【請求項12】
前記ウエハ表面は、ドーパントを含むデバイス特徴部を含み、前記ウエハ表面のアニーリングは、前記ドーパントを活性化する、請求項11に記載のレーザアニーリングシステム。
【請求項13】
線画像を形成する方法であって、
ガウス分布とともに第1の強度プロファイルを有するレーザ光線を少なくとも第1の方向に形成することと、
前記第1の方向において前記レーザ光線の少なくとも50%を通過させて第1の透過光を形成することと、
中間像面で前記第1の透過光の焦点合わせを行い、中央ピーク及び前記中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有する第2の強度プロファイルを規定することと、
各第1のサイドピーク内の第2の強度プロファイルを切り捨てて第2の透過光を規定することと、
前記画像面において、前記第2の透過光から前記線画像を形成することと
を備える方法。
【請求項14】
第1のサイドピークはそれぞれ、最大値MX、並びに第1の最小値m1及び第2の最小値m2によって規定され、前記第2の強度プロファイルを切り捨てることは、各第1のサイドピークにおいて、前記最大値MXと前記第2の最小値m2との間で実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記中間像面は、中継光学システムによって規定され、前記中継光学システムは、前記第1の方向において実質的に1倍倍率を有する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記中継光学システムは、円筒鏡を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有し、前記長さLに対して±5%以内の強度均一性を有する、請求項13から16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記中継光学システムは、反射光学部品のみから構成される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の強度プロファイルを切り捨てることは、一対のブレードによって規定されたスリット開口部に、前記第1の透過光の中央部分を通過させることを含む、請求項13から18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有し、25μm≦w≦500μmの範囲の幅wを有する、請求項13から19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記線画像は、長さLで規定された長手寸法を有し、前記長手寸法に対して垂直な走査方向に、ウエハ表面上で前記線画像を走査することをさらに備える、請求項13から20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ウエハ表面は、ドーパントを含むデバイス特徴部を含み、前記ウエハ表面上での前記線画像の走査は、前記ドーパントを活性化する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
対物面及び画像面を有し、前記画像面に線画像を形成する線形成光学システムであって、
レーザ光源システムと、第1の絞り装置と、中継光学システムとを備え、
前記レーザ光源システムは、第1の方向に延びるとともに、前記第1の方向にガウス分布を有する第1の強度プロファイルを有するレーザ光線を放射し、
前記第1の絞り装置は、前記レーザ光線の中央部分の少なくとも50%を通過させて前記第1の方向において前記レーザ光線を切り捨てるように動作可能に配置され、
前記中継光学システムは、前記中間像面を有し、前記中間像面には、第2の絞り装置が動作可能に配置され、前記中間像面において第2の強度プロファイルを規定する第1の光学部品を有し、前記第2の強度プロファイルは、前記第1の方向に延びるとともに、中央ピーク及び前記中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有し、
前記第2の絞り装置は、各第1のサイドピーク内で前記第2の強度プロファイルを切り捨てて、第2の透過光を規定するように構成され、
前記中継光学システムは、前記画像面において前記第2の透過光から前記線画像を形成する第2の光学部品を有する
線形成光学システム。
【請求項24】
前記第1及び第2の光学部品は反射性を有する、請求項23に記載の線形成光学システム。
【請求項25】
前記第1及び第2の絞り装置はそれぞれ、一対のブレードを備える、請求項23または24に記載の線形成光学システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、線画像を形成するための光学システム、特に、高性能な線形成光学システム及び方法に関する。
【0002】
本明細書において言及されるあらゆる刊行物又は特許文献の全開示は、参照により本明細書中に組み込まれる。特許文献には、米国特許第8,014,427号公報が含まれる。
【背景技術】
【0003】
種々の応用では、高出力レーザ光線から形成された均一な線画像を使用する必要がある。そのような応用の一つとして、レーザ熱処理(LTP)がある。レーザ熱処理(LTP)は、本技術分野ではレーザスパイクアニーリング(LSA)又は単に「レーザアニーリング」と呼ばれる。レーザ熱処理(LTP)は、半導体製造において、トランジスタなどの活性超小型回路装置を形成するときに半導体ウエハの選択領域のドーパントを活性化するために使用される。
【0004】
レーザアニーリングの一種は、レーザ光線から形成された走査線画像を使用し、ドーパントを活性化するには十分であるが、ドーパント拡散が最小となる程度に短い時間の温度(「アニーリング温度」)まで、半導体ウエハの表面を加熱する。半導体ウエハの表面がアニーリング温度になる時間は、線画像の出力密度と、線画像が走査される速度(「走査速度」)で分割された線画像の幅とによって決定される。
【0005】
レーザアニーリングの応用で使用される高出力レーザの一種は、COレーザである。COレーザとともにレーザアニーリングを実行する従来の方法は、一対のナイフエッジ上にレーザ光線を画像化することと、その後、ナイフエッジを通過するレーザ光線を画像面へ中継して線画像を形成することとを含む。ナイフエッジは、ガウスレーザ光線の狭い中央部分(例えば、10%)のみを伝達するように配置される。レーザ光線の強度は、比較的均一であり、これにより、その結果として得られる線画像も、線画像の長さに沿って比較的均一である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レーザ光線の狭い中央部分のみを使用することは、残念ながら、光線のそれ以外の90%は破棄することを意味する。これは、高強度のレーザ光線の非常に非効率な使用方法である。他方では、光線の中央からの距離とともにガウス光線の強度が実質的に低下するため、ガウス光線のより大部分を通過させようとすることにより、線画像がその長さに沿って必然的に不均一になるということが、一般的に知られている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一局面は、対物面及び画像面を有し、前記画像面に線画像を形成する線形成光学システムである。このシステムは、初期レーザ光線を放射するレーザ光源と、光線調整光学システムと、第1の絞り装置と、中継光学システムとを備える。前記光線調整光学システムは、前記初期レーザ光線を受光し、前記初期レーザ光線から、ガウス分布とともに第1の強度プロファイルを有する調整レーザ光線を少なくとも第1の方向に形成する。前記第1の絞り装置は、前記対物面に動作可能に配置され、前記第1の方向の前記第1の強度プロファイルを切り捨てる第1のスリット開口部を規定し、前記調整レーザ光線の少なくとも50%を構成する第1の透過光を規定する。前記中継光学システムは、前記対物面及び前記画像面を規定するとともに、第2の絞り装置が動作可能に配置される中間像面を規定する。前記中継光学システムは、前記中間像面において、中央ピーク及び前記中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有する第2の強度プロファイルを規定する。本システムにおいて、前記第2の絞り装置は、前記第1の方向において、各第1のサイドピーク内の第2の強度プロファイルを切り捨てて、第2の透過光を規定するように構成される。前記中継光学システムは、前記画像面に、前記第2の透過光から前記線画像を形成する。
【0008】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記第1のサイドピークはそれぞれ、最大値MX、並びに第1の最小値m1及び第2の最小値m2によって規定されることが好ましい。前記第2の絞り装置は、第2のスリット開口部を規定することが好ましい。前記第2のスリット開口部は、各第1のサイドピークにおける前記最大値MXと前記第2の最小値m2との間の前記第2の強度プロファイルを切り捨てるように構成されることが好ましい。
【0009】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記中継光学システムは、前記第1の方向において、実質的に1倍(1×)倍率を有することが好ましい。
【0010】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記中継光学システムは、前記第1の方向にのみ光学出力を有する円筒状の光学システムであることが好ましい。
【0011】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有することが好ましく、前記長さLに対して±5%以内の強度均一性を有することが好ましい。
【0012】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記中継光学システムは、反射光学部品のみから構成されることが好ましい。
【0013】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記レーザ光源は、公称10.6μmの操作波長を有することが好ましい。
【0014】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記第1の絞り装置は、前記対物面に動作可能に配置された一対のブレードを含むことが好ましい。
【0015】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記第2の絞り装置は、前記中間像面に動作可能に配置された一対のブレードを含むことが好ましい。
【0016】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有することが好ましく、25μm≦w≦500μmの範囲の幅wを有することが好ましい。
【0017】
本開示の他の局面は、表面を有するウエハをアニーリングするためのレーザアニーリングシステムである。このレーザアニーリングシステムは、上述の線形成光学システムと、ステージとを含む。前記線形成光学システムにおいて、前記線画像は、長さLで規定された長手寸法を有する。前記ステージは、前記画像面において前記ウエハを動作可能に支持し移動させるように構成される。これにより、ウエハ表面上で前記線画像を走査方向に走査し、前記ウエハ表面をアニールすることができる。ここで、前記走査方向は、前記線画像の前記長手寸法に対して垂直である。
【0018】
本開示の他の局面は、上述のレーザアニーリングシステムであって、前記ウエハ表面は、ドーパントを含むデバイス特徴部を含むことが好ましく、前記ウエハ表面のアニーリングは、前記ドーパントを活性化することが好ましい。
【0019】
本開示の他の局面は、線画像を形成する方法である。この方法は、ガウス分布とともに第1の強度プロファイルを有するレーザ光線を、少なくとも第1の方向に形成することと、前記第1の方向において前記レーザ光線の少なくとも50%を通過させて第1の透過光を形成することとを備える。この方法はまた、中間像面で前記第1の透過光の焦点合わせを行い、中央ピーク及び前記中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有する第2の強度プロファイルを規定することと、各第1のサイドピーク内の第2の強度プロファイルを切り捨てて第2の透過光を規定することと、前記画像面において、前記第2の透過光から前記線画像を形成することとを備える。
【0020】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、第1のサイドピークはそれぞれ、最大値MX、並びに第1の最小値m1及び第2の最小値m2によって規定されることが好ましい。前記第2の強度プロファイルを切り捨てることは、各第1のサイドピークにおいて、前記最大値MXと前記第2の最小値m2との間で実行されることが好ましい。
【0021】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記中間像面が、中継光学システムによって規定されることが好ましい。前記中継光学システムは、前記第1の方向において実質的に1倍(1×)倍率を有することが好ましい。
【0022】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記中継光学システムは、円筒鏡を備えることが好ましい。
【0023】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有することが好ましく、前記長さLに対して±5%以内の強度均一性を有することが好ましい。
【0024】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記中継光学システムは、反射光学部品のみから構成されることが好ましい。
【0025】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記第2の強度プロファイルを切り捨てることは、一対のブレードによって規定されたスリット開口部に、前記第1の透過光の中央部分を通過させることを含むことが好ましい。
【0026】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、5mm≦L≦100mmの範囲の長さLを有することが好ましく、25μm≦w≦500μmの範囲の幅wを有することが好ましい。
【0027】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記線画像は、長さLで規定された長手寸法を有し、前記長手寸法に対して垂直な走査方向に、ウエハ表面上で前記線画像を走査することを含むことが好ましい。
【0028】
本開示の他の局面は、上述の方法であって、前記ウエハ表面は、ドーパントを含むデバイス特徴部を含むことが好ましい。前記ウエハ表面上で前記線画像を走査することは、前記ドーパントを活性化することが好ましい。
【0029】
本開示の他の局面は、対物面及び画像面を有し、前記画像面に線画像を形成する線形成光学システムである。この線形成光学システムは、レーザ光源システムと、第1の絞り装置と、中継光学システムとを備える。前記レーザ光源システムは、第1の方向に延びるとともに、前記第1の方向にガウス分布を有する第1の強度プロファイルを有するレーザ光線を放射する。前記第1の絞り装置は、前記レーザ光線の中央部分の少なくとも50%を通過させて前記第1の方向において前記レーザ光線を切り捨てるように動作可能に配置されている。前記中継光学システムは、前記中間像面を有する。前記中間像面には、第2の絞り装置が動作可能に配置されている。前記中継光学システムは、前記中間像面において第2の強度プロファイルを規定する第1の光学部品を有する。第2の強度プロファイルは、前記第1の方向に延びるとともに、中央ピーク及び前記中央ピークに直に隣接する第1のサイドピークを有する。前記第2の絞り装置は、各第1のサイドピーク内で前記第2の強度プロファイルを切り捨てて、第2の透過光を規定するように構成される。前記中継光学システムは、前記画像面において前記第2の透過光から前記線画像を形成する第2の光学部品を有する。
【0030】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記第1及び第2の光学部品は反射性を有することが好ましい。
【0031】
本開示の他の局面は、上述の線形成光学システムであって、前記第1及び第2の絞り装置はそれぞれ、一対のブレードを備えることが好ましい。
【0032】
さらなる特徴点及び利点は、以下の詳細な説明に明記される。また、それらの一部は詳細な説明の記載内容から当業者にとって直ちに明白となるか、詳細な説明、特許請求の範囲、添付図面に記載された実施形態を実施することによって認識されるであろう。上記の概要及び下記の詳細な説明に関する記載は、単なる例示であって、特許請求の範囲に記載されている本発明の本質及び特徴を理解するための概略または枠組みを提供するものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
添付図面は、さらなる理解を提供するために含まれており、本明細書の一部を構成すると共に本明細書の一部に組み込まれる。図面は、1または複数の実施形態を示しており、詳細な説明と共に種々の実施形態の原理や動作を説明する役割を担う。このように、本開示は、添付図面と共に以下に示す詳細な説明からより完全に理解されることになるであろう。
図1図1は、本開示による線形成光学システムの一例の模式図である。
図2A図2Aは、図1の一例の線形成光学システムの第1の絞り装置を、+z方向から見た場合の正面図である。図2Aは、第1の絞り装置に対してそのまま入射するような調整レーザ光線の近似のゼロ強度線(I(x,y)≒0)を示す。
図2B図2Bは、調整レーザ光線のx(mm)に対する強度プロファイルI(x)のプロット図である。図2Bは、調整レーザ光線を間に挟んで対向配置される第1の絞り装置のブレードを示す。
図3A図3Aは、第2の絞り装置における第1の透過光のx’(mm)に対する強度プロファイルI’(x’)のプロット図である。図3Aは、強度プロファイルを間に挟んで対向配置される第2の絞り装置の第2の開口ブレードの配置位置の一例を示す。
図3B図3Bは、図3Aの第2の絞り装置を図1に示す+z方向から見た場合の正面図である。図3Bは、第2の絞り装置に入射する第1の透過光を示す。
図4A図4Aは、第2の透過光によって画像面に形成された線画像の長手方向におけるx(mm)に対する強度プロファイルIL(x)のプロット図である。図4Aは、図1の線形成光学システムによって形成された線であって、L=10mm(実線)及びL=7.5mm(破線)という2つの異なる寸法を有する線の例を示す。
図4B図4Bは、線画像のy(μm)に対する強度プロファイルIL(y)のプロット図である。図4Bは、線画像の短手方向(すなわち、y方向)の強度プロファイルが、約75μmの幅wの一例を規定するガウス形状を有することを示す。
図5図5は、反射中継光学システムを含む線形成光学システムの一例を示す模式図である。
図6図6は、本明細書に開示された図1の線形成光学システムを含むレーザアニーリングシステムの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以降、本開示の様々な実施形態、および、添付の図面に示される複数の例について詳述する。可能な限り、同一または類似の部分の図では、同一または類似の参照番号および参照符号が用いられる。図面には決まった縮尺がなく、当業者であれば、図面は本発明の主要な部分を説明するために簡略化されていることに気づくであろう。
【0035】
下記の特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に組み込まれると共にその一部を構成する。
【0036】
いくつかの図面において、参考のためにデカルト座標が描かれているが、これは方向および配置位置を限定するものではない。さらに、第2の絞り装置60におけるデカルト座標は、x’及びy’で表され、第1の絞り装置40及び画像面IPにおける(x,y)座標とは区別する。
【0037】
以下の記述では、用語「レーザ光線」及び「光」は、互換可能に使用される。
【0038】
用語「上流」及び「下流」は、従来の光学システム設計技術で用いられるように、光の進行方向に対する部品の位置を言及するために用いられる。ここで、部品Bが部品Aの下流にあるというとき、部品Aから部品Bの方向へ光は進む。逆もまた同様である。
【0039】
図1は、本開示による線形成光学システム(「システム」)10の一例の模式図である。システム10は、光軸A1、対物面OP、及び画像面IPを含む。後述するように、線画像80は画像面IPに形成される。
【0040】
システム10は、光軸A1に沿って、対物面OPの上流にレーザ光源20を含む。レーザ光源20は、光軸A1に沿って対物面OPへ向かって初期レーザ光線22を放射する。一例では、レーザ光源20は、COレーザを含む。COレーザは、公称波長10.6μmで動作する。初期レーザ光線22は、一例では、少なくともx方向に沿って、さらなる例では、x方向及びy方向の両方向に沿って、ガウス強度分布(プロファイル)を有する。一例では、初期レーザ光線22は、円対称である必要はない。例えば、x方向及びy方向におけるガウス強度分布は、異なる寸法を有してもよい。
【0041】
システム10は、レーザ光源20と対物面OPとの間の光軸A1に沿って配置された光線調整光学システム30を含む。光線調整光学システム30は、初期レーザ光線22を受光し、これから調整レーザ光線24を形成するように構成されている。一例では、光線調整光学システム30は、光線拡張を実行するように構成される。そのため、調整レーザ光線24は、初期レーザ光線22を拡張したものとなる。一例では、光線調整光学システム30は、x方向及びy方向での選択寸法(プロファイル)とともに調整レーザ光線24を供給するように構成される。一例では、光線調整光学システム30は、初期レーザ光線22の寸法を、x方向及びy方向に同じ量だけ拡張する。
【0042】
光線調整光学システム30は、ミラー、レンズ、絞り(開口)、及び同等の光学部品のうちの少なくとも一つを含み得る。一例の光線調整光学システム30は、2つ以上の軸外ミラーを利用する。各軸外ミラーは、当該技術分野で公知であり、米国特許第2,970,518号及び第3,674,334号に記載の2つの例のような光学出力を有する。種々の例では、光線調整光学システム30は、アナモルフィック、円筒状、あるいは円対称であり得る。
【0043】
一実施形態では、レーザ光源20及び光線調整光学システム30は、レーザ光源システム35を規定する。レーザ光源システム35は、調整レーザ光線24が線画像80を形成するための所望の強度プロファイルI(x,y)を生成する。レーザ光源20が、調整される必要のない適切な初期レーザ光線22を放射する例では、光線調整光学システム30は必要ではなく、調整レーザ光線24の代わりに初期レーザ光線22を使用することができる。そのため、以下の記述において調整レーザ光線24は、未処理の初期レーザ光線22で規定される例であると理解される。
【0044】
また、システム10は、光軸Aに沿って、対物面OPに第1の絞り装置40を含む。一例では、第1の絞り装置40は、端部43をそれぞれ有する一対のブレード42を含む。ブレード42は、対物面OPにおいて光軸A1のそれぞれの側に配置される。これにより、それぞれの端部43は、離間して対面し、スリット開口部44を形成する。スリット開口部44は、拡大差し込み図IN1で最も良く図示されるように、Y方向に長さ(長手)寸法を有する。拡大差し込み図IN1は、+z方向に光軸A1を見下ろすようにして第1の絞り装置40を示す。スリット開口部44は、x方向に幅d1を有する。幅d1は、後述するように、システム10によって画像面IPに形成された線画像80の長さLを規定する。一例では、ブレード42は、移動可能であり、幅d1及びそれに伴って線画像80の長さLを調整することができる。
【0045】
また、システム10は、光軸A1と、第1の絞り装置40の下流の中継光学システム50とを含む。図1に示す中継光学システム50は、説明を容易にするために伝送(透過)光学システムとして図示される。反射中継光学システム50の一例は、図5と関連させて後述される。中継光学システム50は、第1の光学部品52A及び第2の光学部品52Bを含む。一例では、各光学部品52A及び52Bは、レンズ、ミラーなどの一つ以上の光学素子で構成される。中継光学システム50は、第1の絞り装置40において対物面OPを規定するとともに、線画像80が形成される画像面IPも規定する。
【0046】
中継光学システム50は、第2の絞り装置60をさらに含む。第2の絞り装置60は、第1の光学部品52Aによって規定される中間焦点面IFPにおいて、第1の光学部品52Aと第2の光学部品52Bとの間に配置される。第2の拡大差し込み図IN2を参照すると、第2の絞り装置60は、端部63をそれぞれ有する一対のブレード62を含む。ブレード62は、中間焦点面IFPにおいて、光軸A1のそれぞれの側に配置される。これにより、各ブレード63は、離間して対面し、スリット開口部64を形成する。スリット開口部64は、y’方向、すなわち、第1の絞り装置40のスリット開口部44と同じ方向に、長さ(長手)寸法を有する。スリット開口部64は、x’方向に幅d2を有する。一例では、ブレード62は移動可能であり、幅d2を調整することができる。
【0047】
一実施形態では、中継光学システム50は、x−z面に実質的に単位倍率(すなわち、実質的に1倍(1×)システムである)を有する。また一例では、中継光学システム50は、円筒状又はアナモルフィックの何れかでありうる。第1の絞り装置40のスリット開口部44の幅d1は、x方向における調整レーザ光線24の寸法を規定する。x−z面が1倍倍率では、d1=Lとなる(拡大差し込み図IN3参照)。
【0048】
システム10の一般的な操作では、調整レーザ光線24が形成され、第1の絞り装置40は、この光線の比較的大部分の光量がスリット開口部44を通過するように構成される。図2Aは、第1の絞り装置40の(+z方向に見た)正面図であり、調整レーザ光線24の近似のゼロ強度線(I(x、y)≒0)を示す。一例では、調整レーザ光線24は、x方向により長い(すなわち、強度プロファイルI(x,y)がx方向に延びる)プロファイルとともに、x方向及びy方向にガウスプロファイルを有する。上述のように、y方向のガウスプロファイルの幅w1は、線画像80の幅w(短手寸法)を規定する。一例では、幅w1は、y−z面に光学出力を有しない中継光学システム50(すなわち、中継光学システム50は、x−z面のみに光学出力を有する円筒形である)とともに、光線調整光学システム30によって規定される。これは、光線調整光学システム30を使用することの利点の一つである。なぜなら、アナモルフィック素子を使用して光学部品52A及び52Bを形成する必要性がなくなるためである。
【0049】
図2Bは、調整レーザ光線24のx(mm)に対する強度プロファイルI(x)のプロット図である。また図2Bは、調整レーザ光線24に対する第1の絞り装置40のブレード42の配置例を示す。図2Aにおいて調整レーザ光線24のハッシュされた部分24Bは、各ブレード42によって遮断される調整レーザ光線24の部分を示す。一方、スリット開口部44を通過する部分は24Pで示され、以下では、「第1の透過光」と呼ぶ。第1の透過光は、図2Bにおいても図示される。図2Bでは、強度プロファイルI(x)の破線部分が、各ブレード42によって遮断される光部分を示す。図2A及び図2Bに示す例では、調整レーザ光線24の約90%の光が第1の透過光24Pとしてスリット開口部44を通過する一方、強度プロファイルの両翼にある調整レーザ光線24の約10%の光が、ブレード42によって遮断される。一例では、第1の絞り装置40は、調整レーザ光線24の少なくとも50%を通過させるように構成される。
【0050】
第1の絞り装置40は、調整レーザ光線24の実質的な部分を通過させるように構成されているため、スリット開口部44内の強度プロファイルI(x)の変動は比較的大きい。一例では、この変動は50%よりも大きく、また他の例では、この変動は65%よりも大きく、さらに他の例では、この変動は70%よりも大きい。このことは、図2Bにおいて最も明確に示される。図2Bでは、(標準化された)ピーク強度は、スリット開口部44の中心において(すなわち、x=0において)1である。また、ブレード42の端部43によって規定されるスリット開口部44の端部では、強度は、約0.28、すなわち、強度プロファイルI(x)の最大値の約28%にまで低下する。この強度プロファイルI(x)が従来の中継手段を用いて画像面IPへ中継されると、線画像80は、長手方向において強度均一性の対応する変動(約72%)を有するであろう。この値は、線画像80の長さLについて、±5%以内、あるいは、ある場合には±2%以内というより好ましい強度均一性を大幅に超えている。
【0051】
再び図1を参照すると、スリット開口部44を通過する第1の透過光24Pは、第2の絞り装置60上で、中継光学システム50の第1の光学部品52Aによって中間焦点面IFPに焦点合わせされる。中間焦点面IFPは、第1の絞り装置40における(x,y)座標とは別の座標x’及びy’を有する。このような焦点合わせにより、第2の強度プロファイルI’(x’,y’)が得られる。第2の強度プロファイルI’(x’,y’)は、対物面OPでの強度プロファイルI(x,y)の(x’方向の)1次元フーリエ変換によって規定される。
【0052】
対物面OPでの強度プロファイルI(x)は、
I(x)=G(x)・rect(x/a) ((d1)/2=a)
で規定される。ここで、rect(x/a)は、0(|x|>aの場合)、1/2(x=aの場合)、及び、1(|x|<aの場合)であり、G(x)=exp(−x)である。したがって、I’(x’)は、
【数1】
で求められる。
【0053】
図3Aは、第2の絞り装置60における第1の透過光24Pのx’(mm)に対する強度プロファイルI’(x’)のプロット図である。図3Bは、図3Bの第2の絞り装置60を+z方向から見た場合の正面図である。図3Bを参照すると、ブレード62は、第2の絞り装置60に入射する第1の透過光24Pの一部24P’がスリット開口部64を通過し、第1の透過光24Pの各部分24B’が第2の絞り装置60のブレード62によって遮断されるように、配置される。そのため、第1の透過光24Pの一部24P’は、「第2の透過光」と呼ばれ、中継光学システム50の下流部分で、線画像80を形成するために使用される。
【0054】
図3Aは、ブレード62が、第2の透過光24P’の選択量を透過させるための選択幅d2に設定され得ることを詳細に示す。強度プロファイルI’(x’)は、多くのより小さなピークによって囲まれた強い中央ピークP0を示す。より小さなピークは、強度プロファイルI’(x’)の中心から大きさが小さくなる。中央ピークP0のそれぞれの側にある第1ピークは、P1で示され、第1の最小値m1及び第2の最小値m2によって囲まれた最大値MXによって規定される。一例では、スリット開口部64は、幅w2を有するように規定される。ここで、ブレード62の各端部63は、対応する第1ピークP1内に存在し、スリット開口部64は、第1ピークP1に関連した光の少なくとも一部を透過させる。
【0055】
他の例では、第2の絞り装置60は、ブレード62の端部63が、最大値MXと第2の最小値m2との間の対応する第1ピークP1内に存在するように構成されている。例えば、x軸の正側のx値が、最大値MXについてのxMX及び第2の最小値m2についてのxm2で規定され、ブレード62の端部63のx位置が、x63で規定されると、正側ブレード62の端部63の位置条件は、xMX≦x63≦xm2で表すことができる。負側ブレード62の端部63の対応する条件は、−xm2≦−x63≦−xMXで表すことができる。この空間フィルタリング条件は、例えば、長さL上で長手方向に測定された場合に±5%以内という強度非均一性の許容レベルとともに、線画像80の形成について最良の結果をもたらすことが確認された。
【0056】
一例では、中間焦点面IFPにおいて第2の絞り装置60によって遮断される第1の透過光24Pの量は、約5から8%である。これにより、第1の透過光24Pの約95から92%が透過して、第2の透過光24P’が形成される。これにより、中継光学システム50は、入力値又は対物面IPに供給される強度に対して最大約75%の効率で画像面IPに線画像80を形成することができる。これに対して、従来技術の効率は、約15%である。
【0057】
さらに、長手方向(すなわち、x方向)の線画像80の強度均一性は、一例では、長さLにわたる長手方向において±5%の公差を許容し、また他の例では、±2%の公差を許容する。
【0058】
線画像80は、第2の透過光24P’を用いて画像面IPに形成される。このx方向における第2の透過光24P’は、強度プロファイルI’(x’)の切り捨てタイプとして規定され、以下のように符号で示される。ここで、F{・}は、フーリエ変換処理を意味する。
【数2】
そして、強度プロファイルIL(x)は、I’(x’)の1D逆フーリエ変換である。すなわち、IL(x)=F−1{I’(x’)}となる。
【0059】
図3Aから、第2の絞り装置60が、上記のI’(x’)の表現において1D“rect(矩形)”関数を規定し、x’軸に沿ったより高い空間周波数成分の選択量を除去するように機能することがわかる。これらのより高い空間周波数成分は、高解像度の線画像を形成するために必要とされる。高解像度の線画像は、第1の絞り装置40における入力(調整)レーザ光線24の強度変動を含む。そのため、第2の絞り装置60によるフィルタリングは、線画像80の長手方向における強度変動を取り除くように作用する。他方では、これらのより高い空間周波数成分の強度は比較的低いため、第1の透過光24Pの大部分は、スリット開口部64を通り、第2の透過光24P’を形成する。
【0060】
図4Aは、画像面IPにおける線画像80の長手方向でのx(mm)に対する強度プロファイルIL(x)のプロット図である。図4Aは、例として、システム10で形成されたL=10mm(実線)及びL=7.5mm(破線)という2つの異なる寸法を有する線を示す。一例では、線画像80の長さLは、5mm≦L≦100mmの範囲内であり得る。
【0061】
図4Bは、y(μm)に対する強度プロファイルIL(y)のプロット図である。図4Bは、線画像80の短手方向(すなわち、y方向)の強度プロファイルIL(y)が、約75μmの幅wの一例を規定するガウス形状を有することを示す。一実施形態では、幅wは、25μm≦w≦500μmの範囲内であり得る。上述の通り、一例では、幅wは、光線調整光学システム30によって規定され、これにより、中継光学システム50はY−Z面で光学出力を持たない円筒形となり得る。
【0062】
線画像80が短手方向、すなわち、y方向に走査される場合、線画像80の短手寸法における強度プロファイルIL(y)は、長手寸法における強度プロファイルIL(x)と同じ均一性の公差を満たす必要はない。この場合、y方向の強度変動は、走査中に平均化される。図4Bの強度プロファイルIL(y)のプロット図では、線画像80は、y方向に±約10%の強度変動を有する。
<反射中継光学システム>
【0063】
図5は、システム10の一例の模式図である。このシステム10は、反射中継光学システム50及び折り返しミラー光学システム90を含む。折り返しミラー光学システム90は、画像面IPに配置されたウエハWの表面WSへ線画像80を方向付けるために用いられる。反射中継光学システム50は、軸外構造に配置された凹面ミラーの形態で第1の光学部品52A及び第2の光学部品52Bを含む。中継光学システム50は、折り返しミラーF1,F2、及びF3を含む。折り返しミラーF1,F2、及びF3は、第1の透過光24Pの光路を折り返すように機能する。第1の透過光24Pの光路は、対物面OPで第1の絞り装置40を通過する。折り返しミラーF2は、第2の絞り装置60の背面に配置される。この結果、第1の透過光24Pは、第2の絞り装置60に入射する。第1の透過光24Pの中央部分のみ、すなわち、第2の透過光24P’は、折り返しミラーF2によって反射され、中継光学システム50の残りの部分を通過する。このように、一例の中継光学システム50は、反射光学部品で構成され、屈折光学部品を有さない。このような構成は、レーザ光源20が、例えば、公称10.6μmのCOレーザ波長などの赤外波長で動作する場合に望ましい。
【0064】
この第2の透過光24P’は、折り返しミラーF3によって反射され、第2の光学部品52Bへ方向付けられる。第2の光学部品52Bは、第2の透過光24P’を折り返しミラー光学システム90へ方向付ける。折り返しミラー光学システム90は、少なくとも一つの折り返しミラーF4を含む。一例では、折り返しミラー光学システム90は、平行でない対物面OP及び画像面IPを補償するように構成され、これにより、線画像80はウエハWの表面WSに適切に画像化される。
<レーザアニーリングシステム>
【0065】
図6は、レーザアニーリングシステム100の一例の模式図である。このレーザアニーリングシステム100は、本明細書中に開示される線形成光学システム10を含む。線形成光学システム10の使用に適したレーザアニーリングシステムの例は、例えば、米国特許第7,612,372号、第7,514,305号、第7,494,942号、第7,399,945号、第7,154,066号、第6,747,245号、及び第6,366,308号に記載される。
【0066】
図6のレーザアニーリングシステム100は、光軸A1に沿って、上述の線形成光学システム10を含む。このレーザアニーリングシステム100において、レーザ光源20によって放射される初期レーザ光線22は、選択条件において吸収され、ウエハWを加熱することのできる波長(例えば、COレーザからの公称10.6ミクロン)を有する。このような条件には、例えば、ウエハWを加熱することや、あるいは、ウエハWの半導体バンドギャップエネルギーよりも大きなバンドギャップエネルギーを有する第2の放射線ビーム(図示せず)でウエハWを照射することが含まれる。これにより、ウエハWは、ウエハWをアニーリング温度にまで加熱することができる程度に、第2の透過光24P’を吸収できる。第2のレーザ光源によってウエハWを照射してウエハWに第2の透過光24P’を吸収させる一例は、米国特許第7,098,155号、第7,148,159号、第7,482,254号に記載される。
【0067】
ウエハWは、上面112を有するチャック110によって支持される。一例では、チャック110は、ウエハWを加熱するように構成される。続いてチャック110は、ステージ120に支持され、さらにステージ120は、プラテン130に支持される。一実施形態では、チャック110はステージ120に組み込まれる。他の実施形態では、ステージ120は移動可能であり、例えば、平行移動可能及び回転可能である。
【0068】
ウエハWは、ソース領域150S及びドレイン領域150Dの形態でデバイス特徴部を有する例によって示される。ソース領域150S及びドレイン領域150Dは、ウエハWに形成される回路(例えば、トランジスタ)156の一部として、ウエハWの表面WS上、あるいは、表面WSの近傍に形成される。説明の便宜上、回路156におけるソース領域150S及びドレイン領域150Dの相対的な寸法は、ウエハWと比較して大幅に拡大されている。実際には、ソース領域150S及びドレイン領域150Dは非常に浅く、基板に対して約1ミクロン以下の深さを有する。
【0069】
一実施形態では、レーザアニーリングシステム100は、制御部170をさらに含む。制御部170は、システム10及びステージ制御部122に電気的に接続されている。ステージ制御部122は、ステージ120に電気的に接続され、制御部170からの指令を介してステージ120の動きを制御するように構成される。制御部170は、一般的にはレーザアニーリングシステム100の動作を、より具体的にはレーザ光源20及びステージ制御部122の動作を制御するように構成され、接続されている。
【0070】
一実施形態では、制御部170は、パーソナルコンピュータ、ワークステーションなどのコンピュータであってもよいし、そのようなコンピュータを含んでもよい。コンピュータは、例えば、テキサス州オースチンにあるデルコンピュータ株式会社などの多くの周知のコンピュータ企業のうちの何れかから入手することができる。制御部170は、多くの市販のマイクロプロセッサの何れか、プロセッサをハードディスクドライブなどのメモリ装置に接続する適切なバスアーキテクチャ、及び適切な入出力装置(例えば、それぞれキーボード及びディスプレイ)を含むことが好ましい。
【0071】
引き続き図6を参照すると、上述のようにして生成された第2の透過光24P’は、ウエハWの表面WS上に導かれ、表面WS上に線画像80を形成する。本明細書中では、用語「画像」は、一般的に画像面IP及びそこに存在するウエハWの表面WSにおいて、第2の透過光線24P’によって形成される光の分布を示すために用いられる。
【0072】
一実施形態では、線画像80は、矢印180で示すように、ウエハWの表面WS上を走査される。これにより、ウエハWの表面WS(約1ミクロン以下の深さまで)が、ソース領域150S及びドレイン領域150Dでドーパントを活性化するのに十分なアニーリング温度(例えば、非溶融プロセスでは1000℃から1,300℃の間、溶融プロセスでは約1,400℃のシリコン溶融温度超)に高速加熱される。また、ウエハWの表面WSを高速冷却することもでき、その結果、ドーパントは実質的に拡散せず、これにより、ソース領域150S及びドレイン領域150Dの浅さを維持することができる。ウエハWの表面WSの包括的なドーパント活性化は、レーザアニーリングシステム100を用いて実行することもできる。ウエハWの表面WS上における線画像80の一般的な走査速度は、25mm/秒から1000mm/秒の範囲である。一例では、第2の透過光24P’及びウエハWの一方又は双方は、走査中に移動可能である。
【0073】
線形成光学システム10は、比較的大きな出力密度を有する比較的長い線画像80を形成することができるため、ウエハWは、従前の線形成光学システムよりも大幅に高速で(例えば、3倍速く、あるいは、3倍のスループット改善用に3倍の長さの処理ラインを有するように)走査されることができる。これにより、レーザアニーリングシステム100によって処理することのできる時間当たりのウエハ数を増加させることができる。
【0074】
当業者には明白であるが、添付される特許請求の範囲で規定された本開示の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載された本開示の好ましい実施形態に対して様々な変更を加えることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等範囲内で行われる本開示の修正及び変更を包含する。

図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図5
図6
図4B
【外国語明細書】