(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-34232(P2016-34232A)
(43)【公開日】2016年3月10日
(54)【発明の名称】回転子積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/03 20060101AFI20160212BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20160212BHJP
H02K 15/12 20060101ALI20160212BHJP
【FI】
H02K15/03 Z
H02K15/02 K
H02K15/12 E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-239384(P2015-239384)
(22)【出願日】2015年12月8日
(62)【分割の表示】特願2012-84939(P2012-84939)の分割
【原出願日】2012年4月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】石松 久朋
(72)【発明者】
【氏名】間普 浩敏
(72)【発明者】
【氏名】山本 義昭
(72)【発明者】
【氏名】明神 巌
【テーマコード(参考)】
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615SS05
5H615SS09
5H615SS19
5H615SS44
5H615TT26
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA14
5H622CB05
5H622PP20
(57)【要約】
【課題】搬送トレイを上下反転させる必要がなく、作業効率も格段に向上した回転子積層鉄心の製造方法を提供する。
【解決手段】搬送トレイ16の軸18に積層鉄心本体14の軸孔10を嵌入し、積層鉄心本体14を搬送トレイ16に位置決めして載せる第1工程と、磁石挿入孔11、12にそれぞれ永久磁石15が挿入された積層鉄心本体14を搬送トレイ16に載せた状態で、下型28に位置決め配置し、上型29及び下型28で搬送トレイ16に載った積層鉄心本体14を型締めする第2工程と、下型28に設けられた樹脂溜めポット42から樹脂を押し出して、搬送トレイ16に形成された樹脂流路43を介して積層鉄心本体14の対応する各磁石挿入孔11、12に樹脂を充填する第3工程とを有し、樹脂流路43は底部開放で、樹脂溜めポット42から押し出された樹脂を下から受け入れ、ゲート44、45を介して磁石挿入孔11、12に充填する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に軸孔がその周囲に複数の磁石挿入孔が形成された積層鉄心本体の前記磁石挿入孔にそれぞれ永久磁石を入れて樹脂封止を行う回転子積層鉄心の製造方法であって、
搬送トレイの軸に前記積層鉄心本体の軸孔を嵌入し、該積層鉄心本体を該搬送トレイに位置決めして載せる第1工程と、
前記磁石挿入孔にそれぞれ前記永久磁石が挿入された前記積層鉄心本体を前記搬送トレイに載せた状態で、該搬送トレイを下型に位置決め配置し、上型及び前記下型で前記搬送トレイに載った前記積層鉄心本体を型締めする第2工程と、
前記下型に設けられた樹脂溜めポットから樹脂を押し出して、前記搬送トレイに形成された樹脂流路を介して前記積層鉄心本体の対応する前記各磁石挿入孔に樹脂を充填する第3工程とを有し、
前記樹脂流路は底部開放であって、前記樹脂溜めポットから押し出された樹脂を下から受け入れ、前記樹脂流路の領域で底部から上部に貫通して形成されたゲートから前記磁石挿入孔に、樹脂を充填することを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の周壁は外側に開いて該樹脂流路が下方に開くテーパー状となっていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の上部には前記ゲート以外に貫通孔が形成され、前記積層鉄心本体に樹脂封止後、前記搬送トレイに残った樹脂を、前記貫通孔を挿通するピンによって抜き落とすことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイは平面視して矩形であって、前記上型の両側に、前記積層鉄心本体が載置された前記搬送トレイを位置決めして仮置きする対となった支持部材が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下型に設けられた前記樹脂溜めポットは複数あって、一つの前記樹脂溜めポットから前記樹脂流路を介して1又は2以上の前記磁石挿入孔に樹脂が充填されることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記積層鉄心本体と前記搬送トレイとの位置決めは、更に前記搬送トレイから上に突出する少なくとも2本の第1の位置決めピンと、前記積層鉄心本体を上下に貫通して形成された抜き孔を介して行うことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイと前記下型との位置決めは、前記下型に形成され上に突出する少なくとも2本の第2の位置決めピンと、前記搬送トレイに設けられた前記第2の位置決めピンが嵌入する位置決め孔とによって行われることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイには、樹脂封止時に前記磁石挿入孔内の空気を外部に逃がすベント溝が形成されていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の鉄心片を積層して形成され、中央に軸孔を備えた積層鉄心本体の磁石挿入孔に永久磁石を樹脂封止する回転子積層鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに使用する回転子積層鉄心(ロータコアともいう)は、複数の鉄心片を積層し、中央の軸孔(シャフト孔ともいう)の周囲に形成された複数の磁石挿入孔に永久磁石を挿入した後、樹脂を注入して硬化させることにより製造している。
この樹脂の注入は、例えば、特許文献1に示すように、永久磁石挿入後の回転子積層鉄心を、下型と上型を有する金型で挟み込み、この上型に設けられた樹脂溜めポットから、プランジャを押し下げることにより行っている。ところが、永久磁石の上方から各磁石挿入孔内に樹脂を注入する場合には、以下のような問題があった。
【0003】
回転子積層鉄心の高さは、永久磁石の高さより高いため、回転子積層鉄心の上面と永久磁石の上面との間には、僅かな段差(0.5〜1mm程度)が生じる。このため、磁石挿入孔内に注入される樹脂は、この段差部を介してあらゆる方向に流れ、断面積の大きな流路(隙間)から優先して注入されてしまうため、各磁石挿入孔内の永久磁石の姿勢を、樹脂の流れで制御(狙った流路、例えば、永久磁石の半径方向内側の流路に流すことにより、永久磁石を外周側に固定)できなくなる。その結果、永久磁石の配置位置が各磁石挿入孔内でばらつき(例えば、内寄り、外寄り、傾きなど)、モータ運転時の損失や騒音、更には振動が増加することになっていた。
【0004】
また、特許文献2には、
図10の(A)〜(K)の工程を有する回転子積層鉄心の製造方法が開示されている。即ち、搬送トレイ80に積層鉄心本体81をセットする(A)工程、積層鉄心本体81を搬送トレイ80ごと傾けて、積層鉄心本体81の各磁石挿入孔に永久磁石82を挿入する(B)工程、搬送トレイ80を水平にした後、カルプレート83を積層鉄心本体81の上にセットする(C)工程、搬送トレイ80とカルプレート83を積層鉄心本体81に当接した状態でこれらを反転する(D)工程、搬送トレイ80とカルプレート83が取付けられた積層鉄心本体81を下型84に載置する(E)工程、並びに上型85と下型84でカルプレート83に乗って更に搬送トレイ80が被さった積層鉄心本体81を挟持し、積層鉄心本体81の磁石挿入孔に下型84から樹脂を注入する(F)工程を有している。
【0005】
そして、更に、上型85と下型84から、樹脂封止され下にはカルプレート83が上には搬送トレイ80が載った積層鉄心本体81を取り出す(G)、(H)工程とを有し、(H)工程でカルプレート83の底部には樹脂溜めポットに残って硬化した樹脂が付着している。次に、(I)工程で積層鉄心本体81を反転し、積層鉄心本体81の上部にあるカルプレート83を引き剥がす(J)工程、及びカルプレート83を再利用するため、カルプレート83に付着した樹脂をピン86を用いて除去する(K)工程を経て、樹脂封止された回転子積層鉄心が製造される。なお、カルプレート83には樹脂溜めポットから積層鉄心本体81の磁石挿入孔に樹脂をガイドする樹脂流路及び磁石挿入孔への樹脂の挿入口となるゲートを有する。
【0006】
このように、下型84から樹脂を注入することで、永久磁石の底面をカルプレート83に密着させることができるので、樹脂を注入する際に、永久磁石82が磁石挿入孔内で内側に寄ったり、外側に寄ったり、傾いたりすることがなく、上型から樹脂を注入する工法に比べ、騒音、損失、更には振動を軽減した回転子積層鉄心を製造できるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−336718号公報
【特許文献2】特開2011−55687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、下型から樹脂を積層鉄心本体の磁石挿入孔に注入する特許文献2記載の技術は、搬送トレイに載置された積層鉄心本体を、モールド樹脂注入前の金型配置時と、モールド注入後の金型取り出し時に、180度反転する必要があり、積層鉄心本体と搬送トレイとをこのような状態で反転するのは、作業が煩雑であった。
更に、カルプレートで積層鉄心本体の磁石挿入孔に挿入された永久磁石の落下を保持しているので、反転作業時にカルプレートと搬送トレイで挟持した積層鉄心本体を保持しなければならない。
【0009】
この反転作業中に、搬送トレイが落下した場合、作業者が怪我をする恐れがあり、また、積層鉄心本体を破損させてしまう場合がある。ここで、搬送トレイとカルプレートをボルト等で固定して反転することも可能であるが、作業性が悪くなることは必須であり、製造設備が複雑、高価になり、製造コストの上昇を招いてしまう。
【0010】
また、カルプレートを使用することで、積層鉄心本体(回転子積層鉄心)に直接樹脂カス(カル)は残らないが、積層鉄心本体にカルプレートを取付ける工程が増え、更に、回転子積層鉄心の磁石挿入孔の樹脂封止が完了しても、カルプレートを積層鉄心本体から除去する工程と、カルプレートを再利用する場合は、カルプレートに付着している樹脂カスを除去する工程が増え、作業効率が低下してしまう。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、搬送トレイを上下反転させる必要がなく、作業効率も格段に向上した回転子積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的に沿う第1の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、中央に軸孔がその周囲に複数の磁石挿入孔が形成された積層鉄心本体の前記磁石挿入孔にそれぞれ永久磁石を入れて樹脂封止を行う回転子積層鉄心の製造方法であって、
前記積層鉄心本体を搬送トレイに位置決めして載せる第1工程と、
前記磁石挿入孔にそれぞれ前記永久磁石が挿入された前記積層鉄心本体を前記搬送トレイに載せた状態で、該搬送トレイを下型に位置決め配置し、上型及び前記下型で前記搬送トレイに載った前記積層鉄心本体を型締めする第2工程と、
前記下型に設けられた樹脂溜めポットから樹脂を押し出して、前記搬送トレイに形成された樹脂流路を介して前記積層鉄心本体の対応する前記各磁石挿入孔に樹脂を充填する第3工程とを有し、更に、
前記上型又は前記下型に設けられた支持部材によって、前記永久磁石が樹脂封止された積層鉄心本体を前記搬送トレイと共に、前記下型から分離して引き上げる第4工程を有する。
【0013】
第2の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路は底部開放であって、前記樹脂溜めポットから押し出された樹脂を下から受け入れ、前記樹脂流路の領域で底部から上部に貫通して形成されたゲートから、例えば前記磁石挿入孔の半径方向内側領域に樹脂を充填する。この場合、平面視してゲートの一部と磁石挿入孔の一部がラップすることになる。
【0014】
第3の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第2の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の周壁は外側に開いて該樹脂流路が下方に開くテーパー状となっている。
【0015】
第4の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第3の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の上部には前記ゲート以外に貫通孔が形成され、前記積層鉄心本体に樹脂封止後、前記搬送トレイに残った樹脂を、前記貫通孔を挿通するピンによって抜き落とす。
【0016】
第5の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第4の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイは平面視して矩形であって、前記上型の両側に、前記積層鉄心本体が載置された前記搬送トレイを位置決めして仮置きする対となった前記支持部材が設けられている。
【0017】
第6の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第5の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記下型に設けられた前記樹脂溜めポットは複数あって、一つの前記樹脂溜めポットから前記樹脂流路を介して1又は2以上の前記磁石挿入孔に樹脂が充填される。
【0018】
第7の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第6の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記積層鉄心本体と前記搬送トレイとの位置決めは、前記搬送トレイから上に突出する少なくとも2本の第1の位置決めピンと、前記積層鉄心本体を上下に貫通して形成された抜き孔を介して行う。
【0019】
第8の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第7の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイと前記下型との位置決めは、前記下型に形成され上に突出する少なくとも2本の第2の位置決めピンと、前記搬送トレイに設けられた前記第2の位置決めピンが嵌入する位置決め孔とによって行われる。
【0020】
第9の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第8の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイには、樹脂封止時に前記磁石挿入孔内の空気を外部に逃がすベント溝が形成されている。なお、ベント溝の深さは、封止する樹脂に混入しているフィラーの粒度より小さい。
また、以上の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイの中央に回転子積層鉄心の軸孔に挿通する軸を有しているのが好ましいが、この軸は必須の要件ではない。
【発明の効果】
【0021】
第1〜第10の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、従来のように、搬送トレイを上下反転する必要がなくなり、搬送トレイ反転用の設備を設ける必要がなく、作業性が向上し、製造コストも削減される。
また、搬送トレイがカルプレートを兼用するので別途カルプレートを用意する必要がない。
【0022】
そして、搬送トレイに、下型に形成された樹脂溜めポットから対応する積層鉄心本体の磁石挿入孔に樹脂を導く樹脂流路を備えているので、搬送トレイから直接樹脂を磁石挿入孔に注入することができる。
【0023】
特に、第2の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法においては、樹脂流路は底部開放であって、樹脂溜めポットからの樹脂を下から受け入れ、樹脂流路の領域で底部から上部に貫通して形成されたゲートから磁石挿入孔に、樹脂を充填するので、磁石挿入孔と永久磁石の隙間領域に対してまず最初に樹脂を充填することができ、挿入された永久磁石を磁石挿入孔の半径方向外側又は半径方向内側に保持して樹脂注入が可能となる。
【0024】
第3、第4の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法においては、樹脂流路の周壁は外側に開いて樹脂流路が下方に開くテーパー状となっているので、硬化した樹脂が下方に抜けやすい。従って、樹脂流路の上部にゲート以外の貫通孔を形成して、積層鉄心本体に樹脂封止後、搬送トレイに残った樹脂を、貫通孔を挿通するピンによって抜き落とすことができる。
【0025】
そして、第5の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法においては、搬送トレイは平面視して矩形(例えば、正方形)であって、上型の両側(例えば、下部)に、積層鉄心本体が載置された搬送トレイを位置決めして仮置きする対となった支持部材が設けられているので、この支持部材に搬送トレイを仮置きし、搬送トレイの下型への載置及び取り出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(A)〜(H)は本発明の一実施の形態に係る回転子積層鉄心の製造方法の説明図である。
【
図2】同回転子積層鉄心の製造方法の途中工程を示す正面図である。
【
図3】搬送トレイに載った回転子積層鉄心を示す平面図である。
【
図4】(A)、(B)は同搬送トレイの正面図、及び平面図である。
【
図6】(A)、(B)はそれぞれ回転子積層鉄心の製造方法の一工程の説明図である。
【
図7】(A)、(B)はそれぞれ回転子積層鉄心の製造方法の一工程の説明図である。
【
図8】(A)、(B)はそれぞれ搬送トレイに形成されている樹脂流路(ランナー)の説明図である。
【
図9】(A)、(B)はそれぞれ搬送トレイに形成されている樹脂流路(ランナー)の変形例の説明図である。
【
図10】(A)〜(K)は従来例に係る回転子積層鉄心の製造方法の各工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
まず、
図1(A)、
図2、
図3に示すように、磁性材料からなる薄板条材をプレス加工した鉄心片をかしめ積層して、中央に軸孔10が、周囲に複数対となる磁石挿入孔11、12が、軸孔10と磁石挿入孔11、12の間に重量軽減用の複数の抜き孔13が形成された積層鉄心本体14を製造する。
【0028】
なお、それぞれ積層鉄心本体14を上下に貫通する複数対となる磁石挿入孔11、12、及び複数の抜き孔13は、それぞれ軸孔10を中心にして軸対称に形成されている。また、磁石挿入孔11、12には樹脂封止前に永久磁石15が挿入されている(
図6、
図7参照)。
【0029】
図1〜
図3、
図4(A)に示すように、この積層鉄心本体14を搬送トレイ16に載せる。搬送トレイ16は載置台17とその中央に立設する軸18とを有し、軸18に軸孔10を嵌入させることによって、搬送トレイ16に対する積層鉄心本体14の置く位置が決定する。そして、載置台17には、載置台17から上方に突出する2本の第1の位置決めピン19、20が設けられ、載置される積層鉄心本体14の抜き孔13に接するようになっている。なお、この実施の形態では搬送トレイの中央に軸を備えているが、省略される場合もあり、この場合は、載置台と搬送トレイが同一となる場合もある。
【0030】
これによって、角部に面取り21がなされた平面視して正方形の載置台17を有する搬送トレイ16の所定位置に所定角度で積層鉄心本体14を載置できる。なお、軸18の長さは積層鉄心本体14の高さより高く(約5〜20%)、軸18及び第1の位置決めピン19、20の先部には面取りがなされて、容易に軸孔10及び抜き孔13に嵌入できるようになっている。なお、軸18の突出長さは、積層鉄心本体14の高さより低く形成してもよく、この場合、後述する上型29に形成されるガイド穴30をガイド突起に変更すればよい。
【0031】
図3に示すように、載置台17の対角位置には、位置決め孔23、24が形成され、
図2に示すように、この位置決め孔23、24に嵌入する第2の位置決めピン25、26が下型28の上に突出して設けられている。なお、上型29には、軸18の上側部が嵌入するガイド穴30が形成され、更に、上型29の両側には、積層鉄心本体14が載置された搬送トレイ16を位置決めして仮置きする対となる支持部材32、33が設けられている。
【0032】
この支持部材32、33は正面視してL字状となって、下側に内側に水平に伸びる掛止部34、35を有し、搬送トレイ16の載置台17の両側が、一方(即ち、正面側から背面側)に向かって、スライド装着できる構造となっている。なお、掛止部34、35の背面側には図示しないストッパーがそれぞれ設けられて、載置台17の両側後端部がストッパーに当接した位置で、搬送トレイ16が上型29の中心位置に納まる(即ち、位置決めされる)ようになっている。
【0033】
図2に示すように、掛止部34、35の上面と上型29との隙間(即ち、距離)cは、載置台17の厚みtと軸18の高さ(h+a)を加えた長さより、僅少の範囲、例えば、(0.1〜3%)×(t+h+a)で大きくなって、積層鉄心本体14を搬送トレイ16に載せた状態で、水平方向から差し込むことができるようになっている。なお、ここで、hは積層鉄心本体14の高さ、aは積層鉄心本体14の上端から突出する軸18の長さをいう。上型29の中央に設けられているガイド穴30の深さbは、積層鉄心本体14の上端より突出する軸18の長さaより大きくなっている。
【0034】
一方、下型28の上側両端部には、切欠き37、38が設けられ、支持部材32、33の下端が下型28に当接しない構造となっている。なお、
図3〜
図5に示すように、載置台17には貫通孔39、40が設けられ、図示しない搬送治具が掛止できるようになっている。
【0035】
搬送トレイ16を構成する載置台17には、
図6(A)、(B)に示すように、下型28に形成されている断面円形の各樹脂溜めポット42から積層鉄心本体14の磁石挿入孔11、12に樹脂を導く樹脂流路43が形成されている。この実施の形態では、樹脂溜めポット42は8つあって、それぞれ2つの磁石挿入孔11、12に樹脂流路43、及び樹脂流路43領域の上部(即ち、載置台17の上表面側)に底部(即ち、載置台17の下表面側)から上部に貫通して形成されたゲート44、45を介して樹脂を充填する構造となっている。
【0036】
載置台17に形成されている樹脂流路43について、
図5、
図8(A)、(B)を参照しながら詳細に説明すると、下型28に形成されている断面円形の樹脂溜めポット42の直上に樹脂流路43が形成されている。この樹脂流路43は、樹脂溜めポット42からの樹脂を2つに分岐し、両端部に設けられたゲート44、45から樹脂を分流して、対となる磁石挿入孔11、12に充填するようになっている。
【0037】
ゲート44、45は
図4(B)に示すように、平面視して各磁石挿入孔11、12の中央で、積層鉄心本体14の半径方向内側の一部にラップし、磁石挿入孔11、12の内側から半径方向内側領域に樹脂を充填し、磁石挿入孔11、12に挿入されている永久磁石15を半径方向外側に押しつけるようにしている。また、ゲート44、45を磁石挿入孔11、12の半径方向外側の一部にラップさせ、永久磁石15を半径方向内側に押しつけることもできる。
【0038】
この樹脂流路43は載置台17の下側に開口して形成され(底部開放)、その周壁は下側(即ち、外側)に開いて傾斜するテーパー状となっている。これによって、硬化した樹脂を抜く場合に、載置台17から容易に除去される。
なお、載置台17の上面には、樹脂封止時に磁石挿入孔11、12から余分な空気を外部に導くベント溝17aが積層鉄心本体14の外周より外側まで延長して形成されている。このベント溝17aの深さは、封止樹脂に含まれるフィラーの粒径より小さいのが好ましい。また、このベント溝17aは省略することもできる。
【0039】
続いて、
図1(A)〜(H)及びその他の図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る回転子積層鉄心の製造方法について詳細に説明する。
図1(A)に示すように、鉄心片をかしめ積層した積層鉄心本体14を製造し、これを搬送トレイ16に載せる。この場合、積層鉄心本体14の軸孔10及び抜き孔13と、搬送トレイ16の軸18及び第1の位置決めピン19、20とをそれぞれ嵌合させて、積層鉄心本体14を搬送トレイ16の所定位置に取付ける(
図3参照)。なお、搬送トレイ16を金型装置に配置して、鉄心片を金型装置内で順次積層してもよい。
【0040】
次に、
図1(B)に示すように、積層鉄心本体14の各磁石挿入孔11、12内に永久磁石(未磁化)15を入れる。この場合、積層鉄心本体14を横に傾けて永久磁石15を入れてもよい。そして、
図6(A)に示すように、搬送トレイ16に載った積層鉄心本体14を上型29の支持部材32、33の掛止部34、35の上に載せる(
図2も参照)。
【0041】
この後、
図1(C)、
図2に示すように、上型29を下げて、搬送トレイ16を下型28の上に載せる。このとき、下型28の上に突出配置された第2の位置決めピン25、26が載置台17に形成されている位置決め孔23、24に嵌入して、下型28に対する搬送トレイ16の位置が決まる。
【0042】
そして、
図1(D)、
図6(B)に示すように、上型29を下降させて、積層鉄心本体14を上型29と下型28が型締めする。これによって、磁石挿入孔11、12の上部は上型29によって閉塞され、更に、軸18の先部がガイド穴30に嵌入する。磁石挿入孔11、12の下部は載置台17と当接し、ゲート44、45の一部が磁石挿入孔11、12の下部に連通する(
図4(B)参照)。このとき、上型29に樹脂封止時の磁石挿入孔11、12内の空気を抜くベント溝を形成してもよく、ベント溝を形成したプレートを積層鉄心本体14と上型29の間に配置してもよい。
【0043】
この状態で、
図7(A)に示すように、樹脂溜めポット42内で加熱されて溶融した樹脂をプランジャ47を上昇させて押し出し、樹脂流路(ランナー)43からゲート44、45を介して磁石挿入孔11、12内に充填する。これによって、永久磁石15は磁石挿入孔11、12内の半径方向外側に押しつけられた状態で、樹脂封止される。
【0044】
樹脂(熱硬化性樹脂)が硬化した後、
図1(E)、
図7(B)に示すように、上型29を上昇させる。これによって樹脂溜めポット42に残っていて硬化した樹脂、及び樹脂流路43に残って硬化した樹脂は、搬送トレイ16に付着した状態で、搬送トレイ16、永久磁石15が樹脂封止された積層鉄心本体14と共に引き上げられる。
【0045】
次に、
図1(F)に示すように、上型29に設けられている支持部材32、33から搬送トレイ16及びこれに載った積層鉄心本体14を外し、更に、
図1(G)に示すように積層鉄心本体14を搬送トレイ16から外せば、回転子積層鉄心48となる。この場合、ゲート44、45と磁石挿入孔11、12の連結部は断面が小さいので、容易に分離する。
【0046】
そして、搬送トレイ16を繰り返し使用する場合は、
図1(H)に示すように、ゲート孔44、45内に治具(ピン)49を挿通して、不要な樹脂(カル)を除去する。この場合、樹脂流路43は下方に開くテーパー状となっているので、樹脂の剥離が容易である。なお、
図9(A)、(B)に示すように、樹脂流路43の中央部分でその上部に貫通孔50、51を設け、ゲート孔44、45を挿通する治具(ピン)49に加えて、別に設けられたピン治具によっても、樹脂流路43内の樹脂を落とすようにすることで、硬化した樹脂を折ることもなく確実に一体形状で落とすことができる。
【0047】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、前記実施の形態においては、上型を昇降したが、下型を昇降することもできる。また、搬送トレイの支持部材は、下型に設けてもよい。また、支持部材を設けずに、手動で積層鉄心本体を下型へ取付け又は取外しを行ってもよい。
【0048】
更に、前記実施の形態では、熱硬化性樹脂を、永久磁石を固定する樹脂として使用したが、その他の樹脂(例えば、熱可塑性の樹脂)であってもよい。
なお、以上の実施の形態において、搬送トレイの載置台に回転子積層鉄心を軸心を合わせて載せているが、搬送トレイの軸を無くして載置台に直接、回転子積層鉄心を載せることもできる。この場合、別の位置決め手段(例えば、ピン、凹凸)等で回転子積層鉄心を載置台に正確に位置決めすることは必要である。
【符号の説明】
【0049】
10:軸孔、11、12:磁石挿入孔、13:抜き孔、14:積層鉄心本体、15:永久磁石、16:搬送トレイ、17:載置台、17a:ベント溝、18:軸、19、20:第1の位置決めピン、21:面取り、23、24:位置決め孔、25、26:第2の位置決めピン、28:下型、29:上型、30:ガイド穴、32、33:支持部材、34、35:掛止部、37、38:切欠き、39、40:貫通孔、42:樹脂溜めポット、43:樹脂流路、44、45:ゲート、47:プランジャ、48:回転子積層鉄心、49:治具、50、51:貫通孔
【手続補正書】
【提出日】2015年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央に軸孔がその周囲に複数の磁石挿入孔が形成された積層鉄心本体の前記磁石挿入孔にそれぞれ永久磁石を入れて樹脂封止を行う回転子積層鉄心の製造方法であって、
搬送トレイの軸に前記積層鉄心本体の軸孔を嵌入し、該積層鉄心本体を該搬送トレイに位置決めして載せる第1工程と、
前記磁石挿入孔にそれぞれ前記永久磁石が挿入された前記積層鉄心本体を前記搬送トレイに載せた状態で、該搬送トレイを下型に位置決め配置し、上型及び前記下型で前記搬送トレイに載った前記積層鉄心本体を型締めする第2工程と、
前記下型に設けられた樹脂溜めポットから樹脂を押し出して、前記搬送トレイに形成された樹脂流路を介して前記積層鉄心本体の対応する前記各磁石挿入孔に樹脂を充填する第3工程とを有し、
前記樹脂流路は底部開放であって、前記樹脂溜めポットから押し出された樹脂を下から受け入れ、前記樹脂流路の領域で底部から上部に貫通して形成されたゲートから前記磁石挿入孔に、樹脂を充填することを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の周壁は外側に開いて該樹脂流路が下方に開くテーパー状となっていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の上部には前記ゲート以外に貫通孔が形成され、前記積層鉄心本体に樹脂封止後、前記搬送トレイに残った樹脂を、前記貫通孔を挿通するピンによって抜き落とすことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイは平面視して矩形であって、前記上型の両側に、前記積層鉄心本体が載置された前記搬送トレイを位置決めして仮置きする対となった支持部材が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下型に設けられた前記樹脂溜めポットは複数あって、一つの前記樹脂溜めポットから前記樹脂流路を介して1又は2以上の前記磁石挿入孔に樹脂が充填されることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記積層鉄心本体と前記搬送トレイとの位置決めは、更に前記搬送トレイから上に突出する少なくとも2本の第1の位置決めピンと、前記積層鉄心本体を上下に貫通して形成された抜き孔を介して行うことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイと前記下型との位置決めは、前記下型に形成され上に突出する少なくとも2本の第2の位置決めピンと、前記搬送トレイに設けられた前記第2の位置決めピンが嵌入する位置決め孔とによって行われることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイには、樹脂封止時に前記磁石挿入孔内の空気を外部に逃がすベント溝が形成されていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の鉄心片を積層して形成され、中央に軸孔を備えた積層鉄心本体の磁石挿入孔に永久磁石を樹脂封止する回転子積層鉄心の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータに使用する回転子積層鉄心(ロータコアともいう)は、複数の鉄心片を積層し、中央の軸孔(シャフト孔ともいう)の周囲に形成された複数の磁石挿入孔に永久磁石を挿入した後、樹脂を注入して硬化させることにより製造している。
この樹脂の注入は、例えば、特許文献1に示すように、永久磁石挿入後の回転子積層鉄心を、下型と上型を有する金型で挟み込み、この上型に設けられた樹脂溜めポットから、プランジャを押し下げることにより行っている。ところが、永久磁石の上方から各磁石挿入孔内に樹脂を注入する場合には、以下のような問題があった。
【0003】
回転子積層鉄心の高さは、永久磁石の高さより高いため、回転子積層鉄心の上面と永久磁石の上面との間には、僅かな段差(0.5〜1mm程度)が生じる。このため、磁石挿入孔内に注入される樹脂は、この段差部を介してあらゆる方向に流れ、断面積の大きな流路(隙間)から優先して注入されてしまうため、各磁石挿入孔内の永久磁石の姿勢を、樹脂の流れで制御(狙った流路、例えば、永久磁石の半径方向内側の流路に流すことにより、永久磁石を外周側に固定)できなくなる。その結果、永久磁石の配置位置が各磁石挿入孔内でばらつき(例えば、内寄り、外寄り、傾きなど)、モータ運転時の損失や騒音、更には振動が増加することになっていた。
【0004】
また、特許文献2には、
図10の(A)〜(K)の工程を有する回転子積層鉄心の製造方法が開示されている。即ち、搬送トレイ80に積層鉄心本体81をセットする(A)工程、積層鉄心本体81を搬送トレイ80ごと傾けて、積層鉄心本体81の各磁石挿入孔に永久磁石82を挿入する(B)工程、搬送トレイ80を水平にした後、カルプレート83を積層鉄心本体81の上にセットする(C)工程、搬送トレイ80とカルプレート83を積層鉄心本体81に当接した状態でこれらを反転する(D)工程、搬送トレイ80とカルプレート83が取付けられた積層鉄心本体81を下型84に載置する(E)工程、並びに上型85と下型84でカルプレート83に乗って更に搬送トレイ80が被さった積層鉄心本体81を挟持し、積層鉄心本体81の磁石挿入孔に下型84から樹脂を注入する(F)工程を有している。
【0005】
そして、更に、上型85と下型84から、樹脂封止され下にはカルプレート83が上には搬送トレイ80が載った積層鉄心本体81を取り出す(G)、(H)工程とを有し、(H)工程でカルプレート83の底部には樹脂溜めポットに残って硬化した樹脂が付着している。次に、(I)工程で積層鉄心本体81を反転し、積層鉄心本体81の上部にあるカルプレート83を引き剥がす(J)工程、及びカルプレート83を再利用するため、カルプレート83に付着した樹脂をピン86を用いて除去する(K)工程を経て、樹脂封止された回転子積層鉄心が製造される。なお、カルプレート83には樹脂溜めポットから積層鉄心本体81の磁石挿入孔に樹脂をガイドする樹脂流路及び磁石挿入孔への樹脂の挿入口となるゲートを有する。
【0006】
このように、下型84から樹脂を注入することで、永久磁石の底面をカルプレート83に密着させることができるので、樹脂を注入する際に、永久磁石82が磁石挿入孔内で内側に寄ったり、外側に寄ったり、傾いたりすることがなく、上型から樹脂を注入する工法に比べ、騒音、損失、更には振動を軽減した回転子積層鉄心を製造できるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−336718号公報
【特許文献2】特開2011−55687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、下型から樹脂を積層鉄心本体の磁石挿入孔に注入する特許文献2記載の技術は、搬送トレイに載置された積層鉄心本体を、モールド樹脂注入前の金型配置時と、モールド注入後の金型取り出し時に、180度反転する必要があり、積層鉄心本体と搬送トレイとをこのような状態で反転するのは、作業が煩雑であった。
更に、カルプレートで積層鉄心本体の磁石挿入孔に挿入された永久磁石の落下を保持しているので、反転作業時にカルプレートと搬送トレイで挟持した積層鉄心本体を保持しなければならない。
【0009】
この反転作業中に、搬送トレイが落下した場合、作業者が怪我をする恐れがあり、また、積層鉄心本体を破損させてしまう場合がある。ここで、搬送トレイとカルプレートをボルト等で固定して反転することも可能であるが、作業性が悪くなることは必須であり、製造設備が複雑、高価になり、製造コストの上昇を招いてしまう。
【0010】
また、カルプレートを使用することで、積層鉄心本体(回転子積層鉄心)に直接樹脂カス(カル)は残らないが、積層鉄心本体にカルプレートを取付ける工程が増え、更に、回転子積層鉄心の磁石挿入孔の樹脂封止が完了しても、カルプレートを積層鉄心本体から除去する工程と、カルプレートを再利用する場合は、カルプレートに付着している樹脂カスを除去する工程が増え、作業効率が低下してしまう。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、搬送トレイを上下反転させる必要がなく、作業効率も格段に向上した回転子積層鉄心の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的に沿う第1の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、中央に軸孔がその周囲に複数の磁石挿入孔が形成された積層鉄心本体の前記磁石挿入孔にそれぞれ永久磁石を入れて樹脂封止を行う回転子積層鉄心の製造方法であって、
搬送トレイの軸に前記積層鉄心本体の軸孔を嵌入し、該積層鉄心本体を
該搬送トレイに位置決めして載せる第1工程と、
前記磁石挿入孔にそれぞれ前記永久磁石が挿入された前記積層鉄心本体を前記搬送トレイに載せた状態で、該搬送トレイを下型に位置決め配置し、上型及び前記下型で前記搬送トレイに載った前記積層鉄心本体を型締めする第2工程と、
前記下型に設けられた樹脂溜めポットから樹脂を押し出して、前記搬送トレイに形成された樹脂流路を介して前記積層鉄心本体の対応する前記各磁石挿入孔に樹脂を充填する第3工程とを有し、
前記樹脂流路は底部開放であって、前記樹脂溜めポットから押し出された樹脂を下から受け入れ、前記樹脂流路の領域で底部から上部に貫通して形成されたゲートから、例えば前記磁石挿入孔の半径方向内側領域に樹脂を充填する。この場合、平面視してゲートの一部と磁石挿入孔の一部がラップすることになる。
【0013】
【0014】
第
2の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第
1の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の周壁は外側に開いて該樹脂流路が下方に開くテーパー状となっている。
【0015】
第
3の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第
2の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記樹脂流路の上部には前記ゲート以外に貫通孔が形成され、前記積層鉄心本体に樹脂封止後、前記搬送トレイに残った樹脂を、前記貫通孔を挿通するピンによって抜き落とす。
【0016】
第
4の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第
3の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイは平面視して矩形であって、前記上型の両側に、前記積層鉄心本体が載置された前記搬送トレイを位置決めして仮置きする対となった支持部材が設けられている。
【0017】
第
5の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第
4の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記下型に設けられた前記樹脂溜めポットは複数あって、一つの前記樹脂溜めポットから前記樹脂流路を介して1又は2以上の前記磁石挿入孔に樹脂が充填される。
【0018】
第
6の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第
5の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記積層鉄心本体と前記搬送トレイとの位置決めは、
更に前記搬送トレイから上に突出する少なくとも2本の第1の位置決めピンと、前記積層鉄心本体を上下に貫通して形成された抜き孔を介して行う。
【0019】
第
7の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第
6の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイと前記下型との位置決めは、前記下型に形成され上に突出する少なくとも2本の第2の位置決めピンと、前記搬送トレイに設けられた前記第2の位置決めピンが嵌入する位置決め孔とによって行われる。
【0020】
第
8の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、第1〜第
7の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法において、前記搬送トレイには、樹脂封止時に前記磁石挿入孔内の空気を外部に逃がすベント溝が形成されている。なお、ベント溝の深さは、封止する樹脂に混入しているフィラーの粒度より小さい。
【発明の効果】
【0021】
第1〜第
8の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法は、従来のように、搬送トレイを上下反転する必要がなくなり、搬送トレイ反転用の設備を設ける必要がなく、作業性が向上し、製造コストも削減される。
また、搬送トレイがカルプレートを兼用するので別途カルプレートを用意する必要がない。
【0022】
そして、搬送トレイに、下型に形成された樹脂溜めポットから対応する積層鉄心本体の磁石挿入孔に樹脂を導く樹脂流路を備えているので、搬送トレイから直接樹脂を磁石挿入孔に注入することができる。
【0023】
特に、樹脂流路は底部開放であって、樹脂溜めポットからの樹脂を下から受け入れ、樹脂流路の領域で底部から上部に貫通して形成されたゲートから磁石挿入孔に、樹脂を充填するので、磁石挿入孔と永久磁石の隙間領域に対してまず最初に樹脂を充填することができ、挿入された永久磁石を磁石挿入孔の半径方向外側又は半径方向内側に保持して樹脂注入が可能となる。
【0024】
第
2、第
3の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法においては、樹脂流路の周壁は外側に開いて樹脂流路が下方に開くテーパー状となっているので、硬化した樹脂が下方に抜けやすい。従って、樹脂流路の上部にゲート以外の貫通孔を形成して、積層鉄心本体に樹脂封止後、搬送トレイに残った樹脂を、貫通孔を挿通するピンによって抜き落とすことができる。
【0025】
そして、第
4の発明に係る回転子積層鉄心の製造方法においては、搬送トレイは平面視して矩形(例えば、正方形)であって、上型の両側(例えば、下部)に、積層鉄心本体が載置された搬送トレイを位置決めして仮置きする対となった支持部材が設けられているので、この支持部材に搬送トレイを仮置きし、搬送トレイの下型への載置及び取り出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(A)〜(H)は本発明の一実施の形態に係る回転子積層鉄心の製造方法の説明図である。
【
図2】同回転子積層鉄心の製造方法の途中工程を示す正面図である。
【
図3】搬送トレイに載った回転子積層鉄心を示す平面図である。
【
図4】(A)、(B)は同搬送トレイの正面図、及び平面図である。
【
図6】(A)、(B)はそれぞれ回転子積層鉄心の製造方法の一工程の説明図である。
【
図7】(A)、(B)はそれぞれ回転子積層鉄心の製造方法の一工程の説明図である。
【
図8】(A)、(B)はそれぞれ搬送トレイに形成されている樹脂流路(ランナー)の説明図である。
【
図9】(A)、(B)はそれぞれ搬送トレイに形成されている樹脂流路(ランナー)の変形例の説明図である。
【
図10】(A)〜(K)は従来例に係る回転子積層鉄心の製造方法の各工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
続いて、添付した図面を参照しながら、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
まず、
図1(A)、
図2、
図3に示すように、磁性材料からなる薄板条材をプレス加工した鉄心片をかしめ積層して、中央に軸孔10が、周囲に複数対となる磁石挿入孔11、12が、軸孔10と磁石挿入孔11、12の間に重量軽減用の複数の抜き孔13が形成された積層鉄心本体14を製造する。
【0028】
なお、それぞれ積層鉄心本体14を上下に貫通する複数対となる磁石挿入孔11、12、及び複数の抜き孔13は、それぞれ軸孔10を中心にして軸対称に形成されている。また、磁石挿入孔11、12には樹脂封止前に永久磁石15が挿入されている(
図6、
図7参照)。
【0029】
図1〜
図3、
図4(A)に示すように、この積層鉄心本体14を搬送トレイ16に載せる。搬送トレイ16は載置台17とその中央に立設する軸18とを有し、軸18に軸孔10を嵌入させることによって、搬送トレイ16に対する積層鉄心本体14の置く位置が決定する。そして、載置台17には、載置台17から上方に突出する2本の第1の位置決めピン19、20が設けられ、載置される積層鉄心本体14の抜き孔13に接するようになっている。なお、この実施の形態では搬送トレイの中央に軸を備えているが、省略される場合もあり、この場合は、載置台と搬送トレイが同一となる場合もある。
【0030】
これによって、角部に面取り21がなされた平面視して正方形の載置台17を有する搬送トレイ16の所定位置に所定角度で積層鉄心本体14を載置できる。なお、軸18の長さは積層鉄心本体14の高さより高く(約5〜20%)、軸18及び第1の位置決めピン19、20の先部には面取りがなされて、容易に軸孔10及び抜き孔13に嵌入できるようになっている。なお、軸18の突出長さは、積層鉄心本体14の高さより低く形成してもよく、この場合、後述する上型29に形成されるガイド穴30をガイド突起に変更すればよい。
【0031】
図3に示すように、載置台17の対角位置には、位置決め孔23、24が形成され、
図2に示すように、この位置決め孔23、24に嵌入する第2の位置決めピン25、26が下型28の上に突出して設けられている。なお、上型29には、軸18の上側部が嵌入するガイド穴30が形成され、更に、上型29の両側には、積層鉄心本体14が載置された搬送トレイ16を位置決めして仮置きする対となる支持部材32、33が設けられている。
【0032】
この支持部材32、33は正面視してL字状となって、下側に内側に水平に伸びる掛止部34、35を有し、搬送トレイ16の載置台17の両側が、一方(即ち、正面側から背面側)に向かって、スライド装着できる構造となっている。なお、掛止部34、35の背面側には図示しないストッパーがそれぞれ設けられて、載置台17の両側後端部がストッパーに当接した位置で、搬送トレイ16が上型29の中心位置に納まる(即ち、位置決めされる)ようになっている。
【0033】
図2に示すように、掛止部34、35の上面と上型29との隙間(即ち、距離)cは、載置台17の厚みtと軸18の高さ(h+a)を加えた長さより、僅少の範囲、例えば、(0.1〜3%)×(t+h+a)で大きくなって、積層鉄心本体14を搬送トレイ16に載せた状態で、水平方向から差し込むことができるようになっている。なお、ここで、hは積層鉄心本体14の高さ、aは積層鉄心本体14の上端から突出する軸18の長さをいう。上型29の中央に設けられているガイド穴30の深さbは、積層鉄心本体14の上端より突出する軸18の長さaより大きくなっている。
【0034】
一方、下型28の上側両端部には、切欠き37、38が設けられ、支持部材32、33の下端が下型28に当接しない構造となっている。なお、
図3〜
図5に示すように、載置台17には貫通孔39、40が設けられ、図示しない搬送治具が掛止できるようになっている。
【0035】
搬送トレイ16を構成する載置台17には、
図6(A)、(B)に示すように、下型28に形成されている断面円形の各樹脂溜めポット42から積層鉄心本体14の磁石挿入孔11、12に樹脂を導く樹脂流路43が形成されている。この実施の形態では、樹脂溜めポット42は8つあって、それぞれ2つの磁石挿入孔11、12に樹脂流路43、及び樹脂流路43領域の上部(即ち、載置台17の上表面側)に底部(即ち、載置台17の下表面側)から上部に貫通して形成されたゲート44、45を介して樹脂を充填する構造となっている。
【0036】
載置台17に形成されている樹脂流路43について、
図5、
図8(A)、(B)を参照しながら詳細に説明すると、下型28に形成されている断面円形の樹脂溜めポット42の直上に樹脂流路43が形成されている。この樹脂流路43は、樹脂溜めポット42からの樹脂を2つに分岐し、両端部に設けられたゲート44、45から樹脂を分流して、対となる磁石挿入孔11、12に充填するようになっている。
【0037】
ゲート44、45は
図4(B)に示すように、平面視して各磁石挿入孔11、12の中央で、積層鉄心本体14の半径方向内側の一部にラップし、磁石挿入孔11、12の内側から半径方向内側領域に樹脂を充填し、磁石挿入孔11、12に挿入されている永久磁石15を半径方向外側に押しつけるようにしている。また、ゲート44、45を磁石挿入孔11、12の半径方向外側の一部にラップさせ、永久磁石15を半径方向内側に押しつけることもできる。
【0038】
この樹脂流路43は載置台17の下側に開口して形成され(底部開放)、その周壁は下側(即ち、外側)に開いて傾斜するテーパー状となっている。これによって、硬化した樹脂を抜く場合に、載置台17から容易に除去される。
なお、載置台17の上面には、樹脂封止時に磁石挿入孔11、12から余分な空気を外部に導くベント溝17aが積層鉄心本体14の外周より外側まで延長して形成されている。このベント溝17aの深さは、封止樹脂に含まれるフィラーの粒径より小さいのが好ましい。また、このベント溝17aは省略することもできる。
【0039】
続いて、
図1(A)〜(H)及びその他の図面を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る回転子積層鉄心の製造方法について詳細に説明する。
図1(A)に示すように、鉄心片をかしめ積層した積層鉄心本体14を製造し、これを搬送トレイ16に載せる。この場合、積層鉄心本体14の軸孔10及び抜き孔13と、搬送トレイ16の軸18及び第1の位置決めピン19、20とをそれぞれ嵌合させて、積層鉄心本体14を搬送トレイ16の所定位置に取付ける(
図3参照)。なお、搬送トレイ16を金型装置に配置して、鉄心片を金型装置内で順次積層してもよい。
【0040】
次に、
図1(B)に示すように、積層鉄心本体14の各磁石挿入孔11、12内に永久磁石(未磁化)15を入れる。この場合、積層鉄心本体14を横に傾けて永久磁石15を入れてもよい。そして、
図6(A)に示すように、搬送トレイ16に載った積層鉄心本体14を上型29の支持部材32、33の掛止部34、35の上に載せる(
図2も参照)。
【0041】
この後、
図1(C)、
図2に示すように、上型29を下げて、搬送トレイ16を下型28の上に載せる。このとき、下型28の上に突出配置された第2の位置決めピン25、26が載置台17に形成されている位置決め孔23、24に嵌入して、下型28に対する搬送トレイ16の位置が決まる。
【0042】
そして、
図1(D)、
図6(B)に示すように、上型29を下降させて、積層鉄心本体14を上型29と下型28が型締めする。これによって、磁石挿入孔11、12の上部は上型29によって閉塞され、更に、軸18の先部がガイド穴30に嵌入する。磁石挿入孔11、12の下部は載置台17と当接し、ゲート44、45の一部が磁石挿入孔11、12の下部に連通する(
図4(B)参照)。このとき、上型29に樹脂封止時の磁石挿入孔11、12内の空気を抜くベント溝を形成してもよく、ベント溝を形成したプレートを積層鉄心本体14と上型29の間に配置してもよい。
【0043】
この状態で、
図7(A)に示すように、樹脂溜めポット42内で加熱されて溶融した樹脂をプランジャ47を上昇させて押し出し、樹脂流路(ランナー)43からゲート44、45を介して磁石挿入孔11、12内に充填する。これによって、永久磁石15は磁石挿入孔11、12内の半径方向外側に押しつけられた状態で、樹脂封止される。
【0044】
樹脂(熱硬化性樹脂)が硬化した後、
図1(E)、
図7(B)に示すように、上型29を上昇させる。これによって樹脂溜めポット42に残っていて硬化した樹脂、及び樹脂流路43に残って硬化した樹脂は、搬送トレイ16に付着した状態で、搬送トレイ16、永久磁石15が樹脂封止された積層鉄心本体14と共に引き上げられる。
【0045】
次に、
図1(F)に示すように、上型29に設けられている支持部材32、33から搬送トレイ16及びこれに載った積層鉄心本体14を外し、更に、
図1(G)に示すように積層鉄心本体14を搬送トレイ16から外せば、回転子積層鉄心48となる。この場合、ゲート44、45と磁石挿入孔11、12の連結部は断面が小さいので、容易に分離する。
【0046】
そして、搬送トレイ16を繰り返し使用する場合は、
図1(H)に示すように、ゲート孔44、45内に治具(ピン)49を挿通して、不要な樹脂(カル)を除去する。この場合、樹脂流路43は下方に開くテーパー状となっているので、樹脂の剥離が容易である。なお、
図9(A)、(B)に示すように、樹脂流路43の中央部分でその上部に貫通孔50、51を設け、ゲート孔44、45を挿通する治具(ピン)49に加えて、別に設けられたピン治具によっても、樹脂流路43内の樹脂を落とすようにすることで、硬化した樹脂を折ることもなく確実に一体形状で落とすことができる。
【0047】
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、前記実施の形態においては、上型を昇降したが、下型を昇降することもできる。また、搬送トレイの支持部材は、下型に設けてもよい。また、支持部材を設けずに、手動で積層鉄心本体を下型へ取付け又は取外しを行ってもよい。
【0048】
更に、前記実施の形態では、熱硬化性樹脂を、永久磁石を固定する樹脂として使用したが、その他の樹脂(例えば、熱可塑性の樹脂)であってもよい。
なお、以上の実施の形態において、搬送トレイの載置台に回転子積層鉄心を軸心を合わせて載せているが、搬送トレイの軸を無くして載置台に直接、回転子積層鉄心を載せることもできる。この場合、別の位置決め手段(例えば、ピン、凹凸)等で回転子積層鉄心を載置台に正確に位置決めすることは必要である。
【符号の説明】
【0049】
10:軸孔、11、12:磁石挿入孔、13:抜き孔、14:積層鉄心本体、15:永久磁石、16:搬送トレイ、17:載置台、17a:ベント溝、18:軸、19、20:第1の位置決めピン、21:面取り、23、24:位置決め孔、25、26:第2の位置決めピン、28:下型、29:上型、30:ガイド穴、32、33:支持部材、34、35:掛止部、37、38:切欠き、39、40:貫通孔、42:樹脂溜めポット、43:樹脂流路、44、45:ゲート、47:プランジャ、48:回転子積層鉄心、49:治具、50、51:貫通孔