特開2016-34233(P2016-34233A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-34233(P2016-34233A)
(43)【公開日】2016年3月17日
(54)【発明の名称】河川用柵
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20160219BHJP
【FI】
   A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-157396(P2014-157396)
(22)【出願日】2014年8月1日
(71)【出願人】
【識別番号】304053946
【氏名又は名称】株式会社キャムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100158768
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 達也
(72)【発明者】
【氏名】太田 雅章
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BB27
2B121EA21
2B121FA12
2B121FA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】柵に停留する流木等を確実且つ迅速に下流に流すことができる河川用柵を提供する。
【解決手段】河川の両側に設けられた一対の支柱Bまたは固定部に支持される柵上部2と、当該柵上部に結合する複数の縦部材3と、当該複数の縦部材と共に格子を形成する複数の横部材4と、当該複数の横部材それぞれに沿って設けられ、上記格子の各格子点において上記複数の縦部材と上記複数の横部材とを結合する複数のロープ5と、を備え、上記複数のロープを引き抜くことで、上記複数の縦部材と上記複数の横部材との結合が解除されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川の両側に設けられた一対の支柱または固定部に支持される柵上部と、
当該柵上部に結合する複数の縦部材と、
当該複数の縦部材と共に格子を形成する複数の横部材と、
当該複数の横部材それぞれに沿って設けられ、上記格子の各格子点において上記複数の縦部材と上記複数の横部材とを結合する複数のロープと、
を備え、
上記複数のロープを引き抜くことで、上記複数の縦部材と上記複数の横部材との結合が解除される
ことを特徴とする河川用柵。
【請求項2】
上記複数の縦部材と上記複数の横部材のそれぞれは、チェーン片を直列に繋げたチェーンである
ことを特徴とする請求項1に記載の河川用柵。
【請求項3】
上記複数の横部材のそれぞれは、上記格子点それぞれの位置に対応する個所に、さらに結合用チェーン片を有し、
当該結合用チェーン片に、上記複数の縦部材の上記格子点それぞれの位置に対応する個所のチェーン片を挿入し、
さらに、上記結合用チェーン片に上記複数のロープのそれぞれを挿入した
ことを特徴とする請求項2に記載の河川用柵。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、河川または水路(以下、河川と言う)に設置される獣害防止柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
山林に生育するイノシシ等の大型獣が、気候変化等の影響により山から下り、山間部の田畑に入り込み、水稲や果樹を食い荒らす等の被害が増加している。こういった農家への被害を防止するために、獣害防止柵が設置されている。
【0003】
河川に獣害防止柵を設置する場合、地上用の柵とは異なり、完全固定式の柵は使用できない。大雨や台風の際には、河川の水嵩が増し、川底に沈下していた流木等が流れ出し、柵に留まることで、河川の流れを堰き止める惧れがあるからである。
【0004】
そこで、河川の両岸にまたがって架設された吊線から複数のチェーンを河川に垂らし、チェーンに電気を流す電柵が提案されている。
また、河川の両岸に一対の支柱を設け、この一対の支柱間に架け渡した本管を回転軸として回転する獣害防止柵も提案されている。流木等が流れてきた際には、その流木等の圧力により柵が回転して開くことで、流木等が柵に留まることを防止できる(例えば、特許文献1)。
【0005】
さらに、河川の両側に対向立設した支柱または固定部に主吊線を張架し、この主吊線に結合または支持された網を張設し、この網は線状部材により形成された網目形状を有しており、網目を構成する縦部材と横部材の結合点または部材の任意の結合点が、結合または仮結合の二種類の結合状態からなり、仮結合部が相応の外力により分離する獣害防止柵が本願の発明者により提案されている。(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−66496
【特許文献2】特開2013−212099
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チェーンに電気を流す電柵は一種の心理柵として一定の効果があるものの、害獣が空腹時や興奮状態にある場合、また、電気柵においては機器の管理や河床に繁茂する植生の伐採管理が不十分で電圧降下が生じているような場合には、これらの柵を越えて侵入したり、河川の護岸斜面を駆け上り侵入したりすることが多々あり、十分な侵入防止効果が得られていない状況がある。
【0008】
また、特許文献1に開示された回転式の柵の場合、大型獣が侵入できないように、ある程度大きなトルクを与えないと回転しないようにすることが必要である。一方で、流されてくる流木等により生じるトルクによって、確実に柵が回転して開き、流木が留まらないようにすることが同時に必要となる。しかしながら、この二つの条件を同時に満足するように柵の回転モーメントを設計することは容易では無い。
【0009】
なぜなら、大型獣が侵入しようとする通常時においては、河川の水嵩は低く、大型獣は川底を歩きながら、柵の下部を押す。したがって、回転軸から最も離れた柵の下端付近が押されるので、大きな回転トルクが発生する。一方、流木が流される時は、大雨等により河川の水嵩が増した時であり、水面付近を流れる流木は、回転軸に近い部分に圧力を掛けるので、それによる回転トルクは相対的に小さくなる。このように、大型獣が侵入しようとする際の回転トルクは大きくなる一方で、流木等による回転トルクは相対的に小さくなるため、設計が困難である。さらに、流木が柵に留まらずに下流に流されるためには、柵は水嵩が増した水面まで大きく開くことが必要になるので、設計はさらに困難になる。
【0010】
特許文献2に開示された仮結合部が相応の外力により分離する柵の場合、このような設計の困難さは生じず、大型獣による侵入を防ぎ、且つ流木等により柵の一部を崩壊させ、流木を確実に下流に流すことが容易である。ただし、柵が崩壊した後に、柵を再構築するのに、やや手間が生じるという問題がある。
【0011】
また、大雨や台風時には、人が河川に流される事態がしばしば起こりうる。このような際に、河川に柵が設置されていれば、流された人が柵に掴まり救助を待つことが可能である。しかし、電柵や特許文献1に示された回転式の柵、あるいは特許文献2に示された仮結合部が相応の外力により分離する柵の場合、いずれも固定式の柵ではないため不安定であり、人が柵の一部に掴まり救助を長く待つことは難しい。電柵の場合には、電気ショックも加わるため、一層困難である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る河川用柵は、
河川の両側に設けられた一対の支柱または固定部に支持される柵上部と、
当該柵上部に結合する複数の縦部材と、
当該複数の縦部材と共に格子を形成する複数の横部材と、
当該複数の横部材それぞれに沿って設けられ、上記格子の各格子点において上記複数の縦部材と上記複数の横部材とを結合する複数のロープと、
を備え、
上記複数のロープを引き抜くことで、上記複数の縦部材と上記複数の横部材との結合が解除される
ことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2に係る河川用柵は、
上記複数の縦部材と上記複数の横部材のそれぞれが、チェーン片を直列に繋げたチェーンである
ことを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3に係る河川用柵は、
上記複数の横部材のそれぞれが、上記格子点それぞれの位置に対応する個所に、さらに結合用チェーン片を有し、
当該結合用チェーン片に、上記複数の縦部材の上記格子点それぞれの位置に対応する個所のチェーン片を挿入し、
さらに、上記結合用チェーン片に上記複数のロープのそれぞれを挿入した
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る河川用柵は上記のように構成されるため、柵に停留した流木等を確実に下流に流すことができる。そのため、河川を堰き止めることは無く、流域に大きな被害をもたらすことを防止できる。
この際に必要な柵下部の解体動作は容易なものであり、迅速に柵下部を解体して、停留物を下流に流すことができる。
【0016】
また、柵下部の解体を行うまでは、河川用柵はしっかりとした高い強度を持った安定した柵である。したがって、誤って河川に落ちて流された人が、しっかりと柵に掴まり救助を待つことができる。文字通りセーフティーネットとして機能する。
【0017】
そして、河川用柵の再構築が容易である。解体時に構成部品が破損することは無く、部品は繰り返し使用可能であり、再構築に際しては、簡単なはめ込み工程やロープを通す工程のみで済み、比較的短時間で再構築が行える。
【0018】
さらに、横部材に結合用チェーン片を設けることで、ロープを真っ直ぐに通すことが可能となり、したがって、ロープを引き抜く動作を、より確実且つ迅速に行うことができる。また、再構築もさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態に係る河川用柵を含む柵構成を表す正面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る河川用柵における縦部材と横部材の結合を説明するための図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る河川用柵の構成を表す正面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る河川用柵の別の構成を表す正面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る河川用柵の結合を解除する方法を説明するための図である。
図6】本発明の実施の形態に係る河川用柵の特長を説明するための図である。
図7】本発明の実施の形態に係る河川用柵の特長を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態.
本発明に係る河川用柵の構成等に関して、以下において、図面を用いて説明する。なお、以下の説明は本発明に関する良好な一例を開示するものであり、本発明が当該実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
まず、本発明に係る河川用柵の構成について詳述する。
図1は、河川用柵を含む柵構成を表す正面図である。河川の両岸には地上用の柵Aが設けられている。また、一対の支柱Bのそれぞれが両岸に設けられている。そして、河川内に河川用柵1が設置されている。河川用柵1は、柵上部2、複数の縦部材3、複数の横部材4、複数のロープ5等から構成されている。
【0022】
柵上部2は、河川の両側に立設された一対の支柱B、またはその他の固定部に支持され、張設されている。ここで固定部とは、例えば、河岸に打ち込まれたアンカー等である。
柵上部2は、例えば、柵の主吊線であり、ワイヤーロープやチェーンといった線状物である。あるいは、横に細長い網体や柵体状のものであっても良い。
【0023】
複数の縦部材3は、それぞれの一端が柵上部2に結合し、他端は川底に向かって垂れ下がっている。複数の縦部材3のそれぞれは、横方向にほぼ一定の間隔でもって、柵上部2に結合している。この結合は、係止、嵌めこみや溶接等、どのような方法でも良いが、十分な強度を持って、しっかりと結合していることが必要である。
縦部材3は、基本的に線状物であり、本実施の形態ではステンレス製のリンクチェーンを用いている。小判状のチェーン片を直列に繋げて長い線状のチェーンとしている。
【0024】
複数の横部材4は、上述の複数の縦部材3と共に格子(網目)を形成する。柵上部2に対して、柵下部を形成していると考えても良い。
横部材4も基本的に線状物であり、縦部材3と同様に、本実施の形態ではステンレス製のリンクチェーンを用いている。そして、上記格子の格子点それぞれの位置に対応する個所に、さらに結合用チェーン片4aを有している。この結合用チェーン片4aは、縦部材3と横部材4との結合を補助するためのチェーン片である。縦部材3と横部材4との結合構造については、図2を用いて説明する。
【0025】
図2は、縦部材3と横部材4との結合構造を異なる角度から見た図である。図2(a)は上から見た図であり、(b)は正面から見た図、そして(c)は側面から見た図である。
結合用チェーン片4aに、縦部材3の格子点それぞれの位置に対応する個所のチェーン片を挿入し、さらに、この結合用チェーン片4aにロープ5を挿入することで、縦部材3と横部材4との結合がしっかりと行われる。
【0026】
ここで、ロープ5は、例えばワイヤーロープであり、結合用チェーン片4aに挿入できる太さのワイヤーロープである。ロープ5は、複数の横部材それぞれに沿って設けられており、格子の各格子点において上記複数の縦部材3と上記複数の横部材4とをしっかりと結合する役割を持っている。
【0027】
次に、河川用柵1の全体構成に関して、図3を用いて改めて説明する。
河川の両側に立設された一対の支柱B、またはその他の固定部に支持された柵上部2に結合している複数の縦部材3と、それらに略直交する複数の横部材4とは、複数のロープ5を用いて各格子点で結合し、河川用柵1の柵下部を形成している。
複数の縦部材3のうちの、例えば、左右両端に位置する2本の縦部材3は、先端が川底に到達し、さらに、川底に横たわる程度の長さである。そして、川底に横たわっているチェーン片にアンカー6を挿入し、アンカー6を川底に打ち付けることで、柵下部全体を川底に固定できる。
また、複数のロープ5の両端は、ひとまとめにして、支柱Bやその他の固定物に括り付ける等の方法で固定されている。
【0028】
なお、柵下部全体をを川底に固定する方法に関しては、上述の方法以外に、図4で示すような方法を用いても良い。すなわち、両岸付近の川底に、紐通しを備えたアンカー7を打ち込み、このアンカー7の紐通しに下方のロープ5を通してから、このロープを支柱B等に固定するようにしても良い。
【0029】
次に図5を用いて、縦部材3と横部材4との結合を解除する方法について説明する。
まず、図3において、例えば、左岸の支柱等に固定されている複数のロープ5の結びを解く、あるいは切断することで、複数のロープ5左端の固定を開放する。
そして、右岸の支柱等に固定されている複数のロープ5の結びを解く、あるいは切断することで、複数のロープ5右端の固定も開放し、すべてのロープ5の右端を持って、図5に示すように引き上げる。
【0030】
こうすることで、複数のロープ5は、左側から順に、結合用チェーン片4aから抜けていく。すなわち、左側から順に、格子点における複数の縦部材3と複数の横部材4との結合が開放され、複数の縦部材3と複数の横部材4が形成していた格子、すなわち、柵下部はばらばらになっていく。そして、ロープ5を最後まで引き抜くと、すべての結合は開放され、複数の横部材4は、河川用柵1から離れて川底に沈み、暖簾状に垂れさがった複数の縦部材3が、水中を漂う状態になる。
【0031】
以上において説明した河川用柵の特長について、図6および図7を用いて説明する。
まず、図6において、(a)は大雨等が降る前の通常の状態を表しており、水嵩はわずかであり、河川用柵1の大部分は水面上にある。なお、図6の各図において、矢印は川の流れの方向を表しており、左から右への流れである。
大雨が降ると水嵩が増し、河川用柵1の半分以上が水面下になる(図6(b))。
【0032】
川の流れが激しくなり、川底に沈下していた流木やごみ等が流されて、河川用柵1まで運ばれ、そこに留まる(図6(c))。
流木やごみ等が河川用柵1に停留しだしたことを確認すると、図5において説明した方法で、直ちに複数の縦部材3と複数の横部材4との結合を開放する。複数の縦部材3と複数の横部材4とは完全にばらばらになるので、流木やごみ等は確実に下流に流されていく(図6(d))。
【0033】
このように、河川用柵1がほぼ完全にばらばらにできることが本発明の特長であり、これにより、確実に停留物を下流に流し、河川の堰き止めを防止できる。河川が堰き止められると、流域に甚大な被害をもたらすため、これを確実に防止できることが本発明の最大の特長である。
【0034】
なお、図3において、河川の両端近くの縦部材3のみをアンカー6により固定したのは、河川用柵1がほぼ完全にばらばらになるようにするためである。
また、図4の構成においては、河川の両端近くの縦部材3も含め、すべてのの縦部材3の固定を開放することができる。
【0035】
また、複数の縦部材3と複数の横部材4との結合を開放するまで、河川用柵1はしっかりとした高い強度を持った安定した柵である。したがって、誤って河川に落ちて流された人が、図7に示すように、しっかりと柵に掴まり救助を待つことができる。文字通りセーフティーネットとして機能することも本発明の大きな特長である。
【0036】
さらに、複数の縦部材3と複数の横部材4との結合を開放してばらばらになった河川用柵1を比較的簡単に再構成できることも、本発明のやはり大きな特長である。
大雨が通り過ぎ、水嵩が通常の状態に戻った後に、河川用柵1を再構築する。横部材4は重量物であるため、流されずに、河川柵1の河岸付近に留まっている。図3に示す構造になるように、横部材4の結合用チェーン片4aに縦部材3の対応する個所のチェーン片を挿入し、さらにロープ5を結合用チェーン片4aに挿入していくことで、簡単に再構築を行うことが可能である。
【0037】
なお、本発明のかかる河川用柵の構成は上述のような構成に限定されるものでは無い。
例えば、柵下部を川底に固定するために、図3および図4において、アンカー6や7を用いる方法を説明したが、アンカーを用いずに、例えば、左右両端に位置する2本の縦部材3の一端に重量物を設けても良い。
また、川幅が広い場合には、図3において、中央付近の縦部材3もアンカー6で固定しても良い。
【0038】
さらに、川幅が広い場合には、柵下部を左右2つに分離した構成としても良い。例えば、上述のように、中央付近の縦部材3もアンカー6で固定する。そして、ロープ5も河川の中央付近から左右において、別のロープとしてもよい。この場合、ロープ5の一端は、河川の中央付近にある。図4に示したアンカー7を河川の中央付近に打設し、このアンカー7の穴にロープ5の一端を通してから、左岸あるいは右岸において、ロープを固定すれば、大雨のときであっても、河岸上での操作だけで、ロープ5を引き抜き、縦部材3と横部材4の結合を開放できる。
【0039】
また、結合用チェーン片4aについては、必ずしも設ける必要は無い。格子点位置に対応する縦部材3のチェーン片と同じ格子点位置に対応する横部材4のチェーン片にロープ5を通す方法でも、縦部材3と横部材4との結合を行うことは可能である。
ただし、結合用チェーン片4aを設けることで、ロープ5を真っ直ぐに通すことが可能になるため、ロープ5を引き抜く際に、真っ直ぐに確実に引き抜くことができる。災害時において確実且つ迅速な対応が可能となる。また、結合用チェーン片4aを設けることで再構築も容易になるというメリットがある。
【0040】
なお、結合用チェーン片を横部材4に設けるのではなく、縦部材3に設けることも考えられる。しかし、縦部材3が小判状のチェーン片で構成されるチェーンである場合、縦部材3に設けた結合用チェーン片は水平方向(穴が上下方向)を向いてしまうため、ロープ5を真っ直ぐに通せないという問題が生じてしまう。そのため、本実施の形態においては、横部材4に結合用チェーン片4aを設けている。
【0041】
以下、本発明の特長についてまとめる。
本発明に係る河川用柵は上記のように構成されているので、以下のように多くの優れた特長を有する。
【0042】
第一に、柵に停留した流木等を確実に下流に流すことができる。そのため、河川を堰き止めることは無く、流域に大きな被害をもたらすことを防止できる。
この際に必要な柵下部の解体動作は容易なものであり、迅速に柵下部を解体して、停留物を下流に流すことができる。
【0043】
第二に、柵下部の解体を行うまでは、河川用柵はしっかりとした高い強度を持った安定した柵である。したがって、誤って河川に落ちて流された人が、しっかりと柵に掴まり救助を待つことができる。文字通りセーフティーネットとして機能する。
【0044】
第三に、河川用柵の再構築が容易である。解体時に構成部品が破損することは無く、部品は繰り返し使用可能であり、再構築に際しては、簡単なはめ込み工程やロープを通す工程のみであり、比較短時間で再構築が行える。
【0045】
第四に、横部材に結合用チェーン片を設けることで、ロープ5を真っ直ぐに通すことが可能となり、したがって、ロープを引き抜く動作を、より確実且つ迅速に行うことができる。また、再構築もさらに容易になる。
【符号の説明】
【0046】
1 河川用柵
2 柵上部
3 縦部材
4 横部材
5 ロープ
6、7 アンカー

A 地上用柵構造
B 支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7