特開2016-36650(P2016-36650A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-36650(P2016-36650A)
(43)【公開日】2016年3月22日
(54)【発明の名称】吸引チューブ
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20160222BHJP
【FI】
   A61B1/00 320A
   A61B1/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-163588(P2014-163588)
(22)【出願日】2014年8月11日
(71)【出願人】
【識別番号】509007702
【氏名又は名称】菊池 大輔
(71)【出願人】
【識別番号】392034746
【氏名又は名称】吉川化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】特許業務法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 大輔
(72)【発明者】
【氏名】安井 圭
(72)【発明者】
【氏名】久保寺 正洋
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161GG22
4C161JJ06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内視鏡挿入部に装着した状態では口腔から体腔内に挿入することができない大口径の吸引チューブにおいて、体腔内に挿入した状態で内視鏡挿入部先端を装着可能とし、装着した内視鏡により視野を確保しながら吸引作業を行えるようにして胃壁や腸壁などの誤吸引の防止を図りつつ、大きな食物残渣についても迅速に吸引することができる吸引チューブを提供する。
【解決手段】内視鏡挿入部を挿通可能な内径を有する可撓性チューブ1の先端側周壁外側に、内視鏡挿入部先端を内側に挿入して装着する内視鏡挿入部装着手段3を備え、前記内視鏡挿入部装着手段3は、前記可撓性チューブ1の周壁側に設けられた硬質のベース部31と、内部に流体を封入して膨張させることにより内視鏡挿入部先端を前記ベース部31側に押圧して保持する押圧保持部32とを有し、前記押圧保持部32には、前記流体を供給するための流体供給路4を接続して構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部を挿通可能な内径を有する可撓性チューブの先端側周壁外側に、内視鏡挿入部先端を内側に挿入して装着する内視鏡挿入部装着手段を備え、
前記内視鏡挿入部装着手段は、
前記可撓性チューブの周壁側に設けられた硬質のベース部と、
内部に流体を封入して膨張させることにより内視鏡挿入部先端を前記ベース部側に押圧して保持する押圧保持部とを有し、
前記押圧保持部には、前記流体を供給するための流体供給路が接続された、
吸引チューブ。
【請求項2】
ベース部の両側には、サイドガードが形成された、請求項1記載の吸引チューブ。
【請求項3】
ベース部の先端には、ストッパーが形成された、請求項1又は2記載の吸引チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、体腔内において内視鏡挿入部先端を装着可能とし、内視鏡による視野を確保できるようにして胃壁や腸壁などの誤吸引の防止を図りながら比較的大きな食物残渣でも迅速に吸引することができる吸引チューブに関するものである。
【背景技術】
【0002】
内視鏡を用いて胃内や腸内を観察したり、手術を行う場合、内視鏡の視野の確保や手術の際の作業領域の確保などのために、胃腸内に食物残渣などの異物が存在する場合には、これを胃腸内から体外に排出する必要がある。
通常、被験者は施術時に胃腸内における食物残渣が少なくなるようにするため、術前に食事制限を行うが、緊急手術などの場合には、事前の食事制限が行われていないから、胃腸内に大量の食物残渣が存在している場合がある。
このような場合には、手術に先立って胃腸内の食物残渣を取り除かなければならず、しかも、緊急を要する手術の場合には、素早く食物残渣を体外に排出する必要がある。
【0003】
従来より、体液や食物残渣等を吸引して体外に排出するための排水チャンネルを備えた内視鏡が存在する。しかしながら、内視鏡が備える排水チャンネルは、内視鏡挿入部内に形成されているため径が小さく、大きな食物残渣を吸引することができない。また、吸引可能な小さな食物残渣であっても、その量が多い場合には吸引に時間がかかるという問題もある。
【0004】
また、内視鏡挿入部に外付チャンネルを装着し、これを排水チャンネルとして利用することも従来より行われている。
しかしながら、外付けチャンネルは、内視鏡挿入部に装着した状態で体内に挿入されるため、内視鏡挿入部の実質的な外径が外付けチャンネル分だけ拡大することとなる。このため、外付けチャンネルを装着した状態の内視鏡挿入部が口腔内を通過して体腔内に挿入できるようにするために、外付けチャンネルの径の大きさは必然的に小さくならざるを得ない。したがって、外付けチャンネルを排水チャンネルとして利用する場合にも、大きな食物残渣を吸引することができず、また、吸引可能な大きさの食物残渣であっても、その量が多い場合には吸引に時間がかかるという問題がある。
【特許文献1】特開2002−143078号公報
【0005】
この点、大口径の吸引チューブを用いれば、大きな食物残渣を吸引することができ、また、大量の食物残渣を素早く吸引することができる。
しかしながら、大口径の吸引チューブを内視鏡挿入部に外付けチャンネルとして装着すると、内視鏡挿入部の実質的な外径が大幅に拡大してしまうので、口腔内を通過することができず、体腔内に挿入することができない。
また、内視鏡を用いずに大口径の吸引チューブのみで吸引を行うと、術者が吸引チューブによる吸引状態を視認できないので、手探りで吸引チューブの操作を行わなければならず、誤って胃壁や腸壁を吸引してしまうおそれがある。
したがって、大口径のチューブを用いて食物残渣の吸引を行う場合には、吸引状態を視認できるようにすることが要求される。
【特許文献2】特開2000−51222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、内視鏡挿入部に装着した状態では口腔から体腔内に挿入することができない大口径の吸引チューブにおいて、体腔内に挿入した状態で内視鏡挿入部先端を装着可能とし、装着した内視鏡により視野を確保しながら吸引作業を行えるようにして胃壁や腸壁などの誤吸引の防止を図りつつ、大きな食物残渣についても迅速に吸引することができる吸引チューブを得ることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の吸引チューブは、内視鏡挿入部を挿通可能な内径を有する可撓性チューブの先端側周壁外側に、内視鏡挿入部先端を内側に挿入して装着する内視鏡挿入部装着手段を備え、前記内視鏡挿入部装着手段は、前記可撓性チューブの周壁側に設けられた硬質のベース部と、内部に流体を封入して膨張させることにより内視鏡挿入部先端を前記ベース部側に押圧して保持する押圧保持部とを有し、前記押圧保持部には、前記流体を供給するための流体供給路を接続して構成する。
【0008】
前記可撓性チューブの内径は、装着する内視鏡の外径寸法に応じて適宜選択される。例えば、装着する内視鏡が経鼻内視鏡(外径6mm程度)である場合には7mm以上、経口内視鏡(外径10mm程度)である場合には11mm以上が好ましいが、内径を11mm以上としておけば一般的な外径サイズの経鼻内視鏡及び経口内視鏡の何れにも対応可能となる。
また、前記可撓性チューブの外径は、口腔を通過可能なサイズである20mm程度以下とする。
【0009】
前記内視鏡挿入部装着手段は、可撓性チューブの先端外側に内視鏡挿入部先端を装着するための手段であり、可撓性チューブの周壁側に設けられた硬質のベース部と、内視鏡挿入部先端を前記ベース部側に押圧して保持する押圧保持部とを有する。
【0010】
前記ベース部は、前記内視鏡挿入部装着手段の可撓性チューブ側に設けてあればよく、内視鏡挿入部装着手段の可撓性チューブ側を部分的に硬質に形成して設けたり、可撓性チューブの先端側周壁全体を硬質に形成したものの一部として設けることが考えられる。また、前記ベース部は、可撓性チューブの先端側周壁自体を硬質に形成したり、合成樹脂や硬質ゴム等の硬質素材で構成した部材を前記可撓性チューブ先端側に取り付けるなどして構成することができる。
【0011】
前記押圧保持部は、内部に流体を封入することで膨張可能な中空部を備えた部材の両端を可撓性チューブ先端側周壁外側に接続して環状又はアーチ状に設けることが考えられる。
前記押圧保持部に供給される流体としては、気体や液体、ゾルを用いることができる。
【0012】
前記流体を前記押圧保持部に供給する流体供給路は、前記可撓性チューブの周壁内部に前記押圧保持部に連通する中空路として設けたり、前記可撓性チューブとは別個の流体供給チューブを前記押圧保持部に接続して設けることが考えられる。
【0013】
前記ベース部の両側にはサイドガードを形成してもよく(請求項2)、また、先端にはストッパーを形成してもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、内視鏡挿入部を挿通可能な内径を有する可撓性チューブの先端側周壁外側に、内視鏡挿入部先端を内側に挿入して装着する内視鏡挿入部装着手段を備え、前記内視鏡挿入部装着手段は、前記可撓性チューブの周壁側に設けられた硬質のベース部と、内部に流体を封入して膨張させることにより内視鏡挿入部先端を前記ベース部側に押圧して保持する押圧保持部とを有し、前記押圧保持部には、前記流体を供給するための流体供給路を接続したので、体腔内において前記ベース部と前記押圧保持部との間に形成される空間に内視鏡挿入部先端を挿入し、その状態で押圧保持部に流体を封入して膨張させることにより、内視鏡挿入部先端を前記ベース部側に押圧して保持することができる。
すなわち、体腔内において可撓性チューブ先端に内視鏡挿入部先端を装着することができるので、内視鏡挿入部に装着した状態では体腔内に挿入することのできない大口径の吸引チューブであっても、内視鏡の外付け排水チャンネルとして用いることができる。
そして、この吸引チューブに装着された内視鏡を用いて吸引状態を視認しながら食物残渣の吸引を行うことができるので、吸引作業時に適切に吸引チューブを操作することが可能となり、胃壁や腸壁を誤って吸引してしまうことを防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、ベース部の両側にサイドガードを形成したので、前記押圧保持部による内視鏡挿入部先端の押圧保持状態において、内視鏡挿入部先端の側方がサイドガードによってガードされる。すなわち、可撓性チューブ先端部に内視鏡挿入部先端をしっかりと装着することができるので、装着された内視鏡挿入部先端の向きの変更操作をした場合に、吸引チューブの先端部を内視鏡挿入部先端の動きに追随させることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、ベース部の先端にストッパーを形成したので、内視鏡挿入部先端を可撓性チューブ先端に装着する際、内視鏡挿入部先端を前記ストッパーと当接させることで、内視鏡挿入部装着手段に対する内視鏡挿入部先端の軸方向における装着位置の位置決めを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の実施例の概要を示す図
図2】同じく先端表側の拡大斜視図
図3】同じく先端裏側の拡大斜視図
図4】同じく内視鏡挿入部を装着した状態を示す図
図5】同じく内視鏡挿入部の未装着状態/装着状態を説明する軸方向断面図
図6】同じく内視鏡挿入部の未装着状態/装着状態を説明する径方向断面図
図7】同じく可撓性チューブ1の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
可撓性チューブ1は、可撓性を有する合成樹脂素材で、内径約8mm、外径約10mm、長さ約50cmに形成されている。
この可撓性チューブ1の一端には、硬質の合成樹脂で形成された筒状部材が取り付けられ、可撓性チューブ1と一体化して可撓性チューブ1の先端部2をなしている。そして、この先端部2の先端側には可撓性チューブ1と略同径の筒状の吸引口21が形成されている。
【0019】
この先端部2の上部外側には、内視鏡挿入部Sの先端を装着する内視鏡挿入部装着手段3が設けられている。この内視鏡挿入部装着手段3は、可撓性チューブ先端部2の上部上側に形成されたベース部31と、このベース部31にアーチ状に取り付けられた押圧保持部32とを備えている。
【0020】
ベース部31は、内視鏡挿入部先端装着時に内視鏡挿入部Sの受け部となる部分であり、内視鏡挿入部Sの先端外周面が当接可能な曲面で構成された載置面31aを備え、その両側には、装着された内視鏡挿入部Sの先端が径方向に動かないようサイドガード部31b,31bが形成されている。このサイドガード31b,31bの高さは、内視鏡挿入部Sの半径程度の高さとしてある。
また、ベース部31の先端側には内視鏡挿入部の先端面が当接されるストッパー31cが形成されている。このストッパー31cは、ベース部31の載置面31aから1mm程度の高さとしてある。
【0021】
押圧保持部32は、柔軟性を備えた非伸縮性シート32aを外側に、柔軟性を備えた伸縮性シート32bを内側(可撓性チューブ1側)にして重ね合わせ、中央が中空部32cとなるようにして周側がシールされた帯状の部材であり、ベース部31と押圧保持部32との間に内視鏡挿入部Sの先端を挿入可能な空間を形成しつつ、その両端をベース部31のサイドガード31b,31bの外側に接着などにより取り付けてある。
【0022】
そして、この押圧保持部32には、図示しない流体給排器に接続され、中空部32c内に流体を出し入れする流体供給路4が接続されている。
本実施例において、この流体供給路4は可撓性チューブ1の周壁内に中空路として形成されているが、可撓性チューブ1から独立した別体のチューブとして押圧保持部32の中空部32cに接続してもよい。
この流体供給路4を介して中空部32cに流体を供給することにより押圧保持部32を膨張させることができ、また、外部に流体を排出することにより押圧保持部32を収縮させることができる。
【0023】
ベース部31と押圧保持部32との間に形成される空間は、中空部32c内に流体が封入されていない状態において内視鏡挿入部Sの先端の挿脱が可能であり、中空部32c内に流体が封入され膨張した状態において挿入された内視鏡挿入部Sの先端を押圧保持することが可能なサイズとしてある。
【0024】
押圧保持部32は、中空部32c内に流体を注入すると、外側方向への膨張が非伸縮性シート32aによって規制されつつ伸縮性シート32bが伸張し、ベース部31側方向に膨張する。これにより、ベース部31と押圧保持部32との間に形成される空間内に挿入された内視鏡挿入部Sをベース部31側に押圧して保持することが可能となる(図5,6参照)。
【0025】
サイドガード31b,31bの前後縁は、体腔内に挿入する際にスムーズに挿入できるようにするために、曲線状に構成されている。
さらに、先端部2の下部周壁には吸引口21の閉塞を防止するための閉塞防止孔22が形成されている。
【0026】
この実施例においては、内視鏡挿入部Sの先端面が吸引口21よりも10mm〜15mm程度後退した位置に来るように内視鏡挿入部先端が装着されているため、吸引口21の端部が僅かに内視鏡の視野内に入るので、装着された内視鏡を用いて吸引口21の位置を確実に把握しながら吸引作業を行うことができる。
【0027】
図中符号5は補助装着手段である。この補助装着手段5は、柔軟性を備えた帯状の非伸縮性シート素材の両端を可撓性チューブ1の先端側からやや距離を置いた位置(本実施例では、押圧保持部32の後端から80mm程度の位置)の周壁外側に接着などによって取り付け、内視鏡挿入部Sを挿脱可能な空間を備えたアーチ状に設けてある。
【0028】
以下、この発明の吸引チューブに内視鏡挿入部先端を装着する方法を説明する。
まず、可撓性チューブ1内に経鼻内視鏡挿入部Sを挿入し、経鼻内視鏡挿入部Sとともに可撓性チューブ1を被検者の口腔から体内に挿入する。このとき、可撓性チューブ先端部2に設けられた内視鏡挿入部装着手段3の押圧保持部32及び補助装着手段5は、何れも柔軟性素材から形成されているので咽喉を通過する際に適宜変形し、また、可撓性チューブ1は、チューブ内に挿入された経鼻内視鏡挿入部Sが芯材のように機能するので腰折れすることなくスムーズに口腔から体内に挿入することができる。
可撓性チューブ1が咽喉を通過し体内への挿入が完了したら、経鼻内視鏡挿入部Sを可撓性チューブ1から抜去して体内から一旦取り出す。
【0029】
次いで、抜去した経鼻内視鏡挿入部Sを、通常の用法に従って鼻腔又は口腔から体内に挿入する。そして、経鼻内視鏡により得られる映像を確認しながら、体内に挿入された可撓性チューブ1の補助装着手段5内を通し、経鼻内視鏡挿入部Sを先端部2の近傍まで到達させ、可撓性チューブ1の先端部2に内視鏡挿入部Sの先端を装着する準備を整える。
すなわち、内視鏡挿入部装着手段3の押圧保持部32に接続された流体供給路4から図示しない流体給排器を用いて空気を徐々に注入し、押圧保持部32が内視鏡挿入部を挿入できる程度のアーチ状に展開した状態となるように膨張させる。
押圧保持部32の準備が整ったら、内視鏡挿入部Sの先端を内視鏡挿入部装着手段3のベース部載置面31aとアーチ状に展開した押圧保持部32との間に形成された空間内に挿入し、ベース部31の先端に設けられたストッパー31cに内視鏡挿入部Sの先端面を当接させる。
【0030】
経鼻内視鏡挿入部Sの先端を内視鏡挿入部装着手段3の内側に挿入し、その先端面をストッパー31cに当接させて装着する位置を決めたら、流体給排器を用いて空気を押圧保持部32内にさらに供給する。押圧保持部32内への空気供給が開始されると、伸縮素材で形成された中空部32bがベース部31側に向かって膨張し、挿入された経鼻内視鏡挿入部Sの先端がベース部31側に押圧されて保持される(図5,6参照)。
【0031】
経鼻内視鏡挿入部S先端の押圧保持状態は、流体給排器による圧力調整などの公知の手段によって保たれるようにしてあるので、内視鏡挿入部装着手段3による装着状態が解除されることはない。しかも、内視鏡挿入部装着手段3のベース部31の両側には、サイドガード31b,31bを設けてあるので、装着された内視鏡挿入部先端の向きを変更操作しても内視鏡挿入部装着手段3による装着状態が緩むことはなく、また、可撓性チューブ1の先端部2が内視鏡挿入部先端の動きに追随して動くようにすることができる。
さらには、内視鏡挿入部Sを補助装着手段5内を通すことによって可撓性チューブ1と内視鏡挿入部Sの胴部とが仮止めされ、補助装着手段5から先端側において内視鏡挿入部Sと可撓性チューブ1とを概ね一纏めに束ねられているので、内視鏡挿入部先端操作時における可撓性チューブ1の追随性を一層高めることができる。
【0032】
以上の通り、この発明の吸引チューブを用いれば、可撓性チューブ1の先端に内視鏡挿入部Sが装着されているので、装着された内視鏡によって可撓性チューブ1の吸引口付近を視認しながら可撓性チューブ1の吸引操作を適切に行うことができる。
【0033】
この発明の吸引チューブによる吸引作業を終え、これを体外へ取り出す場合には、内視鏡挿入部装着手段3の押圧保持部32内の流体を流体供給路4を介して外部に排出する。これにより、押圧保持部32が収縮して経鼻内視鏡挿入部Sの先端の押圧保持状態が解除されるので、経鼻内視鏡挿入部Sと可撓性チューブ先端部2とが分離可能となり、それぞれ別々に体外に取り出すことができる。
【0034】
以上の通り、この発明の吸引チューブを用いれば、内視鏡挿入部Sに装着した状態では口腔から体内に挿入することができない大口径のチューブであっても、体内において内視鏡挿入部Sの先端を装着することができるので、装着した内視鏡により視野を確保しながら吸引作業を行えるようにして胃壁や腸壁などの誤吸引の防止を図りつつ、大きな食物残渣についても迅速に吸引することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、体内において内視鏡挿入部先端を装着することにより吸引作業時における視野を確保し、胃壁や腸壁などの誤吸引の防止を図りながら比較的大きな食物残渣でも迅速に吸引することができる吸引チューブに関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0036】
1 可撓性チューブ
2 先端部
21 吸引口
22 閉塞防止孔
3 内視鏡挿入部装着手段
31 ベース部
31a 載置面
31b サイドガード
31c ストッパー
32 押圧保持部
32a 非伸縮性シート
32b 伸縮性シート
32c 中空部
4 流体供給路
5 補助装着手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7