【解決手段】特定のアミノ酸配列を含むピルビル化されていない単離された髄膜炎菌血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチド、及び、それを含む免疫原性組成物。
髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、および髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートを含む、請求項19に記載の免疫原性組成物。
ポリペプチドが、配列番号44、配列番号49、配列番号55、配列番号66、配列番号68、配列番号71、配列番号76、配列番号77、配列番号80、配列番号81、および配列番号75からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の免疫原性組成物。
哺乳動物において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免疫応答を誘導する方法であって、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと、
a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、
b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、
c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、および
d)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲート
から選択される少なくとも1つのコンジュゲートとを含む、効果的な量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
哺乳動物において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cに対する殺菌性抗体を誘発する方法であって、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む、効果的な量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
ポリペプチドが、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項39に記載の方法。
哺乳動物において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yに対する殺菌性抗体を誘発する方法であって、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む、効果的な量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
ポリペプチドが、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項42に記載の方法。
哺乳動物において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する殺菌性抗体を誘発する方法であって、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと、
a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、
b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、
c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、および
d)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲート
から選択される少なくとも1つのコンジュゲートとを含む、効果的な量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
【発明を実施するための形態】
【0045】
別段の規定がない限り、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されるものに類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験において用いることができるが、適切な方法および材料が以下に記載される。材料、方法、および例は、例示的なものにすぎず、限定することを目的としたものではない。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、および他の文献は、参照することによってその全体が組み込まれる。
【0046】
定義
用語「抗原」は通常、同族抗体が選択的に結合し得る少なくとも1つのエピトープを含有する生体分子、通常はタンパク質、ペプチド、多糖、脂質、もしくはコンジュゲートを言うか、または場合によっては、動物内に注射もしくは吸収される組成物を含む、動物における抗体の産生もしくはT細胞の応答もしくはその両方を刺激し得る免疫原性物質を言う。免疫応答は、分子全体に対して、または分子の1つもしくは複数の様々な部分(例えば、エピトープまたはハプテン)に対して生じ得る。この用語は、個別の分子、または均質なもしくは異種の抗原性分子集団を言うために用いることができる。抗原は、抗体、T細胞受容体、または特異的な液性および/もしくは細胞性免疫の他のエレメントによって認識される。用語「抗原」には、すべての関連する抗原性エピトープが含まれる。所与の抗原のエピトープは、当技術分野において周知のあらゆる数のエピトープマッピング技術を用いて同定することができる。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、Vol.66(Glenn E.Morris編、1996)Humana Press、Totowa、N.J.を参照されたい。例えば、線状エピトープは、例えば、タンパク質分子の部分に対応する多数のペプチドを固体担体上で同時に合成し、ペプチドを担体に付着させたままペプチドと抗体とを反応させることによって決定することができる。このような技術は、当技術分野において知られており、例えば、参照することによってすべてその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,708,871号;Geysenら(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998〜4002;Geysenら(1986)Molec.Immunol.23:709〜715において記載されている。同様に、立体構造エピトープは、例えばX線結晶学および2次元核磁気共鳴などによってアミノ酸の空間的立体構造を決定することによって同定することができる。例えば、上記のEpitope Mapping Protocolsを参照されたい。さらに、本発明の目的では、「抗原」はまた、免疫学的応答を誘発する能力をタンパク質が維持する限りの、天然配列に対する修飾、例えば欠失、付加、および置換(通常は保存的な性質であるが、非保存的であり得る)を含むタンパク質を言うために用いることができる。これらの修飾は、部位特異的突然変異生成を介する、もしくは特定の合成手順を介する、もしくは遺伝子操作アプローチを介する、意図的なものであり得るか、または、抗原を産生する宿主の突然変異などを介する、偶発的なものであり得る。さらに、抗原は、微生物、例えば細菌から誘導することができるか、得ることができるか、もしくは単離することができるか、または生物全体であり得る。同様に、核酸免疫化の用途におけるような、抗原を発現するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドもまた、この定義に含まれる。合成抗原、例えば、ポリエピトープ、隣接エピトープ、および他の組換え抗原または合成によって誘導された抗原もまた含まれる(Bergmannら(1993)Eur.J.Immunol.23:2777 2781;Bergmannら(1996)J.Immunol.157:3242 3249;Suhrbier,A.(1997)Immunol.and Cell Biol.75:402 408;Gardnerら(1998)12th World AIDS Conference、Geneva、Switzerland、Jun.28〜Jul.3、1998を参照されたい)。
【0047】
用語「保存的な」アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の性質の類似性に基づいて行うことができる。例えば、非極性の(疎水性の)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれ、極性/中性のアミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれ、正に荷電した(塩基性の)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれ、負に荷電した(酸性の)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。一部の実施形態において、保存的なアミノ酸の変化は、ORF2086ポリペプチドの一次配列を改変するが、分子の機能は改変しない。これらの突然変異体を生成する場合、アミノ酸のハイドロパシー指標が考慮され得る。ポリペプチドへの相互作用性の生物学的機能の付与におけるハイドロパシーアミノ酸指標の重要性は、当技術分野において一般に理解されている(Kyte & Doolittle、1982、J.Mol.Biol.、157(1):105〜32)。特定のアミノ酸が、類似のハイドロパシー指標またはスコアを有する他のアミノ酸に置換され得、そして依然として類似の生物学的活性を有するポリペプチドを生じさせることが知られている。各アミノ酸は、疎水性および電荷の特徴に基づいてハイドロパシー指標を付与されている。これらの指標は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、スレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタメート(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパルテート(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、およびアルギニン(−4.5)である。
【0048】
アミノ酸残基の相対的なハイドロパシー特徴が、生じたポリペプチドの二次構造および三次構造を決定し、これが次に、ポリペプチドと他の分子、例えば酵素、基質、受容体、抗体、抗原などとの相互作用を規定すると考えられている。アミノ酸が、類似のハイドロパシー指標を有する別のアミノ酸によって置換され得、そして依然として機能的に同等なポリペプチドを得ることが、当技術分野において知られている。このような変化において、そのハイドロパシー指標が+/−2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、+/−1以内である置換が特に好ましく、+/−0.5以内である置換がさらに特に好ましい。
【0049】
保存的なアミノ酸の置換または挿入はまた、親水性に基づいて行うことができる。参照することによって本明細書に組み込まれる米国特許第4,554,101号において記載されているように、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配される、ポリペプチドの最大の局所的な平均親水性は、その免疫原性および抗原性と、すなわち、ポリペプチドの生物学的特性と相関する。米国特許第4,554,101号は、以下の親水性値がアミノ酸残基に付与されていることを挙げている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパルテート(+3.0±1)、グルタメート(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、プロリン(−0.5±1)、スレオニン(−0.4)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、トリプトファン(−3.4)。アミノ酸が、類似の親水性値を有する別のアミノ酸に置換され得、そして依然として生物学的に同等の、特に免疫学的に同等のポリペプチドを得ることが理解される。このような変化において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内である置換が特に好ましく、±0.5以内である置換がさらに特に好ましい。様々な前述の特徴を考慮する例示的な置換は、当業者に周知であり、限定はしないが、アルギニンおよびリジン、グルタメートおよびアスパルテート、セリンおよびスレオニン、グルタミンおよびアスパラギン、ならびにバリン、ロイシンおよびイソロイシンを含む。
【0050】
本明細書において用いられる用語「効果的な免疫原性量」は、脊椎動物宿主における免疫応答の誘発において効果的なポリペプチドまたはポリペプチド含む組成物の量を言う。例えば、本発明のrLP2086タンパク質の効果的な免疫原性量は、脊椎動物宿主における免疫応答の誘発において効果的な量である。特定の「効果的な免疫原性投与量または量」は、宿主の年齢、体重、および医学的状態、ならびに投与方法に応じる。適切な用量は、当業者によって容易に決定される。
【0051】
本明細書において用いられる用語「Gly/Serストーク」は、ORF2086によってコードされるタンパク質のN末端Cys残基のすぐ下流の一連のGly残基およびSer残基を言う。Gly/Serストークにおいて、5個と12個との間のGly残基およびSer残基が存在し得る。したがって、Gly/Serストークは、ORF2086によってコードされるタンパク質の2個から7個と13個との間までのアミノ酸からなる。好ましくは、Gly/Serストークは、ORF2086によってコードされるタンパク質の2個の、最大7個と13個との間のアミノ酸からなる。本発明のP2086変異体のGly/Serストークは、
図2(配列番号12〜21)における下線を引かれた配列によって表される。本明細書において示されるように、Gly/Serストークの長さは、非脂質化P2086変異体の安定性または発現レベルに影響し得る。例示的な実施形態において、Gly/Serストークの長さに対する影響の効果を、対応する野生型変異体の効果と比較する。
【0052】
用語「免疫原性の」は、抗原またはワクチンの、液性または細胞介在性またはその両方の免疫応答を誘発する能力を言う。
【0053】
それぞれが本明細書において区別せずに用いられる「免疫原性量」または「免疫学的に効果的な量」または「用量」は、通常、当業者に知られている標準的なアッセイによって測定される、細胞性(T細胞)応答または液性(B細胞または抗体)応答またはその両方の免疫応答を誘発するために十分な、抗原または免疫原性組成物の量を言う。
【0054】
用語「免疫原性組成物」は、抗原、例えば微生物、またはその成分を含有する、あらゆる医薬組成物に関連し、この組成物は、対象における免疫応答を誘発するために用いることができる。本発明の免疫原性組成物は、全身的な経皮経路または粘膜経路を介して免疫原性組成物を投与する手段によって、髄膜炎菌(N.meningidis)感染にかかりやすいヒトを治療するために用いることができる。これらの投与には、筋肉内経路(i.m.)腹腔内経路(i.P.)、皮内経路(i.d.)、もしくは皮下経路を介する注射、パッチもしくは他の経皮送達装置による塗布、または口道/消化管、気道、もしくは尿生殖路への経粘膜投与が含まれ得る。1つの実施形態において、免疫原性組成物は、ワクチンの製造において、または対象を受動的に防御もしくは治療するために用いることができるポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体の誘発において用いることができる。
【0055】
特定の免疫原性組成物のための成分の最適な量は、対象における適切な免疫応答の観察を伴う標準的な研究によって確認することができる。初回ワクチン接種の後、対象に、適切に間隔をあけた1回または複数回の追加免疫化を行うことができる。
【0056】
用語「単離された」は、材料が、その本来の環境(例えば、それが天然である場合には天然の環境、またはそれが組換え物である場合にはその宿主生物、または1つの環境から異なる環境へ移される)から取り出されることを意味する。例えば、「単離された」タンパク質またはペプチドは、細胞材料、またはタンパク質が由来する元である細胞源もしくは組織源からの他の汚染タンパク質を実質的に有さないか、あるいは、化学的に合成された場合の、または化学物質反応の一部として混合物内に別の形で存在する、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に有さない。本発明において、タンパク質は、細菌細胞から、または細胞残屑から単離することができ、その結果、タンパク質は、免疫原性組成物の製造において有用な形態で提供される。用語「単離された」または「単離すること」は、本明細書において記載されるようなタンパク質の精製方法を例えば含む、精製することまたは精製を含み得る。表現「細胞材料を実質的に有さない」は、ポリペプチドまたはタンパク質が、それが単離されたかまたは組換えによって産生された元である細胞の細胞成分から分離されている、ポリペプチドまたはタンパク質の調製物を含む。したがって、細胞材料を実質的に有さないタンパク質またはペプチドは、約30%、20%、10%、5%、2.5%、または1%(乾燥重量)未満の汚染タンパク質または多糖または他の細胞材料を有する、莢膜多糖、タンパク質、またはペプチドの調製物を含む。ポリペプチド/タンパク質が組換えによって産生される場合、これは好ましくは、培養培地を実質的に有さず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容積の約20%、10%、または5%未満に相当する。ポリペプチドまたはタンパク質が化学合成によって産生される場合、これは好ましくは、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に有さず、すなわち、これは、タンパク質または多糖の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離されている。したがって、ポリペプチドまたはタンパク質のこのような調製物は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量)未満の化学的前駆体または目的のポリペプチド/タンパク質もしくは多糖断片以外の化合物を有する。
【0057】
本明細書において用いられる用語「N末端尾部」は、タンパク質を細胞膜に付着させる、ORF2086によってコードされるタンパク質のN末端部分を言う。N末端尾部は、
図3における側面図の構造の最下部に示されている。N末端尾部は、典型的には、ORF2086によってコードされるタンパク質のN末端の16個のアミノ酸を含む。一部の実施形態において、N末端尾部は、配列番号12〜21のいずれか1つの、アミノ酸1〜16である。本明細書において用いられる用語「ORF2086」は、ナイセリア属(Neisseria)種の細菌に由来するオープンリーディングフレーム2086を言う。ナイセリア属(Neisseria)ORF2086、それからコードされるタンパク質、これらのタンパク質の断片、およびこれらのタンパク質を含む免疫原性組成物は、当技術分野において知られており、例えば、そのそれぞれが参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、WO2003/063766および米国特許出願公開第US20060257413号および米国特許出願公開第US20090202593号において記載されている。
【0058】
用語「P2086」は通常、ORF2086によってコードされるタンパク質を言う。「2086」の前の「P」は、「タンパク質」の略である。本発明のP2086タンパク質は、脂質化されていても脂質化されていなくてもよい。「LP2086」および「P2086」は、典型的には、それぞれ、脂質化形態および非脂質化形態の2086タンパク質を言う。本発明のP2086タンパク質は、組換えであり得る。「rLP2086」および「rP2086」は、典型的には、それぞれ、脂質化形態および非脂質化形態の組換え2086タンパク質を言う。「2086」はまた、因子Hに結合するその能力に起因して、因子H結合タンパク質(fHBP)として知られている。
【0059】
本明細書において用いられる用語「薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤および/または担体」は、ヒト宿主または他の脊椎動物宿主への投与に適合する、あらゆるおよびすべての溶媒、分散媒質、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含むものである。典型的には、薬学的に許容できる希釈剤、賦形剤および/または担体は、連邦規制当局、州政府、もしくは他の規制当局によって認可されている、または、米国薬局方もしくは他の一般的に認識されている薬局方においてヒトおよび非ヒト哺乳動物を含む動物における使用について列挙されている希釈剤、賦形剤および/または担体である。用語「希釈剤」、「賦形剤」および/または「担体」は、医薬組成物がそれと共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、または媒体を言う。このような薬学的希釈剤、賦形剤および/または担体は、無菌の液体、例えば水および油であり得、油には、石油、動物油、植物油、または合成由来の油が含まれる。水、生理食塩水溶液、ならびに水性デキストロース溶液およびグリセロール溶液を、液体希釈剤、賦形剤および/または担体として、特に、注射可能な溶液に、採用することができる。適切な薬学的希釈剤および/または賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物はまた、必要に応じて、少量の湿潤剤、充填剤、乳化剤、またはpH緩衝剤を含有し得る。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、持続放出製剤などの形態をとり得る。適切な薬学的希釈剤、賦形剤および/または担体の例は、E.W.Martinによる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」において記載されている。製剤は、投与態様に適しているべきである。適切な希釈剤、賦形剤および/または担体は、当業者に明らかとなり、投与経路に大きく依存する。
【0060】
「保存的な」免疫応答は、対象を感染から防御する働きをする、免疫原性組成物の、液性または細胞介在性の免疫応答を誘発する能力を言う。もたらされる防御は、完全なものである必要はなく、すなわち、感染は、例えばワクチンまたは免疫原性組成物を投与されていない感染動物である対照の対象集団と比較して統計的に有意な向上があれば、完全に予防または根絶される必要はない。防御は、感染の症候の重症度または発病の速さを緩和することに限定することができる。通常、「防御性免疫応答」は、各抗原に対するある程度のレベルの測定可能な機能的抗体応答を含む、対象の少なくとも50%における特定の抗原に特異的な抗体レベルの増大の誘発を含む。特定の状況において、「防御性免疫応答」は、各抗原に対するある程度のレベルの測定可能な機能的抗体応答を含む、対象の少なくとも50%における特定の抗原に特異的な抗体レベルの2倍の増大または抗体レベルの4倍の増大の誘発を含み得る。特定の実施形態において、オプソニン化抗体は、防御性免疫応答と相関する。したがって、防御性免疫応答は、血清殺菌活性(SBA)アッセイまたはオプソニン化貪食作用アッセイ、例えば以下に記載されているアッセイにおいて、細菌数の減少パーセントを測定することによってアッセイすることができる。このようなアッセイはまた、当技術分野において知られている。髄膜炎菌ワクチンでは、例えば、SBAアッセイは、防御についての確立された代替手段である。一部の実施形態において、免疫原性組成物の不存在下での細菌数と比較して、少なくとも10%、25%、50%、65%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上の細菌数の減少がある。
【0061】
用語「タンパク質」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーを言い、最短の生成物に限定されない。したがって、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体などは、この定義に含まれる。完全長タンパク質およびその断片の両方は、この定義によって包含される。この用語はまた、好ましくはタンパク質が、タンパク質が投与される動物内で免疫学的応答を誘発する能力を維持するような、天然配列に対する修飾、例えば欠失、付加、および置換(通常は保存的な性質であるが、非保存的であり得る)を含む。また、発現後の修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、脂質化、リン酸化などが含まれる。
【0062】
また、開示されたポリヌクレオチドおよびポリペプチドの活性変異体および断片も本明細書中に記載されている。「変異体」とは実質的に類似の配列をいう。本明細書中で使用する「変異体ポリペプチド」とは、天然タンパク質のN末端および/またはC末端での1つまたは複数のアミノ酸の修飾によって天然タンパク質から誘導されるポリペプチドをいう。修飾には、天然タンパク質のN末端および/もしくはC末端での1つもしくは複数のアミノ酸の欠失(いわゆる切断)、天然タンパク質中の1つもしくは複数の内部部位での1つもしくは複数のアミノ酸の欠失および/もしくは付加、または天然タンパク質中の1つもしくは複数の部位での1つもしくは複数のアミノ酸の置換が含まれ得る。変異体ポリペプチドは天然ポリペプチドの所望の生物活性を保有し続ける、すなわちこれらは免疫原性である。本明細書中に開示されているポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の変異体(すなわち配列番号1〜25または39)は、典型的には、参照配列に対して少なくとも約65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより高い配列同一性を有する。
【0063】
用語「断片」とは、指定された数の連続したアミノ酸またはヌクレオチド残基を含む、アミノ酸またはヌクレオチド配列の一部分をいう。特定の実施形態において、本明細書中に開示されているポリペプチドの断片は完全長ポリペプチドの生物活性を保持し、それゆえ免疫原性であり得る。ポリヌクレオチドの断片は、タンパク質の生物活性を保持するタンパク質断片をコードしており、それゆえ免疫原性であり得る。あるいは、PCRプライマーとして有用なポリヌクレオチドの断片は、一般に生物活性を保持しない。したがって、本明細書中に開示されているヌクレオチド配列の断片は、少なくとも約15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、175、200、225、250、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、もしくは1500個までの連続したヌクレオチド、または完全長ポリヌクレオチドまでの範囲であり得る。本明細書中に開示されているポリペプチド配列の断片は、少なくとも10、15、20、25、30、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、225、250、275、300、400、425、450、475、もしくは500個の連続したアミノ酸、または完全長ポリペプチド中に存在するアミノ酸の合計数までを含み得る。
【0064】
本明細書において用いられる用語「組換えの」は、遺伝子操作方法によって産生される、目的の遺伝子を発現するあらゆるタンパク質、ポリペプチド、または細胞を言う。タンパク質またはポリペプチドに関して用いられる用語「組換えの」は、組換えポリヌクレオチドの発現によって産生されるポリペプチドを意味する。本発明のタンパク質は、天然源から単離され得るか、または遺伝子操作方法によって産生され得る。本明細書において用いられる「組換えの」は、さらに、その由来源または操作のおかげで、それが天然で関連するポリヌクレオチドのすべてまたは一部と関連していない、核酸分子を記載する。宿主細胞に関して用いられる用語「組換えの」は、組換えポリヌクレオチドを含む宿主細胞を意味する。
【0065】
用語「対象」は、哺乳動物、鳥類、魚類、爬虫類、またはあらゆる他の動物を言う。用語「対象」はまた、ヒトを含む。用語「対象」はまた、ペットを含む。ペットの非限定的な例には、犬、猫、豚、ウサギ、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、モルモット、フェレット、鳥、ヘビ、トカゲ、魚、亀、およびカエルが含まれる。用語「対象」はまた、家畜動物を含む。家畜動物の非限定的な例には、アルパカ、バイソン、ラクダ、牛、鹿、豚、馬、ラマ、ラバ、ロバ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、トナカイ、ヤク、ニワトリ、ガチョウ、および七面鳥が含まれる。
【0066】
本明細書において用いられる用語「哺乳動物」は、あらゆる哺乳動物、例えば、ヒト、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類を言う。好ましい実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0067】
用語「ワクチン」または「ワクチン組成物」は、区別せずに用いられ、対象における免疫応答を誘発する少なくとも1つの免疫原性組成物を含む医薬組成物を言う。
【0068】
概説
本発明はまた、これまでに同定されていない、非脂質化P2086変異体を発現させる困難性を同定し、これらの困難性を克服するための方法およびそれから得られる新規な組成物を提供する。非脂質化P2086変異体をコードするプラスミド構築物は、非脂質化変異体の強力な発現をもたらしたが、これらの変異体は、N末端Cys上でピルビル化されていた。ピルビル化は、ポリペプチドの製造の一貫性または均一性の可能性を阻害するかまたは低減させる。本発明者らはさらに、非脂質化P2086変異体の配列からのN末端Cysの欠失によって、非脂質化P2086変異体のピルビル化が避けられることを見出した。N末端Cysのコドンの欠失によってピルビル化を克服しようと試みることによって、発現が無効になるか、または不溶性の変異体の発現が低減した。あるいは、非脂質化P2086変異体からのN末端Cysの除去によって、一部の変異体における発現が減少した。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、少なくともピルビル化されていない非脂質化A05変異体、A12変異体、A22変異体、A62変異体、B01変異体、B09変異体、B22変異体、およびB44変異体が、N末端Cys残基が欠失しているにも関わらず発現され得ることを発見した。全体として、これらのポリペプチドは、対応する野生型の非脂質化配列と比較してCys欠失以外のさらなる修飾がなくても発現され得た。例えば、実施例2および4を参照されたい。さらに、本発明者らは、ピルビル化されていない非脂質化変異体が驚くべきことに免疫原性であり、これらが殺菌性抗体を予想外に誘発することを発見した。
【0069】
したがって、本発明は、非脂質化変異体の発現におけるこれらの困難性の可能性を克服するかまたは低減させるための2つの方法を提供する。しかし、さらなる方法が、本発明によって検討される。第1の方法は、N末端Cysのすぐ下流の、N末端尾部におけるGly/Serストークの長さを変化させることであった。第2の方法は、N末端尾部内でのコドンの最適化であった。しかし、さらなるコドンの最適化が、本発明によって検討される。これらの方法は、可溶性の非脂質化P2086変異体の発現を増強させた。例えば、1つの実施形態において、可溶性の非脂質化P2086変異体の増強した発現は、対応する野生型の非脂質化変異体の発現と比較したものである。
【0070】
単離されたポリペプチド
本発明者らは、驚くべきことに、単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを発見した。本発明者らはさらに、このポリペプチドが、予想外に免疫原性であり、殺菌性の免疫応答を誘発し得ることを発見した。
【0071】
本明細書において用いられる場合、用語「ピルビル化されていない」は、ピルベート含有物を有さないポリペプチドを言う。ピルベート含有物を有する非脂質化ORF2086ポリペプチドは、典型的には、対応する野生型ポリペプチドと比較して+70の質量シフトを示した。1つの実施形態において、本発明のポリペプチドは、質量分析によって測定すると、対応する野生型の非脂質化ポリペプチドと比較して+70の質量シフトを示さなかった。例えば、実施例10を参照されたい。
【0072】
別の実施形態において、単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドは、対応する野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドと比較して、N末端システイン残基の欠失を含む。用語「N末端システイン」は、ポリペプチドのN末端またはN末端尾部のシステイン(Cys)を言う。さらに具体的には、本明細書において用いられる「N末端システイン」は、当技術分野において知られているように、LP2086リポタンパク質がトリパルミトイル脂質尾部で脂質化されている、N末端システインを言う。例えば、配列番号12〜21のいずれか1つを参照配列として参照する場合、N末端システインは1位に位置する。別の例として、配列番号70を参照配列として参照する場合、N末端システインは1位に位置する。
【0073】
本明細書において用いられる用語「野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチド」または「野生型の非脂質化2086ポリペプチド」または「野生型の非脂質化ポリペプチド」は、天然で見られる対応する成熟した脂質化ORF2086ポリペプチドのアミノ酸配列に同一なアミノ酸配列を有するORF2086ポリペプチドを言う。非脂質化分子と脂質化分子との間の唯一の違いは、野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドが、N末端システインで、トリパルミトイル脂質尾部で脂質化されていないことである。
【0074】
当技術分野において知られているように、非脂質化2086形態は、本来のリーダー配列を欠くタンパク質によって、または宿主細胞における脂肪酸アシル化のための部位を特定しない配列部分で置き換えられているリーダー配列によって、産生される。例えば、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれるWO2003/063766を参照されたい。
【0075】
非脂質化ORF2086の例には、記載したばかりの野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドだけでなく、N末端Cysが欠失している、配列番号12〜21のうちの任意の1つに従ったアミノ酸配列を有するポリペプチド、およびN末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号12〜21のうちの任意の1つに記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドも含まれる。非脂質化ORF2086ポリペプチドの別の例には、N末端Cysが欠失している配列番号70に従ったアミノ酸配列を有するポリペプチド、およびN末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号70に従ったアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。非脂質化ORF2086ポリペプチドのさらなる例には、配列番号44(B44)、配列番号49(B09)、配列番号55(A05)、配列番号57(B01)、配列番号58(B01)、配列番号62(B22)、配列番号64(A22)、および配列番号75(B22)から選択されるアミノ酸配列が含まれる。非脂質化ORF2086ポリペプチドのさらなる例には、配列番号66(A12)、配列番号68(A22)、および配列番号71(A62)から選択されるアミノ酸配列が含まれる。さらなる例には配列番号80(B24)および配列番号81(B24)が含まれる。非脂質化ORF2086ポリペプチドのさらなる例には、配列番号76および配列番号77に記載のアミノ酸配列が含まれる。1つの実施形態において、非脂質化ポリペプチドは、対応する非脂質化ポリペプチドをコードする配列に少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、例示的な実施形態において、非脂質化A62ポリペプチドは、配列番号71に少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0076】
野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドの例には、
図2において示される配列番号12〜21、配列番号58、配列番号59、および配列番号60のいずれか1つに従ったアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドの別の例には、配列番号70に従ったアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。これらの例示的な野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドは、N末端Cysを含む。
【0077】
本明細書において用いられる場合、例えば、「非脂質化」B44ポリペプチドは、配列番号21、1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、および配列番号44から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「野生型の非脂質化」B44ポリペプチドは、配列番号21のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」B44ポリペプチドは、1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、および配列番号44から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0078】
別の例として、本明細書において用いられる場合、「非脂質化」B09ポリペプチドは、配列番号18、1位のN末端Cysが欠失している配列番号18、配列番号49、および配列番号50から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「野生型の非脂質化」B09ポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」B09は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号18、配列番号49、および配列番号50から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0079】
さらなる例として、本明細書において用いられる場合、「非脂質化」A05ポリペプチドは、配列番号13、1位のN末端Cysが欠失している配列番号13、および配列番号55から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「非脂質化」A05ポリペプチドの別の例には、1位のN末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号13から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。「非脂質化」A05ポリペプチドのさらなる例には、配列番号76に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。「非脂質化」A05ポリペプチドのさらに別の例には、配列番号77に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。「野生型の非脂質化」A05は、配列番号13のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」A05は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号13、および配列番号55から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」A05のさらなる例には、1位のN末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号13、1位のCysが欠失している配列番号76、1位のCysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号76、および配列番号77から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
【0080】
本明細書中で使用する「非脂質化」A62ポリペプチドは、配列番号70、1位のN末端Cysが欠失している配列番号70、および配列番号71から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。非脂質化A62ポリペプチドの別の例には、1位のN末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号70を有するポリペプチドが含まれる。「野生型の非脂質化」A62ポリペプチドは、配列番号70のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」A62は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号70、および配列番号71から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。ピルビル化されていない非脂質化A62ポリペプチドの別の例には、1位のN末端CysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号70を有するポリペプチドが含まれる。好ましくは、「ピルビル化されていない非脂質化」A62は、配列番号71に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0081】
本明細書中で使用する「非脂質化」A12ポリペプチドは、配列番号14、1位のN末端Cysが欠失している配列番号14、および配列番号66から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「野生型の非脂質化」A12ポリペプチドは、配列番号14のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」A12は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号14、および配列番号66から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0082】
本明細書中で使用する「非脂質化」A22ポリペプチドは、配列番号15、1位のN末端Cysが欠失している配列番号15、配列番号64、および配列番号68から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「野生型の非脂質化」A22ポリペプチドは、配列番号15のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。「ピルビル化されていない非脂質化」A22は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号15、配列番号64、および配列番号68から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。好ましくは、「ピルビル化されていない非脂質化」A22は、配列番号68に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0083】
本明細書において用いられる、N末端Cysの「欠失」という用語は、野生型の非脂質化ポリペプチド配列と比較してN末端Cysを欠失させる突然変異を含む。例えば、N末端Cysの「欠失」は、参照配列からの、例えば対応する野生型配列からのアミノ酸Cysの除去を言い、これによって、参照配列と比較してアミノ酸残基が減少する。別段に記載しない限りは、用語「N末端Cys」、「1位のN末端Cys」、「1位のCys」は互換性がある。
【0084】
別の実施形態において、N末端Cysは、Cys残基ではないアミノ酸で置換されている。例えば、例示的な実施形態において、配列番号12〜21の1位のN末端Cysは、1位でのC→G置換を含む。例えば、配列番号19(B22野生型)と比較した配列番号62、および配列番号15(A22野生型)と比較した配列番号64を参照されたい。N末端Cysを置き換えるための例示的なアミノ酸には、あらゆる非Cysアミノ酸、好ましくは極性の非荷電アミノ酸、例えばグリシンが含まれる。好ましい実施形態において、置換は、Cysに対して非保存的な残基で行われる。
【0085】
本発明者らは、驚くべきことに、N末端Cys残基の欠失を有する非脂質化ORF2086ポリペプチドの発現によって、質量分析によって測定すると、対応する野生型の非脂質化ORF2086ポリペプチドと比較して、検出可能なピルビル化が生じないことを発見した。ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドの例には、1位のシステインが欠失している、配列番号12(A04)、配列番号13(A05)、配列番号14(A12)、配列番号15(A22)、配列番号16(B02)、配列番号17(B03)、配列番号18(B09)、配列番号19(B22)、配列番号20(B24)、配列番号21(B44)、および配列番号70(A62)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するものが含まれる。ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドの別の例には、1位のシステインが欠失している配列番号58のアミノ酸配列を有するポリペプチド(B01)が含まれる。単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドのさらなる例には、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号55、配列番号66、配列番号68、配列番号71、および配列番号75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドのさらなる例には、配列番号57のアミノ酸配列を有するポリペプチド(B01)が含まれる。単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドの別の例には、配列番号77を有するポリペプチド(A05)、1位のCysが欠失している配列番号76を有するポリペプチド(A05)、および1位のCysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号76を有するポリペプチド(A05)が含まれる。ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドのさらなる例には、1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号12(A04)、配列番号13(A05)、配列番号14(A12)、配列番号15(A22)、配列番号58(B01)、配列番号16(B02)、配列番号17(B03)、配列番号18(B09)、配列番号19(B22)、配列番号20(B24)、配列番号21(B44)、および配列番号70(A62)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するものが含まれる。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化2086ポリペプチドは、少なくとも約250個、255個、または260個の連続的なアミノ酸、最大約270個、269個、268個、267個、266個、265個、264個、263個、260個、259個、258個、257個、256個、または255個の連続的なアミノ酸を含む。範囲を規定するために、あらゆる最小値をあらゆる最大値と組み合わせることができる。さらに好ましくは、ポリペプチドは、少なくとも254個または262個の連続的なアミノ酸を有する。一部の実施形態において、ポリペプチドは最大で262個の連続したアミノ酸を有する。他の実施形態において、ポリペプチドは最大で254個の連続したアミノ酸を有する。1つの実施形態において、ピルビル化されていない非脂質化ポリペプチドは、対応するピルビル化されていない非脂質化ポリペプチドをコードする配列に少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。例えば、例示的な実施形態において、ピルビル化されていない非脂質化A62ポリペプチドは、配列番号71に少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0086】
1つの実施形態において、単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドは、発現系に作動可能に連結したヌクレオチド配列によってコードされ、発現系は、細菌細胞において発現され得る。例示的な実施形態において、ヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列の発現を制御する調節配列に連結される。
【0087】
適切な発現系、調節配列、および細菌細胞は、当技術分野において知られている。例えば、ポリペプチドが細菌細胞において発現され得る限りにおいて、あらゆるプラスミド発現ベクター、例えばPET(商標)(Novogen、Madison Wis.)またはPMAL(商標)(New England Biolabs、Beverly、Mass.)を用いることができる。好ましくは、PET(商標)ベクターが、大腸菌(E.coli)における組換えタンパク質のクローニングおよび発現に用いられる。PET(商標)系において、クローニングされた遺伝子は、ファージT7プロモーターの制御下で発現され得る。例示的な細菌細胞には、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)および好ましくは大腸菌(E.coli)が含まれる。
【0088】
1つの態様において、本発明は、本プロセスによって得ることが可能なピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドに関する。ポリペプチドは、好ましくは単離されている。本発明はさらに、本プロセスによって得ることが可能なピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む組成物に関する。組成物は、好ましくは免疫原性組成物である。プロセスは、1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号58、および配列番号70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。別の実施形態において、プロセスは、1位のシステインが欠失している配列番号76のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。さらなる実施形態において、プロセスは、1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号58、および配列番号70からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。ヌクレオチド配列は、細菌細胞において発現され得る発現系に作動可能に連結している。
【0089】
1つの実施形態において、プロセスは、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号55、配列番号66、配列番号68、配列番号71、配列番号57、および配列番号75からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。別の実施形態において、プロセスは、配列番号77のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含む。別の実施形態において、ヌクレオチド配列は、配列番号43、配列番号51、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号45、配列番号54、配列番号65、配列番号67、配列番号69、および配列番号72からなる群から選択される。好ましくは、細菌細胞は大腸菌(E.coli)である。
【0090】
B09、B44、A05:1つの態様において、本発明は、配列番号49(B09)で示されるアミノ酸配列を含む第1の単離されたポリペプチド、および配列番号44(B44)で示されるアミノ酸配列を含む第2の単離されたポリペプチドを含む組成物に関する。好ましい実施形態において、ポリペプチドは免疫原性である。別の好ましい実施形態において、組成物はさらに、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のORF2086サブファミリーAポリペプチドを含む。好ましくは、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは、ピルビル化されていない非脂質化ORF2086サブファミリーAポリペプチドである。例示的な実施形態において、ORF2086サブファミリーAポリペプチドはA05であり、この例には、例えば、1位のN末端システインが欠失している配列番号13、および配列番号55が含まれる。別の例示的な実施形態において、組成物は、1位のCysが欠失している配列番号76のアミノ酸配列、1位のCysがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号76、および配列番号77を有する、ピルビル化されていない非脂質化A05ポリペプチドを含む。
【0091】
ポリペプチドドメイン
別の態様において、本発明は、単離されたポリペプチドを産生するための方法に関する。本方法は、配列番号21に対する90%を超える同一性を有する配列を含むポリペプチドを細菌細胞において発現させることを含み、前記配列は、配列番号21のアミノ酸13〜18、配列番号21のアミノ酸21〜34、および配列番号21のアミノ酸70〜80からなる群から選択される少なくとも1つのドメイン、またはその組み合わせを含み、ポリペプチドは、N末端システインを欠いている。本方法はさらに、ポリペプチドを精製することを含む。前記方法において産生されるポリペプチドは、ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。好ましくは、ポリペプチドは免疫原性である。好ましい実施形態において、細菌細胞は大腸菌(E.coli)である。
【0092】
配列番号21のアミノ酸13〜18、配列番号21のアミノ酸21〜34、および配列番号21のアミノ酸70〜80からなる群から選択される少なくとも1つのドメイン、またはその組み合わせを含むポリペプチドの例には、配列番号12(A04)、配列番号13(A05)、配列番号14(A12)、配列番号15(A22)、配列番号16(B02)、配列番号17(B03)、配列番号18(B09)、配列番号19(B22)、配列番号20(B24)、および配列番号21(B44)が含まれる。好ましくは、これらのポリペプチドの1位のシステインは欠失している。別の実施形態において、1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている。さらなる例示的なポリペプチドには、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号55、配列番号62、および配列番号64が含まれる。別の例示的なポリペプチドには配列番号70および配列番号71が含まれる。さらなる例示的なポリペプチドには配列番号76が含まれる。さらに別の例示的なポリペプチドには配列番号77が含まれる。さらなる例には配列番号80(B24)および配列番号81(B24)が含まれる。
【0093】
1つの例示的な実施形態において、単離されたポリペプチド配列は、配列番号21のアミノ酸96〜116、配列番号21のアミノ酸158〜170、配列番号21のアミノ酸172〜185、配列番号21のアミノ酸187〜199、配列番号21のアミノ酸213〜224、配列番号21のアミノ酸226〜237、配列番号21のアミノ酸239〜248からなる群から選択される少なくとも1つのドメイン、またはその組み合わせをさらに含む。配列番号21のアミノ酸13〜18、配列番号21のアミノ酸21〜34、および配列番号21のアミノ酸70〜80からなる群から選択される少なくとも1つのドメイン、またはその組み合わせを含み、かつ配列番号21のアミノ酸96〜116、配列番号21のアミノ酸158〜170、配列番号21のアミノ酸172〜185、配列番号21のアミノ酸187〜199、配列番号21のアミノ酸213〜224、配列番号21のアミノ酸226〜237、配列番号21のアミノ酸239〜248からなる群から選択される少なくとも1つのドメイン、またはその組み合わせをさらに含むポリペプチドの例には、配列番号16(B02)、配列番号17(B03)、配列番号18(B09)、配列番号19(B22)、配列番号20(B24)、および配列番号21(B44)が含まれる。好ましくは、これらのポリペプチドの1位のシステインは欠失している。さらなる例示的なポリペプチドには、配列番号44、配列番号49、配列番号50、および配列番号55、および配列番号62から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
【0094】
1つの態様において、本発明は、本明細書において記載されるプロセスによって産生される、単離されたポリペプチドに関する。1つの実施形態において、単離されたポリペプチドは、ピルビル化されていない非脂質化ポリペプチドである。別の態様において、本発明は、本明細書において記載されるプロセスによって産生される免疫原性組成物に関する。
【0095】
ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列
B09:1つの態様において、本発明は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号18、または配列番号49で示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。配列番号49をコードする例示的なヌクレオチド配列には、配列番号46、配列番号47、および配列番号48から選択される配列が含まれる。好ましくは、ヌクレオチド配列は配列番号46である。1つの態様において、本発明は、配列番号46を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。1つの態様において、本発明は、配列番号47を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。1つの態様において、本発明は、配列番号48を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0096】
1つの態様において、本発明は、配列番号46、配列番号47、配列番号48、および配列番号45から選択されるヌクレオチド配列を含むプラスミドに関するものであり、プラスミドは、細菌細胞において発現され得る。上記のように、適切な発現系、調節配列、および細菌細胞は、当技術分野において知られている。好ましくは、細菌細胞は大腸菌(E.coli)である。
【0097】
別の態様において、本発明は、配列番号50で示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドに関する。例示的な実施形態において、配列番号50は、配列番号45によってコードされる。
【0098】
B44:さらに別の態様において、本発明は、N末端Cysが欠失している配列番号21、または配列番号44で示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。配列番号44をコードする例示的なヌクレオチド配列には、配列番号43および配列番号51から選択される配列が含まれる。好ましくは、ヌクレオチド配列は配列番号43である。1つの態様において、本発明は、配列番号43を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0099】
A05:1つの態様において、本発明は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号13(A05)、または配列番号55に記載のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。配列番号55をコードする例示的なヌクレオチド配列には、配列番号54、配列番号65、および配列番号73から選択される配列が含まれる。好ましくは、ヌクレオチド配列は配列番号65である。1つの態様において、本発明は、配列番号54を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。1つの態様において、本発明は、配列番号65を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。1つの態様において、本発明は、配列番号73を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0100】
A12:別の態様において、本発明は、N末端Cysが欠失している配列番号14(A12)、または配列番号66に記載のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。配列番号66をコードする例示的なヌクレオチド配列には配列番号67が含まれる。1つの態様において、本発明は、配列番号67を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0101】
A22:さらに別の態様において、本発明は、N末端Cysが欠失している配列番号15(A22)、または配列番号68に記載のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。配列番号68をコードする例示的なヌクレオチド配列には配列番号69が含まれる。1つの態様において、本発明は、配列番号69を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0102】
A62:1つの態様において、本発明は、配列の最初の20個のアミノ酸残基がシステインを含有しない、配列番号71に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドに関する。好ましくは、ポリペプチドは、配列番号71の1〜184位に示されるアミノ酸配列を含む。ポリペプチドは、好ましくは脂質化されておらず、かつピルビル化されていない。別の実施形態において、ポリペプチドは免疫原性である。
【0103】
別の実施形態において、単離されたポリペプチドは、A62の断片を含む。例示的なA62の断片には、配列番号70または配列番号71からの任意の数の連続した残基が含まれる。1つの実施形態において、単離されたポリペプチドは、配列番号71の158〜185位のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、単離されたポリペプチドは、配列番号71の159〜186位のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71の185〜254位のアミノ酸配列からの少なくとも6個の連続したアミノ酸を含む。
【0104】
別の態様において、本発明は、配列の最初の20個のアミノ酸残基がシステインを含有しない、配列番号71に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有する単離されたポリペプチドをコードする、単離された核酸配列に関する。好ましくは、ポリペプチドは配列番号71に記載のアミノ酸配列からなる。1つの実施形態において、単離された核酸配列は配列番号72を含む。
【0105】
さらに別の態様において、本発明は、N末端Cysが欠失している配列番号70(A62)、または配列番号71に記載のアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。配列番号71をコードする例示的なヌクレオチド配列には配列番号72が含まれる。1つの態様において、本発明は、配列番号72を含む単離されたヌクレオチド配列に関する。
【0106】
免疫原性組成物
好ましい実施形態において、単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む、本明細書において記載される組成物は、免疫原性である。髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質を含む免疫原性組成物は、当技術分野において知られている。例示的な免疫原性組成物には、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる、WO2003/063766および米国特許出願公開第US20060257413号および米国特許出願公開第US20090202593号において記載されているものが含まれる。これらの文献において記載されるこのような免疫原性組成物は、ORF2086タンパク質として同定される、殺菌活性を示すタンパク質、その免疫原性部分、および/またはその生物学的同等物を含む。ORF2086タンパク質とは、ナイセリア(Neisseria)種のオープンリーディングフレーム2086によってコードされるタンパク質を言う。
【0107】
タンパク質は、天然のナイセリア(Neisseria)種に由来する組換えタンパク質または単離されたタンパク質であり得る。例えば、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086タンパク質は、細菌株、例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)(血清群A、B、C、D、W−135、X、Y、Z、および29E)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、およびナイセリア・ラクタミカ(Neisseria lactamica)の株を含む、ナイセリア種(Neisseria)の細菌株、ならびに前記タンパク質の免疫原性部分および/または生物学的同等物から単離することができる。
【0108】
ORF2086タンパク質は、2086サブファミリーAタンパク質およびサブファミリーBタンパク質、その免疫原性部分、ならびに/またはその生物学的同等物を含む。2086サブファミリーAタンパク質および2086サブファミリーBタンパク質は、当技術分野において知られており、例えば、上記で引用されたFletcherら、2004、およびMurphyら、J Infect Dis.2009 Aug 1;200(3):379〜89を参照されたい。また、配列番号260から278を2086サブファミリーAのタンパク質に関連する代表的なアミノ酸配列として開示している、WO2003/063766を参照されたい。さらに、WO2003/063766において、配列番号279から299が、2086サブファミリーBのタンパク質に関連する代表的なアミノ酸配列として開示されている。WO2003/063766は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。ORF2086タンパク質またはその同等物などは、脂質化されていても脂質化されていなくてもよい。好ましくは、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086タンパク質は、脂質化されていない。あるいは、免疫原性組成物は、脂質化ORF2086タンパク質および非脂質化ORF2086タンパク質の組み合わせであり得る。
【0109】
1つの実施形態において、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたタンパク質を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)のORF2086由来のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質に少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたタンパク質を含む。
【0110】
1つの実施形態において、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるサブファミリーAタンパク質に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたタンパク質を含む。好ましくは、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされる、単離されたサブファミリーAタンパク質を含む。一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは、A05変異体、A04変異体、A12変異体、A62変異体、またはA22変異体である。一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは、A05変異体、A12変異体、またはA22変異体である。
【0111】
サブファミリーAポリペプチドの組み合わせ:1つの実施形態において、組成物はORF2086サブファミリーAポリペプチドの任意の組み合わせを含む。ORF2086サブファミリーAポリペプチドの例示的な組み合わせには、例えば、A05とA12、A05とA22、A05とA62、A12とA62、A12とA22、A22とA62、A05とA12とA22、A05とA12とA62、A12とA22とA62、およびA05とA22とA62が含まれる。好ましくは、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは脂質化されておらず、かつピルビル化されていない。
【0112】
別の実施形態において、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるサブファミリーBタンパク質に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたタンパク質を含む。好ましくは、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされる、単離されたサブファミリーBタンパク質を含む。一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーBタンパク質は、B44変異体、B02変異体、B03変異体、B22変異体、B24変異体、またはB09変異体である。一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーBタンパク質は、B44変異体、B22変異体、またはB09変異体である。
【0113】
サブファミリーBポリペプチドの組み合わせ:1つの実施形態において、組成物はORF2086サブファミリーBポリペプチドの任意の組み合わせを含む。ORF2086サブファミリーBポリペプチドの例示的な組み合わせには、例えば、B09およびB22;B22およびB44;B44およびB09;B01およびB09;B01およびB22;B01およびB44;およびB09、B22、およびB44;B09およびB24;B22およびB24;B24およびB44;B01およびB24;B02およびB24;B02およびB01;B02およびB09;B02およびB44;B01、B09、およびB24;B01、B24、およびB44が含まれる。
【0114】
好ましい実施形態において、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるサブファミリーBタンパク質に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたピルビル化されていない非脂質化ポリペプチドを含む。例えば、一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーBタンパク質は、N末端Cysが欠失している、配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するB44変異体、配列番号16で示されるアミノ酸配列を有するB02変異体、配列番号17で示されるアミノ酸配列を有するB03変異体、配列番号19で示されるアミノ酸配列を有するB22変異体、配列番号20で示されるアミノ酸配列を有するB24変異体、配列番号58で示されるアミノ酸配列を有するB01変異体、もしくは配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するB09変異体から選択される配列、またはその組み合わせである。
【0115】
さらに好ましくは、免疫原性組成物は、ピルビル化されていない非脂質化B09ポリペプチド、ピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチド、またはその組み合わせを含む。1つの実施形態において、組成物は、N末端Cysが欠失している配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するピルビル化されていない非脂質化B09変異体、N末端Cysが欠失している配列番号21で示されるアミノ酸配列を有する、ピルビル化されていない非脂質化B44、またはその組み合わせを含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、配列番号49を有するピルビル化されていない非脂質化B09、配列番号44を有するピルビル化されていない非脂質化B44、またはその組み合わせを含む。
【0116】
1つの態様において、本発明は、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のORF2086サブファミリーBポリペプチドを含む免疫原性組成物に関するものであり、ポリペプチドは、ピルビル化されていない非脂質化B44である。B44は、N末端Cysが欠失している配列番号21、または配列番号44で示されるアミノ酸配列を含み得る。1つの実施形態において、組成物はさらに、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)の第2のORF2086サブファミリーBポリペプチドを含み、第2のポリペプチドは、ピルビル化されていない非脂質化B09である。B09は、N末端Cysが欠失している配列番号18、または配列番号49で示されるアミノ酸配列を含み得る。1つの実施形態において、免疫原性組成物はワクチンである。
【0117】
別の実施形態において、組成物は、3つ以下のORF2086サブファミリーBポリペプチドを含む。さらなる実施形態において、組成物は、2つ以下のORF2086サブファミリーBポリペプチドを含む。
【0118】
さらなる実施形態において、組成物は、最大で1、2、または3種のORF2086サブファミリーB変異体を含む。さらなる実施形態において、組成物は、最大で1、2、または3種のORF2086サブファミリーA変異体を含む。
【0119】
サブファミリーBポリペプチドおよびサブファミリーAポリペプチドを含む組成物:1つの実施形態において、組成物はさらに、1つまたは複数のORF2086サブファミリーAポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、組成物は、A05サブファミリーAポリペプチドを含む。さらに好ましくは、A05サブファミリーAポリペプチドは脂質化されておらず、かつピルビル化されていない。別の好ましい実施形態において、組成物はA62サブファミリーAポリペプチドを含む。さらに好ましくは、A62サブファミリーAポリペプチドは脂質化されておらず、かつピルビル化されていない。
【0120】
さらに別の実施形態において、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるサブファミリーAタンパク質に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたタンパク質、およびナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるサブファミリーBタンパク質に対する少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有する、単離されたタンパク質を含む。
【0121】
好ましくは、免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされる、単離されたサブファミリーAタンパク質、およびナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされる、単離されたサブファミリーBタンパク質を含む。さらに好ましくは、免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化サブファミリーA ORF2086ポリペプチド、および単離されたピルビル化されていない非脂質化サブファミリーB ORF2086ポリペプチドを含む。
【0122】
組み合わせ:ORF2086ポリペプチドの任意の組み合わせが企図される。1つの実施形態において、組成物は、サブファミリーBポリペプチドの不存在下で少なくとも1つのサブファミリーAポリペプチドを含む。例えば、組成物は、サブファミリーAポリペプチドのみを含む。別の実施形態において、組成物は、サブファミリーAポリペプチドの不存在下で少なくとも1つのサブファミリーBポリペプチドを含む。例えば、組成物は、サブファミリーAポリペプチドのみを含む。
【0123】
免疫原性組成物は、任意のサブファミリーAポリペプチドまたはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは、A05変異体、A04変異体、A12変異体、またはA22変異体である。別の実施形態において、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは、A62を含む。好ましい実施形態において、ORF2086サブファミリーAポリペプチドは、配列番号13で示されるアミノ酸配列を有するA05、配列番号12で示されるアミノ酸配列を有するA04、配列番号14で示されるアミノ酸配列を有するA12、またはN末端Cysが欠失している配列番号15で示されるアミノ酸配列を有するA22変異体、またはそのあらゆる組み合わせである。さらに別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05およびA62サブファミリーA ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。例えば、免疫原性組成物は、配列番号55を有するポリペプチドおよび配列番号71を有するポリペプチドを含み得る。さらなる例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05およびA12サブファミリーA ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A12およびA62サブファミリーA ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0124】
免疫原性組成物は、任意のサブファミリーBポリペプチドまたはその組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、ORF2086サブファミリーBタンパク質は、B44変異体、B02変異体、B03変異体、B22変異体、B24変異体、またはB09変異体である。好ましい実施形態において、ORF2086サブファミリーBタンパク質は、配列番号21で示されるアミノ酸配列を有するB44、配列番号16で示されるアミノ酸配列を有するB02、配列番号17で示されるアミノ酸配列を有するB03、配列番号19で示されるアミノ酸配列を有するB22、配列番号20で示されるアミノ酸配列を有するB24、または末端Cysが欠失している配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するB09変異体、またはその組み合わせである。さらに別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化B09およびB44サブファミリーB ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。さらなる例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化B09およびB22サブファミリーB ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化B22およびB44サブファミリーB ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。さらなる例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化B09、B22、およびB44サブファミリーB ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。
【0125】
1つの実施形態において、組成物は、脂質化ORF2086ポリペプチドの不存在下で非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。別の実施形態において、組成物は、非脂質化ORF2086ポリペプチドおよび少なくとも1つの脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。
【0126】
1つの実施形態において、組成物は、脂質化ORF2086ポリペプチドの不存在下でピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。別の実施形態において、組成物は、脂質化ORF2086ポリペプチドおよびピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。例えば、組成物は、配列番号76を有する脂質化A05ポリペプチドおよび配列番号77を有するピルビル化されていない非脂質化A05を含み得る。別の例示的な組成物は、配列番号76を有する脂質化A05ポリペプチドおよび配列番号71を有するピルビル化されていない非脂質化A62を含む。さらなる例示的な組成物は、配列番号58を有する脂質化B01ポリペプチドおよび配列番号71を有するピルビル化されていない非脂質化A62を含む。
【0127】
例示的な組み合わせ:1つの例示的な免疫原性組成物は、単離された非脂質化A05、B09、B22、およびB44 ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。例えば、免疫原性組成物は、ピルビル化されていない非脂質化A05(配列番号55)サブファミリーA ORF2086ポリペプチドならびに単離されたピルビル化されていない非脂質化B09(配列番号49)、B22(配列番号75)、およびB44(配列番号44)サブファミリーB ORF2086ポリペプチドを含み得る。
【0128】
別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05およびA12サブファミリーA ORF2086ポリペプチドおよび単離されたピルビル化されていない非脂質化B22およびB44サブファミリーB ORF2086ポリペプチドの組み合わせを含む。さらなる例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05、A12、B09、およびB44ポリペプチドを含む。さらに別の例には、単離されたピルビル化されていない非脂質化A12、A62、B09、およびB44ポリペプチドが含まれる。さらなる例には、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05、A12、A62、B09、およびB44ポリペプチドが含まれる。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A62およびB09ポリペプチドを含む。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A62およびB44ポリペプチドを含む。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A62、B09、およびB44ポリペプチドを含む。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05、A62、およびB44ポリペプチドを含む。別の例示的な免疫原性組成物は、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05、A62、B09、およびB44ポリペプチドを含む。
【0129】
1つの実施形態において、免疫原性組成物は、サブファミリーBタンパク質に対して1:1の比率のサブファミリーAタンパク質を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、サブファミリーAポリペプチド対サブファミリーBポリペプチドの以下の比のうちの任意の1つを含む:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10。別の実施形態において、免疫原性組成物は、サブファミリーBポリペプチド対サブファミリーAポリペプチドの以下の比のうちの任意の1つを含む:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10。
【0130】
殺菌性の免疫応答
1つの態様において、本明細書中に記載の単離されたポリペプチドおよび組成物は、哺乳動物において、血清群A、B、C、E29、H、I、K、L、W−135、X、YおよびZから選択される血清群などの髄膜炎菌(N.meningitidis)の任意の血清群からの感染に対する殺菌性の免疫応答を誘発する。好ましい実施形態において、本明細書中に記載の単離されたポリペプチドおよび組成物は、哺乳動物において、血清群A、B、C、W−135、Yおよび/またはXからの感染に対する殺菌性の免疫応答を誘発する。
【0131】
別の態様において、本明細書において記載される単離されたポリペプチドおよび組成物は、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のORF2086ポリペプチドに対する、哺乳動物における殺菌性の免疫応答を誘発する。組成物は、哺乳動物に投与された後に殺菌性の抗髄膜炎菌抗体を誘発する能力を有し、好ましい実施形態において、それぞれのサブファミリーを有する株に対して殺菌性である抗体を誘発し得る。殺菌性の応答についてのさらなる情報は以下で示される。例えば、実施例6、11、12、および13を参照されたい。
【0132】
1つの実施形態において、組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群Bの異種サブファミリーに対する殺菌性の免疫応答を誘発する。例えば、非脂質化サブファミリーAポリペプチドを含む組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群BのサブファミリーA変異体に対する、および/または髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群BのサブファミリーB変異体に対する殺菌性の免疫応答を誘発し得る。例えば実施例18〜19を参照されたい。
【0133】
さらなる態様において、本明細書中に記載の単離されたポリペプチドおよび組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)の血清群A、血清群B、血清群C、血清群W135、および/または血清群Y株のうちの少なくとも1つに対する殺菌性の免疫応答を誘発する。好ましい実施形態において、組成物は、髄膜炎菌(N.meningitidis)の少なくとも血清群B、血清群C、および血清群Yに対する殺菌性の免疫応答を誘発する。例えば実施例21を参照されたい。
【0134】
殺菌性抗体はヒトにおける防御の指標であり、前臨床研究は代替手段として役立ち、本明細書において記載されるあらゆる新規な免疫原性組成物候補がこれらの機能的抗体を誘発するはずである。
【0135】
B09:1つの態様において、単離された非脂質化B09ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーB由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。例示的な実施形態において、1位のN末端Cysが欠失している配列番号18、または配列番号49を有する、単離されたピルビル化されていない非脂質化B09ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のサブファミリーAまたは好ましくはサブファミリーBのORF2086ポリペプチドに対する(例えば、それに結合し得る)殺菌性抗体を誘発する。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化B09ポリペプチドおよびその免疫原性組成物は、A05変異体(配列番号13)、B44変異体(配列番号21)、B16変異体(配列番号60)、B24変異体(配列番号20)、B09変異体(配列番号18)、またはその組み合わせに対する殺菌性抗体を誘発する。例示的な実施形態において、ピルビル化されていない非脂質化B09ポリペプチドおよびその免疫原性組成物は、B44変異体(配列番号21)、B16変異体(配列番号60)、B24変異体(配列番号20)、B09変異体(配列番号18)、またはその組み合わせに対する殺菌性抗体を誘発する。例えば、実施例11、実施例12、および実施例13を参照されたい。
【0136】
B44:1つの態様において、単離された非脂質化B44ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーB由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。別の例示的な実施形態において、1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、または配列番号44を有する、単離されたピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のサブファミリーBのORF2086ポリペプチドに対する(例えば、それに結合し得る)殺菌性抗体を誘発する。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチドおよびその免疫原性組成物は、B44変異体(配列番号21)、B16変異体(配列番号60)、B24変異体(配列番号20)、B09変異体(配列番号18)、またはその組み合わせに対する殺菌性抗体を誘発する。例えば、実施例11を参照されたい。さらに、ピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチドおよびその免疫原性組成物はまた、B02変異体(配列番号16)に結合する殺菌性抗体を誘発し得る。例えば、実施例12および実施例13を参照されたい。さらに、ピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチドおよびその免疫原性組成物はまた、B03変異体(配列番号17)およびB15変異体(配列番号59)に結合する殺菌性抗体を誘発し得る。例えば、実施例6を参照されたい。
【0137】
B22:1つの態様において、単離された非脂質化B22ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーB由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。さらなる例示的な実施形態において、1位のN末端Cysが欠失している配列番号19を有する、単離されたピルビル化されていない非脂質化B22ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のサブファミリーBのORF2086ポリペプチドに対する(例えば、それに結合し得る)殺菌性抗体を誘発する。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化B22ポリペプチドは、B44変異体(配列番号21)、B16変異体(配列番号60)、B24変異体(配列番号20)、B09変異体(配列番号18)、またはその組み合わせに対する殺菌性抗体を誘発する。例えば、実施例13を参照されたい。
【0138】
A05:1つの態様において、単離された非脂質化A05ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーA由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。1つの実施形態において、N末端Cysが欠失している配列番号13、または配列番号55を有する、単離されたピルビル化されていない非脂質化A05ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)のサブファミリーAのORF2086ポリペプチドに対する(例えば、それに結合し得る)殺菌性抗体を誘発する。1つの実施形態において、単離されたA05ポリペプチドは、1位のシステインが欠失している配列番号76のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、単離されたA05ポリペプチドは、1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号76のアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、単離されたA05ポリペプチドは、配列番号77のアミノ酸配列を含む。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化A05およびその免疫原性組成物は、A05変異体(配列番号13)、A22変異体(配列番号15)、A12変異体(配列番号14)、またはその組み合わせに対する殺菌性抗体を誘発する。例えば、実施例6および13を参照されたい。
【0139】
A62:1つの態様において、単離された非脂質化A62ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーA由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。1つの実施形態において、単離されたA62ポリペプチドは、1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている配列番号70のアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、N末端Cysが欠失している配列番号70、または配列番号71を有する単離されたピルビル化されていない非脂質化A62ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーAおよび/またはサブファミリーB由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。例えば、ピルビル化されていない非脂質化A62およびその免疫原性組成物は、A05変異体(配列番号13)、A12変異体(配列番号14)、A22変異体(配列番号15)、およびA62変異体(配列番号70)に対する殺菌性抗体を誘発する。別の例として、ピルビル化されていない非脂質化A62およびその免疫原性組成物は、A29変異体、B09変異体、およびB24変異体に対する殺菌性抗体を誘発する。例えば実施例18〜19を参照されたい。別の実施形態において、ピルビル化されていない非脂質化A62およびその免疫原性組成物は、B16変異体に対する殺菌性抗体を誘発する。
【0140】
A12:1つの実施形態において、N末端Cysが欠失している配列番号14、または配列番号66を有する単離されたピルビル化されていない非脂質化A12ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーAおよび/またはサブファミリーB由来のORF2086ポリペプチドに対する殺菌性抗体を誘発する。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化A12およびその免疫原性組成物は、A05変異体(配列番号13)、A22変異体(配列番号15)、A12変異体(配列番号14)、A62変異体(配列番号70)、A29変異体、B09変異体に対する殺菌性抗体を誘発する。例えば実施例18〜19を参照されたい。
【0141】
1つの実施形態において、N末端Cysが欠失している配列番号15、または配列番号68を有する単離されたピルビル化されていない非脂質化A22ポリペプチド、およびその免疫原性組成物は、血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、サブファミリーAおよび/またはサブファミリーB由来のORF2086ポリペプチドに対する(例えばそれと結合することができる)殺菌性抗体を誘発する。好ましくは、ピルビル化されていない非脂質化A22およびその免疫原性組成物は、A05変異体(配列番号13)、A22変異体(配列番号15)、A62変異体(配列番号70)、A29変異体に対する殺菌性抗体を誘発する。例えば実施例18〜19を参照されたい。
【0142】
殺菌性抗体の誘発方法
1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群A髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群C髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群W135髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群X髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群Y髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群A、B、C、W−135、Xおよび/またはY髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。1つの態様において、本発明は、哺乳動物において血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。例示的な実施形態において、本方法は、ORF2086サブファミリーB血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、ORF2086サブファミリーA血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)、またはその組み合わせに特異的な殺菌性抗体を誘発することを含む。
【0143】
本方法は、効果的な量の、上記のような単離されたピルビル化されていない非脂質化2086ポリペプチドまたはその免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む。例えば実施例18〜19、および22を参照されたい。
【0144】
好ましい実施形態において、本方法は、ORF2086サブファミリーB血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発することを含む。単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、ピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチドを含む。別の好ましい実施形態において、組成物はさらに、ピルビル化されていない非脂質化B09ポリペプチドを含む。例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、配列番号49、配列番号44、またはその組み合わせを含む。別の例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号18、1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、またはその組み合わせを含む。さらに別の例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号19を含む。1つの実施形態において、ORF2086サブファミリーB血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発するための免疫原性組成物は、ピルビル化されていない非脂質化A05、A12、およびA62ポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む。例えば実施例19を参照されたい。
【0145】
好ましい実施形態において、本方法は、ORF2086サブファミリーA血清群Bの髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発することを含む。単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、ピルビル化されていない非脂質化A05ポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号13を含む。別の好ましい実施形態において、組成物はさらに、ピルビル化されていない非脂質化B44ポリペプチドを含む。例えば、実施例6および13を参照されたい。例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、配列番号55、配列番号44、またはその組み合わせを含む。好ましい実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、1位のN末端Cysが欠失している配列番号13、1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、またはその組み合わせを含む。別の例示的な実施形態において、単離されたポリペプチドまたは免疫原性組成物は、配列番号77(A05)、配列番号44(B44)、またはその組み合わせを含む。1つの実施形態において、ORF2086サブファミリーA血清群B髄膜炎菌(N.meningitidis)に特異的な殺菌性抗体を誘発するための免疫原性組成物は、ピルビル化されていない非脂質化A05、A12、およびA62ポリペプチドのうちの少なくとも1つを含む。例えば実施例18〜19を参照されたい。
【0146】
上述の少なくとも2つのピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む例示的な免疫原性組成物を哺乳動物に投与した場合、本発明者らは驚くべきことに、1つのそれぞれのピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む免疫原性組成物と比較して、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の血清群Bに対する相乗的な殺菌性の免疫応答が誘発され得ることを発見した。例えば実施例19を参照されたい。したがって、1つの実施形態において、免疫原性組成物は、少なくとも第2のピルビル化された非脂質化ORF2086ポリペプチドと相乗的に作用して髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の血清群Bに対する免疫応答を誘発する、少なくとも第1のピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。
【0147】
別の態様において、本発明は、哺乳動物において髄膜炎菌(N.meningitidis)の血清群Cに特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。本方法は、上述のように、効果的な量の髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化2086ポリペプチドまたはその免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む。例えば実施例22を参照されたい。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、およびd)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートから選択される少なくとも1つのコンジュゲートをさらに含む。例示的な免疫原性組成物は、少なくとも単離されたピルビル化されていない非脂質化A62ポリペプチドと、a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、およびd)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートとを含む。
【0148】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物において髄膜炎菌(N.meningitidis)の血清群Yに特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。本方法は、上述のように、効果的な量の髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化2086ポリペプチドまたはその免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む。例えば実施例22を参照されたい。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、およびd)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートから選択される少なくとも1つのコンジュゲートをさらに含む。
【0149】
さらなる態様において、本発明は、哺乳動物において髄膜炎菌(N.meningitidis)の血清群Xに特異的な殺菌性抗体を誘発する方法に関する。本方法は、上述のように、効果的な量の髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化2086ポリペプチドまたはその免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む。例えば実施例22を参照されたい。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号71に記載のアミノ酸配列、または1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、および配列番号21からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、免疫原性組成物は、a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、およびd)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートから選択される少なくとも1つのコンジュゲートをさらに含む。
【0150】
上述の4つのピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群A、C、W135、およびYのそれぞれの莢膜糖のコンジュゲートとを含む例示的な免疫原性組成物を哺乳動物に投与した場合、本発明者らは驚くべきことに、莢膜糖のコンジュゲートが存在しない、ORF2086ポリペプチドを含む免疫原性組成物と比較して、かつORF2086ポリペプチドが存在しない、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群A、C、W135、およびYのそれぞれの莢膜糖のコンジュゲートを含む免疫原性組成物と比較して、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の少なくとも血清群B、C、およびYに対する相乗的な殺菌性の免疫応答が誘発され得ることを発見した。例えば実施例22を参照されたい。したがって、1つの実施形態において、免疫原性組成物は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群A、C、W135、およびYの莢膜糖のうちの少なくとも1つのコンジュゲートと相乗的に作用して髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免疫応答を誘発する、少なくとも1つのピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを含む。誘発される免疫応答は髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)の血清群B、C、およびYのうちの少なくとも1つに対するものであり得る。免疫原性組成物は、ナイセリア属(Neisseria)ORF2086のヌクレオチド配列によってコードされるタンパク質、ポリヌクレオチド、またはその同等物を、免疫原性組成物における単独の活性免疫原として含み得る。あるいは、免疫原性組成物はさらに、他のナイセリア種(Neisseria sp.)の免疫原性ポリペプチド、または1つもしくは複数の他の微生物病原体(例えば、限定はしないが、ウイルス、プリオン、細菌、または真菌)の免疫学的に活性なタンパク質、または莢膜多糖を含む、活性免疫原を含み得る。組成物は、選択された指示に望ましい、1つまたは複数の所望のタンパク質、断片、または医薬化合物を含み得る。
【0151】
あらゆる多抗原免疫原性組成物または多価免疫原性組成物が、本発明によって検討される。例えば、免疫原性組成物は、2つ以上のORF2086タンパク質の組み合わせ、ORF2086タンパク質と1つもしくは複数のPorAタンパク質との組み合わせ、ORF2086タンパク質と髄膜炎菌(meningococcus)血清群A、C、Y、およびW135多糖ならびに/もしくは多糖コンジュゲートとの組み合わせ、ORF2086タンパク質と髄膜炎菌(meningococcus)および肺炎球菌(pneumococcus)の組み合わせとの組み合わせ、または所望の投与、例えば粘膜送達に適切な形態の前述のもののいずれかの組み合わせを含み得る。当業者であれば、このような多抗原免疫原性組成物または多価免疫原性組成物を容易に製剤し得よう。
【0152】
1つの態様において、本発明は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと、a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、およびd)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートから選択される少なくとも1つのコンジュゲートとを含む免疫原性組成物に関する。
【0153】
1つの実施形態において、免疫原性組成物は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと、コンジュゲートのうちの少なくとも2つとを含む。別の実施形態において、組成物は、コンジュゲートのうちの少なくとも3つを含む。例えば、組成物は、血清群AとC、血清群AとW135、血清群AとY、血清群CとW135、血清群W135とY、血清群AとCとW135、血清群AとCとY、血清群AとW135とY、血清群CとW135とY由来の糖を含み得る。少なくとも1つの血清群Cの糖を含む組成物が好ましい(例えばCとY)。
【0154】
さらに別の実施形態において、免疫原性組成物は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと、4つのコンジュゲート、例えば、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、および髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートとを含む。
【0155】
好ましい実施形態において、コンジュゲートは莢膜糖と担体タンパク質とのコンジュゲートである。適切な担体タンパク質は当技術分野で知られている。好ましくは、担体タンパク質は、ジフテリアもしくは破傷風毒素、またはそのトキソイドもしくは突然変異体などの細菌毒素である。最も好ましくは、担体タンパク質はCRM
197である。例えば、1つの実施形態において、組成物は、(a)(i)血清群A髄膜炎菌(N.meningitidis)の莢膜糖と(ii)CRM
197とのコンジュゲート、(b)(i)血清群C髄膜炎菌(N.meningitidis)の莢膜糖と(ii)CRM
197とのコンジュゲート、(c)(i)血清群W135髄膜炎菌(N.meningitidis)の莢膜糖と(ii)CRM
197とのコンジュゲート、および(d)(i)血清群Y髄膜炎菌(N.meningitidis)の莢膜糖と(ii)CRM
197とのコンジュゲートから選択される少なくとも1つのコンジュゲートを含む。
【0156】
血清群A、C、W135、およびYの莢膜糖は特徴づけられており、当技術分野で知られている。例えば、血清群A髄膜炎菌の莢膜糖は、C3およびC4位に部分的O−アセチル化を有する、(α1→6)結合N−アセチル−D−マンノサミン−1−リン酸のホモポリマーである。C−3位でのアセチル化は70〜95%であることができる。糖を精製するために使用する条件は脱O−アセチル化をもたらす場合があるが(例えば塩基性条件下)、このC−3位でOAcを保持することが有用である。一部の実施形態において、血清群Aの糖中のマンノサミン残基の少なくとも50%(例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%またはそれより多く)はC−3位でO−アセチル化されている。加水分解を防ぐためにアセチル基を遮断基で置き換えることができ、そのような修飾された糖は、本発明の意味の範囲内では依然として血清群Aの糖である。
【0157】
血清群Cの莢膜糖は(α2→9)結合シアル酸(N−アセチルノイラミン酸)のホモポリマーである。ほとんどの血清群C株はシアル酸残基のC−7および/またはC−8にO−アセチル基を有するが、一部の臨床的単離体はこれらのO−アセチル基を欠く。
【0158】
血清群W135の糖はシアル酸−ガラクトースの二糖単位のポリマーである。血清群Cの糖と同様、これは可変性のO−アセチル化を有するが、シアル酸の7および9位に有する。その構造は→4)−D−NeupNAc(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Gal−α−(1→と記載される。
【0159】
血清群Yの糖は、二糖反復単位にガラクトースの代わりにグルコースが含まれる以外は、血清群W135の糖に類似している。血清群Yの構造は→4)−D−NeupNAc(7/9OAc)−α−(2→6)−D−Glc−α−(1→と記載される。血清群W135と同様、これはシアル酸の7および9位に可変性のO−アセチル化を有する。
【0160】
本発明に従って使用される糖は、上述のように、例えば天然莢膜糖で見られるものと同じO−アセチル化パターンでO−アセチル化されていてよいか、糖環の1つもしくは複数の位置で部分的にもしくは完全に脱O−アセチル化されていてよいか、または天然莢膜糖に比べて過剰にO−アセチル化されていてよい。
【0161】
1つの実施形態において、免疫原性組成物は、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B由来の単離されたピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドと、a)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Aの莢膜糖のコンジュゲート、b)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Cの莢膜糖のコンジュゲート、c)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群W135の莢膜糖のコンジュゲート、およびd)髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群Yの莢膜糖のコンジュゲートから選択される少なくとも1つのコンジュゲートとを含み、ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドは、以下のB44、B09、A05、B22、A12、A22、A62、B24、B16、B15、およびB03のうちの少なくとも1つを含む。1つの実施形態において、ポリペプチドは、配列番号44、配列番号49、配列番号55、配列番号66、配列番号68、配列番号71、および配列番号75からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、ポリペプチドは、1位のシステインが欠失している、配列番号17、配列番号59、配列番号60、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。別の実施形態において、ポリペプチドは、1位のシステインがCys残基ではないアミノ酸で置換されている、配列番号17、配列番号59、配列番号60、および配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0162】
本発明はまた、病原体に対して有用なあらゆる組成物を、本発明の組成物内に、または本発明の組成物と組み合わせることができる、多免疫化レジメンを検討する。例えば、限定はしないが、患者に、ヒトパピローマウイルスウイルス(HPV)に対して免疫化するための本発明の免疫原性組成物および別の免疫学的組成物、例えば、HPVワクチンGARDASIL(登録商標)を、多免疫化レジメンの一部として投与することができる。当業者であれば、多免疫化レジメンを開発および実行する目的で本発明の免疫原性組成物と組み合わせて用いるための免疫原性組成物を、容易に選択することができよう。
【0163】
ORF2086ポリペプチド、断片、および同等物は、コンジュゲート免疫原性組成物の一部として用いることができ、1つまたは複数のタンパク質またはポリペプチドは、いくつかの血清型、すなわち髄膜炎菌(N.meningitidis)の血清型、具体的には髄膜炎菌血清群、具体的には血清群Bに対する、および/またはいくつかの疾患に対する免疫原性特性を有する組成物を生成するために、担体にコンジュゲートさせることができる。あるいは、ORF2086ポリペプチドの1つを、他の免疫原性ポリペプチドのための担体タンパク質として用いることができる。このような免疫原性組成物の製剤は、当業者に周知である。
【0164】
本発明の免疫原性組成物は、好ましくは、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤および/または担体を含む。適切な薬学的に許容できる賦形剤、担体および/または希釈剤は、あらゆるおよびすべての従来の溶媒、分散媒質、充填剤、固体担体、水性溶液、被覆剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。適切な薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤および/または担体には、例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝溶液、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1つまたは複数、およびその組み合わせが含まれる。
【0165】
薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤および/または担体はさらに、抗体の保存期間または有効性を増強させる、少量の補助物質、例えば湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤、または緩衝液を含み得る。薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤および/または担体の調製および使用は、当技術分野において周知である。あらゆる従来の培地または作用物質が活性成分と不適合である場合を除いて、本発明の免疫原性組成物におけるその使用が検討される。
【0166】
免疫原性組成物は、非経口的に、例えば、皮下または筋肉内の注射によって、および経口的に、または鼻腔内に投与することができる。筋肉内免疫化のための方法は、Wolffら、Biotechniques;11(4):474〜85(1991)、およびSedegahら、PNAS Vol.91、pp.9866〜9870(1994)によって記載されている。他の投与態様は、例えば、限定はしないが、経口製剤、肺製剤、坐剤、および経皮塗布を採用する。経口製剤は、例えば、限定はしないが、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの、通常採用される賦形剤を例えば採用する。好ましくは、免疫原性組成物は筋肉内に投与される。
【0167】
本発明の免疫原性組成物はさらに、免疫系を混乱させるかまたは改変して液性および/または細胞介在性の免疫性の上方調節または下方調節が観察されるようにする作用物質である、1つまたは複数のさらなる「免疫調節物質」を含み得る。1つの特定の実施形態において、液性および/または細胞介在性の免疫系の上方調節が好ましい。特定の免疫調節物質の例には、例えば、アジュバントまたはサイトカイン、またはとりわけ米国特許第5,254,339号において記載されているISCOMATRIX(CSL Limited、Parkville、Australia)が含まれる。
【0168】
本発明のワクチンにおいて用いることができるアジュバントの非限定的な例には、RIBIアジュバント系(Ribi Inc.、Hamilton、Mont.)、ミョウバン、無機物ゲル、例えば水酸化アルミニウムゲル、水中油型エマルジョン、油中水型エマルジョン、例えば、フロイント完全アジュバントおよび不完全アジュバント、ブロックコポリマー(CytRx、Atlanta Ga.)、QS−21(Cambridge Biotech Inc.、Cambridge Mass.)、SAF−M(Chiron、Emeryville Calif.)、AMPHIGEN(登録商標)アジュバント、サポニン、Quil A、または他のサポニン画分、モノホスホリル脂質A、ならびにアブリジン脂質−アミンアジュバントが含まれる。本発明のワクチンにおいて有用な水中油型エマルジョンの非限定的な例には、修飾されたSEAM62およびSEAM1/2製剤が含まれる。修飾されたSEAM62は、5%(v/v)のスクアレン(Sigma)、1%(v/v)のSPAN(登録商標)85洗剤(ICI Surfactants)、0.7%(v/v)のpolysorbate(登録商標)80洗剤(ICI Surfactants)、2.5%(v/v)のエタノール、200μg/mlのQuil A、100μg/mlのコレステロール、および0.5%(v/v)のレシチンを含有する、水中油型エマルジョンである。修飾されたSEAM1/2は、5%(v/v)のスクアレン、1%(v/v)のSPAN(登録商標)85洗剤、0.7%(v/v)のポリソルベート80洗剤、2.5%(v/v)のエタノール、100μg/mlのQuil A、および50μg/mlのコレステロールを含む、水中油型エマルジョンである。
【0169】
ワクチンに含まれ得る他の「免疫調節物質」には、例えば、1つまたは複数のインターロイキン、インターフェロン、または他の既知のサイトカインもしくはケモカインが含まれる。1つの実施形態において、アジュバントは、それぞれ米国特許第6,165,995号および米国特許第6,610,310号において記載されているものなどの、シクロデキストリン誘導体またはポリアニオン系ポリマーであり得る。用いられる免疫調節物質および/またはアジュバントは、ワクチンまたは免疫原性組成物が投与される対象、注射の経路、および投与する注射の数に応じることが理解されるべきである。
【0170】
一部の実施形態において、アジュバントはサポニンである。一部の実施形態において、サポニンの濃度は、1μg/mlと250μg/mlとの間、5μg/mlと150μg/mlとの間、または10μg/mlと100μg/mlとの間である。一部の実施形態において、サポニンの濃度は、約1μg/ml、約5μg/ml、約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/ml、約100μg/ml、約110μg/ml、約120μg/ml、約130μg/ml、約140μg/ml、約150μg/ml、約160μg/ml、約170μg/ml、約180μg/ml、約190μg/ml、約200μg/ml、約210μg/ml、約220μg/ml、約230μg/ml、約240μg/ml、または約250μg/mlである。
【0171】
特定の好ましい実施形態において、本発明のタンパク質は、粘膜アジュバントを含み、そしてヒト宿主における髄膜炎菌(N.meningitidis)感染を治療または予防するために用いられる、経口投与のための免疫原性組成物において用いられる。粘膜アジュバントはコレラ毒素であり得るが、好ましくは、本発明に従って用いることができるコレラ毒素以外の粘膜アジュバントには、Aサブユニットが突然変異生成されたコレラホロトキシンの無毒誘導体、化学的に修飾されたコレラ毒素、またはコレラ毒素のアミノ酸配列の修飾によって産生される関連タンパク質が含まれる。本発明の免疫原性組成物の調製において得に有用であり得る特異的なコレラ毒素については、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる国際出願公開WO00/18434において開示されている、突然変異コレラホロトキシンE29Hを参照されたい。これらは、本発明のポリペプチドに付加またはコンジュゲートすることができる。同一の技術を、大腸菌(Escherichia coli)の易熱性毒素(LT)などの、粘膜アジュバントまたは送達特性を有する他の分子に適用することができる。
【0172】
粘膜表面の構造的または機能的完全性を改変する、胆汁;DEAE−デキストランおよびポリオルニチンなどのポリカチオン;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの洗剤;脂質にコンジュゲートした材料;ストレプトマイシンなどの抗生物質;ビタミンA;ならびに他の化合物などの、粘膜アジュバントまたは送達活性を有する他の化合物を用いることができる。他の粘膜的に活性な化合物には、MDPなどの微生物構造の誘導体、アクリジン、およびシメチジンが含まれる。上記のようなSTIMULON(商標)QS−21、MPL、およびIL−12もまた、用いることができる。
【0173】
本発明の免疫原性組成物は、ISCOMS(免疫刺激複合体)、CTBを含有するISCOMS、リポソームの形態で送達され得るか、または、吸着に適したサイズのミクロスフェアを形成するために例えばアクリレートもしくはDL−ラクチド−グリコシド共重合体などの化合物内にカプセル化され得る。本発明のタンパク質はまた、油性エマルジョン内に組み込むことができる。
【0174】
患者に投与される免疫原性組成物の量(すなわち用量)は、特定の抗原、アジュバント(存在する場合)、特定の患者の年齢、性別、体重、種、状態、および投与経路などの因子を考慮して、当業者に知られている標準的な技術に従って決定することができる。
【0175】
例えば、青年期のヒト患者のための投与量は、少なくとも0.1μg、1μg、10μg、または50μgのナイセリア属(Neisseria)ORF2086タンパク質、最大80μg、100μg、150μg、または200μgのナイセリア属(Neisseria)ORF2086タンパク質を含み得る。あらゆる最小値およびあらゆる最大値を、適切な範囲を規定するために組み合わせることができる。
【0176】
アジュバント
本明細書において記載される免疫原性組成物はまた、特定の実施形態において、1つまたは複数のアジュバントを含む。アジュバントは、免疫原または抗原と共に投与された場合に免疫応答を増強させる物質である。限定はしないが、インターロイキン1−α、1−β、2、4、5、6、7、8、10、12(例えば、米国特許第5,723,127号を参照されたい)、13、14、15、16、17、および18(およびその突然変異形態)、インターフェロン−α、β、およびγ、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(例えば、米国特許第5,078,996号およびATCC受託番号39900を参照されたい)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、ならびに腫瘍壊死因子αおよびβを含む、多くのサイトカインまたはリンホカインが、免疫調節活性を有することが示されており、したがって、アジュバントとして有用である。
【0177】
本明細書において記載される免疫原性組成物と共に有用なさらに他のアジュバントには、限定はしないが、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、およびRANTESを含むケモカイン;セレクチン、例えばL−セレクチン、P−セレクチン、およびE−セレクチンなどの、接着分子;ムチン様分子、例えば、CD34、GlyCAM−1、およびMadCAM−1;LFA−1、VLA−1、Mac−1、およびp150.95などの、インテグリンファミリーのメンバー;PECAM、ICAM、例えばICAM−1、ICAM−2、およびICAM−3、CD2、およびLFA−3などの、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバー;B7−1、B7−2、CD40、およびCD40Lなどの同時刺激分子;血管増殖因子、神経成長因子、線維芽細胞増殖因子、上皮成長因子、PDGF、BL−1、および血管内皮増殖因子を含む増殖因子;Fas、TNF受容体、Flt、Apo−1、p55、WSL−1、DR3、TRAMP、Apo−3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL−R2、TRICK2、およびDR6を含む受容体分子;ならびにCaspase(ICE)が含まれる。
【0178】
他の例示的なアジュバントには、限定はしないが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、STIMULON(商標)QS−21(Aquila Biopharmaceuticals,Inc.、Framingham、Mass.)、MPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A、Corixa、Hamilton、Mont.)、529(アミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物、Corixa、Hamilton、Mont.)、IL−12(Genetics Institute、Cambridge、Mass.)、GM−CSF(Immunex Corp.、Seattle、Wash.)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノル−ムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(ノルMDPと呼ばれるCGP11637)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシエチルアミン)(MTP−PEと呼ばれるCGP19835A)、およびコレラ毒素が含まれる。特定の好ましい実施形態において、アジュバントはQS−21である。
【0179】
さらなる例示的なアジュバントには、そのAサブユニットを含むコレラ毒素の無毒誘導体、および/あるいは、髄膜炎菌(N.meningitidis)ポリペプチドと、コレラ毒素もしくはそのBサブユニット(「CTB」)、プロコレラゲノイド、シゾフィランを含む真菌多糖、ムラミルジペプチド、ムラミルジペプチド(「MDP」)誘導体、ホルボールエステル、大腸菌(E.coli)の易熱性毒素、ブロックポリマー、またはサポニンとの、コンジュゲートまたは遺伝子操作された融合体が含まれる。
【0180】
リン酸アルミニウムは、第1相臨床試験において、米国連邦規制基準[610.15(a)]によって特定されている0.85mg/投与の限界よりかなり低い濃度0.125mg/投与まで、アジュバントとして用いられている。アルミニウム含有アジュバントは、筋肉内または皮下に投与される場合に抗原の免疫応答を強化するために、ヒトにおいて広く用いられている。一部の実施形態において、免疫原性組成物におけるアルミニウムの濃度は、0.125μg/mlと0.5μg/mlとの間、0.20μg/mlと0.40μg/mlとの間、または0.20μg/mlと0.30μg/mlとの間である。一部の実施形態において、免疫原性組成物におけるアルミニウムの濃度は、約0.125μg/ml、約0.15μg/ml、約0.175μg/ml、約0.20μg/ml、約0.225μg/ml、約0.25μg/ml、約0.275μg/ml、約0.30μg/ml、約0.325μg/ml、約0.35μg/ml、約0.375μg/ml、約0.40μg/ml、約0.425μg/ml、約0.45μg/ml、約0.475μg/ml、または約0.50μg/mlである。
【0181】
好ましい実施形態において、免疫原性組成物におけるアルミニウムの濃度は、0.125mg/mlと0.5mg/mlとの間、0.20mg/mlと0.40mg/mlとの間、または0.20mg/mlと0.30mg/mlとの間である。一部の実施形態において、免疫原性組成物におけるアルミニウムの濃度は、約0.125mg/ml、約0.15mg/ml、約0.175mg/ml、約0.20mg/ml、約0.225mg/ml、約0.25mg/ml、約0.275mg/ml、約0.30mg/ml、約0.325mg/ml、約0.35mg/ml、約0.375mg/ml、約0.40mg/ml、約0.425mg/ml、約0.45mg/ml、約0.475mg/ml、または約0.50mg/mlである。
【0182】
免疫応答を増強させるために用いられる適切なアジュバントにはさらに、限定はしないが、米国特許第4,912,094号において記載されているMPL(商標)(3−O−脱アシル化モノホスホリル脂質A、Corixa、Hamilton、MT)が含まれる。アジュバントとしての使用に同様に適切なものは、Corixa(Hamilton、MT)から入手可能であり、米国特許第6,113,918号において記載されている、合成脂質A類似体もしくはアミノアルキルグルコサミンホスフェート化合物(AGP)、またはその誘導体もしくは類似体である。1つのこのようなAGPは、529としても知られている(以前はRC529として知られていた)、2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル−2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル]−2−[(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル−アミノ]−b−D−グルコピラノシドである。この529アジュバントは、水性形態(AF)として、または安定なエマルジョン(SE)として製剤される。
【0183】
さらに他のアジュバントには、ムラミルペプチド、例えば、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチルノルムラミル−L−アラニン−2−(1’−2’ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン(MTP−PE);水中油型エマルジョン、例えば、MF59(米国特許第6,299,884号)(マイクロフルイダイザー、例えばModel 110Yマイクロフルイダイザー(Microfluidics、Newton、MA)を用いてサブミクロンの粒子に製剤された、5%スクアレン、0.5%ポリソルベート80、および0.5%SPAN85を含有する(様々な量のMTP−PEを含有していてもよい))、およびSAF(サブミクロンのエマルジョンにマイクロフルイダイズされているかまたはさらに大きな粒子サイズのエマルジョンを生成させるためにボルテックスされている、10%スクアレン、0.4%ポリソルベート80、5%のプルロニックでブロックされたポリマーL121、およびthr−MDPを含有する);不完全フロイントアジュバント(IFA);アルミニウム塩(ミョウバン)、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウム;AMPHIGEN;アブリジン;L121/スクアレン;D−ラクチド−ポリラクチド/グリコシド;プルロニックポリオール;死滅ボルデテラ属(Bordetella);サポニン、例えば、米国特許第5,057,540号において記載されているStimulon(商標)QS−21(Antigenics、Framingham、MA.)、米国特許第5,254,339号において記載されているISCOMATRIX(CSL Limited、Parkville、Australia)、および免疫刺激複合体(ISCOMATRIX);結核菌(Mycobacterium tuberculosis);細菌リポ多糖;合成ポリヌクレオチド、例えば、CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第6,207,646号);欧州特許第1,296,713号および欧州特許第1,326,634号において記載されているIC−31(Intercell AG、Vienna、Austria);百日咳毒素(PT)もしくはその突然変異体、コレラ毒素もしくはその突然変異体(例えば、米国特許第7,285,281号、米国特許第7,332,174号、米国特許第7,361,355号、および米国特許第7,384,640号);または大腸菌(E.coli)の易熱性毒素(LT)もしくはその突然変異体、特にLT−K63、LT−R72(例えば、米国特許第6,149,919号、米国特許第7,115,730号、および米国特許第7,291,588号)が含まれる。
【0184】
非脂質化P2086抗原を産生する方法
1つの態様において、本発明は、ピルビル化されていない非脂質化ORF2086ポリペプチドを産生する方法に関する。本方法は、対応する野生型配列と比較してN末端システインが欠失しているORF2086ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現させることを含み、このヌクレオチド配列は、細菌細胞において発現され得る発現系に作動可能に連結している。本方法によって産生される例示的なポリペプチドには、本明細書において記載されるあらゆるポリペプチドが含まれる。例えば、好ましくは、ポリペプチドは、対応する野生型配列と比較して1位のシステインが欠失している、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号58、配列番号70で示されるアミノ酸配列を有する。別の好ましい実施形態において、ポリペプチドは、1位のシステインが欠失している配列番号76に記載のアミノ酸配列を有する。さらなる例示的なポリペプチドには、配列番号44、配列番号49、配列番号50、配列番号55、配列番号57、配列番号62、配列番号64、配列番号66、配列番号68、配列番号71、および配列番号75から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。さらなる例示的なポリペプチドには配列番号77のアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。さらなる例には配列番号80(B24)および配列番号81(B24)が含まれる。本方法はさらに、ポリペプチドを精製することを含む。
【0185】
一部の実施形態において、本発明は、ORF2086変異体の核酸配列を、脂質化制御配列を有さない大腸菌(E.coli)発現ベクター内にクローニングするステップ、大腸菌(E.coli)細菌をORF2086発現ベクターで形質転換するステップ、発現を誘発するステップ、および発現したP2086タンパク質を単離するステップを含む、可溶性の非脂質化P2086抗原を産生するための方法を提供する。一部の実施形態において、発現は、IPTGを用いて誘発される。
【0186】
一部の実施形態において、ORF2086変異体のN末端Cysのコドンは欠失している。このようなコドンの例には、TGCが含まれる。一部の実施形態において、ORF2086変異体のN末端Cysのコドンは、Alaコドン、Glyコドン、またはValコドンを生成するための点突然変異生成によって突然変異している。一部の実施形態において、SerコドンおよびGlyコドンがORF2086変異体のN末端尾部に付加されて、N末端Cysのすぐ下流のGly/Serストークを伸長する。一部の実施形態において、Gly/Serストーク内のGly残基およびSer残基の総数は、少なくとも7、8、9、10、11、または12である。一部の実施形態において、N末端Cysのコドンは欠失している。一部の実施形態において、N末端の7、8、9、10、11、または12個の残基は、GlyまたはSerである。
【0187】
一部の実施形態において、非脂質化ORF2086変異体のN末端尾部のコドンは、点突然変異生成によって最適化されている。一部の実施形態において、非脂質化ORF2086変異体のN末端尾部は、B09変異体のN末端尾部に適合するように最適化されている。一部の実施形態において、ORF2086変異体のN末端尾部のコドンは、ORF2086変異体の5番目のアミノ酸をコードするコドンが配列番号8のヌクレオチド13〜15に100%同一となり、ORF2086変異体の13番目のアミノ酸をコードするコドンが配列番号8のヌクレオチド37〜39に100%同一となるような点突然変異生成によって最適化されている。一部の実施形態において、非脂質化ORF2086変異体のN末端尾部は、5’の45個の核酸が配列番号8の核酸1〜45に100%同一となるように最適化されている。一部の実施形態において、非脂質化ORF2086変異体のN末端尾部は、5’の42個の核酸が配列番号8の核酸4〜45に100%同一となるように最適化されている。一部の実施形態において、非脂質化ORF2086変異体のN末端尾部は、5’の39個の核酸が配列番号8の核酸4〜42に100%同一となるように最適化されている。一部の実施形態において、非脂質化P2086変異体のN末端尾部は、配列番号18のアミノ酸1〜15と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、非脂質化P2086変異体のN末端尾部は、配列番号18のアミノ酸1〜15と比較して2つのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、非脂質化P2086変異体のN末端尾部は、配列番号18のアミノ酸2〜15と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、非脂質化P2086変異体のN末端尾部は、配列番号18のアミノ酸2〜15と比較して2つのアミノ酸置換を含む。一部の実施形態において、アミノ酸置換は、保存的なアミノ酸置換である。
【0188】
一部の実施形態において、非脂質化変異体のコドンは、発現が増大するように最適化されている。コドンの最適化は、当技術分野において知られている。例えば、Sastallaら、Applied and Environmental Microbiology、vol.75(7):2099〜2110(2009)、およびColemanら、Science、vol.320:1784(2008)を参照されたい。一部の実施形態において、コドンの最適化は、特定のDNA配列を含めながらおよび/または排除しながら、アミノ酸配列のコドン利用を、選択された宿主生物のコドン頻度とマッチさせることを含む。一部の実施形態において、コドンの最適化はさらに、対応するmRNA二次構造を最小化して、翻訳障害を低減させることを含む。一部の実施形態において、N末端尾部は、配列番号28、30、32、および34のいずれか1つを含むようにコドンを最適化されている。一部の実施形態において、Gly/Serストークは、配列番号28、30、32、および34のいずれか1つを含むようにコドンを最適化されている。
【0189】
本発明がより良く理解され得るように、以下の実施例を示す。実施例は説明を目的としたものにすぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0190】
免疫原性組成物製剤
特定の実施形態において、本発明の免疫原性組成物はさらに、アジュバント、緩衝液、凍結保護物質、塩、二価陽イオン、非イオン性洗剤、フリーラジカル酸化の阻害剤、希釈剤、または担体の少なくとも1つを含む。
【0191】
本発明の免疫原性組成物はさらに、複数の髄膜炎菌タンパク質抗原および莢膜多糖−タンパク質コンジュゲートに加えて、1つまたは複数の防腐剤を含む。FDAは、わずかな例外を除いて、複数回用量(多用量)バイアル内の生物学的生成物が防腐剤を含有することを求めている。防腐剤を含有するワクチン生成物には、塩化ベンゼトニウム(炭疽)、2−フェノキシエタノール(DTaP、A型肝炎、ライム病、ポリオ(非経口))、フェノール(肺炎、腸チフス(非経口)、ワクシニア)、およびチメロサール(DTaP、DT、Td、B型肝炎、Hib、インフルエンザ、JE、髄膜症、肺炎、狂犬病)を含有するワクチンが含まれる。注射可能な薬剤における使用に認可されている防腐剤には、例えば、クロロブタノール、m−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、2−フェノキシエタノール、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、フェノール、チメロサール、および硝酸フェニル水銀が含まれる。
【0192】
本発明の製剤はさらに、緩衝液、塩、二価陽イオン、非イオン性洗剤、凍結保護物質、例えば糖、および抗酸化剤、例えばフリーラジカルスカベンジャー、もしくはキレート剤の1つもしくは複数、またはそのあらゆる複数の組み合わせを含み得る。あらゆる1つの成分、例えばキレート剤の選択によって、別の成分(例えばスカベンジャー)が望ましいか否かが決定され得る。投与のために製剤された最終組成物は、無菌であり、かつ/または発熱性物質を有さない。当業者は、所要の特定の保存条件および投与条件などの様々な因子に応じて、これらのおよび他の成分のどの組み合わせが、防腐剤を含有する本発明の免疫原性組成物に含めるために最適であるかを、経験的に決定することができる。
【0193】
特定の実施形態において、非経口投与に適合する本発明の製剤は、限定はしないが、Tris(トリメタミン)、ホスフェート、アセテート、ボレート、シトレート、グリシン、ヒスチジン、およびスクシネートから選択される、1つまたは複数の生理学的に許容できる緩衝液を含む。特定の実施形態において、製剤は、約6.0から約9.0、好ましくは約6.4から約7.4のpH範囲内に緩衝される。
【0194】
特定の実施形態において、本発明の免疫原性組成物または製剤のpHを調整することが望ましい場合がある。本発明の製剤のpHは、当技術分野における標準的な技術を用いて調整することができる。製剤のpHは、3.0と8.0との間に調整することができる。特定の実施形態において、製剤のpHは、3.0と6.0との間、4.0と6.0との間、または5.0と8.0との間であり得るか、またはそれに調整することができる。他の実施形態において、製剤のpHは、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約5.8、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、または約8.0であり得るか、またはそれに調整することができる。特定の実施形態において、pHは、4.5から7.5、または4.5から6.5、5.0から5.4、5.4から5.5、5.5から5.6、5.6から5.7、5.7から5.8、5.8から5.9、5.9から6.0、6.0から6.1、6.1から6.2、6.2から6.3、6.3から6.5、6.5から7.0、7.0から7.5、または7.5から8.0の範囲であり得るか、またはそれに調整することができる。具体的な実施形態において、製剤のpHは約5.8である。
【0195】
特定の実施形態において、非経口投与に適合する本発明の製剤は、限定はしないが、MgCl
2、CaCl
2、およびMnCl
2を含む、1つまたは複数の二価陽イオンを、約0.1mMから約10mMの範囲の濃度で含み、最大約5mMが好ましい。
【0196】
特定の実施形態において、非経口投与に適合する本発明の製剤は、非経口投与の際に対象に対して生理学的に許容できるイオン強度で存在し、最終製剤において、選択されたイオン強度またはモル浸透圧濃度をもたらすような最終濃度で含まれる、限定はしないが、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、および硫酸カリウムを含む、1つまたは複数の塩を含む。製剤の最終イオン強度または重量モル浸透圧濃度は、複数の成分(例えば、緩衝化合物(1つまたは複数)に由来するイオン、および他の非緩衝塩)によって決定される。好ましい塩であるNaClは、最大約250mMの範囲で存在し、塩濃度は、他の成分(例えば糖)を補って製剤の最終総モル浸透圧濃度が非経口投与(例えば、筋肉内注射または皮下注射)に適合するように、また様々な温度範囲にわたって免疫原性組成物製剤の免疫原性成分の長期の安定性を促進するように、選択される。無塩製剤は、増大した範囲の1つまたは複数の選択された凍結保護物質に対して耐性を有して、所望の最終モル浸透圧濃度レベルを維持する。
【0197】
特定の実施形態において、非経口投与に適合する本発明の製剤は、限定はしないが、二糖(例えば、ラクトース、マルトース、ショ糖、またはトレハロース)およびポリヒドロキシ炭化水素(例えば、ズルシトール、グリセロール、マンニトール、およびソルビトール)から選択される、1つまたは複数の凍結保護物質を含む。
【0198】
特定の実施形態において、製剤のモル浸透圧濃度は、約200mOs/Lから約800mOs/Lの範囲であり、好ましい範囲は、約250mOs/Lから約500mOs/L、または約300mOs/L〜約400mOs/Lである。無塩製剤は、例えば、約5%から約25%のショ糖、好ましくは約7%から約15%、または約10%から約12%のショ糖を含有し得る。あるいは、無塩製剤は、例えば、約3%から約12%のソルビトール、好ましくは約4%から7%、または約5%から約6%のソルビトールを含有し得る。塩化ナトリウムなどの塩が添加されると、ショ糖またはソルビトールの効果的な範囲は比較的減少する。これらのおよび他のこのような重量モル浸透圧濃度およびモル浸透圧濃度の考慮は、十分に当技術分野の技術の範囲内である。
【0199】
特定の実施形態において、非経口投与に適合する本発明の製剤は、1つまたは複数のフリーラジカル酸化阻害剤および/またはキレート剤を含む。様々なフリーラジカルスカベンジャーおよびキレート剤が、当技術分野において知られており、本明細書において記載される製剤および使用方法に適用される。例には、限定はしないが、エタノール、EDTA、EDTA/エタノールの組み合わせ、トリエタノールアミン、マンニトール、ヒスチジン、グリセロール、クエン酸ナトリウム、イノシトールヘキサホスフェート、トリポリホスフェート、アスコルビン酸/アスコルベート、コハク酸/スクシネート、リンゴ酸/マレエート、デスフェラール、EDDHAおよびDTPA、ならびに上記の2つ以上の様々な組み合わせが含まれる。特定の実施形態において、少なくとも1つの非還元性フリーラジカルスカベンジャーを、製剤の長期の安定性を効果的に増強させる濃度で添加することができる。スカベンジャーおよび二価陽イオンなどの1つまたは複数のフリーラジカル酸化阻害剤/キレート剤をまた、様々な組み合わせで添加することができる。キレート剤の選択によって、スカベンジャーの添加が必要であるか否かが決定される。
【0200】
特定の実施形態において、非経口投与に適合する本発明の製剤は、限定はしないが、BRIJ58、BRIJ35、およびその他、例えばトリトンX−100、トリトンX−114、NP40、SPAN85、およびプルロニックシリーズの非イオン性界面活性剤(例えば、プルロニック121)を含む、限定はしないが、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート−80(TWEEN80)、ポリソルベート−60(TWEEN60)、ポリソルベート−40(TWEEN40)、およびポリソルベート−20(TWEEN20)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む、1つまたは複数の非イオン性界面活性剤を含み、好ましい成分は、約0.001%から約2%(最大約0.25%が好ましい)の濃度のポリソルベート−80、または約0.001%から1%(最大約0.5%が好ましい)の濃度のポリソルベート−40である。
【0201】
特定の実施形態において、本発明の製剤は、非経口投与に適切な1つまたは複数のさらなる安定剤、例えば、少なくとも1つのチオール(−SH)基(例えば、システイン、N−アセチルシステイン、還元型グルタチオン、ナトリウムチオグリコレート、チオスルフェート、モノチオグリセロール、またはその混合物)を含む還元剤を含む。あるいは、または場合によって、本発明の、防腐剤を含有する免疫原性組成物製剤は、酸素を保存容器から除去すること、製剤を光から保護することによって(例えば、琥珀色ガラス容器を用いることによって)さらに安定化され得る。
【0202】
本発明の、防腐剤を含有する免疫原性組成物製剤は、1つまたは複数の薬学的に許容できる希釈剤、担体または賦形剤を含み得、賦形剤には、それ自体は免疫応答を誘発しないあらゆる賦形剤が含まれる。適切な賦形剤には、限定はしないが、タンパク質、糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、ショ糖(Paolettiら、2001、Vaccine、19:2118)、トレハロース、ラクトース、および脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)などの高分子が含まれる。このような希釈剤、賦形剤および/または担体は、当業者に周知である。薬学的に許容できる賦形剤は、例えば、Gennaro、2000、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、ISBN:0683306472において論じられている。
【0203】
本発明の組成物は、凍結乾燥され得るか、または水性形態、すなわち溶液もしくは懸濁液であり得る。液体製剤は、有利には、それらのパッケージされた形態から直接的に投与され得、したがって、さもなければ本発明の凍結乾燥組成物に必要な水性媒質における再構成をする必要なく、注射に理想的である。
【0204】
対象への本発明の免疫原性組成物の直接的な送達は、非経口投与(筋肉内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、または組織の間質性空間へ)によって、または直腸投与、経口投与、膣投与、局所投与、経皮投与、鼻腔内投与、眼投与、耳投与、肺投与、もしくは他の粘膜投与によって行うことができる。好ましい実施形態において、非経口投与は、筋肉内注射によって、例えば、対象の大腿部または上腕に行われる。注射は、針(例えば皮下注射針)を介して行うことができるが、無針注射も代わりに用いることができる。例示的な筋肉内用量は、0.5mLである。本発明の組成物は、例えば液体溶液または懸濁液としての注射のために、様々な形態で調製することができる。特定の実施形態において、組成物は、肺投与のために粉末またはスプレーとして、例えば吸入器において調製することができる。他の実施形態において、組成物は、坐剤もしくはペッサリーとして調製することができるか、または、鼻投与、耳投与、もしくは眼投与のために、例えばスプレー、ドロップ、ゲル、もしくは粉末として調製することができる。
【0205】
特定の免疫原性組成物のための成分の最適な量は、対象における適切な免疫応答の観察を伴う標準的な研究によって確認することができる。初回ワクチン接種の後、対象に、適切に間隔をあけた1回または複数回の追加免疫化を行うことができる。
【0206】
パッケージングおよび投与形態
本発明の免疫原性組成物は、単位用量形態または多用量形態(例えば、2回用量、4回用量、またはそれ以上)にパッケージすることができる。多用量形態では、バイアルが典型的であるが、充填済みシリンジよりも必ずしも好ましいというわけではない。適切な多用量フォーマットには、限定はしないが、容器当たり2から10回用量で、用量当たり0.1から2mLのものが含まれる。特定の実施形態において、用量は0.5mL用量である。例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、国際特許出願WO2007/127668を参照されたい。
【0207】
組成物は、バイアルもしくは他の適切な保存容器内に存在し得るか、または充填済み送達装置、例えば、針を有していてもいなくてもよい、単一成分シリンジもしくは複数成分シリンジ内に存在し得る。シリンジは、典型的には、単回用量の本発明の防腐剤を含有する免疫原性組成物を含有するが、必ずしもそうである必要はなく、多用量の充填済みシリンジもまた構想される。同様に、バイアルは、単回用量を含み得るが、代わりに複数回用量を含んでいてもよい。
【0208】
効果的な投与量容積は、通常通り決定することができるが、注射のための組成物の例示的な用量は、0.5mLの容積を有する。特定の実施形態において、用量は、ヒト対象への投与のために製剤される。特定の実施形態において、用量は、成人、十代、青年、幼児、または乳児(すなわち、1歳以下)のヒト対象への投与のために製剤され、好ましい実施形態においては注射によって投与することができる。
【0209】
本発明の液体免疫原性組成物はまた、凍結乾燥形態の他の免疫原性組成物を再構成するために適切である。免疫原性組成物をこのような即時の再構成に用いる場合、本発明は、2つ以上のバイアル、2つ以上の充填済みシリンジ、またはそれぞれの1つもしくは複数を有するキットを提供し、シリンジの内容物は注射の前にバイアルの内容物を再構成するために用いられ、または逆の場合も同様である。
【0210】
あるいは、本発明の免疫原性組成物は、それらを調製するために用いられる正確な方法を変化させることによって選択および制御され得る平均直径サイズなどの粒子特徴を有するマイクロペレットまたはミクロスフェアなどの、乾燥した通常の形状の(例えば球状の)粒子を形成するための、技術分野において周知の凍結乾燥のための多数の方法の1つを例えば用いて、凍結乾燥および再構成することができる。免疫原性組成物はさらに、マイクロペレットまたはミクロスフェアなどの個別の乾燥した通常の形状の(例えば球状の)粒子と共に場合によって調製され得るかまたは前記粒子内に含有され得るアジュバントを含み得る。このような実施形態において、本発明はさらに、安定化された乾燥免疫原性組成物を含み、1つまたは複数の本発明の防腐剤をさらに包含していてもよい、第1の成分、および第1の成分を再構成するための無菌の水性溶液を含む第2の成分を含む、免疫原性組成物キットを提供する。特定の実施形態において、水性溶液は、1つまたは複数の防腐剤を含み、少なくとも1つのアジュバントを含んでいてもよい(例えば、参照することによって本明細書に組み込まれる、WO2009/109550を参照されたい)。
【0211】
さらに別の実施形態において、多用量フォーマットの容器は、限定はしないが、通常の実験用ガラス製品、フラスコ、ビーカー、メスシリンダー、発酵槽、バイオリアクター、管類、パイプ、袋、瓶、バイアル、バイアル密閉器(例えば、ゴムストッパー、ねじ式キャップ)、アンプル、シリンジ、二チャンバシリンジまたは多チャンバシリンジ、シリンジストッパー、シリンジプランジャー、ゴム密閉器、プラスチック密閉器、ガラス密閉器、カートリッジ、および使い捨てのペンなどからなる群の1つまたは複数から選択される。本発明の容器は、製造の材料によって限定されず、ガラス、金属(例えば、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなど)、およびポリマー(例えば、熱可塑性物質、エラストマー、熱可塑性エラストマー)などの材料を含む。特定の実施形態において、このフォーマットの容器は、ブチルストッパーを有する5mLのSchott Type 1ガラスバイアルである。当業者には、上記で説明されたフォーマットが決して包括的な列挙ではなく、単に、本発明に利用可能な様々なフォーマットに関して当業者に助言するためのものであることが理解されよう。本発明において用いるために検討されるさらなるフォーマットは、United States Plastic Corp.(Lima、OH)、VWRなどの実験機器の販売者および製造者から発行されたカタログにおいて見ることができる。
【実施例】
【0212】
(実施例1):実験手順
血清殺菌アッセイ
カニクイザル(Cynomolgus macaques)(n=5/群)を、AlPO
4に吸着させたrLP2086タンパク質またはrP2086(A+B)タンパク質を用いて筋肉内で免疫化した。カニクイザルは、非ヒト霊長類の例である。動物に、0週目、4週目、および24週目にワクチン接種し、ORF2086特異的IgGおよび機能的抗体の力価を、0週目、4週目、6週目、および26週目に決定した。血清のORF2086特異的IgGの力価を、rLP2086AおよびBに対して決定した。
【0213】
機能的抗体の力価を、ワクチン内に含有される配列に相同または異種の配列を有するLP2086を発現する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)株に対する血清殺菌アッセイ(SBA)によって試験した。
【0214】
ORF2086ワクチンで免疫化されたマカクまたはウサギにおける血清殺菌抗体を、ヒト補体を用いるSBAを用いて決定した。ウサギ免疫血清またはマカク免疫血清を加熱不活化して、固有の補体活性を除去し、その後、96ウェルマイクロタイタープレート内で、Ca2+およびMg2+を有するダルベッコPBS(D−PBS)内に1:2で連続希釈して、髄膜炎菌(N.meningitidis)株に対する血清の殺菌活性について試験した。このアッセイにおいて用いられる細菌は、Kellogg補助物質を補ったGC培地(GCK)において成長させ、650nmでの光学密度によってモニタリングした。細菌を、0.50〜0.55の最終OD
650で、アッセイにおいて用いるために採取し、D−PBS内に希釈し、1000〜3000CFUを、20%ヒト補体を有するアッセイ混合物に添加した。
【0215】
検出可能な殺菌活性を有さないヒト血清を、外因性の補体源として用いた。補体源を、それぞれの個別の試験株に対する適合性について試験した。補体源は、免疫血清を添加していない対照において生存している細菌の数が75%を超える場合にのみ用いた。10の固有の補体源が、この研究において記載されているSBAを行うために必要であった。
【0216】
37℃、5%CO
2での30分間のインキュベーションの後、D−PBSを反応混合物に添加し、アリコートを、50%GCK培地で満たされたマイクロフィルタープレートに移した。マイクロフィルタープレートを濾過し、37℃、5%CO
2で一晩インキュベートし、ミクロコロニーを染色および定量した。血清の殺菌力価は、免疫血清を有さない対照ウェルにおけるCFUと比較してCFUが50%低減した血清希釈の、補間された逆数として定義した。SBAの力価は、37℃で30分間のインキュベーションの後の細菌数における50%の低減を引き起こす試験血清の補間された希釈の逆数として定義する。ORF2086免疫血清での死滅に対する感受性は、対応する免疫前血清と比較してORF2086免疫血清についてのSBA力価が4倍以上上昇する場合に定めた。開始希釈でアッセイ株に対して陰性であった血清には、アッセイでの検出限界の2分の1の力価(すなわち4)が付与された。
【0217】
(実施例2):非脂質化ORF2086変異体のクローニングおよび発現
髄膜炎菌(N.meningitidis)株M98250771(A05)の残基27〜286に対応する成熟P2086アミノ酸配列は、ゲノムDNAからのPCR増幅に元々由来するものであった。配列TGCCATATGAGCAGCGGAAGCGGAAG(配列番号22)を有するフォワードプライマーは、5’配列にアニーリングされ、クローニングのためのNdeI部位を含有していた。配列CGGATCCCTACTGTTTGCCGGCGATGC(配列番号23)を有するリバースプライマーは、遺伝子の3’末端にアニーリングされ、制限部位BamHIの前にある終結コドンTAGを含有していた。799bpの増幅断片をまず、中間ベクターPCR2.1(Invitrogen、Carlesbac、CA)内にクローニングした。このプラスミドをNdeIおよびBamHIで切断し、NdeIおよびBamHIで切断されている発現ベクターpET9a(Novagen、Madison、WI)内にライゲーションした。得られたベクターpLA100(これは配列番号54を含む)は、脂質化タンパク質内に存在するN末端システインを有さない株M98250771(1位のN末端Cysが欠失している配列番号13、または配列番号55を参照されたい)から、成熟サブファミリーA05 P2086を発現した。BLR(DE3)大腸菌(E.coli)宿主株[F−ompT hsdSB(rB−mB−)gal dcmΔ(srl−recA)306::Tn10(TetR)(DE3)](Novagen)を用いて、fHBPの発現を得た。
【0218】
同一のクローニングステップを用いて、N末端Cysが欠失した変異体B02、B03、B09、B22、B24、B44、A04、A12、およびA22を調製した。N末端Cysを含有する変異体もまた、Cysコドン(例えば、配列番号1〜11の最初のコドン)も含むフォワードプライマーを用いて、この同一の方法によって調製した。本明細書において提供される配列に基づいて、当業者であれば、これらの変異体のそれぞれについてフォワードプライマーおよびリバースプライマーを設計し得よう。例えば、以下のプライマーを用いてB44非脂質化変異体を増幅し、その後、NdeIおよびBlpIを用いてpET9a内にクローニングした。
【0219】
【表1】
【0220】
結果
非脂質化プラスミド構築物は強力に発現されたが、非脂質化タンパク質変異体は、N末端Cys残基でピルビル化されていた。例えば構築物を発現させる方法を説明する、実施例8および9を参照されたい。このピルビル化を克服するために、N末端Cysコドンを欠失させた。例えば実施例10を参照されたい。N末端Cysの欠失は、しかし、A22変異体およびB22変異体の発現を無効にした。例えば
図4を参照されたい。A05変異体、B01変異体、およびB44変異体は、しかし、N末端Cys残基が欠失しているにもかかわらず、依然として発現した。例えば、1位のN末端Cysが欠失している配列番号13(A05)、配列番号35(B01のN末端)、および1位のN末端Cysが欠失している配列番号21(B44)を参照されたい。例えば
図5を参照されたい。さらに、非脂質化B09変異体の発現は、N末端Cys残基の欠失によって影響されなかった。例えば実施例4を参照されたい。
【0221】
(実施例3):非脂質化変異体の発現に対するGly/Serストークの影響
なぜA05変異体、B01変異体、およびB44変異体がN末端Cysの不存在下で発現し、A22変異体およびB22変異体が発現しなかったのかを解明するために、これらの変異体の配列をアラインした。A05変異体、B01変異体、およびB44変異体はすべて、N末端Cysの直後の、伸長した一連の10個または11個のGly残基およびSer残基(すなわちGly/Serストーク)を有している。A22変異体およびB22変異体は、しかし、6個のGly残基およびSer残基からなるGly/Serストークを有していたにすぎない。したがって、A22変異体およびB22変異体のGly/Serストークを、さらなるGly残基およびSer残基の挿入によって拡張した。
【0222】
長いGly/Serストーク変異体を、10個または11個のGly残基およびSer残基を有するGly/Serストークをコードするフォワードプライマーを用いて、実施例2において記載されている方法によって調製した。
【0223】
N末端Cysが欠失した長いGly/Serストーク(10〜11個のGly/Ser残基)のA22変異体およびB22変異体は、N末端Cysが欠失した短いGly/Serストーク(6個のGly/Ser残基)変異体A22およびB22よりも増大した発現を示した。これらの発現レベルは、しかし、A05変異体、B01変異体、およびB44変異体の発現レベルと比較して依然として低減した。
【0224】
(実施例4):コドンの最適化
非脂質化B09変異体の発現は、N末端Cys残基の欠失によって影響されなかった(1位のシステインが欠失している配列番号18、または配列番号49を参照されたい)。例えば
図6を参照されたい。B09変異体の配列の評価は、B09変異体が、A22変異体およびB22変異体のGly/Serストークと同様に、6個のGly残基およびSer残基からなるGly/Serストークを有することを示した。実際、B09変異体およびA22変異体のN末端尾部は、アミノ酸レベルで同一である。B09変異体およびA22変異体(それぞれ配列番号53および42)のN末端尾部は、しかし、核酸レベルで、2つの核酸、すなわち配列番号8の核酸15および39が異なる。例えば
図6を参照されたい。B22変異体のN末端尾部の最初の14個のアミノ酸は、B09変異体およびA22変異体に同一であり、B22変異体のN末端尾部は、15番目のアミノ酸で異なるにすぎない。B22変異体の核酸1〜42は、A22変異体の核酸1〜42に同一である。B22変異体(配列番号52を参照されたい)の核酸1〜42は、最適にアラインした場合、B09(配列番号53を参照されたい)の核酸1〜42に同一であるが、核酸15および39で異なる。したがって、B22変異体は、B09変異体と、配列番号8のアミノ酸15および39で異なる。この最後の文は誤植を含んでおり、B22変異体がB09変異体と配列番号8の核酸15および39で異なることを述べるものである。
【0225】
核酸の違いが、A22変異体およびB22変異体と比較してB09変異体の発現レベルに影響したかを決定するために、A22変異体およびB22変異体を点突然変異によって突然変異させて、核酸15および39をGly5およびGly13の対応するコドン内に組み込んだ。これらのサイレント核酸突然変異の組み込みは、N末端Cysが欠失した変異体A22およびB22の発現を、N末端Cysが欠失したB09変異体に類似のレベルまで有意に増大させた。例えば
図7を参照されたい。したがって、B09変異体にマッチさせるためのコドンの最適化は、N末端Cysが欠失した非脂質化P2086変異体の発現を増大させ得る。
【0226】
非脂質化変異体の配列のさらなる分析は、発現を向上させるための、Gly/Serストークにおけるさらなるコドン最適化を示唆した。したがって、さらなる非脂質化変異体を、このようなコドンを最適化された配列を含むフォワードプライマーを用いて、実施例2の方法によって構築した。最適化されたGly/Serストークを生成するために用いられるフォワードプライマーは、以下の配列のいずれかを含む:
ATGAGCTCTGGAGGTGGAGGAAGCGGGGGCGGTGGA(配列番号28)
MSSGGGGSGGGG(配列番号29)
ATGAGCTCTGGAAGCGGAAGCGGGGGCGGTGGA(配列番号30)
MSSGSGSGGGG(配列番号31)
ATGAGCTCTGGAGGTGGAGGA(配列番号32)
MSSGGGG(配列番号33)
ATGAGCAGCGGGGGCGGTGGA(配列番号34)
MSSGGGG(配列番号33)
【0227】
(実施例5):免疫原性組成物製剤の最適化
ISCOMATRIX製剤ワクチンは、迅速な免疫応答を生じさせ、その結果、血清殺菌アッセイにおいて測定される4倍を超える応答比率を達成するために必要な投与の数が低減する。5頭のアカゲザルからなる群を、二価の非脂質化rP2086ワクチンの異なる製剤で免疫化した。ワクチンは、ピルビル化されていない非脂質化A05変異体(1位のN末端Cysが欠失している配列番号13、または配列番号54によってコードされる配列番号55)およびピルビル化されていない非脂質化B44変異体(1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、または配列番号51によってコードされる配列番号44)を含んでいた。アジュバント単位は以下の通りである:AlPO
4は250mcgであり、ISCOMATRIXは10mcgと100mcgとの間である。表2〜5において示されるAlPO
4のアジュバント単位はミリグラム単位で示され、したがって、250mcgに対して0.25(ミリグラム)と示される。
【0228】
免疫化スケジュールは、0週目、4週目、および24週目であり、採血は0週目、4週目、6週目、および26週目であった。いずれの群でも、1回目投与後でSBA力価は増大しなかった。2回目投与後では、ベースラインに対するSBA力価の4倍の増大によって規定される、SBA力価およびレスポンダーの数の増大が、ISCOMATRIXアジュバントを含有する製剤で観察された。表2および3は、それぞれfHBPサブファミリーAおよびB株で観察されたSBA GMTを提供する。それぞれAおよびBサブファミリー株について、ISCOMATRIX製剤のSBA GMTは、AIPO4製剤について観察されたものよりも3〜19および4〜24倍高かった。増強した力価はまた、AIPO4製剤と比較して、それぞれfHBPサブファミリーAおよびB株について、13〜95および2〜10で、ISCOMATRIX製剤の3回目投与後に観察された。ベースラインに対するSBA力価の4倍以上の増大によって規定されるレスポンダー比率の分析は、類似の傾向を明らかにした(表4および5)。
【0229】
【表2】
【0230】
【表3】
【0231】
【表4】
【0232】
【表5】
【0233】
(実施例6):脂質化変異体および非脂質化変異体によって付与された免疫防御
組換えによって発現される非脂質化P2086変異体(B44)は、多様なfHBP変異体(約85%から約92%未満のID)のLP2086配列を示す株に対するSBAによって測定される広範な防御を誘発する。これらの応答比率を、AlPO
4と共に製剤された非脂質化ワクチンについて得た。二価のfHBPワクチンによって生じたサブファミリーB fHBP MnB株に対するSBA応答比率を示す表6を参照されたい。非脂質化ワクチン(「脂質化」の欄の下の「−」によって表される)は、タンパク質当たり1mcgの、ピルビル化されていない非脂質化A05変異体(1位のN末端Cysが欠失している配列番号13)およびピルビル化されていない非脂質化B44変異体(1位のN末端Cysが欠失している配列番号21)を含んでいた。
【0234】
あるいは、組換えによって発現される非脂質化P2086変異体(B44)は、類似の(92%を超えるID)および多様な(92%未満のID)LP2086配列を有する株に対して、脂質化変異体(B01)よりも、SBA力価によって測定される優れた免疫応答を誘発する。より高い応答比率(ベースラインに対するSBA力価の4倍の増大または大きさによって規定される)が、脂質化rLP2086 B01ワクチンと比較して、非脂質化rP2086 B44を含有するワクチンで観察された(表6)。
【0235】
表6によると、非脂質化B44は、複数のLP2086変異株に対する広い適用範囲をもたらす(例えば、殺菌性抗体を誘発する)ための、組成物におけるfHBPの好ましいサブファミリーB成分である。
【0236】
驚くべきことに、本発明者らは、LP2086 B09変異株が、異種の(非B09)ORF2086ポリペプチドに関して正のSBA応答比率を有する可能性が特に低いことに気付いた。特に、本発明者らは、LP2086 B09が、表6において記載されているA05/B44免疫原性組成物が殺菌性抗体を誘発した対象であるアッセイ株の例外であることを見出した。したがって、好ましい実施形態において、本発明の免疫原性組成物は、特に、2つ以上のORF2086サブファミリーBポリペプチドを含む組成物の背景において、B09ポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、非脂質化B44を含む免疫原性組成物はまた、非脂質化B09ポリペプチドを含み得る。
【0237】
【表6】
【0238】
(実施例7):B44変異体およびB09変異体のコドンの最適化
先の実施例において達成された発現レベルは多くの適用に適切であるが、さらなる最適化が望ましく、タンパク質の完全長にわたるさらなるコドン最適化を含有する大腸菌(E.coli)発現構築物を調製および試験した。Cysを有さないB44タンパク質の発現のための1つのこのような改良された配列は、配列番号43で示される核酸配列であることが見出された。実施例9において示されるように、配列番号43を含有する発現構築物は、最適化されていない野生型配列の発現と比較して増強した発現を示した。
【0239】
N末端Cysが欠失したB09タンパク質の発現は、上記の最適化されたB44(配列番号43)構築物からB09(配列番号48)へのコドンの変化を適用することによって向上した。最適化されたB09配列を生成するために、B44の最適化されたDNA配列(配列番号43)をまず、B09対立遺伝子(配列番号48)のDNA配列にアラインした。B09対立遺伝子(配列番号48)の非脂質化コード配列全体を最適化して、B44(配列番号44)とB09(配列番号49)との間のアミノ酸が同一であるところはすべて、B44の最適化された対立遺伝子(配列番号43)において見られるコドンの変化を反映させた。B09対立遺伝子とB44対立遺伝子との間の同一のアミノ酸に対応する、B09対立遺伝子におけるコドン配列を、B44の最適化された配列(配列番号43)において用いられるコドンを反映するように変化させた。B09(配列番号49)とB44(配列番号44)との間で異なるアミノ酸のコドン配列は、B09のDNA配列においては変化させなかった。
【0240】
さらに、非脂質化B44アミノ酸配列(配列番号44)は、そのN末端に2つの連続的なセリン−グリシン反復配列(S−G−G−G−G)(配列番号56)(配列番号44のアミノ酸2から6もまた参照されたい)を含有し、一方、B09対立遺伝子は、N末端にただ1つのセリン−グリシン反復を含有する(配列番号49のアミノ酸2から6およびアミノ酸7から11を参照されたい)。B44のN末端にある2つのセリン−グリシン反復(配列番号44のアミノ酸2から6およびアミノ酸7から11を参照されたい)はまた、異なるコドン使用頻度を有し(配列番号43のヌクレオチド4から18およびヌクレオチド19から33を参照されたい)、最適化されたB44のセリン−グリシン反復の異なる組み合わせ(例えば、配列番号43のヌクレオチド4から18、または配列番号43のヌクレオチド19から33、またはその組み合わせ)を、組換えタンパク質発現に対する影響を試験するために、B09のDNA配列に適用した(例えば、配列番号48のヌクレオチド4から18に適用された、配列番号48)。
【0241】
3つの異なる型の最適化されたB09を構築した:配列番号45は、最適化されたB44の両セリン−グリシン反復(GS1およびGS2)(配列番号43の核酸4から33)を含有し、配列番号46は、GS1(配列番号43の核酸4から18)を含有し、配列番号47は、GS2(配列番号43の核酸19から33)を含有する。上記のコドンを最適化された配列のすべてについてのDNAは、当技術分野の化学における標準を用いて化学的に合成された。得られたDNAを適切なプラスミド発現ベクター内にクローニングし、実施例8および9において記載されているように、大腸菌(E.coli)宿主細胞における発現について試験した。
【0242】
(実施例8):ORF2086、B09変異体を発現させるための方法
大腸菌(E.coli)K−12株(recA、fhuA、およびaraAの欠失を有する野生型W3110(CGSC4474)の誘導体)の細胞を、配列番号45を含むプラスミドpEB063、配列番号46を含むpEB064、配列番号47を含むプラスミドpEB065、または配列番号48を含むプラスミドpLA134で形質転換した。K−12株に対する好ましい修飾は、発酵目的に有用であるが、タンパク質の発現に必要ではない。
【0243】
細胞を、グルコース−塩規定培地に接種した。37℃で8時間インキュベートした後、線状グルコース流加物をアプライし、インキュベーションをさらに3時間続けた。イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMの最終濃度まで培養物に添加し、その後、37℃で12時間インキュベートした。細胞を、16,000×gで10分間にわたる遠心分離によって回収し、Lienco Technologies(St.Louis、MO)から入手したEasy−Lyse(商標)Cell Lysing Kit”、およびローディングバッファーを添加することによって溶解した。澄明化した溶解物を、SDS−PAGEゲルのクマシー染色および/またはウェスタンブロット分析によってB09の発現について分析し、走査デンシトメーターによって定量した。走査デンシトメトリーの結果を以下の表7に示す。
【0244】
【表7】
【0245】
(実施例9):ORF2086、B44変異体を発現させるための方法
大腸菌(E.coli)B株(BLR(DE3)、Novagen)の細胞を、配列番号51を含むプラスミドpLN056で形質転換した。大腸菌(E.coli)K−12株(野生型W3110の誘導体)の細胞を、配列番号43を含むプラスミドpDK087で形質転換した。細胞を、グルコース−塩規定培地に接種した。37℃で8時間インキュベートした後、線状グルコース流加物をアプライし、インキュベーションをさらに3時間続けた。イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.1mMの最終濃度まで培養物に添加し、その後、37℃で12時間インキュベートした。細胞を、16,000×gで10分間にわたる遠心分離によって回収し、Lienco Technologies(St.Louis、MO)から入手したEasy−Lyse(商標)Cell Lysing Kit”、およびローディングバッファーを添加することによって溶解した。上清を、SDS−PAGEゲルのクマシー染色および/またはウェスタンブロット分析によってB09の発現について分析し、走査デンシトメーターによって定量した。走査デンシトメトリーの結果を以下の表8に示す。
【0246】
【表8】
【0247】
(実施例10):ピルビル化
本実施例は、非脂質化ORF2086タンパク質のN末端Cys残基が、例えば大腸菌(E.coli)において発現した場合にピルビル化され得ることを示す。
【0248】
変異体A05(配列番号13)およびB44(配列番号21)の産生の間の異種タンパク質の蓄積を、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)を用いてモニタリングした。この分離を、四重極飛行時間型質量分析計(QTOF−MS)と連動させて、生成物に関連する変異体の形成をモニタリングする手段を提供する。
【0249】
大腸菌(E.coli)Bおよび/またはK−12宿主細胞において発現した後、これらの発酵に由来する生成物を精製手順に供し、その間に生成物の修飾が観察された。質量スペクトルのデコンボリューションは、それぞれA05およびB44について、変異体を、27640および27572Daの天然生成物と比較して+70Daの質量シフトを示すと特徴付けした。
【0250】
公開された文献は、+70Daの質量シフトがタンパク質においてこれまでに観察されており、アミノ末端残基のピルビル化に寄与していることを示した。
【0251】
ピルベート基の存在および位置を、質量スペクトルのフラグメンテーションデータ(MS/MS)を用いて確認した。データは、修飾が、A05およびB44に従うと、アミノ末端のシステイン残基、すなわち1位のアミノ酸にあることを示した。A05では、ピルビル化されたポリペプチドのパーセンテージは、A05ポリペプチド(配列番号13)の総数と比較して約30%であった。B44では、ピルビル化されたポリペプチドのパーセンテージは、B44ポリペプチド(配列番号21)の総数と比較して約25%であった。
【0252】
アミノ末端システインを含有しない、A05変異体(1位のN末端Cysが欠失している配列番号13、または配列番号55)およびB44変異体(1位のN末端Cysが欠失している配列番号21、または配列番号44)を精製すると、検出可能なピルビル化(+70Da)は存在しなかった。
【0253】
(実施例11):個別のおよび組み合わせたB09およびB44の免疫原性
5〜10群のアカゲザルを、用量当たり250mcgのAlPO
4と共に製剤されたB09変異体(配列番号48によってコードされる配列番号49)またはB44変異体(配列番号43によってコードされる配列番号44)、またはA05、B09、およびB44(それぞれ、配列番号55、配列番号48によってコードされる配列番号49、および配列番号43によってコードされる配列番号44)で免疫化した。サルを、表9および10において列挙されているような単独のまたは組み合わせた各10mcgの非脂質化fHBPで、0週目、4週目、および8週目に、筋肉内経路を介してワクチン接種した。0週目および12週目の両方で、血清試料を、サブファミリーAまたはサブファミリーBのfHBP変異体を用いるMnB株に対するSBAにおいて分析した。レスポンダーを、力価が4倍上昇した動物として記録した。試験したB44変異体は、最適化された構築物(配列番号43)であり、これまでの研究(上記の表)において観察された広い応答比率は、最適化された構築物(表9)である単独のまたはB09と組み合わされたB44ワクチンについて維持された。B09ワクチン単独(表10)もまた、広く交差反応性の免疫応答を生じさせ得た(表10)。
【0254】
【表9】
【0255】
アカゲザル(n=10)を、250mcgのAlPO
4と製剤した、ワクチンの欄において列挙されているような単独のまたは組み合わされた各10mcgの非脂質化fHBPで、0週目、4週目、および8週目にi.m.で免疫化した。0週目および10週目の両方の血清試料を、表において列挙されているMnB株に対するSBAにおいて分析した。レスポンダーを、力価が4倍上昇した動物として記録した。
【0256】
表9は、例えば、ピルビル化されていない非脂質化B44、B09、およびA05の組み合わせを含む組成物が、B44のみを含む組成物からの交差適用範囲と比較して、試験変異体に対するさらに高い交差適用範囲を示したことを示す。特に表6および表9を共に含む、本願において示される結果を考慮して、単独のまたは組み合わされたB44、B09、およびA05を含む組成物は、本発明の好ましい実施形態である。特に、B44およびB09の両方を含む組成物が開示される。このような組成物は、好ましくはさらに、特にA05などのサブファミリーAポリペプチドを含む。
【0257】
【表10】
【0258】
アカゲザル(n=5)を、250mcgのAlPO
4と製剤した、ワクチンの欄において列挙されているような単独のまたは組み合わされた各10mcgの非脂質化fHBPで、0週目、4週目、および8週目にi.m.で免疫化した。0週目および10週目の両方の血清試料を、表において列挙されているMnB株に対するSBAにおいて分析した。レスポンダーを、力価が4倍上昇した動物として記録した。
【0259】
(実施例12):脂質化変異体構築物および非脂質化変異体構築物によって付与された免疫防御
Charles River Canadaから入手した、2.5〜3.5kgの、20頭のメスのニュージーランドホワイトウサギを、全細胞ELISAによってプレスクリーニングし、10頭の動物を、fHBP変異体B02(配列番号16)およびB44(配列番号21)を示す試験株に対するそれらの低いバックグラウンド力価に基づいて、この研究のために選択した(表11)。3頭の動物からなる群を、0週目、4週目、および9週目に、0.5ml用量当たり50μgのISCOMATRIXと共に製剤された100μgの各タンパク質でi.m.で免疫化した(表12)。群1を、非脂質化B44(配列番号44)でワクチン接種した。対照群には、AlPO4(250mcg)と共に製剤された脂質化B01でワクチン接種されたものが含まれた。ウサギを、0週目、4週目、9週目、および10週目に採血した。10週目の個別の血清を調製し、fHBP Bサブファミリーの複数の血清群Bの髄膜炎菌株に対する血清殺菌アッセイによって分析した。
【0260】
【表11】
【0261】
【表12】
【0262】
血清殺菌アッセイ(SBA):複数の血清群Bの髄膜炎菌株(表13)に対する、マイクロコロニーに基づいた血清殺菌アッセイ(SBA)を、個別の血清試料に対して行った。ドナーのヒト血清は、アッセイにおいて試験される株のための補体源として適格であった。補体介在性の抗体依存性の殺菌力価を補間し、アッセイにおいて髄膜炎菌細胞の50%を死滅させた試験血清の希釈の逆数として表した。アッセイの検出限界は、SBA力価4であった。4未満のSBA力価には、数字2が付与された。採血前の力価と比較した、10週目の血清におけるSBA力価の4倍以上の上昇を計算し、比較した。
【0263】
SBAにおいて測定される血清殺菌抗体の活性は、髄膜炎菌性の疾患に対する防御の免疫学的代替手段である。非脂質化rfHBPでの免疫化の、ウサギにおける殺菌性抗体を誘発する能力を、SBAによって決定した。SBAは、天然に生じる補体介在性の細菌溶解を模倣することによって、血清試料における抗体のレベルを測定する。10週目から回収されたウサギ血清試料を、B44 fHBPまたはB02 fHBPを有する株に対するSBAによって分析した。表13において示されるように、第3回目の免疫化(10週目)の1週間後、すべての血清試料は、両試験株に対して殺菌活性を示した(表13)。非脂質化B44(配列番号44)は、これらの株に対して、ニュージーランドウサギにおいて、非脂質化B01よりも免疫原性であった。iscomatrixアジュバントと共に製剤された非脂質化B44(配列番号44)は、これらの株に対して、リン酸アルミニウムと共に製剤された脂質化B01に匹敵する力価をもたらした。ウサギの採血前の血清は、全体として、試験した株に対して既存の殺菌活性を示さなかった。
【0264】
【表13】
【0265】
(実施例13):ニュージーランドホワイトウサギにおける6個の非脂質化因子H結合タンパク質の免疫原性
5頭のウサギからなる群を、表14において記載されているように非脂質化fHBP変異体で免疫化した。ワクチンを、0週目、4週目、および9週目に投与した。0週目および10週目に回収されたウサギの血清試料を、相同なおよび異種のfHBP配列を有する株に対するSBAによって分析した。表14は、3回目の免疫化の後のレスポンダーパーセントを示す。3回目の免疫化(10週目)の1週間後、すべての血清試料は、相同な株および同一のfHBPサブファミリーの他の試験株に対して殺菌活性を示した。ウサギの採血前の血清は、全体として、試験した株に対して既存の殺菌活性を示さなかった。
【0266】
【表14】
【0267】
【表15】
【0268】
【表16】
【0269】
(実施例14):
>非脂質化A05(配列番号55)
SSGSGSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTFKVGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>pEB042(配列番号65)
ATGAGCTCTGGAAGCGGAAGCGGGGGCGGTGGAGTTGCAGCAGACATTGGAACAGGATTAGCAGATGCACTGACGGCACCGTTGGATCATAAAGACAAAGGCTTGAAATCGCTTACCTTAGAAGATTCTATTTCACAAAATGGCACCCTTACCTTGTCCGCGCAAGGCGCTGAAAAAACTTTTAAAGTCGGTGACAAAGATAATAGCTTAAATACAGGTAAACTCAAAAATGATAAAATCTCGCGTTTTGATTTCGTGCAAAAAATCGAAGTAGATGGCCAAACCATTACATTAGCAAGCGGTGAATTCCAAATATATAAACAAGACCATTCAGCAGTCGTTGCATTGCAAATTGAAAAAATCAACAACCCCGACAAAATCGACAGCCTGATAAACCAACGTTCCTTCCTTGTCAGCGGTTTGGGCGGTGAACATACAGCCTTCAACCAATTACCAAGCGGCAAAGCGGAGTATCACGGTAAAGCATTTAGCTCAGATGATGCAGGCGGTAAATTAACTTATACAATTGACTTTGCAGCAAAACAAGGACATGGCAAAATTGAACATTTAAAAACACCCGAACAGAACGTAGAGCTCGCATCCGCAGAACTCAAAGCAGATGAAAAATCACACGCAGTCATTTTGGGTGACACGCGCTACGGCAGCGAAGAAAAAGGTACTTACCACTTAGCTCTTTTTGGCGACCGAGCTCAAGAAATCGCAGGTAGCGCAACCGTAAAGATAAGGGAAAAGGTTCACGAAATTGGGATCGCGGGCAAACAATAA
>非脂質化A12(配列番号66)
SSGGGGSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKSLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQTITLASGEFQIYKQNHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPDGKAEYHGKAFSSDDPNGRLHYSIDFTKKQGYGRIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGGEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>pEB043(配列番号67)
ATGAGCTCTGGAGGTGGAGGAAGCGGGGGCGGTGGAGTTGCAGCAGACATTGGAGCAGGATTAGCAGATGCACTGACGGCACCGTTGGATCATAAAGACAAAAGTTTGCAGTCGCTTACCTTAGATCAGTCTGTCAGGAAAAATGAGAAACTTAAGTTGGCGGCGCAAGGCGCTGAAAAAACTTATGGAAACGGTGACAGCTTAAATACAGGTAAACTCAAAAATGATAAAGTCTCGCGTTTTGATTTCATTCGTCAAATCGAAGTAGATGGCCAAACCATTACATTAGCAAGCGGTGAATTCCAAATATATAAACAAAACCATTCAGCAGTCGTTGCATTGCAAATTGAAAAAATCAACAACCCCGACAAAATCGACAGCCTGATAAACCAACGTTCCTTCCTTGTCAGCGGTTTGGGCGGTGAACATACAGCCTTCAACCAATTACCAGACGGCAAAGCGGAGTATCACGGTAAAGCATTTAGCTCAGATGATCCGAACGGTAGGTTACACTATTCCATTGACTTTACCAAAAAACAAGGATACGGCAGAATTGAACATTTAAAAACGCCCGAACAGAACGTAGAGCTCGCATCCGCAGAACTCAAAGCAGATGAAAAATCACACGCAGTCATTTTGGGTGACACGCGCTACGGCGGCGAAGAAAAAGGTACTTACCACTTAGCCCTTTTTGGCGACCGCGCTCAAGAAATCGCAGGTAGCGCAACCGTAAAGATAAGGGAAAAGGTTCACGAAATTGGGATCGCGGGCAAACAATAA
>非脂質化A22(配列番号68)
SSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKSLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGGEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>pEB058(配列番号69)
ATGAGCTCTGGAGGTGGAGGAGTTGCAGCAGACATTGGAGCAGGATTAGCAGATGCACTGACGGCACCGTTGGATCATAAAGACAAAAGTTTGCAGTCGCTTACCTTAGATCAGTCTGTCAGGAAAAATGAGAAACTTAAGTTGGCGGCGCAAGGCGCTGAAAAAACTTATGGAAACGGTGACAGCTTAAATACAGGTAAACTCAAAAATGATAAAGTCTCGCGTTTTGATTTCATTCGTCAAATCGAAGTAGATGGCCAACTTATTACATTAGAAAGCGGTGAATTCCAAATATATAAACAAGACCATTCAGCAGTCGTTGCATTGCAAATTGAAAAAATCAACAACCCCGACAAAATCGACAGCCTGATAAACCAACGTTCCTTCCTTGTCAGCGGTTTGGGCGGTGAACATACAGCCTTCAACCAATTACCAAGCGGCAAAGCGGAGTATCACGGTAAAGCATTTAGCTCAGATGATGCAGGCGGTAAATTAACTTATACAATTGACTTTGCAGCAAAACAAGGACATGGCAAAATTGAACATTTAAAAACACCCGAACAGAACGTAGAGCTCGCATCCGCAGAACTCAAAGCAGATGAAAAATCACACGCAGTCATTTTGGGTGACACGCGCTACGGCGGCGAAGAAAAAGGTACTTACCACTTAGCTCTTTTTGGCGACCGAGCTCAAGAAATCGCAGGTAGCGCAACCGTAAAGATAAGGGAAAAGGTTCACGAAATTGGGATCGCGGGCAAACAATAA
>A62(配列番号70).GenBank:ACI46789.1
CSSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKGLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGKLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQVQDSEDSGKMVAKRQFRIGDIAGEHTSFDKLPKGGSATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGGEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>非脂質化A62(配列番号71)
SSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKGLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGKLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQVQDSEDSGKMVAKRQFRIGDIAGEHTSFDKLPKGGSATYRGTAFGSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGGEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>pLA164(配列番号72)
ATGAGCAGCGGAGGGGGCGGTGTCGCCGCCGACATCGGTGCGGGGCTTGCCGATGCACTAACCGCACCGCTCGACCATAAAGACAAAGGTTTGCAGTCTTTAACGCTGGATCAGTCCGTCAGGAAAAACGAGAAACTGAAGCTGGCGGCACAAGGTGCGGAAAAAACTTATGGAAACGGCGACAGCCTTAATACGGGCAAATTGAAGAACGACAAGGTCAGCCGCTTCGACTTTATCCGTCAAATCGAAGTGGACGGGAAGCTCATTACCTTGGAGAGCGGAGAGTTCCAAGTGTACAAACAAAGCCATTCCGCCTTAACCGCCCTTCAGACCGAGCAAGTACAAGACTCGGAGGATTCCGGGAAGATGGTTGCGAAACGCCAGTTCAGAATCGGCGACATAGCGGGCGAACATACATCTTTTGACAAGCTTCCCAAAGGCGGCAGTGCGACATATCGCGGGACGGCGTTCGGTTCAGACGATGCTGGCGGAAAACTGACCTATACTATAGATTTCGCCGCCAAACAGGGACACGGCAAAATCGAACACTTGAAAACACCCGAGCAAAATGTCGAGCTTGCCTCCGCCGAACTCAAAGCAGATGAAAAATCACACGCCGTCATTTTGGGCGACACGCGCTACGGCGGCGAAGAAAAAGGCACTTACCACCTCGCCCTTTTCGGCGACCGCGCCCAAGAAATCGCCGGCTCGGCAACCGTGAAGATAAGGGAAAAGGTTCACGAAATCGGCATCGCCGGCAAACAGTAA
>pDK086(配列番号73)
ATGTCCAGCGGTTCAGGCAGCGGCGGTGGAGGCGTGGCAGCAGATATCGGAACAGGTTTAGCAGATGCTCTGACAGCACCCTTAGATCACAAAGACAAAGGACTTAAATCACTGACATTGGAAGATTCTATCTCGCAAAATGGTACTCTCACTCTTTCAGCCCAAGGCGCAGAAAAAACATTTAAAGTAGGCGATAAAGATAACTCCTTAAATACAGGTAAATTAAAAAATGACAAAATCTCACGGTTTGATTTCGTTCAGAAAATTGAAGTAGATGGACAAACGATTACATTAGCAAGCGGCGAATTCCAAATTTATAAACAAGACCATTCAGCAGTAGTAGCATTACAAATCGAAAAAATTAACAACCCGGACAAAATTGATTCTCTTATTAACCAACGCTCTTTTCTCGTATCAGGACTTGGTGGTGAACATACAGCGTTTAATCAACTGCCGTCAGGAAAAGCAGAATATCATGGTAAAGCATTTTCATCAGACGACGCAGGTGGCAAACTGACCTATACTATTGACTTTGCAGCAAAACAGGGACATGGAAAAATTGAACATTTAAAAACACCCGAACAGAACGTAGAACTGGCCTCAGCAGAATTGAAAGCTGATGAAAAATCCCATGCAGTAATTTTAGGCGATACACGTTACGGTAGCGAAGAAAAAGGTACATATCACTTAGCTCTTTTTGGCGATCGTGCTCAAGAAATTGCTGGTTCCGCAACAGTTAAAATCCGTGAAAAAGTACATGAAATCGGCATTGCAGGTAAACAATAA
>A29(配列番号74)
CSSGGGGSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSIPQNGTLTLSAQGAEKTFKAGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQNHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPGDKAEYHGKAFSSDDPNGRLHYTIDFTNKQGYGRIEHLKTPELNVDLASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIGEKVHEIGIAGKQ
>非脂質化B22(配列番号75)
SSGGGGVAADIGAVLADALTAPLDHKDKSLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQVYKQSHSALTALQTEQVQDSEHSGKMVAKRQFRIGDIAGEHTSFDKLPEGGRATYRGTAFGSDDASGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKSPELNVDLAASDIKPDKKRHAVISGSVLYNQAEKGSYSLGIFGGQAQEVAGSAEVETANGIRHIGLAAKQ
>非脂質化A05(配列番号76)(pPW102)
CGSSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTFKVGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>非脂質化A05(配列番号77)
GSSGGGGVAADIGTGLADALTAPLDHKDKGLKSLTLEDSISQNGTLTLSAQGAEKTFKVGDKDNSLNTGKLKNDKISRFDFVQKIEVDGQTITLASGEFQIYKQDHSAVVALQIEKINNPDKIDSLINQRSFLVSGLGGEHTAFNQLPSGKAEYHGKAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGSEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>コンセンサス(配列番号78)
CSSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKGLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQIYKQSHSALVALQTEQINNSDKSGSLINQRSFRISGIAGEHTAFNQLPKGGKATYRGTAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGGEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
>コンセンサス(配列番号79)
SSGGGGVAADIGAGLADALTAPLDHKDKGLQSLTLDQSVRKNEKLKLAAQGAEKTYGNGDSLNTGKLKNDKVSRFDFIRQIEVDGQLITLESGEFQIYKQSHSALVALQTEQINNSDKSGSLINQRSFRISGIAGEHTAFNQLPKGGKATYRGTAFSSDDAGGKLTYTIDFAAKQGHGKIEHLKTPEQNVELASAELKADEKSHAVILGDTRYGGEEKGTYHLALFGDRAQEIAGSATVKIREKVHEIGIAGKQ
【0270】
(実施例15):サブファミリーA rP2086の非脂質化変異体の作製−非脂質化fHBP遺伝子のクローニング
非脂質化A05 fHBPタンパク質のコード配列(配列番号55)を発現が最適化されたB44配列(配列番号43)とアラインした。両者間のアミノ酸が同一であった箇所ではすべて、B44(配列番号43)からのコドンを使用してA05遺伝子中のものを置換した。制限エンドヌクレアーゼ部位NdeIおよびBamHIをそれぞれNおよびC末端に付加して、最適化された配列をCeltek Genesで新規合成した。生じた遺伝子(配列番号65)をpET30a内にそれらの部位でサブクローニングした。
【0271】
組換え非脂質化A12 fHBP(配列番号66)をpEB043(配列番号67)から発現させた。A12対立遺伝子は、Blue Heron Technologiesによって発現を最適化した。この遺伝子をA05(pEB042)と同じプロセスによって最適化した。さらに、Blue Heronで最適化されたB44 SGGGGSGGGG(配列番号44のアミノ酸残基2から11)のアミノ末端コドンが天然A12 SSGGGG(配列番号66のアミノ酸残基1から6)のコドンを置き換えた。制限エンドヌクレアーゼ部位NdeIおよびBamHIをそれぞれNおよびC末端に付加して、最適化された配列をCeltek Genesで新規合成した。生じた遺伝子(配列番号67)をpET30a内にそれらの部位でサブクローニングした。
【0272】
組換え非脂質化A22 fHBP(配列番号68)をpEB058(配列番号69)から発現させた。この遺伝子をpEB042と同じプロセスによって最適化した。さらに、Blue Heronで最適化されたB44 SGGGG(配列番号44のアミノ酸残基2から6)のアミノ末端コドンが天然A22 SSGGGG(配列番号68のアミノ酸残基1から6)のコドンを置き換えた。制限エンドヌクレアーゼ部位NdeIおよびBamHIをそれぞれNおよびC末端に付加して、最適化された配列をCeltek Genesで新規合成した。生じた遺伝子(配列番号69)をpET30a内にそれらの部位でサブクローニングした。
【0273】
組換えA62 fHBP(配列番号71)をpLA164(配列番号72)から発現させた。制限エンドヌクレアーゼ部位NdeIおよびBamHIをそれぞれNおよびC末端に含有するプライマーを用いて、株0167/03由来のA62_002対立遺伝子をPCR増幅した。生じた遺伝子(配列番号72)をpET30a内にそれらの部位でサブクローニングした。
【0274】
(実施例16):サブファミリーA rP2086タンパク質大腸菌(E.coli)発現株の発現、発酵、および精製
pLA164(配列番号72)で形質転換させたBLR(DE3)大腸菌(E.coli)B recAをA62(配列番号71)の発現に使用した。プラスミドpEB042(配列番号65)を大腸菌(E.coli)宿主BD643(W3110:DE3ΔrecAΔfhuAΔaraA)に形質転換させて株BD660を得て、A05(配列番号55)を発現させた。A22(配列番号68)の発現は、宿主BD559(これもW3110:DE3ΔrecAΔfhuAΔaraAである)中に存在するプラスミドpEB058(配列番号69)からなる株BD592からであった。最後に、プラスミドpEB043(配列番号67)を宿主BD483(W3110:DE3ΔrecA)に形質転換させて、株BD540を得てA12(配列番号66)を発現させた。
【0275】
発酵
発現株をグルコースに基づく最少培地中で発酵させた。終夜開始培養を、37℃、1vvm通気、カスケードdO調節、20%で作動中の10リットルの発酵槽に接種した。バッチ添加したグルコースが培地から枯渇した際(約OD
600=15で)、3.8g/L/時の限定的な直線形グルコース供給を開始した。供給は、0.1mMのIPTGを用いた誘導まで、および続くタンパク質発現期間を通して続けた。A05(配列番号55)の発現には、株BD660をOD
600=25で誘導し、発酵を誘導後7時間(HPI)まで続けた。それぞれ株BD592およびBD540からのA22(配列番号68)およびA12(配列番号66)の発現は、OD
600=40で誘導し、誘導後24時間(HPI)の間発酵させることによって達成した。発酵の完了後、細胞ペーストを遠心分離によって収集した。
【0276】
A62(配列番号71)
rP2086タンパク質は、大腸菌(E.coli)株の細胞質中で可溶性タンパク質として産生される。可溶性の細胞質抽出物は、典型的には、rP2086のサブファミリーAの特定の変異体を発現する凍結細胞を低張性緩衝液(プロテアーゼ阻害剤を含有する10mMのHepes−NaOH、pH7.4)中で解凍し、微小流動化装置内、約20,000psi下で細胞を破壊することによって得られる。RNaseおよびDNAseを加えて核酸を消化し、すべての未破壊細胞を除去するための低速での遠心分離、その後、膜、細胞壁および他のより大きな細胞内成分を除去するための高速(100,000×g以上)での遠心分離の後、細胞質抽出物を上清として収集する。25%、その後、50%の飽和硫酸アンモニウムに順次調整し、それぞれの調整後に低速の遠心分離によって沈殿した物質を除去することによって、細胞質抽出物をさらに清澄にする。その後、10mMのHepes−NaOH、pH7.4、1mMのNa
2EDTAの緩衝液中の50%飽和硫酸アンモニウム中のrP2086を疎水性相互作用カラム(フェニルセファロース、GE Healthcareから購入)へと吸着させ、その後、10mMのHepes−NaOH、pH7.4、1mMのNa
2EDTAの緩衝液を用いて硫酸アンモニウム濃度を0%まで直線的に減少させることでrP2086を溶出させることによって、低分子量イオン性細胞成分を除去する。その後、rP2086含有画分を、プールした画分の10mMのトリス−HCl、pH8.6、1mMのNa2EDTA通過(passage)の緩衝液へと、同じ緩衝液で平衡化した陰イオン交換カラム(TMAE、EMDから購入)上で調整することによって、大多数の負荷電タンパク質を除去する。その後、rP2086を含有する緩衝液を1mMのリン酸ナトリウムを含有する10mMのHepes−NaOH、pH7.4へと交換し、タンパク質をセラミックヒドロキシアパタイトへと吸着させ、その後、pH7.4で250mMまでのリン酸ナトリウムの直線勾配で溶出させることによって、rP2086をセラミックヒドロキシアパタイト(BioRadから入手)上のクロマトグラフィーによってさらに精製する。上述の単位操作は、多くの場合は精製されたrP2086サブファミリーAメンバーを得るために十分である。しかし、発現レベルは10倍を超えて変動する場合があるため、rP2086が範囲の下端で発現された場合、または超純粋なrP2086が必要な場合(NMR構造決定のために高濃度で)は、以下の追加の単位操作を追加する:等電点電気泳動、次いでセラミックヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー。初期のヒドロキシアパタイトステップからのrP2086タンパク質を含有する緩衝液を25mMのトリス−アセテート、pH8.3へと交換し、タンパク質を同じ緩衝液で平衡化した等電点電気泳動PBE94カラム(GE Healthcareから入手)へと吸着させ、その後、ポリバッファー94−アセテート、pH6の緩衝液で溶出させる。rP2086タンパク質はその大体のpIで溶出され、タンパク質を含有する画分をプールする。その後、rP2086含有画分の緩衝液を1mMのリン酸ナトリウムを含有する10mMのHepes−NaOH、pH7.4へと交換し、上述のように吸着および溶出させる。このプロセスによって調製されたrP2086サブファミリーAメンバーは、SDS−PAGE分析によって典型的には>95%均一であり、ほとんどの場合は>99%均一である。
【0277】
A05、A12およびA22(それぞれ配列番号55、66、および68)
発酵の完了後、細胞スラリーを連続的な遠心分離によって回収し、20mMのトリス、5mMのEDTA、pH6.0で元の発酵体積の約1/4まで再懸濁させる。細胞懸濁液の溶解を高圧ホモジネーション(2回、4000〜9000psi)によって達成する。ホモジネートにDADMACを最終濃度0.5%まで加える。溶液を15〜25℃で60分間撹拌し、その間に重い(heavy)沈殿物が形成される。溶液を連続的な遠心分離によって清澄にする。タンパク質(A05、A12およびA22)を、2つのクロマトグラフィーステップ、次いで最終緩衝液交換を使用して精製する。遠心分離物のpHを5.5に調整し、GigaCap−Sカラム(CEX)上に載せる。タンパク質が樹脂に結合し、続いて、塩化ナトリウム勾配を使用して溶出させる。CEXカラムからのプールにクエン酸ナトリウムを最終濃度1.5Mで加え、溶液をフェニル−650Mカラム(HIC)に載せる。タンパク質が樹脂に結合し、続いて、クエン酸ナトリウム段階勾配を使用して溶出させる。精製されたタンパク質を含有するHICプールを、ダイアフィルトレーションによって最終原体緩衝液内に交換する。5kDの再生酢酸セルロース限外濾過カセットを利用する。タンパク質濃度は1.5〜2.0mg/mLを標的とする。ダイアフィルトレーションした濃縮水を、0.2ミクロンのフィルターを通して濾過した後、貯蔵ボトルに満たす。原体を−70℃で保管する。
【0278】
(実施例17):血清殺菌アッセイ
機能的抗体の力価を、ワクチン内に含有される配列に相同または異種のどちらかの配列を有するfHBPを発現する野生型または操作された髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)血清群B株に対する血清殺菌アッセイ(SBA)によって試験した。rP2086ワクチンで免疫化されたウサギにおける血清殺菌抗体を、ヒト補体を用いたSBAを使用して決定した。ウサギ免疫血清を熱失活させて固有の補体活性を除去し、その後、96ウェルマイクロタイタープレート内で、Ca2+およびMg2+を含むダルベッコPBS(D−PBS)中で2倍に連続希釈して、髄膜炎菌(N.meningitidis)株に対する血清殺菌活性について試験した。操作された株を用いた組み合わせ研究には、それぞれの成分の有効濃度が、それぞれを個別に試験した場合の半分となるように、上述の段階希釈の前に目的の血清を1:1の比で混合した。アッセイで使用した細菌はKellogg補助物質を補ったGC培地(GCK)において成長させ、650nmでの光学密度によってモニタリングした。アッセイで使用するために細菌を0.50〜0.55の最終OD
650で採取し、D−PBS中で希釈し、1000〜3000CFUをアッセイ混合物に加えた。検出可能な殺菌活性を有さないヒト血清を外因性の補体源として使用した。補体源を、それぞれの個別の試験株に対する適合性について試験した。同質遺伝子株には、単一のヒト血清が同定され、これはすべての同質遺伝子株に対するSBAについて適格であった。免疫血清を加えない対照において生存する細胞の数が75%を超える場合にのみ、補体源を使用した。30分間、37℃で、5%のCO
2、振盪器上で700rpmの振盪を用いたインキュベーションの後、D−PBSを反応混合物に加え、アリコートを、野生型基準株には50%GCK培地、操作された株には100%GCK培地で事前に満たしたマイクロフィルタープレートに移した。マイクロフィルタープレートを濾過し、37℃で、5%CO
2を用いて終夜インキュベーションし、マイクロコロニーを染色および定量した。血清の殺菌力価は、免疫血清を含まない対照ウェルにおけるCFUと比較してCFUが50%低減した血清希釈率の、補間された逆数として定義した。抗rP2086免疫血清による死滅に対する感受性は、抗rP2086免疫血清におけるSBA力価が対応する免疫前血清と比較して4倍以上上昇していた場合に定めた。開始希釈率でアッセイ株に対して陰性であった血清には、アッセイでの検出限界の2分の1の力価を付与した。
【0279】
(実施例18):rP2086サブファミリーAタンパク質の非脂質化変異体の免疫原性
Charles River(カナダ)から入手したホワイトニュージーランドメスウサギ(2.5〜3.5kg)を2つの研究で使用した。第1の研究では、3頭のウサギの群を、脂質化A05または非脂質化A05 fHBP製剤のどちらかのそれぞれ30mcgまたは3mcgのどちらかで免疫化した。第2の研究では、5頭のウサギ/群を、500μg/mLのAlPO4をアジュバントとした20μg/mLのrP2086A変異体を用いて右後肢に筋肉内で免疫化した(0.5ml/用量/2カ所の部位)。動物を0週目、4週目および9週目にワクチン接種し、0週目および6週目に採血し、10週目に全採血した。LP2086に特異的な殺菌性抗体の力価を0週目、6週目および10週目に決定した。
【0280】
これらの研究の目標は、乳児などの免疫学的にナイーブ集団で観察される低下した応答を模倣することであった。まず、本発明者らは、脂質化A05(配列番号13)または非脂質化A05(配列番号55)のどちらかを含有する低用量および高用量のワクチン(30対3mcg/抗原/用量)を比較した(表15Aおよび15B)。低用量は、それぞれのワクチン間で応答比率の相違を識別可能とするために使用した。2つの株組を使用してSBA分析を実施した。第1の組は侵襲性の疾患を引き起こした野生型基準株からなっていた。第2の組は、同じ株背景を有しており、fHBPの配列が以下のように表されることのみが異なる、遺伝子操作した株組であった:fHBPのB24変異体を発現する髄膜炎菌(N.menigitidis)株PMB3556を操作し、その内在性fhbp遺伝子が他のfHBP変異体をコードする遺伝子で置き換えられているようにした。構築物は、ORFをコードする領域のみが「交換」されており、周辺の遺伝的背景は無傷のまま残されるように設計した。したがって、この株組を使用したSBA分析は、同じレベルで、同じ遺伝的背景内で、1つのヒト補体源を使用して発現された様々なサブファミリーA fHBPタンパク質に対する反応性の評価を可能とした。すべての株は、Jiangら(2010)によって同定された閾値を超えるfHBP発現レベルを有していた。表15Aおよび15Bに示すように、高および低用量レベルの脂質化A05含有ワクチンはどちらも遺伝子的に多様なサブファミリーA変異体にわたって幅広い防御を誘発した一方で、非脂質化A05変異体を含有するワクチンでは、どちらの用量でも低下した応答が観察された。したがって、この並列比較により、非脂質化A05変異体は、サブファミリーA発現株にわたって交差防御的であるが、天然立体配置を形成する可能性がより高い脂質化変異体ほど免疫原性でないことが明らかとなった(表15Aおよび15B)。
【0281】
続く研究では、それぞれを、サブファミリーA株に対して幅広い適用範囲をもたらすその潜在性について評価するために、用量レベルを10mcg/非脂質化サブファミリーA変異体まで上昇した。SBA分析により、この上昇された用量レベルでは、非脂質化A05(配列番号55)、A62(配列番号71)、A12(配列番号66)およびA22(配列番号68)fHBP変異体で免疫化したウサギからの血清はすべて、相同および異種のサブファミリーA変異体をどちらも発現する野生型基準株に対して力価を誘導することが明らかとなり、これは、サブファミリーA内においてすべてがこの低い用量で交差防御的であることを示している。したがって、本発明者らは、N2C1ワクチン(A05)はN1C2(A22)およびN2C2(A12)変異株を死滅させることができる抗体を産生することができ、同様に、これらの他の群からのワクチンは対向する変異体を有する株を死滅させることができることを観察した。これらの条件下では、A05およびA62変異体が株にわたって最も高いSBAレスポンダー比率を誘導したことが観察された(表16)。したがって、これはこれらの変異体にわたる防御効果を示す。
【0282】
【表17】
【0283】
【表18】
【0284】
【表19】
【0285】
また、10mcgの増加した用量で上述の同質遺伝子株組を使用したすべての変異体で交差防御が観察され、A62変異体(配列番号71)で免疫化したウサギからの血清が最大の交差反応性を実証し、次いでA05抗血清であった(表17)。さらに、A62変異体(配列番号71)で免疫化したウサギからの血清は、親PMB3556株およびB09交換株のどちらに対しても反応性を示し(表18)、これは、交差反応活性がサブファミリーBタンパク質に及んでいることを示している。A62は、サブファミリーA(A22)およびサブファミリーB(B09)の両ドメインから構成されていると考えられる(
図9)。
【0286】
【表20】
【0287】
【表21】
【0288】
【表22】
【0289】
(実施例19):SBAに対する、非脂質化サブファミリーAタンパク質に対して産生させた血清を組み合わせた効果の評価
適用範囲の幅に対する効果を評価するために、血清の組み合わせを評価した。血清を組み合わせた結果として非特異的な死滅は誘導されなかったことを確認するために、ワクチン接種の前対後の血清の対を試験した。サブファミリーA内で多様性を表した4つの同質遺伝子株にわたって、個々の血清について、および血清の組み合わせについてGMの上昇の倍数を計算した。試験した組み合わせの一部について上昇倍数の増加が検出され、これにより、より多くのサブファミリーA変異体を含めることによって適用範囲の幅を増加することができるという証拠が提供された(表19)。最適な組み合わせは、A05(配列番号55)とA62(配列番号71)またはA62(配列番号71)とA12(配列番号66)であると考えられる(表20)。
【0290】
【表23】
【0291】
【表24】
【0292】
上記実施例18〜19中に提示した結果は、非脂質化サブファミリーAタンパク質は免疫原性であり、相同または異種の変異体のどちらかを保有する髄膜炎菌(N.meningitidis)株を用いた感染に対する防御を提供し得ることを示している。ここに提示したデータは、選択された非脂質化サブファミリーA変異体が免疫原性を保持し、異種株に対する交差防御を提供するが、これらの応答は脂質化変異体よりも低いことを例示している。また、本発明者らは、A62(配列番号71)ワクチンはサブファミリーB変異体B09またはB24を発現する株を死滅させ得るため、サブファミリーBに対して配列類似性を有するA62(配列番号71)rP2086抗原(例えば
図9を参照)はサブファミリーを横断して防御し得ることも実証している)。
【0293】
上記に提示したデータは、非脂質化サブファミリーA変異体は脂質化fHBPの組み合わせで観察された種類の相乗効果が可能なだけでなく、これらがBサブファミリー変異体に対しても適用範囲を提供し得ることを示している。
【0294】
(実施例20):ニュージーランドホワイトウサギにおける、因子H結合タンパク質と四価髄膜炎菌コンジュゲートワクチンとの組み合わせの免疫原性の評価
本研究は、Charles River、カナダから入手した2.5〜3.5kgの範囲のニュージーランドホワイトウサギにおいて実施した(表21)。研究を始める前に、A05およびB02株に対する全細胞ELISAを使用して、55頭のウサギを既存の抗体について事前にスクリーニングした。スクリーニング後、比較的低い抗体の力価(特異的IgG力価<350)を有するウサギの後肢に、0.5mL/部位(1.0mL/用量、表22を参照)、0週目、4週目、および9週目に、筋肉内でワクチン接種した。1群当たり3頭のウサギが存在していた。ウサギを0週目、4週目、6週目、9週目に採血し、10週目に全採血した。血清試料を調製し、0週目および10週目の血清試料をSBAによって分析した。髄膜炎菌コンジュゲートワクチン(MENVEO(登録商標)、髄膜炎菌(A、C、Y、およびW−135群)オリゴ糖ジフテリアCRM
197コンジュゲートワクチン、Novartis)、二価rLP2086および四価非脂質化変異体ならびにそれらの組み合わせを表23〜26に従って調製した。
【0295】
【表25】
【0296】
研究の設計を表22に示す。
【0297】
【表26-1】
【0298】
【表26-2】
【0299】
【表27】
【0300】
【表28】
【0301】
【表29】
【0302】
【表30】
【0303】
(実施例21):血清殺菌アッセイ(SBA)
複数の血清群B、CおよびYの髄膜炎菌株(表27)に対する、マイクロコロニーに基づいた血清殺菌アッセイ(SBA)を、個々の血清試料に対して行った。ドナーからのヒト血清は、アッセイで試験した株の補体源として適格であった。補体介在性の抗体依存性の殺菌力価を補間し、アッセイにおいて髄膜炎菌細胞の50%を死滅させた試験血清の希釈率の逆数として表した。アッセイの検出限界はSBA力価4であった。4未満のSBA力価には数字2を付与した。採血前の力価と比較した、10週目の血清におけるSBA力価の4倍以上の上昇を計算し、比較した。
【0304】
【表31】
【0305】
(実施例22):ニュージーランドホワイトウサギにおける、脂質化または非脂質化因子H結合タンパク質とコンジュゲートしたワクチンとの組み合わせの免疫原性
血清殺菌抗体は、髄膜炎菌性の疾患に対する防御の免疫学的代替手段である。脂質化、非脂質化rfHBP、四価コンジュゲートワクチンを、単独でまたは組み合わせて用いて免疫化したかにかかわらず、ウサギにおいて誘発された殺菌性抗体をSBAによって決定した。SBAは、天然に生じる補体介在性の細菌溶解を模倣することによって、血清試料中の抗体のレベルを測定する。ヒトでは、1:4のSBA力価が防御的であるとみなされ、免疫化の前対後で力価の4倍の上昇も免疫学的に関連性のある免疫応答であるとみなされる。0週目および10週目から採取されたウサギ血清試料を、いくつかの髄膜炎菌血清群の株に対するSBAによって分析した。表28(より高い用量)および表29(より低い用量)に示されるように、3回目の免疫化(10週目)の1週間後、四価コンジュゲートワクチンはMnCおよびMnY試験株に対するSBA応答しか誘発しなかった。すべての他の血清試料は、相同株およびワクチン製剤中のものと同じfHBPサブファミリーからの他の試験株に対して殺菌活性を示した。それぞれ30mcgの用量の脂質化A05/B01(それぞれ配列番号13および58)を単独で用いた免疫化が、相同株に対して、および両fHBPサブファミリーからの他の試験株に対して最も高い殺菌性抗体を誘発したことに留意されたい(表28)。同様に、非脂質化A05/B09/B22/B44(それぞれ配列番号55、49、75、および44)を単独で用いた免疫化も、いくつかの髄膜炎菌血清群の株に対する殺菌性抗体を誘発したが、SBA力価は脂質化二価ワクチンよりも3〜15倍低かった(表30)。脂質化fHBP、高用量の非脂質化fHBPおよびすべての組み合わせにおいて、様々な血清群(sergroup)のすべての株に対して100%レスポンダー比率(SBA力価の4倍以上の上昇)が達成された。
【0306】
【表32】
【0307】
【表33】
【0308】
【表34】
【0309】
脂質化fHBPは非脂質化fHBPよりも高いSBA力価を誘発した。
脂質化fHBPは、それぞれ30mcg/用量ですべての髄膜炎菌B、CおよびY試験株に対して3〜15倍高いSBA力価を誘発した。非脂質化fHBPは、それぞれ30mcg/用量ですべての髄膜炎菌B、CおよびY試験株に対して4〜23倍高いSBA力価を誘発した(表28〜29)。
【0310】
用量の滴定をfHBP、コンジュゲートワクチンまたは組み合わせを用いて達成した
より高い用量のコンジュゲートワクチンでは、fHBPまたはその組み合わせは、より低い用量よりもSBA応答を増加させた(表28〜30)。1単位のヒト用量のコンジュゲートワクチンは、髄膜炎菌CおよびY株に対して10分の1単位の用量のコンジュゲートワクチンよりも2〜8倍高いSBA力価を誘発した。それぞれ30mcg/用量の脂質化fHBPは、すべての試験株に対してそれぞれ3mcg/用量よりも2〜4倍高いSBA力価を誘発した。それぞれ30mcg/用量の非脂質化fHBPは、すべての髄膜炎菌血清群B、CおよびY株に対してそれぞれ3mcg/用量よりも4〜15倍高いSBA力価を誘発した。
【0311】
fHBPとコンジュゲートワクチンとの組み合わせによる相乗的なSBA応答
コンジュゲートワクチンとfHBPとの組み合わせを使用した場合、どちらかの成分を単独で使用した場合よりも、特に、より低い用量の脂質化または非脂質化fHBPを添加した場合に、髄膜炎菌血清群CおよびY株に対するSBA応答がより高いという傾向が存在する(表29)。本研究では、いくつかの髄膜炎菌血清群の株に対する機能的活性を、AlPO
4を用いて配合した組換え脂質化または非脂質化fHBPとコンジュゲートワクチンとを単独でまたは組み合わせて用いて免疫化したニュージーランドホワイトウサギからの血清を使用して評価した。コンジュゲートワクチンを受けたウサギは髄膜炎菌血清群CおよびY株に対するSBA応答のみを誘発し、血清群B株に対しては誘発しなかった。AlPO
4を用いて配合した脂質化または非脂質化fHBPは、試験したすべての髄膜炎菌血清群の株に対して殺菌性であった血清抗体を誘発した。
【0312】
3回の用量の、AlPO
4を用いて配合した脂質化または非脂質化fHBPを受けたニュージーランドホワイトウサギは、髄膜炎菌血清群B、CおよびY試験株に対して殺菌性であった血清抗体を誘発した。より低い用量の非脂質化群以外で、すべての試験株に対して100%のレスポンダー比率(SBA力価の4倍以上の上昇)が達成された。
【0313】
脂質化fHBPは非脂質化形態よりも高い殺菌性抗体の力価を誘発した。脂質化または非脂質化fHBPとコンジュゲートワクチンの単独または組み合わせにおいて明確な用量応答が観察された。
【0314】
特により低い用量のタンパク質を添加した場合に、コンジュゲートワクチンとfHBPとの間に髄膜炎菌血清群CおよびY株に対する相乗的なSBA応答の傾向が存在する。
【0315】
(実施例23):ニュージーランドホワイトウサギにおける、非脂質化因子H結合タンパク質の組み合わせの免疫原性の評価
研究は、Charles River、カナダから入手した2.5〜3.5kgの範囲のニュージーランドホワイトウサギにおいて実施した(表31)。ウサギの後肢に、0.5mL/部位(1.0mL/用量、表32を参照)、0週目、4週目および9週目に、筋肉内でワクチン接種した。試験した抗原のそれぞれの配列番号を表33に列挙する。1群当たり10頭のウサギが存在していた。ウサギを0週目、6週目に採血し、10週目に全採血した。血清試料を調製し、0週目および10週目の血清試料を、髄膜炎菌(N.meningitidis)の単離体のパネルに対するSBAにおいて分析した。
【0316】
【表35】
【0317】
【表36】
【0318】
【表37】
【0319】
表34は、ウサギにおける、rLP2086−A05とrLP2086−B01との脂質化抗原の対に対する免疫応答と比較した、非脂質化fHBPタンパク質の混合物に対する免疫応答を要約する。ウサギの事前採血血清は、一般に、試験株に対して既存の殺菌活性を示さなかった。免疫応答は、3回目の免疫化後にそれぞれのfHBP抗原の組み合わせに対して4倍以上のSBA力価の増加で応答する、それぞれの処置群における動物のパーセントとして表す。SBAアッセイは、ワクチン免疫原に同一のfHBP変異体を発現する標的髄膜炎菌(N.meningitidis)株(A05、A12)、または異種fHBP変異体を発現する株(A22、B16、B24)を使用して行った。A22 fHBP変異体の比較アミノ酸配列同一性は、試験したサブファミリーA変異体から15%まで多様化する。同様に、B16およびB24 fHBP変異体の比較アミノ酸配列同一性は、抗原として含まれるサブファミリーB変異体から12%まで多様化する。
【0320】
【表38】
【0321】
10mcgのそれぞれの試験rP2086変異体で免疫化したウサギの群において、A05+A62+B09+B44の組み合わせで処置した動物からの血清試料が最も高い殺菌応答比率を有していた。それぞれ5mcgの、4つの非脂質化fHBP変異体の同じ混合物のみで処置した動物において、SBA応答は幾分か低下していた。5mcgで投薬したfHBP抗原の他の4価の群は、非脂質化A05+A62+B09+B44の組み合わせと同様に良好な結果であった。試験した4価の組み合わせのうち、それぞれ5mcgの非脂質化fHBP変異体A12+A62+B09+B44が含まれる処置群からの血清試料が、選択されたアッセイ株について最良のSBA応答比率を有していた。5価の非脂質化組み合わせA05+A12+A62+B09+B44に対する応答比率は、試験した4価の組み合わせのいずれに対する応答よりも幾分か良好である。
【配列表フリーテキスト】
【0322】
配列番号1は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A04の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号2は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号3は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A12の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号4は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A12−2の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号5は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号6は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B02の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号7は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B03の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号8は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号9は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号10は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B24の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号11は、N末端Cysをコードするコドンを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B44の遺伝子のDNA配列を示す。
配列番号12は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A04のアミノ酸配列を示す。
配列番号13は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05のアミノ酸配列を示す。
配列番号14は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A12のアミノ酸配列を示す。
配列番号15は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22のアミノ酸配列を示す。
配列番号16は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B02のアミノ酸配列を示す。
配列番号17は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B03のアミノ酸配列を示す。
配列番号18は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09のアミノ酸配列を示す。
配列番号19は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22のアミノ酸配列を示す。
配列番号20は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B24のアミノ酸配列を示す。
配列番号21は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B44のアミノ酸配列を示す。
配列番号22は、実施例2において示される、フォワードプライマーのDNA配列を示す。
配列番号23は、実施例2において示される、リバースプライマーのDNA配列を示す。
配列番号24は、実施例2、表1において示される、フォワードプライマーのDNA配列を示す。
配列番号25は、実施例2、表1において示される、リバースプライマーのDNA配列を示す。
配列番号26は、実施例2、表1において示される、フォワードプライマーのDNA配列を示す。
配列番号27は、実施例2、表1において示される、リバースプライマーのDNA配列を示す。
配列番号28は、実施例4において示される、Gly/SerストークのDNA配列を示す。
配列番号29は、例えば配列番号28によってコードされる、実施例4において示されるGly/Serストークのアミノ酸配列を示す。
配列番号30は、実施例4において示されるGly/SerストークのDNA配列を示す。
配列番号31は、例えば配列番号30によってコードされる、実施例4において示されるGly/Serストークのアミノ酸配列を示す。
配列番号32は、実施例4において示されるGly/SerストークのDNA配列を示す。
配列番号33は、例えば配列番号32および配列番号34によってコードされる、Gly/Serストークのアミノ酸配列を示す。
配列番号34は、実施例4において示されるGly/SerストークのDNA配列を示す。
配列番号35は、
図5において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B01のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号36は、
図5において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B44のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号37は、
図5において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号38は、
図5において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号39は、
図5において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号40は、
図5において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A19のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号41は、
図6において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体のN末端のアミノ酸配列を示す。
配列番号42は、
図6において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22のN末端のDNA配列を示す。
配列番号43は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B44の遺伝子の、コドンを最適化されたDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは、配列番号11と比較して欠失している。プラスミドpDK087は、配列番号43を含む。
配列番号44は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B44のアミノ酸配列を示す。配列番号44は配列番号21に同一であり、配列番号21の1位のN末端システインが欠失している。配列番号44は、例えば配列番号43によってコードされる。
配列番号45は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09の遺伝子の、コドンを最適化されたDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは欠失しており、配列は、配列番号8と比較して、さらなるGly/Ser領域をコードするコドンを含む。プラスミドpEB063は、配列番号45を含む。
配列番号46は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09の遺伝子の、コドンを最適化されたDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは、配列番号8と比較して欠失している。プラスミドpEB064は、配列番号46を含む。
配列番号47は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09の遺伝子の、コドンを最適化されたDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは、配列番号8と比較して欠失している。プラスミドpEB065は、配列番号47を含む。
配列番号48は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09の遺伝子のDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは、配列番号8と比較して欠失している。プラスミドpLA134は、配列番号48を含む。
配列番号49は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09のアミノ酸配列を示す。配列番号49は配列番号18に同一であり、配列番号18の1位のN末端システインが欠失している。配列番号49は、例えば、配列番号46、配列番号47、および配列番号48からなる群から選択されるDNA配列によってコードされる。
配列番号50は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09のアミノ酸配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは欠失しており、配列は、配列番号18と比較して、さらなるGly/Ser領域をコードするコドンを含む。配列番号50は、例えば配列番号45によってコードされる。
配列番号51は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B44の遺伝子のDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは、配列番号11と比較して欠失している。プラスミドpLN056は、配列番号51を含む。
配列番号52は、
図6において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22のN末端のDNA配列を示す。
配列番号53は、
図6において示される、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B09のN末端のDNA配列を示す。
配列番号54は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05の遺伝子のDNA配列を示し、この配列において、N末端システインをコードするコドンは、配列番号2と比較して欠失している。
配列番号55は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05のアミノ酸配列を示す。配列番号55は配列番号13に同一であり、配列番号13の1位のN末端システインが欠失している。配列番号55は、例えば配列番号54によってコードされる。
配列番号56は、実施例7において示される、セリン−グリシン反復配列のアミノ酸配列を示す。
配列番号57は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B01のアミノ酸配列を示す。配列番号57は配列番号58に同一であり、配列番号58の1位のN末端システインが欠失している。
配列番号58は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B01のアミノ酸配列を示す。
配列番号59は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B15のアミノ酸配列を示す。
配列番号60は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B16のアミノ酸配列を示す。
配列番号61は、配列番号19のアミノ酸位置1のN末端Cysのコドンがグリシンのコドンで置き換えられている、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22のDNA配列を示す。
配列番号62は、配列番号19のアミノ酸位置1のN末端Cysがグリシンで置き換えられている、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22のアミノ酸配列を示す。
配列番号63は、配列番号15のアミノ酸位置1のN末端Cysのコドンがグリシンのコドンで置き換えられている、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22のDNA配列を示す。
配列番号64は、配列番号15のアミノ酸位置1のN末端Cysがグリシンで置き換えられている、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22のアミノ酸配列を示す。
配列番号65は、ピルビル化されていない非脂質化A05ポリペプチドをコードする、コドンを最適化されたDNA配列(pEB042)を示す。
配列番号66は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A12のアミノ酸配列を示す。配列番号66は配列番号14に同一であり、配列番号14の1位のN末端システインが欠失している。配列番号66は、例えば配列番号67によってコードされる。
配列番号67は、ピルビル化されていない非脂質化A12ポリペプチドの、コドンを最適化されたDNA配列を示す。
配列番号68は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A22のアミノ酸配列を示す。配列番号68は配列番号15に同一であり、配列番号15の1位のN末端システインが欠失している。配列番号68は、例えば配列番号69によってコードされる。
配列番号69は、ピルビル化されていない非脂質化A22ポリペプチドの、コドンを最適化されたDNA配列を示す。
配列番号70は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)血清群B、2086変異体A62のアミノ酸配列を示す。
配列番号71は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A62のアミノ酸配列を示す。配列番号71は配列番号70に同一であり、配列番号70の1位のN末端システインが欠失している。
配列番号72は、配列番号71のコドンを最適化されたDNA配列を示す。
配列番号73は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05遺伝子の、コドンを最適化されたDNA配列(pDK086)を示し、配列番号2と比較してN末端システインをコードするコドンが欠失している。
配列番号74は、アミノ酸位置1にN末端Cysを含む、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A29のアミノ酸配列を示す。
配列番号75は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B22のアミノ酸配列を示す。配列番号75は配列番号19に同一であり、配列番号19の1位のN末端システインが欠失している。
配列番号76は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05のアミノ酸配列を示す。
配列番号77は、脂質化されていない髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体A05のアミノ酸配列を示す。配列番号77は配列番号19に同一であり、配列番号76の1位のN末端システインが存在しない。
配列番号78は、
図9A〜9Bに示すコンセンサス配列のアミノ酸配列を示す。
配列番号79は、配列番号78の1位のCysが存在しない以外は、配列番号78に同一である。
配列番号80は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B24のアミノ酸配列を示す。配列番号80は配列番号20に同一であり、配列番号20の1位のN末端システインが欠失している。
配列番号81は、髄膜炎菌(N.meningitidis)、血清群B、2086変異体B24のアミノ酸配列を示す。配列番号81は配列番号20に同一であり、配列番号20の1〜3位の残基が欠失している。
哺乳動物において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する免疫応答を誘導する方法であって、配列番号76に記載のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む、効果的な量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。
哺乳動物において髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)に対する殺菌性抗体を誘発する方法であって、配列番号76に記載のアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む、効果的な量の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む方法。