【実施例】
【0244】
合成実施例
化合物1、2、3、6、7および8を調製するための合成プロトコルは、文献において公知である。加えて、併用化合物それぞれを調製するための合成プロトコルを、下記の実施例において提供する。
【0245】
化合物1は、米国特許第7,754,720号に記載されているものなどの合成方法および中間体を使用して調製することができる。化合物1はまた、次の実施例に記載されているとおりに調製することができる。
【0246】
(実施例1)
5−({6−[2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリダジン−3−イル}メチル)−2−(2−フルオロフェニル)−5H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン1
【0247】
【化10】
【0248】
化合物104を、ジメトキシエタン(DME)に溶かした。この溶液に、2,4−ビス(トリフルオロメチル(trifluromethyl))フェニルボロン酸105および2NのNa
2CO
3水溶液を加えた。生じた二相の混合物に、Pd(PPh
3)
4を加え、次いで、反応物を80℃で72時間加熱した。反応物を室温に冷却し、Celiteで濾過し、そのCeliteをEtOAcで洗浄した。濾液を真空濃縮した。残渣をSiO
26g上で、MeOH/CH
2Cl
2を使用して精製して、化合物を溶離した。そうして得られた化合物は、PPh
3(O)で汚染されていた。生成物を、1mm Chromatotronプレート上で、1%のステップで0から5%のMeOH/CH
2Cl
2を用いて再精製した。純粋なフラクションを合わせ、真空濃縮し、次いで高真空で12時間乾燥させた。PPh
3汚染のない、化合物1の遊離塩基11.8mgを得た。
1H NMR(300MHz,CD
3OD) δ 6.20(s, 2), 7.32(m, 3), 7.52(m, 1), 7.78(d, 1), 7.89(d, 1), 7.95(s, 2), 8.15(m, 3), 8.35(d, 1), 9.12(s, 1);LC/MS M+H=518。
【0249】
中間体化合物104を次のとおりに調製した。
【0250】
a.化合物102の調製
【0251】
【化11】
【0252】
市販の出発物質101のCHCl
3中の溶液に、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)を60℃で加えた。次いで、溶液を1.5時間撹拌し、冷却し、そしてHiFlo−Celiteで濾過した。濾液を濃縮し、真空で乾燥させた。収量は、化合物102 5.037gであった。
【0253】
b.化合物104の調製
【0254】
【化12】
【0255】
化合物103のDMF(ジメチルホルムアミド)中の溶液に、NaOHを加えた。化合物102をDMF(20mL)に溶かし、該溶液に徐々に加えた。反応物を3時間撹拌し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させた。溶媒を除去し、生成物をジクロロメタンで再結晶化させた。収量は化合物104 5.7gであった。
【0256】
米国特許出願第12/202319号(米国特許出願公開第20100051763 A1号)に記載されているものなどの合成方法および中間体を使用して、化合物2は調製することができる。化合物2はまた、次の実施例に記載されているとおりに調製することができる。
【0257】
(実施例2)
化合物2の調製
【0258】
【化13】
【0259】
ホスフィン酸エステル206(23.7g、24.05mmol)をCH
3CN(240mL)に溶かし、0℃に冷却した。ヨードトリメチルシラン(17.4mL、122.3mmol)を迅速な滴下ペースで加え、続いて、10分後に、2,6−ルチジン(17.0mL、146.4mmol)を加えた。反応混合物を室温に徐々に加温し、1時間撹拌し、次いで、0℃に再び冷却し、2,6−ルチジン(11.1mL、95.6mmol)を、続いてMeOH(24mL)を加えた。溶液を真空濃縮し、粗製の残渣をHPLCによって精製して、化合物2 12.68gを収率55%で得た。
1H NMR(300MHz, CDCl
3) δ 8.35(d, J=9.3Hz, 1H), 8.28(s, 1H), 7.85(s, 1H), 7.64(d, J=9.6Hz, 1H), 7.35−7.22(m, 1H), 7.02−6.89(m, 2H), 5.85(bs, 1H), 4.82−4.71(m, 2H), 4.33(bs,
1H), 4.28−3.99(m, 3H), 4.16(s, 3H), 3.57−3.28(m, 2H), 2.90−2.78m, 1H), 2.63−2.50(m, 1H), 2.08−1.91(m, 1H), 1.91−170(m, 2H), 1.70−1.13(m, 22H), 1.37(d, J=6.9Hz,
6H); 31P NMR(121.4MHz, CD
3OD) δ 42.4;LCMS(M+1):957.35g。
【0260】
中間体化合物206を、次のとおりに調製した。
【0261】
a.化合物203の調製
【0262】
【化14】
【0263】
化合物201(17.42g、28.30mmol)をTHF(136mL)に溶かし、0℃に冷却した。溶液に、N−メチルモルホリン(4.7mL、42.7mmol)を加えた。0℃での10分の後に、i−ブチルクロロホルメート(4.05mL、30.96mmol)を滴加した。さらに1時間の後に、(1−アミノ−2−ビニル−シクロプロピル)−(2,6−ジフルオロ−ベンジル)−ホスフィン酸エチルエステル202(8.94g、29.70mmol)を、THF(20mL)中の溶液として徐々に加えた。懸濁物を室温に加温し、2時間後に、これをH
2O(400mL)と酢酸エチル(200mL)とに分配した。水性層を酢酸エチル(200mL×2)で抽出し、合わせた有機層をHCl(1N、225mL)およびH
2O(200mL)で洗浄した。酸洗浄液および水洗浄液を合わせ、酢酸エチル(175mL×2、100mL×2)で逆抽出した。合わせた有機層をブライン(400mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、真空濃縮して、ジエン203 25.06gを粗製物の収率98.5%として得た。LCMS(M+1):898.06。
【0264】
b.化合物204の調製
【0265】
【化15】
【0266】
化合物203(12.91g、14.36mmol)をCH
2Cl
2(1440mL)に溶かし、溶液を30分間脱気した。溶液を40℃に加熱し、グラブス(Grubb’s)G1触媒(2.95g、3.59mmol)を加えた。反応物を17時間還流させ、その後、トリス−ヒドロキシメチルホスフィン(22.3g、18.0mmol)、TEA(50mL、35.9mmol)およびH
2O(400mL)を加え、反応混合物をさらに16時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、2層を分離した。有機層をH
2O(400mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濃縮した。粗製の残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、大環状オレフィン204 8.30gを収率66%で得た。LCMS(M+1):870.09。
【0267】
c.化合物205の調製
【0268】
【化16】
【0269】
大環状オレフィン204(7.34g、8.42mmol)を酢酸エチル(105mL)に溶かし、アルミナに担持されているロジウム(rhodium on alumina)(5重量%、2.945g、0.40重量%)を加えた。系を排気し、H
2(1atm、3×)でフラッシュした。3時間後にその系に、さらなるアルミナに担持されているロジウム(5重量%、842mg、0.10重量%)を加え、排気し、H
2(1atm、3×)でフラッシュした。さらに1時間の後に、懸濁物を濾過し、真空濃縮して、還元大環状化合物205 6.49gを粗製収率88%で得た。LCMS(M+1):872.04。
【0270】
d.化合物206の調製
【0271】
【化17】
【0272】
ブロシレート大環状化合物205(6.49g、7.67mmol)をN−メチルピロ
リジノン(25.0mL)に溶かし、8−クロロ−2−(2−イソプロピルアミノ−チアゾール−4−イル)−7−メトキシ−キノリン−4−オール207(2.564g、7.33mmol)を、続いてCs
2CO
3(4.40g、13.50mmol)を加えた。混合物を65℃に6時間加熱し、次いで、酢酸エチル(200mL)で希釈し、LiCl(5%、250mL)で洗浄した。水性層を酢酸エチル(100mL×2)で抽出し、合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、Na
2SO
4/MgSO
4で乾燥し、真空濃縮した。粗製の残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル−メタノール)を介して精製して、アミノチアゾール206 4.39gを収率58%で得た。LCMS(M+1):985.28。
【0273】
中間体化合物201は、次のとおりに調製することができる。
【0274】
【化18】
【0275】
【化19】
【0276】
e.化合物209の調製
化合物208(7.00g、28.55mmol)およびDABCO(5.13g、45.94mmol)をトルエン(30mL)に溶かした。塩化ブロシル(10.22g、40.01mmol)のトルエン(11mL)溶液を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をEtOAc(210mL)で希釈し、0.5NのHCl(200mL)
を加えた。2層を分離し、水性層をEtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製の生成物をコンビフラッシュによって精製して、化合物209 12.23gを収率92%で得た。
【0277】
f.化合物210および212の調製
化合物209(12.2g、26.3mmol)を4NのHCl/1,4−ジオキサン(60mL)で処理し、1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、真空下で20分間乾燥させた。化合物210の粗製のアミンHCl塩をDMF(150mL)に溶かし、酸211(14.2g、52.6mmol)を加えた。HATU(20.0g、52.6mmol)およびNMM(13.5g、131.5mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応物をEtOAc(300mL)で希釈し、1NのHCl(200mL)、飽和NaHCO
3、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮した。粗製の生成物をコンビフラッシュによって精製して、化合物212 15.1gを収率93%で得た。
【0278】
g.化合物213の調製
212(12.8g、20.7mmol)のCH
2Cl
2(50mL)中の溶液に、1,4−ジオキサン中4NのHCl(50mL、200mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、濃縮し、真空下で20分間乾燥させ、次いでCH
3CN(50mL)に溶かした。H
2O中の飽和NaHCO
3(50mL)を加え、5分間撹拌した。新たに調製されたTHF(50mL)中のシクロペンチルクロロホルメートを加えた。反応は1時間以内に完了した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をEtOAcで希釈した。1NのHClを用いて、混合物をpH=2にし、2層を分離した。有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、粗製の化合物213(3.18g)を得た。
【0279】
h.化合物201の調製
粗製のエステル213(3.18g、5.07mmol)をTHF(25mL)、H
2O(25mL)に溶かし、次いで、MeOH(6mL)およびLiOH(660mg、25.4mmol)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、EtOAcで希釈した。1NのHClを用いて、反応混合物をpH2まで酸性化し、2層を分離した。水性層をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濃縮し、真空下で乾燥させて、酸201 3.09gを得た。
【0280】
中間体8−クロロ−2−(2−イソプロピルアミノ−チアゾール−4−イル)−7−メトキシ−キノリン−4−オール207は、次のとおりに調製することができる。
【0281】
【化20】
【0282】
i.8−クロロ−4−ヒドロキシ−7−メトキシキノリン−2−カルボン酸215の調製
メチル8−クロロ−4−ヒドロキシ−7−メトキシキノリン−2−カルボキシレート214(36.5g、0.145mol)の、1:1のMeOH:THFの混合物(全部で160mL)中の溶液に、LiOH(30.5g、0.725mol)のH
2O(80mL)中の溶液を加えた。混合物を1時間室温で撹拌したが、そのとき、LCMS分析によって、カルボン酸への完全な変換が示された。揮発性物質を除去し、6Nの水性HClを使用して溶液のpHを6に調節することによって、反応物を後処理した。生じたゴム状の残渣を濾過し、凍結乾燥機で2日間乾燥させて、化合物215 34.4g(99.6%)を白色の固体として得た。EI MS(m/z)253.9[M+H]。
【0283】
j.2−(2−ジアゾ−l−オキソ)−8−クロロ−7−メトキシキノリン−4−イルイソブチルカルボネート216の調製
8−クロロ−4−ヒドロキシ−7−メトキシキノリン−2−カルボン酸215(10.2g、0.04mol)のTHF(400mL)中の溶液に、トリエチルアミン(12.3mL、0.088mol)およびi−ブチルクロロホルメート(11.6mL、0.088mol)を0℃でアルゴン雰囲気下で加えた。混合物を0℃で1時間撹拌したが、そのとき、LCMS分析によって、反応の完了が証明されて、所望の混合無水酸が得られた。EI MS(m/z)454.0[M+H]。無水物の反応混合物に、ジエチルエーテル中の1Mのジアゾメタン溶液(121mL、0.121mol)を、プラスチック製漏斗を介して0℃で加えた。この混合物を室温まで加温させながらさらに2時間撹拌した。LCMSによる混合物の分析によって、反応の完了が証明された。隔膜を除去し、反応物をさらに20分間撹拌し、その後、溶媒を除去した。残渣をさらに高真空下で乾燥させて、化合物216を得、これを次のステップへと続けた。EI MS(m/z)377.9[M+H]。
【0284】
k.8−クロロ−2−(2−(イソプロピルアミノ)チアゾール−4−イル)−7−メトキシキノリン−4−オール207の調製
0℃に冷却された2−(2−ジアゾ−l−オキソ)−8−クロロ−7−メトキシキノリン−4−イルイソブチルカルボネート216(15.2g、0.040mol)のTHF(268mL)中の溶液に、48%HBr(23mL、0.201mol)を15分間にわたって徐々に加えた。溶液を0℃でさらに40分間撹拌したが、そのとき、LCMS分
析によって、反応の完了が証明された。0℃で1NのNaOH水溶液(180mL)を加えて水性層のpHを9に調節することによって、反応物を後処理した。層を分離して、水性層をEtOAc(2×200mL)で洗浄した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を真空で除去して、黄色の固体17.7gを得た。EI
MS(m/z) 4
31.9[M+H]。
【0285】
上記の反応から得られたブロモケトンの溶液をi−プロパノール(270mL)およびイソプロピルイソ尿素(9.4g、0.080mol)に懸濁させた。反応混合物を72℃で32時間加熱した。反応物のLCMS分析によって、所望の生成物への完全な変換が証明された。反応物を室温に冷却し、生成物を溶液から沈殿させた。反応物を0℃に12時間さらに冷却し、その後、濾過した。濾液をエーテルで洗浄し、凍結乾燥機で乾燥させて、化合物207 8.03gをオレンジ色の固体として得た。
1H NMR(500MHz, CDCl
3): δ 8.21(d, J=9Hz, 1H), 7.74(s, 1H), 7.44(d, J=10Hz), 1H), 7.07(s, 1H), 4.05(s, 3H), 3.92(五重線, J=6Hz, 1H), 1.25(d, J=7Hz, 6H):EI MS(m/z) 350.0[M+H]。
【0286】
化合物3は、米国特許出願第12/215,605号(米国特許出願公開第20090257978 A1号)に記載されているものなどの合成方法および中間体を使用して調製することができる。化合物3もまた、次の実施例に記載されているとおりに調製することができる。
【0287】
(実施例3)
化合物3の調製
【0288】
【化21】
【0289】
化合物315(12g、13mmol)をTHF(200ml)に溶かし、H
2O(200ml)中のLiOH(11g、260mmol)を、続いてMeOH(200ml)を加えた。混合物を室温で20時間撹拌し続けた。反応が完了したら、0℃でH
2O中4NのHClを加えて、pHを7に調節した。混合物をEtOAc(2×400ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空濃縮して、化合物3を黄色の固体(11g、93%)として得た。LC/MS=911.52(M
++1)。
1H NMR(300MHz, CD
3OD) δ 7.95(d, 1H), 7.90(s, 1H), 7.48(s, 1H), 7.31(d, 1H),
5.42(s, 1H), 4.37(dd, 1H), 4.20(m, 2H),
3.83−3.56(m, 7H), 3.50(m, 2H), 3.39(m, 2H), 2.45(m, 1H), 2.27(m, 1H), 1.62(m, 2H), 1.50(m, 1H), 1.33(m, 2H), 1.18(m, 1H), 1.05(m, 8H), 0.90(m, 3H), 0.76(m, 11H), 0.14−0.04(m, 2H)。
【0290】
中間体化合物315を次のとおりに調製した。
【0291】
【化22】
【0292】
a.化合物301の調製
アルゴンでパージされた乾燥している三つ口丸底フラスコ(1000mL)に、無水ジクロロメタン(100mL)およびEt
2Zn(28mL、273mmol)を0℃で加えた(注意:アルゴン供給源は、ニードルからであってはならない。適切なガラスアダプターだけを使用すること。第2の気泡管をフラスコに装着して、過剰な圧力形成を防ぐこともできる)。次いで、シクロペンテン−3−オール(10.0mL、119mmol)をフラスコに滴加し(大量のエタンガスが生じた)、反応混合物を、ガスの発生が止まるまで撹拌した。次いで、ジヨードメタン(22mL、242mmol)を30分間にわたって滴加した。反応物を室温に加温し、アルゴンの正流下で一晩撹拌し続けたが、その時点で、TLC分析によって、出発アルコールの完全な消失が示された。次いで、反応物をCH
2Cl
2で希釈し、2MのHCl(白色の沈澱物を完全に溶かすべきである)でクエンチした。二相の混合物を分離漏斗に注ぎ、有機層を収集した。化合物301を含有する物質100mLが残るまで、溶媒を減圧下で除去した。
【0293】
b.化合物302の調製
無水ジクロロメタン(525mL)をフラスコに加え、続いて、トリエチルアミン(34mL、245mmol)を滴加した。反応物を窒素の正流下で室温で撹拌し続けたが、その時点で、ジスクシンイミジルカルボネート(40.7g、159mmol)をフラスコに少量ずつ加えた。TLC分析によって出発物質の完全な消失が示されるまで、反応物を撹拌した(2〜3日間)。完了したら、反応混合物を1MのHCl(200mL×2)でクエンチし、H
2O(200mL×2)で洗浄した。所望の物質を、CH
2Cl
2を使用して抽出し、合わせた有機層を、無水MgSO
4を使用して乾燥させ、シリカプラグに通した。溶媒を減圧下で除去し、粗製物質を、フラッシュクロマトグラフィーを使用して精製して(Rf=0.33、1:1のHex/EtOAc)、化合物302(22g、75%)を得た:
1H NMR(300MHz, CDCl
3): δ 5. 24(t,
1H), 3.82(s, 4H), 2.24(m, 2H), 2.03(d, 2H), 1.38(m, 2H), 0.48(m, 1H), 0.40(m, 1H)。
【0294】
【化23】
【0295】
【化24】
【0296】
c.化合物304の調製
2L三つ口丸底フラスコ内で機械攪拌機および添加漏斗を用いて、N−t−Boc−cis−4−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル303(100.0g、407.7mmol)およびDABCO(1.5当量、68.6g、611.6mmol)を無水トルエン(200mL)に溶かした。溶液を0℃にN
2下で冷却した後に、4−ブロモ−ベンゼンスルホニルクロリド(1.3当量、135.6g、530.0mmol)のトルエン300mL中の溶液を添加漏斗を介して60分間かけて加えた。反応混合物を撹拌し、室温に一晩(16時間)加温した。混合物を1MのNa
2CO
3(水溶液)2Lにゆっくりと注ぎ、生成物をEtOAc(2L)で抽出した。有機相を0.5N HCl(2L)、H
2O(1L)およびブライン(1L)で洗浄した後に、乾燥させ(MgSO
4)、濃縮して、黄色の油性のブロシレート生成物195.45gを得た。
【0297】
上記のブロシレート(407.7mmol)のジクロロメタン(300mL)中の溶液に、ジオキサン中4.0MのHCl(500mL、5当量)を徐々に加え、生じた溶液を室温で2時間撹拌した。エーテル(500mL)を反応混合物に加えた後に、混合物を15分間撹拌し、濾過によって、白色の沈澱物を収集した。固体をエーテルおよびヘキサンで洗浄し、次いで、真空下で一晩乾燥させて、化合物304のHClアミン塩153.0
g、381.8mmolを2ステップで収率94%で得た。
【0298】
d.化合物305の調製
Boc−tert−ブチル−グリシン(97.0g、420.0mmol)のDMF(200mL)およびDCM(200mL)中の溶液に、HATU(217.76g、572.7mmol)およびHunig塩基(126mL、1145.4mmol)を室温で加えた。混合物を室温で20分間撹拌した後に、上記のHCl塩(153.0g、381.8mmol)およびHunig塩基(126mL、1145.4mmol)のDMF(200mL)およびジクロロメタン(200mL)中の溶液を上記の酸混合物に一度に加えた。LCMSによって監視しながら、反応混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮してジクロロメタンを減圧下で除去し、形成した白色の固体を濾別した。残りのDMF溶液を酢酸エチル(1L)で希釈し、3%LiCl(水溶液)(3×650mL)、飽和NH
4Cl(2×500mL)、0.5NのHCl(水溶液)(2×600mL)、ブライン(500mL)、飽和NaHCO
3(3×500mL)およびブライン(500mL)で連続的に洗浄した。生じた有機フラクションを乾燥させ(MgSO
4)、濃縮して、化合物305(111g)を得た。
【0299】
e.化合物306の調製
メチルエステル305(120g、207.8mmol)のTHF(300mL)、MeOH(75mL)中の溶液に、LiOH(26.18g、623.4mmol)のH
2O(150mL)中の溶液を加えた。溶液を室温で4時間撹拌した。混合物を氷浴中で冷却し、その間に、3NのHClを用いてpH約5.5に酸性化し、10分間撹拌し、生じた白色の固体を濾過によって収集した。固体をさらなる水、エーテルおよびヘキサンで洗浄した。固体を真空下、40℃で一晩乾燥させて、酸306 95.78g(82%)を得た。
【0300】
f.化合物307の調製
カルボン酸306(81.4g、144.27mmol)のDMF(200mL)およびジクロロメタン(200mL)中の溶液に、HATU(82.3g、216.4mmol)およびHunig塩基(47.5mL、432.8mmol)を室温で加えた。混合物を20分間室温で撹拌した後に、アミン(158.7mmol)およびHunig塩基(47.5mL、1145.4mmol)のDMF(200mL)およびジクロロメタン(200mL)中の溶液を、上記の酸混合物に一度に加えた。反応混合物を室温で3時間撹拌し、LCMSによって監視した。混合物を減圧下で濃縮してジクロロメタンを除去した後に、形成した白色の固体を濾別した。残りのDMF溶液を酢酸エチル(600mL)で希釈し、3%LiCl(水溶液)(2×550mL)、飽和NH
4Cl(500mL)、1NのHCl(水溶液)(500mL)、飽和NaHCO
3(500mL)およびブライン(300mL)で連続的に洗浄した。生じた有機フラクションを乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮して化合物307(111g)を得た。
【0301】
g.化合物308の調製
化合物307を、ジオキサン中4NのHCl(300mL)に室温で溶かし、2時間撹拌した。次いで、これを真空下で濃縮し、ジクロロメタン(2×200mL)と共蒸発させて(co−evaporated)乾燥させた。残渣をEtOAc(600mL)および飽和NaHCO
3水溶液(1L)に溶かした。これを激しく撹拌した。10分後に、炭酸ビシクロ[3.1.0]ヘキサ−3−イルエステル2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル302(41.4g、173.1mmol)を一度に加えた。生じた混合物をさらに30分間撹拌した後に、有機層を収集し、ブライン(500mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮した。酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって、粗製の生成物を精製して、化合物308 94.4
4g(92%)を得た。
【0302】
【化25】
【0303】
h.化合物310の調製
1−(2−アミノ−3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン309(70.7g、354mmol)を48%HBr水溶液(500mL)中、110℃で72時間撹拌した。撹拌しながら、混合物を0℃に冷却した後に、固体を濾過し、水で洗浄した。生じた固体を飽和NaHCO
3溶液(約350mL)で摩砕し、濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させて、粗製310約40g(61%)を暗茶色の固体として得た。LC/MS=186(M
++1)。
【0304】
i.化合物311の調製
1−(2−アミノ−3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−エタノン310(40g、215mmol)をDMF(360ml)に溶かした。炭酸セシウム(140g、430mmol)を、続いて、ブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール(54.5g、323mmol)を加えた。次いで、混合物を65℃で24時間激しく撹拌した。室温に冷却したら、EtOAc(1L)およびH
2O(1L)を混合物に加えた。有機層をEt
OAc(1×400ml)で抽出した。合わせた有機層を3%LiCl水溶液(2×1L)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物311を白色の固体(39g、67%)として得た。
【0305】
j.化合物312の調製
1−[2−アミノ−3−クロロ−4−(2,2−ジメトキシ−エトキシ)−フェニル]−エタノン311(13g、47.5mmol)およびイソプロピルアミノチアゾール−4−カルボン酸臭化水素酸塩(12.64g、47.5mmol)のピリジン(150ml)中の混合物に、オキシ塩化リン(9.47g、61.8mmol)を−40℃で徐々に加えた。次いで、混合物を0℃で4時間撹拌した。反応が完了したら、H
2O(30ml)を混合物に滴加した。次いで、混合物を0℃でさらに15分間撹拌した。混合物を真空濃縮した。残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO
3水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、真空濃縮した。残渣をCH
2Cl
2に溶かし、ヘキサンを溶液に徐々に加えると、黄色の固体が急に析出し始めた。もはや母液中に生成物が残されていなくなるまで、さらなるヘキサンを加えて、化合物312(18g、85%)を得た。
【0306】
k.化合物313の調製
2−イソプロピルアミノ−チアゾール−4−カルボン酸[6−アセチル−2−クロロ−3−(2,2−ジメトキシ−エトキシ)−フェニル]−アミド312(18g、40.7mmol)をトルエン(400ml)に懸濁させた。NaH(2.4g、61mmol)を激しく撹拌されている混合物に加えたが、その間、H
2発生を監視した。混合物は、加熱還流している間に透明な溶液になった。3時間還流させた後に、反応が完了した。混合物を室温に冷却した。AcOH(69.2mmol)のH
2O中の溶液(3容)を、混合物に加えた。0℃で1時間激しく撹拌した後に、濾過によって、固体を収集し、H
2Oですすいだ。湿ったケーキを高真空下で恒量まで乾燥させて、化合物313(15g、86%)を得た。
【0307】
l.化合物314の調製
ブロシレート中間体303(15g、35mmol)および化合物313(27.5g、38.5mmol)のNMP(200ml)中の混合物に、炭酸セシウム(25.1g、77mmol)を加えた。混合物を65℃で5時間撹拌した。反応物を室温に冷却し、EtOAc(600ml)および3%LiCl水溶液(600ml)を混合物に加えた。有機層を3%水性LiCl(1×600ml)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望のメチルエステルを黄色の固体(23.6g、75%)として得た。LC/MS=900.13(M
++1)。
【0308】
m.化合物315の調製
メチルエステル314(23.6g、26mmol)を氷酢酸(200ml)に溶かし、H
2O中1.4NのHCl(75ml)を溶液に加えた。混合物を60℃で1時間撹拌した。反応が完了したら、混合物を濃縮して溶媒を除去し、トルエン(×2)と共に共蒸発させて、残りの酢酸を除去した。次いで、残渣をEtOAc(500ml)および飽和NaHCO
3水溶液(混合物を中和するのに十分なほど)に溶かしたが、その間、CO
2発生を監視した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、かつ真空濃縮した。残渣を高真空下で1時間さらに乾燥させて、そのまま次のステップのために使用した。粗製物をCH
2Cl
2(360ml)に溶かし、モルホリン(3.4g、39mmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(7.2g、34mmol)を混合物に0℃で加えた。次いで、氷酢酸(0.47g、7.8mmol)を混合物に滴加した。反応は0℃では10分間で完了した。飽和NaHCO
3水溶液を加えて、反応物をクエン
チした。さらに20分間撹拌した後に、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、真空濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望のアミン生成物315を黄色の固体(12g、50%)として得た。LC/MS=924.63(M
++1)。
【0309】
化合物4は、次の実施例に記載されているとおりに調製することができる。
【0310】
(実施例4)
化合物4の調製
【0311】
【化26】
【0312】
ジアステレオ異性体混合物414をヘプタンおよびイソプロパノール(70%:30%、混合溶媒4.5mL中に230mg)に溶かし、次の条件下でキラルカラム分離に供した:
カラム:Chiralcel OD−H、2×25cm
溶媒系:ヘプタン70%およびイソプロパノール30%
流速:6mL/分
1ラン当たりの負荷体積:2.5mL
化合物4は、20分の保持時間を有した。
1H NMR(300MHz, CDCl
3): δ 8.00(s, 1H), 7.1−7.3(m, 5H), 6.83(d, 1H), 6.71(d, 1H), 6.09(brs, 2H), 5.95(s, 1H), 5.04(m, 2H), 4.67(q, 1H), 4.35−4.52(m, 2H), 4.00(m, 2H), 2.74(m, 1H), 1.40(d, 3H), 1.2−1.3(12H), 0.98(s, 3H)。
31P NMR(121.4MHz, CDCl
3): δ 2.72(s)。続いて、化合物4を、X線品質の結晶のために、MTBEから再結晶化させた。
【0313】
化合物4aは、保持時間50分を有した。
1H NMR(300MHz, CDCl
3): δ 7.98(s, 1H), 7.1−7.3(m, 5H), 6.83(d, 1H), 6.73(d, 1H), 6.02(brs, 2H), 5.95(s, 1H), 5.08(d, 1H), 5.00(m, 1H), 4.68(q
, 1H), 4.38−4.56(m, 2H), 3.98(m, 2H), 2.74(m, 1H), 1.40(d, 3H), 1.2−1.3(12H), 0.99(s, 3H)。
31P NMR(121.4MHz, CDCl
3): δ 2.61(s)。
【0314】
中間体ジアステレオ異性体混合物414を次のとおりに調製した。
【0315】
a.化合物402の調製
【0316】
【化27】
【0317】
化合物401(22.0g、54.9mmol、J.O.C.、2004年、6257頁に記載されている手順に従って調製)のメタノール(300mL)中の溶液に、塩化アセチル(22mL)を0℃で、滴下漏斗を使用して、30分間かけて滴加し、次いで、室温で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、酢酸エチル(400mL)に再び溶かし、氷冷の2NのNaOHで洗浄し、乾燥するまで濃縮して、粗製のメチルエーテル402をオイルとして得た。MS=437.2(M+Na
+)。
【0318】
b.化合物403の調製
【0319】
【化28】
【0320】
化合物402のメタノール(300mL)中の溶液に、メタノール中0.5Mのナトリウムメトキシド溶液(20mL、10mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。反応物をジオキサン中4.0NのHCl溶液(2.5mL、10mmol)でクエンチした。次いで、混合物を濃縮し、粗製の化合物403を得た。MS=201.0(M+Na
+)。
【0321】
c.化合物404の調製
【0322】
【化29】
【0323】
化合物403、Tritron X−405(水中70%、6.0g)、50%KOH(水中、85g)のトルエン(500mL)中の混合物を、Dean−Starkトラップを取り付けて加熱還流した。水25mLを1時間収集した後に、塩化ベンジル(33g、260mmol)を加え、撹拌しながら16時間還流を続けた。次いで、混合物を冷却し、酢酸エチル(400mL)と水(300mL)とに分配した。有機層を水(300mL)で洗浄し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、メチルエーテル404をオイル(22.0g、3ステップで89%)として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl
3): δ 7.3(m, 15H), 4.5−4.9(m, 7H), 4.37(m, 1H), 3.87(d, 1H), 3.56(m, 2H), 3.52(s, 3H), 1.40(s, 3H)。
【0324】
d.化合物405の調製
【0325】
【化30】
【0326】
404(22.0g、49.0mmol)の酢酸(110mL)中の溶液に、3Mの硫酸(濃硫酸4.8gを水24mLと混合することによって調製)を加え、70℃で8時間撹拌した。混合物を20mLの体積まで濃縮し、酢酸エチルと氷冷の2NのNaOHとに分配した。酢酸エチル層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(約35%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、化合物405をオイル(17.0g、80%)として得た。MS=457.2(M+Na
+)。
【0327】
e.化合物406の調製
【0328】
【化31】
【0329】
化合物405(45g、104mmol)のDMSO(135mL)中の溶液に、無水酢酸(90mL、815mmol)を室温、アルゴン下で滴加した。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、撹拌しながら氷水(1L)に注いだ。氷が完全に溶けた後に(30分)、酢酸エチル(500mL)を加えた。有機層を分離した。この抽出プロセスを3回(3×500mL)繰り返した。有機抽出物を合わせ、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、化合物406をオイル(39g、88%)として得た。
1H NMR(300MHz, DMSO−d
6): δ 7.3(m, 15H), 4.4−4.8(m, 7H), 4.08(d, J=7.5Hz, 1H), 3.75(dd, J=2,4, 11.4Hz,
1H), 3.64(dd, J=5.4, 11.4Hz, 1H), 1.51(s, 3H)。
【0330】
f.化合物407の調製
【0331】
【化32】
【0332】
乾燥している、アルゴンパージされた丸底フラスコ(100mL)に、7−ブロモ−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−4−イルアミン(234mg、1.10mmol)(WO2007056170号に従って調製)および無水THF(1.5mL)を加えた。次いで、TMSCl(276μL、2.2mmol)を加え、反応混合物を2時間撹拌した。フラスコをドライアイス/アセトン浴(−78℃)に入れ、BuLi(2.5mL、4.0mmol、ヘキサン中1.6M)を滴加した。1時間後に、化合物406(432.5mg、1.0mmol)のTHF中の溶液を0℃に冷却し、次いで、反応フラスコに滴加した。−78℃で1時間撹拌した後に、フラスコを0℃に加温し、飽和NH
4Cl(5mL)を加えて、反応物をクエンチした。有機物を、EtOAc(3×10mL)を使用して抽出し、合わせた有機層を、MgSO
4を使用して乾燥させた。溶媒を減圧下で除去し、粗製物質を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc)を使用して精製した。化合物407 560mg(90%)を2種のアノマーの混合物
として単離した。LC/MS=567.2(M+H
+)。
1H NMR(300MHz,
CDCl
3): δ 7.85(m, 1H), 7.27(m, 15H), 7.01(m, 1H), 6.51(m, 1H), 4.66(m, 8H), 4.40(m, 2H), 3.79(m, 3H), 1.62(s、1つのアノマーからの2’−CH
3), 1.18(s、他のアノマーからの2’−CH
3)。
【0333】
g.化合物408の調製
【0334】
【化33】
【0335】
化合物407(1g、1.77mmol)のCH
2Cl
2(20mL)中の溶液に0℃で、TMSCN(1.4mL、10.5mmol)およびBF
3−Et
2O(1mL、8.1mmol)を加えた。反応混合物を0℃で0.5時間撹拌し、次いで、室温でさらに0.5時間撹拌した。反応物をNaHCO
3で0℃でクエンチし、CH
3CO
2Etで希釈した。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。CH
3CO
2Et−ヘキサン(1:1から2:1)で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーによって、残渣を精製して、化合物408(620mg、61%)を異性体混合物として得た。MS=576.1(M+H
+)。
【0336】
h.化合物409の調製
【0337】
【化34】
【0338】
化合物408(150mg、0.26mmol)のCH
2Cl
2(4mL)中の溶液に−78℃で、BCl
3(2mL、CH
2Cl
2中1M)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間撹拌した。TEA(2mL)およびMeOH(5mL)を滴加することによって、反応物を−78℃でクエンチした。混合物を室温に加温し、蒸発させ、MeOHと数回、共蒸発させた。残渣をNaHCO
3(H
2O10mL中に1g)で処理し、濃縮し、HPLCによって精製して、所望の生成物である化合物409(48mg、60%)を得た。
1H NMR(300MHz, D
2O): δ 7.74(s 1H), 6.76
(d, J=5Hz, 1H), 6.73(d, J=5Hz, 1H), 4.1(m, 1H), 3.9(m, 1H), 3.8(m, 2H), 0.84(s, 3H)。MS=305.9(M+H
+)。他のα−アノマーもまた得られた(9mg、11%):
1H NMR(300MHz, D
2O): δ 7.70(s 1H), 6.8(d, J=5Hz, 1H), 6.7(d, J=5Hz, 1H), 4.25(d, J=9Hz, 1H), 4.07(m, 1H), 3.85(m, 1H), 3.7(m, 1H), 1.6(s, 3H)。MS=306.1(M+H
+)。
【0339】
i.化合物412の調製
【0340】
【化35】
【0341】
化合物410(市販、4.99g、23.8mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶かし、アラニンイソプロピルエステルヒドロクロリド411(3.98g、23.8mmol)を加えた。生じた透明な溶液を−78℃に30分間冷却した。トリエチルアミン(6.63mL、47.5mmol)を15分間かけて滴加した。次いで、混合物を室温に加温した。16時間後に、溶媒をアルゴン流によって除去した。残渣をMTBE(25mL)に再び溶かし、不溶性物質をアルゴン下で濾過することによって除去した。濾液をアルゴン流によって濃縮し、粗製の生成物412をさらに精製することなく、次の反応で使用した。
1H NMR(300MHz, CDCl
3): 7.1−7.4(m,
5H), 5.1(m, 1H), 4.35(m, 1H), 4.15(m, 1H), 1.5(d, 3H), 1.2(m, 6H).
31P NMR(121.4MHz, CDCl
3): δ 7.8および8.4(2s)。
【0342】
j.化合物413の調製
【0343】
【化36】
【0344】
化合物409(1.03g、3.37mmol)のリン酸トリメチル(2.0mL)お
よびTHF(20mL)中の溶液に、N−メチルイミダゾール(1.5g、18.3mmol)を0℃で加えた。化合物412(2.5g、8.18mmol)のTHF(3mL)中の溶液を滴加した。生じた混合物を1.5時間にわたって室温に加温した。混合物を酢酸エチルと水とに分配した。酢酸エチル層を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチルから10%エタノール/酢酸エチル)によって精製して、化合物413
1.15g(59%)をリン(phosphorous)での1:1のジアステレオ異性体混合物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl
3): δ 8.02(s, 1H), 7.1−7.4(m, 5H), 6.8(2d, 1H), 6.7(2d, 1H), 6.08(brs, 2H), 5.03(m, 1H), 4.6(m, 1H), 4.4(m, 2H), 3.9−4.1(m, 3H), 1.31(d, 3H), 1.2(m, 6H), 0.83(s, 3H)。
31P
NMR(121.4MHz, CDCl
3): δ 2.78(s)。MS=575.1(M+H
+)。
【0345】
k.化合物414の調製
【0346】
【化37】
【0347】
化合物413(175mg、0.305mmol)のアセトニトリル(2mL)中の溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(41μL、0.34mmol、1.1当量)を加え、室温で1時間撹拌した。反応は完了した(LCMSによって)。次いで、混合物を乾燥するまで濃縮した。残渣に、DCC(250mg、1.21mmol、4当量)、アセトニトリル(5mL)およびイソ酪酸(55mg、58μL、2当量)を加えた。混合物を室温で48時間撹拌した。水(0.2mL)およびトリフルオロ酢酸(0.1mL)を0℃で加え、室温で64時間撹拌した。重炭酸ナトリウム(500mg)を0℃で加えた。混合物を室温で0.5時間撹拌し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/ジクロロメタン)によって精製して、化合物414 144mg(73%)をリン(phosphorus)での1:1ジアステレオ異性体混合物として得た。
1H NMR(300MHz, CDCl
3): δ 8.00(s, 1H), 7.1−7.4(m, 5H), 6.83(d,
1H), 6.71(2d, 1H), 5.97(brs, 2H), 5.94(d, 1H), 5.07(2d, 1H), 5.01(m, 1H), 4.68(m, 1H), 4.4(m, 2H), 4.0(m, 2H), 2.74(m, 1H), 1.4(2d, 3H), 1.2−1.3(12H), 0.98および0.99(2s, 3H)。
31P NMR(121.4MHz, CDCl
3): δ
2.56および2.65(2s).MS=645.1(M+H
+)。
【0348】
化合物5は、次の実施例に記載されているとおりに調製することができる。
【0349】
(実施例5)
5:5−(3,3−ジメチルブタ−1−イン−1−イル)−3−[(cis−4−ヒドロキシ−4−{[(3S)−テトラヒドロフラン−3−イルオキシ]メチル}シクロヘキシル){[(1R)−4−メチルシクロヘキサ−3−エン−1−イル]カルボニル}アミノ]チオフェン−2−カルボン酸5の調製
【0350】
【化38】
【0351】
1−メチル−ピロリジン−2−オン(3mL)中の5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−[((1R)−4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニル)−(1−オキサ−スピロ[2.5]オクタ−6−イル)−アミノ]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル508(132mg、0.28mmol)および(S)−テトラヒドロ−フラン−3−オール509(247mg、2.8mmol)をカリウムtert−ブトキシド(251mg、2.24mmol)で処理し、密閉し、40℃に16時間加熱した。冷却した後に、混合物をpH3まで、2MのHClで処理し、酢酸エチルと水とに分配し、分離した。有機層を5%塩化リチウム溶液、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、濃縮した後に、残渣をCH
3CN(0.1%TFA)/H
2O(0.1%TFA)を用いるHPLCによって精製して、化合物5 107mg(収率70%)を白色の粉末として得た:MS(m/z):544.0[M+H]+;HPLC保持時間4.22分(2〜98%のアセトニトリル:水、トリフルオロ酢酸0.05%含有)。
【0352】
中間体化合物508は、次のとおりに調製した。
【0353】
【化39】
【0354】
a.化合物502の調製
ジクロロメタン(25mL)中の(S)−3−ヒドロキシ−4,4−ジメチルジヒドロフラン−2(3H)−オン(2.60g、20mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5.2mL、30mmol)を−10℃に冷却し、塩化アクリロイル(2.03mL、25mmol)で滴下処理し、2時間撹拌した。1MのHCl(20mL)を加え、有機層を重炭酸ナトリウムおよび水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10〜40%EtOAc、ヘキサン)によって、所望の(S)−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルアクリレート501 2.09g(収率57%)を透明なオイルとして得た。
【0355】
ジクロロメタン(17.5mL)およびヘキサン(2.5mL)中の(S)−4,4−
ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イルアクリレート501(2.05g、11.1mmol)を−10℃に冷却し、四塩化チタン(2.2mL、ジクロロメタン中1M、2.2mmol)で処理した。黄色の溶液を15分間撹拌し、イソプレン(1.67mL、16.7mmol)で5分間にわたって滴下処理した。2時間撹拌した後に、追加の分割のイソプレン(1.67mL、16.7mmol)を加え、反応混合物を−10から0℃で3.5時間撹拌した。反応混合物を塩化アンモニウム(飽和水溶液)でクエンチした。水および酢酸エチル:ヘキサン(1:1)を加えた。有機層を分離し、水性層を再び酢酸エチル:ヘキサン(1:1)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(10〜50%EtOAc:Hex、80gカラム)によって精製して、(R)−((S)−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキシレート502 1.30g(収率46%)を透明なオイルとして得た。
【0356】
b.化合物503の調製
THF(10mL)、水(1mL)およびメタノール(1mL)中の(R)−((S)−4,4−ジメチル−2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボキシレート502(1.30g、5.15mmol)を水酸化リチウム一水和物(2.16g、51.5mmol)で処理し、撹拌しながら50℃に加温した。1時間後に、反応混合物を1MのHClで処理した。混合物をヘキサン:THF(10:1)で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、白色の粉末としての(R)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボン酸503 0.738g(定量的収量)にした。
【0357】
c.化合物504の調製
【0358】
【化40】
【0359】
トルエンから蒸発させることによって共沸乾燥させた(R)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボン酸503(371mg、2.65mmol)を三塩基性リン酸カリウム(1.13g、7.94mmol)で処理し、ジクロロメタン(7.6mL)に懸濁させ、ジメチルホルムアミド(4滴)で処理した。反応混合物を0℃に冷却し、塩化オキサリル(0.75mL、7.9mmol)で滴下処理した。反応混合物を撹拌しながら、周囲温度に2時間加温した。固体を濾過した後に、溶液を濃縮し、ヘキサンで処理し、再び濃縮して、(R)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボニルクロリド504を薄黄色のオイルとして得、これを直ちに次のステップで使用した。
【0360】
d.化合物506の調製
【0361】
【化41】
【0362】
(R)−4−メチルシクロヘキサ−3−エンカルボニルクロリド504(2.65mmol)、5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル505(250mg、0.66mmol)および三塩基性リン酸カリウム(562mg、2.65mmol)をジクロロエタン(1.7mL)に懸濁させ、蓋で密閉し、90℃に加熱した。16時間後に、反応混合物を冷却し、酢酸エチルと水とに分配した。有機層を分離し、水性層を再び酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10〜40%EtOAc:ヘキサン)によって、所望の5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−((1R)−4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニル)−アミノ]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル506 220mg(収率67%)をベージュ色の泡として得た。
【0363】
e.化合物507の調製
【0364】
【化42】
【0365】
5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−[(1,4−ジオキサ−スピロ[4.5]デカ−8−イル)−((1R)−4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル506(219mg、0.438mmol)をTHF(3.5mL)に溶かし、4MのHCl(1.75mL、7.01mmol)で処理した。反応混合物を45℃に加熱し、2時間撹拌した。酢酸エチルを加え、有機層を分離し、次いで、水、重炭酸ナトリウム(飽和水溶液)、水およびブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、白色の泡としての所望の5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−[((1R)−4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニル)−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル507 0.190g(収率95%)にした。
【0366】
f.化合物508の調製
【0367】
【化43】
【0368】
DMSO(1.5mL)中のトリメチルスルホキソニウムクロリド(79mg、0.62mmol)を水素化ナトリウム(21mg、60%油分散物、0.53mmol)で処理し、周囲温度で10分間撹拌した。THF(1mL+0.5mL)中の5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−[((1R)−4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニル)−(4−オキソ−シクロヘキシル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル507を滴加し、反応混合物を45分間撹拌した。オレンジ色の溶液をpH3まで5%クエン酸で処理し、水と酢酸エチルとに分配した。有機層を分離し、水性層を再び酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を5%LiCl、水およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過および濃縮した後に、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(20〜75%EtOAc:ヘキサン)によって精製して、5−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イニル)−3−[((1R)−4−メチル−シクロヘキサ−3−エンカルボニル)−(1−オキサ−スピロ[2.5]オクタ−6−イル)−アミノ]−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル508 0.134g(収率70%)を白色の粉末として得た。
【0369】
化合物6は、米国特許出願第12/779,023号(米国特許出願公開第20100310512 A1号)に記載されているものなどの合成方法および中間体を使用して調製することができる。化合物6はまた、次の実施例に記載されているとおりに調製することもできる。
【0370】
(実施例6)
(1−{3−[6−(9,9−ジフルオロ−7−{2−[5−(2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタ−6−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−9H−フルオレン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボニル}−2−メチル−プロピル)−カルバミン酸メチルエステル6の調製
【0371】
【化44】
【0372】
3−[6−(9,9−ジフルオロ−7−{2−[5−(2−メトキシカルボニルアミノ
−3−メチル−ブチリル)−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタ−6−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−9H−フルオレン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル614(115mg、0.138mmol)をDCM(2mL)に溶かし、ジオキサン中のHCl(4M、2mL)を加え、室温での撹拌を続けた。20分後に、全ての揮発性物質を真空で除去した。粗製物質をさらに精製することなく次のステップで使用した。粗製物質をDMF(1.5mL)に溶かし、DIEA(53.4mg、0.414mmol)を加えた。2−(L)メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸611(24.2mg、0.138mmol)、HATU(52.4mg、0.138mmol)およびDIEA(17.8mg、0.138mmol)のDMF(1mL)中の溶液を加えた。反応物を室温で撹拌した。20分後に、反応物をEtOAcで希釈し、重炭酸塩水溶液、LiCl水溶液(5%)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を真空で除去して、粗製物質を得、これをRP−HPLC(溶離剤:水/MeCN、0.1%TFA含有)によって精製して、化合物6(76mg)を得た。LCMS−ESI
+:C
49H
54F
2N
8O
6での算出値:888.9(M
+);実測値:890.0(M+H
+)。
1H−NMR: 300MHz,(dmso−d
6) δ: 8.20−7.99(m, 8H), 7.73(s, 2H), 7.37−7.27(m,
2H), 5.25(dd, J=7.2Hz, 1H), 4.78(s, 1H)
4.54(s, 1H), 4.16(m, 1H), 4.02(m, 1H), 3.87(m,1H), 3.74(m, 1H), 3.55(s, 3H), 3.53(s, 3H), 2.75(m, 1H), 2.25(m, 2H), 2.09−2.04(m, 2H), 1.88−1.79(m, 2H), 1.54(m,
1H), 0.94−0.77(m, 15H) 0.63(m, 4H) ppm。
【0373】
19F−NMR: 282MHz,(dmso−d
6) δ: −109.1 ppm
[−74.8 ppm TFA]。
【0374】
中間体化合物614を次のとおりに調製した。
【0375】
【化45】
【0376】
a.化合物4−メチレン−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−ベンジルエステル2−メチルエステル602の調製
4−メチレン−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−tert−ブチルエステル601(10.0g、44mmol)をMeOH(75mL)に室温で溶かし、HCl(ジオキサン中4M、75mL)を加えた。室温での撹拌を4時間続けた。全ての揮発性物質を
真空で除去し、ベージュ色の固体を得た。粗製物質をDCM(100mL)に懸濁させ、N−メチルモルホリン(13.3g、132mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、撹拌しながら、クロロギ酸ベンジル(8.26g、48.4mmol)を加えた。30分後に、反応物を室温に加温し、溶液を水および水性HCl(1M)で洗浄した。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を蒸発させて、粗製の生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAc/ヘキサン)によって精製して、化合物602(10.2g)を得た。LCMS−ESI
+:C
15H
17NO
4での算出値:275.3(M
+);実測値:276.4(M+H
+)。
【0377】
b.化合物603および604の混合物の調製
オーブン乾燥させた三つ口丸底フラスコに、窒素注入口アダプターおよび250mL添加漏斗を備え付けた。3番目の口は、隔膜で密閉した。フラスコに撹拌棒、ジクロロメタン(dichlorormethane)(120mL)およびジエチル亜鉛(ヘキサン中1.0M、118mL、118mmol)を入れ、次いで、氷浴中で0℃に冷却した。添加漏斗にジクロロメタン(40mL)およびトリフルオロ酢酸(9.1mL、118mmol)を入れた。ジエチル亜鉛溶液を0℃に冷却した後に(約25分)、トリフルオロ酢酸溶液を20分かけて撹拌されている反応混合物に滴加した。0℃でさらに20分間撹拌した後に、ジヨードメタン(9.5mL、118mmol)を4分間かけて徐々に加えた。さらに20分後に、4−メチレン−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−ベンジルエステル2−メチルエステル602(8.10g、29.4mmol)をジクロロメタン30mL中でカニューレによって加えた。次いで、4−メチレン−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸1−ベンジルエステル2−メチルエステルを含有したフラスコをさらなるジクロロメタン10mLですすぎ、この溶液をまた、カニューレによって反応混合物に移した。反応混合物を室温に加温し、110時間(約5日間)撹拌し、その後、反応物を、飽和水性塩化アンモニウム(約150mL)でクエンチした。フラスコの内容物を、飽和水性重炭酸ナトリウム(800mL)を含有する2L分離漏斗に徐々に注いだ。水性相を酢酸エチル300mLで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、化合物603および604の混合物を得た。
【0378】
c.化合物603の調製
サブパートbからの粗製物質を3:1:1のTHF/水/アセトン(165mL)に溶かし、次いで、N−メチルモルホリン−N−オキシド(3.45g、29.4mmol)および四酸化オスミウム(水中4重量%、5mL、0.818mmol)で処理した。室温で7時間撹拌した後に、反応物を1Mのチオ硫酸ナトリウム水溶液(約100mL)でクエンチした。次いで、フラスコの内容物を、水(約300mL)を含有する1L分離漏斗に注いだ。水性相をジクロロメタン300mLで3回抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。粗製の残渣をシリカカラムクロマトグラフィー(5%から45%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5,6−ジカルボン酸5−ベンジルエステル6−メチルエステル603を透明なオイル(5.54g、19.15mmol、65%)として得た。
1H NMR(CDCl
3) δ 7.36−7.29(m, 5H), 5.21−5.04(m, 2H),
4.56−4.47(m, 1H), 3.75(s, 1.5H), 3.60(m, 1.5H), 03.51−3.37(m, 2H), 2.32−2.25(m,
1H), 1.87−1.80(m, 1H), 0.64−0.51(m, 4H)。
【0379】
d.5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5,6−ジカルボン酸5−ベンジルエステル606の調製
5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5,6−ジカルボン酸5−ベンジルエステル6−メチルエステル603(244mg、0.840mmol)をTHF(2.0mL)/
MeOH(1.5mL)に溶かした。LiOH(35.5mg、0.84mmol)の水溶液を加え、室温での撹拌を続けた。3時間後に、反応物を水性HCl(1M)で中和し、有機溶媒を真空で除去した。粗製の混合物を水およびEtOAcで希釈し、有機層を収集した。全ての揮発性物質を真空で除去し、粗製の酸606をさらに精製することなく使用した。LCMS−ESI
+:C
15H
17NO
4での算出値:275.3(M
+);実測値:276.3(M+H
+)。
【0380】
【化46】
【0381】
e.2,7−ジブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン608の調製
2,7−ジブロモ−フルオレン−9−オン607(4.0g、11.8mmol)をデオキソフルオル(deoxofluor)(12mL)に室温で懸濁させ、EtOH(4滴)を添加した。撹拌された懸濁物をT=90℃で24時間加熱した(注意:急速で激しい発熱が生じ得るので、上記のとおりの高温でのデオキソフルオルの使用には注意すること)。反応物を室温に冷却し、重炭酸ナトリウムを含有する氷に注いだ。固体が形成し、それを濾過によって収集した。粗製物質をEtOAcに入れ、水性HCl(1M)およびブラインで洗浄した。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を蒸発させて、粗
製の生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAc/ヘキサン)によって精製して、608(3.2g)を得た。
19F−NMR:282MHz、(dmso−d
6)δ:−111.6ppm。次のステップでその物質を使用する前に、これをEtOAc中の溶液として炭にさらした。
【0382】
f.5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5,6−ジカルボン酸5−ベンジルエステル6−[2−(7−ブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン−2−イル)−2−オキソ−エチル]エステル609の調製
2,7−ジブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン608(372mg、1.04mmol)、Pd(PPh
3)
4(30.0mg、0.026mmol)、PdCl
2(PPh
3)
2(18.2mg、0.026mmol)、As(PPh
3)
3(5.0mg)をジオキサン(10mL)にアルゴン雰囲気下で溶かした。エトキシビニル−トリブチルスズ(376.4mg、1.04mmol)を加えた。混合物を140分間85℃(油浴)で加熱した。反応物を室温に冷却した。N−ブロモスクシンイミド(177mg、1.0mmol)を、続いて水(2mL)を加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、その後、ジオキサンの大部分を真空で除去した。粗製の反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。全ての揮発性物質を真空で除去した。トルエンを加え、全ての揮発性物質を真空で、2回目で除去した。粗製物質をDMF/MeCN(2mL、1:1)に室温で溶かした。N−Cbz−4−シクロプロピル(L)プロリン606(0.84mmol)およびDIEA(268mg、2.08mmol)のMeCN(2mL)中の溶液を加え、室温での撹拌を続けた。14時間後に、大部分のMeCNを真空で除去し、粗製の反応混合物をEtOAcで希釈した。混合物を水性HCl(1M)、LiCl水溶液(5%)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を蒸発させて、粗製の反応生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAc/ヘキサン)を介して精製して、化合物609(176mg)を得た。LCMS−ESI
+:C
30H
24BrF
2NO
5での算出値:596.4(M
+);実測値:595.2/597.2(M+H
+)。
【0383】
g.6−[5−(7−ブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボン酸ベンジルエステル610の調製
5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5,6−ジカルボン酸5−ベンジルエステル6−[2−(7−ブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン−2−イル)−2−オキソ−エチル]エステル609(172mg、0.293mmol)をm−キシレン(6.0mL)に溶かした。酢酸アンモニウム(226mg、2.93mmol)を加え、反応物を140℃で60分間、マイクロ波条件下で撹拌した。反応物を室温に冷却し、全ての揮発性物質を真空で除去した。粗製物質をシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAc/ヘキサン)を介して精製して、化合物610(80.3mg)を得た。LCMS−ESI
+:C
30H
24BrF
2N
3O
2での算出値:576.4(M
+);実測値:575.2/577.2(M+H
+)。
【0384】
h.(1−{6−[5−(7−ブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボニル}−2−メチル−プロピル)−カルバミン酸メチルエステル612の調製
6−[5−(7−ブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボン酸ベンジルエステル610(800mg、1.38mmol)をDCM(15mL)に溶かし、AcOH中のHBr(37%、2mL)を加え、室温での撹拌を続けた。180分後に、懸濁物をヘキサンで希釈し、固体を濾過を介して収集し、ヘキサンで洗浄し、真空に供した。粗製物質をさらに精製することなく次のステップで使用した。粗製物質をDMF(
4.0mL)に溶かし、DIEA(356mg、2.76mmol)を加えた。2−(L)−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−酪酸611(242mg、1.38mmol)、HATU(524mg、1.38mmol)およびDIEA(178mg、1.38mmol)のDMF(1mL)中の溶液を加えた。反応物を室温で撹拌した。50分後に、反応物をEtOAcで希釈し、重炭酸塩水溶液、LiCl水溶液(5%)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を真空で除去して、粗製物質を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAc/ヘキサン)によって精製して、僅かに不純な化合物612(878mg)を得た。LCMS−ESI
+:C
29H
29BrF
2N
4O
3での算出値:599.5(M
+);実測値:598.5/600.5(M+H
+)。
【0385】
i.3−[6−(9,9−ジフルオロ−7−{2−[5−(2−メトキシカルボニルアミノ−3−メチル−ブチリル)−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタ−6−イル]−3H−イミダゾール−4−イル}−9H−フルオレン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル614の調製
(1−{6−[5−(7−ブロモ−9,9−ジフルオロ−9H−フルオレン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル]−5−アザ−スピロ[2.4]ヘプタン−5−カルボニル}−2−メチル−プロピル)−カルバミン酸メチルエステル612(840mg、1.4mmol)、3−[6−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル]−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル613(615mg、1.4mmol)、Pd(PPh
3)
4(161mg、0.14mmol)、K
2CO
3(579mg、4.2mmol)をDME(15mL)/水(3mL)にアルゴン雰囲気下で溶かした。混合物を85〜90℃(油浴)で120分間加熱した。120分後に、追加のボロン酸エステル(61mg、0.14mmol)を加え、加熱を続けた。3時間後に、反応物を室温に冷却した。大部分のDMEを真空で除去し、粗製の反応混合物をEtOAcで希釈した。混合物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、溶媒を蒸発させて、粗製の反応生成物を得、これをシリカゲルクロマトグラフィー(溶離剤:EtOAc/ヘキサン)を介して精製して、化合物614(878mg)を得た。LCMS−ESI
+:C
47H
51F
2N
7O
5での算出値:831.9(M
+);実測値:832.7(M+H
+)。
【0386】
中間体化合物613は、次のとおりに調製することができる
【0387】
【化47】
【0388】
j.3−(2−アミノ−4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−アザ−ビシクロ[
2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル617の調製
2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸2−tert−ブチルエステル616(0.327g、1.36mmol、1当量)、4−ブロモ−ベンゼン−1,2−ジアミン615(0.507g、2.71mmol、2当量)および4−メチルモルホリン(0.299mL、2当量)のDMF10mL中の溶液に、HATU(0.543g、1.05当量)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで濃縮した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、希NaHCO
3水溶液およびブラインで洗浄した。有機層を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20から80%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、位置異性体3−(2−アミノ−4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル617の混合物を得た。
【0389】
k.3−(6−ブロモ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル618の調製
位置異性体3−(2−アミノ−4−ブロモ−フェニルカルバモイル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル617の上記混合物をエタノールに溶かし、密閉管中で130℃に一晩加熱し、加熱を170℃で3日間継続した。LC−MSによって、所望の生成物およびBoc切断された生成物(約1:1の比)が示された。混合物を濃縮し、DCMに溶かした。二炭酸ジ−tert−ブチル(di−tert−butyl dicarbonate)(0.6当量)を加え、反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20から80%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、3−(6−ブロモ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル618(0.383g、72%)をオレンジ色の泡として得た。
【0390】
l.化合物613の調製
3−(6−ブロモ−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル618(264mg、0.673mmol)、ベンゼン−1,4−ジボロン酸ジピノカル(dipinocal)エステル(5当量、3.36g、6.95mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5%、39mg)および2Mの炭酸カリウム水溶液(3当量、1.01mL)のDME5mL中の混合物を90℃にAr下で4時間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル中で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO
4)、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、20から60%酢酸エチル/ヘキサン)によって精製して、3−{6−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−フェニル]−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル}−2−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸tert−ブチルエステル613(295mg、収率85%)を得た。LCMS−ESI
−:C
30H
38BN
3O
4での算出値:515.45;実測値:516.1(M+H
+)。
【0391】
化合物7は、米国特許第7,429,572号に記載されているものなどの合成方法および中間体を使用して調製することができる。化合物7はまた、次の実施例に記載されているとおりに調製することもできる。
【0392】
(実施例7)
化合物7の調製
【0393】
【化48】
【0394】
化合物701(970g、3.74mol)およびDMAP(50g、0.412mol)のTHF(10L)中の氷冷懸濁物に、TEA(2.3kg、16.5mol)および水(7L)を加えると、透明な溶液が生じる。温度を約0℃で維持しながら、塩化イソブチリル(3当量)を撹拌されている混合物に徐々に加える。HPLCによって、反応が実質的に完了まで進行したことが示されるまで、追加の1.2当量、次いで0.7当量の塩化イソブチル(全部で約1.95kg)を加える。濃HClを用いて、反応混合物を約6.4のpHに酸性化し、有機相をEtOAc(2×10L)で洗浄する。合わせた抽出物を水(1×15L)で洗浄する。有機相を濾過し、真空濃縮する。残渣をIPA(約20kg)に溶かし、ヘプタン(14.2kg)を加える。溶液を約74〜75℃に加熱して、透明な溶液を生じさせ、次いで、約5Lを蒸留によって除去する。生じた溶液を室温に徐々に冷却する。沈澱物が約42〜43℃で形成する。冷却を徐々に5℃まで継続し、次いで一晩撹拌する。生じた固体を濾過し、濾液をIPA/ヘプタン(1:8)混合物(13.4kg)で洗浄し、真空下で約60〜70℃で乾燥させて、化合物7 1.295kg(86.65%)を得るが、これは、HPLCによると純度99.45%である。
【0395】
中間体化合物706は、次のとおりに調製することができる。
【0396】
【化49】
【0397】
【化50】
【0398】
a.化合物701の調製
シチジン(100g、0.411mol)のDMF(2.06L)中の懸濁物に、無水安息香酸(102.4g、0.452mol)を加える。混合物を室温で20時間撹拌した。DMFを真空で除去し、残渣をジエチルエーテルで摩砕した。生じた固体を吸引濾過によって収集し、ジエチルエーテル(2×200mL)で洗浄した。真空で、室温でさらに乾燥させて、N
4ベンズアミド(140.6g、98.3%)を得た。この物質の一部(139.3g、0.401mol)を無水ピリジン(1.2L)に溶かし、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトライソプロピル−ジシロキサン(141.4mL、0.441mol)で室温で処理した。溶液を室温で一晩撹拌した。混合物をほぼ乾燥するまで真空で濃縮し、トルエン(3×200mL)と共蒸発させた。残渣をEtOAc(1.8L)で処理し、HCl(2×200mL、0.05N)、NaHCO
3(5%、2×400mL)で洗浄した。有機層を洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、乾燥するまで蒸発させた。化合物701(256.5g、100%超)を白色の泡として単離し、さらに精製することなく使用した。
【0399】
b.化合物702の調製
化合物701(236.5g、0.40mol)を無水THF(1.22L)に溶かした。無水DMSO(180.8mL、2.1mol)を加え、生じた溶液を−20℃から−15℃に冷却した。トリフルオロ酢酸無水物(90.6mL、0.64mol)を45分かけて滴加し、溶液を−20℃から−15℃の間で2時間撹拌し、その後、無水トリエチルアミン(223.5mL、1.6mol)を20分かけて加えた。ケトン702を含有する粗製の反応物をEtOAc(500mL)に溶かし、生じた溶液をH
2O(3×400mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、溶媒を真空で除去して、黄色の固体を得、これを、ヘキサン中のEt
2O(0〜60%)の段階的勾配、続くヘキサン中のEtOAc(50〜100%)の段階的勾配で溶離するシリカゲルカラムで精製した。そうして得られた粗製のケトン(約192g)を石油エーテルから結晶化させ、白色の固体としてのケトン702(138.91g、シチジンから57.5%)および黄色の固体としての未反応の出発物質701 22gを得た。
【0400】
c.化合物703の調製
化合物702(48.57g、8.26mmol)を無水トルエン(約400mL)に溶かし、水分を排除しながら溶媒を真空で除去した。次いで、残渣をもう2時間、さらに真空乾燥させた(オイルポンプ)。水分を厳密に排除しながら、残留した泡を無水ジエチルエーテル(1.03L)にアルゴン下で溶かした。生じた溶液を−78℃にアルゴン下で冷却し、MeLi(1.6M、258.0mL、0.413mol)を添加漏斗を介して滴加した。添加が完了した後に、混合物を−78℃で2時間撹拌した。1Mの水性NH
4Cl(500mL)を徐々に加えた。室温に加温した後に、混合物をH
2O(2×500mL)で洗浄し、乾燥させ(Na
2SO
4)、次いで、乾燥するまで濃縮して、茶色の
泡(約60g、100%超)を得た。
【0401】
化合物702 37.62gおよび56.4gを使用して、反応をさらに2回行った。合わせた粗製の生成物(128.0g、0.212mol)をTHF(1.28L)に溶かし、濃HOAc(23mL、0.402mol)で処理した。溶液に、TBAF(384.0mL、THF中1M)を加えた。溶液を室温で0.75時間撹拌し、混合物をシリカゲル(750g)で処理し、乾燥するまで濃縮した。粉末をCH
2Cl
2中に充填されているシリカゲルカラムに入れた。1:7のEtOH−CH
2Cl
2で溶離して、暗色のろう状固体を得、それをシリカゲル(300g)上に予め吸着させ、以前のとおりにクロマトグラフィーを行なった。化合物703(46.4g、702から53.0%)をオフホワイト色の固体として単離した。
1H NMR(DMSO−d
6): δ 1.20(s, 3H, CH
3), 3.62−3.69(m, 2H,), 3.73−3.78(m, 2H,), 5.19(t, 1H, J=5.4Hz, OH−5’), 5.25(s, 1H, OH−2’), 5.52(d, 1H, J=5.0Hz,
OH−3’), 5.99(s, 1H, H−1’), 7.32(d, 1H, J=5.8Hz), 7.50(Ψt, 2H, J=7.7Hz), 7.62(Ψ,
1H, J=7.3Hz), 8.00(d, 2H, J=7.3Hz), 8.14(d, 1H, J=6.9Hz), 11.22(s, 1H, NH)。分析:C
17H
19N
3O
6・0.5H
2Oでの計算値:C、55.13;H、5.44;N、11.35。実測値:C、55.21;H、5.47;N、11.33。
【0402】
d.化合物704の調製
化合物703(46.0g、0.13mol)を無水ピリジンに溶かし、真空で乾燥するまで濃縮した。生じたシロップを無水ピリジンにアルゴン下で溶かし、撹拌しながら0℃に冷却した。茶色の溶液を塩化ベンゾイル(30mL、0.250mol)で10分かけて滴下処理した。氷浴を外し、撹拌を1.5時間継続したところ、TLCによって残存する出発物質は示されなかった。混合物を、水(5mL)を加えることによってクエンチし、乾燥するまで濃縮した。残渣を最小量のCH
2Cl
2に溶かし、飽和NaHCO
3(1×500mL)およびH
2O(1×500mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、乾燥するまで濃縮して、EtOAc−ヘキサン(25〜60%)の段階的勾配で溶離するシリカゲルのクロマトグラフィーを行い、化合物704を黄色の泡(48.5g、67%)として得た。
1H NMR(CDCl
3): δ 1.64(s, 3H, CH
3), 4.50(m, 1H, H−4), 4.78−4.85(m, 2H, H−5’,5a’), 5.50(d, 1H, J=3.4Hz, H−3’), 6.42(s, 1H, H−1’), 7.44−7.54(m, 7H, Ar), 7.57−7.66(m, 3H, Ar), 7.94(d, 2H,
J=7.8Hz), 8.05−8.09(m, 4H, Ar), 8.21(d,
1H, J=7.3Hz)。分析:C
31H
27NO
8での計算値:C、65.37;H、4.78;N、7.38。実測値:C、65.59;H、4.79;N、7.16。
【0403】
e.化合物705の調製
化合物704(7.50g、0.013mol)を無水トルエン(150mL)にアルゴン下で溶かし、−20℃に冷却した。DAST(2.5mL、18.9mmol)を徐々に加え、添加が完了した後に、冷却浴を外した。撹拌を1時間継続し、混合物を飽和NaHCO
3(100mL)に注ぎ、ガスの発生が止まるまで洗浄した。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、濃縮し、1:1のEtOAc−ヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。収量は白色の固体としての純粋な705 1.22g(16.3%)であった。融点241℃(CH
2Cl
2−ヘキサン);
1H NMR(CDCl
3)): δ 1.49(d, 3H, J=22.4Hz, CH
3), 4.64(dd, 1H, J=3.44, 12.9Hz, H−5’), 4.73(d,
1H, J=9.5Hz, H−4’), 4.90(dd, 1H, J=2.4,
12.7Hz, H−5a’), 5.56(dd, 1H, J=8.6, 20.7Hz, H−3’), 6.52(d, 1H, J=18.0Hz, H−1’),
7.47−7.57(m, 7H, Ar), 7.62−7.71(m, 3H, Ar), 7.89(d, 2H, J=6.9Hz), 8.07−8.11(m, 5H, Ar), 8.67(bs, 1H, NH)。
19F NMR(CDCl
3)): δ 3.3(m)。分析:C
31H
26FN
3O
7・0.7H
2Oでの計算値:C、63.74;H、4.72;N、7.20。実測値:C、63.71;H、4.54;N、7.20。
【0404】
f.化合物706の調製
化合物705(6.30g、0.011mol)をアンモニアのメタノール溶液(約7N、150mL)中に懸濁させ、室温で一晩撹拌した。溶媒を真空で除去し、メタノール(1×20mL)と共蒸発させ、シリカゲルに予め吸着させた。白色の粉末をシリカゲルカラムに入れ(CHCl
3中に充填)、カラムをCHCl
3中9%のEtOH)、次いでCHCl
3中17%のEtOH、最後にCHCl
3中25%のEtOH)で溶離した。生成物を含有する画分を濃縮し、0.4μmディスクで濾過し、水から凍結乾燥させて、化合物706、2.18g(76%)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6;): δ 1.17(d, 3H, J=22.3Hz, CH
3), 3.63(dd, 1H,
J=2.7, 13.7Hz, H−5’), 3.70−3.84(m, 3H, H−3’, H−4’, H−5a’), 5.24(app s, 1H, OH−3’), 5.60(d, 1H, J=5.4Hz, H−5’), 5.74(d, 1H, J=7.71Hz, H−5), 6.07(d, 1H, J=18.9Hz, H−1’), 7.31(s, 1H, NH
2), 7.42(s, 1H, NH
2), 7.90(d, 1H, J=7.3Hz, H−6)。
19F NMR(DMSO−d
6;): δ 2.60(m)。分析:C
10H
14FN
3O
4・1.4H
2Oでの計算値:C、44.22;H、5.95;N、14.77。実測値:C、42.24;H、5.63;N、14.54。水(2mL)中に溶かし、1MのHClを用いてpHを約3.0に調節することによって、化合物706(0.10g、0.386mmol)を塩酸塩に変換した。水を真空で除去し、残渣を水性EtOHから結晶化させて、化合物706を塩酸塩(71.0mg)として得た。融点243℃(分解);
1H NMR(DMSO−d
6;): δ 1.29(d, 3H, J=22.6Hz, CH
3), 3.65(dd, 1H, J=2.3, 12.7Hz, H−5’), 3.76−3.90(m, 3H, H−3’, H−4’, H−5a’), 5.96(d, 1H, J=17.3Hz, H−1’), 6.15(d, 1H, J=7.9Hz, H−5), 8.33(d, 1H, J=7.9Hz, H−6), 8.69(s, 1.5H, NH), 9.78(s, 1.5H, NH)。
19F NMR(DMSO−d
6;): δ 1.69(m)。分析:C
10H
14FN
3O
4・HClでの計算値:C、40.62;H、5.11;N、14.21。実測値:C、40.80;H、5.09;N、14.23。
【0405】
化合物8は、米国特許出願第12/632,194号に記載されているものなどの合成方法および中間体を使用して調製することができる。化合物8はまた、次の実施例に記載されているとおりに調製することもできる。
【0406】
(実施例8)
4−アミノ−2−n−ブトキシ−8−[3’−(ピロリジン−1”−イルメチル)−ベンジル]−5,6,7,8−テトラヒドロプテリジン−6−オン8の調製。(R=n−ブチル)
【0407】
【化51】
【0408】
ニトロ化合物807(730mg、1.5mmol)のMeOH(10mL)中の溶液に、ラネーニッケル(約200μL、H
2O中のスラリー)を加えた。反応容器をH
2でフラッシュし、次いで、H
2雰囲気下で1.5時間撹拌した。混合物をセライトで、CH
2Cl
2およびMeOH(1:1)を用いて濾過した。濾液を真空下で濃縮し、凍結乾燥機上に一晩放置した。化合物8の遊離塩基を白色の固体として得た。8のHCl塩を得るために、上記の濾液の試料を、1.0MのHClでpH=1〜2までスパイクし、凍結乾燥させた。
1H NMR(CD
3OD, 300MHz): δ 7.65(s, 1H), 7.50(m, 3H), 4.96(s, 2H), 4.44(t, J=7Hz, 2H), 4.40(s, 2H), 4.16(s, 2H), 3.48(m, 2H), 3.19(m, 2H), 2.02−2.17(m, 4H), 1.74(m, 2H), 1.45(m, 2H), 0.94(t, J=7Hz, 3H)−[HCI塩]。LCMS−ESI
+:C
22H
31N
6O
2での算出値:411.5(M+H
+);実測値:411.3(M+H
+)。
【0409】
中間体化合物807を次のとおりに調製した。
【0410】
【化52】
【0411】
a.化合物802の調製
化合物801(2.46g、10.2mmol)のTHF(34mL)中の溶液に−20℃で、Et
3N(3.14mL、22.5mmol)を、続いて、NH
3の溶液(MeOH中2.0M、5.4mL、11mmol)を加えた。0℃まで加温しながら、混合物を1.5時間撹拌した(LC/MSによって、出発物質の消費が示された)。化合物802を含有する反応混合物を後処理せずに次に進めた。
【0412】
b.化合物803の調製
【0413】
【化53】
【0414】
3−((1−ピロリジニルメチル)フェニル)メタンアミン806(1.95g、10.2mmol)のTHF(34mL)中の溶液に0℃で、Et
3N(3.14mmol、22.5mmol)を、続いてブロモ酢酸メチル(1.04mL、22.3mmol)を滴加した。LC/MSによって、出発物質の消費が示されるまで約2時間、反応混合物を撹拌した。化合物803を含有する混合物を後処理せずに次に進めた。
【0415】
c.化合物804の調製
化合物803を含有する反応混合物を、化合物802を含有する反応混合物に0℃で加えた。LC/MSによって化合物802の消費が示されるまで、約45分間、反応混合物を撹拌した。NH
4Clの飽和溶液(50mL)を加えた。層を分離し、水性層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、化合物804 2.11gを得た。
1H NMR(CD
3OD, 300MHz): δ(ppm) 7.32−7.16(m, 4H), 4.69(s, 2H), 4.19(q, J=7Hz, 2H), 4.07(s, 2H), 3.60(s, 2H), 2.49(m,
4H), 2.40(s, 3H), 1.78(m, 4H), 1.23(t, 3H, J=7Hz)。LCMS−ESI
+:C
21H
29N
6O
4Sでの算出値:461.2(M+H
+);実測値:461.0(M+H
+)。
【0416】
d.エチル−N
α−[4−アミノ−2−メタンスルホニル−5−ニトロピリミジン−6−イル],N
α−[3’−(ピロリジン−1”−イルメチル)−ベンジル]−グリシネート805の調製
【0417】
【化54】
【0418】
硫化物804(3.68g、8.00mmol)のEtOH(40mL)中の溶液懸濁物(a solution a suspension)に0℃で、タングステン酸ナトリウム二水和物(792mg、2.40mmol)、酢酸(4.6mL、80mmol)および過酸化水素(3.4mL、約40mmol、H
2O中35%w/w)を順次加えた。3時間後に、追加の酢酸(4.6mL)および過酸化水素(3.4mL)を加えた。反応物を0℃で16時間維持した。0℃の間に、Na
2SO
3(50mL)の飽和溶液を慎重に加え、続いてCH
2Cl
2(75mL)を加えた。層を分離し、水性層をCH
2Cl
2(4×50mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、化合物805を含有する物質を得、これをさらに精製することなく使用した。
【0419】
e.化合物807の調製。(R=n−ブチル)
【0420】
【化55】
【0421】
スルホン805(1.0g、2.0mmol)のn−ブタノール(10mL)中の溶液に、TFA(470μL、6.1mmol)を加えた。反応物を100℃で1時間撹拌した。反応混合物をNaHCO
3(20mL)およびCH
2Cl
2(30mL)の飽和溶液に注いだ。層を分離し、水性層をCH
2Cl
2(30mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO
4で乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。精製をシリカゲルクロマトグラフィー(基質(substrate)1g/SiO
210g)(2〜15%MeOH/CH
2Cl
2)によって行って、化合物807を得た。
【0422】
生物学的実施例
アッセイプロトコル
ハイスループットレプリコンアッセイ(HTBS)
H77(遺伝子型1a型)またはCon1(遺伝子型1b型)HCV RNAおよびRenillaルシフェラーゼレポーターを持つレプリコン細胞を384ウェル黒色プレートに、1ウェル当たり細胞1.6×103個の密度で、G−418を除いたDMEM培地90μL中に播種した。Biotek μFlow Workstationを用いて、化合物を100%DMSO中で連続希釈し、細胞に1:225希釈で加えて、全体積90μL中で0.44%DMSOの最終濃度を達成した。細胞プレートを37℃で、5%CO
2と共に3日間インキュベーションし、その後、培地を除去し、細胞を、複製レベルのマーカーとしてのルシフェラーゼ活性についてアッセイした。Dual−Gloルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega、Madison、WI)を使用して、ルシフェラーゼ発現を測定した。簡単には、Dual−Gloルシフェラーゼ緩衝液20μLを加えて細胞を10分間溶解し、その後、希釈したDual−Glo Stop & Glo基質(1:100)20μLを各ウェルに加えた。10分間のインキュベーションの後に、ルミネセンスシグナルをPerkin Elmer Envision Plate Readerで測定した。ルシフェラーゼレベルを未処理の対照(100%と定義)に対する百分率に変換し、XLFit4 ソフトウェア(IDBS、Emeryville、CA)を使用して、データをロジスティック用量反応式y=a/(1+(x/b)c)に当てはめた。得られた式からEC
50値を算出した。別法では、抗ウイルス活性を、HCV NS3プロテアーゼIC
50決定によって分析することができる。Talianiの方法(そのようなアッセイを行うことに関して参照によって本明細書に組み込まれるTaliani M、Bianchi E、Narjes F、Fossatelli M、Urbani A、Steinkuhler Cら、A continuous assay
of hepatitis C virus protease based on resonance energy transfer depsipeptide substrates. Anal Biochem 1996年;240巻(1号):60〜7頁)に基づく蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)デプシペプチド基質(RET S1、Anaspec、San Jose、CA)を使用して、HCV NS3プロテア
ーゼ活性を監視した。
【0423】
簡単には、2〜10nMの精製NS3プロテアーゼドメインを37℃で10分間、20μMの同質遺伝子型のNS4Aペプチド補因子(Sigma、St. Louis、MO)と共に、50mMのHEPES pH7.5および10mMのDTTを含む40%グリセロール緩衝液中でプレインキュベートした。化合物をDMSO中で1:3で連続希釈し、酵素/補因子混合物と共に10分間インキュベートし、2μMのRET S1基質(最終濃度)を加えることによって、反応を開始した。1時間にわたって、Victor3 V蛍光プレートリーダー(Perkin Elmer、Waltham、MA)を使用して、蛍光の増大を連続的に測定した。最大傾斜アルゴリズムを用いるWorkout 1.5ソフトウェア(DAZDAQ、East Sussex、UK)を使用して、各インヒビター濃度についての初速度を算出した。速度データを未処理の対照(100%と定義)に対する百分率に変換し、非線形回帰を行って50%阻害濃度(IC
50値)を算出した。
【0424】
NS3酵素効力(potency):精製NS3プロテアーゼをNS4Aペプチドと複合させ、次いで、化合物の連続希釈物(溶媒としてDMSOを使用)と共にインキュベートする。二重標識されたペプチド基質を加えることによって、反応を開始し、その結果生じる蛍光の動的増大を測定する。速度データの非線形回帰を行って、IC
50を算出する。活性を初めに、遺伝子型1b型プロテアーゼに対して試験する。遺伝子型1b型に対して得られた抗力に応じて、追加の遺伝子型(1a型、2a型、3型)およびまたはプロテアーゼインヒビター耐性酵素(D168Y、D168VまたはA156T変異体)を試験することができる。全てのアッセイを通じて、BILN−2061を対照として使用する。実施例の化合物をこのアッセイで評価し、約1μM未満のIC
50値を有することを見出した。
【0425】
レプリコン効力および細胞毒性:Huh−luc細胞(BartenschlagerのI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ET遺伝子型1b型レプリコンを安定に複製)を、化合物(溶媒としてDMSOを使用)の連続希釈物で72時間処理する。レプリコンコピー数を生物発光によって測定し、非線形回帰を行って、EC
50を算出する。Promega CellTiter−Glo細胞生存率アッセイを使用して、同じ薬物希釈物で処理された平行プレートを細胞毒性についてアッセイする。1b型レプリコンに対して達成された効力に応じて、化合物を、遺伝子型1a型レプリコンおよび/またはD168YもしくはA156T変異をコードするインヒビター耐性レプリコンに対して試験することができる。全てのアッセイを通じて、BILN−2061を対照として使用する。実施例の化合物をこのアッセイで評価し、約5μM未満のEC
50値を有することを見出した。
【0426】
レプリコン効力に対する血清タンパク質の効果
レプリコンアッセイを、生理学的濃度のヒト血清アルブミン(40mg/mL)またはα−酸糖タンパク質(1mg/mL)が補充された標準細胞培地(DMEM+10%FBS)中で行う。ヒト血清タンパク質の存在下でのEC
50を標準培地中でのEC
50と比較して、効力におけるシフトの倍率を決定する。
【0427】
酵素選択性:ブタ膵臓エラスターゼ、ヒト白血球エラスターゼ、プロテアーゼ3およびカテプシンDを包含する哺乳動物プロテアーゼの阻害を、それぞれの酵素の個々の基質に対するK
mで測定する。それぞれの酵素についてのIC
50をNS3 1bプロテアーゼで得られたIC
50と比較して、選択性を算出する。
【0428】
MT−4細胞の細胞毒性:MT4細胞を、化合物の連続希釈物で5日間にわたって処理
する。Promega CellTiter−Gloアッセイを使用して、細胞生存率を処理期間の終了のときに測定し、非線形回帰を行って、CC
50を算出する。
【0429】
EC
50で細胞に結合する化合物濃度:Huh−luc培養物を、EC
50に等しい濃度の化合物と共にインキュベートする。複数の時点で(0〜72時間)、細胞を冷たい培地で2回洗浄し、85%アセトニトリルで抽出し;それぞれの時点での培地の試料もまた抽出する。細胞および培地抽出物をLC/MS/MSによって分析して、それぞれの画分における化合物のモル濃度を決定する。
【0430】
溶解性および安定性:10mMのDMSO原液のアリコット(aliquot)を取り、試験培地溶液(PBS、pH7.4および0.1NのHCl、pH1.5)中100μMの最終濃度の化合物を1%の全DMSO濃度で調製することによって、溶解性を決定する。試験培地溶液を振盪しながら室温で1時間インキュベートする。次いで、溶液を遠心分離し、回収された上清をHPLC/UVでアッセイする。比較される、定義された試験溶液中で検出される化合物の量と、同じ濃度のDMSO中で検出される量とを比較することによって、溶解性を算出することができる。試験培地中、37℃で1時間インキュベーションした後の化合物の安定性もまた決定する。
【0431】
凍結保存されたヒト、イヌおよびラット肝細胞での安定性:それぞれの化合物を1時間まで、肝細胞懸濁物(100μL、1ウェル当たり80,000細胞)中、37℃でインキュベートする。凍結保存された肝細胞を、血清不含のインキュベーション培地中で再構成する。懸濁物を96ウェルプレート(50μL/ウェル)に移す。化合物をインキュベーション培地中で2μMまで希釈し、次いで、肝細胞懸濁物に加えて、インキュベーションを開始する。インキュベーションの開始から0、10、30および60分目に、試料を採取して、90%アセトニトリル/10%水中の0.3%ギ酸からなる混合物で、反応物をクエンチすることができる。LC/MS/MSを使用して、それぞれの試料中での化合物の濃度を分析する。濃度−時間データを単相指数方程式(monobasic exponential equation)に当てはめることによって、肝細胞懸濁物中の化合物の消失半減期を決定する。また、データを拡大して、固有肝クリアランスおよび/または全体肝クリアランスを表す。
【0432】
ヒト、イヌおよびラットからの肝S9画分中での安定性:それぞれの化合物をS9懸濁物(500μL、タンパク質3mg/mL)中、37℃(n=3)で1時間までインキュベートする。化合物をS9懸濁物に加えて、インキュベーションを開始する。インキュベーションの開始から0、10、30および60分目に、試料を採取する。LC/MS/MSを使用して、それぞれの試料中での化合物の濃度を分析する。濃度−時間データを単相指数方程式に当てはめることによって、S9懸濁物中の化合物の消失半減期を決定する。
【0433】
Caco−2透過性:順方向(AからBへ)および逆方向(BからAへ)透過性の両方を測定する。12ウェル Costar Transwell(登録商標)プレート内で、コラーゲンコーティングされた微孔性ポリカーボネート膜上に、Caco−2単層を集密まで成長させる。化合物を、順方向透過性(AからBへ)では先端面に投与し、逆方向透過性(BからAへ)では基底外側上に投与する。細胞を加湿インキュベーター内で、37℃、5%CO
2でインキュベートする。インキュベーションの開始時、インキュベーションから1時間目および2時間目に、200μLアリコットを受器チャンバーから採取し、新鮮なアッセイ緩衝液に交換する。LC/MS/MSで、それぞれの試料中の化合物の濃度を決定する。見掛け透過性であるPappを算出する。
【0434】
血漿タンパク質結合性:血漿タンパク質結合性を、平衡透析法によって測定する。それぞれの化合物をブランクの血漿に、2μMの最終濃度でスパイクする。スパイクされた血
漿およびリン酸緩衝液を、組み合わせた透析セルの反対側に入れ、次いでこれを、37℃の水浴中でゆっくりと回転させる。インキュベーションの終了時に、血漿およびリン酸緩衝液中での化合物の濃度を決定する。次の式を使用して、未結合のパーセントを算出する:
【0435】
【化56】
【0436】
[式中、C
fおよびC
bはそれぞれ、透析後の緩衝液濃度および血漿濃度として決定された、遊離および結合濃度である]。
【0437】
CYP450プロファイリング:それぞれの化合物を、CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4、CYP2D6およびCYP2C19を含む5種の組換えヒトCYP450酵素それぞれと共に、NADPHの存在下、および不在下でインキュベートする。インキュベーションの開始時ならびにインキュベーションを開始してから5、15、30、45および60分目に、連続試料をインキュベーション混合物から採取することができる。LC/MS/MSによって、インキュベーション混合物中での化合物の濃度を決定する。インキュベーションの開始時のサンプリングと比較することによって、インキュベーション後の各時点で残っていた化合物の百分率を算出する。
【0438】
ラット、イヌ、サルおよびヒト血漿中での安定性:化合物を、血漿(ラット、イヌ、サルまたはヒト)中、37℃で2時間までインキュベートする。化合物を血漿に、1および10μg/mLの最終濃度で加える。化合物を加えてから0、5、15、30、60および120分目に、アリコットを採取する。それぞれの時点での化合物および主要な代謝産物の濃度をLC/MS/MSによって測定する。化合物6での生物学的データ(Renillaルシフェラーゼ(RLuc)ベースのHCVレプリコンレポーターアッセイ−HCV1b型RLucを使用して、抗ウイルス効力[EC
50]を決定した)は、0.0045nMである。
【0439】
生物学的実施例1:化合物1および化合物2の組合せの抗HCV活性
材料および方法
化合物1および化合物2は、Gilead Sciences(Foster City、CA)が合成した。
【0440】
細胞系
HCV遺伝子型1b型レプリコン細胞(Huh−luc)をReblikon(Mainz、ドイツ)から得た。これらの細胞におけるレプリコンはI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ETと称され、選択的耐性マーカー(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)、さらにホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする。Huh−luc細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS;Hyclone、Logan、UT)および0.5mg/mLのG−418(GIBCO)が補充されているダルベッコ変法イーグル培地(DMEM;GIBCO、Carlsbad、CA)中で維持した。細胞を週に2回継代し、サブコンフルエントなレベルで維持した。
【0441】
EC
50決定
レプリコン細胞を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞5×10
3個の密度で、G−418を除いたDMEM培地100μL中に播種した。化合物1および2を100
%DMSO(Sigma)中で1:3で連続希釈した。これらの連続希釈物を細胞に1:200希釈で加えて、0.5%DMSOの最終濃度を、200μLの全体積で達成した。プレートを37℃で3日間インキュベートし、その後、培地を除去し、細胞を溶解させ、市販のルシフェラーゼアッセイ(Promega、Madison、WI)を使用して、ルシフェラーゼ活性についてアッセイした。薬物処理された試料のHCV複製レベルを未処理の対照(100%と定義)での値に対する百分率として表し、XLFit4 ソフトウェア(IDBS、Emeryville、CA)を使用して、データをロジスティック用量反応式y=a/(1+(x/b)c)に当てはめた。以前に記載されたとおりに(Delaney, W.E.ら、Antimicrobial Agents Chemotherapy、45巻(6号):1705〜1713頁(2001年))、EC
50値を、得られた式から算出した。
【0442】
抗ウイルス組合せ研究
レプリコン細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞5×10
3個の密度で、培地100μL中に播種した。化合物1および2を100%DMSO中で上記のとおりに連続希釈し、96ウェルプレートにマトリックス様式で加え、200μLの最終体積および0.5%の最終DMSO濃度中に種々の薬物濃度および比を有する定義されたセットを達成した。それぞれ個々の薬物について、EC
50値を、試験される濃度範囲の中点として選択した。細胞を3日間インキュベートし、上記に示されているとおりにルシフェラーゼ発現について分析した。組合せ研究のために、2つの独立した実験を3回繰り返して行った。
【0443】
組み合わせデータ分析
PrichardおよびShipman(Prichard MN、Aseltine
KR、Shipman C, Jr.、MacSynergyTM II、Version 1.0. University of Michigan、Ann Arbor、Michigan、1993年; Prichard M.N.、Shipman C., Jr.、Antiviral Res 14巻(4〜5号):181〜205頁(1990年); Prichard M.N.、Shipman C, Jr.、Antivir Ther 1 (1巻):9〜20号(1996年); Prichard M.N.ら、Antimicrob Agents Chemother 37巻(3号):540〜5頁(1993年)によって開発されたMacSynergy IIプログラムを使用して、データを分析した。そのソフトウェアは理論阻害を算出して、薬物間の相加的相互作用を推測し(Bliss Independenceモデルに基づく)、理論阻害値と観察された阻害値との間の統計的に有意差を定量化する。三次元でこれらの差違をプロットすると、Z面での上昇が化合物間の抗ウイルス相乗作用を表し、低下が抗ウイルス拮抗作用を表す表面が生じる。表面偏差の算出ボリュームは、nM
2%で表される。PrichardおよびShipmanによると、組合せ効果は次のとおりに定義される:
・ ボリュームが100nM
2超であれば、高度に相乗的。
・ ボリュームが50nM
2超および100nM
2以下であれば、やや相乗的。
・ ボリュームが−50nM
2超および50nM
2以下であれば、相加的。
・ ボリュームが−100nM
2超および−50nM
2以下であれば、やや拮抗的。
・ ボリュームが−100nM
2以下であれば、拮抗的。
【0444】
結果
組合せ実験を開始する前に、Huh−lucレプリコン細胞でのEC
50値を化合物1および化合物2について決定し、結果を表IIに示す。両方の化合物が抗ウイルス効果を有した。
【0445】
【表2】
【0446】
化合物1および化合物2の組合せの抗ウイルス効果を測定し、相加作用からの有意な偏差を表す表面プロットをもたらすMacSynergy IIを使用して、得られたデータを分析した。相加作用からの統計的に有意な偏差の定量化によって、化合物1および2の組合せは、表IIIに示されているとおりの相加的抗ウイルス効果を示す−50nM
2から50nM
2の間の相乗作用/拮抗作用ボリュームを有することが示された。
【0447】
【表3】
【0448】
表IIIに示されるインビトロ実験の結果は、化合物2が、化合物1と組み合わせた場合に、相加的抗ウイルス活性を有することを示している。
【0449】
生物学的実施例2:化合物3との組合せ
材料および方法
抗ウイルス化合物
化合物1および化合物3は、Gilead Sciences(Foster City、CA)が合成した。リバビリンおよびIFN−αは、Sigma(St.Louis、MO)から購入した。
【0450】
細胞系
HCV遺伝子型1b型レプリコン細胞(Huh−luc)をReblikon(Mainz、ドイツ)から得た。これらの細胞におけるレプリコンはI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ETと称され、選択的耐性マーカー(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)、さらにホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする。Huh−luc細胞を、10%のウシ胎仔血清(FBS;Hyclone、Logan、UT)および0.5mg/mLのG−418(Invitrogen)が補充されていて、GlutaMAX(商標)(Invitrogen、Carlsbad、CA)を含むダルベッコ変法イーグル培地(D−MEM)中で維持した。細胞を週に2回継代し、サブコンフルエントレベルで維持した。
【0451】
EC
50決定
レプリコン細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞5×10
3個の密度で、G−418を除いたDMEM+10%FBS培地100μL中に播種した。化合物を100%DMSO(Sigma)中で1:3で連続希釈した。これらの連続希釈物を細胞に1:200希釈で加えて、0.5%DMSOの最終濃度を、200μLの全体積で達成した
。プレートを37℃で3日間インキュベートし、その後、培地を除去し、細胞を溶解させ、市販のルシフェラーゼアッセイ(Promega、Madison、WI)を使用して、ルシフェラーゼ活性についてアッセイした。薬物処理された試料でのHCV複製レベルを未処理の対照(100%と定義)での値に対する百分率として表し、XLFit4 ソフトウェア(IDBS、Emeryville、CA)を使用して、データをロジスティック用量反応式y=a/(1+(x/b)
c)に当てはめた。以前に記載されたとおりに、EC
50値を、得られた式から算出した。
【0452】
抗ウイルス組合せ研究
レプリコン細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞5×10
3個の密度で、G−418を除いた培地100μL中に播種した。化合物3および他の化合物を100%DMSO中で上記のとおりに連続希釈し、96ウェルプレートにマトリックス様式で加え、200μLの最終体積および0.5%の最終DMSO濃度中に種々の薬物濃度および比を有する定義されたセットを達成した。それぞれ個々の薬物について(リバビリンは除外)、EC
50値を、試験される濃度範囲の中点として選択した。選択的抗ウイルス効果を有さなかったリバビリンでは、6.2μMの最高用量を選択したが、それというのも、これが、細胞毒性が観察され始めた濃度より約3倍低いものであったためである。細胞を薬物と共に3日間インキュベートし、上記に示されているとおりにルシフェラーゼ発現について分析した。それぞれの組合せ研究について、2つの独立した実験を3回繰り返して行った。
【0453】
組み合わせデータ分析
PrichardおよびShipmanによって開発されたMacSynergy IIプログラムを使用して、データを分析した。そのソフトウェアは理論阻害を算出して、薬物間の相加的相互作用を推測し(Bliss Independenceモデルに基づく)、理論阻害値と観察された阻害値との間の統計的に有意差を定量化する。三次元でこれらの差違をプロットすると、Z面での上昇が化合物間の抗ウイルス相乗作用を表し、低下が抗ウイルス拮抗作用を表す表面が生じる。表面偏差の算出ボリュームは、nM
2%で表される。PrichardおよびShipmanによると、組合せ効果は次のとおりに定義される:
・ ボリュームが100nM
2超であれば、強い相乗作用;この量の相乗作用がおそらくインビボでは重要である
・ ボリュームが50nM
2超および100nM
2以下であれば、中等度の相乗作用;こ
の量の相乗作用がインビボでは重要であり得る
・ ボリュームが25nM
2超および50nM
2未満であれば、弱い相乗作用
・ ボリュームが−25nM
2超および25nM
2以下であれば、相加作用
・ ボリュームが−25nM
2未満および−50nM
2超であれば、弱い拮抗作用
・ ボリュームが−100nM
2超および−50nM
2以下であれば、中等度の拮抗作用;この量の拮抗作用がインビボでは重要であり得る
・ ボリュームが−100nM
2以下であれば、強い拮抗作用;この量の拮抗作用がおそらくインビボでは重要である。
【0454】
結果
Huh−lucレプリコン細胞における個々の化合物についてのEC
50値
組合せ実験を開始する前に、Huh−lucレプリコン細胞におけるEC
50値を、表IVに示されているとおりにそれぞれの化合物について決定した。細胞毒性を示し始めている濃度まで抗ウイルス活性を有さなかったリバビリンを除いて、全ての化合物が抗ウイルス効果を有した。
【0455】
【表4】
【0456】
組合せの抗ウイルス効果および薬物相互作用
IFN−α、リバビリンおよび化合物1と組み合わせた場合の化合物3の抗ウイルス効果をアッセイした。相加作用からの有意な偏差を表す表面プロットをもたらすMacSynergy IIを使用して、得られたデータを分析した。相加作用からの統計的に有意な偏差の定量化によって、化合物3とIFN−αとの組合せが弱い相乗作用をもたらすことが示された(それぞれ32および36.5nM
2の相乗作用ボリューム;表V)。化合物3と非ヌクレオシドNS5Bインヒビターの化合物1との組合せは、相加的抗ウイルス相互作用を示す14.5nM
2の相乗作用ボリュームをもたらした。表Vに示されているとおり、化合物のいずれも、化合物3と組み合わせた場合に、相加範囲外(−25nM
2超)の抗ウイルス拮抗作用ボリュームをもたらさなかった。
【0457】
【表5】
【0458】
これらのインビトロ抗ウイルス組合せ実験は、新規なHCV NS3プロテアーゼインヒビターの化合物3が、IFN−αと組み合わせた場合には弱い相乗作用を、リバビリンと組み合わせた場合には中等度の相乗作用を有することを示している。これらの結果は、個々の薬物のいずれの有効性も減少させることなくウイルス負荷抑制の増大を達成するために、HCV患者における現行の標準治療(PEG−IFN−αおよびリバビリン)と組合せて、化合物3が使用される可能性が潜在的にあることを示唆している。化合物3と非ヌクレオシド(化合物1)NS5Bポリメラーゼインヒビターとの組合せは、相加作用をもたらした。これらの結果は、化合物3が他にも、複数の群の特異的HCVインヒビターからなる薬物組合せを患者において探るのにも適し得ることを示している。
【0459】
生物学的実施例3:化合物4の組合せ
材料および方法
抗HCV剤
化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物6は、Gilead
Sciences(Foster City、CA)が合成した。ピュロマイシン、IFN−αおよびリバビリンはSigma(St.Louis、MO)から購入した。カル
セインAMはAnaspec(Fremont、CA)から購入した。
【0460】
細胞系および細胞培地
この研究で使用されるHCV遺伝子型1a型レプリコン細胞系は、以前に記載されている。細胞を、10% FBS(HyClone、Logan、UT、Cat#SH30071.03)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(Gibco、Carlsbad、CA、Cat#15140−122)および0.1mMの非必須アミノ酸(Gibco、Carlsbad、CA、Cat#11140−050)が補充されている、GlutaMAX(Gibco、Carlsbad、CA、Cat#10569−044)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を含有する細胞培地中で成長させた。レプリコン細胞を0.5mg/mLのジェネティシン(Invitrogen、Carlsbad、CA、Cat#10131−035)中に維持して、HCVレプリコンの喪失を防いだ。集密に達する前に、細胞を3〜4日毎に継代した。
【0461】
EC
50、CC
50決定および組合せ研究のためのHCVレプリコンアッセイ
製造者(Sigma、St.Louis、MO、Cat#I4276)が定めた緩衝液中に供給されているIFN−αを除いて、全ての化合物を100%DMSOに供給した。セクション3.2に記載されている細胞培地中で連続的に希釈されるIFN−αを除いて、化合物の連続希釈を100%DMSO中で行った。Biomek FX Workstationを使用して、全ての連続希釈を384ウェルポリプロピレンプレート(Thermo Scientific、Hudson、NH、Cat#4341)で行った。EC
50およびCC
50の決定については、試験化合物を、384ウェルプレートのカラム3〜20で1:3希釈の10のステップで連続希釈した。組合せ研究のために、水平方向へ1:2希釈の9つのステップで化合物1種を連続希釈し、その際、他の化合物は、垂直方向へ1:2希釈の7つのステップで連続希釈した。これによって、種々の薬物濃度および比からなる定義されたセットが達成された。それぞれ個々の薬物のために、EC
50値を、試験される濃度範囲の中点として選択した。全ての連続希釈を、同じ384ウェルプレート内の化合物1種当たり4回反復して行った。100%DMSOをそれぞれの連続希釈384−ウェルプレートのカラム1〜2に加えた。100μMでのHCVプロテアーゼインヒビターITMN−191をカラム23に、HCV複製の100%阻害の対照として加える一方で、10mMのピュロマイシンをカラム24に、100%細胞毒性の対照として加えた。
【0462】
Biotek μFlow Workstationを用いて、黒色ポリスチレン384ウェルプレート(Greiner Bio−one、Monroe、NC、Cat#781086、細胞培養処理済み)の各ウェルに、2000個の懸濁HCVレプリコン細胞を含有する細胞培地(ジェネティシン不含)90μLを加えた。細胞培養プレートに化合物を移すために、Biomek FX Workstationで、化合物連続希釈プレートからの化合物溶液0.4μLを細胞培養プレートに移した。最終アッセイウェル中のDMSO濃度は0.44%であった。プレートを37℃、5%CO
2および湿度85%で3日間インキュベートした。
【0463】
HCVレプリコンアッセイは、同じウェルから細胞毒性および抗レプリコン活性の両方を評価することができるマルチプレックスアッセイであった。CC
50アッセイを初めに行った。Biotek ELX405プレート洗浄機を使用して、384ウェル細胞培養プレート中の培地を吸引し、ウェルをそれぞれ1×PBS100μLで4回洗浄した。Biotek μFlow Workstationを用いて、1×PBS中400nMのカルセインAM(Anaspec、Fremont、CA、Cat#25200−056)を含有する溶液の50μL体積をプレートの各ウェルに加えた。プレートを室温で30分間インキュベートし、その後、Perkin Elmer Envisionプレート
リーダーを用いて、蛍光シグナル(励起490nm、発光520nm)を測定した。
【0464】
EC
50アッセイを、CC
50アッセイと同じウェルで行った。Biotek ELX405プレート洗浄機を用いて、384ウェル細胞培養プレート中のカルセイン−PBS溶液を吸引した。Biotek μFlow Workstationを用いて、Dual−Gloルシフェラーゼ緩衝液(Promega、Madison、WI、Cat#E298B)の20μL体積を、プレートの各ウェルに加えた。プレートを室温で10分間インキュベートした。次いで、Biotek μFlow Workstationを用いて、Dual−Glo Stop & Glo基質(Promega、Madison、WI、Cat#E313B)およびDual−Glo Stop & Glo緩衝液(Promega、Madison、WI、Cat#E314B)の1:100混合物を含有する溶液の20μL体積をプレートの各ウェルに加えた。次いで、プレートを室温で10分間インキュベートし、その後、Perkin Elmer Envisionプレートリーダーを用いて、ルミネセンスシグナルを測定した。
【0465】
データ分析
蛍光生成物へのカルセインAMの変換によって、細胞毒性効果を決定した。細胞毒性パーセントを式1によって算出した:
【0466】
【化57】
【0467】
[式中、X
cは、化合物処理されたウェルからの蛍光シグナルであり;M
Bは、ピュロマイシン処理されたウェルからの平均蛍光シグナルであり;M
DはDMSO処理されたウェルからの平均蛍光シグナルである]。HCVレプリコンのレポーターrenillaルシフェラーゼから生じたルミネセンスシグナルによって、抗HCV複製活性を決定した。X
cが化合物処理されたウェルからのルミネセンスシグナルであり;M
BがITMN−191処理されたウェルからの平均ルミネセンスシグナルであり;M
DがDMSO処理されたウェルからの平均ルミネセンスシグナルである式1を使用して、HCVレプリコンでの阻害パーセントを算出した。
【0468】
細胞生存率の50%低減をもたらす試験化合物濃度として、CC
50値を決定した。HCV複製の50%低減をもたらす試験化合物濃度として、EC
50値を決定した。Pipeline Pilot 5.0ソフトウェアパッケージ(Accelrys、San Diego、CA)を使用して、実験データを式2に非線形回帰フィッティングさせることによって、CC
50値およびEC
50値の両方を得た:
【0469】
【化58】
【0470】
[式中、yは、x濃度の化合物で観察されたHCVレプリコンの阻害%であり;dは、0の化合物濃度での推定応答であり;aは、無限化合物濃度での推定応答であり;cは、中点濃度(CC
50またはEC
50)であり;bは、Hill傾斜因子である]。
【0471】
PrichardおよびShipmanによって開発されたMacSynergy I
Iプログラムを使用して組合せ研究実験データを分析した。ソフトウェア(MacSynergy(商標)II、University of Michigan、MI)は、理論阻害を算出して、薬物間の相加的相互作用を推測し(Bliss Independenceモデルに基づく)、理論阻害値と観察された阻害値との間の統計的に有意差を定量化する。三次元でこれらの差違をプロットすると、Z面での上昇が化合物間の抗ウイルス相乗作用を表し、低下が化合物間の抗ウイルス拮抗作用を表す表面が生じる。表面偏差の算出ボリュームは、nM
2%で表される。PrichardおよびShipmanによると、組合せ効果は次のとおりに定義される:
・ 強い相乗作用: 100nM
2%超
・ 中等度の相乗作用: 50nM
2%超および100nM
2%以下
・ 弱い相乗作用: 25nM
2%超および50nM
2%以下
・ 相加作用: 25nM
2%以下および−25nM
2%超
・ 弱い拮抗作用: −25nM
2%以下および−50nM
2%超
・ 中等度の拮抗作用: −50nM
2%以下および−100nM
2%超
・ 強い拮抗作用: −100nM
2%以下
それぞれの組合せ研究について、3つの独立した実験を、それぞれの実験において4回反復して行った。
【0472】
結果
HCV遺伝子型1a型レプリコンアッセイにおける個々の化合物の抗ウイルス活性および細胞毒性
化合物4および他の化合物の抗HCV活性および細胞毒性を、HCV遺伝子型1a型レプリコンを有するHuh−7細胞で試験した。EC
50値およびCC
50値を表VIに列挙する。有意な細胞毒性は全ての化合物について、試験された最高濃度まで観察されなかった。
【0473】
【表6】
【0474】
他の群の抗HCV剤と組み合わせた化合物4の抗ウイルス活性および細胞毒性
HCV遺伝子型1a型レプリコンを使用して、他の抗HCV化合物と組み合わせた化合物4の抗ウイルス効果を評価した。相加作用からの有意な偏差を表す表面プロットをもたらすMacSynergy IIを使用して、結果を分析した。相加性表面からの偏差から算出される相乗作用ボリュームおよび拮抗作用ボリューム(nM
2%)を表VIIにまとめる。95%の信頼区間で、平均相乗作用ボリュームおよび平均拮抗作用ボリュームは、化合物4をIFN−α、化合物2および化合物6と組み合わせた場合、25から−25
nM
2%の間であり、このことは、それらの化合物との相加的相互作用を示している。さらに、化合物4は、化合物1、化合物5または化合物3と組み合わせた場合、25から50nM
2%の範囲の相乗作用ボリュームを示し、このことは、弱い相乗的相互作用を示唆している。
【0475】
【表7】
【0476】
全ての組み合わせ研究において、細胞生存率は、全ての濃度比で85%超であり、全ての薬物組合せは、表VIIIに示されているとおりの細胞毒性に対して相加的効果を示している。
【0477】
【表8】
【0478】
しかしながら、化合物4は、リバビリンと組み合わせた場合、−43nM
2%の拮抗作用ボリュームを示し、このことは、弱いアンタゴニスト相互作用を示唆している。
【0479】
【表9】
【0480】
化合物4と共に最も高い拮抗作用を示すリバビリン濃度は、約0.5から1μMであり、これは、800mg/日の用量でヒトで観察されるリバビリンの定常状態血漿濃度(6〜11μM)よりも約10倍低い。リバビリン(6〜11μM)のこの生理学的濃度では、リバビリンと化合物4とのアンタゴニスト相互作用は、広範な化合物4濃度範囲(0〜0.44μM)にわたって最小である。したがって、インビトロレプリコンシステムにおいてリバビリンと化合物4との間で観察された軽度の拮抗作用は、臨床的重要性を有しそうにない。
【0481】
結論
化合物4(ジアステレオ異性体混合物における)の抗ウイルス活性を、現行の標準治療(IFN−α/リバビリン)、さらにはGilead Sciencesの内部開発候補化合物1および化合物5(非ヌクレオシドNS5Bインヒビター)、化合物2および化合物3(NS3プロテアーゼインヒビター)および化合物6(NS5Aインヒビター)と組み合わせて試験した。表VIIIにまとめたとおり、化合物4は、IFN−α、化合物2および化合物6と組み合わせると相加的抗ウイルス活性を示し、化合物1、化合物5および化合物3とでは弱い相乗作用を示した。
【0482】
化合物4とリバビリンとの組合せは、0.5から1μMの間のリバビリン濃度で弱い拮抗作用をもたらし、これは、ヒト血漿中での定常状態生理学的濃度(6〜11μM)のよりも約10倍低い。臨床的に適切なリバビリン濃度では、2種の化合物間でのアンタゴニスト相互作用は、些少なものとなった。
【0483】
生物学的実施例4:化合物5の組合せ
化合物5の抗ウイルス活性をGT−1b Huh−lunet細胞(化合物4についてのアッセイにおけるのと実質的に同じ方法を使用)で、内部開発化合物の化合物1、化合物2および化合物3(NS3プロテアーゼインヒビター)、化合物6(NS5Aインヒビター)、化合物4(C−nuc NS5Bインヒビター)、他にも認可されているHCV治療剤であるPEG−IFN−αおよびリバビリンと組み合わせて試験した。MacSynergy IIソフトウェアを使用して、組合せデータをBliss Independenceモデルに基づき分析した。組合せアッセイの結果を、3回繰り返して行われた2つの独立した実験から95%の信頼度で算出された平均相乗作用ボリュームおよび平均拮抗作用ボリューム(nM
2)として表した。組合せ効果は次のとおりに定義される:
・ ボリュームが100nM
2超であれば、強い相乗作用;この量の相乗作用がインビボではおそらく重要である
・ ボリュームが50nM
2超および100nM
2以下であれば、中等度の相乗作用;この量の相乗作用がインビボでは重要であり得る
・ ボリュームが25nM
2超および50nM
2未満であれば、弱い相乗作用
・ ボリュームが−25nM
2超および25nM
2以下であれば、相加作用
・ ボリュームが−25nM
2未満および−50nM
2超であれば、弱い拮抗作用
・ ボリュームが−100nM
2超および−50nM
2以下であれば、中等度の拮抗作用;この量の拮抗作用がインビボでは重要であり得る
・ ボリュームが−100nM
2以下であれば、強い拮抗作用;この量の拮抗作用がインビボではおそらく重要である。
アロステリックNS5Bインヒビターである化合物1および化合物5の組合せは、レプリコンアッセイにおいて中等度の相乗作用をもたらした。PEG−IFN−αおよびリバビリンを包含する他のHCVインヒビターとの研究によって、相加的から弱い相乗的相互作用が明らかになった。
【0484】
【表10】
【0485】
生物学的実施例5:化合物6の組合せ
材料および方法
化合物
化合物1、化合物2、化合物3、化合物6および化合物7は、Gilead Sciences(Foster City、CA)が合成した。IFN−αおよびリバビリンはSigma(St.Louis、MO)から購入した。
【0486】
細胞系
HCV遺伝子型1b型レプリコン細胞(Huh−luc)をReblikon(Mainz、ドイツ)から得た。これらの細胞におけるレプリコンはI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ETと称され、選択的耐性マーカー(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)、さらにホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする。Huh−luc細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone、Logan、UT)、1× ペニシリン/ストレプトマイシン、1× 非必須アミノ酸および0.5mg/mLのG−418(全てInvitrogen製、Carlsbad、CA)が補充されているダルベッコ変法イーグル培地 GlutaMax(DMEM;Invitrogen、Carlsbad、CA)中で維持した。細胞を週に2回継代し、サブコンフルエントレベルで維持した。
【0487】
アッセイ
HCV Huh−lucレプリコン細胞での抗ウイルス活性アッセイ
レプリコン細胞を、96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞7×10
3個の密度で、G−418を除いたDMEM培地100μL中に播種した。化合物を100%DMSO中で1:2で連続希釈した。連続希釈物を細胞に1:200希釈で加えて、0.5%DMSOの最終濃度を200μLの全体積で達成した。プレートを37℃で3日間インキュベートし、その後、培地を除去し、細胞を溶解させ、市販のルシフェラーゼアッセイ(Promega、Madison、WI)を使用して、ルシフェラーゼ活性についてアッセイした。
【0488】
抗ウイルス組合せ研究
レプリコン細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞7×10
3個の密度で、G−418を除いた培地100μLに播種した。化合物6および他の化合物を100%DMSO中で1:2で連続希釈し、96ウェルプレートにマトリックス様式で加え、200μLの最終体積および0.5%の最終DMSO濃度中に種々の薬物濃度および比を有する定義されたセットを達成した。それぞれ個々の薬物について、EC
50値を、試験される
濃度範囲の中点として選択した。細胞を3日間インキュベートし、市販のルシフェラーゼアッセイ(Promega)を使用して、ルシフェラーゼ発現について分析した。それぞれの組合せ研究のために、2つの独立した実験を3回繰り返して行った。
【0489】
細胞での細胞毒性決定
レプリコン細胞を播種し、上記の抗ウイルス組合せ研究について記載されたとおりに薬物で処理した。37℃での3日間のインキュベーションの後に、培地を除去し、細胞を溶解させ、製造者の指示に従って、CellTiter−Glo Luminescent
Cell Viability Assay(Promega)を使用して、細胞毒性についてアッセイした。相対光単位を、未処理の対照(100%と定義)に対する百分率に変換した。
【0490】
データ分析
EC
50算出
EC
50アッセイに続いて、薬物処理された試料でのルシフェラーゼレベルを、未処理の対照でのレベル(100%と定義)に対する百分率として表した。XLfit 4ソフトウェア(IDBS、Emeryville、CA)を使用して、EC
50値を、反復データセットの非線形回帰分析によって算出した。
【0491】
抗ウイルス相乗作用および拮抗作用の算出
組合せアッセイに続いて、薬物処理された試料でのルシフェラーゼレベルを、未処理の対照でのレベル(100%と定義)に対する百分率として表した。次いで、PrichardおよびShipmanによって開発されたMacSynergy IIプログラムを使用して、反復データセットを分析した。ソフトウェア(MacSynergy(商標)II、University of Michigan、MI)は、理論阻害を算出して、薬物間の相加的相互作用を推測し(Bliss Independenceモデルに基づく)、理論阻害値と観察された阻害値との間の統計的に有意差を定量化する。三次元でこれらの差違をプロットすると、Z面での上昇が化合物間の抗ウイルス相乗作用を表し、低下が化合物間の抗ウイルス拮抗作用を表す表面が生じる。表面偏差の算出ボリュームは、nM
2%で表される。PrichardおよびShipmanによると、組合せ効果は次のとおりに定義される:
・ ボリュームが100nM
2超であれば、強い相乗作用;この量の相乗作用がインビボではおそらく重要である
・ ボリュームが50nM
2超および100nM
2以下であれば、中等度の相乗作用;この量の相乗作用がインビボでは重要であり得る
・ ボリュームが25nM
2超および50nM
2未満であれば、弱い相乗作用
・ ボリュームが−25nM
2超および25nM
2以下であれば、相加作用
・ ボリュームが−25nM
2未満および−50nM
2超であれば、弱い拮抗作用
・ ボリュームが−100nM
2超および−50nM
2以下であれば、中等度の拮抗作用;この量の拮抗作用がインビボでは重要であり得る
・ ボリュームが−100nM
2以下であれば、強い拮抗作用;この量の拮抗作用がインビボではおそらく重要である。
【0492】
結果
Huh−lucレプリコン細胞における個々の化合物の抗ウイルス活性
組合せ実験を開始する前に、個々の化合物の抗ウイルス活性を、Huh−lucレプリコン細胞において決定した。背景結果と一致するEC
50値が、7種全ての化合物で観察された。
【0493】
【表11】
【0494】
組合せの抗ウイルス効果および薬物相互作用
HCV1b型レプリコンシステムを使用して、他のHCVインヒビターと組み合わせた場合の化合物6の抗ウイルス効果を評価した。相加作用からの有意な偏差を示す表面プロットをもたらすMacSynergy IIを使用して、得られたデータを分析した。2つの独立した実験からの相加作用からの統計的に有意な偏差の定量化を表XIIにまとめる。化合物6とIFN−αまたは化合物1との組合せは、弱い相乗作用を示しているそれぞれ32および34nM
2の相乗作用ボリュームをもたらした。リバビリン、化合物2および化合物7は、それぞれ化合物6と組み合わせた場合に、61、52および51の相乗作用ボリュームを与え、これは、化合物6とこれら3種のHCVインヒビターとの間の中等度の相乗的相互作用を示している。化合物6と化合物3との組合せは、強度に相乗的な抗ウイルス相互作用を表す132nM
2%の相乗作用ボリュームをもたらした。いずれの化合物も、化合物6と組み合わせた場合には、相加的範囲(−25nM超)外の抗ウイルス拮抗作用ボリュームを与えなかった。
【0495】
【表12】
【0496】
他のHCVインヒビターと組み合わされた化合物6での細胞生存百分率
抗ウイルス組合せ結果が組合せ細胞毒性によって混乱しないことを保証するために、抗ウイルスアッセイで試験されたのと同じ化合物濃度を使用して、細胞毒性を並行して調査した(表XIII)。全ての化合物で、細胞生存率は、試験された最高濃度での組合せについて、未処理の対照に対して少なくとも98%であった。したがって、化合物6を単独でか、またはこれらの作用物質(agent)と組み合わせて試験しても、有意なインビトロ細胞毒性は観察されなかった。
【0497】
【表13】
【0498】
結論
これらのインビトロ実験の結果は、IFN−αまたは非ヌクレオシドNS5Bポリメラーゼインヒビターの化合物1と組み合わせた場合に、化合物6が弱い抗ウイルス相乗作用を有することを示している。化合物6とリバビリン、NS3プロテアーゼインヒビターの化合物2またはヌクレオシドNS5Bポリメラーゼインヒビターの化合物7との組合せは、中等度の抗ウイルス相乗作用をもたらした。強い抗ウイルス相乗作用は、化合物6とNS3プロテアーゼインヒビターの化合物3との間で観察された。これらの薬物組合せを試験している間に、有意なインビトロ細胞毒性は同定されなかった。これらの結果は、化合物6を、現行の標準治療と合理的に組み合わせることができることを示唆している。
【0499】
生物学的実施例6:
化合物
化合物1、化合物3、化合物4および化合物6は、Gilead Sciences(Foster City、CA)が合成した。
【0500】
細胞系
HCV遺伝子型1b型レプリコン細胞(Huh−luc)をReblikon(Mainz、ドイツ)から得た。これらの細胞におけるレプリコンはI389luc−ubi−neo/NS3−3’/ETと称され、選択的耐性マーカー(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)、さらにホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子をコードする。Huh−luc細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone、Logan、UT)、1× ペニシリン/ストレプトマイシン、1× 非必須アミノ酸および0.5mg/mLのG−418(全てInvitrogen製、Carlsbad、CA)が補充されているダルベッコ変法イーグル培地 GlutaMax(DMEM;Invitrogen、Carlsbad、CA)中で維持した。細胞を週に2回継代し、サブコンフルエントレベルで維持した。
【0501】
アッセイ
6日間の処理にわたって、1〜1.5logほどレプリコンRNAを抑制するのに必要な化合物濃度の決定
遺伝子型1b型レプリコン細胞をT−75フラスコに、細胞2.5×10
5個/フラスコの細胞密度でG418を除いて播種した。化合物を個々に、多様な濃度で細胞に加えた:化合物6を1pM、2pM、4pM、6pM、8pMまたは12pMのいずれかの濃度で加え、化合物4を125nM、250nM、375nM、500nMまたは1000nMで加え、化合物1を1.25nM、2.5nM、5nM、2.75nMまたは10nM
で加え、化合物3を3.75nM、7.5nM、11.25nM、15nM、30nMまたは60nMの濃度で加えた。フラスコを37℃でインキュベートし、培地および化合物を2日毎に新しくした。6日間のインキュベーションの後に、レプリコン細胞をRNA抽出およびレプリコンRNA QRT−PCR分析のために収集した。
【0502】
化合物の組合せによるレプリコンのキュア(cure)アッセイ
遺伝子型1b型レプリコン細胞をT−75フラスコに、細胞2.5×10
5個/フラスコの密度で播種した。化合物をT−75フラスコに、次の濃度で加えた:化合物6は4pMで、化合物4は1000nMで、化合物1は10nMで、かつ化合物3は26.25nMで。フラスコを37℃でインキュベートし、化合物および培地を2日毎に新しくした。全ての実験を2回繰り返して行い、フラスコ1およびフラスコ2として示す。6日目に、全ての細胞をフラスコ1から、RNA抽出、続くHCVレプリコン特異的QRT−PCR分析のために収集し、フラスコ2からの細胞を、G418の存在下の10cm組織培養ディッシュに蒔いて、14日間、キュアされなかったレプリコン細胞のコロニー形成を記録した。
【0503】
QRT−PCRアッセイ
製造者のプロトコルに従って、RiboPureキット(AM1924 Life Technologies Corporation Carlsbad、CA)で、全RNAを抽出した。抽出されたRNA試料を、使用するまで−80℃で貯蔵した。定量的RT−PCRアッセイのために、製造者のプロトコルに従って(Qiagen、Valencia CA)、Qiagen One−step QRT−PCRキットを使用した。遺伝子型1b型HCV NS3遺伝子特異的プライマーである、フォワードプライマーNS3_180FL 5’−CGGCGGACTGTCTATCATGGTGC[FAM]G−’3およびリバースNS3_180 5’− GGTCCTGGTCCACATTGGTGT−’3および18S rRNA LUX(商標)[FAM]内在性コントロールプライマーセット(115HM−01)は、Invitrogen corporation(Carlsbad、CA)が作製した。リバーストランスクリプターゼステップのために、反応物を44℃で30分間インキュベートし、次いで、リバーストランスクリプターゼ酵素を、試料を94℃に10分間加熱することによって分解した。Q−PCRステップは、94℃で15秒間および58℃で30秒間の38サイクルを含んだ。
【0504】
結果
組合せによるレプリコンのキュア実験を開始する前に、1〜1.5logほど遺伝子型1b型レプリコンRNAを抑制するのに必要な化合物濃度を、化合物6、化合物4、化合物1および化合物3について決定した。レプリコンRNAのlog低下は、6日間維持された、DMSO対照処理されたレプリコン細胞におけるRNAレベルに対してのものである。
【0505】
【表14】
【0506】
組合せによる遺伝子型1b型レプリコンのキュアアッセイ
化合物6、化合物4、化合物1および化合物3の化合物によるレプリコンRNA抑制を6日のアッセイにおいて、個々の化合物として、および様々な2つ、3つおよび4つの組合せ物で決定した。レプリコンRNAのlog低下は、処理フラスコと並んで6日間維持された、DMSO対照処理されたレプリコン細胞におけるRNAレベルに対してのものである。HCVレプリコンからの細胞をキュアするための様々な化合物の組合せの能力を、コロニー形成によって決定した。化合物処理を除いた後に、コロニー形成が生じ、G418の圧迫が14日間再発した。ある化合物の組合せがHCVレプリコンからの細胞集団を完全にキュアするならば、細胞がG418に対する耐性を欠いているので、コロニーは発生しない。
【0507】
【表15】
【0508】
結論
これらのインビトロ実験の結果は、2種の化合物の組合せは、6日の処理にわたってウイルスRNAのlog低下を増大させ、キュアされたレプリコン細胞の率を増大させることを示している。化合物6と化合物4または化合物3との二重の組合せによって、他の全ての二重の化合物の組合せと比較してより大きなレプリコンRNAのlog抑制と、最も少ない数のキュアされなかったコロニーとが結果として生じる。3種または4種の化合物の組合せは、全てのレプリコン細胞をキュアし、それらの組合せ処理は、レプリコンRNAレベルをアッセイ検出限界まで抑制する。
【0509】
生物学的実施例7:
HCV RNA減少アッセイ
細胞系:
HCV遺伝子型1a型レプリコン細胞(Huh7−lunet)をReBLIkon GmbH(Mainz、Germany)から得た。これらの細胞におけるレプリコンは、pCon1/SG−hRluc−Neoと称され、選択的耐性マーカー(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ)、さらにRenilla reniformisレポーター遺伝子をコードする(参考文献:Robinson Mら(2010年)、Novel
Hepatitis C Virus Reporter Replicon Cell
Lines Enable Efficient Antiviral Screening against Genotype 1a. Antimicrob. Agents Chemother、54巻(8号):3099〜3106頁)。細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS;Hyclone、Logan、UT)、1× ペニシリン/ストレプトマイシンおよび1× 非必須アミノ酸(全てInvitrogen製、Carlsbad、CA)が補充されているダルベッコ変法イーグル培地 GlutaMax(DMEM;Invitrogen、Carlsbad、CA)中で維持した。細胞が90〜95%の集密に達したら、細胞を継代し、サブコンフルエントレベルで維持した。
【0510】
アッセイ:
化合物の組合せによるHCVウイルス負荷低下のアッセイ
遺伝子型1a型レプリコン細胞をT−75フラスコに、細胞10
6個/フラスコの細胞密度で播種した。化合物を細胞に、1×EC
50、2×EC
50、3×EC
50、10×EC
50または100×EC
50に対応する調節可能な濃度で加えた。フラスコを37℃および5%CO
2でインキュベートし;培地および化合物を3〜4日毎に新しくした。細胞が90〜95%の集密に達するたびに、細胞を分けた。各継代について、10
6細胞を、新鮮な培地および化合物を有する新たなフラスコ中で維持し、少なくとも1×10
6細胞を収集し、RNA抽出および後続のHCV特異的QRT−PCR分析のために−80℃で貯蔵した。細胞を、G418の存在下の10cm組織培養ディッシュに蒔いて、少なくとも14日間、キュアされていないレプリコン細胞のコロニー形成を記録した。
【0511】
QRT−PCRアッセイ:
製造者のプロトコルに従ってRNeasy Mini Kit(カタログ番号74104、Qiagen、Valencia、CA)を用いて、RNAを抽出した。抽出されたRNA試料を−80℃で貯蔵した。定量的RT−PCRアッセイのために、HCV3’UTRを標的とするMultiCode−RTx PCRテクノロジープライマー(EraGen Biosciences、Madison、WI)を得て、HCV検出および定量化のために使用した(参考文献:Mulligan, E.K.ら(2009年)、Detection and Quantification of Hepatitis
C Virus by MultiCode−RTx Real−Time PCR Targeting the HCV 3’ Untranslated Region. Journal of Clin Micro.、47巻(8号):2635頁)。各反応について、RNA5μLを、SuperScript III RT(Invitrogen、Carlsbad、CA)、チタンTaq DNAポリメラーゼ(Clontech、Mountain View、CA)および2X ISOlution(EraGen Biosciences、Madison、WI)と共に使用した。Roche LightCycler 480(Indianapolis、IN)を使用して、アッセイを行った。逆転写酵素ステップのために、反応物を50℃で15分間インキュベートした。試料を95℃に2分間加熱することによって、DNAポリメラーゼを活性化させた。Q−PCRは、95℃で5秒間、58℃で10秒間および72℃で20秒間の50サイクルからなった。
【0512】
結果
化合物5、化合物6、化合物3および化合物1の化合物によるレプリコンRNA抑制を、個々の化合物として、および様々な2つ、3つおよび4つの組合せ物で決定した。レプリコンRNAのlog低下は、処理フラスコと並んで維持された、DMSO対照処理されたレプリコン細胞におけるRNAレベルに対するものである。HCVレプリコンからの細胞をキュアするための様々な化合物の組合せの能力を、コロニー形成によって決定した。化合物治療を止めた後に、コロニー形成が生じ、G418の圧迫が14日間再発した。化
合物の組合せがHCVレプリコンからの細胞集団を完全にキュアするならば、細胞がG418に対する耐性を欠いているので、コロニーは発生しない。
【0513】
単独か、または組合せでのHCVインヒビターによるHCV RNAおよび耐性コロニーの減少を表XVIに示す。
【0514】
【表16】
【0515】
これらのインビトロ実験の結果は、2種の化合物の組合せは、ウイルスRNAのlog低下を増大させ、キュアしたレプリコン細胞の率を増大させることを示している。3種または4種の化合物の組合せは2× EC50または3×EC50で、全てのレプリコン細胞をキュアし、それらの組合せ処理は、レプリコンRNAレベルをアッセイ検出限界まで抑制する。
【0516】
生物学的実施例8:
変異レプリコン:
Renillaルシフェラーゼレポーターを持つGT1bレプリコンおよびGT1aレプリコンを使用して、変異レプリコンを生じさせた。部位特異的変異誘発によって、変異をレプリコン構成物に導入し、配列決定によって確認した。インビトロ転写によって変異レプリコンRNAをDNAから生じさせ、Huh−7 LunetまたはC1細胞に形質移入した。
【0517】
薬物感受性アッセイ
レプリコンRNAを形質移入した後のHuh−7細胞を96ウェルプレートに、1ウェル当たり細胞5×10
3個の密度で、DMEM培地100μL中に播種した。化合物を100%DMSO(Sigma)中で1:3で連続希釈した。これらの連続希釈物を細胞に1:200希釈で加えて、0.5%DMSOの最終濃度を200μLの全体積で達成した。プレートを37℃で3日間インキュベートし、その後、培地を除去し、細胞を溶解させ、市販のルシフェラーゼアッセイ(Promega、Madison、WI)を使用して、ルシフェラーゼ活性についてアッセイした。Prismを使用して、EC
50値を算出した。
【0518】
結果
表XVIIおよびXVIIIに、対応する野生型GT1bまたはGT1aと比較しての、変異体のEC50における倍数変化をまとめている。比較のために、0〜3の倍数変化は「感受性」とみなし、3〜10の倍数変化は「低い」とみなし、10〜50の倍数変化は「中等度」とみなし、5超の倍数変化は「高い」とみなす。
【0519】
【表17】
【0520】
【表18】
【0521】
結論
全ての単一NS3 PI耐性変異体が、化合物6、化合物4、化合物1、IFNおよびRBVに対して完全な感受性を保持している。PIおよびNS5Aインヒビターに対する耐性を付与する二重クラス変異体(dual class mutant)は、化合物1、化合物4、化合物5、IFNおよびRBVに対しては感受性であった。同様に、PIおよび化合物1に対する耐性を付与する二重クラス変異体は、化合物6、化合物4、化合物5、IFNおよびRBVに対しては感受性であった。最後に、PI、NS5Aおよび化合物1に対する耐性を付与する三重クラス変異体は、化合物4、化合物5、IFNおよびRBVに対しては感受性を維持した。
【0522】
臨床的実施例1:化合物1および化合物2の組合せの抗HCV活性の臨床的試験
この臨床的実施例によって、化合物1および化合物2にリバビリンを加えた組合せは、
リバビリンを伴わない化合物1と化合物2との組合せよりも、HCVウイルス負荷の減少およびHCVウイルスリバウンドの抑制において有効であることを示す。
【0523】
臨床試験の設計:
慢性遺伝子型1型HCV感染を有する処置未経験の被験体における28日間の、化合物2および化合物1単独およびリバビリンと組合せた化合物2および化合物1のフェーズ2無作為化非盲検試験。28日間にわたって、アーム1(Arm1)の被験体は、両方とも1日2回(BID)投与される75mgの化合物2+40mgの化合物1を受け(2剤レジメン)、アーム2の被験体は、両方ともBID投与される75mgの化合物2+40mgの化合物1に加えて、BID投与されるリバビリンも受けた(3剤レジメン)。
【0524】
28日目に、全ての被験体が、PEG/リバビリンを開始することとした。加えて、そのプロトコルは、不十分なウイルス学的応答(5日目までにベースラインのHCV RNAからの2log
10IU/mL未満の減少)またはウイルスリバウンド(絶対値が1000IU/mL超であって、5日目以降に存在する2つの時点にわたって確認された最下点からの0.5log
10IU/mL超のHCV RNA上昇)を有する被験体が、28日目の前にPEG/RIBAを開始することをを要求した。
【0525】
不十分なウイルス学的応答を有する被験体では、ペグ化インターフェロン(PEG)およびリバビリン(RIBA)の組合せを28日目の前に、化合物2+化合物1を継続しながら、また継続せずに開始した。結果として、試験の28日目までに、被験体は4つの処置のうちの1つを受けた:
(i)化合物2+化合物1
(ii)化合物2+化合物1+RIBA
(iii)化合物2+化合物1+PEG/RIBAまたは
(iv)PEG/RIBA。
【0526】
全部で31例の被験体を登録し、投薬を開始した(16例の被験体がアーム1において2剤レジメンを受け、15例の被験体がアーム2において3剤レジメンを受けた)。予備的な被験体の人口統計およびベースラインの特徴(表XIX)は全般的に、アーム2の方が遺伝子型1b型を有する被験体の人数が多かったことは別として、アーム1と2とで匹敵した。4例の被験体がスクリーニングでHCV遺伝子型1b型と同定されたが(1例の被験体は2剤レジメンで、3例の被験体は3重レジメンで)、さらに分析したところ、遺伝子型1a型または1b型として確認されず、さらなる評価を進めているところである。
【0527】
重大な有害事象を経験した被験体はいない。試験薬物療法は全般的に耐容性が良好であり、その際、試験薬物の中止に至った唯一の、処置により発現した有害事象であった1例のグレード3の疲労を除いて、全ての有害事象が重症度においてグレード1〜2であった。PEG/リバビリンを開始する前に、1例を超える被験体で生じた最も一般的な、処置により発現した有害事象は、アーム1で頭痛(n=5)および下痢もしくは悪心(それぞれn=3)、ならびにアーム2で頭痛(n=7)、下痢もしくは疲労(それぞれn=3)、悪心、無力症、そう痒症(pruritis)または不眠症(それぞれn=2)であった。化合物2+化合物1を、PEG/RIBAと組み合わせて与え、その際、1人を超える被験体で生じた唯一の有害事象は、両方ともPEG/RIBA療法で一般的な有害事象であるインフルエンザ様疾病(n=5)および筋肉痛(n=3)であった。検査値異常(laboratory abnormality)に関しては、28日の処置期間の間に、グレード4の事象はなかった。試験薬物を受けた被験体のうち、リバビリンを含有するアーム2において、2件の、処置により発現した総ビリルビンにおけるグレード3の上昇があった(7日目に生じたが、試験薬物の継続投与で解消)。他にも、この投薬アーム(リバビリンを含む)における他の被験体のうち、総ビリルビンの、2例のグレード−1の
上昇および1例のグレード−2の上昇があった。アーム−1(リバビリンなし)における被験体では、4件のグレード−1の総ビリルビン上昇があった。ALT値は、両方のアームにおいて14日目までにベースラインから約40U/L減少した。中央値QTcFは、いずれの試験アームにおいてもベースラインから有意に変化せず、QTc異常によって、試験薬物を中止した被験体はいなかった。予備的安全性データを表XXにまとめる。
【0528】
血漿HCV RNAを週に約2回監視して、PEG/RIBAの早期開始のために、プロトコル規定の診断基準に関連するウイルス学的応答を測定した。HCV RNA値の予備的分析から、HCV RNAにおける最大低下の中央値は、2剤レジメンでは3.9log
10IU/mL、3剤レジメンでは5.0log
10IU/mLであった。HCV RNAの最大低下までの時間の中央値は、2剤レジメンでは7日間、3剤レジメンでは14日間であり、この際、その差違は、リバビリン含有アームにおけるウイルスブレークスルーの発生および発症の遅延によった。2剤レジメンを受けた15例の被験体のうち3例(20%)および3剤レジメンを受けた13例の被験体のうち10例(77%)は、最低のHCV RNA値≦30IU/mL(非GT1被験体は除く)を有した。化合物2/化合物1を受けた13例/16例(81%)の被験体および化合物2/化合物1/リバビリンを受けた6例/15例(40%)の被験体は、試験の28日目に予定されていた開始の前に、PEGまたはPEG/リバビリンを開始した。ウイルス学的転帰の追加の詳細は、次に示される。
【0529】
結果
化合物2+化合物1単独およびRIBAと組み合わせた化合物2+化合物1は、PEGまたはPEG/リバビリンを加える前と後の両方で、この試験におけるHCV被験体によって最大28日間にわたり耐容性が良好であった。両方のレジメンがHCV RNAの強力な抑制をもたらし、活性は3薬レジメンでより大きく、かつより持続的であった。
【0530】
【表19】
【0531】
【表20】
【0532】
【表21】
【0533】
表XXIに示されているデータは、リバビリンの不在と比較して、リバビリンの存在下での化合物2+化合物1の組合せに応答して、最大HCV RNAレベルの中央値および最大HCV RNAレベルの平均値の両方において約10倍超の低下があったことを示している。他にも、50IU/mL未満のHCV RNA最低値を有する研究対象の人数は、リバビリンの不在下よりも、リバビリンの存在下において多い。これらの結果は、インターフェロンの不在下で、リバビリンが、化合物1および化合物2の組合せの抗ウイルス活性を有意に強化することを示している。
【0534】
加えて、HCVが変異して、抗ウイルス薬物に対する感受性が低くなったときに結果として生じるHCVウイルス負荷の増大の尺度であるHCVブレークスルーまでの平均時間は、リバビリンの不在下よりもリバビリンの存在下でのほうが長い。さらに、ウイルスブレークスルーを示した被験体の人数は、リバビリンの不在下よりもリバビリンの存在下でのほうがかなり少ない。これらの結果は、HCVウイルスが、リバビリンの存在下では化合物1および化合物2の組合せに対して耐性を発生しにくいことを示している。
【0535】
さらに、表XXIに示されているデータは、リバビリンの存在下では急速なウイルス学的応答(RVR)を達成した患者の人数が、リバビリンの不在下においてよりも有意に多いことを示している。RVRの達成は、HCV感染の治癒と正に相関している。
【0536】
まとめると、表XXIに表されているデータは、化合物1、化合物2およびリバビリンの組合せは、インターフェロンの投与の不在下であっても、HCVウイルス負荷の急速かつ臨床的に有意な減少をウイルスリバウンドの減少と共にもたらすことを示している。
【0537】
本明細書では、本発明の具体的な実施形態を例示し、かつ詳細に記載したが、本発明は、それらの実施形態に限定されない。上記で詳述した記載は、本発明の例示として提供したものであって、本発明の何らかの制限を構成するとは解釈されるべきではない。変更形態は当業者には明白であり、本発明の趣旨から逸脱していない全ての変更形態が、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0538】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物を含む組成物であって、化合物1および化合物2が該組成物中の唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が該組成物中の唯一の該併用化合物ではないことを条件とする組成物。
(項2)
化合物1を含み、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項3)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項2に記載の組成物。
(項4)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項2に記載の組成物。
(項5)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項2に記載の組成物。
(項6)
化合物2を含み、化合物1、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項7)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項6に記載の組成物。
(項8)
化合物3を含み、化合物1、化合物2、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項9)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項8に記載の組成物。
(項10)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項8に記載の組成物。
(項11)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項8に記載の組成物。
(項12)
化合物4を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物5、化合物6および化合物7からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項13)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項12に記載の組成物。
(項14)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項12に記載の組成物。
(項15)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項12に記載の組成物。
(項16)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項12に記載の組成物。
(項17)
化合物5を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物6および化合物7からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項18)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項17に記載の組成物。
(項19)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項17に記載の組成物。
(項20)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項17に記載の組成物。
(項21)
化合物6を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物7からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項22)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項21に記載の組成物。
(項23)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項21に記載の組成物。
(項24)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項21に記載の組成物。
(項25)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項21に記載の組成物。
(項26)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項21に記載の組成物。
(項27)
化合物7を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物6からなる群から選択される第2の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項28)
化合物1を含み、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物および第3の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項29)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項28に記載の組成物。
(項30)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項28に記載の組成物。
(項31)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項28に記載の組成物。
(項32)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項28に記載の組成物。
(項33)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項28に記載の組成物。
(項34)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項28に記載の組成物。
(項35)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項28に記載の組成物。
(項36)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項29に記載の組成物。
(項37)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項28に記載の組成物。
(項38)
化合物2を含み、化合物1、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物および第3の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項39)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項38に記載の組成物。
(項40)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項38に記載の組成物。
(項41)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項38に記載の組成物。
(項42)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項38に記載の組成物。
(項43)
化合物3を含み、化合物1、化合物2、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物および第3の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項44)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項43に記載の組成物。
(項45)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項43に記載の組成物。
(項46)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項43に記載の組成物。
(項47)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項43に記載の組成物。
(項48)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項43に記載の組成物。
(項49)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項43に記載の組成物。
(項50)
前記第2の化合物が化合物5であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項43に記載の組成物。
(項51)
化合物4を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物および第3の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項52)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項51に記載の組成物。
(項53)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項51に記載の組成物。
(項54)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項51に記載の組成物。
(項55)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項51に記載の組成物。
(項56)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物2である、上記項51に記載の組成物。
(項57)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物3である、上記項51に記載の組成物。
(項58)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項51に記載の組成物。
(項59)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項51に記載の組成物。
(項60)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項51に記載の組成物。
(項61)
化合物5を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物および第3の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項62)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項61に記載の組成物。
(項63)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項61に記載の組成物。
(項64)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項61に記載の組成物。
(項65)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項61に記載の組成物。
(項66)
化合物6を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物および第3の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項67)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項66に記載の組成物。
(項68)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項66に記載の組成物。
(項69)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項66に記載の組成物。
(項70)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項66に記載の組成物。
(項71)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項66に記載の組成物。
(項72)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物2である、上記項66に記載の組成物。
(項73)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物3である、上記項66に記載の組成物。
(項74)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項66に記載の組成物。
(項75)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項66に記載の組成物。
(項76)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項66に記載の組成物。
(項77)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物5である、上記項66に記載の組成物。
(項78)
化合物1を含み、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項79)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項78に記載の組成物。
(項80)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項78に記載の組成物。
(項81)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項78に記載の組成物。
(項82)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項78に記載の組成物。
(項83)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項78に記載の組成物。
(項84)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項78に記載の組成物。
(項85)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項78に記載の組成物。
(項86)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項78に記載の組成物。
(項87)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項78に記載の組成物。
(項88)
化合物2を含み、化合物1、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項89)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項88に記載の組成物。
(項90)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項88に記載の組成物。
(項91)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項88に記載の組成物。
(項92)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項88に記載の組成物。
(項93)
化合物3を含み、化合物1、化合物2、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項94)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項93に記載の組成物。
(項95)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項93に記載の組成物。
(項96)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項93に記載の組成物。
(項97)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項93に記載の組成物。
(項98)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項93に記載の組成物。
(項99)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項93に記載の組成物。
(項100)
前記第2の化合物が化合物5であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項93に記載の組成物。
(項101)
化合物4を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項102)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項101に記載の組成物。
(項103)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項101に記載の組成物。
(項104)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項101に記載の組成物。
(項105)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項101に記載の組成物。
(項106)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物2である、上記項101に記載の組成物。
(項107)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物3である、上記項101に記載の組成物。
(項108)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項101に記載の組成物。
(項109)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項101に記載の組成物。
(項110)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項101に記載の組成物。
(項111)
化合物5を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項112)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項111に記載の組成物。
(項113)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項111に記載の組成物。
(項114)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項111に記載の組成物。
(項115)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項111に記載の組成物。
(項116)
化合物6を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4および化合物5からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項117)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項116に記載の組成物。
(項118)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項116に記載の組成物。
(項119)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項116に記載の組成物。
(項120)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項116に記載の組成物。
(項121)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物2である、上記項116に記載の組成物。
(項122)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物3である、上記項116に記載の組成物。
(項123)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項116に記載の組成物。
(項124)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項116に記載の組成物。
(項125)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項116に記載の組成物。
(項126)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物5である、上記項116に記載の組成物。
(項127)
化合物7を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物6からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物および第4の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項128)
化合物1を含み、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項129)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項128に記載の組成物。
(項130)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項128に記載の組成物。
(項131)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項128に記載の組成物。
(項132)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項128に記載の組成物。
(項133)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項128に記載の組成物。
(項134)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項128に記載の組成物。
(項135)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項128に記載の組成物。
(項136)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項128に記載の組成物。
(項137)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項128に記載の組成物。
(項138)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項128に記載の組成物。
(項139)
化合物2を含み、化合物1、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項140)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項139に記載の組成物。
(項141)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項139に記載の組成物。
(項142)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項139に記載の組成物。
(項143)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項139に記載の組成物。
(項144)
化合物3を含み、化合物1、化合物2、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項145)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項144に記載の組成物。
(項146)
前記第2の化合物が化合物5である、上記項144に記載の組成物。
(項147)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項144に記載の組成物。
(項148)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項144に記載の組成物。
(項149)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項144に記載の組成物。
(項150)
前記第2の化合物が化合物4であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項144に記載の組成物。
(項151)
前記第2の化合物が化合物5であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項144に記載の組成物。
(項152)
化合物4を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物5、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項153)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項152に記載の組成物。
(項154)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項152に記載の組成物。
(項155)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項152に記載の組成物。
(項156)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項152に記載の組成物。
(項157)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物2である、上記項152に記載の組成物。
(項158)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物3である、上記項152に記載の組成物。
(項159)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項152に記載の組成物。
(項160)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項152に記載の組成物。
(項161)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項152に記載の組成物。
(項162)
化合物5を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物6および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項163)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項162に記載の方法。
(項164)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項162に記載の方法。
(項165)
前記第2の化合物が化合物6である、上記項162に記載の方法。
(項166)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物6である、上記項162に記載の組成物。
(項167)
化合物6を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物7からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項168)
前記第2の化合物が化合物1である、上記項167に記載の組成物。
(項169)
前記第2の化合物が化合物2である、上記項167に記載の組成物。
(項170)
前記第2の化合物が化合物3である、上記項167に記載の組成物。
(項171)
前記第2の化合物が化合物4である、上記項167に記載の組成物。
(項172)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物2である、上記項167に記載の組成物。
(項173)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物3である、上記項167に記載の組成物。
(項174)
前記第2の化合物が化合物1であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項167に記載の組成物。
(項175)
前記第2の化合物が化合物2であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項167に記載の組成物。
(項176)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物4である、上記項167に記載の組成物。
(項177)
前記第2の化合物が化合物3であり、前記第3の化合物が化合物5である、上記項167に記載の組成物。
(項178)
化合物7を含み、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物6からなる群からそれぞれ選択される第2の化合物、第3の化合物、第4の化合物および第5の化合物をさらに含む、上記項1に記載の組成物。
(項179)
前記組成物が化合物1および化合物6を含む、上記項1に記載の組成物。
(項180)
前記組成物が化合物1、化合物3および化合物6を含む、上記項1に記載の組成物。
(項181)
前記組成物が化合物3および化合物5を含む、上記項1に記載の組成物。
(項182)
前記組成物が化合物3および化合物6を含む、上記項1に記載の組成物。
(項183)
前記組成物が化合物3、化合物5および化合物6を含む、上記項1に記載の組成物。
(項184)
1種または複数の薬学的に許容される希釈剤またはキャリアをさらに含む、上記項1から183のいずれか一項に記載の組成物。
(項185)
毎日1回投与のための単位剤形として製剤化される、上記項1から184のいずれか一項に記載の組成物。
(項186)
経口投与のために製剤化される、上記項1から185のいずれか一項に記載の組成物。
(項187)
錠剤として製剤化される、上記項1から186のいずれか一項に記載の組成物。
(項188)
ヒトでのHCV感染を処置する方法であって、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物を前記ヒトに投与するステップを含むが、化合物1および化合物2が投与される唯一の併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が投与される唯一の併用化合物ではないことを条件とする方法。
(項189)
上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物を前記ヒトに投与する、上記項188に記載の方法。
(項190)
ヒトでのHCV感染の1種または複数の症状を改善する方法であって、該方法は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物を該ヒトに投与するステップを含み、化合物1および化合物2が、投与される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、投与される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、方法。
(項191)
上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物を前記ヒトに投与する、上記項190に記載の方法。
(項192)
HCVを有するヒトでのウイルス負荷を減少させるための方法であって、該方法は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物を該ヒトに投与するステップを含み、化合物1および化合物2が、投与される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、投与される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、方法。
(項193)
上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物を前記ヒトに投与する、上記項192に記載の方法。
(項194)
ヒトにおいて共投与される経口抗ウイルス薬に対して耐性を有するHCV準種の出現を減じるための方法であって、該方法は、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物を該ヒトに投与するステップを含み、化合物1および化合物2が、投与される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、投与される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、方法。
(項195)
上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物を前記ヒトに投与する、上記項194に記載の方法。
(項196)
インターフェロンを前記ヒトに投与するステップをさらに含む、上記項188から195のいずれか一項に記載の方法。
(項197)
インターフェロンを前記ヒトに投与しない、上記項188から195のいずれか一項に記載の方法。
(項198)
リバビリンを前記ヒトに投与するステップをさらに含む、上記項188から195のいずれか一項に記載の方法。
(項199)
リバビリン、インターフェロン、α−グルコシダーゼ1阻害薬、肝臓保護薬、TLR−7アゴニスト、シクロフィリン阻害薬、HCVウイルス侵入阻害薬、HCV成熟阻害薬およびHCV IRES阻害薬から選択される1種または複数の追加の薬剤を前記ヒトに投与するステップをさらに含む、上記項188から195のいずれか一項に記載の方法。
(項200)
医学的療法における併用化合物である化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物の使用であって、化合物1および化合物2が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、使用。
(項201)
医学的療法における、上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物の使用。
(項202)
HCV感染を予防的または治療的処置するための、併用化合物である化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物の使用であって、化合物1および化合物2が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3、が選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、使用。
(項203)
HCV感染を予防的または治療的処置するための上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物の使用。
(項204)
ヒトでのHCV感染を処置するための医薬品を調製するための化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物の使用であって、化合物1および化合物2が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、使用。
(項205)
ヒトでのHCV感染を処置するための医薬品を調製するための上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物の使用。
(項206)
ヒトでのHCV感染の1種または複数の症状を改善するための医薬品を調製するための化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物の使用であって、化合物1および化合物2が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、使用。
(項207)
ヒトでのHCV感染の1種または複数の症状を改善するための医薬品を調製するための上記項1から157のいずれか一項に記載の組成物の使用。
(項208)
ヒトでのウイルス負荷を減少させるための医薬品を調製するための化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物の使用であって、化合物1および化合物2が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、使用。
(項209)
ヒトでのウイルス負荷を減少させるための医薬品を調製するための上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物の使用。
(項210)
ヒトにおいて共投与される経口抗ウイルス薬に対して耐性を有するHCV準種の出現を減じるための医薬品を調製するための、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5、化合物6および化合物7ならびに薬学的に許容されるそれらの塩から選択される2種以上の併用化合物の使用であって、化合物1および化合物2が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とし、さらに化合物1および化合物3が、選択される唯一の該併用化合物ではないことを条件とする、使用。
(項211)
ヒトにおいて共投与される経口抗ウイルス薬に対して耐性を有するHCV準種の出現を減じるための医薬品を調製するための上記項1から187のいずれか一項に記載の組成物の使用。