【解決手段】本可変容量デバイスは、信号用の第1及び第2端子と、電圧印加用の第3及び第4端子と、第1端子と第2端子との間で直列に接続された複数の可変容量素子と、第3端子に接続され、電流を第1方向に流す第1電圧印加回路と、第4端子に接続され、電流を第1方向に流す第2電圧印加回路と、第3端子に接続され、電流を第1方向とは逆方向である第2方向に流す第3電圧印加回路と、第4端子に接続され、電流を第2方向に流す第4電圧印加回路とを有する。そして、複数の可変容量素子のうち第1端子に最も近い可変容量素子の第1端子側の端部から第2端子に最も近い可変容量素子の第2端子側の端部まで順番に、これらの端部と、上記複数の可変容量素子のうちの2つの可変容量素子の接続部分とに、第1及び第4電圧印加回路の接続部分と、第2及び第3電圧印加回路の接続部分とが交互に接続される。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯フェリカ用のNFC(Near Field Communication:近距離無線通信)モジュールでは、アンテナのコイルのばらつきにより13.56MHzの共振周波数がシフトして受信感度が劣化してしまうという現象が起きる。そのため、キャパシタを含む周波数調整回路をモジュールに組み込み、出荷時に全ての機器を検査し、キャパシタの容量を微調整して、共振周波数のずれを補正する。
【0003】
従来、固定の容量素子にFET(Field Effect Transistor)スイッチを直列に接続したスイッチトキャパシタが利用されていた。そして、予め出荷検査にて切り替え設定を制御用IC(Integrated Circuit)に書き込んでおいて、NFCの使用時にFETを切り替えてキャパシタの容量を微調整する。
【0004】
一方、近年FETスイッチよりも安価で、耐圧に優れた汎用のセラミックコンデンサへの置き換えが検討されている。セラミックコンデンサ材料はDCバイアス電圧の印加に伴って容量が減少する特性を有しており、この特性を積極的に利用するものである。
【0005】
但し、セラミックコンデンサの容量が経時変化するという問題等から、焼結体ではなく薄膜によって形成された誘電体層を含む可変容量素子を複数用いた可変容量デバイスの採用が検討されている。
【0006】
しかしながら、従来の可変容量素子は、その構造から方向性を有するため、実装方向を間違えると電圧を印加しても十分な容量可変率を得ることができない可能性がある。
【0007】
例えば、
図1(a)及び(b)に従来の可変容量デバイスの構成例を示す。従来の可変容量デバイスには、入力端子INと出力端子OUTの間に可変容量素子C101乃至C104が直列に接続されており、左右にバイアス印加用の端子X及びYが設けられている。
図1(a)に示すように、3つの抵抗を介して可変容量素子C101乃至C104に接続する端子XをグランドGNDに接続し、2つの抵抗を介して可変容量素子C101乃至C104に接続する端子Yに所定の電圧DC+を印加するのが正しい接続態様(正接続とも呼ぶ)である。電流は、端子Yから端子Xに向けて矢印で示すような方向に流れる。
【0008】
一方、
図1(b)に示すように、端子YをグランドGNDに接続し、端子Xに所定の電圧DC+を印加するのは、誤った接続態様(逆接続とも呼ぶ)である。この場合、電流は、端子Xから端子Yに向けて矢印で示すような方向に流れ、可変容量素子C101及びC104には電流は流れず、印加電圧の変化もない。
【0009】
例えば、
図2に示すように、正接続の場合、DC+=0Vであれば可変容量素子C101乃至C104の各容量が400nFであり、DC+=+3Vであれば可変容量素子C101乃至C104の各容量が33%減って268nFとなる。そうすると、全体としてはDC+=0Vであれば100nFで、DC+=+3Vであれば67nFとなるので、全体としても容量は33%変化する。
【0010】
一方、逆接続の場合、可変容量素子C102及びC103の容量は、DC+=+3Vであれば33%減って268nFとなるが、可変容量素子C101及びC104の容量は変化しない。従って、全体としてはDC+=0Vであれば100nFで、DC+=+3Vでも80nFとなるので、全体として容量は20%しか変化しない。
【0011】
これでは、キャパシタの容量を十分調整できず、共振周波数のずれを十分に補正できない場合が生ずる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
図3に本発明の第1の実施の形態に係る可変容量デバイスの回路例を示す。本実施の形態でも、信号用の端子C及びDとの間に、可変容量素子C1乃至C4が直列に接続されている。また、本実施の形態に係る可変容量デバイスは、ダイオードD1乃至D10と抵抗R1乃至R10も有する。例えば、ダイオードD1乃至D10は同一の特性を有し、抵抗R1乃至R10も同一の抵抗値を有する。
【0018】
そして、可変容量素子C1の端子C側の端部と、可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分と、可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分と、可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分と、可変容量素子C4の端子D側の端部との各々には、端子Aと端子Bとの間に印加されるバイアス電圧を伝えるために、抵抗とダイオードとの直列回路が端子A側と端子B側とに接続される。
【0019】
図3の例では、ダイオードD1と一端が当該ダイオードD1のアノードに接続された抵抗R1との第1の直列回路において、ダイオードD1のカソードは端子Aに接続され、抵抗R1の他端は可変容量素子C1の一端に接続される。この第1の直列回路では、端子Aから可変容量素子C1へは電流が流れないようになっている。
【0020】
また、ダイオードD3と一端が当該ダイオードD3のカソードに接続された抵抗R3との第2の直列回路において、ダイオードD3のアノードは端子Aに接続され、抵抗R3の他端は可変容量素子C1とC2の接続部分に接続される。この第2の直列回路では、端子Aから可変容量素子C1及びC2へ電流が流れるようになっている。
【0021】
さらに、ダイオードD5と一端が当該ダイオードD5のアノードに接続された抵抗R5との第3の直列回路において、ダイオードD5のカソードは端子Aに接続され、抵抗R5の他端は可変容量素子C2とC3の接続部分に接続される。この第3の直列回路では、端子Aから可変容量素子C2及びC3へは電流が流れないようになっている。また、第3の直列回路と、第1の直列回路は同じである。
【0022】
また、ダイオードD7と一端が当該ダイオードD7のカソードに接続された抵抗R7との第4の直列回路において、ダイオードD7のアノードは端子Aに接続され、抵抗R7の他端は可変容量素子C3とC4の接続部分に接続される。この第4の直列回路では、端子Aから可変容量素子C3及びC4へ電流が流れるようになっている。また、第4の直列回路と、第2の直列回路は同じである。
【0023】
さらに、ダイオードD9と一端が当該ダイオードD9のアノードに接続された抵抗R9との第5の直列回路において、ダイオードD9のカソードは端子Aに接続され、抵抗R9の他端は可変容量素子C4の一端に接続される。この第5の直列回路では、端子Aから可変容量素子C4へは電流が流れないようになっている。また、第5の直列回路と、第1及び第3の直列回路は同じである。
【0024】
一方、ダイオードD2と一端が当該ダイオードD2のアノードに接続された抵抗R2との第6の直列回路において、ダイオードD2のカソードは端子Bに接続され、抵抗R2の他端は可変容量素子C1の一端に接続される。この第6の直列回路では、端子Bから可変容量素子C1へは電流が流れないようになっている。
【0025】
また、ダイオードD4と一端が当該ダイオードD4のカソードに接続された抵抗R4との第7の直列回路において、ダイオードD4のアノードは端子Bに接続され、抵抗R4の他端は可変容量素子C1とC2の接続部分に接続される。この第7の直列回路では、端子Bから可変容量素子C1及びC2へ電流が流れるようになっている。
【0026】
さらに、ダイオードD6と一端が当該ダイオードD6のアノードに接続された抵抗R6との第8の直列回路において、ダイオードD6のカソードは端子Bに接続され、抵抗R6の他端は可変容量素子C2とC3の接続部分に接続される。この第8の直列回路では、端子Bから可変容量素子C2及びC3へは電流が流れないようになっている。また、第8の直列回路と、第6の直列回路は同じである。
【0027】
また、ダイオードD8と一端が当該ダイオードD8のカソードに接続された抵抗R8との第9の直列回路において、ダイオードD8のアノードは端子Bに接続され、抵抗R8の他端は可変容量素子C3とC4の接続部分に接続される。この第9の直列回路では、端子Bから可変容量素子C3及びC4へ電流が流れるようになっている。また、第9の直列回路と、第7の直列回路は同じである。
【0028】
さらに、ダイオードD10と一端が当該ダイオードD10のアノードに接続された抵抗R10との第10の直列回路において、ダイオードD10のカソードは端子Bに接続され、抵抗R10の他端は可変容量素子C4の一端に接続される。この第10の直列回路では、端子Bから可変容量素子C4へは電流が流れないようになっている。また、第10の直列回路と、第6及び第8の直列回路は同じである。
【0029】
このように、端子Aには、上から順番に、端子A側に電流を流すようにする直列回路(第1、第3及び第5の直列回路)と、端子A側に電流を流さないようにする直列回路(第2及び第4の直列回路)とを交互に接続するようになっている。
【0030】
一方、端子Bには、上から順番に、端子B側に電流を流すようにする直列回路(第6、第8及び第10の直列回路)と、端子B側に電流を流さないようにする直列回路(第7及び第9の直列回路)とを交互に接続するようになっている。
【0031】
そうすると、第1乃至第10の直列回路は、端子Cと端子Dとを結ぶ直線に対して線対称となるように接続される。
【0032】
このような構成を採用すれば、
図4に示すように、端子AをグランドGNDに接続し、端子BにDC+を印加する場合には、矢印で示すように、第7の直列回路と第9の直列回路とを電流が流れ、さらに、可変容量素子C1乃至C4を介して、第1の直列回路と第3の直列回路と第5の直列回路とを電流が流れる。このように、可変容量素子C1乃至C4の左右に配置した2つのはしご状の直列回路において、1段ずつ左右交互に端子Bから端子Aの方向に電流が流れる直列回路が現れる。すなわち、可変容量素子C1乃至C4のいずれについてもバイアス電圧が印加されることになる。
【0033】
一方、
図5に示すように、端子BをグランドGNDに接続し、端子AにDC+を印加する場合には、矢印で示すように、第2の直列回路と第4の直列回路とを電流が流れ、さらに、可変容量素子C1乃至C4を介して、第6の直列回路と第8の直列回路と第10の直列回路とを電流が流れる。
図5の例でも、可変容量素子C1乃至C4の左右に配置した2つのはしご状の直列回路において、1段ずつ左右交互に端子Aから端子Bの方向に電流が流れる直列回路が現れる。すなわち、可変容量素子C1乃至C4のいずれについてもバイアス電圧が印加されることになる。
【0034】
このよう第1乃至第10の直列回路は、可変容量素子C1乃至C4に対する電圧印加のための回路として作用する。
【0035】
従って、
図4及び
図5のように接続した場合、いずれの場合も、
図6に示すように、DC+=+3Vであれば可変容量素子C1乃至C4の各々が、32%容量が変化するので、全体としても32%容量が変化する。従来構成を正接続で接続した場合には可変率は33%であったが、この例ではダイオードの影響などにより1%可変率が減少している。しかし、従来構成を逆接続で接続した場合における可変率の減少と比べれば影響は非常に小さい。
【0036】
図3に示すような回路構成を、例えば
図7(下面図)のような直方体状の可変容量デバイス100に薄膜化して実装した場合、端子Cを可変容量デバイス100の外部端子cに接続させ、端子Dを可変容量デバイス100の外部端子dに接続させ、端子Aを可変容量デバイス100の外部端子aに接続させ、端子Bを可変容量デバイス100の外部端子bに接続させる。このような可変容量デバイス100は、長手方向に沿って設けられたZ−Z’中央直線で左右対称であるから、外部端子aと外部端子bとを区別する必要はなく、実装の誤りが生じない。なお、外部端子a乃至dの配置及び形状については従来のものと同じである。
【0037】
なお、本実施の形態に係る可変容量デバイス100を用いたアンテナ装置は例えば
図8に示すような構成を有する。アンテナ装置は、信号処理及び制御回路200と、DCカットのためのキャパシタC
DCcutと、可変容量デバイス100と、アンテナとして用いられるコイルLとを有する。信号処理及び制御回路200は、コイルLで受信される信号を適切に復調できるようにするため、可変容量デバイス100に対して適切な電圧を印加するようになっている。
【0038】
本実施の形態に係る可変容量デバイス100を採用すれば、このようなアンテナ装置を製造する際に、可変容量デバイス100の左右の向きを留意せずに実装できるようになる。
【0039】
なお、
図3には、可変容量素子を4つ直列に接続する例を示したが、可変容量素子の数については2以上の偶数であればよい。
【0040】
また、上で述べた例では、各直列回路において、可変容量素子C1乃至C4に近い方から抵抗、ダイオードの順番で素子を配置する例を示したが、
図9に示すように、逆の順番に配置するようにしても良い。
【0041】
さらに、上で述べた例では、直列回路は、可変容量素子C1乃至C4を通る直線に対して線対称になるように配置していたが、
図10に示すように、例えば片側の直列回路については、可変容量素子C1乃至C4に近い方からダイオード、抵抗の順番に配置する場合もある。
【0042】
さらに、ダイオード及び抵抗の順番を、各直列回路について任意の順番にする場合もある。
【0043】
[第2の実施の形態]
図11に本発明の第2の実施の形態に係る可変容量デバイスの回路例を示す。本実施の形態でも、信号用の端子E及びFとの間に、可変容量素子C1乃至C4が直列に接続されている。また、本実施の形態に係る可変容量デバイスは、ダイオードD11乃至D14と抵抗R11乃至R20も有する。例えば、ダイオードD11乃至D14は同一の特性を有し、抵抗R11乃至R20も同一の抵抗値を有する。このように、第1の実施の形態に係るダイオードD1、D5及びD9は、ダイオードD11に統合され、ダイオードD3及びD7は、ダイオードD12に統合され、ダイオードD2、D6及びD10は、ダイオードD14に統合され、ダイオードD4及びD8は、ダイオードD13に統合された。
【0044】
そして、可変容量素子C1の端子E側の端部と、可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分と、可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分と、可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分と、可変容量素子C4の端子F側の端部とには、端子Gと端子Hとの間に印加されるバイアス電圧を伝えるために、第1乃至第4の電圧印加回路が、端子G側と端子H側とに接続される。
【0045】
図11の例では、端子Gから、可変容量素子C1と端子Eとの接続部分と、可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分と、可変容量素子C4と端子Fとの接続部分とへ電流が流れないようにするため、第1の電圧印加回路が設けられている。すなわち、第1の電圧印加回路は、端子Gにカソードが接続されたダイオードD11と、一端がダイオードD11のアノードに接続され且つ他端が可変容量素子C1と端子Eとの接続部分に接続された抵抗R11と、一端がダイオードD11のアノードに接続され且つ他端が可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分に接続された抵抗R15と、一端がダイオードD11のアノードに接続され且つ他端が可変容量素子C4と端子Fとの接続部分に接続された抵抗R19とを有する。ダイオードD11は、抵抗R11、R15及びR19によって共用されており、ダイオードD11との組み合わせによって、第1の実施の形態に係る第1、第3及び第5の直列回路が実質的に形成される。
【0046】
また、端子Gから、可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分と、可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分とへ電流が流れるようにするため、第3の電圧印加回路が設けられている。すなわち、第3の電圧印加回路は、端子Gにアノードが接続されたダイオードD12と、一端がダイオードD12のカソードに接続され且つ他端が可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分に接続された抵抗R13と、一端がダイオードD12のカソードに接続され且つ他端が可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分に接続された抵抗R17とを有する。ダイオードD12は、抵抗R13及びR17によって共用されており、ダイオードD12との組み合わせによって、第1の実施の形態に係る第2及び第4の直列回路が実質的に形成される。
【0047】
同様に、端子Hから、可変容量素子C1と端子Eとの接続部分と、可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分と、可変容量素子C4と端子Fとの接続部分とへ電流が流れないようにするため、第4の電圧印加回路が設けられている。すなわち、第4の電圧印加回路は、端子Hにカソードが接続されたダイオードD14と、一端がダイオードD14のアノードに接続され且つ他端が可変容量素子C1と端子Eとの接続部分に接続された抵抗R12と、一端がダイオードD14のアノードに接続され且つ他端が可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分に接続された抵抗R16と、一端がダイオードD14のアノードに接続され且つ他端が可変容量素子C4と端子Fとの接続部分に接続された抵抗R20とを有する。ダイオードD14は、抵抗R12、R16及びR20によって共用されており、ダイオードD14との組み合わせによって、第1の実施の形態に係る第6、第8及び第10の直列回路が実質的に形成される。
【0048】
また、端子Hから、可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分と、可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分とへ電流が流れるようにするため、第2の電圧印加回路が設けられている。すなわち、第2の電圧印加回路は、端子Hにアノードが接続されたダイオードD13と、一端がダイオードD13のカソードに接続され且つ他端が可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分に接続された抵抗R14と、一端がダイオードD13のカソードに接続され且つ他端が可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分に接続された抵抗R18とを有する。ダイオードD13は、抵抗R14及びR18によって共用されており、ダイオードD13との組み合わせによって、第1の実施の形態に係る第7及び第9の直列回路が実質的に形成される。
【0049】
このように、端子Eと可変容量素子C1との接続部分、可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分、可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分、可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分、可変容量素子C4と端子Dとの接続部分の順番に、端子Gに接続された第1の電圧印加回路と第3の電圧印加回路とが交互に接続される。
【0050】
同様に、端子Eと可変容量素子C1との接続部分、可変容量素子C1と可変容量素子C2との接続部分、可変容量素子C2と可変容量素子C3との接続部分、可変容量素子C3と可変容量素子C4との接続部分、可変容量素子C4と端子Dとの接続部分の順番に、端子Hに接続された第2の電圧印加回路と第4の電圧印加回路とが交互に接続される。
【0051】
よって、
図11からも分かるように、端子Eと端子Fとを結ぶ直線に対して、第1及び第3の電圧印加回路と第4及び第2の電圧印加回路とが線対称となっている。
【0052】
このような構成を採用すれば、
図12に示すように、端子GをグランドGNDに接続し、端子HにDC+を印加する場合には、矢印で示すように、第1の電圧印加回路と第2の電圧印加回路とに電流が流れる。このように、可変容量素子C1乃至C4の左右に配置した2つのはしご状の抵抗において、1段ずつ左右交互に端子Hから端子Gの方向に電流が流れる抵抗が現れる。すなわち、可変容量素子C1乃至C4のいずれについてもバイアス電圧が印加されることになる。
【0053】
一方、
図13に示すように、端子HをグランドGNDに接続し、端子GにDC+を印加する場合には、矢印で示すように、第3の電圧印加回路と第4の電圧印加回路とに電流が流れる。
図13の例でも、可変容量素子C1乃至C4の左右に配置した2つのはしご状の抵抗において、1段ずつ左右交互に端子Gから端子Hの方向に電流が流れる抵抗が現れる。すなわち、可変容量素子C1乃至C4のいずれについてもバイアス電圧が印加されることになる。
【0054】
このような構成を採用した場合であっても、第1の実施の形態について述べた
図6に示すような容量の可変率が実現される。
【0055】
さらに、
図7に示すような直方体状の可変容量デバイス100に薄膜化して実装するようにしても良い。
【0056】
さらに、
図8に示すように、その可変容量デバイス100をアンテナ装置に用いるようにしても良い。
【0057】
このように、本実施の形態に係る可変容量デバイス100を採用しても、このようなアンテナ装置を製造する際に、可変容量デバイス100の左右の向きを留意せずに実装できるようになる。
【0058】
なお、
図11には、可変容量素子を4つ直列に接続する例を示したが、可変容量素子の数については2以上の偶数であればよい。
【0059】
以上述べた本発明の実施の形態をまとめると、以下のようになる。
【0060】
実施の形態の第1の態様に係る可変容量デバイスは、(A)信号用の第1及び第2の端子と、電圧印加用の第3及び第4の端子と、(B)第1の端子と第2の端子との間で直列に接続された複数の可変容量素子と、(C)電流を第1の方向に流す複数の第1および第2の電圧印加回路と、(D)電流を第1の方向とは逆方向である第2の方向に流す複数の第3および第4の電圧印加回路とを有する。そして、(d1)複数の可変容量素子のうち第1の端子に最も近い可変容量素子の第1の端子側の端部と、第2の端子に最も近い可変容量素子の第2の端子側の端部と、複数の可変容量素子のうちの2つの可変容量素子の接続部分とに、複数の第1の電圧印加回路のうちの1つの第1の電圧印加回路と複数の第3の電圧印加回路のうちの1つの第3の電圧印加回路とが接続される。また、(d2)第1の端子に最も近い可変容量素子から第2の端子に最も近い可変容量素子まで、第1の電圧印加回路と第3の電圧印加回路とがこの順番で交互に接続され、その一方は第3の端子に接続される。さらに、(d3)第1の端子に最も近い可変容量素子から第2の端子に最も近い可変容量素子まで、第4の電圧印加回路と第2の電圧印加回路とがこの順番で交互に接続され、その一方は第4の端子に接続される。
【0061】
このような回路を採用することで、第3の端子をグランドに接続する場合であっても、第4の端子をグランドに接続する場合であっても、各可変容量素子に適切な電圧が印加されるようになるため、方向性を有しない可変容量デバイスが形成されるようになる。
【0062】
なお、複数の第1から第4の電圧印加回路の各々が、ダイオードと抵抗とが直列に接続された直列回路である場合もある。このようにすれば安価なデバイスが形成できる。
【0063】
さらに、複数の可変容量素子のうち第1の端子に最も近い可変容量素子の第1の端子側の端部と、第2の端子に最も近い可変容量素子の第2の端子側の端部と、複数の可変容量素子のうちの2つの可変容量素子の接続部分との各々に、直列回路における抵抗を接続するようにしても良い。この場合、第3の端子及び第4の端子に、直列回路におけるダイオードを接続するようになる。このようにすれば、直列に接続された可変容量素子に対して電圧印加回路が線対称に配置され、製造が容易になる。
【0064】
なお、このような可変容量デバイスを含むようなアンテナ装置も形成できる。
【0065】
実施の形態の第2の態様に係る可変容量デバイスは、(A)信号用の第1及び第2の端子と、(B)電圧印加用の第3及び第4の端子と、(C)第1の端子と第2の端子との間で直列に接続された複数の可変容量素子と、(D)第3の端子に接続され、電流を第1の方向に流す第1の電圧印加回路と、(E)第4の端子に接続され、電流を第1の方向に流す第2の電圧印加回路と、(F)第3の端子に接続され、電流を第1の方向とは逆方向である第2の方向に流す第3の電圧印加回路と、(G)第4の端子に接続され、電流を第2の方向に流す第4の電圧印加回路とを有する。そして、複数の可変容量素子のうち第1の端子に最も近い可変容量素子の第1の端子側の端部から第2の端子に最も近い可変容量素子の第2の端子側の端部まで順番に、第1の端子に最も近い可変容量素子の第1の端子側の端部と、上記複数の可変容量素子のうちの2つの可変容量素子の接続部分と、第2の端子に最も近い可変容量素子の第2の端子側の端部とを含む複数の部分に、第1の電圧印加回路と第4の電圧印加回路との接続部分と、第2の電圧印加回路と第3の電圧印加回路との接続部分とが交互に接続される。
【0066】
このような構成においても、第3の端子をグランドに接続する場合であっても、第4の端子をグランドに接続する場合であっても、各可変容量素子に適切な電圧が印加されるようになるため、方向性を有しない可変容量デバイスが形成されるようになる。
【0067】
なお、上で述べた第1の電圧印加回路及び第3の電圧印加回路の各々は、第3の端子側に接続されるダイオードとダイオードに接続される抵抗との組み合わせを複数含むようにしてもよい。また、上で述べた第2の電圧印加回路及び第4の電圧印加回路の各々は、第4の端子側に接続されるダイオードとダイオードに接続される抵抗との組み合わせを1又は複数含むようにしても良い。
【0068】
一方、上で述べた第1の電圧印加回路及び第3の電圧印加回路の各々は、第3の端子側に接続されるダイオードとダイオードに接続される複数の抵抗とを含むようにしても良い。また、上で述べた第2の電圧印加回路及び第4の電圧印加回路の各々は、第4の端子側に接続されるダイオードとダイオードに接続される1又は複数の抵抗とを含むようにしてもよい。このような構成の方がより安価に製造できるようになる。
【0069】
以上述べた構成については、実施の形態にて具体的に説明されているが、実施の形態に限定されるものではない。