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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-44462(P2016-44462A)
(43)【公開日】2016年4月4日
(54)【発明の名称】作業用車両及び散水タンク
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/088 20060101AFI20160307BHJP
【FI】
   E01C23/088
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-169319(P2014-169319)
(22)【出願日】2014年8月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000182384
【氏名又は名称】酒井重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 桂佑
(72)【発明者】
【氏名】若松 亨
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA03
2D053AB03
2D053DA01
(57)【要約】
【課題】渦流の発生を防止することができる作業用車両及び散水タンクを提供する。
【解決手段】路面切削車両Vは、散水タンク5を備える。散水タンク5は、底部51aに設けられた散水用ソケット51mと、少なくとも一部が散水用ソケット51mの上方に位置し、渦流の発生を防止する渦流防止部材51rとを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水タンクを備えた作業用車両であって、
前記散水タンクは、
底部に設けられた排水口と、
少なくとも一部が前記排水口の上方に位置し、渦流の発生を防止する渦流防止部材と、を備えることを特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記散水タンクは、前記排水口に対して着脱可能なブッシュをさらに備え、
前記渦流防止部材は、前記ブッシュに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の作業用車両。
【請求項3】
前記渦流防止部材の幅は、前記排水口の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業用車両。
【請求項4】
前記排水口は、筒状のソケットを含んで構成されており、
前記ソケットの上端は、前記散水タンクの底部内面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作業用車両。
【請求項5】
作業用車両に搭載される散水タンクであって、
底部に設けられた排水口と、
少なくとも一部が前記排水口の上方に位置し、渦流の発生を防止する渦流防止部材と、を備えることを特徴とする散水タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用車両及び散水タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、散水機能を備えた作業用車両が種々開発されている。この種の作業用車両としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1の作業用車両は、水を貯留する散水タンクと、アスファルト舗装等の既設舗装体を切削する切削装置と、切削装置へ向けて水を噴射する散水ノズルと、散水タンクの排水口と散水ノズルとを接続する散水ホースと、散水ホースに接続され散水タンク内の水を散水ノズルへ送る散水ポンプとを備えている。特許文献1の作業用車両は散水機能を備えることで、切削装置の冷却や粉塵の飛散防止等を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−194772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の作業用車両では、散水中に散水タンク内の水位が下がってくると、排水口の上方で渦流が発生する。渦流が発生すると、エアが渦流に巻き込まれて散水ポンプに混入するため、散水ポンプの空回りを誘発し、作動性能が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、このような観点から創案されたものであり、渦流の発生を防止することができる作業用車両及び散水タンクを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明は、散水タンクを備えた作業用車両であって、前記散水タンクは、底部に設けられた排水口と、少なくとも一部が前記排水口の上方に位置し、渦流の発生を防止する渦流防止部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、散水タンクは、少なくとも一部が排水口の上方に位置する渦流防止部材を備えているため、渦流の発生を防止することができる。
【0009】
また、前記散水タンクは、前記排水口に対して着脱可能なブッシュをさらに備え、前記渦流防止部材は、前記ブッシュに連結されていることが好ましい。
【0010】
かかる構成によれば、新規の作業用車両だけでなく、既存の作業用車両に対しても渦流防止部材を容易に取り付けることができる。
【0011】
また、前記渦流防止部材の幅は、前記排水口の内径よりも小さいことが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、新規の作業用車両だけでなく、既存の作業用車両に対しても排水口の下方から渦流防止部材を挿入して取り付けることができる。散水タンク内は、暗所かつ狭小空間になっているため、排水口の上方から渦流防止部材を取り付ける作業が煩雑になる。これに対し、本発明によれば、排水口の下方から渦流防止部材を挿入して取り付けることができるため、取付作業が容易になる。また、渦流防止部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0013】
また、前記排水口は、筒状のソケットを含んで構成されており、前記ソケットの上端は、前記散水タンクの底部内面よりも上方に位置していることが好ましい。
【0014】
散水タンク内の異物(例えばゴミ、塵埃等)が散水ポンプに送られると、散水ポンプの機能低下や故障が発生する虞がある。これに対し、本発明によれば、散水タンク内の異物が底部内面に留まるため、異物が散水ポンプに送られるのを抑制することができる。
【0015】
また、本発明は、作業用車両に搭載される散水タンクであって、底部に設けられた排水口と、少なくとも一部が前記排水口の上方に位置し、渦流の発生を防止する渦流防止部材と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、散水タンクは、少なくとも一部が排水口の上方に位置する渦流防止部材を備えているため、渦流の発生を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の作業用車両及び散水タンクによれば、渦流の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る路面切削車両を示す側面図である。
図2】本実施形態に係る路面切削車両を示す平面図である。
図3】散水タンクの下方構成を示す部分拡大側面図である。
図4】散水タンクの平面図である。
図5図4のIV−IV線に沿った断面図である。
図6図4のV−V線に沿った断面図である。
図7】(a)は散水用ソケット、ブッシュ及び渦流防止部材の部分拡大断面図であり、(b)は散水用ソケット、ブッシュ及び渦流防止部材の部分拡大平面図である。
図8】ドレン用ソケットの部分拡大断面図である。
図9】サブタンクの正面図である。
図10】実施例の構成を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態では、本発明の散水タンクを路面切削車両に搭載した場合を例示する。なお、図中の前後左右上下に基づいて説明する。
【0020】
図1に示すように、路面切削車両Vは、走行機体1と、切削装置2と、搬送装置3と、散水装置4とを備えている。路面切削車両Vは、アスファルト舗装等の既設舗装体Rを所定厚さで切削し、切削した切削屑を搬送する車両である。
【0021】
<走行機体>
走行機体1は、車体フレーム、左右一対の前輪11、左右二対の後輪12、エンジン、運転席13等を含んで構成されている。
【0022】
<切削装置>
切削装置2は、走行機体1の下部において前輪11と後輪12との間に設置されており、既設舗装体Rを所定厚さで切削する装置である。切削装置2は、水平かつ幅方向に延設された回転ドラム21と、回転ドラム21の外周面に設けられ既設舗装体Rを切削する複数のビット22と、回転ドラム21及びビット22の周囲を覆う切削フレーム23とを有している。
【0023】
回転ドラム21は、図示しない駆動モータにより図1の矢印方向へ回転可能になっている。これにより、ビット22により切削された切削屑が搬送装置3の後端3bへ向けて送り出されるようになっている。回転ドラム21は、油圧シリンダにより走行機体1に対して上下方向及び左右方向に移動可能になっている。これにより、既設舗装体Rに対するビット22の高さ位置及び幅方向位置を調節することが可能となり、既設舗装体Rの切削深さ及び切削(横断方向の)位置を調節することができる。
【0024】
<搬送装置>
搬送装置3は、切削装置2により切削された切削屑を既設舗装体Rの外側へ搬送する装置であり、例えばベルトコンベア等で構成されている。図2に示すように、搬送装置3は、走行機体1の幅方向中央に設置されている。図1に示すように、搬送装置3は、後方に折り畳み可能になっている。搬送装置3は、回送時に後方に折り畳まれて走行機体1の上部に載置され、作業時に前方に展開される。展開時の搬送装置3は、前方へ向けて高くなるように延出している。搬送装置3の後端3bは、切削装置2の前方に位置しており、切削屑を受け取る搬入端になっている。後端3bには、既設舗装体R上の異物を除去するための異物避け31(図3参照)が付設されている。搬送装置3の前端3aは、図示しないダンプトラックの荷台の上方に位置しており、切削屑をダンプトラックへ受け渡す搬出端になっている。
【0025】
<散水装置>
散水装置4は、切削装置2に散水する装置である。図1及び図3に示すように、散水装置4は、散水タンク5と、散水ホース6と、散水フィルター7と、散水ポンプ8と、散水ノズル9とを有している。なお、図3では、説明の便宜上、散水ホース6、散水フィルター7、散水ポンプ8及び散水ノズル9を実線で描き、それ以外の部材を二点鎖線で描いている。
【0026】
図1に示すように、散水タンク5は、走行機体1の上部前側に設置されており、水を貯留するための金属製の中空部材(中空容器)である。図1に示す形態においては、散水タンク5は、車体フレームの一部を構成している。図4に示すように、散水タンク5は、メインタンク51と、メインタンク51よりも小容量のサブタンク52とで構成されている。サブタンク52は、メインタンク51の後部の左右両側に1つずつ配置されている。
【0027】
メインタンク51は、仕切板51cと、給水口51dと、通気管51eと、点検用開口部51fと、接続口51gと、散水用孔51hと、ドレン用孔51iとを有している。
メインタンク51は、図5に示すように、底部中央に凹部51bを有する略鞍型状のタンクである。
【0028】
仕切板51cは、図5及び図6に示すように、メインタンク51の内部において、前後方向に延設されている。仕切板51cは、凹部51bを間に挟んで左右両側に設けられており、メインタンク51の内部空間を3つに仕切っている。これにより、右左折時の水の片寄りを抑制することができるとともに、メインタンク51の強度・剛性を向上させることができる。仕切板51cには、図6に示すように、空間同士を互いに連通する連通孔51jが形成されている。連通孔51jは、側面視円形状又は側面視扇形状を呈している。円形状の連通孔51jは、凹部51bよりも上方に形成されており、後方に位置するものほど大径に形成されている。扇形状の連通孔51jは、前後の上側角部や後方の下側角部にそれぞれ形成されている。
【0029】
給水口51dは、図5及び図6に示すように、メインタンク51の上部の左右両側において、上方へ突設されている。給水口51dは、円筒状を呈している。給水口51dは、メインタンク51の後方寄りであって、仕切板51cにより仕切られた左右両側の空間に対応する位置に設けられている。図示は省略するが、給水時には、給水口51dにホースを接続して、例えば河川水や水道水等をタンク内に供給する。
【0030】
通気管51eは、図6に示すように、給水口51dの後部外周面から後方へ突設されている。通気管51eは、円筒状を呈している。通気管51eの前端は、給水口51d内に連通している。通気管51eの後端は、ホース53を介して、サブタンク52の通気管52dに連通して接続されている。
【0031】
点検用開口部51fは、図4に示すように、メインタンク51の上部の中央及び左右両側において、上下方向に貫通している。点検用開口部51fは、平面視矩形状を呈している。中央の点検用開口部51fは、左右両側の点検用開口部51fよりも大きな開口面積になっている。点検用開口部51fは、蓋部材51kにより閉塞されている。蓋部材51kは、点検用開口部51fの上縁部にボルトBで固定されている。タンク内のメンテナンス時には、蓋部材51kを取り外してメンテナンス作業を行うことができる。
【0032】
接続口51gは、図4に示すように、メインタンク51の後部の左右両側において、後方へ突設されている。接続口51gは、円筒状を呈している。接続口51gは、仕切板51cにより仕切られた左右両側の空間に対応する位置に設けられている。図6に示すように、接続口51gは、メインタンク51の上下方向中央よりも若干上方に位置している。
【0033】
散水用孔51hは、図4に示すように、メインタンク51の底部51aの左側において、上下方向に貫通している。散水用孔51hは、平面視円形状を呈している。散水用孔51hは、メインタンク51の後方寄りであって、ドレン用孔51iの近傍に設けられている。
【0034】
ここで、図7を参照して、散水タンク5の排水口の構成について詳しく説明する。
図7(a)に示すように、散水用孔51h内には、円筒状の散水用ソケット51mが挿着されている。特許請求の範囲の「排水口」は、本実施形態では散水用孔51hと散水用ソケット51mとを含んで構成されている。散水用ソケット51mは、金属製であり、溶接により散水用孔51hに固定されている。散水用ソケット51mの上端51m1は、底部内面51a1よりも上方に位置している。これにより、タンク内の異物が底部内面51a1に留まるため、異物が散水ポンプ8に送られるのを抑制することができる。散水用ソケット51mの内周面には、雌ねじが形成されている。なお、散水用ソケット51mの上端51m1と底部内面51a1とを面一にしてもよい。
【0035】
散水用ソケット51m内には、金属製かつ円筒状のブッシュ51nが着脱可能に挿着されている。ブッシュ51nの下端には、拡径した鍔部51oが形成されている。鍔部51oの外径は、散水用ソケット51mの内径よりも大きくなっている。ブッシュ51nの外周面には、鍔部51o以外の部位において、散水用ソケット51mの雌ねじに螺合する雄ねじが形成されている。ブッシュ51nの内周面には、下側に位置する第1挿着孔51pと、第1挿着孔51pの上端に連続して当該第1挿着孔51pよりも拡径した第2挿着孔51qとが形成されている。第1挿着孔51p内には、散水ホース6の端部に取り付けられた接続部材Cが挿着されている。第1挿着孔51pの内周面には、雌ねじが形成されている。接続部材Cの外周面には、第1挿着孔51pの雌ねじに螺合する雄ねじが形成されている。
【0036】
第2挿着孔51q内には、渦流防止部材51rが挿着されている。渦流防止部材51rは、例えばステンレス等からなる金属製の板状部材である。渦流防止部材51rは、第2挿着孔51qの内径よりも幅が狭い幅狭部51sと、幅狭部51sの上端に形成され第2挿着孔51qの内径よりも幅が広い幅広部51tとを有している。
【0037】
幅狭部51sは、第2挿着孔51q内に挿着される部位である。幅狭部51sの底面は、ブッシュ51n(第2挿着孔51qの底面)に接触せずに、若干浮いた状態となっている。幅広部51tは、第2挿着孔51qの上端から露出するとともに、散水用ソケット51mの上端51m1から上方へ突出する部位である。これにより、図7(b)の矢印に示すように、散水用ソケット51mへ向けて旋回しながら流れ込む水の流れを阻害できるため、散水用ソケット51mの上方における渦流の発生を防止することできる。幅広部51tの幅W(渦流防止部材51rの最大幅W)は、散水用ソケット51mの内径Dよりも小さくなっている。これにより、散水用ソケット51mの下方から渦流防止部材51rを挿入して取り付けることができる。図7(a)(b)中の黒塗り部位は溶接箇所を示しており、渦流防止部材51rとブッシュ51nとの隅部の適所には溶接が施されている。
【0038】
図4に示すように、ドレン用孔51iは、メインタンク51の底部51aの左右両側において、上下方向に貫通している。ドレン用孔51iは、平面視円形状を呈している。ドレン用孔51iは、メインタンク51の後方寄りに設けられている。図8に示すように、ドレン用孔51iの下縁部には、金属製かつ円筒状のドレン用ソケット51uが溶接により固定されている。図示は省略するが、ドレン用ソケット51uの下端には、ホースやバルブ等が接続されている。タンク内のメンテナンス時には、バルブを開弁することでドレン用孔51iやドレン用ソケット51u等を通じて水や異物を排出することができる。
【0039】
図9に示すように、サブタンク52には、底部の一部を上方へ凹ませて凹部52aが形成されている。凹部52aは、底部の前側かつ外側の部位に形成されている。凹部52aを形成する鉛直壁52bには、横向きに突出した接続口52cが設けられている。接続口52cは、円筒状を呈している。接続口52cは、サブタンク52の上下方向中央よりも下方に位置している。図6に示すように、接続口52cは、ホース54を介して、メインタンク51の接続口51gに接続されている。これにより、サブタンク52内とメインタンク51内とが相互に連通するため、メインタンク51内の水位が下がると、サブタンク52内の水をメインタンク51内へ自動的に移すことができる。
【0040】
サブタンク52の上部には、第1通気管52dが前後方向に延設されている。第1通気管52dは、円筒状を呈している。第1通気管52dの前端は、ホース53を介して、メインタンク51の通気管51eに連通して接続されている。第1通気管52dの前端側は、サブタンク52の上部に取り付けられた支持材52fに支持されている。第1通気管52dの後端は、サブタンク52内に連通している。
【0041】
図4及び図6に示すように、第1通気管52dの後端側には、横向きに突出した第2通気管52eが設けられている。第2通気管52eは、円筒状を呈している。第2通気管52eの一端は、第1通気管52d内に連通している。第2通気管52eの他端は、タンク外に連通している。これにより、第2通気管52e及び第1通気管52dによりサブタンク52内外を連通し、サブタンク52内の通気性を確保することができる。また、第2通気管52e、第1通気管52d、ホース53及び通気管51eによりメインタンク51内外を連通し、メインタンク51内の通気性も確保することができる。
【0042】
次に、図3を参照して、散水タンク5の下方に配置された散水ホース6、散水フィルター7、散水ポンプ8及び散水ノズル9について詳しく説明する。
散水フィルター7、散水ポンプ8及び散水ノズル9は、この順序で散水ホース6に接続されている。
【0043】
散水フィルター7は、異物を捕集する部材である。散水フィルター7は、散水用ソケット51mに対して前方に離間配置されている。散水フィルター7は、メインタンク51の左側方に設置された昇降用ステップSの前方に配置されている。
【0044】
散水ポンプ8は、散水タンク5内の水を散水ノズル9へ送る部材であり、本実施形態では渦巻きポンプを用いている。散水ポンプ8は、散水用ソケット51mに対して下方に離間配置されている。散水ポンプ8は、昇降用ステップSの後部に取り付けられている。散水ポンプ8は、制御部F(図1参照)と電気的に接続されている。制御部Fは、モニタ、操作部、制御基板等を含んで構成されている。制御部Fは、散水ポンプ8の作動、停止等を制御するように構成されている。
【0045】
散水ノズル9は、回転ドラム21及びビット22へ向けて水を噴射する部材である。 散水ノズル9は、切削装置2の後方において、回転ドラム21の幅方向に沿って複数配置されている(図9では1つのみ図示)。
【0046】
散水ホース6は、接続部材Cを介して、散水タンク5の排水口と散水ノズル9とを接続する管状部材である。散水ホース6は、接続部材Cから散水フィルター7に至る第1散水ホース61と、散水フィルター7から散水ポンプ8に至る第2散水ホース62と、散水ポンプ8から散水ノズル9に至る第3散水ホース63とで構成されている。
【0047】
以上説明した本実施形態によれば、散水用ソケット51mの上端51m1から上方へ突出する渦流防止部材51rを備えるため、渦流の発生を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、渦流防止部材51rが金属板で構成されているため、渦流の発生防止対策を安価に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、渦流防止部材51rがブッシュ51nに挿着され、ブッシュ51nが散水用ソケット51mに対して着脱可能に挿着されているため、新規の路面切削車両Vだけでなく、既存の路面切削車両Vに対しても渦流防止部材51rを容易に取り付けることができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、渦流防止部材51rの幅Wが散水用ソケット51mの内径Dよりも小さいため、新規の路面切削車両Vだけでなく、既存の路面切削車両Vに対しても散水用ソケット51mの下方から渦流防止部材51rを挿入して取り付けることができる。散水タンク5内は、暗所であり、仕切板51c等もあって狭小空間になっているため、散水用ソケット51mの上方から渦流防止部材51rを取り付ける作業が煩雑になる。これに対し、本実施形態によれば、散水用ソケット51mの下方から渦流防止部材51rを挿入して取り付けることができるため、取付作業が容易になる。また、渦流防止部材51rのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、散水用ソケット51mの上端51m1が散水タンク5の底部内面51a1よりも上方に位置しているため、散水タンク5内の異物が底部内面51a1に留まり、異物が散水ポンプ8に送られるのを抑制することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、散水タンク5を路面切削車両Vに搭載したが、例えば転圧車両や散水車両等に搭載してもよい。
また、本実施形態では、散水タンク5が貯水機能と車体フレームとを兼用する形態を例示したが、散水タンク5と車体フレームとが別個に形成されている作業用車両に対して本発明を適用することもできる。
【0053】
本実施形態では、渦流防止部材51rを金属板で構成したが、材質や形状等は適宜変更してよい。
【0054】
本実施形態では、散水用ソケット51mの下方から渦流防止部材51rを挿入して取り付けたが、散水用ソケット51mの上方から渦流防止部材51rを挿入して取り付けるようにしてもよい。この場合には、渦流防止部材51rの最大幅Wを散水用ソケット51mの内径Dより大きくしてもよい。
【0055】
本実施形態では、散水用ソケット51mにブッシュ51nを介して渦流防止部材51rを挿着したが、例えば、ブッシュ51nを省略して散水用ソケット51mの上端51m1に渦流防止部材51rを直に固定してもよい。また、散水用ソケット51mを省略して底部51aに渦流防止部材51rを直に固定してもよい。
【0056】
次に、本発明の散水タンク5の作用効果について、実施例及び比較例により更に詳細に説明する。
【0057】
<試験方法>
本試験では、散水タンク5の底部内面51a1から250mmの高さまで水を貯めた後、散水を行った。そして、散水開始直後と水位が50mm下がる毎に、1本当たりの散水ノズル9の吐出量を測定した。また、散水タンク5の水面の様子を肉眼で観察し、渦やエア噛み等の発生の有無を確認した。
【0058】
<実施例1>
図10に示すように、実施例1では、散水用ソケット51mに渦流防止部材51rを挿着し、渦流防止部材51rの板厚を6mmにし、散水用ソケット51mの上端51m1からの渦流防止部材51rの突出長Lを50mmにした。
【0059】
<実施例2>
実施例2では、渦流防止部材51rの突出長Lを100mmにした以外は、実施例1と同様の構成を採用した。
【0060】
<実施例3>
実施例3では、渦流防止部材51rの突出長Lを150mmにした以外は、実施例1と同様の構成を採用した。
【0061】
<比較例>
比較例では、散水用ソケット51mに渦流防止部材51rを挿着しなかった。
【0062】
<結果>
実施例1〜3及び比較例1の試験結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
<結果の検討>
実施例1〜3では、各水位における吐出量が2.1〜2.2L/minの範囲で推移して略一定であった。また、エア噛みの発生は確認されなかった。さらに、窪みの発生や渦の発生又は兆候が確認されたが、これらの現象がすぐに消滅することも確認された。
比較例では、水位50mmにおける吐出量が1.0L/minとなって著しく低下した。また、水位90mmに下がったときにエア噛みの発生が確認された。さらに、大小の窪みの発生が確認され、また渦の発生と消滅を頻繁に繰り返すことが確認された。
【0065】
<小括>
前記試験結果によれば、散水用ソケット51mに渦流防止部材51rを挿着しないと、窪みや渦が発生し易くなり、エア噛みを誘発して吐出量が不安定になるが、散水用ソケット51mに渦流防止部材51rを挿着すると、窪みや渦が発生し難くなり、又は仮に発生してもすぐに消滅することになり、エア噛みの発生を防止して吐出量が安定することが実証された。
また、渦流防止部材51rの突出長Lの長短は、試験結果に影響を与えないことが実証された。
【符号の説明】
【0066】
V 路面切削車両(作業用車両)
2 切削装置
4 散水装置
5 散水タンク
51 メインタンク
51a 底部
51a1 底部内面
51h 散水用孔(排水口)
51m 散水用ソケット(排水口)
51m1 上端
51n ブッシュ
51r 渦流防止部材
52 サブタンク
6 散水ホース
7 散水フィルター
8 散水ポンプ
9 散水ノズル
W 幅
D 内径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10