【解決手段】特定部111は、駐車場(第1の空間)において携帯電話機2が受信した第1の無線信号と、その後にその駐車場と異なる空間である店舗(第2の空間)においてその携帯電話機2が受信した第2の無線信号とに基づいて、携帯電話機2が第1の無線信号を受信した場所と第2の無線信号を受信した場所との距離を特定する。変更部112は、特定部111により特定された上述の距離に応じて、携帯電話機2のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更する。
第1の空間において端末装置が受信した第1の無線信号と、その後に前記第1の空間と異なる第2の空間において前記端末装置が受信した第2の無線信号とに基づいて、前記第1の無線信号を受信した場所と前記第2の無線信号を受信した場所との距離を特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記距離に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更する変更手段と、
を有する情報処理装置。
前記特定手段は、前記端末装置が前記第1の無線信号を受信してから前記第2の無線信号を受信するまでに受信した他の無線信号に基づいて、前記端末装置が前記第1の空間から前記第2の空間に至るまでの経路を特定し、当該経路の長さを前記距離として特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
前記特定手段は、前記端末装置が前記第1の無線信号を受信する前に、前記第1の空間において当該第1の無線信号を受信した、当該端末装置と異なる他の端末装置の数を特定し、
前記変更手段は、前記特定手段により特定された前記距離および前記数に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
第1の空間において端末装置が受信した第1の無線信号と、その後に前記第1の空間と異なる第2の空間において前記端末装置が受信した第2の無線信号とに基づいて、情報処理装置が前記第1の無線信号を受信した場所と前記第2の無線信号を受信した場所との距離を特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおいて特定された前記距離に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を、前記情報処理装置が変更する変更ステップと、
を有することを特徴とする情報処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、無線信号は届く範囲が限られるので、無線信号を受信する受信機がその範囲に存在したことの証明になる。また、近年では、スマートフォンなどに代表される端末装置が無線信号を受信する受信機を含むことがある。
こういったスマートフォンに、複数のチェックポイントからそれぞれ発信されている無線信号を受信させることで、そのユーザがそれらの各チェックポイントに来たことをそのスマートフォンに記憶させ、表示させるスタンプラリーのシステムがある。
【0005】
しかし、こういったシステムも例えば、ユーザが車を止めた駐車エリアが精算所や利用店舗から遠い場合に、駐車料金を割り引くというように、ユーザが訪れた場所やそれらの場所間の距離に応じてユーザに与えられる特典を変更することには対応していない。
【0006】
本発明は、端末装置が無線信号を受信した場所やそれらの場所間の距離に応じて、ユーザに付与される価値情報を変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、第1の空間において端末装置が受信した第1の無線信号と、その後に前記第1の空間と異なる第2の空間において前記端末装置が受信した第2の無線信号とに基づいて、前記第1の無線信号を受信した場所と前記第2の無線信号を受信した場所との距離を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記距離に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更する変更手段と、を有する。
【0008】
好ましくは、前記特定手段は、前記端末装置が前記第1の無線信号を受信した時刻から前記第2の無線信号を受信した時刻までの時間に基づいて、前記距離を特定するとよい。
【0009】
また、好ましくは、前記特定手段は、前記端末装置が前記第1の無線信号を受信してから前記第2の無線信号を受信するまでに受信した他の無線信号に基づいて、前記端末装置が前記第1の空間から前記第2の空間に至るまでの経路を特定し、当該経路の長さを前記距離として特定するとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記変更手段は、前記距離と前記第2の空間で前記ユーザが行った取引の額に応じて、前記価値情報を変更するとよい。
【0011】
また、好ましくは、前記変更手段は、前記ユーザが前記第1の空間において受けるサービスに対して前記ユーザから支払われる対価を示す価値情報を変更するとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記特定手段は、前記端末装置が前記第1の無線信号を受信する前に、前記第1の空間において当該第1の無線信号を受信した、当該端末装置と異なる他の端末装置の数を特定し、前記変更手段は、前記特定手段により特定された前記距離および前記数に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更するとよい。
【0013】
また、本発明に係る情報処理方法は、第1の空間において端末装置が受信した第1の無線信号と、その後に前記第1の空間と異なる第2の空間において前記端末装置が受信した第2の無線信号とに基づいて、情報処理装置が前記第1の無線信号を受信した場所と前記第2の無線信号を受信した場所との距離を特定する特定ステップと、前記特定ステップにおいて特定された前記距離に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を、前記情報処理装置が変更する変更ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、第1の空間において端末装置が受信した第1の無線信号と、その後に前記第1の空間と異なる第2の空間において前記端末装置が受信した第2の無線信号とに基づいて、前記第1の無線信号を受信した場所と前記第2の無線信号を受信した場所との距離を特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記距離に応じて、前記端末装置のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更する変更手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端末装置が無線信号を受信した場所やそれらの場所間の距離に応じて、ユーザに付与される価値情報を変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1.実施形態
1−1.情報処理システムの全体構成
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム9の全体構成を示す図である。情報処理システム9は、情報処理装置1、携帯電話機2、発信機4、管理サーバ装置6を有する。情報処理装置1、携帯電話機2、管理サーバ装置6は、通信回線3により互いに接続して通信可能となっている。
【0018】
発信機4は、ショッピングモールなどの店舗敷地内および駐車場内に設置され、ビーコンなどと呼ばれる無線信号を発信する。発信機4は、例えば音波などを用いてもよいが、ここでは2.4GHz帯の電波を用いて無線信号を発信する。発信機4は、店舗内および駐車場内にそれぞれ複数個、設置されている。各発信機4は、それぞれ固有の識別情報を含んだ無線信号を周囲に発信する。無線信号が届く範囲は、電波強度や遮蔽物の有無などで決まる。
【0019】
携帯電話機2は、いわゆるスマートフォンであり、発信機4から発信される無線信号を受信する機能を有する端末装置である。
【0020】
情報処理装置1は、携帯電話機2を利用した商取引に関する情報処理を行うコンピュータ装置であり、通信回線3を介して、携帯電話機2および管理サーバ装置6と情報の遣り取りをする。
管理サーバ装置6は、各携帯電話機2のユーザにそれぞれ対応付けられた価値情報を管理するコンピュータ装置であり、通信回線3を介して、携帯電話機2および情報処理装置1と情報の遣り取りをする。
【0021】
価値情報とは、商品やサービスなどと取引することができる金銭などの価値を定量的に表現した情報であり、いわゆる電子マネーや前払式証票、クーポン、バウチャーなどの残高情報を表すものである。
【0022】
1−2.情報処理装置の構成
図2は、情報処理装置1の構成を示す図である。制御部11は、情報処理装置1の各部の動作を制御する手段である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置を備え、これら記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。
【0023】
通信部13は、通信回線3を介して携帯電話機2や管理サーバ装置6との間で情報を通信するインターフェイスであり、例えば各種のモデムやIMT-2000に準拠した無線通信回路、あるいは、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したシリアルインターフェースや、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)などに準拠した無線インターフェイスなどである。
【0024】
記憶部12はハードディスクドライブなどの記憶手段であり、制御部11に読み込まれるプログラムを記憶する。なお、記憶部12は、いわゆるリムーバブルディスク、すなわち着脱可能な記録媒体を含んでもよい。
【0025】
また、記憶部12は、条件表121を記憶する。条件表121は、携帯電話機2のユーザに対応付けられた価値情報を変更する条件を記述した表である。
【0026】
図3は、条件表121の一例を示す図である。
図3に示すように、条件表121は、携帯電話機2のユーザに対応付けられた価値情報を変更する条件として、その携帯電話機2の移動した距離と、その携帯電話機2のユーザが店舗で行った取引の金額(取引額)との組合せが記述されており、各組合せに応じて新たに追加される価値情報の量が記述されている。例えば距離が近くて取引額が安い場合と、距離が遠くて取引額が高い場合とでは付与される価値情報の量が異なる。
【0027】
1−3.携帯電話機の構成
図4は、携帯電話機2の構成を示す図である。制御部21は、携帯電話機2の各部の動作を制御する手段である。制御部21は、CPUなどの演算処理装置や、ROM、RAMなどの記憶装置を備え、これら記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。
【0028】
記憶部22はソリッドステートドライブなどの記憶手段であり、制御部21に読み込まれるプログラムを記憶する。なお、記憶部22は、メモリカードなど着脱可能な記録媒体を含んでもよい。
【0029】
通信部23は、通信回線3を介して情報処理装置1や管理サーバ装置6との間で情報を通信するインターフェイスであり、例えば無線通信回路などである。
【0030】
表示部24は、液晶などを使用したディスプレイ装置であり、制御部21からの指示に応じて画像を表示する
【0031】
操作部25は指示を入力するためのボタンやタッチパネルなどを備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部21に供給する。
【0032】
受信部20は、近距離無線により発信機4から発信される無線信号を、その発信機4に近づいたときに受信する。受信部20は、例えば、IEEE802.15に準拠した無線インターフェイスなどである。受信部20は、無線信号を受信すると、その旨の通知を制御部21に伝え、この通知を伝えられた制御部21は、携帯電話機2がこの無線信号を受信したことを通信部23および通信回線3経由で伝える。
【0033】
なお、携帯電話機2は、
図4に示す検知部26を有していてもよい。検知部26は、ジャイロセンサや加速度センサなどを有しており、これらのセンサによって携帯電話機2の姿勢や運動などを検知する。
【0034】
1−4.管理サーバ装置の構成
図5は、管理サーバ装置6の構成を示す図である。制御部61は、管理サーバ装置6の各部の動作を制御する手段である。制御部61は、CPUなどの演算処理装置や、ROM、RAMなどの記憶装置を備え、これら記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。
【0035】
通信部63は、通信回線3を介して携帯電話機2や情報処理装置1との間で情報を通信するインターフェイスである。
【0036】
記憶部62はハードディスクドライブなどの記憶手段であり、制御部61に読み込まれるプログラムを記憶する。なお、記憶部62は、いわゆるリムーバブルディスク、すなわち着脱可能な記録媒体を含んでもよい。
【0037】
また、記憶部62は、価値情報表621を記憶する。価値情報表621は、携帯電話機2を所有するユーザの識別情報に対応付けられた価値情報を記述した表である。
【0038】
なお、価値情報は、上述したとおりユーザごとに対応付けられていてもよいが、携帯電話機2ごとに対応付けられていてもよい。価値情報は、携帯電話機2を所有するユーザが、その携帯電話機2を用いて利用可能な価値を表現した情報であればよい。
【0039】
図6は、価値情報表621の一例を示す図である。
図6に示すように、価値情報表621は、ユーザIDと、クーポン残高との組合せを記憶する。ユーザIDは、携帯電話機2のユーザを識別するための識別情報である。クーポン残高は、価値情報の一例であり、ユーザが使用可能なクーポンの量を示す情報である。クーポン残高の単位は「ポイント」である。
【0040】
例えば
図6に示すユーザIDが「U1」のユーザは、自身の所有する100ポイントを、店舗内で利用する場合に限り日本円の100円として消費することができる、というように取り決められている。価値情報表621の内容は、情報処理装置1を介さずに携帯電話機2によって参照されることがあるが、変更されるのは、情報処理装置1の指示があったときのみである。管理サーバ装置6は、価値情報を管理する管理装置の一例である。
【0041】
1−5.情報処理装置の機能的構成
図7は、情報処理装置1の機能的構成を示す図である。制御部11は、特定部111、および変更部112として機能する。
図8は、情報処理装置1が特定する携帯電話機2の移動距離を説明するための見取り図である。
【0042】
図8に示すように、駐車場(第1の空間)を示す範囲Aと、店舗(第2の空間)を示す範囲Bとには、それぞれ各所に発信機4が取り付けられている。範囲Aは、管理室を示す範囲A1のほか、駐車場内の道路を隔てて駐車用のスペースごとに4つの範囲A2〜A5に区画されている。範囲A1〜A5にはそれぞれ1または複数の発信機4が設置されている。例えば、範囲A2には、発信機4cが設置されている。また、
図8に示す例で範囲Bには、発信機4f、4g、4hが設置されている。
【0043】
車に乗ったユーザがゲートg1から駐車場に入り、管理室で駐車券を受け取って範囲A2に含まれる地点に車を停めると(以下、この地点を「駐車地点」という)、車を停めたタイミングでユーザの携帯電話機2が発信機4cから受信した無線信号を記憶する。この場合、車にはエンジンの駆動・停止の状態を通信回線3経由で携帯電話機2に知らせる通知装置が設置されていてもよい。また、車に設置された近距離無線通信との接続が切れたことを以って、携帯電話機2は、車の電気制御機器への給電が途絶えたことを認識し、車が停止したことを推定してもよい。
【0044】
ユーザは停めた車から降りて駐車場内を経路Rtに沿って歩き、ゲートg2ではなくゲートg3から店舗内に入る。この間、ユーザが移動する経路上で発信されている無線信号がユーザの携帯電話機2によって受信され、順次、記憶される。
【0045】
そして、ユーザは、陳列された品物を店舗内の精算所まで運んで支払いをする。このとき、この精算所には発信機4hが設置されており、支払いをしたタイミングで携帯電話機2がこの発信機4hから受信した無線信号を記憶する。
【0046】
図7に示した特定部111は、駐車場(第1の空間)において携帯電話機2が受信した第1の無線信号と、その後にその駐車場と異なる空間である店舗(第2の空間)においてその携帯電話機2が受信した第2の無線信号とに基づいて、携帯電話機2が第1の無線信号を受信した場所(すなわち、駐車地点)と第2の無線信号を受信した場所(すなわち精算所)との距離を特定する。
図8の例において、第1の無線信号は、発信機4cによって発信されており、第2の無線信号は発信機4hによって発信されている。
【0047】
特定部111は、上述した「車を停めたタイミング」に無線信号を受信した場所(駐車地点)から、「支払いをしたタイミング」に無線信号を受信した場所(精算所)までの距離を、その間に携帯電話機2が受信した他の無線信号に基づいて特定する。
【0048】
上述した経路Rtに沿ってユーザが歩くと、ユーザの携帯電話機2には、例えば発信機4c→発信機4d→発信機4e→発信機4g→発信機4hの順で各発信機4から発信されている無線信号が記憶される。これらの無線信号の情報を携帯電話機2が、その受信した順序の情報とともに情報処理装置1に送ることで、情報処理装置1は、携帯電話機2が駐車場から店舗に至るまでの経路を特定し、その経路の長さを特定する。特定されるこの長さは、ユーザがゲートg2から店舗内に入った場合の経路の長さとは異なるものとなる。この経路の長さは、携帯電話機2が第1の無線信号を受信した場所と第2の無線信号を受信した場所との距離として変更部112に伝えられる。
【0049】
また、ユーザが支払いをすると、店舗内の精算所に備えられたコンピュータ(図示せず)は、そのときの取引額を、通信回線3経由で情報処理装置1に伝える。取引額は、携帯電話機2が情報処理装置1に伝えてもよい。
【0050】
変更部112は、特定部111により特定された上述の距離と、ユーザの取引額とに応じて、携帯電話機2のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更する。ここで、携帯電話機2のユーザが使用可能な価値を示す価値情報は、管理サーバ装置6が管理しているため、変更部112は、特定部111により特定された距離およびユーザの取引額に応じて、管理サーバ装置6に対して、価値情報を変更するための指示をする。この指示は、通信部13により送信され、通信回線3を経由して管理サーバ装置6に受け取られる。この指示を受け取った管理サーバ装置6は、この指示に応じて価値情報表621に記述された価値情報を変更する。
【0051】
これにより、例えば店舗内の精算所から遠い場所に駐車したユーザには、そのユーザよりも近い場所に駐車した他のユーザと比べて高いポイントが付与され、多くの支払いをしたユーザには、そのユーザよりも少ない額の支払いしかしなかったユーザと比べて高いポイントが付与される。
【0052】
なお、価値情報を変更する指示は、クーポンのポイントを付与するというように、管理サーバ装置6に記憶されているユーザの価値情報を、新たに価値を付与してこの価値情報が示す価値をより高い価値を示すものに変更するものであってもよいが、これに限られない。例えば、ユーザが第1の空間である駐車場内において受けるサービスに対してそのユーザから支払われる対価を示す価値情報を変更するものであってもよい。この場合の「価値情報」は、ユーザが「第1の空間において受けるサービスに対する対価の支払い」として使用可能な価値を示す価値情報である。
【0053】
これにより、駐車料金の支払いにおいて、例えば駐車料金の精算所から遠い場所に駐車したユーザには、そのユーザよりも近い場所に駐車した他のユーザと比べて高い割引率が適用され、多くの支払いをしたユーザには、そのユーザよりも少ない額の支払いしかしなかったユーザと比べて高い割引率が適用される。
【0054】
1−6.情報処理システムの動作
図9は、情報処理システム9の動作を示すシーケンス図である。携帯電話機2は、発信機4から発信される無線信号を受信すると(ステップS101)、その無線信号を記憶する(ステップS102)。
【0055】
携帯電話機2は、無線信号を受信する際に支払いがあったか否かを判断する(ステップS103)。無線信号を受信する際に支払いがなかったと判断する期間(ステップS103;NO)、携帯電話機2は、処理をステップS101に戻してこの判断を継続する。
【0056】
一方、無線信号を受信する際に支払いがあったと判断すると(ステップS103;YES)、携帯電話機2は、「車を停めたタイミング」に無線信号を受信した場所から、「支払いをしたタイミング」に無線信号を受信した場所までの距離を、その間に携帯電話機2が受信した他の無線信号に基づいて特定するとともに、支払いの額(取引額)を特定する(ステップS104)。そして、携帯電話機2は、特定した距離および取引額に対応する価値情報の変更について問合せをする(ステップS105)。
【0057】
情報処理装置1は、携帯電話機2から問合せを受けると、その問合せに含まれていた距離および取引額の組合せに対応するクーポンの額を条件表121から探すことで、携帯電話機2が移動した距離と支払った取引額との組合せに対応するクーポンの付与、すなわち、価値情報の変更があるか否かを判定する(ステップS106)。
【0058】
距離と取引額との組合せに対応する価値情報の変更がないと判定する場合(ステップS106;NO)、情報処理装置1は、ステップS110に処理を進める。一方、距離と取引額との組合せに対応する価値情報の変更があると判定する場合(ステップS106;YES)、情報処理装置1は、管理サーバ装置6に対し、携帯電話機2のユーザの価値情報を、上記の組合せに対応して変更するための指示をする(ステップS107)。
【0059】
管理サーバ装置6は、情報処理装置1から価値情報を変更する旨の指示を受けると、その指示に応じて価値情報表621の内容を変更する(ステップS108)。そして、変更の処理が完了したらその旨のメッセージを情報処理装置1へ送信する(ステップS109)。
【0060】
情報処理装置1は、ステップS104における問合せに対する応答をする(ステップS110)。管理サーバ装置6がユーザの価値情報を変更した場合には、その旨のメッセージを受け取っているので、情報処理装置1は、携帯電話機2に対して、価値情報が変更されたことを伝える内容を応答する。
【0061】
一方、上述した距離と取引額との組合せに対応する価値情報の変更が条件表121に記載されていない場合には、情報処理装置1は、その旨のメッセージを応答する。問い合わせに対する応答を情報処理装置1から受けると、携帯電話機2は、その応答の内容を表示部24に表示するなどしてユーザに報知する(ステップS111)。
【0062】
以上説明したとおり、情報処理システム9では、端末装置が無線信号を受信した場所やそれらの場所間の距離に応じて、ユーザに付与される価値情報が変更される。これにより、ユーザが車を止めた駐車エリアが精算所や利用店舗から遠い場合に、駐車料金を割り引くといった、ユーザが訪れた場所やそれらの場所間の距離に応じてユーザに与えられる特典を変更することができ、このような変更ができないシステムに比べてより細かいサービスを提供することが可能となる。
【0063】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0064】
2−1.変形例1
上述した実施形態において、特定部111は、携帯電話機2(端末装置)が第1の無線信号を受信してから第2の無線信号を受信するまでに受信した他の無線信号に基づいて、その携帯電話機2が駐車地点から精算所に至るまでの経路を特定し、その経路の長さを、駐車地点から精算所までの距離として特定していたが、この距離を特定する態様はこれに限られない。
例えば、特定部111は、携帯電話機2が第1の無線信号を受信した時刻から第2の無線信号を受信した時刻までの時間に基づいて、この距離を特定してもよい。この場合、距離とは物理的な長さではなく、或る場所から別の場所へ移動する際の負担の大きさなどを含む「隔たり」であってもよい。
【0065】
例えば、同じ距離を歩いたとしても、高齢者と若者とではユーザの負担は異なる。また、店舗内の精算所に至るまでに長い時間をかけているほど、店舗内をよく見ている可能性があるので、後日の店舗利用の見込が高まることも考えられる。したがって、駐車地点から精算所までの距離を移動にかかった時間で特定すると、より負担が多かったり、将来の利用の見込が高かったりするユーザに対して、より高い特典を付与することができる。
【0066】
2−2.変形例2
駐車地点から精算所までの距離は、経路の長さではなく、2つの場所を結ぶ直線距離であってもよい。また、駐車地点から精算所までの経路の長さを、上記の距離として特定する場合に、特定部111は、その経路を移動する間に受信した他の無線信号を用いなくてもよい。例えば、駐車地点から精算所までの経路が予め一通りだけ定められている場合には、その定められた経路を特定すればよい。
【0067】
2−3.変形例3
上述した実施形態において、変更部112は、特定部111により特定された距離と、携帯電話機2のユーザの取引額とに応じて、ユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更していたが、ユーザの取引額に関係なく、特定部111により特定された距離のみに応じてそのユーザの価値情報を変更してもよい。
【0068】
また、変更部112は、特定部111により特定された距離と、ユーザが店舗(第2の空間)で購入した物品の重量に応じてそのユーザの価値情報を変更してもよい。ユーザが取引を行って物品を購入した場合、その購入した物品が重いほど、その物品を受け取ってから駐車地点まで運ぶユーザの負担は大きくなる。この負担は、物品を受取った場所(例えば店舗内の精算所)から駐車地点までの距離が長いほど大きくなるから、変更部112は、例えば上記の距離と重量との積や、距離の自乗と重量の自乗との積など、距離および重量のそれぞれに対して単調増加となる演算の結果に応じてユーザの価値情報を変更するようにしてもよい。また、変更部112は、上記の距離と重量と、さらに上述した取引額との積を計算し、この積に応じてユーザの価値情報を変更してもよい。これにより、例えば、より高額のより重い物品を、より長い距離にわたって運んだユーザに対して、より高い特典を付与することができる。
【0069】
なお、購入した物品の重量は、例えば、精算所でその物品を受取るときに、精算所に備えられた測定器によって測定される。この測定器は通信回線3に接続しており、情報処理装置1の要求に応じて測定結果を情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、この測定器から、ユーザが購入した物品の重量を示すデータを取得すればよい。また、変更部112は、購入した物品の重量に代えて、または加えて、その物品の体積など物理量を測定し、測定した結果に応じてユーザの価値情報を変更してもよい。
【0070】
2−4.変形例4
特定部111は、携帯電話機2が駐車地点から精算所まで移動した距離を特定するとともに、その携帯電話機2が駐車場で第1の無線信号を受信する前に、その第1の無線信号を受信した他の携帯電話機2の数を特定してもよい。この場合、変更部112は、特定部111により特定された距離および数に応じて、携帯電話機2のユーザが使用可能な価値を示す価値情報を変更してもよい。
【0071】
共通の無線信号を過去に受信した他の携帯電話機2が多いということは、その場所の人気が高いことを示している場合が多い。例えば、或る駐車場において、その中の或る区画や、或る駐車地点で受信可能な無線信号が、多くの携帯電話機2によって受信されているとすると、その区画や駐車地点が多くのユーザによって駐車に用いられていることを意味し、つまり、その区画や駐車地点が混雑していること意味している。したがって、このように、過去に共通の無線信号を受信した携帯電話機2が、例えば閾値を超えて多く存在する駐車地点については、付与するクーポンや駐車料金の割引率などを減らすことで、ユーザに対し、他の駐車地点に車を停める動機を与えることが可能になる。そして、これにより、駐車場内の車の混雑・偏りを減らし、空車待ちの行列が発生することなどを抑えることができる。
【0072】
2−5.変形例5
本発明は、情報処理装置1による情報処理方法として観念される。また、情報処理装置1の制御部11によって実行されるプログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサなどが用いられる。