(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-48648(P2016-48648A)
(43)【公開日】2016年4月7日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20160311BHJP
H01R 12/51 20110101ALI20160311BHJP
【FI】
H01R13/533 A
H01R12/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-173607(P2014-173607)
(22)【出願日】2014年8月28日
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】古賀 伸一
(72)【発明者】
【氏名】竹島 英樹
【テーマコード(参考)】
5E087
5E123
【Fターム(参考)】
5E087EE11
5E087FF06
5E087FF13
5E087GG17
5E087HH01
5E087MM02
5E087MM05
5E087PP08
5E087QQ06
5E087RR06
5E123AA12
5E123AB20
5E123BA06
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5E123BB12
5E123BB17
5E123CB31
5E123CB38
5E123CB84
5E123CD01
5E123DA33
5E123DB23
5E123EA02
5E123EA13
5E123FA01
5E123FA13
(57)【要約】
【課題】高温の環境で使用されてもハウジングの撓みを抑制し、コンタクトと電極との接圧の低下を抑制したコネクタを提供する。
【解決手段】発熱部材63の有する電極65と接触される少なくとも1つのコンタクト11と、コンタクト11が装着されるハウジング23とを有するコネクタ10において、ハウジング23は、発熱部材63が挿し込まれ、配置される差込み溝37を有し、コンタクト11は、一体に成形された、発熱部材63の電極と接触される接触部12と、接触部12と発熱部材63が挿入される隙間を開けて対向して設けられる腕部20と、を有し、発熱部材63がハウジング23の差込み溝37に挿し込まれた場合、発熱部材63の電極65の反対側がコンタクト11の腕部20により支持される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部材の有する電極と接触される少なくとも1つのコンタクトと、前記コンタクトが装着されるハウジングとを有するコネクタにおいて、
前記ハウジングは、前記発熱部材が挿し込まれ、配置される差込み溝を有し、
前記コンタクトは、一体に成形された、前記発熱部材の電極と接触される接触部と、前記接触部と前記発熱部材が挿入される隙間を開けて対向して設けられる腕部と、を有し、
前記発熱部材が前記ハウジングの差込み溝に挿し込まれた場合、前記発熱部材の前記電極の反対側が前記コンタクトの前記腕部により支持されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトは、前記接触部には前記発熱部材の電極に接触される接点部を有し、
前記接触部とは反対側に電線が接続される接続部と、前記接触部と前記接続部との間であって前記接点部の突出方向と同一の方向に延設された延設部が形成され、
前記腕部は、前記延設部から接続部と対向するように延設され、差込み溝を挟んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトの前記接点部は、前記発熱部材に弾性接触することを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記差込み溝を囲むように形成された前記コンタクトが収容されるコンタクト収容部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングには、リテーナが装着されるリテーナ装着部を有し、
前記リテーナ装着部に装着された前記リテーナにより、前記コンタクトが前記ハウジング内に位置決め固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記発熱部材は、前記電極を有するヒータ部と、前記ヒータ部を保持するホルダとを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングの前記差込み溝には、前記コンタクトの前記腕部が配置される側に前記発熱部材の差し込み方向に沿うように第1リブが形成されており、
前記ホルダの前記ヒータが配置される側と反対側には、前記第1リブが嵌入される第1嵌入溝が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記リブは、前記ハウジングに装着された前記コンタクトの前記腕部を挟むように形成されていることを特徴とする請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記ハウジングの差込み溝の奥側には、前記コンタクトの延設部に沿った第2リブが形成されており、
前記ホルダには、前記差込み溝に挿し込まれる側の面に、前記第2リブに沿った第2嵌入溝が形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温の環境で使用されてもコンタクトの接圧の低下を抑制するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
高温の環境、例えば、複写機やプリンター等に用いられるヒータに接続されるコネクタとして、下記特許文献1に電気コネクタの発明が開示されている。下記特許文献1に開示された電気コネクタでは、相手方電極面に接して電気的に接続するコンタクトを有する電気コネクタにおいて、コンタクトに相手方電極面に対して接する複数の電気的接点部を具備させ、その複数の電気的接点部間において相手方電極面に対する接圧に差をつけたとしている。このような構成とすることで、下記特許文献1に開示された電気コネクタによれば、複数接点構造のコンタクトの場合は電気的接点部の熱損発生を防止し得てその寿命は単接点構造のコンタクトの電気的接点部の寿命に比べ延び、電気コネクタの耐久性・信頼性が向上するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−302868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された電気コネクタは、コンタクトは相手方電極面に対して一方からのみ接している。また、この電気コネクタの構成として、外殻と、この外殻内に抜け止めして格納したコンタクトからなり、外殻は耐熱性・絶縁性樹脂の中空成形品であり、ヒータ端部を含むヒータホルダ端部を上下に挟み込む嵌着スリット口部を有しているとされている。そのため、この電気コネクタが高温の環境下で使用されると、コンタクトの接圧により樹脂製の外殻が撓み、コンタクトと電極との接触力が低下するおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、高温の環境で使用されるコネクタにおいて、ハウジングの撓みを抑制し、コンタクトと電極との接圧の低下を抑制したコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のコネクタでは、発熱部材の有する電極と接触される少なくとも1つのコンタクトと、前記コンタクトが装着されるハウジングとを有するコネクタにおいて、
前記ハウジングは、前記発熱部材が挿し込まれ、配置される差込み溝を有し、
前記コンタクトは、一体に成形された、前記発熱部材の電極と接触される接触部と、前記接触部と前記発熱部材が挿入される隙間を開けて対向して設けられる腕部と、を有し、
前記発熱部材が前記ハウジングの差込み溝に挿し込まれた場合、前記発熱部材の前記電極の反対側が前記コンタクトの前記腕部により支持されることを特徴とする。
【0007】
また、第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記コンタクトは、前記接触部には前記発熱部材の電極に接触される接点部を有し、
前記接触部とは反対側に電線が接続される接続部と、前記接触部と前記接続部との間であって前記接点部の突出方向と同一の方向に延設された延設部が形成され、
前記腕部は、前記延設部から接続部と対向するように延設され、差込み溝を挟んで配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、第3の態様のコネクタは、第2の態様のコネクタにおいて、前記コンタクトの前記接点部は、前記発熱部材に弾性接触することを特徴とする。
【0009】
また、第4の態様のコネクタは、第1〜第3のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記差込み溝を囲むように形成された前記コンタクトが収容されるコンタクト収容部を有していることを特徴とする。
【0010】
また、第5の態様のコネクタは、第1〜第4のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、リテーナが装着されるリテーナ装着部を有し、
前記リテーナ装着部に装着された前記リテーナにより、前記コンタクトが前記ハウジング内に位置決め固定されることを特徴とする。
【0011】
また、第6の態様のコネクタは、第1〜第5のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記発熱部材は、前記電極を有するヒータ部と、前記ヒータ部を保持するホルダとを有することを特徴とする。
【0012】
また、第7の態様のコネクタは、第6の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングの前記差込み溝には、前記コンタクトの前記腕部が配置される側に前記発熱部材の差し込み方向に沿うように第1リブが形成されており、
前記ホルダの前記ヒータが配置される側と反対側には、前記第1リブが嵌入される第1嵌入溝が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、第8の態様のコネクタは、第7の態様のコネクタにおいて、前記リブは、前記ハウジングに装着された前記コンタクトの前記腕部を挟むように形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、第9の態様のコネクタは、第7又は第8の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングの差込み溝の奥側には、前記コンタクトの延設部に沿った第2リブが形成されており、
前記ホルダには、前記差込み溝に挿し込まれる側の面に、前記第2リブに沿った第2嵌入溝が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の態様のコネクタによれば、ハウジングに収容されたコンタクトの接触部と、この接触部と対向して設けられた腕部により発熱部材が支持されることにより、加熱した発熱部材により、ハウジングが撓んでしまうことを抑制し、発熱部材の電極とコンタクトとの接触力の低下を抑制することができる。さらに、加熱部材と接触される接触部と一体に腕部が離間した位置に延設して形成されることで、腕部がフィンの役割となり、コンタクトの放熱を行なうことができ、ハウジング等の熱損傷を抑制することができる。
【0016】
また、第2の態様のコネクタによれば、コンタクトを容易に成形することができる。
【0017】
また、第3の態様のコネクタによれば、接触部の接点部を弾性接触として接触力が大きくなったとしても、コンタクトの腕部により支持されることで、ハウジングの撓みを抑制できる。
【0018】
また、第4の態様のコネクタによれば、コンタクト収容部にコンタクトを収容させることで、ハウジング内に挿入した発熱部材をより確実に支持することができる。
【0019】
また、第5の態様のコネクタによれば、コンタクトの位置決めや抜け止めを正確に行なうことができる。
【0020】
また、第6の態様のコネクタによれば、発熱部材にホルダを設けることで、発熱部材を容易にハウジングに挿し込むことができ、また、ヒータ部の電極とコンタクトの接触を正確に行なうことができる。
【0021】
また、第7の態様のコネクタによれば、ハウジングに形成されたリブとホルダに形成された溝を嵌め合わすことで、発熱部材とハウジングの位置決めを容易且つ正確に行なうことができる。
【0022】
また、第8に態様のコネクタによれば、ハウジングのリブがコンタクトの腕部を挟むように形成することで、隣接するコンタクト同士の絶縁性を高めることができる。
【0023】
また、第9の態様のコネクタによれば、より発熱部材とハウジングの位置決めを容易且つ正確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態に係るコネクタ及び発熱部材の斜視図である。
【
図2】実施形態に係るコネクタ及び発熱部材の分解斜視図である。
【
図8】
図7において、コネクタと発熱部材を外した状態を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0026】
[実施形態]
本発明の実施形態に係るコネクタ10は、
図1及び
図2に示すように、所定の幅及び厚みを有した長尺の発熱部材63に接続し、この発熱部材を発熱させる、いわゆるヒータ用コネクタとして使用されるものである。コネクタ10は、発熱部材63の有する電極65に接触されるコンタクト11と、このコンタクト11が収容されて装着されるハウジング23と、ハウジング23に装着されたコンタクト11の位置決め固定を行なうリテーナ45とで構成されている。
【0027】
まず、実施形態の発熱部材63について説明する。発熱部材63は、
図1、
図2及び
図8に示すように、複数(実施形態では5つ)の電極65を有する長尺な面状のヒータ部64と、このヒータ部64が保持されるホルダ66とを有している。
【0028】
ヒータ部64は、例えば、電気絶縁性及び耐熱性を有する発熱体の細長長尺の長手方向の一面に複数の電極を有する略U字状の発熱抵抗体が設けられたものを用いることができる。
【0029】
ホルダ66は、
図2及び
図8に示すような電気絶縁性及び耐熱性を有する材料で直方体状に形成されている。このホルダ66には、ヒータ部64を保持するために、ヒータ部64が収まるような溝状の保持部69が形成されている。保持部69には、ヒータ部64の周囲に3辺に立設部70が形成されている。そして、立設部70が形成されていない側にヒータ部64が突出して設けられるようになっている。
【0030】
また、ホルダ66の保持部69とは反対側の面72及び、ホルダの一方の側面、すなわち、コネクタに挿し込まれる側の側面71には、複数の溝が形成されている。この溝は後述するハウジングに形成されたリブが嵌入される溝となる。このとき、ホルダ66の保持部69とは反対側の面72に形成される溝を第1嵌入溝67とし、側面71に形成される溝を第2嵌入溝68とする。この第1嵌入溝67と第2嵌入溝68は、連通して形成してもよく、また、別々に形成してもよい。
【0031】
次に、実施形態のコネクタの各構成について
図1〜
図9を参照して説明する。実施形態のコネクタ10では、複数(実施形態では5つ)のコンタクト11が装着されているが、いずれの構成も共通するので、1つのコンタクトを代表して説明する。コンタクト11は
図2及び
図4に示すように、発熱部材63のヒータ部64の電極65に接触される接触部12と、この接触部12の反対側にコンタクト11に電力を供給する電線73が接続される接続部16と、接触部12と接続部16との間から延設された延設部18と、延設部18の端部から接触部12側へ延設される腕部20とで構成され、金属材料を打ち抜き、屈曲させて一体に形成されている。そして、接触部12、延設部18及び腕部20により囲まれた部分は、差し込まれた発熱部材63が挟持される挟持部22となる。
【0032】
接触部12は、ヒータ部64の電極65と電気的に接続される接点部14と、この接点部14が形成された、挿し込まれた発熱部材が押圧される方向へ弾性力を有する弾性部13を有している。なお、この弾性部13及び接点部14は、接触部12側に設けた金属片を折り曲げて形成されている。また、接触部12の接点部14とは反対側の面には、ハウジング23に装着されたときに固定するための係止突起15が形成されている。
【0033】
接続部16は、電力を供給する電線73と接続される部分となり、接触部12の反対側に設けられている。また、電線73との接続は、接続部16に設けられた接続片17を折り曲げ、かしめることで電線73が固定されるようになっている(
図7参照)。
【0034】
延設部18は、接触部12と接続部16との間に設けられ、接点部14が突出する方向と同一の方向に所定の長さで延設されている。この延設部18の延設される長さは、発熱部材63の厚さ方向の長さに対応して形成される。また、延設部18は、正面視で間に空洞19を有しており、後述するリテーナ45の固定片48が挿通されるようになっている(
図7、
図8参照)。
【0035】
腕部20は、延設部18の延設された端部に設けられ、この端部から、接触部12と同じ方向に延設され、接触部12の接点部14と対向するように形成されている。この腕部20が形成されることにより、発熱部材63が接触部12と腕部20との間に挟持されるようになる。また、腕部20の延設部18の反対側の先端には、発熱部材63をハウジング23内に挿し込みやすくするために傾斜した誘導片21が形成されている。
【0036】
実施形態のハウジング23は、
図2及び
図5に示すように、前面部24、背面部35、第1側面部27、第2側面部30、上面部26及び底面部33とを有する直方体状で樹脂材料により形成されている。また、このハウジング23の内部には、発熱部材63が差し込まれる差込み溝37、コンタクト11が収容されるコンタクト収容部40、及びリテーナが装着されるリテーナ装着部44が形成されている。
【0037】
前面部24は、発熱部材63が挿し込まれる差込み開口25が前面部24の幅方向に第1側面部27及び第2側面部30に亘って形成されている。この前面部24の差込み開口25は、ハウジング23の内部に形成された発熱部材63が挿し込まれて配置される差込み溝37の入口となっている。
【0038】
背面部35は、コンタクト11及びリテーナ45が挿入される開口部36を有している。そして、この開口部36はハウジング23の内部に形成されたコンタクト収容部40及びリテーナ装着部44に続いている。
【0039】
第1側面部27及び第2側面部30は、それぞれ矩形状の面であり、前面部24から形成された差込み溝37が、第1側面部27から第2側面部30に亘って形成され、発熱部材63が挿通できる空間となっている。また、第1側面部27及び第2側面部30には、後述するリテーナ45が装着されるときに案内される、案内溝28、31がそれぞれ形成され、この各案内溝28、31には、リテーナ45がロックされる係止部29、32が突出して形成されている。
【0040】
上面部26は、広い矩形状の面であり、実施形態では、平面となっている。
【0041】
底面部33には、他の装置と組み合うための弾性変形可能なロック及びロック解除機構34が設けられている。
【0042】
また、ハウジング23の内部には、前面部24から発熱部材63が差し込まれ、配置される差込み溝37が形成されている。この差込み溝37は、発熱部材が収容可能な奥行きで形成されている。この差込み溝37には、前面部24の差込み開口25から差込み溝37の奥行き方向に沿って複数の第1リブ38が形成されている。また、差込み溝37の奥側には、ハウジング23の高さ方向に沿った第2リブ39が形成されている。この第1リブ38及び第2リブ39は、収容される各コンタクト11の間に形成され、コンタクト11を挟むように設けられている(
図8参照)。なお、この第1リブと第2リブは、連続して形成してもよく、また、別々に形成してもよい。
【0043】
また、コンタクト収容部40は、コンタクト11が収容可能な大きさ及び形状で形成されている。このコンタクト収容部40のコンタクト11の接触部12が収容される部分には、コンタクト11の接触部12に形成された係止突起15が係止される係止片41が設けられている。この係止片41は、弾性変形するように形成されており、コンタクト11の係止突起15が挿入されるときは弾性変形して容易に差し込むことができるが、コンタクト11を抜く方向では、係止片41が係止突起15に係止されてひっかかり、コンタクト11の抜け止めがされるようになっている(
図7、
図8参照)。
【0044】
また、コンタクト収容部40のコンタクト11の腕部20が収容される部分は、腕部20の先端に形成された誘導片21が当接されるように前面部24側に段部43が形成されている。この誘導片21は、発熱部材63が挿し込まれたとき、発熱部材63がハウジング23の段部43とコンタクト11の腕部20との間を円滑に移動できるように、誘導片21が斜めに形成されて、発熱部材63を誘導できるようにされている(
図7、
図8参照)。
【0045】
また、コンタクト収容部40には、コンタクト11同士の接触を抑制し、個々に収容できるように隔離壁42が形成されている。この隔離壁42によって各コンタクト11が接触することなく収容され、また、がたつきをなくすることができる。
【0046】
また、リテーナ装着部44のハウジング23の底面部33側には、後述するリテーナ45が装着されたときに位置決めされる位置決め突起44aが複数形成されている。この位置決め突起44aは、各コンタクト11の間に設けられるようになっている。
【0047】
リテーナ45は、
図2及び
図6に示すように、前壁部46、背壁部51、第1側壁部52、第2側壁部55、上壁部58及び底壁部60を有するハウジング23より低背の直方体状で樹脂材料により形成されており、前壁部46側が櫛歯状に形成されている。
【0048】
前壁部46は、ハウジング23に挿入される側であって、先端部には複数の突起47が形成されている。この突起47は、ハウジング23のコンタクト収容部40に収容されたコンタクト11の延設部18に設けられた空洞19に挿入し、コンタクト11を位置決め固定するための固定片48と、固定片48より幅が広く、コンタクト11の延設部18が当接し、リテーナ45の挿入を規制する規制部49とを有している。また、この隣接する突起47の間は、隣接するコンタクト11の延設部18及びハウジング23のコンタクト収容部40の隔離壁42が嵌り込む嵌入部50となっている。なお、規制部49は、底壁部60側まで形成され、上壁部58側を除いて突起47を囲うように形成されている。
【0049】
背壁部51は、矩形状の平面となっており、背壁面51から第1側壁部52及び第2側壁部55の外側に各案内面53、56が弾性を有するように形成されている。なお、リテーナ45がハウジング23に装着されたとき、リテーナ45の背壁面51とハウジング23の背面部35とが平坦となるように装着される。
【0050】
第1側壁部52及び第2側壁部55は、それぞれ矩形状の面であり、この第1側壁部52及び第2側壁部55の外側に弾性変形可能な案内面53,56が背壁部51からそれぞれ第1側壁部52及び第2側壁部55と平行となるように延設されている。この各案内面53,56は、ハウジング23に形成された案内溝28、31に沿って移動可能となっており、各案内面53,56の中央には、ハウジング23の案内溝28、31に形成された係止部29、32が係止される係止溝54、57が形成されている。また、リテーナ45の第1側壁部52及び第2側壁部55と各案内面53,56との間に、ハウジングの第1側面部27及び第2側面部30の案内溝28、31が挿入されるようになる。
【0051】
上壁部58は、前壁部46に形成された複数の突起47から連通するように複数の細長平面59として形成され、この細長平面59の間には溝が形成されている。この細長平面59は、リテーナ45がハウジング23に装着されたとき、コンタクト収容部40に収容されたコンタクト11の接続部16と接する部分となる。そして、上壁部58の各細長平面59がコンタクト11の接続部16と接することで、コンタクト11の移動が規制されるようになる。
【0052】
底壁部60は、前壁部46側が上壁部58と同様に前壁部46に形成された突起47から連通する部分が複数の短平面61として形成され、途中から平面で一体となるように形成されている。この底壁部60の各短平面61の間の部分はハウジング23にリテーナ45が装着されたときハウジング23に形成された位置決め突起44aと噛合わされる位置決め溝62がそれぞれ形成されている。
【0053】
なお、コネクタ10の組み立ては、ハウジング23のコンタクト収容部40に各コンタクト11を収容し、その後、リテーナ45をハウジング23のリテーナ装着部44に装着し、コンタクト11を位置決め固定して行なわれる。
【0054】
次に、
図7〜
図9を参照して実施形態のコネクタ10への発熱部材63の接続について説明する。発熱部材63をコネクタ10に接続するときは、
図8に示すように、ホルダ66に保持されたヒータ部64の電極65と、コンタクト11の接触部12とが接触するように、ハウジング23の差込み溝37に差し込む。このとき、ハウジング23の差込み溝37に形成された第1リブ38とホルダ66に形成された第1嵌入溝67を合わせて差し込む。このようにすることで、発熱部材63を正確に差し込むことができ、電極65のピッチ方向の位置決めが確実に行なうことができる。
【0055】
その後、発熱部材63をハウジング23の差込み溝37の最奥まで差し込み、
図7及び
図9に示すように、コンタクト11の接触部12の接点部14とヒータ部64の電極65とを接触させて接続がおこなわれる。このとき、ホルダ66の第2嵌入溝68にハウジング23の第2リブ39を嵌入させることで、より発熱部材63を正確な位置に差し込むことができ、電極のピッチ方向の位置決めがより確実に行なうことができる。
【0056】
そして、通電された発熱部材63が発熱すると、コネクタ10の発熱部材63に接続されたコンタクト11や、差し込まれたハウジング23等が高温の環境下に置かれることになる。しかし、実施形態のコネクタ10では、コンタクト11に接触部12と対向するように腕部20が延設部18を介して一体に形成され、この腕部20と接触部12により発熱部材63が挟持されているので、発熱部材63が、コンタクト11の接触部12の弾性部13の有する弾性力により押圧されても、コンタクト11の腕部により支持されることで、ハウジング23に撓みが生じることを抑制することができる。また、接触部12と離間した位置に腕部20が形成されることで、この腕部20がフィンの役割となりコンタクト11の熱を放熱することができるようになり、ハウジング23等の熱損傷を抑制することができる。
【0057】
なお、実施形態のコネクタでは、コネクタに対して発熱部材が直角方向に接続された場合を説明したが、これに限らず、発熱部材がコネクタのコンタクトの軸方向から接続されるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0058】
10:コネクタ 11:コンタクト 12:接触部 13:弾性部 14:接点部 15:係止突起 16:接続部 17:接続片 18:延設部 19:空洞 20:腕部 21:誘導片 22:挟持部 23:ハウジング 24:前面部 25:差込み開口 26:上面部 27:第1側面部 28:案内溝 29:係止部 30:第2側面部 31:案内溝 32:係止部 33:底面部 34:ロック及びロック解除機構 35:背面部 36:開口部 37:差込み溝 38:第1リブ 39:第2リブ 40:コンタクト収容部 41:係止片 42:隔離壁 43:段部 44:リテーナ装着部 44a:位置決め突起 45:リテーナ 46:前壁部 47:突起 48:固定片 49:規制部 50:嵌入部 51:背壁部 52:第1側壁部 53:案内面 54:係止溝 55:第2側壁部 56:案内面 57:係止溝 58:上壁部 59:細長平面 60:底壁部 61:短平面 62:位置決め溝 63:発熱部材 64:ヒータ部 65:電極 66:ホルダ 67:第1嵌入溝 68:第2嵌入溝 69:保持部 70:立設部 71:側面 72:面 73:電線