【解決手段】機械的に支援される電気コネクタ12は、レバー16と摺動体23とを備える。摺動体23は、レバー16の運動が摺動体23を移動させるようにレバー16に結合される。摺動体23は、レバー16が第1の位置20から第2の位置まで移動されるときに、電気コネクタ12および相手側コネクタ14を共に押圧するのに有効な態様で相手側コネクタ14の柱状部と協働するように構成されるスロットを形成する。スロットの傾斜角は、電気コネクタ12を相手側コネクタ14に接続するときに、レバー16を第1の位置20から第2の位置まで進めるために加えられる力のピーク値を低減するように変えられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0019]本発明のさらなる特徴および利点は、本発明の好ましい実施形態の次の詳細な説明を読むことによっていっそう明らかになるであろう。ただし、この説明は、非限定的な例示を目的として添付の図面を参照して提示される。
【0011】
[0020]
図1〜
図4は、機械的に支援される電気コネクタ12の非限定的な例を示している。この電気コネクタ12は、対応する相手側コネクタ14と接続するように構成される。電気コネクタ12は、電気コネクタ12を相手側コネクタ14に接続するときに機械的効率を提供するためのレバー16を備えている。概して、レバー16は、円形切欠18A,18Bを介して電気コネクタ12に移動可能に結合され、第1の位置20から第2の位置22まで移動可能である。この例では、第1の位置20および第2の位置22は、代替的に、初期位置20および最終位置22としてそれぞれ特徴付けられてもよい。電気コネクタ12は、摺動体23を備えている。この例では、摺動体23は、第1の摺動体23Aと第2の摺動体23Bとからなる。当業者であれば、摺動体23が、代替的に一体形成物として形成されていてもよく、単数形で呼ばれてもよいことを認識するであろう。摺動体23A,23Bは、空洞24A,24Bを介して、電気コネクタ12に摺動可能にそれぞれ結合される。摺動体23A,23Bは、レバー16の回転運動が摺動体23A,23Bを横方向に移動させるように、細長い切欠き26A,26Bを介してレバー16にそれぞれ結合される。
【0012】
[0021]電気コネクタ12の摺動体23A,23Bのそれぞれは、少なくとも1つのスロット28を形成する。スロット28は、レバー16が第1の位置20から第2の位置22まで移動されるときに、電気コネクタ12および相手側コネクタ14を共に押圧するのに有効な態様で相手側コネクタ14の柱状部30と協働するように構成される。摺動体23のスロット28A,28B,28C,28D,28E,28F,28Gは、すべて、スロット28と同様に構成される。スロット28A〜Gは、柱状部30とのスロット28の協働と同様の態様で、相手側コネクタ14の柱状部30A,30B,30C,30D,30E,30F,30Gとそれぞれ協働する。スロット28は、電気コネクタ12および相手側コネクタ14が共に押圧されるときに電気コネクタ12および相手側コネクタ14によって生じる係合力34に打ち勝つために必要とされる接続力32を分配する。スロット28は、
図5で示されるように、スロット開口部38とスロット端部40との間に傾斜した部分を有する。スロット開口38およびスロット端部40は、それぞれ、スロット開口38およびスロット端部40を傾斜した部分36に連結する形状を有する移行部38A,40Aをそれぞれ有する。傾斜した部分36(以下では、傾斜部36と呼ぶ)は、スロット28が柱状部30と相互作用するときに電気コネクタ12および相手側コネクタ14を共に押圧するように構成される。
【0013】
[0022]傾斜部36は、傾斜角42を有するものとして特徴付けられる。傾斜角42は、柱状部30が傾斜部36に接触する点に接する傾斜部36の勾配として説明されてもよい。
【0014】
[0023]この傾斜角42は、傾斜部36の長さに沿って変化する。すなわち、傾斜部36は、湾曲しており、このため、傾斜部36の勾配は、傾斜部36が線形である場合のように一定ではない。傾斜角42は、電気コネクタ12を相手側コネクタ14に接続するときにレバー16を第1の位置20から第2の位置22まで進めるために加えられる力44のピーク値、および/または、加えられる力44の変化が、傾斜部36と柱状部30の界面によって低減されるように選択される。傾斜角42は、ピークの加えられる力44、および、加えられる力44の変化に影響を及ぼす他の変数の変化を補償するために変えられる。傾斜角42は、傾斜部36の曲線が一定でない半径を有するように選択されてもよい。
【0015】
[0024]図示される例では、傾斜角42は、摺動体23を移動させるためのレバー16の機械的効率(
図6)および係合力34(
図7)に従って傾斜部36の長さに沿って変えられる。
【0016】
[0025]係合力34は、相手側端子のすべての全係合力F
Tを決定することによって推定されてもよい。この端子係合力は、端子潤滑剤の使用によって30〜70%低減され得る。この係合力の低減は、潤滑因子L
Tによって表され得る。相手側端子同士間の不整合は、係合力34を30〜40%の間で増加させることもある。この係合力の増加は、不整合因子M
Sによって表され得る。係合力34は、また、F
otherによって表される、コネクタ同士を嵌め合わせるために必要とされる追加的な力(例えば、シールおよび/またはグロメットを圧縮するために必要とされる力など)によって影響を受け得る。したがって、係合力34は、次式によって計算され得る。
F
engage=F
TM
SL
T+F
other
【0017】
[0026]
図8は、柱状部30および傾斜部36の自由物体図を例示している。「古典的な」分析については、傾斜部36に平行かつ傾斜部36の上方へ向けられる大きさF
upの力とともに、大きさF
rの重量を有する物体として柱状部30を扱う。ここで、F
rは、以下のようになる。
【0019】
n
rは、摺動体1つ当たりの傾斜部の総数である。f
pおよびF
rは、以下でより詳細に説明される。傾斜角42、θは、F
rを傾斜部36に垂直な分力と、傾斜部36に平行な分力と、に分解するために使用され得る。その結果、
法線力N
r=F
rcosθ
傾斜部36を滑り落ちるF
rの成分F
rx’=F
rsinθ
柱状部30と傾斜部36との間の摩擦f
r=N
rμ
rである。
傾斜部36と柱状部30との間の摩擦係数μ
rは、選択される材料に依存する。μ
rが既知でなければ、0.27の控えめな値が使用されてもよい。
【0020】
[0027]傾斜部36に平行な力を合計すると以下の通りとなる。
【数2】
【0021】
実際には、水平力F
upx’は、摺動体23の動きによって傾斜部36に加えられており、その結果F
upは、F
upx’の成分として扱われてもよい。F
upx’は以下の通りである。
【0023】
[0028]
図9は、摺動体の自由物体図を例示している。摺動体23に対抗する摺動柱状部30の動きは、摩擦
f
p=F
SPμ
p
に起因して、力f
pを生成する。摺動体23の動きは、摺動体23の底部と筺体との間の摩擦力f
sによって対抗されることになる。摩擦係数μ
s(筺体と摺動体23との間の摩擦係数)およびμ
p(柱状部30と摺動体23との間の摩擦係数)は、選択される材料の関数である。μ
sおよびμ
pが既知でなければ、0.27の控えめな値が使用されてもよい。f
sは以下の通りである。
【0025】
[0029]xでの力を合計すると、以下の通りとなる。
【0027】
[0030]F
SPについて解くと、以下の通りとなる。
【0029】
[0031]yでの力を合計すると、以下の通りとなる。
【0030】
【数7】
したがって、
【数8】
【数9】
したがって、
【数10】
【0031】
[0032]摺動柱状部30と摺動体23との間には摩擦があり、その結果、以下の通りとなる。
φ
iからφ=90°までは、レバー16は、摺動体23に上向きの力を印加する
φ=90°からφ
fまでは、レバー16は、摺動体23に下向きの力を印加する
【0032】
[0033]摺動体23についての機械的効率は、以下のように計算されてもよい。
【0034】
摺動体23は、実際には、摩擦に起因して機械的効率に悪影響を及ぼす。
【0035】
[0034]レバー16の機械的効率は、
図10を参照して理解することができる。
図10の自由物体図を調べることによって、次の観察が行われ得る。
【0036】
[0035]操作者が加える力44(F
O)は、レバー16の半径R
2に垂直に加えられると仮定される。加えられる力44は、操作者によって与えられる人間工学的要求によって決定される。摺動柱状部30に対抗する摺動体23の力F
SPは、水平方向に作用する。摺動柱状部の半径R
SP、および、レバー16のそれぞれ初期角度φ
iおよび最終角度φ
fのそれぞれもまた図示される。摺動柱状部半径の垂直成分R
SPy=R
SPsinφであり、摺動柱状部半径の水平成分R
SPx=R
SPcosφである。R
SPyおよびR
SPxは、レバー16が、初期位置20(φ
i)と最終位置22(φ
f)との間で移動するとき、変化することに留意されたい。R
SPyが変化するので、その結果、加えられる力44(F
O)と、レバー16の機械的効率M
leverと、は両方とも、変化することになる。旋回軸中心の周りのモーメントを合計すると、以下のようになる。
【0038】
ここで、fpは以下の通りである。
【数14】
【数15】
【0040】
[0036]レバー16の理想的な機械的効率M
leverは、摩擦がなく、操作者が、加えられる力44(F
O)をレバー半径R
2に接して加えると仮定すると、次の通りに導かれ得る。
【0042】
したがって、レバー16の理想的な機械的効率は、以下の通りとなる。
【0044】
レバーの最小機械的効率M
leverは、レバー角φが90°であるときに生じる。これは、sin90°=1となり、分母が最大化されるからである。
【0045】
[0037]機械的に支援される電気コネクタ12の総機械的効率Mは、レバーの機械的効率M
lever、および、柱状部30と傾斜部36との界面の機械的効率M
rampの両方の積M=M
leverM
rampである。総機械的効率Mは、レバー角φ
および傾斜角42(θ)の両方の関数である。
【0046】
[0038]レバー16の機械的効率が、レバーの初期位置20(φ
i)および最終位置22(φ
f)においてより高く、90°において最も低いとするならば、傾斜部36は、初期点および最終点で「より急勾配で」あるが中間では「より浅い」傾斜角42(勾配)を有して構成される。所望の勾配は、正弦または余弦などの三角関数を思い出させる曲線を生み出し、したがって、それは、以下のようにモデル化され得る。
【0048】
ここで、A,B,C,Dは、定数である。傾斜部36自体の形状を見いだすために、この式を積分すると、以下の通りとなる。
【0050】
これは、本質的には、三角関数と直線Dxとの組み合わせである。
【0051】
[0039]定数A,B,C,Dについての初期値は、次の通りに選択される。Dは、古典的な形の直線y=mx+b(mは直線の勾配である)の勾配を記述することを認識すると、Dは、勾配または基本的な傾斜角42として近似され得る。したがって、以下の通りとなる。
【0053】
Atx=0、y=0であり、したがって、以下の通りとなる。
【0055】
この式は、A=0、B=∞またはcos(C)=0の場合にだけ満たされ、
【数23】
のとき、cos(C)=0である。ただしnは、任意の整数である。A≠0およびB≠∞のとき、
【数24】
である。Bは、三角関数の周波数に影響を及ぼす。余弦関数が、傾斜部36の長さにわたって0から2πまで適用されることを認識すると、
【数25】
である。Aは、三角関数の振幅に影響を及ぼす。Aは、A=0.1の任意の値に設定されてもよい。
【0056】
[0040]実際には、係合力34は、異なる複数の端子または端子の組が、機械的に支援される電気コネクタ12の係合に沿って異なる点で係合することになるとき、一定ではない。初期レバーの投入の間、係合力34は、非常に低い。それ故に、最初は、機械的に支援される電気コネクタ12の高い機械的効率は、必要とされず、「無駄にされて」いる。その構成は、レバーの機械的効率をレバーの完全な投入によっていっそう良好に使用するために、傾斜部の形状または輪郭を調整し、傾斜部36の長さに沿って傾斜角42を変えることによって改善されてもよい。これは、係合力34が小さい間は電気コネクタ12の機械的効率を最小化するとともに、係合力34がその最高値にあるときは電気コネクタ12の機械的効率を最大化することによって、行われてもよい。レバー16の幾何学的形状は、レバー16が初期位置20φ(
i)から最終位置22φ(
f)まで移動されるときに変化せず、したがって、レバー16を改善することは可能ではない。傾斜部36の勾配は、その勾配が最初はより高く、係合力34がその最高値に達するときにより低くなるようなxの非線形関数として構成されてもよい。これは、上で示されるような一定の勾配を有する線形傾斜部よりもむしろ勾配
【数26】
を有する式
【数27】
の曲線によって特徴付けられる傾斜部36を示唆する。
【0057】
[0041]レバー16および傾斜部36の下記の設計パラメータが与えられる。
R
SP−旋回柱状部と摺動柱状部30との間の距離
R
2−操作者接触点と旋回柱状部との間の距離
n
r−摺動体1つ当たりの傾斜部の数
u
r−傾斜部36と摺動柱状部30との間の摩擦係数
u
s−摺動体23と筺体の空洞24との間の摩擦係数
u
p−摺動体23を押すレバー柱状部と摺動体23の切欠き26との間の摩擦係数
l
ramp−傾斜部の長さ
h
ramp−傾斜部の高さ
θ−比較可能な線形傾斜角
φ
i−レバー初期位置20の角度
φ
f−レバー最終位置22の角度
ΣFt(y)−機械的に支援される電気コネクタ12がy軸に沿って係合する場合の、種類別の端子の数、種類別の係合力、および、y軸に沿った端子の位置に基づく端子の総係合力。
ΣFo(y)−y軸に沿ったこれらの要素の位置に基づくシールおよび/またはグロメットの総係合力。
傾斜部36の構成は、下記のこれらのステップに従うことによって最適化されてもよい。
1.係合力をyの関数として記述するための式を展開する。
(a)F
engage=f(y)=ΣFt(y)LtMs+ΣFo(y)
2.以下のように最適化すべき1つ以上の定数を有する傾斜部36の幾何学的形状を記述するための式を展開する。
(b)y=f(x)であり、その結果、傾斜部36の勾配は、
【数28】
である。
3.以下のように、xとレバーの角度φとの間の関係を記述するための式を展開する。
(d)x=f(φ)
4.摺動体23A,23Bを押す柱状部に作用する力を分析すると、
(e)F
SP=f(θ)
が得られる。θと
【数29】
との間の関係を理解すると、式(a),(b),(c),(e)を組み合わせることができ、
(f)F
SP=f(x)
が得られる。
5.レバー16に作用する力を分析すると、
(g)F
0=f(φ)
が得られる。
6.(f)を(g)に代入して、Foを簡略化する。
7.例えば、ステップa)からh)での次の例で示されるようにnを調整することによって、最小のF
0MAXを
φ
iからφ
fまで最適化するために反復手法を使用する。
a)F
engage=my+b、ただしb=0、
【数30】
この例は、係合力の線形増加を仮定し、また、h
rampは、必要とされる端子接点重複として記述され得る。
b)
【数31】
この例では、nは、傾斜部36の形状を最適化するために調整されてもよい変数である。
c)
【数32】
d)レバーの幾何学的形状から導かれるように、
【数33】
e)
【数34】
f)
【数35】
g)
【数36】
したがって、
h)
【数37】
ただしnは、最小のF
0MAXをφ
iからφ
fまで最適化するために繰り返し調整される。
【0058】
[0042]
図11で示されるように、可変傾斜角42を有する傾斜部36の加えられる力46の、結果として得られるピーク値および変化は、一定の傾斜角を有する傾斜部の加えられる力48の、結果として得られるピーク値および変化と比較して、低減される。
【0059】
[0043]結果的に、機械的に支援される電気コネクタ12が提供される。電気コネクタ12のレバー16と、摺動体23のスロット28と、の構成は、線形(すなわち、直線)の傾斜部を利用する公知の従来技術と比較して、相手側コネクタ14と接続するために加えられる力44のピーク値および変化を低減する。
【0060】
[0044]本発明は、その好ましい実施形態について説明されたが、それは、そのように限定されることを目的としておらず、むしろ、次の特許請求の範囲で提示される範囲によってのみ限定されることを意図している。さらに、第1、第2などの用語の使用は、重要性の順序を示すものではなく、1つの要素を他の要素と区別するために使用される。さらに、a、anなどの用語の使用は、量の限定を示すものではなく、言及される物の少なくとも1つの存在を示している。