(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-49503(P2016-49503A)
(43)【公開日】2016年4月11日
(54)【発明の名称】廃棄物の選別機
(51)【国際特許分類】
B07B 1/15 20060101AFI20160314BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20160314BHJP
B09B 5/00 20060101ALI20160314BHJP
【FI】
B07B1/15ZAB
B07B1/46 K
B09B5/00 M
B07B1/46 D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-177052(P2014-177052)
(22)【出願日】2014年9月1日
(71)【出願人】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】鍬本 光央
【テーマコード(参考)】
4D004
4D021
【Fターム(参考)】
4D004AA31
4D004AA36
4D004AA46
4D004AC04
4D004CA08
4D004CB42
4D004CB43
4D004CB50
4D021AA11
4D021AB11
4D021BA01
4D021CA11
4D021DA01
4D021DA13
4D021EA10
(57)【要約】
【課題】被処理物の噛み込みに起因する動作不良を防止でき、被処理物を良好な精度で選別でき、駆動部の保守作業が容易な廃棄物の選別機を提供すること。
【解決手段】
廃棄物の選別機は、複数の螺旋軸2,2,2・・・を互いに平行かつ軸方向視において弧状を成すように配列してなる篩部1と、篩部1に、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に被処理物を投入する投入コンベヤ3を備える。篩部1の下方には、小径物を搬出する小径物コンベヤ4が配置され、篩部1の螺旋軸2の送り方向Sの先端側には、大径物を搬出する大径物コンベヤ5が配置されている。投入コンベヤ3により投入された被処理物は、篩部1に長く滞在し、螺旋軸2の配列方向の中央部と端部との間でジグザグ状に移動するので、精度良く小径物と大径物に選別される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸が、互いに平行かつ軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列され、配列方向の中央部の螺旋軸が両端部の螺旋軸よりも下方に配置されてなる篩部と、
上記篩部の複数の螺旋軸を、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動する駆動部と、
上記篩部のうち、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物を投入する投入部とを備え、
上記篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下した小径物と、上記螺旋軸の溝に嵌合し、又は、上記螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて移動し、この螺旋軸の送り方向に排出された大径物とに選別することを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の螺旋軸は、軸方向視において弧状をなすように配置されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項3】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の複数の螺旋軸は、各々の上記螺旋羽根が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項4】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の複数の螺旋軸は、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の位相を所定値ずつずらして配列されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項5】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の複数の螺旋軸は、送り方向における基端部分が回転可能に支持される一方、先端部分が自由端の片持ち梁状に形成されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項6】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記駆動部は、上記複数の螺旋軸の送り方向における基端側に夫々固定されたスプロケットと、隣り合う2つの上記螺旋軸のスプロケットを順次接続する複数のチェーンと、配列方向の最端の上記螺旋軸に連結され、この螺旋軸を回転駆動する動力源とを有することを特徴とする廃棄物の選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の螺旋軸を配列して形成された篩部を有する廃棄物の選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の螺旋軸で形成された篩部を有して廃棄物の選別に用いられる選別機としては、矩形のフレーム内に、円筒状の軸部の外周面に螺旋羽根を固定してなる螺旋軸を、フレームの幅方向に互いに平行に配列し、このフレームの下部に、上記螺旋軸の下側部に沿う円弧状断面部分を有する多孔スクリーンを配置して篩部を形成したものがある(特許文献1参照)。
【0003】
このスクリュー式の選別機は、複数の螺旋軸を回転駆動する駆動部を、螺旋軸の送り方向の基端側に位置するフレームの辺の外側に配置している。この駆動部は、螺旋軸に連なってフレームの外側に突出した小径軸に固定された大歯車と、隣り合う螺旋軸の大歯車に歯合するアイドラー歯車と、配列方向の最端の螺旋軸の大歯車を回転駆動するモータを有する。この駆動部の上に、ショベルローダが乗り入れるステージを設置し、このステージ上のショベルローダにより、被処理物を篩部の螺旋軸上に投入するように形成されている。上記ステージはフレームの辺と実質的に同じ幅を有し、フレームの幅方向の任意の位置から被処理物を投入可能に形成されている。
【0004】
上記篩部の複数の螺旋軸は、軸方向視において、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根との間に隙間をおいて配列されており、互いに同一方向に同一速度で回転駆動される。この篩部が駆動され、被処理物がステージの上から投入されると、投入された被処理物は螺旋軸の軸方向及び螺旋羽根の頂部の回動方向に移動する。被処理物が移動するに伴い、被処理物のうち、螺旋軸の相互間を落下して多孔スクリーンを透過した小径物は、篩部の下側に設けられたシュートで収集され、シュートの下端に配置されたベルトコンベヤで排出される。また、被処理物のうち、多孔スクリーン上に残留した中径物は、螺旋軸の送り動作により軸方向に送られ、螺旋軸の送り方向の先端側に位置するフレームの辺の外側に配置されたコンベヤ上に落下し、このコンベヤによって排出される。また、被処理物のうち、螺旋軸の相互間を落下しないで螺旋羽根の周縁上に残留した大径物は、螺旋羽根の頂部の回動方向に移動し、この螺旋羽根の頂部の回動方向に位置するフレームの辺に連なる排出部から排出される。このようにして、被処理物を、小径物と、中径物と、大径物とに選別するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−176374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の選別機は、篩部の多孔スクリーン上の中径物のうち、螺旋軸で送られずに残留するものが生じる。この残留した中径物により、多孔スクリーンの目詰まりや、多孔スクリーンと螺旋軸との間の噛み込みが発生し、動作不良が生じるおそれがある。また、上記従来の選別機は、篩部の隣り合う螺旋軸の螺旋羽根が、軸方向視において互いに隙間をおいて配列されているので、螺旋軸と平行をなす長尺の被処理物が、螺旋軸の相互間を落下して多孔スクリーンに受け取られ、多孔スクリーンと螺旋軸との間の噛み込みを招く不都合や、螺旋軸により排出されても、中径物に長尺物が混入する不都合が生じる。また、上記選別機は、ステージ上のショベルローダにより、篩部のフレームの幅方向の任意の位置から被処理物が投入されるので、排出部に近い位置に投入された被処理物は、螺旋軸上の移動距離が比較的短いうちに排出される。したがって、被処理物が十分に選別されないまま排出されるものが存在するので、選別精度が低いという問題がある。また、被処理物を篩部に投入するステージが、螺旋軸の送り方向の基端側に配置されているので、このステージの下に位置する駆動部の保守作業が行い難いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、被処理物の噛み込みに起因する動作不良を防止でき、被処理物を良好な精度で選別でき、駆動部の保守作業が容易な廃棄物の選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の廃棄物の選別機は、円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸が、互いに平行かつ軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列され、配列方向の中央部の螺旋軸が両端部の螺旋軸よりも下方に配置されてなる篩部と、
上記篩部の複数の螺旋軸を、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動する駆動部と、
上記篩部のうち、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物を投入する投入部とを備え、
上記篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下した小径物と、上記螺旋軸の溝に嵌合し、又は、上記螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて移動し、この螺旋軸の送り方向に排出された大径物とに選別することを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、篩部は、円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸を有する。これらの複数の螺旋軸は、互いに平行に配列され、かつ、軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列され、配列方向の中央部の螺旋軸が、配列方向の両端の螺旋軸よりも下方に配置されている。この篩部の複数の螺旋軸は、駆動部により、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動される。上記篩部には、投入部により、篩部のうちの螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物が投入される。駆動部により回転駆動された篩部の螺旋軸上に、投入部により被処理物が投入されると、螺旋軸の作用により、被処理物が、螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向及び螺旋軸の送り方向に送られる。被処理物は、螺旋軸で送られる過程で、被処理物のうちの小径物が、篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下する。また、被処理物のうちの大径物は、螺旋軸の溝に嵌合して軸方向に移動し、篩部から螺旋軸の送り方向に排出される。或いは、被処理物のうちの大径物は、螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて、螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向に移動し、螺旋軸の配列方向の側部に達すると、重力によって配列方向の中央部側へ反転して移動する。この螺旋軸の回動方向への移動と、重力により反転した移動とを1回以上行う過程で、被処理物が軸方向に移動し、篩部から螺旋軸の送り方向に排出される。ここで、複数の螺旋軸の軸部の相互間を落下したものの全てが、小径物として選別されるので、本発明の廃棄物の選別機は、従来のような、多孔スクリーン上に残留した被処理物に起因する目詰まりや噛み込みの不都合が無い。したがって、従来よりも不良動作が大幅に少なく、安定した選別動作を行うことができる。また、篩部の螺旋軸が、軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列されているので、長尺の被処理物が、螺旋軸の軸方向と平行方向を向いた状態で螺旋軸の相互間を落下することが無い。したがって、長尺の被処理物が小径物に混入する不都合を防止でき、選別精度を向上できる。また、投入部は、篩部のうちの螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に被処理物を投入する。したがって、投入された被処理物は、篩部を、螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分から先端側部分まで移動し、及び/又は、螺旋軸の送り方向における基端側部分から先端側部分までを移動することができる。その結果、被処理物を、従来よりも長く篩部に滞在させることができるので、効果的に小径物と大径物に選別することができ、選別精度を向上することができる。また、投入部は、篩部のうちの螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に被処理物を投入するように形成されているので、螺旋軸の送り方向の基端側に配置されたステージ上から被処理物を投入する従来の選別機よりも、平面視において駆動部との重複を少なくできる。したがって、駆動部の保守作業を容易に行うことができる。さらに、小径物が通過する篩部の隙間は、隣り合う螺旋軸の軸部の相互間に形成され、隣り合う螺旋軸の対向する部分が互いに反対方向に回動するので、水分を多く含む被処理物が投入されても、篩部の隙間に被処理物が詰まる不都合を防止しながら、被処理物の選別を行うことができる。
【0010】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の螺旋軸は、軸方向視において弧状をなすように配置されている。
【0011】
上記実施形態によれば、螺旋軸が軸方向視において弧状をなすように配置されているので、これらの螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持される被処理物の大径物に対して、螺旋軸の配列方向の端部と中央部との間の移動を促進できる。したがって、大径物の表面に付着した小径物や、大径物に混在する小径物を、効果的に大径物から分離して篩部を通過させることができ、選別効果を高めることができる。
【0012】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の複数の螺旋軸は、各々の上記螺旋羽根が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されている。
【0013】
上記実施形態によれば、篩部の複数の螺旋軸は、軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列されているうえ、各々の上記螺旋羽根が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されているので、均一の寸法の小径物を、安定して軸部の相互間を通過させることができる。また、均一の寸法の大径物を、安定して螺旋羽根の相互間に嵌合させて移動し、送り方向に排出することができる。このように、目開きに相当する螺旋羽根の軸部及び螺旋羽根で形成される領域の大きさを、安定して均一に保つことができるので、被処理物を、寸法に応じて精度良く、安定して選別することができる。
【0014】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の複数の螺旋軸は、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の位相を所定値ずつずらして配列されている。
【0015】
上記実施形態によれば、篩部の複数の螺旋軸は、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の位相が所定値ずつずれるように配列されているので、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の相互間、かつ、隣り合う螺旋軸の軸部の相互間に、同じ軸方向位置において螺旋羽根を同じ位相で配列するよりも大きな被処理物を嵌合可能な領域を形成できる。これにより、比較的大きな被処理物を大径物として選別できる。
【0016】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記篩部の複数の螺旋軸は、送り方向における基端部分が回転可能に支持される一方、先端部分が自由端の片持ち梁状に形成されている。
【0017】
上記実施形態によれば、篩部を形成する複数の螺旋軸は、送り方向における基端部分が回転可能に支持される一方、先端部分が自由端に形成されているので、先端部分を支持するための軸受や軸が不要であるから、螺旋軸の送り方向に、軸受や軸等で大径物を妨げることなく排出することができる。また、小径物を、螺旋軸の先端部分から、軸受や軸で妨げることなく落下させることができる。したがって、篩部の動作不良を防止でき、また、被処理物を滞りなく選別できる。
【0018】
一実施形態の廃棄物の選別機は、上記駆動部は、上記複数の螺旋軸の送り方向における基端側に夫々固定されたスプロケットと、隣り合う2つの上記螺旋軸のスプロケットを順次接続する複数のチェーンと、配列方向の最端の上記螺旋軸に連結され、この螺旋軸を回転駆動する動力源とを有する。
【0019】
上記実施形態によれば、複数の螺旋軸を駆動する駆動部が、複数の螺旋軸に固定された複数のスプロケットと、これらの複数のスプロケットを接続する複数のチェーンと、螺旋軸に連結された動力源を有して形成される。スプロケットは、螺旋軸の送り方向における基端側に固定されるので、被処理物を駆動部から遠ざけて、被処理物の混入による駆動部の動作不良を防止できる。また、複数のチェーンは、隣り合う2つの螺旋軸のスプロケット毎に順次接続されるので、動力源によって最端の螺旋軸に入力された回転力が、複数の螺旋軸に順次伝達されて、複数の螺旋軸が安定して駆動される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態の廃棄物の選別機を示す平面図である。
【
図2】選別機の
図1におけるA−A線断面図である。
【
図3】選別機の
図1におけるB−B線断面図である。
【
図4A】螺旋軸の配列状況を示す篩部の部分横断面図である。
【
図4B】他の螺旋軸の配列状況を示す篩部の部分横断面図である。
【
図5】他の螺旋軸を回転軸に固定した様子を示す縦断面図である。
【
図6A】篩部により大径物が搬送される様子を示す部分平面図である。
【
図6B】篩部により、大径物が搬送されると共に、小径物が選別される様子を示す部分横断面図である。
【
図7】篩部により、大径物が搬送されると共に、小径物が選別される様子を示す部分横断面図である。
【
図8】選別機に投入された被処理物の移動経路を示す模式図である。
【
図9A】螺旋羽根の位相を90°ずつずらして螺旋軸を配置した篩部の部分平面図である。
【
図9B】螺旋羽根の位相を90°ずつずらして配置された螺旋軸を示す軸方向視の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態の廃棄物の選別機を示す平面図であり、
図2は、
図1におけるA−A線断面図であり、
図3は、
図1におけるB−B線断面図である。実施形態の廃棄物の選別機は、土や岩や植物が混在する建設系廃棄物や、生ゴミやプラスチックや金属が混在する都市ゴミ等のように、寸法や種類の異なるものが混在する廃棄物を、寸法に応じて選別するために用いられる。特に、この廃棄物の選別機は、クリンカーを含み散水された焼却灰を、クリンカーと灰に選別するために用いられるのが好ましい。
【0023】
この廃棄物の選別機は、複数の螺旋軸2,2,2・・・を含んで形成された篩部1と、篩部1の螺旋軸2,2,2・・・を回転駆動する駆動部10と、篩部1に被処理物を投入する投入部としての投入コンベヤ3を備える。篩部1の下方には、選別された被処理物のうちの小径物を搬出する小径物コンベヤ4が配置されている。篩部1の螺旋軸2による送り方向Sの先端側には、選別された被処理物のうちの大径物を搬出する大径物コンベヤ5が配置されている。篩部1の螺旋軸2による送り方向Sの基端側には、螺旋軸2を回転駆動する駆動部10が配置されている。
【0024】
篩部1は、ケーシング8の上部に配置されている。ケーシング8は、平面視において矩形を成し、螺旋軸2による送り方向の基端側に立設された奥壁部81と、篩部1の螺旋軸2の送り方向の両側に配置された側壁部82,82と、奥壁部81と側壁部82,82の下端に連なり、篩部1の下方に角錐状の傾斜面を形成するホッパ部83と、このホッパ部83の下端に連なる排出口84を有する。この排出口84は、
図2に示すように、螺旋軸2の軸方向と直交する方向に延在し、小径物コンベヤ4の搬送面に臨んで開口している。
【0025】
篩部1の螺旋軸2は、円筒状の軸部23と、軸部23の外周面に固定された螺旋羽根24を有する。複数の螺旋軸2が、軸方向視において弧状をなすように配列されて、篩部1を形成している。篩部1を形成する螺旋軸2は、水平方向に配置されている。なお、螺旋軸2は、送り方向Sに向かうにつれて上方又は下方に傾斜して配置されてもよい。
【0026】
螺旋軸2は、小径の回転軸21に着脱可能に外嵌しており、回転軸21の基端側に固定された鍔部22に、螺旋軸2の端面が連結されて固定されている。回転軸21は、一端が、ケーシング8の奥壁部81に固定された軸受31と駆動部10の取付壁9に固定された軸受32とで支持され、片持ち梁を形成している。この回転軸21に固定された螺旋軸2もまた、送り方向Sの先端が自由端の片持ち梁を形成している。螺旋軸2の螺旋羽根24は、軸受31,32で支持される側の端であって駆動部10が設けられる側の端から、先端に向かって、被処理物を送るように形成されている。すなわち、螺旋軸2は、基端側から先端側を見て、時計回りに進む螺旋を描くように螺旋羽根24が形成されると共に、反時計回りに回転駆動される。したがって、
図2の先端側から基端側を見た場合は、回転軸21の回転方向Rは時計回りとなる。このように螺旋軸2が回転駆動されることにより、駆動部10の位置する基端側から先端側を向かう送り方向Sに、被処理物を送るように設定されている。また、螺旋羽根24は、
図1及び
図2に示すように、頂部24tの回動方向Cが、中心軸の直交方向であって、投入コンベヤ3の側から小径物コンベヤ4の側へ向かうように駆動される。以下、螺旋軸2の螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cを、単に、螺旋軸2の回動方向Cという。この篩部1を形成する複数の螺旋軸2は、軸方向視において隣り合う螺旋羽根24,24,24・・・が重なり合うように配列されている。また、各々の螺旋羽根24,24,24・・・が、互いに同一の軸方向位置で、同一の位相をなすように配列されている。
【0027】
実施形態の選別機の篩部1は、回転軸21に装着する螺旋軸2を交換することにより、選別を行う基準の寸法を変更できるように形成されている。
図4Aは、
図1乃至3の篩部1における螺旋軸2,2,2の配列状況を示す部分横断面図であり、
図4Bは、変形例の螺旋軸52,52,52の配列状況を示す篩部1の部分横断面図である。変形例の螺旋軸52の軸部53の直径D2は、実施形態の螺旋軸2の軸部23の直径D1よりも、小さく形成されている。回転軸21に、変形例の螺旋軸52を装着した場合、軸部53と軸部53の隙間T2が、実施形態の螺旋軸2を装着した場合の隙間T1よりも拡大する。これにより、変形例の螺旋軸52を装着した場合、小径物の最大寸法が、実施形態の螺旋軸2を装着した場合よりも大きく設定される。すなわち、実施形態の螺旋軸2に替えて変形例の螺旋軸52を用いた場合、篩部1を篩であると想定した場合の目開きが大きくなるのと同じ効果が得られる。したがって、変形例の螺旋軸52を用いる篩部1は、実施形態の螺旋軸2を用いるよりも、寸法の大きな被処理物を小径物として選別することができる。ここで、変形例の螺旋軸52と実施形態の螺旋軸2は、いずれも、螺旋羽根54,24の外径は同じ大きさに形成されている。実施形態の螺旋軸2と変形例の螺旋軸52は、軸部23,53の端面が、回転軸21の鍔部22にボルト等の固定手段で固定される。この固定手段を解除して鍔部22から軸部23,53を取り外すことにより、螺旋軸2,52を容易に交換可能に形成されている。
図5は、変形例の螺旋軸52を回転軸21に装着した様子を示す縦断面図である。この選別機の篩部1は、回転軸21に螺旋軸2,52を外嵌し、鍔部22に軸部23,53の端面を固定して装着するように形成されているので、螺旋軸2,52を容易かつ迅速に交換して、小径物として設定する寸法を、容易に変更できる。
【0028】
投入コンベヤ3は、定量供給機等から供給された被処理物を、矢印Fで示すように搬送する。投入コンベヤ3は、ベルトコンベヤで形成されている。この投入コンベヤ3の先端は、平面視において、篩部1のうち、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に位置している。
【0029】
小径物コンベヤ4は、ベルトコンベヤで形成され、篩部1の下方に配置されたケーシング8のホッパ部83の下端に形成された排出口84に、搬送面を臨むように配置されている。この小径物コンベヤ4は、篩部1を透過してホッパ部83で集められ、排出口84から排出された小径物を、搬送面に載置して矢印Gで示すように搬出する。
【0030】
大径物コンベヤ5は、篩部1の螺旋軸2による送り方向Sの先端側に、螺旋軸2の配列方向に延在して配置されている。大径物コンベヤ5は、ベルトコンベヤで形成されている。ケーシング8の大径物コンベヤ5側には、
図3の断面図に示すように、螺旋軸2の先端部の下方から大径物コンベヤ5の搬送面の縁部に向かって傾斜した排出斜面85が設けられている。大径物コンベヤ5は、被処理物のうち、篩部1を透過しないで篩部1に残留し、螺旋軸2の先端から排出された大径物を受け取り、矢印Lに示すように搬出する。
【0031】
駆動部10は、篩部1の螺旋軸2の送り方向Sの基端側に、螺旋軸2の配列方向に延在して配置されている。駆動部10は、複数の螺旋軸2の回転軸21に固定されたスプロケット26,27と、隣接するスプロケット26,27の間に架け渡された複数のチェーン28,29と、最端の回転軸21を駆動する動力源としてのモータ11を有する。螺旋軸2の回転軸21は、ケーシング8の奥壁部81を貫通してケーシング8の外側に突出しており、この奥壁部81に固定された軸受31と、奥壁部81に対向する取付壁9に固定された軸受32により、回転可能に支持されている。各回転軸21は、螺旋軸2に近い側と遠い側とに2つのスプロケット26,27が固定されている。これらの2つのスプロケット26,27は、互いに反対側に隣接する回転軸21,21に固定されたスプロケット26,27と、チェーン28,29を介して接続されている。これにより、螺旋軸2の配列方向に向かって、螺旋軸2の2つのスプロケット26,27が交互に互いに接続されている。モータ11は、出力軸のスプロケットが、螺旋軸2の回動方向Cにおいて、最も端に位置する螺旋軸2の回転軸21のスプロケット27dに、チェーン29dを介して接続されている。
【0032】
上記構成の廃棄物の選別機は、次のように動作する。まず、駆動部10のモータ11に駆動電力が供給され、モータ11の回転力が、螺旋軸2の回動方向Cにおいて最端の螺旋軸2の回転軸21に入力される。最端の螺旋軸2の回転軸21に入力された回転力は、スプロケット26,27及びチェーン28,29を介して隣接する回転軸21に順次伝達される。これにより、軸方向視において弧状に配置された全ての螺旋軸2が、互いに同じ速度で同じ方向に回転駆動される。螺旋軸2の駆動速度は、螺旋羽根24の周速度において5〜30m/秒である。
【0033】
篩部1の螺旋軸2の動作が開始されると、図示しない定量供給機等から供給された被処理物が、投入コンベヤ3により矢印Fで示す方向に搬送され、この投入コンベヤ3の排出側の端部から篩部1に落下する。こうして、投入コンベヤ3により、篩部1の螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に、被処理物が投入される。
【0034】
篩部1に投入された被処理物のうち、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも小さい小径物が、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の相互間を通過し、篩部1から下方に落下する。篩部1から落下した小径物は、ケーシング8のホッパ部83で収集されて排出口84から排出され、小径物コンベヤ4の搬送面に受け取られて、矢印Gで示すように小径物コンベヤ4で搬出される。小径物としては、灰、土砂、ガラス片、金属片及び陶器片等、比重の比較的大きい小寸法のものが多く含まれる。また、小型のペットボトルや瓶や缶等の小型容器や、乾電池等も小径物に含まれる。
【0035】
また、篩部1を通過しない大径物のうち、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも大きく、螺旋羽根24の軸方向間隔、すなわちピッチよりも小さい物が、螺旋軸2の螺旋羽根24の隙間、すなわち螺旋軸2の溝に嵌合して送り方向Sに移動する。こうして螺旋軸2に沿って移動した大径物は、螺旋軸2の先端から送り方向Sに排出される。螺旋軸2の先端から排出された大径物は、排出斜面85に沿って落下し、大径物コンベヤ5の搬送面に受け取られて、矢印Lで示すように大径物コンベヤ5で搬出される。螺旋軸2の溝に嵌合する大径物としては、クリンカー、ビン、缶、ペットボトル及び棒状体等が含まれる。
【0036】
図6Aは、篩部1の螺旋軸2の溝に嵌合した大径物が搬送される様子を示す部分平面図であり、
図6Bは、篩部1の螺旋軸2の溝に嵌合した大径物が搬送される様子を示すと共に、小径物が選別される様子を示す部分横断面図である。
図6Aに示すように、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の離隔距離よりも大きく、かつ、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも小さい大径物61が、
図6Bに示すように、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の上に支持される。この大径物61が、回転する螺旋軸2により、矢印S1で示すように、送り方向Sと実質的に同じ方向に搬送される。一方、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも小さい小径物65,65,・・・が、隣り合う螺旋軸2,2の軸部23,23の相互間を通過し、篩部1から下方に落下する。
【0037】
また、被処理物のうち、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも大きい大径物は、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の間を落下することなく、また、螺旋羽根24の間の溝に嵌合することなく、螺旋軸2の螺旋羽根24の周縁の上に残留して支持される。この大径物は、螺旋軸2の動作により、螺旋軸2の回動方向Cに移動すると共に、螺旋軸2の送り作用により送り方向Sに移動する。大径物が、螺旋軸2の回動方向Cに移動して螺旋軸2の配列方向の端に達すると、重力によって回動方向Cと反対方向に移動し、螺旋軸2の配列方向の中央部に戻る。螺旋軸2の配列方向の中央部に戻った大径物は、重力による水平方向の力が無くなるので、再度螺旋軸2の回動方向Cに移動する。そして、大径物が螺旋軸2の配列方向の端に達すると、重力によって回動方向Cと反対方向に移動し、螺旋軸2の配列方向の中央部に戻る。このような螺旋軸2の配列方向の中央部と端部との間で移動する間、大径物は螺旋軸2の送り方向Sにも移動するので、大径物は、篩部1の中央部から回動方向Cの端部までの間の部分を、ジグザグ状に移動する。篩部1上をジグザグ状に移動した大径物は、螺旋軸2の先端から送り方向Sに排出され、排出斜面85に沿って落下し、大径物コンベヤ5の搬送面に受け取られて、矢印Lで示すように大径物コンベヤ5で搬出される。螺旋軸2の螺旋羽根24の周縁上に支持されて移動する大径物としては、材木、べニア板、石膏ボード、樹脂袋、樹脂シート等の比較的比重が小さく、板状やシート状のものが多く含まれる。また、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも大きいクリンカー等のように、比重と寸法の両方が大きい大径物も、螺旋羽根24の周縁上に支持されて移動する。
【0038】
図7は、篩部1により大径物が搬送される様子を示すと共に、小径物が選別される様子を示す部分断面図である。
図7に示すように、隣り合う螺旋軸2の軸部23,23の離隔距離よりも大きく、かつ、螺旋羽根24の軸方向間隔よりも大きい大径物62,63,64が、
図7に示すように、1つ又は複数の螺旋軸2の螺旋羽根24,24,・・・の周縁の上に支持される。篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部よりも投入コンベヤ3側に位置する大径物62は、螺旋軸2の回転力と、重力の幅方向の分力により、螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと実質的に平行な方向α1に搬送される。一方、大径物62と分離した小径物66は、篩部1に投入されて篩部1の中央部に向かう過程で、矢印β1で示すように螺旋軸2,2の軸部23,23の間を通過して、篩部1の下方に排出される。また、篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部から小径物コンベヤ4の搬送方向側にかけて位置する大径物63は、螺旋軸2の回転力により、螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと実質的に平行な方向α2に搬送され、隣接すると共に上方に位置する螺旋軸2に向かって移動する。一方、篩部1の螺旋軸2の配列方向の端部に位置する大径物64は、重力により螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと反対方向α3に、隣接して下方に位置する螺旋軸2に向かって移動する。これらの大径物63,64と分離した小径物67は、篩部1の中央部と端部の間を移動する過程で、矢印β2で示すように螺旋軸2,2の軸部23,23の間を通過して、篩部1の下方に排出される。なお、細長の材木や洗濯竿等の長尺物は、短辺が螺旋軸2,2の軸部23,23の離隔距離よりも小さくても、長辺が螺旋羽根24の周縁の上に載置されれば、螺旋軸2の回転によって螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと実質的に平行な方向α1に送られ、また、螺旋軸2の配列方向の端部では重力によって螺旋羽根24の頂部24tの回動方向Cと反対方向α3に移動する。
【0039】
本実施形態の廃棄物の選別機は、被処理物を、篩部1のうち、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に投入する。したがって、投入された被処理物は、篩部1を、螺旋軸2の螺旋羽根24の頂部24tの回動方向における基端側部分から先端側部分まで、及び/又は、螺旋軸2の送り方向Sにおける基端側部分から先端側部分までを移動することができる。詳しくは、
図8の模式図に示すように、篩部1に、螺旋軸2の送り方向Sの基端側、かつ、螺旋軸2の回動方向Cの基端側の部分に投入された被処理物のうち、大径物の一部は、矢印15に示すように、篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部よりも投入コンベヤ3側を、螺旋軸2の回動方向Cの基端側から先端側にわたって移動する。なお、
図8では、螺旋軸2の図示は省略している。また、篩部1に投入された被処理物のうち、大径物の一部は、矢印16に示すように、螺旋軸2の軸方向の途中で、篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部に達する。篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部に達した大径物のうち、一部は螺旋軸2の螺旋溝に嵌合し、矢印17で示すように軸方向に移動して、篩部1から排出される。また、篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部に達した大径物のうち、一部は螺旋羽根24の周縁上に支持されたまま、螺旋軸2の回動方向Cに移動する。螺旋軸2の回動方向Cに移動した大径物は、螺旋軸2の配列方向の中央部よりも小径物コンベヤ4の排出方向に進むにつれて螺旋軸2が上方に位置するので、矢印18で示すように、重力によって螺旋軸2の配列方向の中央部側に折り返し、螺旋軸2の先端に達して篩部1から排出される。また、篩部1に投入された被処理物のうち、大径物の一部は、矢印19に示すように、篩部1の螺旋軸2の配列方向の中央部を超えて、小径物コンベヤ4の排出方向に進み、配列方向の端部の螺旋軸2に達する。配列方向の端部の螺旋軸2に達した大径物は、矢印20に示すように、重力によって螺旋軸2の配列方向の中央部に向かう動きと、螺旋軸2の回転力によって螺旋軸2の配列方向の中央部から端部に向かう動きとをジグザグ状に繰り返し、螺旋軸2の先端に達して篩部1から排出される。このように、本実施形態によれば、被処理物の多くを篩部1内で長い経路を通るように移動させることができるので、被処理物を篩部1に長く滞在させ、螺旋軸2の作用により、被処理物に付着した小径物を効果的に分離することができる。また、被処理物を篩部1に長く滞在させて、螺旋軸2の作用により、大径物を解して小径物とすることができる。したがって、被処理物を、効果的に選別することができる。
【0040】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、投入部としての投入コンベヤ3が、篩部1のうちの螺旋軸2の回動方向Cにおける基端側部分、かつ、螺旋軸2の送り方向Sにおける基端側部分に被処理物を投入するように形成されているので、平面視において駆動部10との重複が無い。したがって、駆動部10の保守作業を容易に行うことができる。
【0041】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、複数の螺旋軸2の軸部23の相互間を落下したものの全てが、小径物として選別されるので、従来のような、多孔スクリーン上に残留した被処理物に起因する目詰まりや噛み込みの不都合が無い。したがって、従来よりも不良動作が大幅に少なく、安定した選別動作を行うことができる。また、従来のように、多孔スクリーンと螺旋軸の間に噛み込んだ被処理物に抗して螺旋軸を駆動する必要が無いので、従来よりも出力の小さいモータ11で安定して作動させることができる。
【0042】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、篩部1を形成する複数の螺旋軸2を、送り方向Sにおける基端部分を回転可能に支持する一方、先端部分を自由端に形成したので、先端部分を支持するための軸受や軸が不要であるから、螺旋軸2の送り方向Sに被処理物を、軸受や軸等で妨げることなく速やかに排出することができる。また、螺旋軸2の先端部分から、小径物を軸受や軸等で妨げることなく速やかに落下させることができる。したがって、篩部1の動作不良を防止でき、また、被処理物を滞りなく選別できる。
【0043】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、篩部1の螺旋軸2が、軸方向視において隣り合う螺旋羽根24が重なり合うように配列されているので、長尺の被処理物が、螺旋軸2の軸方向と平行方向を向いた状態で螺旋軸2の相互間を落下することが無い。したがって、長尺の被処理物が小径物に混入する不都合を防止でき、選別精度を向上できる。
【0044】
また、本実施形態の廃棄物の選別機は、篩部1の隣り合う螺旋軸2,2が、隣接する軸部23及び螺旋羽根24の対向する部分が互いに反対方向に回動するので、螺旋軸2,2の軸部23,23の間に形成されて網目に相当する隙間が詰まり難い。したがって、水分を多く含む被処理物が投入されても、篩部1の隣接する螺旋軸2,2の隙間に被処理物が詰まる不都合を、効果的に防止できる。例えば、散水による水分を含み、寸法の比較的大きなクリンカーを含んだ焼却灰を、篩部1の目詰まりを防止しながら、クリンカーと灰に選別することができる。また、建設工事等で排出され、水分が多く、岩やコンクリート片を含んだ土砂を、篩部1の目詰まりを防止しながら、岩及びコンクリート片と、土砂とに選別することができる。
【0045】
上記実施形態において、篩部1の螺旋軸2は、各々の螺旋羽根24,24,24・・・が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されたが、互いに同一の軸方向位置で異なる位相をなすように配列されてもよい。
図9Aは、隣り合う螺旋軸2の螺旋羽根24,24,24・・・を、位相を90°ずつずらして配置した篩部1を示す部分平面図であり、
図9Bは螺旋軸2,2,2,・・・の先端部の軸方向視の正面図である。
図9A及び9Bに示すように、篩部1を形成する複数の螺旋軸2A,2B,2C,2D,・・・は、回動方向C側に向かうにつれて、反時計回りに90°ずつ位相をずらして配置されている。すなわち、2Bの螺旋軸は2Aの螺旋軸に対し、2Cの螺旋軸は2Bの螺旋軸に対し、2Dの螺旋軸は2Cの螺旋軸に対し、2Aの螺旋軸は2Dの螺旋軸に対し、反時計回りに位相を90°ずらして配置されている。このように形成された篩部1は、
図9Aに示すように、隣り合う螺旋軸2,2の間に、同じ位相差で配列した場合よりも大きな大径物64を嵌合して搬送することができる。
【0046】
上記実施形態において、篩部1の螺旋軸2を軸方向視において弧状に配列したが、螺旋軸2の配列方向の中央部で螺旋軸2を下方に配置し、両端で螺旋軸2を上方に配置すればよく、複数の螺旋軸2の配置形状は弧状に限定されない。要は、回転駆動される螺旋軸2の端部で、被処理物が螺旋軸2の回動方向Cと反対方向に移動でき、また、螺旋軸2の先端部の近傍において、被処理物が複数の螺旋軸2の配列方向の概ね中央部に集まるように移動させることができれば、螺旋軸2の配置形態は限定されない。
【0047】
上記実施形態において、篩部1を通過した小径物を、ケーシング8の傾斜面83,83で収集して小径物コンベヤ4で搬出したが、小径物を収集及び搬出するケーシング8の傾斜面83,83及び小径物コンベヤ4に替えて、篩部1の下方にヤードを設置し、ヤードに落下した小径物を、人力又は特殊車両で収集して搬出してもよい。また、大径物コンベヤ6に替えて、篩部1の送り方向Sの先端の縁と、篩部1の回動方向Cの先端の縁とに沿って壁を夫々設け、篩部1の下方を、篩部1の直下の領域と、篩部1の送り方向Sの外側の領域とに区画してもよい。これらの領域から、人力又は特殊車両で、小径物と大径物を夫々収集して搬出してもよい。
【0048】
また、投入コンベヤ3は、ベルトコンベヤに限られず、スクリューコンベヤやチェーンコンベヤ等の他の投入手段を用いてもよい。
【0049】
また、篩部1を形成する螺旋軸2の螺旋羽根24は、周縁を鋸状や凸状に形成してもよく、また、周縁に刃を固定してもよく、これらにより、被処理物の破砕機能を付与することができる。例えば、被処理物として、例えば袋体中に廃棄物を収容した袋入り廃棄物が投入された場合に、破砕機能を有する螺旋軸で袋体を破って、廃棄物を選別すると共に、袋体を大径物として選別することができる。また、都市ゴミの処理設備において、破袋機に続く工程に配置された場合、破袋機で破砕されなかった袋体を破砕し、袋体中の廃棄物を漏れなく選別することができる。
【0050】
また、螺旋軸2は、先端を自由端とする片持ち梁に形成したが、螺旋軸2の先端の下側部分を支持してもよい。螺旋軸2は、平面視において軸部23の輪郭から突出していなければ、下側に支持機構を配置することができる。すなわち、大径物の送り方向Sへの移動や、小径物の落下の邪魔にならなければ、螺旋軸2は自由端でなくてもよい。
【0051】
また、駆動部10は、動力源としてのモータの駆動力を、チェーン28,29及びスプロケット26,27で伝達したが、歯車で伝達してもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 篩部
2,52 螺旋軸
3 投入コンベヤ
4 小径物コンベヤ
5 大径物コンベヤ
8 ケーシング
10 駆動部
11 モータ
21 回転軸
23,53 螺旋軸の軸部
24,54 螺旋軸の螺旋羽根
24t 螺旋羽根の頂部
26,27,27d スプロケット
28,29,29d チェーン
83 ケーシングのホッパ部
84 ケーシングの排出口
85 ケーシングの排出斜面
S 螺旋軸の送り方向
C 螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向
【手続補正書】
【提出日】2015年7月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の軸部と、この軸部の外周面に固定された螺旋羽根とを有する複数の螺旋軸が、互いに平行かつ軸方向視において隣り合う螺旋羽根が重なり合うように配列され、配列方向の中央部の螺旋軸が両端部の螺旋軸よりも下方に配置されてなる篩部と、
上記篩部の複数の螺旋軸を、互いに同じ方向に同じ速度で回転駆動する駆動部と、
上記篩部のうち、上記螺旋軸の螺旋羽根の頂部の回動方向における基端側部分、かつ、上記螺旋軸の送り方向における基端側部分に、被処理物である廃棄物の全てを投入する投入部とを備え、
上記篩部において、投入された上記大径物の一部が、上記螺旋軸の配列方向の中央部を超えて、配列方向の投入部から遠い端部の螺旋軸に達するように移動した後、重力によって螺旋軸の配列方向の中央部に向かう動きと、螺旋軸の回転力によって螺旋軸の配列方向の中央部から端部に向かう動きとをジグザグ状に繰り返すと共に、上記篩部の隣り合う螺旋軸の軸部の相互間を落下した小径物と、上記螺旋軸の溝に嵌合し、又は、上記螺旋軸の螺旋羽根の周縁上に支持されて移動し、この螺旋軸の送り方向に排出された大径物とに選別することを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記投入部が、平面視において上記駆動部との重複が無いように形成されていることを特徴とする選別機。
【請求項3】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の螺旋軸は、軸方向視において弧状をなすように配置されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項4】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の複数の螺旋軸は、各々の上記螺旋羽根が、互いに同一の軸方向位置で同一の位相をなすように配列されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項5】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の複数の螺旋軸は、隣り合う螺旋軸の螺旋羽根の位相を所定値ずつずらして配列されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項6】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記篩部の複数の螺旋軸は、送り方向における基端部分が回転可能に支持される一方、先端部分が自由端の片持ち梁状に形成されていることを特徴とする廃棄物の選別機。
【請求項7】
請求項1に記載の廃棄物の選別機において、
上記駆動部は、上記複数の螺旋軸の送り方向における基端側に夫々固定されたスプロケットと、隣り合う2つの上記螺旋軸のスプロケットを順次接続する複数のチェーンと、配列方向の最端の上記螺旋軸に連結され、この螺旋軸を回転駆動する動力源とを有することを特徴とする廃棄物の選別機。