特開2016-50185(P2016-50185A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-50185(P2016-50185A)
(43)【公開日】2016年4月11日
(54)【発明の名称】皮膚化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/60 20060101AFI20160314BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20160314BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160314BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20160314BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160314BHJP
【FI】
   A61K8/60
   A61K8/86
   A61Q19/00
   A61K8/39
   A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-175713(P2014-175713)
(22)【出願日】2014年8月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390033145
【氏名又は名称】焼津水産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】石田 麻奈
(72)【発明者】
【氏名】田村 猛
(72)【発明者】
【氏名】石田 実咲
(72)【発明者】
【氏名】柴田 歌菜子
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA112
4C083AB032
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC482
4C083AD042
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD201
4C083AD202
4C083AD432
4C083BB51
4C083CC03
4C083CC04
4C083DD23
4C083DD41
4C083EE06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】きしみやべたつきを感じ難く優れた使用感を有し、保湿効果に優れ、肌を滑らかに保ち、肌に適度なはりを与え、化粧ノリが良好な皮膚化粧料。
【解決手段】(A):N−アセチルグルコサミン0.1〜20質量%、(B):アルキレンオキシド誘導体(式(I))0.1〜10質量%、(C):アルキレンオキシド誘導体(式(II))0.1〜10質量%、(D):C3〜6の2〜4価のアルコール0.5〜20質量%を含有し、(A)/(C)が1/2〜1/0.2である皮膚化粧料。式(I):Gly−[O{(PO)(EO)}−(BO)H]3式(II):G−[O{(EO)x(PO)y}−(BO)z−H]4(Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基;GはC1〜4のアルキル基を有するアルキルグリコシドから水酸基を除いた残基;POはオキシプロピレン基;EOはオキシエチレン基;BOはオキシブチレン基)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:N−アセチルグルコサミン0.1〜20質量%、
(B)成分:式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体0.1〜10質量%、
(C)成分:式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体0.1〜10質量%、
(D)成分:炭素数が3〜6である2〜4価のアルコール0.5〜20質量%を含有し、
(A)成分および(C)成分の含有比〔(A)/(C)〕が質量比で1/2〜1/0.2であることを特徴とする皮膚化粧料。
Gly−[O{(PO)(EO)}−(BO)H]3 式(I)
(式(I)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基であり、a、bおよびcはそれぞれPO、EOおよびBOの付加モル数であって、a+bが1〜30、cが1〜5であり、POとEOの含有比(PO/EO)が質量比で1/5〜5/1である。)
G−[O{(EO)x(PO)y}−(BO)z−H]4 式(II)
(式(II)中、Gは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルグリコシドから水酸基を除いた残基であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、x、yおよびzはそれぞれEO、POおよびBOの付加モル数であり、xが5〜20、yが1〜10、zが1〜2であり、EOとPOとの合計含有量に対するEOの含有量の比率が55〜90質量%であり、EOとPOとがランダム状に付加している。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、きしみやべたつきを感じ難く優れた使用感を有し、保湿効果に優れ、肌を滑らかに保ち、肌に適度なはりを与え、化粧ノリが良好な皮膚化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
人の皮膚表面(肌)は、皮脂や汗等から構成された皮脂膜で覆われていて、肌の水分の蒸散が適度に抑制されている。肌の水分が不足すると肌荒れ等を生じやすく、しわの原因にもなりやすいので、皮膚の水分を適切な範囲に保つことは皮膚の健康の面から見て非常に大切なことである。しかし皮脂膜は洗顔や入浴時の洗浄により取り除かれてしまうので、肌の水分が失われやすくなる。そこで、洗顔後あるいは入浴後には、肌の水分を補うために、化粧水、乳液、クリーム、美容液等の保湿化粧料が使用されている。
一般的には、肌に潤いや柔軟性を付与し、乾燥や肌荒れを防ぐ目的で先ず化粧水を使用し、その後に乳液や美容液、クリーム等の油分が配合された化粧品を使用し、肌にエモリエント感を付与することで、水分の蒸散を防ぎ、乾燥や肌荒れから皮膚を守る方法が保湿スキンケアステップとなっている。
【0003】
一方、近年では女性の社会進出などにより、いわゆる「時短美容」が注目され、スキンケアステップの簡略化が好まれる傾向にあるため、オールインワン化粧料が強く要望されている。また、油分によるべたつき、テカリが懸念される乳液状やクリーム状の化粧料よりも、化粧水やジェル状皮膚化粧料などの油分の配合量が少ない皮膚化粧料が好まれる傾向にある。
一般的な化粧水やジェル状化粧料は、主に水と多価アルコール類で構成されており、持続的な保湿感を付与するためには、保湿剤を高濃度に配合する必要があった。
【0004】
また近年、低湿度下での水分保持力の高い保湿成分として、キチン、キトサンおよびこれらの誘導体、タンパク加水分解物、ヒアルロン酸などの酸性ムコ多糖などの様々な高保湿成分が提案されている。中でも、低分子で皮膚浸透性に優れているN−アセチルグルコサミンは、角層中のヒアルロン酸量を増加させる成分であることから特に注目されている成分であり、化粧料への配合が検討されている。しかし、これらの高保湿成分を高配合した場合、成分由来のきしみ感が生じる場合があった。
【0005】
特許文献1には、N−アセチルグルコサミン、3価以上のアルコール類、アラリア属エスクレンタ抽出物を組み合わせた老化防止化粧料が、保湿効果に優れ、かつべたつきのない優れた使用感を有することが開示されている。しかし、この老化防止化粧料は、肌の滑らかさ、肌のはりに改善の余地があった。
【0006】
特許文献2には、N−アセチルグルコサミンと、D−パントテニルアルコール、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、γ−オリザノール、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ−アミノ酪酸、トラネキサム酸及びその誘導体、ニコチン酸アミドから選ばれる2種類以上と、酸性ムコ多糖とを組み合わせた皮膚化粧料が、保湿効果を有しており、肌のはりを向上させ、べたつきのない優れた使用感を有することが開示されている。しかし、この皮膚化粧料は、肌の滑らかさに改善の余地があった。
【0007】
特許文献3には、肌の真皮成分のうち線維成分と、アセチルグルコサミン等の基質成分とを組み合わせた保湿化粧料が、保湿効果を有しており、肌のはり、肌の滑らかさを向上させ、べたつきのない優れた使用感を有することが開示されている。しかし、この保湿化粧料は、きしみ感が生じるおそれがあり、化粧ノリに改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−136533号公報
【特許文献2】特開2012−41302号公報
【特許文献3】特開2011−42589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、きしみやべたつきを感じ難く優れた使用感を有し、保湿効果に優れ、肌を滑らかに保ち、肌に適度なはりを与え、化粧ノリが良好な皮膚化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、N−アセチルグルコサミンと特定のグリセリン誘導体、特定のアルキレンオキシド誘導体、特定の多価アルコールを特定の比率で組み合わせることにより、上記課題を解決し得る皮膚化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明の皮膚化粧料は
(A)成分:N−アセチルグルコサミン0.1〜20質量%、
(B)成分:式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体0.1〜10質量%、
(C)成分:式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体0.1〜10質量%、
(D)成分:炭素数が3〜6である2〜4価のアルコール0.5〜20質量%を含有し、
(A)成分および(C)成分の含有比〔(A)/(C)〕が質量比で1/2〜1/0.2であることを特徴とする皮膚化粧料である。
Gly−[O{(PO)(EO)}−(BO)H]3 式(I)
(式(I)中、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基であり、a、bおよびcはそれぞれPO、EOおよびBOの付加モル数であって、a+bが1〜30、cが1〜5であり、POとEOの含有比(PO/EO)が質量比で1/5〜5/1である。)
G−[O{(EO)x(PO)y}−(BO)z−H]4 式(II)
(式(II)中、Gは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルグリコシドから水酸基を除いた残基であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基であり、x、yおよびzはそれぞれEO、POおよびBOの付加モル数であり、xが5〜20、yが1〜10、zが1〜2であり、EOとPOとの合計含有量に対するEOの含有量の比率が55〜90質量%であり、EOとPOとがランダム状に付加している。)
【発明の効果】
【0012】
本発明の皮膚化粧料は、きしみやべたつきを感じ難く優れた使用感を有し、保湿効果に優れ、肌を滑らかに保ち、肌に適度なはりを与え、化粧ノリが良好であるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明において「〜」の記号を挟む数値は、「〜」で規定する範囲に含まれる。例えば、「10〜30」は10以上、かつ30以下の範囲を表わす。
【0014】
本発明の皮膚化粧料は、(A)成分:N−アセチルグルコサミン、(B)成分:式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体、(C)成分:式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体、および(D)成分:炭素数が3〜6である2〜4価のアルコールを含有する。
以下、各成分について順次説明する。
【0015】
〔(A)成分:N−アセチルグルコサミン〕
(A)成分は、代表的天然アミノ糖の一種であるN−アセチルグルコサミンである。N−アセチルグルコサミンとしては、医薬品、医薬部外品、化粧品において通常用いられているものを用いることができ、合成物、発酵産物、カニやえびなどのキチン分解から得られる分解産物等、いずれのものも用いることができる。
(A)成分の市販品として、例えば、焼津水産化学工業株式会社製の「マリンスウィート(登録商標)F」等を用いることができる。
皮膚化粧料中における(A)成分の含有量は、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜15質量%、さらに好ましくは1〜12質量%である。含有量が0.1質量%よりも少ないと、保湿感、肌の滑らかさ、肌のはり、化粧ノリが低下するおそれがあり、20質量%よりも多いと、きしみ感を生じるおそれがある。
【0016】
〔(B)成分:式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体]
(B)成分は、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体であり、式(1)において、Glyはグリセリンから水酸基を除いた残基を表し、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基である。
a、bおよびcはそれぞれPO、EOおよびBOの付加モル数である。aとbの合計(a+b)は1〜30であり、好ましくは5〜25、さらに好ましくは10〜15である。cは1〜5であり、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3である。
POとEOの含有比(PO/EO)は質量比で1/5〜5/1であり、好ましくは1/2〜4/1、さらに好ましくは1/1〜3/1である。
【0017】
POおよびEOの付加形態は、ランダム状でもブロック状でも良いが、高い保湿効果を得るには付加形態がランダム状であることが好ましい。BOは、末端にブロック状に付加しており、オキシブチレン基を与える化合物としては、1,2−ブチレンオキシドが好ましい。
これらのオキシアルキレン基を付加させる場合には、通常、相関移動触媒、ルイス酸触媒、アルカリ触媒等を用いて付加反応を行う。一般的には水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用することが好ましい。
【0018】
(B)成分の市販品として、日油株式会社製の「WILBRIDE(登録商標) S−753」(式(I)中、a+bが4.3、cが1であり、POとEOとの質量比(PO/EO)が4/5であるアルキレンオキシド誘導体)等を用いることができる。
【0019】
皮膚化粧料中における(B)成分の含有量は、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜6質量%である。含有量が0.1質量%よりも少ないと、べたつきが生じたり、肌の滑らかさが低下するおそれがある。また含有量が10質量%よりも多いと、べたつきを生じるおそれがある。
【0020】
〔(C)成分:式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体]
(C)成分は、式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体であり、式(II)においてGは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルグリコシドから水酸基を除いた残基であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基である。
x、yおよびzはそれぞれEO、POおよびBOの付加モル数である。xは5〜20であり、好ましくは8〜15、さらに好ましくは6〜10である。yは1〜10であり、好ましくは2〜8、さらに好ましくは4〜5である。zは1〜2であり、好ましくは1である。
EOとPOとの合計含有量に対するEOの含有量の比率は、55〜90質量%であり、好ましくは60〜80質量%、さらに好ましくは65〜70質量%である。EOとPOとがランダム状に付加している。
オキシアルキレン基を付加させる場合には、通常、相関移動触媒、ルイス酸触媒、アルカリ触媒等を用いて付加反応を行う。一般的には水酸化カリウム等のアルカリ触媒を使用することが好ましい。
【0021】
(C)成分の市販品として、日油株式会社製の「WILBRIDE(登録商標) MG−2070」(式(II)中のGがメチルグルコシドから水酸基を除いた残基、xが7.25、yが2.25、zが1であり、EOとPOとの合計質量に対するEOの質量比が71質量%であるアルキレンオキシド誘導体)等を用いることができる。
【0022】
皮膚化粧料中における(C)成分の含有量は、0.1〜10質量%であり、好ましくは0.5〜8質量%、さらに好ましくは1〜6質量%である。含有量が0.1質量%よりも少ないと、きしみ感が生じたり、保湿感、肌のはり、および化粧ノリが低下するおそれがある。また含有量が10質量%よりも多いと、べたつきを生じるおそれがある。
【0023】
〔(D)成分:炭素数が3〜6である2〜4価のアルコール〕
(D)成分は、炭素数が3〜6である2〜4価のアルコールであり、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。中でもグリセリン、1,3−ブチレングリコールが好ましい。これらアルコールのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0024】
皮膚化粧料中における(D)成分の含有量は、0.5〜20質量%であり、好ましくは1〜17質量%、さらに好ましくは5〜14質量%である。含有量が0.5質量%よりも少ないと、きしみ感が生じたり、保湿感、肌の滑らかさが低下するおそれがある。また含有量が20質量%よりも多いと、べたつきが生じるおそれがある。
【0025】
本発明の皮膚化粧料において、(A)成分および(C)成分の含有比〔(A)/(C)〕は質量比で1/2〜1/0.2であり、好ましくは1/1〜1/0.25である。含有比が1/2よりも小さいと、べたつきが生じるおそれがあり、1/0.2よりも大きいと、きしみ感が生じるおそれがある。
【0026】
本発明の皮膚化粧料には、pH調整剤、防腐剤など、化粧料に常用されている他の成分を、本発明の性能を損なわない範囲で、配合することも可能である。
本発明の皮膚化粧料は、水を含有する様々な剤型で調製することができ、例えば、化粧水、ジェル、乳液、クリームなどの剤型を採ることができ、また不織布に含浸させた形態等であっても良い。特に、化粧水やジェル状皮膚化粧料などの油分の配合量が少ない皮膚化粧料がより効果的である。
【実施例】
【0027】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1〜7、および比較例1〜6〕
皮膚化粧料として、表1に示す化粧水を調製した。
なお、表1中の(A)成分は、N−アセチルグルコサミンである(商品名:マリンスウィート(登録商標)F、焼津水産化学工業株式会社製)。
表1中の(B)成分(アルキレンオキシド誘導体)は、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、a+bが4.3、cが1であり、POとEOの含有比(PO/EO)が質量比で4/5であるポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテル(3BO)(8EO)(5PO)である(商品名:WILBRIDE(登録商標) S−753、日油株式会社製)。
表1中の(C)成分(アルキレンオキシド誘導体)は、式(II)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、Gがメチルグルコシドから水酸基を除いた残基、xが7.25、yが2.25、zが1であり、EOとPOとの合計質量に対するEOの質量比が71質量%であり、EOとPOとがランダム状に付加しているポリオキシブチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンメチルグルコシドである(商品名:WILBRIDE(登録商標) MG−2070、日油株式会社製)。
【0028】
20名の女性(25〜40歳)をパネラーとし、得られた化粧水2mLを洗顔後に顔全体に使用し、(1)きしみ感、(2)べたつき、(3)保湿感、(4)肌の滑らかさ、(5)肌のはり、(6)化粧ノリの各項目について評価を得た。その結果を表1に示す。なお、表1中の成分の割合は質量%である。
【0029】
(1)きしみ感
2点:きしみを感じなかった場合。
1点:ややきしみを感じた場合。
0点:きしみを感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。:きしみ感のない皮膚化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上かつ0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。:ほとんどきしみ感のない皮膚化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:きしみ感のある皮膚化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:きしみ感の強い皮膚化粧料である。
【0030】
(2)べたつき
2点:肌になじんだ後に、べたつかなかった場合。
1点:肌になじんだ後に、ほとんどべたつかなかった場合。
0点:肌になじんだ後に、べたついた場合。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。:べたつき感のない皮膚化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上かつ0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。:ほとんどべたつき感のない皮膚化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:べたつき感のある皮膚化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:べたつき感の強い皮膚化粧料である。
【0031】
(3)保湿感
2点:肌が潤っていると感じた場合。
1点:やや肌が潤っていると感じた場合。
0点:肌が潤っていないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。:非常に優れた保湿感が得られる皮膚化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上かつ0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。:優れた保湿感が得られる皮膚化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:保湿感がほとんど得られない皮膚化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:保湿感が全く得られない皮膚化粧料である。
【0032】
(4)肌の滑らかさ
2点:肌が滑らかになったと感じた場合
1点:肌がやや滑らかになったと感じた場合
0点:肌が滑らかにならなかったと感じた場合
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。:肌を滑らかにする効果が非常に優れた皮膚化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上かつ0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。:肌を滑らかにする効果が優れた皮膚化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:肌を滑らかにする効果がほとんど得られない皮膚化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:肌を滑らかにする効果が全く得られない皮膚化粧料である。
【0033】
(5)肌のはり
2点:化粧水の使用後の肌に、はりがでたと感じた場合。
1点:化粧水の使用後の肌に、ややはりがでたと感じた場合。
0点:化粧水の使用後の肌に、はりがないと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。:肌にはりを与える効果が非常に優れた皮膚化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上かつ0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。:肌にはりを与える効果が優れた皮膚化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:肌にはりを与える効果がほとんど得られない皮膚化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:肌にはりを与える効果が全く得られない皮膚化粧料である。
【0034】
(6)化粧ノリ
化粧水の使用後に、指定の化粧下地およびパウダーファンデーションを使用して、化粧ノリについて下記基準で評価した。
2点:化粧ノリが良いと感じた場合。
1点:やや化粧ノリが良いと感じた場合。
0点:化粧ノリが悪いと感じた場合。
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が35点以上であり、かつ0点と評価したパネラーが0人である。:化粧ノリが非常に良好な皮膚化粧料である。
○:合計点が25点以上35点未満、または合計点が35点以上かつ0点と評価したパネラーが1人以上2人以下である。:化粧ノリが良好な皮膚化粧料である。
△:合計点が15点以上25点未満である。:化粧ノリが悪い皮膚化粧料である。
×:合計点が15点未満である。:化粧ノリが非常に悪い皮膚化粧料である。
【0035】
【表1】
【0036】
※1 商品名:WILBRIDE(登録商標) S−753、日油株式会社製
※2 商品名:WILBRIDE(登録商標) MG−2070、日油株式会社製
【0037】
実施例1〜7の評価結果より、本発明の皮膚化粧料である化粧水は、きしみやべたつきを感じ難く優れた使用感を有し、保湿効果に優れ、肌を滑らかに保ち、肌に適度なはりを与え、化粧ノリが良くなる効果を有していることが分かる。
【0038】
一方、比較例1〜6では十分な性能が得られなかった。
比較例1は(A)成分が配合されていないことから、保湿感、肌の滑らかさ、肌のはり、化粧ノリが悪くなっている。
比較例2は(B)成分が配合されていないことから、べたつきが生じ、肌の滑らかさが悪くなっている。
比較例3は(C)成分が配合されていないことから、きしみ感が強く生じ、保湿感、肌のはり、化粧ノリが悪くなっている。
比較例4は(D)成分が配合されていないことから、きしみ感が生じ、保湿感、肌の滑らかさが悪くなっている。
比較例5は(A)/(C)の値が大きいことから、きしみ感が生じている。
比較例6は(A)/(C)の値が小さいことから、べたつきが生じている。
【0039】
以下に、本発明に係る組成物の剤型例を例示する。
[製剤例]ジェル状皮膚化粧料(質量%)
N−アセチルグルコサミン(※1):7
アルキレンオキシド誘導体(※2):3
アルキレンオキシド誘導体(※3):3
1, 3−ブチレングリコール:4.5
グリセリン:3
ポリエチレングリコール:5
(メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー(※4):0.5
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体(※5):0.05
ピーカンナッツエキス:0.5
クロメエキス:1
加水分解コラーゲン:0.1
オキナワモズクエキス:0.1
(アクリレート/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー:0.4
水酸化カリウム:0.09
フェノキシエタノール:0.2
メチルパラベン:0.1
水:残量
【0040】
※1 商品名:WILBRIDE(登録商標) S−753、日油株式会社製
※2 商品名:WILBRIDE(登録商標) MG−2070、日油株式会社製
※3 商品名:マリンスウィート(登録商標)F、焼津水産化学工業株式会社製
※4 商品名:CERACUTE(登録商標)−L、日油株式会社製
※5 商品名:LIPIDURE(登録商標)−PMB(Ph10)、日油株式会社製