【解決手段】開示される方法は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)および多重ポリメラーゼ連鎖反応技術、ならびに鋳型交換伸長反応(TEER)を使用して、点突然変異、切断、または未分化リンパ腫キナーゼの融合の存在を検出する。
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルから、核酸変異、切断、またはALK融合に関連する核酸の存在を検出すること、またはその量を測定することを含み、対照に対する増幅産物または標識プローブの量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する、方法。
前記核酸は、前記サンプルに対して第1の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行うことによりmRNAレベルを測定することによって測定される、請求項1に記載の方法。
前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーおよび少なくとも1つ以上の順方向プライマーの使用を含む、請求項2または3に記載の方法。
前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58である、請求項5に記載の方法。
前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、野生型ALK、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFGL)、TRK融合遺伝子(小)(TFGS)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、またはTRK融合遺伝子(特大)(TFGXL)にハイブリダイズする、請求項4に記載の方法。
前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および配列番号59からなる群から選択される、少なくとも1つの順方向プライマーを含む、請求項7に記載の方法。
2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、または15個以上の順方向プライマーを含む、請求項8に記載の方法。
前記マイクロアレイは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31からなる群から選択される、1つ以上のプローブの使用をさらに含む、請求項4に記載の方法。
前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、請求項11に記載の方法。
前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、請求項11に記載の方法。
鋳型交換および伸長反応(TEER)を使用して、前記組織サンプルから、核酸変異、切断、またはALK融合の存在を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
第2のRT−PCR反応をさらに含み、前記第2のRT−PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマー、および野生型ALKに特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも1つ以上の順方向プライマーの使用を含む、請求項2に記載の方法。
第3のRT−PCR反応をさらに含み、前記第3のRT−PCR反応は、ALKのキナーゼドメインのALK配列5’および3’に特異的にハイブリダイズする順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含む、請求項17に記載の方法。
前記順方向プライマーのうちの少なくとも1つは、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)またはヌクレオフォスミン(NPM)に特異的にハイブリダイズする、請求項18に記載の方法。
ALKキナーゼの調節不全の存在を検出する方法であって、対象から組織サンプルを得ることと、1つ以上のALK融合の有無を検出することと、野生型ALKの有無を検出することと、ALKのキナーゼドメインの有無を検出することと、を含む、方法。
前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、請求項20に記載の方法。
前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、請求項20に記載の方法。
前記ALKポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、RT−PCRまたはマイクロアレイによって検出される、請求項20に記載の方法。
前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマー、および既知のALK融合パートナーに特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも1つ以上の順方向プライマーの使用を含む、請求項26に記載の方法。
前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58である、請求項27に記載の方法。
前記ALK融合パートナーは、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFGL)、TRK融合遺伝子(小)(TFGS)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、またはTRK融合遺伝子(特大)(TFGXL)からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号59からなる群から選択される、少なくとも1つの順方向プライマーを含む、請求項27に記載の方法。
前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、野生型ALKに特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーの使用を含む、請求項26に記載の方法。
前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーの使用を含む、請求項26に記載の方法。
前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
ALKに関連する癌を診断するためのキットであって、(a)第1の検出試薬で標識された第1のプライマーであって、前記第1のプライマーは、逆方向プライマーであり、前記逆方向プライマーは、配列番号1またはその補体のアミノ酸配列をコードする第1のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第1のプライマーと、(b)少なくとも1つの第2のプライマーであって、前記第2のプライマーは、順方向プライマーであり、前記順方向プライマーは、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFGL)、TRK融合遺伝子(小)(TFGS)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、TRK融合遺伝子(特大)(TFGXL)、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)、またはヌクレオフォスミン(NPM)をコードする第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第2のプライマーと、を含む、キット。
前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58である、請求項38に記載のキット。
前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号55、および配列番号59からなる群から選択される、少なくとも1つの順方向プライマーを含む、請求項38に記載のキット。
5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFGL)、TRK融合遺伝子(小)(TFGS)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、TRK融合遺伝子(特大)(TFGXL)、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)、またはヌクレオフォスミン(NPM)のうちの1つ以上に特異的にハイブリダイズする、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、またはそれら以上の順方向プライマーを含む、請求項38に記載のキット。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の化合物、組成物、物質、デバイス、および/または方法を開示および説明する前に、それらは、別途指定のない限り、特定の合成方法もしくは特定の組換えバイオテクノロジーの方法に限定されるものではなく、または別途指定のない限り、特定の試薬に限定されるものではないことを理解されたい:なぜならそのようなものは、当然異なり得るからである。また、本明細書で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明する目的のためのものであって、限定的であることは意図されないことも理解されたい。
【0008】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈が明示的にそうではないと指示しない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、「薬学的担体」への言及は、2つ以上のそのような担体の混合物等を含む。
【0009】
範囲は、本明細書において、「おおよその」ある特定の値から、および/または「おおよその」別の特定の値までとして表すことができる。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を形成することを理解されたい。さらに、各々の範囲の端点は、他の端点に関連して、および他の端点とは無関係に、そのどちらにおいても有意であることを理解されたい。また、本明細書において多くの値が開示され、各値は、その値自体に加えて、「おおよその」その特定の値としても本明細書に開示されることを理解されたい。例えば、「10」という値が開示される場合、「約10」もまた開示される。また、ある値が開示される場合、当業者には適切に理解されるように、「その値以下」「その値以上」、およびその値の間の可能な範囲もまた開示されることを理解されたい。例えば、「10」という値が開示される場合、「10以下」および「10以上」もまた開示される。また、本出願を通して、データは多くの異なる形式で提供され、このデータが終点および始点を表し、データポイントの任意の組み合わせにの範囲を表すことを理解されたい。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10および15よりも大きい、それ以上、それ未満、それ以下、およびそれと等しいことが開示されると見なされ、また10〜15も同様であることを理解されたい。
【0010】
本明細書およびそれに続く特許請求の範囲において、いくつかの用語が言及されるが、それらは以下の意味を有すると定義されるべきである。
【0011】
「任意の」または「任意に」は、その後に記載される事象または状況が起こり得るかまたは起こり得ないことを意味し、その記述は、上記事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含む。
【0012】
「増加」は、対照に対して大量の組成物または化合物(増幅産物等)をもたらす任意の変化を指すことができる。したがって、例えば、増幅産物の量の増加は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の増加を含むことができるが、これらに限定されない。本明細書において、対照に対するDNA、mRNA、またはタンパク質の発現または存在量の増加の検出は、DNA、mRNA、またはタンパク質が対照中に存在しない状況においての、DNA、mRNA、またはタンパク質の存在の検出を必ず含むことが、本明細書においてさらに企図される。
【0013】
「組織サンプルを得ること」または「組織サンプルを得る」とは、対象から組織のサンプルを採取すること、または対象において組織を測定することを意味する。組織サンプルは、侵襲性および非侵襲性の技術を含む当該技術分野で既知の任意の手段によって得られてもよいことが、本明細書において企図されることを理解されたい。また、測定の方法は、直接的または間接的であってもよいことも理解されたい。組織サンプルを得るまたは測定する方法の例は、組織生検、組織洗浄、吸引、綿棒による組織採取、脊椎穿刺、磁気共鳴画像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)走査、陽電子断層撮影(PET)走査、ならびにX線(造影剤を用いるおよび用いない)を含むが、これらに限定されない。
【0014】
DNAの既知の部位における突然変異の高感度検出は、既存の技術を用いて容易に行われる。対立遺伝子特異的プライマーは、そのシグナルが野生型DNAよりも優先的に増幅され得るように、既知の位置における突然変異を標的にするように設計することができる。残念ながら、これは、標的配列の任意の位置(塩基)で生じ得る未知の突然変異に関しては不可能である。
【0015】
ALKに関連する癌を検出する方法
開示される方法は、一態様において、対象における癌等の疾患または状態の存在の検出または診断、癌等の疾患または状態に対する感受性またはリスクを評価すること、癌等の疾患または状態の進行を監視すること、および癌等の疾患または状態の治療的処置に対する感受性または耐性の判定の方法であって、対象由来の組織サンプルからmRNAの存在を検出すること、またはその発現レベルを測定することを含む、方法に関し、対照に対する増幅産物の量の増加は、癌の存在を示唆し、癌は、核酸変異、切断、またはALKの遺伝子融合と関連する。
【0016】
未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)
ALK遺伝子は、ALK(配列番号1)(Genbank寄託番号U62540(ヒトコード配列))と呼ばれる受容体チロシンキナーゼ(RTK)をコードし、通常、中枢神経系および末梢神経系で主として発現される。1620aaのALKポリペプチドは、26aaアミノ末端シグナルペプチド配列を含む1030aa細胞外ドメインと、残基391と401との間に位置する結合部位とを含む。また、ALKポリペプチドは、残基1278、1282、および1283の活性化ループ内の自己リン酸化の原因となる3つのチロシンを含むキナーゼドメイン(残基1116〜1383)を含む。ALKの突然変異は、ALKタンパク質のキナーゼ触媒作用を構成的に活性化することが示されており、調節解除された変異ALKは、次いで、異常な細胞増殖を促進する経路において、下流の細胞シグナル伝達タンパク質を活性化させる。実際に、ALKキナーゼ活性の調節不全をもたらす突然変異は、いくつかの種類の癌と関連する。
【0017】
ALK融合は、このチロシンキナーゼの最も一般的な突然変異を表す。そのような融合は、ヌクレオフォスミン−ALK(NPM−ALK)、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC−ALK)、クラスリン重鎖−ALK(CLTC−ALK)、キネシン1重鎖遺伝子−ALK(KIF5B−ALK);Ran結合タンパク質2−ALK(RANBP2−ALK)、SEC31L1−ALK、トロポミオシン−3−ALK(TPM3−ALK)、トロポミオシン−4−ALK(TPM4−ALK)、TRK融合遺伝子(大)−ALK(TFGL−ALK)、TRK融合遺伝子(小)−ALK(TFGS−ALK)、CARS−ALK、EML4−ALK、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ−ALK(ATIC−ALK)、ALO17−ALK、モエシン−ALK(MSN−ALK)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子−ALK(MYH9−ALK)、およびTRK融合遺伝子(特大)−ALK(TFGXLALK)を含むが、これらに限定されない。6つのALK融合である、CARS−ALK、CLTC−ALK、RANBP2−ALK、SEC31L1−ALK、TPM3−ALK、およびTPM4−ALKが、IMTにおいて同定されている。TPM3−ALK、TPM4−ALK、およびCLTC−ALKの融合は、古典的T細胞またはヌル細胞リンパ腫およびIMT肉腫の両方に検出されている一方で、CARS−ALK、RANBP2−ALK、およびSEC31L1−ALKは、IMTにおいて生じる。CLTC−ALKおよびNPM−ALKはまた、B細胞の形質芽球性/免疫芽球性リンパ腫においても生じる。TPM4−ALKの融合は、食道扁平上皮癌において生じ、ALK融合EML4−ALK、TFG−ALKおよびKIF5B−ALKは、非小細胞肺癌に見られる。EML4−ALKはまた、最近、結腸直腸癌および乳癌においても同定されている。したがって、一態様において、ALKに関連する融合の存在を検出する方法であって、対象由来の組織サンプルからALK融合と関連する核酸の存在を検出すること、またはその量を測定することを含み、核酸の存在または対照に対する核酸の増加はALK融合の存在を示唆する、方法が、本明細書に開示される。
【0018】
ALK融合は、いくつかの既知の癌の種類と関連している。1つ以上のALK融合が、特定の癌と関連し得ることを理解されたい。未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫を含むが、これらに限定されない、ALK融合と関連する数種類の癌が存在することをさらに理解されたい。
【0019】
ALCL。未分化大細胞リンパ腫は、全NHLの約2.5%を占めており、特に小児科年齢群では、全NHLの約13%(全ての小児大細胞リンパ腫の30〜40%)がこの種類である。現在、ALCL患者の研究は、このNHLをALK陽性およびALK陰性のサブセットに分割しており、全ALCLの約60%はALK融合によって引き起こされる。理由は明確ではないが、ALK陽性ALCL患者は、ALK陰性疾患に罹患する患者よりも、CHOPベース、多剤併用型の従来の化学療法後の経過が有意に順調である(全体的な5年生存率は、それぞれ約75%対約35%)。しかしながら、1/3を超える患者が化学療法後に複数回の再発に苦しんでいるため、ALK陽性ALCLの5年間無病生存率はわずか約40%である。
【0020】
ALK+びまん性大細胞型B細胞リンパ腫。2003年に、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(ALK+DLBCL)におけるCLTC−ALKまたはNPM−ALKにという記述で、NHLの非ALCL形態にALK融合が生じることが示された。それらのB系列と一致して、これらのNHLは、細胞質内IgAおよび形質細胞マーカーを発現し、免疫芽細胞の形態を保持する。トランスレーショナルリサーチの研究により、これらのリンパ腫の大部分にt(2;17)およびCLTC−ALK mRNAが認められ、免疫標識によって、CLTC−ALK陽性ALCLに観察されたものと同一の顆粒状ALK染色が確認された。全ての他のALK融合パートナータンパク質については、CLTC−ALKのCLTC部分の自己会合モチーフが、構成的自己会合および融合キナーゼの活性化を媒介してリンパ腫形成を誘発する。ALK+DLBCLは主に成人に生じるが、小児リンパ腫におけるt(2;5)およびNPM−ALK mRNAは、CLTC−ALK陽性の成人B−NHLと表現型的に同一である。全DLBCLの0.5〜1%は、ALK陽性であると考えられている。これらのリンパ腫に罹患する患者は、CHOPベースの治療後に、ALK陰性DLBCL患者と比較して極めて不良な予後を有するため、変異ALKによって引き起こされるDLBCLの同定は重要である:したがって、ALK+DLBCL患者は、ALK標的キナーゼ阻害療法の候補として積極的に考慮されるべきである。
【0021】
ALK+全身性組織球増殖症。ALK融合は、2008年に、別の造血器新生物である全身性組織球増殖症において記載された。早期乳児期に出現する、この以前は性質不明であった組織球増殖症の形態の3症例がALK免疫反応性を呈し、分析した1症例がTPM3−ALKを分子的に発現した。
【0022】
構成的に活性化されたALKの融合が多くの症例における原因機構であることが分かっている前述した血液系腫瘍に加えて、種々の固形腫瘍、いくつかの場合において、非小細胞肺癌、結腸直腸癌および乳癌等の、非常に一般的なヒト腫瘍のサブセットの発生が、異常に活性化されたALKに起因することが最近証明された。
【0023】
炎症性筋線維芽細胞性腫瘍。ALK融合を発現することが発見された最初の非造血器腫瘍は、小児および若年成人(平均診断年齢およそ10歳)の軟組織および内臓における紡錘細胞の増殖である、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)として知られる肉腫である。多くのIMTは緩徐進行型であり、切除により治癒可能である。しかしながら、局所再発性、浸潤性、および転移性のIMTは珍しくなく、現在の化学療法および放射線療法は完全に無効である。IMTの染色体2p23(ALK遺伝子の位置)およびALK遺伝子再構成の関与が、本明細書に開示される。11のIMTのうち7つにALK免疫反応性が示されており、いくつかの症例においてTPM3−ALKおよびTPM4−ALKが同定された。また、IMTにおけるさらに2つのALK融合であるCLTC−およびRanBP2−ALKが同定された。ALK融合はまた、73のIMTにおいて免疫染色法により調べられ、60%(73症例のうち44)がALK陽性であることが明らかになった。したがって、ALKの調節解除は、大部分のIMTにおいて病原的重要性がある。
【0024】
非小細胞肺癌。日本人非小細胞肺癌患者75人のうち5人(6.7%)における新規EML4−ALKキメラタンパク質の転写産物に関する記述により、癌におけるALK融合の役割がさらに拡張された。そのすぐ後に、異なるグループが、中国人肺癌患者137人のうち6人(4.4%)がALK融合(EML4−ALK、3pts;TFG−ALK、1pt;X−ALK)を発現することを発見したことにより、肺癌におけるALK融合の存在が実証された。2つの一般的な主題が浮上した。すなわち1)ALK融合は、主として、腺癌に罹患する患者に生じ(扁平上皮のまたは混在する組織像のALK陽性NSCLCは散見されるが)、主に喫煙暦がほとんどないか全くない個体においてに生じること、および2)ALKの異常は、通常、他の一般的な遺伝的異常(例えば、EGFRおよびKRASの突然変異)を伴わずに生じることである。ALK融合によって引き起こされるNSCLCの正確な割合は、未だに明確ではないが、生物医学文献における報告に基づく推定から約5〜10%の範囲であることが示唆される。
【0025】
食道扁平上皮癌。イラン人患者45人において、プロテオミクスアプローチによって、食道扁平上皮癌(ESCC)において過少出現または過剰出現されたタンパク質が同定された:TPM4−ALKは、それらの過剰出現タンパク質のうちの1つであった。プロテオミクスに基づく2回目のESCCの試験により、この場合は中国人患者においてであるが、これらの腫瘍においてTPM4−ALKも同定された。
【0026】
結腸直腸癌、乳癌。直腸結腸癌、乳癌、および非小細胞肺癌の3つのヒト腫瘍型を、EML4−ALK融合の存在について調査した(この試験では、他のALK突然変異は評価しなかった)。NSCLCにおけるEML4−ALKの発現を確認したことに加えて(調べた106検体のうち12個、11.3%)、乳癌(5/209症例、2.4%)および直腸結腸癌(2/83症例、2.4%)のサブセットがEML4−ALK陽性であった。結腸直腸癌において、既知のEML4−ALK変異体1(E13;A20)および2(E20;A20)の他に、新規変異体(E21;A20)が見つかった。
【0027】
家族性および孤発性神経芽細胞腫におけるALK。神経芽細胞腫は、最も一般的な小児の頭蓋外固形腫瘍であり、発達中の神経堤に由来する。神経芽細胞腫の小さなサブセット(約1〜2%)が、常染色体優性遺伝の家族性素因を示す。ほとんどの神経芽細胞腫患者は、集中的な化学療法および放射線療法にもかかわらず、40%未満の生存確率を伴う侵襲性疾患を有し、この疾患は小児癌死亡率の約15%を占める。ALKは、少数の神経芽細胞腫細胞株における遺伝子増幅の結果として、同様に高レベルの過剰発現に起因して構成的に活性化されることが以前に分かっており、実際に、ALKの増幅は、活性化点突然変異に加えて神経芽細胞腫の約15%に生じる。ALKにおけるこれらのミスセンス変異は、神経芽細胞腫の成長を誘発する活性化突然変異として確認されており、さらに、ALK低分子阻害剤を用いた神経芽細胞腫細胞株のインキュベーションにより、ALK活性化を有するこれらの細胞(野生型ALKの正常レベルの発現を有する細胞株を除く)が強い細胞傷害反応を示すことが明らかになっている。
【0028】
最近の研究は、低分子薬候補を用いたALKのこれらの変異形態の阻害が、この異常な細胞増殖を抑止し、神経芽細胞腫および他のALK誘発性腫瘍の細胞株においてアポトーシスを促進することを実証している。これらの発見は、ALKの突然変異に特化した診断テストすなわち複数の臨床用途を有するであろうテスト―の必要性を浮き彫りにする。例えば、そのようなアッセイは、遺伝性神経芽細胞腫に罹患する家族の子供をスクリーニングするために使用することができ、彼らがもっと治療を受け入れやすいより早期の段階での腫瘍検出を容易にするのに役立つ。ALKによる癌の早期検出および診断は、患者集団における生存率を劇的に増加させる。したがって、一態様において、癌等(例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌)の疾患または状態の存在を検出または診断する方法であって、対象由来の組織サンプルから、核酸変異、切断、もしくはALK融合に関連するDNA、cDNAのレベル、もしくはmRNAの発現の存在を検出すること、またはそのレベルを測定することを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法が、本明細書に開示される。また、疾患または状態に対する感受性またはリスクを評価する、疾患の進行を監視する、または対象における核酸変異、切断、もしくはALK融合と関連する癌の治療的処置に対する感受性または耐性の判定の方法であって、対象の組織サンプルからDNA、cDNAのレベル、もしくはmRNAの発現の存在を検出すること、またはそのレベルを測定することを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法も、本明細書に開示される。
【0029】
よって、一態様において、ALK融合配列の検出は癌の存在を示唆する。したがって、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからmRNAの存在を検出するか、またはその発現レベルを測定することを含み、mRNAはALK融合に特異的であり、対照に対するmRNAの量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法が、本明細書に開示される。
【0030】
ALK融合に関連する癌は、ALKキナーゼ阻害剤で治療することができる。しかしながら、ALKキナーゼ阻剤に耐性を示す癌も発見されている。これらの癌は、家族性および孤発性の癌(例えば、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫)においてALKの点突然変異をさらに含むALK融合物である。ALKの突然変異は、ALKの構成的な活性化をもたらす。したがって、ALKと関連する癌は、これらの活性化点突然変異によって誘発される。チロシンキナーゼ触媒ドメインM1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Q、ならびにV476Aの細胞外ドメインにおける突然変異は、神経芽細胞腫と関連する。R401Q、A1168P、およびV757Mにおける突然変異は、結腸直腸癌において同定された。また、L560Fにおける突然変異は乳癌において、および卵巣癌のA877Sにおいて同定された。したがって、一態様において、癌の存在を検出することは、ALKの配列における点突然変異の検出によって達成される(すなわち、点突然変異を検出することにより、ALKに関連する癌が同定される)。したがって、ALKに関連する癌の存在を検出する方法であって、癌はALKまたは野生型ALKの上方制御に1つ以上の点突然変異をさらに含む方法が、本明細書に開示される。
【0031】
開示されるALK融合はまた、野生型ALKの調節解除を引き起こすことができる。調節不全の野生型ALKは、生成される野生型ALKの増加、およびキナーゼの触媒活性の調節不全をもたらす。代替として、癌は、cMETまたはIGFR等の別の受容体チロシンキナーゼ(RTK)からの主要な分子病理学的特徴を有することができるが、ALKを介したシグナル伝達経路の平行経路活性化によって耐性を生じる。したがって、癌の存在を検出するための別の手段は、野生型ALKの発現の増加の検出によるものである。また、調節領域を欠失する切断された野生型ALK遺伝子は、構成的なALKキナーゼの触媒機能をもたらし得る。したがって、癌の存在を診断する方法であって、切断されたALK配列に関連するmRNAの発現の存在または相対的な増加を検出することを含む方法が、本明細書に開示される。
【0032】
ALKに関連する癌の原因は、野生型ALKまたは既知のALK融合の調節不全のみに起因するのではなく、1つ以上の未同定のALK融合にも起因し得ることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。既知の融合を検出することのみが可能な方法は、ALKのそれまで未知であった融合または突然変異を検出することは不可能である。切断、ALKの核酸変異、またはALK融合の存在だけではなく、野生型ALKおよびALKのキナーゼ活性も検出することによって、当業者は、癌が、野生型ALKの調節不全、既知のALK融合、またはそれまで未同定であったALK融合もしくはALKの突然変異に起因するものであるかどうかを判定することができる。したがって、癌を診断するため、癌に対する感受性もしくはリスクを評価するため、またはALKの調節不全の存在を検出するための方法であって、野生型ALKの存在を検出することをさらに含み、ALKキナーゼの活性の存在を検出することをなおもさらに含む方法が、本明細書に開示される。したがって、例えば、ALKに関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのALK融合物、野生型ALKおよび/またはALKキナーゼドメインに関連する核酸の存在を検出することを含む方法が、本明細書に開示される。
【0033】
mRNAの検出および定量化
本明細書に開示される方法は、例えば、点突然変異もしくは切断の形態である核酸変異の検出、あるいはALK融合の発現、異常な野生型ALKの発現、またはALK切断変異の発現の検出に関する。これらの後者の発現レベルの検出のために、この方法は、mRNAの存在量もしくは存在のいずれか、またはその両方を検出することを含む。したがって、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断するための方法および組成物であって、対象由来の組織サンプルからmRNAの存在またはレベルを測定することを含み、対照に対するmRNAの量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する、方法および組成物が、本明細書に開示される。
【0034】
全RNAまたはポリ(A)RNAサンプル中の特定のmRNAの存在量を検出および判定するために広く使用される多くの手順が存在する。例えば、特定のmRNAは、ノーザンブロット分析、ヌクレアーゼプロテクションアッセイ(NPA)、インサイツハイブリダイゼーション、または逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、およびマイクロアッセイを使用して検出することができる。
【0035】
理論上、これらの技術の各々は、特定のRNAを検出し、それらの発現レベルを正確に判定するために使用することができる。一般に、ノーザン分析が、転写産物のサイズに関する情報を提供する唯一の方法であるのに対し、NPAは、複数のメッセージを同時に調査するための最も容易な方式である。インサイツハイブリダイゼーションは、組織型または細胞型における特定の遺伝子の発現を局在化するために使用され、RT−PCRは、遺伝子発現を検出および定量するための最も高感度な方法である。
【0036】
RT−PCRは、出発物質の不足または特定のmRNAの相対的な存在量にかかわらず、いかなる遺伝子のRNA転写産物の検出も可能にする。RT−PCRでは、レトロウイルスの逆転写酵素を使用して、相補的DNA(cDNA)内でRNA鋳型がコピーされる。次いで、DNAポリメラーゼを使用したPCRによって、cDNAが指数関数的に増幅される。逆転写およびPCR反応は、同じかまたは異なる管内で起こり得る。RT−PCRは、分解RNAにいくらか耐性がある。プライマーによってスパニングされた領域内でRNAが損なわれていない限り、その領域は増幅される。
【0037】
相対定量RT−PCRは、目的の遺伝子と同時に内部標準を増幅させることが関与する。内部標準は、サンプルを正規化するために使用される。一旦正規化されると、サンプル全体にわたって、特定のmRNAの相対的な存在量の直接比較を行うことができる。全ての実験用サンプルにわたって一定の発現レベルを有する(すなわち、実験処置によって影響を受けない)内部標準を選択することが非常に重要である。一般的に使用される内部標準(例えばGAPDH、βアクチン、シクロフィリン)は発現量が変動することが多く、したがって、適切な内部標準とはなり得ない。また、最も一般的な内部標準は、調べたmRNAよりも遥かに高いレベルで発現される。相対RT−PCRの結果が有意であるためには、PCR反応の全ての産物が増幅の線形範囲で分析されなければならない。広く異なる存在量レベルの転写産物にとって、これは困難である。
【0038】
競合RT−PCRは、絶対定量のために使用される。この技術には、サイズまたは配列のわずかな相違によって内因性標的と区別することができる競合RNAを、設計、合成、および正確に定量することが関与する。既知の量の競合RNAが実験サンプルに加えられ、RT−PCRが実行される。内因性標的からのシグナルを競合者からのシグナルと比較して、サンプル中に存在する標的の量を判定する。
【0039】
したがって、一態様において、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCR反応を行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法が、本明細書に開示される。開示される方法は、野生型ALK、ALK融合、およびALKキナーゼドメインの活性を検出するために使用することができるため、または対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する、またはALKキナーゼの調節不全を検出する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対する第1のRT−PCR反応であって、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーであって、ALK融合パートナーに特異的にハイブリダイズする、順方向プライマーと、を含む、第1のRT−PCR反応と、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対する第2のRT−PCR反応であって、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーを含む、第2のRT−PCR反応と、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対する第3のRT−PCR反応であって、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALKキナーゼドメイン配列に特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーを含む、第3のRT−PCR反応と、を行うことを含み、アンプリコンの存在または対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在およびALKキナーゼの調節不全の存在を示唆する方法もまた、本明細書に開示される。具体的には、ALK融合アンプリコンおよびキナーゼドメインアンプリコンの存在は、既知のALK融合の存在を示唆し、野生型アンプリコンおよびキナーゼドメインアンプリコンの存在は、野生型ALKを示唆し、キナーゼドメインアンプリコンの存在は単独で、それまで未同定であったALK融合または変異ALKの存在を示唆する。
【0040】
ノーザン分析は、転写産物のサイズを判定するため、および選択的スプライシング転写産物および多重遺伝子族のメンバーを同定するための最も容易な方法である。これは、ブロット上の全てのサンプル間の所与のメッセージの相対的存在量を直接比較するためにも使用することができる。ノーザンブロット法の手順は単刀直入であり、種々の時点での進行(例えば、RNAサンプルが損なわれていないこと、およびそれがどれだけ効率的に膜に移動されたか)を評価する機会を提供する。RNAサンプルは、最初に、変性条件下で、アガロースゲル上の電気泳動によってサイズごとに分離される。次いで、RNAを膜に移動させ、架橋させ、標識プローブでハイブリダイズする。ランダムプライムドプローブ、ニック翻訳プローブ、またはPCRで作製したDNAプローブ、インビトロ転写RNAプローブ、およびオリゴヌクレオチドを含む非同位体または抗特異性活性放射標識プローブを使用することができる。また、部分的相同性のみを有する配列(例えば、異なる種またはエクソンを含有する可能性のあるゲノムDNA断片由来のcDNA)がプローブとして使用されてもよい。
【0041】
ヌクレアーゼプロテクションアッセイ(NPA)(リボヌクレアーゼプロテクションアッセイおよびS1ヌクレアーゼアッセイの両方を含む)は、特定のmRNAの検出および定量化のための高感度な方法である。NPAの基本となるのは、RNAサンプルに対するアンチセンスプローブ(放射標識または非同位体)の溶液ハイブリダイゼーションである。ハイブリダイゼーション後、一本鎖のハイブリダイズされていないプローブおよびRNAが、ヌクレアーゼによって分解される。残りの保護された断片は、アクリルアミドゲル上で分離される。溶液ハイブリダイゼーションは、通常、膜ベースのハイブリダイゼーションよりも効率的であり、最大20〜30μgのブロットハイブリダイゼーションと比較して、最大100μgのサンプルRNAに対応することができる。NPAはまた、プローブと重複した領域においてのみ開裂が検出されるため、ノーザン分析よりもRNAサンプルの分解に対する感度が低い(プローブは、通常約100〜400塩基長である)。
【0042】
NPAは、いくつかのRNA種の同時検出に最適な方法である。溶液ハイブリダイゼーションおよびそれに続く分析の間、個々のプローブ/標的の相互作用は完全に互いに無関係である。よって、個々のプローブは異なる長さであることを条件として、いくつかのRNA標的および適切な対照を同時にアッセイすることができる(同じ反応において最大12個が使用されている)。NPAはまた、mRNA末端およびイントロン/エクソン接合点を正確にマッピングするために一般的に使用される。
【0043】
インサイツハイブリダイゼーション(ISH)は、細胞または組織における特定のmRNAの局在化のための強力かつ多用途のツールである。ノーザン分析およびヌクレアーゼプロテクションアッセイとは異なり、ISHはRNAの単離または電気泳動による分離を必要としない。プローブのハイブリダイゼーションは、細胞または組織内で行われる。手順を通して細胞構造が維持されるため、ISHは、組織サンプル内におけるmRNAの位置に関する情報を提供する。
【0044】
手順は、中性緩衝ホルマリン中でサンプルを固定させ、組織をパラフィンに包埋することにより開始される。次いで、サンプルを薄片にスライスし、顕微鏡スライド上に載せる(代替として、組織が凍った状態で薄片にし、パラホルムアルデヒド中で後固定することもできる)。薄片を脱脂および再水和するための一連の洗浄後、プローブの到達性を高めるためにプロテイナーゼKによる消化を行い、次いで、標識されたプローブをサンプル薄片とハイブリダイズさせる。放射標識プローブは、スライド上で乾燥させた液膜で可視化される一方で、非同位体的に標識されたプローブは、比色分析または蛍光試薬で簡便に検出される。
【0045】
配列決定技術の限界、特に感度のために、未知の突然変異のための数多くの走査技術が長年にわたって開発されてきている:変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC)(XiaoおよびOefner,2001)、塩基切断配列走査(BESS)、一本鎖高次構造多型(SSCP)(Orita et.al.,1989)、ヘテロ二本鎖分析(HA)(Nagamine et.al.1989)、コンフォメーション高感度ゲル電気泳動(CSGE)(GangulyおよびProckop,1995;Ganguly et.al.1993)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)(FoddeおよびLosekoot,1994)、変性剤定濃度ゲル電気泳動(CDGE)(Hovig et al.1991)、経時的温度勾配ゲル電気泳動(TTGE)(Chen et.al.1999)、ミスマッチの化学切断(Cotton et al.1988;Tabon et al.2006)、ミスマッチの酵素切断(Winter et al.,1985;Myers et al.1985)およびミスマッチ修復酵素(OldenburgおよびSiebert,2000;Babon et.al.1999;Youil et. al.1996;Brow et.al.1996;Lu and Hsu,1992)。これらの技術は、以下の限界のうちの1つ以上を有するため、広範囲には使用されていない:自動化するのが面倒、困難である(低スループット)、感度が低い、または再現するのが困難である。最新の点突然変異アッセイは、標的遺伝子の部位における既知の点突然変異の検出に重点を置いている。しかしながら、ALKのような遺伝子には、DNAの大きな領域全体に自発的点突然変異が生じるため、数百個の塩基対を走査できる技術が必要となる。いくつかの未知の点突然変異技術が開発されているが、そのほとんどまたは全てが、稀な遺伝子突然変異の検出に使用することを不可能にする限界を有する。
【0046】
対照的に、鋳型交換および伸長反応(Template Exchange and Extension Reaction:TEER(商標))は、その後半の工程において、選択的増幅を使用して稀なおよび未知の突然変異の検出感度を増加させる。この利点は、疾患を早期に検出する能力、ならびに、癌が進行および変異し続けるにつれて、さらなる突然変異による変化の蓄積を監視する能力を意味する。さらに、TEER(商標)は、リアルタイムPCR、フラグメント分析、および電気泳動を含む複数のプラットフォームに適応可能である。例えば、TEER(商標)は、混入する非腫瘍細胞由来の正常DNAの存在量を含有する混合臨床サンプル検体の稀なALK活性化点突然変異の、サンプル収集から始まってエンドポイント検出まで適応可能である。全体のプロセスは、約5.5時間で完了することができる。
【0047】
TEER(商標)プラットフォームは、5つの基本工程からなる。1.固相捕捉精製のための配列決定蛍光フルオレセイン(FAM)タグおよびビオチンタグを含有する対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドを、稀なまたは新規の突然変異を含有する最初のALK270bp鋳型のPCR増幅に使用する。2.アンプリコンを熱変性させ、次いで、変性させた野生型ALK鋳型とともにハイブリダイズさせて鋳型交換を起こす。3.次いで、単鎖ヌクレアーゼCEL1を用いて、存在するあらゆるミスマッチヌクレオチドを酵素的に切断する。4.切り出したミスマッチ塩基を含有するDNA鎖をTaqポリメラーゼで伸長させる。5.次いで、特異的RT−PCRプライマーを使用して、伸長させた鋳型の5’領域のみを検出する。TEER(商標)増幅と定量化を組み合わせることにより、高スループットおよび高感度の検出が可能となる。伸長したTEER(商標)精製鋳型上にのみ存在する固有の逆方向プライマー部位を使用して、存在する(または存在しない)あらゆる潜在的な突然変異を増幅および定量する。初期順方向プライマー上のビオチン化オリゴ捕捉配列を使用して、混入する野生型鋳型に由来する背景を最小限に抑え、Exo IIIを使用して相補性3’または5’末端を含有するあらゆる二本鎖の二重鎖を消化する(米国特許第6,150,105号、鋳型交換および伸長反応の教示のために、その全体が本明細書に組み込まれる)。
【0048】
TEER(商標)プロセスは、本来、悪性細胞および組織由来の鋳型において未発見の遺伝子多型を検出するための高スループットツールとして、腫瘍学分野における必要性に対応するように開発された。TEER(商標)は、最初にポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて実証された。TEER(商標)は、対照の未変異DNA鋳型と比較して、稀な、既知の、または新規の突然変異を含有し得るDNA鋳型中の遺伝的変異を検出するように設計される。TEER(商標)は、配列決定産物はそれらが産生される鋳型に固有であるという事実に基づいて、潜在的に突然変異を含有する「未知の」DNA鋳型を、突然変異を持たないことが確認された鋳型と比較するために使用した。配列産物におけるいずれの変化も未知のDNA鋳型における遺伝的突然変異に反映され、ゲル電気泳動によって可視化することができた。最近になって、TEER(商標)プロセスは、高スループット分析および使い易さの向上を可能にするために、固相マイクロタイター検出プラットフォームに適合された。ビオチン化PCR産物を産生するように、対照および「未知の」DNA鋳型が5’ビオチン化プライマーを用いて増幅された。その後、ホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖DNAが、対照および「未知の」DNA鋳型からのPCRアンプリコンのハイブリダイゼーションによって形成された。ハイブリダイゼーション後、ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロプレートウェルへのコンジュゲーションを介してホモ二重鎖およびヘテロ二重鎖DNAを固相に結合したため、TEER(商標)プロセスの全工程を容易に行うことができるようになり、サンプルの取扱いおよび処理が大幅に簡素化された。TEER(商標)プロセスは、修飾された対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションアッセイであり、高スループットおよび高感度のためにリアルタイムPCRプラットフォームと複合化することができる。
【0049】
DNAの検出および定量化
本明細書に開示される方法は、例えば、点突然変異および切断の形態の核酸変異の検出、またはALK融合の発現、異常な野生型ALKの発現、もしくはALK切断変異の発現の検出に関する。これらの後者の発現レベル検出のために、方法は、mRNAの存在量もしくは存在のいずれかまたは両方を検出することを含む。代替として、検出は、DNA、例えばcDNAの存在量または存在を対象とすることもできる。したがって、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断するための方法および組成物であって、対象由来の組織サンプルからのDNAの存在またはレベルを測定することを含み、対照に対するDNAの量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法および組成物が、本明細書に開示される。
【0050】
サンプル中の特定のDNAの存在量を検出および判定するために広く使用される多くの手順が存在する。例えば、PCRの技術は、微量の標的核酸の増幅およびその後の検出を可能にする。PCRの詳細については、当該技術分野において十分に記載されており、例えば、Mullis et al.に対する米国特許第4,683,195号、Mullis et al.に対する第4,683,202号、Mullis et al.に対する第4,965,188号を含む。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーを標的核酸の変性鎖にアニーリングし、ポリメラーゼによるデオキシヌクレオシドトリホスフェートの重合によりプライマー伸長産物を形成する。典型的なPCR法は、鋳型核酸の変性、プライマーのアニーリング、および耐熱性ポリメラーゼの作用によるアニーリングされたプライマーの伸長、のサイクルを繰り返すことを含む。このプロセスにより、標的核酸の指数関数的な増幅がもたらされ、サンプル中に極微量で存在する標的の検出が可能になる。例えば、定量PCR(QPCR)、マイクロアレイ、リアルタイムPCT、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、対立遺伝子特異的PCR、およびタッチダウンPCR等の、開示される方法において利用されてもよい、様々な当該技術分野で既知のPCR法が存在することを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。
【0051】
マイクロアレイ
アレイは、整然と配置されたサンプルであり、塩基対形成の原則に基づいて既知および未知のDNAサンプルを一致させるための媒体を提供し、未知のDNAを同定するプロセスを自動化する。アレイ実験は、マイクロプレートまたは標準的なブロッティング膜等の一般的なアッセイ系を利用することができ、手で作製することができるか、またはサンプルを置くためにロボット工学を利用することができる。一般に、アレイは、マクロアレイまたはマイクロアレイと記載され、その違いはサンプルスポットのサイズである。マクロアレイは、約300ミクロン以上のサンプルスポットサイズを含み、既存のゲルおよびブロットスキャナーにより容易に画像化することができる。マイクロアレイのサンプルスポットサイズは、300ミクロン以下であってもよいが、典型的には200ミクロン未満の直径であり、これらのアレイは、通常、数千のスポットを含む。マイクロアレイは、特別なロボット工学および/または画像化設備を必要とし、一般に、それは完全なシステムとしては市販されていない。この技術を説明するために文献で使用されてきた用語は、バイオチップ、DNAチップ、DNAマイクロアレイ、GeneChip(登録商標)(Affymetrix,Inc.の高密度オリゴヌクレオチドベースのDNAアレイを指す)、および遺伝子アレイを含むが、これらに限定されない。
【0052】
DNAマイクロアレイまたはDNAチップは、一般的にはガラスまたはナイロン基板上に、高速ロボットによって製造され、既知の同一性を有するプローブを使用して相補的な結合を測定し、それによって超並列型遺伝子発現および遺伝子発見の調査を可能にする。単一のDNAチップを用いる実験が、何千という遺伝子に関する情報を同時に提供することができる。開示されるマイクロアレイは、遺伝子発現、疾患の診断、遺伝子の発見、創薬(薬理ゲノミクス)、および毒物学的研究または毒性ゲノミクスを監視するために使用できることが本明細書において企図される。
【0053】
既知の同一性を有するアレイ化されたDNA配列の特性という観点から、DNAマクロアレイ技術には2つの変形がある。I型マイクロアレイは、プローブcDNA(500〜5,000塩基長)を備え、それはロボットによるスポッティングを用いてガラス等の個体表面に固定され、別個にまたは混合物中においてのいずれかで、一連の標的に曝露される。この方法は、伝統的にDNAマイクロアレイと称される。I型マイクロアレイを用いて、1つ以上のポリヌクレオチド配列の局在的な複数のコピー、好ましくは単一のポリヌクレオチド配列のコピーが、基板表面の複数の所定領域上に固定される。ポリヌクレオチドとは、5〜10,000ヌクレオチドの範囲のヌクレオチドの鎖を指す。これらの固定化されたポリヌクレオチド配列のコピーは、ハイブリダイゼーション実験においてプローブとして使用するのに好適である。
【0054】
固定化されたプローブでコーティングされたビーズを調製するために、所望のプローブ配列を含む溶液にビーズを浸漬し、次いで、共有結合的または非共有結合的な手段によってビーズ上に固定する。代替として、プローブがロッド上に固定化される場合、所与のプローブは、ロッドの所定領域にスポットされてもよい。典型的なディスペンサーは、基板に対するマイクロピペットの位置を制御するためのロボットシステムを用いて基板に溶液を送達するマイクロピペットを含む。試薬が反応領域に同時に送達され得るように、多数のディスペンサーが存在してもよい。一実施形態において、マイクロアレイは、圧電作用に基づくインクジェット技術を用いることにより形成され、それによってオリゴヌクレオチド合成試薬等の目的の液体を収容する細い管が、アダプタによって取り囲まれる。アダプタを横切って送られる電荷は、管とは異なる比率でアダプタを拡張させ、基板上に液体の小滴が載るようにする。
【0055】
サンプルは、目的のポリヌクレオチド(ポリヌクレオチド標的)を含有する任意のサンプルであり得、任意の体液(血液、尿、唾液、痰、胃液等)、培養細胞、生体組織、または他の組織調製物から得られる。DNAまたはRNAは、当業者に周知の多くの方法のうちのいずれかに従ってサンプルから単離することができる。一実施形態において、全RNAは、TRIzol全RNA単離試薬(Life Technologies,Inc.,、Rockville,Md.)を用いて単離され、RNAは、オリゴd(T)カラムクロマトグラフィーまたはガラスビーズを用いて単離される。ハイブリダイゼーションおよびプロセッシングの後、得られたハイブリダイゼーションシグナルは、サンプルに加えられた対照標的ポリヌクレオチドの量を正確に反映するはずである。
【0056】
基板上の複数の所定領域は、種々の形式で配置することができる。例えば、領域は、ケーシングの長さに垂直または平行に配置されてもよい。さらに、標的は、その基板に直接結合されなくてもよく、むしろリンカー基を介してその基板に結合することができる。リンカー基は、典型的には約6〜50原子の長さまで変動し得る。リンカー基は、エチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二価酸等を含む。基板表面上の反応基は、リンカーの末端部分の一方と反応してリンカーを基板に結合させる。次いで、リンカーの他方の末端が官能化されてプローブを結合させる。
【0057】
サンプルのポリヌクレオチドは、1つ以上の標識部分で標識され、ハイブリダイズしたプローブ/標的ポリヌクレオチド複合体の検出を可能にする。標識部分は、分光学的、光化学的、生化学的、生物電子工学的、免疫化学的、電気的、光学的、または化学的な手段によって検出され得る組成物を含むことができる。標識部分は、放射性同位体(32P、33Pまたは35S等)、化学発光化合物、標識された結合性タンパク質、重金属原子、分光学的マーカー(蛍光マーカーおよび色素)、磁気標識、結合酵素、質量分析タグ、スピン標識、電子輸送のドナーおよびアクセプター、ビオチン等を含む。
【0058】
標識化は、増幅反応(ポリメラーゼ連鎖反応ならびにインビトロおよびインビボ転写反応等)の間に実行することができる。代替として、標識部分は、一旦、プローブ−標的複合体が形成されてから、ハイブリダイゼーション後に組み込まれてもよい。一実施形態において、ビオチンは、上記のように、増幅工程の間に最初に組み込まれる。ハイブリダイゼーション反応後、結合しなかった核酸が洗い流され、基板に結合した状態で残ったビオチンのみが、ポリヌクレオチドプローブにハイブリダイズされた標的ポリヌクレオチドに結合したビオチンとなる。次いで、ビオチンに高い親和性で結合するアビジン結合体化フルオロフォア(アビジン‐フィコエリトリン等)が加えられる。
【0059】
ハイブリダイゼーションは、ポリヌクレオチドプローブおよび相補的な標的が、塩基対形成を介して安定した二重鎖を形成させるようにする。ハイブリダイゼーションの方法は当業者に周知である。ハイブリダイゼーションのためのストリンジェントな条件は、塩濃度、温度、ならびに他の化学物質および条件によって定義することができる。ハイブリダイゼーションの時間、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、SDS)または溶媒(ホルムアミド)の濃度、およびキャリアDNAの組み込みまたは除外等の、様々な追加のパラメータは、当業者に周知である。これらの条件に対するさらなる変動は、当業者に容易に理解されるであろう。
【0060】
複合体の形成を検出するための方法は、当業者に周知である。一実施形態において、ポリヌクレオチドプローブは蛍光標識を用いて標識され、複合体形成のレベルおよびパターンの測定は、蛍光顕微鏡、好ましくは、共焦点蛍光顕微鏡によって達成される。アルゴンイオンレーザーが蛍光標識を励起し、放射が光電子増倍管に方向付けられ、放射光の量が検出および定量される。検出されたシグナルは、マイクロアレイの各位置におけるプローブ/標的ポリヌクレオチド複合体の量に比例するはずである。蛍光顕微鏡をコンピュータによるスキャナデバイスと合わせて、ハイブリダイゼーション強度の定量的二次元画像を作成することができる。走査された画像を調べて、それぞれのハイブリダイズした標的ポリヌクレオチドの存在量/発現レベルを決定する。
【0061】
差次的なハイブリダイゼーション実験では、2つ以上の異なる生物学的サンプル由来のポリヌクレオチド標的が、異なる発光波長を有する2つ以上の異なる蛍光標識によって標識される。蛍光シグナルは、特定の波長を検出するように設定された異なる光電子増倍管を用いて別々に検出される。2つ以上のサンプル中の標的ポリヌクレオチドの相対的な存在量/発現レベルが得られる。典型的には、1つより多くのマイクロアレイが同様の試験条件下で使用される場合、ハイブリダイゼーション強度の変化を考慮に入れるようにマイクロアレイの蛍光強度を正規化することができる。一実施形態において、個々のポリヌクレオチドプローブ/標的複合体のハイブリダイゼーション強度は、各マイクロアレイ上に含まれる内部正規化対照の強度を用いて正規化される。
【0062】
II型マイクロアレイは、インサイチュ(チップ上)または従来の合成によって合成され、その後チップ上に固定される、オリゴヌクレオチド(20〜80merのオリゴ)またはペプチド核酸(PNA)プローブのアレイを備える。アレイは、標識されたサンプルDNAに曝露され、ハイブリダイズされ、そして相補的配列の同一性/存在量が決定される。「歴史的に」DNAチップと称されるこの方法は、Affymetrix,Inc.で開発されたものであり、同社はGeneChip(登録商標)の商標でフォトリソグラフィを用いて製造された製品を販売している。
【0063】
遺伝子発現のためのII型アレイの使用の基本概念は単純である:実験サンプルのmRNA由来の標識されたcDNAまたはcRNAが、固体支持体に結合された核酸プローブにハイブリダイズする。各DNAの位置と関連する標識の量をモニタリングすることによって、示される各mRNA種の存在量を推測することが可能である。ハイブリダイゼーションは、核酸を検出および定量するために何十年間も使用されてきたが、技術の小型化と膨大かつ増え続ける配列情報の量とが相まって、遺伝子発現を調査できる規模が膨大に拡張された。
【0064】
マイクロアレイの製造は、5インチ平方の石英ウエハから開始することができる。最初に、確実にその表面全体を均一にヒドロキシル化するために石英が洗浄される。石英は自然の状態でヒドロキシル化されているため、後にアレイ上にプローブを配置するために使用されるリンカー分子等の化学物質の結合のための優れた基板を提供する。
【0065】
ウエハはシランの入った槽に入れられ、シランは石英のヒドロキシル基と反応して、共有結合分子のマトリクスを形成する。これらのシラン分子間の距離が、プローブの充填密度を決定し、アレイが、わずか1.28平方センチメートル以内に500,000を超えるプローブの位置または特徴を保持することを可能にする。これらの特徴の各々は、数百万という同一のDNA分子を保有する。シランフィルムは、プローブの組立てを開始するための均一なヒドロキシル密度を提供する。シランマトリクスに結合したリンカー分子は、光によって空間的に活性化され得る表面を提供する。
【0066】
プローブの合成は並行して行われ、結果として複数の成長する鎖にA、C、T、またはGのヌクレオチドを同時に付加する。各工程でどのオリゴヌクレオチド鎖がヌクレオチドを受け取るかを規定するために、個々の特徴の寸法に対応する18〜20平方ミクロンのウィンドウを有するフォトリソグラフィマスクが、コーティングされたウエハに乗せられる。ウィンドウは、各プローブの所望の配列に基づいてマスクの上に分布される。合成の最初の段階でマスクに紫外線が照射されると、曝露されたリンカーが脱保護され、ヌクレオチドのカップリングに使用可能となる。
【0067】
一旦、所望の特徴が活性化されると、除去可能な保護基を有する1種類のデオキシヌクレオチドを含有する溶液が、ウエハ表面にフラッシングされる。ヌクレオチドは、活性化されたリンカーに結合し、合成プロセスを開始する。
【0068】
オリゴヌクレオチドの配列におけるそれぞれの位置は、4つのうち1つのヌクレオチドに占められ得るため、ウエハあたり25×4、つまりは100の異なるマスクを必要とするように見えるが、合成プロセスは、この所要量を大幅に低減するように設計することができる。マスクの使用を最小減に抑えるのに役立つアルゴリズムは、同じマスクが複数回使用され得る場合、個々のプローブの合成速度を調節し、状況を確認することによって、プローブの成長を最適に調整する方法を計算する。
【0069】
選択および設計の重要な要素のうちのいくつかは、それらが意図される用途とは関係なく、全てのマイクロアレイの製造に共通する。プローブのハイブリダイゼーションを最適化するためのストラテジーは、例えば、プローブ選択のプロセスに常に含まれる。特定のpH条件、塩条件、および温度条件下でのハイブリダイゼーションは、融解温度を考慮し、所望のハイブリダイゼーション挙動と相関する経験則を用いることにより最適化することができる。
【0070】
遺伝子活性の全体像を得るために、複数のスプライシング変異体またはポリアデニル化変異体によって共有される領域からいくつかのプローブが選択される。他の場合において、変異体を区別する固有のプローブが好ましい。プローブ間の距離もまた、選択プロセスに考慮される。
【0071】
配列中の個々のヌクレオチドを調査するために、異なる一連のストラテジーを用いて、複数のプローブに依存するアレイを遺伝子型決定するためのプローブを選択する。標的塩基が何であるかは、標的位置においてのみ変化する4つの同一のプローブ(それぞれが、考えられる4つの塩基のうちの1つを含む)を用いて推定することができる。
【0072】
代替として、特異的対立遺伝子を表す2つ以上のプローブを用いて、コンセンサス配列の存在を検査することができる。ヘテロ接合性にまたは遺伝的に混合されたサンプルを遺伝子型決定するために、多くのプローブを有するアレイを作製して冗長な情報を提供することができ、明確な遺伝子型決定がなされる。また、順応性を最大化するために、いくつかの用途では包括的なプローブを使用することができる。いくつかのプローブアレイは、例えば、単一ヌクレオチド多形(SNP)を同定するためにいくつかのプロトコルにおいて使用されるような複合混合物からの、個々の反応産物の分離および分析を可能する。
【0073】
リアルタイムPCR
リアルタイムPCRは、エンドポイント検出とは対照的に、各PCRサイクルの間に(すなわち、リアルタイムで)、アンプリコン生成の指標として反応中に発光される蛍光をモニタリングする。リアルタイムでの反応の進行は、いくつかのシステムで観察することができる。リアルタイムPCRは、アンプリコンのサイズを検出しないため、DNA増幅とcDNA増幅の区別はできないが、SYBRグリーンが使用されない限り、非特異的増幅による影響を受けない。リアルタイムPCR定量は、PCR産物のPCR後のプロセッシングを排除する。これは、スループットを増加させ、キャリーオーバー汚染の可能性を減少させるのに役立つ。リアルタイムPCRはまた、最大107倍の広いダイナミックレンジを提供する。いずれのアッセイのダイナミックレンジも、どれだけ標的濃度が異なり得るか、それでも定量され得るかを決定する。広いダイナミックレンジは、等しい感度および特異性で、幅広い範囲の比率の標的および正規化手段がアッセイ可能であることを意味する。当然、ダイナミックレンジが広い程、定量がより正確になる。RT−PCRと組み合わせると、リアルタイムRT_PCR反応は、増幅プロセスが進行するにつれてアンプリコンの可視化を提供することにより、アンプリコンの量を測定するために必要な時間を短縮する。
【0074】
リアルタイムPCRシステムは、蛍光性レポーターの検出および定量化に基づいている。このシグナルは、反応におけるPCR産物の量に正比例して増加する。各サイクルで蛍光発光の量を記録することにより、指数期の間にPCR反応を監視することが可能であり、PCR産物の量の初期の有意な増加は、標的鋳型の初期量と相関する。核酸標的の開始時のコピー数が多い程、蛍光の有意な増加がより早く観察される。3〜15サイクルの間に測定されたベースライン値を超える蛍光の有意な増加は、PCR産物の蓄積の検出を示唆し得る。
【0075】
固定蛍光閾値は、操作者が変更できるベースラインよりも有意に上に設定される。パラメータCT(閾値サイクル)は、蛍光発光が固定閾値を越えるサイクル数として定義される。
【0076】
DNA増幅のための3つの主要な蛍光モニタリングシステムがある:(1)加水分解プローブ、(2)ハイブリダイズするプローブ、および(3)DNA結合剤。加水分解プローブは、TaqManプローブ、分子ビーコン、およびスコーピオンを含む。それらは、Taqポリメラーゼの蛍光発生5’エキソヌクレアーゼ活性を使用して、cDNAサンプル中の標的配列の量を測定する。
【0077】
TaqManプローブは、通常、5’塩基上に蛍光色素、そして典型的には3’塩基上に消光色素(通常はTAMRA)を含有する、プライマーより長い(20〜30塩基長、10℃高いTm値)オリゴヌクレオチドである。照射されると、励起された蛍光色素は、蛍光を発するのではなく、近くの消光色素分子にエネルギーを伝達する(これは、FRET=フェルスターまたは蛍光共鳴エネルギー転移と呼ばれる)。したがって、プローブが損なわれない間は、レポーターと消光剤が近接することにより、あらゆる蛍光の発光を防ぐ。TaqManプローブは、PCR産物の内部領域にアニーリングするように設計される。ポリメラーゼが、TaqManプローブが結合された鋳型を複製する場合、その5’エキソヌクレアーゼ活性によりプローブが切断される。これにより、消光剤の活性が停止され(FRETなし)、レポーター色素が蛍光を発光し始め、各サイクルでプローブ切断の割合に比例して増加する。PCR産物の蓄積は、レポーター色素の蛍光の増加をモニタリングすることによって検出される(プライマーは標識されないことに留意されたい)。TaqManアッセイは、普遍的な熱サイクルパラメータおよびPCR反応条件を使用する。プローブが標的にハイブリダイズする場合にのみ切断が生じるため、検出された蛍光の由来は特異的増幅である。ハイブリダイゼーションおよび切断のプロセスは、産物の指数関数的な蓄積を妨害しない。蛍光発生プローブのための1つの特定の要件は、5’末端にGがないということである。レポーター色素に隣接する「G」は、たとえ切断の後であってもレポーター蛍光を消光し得る。
【0078】
分子ビーコンもまた、いずれかの末端に蛍光色素(FAM、TAMRA、TET、ROX)および消光色素(典型的にはDABCYL)を含有するが、蛍光色素と消光剤を密接に近接させてFRETを生じさせるように、溶液中に遊離している間はヘアピン構造を採るように設計される。それらは、非常に安定したハイブリッドまたはステムを形成する相補的な配列を有する2本のアームを有する。このヘアピン構成におけるレポーターと消光剤の近接は、レポーター蛍光を抑制する。アニーリング工程の間にビーコンが標的にハイブリダイズする場合、レポーター色素は消光剤から分離され、レポーターが蛍光を発する(FRETは生じない)。PCRの間、分子ビーコンは損なわれないままであり、蛍光発光のためのすべてのサイクルで標的に再結合しなければならない。これは、利用可能なPCR産物の量と相関する。SYBRグリーンが使用される場合は、プラットフォームが融解曲線分析に好適である限り、スペクトル的に固有の蛍光/消光対を備えた各プローブ/ビーコンを設計することにより、全てのリアルタイムPCRの化学的性質のために複数のDNA種の検出(多重化)が可能となる。多重化することによって、標的(複数可)および内因性対照を単一試験管内で増幅することができる。
【0079】
スコーピオンプローブを用いると、配列特異的なプライミングおよびPCR産物の検出が、単一のオリゴヌクレオチドを使用して達成される。スコーピオンプローブは、ハイブリダイズしていない状態でステムループ構成を維持する。蛍光団は、5’末端に結合し、3’末端に連結された部分により消光される。ステムの3’部分は、プライマーの伸長産物に相補的な配列も含む。この配列は、増幅不可能なモノマーを介して特異的プライマーの5’末端に結合される。スコーピオンプライマーの伸長後、特異的プローブ配列は、伸長したアンプリコン内のその相補物に結合することが可能であり、そうすることでヘアピンループが開く。これにより蛍光の消光を防ぎ、シグナルが観察される。
【0080】
他の代替例は、二本鎖DNA結合色素化学であり、配列非特異的な蛍光挿入剤(SYBRグリーンIまたは臭化エチジウム)の使用によって、アンプリコンの生成(非特異的増幅およびプライマー二量体複合体を含む)を定量する。それはssDNAに結合しない。SYBRグリーンは、溶液中ではほとんど蛍光を示さないが、二本鎖DNAに結合すると強い蛍光シグナルを発する、副溝に結合する蛍光発生色素である。SYBRグリーンに基づくリアルタイムPCRの欠点は、広範囲な最適化を必要とすることを含む。さらに、非特異的増幅は、アンプリコン同定のための追跡アッセイ(融点曲線または解離分析)を必要とする。この方法は、HFE−C282Y遺伝子型決定において使用されてきている。他の制御可能な問題は、アンプリコンが長いほど、より強いシグナを生成するということである(他の要因と組み合わされた場合に、これはCDCカメラの飽和を引き起こす可能性がある。以下を参照のこと)。
通常、SYBRグリーンは、シングルプレックス反応において使用されるが、融点分析と組み合わせると多重反応に使用することができる。
【0081】
閾値サイクルまたはCT値は、ΔRnの有意な増加が最初に検出されるサイクルである(ΔRnの定義については以下を参照のこと)。閾値サイクルとは、システムが対数線形位相(log−linear phase)の間にPCR産物の指数関数的な増加に関連したシグナルの増加を検出し始めるときである。この相は、反応に関する最も有用な情報を提供する(エンドポイントよりも確実に重要である)。対数線形位相の勾配は増幅効率を反映する。反応の効率(Eff)は、以下の式によって計算することができる:Eff=10(−1/勾配)1。PCRの効率は、90〜100%(3.6>勾配>3.1)であるべきである。多くの変数がPCRの効率に影響を与え得る。これらの因子は、アンプリコンの長さ、二次構造、およびプライマーの品質を含む。効率範囲外に属する有効データを得ることができるが、qRT−PCRがさらに最適化されるか、または代替のアンプリコンが設計されるべきである。勾配が実際の増幅(信号ドリフトではなく)の指標となるためには、変曲点がなければならない。これは対数線形位相が始まる時の増加曲線上の点である。変曲点はまた、増加曲線に沿った最も大きな変化率も表わす。(信号ドリフトは、産物の増幅のない蛍光の漸増または漸減によって特徴付けられる。)定量化のための重要なパラメータはCTである。ゲノムDNAの初期量が高い程、蓄積された生成物がPCRプロセスにおいてより早く検出され、CT値がより低くなる。閾値は、いかなるベースライン活性よりも上で、かつ指数関数的な増加位相内に置かれるべきである(対数変換において直線状に見える)。いくつかのソフトウェアは、増加曲線の数学的分析によってサイクル閾値(CT)の決定を可能にする。これは、より良好な実験ごとの再現性を提供する。CT値40は、増幅がないことを意味し、この値を計算に含めることはできない。定量化に用いられることに加えて、CT値は、合格/不合格の尺度として定性分析に使用することができる。
【0082】
別個の発光波長の複数の色素を使用して、多重TaqManアッセイを行うことができる。この目的のために利用可能な色素は、FAM、TET、VIC、およびJOE(最も高価)である。TAMRAはプローブ上で消光剤として、またROXはパッシブリファレンスとして確保される。最良の結果のために、FAM(標的)およびVIC(内因性対象)の組み合わせが推奨される一方で(それらは最大発光に最も大きな差を有する)、JOEおよびVICは組み合わされるべきではない。色素層が正確に選択されていないと、機械が他の色素のスペクトルを読み取るので、これは重要である。例えば、VICおよびFAMの両方が互いに同様の範囲の蛍光を発するため、単一の色素を使用する場合は、ウェルに正確に印をつけるべきである。多重化の場合には、実験後の分析のためのスペクトル補償を行うべきである(ABI7700:インスツルメント/診断/アドバンスオプション/その他)。スペクトル補償の活性化は、色素スペクトルの分解能を向上する。
【0083】
ネステッドPCR
開示される方法は、さらにネステッドPCRを用いることができる。ネステッドPCRは、DNAの非特異的増幅による背景を減少することによって、DNA増幅の特異性を増加させる。2つの連続的なPCRにおいて、2組のプライマーが使用される。第1の反応では、一対のプライマーを使用してDNA産物を産生するが、これは意図する標的の他に、非特異的に増幅させたDNA断片から依然としてなり得る。次いで、産物(複数可)は、第1の反応で使用したプライマーの各々とは結合部位が完全にまたは部分的に異なり、3’に位置する1組のプライマーとともに、第2のPCRに使用される。ネステッドPCRは、従来のPCRよりも長いDNA断片を特異的に増幅する際により高い成果を上げることが多いが、標的配列についてのより詳細な知識を必要とする。
【0084】
したがって、一態様において、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのDNAに対してPCR反応を行うことを含み、PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する、方法が、本明細書に開示される。
【0085】
プライマーおよびプローブ
本明細書で使用される場合、「プライマー」は、特定の種類の酵素的操作を支持することが可能であり、酵素的操作が生じ得るように標的核酸にハイブリダイズすることができる、プローブのサブセットである。プライマーは、酵素的操作を妨害しない、当該技術分野で利用可能なヌクレオチドまたはヌクレオチドの誘導体もしくは類似体の任意の組み合わせから作製することができる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「プローブ」は、通常、例えば、ハイブリダイゼーションを通じて、配列特異的な様式で標的核酸と相互作用することができる分子である。核酸のハイブリダイゼーションは当該技術分野で十分に理解されており、また本明細書において考察される。典型的には、プローブは、当該技術分野で利用可能なヌクレオチドまたはヌクレオチドの誘導体もしくは類似体の任意の組み合わせから作製することができる。
【0087】
配列番号1またはその相補体等の開示される核酸と相互作用することができる、プライマーおよびプローブを含む組成物が開示される。特定の実施形態において、プライマーは、核酸伸長反応、核酸複製反応、および/または核酸増幅反応を支持するために使用される。典型的には、プライマーは、配列特異的な様式で伸長され得る。配列特異的な様式におけるプライマーの伸長は任意の方法を含み、プライマーがハイブリダイズするか、またはそうでなければ会合する核酸分子の配列および/または組成が、プライマーの伸長によって生成される産物の組成または配列を決定するか、またはそれに影響を与える。したがって、配列特異的な様式におけるプライマーの伸長は、PCR、DNA配列決定、DNA伸長、DNA重合、RNA転写、または逆転写を含むが、これらに限定されない。配列特異的な様式でプライマーを増幅させる技術および条件が開示される。特定の実施形態において、プライマーは、PCRまたは直接配列決定等のDNA増幅反応に用いられる。プライマーはまた、特定の実施形態において、非酵素的な技術を用いて伸長できることを理解されたく、例えば、プライマーを伸長するために用いられるヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドが修飾されている場合、それらは化学的に反応して配列特異的な様式でプライマーを伸長する。通常、開示されるプライマーは、開示される核酸もしくは核酸の領域にハイブリダイズするか、またはそれらは、核酸の相補体もしくは核酸の領域の相補体にハイブリダイズする。プライマーの使用の一例として、1つ以上のプライマーは、第一の核酸から伸長産物を作製するために使用されてもよく、また第一の核酸によって鋳型にされてもよい。
【0088】
核酸との相互作用のためのプライマーまたはプローブのサイズは、DNA増幅またはプローブもしくはプライマーの単純なハイブリダイゼーション等の、プライマーの所望の酵素的操作を支持する任意のサイズであり得る。典型的なプライマーまたはプローブは、少なくとも、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、または4000ヌクレオチド長であろう。
【0089】
他の実施形態において、プライマーまたはプローブは、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、または4000ヌクレオチド長以下であり得る。
【0090】
目的の核酸のためのプライマーは、典型的には、目的の核酸の領域を含有する伸長産物および/または他の複製もしくは増幅された産物を生成するために使用される。産物のサイズは、そのサイズが3、2、または1ヌクレオチド内まで正確に決定され得るようなサイズであり得る。
【0091】
特定の実施形態において、産物は、例えば、少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、または4000ヌクレオチド長であり得る。
【0092】
他の実施形態において、産物は、例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500、1750、2000、2250、2500、2750、3000、3500、または4000ヌクレオチド長以下であり得る。
【0093】
したがって、開示されるRT−PCRおよびPCR反応は、プライマー対を形成するために順方向および逆方向プライマーを必要とすることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。順方向プライマーは、***からなる群から選択されてもよいことが本明細書に開示される。例えば、順方向プライマーは、細胞内ALKプライマー、例えば(プライマー100)5’ACTACTGCTTTGCTGGCAAGACCT(配列番号6);細胞外EML4−ALK融合プライマー、例えば(プライマー103)5’TGTTCAAGATCGCCTGTCAGCTCT(配列番号3);細胞外NPM−ALK融合プライマー、例えば(プライマー102);5’TCTGTACAGCCAACGGTTTCCCTT(配列番号4);細胞外CTLC−ALK融合プライマー、例えば(プライマー105)5’GAGAGTGCTTTGGAGCTTGTCTGT(配列番号5);または非相同性領域からの細胞外野生型ALKプライマー、例えば(プライマー104)5’TTCCTTCATCAGTCCACTGGGCAT(配列番号2)であってもよい。開示される方法において使用され得るさらなる順方向および逆方向プライマーは、表3に見出すことができる。
【0094】
逆方向プライマーは、例えば、プライマー101:5’TCGTCCTGTTCAGAGCACACTTCA(配列番号7)であってもよい。代替として、逆方向プライマーは、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58であってもよい。方法は、少なくとも1つの順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含むことを理解されたい。したがって、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCR反応を行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、順方向プライマーは、KIF5B−ALKプライマー、NPM−ALKプライマー、ATIC−ALKプライマー、CLTC−ALKプライマー、RANBP2−ALKプライマー、SEC31L1−ALKプライマー、TPM3−ALKプライマー、TPM4−ALKプライマー、TFGL−ALKプライマー、TFGS−ALKプライマー、CARS−ALKプライマー、EML4−ALKプライマー、ALO17−ALKプライマー、MYH9−ALKプライマー、MSN−ALKプライマー、およびTFGXLALKプライマーからなる群から選択され、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法が、本明細書に開示される。したがって、順方向プライマーが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および配列番号59からなる群から選択される方法もまた開示される。例えば、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCRを行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、順方向プライマーは、配列番号4を含むNPM−ALK融合プライマーであり、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法が、本明細書に開示される。
【0095】
プライマー対のさらなる例として、順方向プライマーは野生型ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはKIF5B−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはNPM−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはATIC−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはCLTC−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはRANBP2−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはSEC31L1−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはTPM3−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはTPM4−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはTFGL−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはTFGS−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはCARS−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7;順方向プライマーはEML4−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはALO17−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;順方向プライマーはMYH9−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である;または順方向プライマーはTFGXL−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号7である方法である方法が、本明細書に具体的に開示される。また、プライマー対が、配列番号2および7、配列番号3および7、配列番号4および7、配列番号5および7、配列番号6および7を含む方法も開示される。
【0096】
プライマー対のさらなる例、順方向プライマーは野生型ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはKIF5B−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはNPM−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはATIC−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはCLTC−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはRANBP2−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはSEC31L1−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはTPM3−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはTPM4−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはTFGL−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはTFGS−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはCARS−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはEML4−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはALO17−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である;順方向プライマーはMYH9−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46;または順方向プライマーはTFGXL−ALKプライマーであり、逆方向プライマーは配列番号46である方法が、本明細書に具体的に開示される。また、プライマー対が、配列番号2および46、配列番号3および46、配列番号4および46、配列番号5および46、配列番号6および46、配列番号33および46、配列番号34および46、配列番号35および46、配列番号36および46、配列番号37および46、配列番号38および46、配列番号39および46、配列番号40および46、配列番号41および46、配列番号42および46、配列番号43および46、配列番号44および46、配列番号45および46、配列番号485および46、配列番号49および46、配列番号50および46、配列番号51および46、配列番号52および46、配列番号53および46、配列番号54および46、配列番号55および46、または配列番号58および46を含む方法も開示される。
【0097】
融合、切断、または過剰発現する突然変異を検出するために、1つより多くのプライマー対を利用することが有利であり得る場合があることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。そのようなRT−PCRまたはPCR反応は、別個に、または単一の反応において行うことができる。複数のプライマー対が単一の反応に用いられる場合、これは「多重PCR」と称される。例えば、反応は、逆方向プライマーと対になった野生型ALKプライマー、および同じ逆方向プライマーと対になったALK融合プライマーを含むことができる。したがって、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCRを行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも2つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する方法が、本明細書に開示される。同様に、少なくとも3つの順方向プライマーを含む方法も開示される。2つ以上または3つ以上の任意の組み合わせの本明細書に開示される順方向プライマーが、多重反応において使用されてもよいことを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、例えば、順方向プライマーがNPM−ALKプライマーおよび野生型ALKプライマーである診断の方法が本明細書に開示される。また、例えば、順方向プライマーがELM4−ALKプライマーおよび野生型ALKプライマーである診断の方法も開示される。
【0098】
多重PCRの順方向プライマーセットの他の例として、KIF5B−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、CLTC−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、RANBP2−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、ATIC−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、SEC31L1−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、TPM3−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、TPM4−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、TFGL−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、TFGS−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、CARS−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、ALO17−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、MYH9−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、MSN−ALK融合プライマーおよび野生型ALKプライマー、切断されたALKプライマーおよび野生型ALKプライマー、LM4−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、NPM−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、CLTC−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、RANBP2−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、ATIC−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、SEC31L1−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、TPM3−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、TPM4−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、TFGL−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、TFGS−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、CARS−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、ALO17−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、MYH9−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマー、ならびにMSN−ALK融合プライマーおよび切断されたALKプライマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
さらなる例として、ELM4−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;NPM−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;CLTC−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;RANBP2−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;ATIC−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;SEC31L1−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;TPM3−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;TPM4−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;TFGL−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;TFGS−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;CARS−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;ALO17−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;MYH9−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマー;ならびにMSN−ALK融合プライマー、野生型ALKプライマー、および切断されたALKプライマーALKプライマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
したがって、一態様において、単一の反応管が、1つ以上のALK融合、野生型ALK、またはALKキナーゼドメインにハイブリダイズする順方向プライマーと、野生型ALKにハイブリダイズする逆方向プライマーとを含むことができる。本明細書に開示される方法は、複数の反応管を含むことができることを理解されたい。例えば、方法は、1つ以上の順方向ALK融合プライマーと、野生型ALKにハイブリダイズする逆方向ALKプライマー(例えば、順方向プライマー配列番号2、3、4、5、6、34,35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、48、49、50、51、52、53、および59、逆方向プライマー配列番号7、32、46、47、56、57、または58)とを含む、既知のALK融合の存在を検出するための第1の反応と;野生型ALKの検出のための順方向および逆方向プライマー(例えば、順方向プライマー配列番号33、54、または55、逆方向プライマー配列番号7、32、46、47、56、57、または58)を含む、第2の反応管と;ALKのキナーゼドメインの存在を検出するための順方向および逆方向プライマー(例えば、順方向プライマー配列番号45または48、逆方向プライマー配列番号7、32、46、47、56、57、または58)と;対照を検出するための順方向および逆方向プライマーと;陽性cDNA対照のための順方向および逆方向プライマーと;陰性cDNA対照のための順方向および逆方向プライマーと、を含むことができる。複数の反応管を用いる方法において、RNAは対象から得た組織サンプルから抽出され、RNAはcDNAを生成するために逆転写され、cDNAは1つ以上の反応管に分割され、RT−PCRまたはマイクロアレイアッセイが行われる。対照が設計した通りに機能すると仮定すると、当業者は、融合管、野生型管、およびキナーゼ管の中の増幅産物を検出することができる。融合管およびキナーゼ管にはアンプリコンが存在するが、野生型管には存在しない結果をもたらすアッセイは、既知のALK融合の存在を示唆する。融合管は陰性であり、野生型管およびキナーゼ管が陽性である場合、野生型ALKのみが存在する。野生型および融合の両方の反応管が陰性であり、キナーゼ管が陽性である場合、それまで未知であった融合が存在する。キナーゼ管が陰性であり、融合または野生型のいずれかの管が陽性である場合、機能的ALKは存在せず、組織サンプルはALKに関連する癌(
図5Aを参照)を含有しない。アンプリコンのサイズを測定することによって、サンプル中の特定のALK融合または野生型ALKが何であるかを決定することができることを理解されたい(
図5Bを参照)。アンプリコンが特定のALK融合または野生型ALKとは関係のないサイズを有する場合、アンプリコンはそれまで未知であったALK融合を表す。
【0101】
蛍光変化プローブおよびプライマー
蛍光変化プローブおよび蛍光変化プライマーは、検出される、アッセイされる、または複製されるプローブまたはプライマーおよび核酸の形態または高次構造の変化に基づく蛍光強度または波長の変化を含む、全てのプローブおよびプライマーを指す。蛍光変化プローブおよびプライマーの例として、分子ビーコン、Amplifluors、FRETプローブ、切断可能なFRETプローブ、TaqManプローブ、スコーピオンプライマー、蛍光三重オリゴ(三重分子ビーコンまたは三重FRETプローブを含むが、これらに限定されない)、蛍光水溶性コンジュゲートポリマー、PNAプローブ、およびQPNAプローブが挙げられる。
【0102】
蛍光変化プローブおよびプライマーは、それらの構造および/または機能にしたがって分類することができる。蛍光変化プローブは、ヘアピン消光プローブ、切断消光プローブ、切断活性化プローブ、および蛍光活性化プローブを含む。蛍光変化プライマーは、ステム消光プライマーおよびヘアピン消光プライマーを含む。
【0103】
ヘアピン消光プローブは、標的配列に結合しないときに標識からの蛍光が消光されるように蛍光標識と消光部分を近接させるヘアピン構造(および、通常はループ)を形成するプローブである。プローブが標的配列に結合するとステムが破壊され、消光部分はもはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。ヘアピン消光プローブの例は、分子ビーコン、蛍光三重鎖オリゴ、三重鎖分子ビーコン、三重鎖FRETプローブ、およびQPNAプローブである。
【0104】
切断活性化プローブは、蛍光がプローブの切断によって増加されるプローブである。切断活性化プローブは、標識からの蛍光が消光されるように蛍光標識と消光部分を近接して含むことができる。プローブが切り出されるかまたは消化されると(通常、増幅の間のポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性による)、消光部分はもはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。TaqManプローブは、切断活性化プローブの例である。
【0105】
切断消光プローブは、プローブの切断によって蛍光が減少されるかまたは変更されるプローブである。切断消光プローブは、アクセプターとドナーが近接しているときに、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー伝達がアクセプターに蛍光を発生させるように、アクセプター蛍光標識およびドナー部分を含むことができる。したがって、プローブは、例えば、標的配列にハイブリダイズするときに、蛍光性である。プローブが切り出されるかまたは消化されると(通常、増幅の間のポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性による)、ドナー部分はもはやアクセプター蛍光標識と近接しておらず、アクセプターからの蛍光が減少する。ドナー部分自体が蛍光標識である場合、アクセプターと近接していないときに、(典型的には、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)エネルギーを蛍光として放出することができる。全体的な効果は、アクセプター蛍光の減少およびドナー蛍光の増加である。切断消光プローブの場合のドナー蛍光は、切断活性化プローブによって産生される蛍光と等しく、アクセプターは消光部分であり、ドナーは蛍光標識である。切断可能なFRET(蛍光共鳴エネルギー伝達)プローブは、切断消光プローブの例である。
【0106】
蛍光活性化プローブは、標的配列に対するプローブのハイブリダイゼーションによって蛍光が増加されるかまたは変更されるプローブまたはプローブの対である。蛍光活性化プローブは、アクセプターとドナーが近接しているとき(プローブが標的配列にハイブリダイズするとき)、ドナーからアクセプターへの蛍光共鳴エネルギー伝達がアクセプターに蛍光を発生させるように、アクセプター蛍光標識およびドナー部分を含むことができる。蛍光活性化プローブは、通常、アクセプターとドナーが近接するように、隣接する配列にハイブリダイズするように設計されるプローブの対である。蛍光活性化プローブはまた、ドナーおよびアクセプターの両方を含有する単一のプローブであってもよく、プローブが標的配列にハイブリダイズしないときはドナーとアクセプターは近接していないが、プローブが標的配列にハイブリダイズするとドナーとアクセプターが近接する。これは、例えば、プローブの反対の末端にドナーおよびアクセプターを配置すること、およびプローブの各末端に標的相補的配列を配置することによって達成されてもよく、標的相補的配列は、標的配列の隣接する配列に相補的である。蛍光活性化プローブのドナー部分自体が蛍光標識である場合、アクセプターと近接していないとき(すなわち、プローブが標的配列にハイブリダイズしないとき)に、(通常、アクセプターの蛍光とは異なる波長で)エネルギーを蛍光として放出することができる。プローブが標的配列にハイブリダイズする場合、全体的な効果は、ドナー蛍光の減少およびアクセプター蛍光の増加である。FRETプローブは、蛍光活性化プローブの例である。
【0107】
ステム消光プライマーは、相補的な配列にハイブリダイズしないときに標識からの蛍光が消光されるように、蛍光標識と消光部分を近接させるステム構造(分子内ステム構造または分子間ステム構造のいずれか)を形成するプライマーである。プライマーが相補的な配列に結合すると、ステムが破壊され、消光部分はもはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。開示される方法において、ステム消光プライマーは、核酸合成のためのプライマーとして使用され、したがって合成または増幅された核酸に組み込まれる。ステム消光プライマーの例は、ペプチド核酸消光プライマーおよびヘアピン消光プライマーである。
【0108】
ペプチド核酸消光プライマーは、ペプチド核酸消光剤またはペプチド核酸蛍光と会合してステム構造を形成するプライマーである。このプライマーは、蛍光標識または消光部分を含有し、それぞれ、ペプチド核酸消光剤またはペプチド核酸蛍光のいずれかと会合する。これにより蛍光標識が消光部分と近接する。プライマーが複製されると、ペプチド核酸が置換され、そのため蛍光標識が蛍光シグナルを生成することが可能となる。
【0109】
ヘアピン消光プライマーは、相補的な配列にハイブリダイズしないときに標識からの蛍光が消光されるように、蛍光標識と消光部分を近接させるヘアピン構造(および、通常はループ)を形成するプライマーである。プライマーが相補的な配列に結合すると、ステムが破壊され、消光部分はもはや蛍光標識と近接しておらず、蛍光が増加する。ヘアピン消光プライマーは、通常、核酸合成のためのプライマーとして使用され、したがって合成または増幅された核酸に組み込まれる。ヘアピン消光プライマーの例は、Amplifluorプライマーおよびスコーピオンプライマーである。
【0110】
切断活性化プライマーは、それらが複製された鎖に組み込まれるプライマーであり、続いて切断されることを除いて、切断活性化プローブと同様である。
【0111】
標識
開示される方法を使用して生成される核酸の検出および定量化を補助するために、標識は、ヌクレオチドもしくは核酸に直接組み込まれてもよいか、またはプローブおよびプライマー等の検出分子にカップリングされてもよい。本明細書で使用される場合、標識は、ヌクレオチドまたは核酸と、直接的または間接的に会合することができ、直接的または間接的のいずれかで測定可能、検出可能なシグナルを生じる任意の分子である。ヌクレオチドおよび核酸への組み込みのため、または核酸プローブへのカップリングのための、そのような多くの標識が当業者に既知である。開示される方法における使用に好適な標識の例は、放射性同位体、蛍光分子、リン光分子、酵素、抗体、およびリガンドである。蛍光標識は、特に蛍光変化プローブおよびプライマーに関連して、増幅のリアルタイム検出に有用である。
【0112】
好適な蛍光標識の例として、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンゾ−2−オキサ−1,3−ジアゾール−4−イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン、エリスロシン、BODIPY(登録商標)、CASCADE BLUE(登録商標)、OREGON GREEN(登録商標)、ピレン、リサミン、キサンテン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、ランタニドイオンの大環状キレート(Quantum Dye(商標)等)蛍光エネルギー伝達色素(チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体)、ならびにシアニン色素Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5およびCy7が挙げられる。他の特定の蛍光標識の例として、3−ヒドロキシピレン5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン、アリザリンコンプレクソン、アリザリンレッド、アロフィコシアニン、アミノクマリン、アントロイルステアリン酸、アストラゾンブリリアントレッド4G、アストラゾンオレンジR、アストラゾンレッド6B、アストラゾンイエロー7GLL、アタブリン、オーラミン、オーロホスフィン、オーロホスフィンG、BAO 9(ビスアミノフェニルオキサジアゾール)、BCECF、硫酸ベルベリン、ビスベンズアミド、ブランコフォアFFG溶液、ブランコフォアSV、Bodipy F1、ブリリアントスルホフラビンFF、カルセインブルー、カルシウムグリーン、カルコフロールRW溶液、カルコフロールホワイト、カルコフォルホワイトABT溶液、カルコフォルホワイト標準溶液、カルボスチリル、カスケードイエロー、カテコールアミン、チナクリン、コリホスフィンO、クマリン−ファロイジン、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、Dans(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)、Dansa(ジアミノナフチルスルホン酸)、ダンシルNH−CH3、ジアミノフェニルオキシジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、二フッ化ジピロメテンホウ素、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF、ドーパミン、エリスロシンITC、オイクリシン、FIF(ホルムアルデヒド誘導性蛍光)、フラゾオレンジ、フルオ3、フルオレスカミン、フラ2、ゲナクリルブリリアントレッドB、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF、ゲナクリルピンク3G、ゲナクリルイエロー5GF、グロキサン酸、グラニュラーブルー、ヘマトポルフィリン、Indo−1、イントラホワイトCf液、ロイコフォアPAF、ロイコフォアSF、ロイコフォアWS、リサミンローダミンB200(RD200)、ルシファーイエローCH、ルシファーイエローVS、マグダラレッド、マリーナブルー、マキシロンブリリアントフラビン10 GFF、マキシロンブリリアントフラビン8 GFF、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン)、ミトラマイシン、NBDアミン、ニトロベンゾキサジドール、ノルアドレナリン、ヌクレアファストレッド、ヌクレアイエロー、ニロサンブリリアントフラビンE8G、オキサジアゾール、パシフィックブルー、パラロサニリン(フォイルゲン)、ホルワイトAR溶液、ホルワイトBKL、ホルワイトRev、ホルワイトRPA、ホスフィン3R、フタロシアニン、フィコエリトリンR、フィコエリトリンB、ポリアザインダセンポントクロームブルーブラック、ポルフィリン、プリムリン、プロシオンイエロー、ピロニン、ピロニンB、ピロザールブリリアントフラビン7GF、キナクリンマスタード、ローダミン123、ローダミン5 GLD、ローダミン6G、ローダミンB、ローダミンB 200、ローダミンBエクストラ、ローダミンBB、ローダミンBG、ローダミンWT、セロトニン、セブロンブリリアントレッド2B、セブロンブリリアントレッド4G、セブロンブリリアントレッドB、セブロンオレンジ、セブロンイエローL、SITS(プリムリン)、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸)、スチルベン、スナーフ1、スルホローダミンBカンC、スルホローダミンGエクストラ、テトラサイクリン、チアジンレッドR、チオフラビンS、チオフラビンTCN、チオフラビン5、チオライト、チオゾールオレンジ、チノポールCBS、トゥルーブルー、ウルトラライト、ウラニンB、ユビテックスSFC、キシレンオレンジ、およびXRITC.が挙げられる。
【0113】
これらの蛍光のうちのいくつかについての吸収および発光極大波長は、それぞれ、FITC(490nm、520nm)、Cy3(554nm、568nm)、Cy3.5(581nm、588nm)、Cy5(652nm、672nm)、Cy5.5(682nm、703nm)およびCy7(755nm、778nm)であり、これによって、それらの同時検出が可能となる。フルオレセイン色素の他の例として、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2’−クロロ−5’−フルオロ−7’,8’−縮合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)、および2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が挙げられる。蛍光標識は、Amersham Pharmacia Biotech(Piscataway,NJ)、Molecular Probes(Eugene,OR)およびResearch Organics(Cleveland,Ohio)を含む、様々な商業的供給源から入手可能である。
【0114】
さらなる目的の標識は、それらが会合するプローブが標的分子に特異的に結合されるときのみシグナルを提供する標識を含み、そのような標識は、Tyagi&Kramer,Nature Biotechnology(1996)14:303および欧州特許第0070685B1号に記載されるような「分子ビーコン」を含む。他の目的の標識は、参照により、本明細書に組み込まれる米国特許第5,563,037号に記載されるものを含む。
【0115】
標識されたヌクレオチドは、合成の間に増幅産物に直接組み込むことができる標識の形態である。増幅された核酸に組み込むことのできる標識の例として、ヌクレオチド類似体、例えば、BrdUrd、アミノアリルデオキシウリジン、5−メチルシトシン、ブロモウリジン、およびビオチン、またはジゴキシゲニン等の好適なハプテンで修飾されたヌクレオチドが挙げられる。好適な蛍光標識ヌクレオチドは、フルオレセイン−イソチオシアン酸塩−dUTP、シアニン−3−dUTPおよびシアニン−5−dUTPである。DNAのためのヌクレオチド類似体標識の一例は、BrdUrd(ブロモデオキシウリジン、BrdUrd、BrdU、BUdR、Sigma−Aldrich Co)である。DNAに標識を組み込むためのヌクレオチド類似体の他の例は、AA−dUTP(アミノアリル−デオキシウリジン三リン酸塩、Sigma−Aldrich Co.)、および5−メチル−dCTP(Roche Molecular Biochemicals)である。RNAに標識を組み込むためのヌクレオチド類似体の一例は、ビオチン−16−UTP(ビオチン−16−ウリジン−5’−三リン酸塩、Roche Molecular Biochemicals)である。直接標識のために、フルオレセイン、Cy3、およびCy5をdUTPに結合させてもよい。Cy3.5およびCy7は、ビオチンまたはジゴキシゲニン標識プローブの二次検出のためのアビジンまたは抗ジゴキシゲニンコンジュゲートとして利用可能である。
【0116】
増幅された核酸に組み込まれた標識、例えばビオチンは、当該技術分野で周知の高感度な方法を使用して、その後で検出することができる。例えば、ビオチンは、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼコンジュゲート(Tropix,Inc.)を用いて検出することができ、これをビオチンに結合させて、後に好適な基質(例えば、化学発光基質CSPD:二ナトリウム、3−(4−メトキシスピロ−[1,2,−ジオキセタン−3−2’−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルホスフェート、Tropix,Inc.)の化学発光によって検出する。標識はまた、酵素、例えばアルカリホスファターゼ、大豆ペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、およびポリメラーゼであってもよく、これらは、例えば、化学的シグナル増幅を用いて、または光(例えば化学発光性1,2−ジオキセタン基質)もしくは蛍光シグナルを生成する酵素に対する基質を用いることによって検出することができる。
【0117】
これらの標識のうち2つ以上を組み合わせた分子もまた標識と見なされる。いずれの既知の標識も、開示されるプローブ、タグ、ならびに、開示される方法を使用して増幅された核酸を標識および検出するための方法とともに用いることができる。標識によって発生されたシグナルを検出および測定するための方法もまた、当業者に既知である。例えば、放射性同位体は、シンチレーション測定または直接的な可視化によって検出することができ、蛍光分子は、蛍光分光光度計を用いて検出することができ、リン光分子は、分光光度計またはカメラによる直接的な可視化を用いて検出することができ、酵素は、その酵素によって触媒される反応の産物の検出または可視化によって検出することができ、抗体は、その抗体に結合された二次標識を検出することによって検出できる。本明細書で使用される場合、検出分子は、増幅された核酸と相互作用し、そこに1つ以上の標識が結合される分子である。
【0118】
特定のmRNAもしくはmRNAの発現の増加が起こったかどうか、または特定のmRNAが存在するかどうかを評価する1つの方法は、対照サンプルとの比較によるものであることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、対象において癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAを用いてRT−PCRまたはPCR反応を行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆し、組織サンプルは非癌性組織から得られる方法が、本明細書に開示される。ALKに関連する癌に関して、非癌性組織対照の使用が用いられてもよいが、ALKに関連しない癌由来の癌性組織もまた使用され得ることから、それは必ずしも必要ではないことをさらに理解されたい。したがって、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断することであって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCR反応を行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆し、対照組織はALKに関連しない癌性組織から得られることが、本明細書に開示される。
【0119】
開示される方法は、本明細書において「癌」と称される、無制御な細胞増殖が起こる任意の疾患を診断するために使用することができる。異なる種類のALKに関連する癌の非制限的なリストは以下の通りである:リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、白血病、癌、固形組織癌、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、神経膠腫、高グレード神経膠腫、芽細胞腫、神経芽細胞腫、形質細胞腫、組織球腫、黒色腫、腺腫、低酸素腫瘍、骨髄腫、エイズ関連リンパ腫もしくは肉腫、転移性癌、または癌一般。
【0120】
開示される方法を使用して診断することができる癌の代表的ではあるが、非限定的なリストは以下の通りである:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳腫瘍、神経系癌、頭頸部癌、頭頸部扁平上皮癌、腎臓癌、肺癌(小細胞肺癌および非小細胞肺癌等)、神経芽細胞腫/神経膠芽腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、皮膚癌、肝癌、黒色腫、口腔、咽喉、咽頭および肺の扁平上皮癌、結腸癌、子宮頸癌、子宮頸癌、乳癌および上皮癌、腎癌、泌尿生殖器癌、肺癌、食道癌、頭頸部癌、大腸癌、造血器癌、精巣癌、結腸直腸癌、前立腺癌、または膵臓癌。
【0121】
したがって、癌は、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身性組織球増殖症、乳癌、結腸直腸癌、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、および炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)からなる群から選択される、癌を診断する方法が、本明細書に開示される。例えば、対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCR反応を行うことを含み、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆し、癌は、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、全身性組織球増殖症、乳癌、結腸直腸癌、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、および炎症性筋線維芽細胞性腫瘍(IMT)からなる群から選択される方法が、本明細書に開示される。
【0122】
ALKを対象とする治療の適合性を評価する方法
【0123】
現在の理論に束縛されるものではないが、低分子薬候補を用いたこれらの形態のALK遺伝子の阻害は、関連する異常な細胞増殖を抑止し、神経芽細胞腫および他のALK関連腫瘍の細胞株におけるアポトーシスを促進すると考えられており、さらには、前臨床動物モデルおよびこれらの阻害剤を用いた初期臨床実験の両方により、ALK低分子阻害剤は、ALKに関連する癌に対する著しい抗腫瘍活性を保持するだけでなく、制限的な標的に関連する毒性がなく、非常に優れた耐容性を示すことも示されている。
【0124】
これらの発見は、ALKの突然変異に特化した診断テストの必要性を浮き彫りにする。例えば、そのようなアッセイは、遺伝性神経芽細胞腫に罹患する家族の子供をスクリーニングするために使用することができ、彼らがもっと治療を受け入れやすいより早期の段階での腫瘍検出を促進するのに役立つ。したがって、対象における癌に対するALK阻害剤による治療の適合性を評価する方法であって、対象由来の組織サンプルからのmRNAを測定することを含み、対照に対するALK配列のmRNAの量の増加は、ALK阻害剤を用いて癌を治療することができることを示唆する方法が、本明細書に開示される。
【0125】
本明細書に開示される開示されるmRNA測定技法のいずれも、これらの方法において使用され得ることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、例えば、対象における癌に対するALK阻害剤による治療の適合性を評価する方法であって、mRNAを用いてRT−PCR反応を、または対象由来の組織サンプルからのDNAを用いてPCR反応を行うことを含み、RT−PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、対照に対する増幅産物の量の増加は、ALK阻害剤を用いて治療することができる癌を示唆する方法が、本明細書に開示される。開示される方法は、本明細書に開示されるプライマーのいずれをもさらに含むことができ、開示される多重化PCR技術を利用することができることをさらに理解されたい。
【0126】
ALKの点突然変異から生じるALKに関連する癌を診断する方法およびALK阻害剤に対する耐性を評価する方法
【0127】
ALKに関連する癌の治療後の、微小残存病変(MRD)の検出の後続治療の決定に影響を与えるための予後診断の重要性および適切性は、本明細書に提唱されるような高感度かつ容易に実行される診断アッセイによって強化され得る。前臨床試験により、NVP−TAE684およびPF−2341066等の低分子阻害剤に対する耐性を付与する広範囲のALKキナーゼドメインの点突然変異が同定されている。そのようなアッセイは、何年もの間臨床的に使用されてきたGleevec等の阻害剤に対する耐性を付与する突然変異の予測のためのそれらの使用に基づいて、臨床的に関連性のある阻害剤耐性突然変異を高度に予測することで知られる。
【0128】
本開示は、患者への薬物治療を選択的に誘導し、かつ標的にするように使用することができる、高感度および特異的なALK診断アッセイのための方法および組成物を含む。変性高速液体クロマトグラフィー(dHPLC)、塩基切断配列走査(BESS)、一本鎖高次構造多型(SSCP)、ヘテロ二本鎖分析(HA)、コンフォメーション高感度ゲル電気泳動(CSGE)、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)、変性剤定濃度ゲル電気泳動(CDGE)、経時的温度勾配ゲル電気泳動(TTGE)、クリベースによる消化によって精製される断片長多型(CFLP)、ミスマッチの化学切断、ミスマッチの酵素切断、およびミスマッチ修復酵素等、数多くの未知の突然変異のための走査技術が、本明細書に開示される方法において使用され得る。一態様において、ALK、またはALKに関連する癌に薬剤抵抗性を付与する突然変異内の癌遺伝子突然変異を検出するために、鋳型交換伸長反応(TEER(商標))技術を用いて、単一ヌクレオチドまたはALK遺伝子に関連する他の突然変異による変化を同定する方法が開示される。TEER(商標)技術は、稀および新規の突然変異さえも含む、初期および薬剤抵抗性のALK癌の両方に存在するそのようなALK突然変異を同定することができる。TEER技術は、米国特許第6,610,486号、米国特許第6,150,105号、および米国特許出願第12/152,512号に記載されており、参照により、ヌクレオチド変異の検出に関するそれらの教示のために、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0129】
本明細書に開示されるALKに関連する核酸変異の検出のための方法は、癌等の疾患または状態の存在の検出または診断、核酸変異と関連する疾患または状態に対する感受性またはリスクを評価すること、疾患の進行を監視すること、および治療的処置に対する感受性または耐性の判定を含むが、これらに限定されない、多くの用途を有する。
【0130】
同じ種類の変異(すなわち、2つの点突然変異間、または2つのEML4−ALK融合間)を区別する場合があり得ることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、癌を診断するまたは治療の適合性を評価する開示される方法のいずれも、その方法から得られた任意のアンプリコンを配列決定することをさらに含み得ることを理解されたい。
【0131】
スクリーニングの方法
本明細書に開示されるALK融合および点突然変異は、癌治療薬の標的である。したがって、対象においてALKに関連する癌を阻害する薬剤をスクリーニングする方法であって、
a)ALKに関連する癌に罹患する対象から組織サンプルを得ることと、
b)組織サンプルを薬剤に接触させることと、
c)組織サンプルからmRNAを抽出することと、
d)組織サンプルからのmRNAに対してRT−PCR反応を行うことと、を含み、
RT−PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーとを含み、未処理の対照に対する増幅産物の量の減少は、薬剤がALKに関連する癌を阻害することができることを示唆する方法が、本明細書に開示される。
【0132】
核酸
開示される方法および組成物は、種々の核酸を使用する。一般に、開示される方法において任意の核酸を使用することができる。例えば、開示される目的の核酸および開示される参照核酸は、獲得または評価される所望の分析および情報に基づいて選択され得る。開示される方法はまた、新規かつ改変された核酸を生成する。そのような核酸の性質および構造は、それらが本方法において生成および操作される様式によって確立される。したがって、例えば、伸長産物およびハイブリダイズ核酸が、開示される方法において生成される。本明細書で使用される場合、ハイブリダイズ核酸は、伸長産物および第二の核酸のハイブリッドである。
【0133】
目的の核酸は、ヌクレオチド変異の有無の判定が所望される任意の核酸であり得ることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、例えば、目的の核酸は、参照核酸の野生型配列に相当する配列を含むことができる。開示される方法は、第1の核酸が参照核酸であり、第2の核酸が目的の核酸である場合、または第1の核酸が目的の核酸であり、第2の核酸が参照核酸である場合に実行することができることが、本明細書にさらに開示される。
【0134】
参照核酸は、目的の核酸が比較される任意の核酸であり得ることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。典型的には、参照核酸は、既知の配列を有する(および/または、参照として目的の配列を有することが分かっている)。このことは、必要ではないが、参照配列が目的の核酸に近い関係であることが既知であるかまたは疑われる場合に有用である。例えば、単一のヌクレオチド変異が検出されることが望ましい場合、参照配列は、同じかまたは関連する生物もしくは個体からの同じ遺伝子または遺伝的要素に由来する核酸等の、目的の核酸の相同体であるかまたはそれに密接に一致する配列となるように、有用に選択することができる。したがって、例えば、参照核酸は、野生型配列を含むことができるか、または代替として、既知の突然変異、例えば、その有無が疾患または治療的処置に対する耐性に関連する変異を含む、既知の突然変異を含むことができることが本明細書において企図される。したがって、例えば、開示される方法は、目的の核酸を野生型配列(すなわち、突然変異を保有しないことが分かっている)を含む参照核酸と比較すること、および目的の核酸中の変異の有無を調べることによって、目的の核酸中の既知の突然変異の存在を検出または診断するために使用することができ、変動が存在しないことは突然変異が存在しないことを意味することが企図される。代替として、参照核酸は、既知の突然変異を有することができる。したがって、例えば、開示される方法は、目的の核酸を疾患に対する感受性を示す既知の突然変異を含む参照核酸と比較すること、および突然変異の有無を調べることによって、疾患または状態に対する感受性を検出するために使用することができ、突然変異の存在は、疾患を意味することが企図される。
【0135】
本明細書において、「ヌクレオチド変異」という用語は、参照核酸のヌクレオチド配列に対する目的の核酸のヌクレオチド配列における任意の変化または相違を指す。したがって、ヌクレオチド変異は、参照核酸と目的の核酸(または、文脈において適当である場合、その相補体)との間の配列が異なる場合に起こると言える。したがって、例えば、核酸の特定の位置におけるアデニン(A)からグアニン(G)への置換は、参照核酸が対応する位置にAを含むことを条件として、ヌクレオチド変異である。変異の判定は、参照核酸に基づくものであり、配列が野生型であるかどうかは示唆しないことを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、例えば、既知の突然変異を有する核酸が参照核酸として使用される場合、突然変異を保有しない核酸(野生型核酸を含む)は、(参照核酸に対して)ヌクレオチド変異を保有すると見なされるであろう。
【0136】
ヌクレオチド
開示される方法および組成物は、種々のヌクレオチドを使用する。本出願および本明細書に開示される方法を通して、ヌクレオチドのための塩基の種類に言及がなされる。ある種の塩基について言及する場合、それは、核酸鎖中のヌクレオチドが基準塩基のうちの1つ以上の所定の組とハイブリダイズ(結合)可能である塩基を指すことを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。したがって、例えば、3種類のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの存在下で伸長されるが、修飾ヌクレオチドと同じ種類の塩基を含むヌクレオチドの存在下では伸長されない伸長産物に言及がなされる場合、これは、例えば、修飾ヌクレオチドの塩基がアデニン(A)である場合、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが、例えば、グアニン(G),チミン(T)、およびシトシン(C)であり得ることを意味する。これらの塩基の各々(4つの基準塩基を表す)は、4つの基準塩基のうちの異なる1つとハイブリダイズすることができ、したがって、各々が、本明細書に定義される異なる種類の塩基であると見なされる。別の例として、イノシン塩基は、主としてアデニンおよびシトシンと(DNA中で)対になるため、それぞれがチミンおよびグアニンと対になるアデニンおよびシトシンとは異なる種類の塩基であると見なすことができるが、グアニンおよびチミンの塩基対形成は、イノシンのハイブリダイゼーションパターンと重複する(つまり、それと異ならない)ため、それぞれがシトシンおよびアデニンと対になるグアニンまたはチミンとは異なる種類の塩基ではない。
【0137】
開示される方法および組成物において、任意の種類の修飾または代替の塩基を用いることができ、それは一般に、そのような塩基を用いるために使用される酵素の能力によってのみ制限される。多くの修飾されたならびに代替のヌクレオチドおよび塩基が既知であり、それらのいくつかは、以下におよび本明細書の他の箇所に記載される。そのような修飾されたおよび代替の塩基が表す塩基の種類は、本明細書に記載されるような塩基のための塩基形成のパターンによって決定することができる。したがって、例えば、修飾ヌクレオチドがアデニンである場合、主としてチミンと対になる任意の類似体、誘導体、修飾塩基、または変異型塩基は、アデニンと同じ種類の塩基であると見なされることとなる。換言すると、類似体、誘導体、修飾、または変異体が、別の塩基と同じ塩基形成のパターンを有する限り、同じ種類の塩基であると見なすことができる。修飾は、ヌクレオチドの糖基またはリン酸基に対して行うことができる。一般に、そのような修飾は、塩基の塩基形成パターンを変更しない。しかしながら、核酸鎖中のヌクレオチドの塩基形成パターンが、ヌクレオチド中の塩基の塩基型を決定する。
【0138】
伸長産物中に組み込まれる修飾ヌクレオチド、および開示される方法において開示される物質によって選択的に除去される修飾ヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に記載されるように、開示される方法において必要な、機能する任意の修飾ヌクレオチドであり得る。修飾ヌクレオチドはまた、例えば、化学的修飾、酵素的修飾、またはその組み合わせによって、伸長産物等の既存の核酸鎖中で生成されてもよい。
【0139】
多くの種類のヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドが既知であり、開示される方法において使用することができる。例えば、ヌクレオチドは修飾されたリン酸基を有し、および/または、修飾された糖基は1つ以上のヌクレアーゼに耐性であり得る。本明細書において、ヌクレアーゼ耐性は、任意の1つ以上のヌクレアーゼによる核酸からの除去に耐性であると定義される。一般的に、特定のヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性は、関連するヌクレアーゼの観点から定義することができる。したがって、例えば、開示される方法において特定のヌクレアーゼが用いられる場合、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドは、その特定のヌクレアーゼに対してのみ耐性である必要がある。有用なヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドの例として、チオ修飾ヌクレオチドおよびボラノ修飾ヌクレオチドが挙げられる。
【0140】
核酸に基づく多様な分子が本明細書に開示される。本明細書では、これらおよび他の分子の非限定的な例について考察する。例えば、ヌクレオチドは、塩基部分、糖部分、およびリン酸部分を含有する分子であることを理解されたい。ヌクレオチドは、それらのリン酸部分および糖部分を介して一緒に結合し、ヌクレオシド間結合を作製することができる。ヌクレオチドの塩基部分は、アデニン−9−イル(アデニン、A)、シトシン−1−イル(シトシン、C)、グアニン−9−イル(グアニン、G)、ウラシル−1−イル(ウラシル、U)、およびチミン−1−イル(チミン、T)であり得る。ヌクレオチドの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースである。ヌクレオチドのリン酸部分は、五価リン酸塩である。ヌクレオチドの非限定的な例は、3’−AMP(3’−アデノシン一リン酸)または5’−GMP(5’−グアノシン一リン酸)である。
【0141】
ヌクレオチド類似体は、塩基、糖、またはリン酸部分のいずれかに対するいくつかの種類の修飾を含有するヌクレオチドである。塩基部分に対する修飾は、A、C、G、およびT/Uの天然および合成の修飾、ならびに異なるプリンまたはピリミジン塩基、例えば、ウラシル−5−イル(ψ)、ヒドロキサンチン−9−イル(イノシン、I)および2−アミノアデニン−9−イルを含む。修飾された塩基は、5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、6−メチル、ならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−プロピルならびにアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルならびに他の8−置換アデニンおよびグアニン、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルならびに他の5−置換ウラシルおよびシトシン、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニンおよび3−デアザアデニンおよび3−デアザアデニンを含むが、これらに限定されない。さらなる塩基修飾は、例えば、米国特許第3,687,808号(塩基修飾に関するその教示のために、その全体が本明細書に組み込まれる)に見出すことができる。2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンを含む、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジンおよびN−2、N−6およびO−6置換プリン等の特定のヌクレオチド類似体。5−メチルシトシンは、二重鎖形成の安定性を増加することができる。しばしば、塩基修飾は、例えば、2’−O−メトキシエチル等の糖修飾と組み合わせて、二重鎖の安定性増加等の固有の特性を達成することができる。第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、および第5,681,941号等、塩基修飾の範囲について詳述および説明する多くの米国特許がある。これらの特許の各々は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0142】
ヌクレオチド類似体はまた、糖部分の修飾を含むことができる。糖部分に対する修飾は、リボースおよびデオキシリボースの天然の修飾ならびに合成の修飾を含む。糖修飾は、これらに限定されないが、2’位における以下の修飾を含む:OH;F;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;O−、S−もしくはN−アルキニル;またはO−アルキル−O−アルキル(アルキル、アルケニル、およびアルキニルは、置換または非置換のC1〜C10、アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい)。2’糖修飾はまた、−O[(CH2)nO]mCH3、−O(CH2)nOCH3、−O(CH2)nNH2、−O(CH2)nCH3、−O(CH2)n−ONH2、および−O(CH2)nON[(CH2)nCH3)]2(nおよびmは、1〜10である)を含むが、これらに限定されない。
【0143】
2’位における他の修飾は、これらに限定されないが、以下を含む:C1〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルもしくはO−アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学的特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。同様の修飾はまた、糖上の他の位置、特に、3’末端ヌクレオチド上のまたは2’−5’結合オリゴヌクレオチドの糖の3’位で、および5’末端ヌクレオチドの5’位で作製されてもよい。修飾された糖はまた、CH2およびS等の架橋環酸素での修飾を含有するものを含む。ヌクレオチド糖類似体はまた、糖模倣物、例えばペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分を有してもよい。第4,981,957号、第5,118,800号、第5,319,080号、第5,359,044号、第5,393,878号、第5,446,137号、第5,466,786号、第5,514,785号、第5,519,134号、第5,567,811号、第5,576,427号、第5,591,722号、第5,597,909号、第5,610,300号、第5,627,053号、第5,639,873号、第5,646,265号、第5,658,873号、第5,670,633号、および第5,700,920号等、そのような修飾された糖構造の調製を教示する多数の米国特許があり、これらの各々は、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0144】
ヌクレオチド類似体はまた、リン酸部分において修飾することもできる。修飾されたリン酸部分は、2つのヌクレオチド間の結合がホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルおよび他のアルキルホスホネート、例えば、3’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネート、ホスフィン酸塩、ホスホラミデート、例えば、3’−アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、ならびにボラノホスフェートを含むように修飾され得るものを含むが、これらに限定されない。2つのヌクレオチドの間のこれらのリン酸結合または修飾されたリン酸結合は、3’−5’結合または2’−5’結合を介してもよく、また3’−5’から5’−3’、もしくは2’−5’から5’−2’等の逆位の極性を含有してもよいことを理解されたい。種々の塩、混合塩、および遊離酸の形態もまた含まれる。多くの米国特許が修飾されたリン酸塩を含有するヌクレオチドを作製および使用する方法を教授しており、それらには、第3,687,808号、第4,469,863号、第4,476,301号、第5,023,243号、第5,177,196号、第5,188,897号、第5,264,423号、第5,276,019号、第5,278,302号、第5,286,717号、第5,321,131号、第5,399,676号、第5,405,939号、第5,453,496号、第5,455,233号、第5,466,677号、第5,476,925号、第5,519,126号、第5,536,821号、第5,541,306号、第5,550,111号、第5,563,253号、第5,571,799号、第5,587,361号、および第5,625,050号が含まれるが、これらに限定されず、これらのそれぞれが、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0145】
ヌクレオチド類似体は、単一の修飾を含有する必要があるだけであるが、部分のうちの1つに、または異なる部分間に、複数の修飾を含有してもよいことを理解されたい。
【0146】
ヌクレオチド置換基は、ヌクレオチドと同様の機能特性を有する分子であるが、ペプチド核酸(PNA)等のリン酸部分は含有しない。ヌクレオチド置換基は、ワトソン‐クリックまたはフーグスティーン様式で核酸を認識する分子であるが、リン酸部分以外の部分によって一緒に結合される。ヌクレオチド置換基は、適切な標的核酸と相互作用するときに、二重らせん型の構造に一致することが可能である。
【0147】
ヌクレオチド置換基は、リン酸部分および/もしくは糖部分が置換されているヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体である。ヌクレオチド置換基は、標準的なリン原子を含有しない。リン酸の置換基は、例えば、短鎖アルキルもしくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合ヘテロ原子およびアルキルもしくはシクロアルキルヌクレオチド間結合、または1つ以上の短鎖ヘテロ原子もしくは複素環ヌクレオシド間結合であり得る。これらは、モルホリノ結合を有するもの(ヌクレオシドの糖部分から一部形成される);シロキサン骨格;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン骨格;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格;アルケン含有骨格;スルファミン酸骨格;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格;スルホナートおよびスルホンアミド骨格;アミド骨格;ならびに混合されたN、O、SおよびCH2構成要素部分を有するその他のものを含む。多数の米国特許が、これらの種類のリン酸置換を作製および使用する方法を開示しており、それには、限定されないが、第5,034,506号、第5,166,315号、第5,185,444号、第5,214,134号、第5,216,141号、第5,235,033号、第5,264,562号、第5,264,564号、第5,405,938号、第5,434,257号、第5,466,677号、第5,470,967号、第5,489,677号、第5,541,307号、第5,561,225号、第5,596,086号、第5,602,240号、第5,610,289号、第5,602,240号、第5,608,046号、第5,610,289号、第5,618,704号、第5,623,070号、第5,663,312号、第5,633,360号、第5,677,437号、および第5,677,439号を含み、これらのそれぞれが、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0148】
また、ヌクレオチド置換において、ヌクレオチドの糖およびリン酸部分の両方が、例えば、アミド型結合(アミノエチルグリシン)(PNA)によって置換されてもよいことを理解されたい。米国特許第5,539,082号、第5,714,331号、および第5,719,262号は、PNA分子を作製および使用する方法を教示しており、これらのそれぞれが、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0149】
また、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に、他の種類の分子(コンジュゲート)を結合させることも可能である。コンジュゲートは、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体に化学的に結合させることができる。そのようなコンジュゲートは、コレステロール部分等の脂肪部分、コール酸、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪鎖、例えば、ドデカンジオールもしくはウンデシル残基、リン脂質、例えば、ジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖、またはアダマンタン酢酸、パルミチル部分、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分を含むが、これらに限定されない。多くの米国特許が、このようなコンジュゲートの調製について教示しており、それには、限定されないが、米国特許第4,828,979号、第4,948,882号、第5,218,105号、第5,525,465号、第5,541,313号、第5,545,730号、第5,552,538号、第5,578,717号、第5,580,731号、第5,580,731号、第5,591,584号、第5,109,124号、第5,118,802号、第5,138,045号、第5,414,077号、第5,486,603号、第5,512,439号、第5,578,718号、第5,608,046号、第4,587,044号、第4,605,735号、第4,667,025号、第4,762,779号、第4,789,737号、第4,824,941号、第4,835,263号、第4,876,335号、第4,904,582号、第4,958,013号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,082,830号、第5,112,963号、第5,214,136号、第5,245,022号、第5,254,469号、第5,258,506号、第5,262,536号、第5,272,250号、第5,292,873号、第5,317,098号、第5,371,241号、第5,391,723号、第5,416,203号、第5,451,463号、第5,510,475号、第5,512,667号、第5,514,785号、第5,565,552号、第5,567,810号、第5,574,142号、第5,585,481号、第5,587,371号、第5,595,726号、第5,597,696号、第5,599,923号、第5,599,928号、および第5,688,941号を含み、これらのそれぞれが、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0150】
ワトソン‐クリック相互作用は、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換基のワトソン‐クリック面との少なくとも1つの相互作用である。ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換基のワトソン‐クリック面は、C2、N1およびC6位のプリンベースのヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換基、ならびにC2、N3、C4位のピリミジンベースのヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、またはヌクレオチド置換基を含む。
【0151】
フーグスティーン相互作用は、ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の二重鎖DNAの主溝に露出されたフーグスティーン面で起こる相互作用である。フーグスティーン面は、プリンヌクレオチドのN7位、およびC6位の反応基(NH2またはO)を含む。
【0152】
ハイブリダイゼーション/選択的ハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションという用語は、通常、プライマーまたはプローブおよび遺伝子等の少なくとも2つの核酸分子間の配列誘導性の相互作用を意味する。配列誘導性の相互作用とは、ヌクレオチド特異的な様式で2つのヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体またはヌクレオチド誘導体の間で起こる相互作用を意味する。例えば、GがCと相互作用すること、またはAがTと相互作用することは、配列誘導性の相互作用である。典型的には、配列誘導性の相互作用は、ヌクレオチドのワトソン−クリック面またはフーグスティーン面上で起こる。2つの核酸のハイブリダイゼーションは、当業者に既知の多くの条件およびパラメータによって影響を受ける。例えば、塩濃度、pH、および反応温度は全て、2つの核酸分子がハイブリダイズするかどうかに影響する。
【0153】
2つの核酸分子間の選択的ハイブリダイゼーションのパラメータは、当業者に周知である。例えば、いくつかの実施形態において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件として定義することができる。例えば、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、そのハイブリダイゼーションおよび洗浄工程のいずれかまたは両方の温度および塩濃度の両方によって支配される。例えば、選択的ハイブリダイゼーションを達成するためのハイブリダイゼーション条件は、Tm(分子の半分がそれらのハイブリダイゼーションのパートナーから解離する融解温度)より約12〜25℃低い温度での高イオン強度溶液(6×SSCまたは6×SSPE)中のハイブリダイゼーションと、それに続く洗浄温度がTmより約5℃〜20℃低くなるように選択された温度および塩濃度の組み合わせでの洗浄とを含むことができる。温度および塩条件は、フィルターに固定された参照DNAのサンプルを標識された目的の核酸にハイブリダイズし、次いで、異なるストリンジェンシー条件下で洗浄する予備実験において、経験的に容易に決定される。ハイブリダイゼーション温度は、通常、DNA−RNAおよびRNA−RNAのハイブリダイゼーションではより高い。その条件は、ストリンジェンシーを達成するために、上記のように、または当該分野で既知であるように用いられてもよい。DNA:DNAハイブリダイゼーションのための好ましいストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、6×SSCまたは6×SSPE中で約68℃(水溶液中)、およびそれに続く68℃での洗浄であり得る。所望の場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシーは、所望の相補性の程度が低下するにつれて、またさらには、変動性が探索される任意の領域のG−CまたはA−Tの豊富さに応じて、低下させることができる。同様に、所望の場合、ハイブリダイゼーションおよび洗浄のストリンジェンシーは、所望の相同性が増加するにつれて、またさらには、高い相同性が所望される任意の領域のG−CまたはA−Tの豊富さに応じて、増加させることができ、これらは全て当該技術分野で既知である。
【0154】
選択的ハイブリダイゼーションを定義するための別の方法は、他の核酸に結合した核酸のうち1つの量(パーセント)を考慮することによる。例えば、いくつかの実施形態において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、限定的な核酸のうちの少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントが、非限定的な核酸に結合している場合である。通常、非限定的なプライマーは、例えば10または100または1000倍過剰である。この種類のアッセイは、限定的および非限定的なプライマーの両者が、例えばそれらのkdの10倍もしくは100倍もしくは1000倍低いか、または核酸分子のうちの1つのみが10倍もしくは100倍もしくは1000倍であるか、または1つもしくは両方の核酸分子が、それらのkdを超えるという条件下で行うことができる。
【0155】
選択的ハイブリダイゼーションを定義する別の方法は、所望の酵素的操作を促進するためにハイブリダイゼーションが必要とされる条件下で、酵素的操作を受けるプライマーのパーセントを考慮することによる。例えばいくつかの実施形態において、選択的ハイブリダイゼーション条件は、プライマーのうちの少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントが、酵素的操作を促進する条件下で酵素的操作を受ける場合であり、例えば、酵素的操作がDNA伸張であるならば、選択的ハイブリダイゼーション条件は、プライマー分子のうちの少なくとも約60、65、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100パーセントが伸長される場合である。条件はまた、製造者によって推奨される条件、または当該技術分野において、酵素による操作を行うのに適切であると示された条件を含む。
【0156】
相同性と同様に、2つの核酸分子の間のハイブリダイゼーションのレベルを判定するための様々な方法が、本明細書に開示されることを理解されたい。これらの方法および条件は、2つの核酸分子の間に異なるハイブリダイゼーションの割合を提供する可能性があるが、別途記載のない限り、方法のうちのいずれかのパラメータを満たすことが十分であることを理解されたい。例えば、80%のハイブリダイゼーションが求められる場合、これらの方法のうちのいずれか一つにおいて必要とされるパラメータの範囲内でハイブリダイゼーションが起こる限り、それは本明細書に開示されると見なされる。
【0157】
当業者は、ある組成物または方法が、集合的にまたは単独で、ハイブリダイゼーションを判定するためのこれらの基準のうちのいずれか1つを満たす場合、それは本明細書に開示される組成物または方法であることを理解するということを理解されたい。
【0158】
キット
本明細書に開示される方法を実践する際に使用することができる試薬を含むキットが、本明細書に開示される。具体的には、キットは、本明細書で考察される、または開示される方法の実践において有用であると理解される、任意の試薬または試薬の組み合わせを含むことができる。例えば、キットは、方法の特定の実施形態において考察される伸長、複製および増幅反応を行うための本明細書に開示される1つ以上プライマー、ならびに目的通りにプライマーを使用するために必要な緩衝液および酵素を含むことができる。
【0159】
ALKに関連する融合を検出するためには、野生型ALKにハイブリダイズする逆方向プライマーを使用することができることを理解されたい。したがって、少なくとも1つの逆方向プライマーを含むキットであって、逆方向プライマーが、野生型ALKのキナーゼドメイン等の野生型ALKの一部にハイブリダイズする、キットが、本明細書に開示される。開示されるキットにおいて使用することができる逆方向プライマーの例として、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57が挙げられるが、これらに限定されない。また、本明細書に開示されるキットは、ALKまたは野生型ALKの融合パートナーに特異的にハイブリダイズする1つ以上の順方向プライマーを含むことができることを理解されたい。したがって、例えば、順方向プライマーは、野生型ALK、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFGL)、TRK融合遺伝子(小)(TFGS)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、またはTRK融合遺伝子(特大)(TFGXL)にハイブリダイズすることができる。本明細書に開示されるキットにおいて使用することができる順方向プライマーの非制限的なリストは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および配列番号59を含むが、これらに限定されない。当業者は、1つより多くのプライマー対を含み、例えば、配列番号7等の1つの逆方向プライマーおよび複数の逆方向プライマーを含み得るキットを有することが適切であることを理解することができる。したがって、野生型ALK、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFGL)、TRK融合遺伝子(小)(TFGS)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、またはTRK融合遺伝子(特大)(TFGXL)に特異的にハイブリダイズする1つ以上の順方向プライマーと、少なくとも1つの逆方向プライマーとを含むキットであって、逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、および配列番号58等の野生型ALK逆方向プライマーである、キットが、本明細書において具体的に企図される。
【0160】
開示されるキットはまた、本明細書に開示される方法が適切に機能していることを確実にするため、およびアッセイ間の結果を正規化するための対照も含むことができることを理解されたい。したがって、例えば、陽性cDNA対照、陰性cDNA対象、および対照プライマー対が、本明細書に開示される。例えば、開示されるキットは、ヒトATP合成酵素、H+輸送、ミトコンドリアF1複合体、Oサブユニット(ATP5O)、ミトコンドリアタンパク質mRNAをコードする核遺伝子;ヒトNADH脱水素酵素(ユビキノン)1α部分複合体、2,8kDa(NDUFA2)、mRNA;ヒトグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)、mRNA;ヒトH3ヒストン、ファミリー3A(H3F3A)、mRNA;ヒトプロテアソーム(プロソーム、マクロペイン)サブユニット、β型、4(PSMB4)、mRNA;ヒトリボソームタンパク質S27a(RPS27A)、転写物変異体1、mRNA;ヒト真核細胞翻訳開始因子4A、アイソフォーム2(EIF4A2)、mRNA;ヒトリボソームタンパク質L18(RPL18)、mRNA;ヒトアデノシンデアミナーゼ、RNA特異的(ADAR)、転写物変異体1、mRNA;またはヒトチトクロムc酸化酵素サブユニットVb(COX5B)、mRNAの検出のための対照プライマー対を含むことができる。プライマー対の例として、表1に見出されるプライマー対が挙げられるが、これらに限定されない。
【0162】
また、開示されるキットは、そのような他の試薬、および酵素(例えば、ポリメラーゼ)、緩衝液、滅菌水、反応管等の開示される方法を行うための材料を含んでもよいことを理解されたい。さらに、キットは、修飾ヌクレオチド、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチド、および標識されたヌクレオチドを含むこともできる。また、開示されるキットは、本明細書に開示される方法を行うための説明書、およびALK突然変異の存在を計算することを可能にするためのソフトウェアを含むことができる。
【0163】
一態様において、開示されるキットは、サンプルが、野生型ALK、既知のALK融合、またはそれまで未同定であったALK融合を含むかどうかを判定するために、1回のアッセイ実行において方法を同時にまたは別々に行うのに十分な材料を含むことができる。キットはまた、対照反応を実行するのに十分な材料も含む。したがって、一態様において、陽性Cdna対照反応管、陰性cDNA対照反応管、対照プライマー反応管、既知のALK融合を検出するための反応管、野生型ALKを検出するための反応管、およびキナーゼ活性を検出するための反応管を備えるキットが、本明細書に開示される。
【0164】
別の構成において、開示されるキットは、内部標準遺伝子に対してなされる測定に基づいて、ALKの状態、すなわち野生型の発現、キナーゼドメインの過剰発現、または融合突然変異の過剰発現を判定するために使用することができる。本開示の他の箇所に記載した内部標準遺伝子は、細胞周期、発達または環境因子とは関係なく、安定にかつ構成的に発現されると理解されたい。したがって、一態様において、ALKの状態は、ALK(分子)/内部標準(分母)の方程式によって判定することができ、得られた商は、検査した組織、細胞株、または他のサンプルがALK陽性またはALK陰性のいずれかであることを示唆する結果の範囲である。特定の組織は異なるレベルの内部標準転写物を発現することを理解すると、ALK陽性または陰性の状態を示唆するために決定される比率および商は、各組織および検体の種類ごとに別個に確立される。
【0165】
本明細書に開示される組成物および開示される方法を実行するために必要な組成物は、別途特記のない限り、その特定の試薬または化合物のための当該技術分野において既知の任意の方法を使用して作製することができる。
【0166】
核酸の合成
開示される核酸、例えば、プライマーとして使用されるオリゴヌクレオチドは、標準的な化学合成法を用いて作製することができるか、または酵素的方法もしくは任意の他の既知の方法を使用して生成することができる。そのような方法は、標準的な酵素消化およびその後のヌクレオチド断片の単離から、例えば、MilligenまたはBeckman System 1Plus DNA合成機(例えば、Milligen−Biosearch(Burlington,MA)の8700型自動合成機またはABI380B型)を使用するシアノエチルホスホラミダイト法による純粋合成法にまでおよび得る。
【実施例】
【0167】
以下の実施例は、本明細書で請求される化合物、組成物、物質、デバイスおよび/または方法が、どのように作製および評価されるかの完全な開示および説明を当業者に提供するために記載されるが、それらは純粋に例示的なものであり、本開示を制限することは意図されない。数字(例えば、量、温度等)に関する正確性を確保するべく努力がなされたが、ある程度の誤差および変動は考慮されるべきである。別途指示のない限り、割合は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、圧力は大気圧またはその付近の圧力である。
【0168】
A.実施例1:血液系腫瘍および固形腫瘍(未分化大細胞リンパ腫、ALK+びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ALK+全身性組織球増殖症、IMT肉腫、非小細胞肺癌、食道扁平上皮癌、乳癌、結腸直腸癌)におけるALK融合遺伝子
ALKの点突然変異は神経芽細胞腫において生じるが、いわゆる「ALK融合」は、このチロシンキナーゼの最も一般的な突然変異を表す(
図1)。上の標題に列挙した血液学的(血液系由来の)腫瘍および固形腫瘍の各々のサブセットは、ALK融合によって引き起こされる。一例として、新規EML4−ALK融合タンパク質は、日本人の非小細胞肺癌患者のほぼ7%に見られる。ALK融合配列のRT−PCR検出を行うために、癌に罹患する対象から組織サンプルを得る。組織サンプルからmRNAを抽出する。RT−PCR反応は、少なくとも1つの順方向プライマーおよび逆方向プライマーを用いる。
図2は、種々のプライマー対形成の例を示す。例えば、順方向プライマーは、細胞内ALKプライマー(プライマー100)5’ACTACTGCTTTGCTGGCAAGACCT(配列番号6)、細胞外EML4−ALK融合プライマー(プライマー103)5’TGTTCAAGATCGCCTGTCAGCTCT(配列番号3)、細胞外NPM−ALK融合プライマー(プライマー102)5’TCTGTACAGCCAACGGTTTCCCTT(配列番号4)、細胞外CTLC−ALK融合プライマー(プライマー105)5’GAGAGTGCTTTGGAGCTTGTCTGT(配列番号5)、または非相同性領域からの細胞外野生型ALKプライマー(プライマー104)5’TTCCTTCATCAGTCCACTGGGCAT(配列番号2)であってもよい。逆方向プライマーは、プライマー101:5’TCGTCCTGTTCAGAGCACACTTCA(配列番号7)であってもよい。RT−PCR反応は、表2に示すサイズの増幅産物(すなわち、アンプリコン)をもたらす。
【0169】
表2
【0170】
B.実施例2:鋳型交換伸長反応(TEER)
鋳型交換伸長反応(TEER)は、未知のまたは配列決定されていない核酸の鋳型を配列決定された鋳型と比較して、それらが同一であるかどうかを判定することができる方法の一種を指す。これは、配列決定産物はそれらが産生される鋳型に固有であるという事実に基づいている。開示される方法および組成物は、特定の形態のTEERを含む。
【0171】
もともと、鋳型交換伸長反応(TEER)は、ホモ接合またはヘテロ接合の状態に存在する未知の生殖系列および体細胞突然変異を検出するために開発された。これは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、続いて化学発光検出によって実証された。このプロセスは、マイクロタイターに基づく検出フォーマットに変換された。マイクロタイタープレートフォーマットにおいて、それはより高いスループットを有し、DNAの配列決定の前に、突然変異についてDNAを迅速にスクリーニングするために使用することができる。配列走査法として、それは所与のサンプルについて特定の遺伝子における突然変異の可能性が極めて低い大きなサンプル集団をスクリーニングする際に有用である。TEERは、サンプルを迅速にスクリーニングし、突然変異を含有するものにフラグを立て、そうすることで、それらが配列決定されて突然変異が同定され得る。
【0172】
TEERは、マイクロプレートフォーマットで突然変異を検出することが示された。ストレプトアビジンでコーティングしたマイクロプレートウェルを使用してビオチン化PCR産物を固相に結合させる。固相におけるハイブリダイゼーションの間に、ホモ二重鎖分子およびヘテロ二重鎖分子が形成される。このプロセスの各工程は、マイクロタイタープレート中で容易に達成され、それによって、サンプルの取扱いおよび処理が大幅に簡素化される。
【0173】
C.実施例3:挿入および欠失の検出
TEERは、挿入および欠失を容易に検出することができる。これらの突然変異は、挿入/欠失のポイントで、または単に変異3’(野生型伸長鎖上)でミスマッチを作製し、そこで配列フレームがシフトされる。これらの突然変異の検出は、長く伸びた同じヌクレオチドまたは反復配列が存在する領域において妨げられ得る。例えば、ストレッチが十分に長い場合、ヘアピンループが形成し始め、そのために挿入または欠失が締め出されて検出されない可能性があり得る。これらのストレッチの中央付近にある挿入または欠失は、末端にあるものよりも検出するのが困難である。
【0174】
D.実施例4:TEERで選択された突然変異のリアルタイムPCR検出
マイクロプレートに化学物質を移す間、TEERが正常または野生型シグナルを上回る変異シグナルを選択していることが明白であった。それは、60個の「正常な」単一塩基伸長のうち1つの「変異」からのシグナルを発生していた。ホモ二重鎖に対するヘテロ二重鎖シグナルの増加は劇的なものではなく、約4倍であったが、プロセスが作用しているという証拠を提供した。これは、マイクロプレート検出のノイズ比に対してシグナルを増加させる必要性と共に、DNA配列決定によってそれをさらに特徴づけることができるように、PCRを用いて突然変異を増幅することができるかどうかを決定する。最初にPCRを利用して突然変異を増幅することによって、稀な突然変異の迅速かつ高感度の検出が可能になる。陽性のサンプルを配列決定して、突然変異を局在化および特定することができる。配列の各塩基が分析されるように、4塩基の各々が別個の反応で標的化される。一旦、TEER選択が行われると、1つのサンプルからの4つの反応産物を一緒に合わせて、1つのリアルタイムPCR検出反応で分析することができる。
【0175】
TEERにおける最初の工程は、鋳型交換である。特定の塩基でランダムに修飾されたPCR増幅した野生型DNAを、潜在的な突然変異を有するサンプルから増幅したDNAにハイブリダイズする。二重鎖DNAは、ExoIIIによる分解を防ぐために一方の端にミスマッチを有し、反対の端には、固相結合のためのリンカープローブの連結を可能にするために3’凹部末端を有する。リンカーは、全ての標的がその相補体にハイブリダイズすること、およびそれが全長の伸長産物であることを確実にする。任意の不完全な伸長産物は連結されず、ストリンジェントな洗浄を用いることによってプレートから容易に除去される。ヘテロ二重鎖DNAを、野生型鎖の修飾されたヌクレオチドのみで特異的に切断する酵素または化学物質で処理する。潜在的に突然変異を含有する相補的な鎖は影響を受けない。これにより、配列における塩基の各々の出現を代表する無塩基部位のサブセットが作製される。これは、本質的に、インタクトな全長鋳型上の、標的塩基を差し引いた配列決定ラダーである。
【0176】
TEERにおける次の工程は、エキソヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドを用いた伸長反応である。ここでは、αチオヌクレオチドが使用されている。ホウ素ヌクレオチドもまた使用できることを理解されたく、またそれが本明細書において企図される。3つの考えられるヌクレオチド突然変異を表す3つのαチオデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)の混合物を、ThermoSequenaseを用いた伸長反応に使用する。標的塩基にマッチするdNTPは存在しない。例えば、(ウラシルを介して)チミンが標的塩基である場合、伸長ヌクレオチドはαチオdATP、dCTP、およびdGTPとなる。
【0177】
エキソヌクレアーゼIIIは、突然変異を選択するために使用することができる。チオヌクレオチドで終止する伸張産物は突然変異を表し、エキソヌクレアーゼIIIに耐性を示す。非保護の野生型鋳型は分解される。
【0178】
編集された野生型鎖は、今では突然変異のコピーを含有する。ポリメラーゼは、DNAを伸長するにつれて、ポリメラーゼに依存して、鎖置換または5’→3’エキソヌクレアーゼを用いて、変異鋳型の末端へと進む。このプロセスは、固相から変異二重鎖を遊離させる。遊離されたDNAは、マイクロプレートからリアルタイムPCR反応に直接移動することができる。
【0179】
選択された変異鋳型は、リアルタイム蛍光順方向プライマーおよび逆方向プライマーを使用して特異的に増幅される。例えば、SYBR緑色色素、または伸長された後にのみ蛍光を発する蛍光発生ヘアピンプライマー、例えば、LUXプライマー(Invitrogen、Carlsbad,CA)が使用されてもよい。突然変異の部位が未知であるため、Taqmanまたは二重標識FRETプローブ等のリアルタイムPCR用内部ハイブリダイゼーションプローブの使用は推奨されない。
【0180】
E.実施例5:マイクロアレイの設計および製作
特定のALK突然変異の同定のためのマイクロアレイ診断法の開発をここに記載する。12個の考えられる突然変異および内部標準としての野生型ALKを検出することができる、47個の固有の要素からなるDNAマイクロアレイの製造が本明細書に開示される。インプット核酸プローブを最適化するために経験的な2つのシナリオを追及することができ、それは逆転写、または逆転写およびPCR(RT−PCR)が関与する。サブクローニングしたALK融合物および変異体の正確な検出に基づくインビトロ実行可能性は、プラスミドコンストラクトから、また、野生型ALKを含有する細胞株と様々な比率で混合したヒト癌細胞株を含有する種々の変異ALKの融合を使用して、実証することができる。ALK突然変異は、肺癌生検標本から同定することができる。この研究は、利用可能な診断標準との基準となる比較試験、ALK FISHアッセイ、および抗ALK免疫組織化学的検査(IHC)を含むことができる。
【0181】
1.オリゴヌクレオチドの設計
ALK融合パートナーの固有の5’領域を検出することにより、ALKの突然変異およびそれらの部分変異体を同定するためのストラテジーを設計した。一般に、このストラテジーは、接合部位全体にわたるALKのMrnaの3’細胞内領域内の領域から融合パートナーの5’部分への逆転写ならびに伸長および/または増幅に基礎を置く。産生されたcDNAまたは増幅されたDNAは、共有結合されたフルオロプローブで後標識され、マイクロアレイへのインプットとしての役割を果たす。3通りに印刷された、融合パートナーまたはALKのcDNAの5’領域内の異なる領域に相補的な2つのプローブは、マイクロアレイ捕捉DNAとしての役割を果たす。ハイブリダイゼーションおよびシグナル検出の位置により、一連の10個のハウスキーピング内部標準転写物に対するALKおよび/またはALK突然変異ならびにそれらの発現の存在を同定する(
図3および表3)。
【0182】
表3
【0183】
OLIGOANLYZER 3.1(登録商標)プログラムを用いて、それぞれの合成したプローブを融解温度65℃および5’融合パートナーまたはALKの固有のハイブリダイゼーション領域に最適化した。融解温度および約30ヌクレオチドの長さは、最適化されたマイクロアレイ条件に関する報告に基づいて選択した。それらの精製および調製したガラススライドへのコンジュゲーションを可能にするように、プローブに5’モノメトキシトリチルC−6アミノリンカーを加えた。このリンカーは、化学的性質の最適化に基づいて選択した。最後に、理想的には融合パートナーの異なる領域にある各ALK融合パートナーのための2つのプローブを合成し、DNAの三次構造の立体構造上の制限によってプローブの領域に対する結合が防止される場合の代替の同定方法を提供する。これらの基準は、内部標準の設計にも適用された。
【0184】
PCRプライマー
それぞれの合成されたプライマーは、プログラムOLIGOANLYZER 3.1(登録商標)を用いて、理論上の融解温度である60℃、ならびに5’融合パートナーおよび3’ALK細胞内ドメインの両方の固有の領域に再び最適化された。「普遍的なALK逆方向プライマー」として定義されるプライマーは、逆転写工程に共通するプライマーとしての役割を果たす。他の列挙されるプライマーは、その後の推定上の標的のPCR工程および増幅を可能にする。これらの基準は、内部標準の設計にも適用された。
【0185】
RT−PCRプライマーの最適化
RT−PCR用のプライマーは、推定上の標的DNAの産生のために、結合Tm60℃に最適化した。これらのプライマーは、単一アンプリコン反応として最適化されているが、推定上の標的DNAの多重化を可能にするために、いくつかまたは全てがバッチ化されてもよい。
図4は、各ALK変異体から増幅された標的DNAおよび目的の融合物のゲル電気泳動を示す。利用したPCR増幅プロトコルは、95℃で15分を35サイクル、94℃で30秒、52℃で1分、72℃で1分、72℃で15分、および4℃であった。
【0186】
当業者には、本発明の範囲または主旨から逸脱することなく、本発明において種々の修正および変形が行われ得ることが理解されよう。本発明の他の実施形態は、本明細書および本明細書に開示される本発明の実践を考慮すると、当業者には明白であろう。本明細書および実施例は単なる例示であり、本発明の真の範囲および主旨は、以下の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
開示される方法および組成物は、記載される特定の方法論、プロトコル、および試薬に限定されることを意図するものではないことを理解されたい。それは異なり得るからである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみのものであって、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0187】
本明細書の記載および特許請求の範囲と通して、「含む」という用語、および「含むこと」および「含む」等の該用語の変形は、「〜を含むが、それらに限定されない」ことを意味し、例えば、他の添加物、組成物、完全体または工程を除外することを意図するものではない。
【0188】
当業者は、単なるルーチン実験を用いて、本明細書に記載される方法および組成物の特定の実施形態の多くの均等物を認識または確認するであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
本発明の別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルから、核酸変異、切断、またはALK融合に関連する核酸の存在を検出すること、またはその量を測定することを含み、対照に対する増幅産物または標識プローブの量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する、方法。
〔2〕前記核酸は、前記サンプルに対して第1の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行うことによりmRNAレベルを測定することによって測定される、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記核酸は、マイクロアレイによって測定される、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーおよび少なくとも1つ以上の順方向プライマーの使用を含む、前記〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記逆方向プライマーは、ALKに結合する、前記〔4〕に記載の方法。
〔6〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58である、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、野生型ALK、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFG
L)、TRK融合遺伝子(小)(TFG
S)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、またはTRK融合遺伝子(特大)(TFG
XL)にハイブリダイズする、前記〔4〕に記載の方法。
〔8〕前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、および配列番号59からなる群から選択される、少なくとも1つの順方向プライマーを含む、前記〔7〕に記載の方法。
〔9〕2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、または15個以上の順方向プライマーを含む、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記マイクロアレイは、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、または配列番号31からなる群から選択される、1つ以上のプローブの使用をさらに含む、前記〔4〕に記載の方法。
〔11〕前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、前記〔1〕に記載の方法。
〔12〕前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、前記〔11〕に記載の方法。
〔13〕前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、前記〔11〕に記載の方法。
〔14〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はL560Fである、乳癌である、前記〔11〕に記載の方法。
〔15〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はA877Sである、卵巣癌である、前記〔11〕に記載の方法。
〔16〕鋳型交換および伸長反応(TEER)を使用して、前記組織サンプルから、核酸変異、切断、またはALK融合の存在を検出することをさらに含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔17〕第2のRT−PCR反応をさらに含み、前記第2のRT−PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマー、および野生型ALKに特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも1つ以上の順方向プライマーの使用を含む、前記〔2〕に記載の方法。
〔18〕第3のRT−PCR反応をさらに含み、前記第3のRT−PCR反応は、ALKのキナーゼドメインのALK配列5’および3’に特異的にハイブリダイズする順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含む、前記〔17〕に記載の方法。
〔19〕前記順方向プライマーのうちの少なくとも1つは、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)またはヌクレオフォスミン(NPM)に特異的にハイブリダイズする、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕ALKキナーゼの調節不全の存在を検出する方法であって、対象から組織サンプルを得ることと、1つ以上のALK融合の有無を検出することと、野生型ALKの有無を検出することと、ALKのキナーゼドメインの有無を検出することと、を含む、方法。
〔21〕前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、前記〔20〕に記載の方法。
〔23〕前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、前記〔20〕に記載の方法。
〔24〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はL560Fである、乳癌である、前記〔20〕に記載の方法。
〔25〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はA877Sである、卵巣癌である、前記〔20〕に記載の方法。
〔26〕前記ALKポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、RT−PCRまたはマイクロアレイによって検出される、前記〔20〕に記載の方法。
〔27〕前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマー、および既知のALK融合パートナーに特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも1つ以上の順方向プライマーの使用を含む、前記〔26〕に記載の方法。
〔28〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58である、前記〔27〕に記載の方法。
〔29〕前記ALK融合パートナーは、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFG
L)、TRK融合遺伝子(小)(TFG
S)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、またはTRK融合遺伝子(特大)(TFG
XL)からなる群から選択される、前記〔27〕に記載の方法。
〔30〕前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、および配列番号59からなる群から選択される、少なくとも1つの順方向プライマーを含む、前記〔27〕に記載の方法。
〔31〕前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、野生型ALKに特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーの使用を含む、前記〔26〕に記載の方法。
〔32〕前記順方向プライマーは、配列番号33、配列番号54、および配列番号55からなる群から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58からなる群から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔34〕前記RT−PCR反応またはマイクロアレイは、ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーの使用を含む、前記〔26〕に記載の方法。
〔35〕前記順方向プライマーは、配列番号45および配列番号48からなる群から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔36〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58からなる群から選択される、前記〔31〕に記載の方法。
〔37〕対象においてALKに関連する癌を阻害する薬剤をスクリーニングする方法であって、
a)ALKに関連する癌に罹患している対象から組織サンプルを得ることと、
b)前記組織サンプルを薬剤に接触させることと、
c)前記組織サンプルからmRNAを抽出することと、
d)前記組織サンプルからの前記mRNAに対してRT−PCR反応を行うことと、を含み、
前記RT−PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーと、を含み、未処理の対照に対する増幅産物の量の減少は、薬剤がALKに関連する癌を阻害することができることを示唆する、方法。
〔38〕ALKに関連する癌を診断するためのキットであって、(a)第1の検出試薬で標識された第1のプライマーであって、前記第1のプライマーは、逆方向プライマーであり、前記逆方向プライマーは、配列番号1またはその補体のアミノ酸配列をコードする第1のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第1のプライマーと、(b)少なくとも1つの第2のプライマーであって、前記第2のプライマーは、順方向プライマーであり、前記順方向プライマーは、5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFG
L)、TRK融合遺伝子(小)(TFG
S)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、TRK融合遺伝子(特大)(TFG
XL)、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)、またはヌクレオフォスミン(NPM)をコードする第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第2のプライマーと、を含む、キット。
〔39〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、または配列番号58である、前記〔38〕に記載のキット。
〔40〕前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号42、配列番号43、配列番号44、配列番号45、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号55、および配列番号59からなる群から選択される、少なくとも1つの順方向プライマーを含む、前記〔38〕に記載のキット。
〔41〕5−アミノイミダゾール−4−カルボキサミドリボヌクレオチドホルミルトランスフェラーゼ/IMPシクロヒドロラーゼ(ATIC)、キネシン1重鎖遺伝子(KIF5B)、クラスリン重鎖(CLTC)、Ran結合タンパク質2(RANBP2)、SEC31L1、トロポミオシン−3(TPM3)、トロポミオシン−4(TPM4)、TRK融合遺伝子(大)(TFG
L)、TRK融合遺伝子(小)(TFG
S)、CARS、ALO17、モエシン(MSN)、非筋肉ミオシン重鎖遺伝子(MYH9)、TRK融合遺伝子(特大)(TFG
XL)、棘皮動物微小管結合タンパク質様4(EML4)、またはヌクレオフォスミン(NPM)のうちの1つ以上に特異的にハイブリダイズする、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、またはそれら以上の順方向プライマーを含む、前記〔38〕に記載のキット。
〔42〕野生型ALKに特異的にハイブリダイズする順方向プライマーをさらに含む、前記〔38〕に記載のキット。
〔43〕前記順方向プライマーは、配列番号33、配列番号54、および配列番号55からなる群から選択される、前記〔42〕に記載のキット。
〔44〕前記ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズする順方向プライマーをさらに含む、前記〔38〕に記載のキット。
〔45〕前記順方向プライマーは、配列番号45および配列番号48からなる群から選択される、前記〔44〕に記載のキット。
〔46〕対照プライマー対をさらに含む、前記〔38〕に記載のキット。
〔47〕前記対照プライマー対は、COX5Bに特異的にハイブリダイズする、前記〔46〕に記載のキット。
〔48〕前記第1および第2のプライマーは、それぞれ、第1および第2の検出試薬で標識される、前記〔38〕に記載のキット。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1'〕対象において未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、前記対象由来の組織サンプルにおいて、核酸増幅プロセスを行うこと、並びに前記組織サンプル中の野生型ALK及びALKキナーゼドメインに関連する核酸の存在を検出するかまたはその量を測定することを含む、前記方法。
〔2'〕前記核酸核酸増幅プロセスが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)又はリアルタイムPCRである、前記〔1'〕に記載の方法。
〔3'〕前記RT−PCR又はリアルタイムPCR反応が、野生型ALKに特異的にハイブリダイズする順方向及び逆方向プライマー対、並びに野生型ALKキナーゼドメイン配列に特異的にハイブリダイズする順方向及び逆方向プライマー対を含む、前記〔2'〕に記載の方法。
〔4'〕少なくとも1つの逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号57、配列番号58又は配列番号66である、前記〔3'〕に記載の方法。
〔5'〕少なくとも1つの順方向プライマーは、配列番号2、配列番号6、配列番号31、配列番号33、配列番号45、配列番号48、配列番号54、配列番号55、配列番号65又は配列番号67を含む、前記〔3'〕に記載の方法。
〔6'〕少なくとも1つの順方向プライマーは、野生型ALKの細胞外領域にハイブリダイズする、前記〔3'〕に記載の方法。
〔7'〕前記順方向プライマーが、配列番号2、配列番号31、配列番号33、配列番号54、配列番号55又は配列番号65である、前記〔6'〕に記載の方法。
〔8'〕前記RT−PCR又はリアルタイムPCR反応が、ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズすることができる順方向プライマーを含む、前記〔2'〕に記載の方法。
〔9'〕前記順方向プライマーが、配列番号6、配列番号45、配列番号48又は配列番号67である、前記〔8'〕に記載の方法。
〔10'〕前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、前記〔1'〕に記載の方法。
〔11'〕前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、前記〔10'〕に記載の方法。
〔12'〕前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、前記〔10'〕に記載の方法。
〔13'〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はL560Fである、乳癌である、前記〔10'〕に記載の方法。
〔14'〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はA877Sである、卵巣癌である、前記〔10'〕に記載の方法。
〔15'〕対象由来の組織サンプル中のALKキナーゼの調節不全の存在を検出する方法であって、野生型ALKの有無を検出することと、ALKのキナーゼドメインの有無を検出することとを含む、前記方法。
〔16'〕前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、前記〔15'〕に記載の方法。
〔17'〕前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、前記〔15'〕に記載の方法。
〔18'〕前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、前記〔15'〕に記載の方法。
〔19'〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はL560Fである、乳癌である、前記〔15'〕に記載の方法。
〔20'〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はA877Sである、卵巣癌である、前記〔15'〕に記載の方法。
〔21'〕前記ALKポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、RT−PCRまたはリアルタイムPCRによって検出される、前記〔15'〕に記載の方法。
〔22'〕前記RT−PCR反応またはリアルタイムPCRは、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマー、および野生型ALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも1つ以上の順方向プライマーを含む、前記〔21'〕に記載の方法。
〔23'〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号57、配列番号58又は配列番号66である、前記〔22'〕に記載の方法。
〔24'〕前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号6、配列番号31、配列番号33、配列番号45、配列番号48、配列番号54、配列番号55、配列番号65又は配列番号67を含む、前記〔22'〕に記載の方法。
〔25'〕前記RT−PCR反応またはリアルタイムPCRは、野生型ALKの細胞外領域に特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーを含む、前記〔22'〕に記載の方法。
〔26'〕前記順方向プライマーが、配列番号2、配列番号31、配列番号33、配列番号54、配列番号55又は配列番号65である、前記〔25'〕に記載の方法。
〔27'〕前記RT−PCR反応またはリアルタイムPCR反応は、ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズすることができる順方向プライマーの使用を含む、前記〔22'〕に記載の方法。
〔28'〕前記順方向プライマーが、配列番号6、配列番号45、配列番号48又は配列番号67である、前記〔27'〕に記載の方法。
〔29'〕対象においてALKに関連する癌を阻害する薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)ALKに関連する癌に罹患している対象から組織サンプルを得ることと、 b)前記組織サンプルを薬剤に接触させることと、
c)前記組織サンプルからmRNAを抽出することと、
d)前記組織サンプルからの前記mRNAに対してRT−PCR反応を行うことと、を含み、
前記RT−PCR反応は、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマーと、少なくとも1つの順方向プライマーと、を含み、未処理の対照に対する増幅産物の量の減少は、薬剤がALKに関連する癌を阻害することができることを示唆する、方法。
〔30'〕ALKに関連する癌を診断するためのキットであって、(a)第1の検出試薬で標識された第1のプライマーであって、前記第1のプライマーは、逆方向プライマーであり、前記逆方向プライマーは、配列番号1またはその補体のアミノ酸配列をコードする第1のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第1のプライマーと、(b)少なくとも1つの第2のプライマーであって、前記第2のプライマーは、順方向プライマーであり、前記順方向プライマーは、野生型ALKをコードする第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第2のプライマーと、を含む、キット。
〔31'〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、配列番号58又は配列番号66である、前記〔30'〕に記載のキット。
〔32'〕前記順方向プライマーは、配列番号2、配列番号6、配列番号31、配列番号33、配列番号45、配列番号48、配列番号54、配列番号55、配列番号65又は配列番号67を含む、前記〔30'〕に記載のキット。
〔33'〕前記順方向プライマーは、野生型ALKの細胞外領域に特異的にハイブリダイズする、前記〔32'〕に記載のキット。
〔34'〕前記順方向プライマーが、配列番号2、配列番号31、配列番号33、配列番号54、配列番号55又は配列番号65である、前記〔33'〕に記載のキット。
〔35'〕前記順方向プライマーは、前記ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズする、前記〔32'〕に記載のキット。
〔36'〕前記順方向プライマーが、配列番号6、配列番号45、配列番号48又は配列番号67である、前記〔35'〕に記載のキット。
〔37'〕第二番目の順方向及び逆方向プライマーを更に含む、前記〔30'〕に記載のキット。
〔38'〕第一番目の順方向及び逆方向プライマーは、野生型ALKのキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズし、前記第二番目の順方向及び逆方向プライマーは、野生型ALKに特異的にハイブリダイズする、前記〔37'〕に記載のキット。
〔39'〕対照プライマー対をさらに含む、前記〔30'〕に記載のキット。
〔40'〕前記対照プライマー対は、COX5Bに特異的にハイブリダイズする、前記〔39'〕に記載のキット。
〔41'〕前記第1および第2のプライマーは、それぞれ、第1および第2の検出試薬で標識される、前記〔30'〕に記載のキット。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1''〕組織サンプルにおいて未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)キナーゼドメインの存在を検出するかまたはその量を測定する方法であって、対象由来の組織サンプルにおいて、核酸増幅プロセスを行うこと、並びに前記組織サンプル中のALKキナーゼドメインの存在を検出するかまたはその量を測定することを含み、前記増幅プロセスにおいて使用されるプライマーが、ALKのキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズするプライマー対を含み、ALKキナーゼドメインの存在がALK融合に関連する癌の存在を示唆するものである、前記方法。
〔2''〕前記核酸増幅プロセスが、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)又はリアルタイムPCRである、前記〔1''〕に記載の方法。
〔3''〕前記RT−PCR又はリアルタイムPCR反応が、野生型ALKキナーゼドメイン配列に特異的にハイブリダイズする順方向及び逆方向プライマー対を含む、前記〔2''〕に記載の方法。
〔4''〕少なくとも1つの逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57又は配列番号58である、前記〔3''〕に記載の方法。
〔5''〕少なくとも1つの順方向プライマーは、配列番号6、配列番号45、配列番号48又は配列番号67を含む、前記〔3''〕に記載の方法。
〔6''〕前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、前記〔1''〕に記載の方法。
〔7''〕前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、前記〔6''〕に記載の方法。
〔8''〕前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、前記〔6''〕に記載の方法。
〔9''〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はL560Fである、乳癌である、前記〔6''〕に記載の方法。
〔10''〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はA877Sである、卵巣癌である、前記〔6''〕に記載の方法。
〔11''〕対象由来の組織サンプル中のALKポリヌクレオチドのキナーゼドメインの有無を検出する方法であって、野生型ALKポリヌクレオチドの有無を検出することと、ALKポリヌクレオチドのキナーゼドメインの有無を検出することとを含み、ALKポリヌクレオチドのキナーゼドメインの存在がALKキナーゼドメイン融合に関連する癌の存在を示唆するものである、前記方法。
〔12''〕前記癌は、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、非小細胞肺癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、食道扁平上皮癌、未分化大細胞リンパ腫、神経芽細胞腫、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、悪性組織球増殖症、および神経膠芽腫からなる群から選択される、前記〔11''〕に記載の方法。
〔13''〕前記癌は、V476A、M1166R、A1168P、I1171N、F1174I、F1174L、R1192P、F1245C、F1245V、F1245L、F1245I、I1250T、およびR1275Qからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する神経芽細胞腫である、前記〔11''〕に記載の方法。
〔14''〕前記癌は、R401Q、A1168P、およびV757Mからなる群から選択される、1つ以上のALKに関連する点突然変異を有する結腸直腸癌である、前記〔11''〕に記載の方法。
〔15''〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はL560Fである、乳癌である、前記〔11''〕に記載の方法。
〔16''〕前記癌は、ALKに関連する点突然変異を有し、前記点突然変異はA877Sである、卵巣癌である、前記〔11''〕に記載の方法。
〔17''〕前記ALKポリヌクレオチドまたは前記ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、RT−PCRまたはリアルタイムPCRによって検出される、前記〔11''〕に記載の方法。
〔18''〕前記RT−PCR反応またはリアルタイムPCRは、1つ以上のALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる逆方向プライマー、および野生型ALK配列に特異的にハイブリダイズすることができる少なくとも1つ以上の順方向プライマーを含む、前記〔17''〕に記載の方法。
〔19''〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号57、配列番号58又は配列番号66である、前記〔18''〕に記載の方法。
〔20''〕前記少なくとも1つ以上の順方向プライマーは、配列番号2、配列番号6、配列番号31、配列番号33、配列番号45、配列番号48、配列番号54、配列番号55、配列番号65又は配列番号67を含む、前記〔18''〕に記載の方法。
〔21''〕前記RT−PCR反応またはリアルタイムPCRは、野生型ALKの細胞外領域に特異的にハイブリダイズすることができる順方向および逆方向プライマーを含む、前記〔18''〕に記載の方法。
〔22''〕前記順方向プライマーが、配列番号2、配列番号31、配列番号33、配列番号54、配列番号55又は配列番号65である、前記〔21''〕に記載の方法。
〔23''〕前記RT−PCR反応またはリアルタイムPCR反応は、ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズすることができる順方向プライマーの使用を含む、前記〔18''〕に記載の方法。
〔24''〕前記順方向プライマーが、配列番号6、配列番号45、配列番号48又は配列番号67である、前記〔23''〕に記載の方法。
〔25''〕ALK融合に関連する癌を診断するためのキットであって、(a)第1の検出試薬で標識された第1のプライマーであって、前記第1のプライマーは、逆方向プライマーであり、前記逆方向プライマーは、配列番号1のアミノ酸配列をコードする第1のポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第1のプライマーと、(b)少なくとも1つの第2のプライマーであって、前記第2のプライマーは、順方向プライマーであり、前記順方向プライマーは、野生型ALKをコードする第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第2のプライマーと、を含む、キット。
〔26''〕前記逆方向プライマーは、配列番号7、配列番号32、配列番号46、配列番号47、配列番号56、配列番号57、配列番号58又は配列番号66である、前記〔25''〕に記載のキット。
〔27''〕前記順方向プライマーは、配列番号2、配列番号6、配列番号31、配列番号33、配列番号45、配列番号48、配列番号54、配列番号55、配列番号65又は配列番号67を含む、前記〔25''〕に記載のキット。
〔28''〕前記順方向プライマーは、野生型ALKの細胞外領域に特異的にハイブリダイズする、前記〔27''〕に記載のキット。
〔29''〕前記順方向プライマーが、配列番号2、配列番号31、配列番号33、配列番号54、配列番号55又は配列番号65である、前記〔28''〕に記載のキット。
〔30''〕前記順方向プライマーは、前記ALKキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズする、前記〔27''〕に記載のキット。
〔31''〕前記順方向プライマーが、配列番号6、配列番号45、配列番号48又は配列番号67である、前記〔30''〕に記載のキット。
〔32''〕第二番目の順方向及び逆方向プライマーを更に含む、前記〔25''〕に記載のキット。
〔33''〕第一番目の順方向及び逆方向プライマーは、野生型ALKのキナーゼドメインに特異的にハイブリダイズし、前記第二番目の順方向及び逆方向プライマーは、野生型ALKに特異的にハイブリダイズする、前記〔32''〕に記載のキット。
〔34''〕配列番号1で示される野生型ALKの細胞外領域をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つの順方向プライマーを更に含む、前記〔3''〕に記載の方法。
〔35''〕野生型ALKの細胞外領域をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする前記順方向プライマーが、配列番号2、配列番号31、配列番号33、配列番号54、配列番号55及び配列番号65からなるプライマーの群から選択される、前記〔34''〕に記載の方法。
〔36''〕配列番号1で示される野生型ALKの細胞外領域をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする少なくとも1つの逆方向プライマーを更に含む、前記〔34''〕に記載の方法。
〔37''〕野生型ALKの細胞外領域をコードする核酸に特異的にハイブリダイズする前記逆方向プライマーが、配列番号66である、前記〔36''〕に記載の方法。
〔38''〕少なくとも1つのプライマーがスコーピオンプライマーである、前記〔3''〕に記載の方法。
〔39''〕前記〔1''〕に記載の方法に従ってALKキナーゼドメインの存在を検出するかまたはその量を測定するためのキットであって、(a)第1の検出試薬で標識された第1のプライマーであって、前記第1のプライマーは、逆方向プライマーであり、前記逆方向プライマーは、配列番号1のキナーゼドメインのアミノ酸配列をコードする第1のポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第1のプライマーと、(b)少なくとも1つの第2のプライマーであって、前記第2のプライマーは、順方向プライマーであり、前記順方向プライマーは、野生型ALKをコードする第2のポリヌクレオチドにハイブリダイズする1つ以上のポリヌクレオチドである、第2のプライマーと、を含む、キット。
〔40''〕少なくとも1つのプライマーがスコーピオンプライマーである、前記〔25''〕又は〔39''〕に記載のキット。
【0189】
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未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)に関連する癌を診断する方法であって、対象由来の組織サンプルから、核酸変異、切断、またはALK融合に関連する核酸の存在を検出すること、またはその量を測定することを含み、対照に対する増幅産物または標識プローブの量の増加は、ALKに関連する癌の存在を示唆する、方法。