(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-5326(P2016-5326A)
(43)【公開日】2016年1月12日
(54)【発明の名称】球面状支持部材及び太陽光パネル用架台の固定構造
(51)【国際特許分類】
H02S 20/30 20140101AFI20151208BHJP
【FI】
H02S20/30 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-123265(P2014-123265)
(22)【出願日】2014年6月16日
(71)【出願人】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000250432
【氏名又は名称】理研軽金属工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500538715
【氏名又は名称】株式会社住軽日軽エンジニアリング
(71)【出願人】
【識別番号】502310874
【氏名又は名称】株式会社エヌ・エル・エム・エカル
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592186803
【氏名又は名称】日軽形材株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】597128716
【氏名又は名称】日軽産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 栄徳
(72)【発明者】
【氏名】西本 耐
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝之
(72)【発明者】
【氏名】樋上 博幸
(72)【発明者】
【氏名】石川 博光
(72)【発明者】
【氏名】小野 猛
(72)【発明者】
【氏名】古川 宏典
(72)【発明者】
【氏名】長尾 隆史
(57)【要約】
【課題】基礎に対する設置構造物の傾斜角度調整の作業性を向上させることができる球面状支持部材を提供する。
【解決手段】本発明に係る球面状支持部材1は、第1締結部材2を介して基礎3に固定される球面受け部材4と、第2締結部材5を介して設置構造物6に固定され、球面受け部材4に第3締結部材7を介して締結される球面固定部材8と、を備える。球面受け部材4は、基礎3に当接する平坦部4aと、平坦部4aに接続され上方に凸となるように膨出形成される凸状部4bと、凸状部4bの中央部に設けられ下方に凹となる曲面に形成される凹状面部4cと、を有する。球面固定部材8は、設置構造物6に当接する平坦部8aと、平坦部8aに接続され下方に凸となるように膨出形成される凸状部8bと、凸状部8bの中央部に設けられ、下方に凸となる曲面に形成されて球面受け部材4の凹状面部4cと面接触する凸状面部8cと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1締結部材を介して基礎に固定される球面受け部材と、第2締結部材を介して設置構造物に固定され、前記球面受け部材に第3締結部材を介して締結される球面固定部材と、を備え、
前記球面受け部材は、前記基礎に当接する平坦部と、この平坦部に接続され上方に凸となるように膨出形成される凸状部と、この凸状部の中央部に設けられ下方に凹となる曲面に形成される凹状面部と、を有し、
前記球面固定部材は、前記設置構造物に当接する平坦部と、この平坦部に接続され下方に凸となるように膨出形成される凸状部と、この凸状部の中央部に設けられ、下方に凸となる曲面に形成されて前記球面受け部材の凹状面部と面接触する凸状面部と、を有する
ことを特徴とする球面状支持部材。
【請求項2】
前記第3締結部材は、ボルト及びナットからなり、
前記球面受け部材の凹状面部及び前記球面固定部材の凸状面部にそれぞれ、前記第3締結部材を構成するボルトを挿通するためのボルト孔が形成されており、
前記球面受け部材の凹状面部に形成されたボルト孔及び前記球面固定部材の凸状面部に形成されたボルト孔の少なくとも一方は、長穴形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の球面状支持部材。
【請求項3】
前記第1締結部材及び前記第2締結部材は、ボルト及びナットからなり、
前記球面受け部材の平坦部に、前記第1締結部材を構成するボルトを挿通するための第1ボルト孔が形成され、前記球面固定部材の平坦部には、前記第2締結部材を構成するボルトを挿通するための第2ボルト孔が形成され、
前記第1ボルト孔及び前記第2ボルト孔は、長穴形状に形成されており、前記第1ボルト孔と前記第2ボルト孔とで、長穴の延設方向が互いに異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の球面状支持部材。
【請求項4】
前記球面受け部材の凹状面部及び前記球面固定部材の凸状面部は、絞り加工により形成されたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の球面状支持部材。
【請求項5】
前記球面受け部材及び前記球面固定部材は、アルミニウム合金から形成されることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の球面状支持部材。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の球面状支持部材を利用した太陽光パネル用架台の固定構造であって、前記球面受け部材を基礎に前記第1締結部材により固定し、前記球面固定部材を太陽光パネル用架台の支柱に前記第2締結部材により固定したことを特徴とする太陽光パネル用架台の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球面状支持部材及び太陽光パネル用架台の固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光パネルをはじめとした太陽光・太陽熱利用装置の普及が進み、これらの装置用構造物(架台等)が屋外に設置される機会が増えてきた。また、前記装置用構造物を設置する地面の傾斜や地盤の状態によっては、基礎の水平度にバラつきが生じるケースがあるため、このようなケースに対処するための方策が講じられてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、基礎に固定した受け座部に形成された凸曲面の球座部と、設置構造物に固定した取付物固定部に形成された凹曲面とを面接触させ、取付物固定部を受け座部に対して傾けることにより、設置構造物を水平に設置することができる取付物支持ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5081325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の取付物支持ユニットでは、受け座部に形成された球座部が上方に凸となる凸曲面であるため、取付物固定部を受け座部に対してある程度傾けると、取付物固定部が受け座部の上で滑り易いという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、基礎に対する設置構造物の傾斜角度調整の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、第1締結部材を介して基礎に固定される球面受け部材と、第2締結部材を介して設置構造物に固定され、前記球面受け部材に第3締結部材を介して締結される球面固定部材と、を備える球面状支持部材である。前記球面受け部材は、前記基礎に当接する平坦部と、この平坦部に接続され上方に凸となるように膨出形成される凸状部と、この凸状部の中央部に設けられ下方に凹となる曲面に形成される凹状面部と、を有する。前記球面固定部材は、前記設置構造物に当接する平坦部と、この平坦部に接続され下方に凸となるように膨出形成される凸状部と、この凸状部の中央部に設けられ、下方に凸となる曲面に形成されて前記球面受け部材の前記凹状面部と面接触する凸状面部と、を有する。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記球面状支持部材を利用した太陽光パネル用架台の固定構造である。この固定構造では、前記球面受け部材を基礎に前記第1締結部材により固定し、前記球面固定部材を太陽光パネル用架台の支柱に前記第2締結部材により固定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る球面状支持部材では、球面受け部材の凹状面部を上向きにして、その球面受け部材の凹状面部の上に球面固定部材の凸状面部を面接触させることで、球面固定部材を安定的に球面受け部材の上に支持させることができ、球面固定部材が球面受け部材の上で滑るのを抑制することができる。したがって、本発明に係る球面状支持部材によれば、基礎に対する設置構造物の傾斜角度調整の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る球面状支持部材を利用した太陽光パネル用架台の固定構造の斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る球面状支持部材を利用した太陽光パネル用架台の固定構造の断面図である。
【
図3】球面受け部材と球面固定部材との締結状態を示す分解斜視図である。
【
図4】球面固定部材を球面受け部材に対して傾けて締結した状態を示す一部破断斜視図である。
【
図5】球面受け部材と球面固定部材とを締結した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、図面において、矢印Xは太陽光パネル用架台の幅方向(横方向)を示し、矢印Yは太陽光パネル用架台の奥行き方向(縦方向)を示し、矢印Zは太陽光パネル用架台の高さ方向を示す。また、太陽光パネル用架台は設置構造物の一例であって、設置構造物は本実施形態に限定されない。
【0012】
本実施形態に係る球面状支持部材1は、太陽光パネルをはじめとする太陽光・太陽熱利用装置を固定する設置構造物を支持するための支持部材である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る球面状支持部材1は、第1締結部材2を介して基礎3に固定される球面受け部材4と、第2締結部材5を介して太陽光パネル用架台(設置構造物)6に固定され、球面受け部材4に第3締結部材7を介して締結される球面固定部材8と、を備える。すなわち、本実施形態に係る太陽光パネル用架台6の固定構造では、球面受け部材4を基礎3に第1締結部材2により固定し、球面固定部材8を太陽光パネル用架台6の支柱6aに第2締結部材5により固定し、さらに、球面受け部材4と球面固定部材8とを第3締結部材7により締結している。なお、
図1及び
図2中、符号10は太陽光パネル用架台6の支柱6aの下端に固定されたファスナーを示し、符号11はファスナー10に複数固定されたブレースを示す。
【0014】
球面受け部材4は、基礎3の上面に当接する平坦部4aと、平坦部4aに接続され上方に凸となるように膨出形成される凸状部4bと、凸状部4bの中央部に設けられ下方に凹となる曲面に形成される凹状面部4cと、を有する。平坦部4aは円環形状とされ、平坦部4aの内周縁部に、球面固定部材8側(上方)に凸となるように膨出形成される凸状部4bが接続され、凸状部4bの中央部に、球面固定部材8側とは反対側(下方)に凹となる曲面に形成される凹状面部4cが形成されている。凹状面部4cは、半球形状とされ、所定の曲率を有している。球面受け部材4は、アルミニウム合金により一体成形され、前記凸状部4b及び前記凹状面部4cは、絞り加工により球面受け部材4に形成されたものである。すなわち、球面受け部材4は、アルミニウム合金製の円板材から絞り加工により形成されたものである。
【0015】
前記第1締結部材2は、ボルト12及びナット13からなる。球面受け部材4の平坦部4aには、第1締結部材2を構成するボルト12を挿通するための第1ボルト孔14が上下方向に貫通形成されており、この第1ボルト孔14は、長穴形状に形成されている。本実施形態では、第1ボルト孔14は、X方向に沿って延設されたものと、Y方向に沿って延設されたものとの2種類が球面受け部材4の平坦部4aに形成されている。また、これらの第1ボルト孔14は、球面受け部材4の平坦部4aに周方向に等間隔で設けられている。本実施形態に係る太陽光パネル用架台6の固定構造では、延設方向の異なる2種類の第1ボルト孔14のうち、Y方向に沿って延設されたもののみにボルト12を挿通して、球面受け部材4を基礎3に固定している。
【0016】
球面固定部材8は、太陽光パネル用架台6の支柱6aの下端に固定されたファスナー10の下面に当接する平坦部8aと、平坦部8aに接続され下方に凸となるように膨出形成される凸状部8bと、凸状部8bの中央部に設けられ、下方に凸となる曲面に形成されて球面受け部材4の凹状面部4cと面接触する凸状面部8cと、を有する。平坦部8aは円環形状とされ、平坦部8aの内周縁部に、球面受け部材4側(下方)に凸となるように膨出形成される凸状部8bが接続され、凸状部8bの中央部に、球面受け部材4側(下方)に凸となる曲面に形成される凸状面部8cが形成されている。凸状面部8cは、半球形状とされ、球面受け部材4の凹状面部4cの曲率とほぼ同じ曲率を有している。球面固定部材8は、アルミニウム合金により一体成形され、前記凸状部8b及び前記凸状面部8cは、絞り加工により球面固定部材8に形成されたものである。すなわち、球面固定部材8は、アルミニウム合金製の円板材から絞り加工により形成されたものである。
【0017】
前記第2締結部材5は、ボルト15及びナット16からなる。球面固定部材8の平坦部8aには、第2締結部材5を構成するボルト15を挿通するための第2ボルト孔17が上下方向に貫通形成されており、この第2ボルト孔17は、長穴形状に形成されている。本実施形態では、第2ボルト孔17は、X方向に沿って延設されたものと、Y方向に沿って延設されたものとの2種類が球面固定部材8の平坦部8aに形成されている。また、これらの第2ボルト孔17は、球面固定部材8の平坦部8aに周方向に等間隔で設けられている。本実施形態に係る太陽光パネル用架台6の固定構造では、延設方向の異なる2種類の第2ボルト孔17のうち、X方向に沿って延設されたもののみにボルト15を挿通して、球面固定部材8を太陽光パネル用架台6の支柱6aに固定している。
【0018】
前記第3締結部材7は、ボルト18及びナット19からなる。球面受け部材4の凹状面部4c及び球面固定部材8の凸状面部8cにそれぞれ、ボルト18を挿通するためのボルト孔20,21が形成されている。ボルト孔20は前記凹状面部4cの中央部に上下方向に貫通形成され、ボルト孔21は前記凸状面部8cの中央部に上下方向に貫通形成されている。球面受け部材4の凹状面部4cに形成されたボルト孔20及び球面固定部材8の凸状面部8cに形成されたボルト孔21の少なくとも一方は、長穴形状に形成される。本実施形態に係る球面状支持部材1では、球面受け部材4の凹状面部4cに形成されたボルト孔20は、ネジ穴形状に形成され、球面固定部材8の凸状面部8cに形成されたボルト孔21が、長穴形状に形成されている。
【0019】
図3に示すように、球面受け部材4と球面固定部材8との締結は、ボルト18及びナット19(第3締結部材7)を介して行う。具体的には、まず、球面受け部材4の凹状面部4cに形成されたボルト孔20にボルト18のネジ部を下方から螺合し、このボルト18のネジ部の先端をボルト孔20から突出させる。さらに、ボルト18のネジ部を球面固定部材8の凸状面部8cに形成されたボルト孔21に挿入して、このボルト18のネジ部の先端をボルト孔21から突出させる。そして、前記ボルト孔21から突出したボルト18のネジ部にナット19を締め付けると、球面受け部材4と球面固定部材8とが締結される。さらに、この球面受け部材4と球面固定部材8との締結の際には、
図4に示すように、球面固定部材8を球面受け部材4に対して傾けることで、所望の傾斜角度をつけて球面受け部材4と球面固定部材8とをボルト18及びナット19により締結することができる。
【0020】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0021】
(1)本実施形態に係る球面状支持部材1は、第1締結部材2を介して基礎3に固定される球面受け部材4と、第2締結部材5を介して太陽光パネル用架台(設置構造物)6に固定され、球面受け部材4に第3締結部材7を介して締結される球面固定部材8と、を備える。球面受け部材4は、基礎3に当接する平坦部4aと、平坦部4aに接続され上方に凸となるように膨出形成される凸状部4bと、凸状部4bの中央部に設けられ下方に凹となる曲面に形成される凹状面部4cと、を有する。球面固定部材8は、太陽光パネル用架台6に当接する平坦部8aと、平坦部8aに接続され下方に凸となるように膨出形成される凸状部8bと、凸状部8bの中央部に設けられ、下方に凸となる曲面に形成されて球面受け部材4の凹状面部4cと面接触する凸状面部8cと、を有する。
【0022】
本実施形態に係る球面状支持部材1では、球面受け部材4に形成された凹状面部4c及び球面固定部材8に形成された凸状面部8cが共に曲面形状であることから、球面受け部材4に形成された凹状面部4cと球面固定部材8に形成された凸状面部8cとを互いにスムーズに摺接させることができる。また、球面固定部材8を球面受け部材4に対して傾けることで、所望の傾斜角度をつけて球面受け部材4と球面固定部材8とをボルト18及びナット19(第3締結部材7)により締結することができる。
【0023】
本実施形態に係る球面状支持部材1では、球面受け部材4の凹状面部4cを上向きにして、その球面受け部材4の凹状面部4cの上に球面固定部材8の凸状面部8cを面接触させることで、球面固定部材8の回転中心Oが球面固定部材8の重心(図心)Gよりも上方に位置し、且つ、前記回転中心Oと前記重心(図心)Gとの間の距離が比較的短くなる。このため、
図5中に二点鎖線で示されるように、球面固定部材8を球面受け部材4に対してある程度傾けたとしても、球面固定部材8の凸状面部8cが球面受け部材4の凹状面部4cに沿って滑る力を比較的小さく抑えることができる。したがって、本実施形態に係る球面状支持部材1によれば、球面固定部材8を安定的に球面受け部材4の上に支持させることができ、球面固定部材8が球面受け部材4の上から滑り落ちるのを抑制することができる。また、球面受け部材4による球面固定部材8の支持性の向上は、球面受け部材4と球面固定部材8との固定強度の向上にも寄与する。
【0024】
以上より、本実施形態に係る球面状支持部材1によれば、基礎3に対する太陽光パネル用架台6の傾斜角度調整の作業性を向上させることができる。
【0025】
(2)本実施形態に係る球面状支持部材1においては、第3締結部材7は、ボルト18及びナット19からなる。球面受け部材4の凹状面部4c及び球面固定部材8の凸状面部8cにそれぞれ、ボルト18を挿通するためのボルト孔20,21が形成されている。球面受け部材4の凹状面部4cに形成されたボルト孔20及び球面固定部材8の凸状面部8cに形成されたボルト孔21の少なくとも一方は、長穴形状に形成される。
【0026】
球面受け部材4の凹状面部4cに形成されたボルト孔20及び球面固定部材8の凸状面部8cに形成されたボルト孔21の少なくとも一方を、長穴形状に形成することにより、所望の傾斜角度をつけて球面受け部材4と球面固定部材8とをボルト18及びナット19により締結することができる(
図4参照)。
【0027】
(3)本実施形態に係る球面状支持部材1においては、第1締結部材2及び第2締結部材5はそれぞれ、ボルト12,15及びナット13,16からなる。球面受け部材4の平坦部4aに、第1締結部材を構成するボルト12を挿通するための第1ボルト孔14が形成され、球面固定部材8の平坦部8aには、第2締結部材5を構成するボルト15を挿通するための第2ボルト孔17が形成されている。第1ボルト孔14及び第2ボルト孔17は、長穴形状に形成されており、第1ボルト孔14と第2ボルト孔17とで、長穴の延設方向が互いに異なっている。
【0028】
これにより、球面状支持部材1を介して基礎3と太陽光パネル用架台6とを固定する際の位置決め調整を行い易くすることができる。本実施形態に係る球面状支持部材1においては、球面受け部材4はボルト12をガイドにしてY方向に動かすことができ、球面固定部材8はボルト15をガイドにしてX方向に動かすことができる。
【0029】
(4)本実施形態に係る球面状支持部材1においては、球面受け部材4の凹状面部4c及び球面固定部材8の凸状面部8cは、絞り加工により形成されたものである。
【0030】
これにより、比較的複雑な形状を持つ前記凹状面部4c及び前記凸状面部8cを比較的容易に加工することができると共に、比較的高い寸法精度で加工することができる。その際、球面状支持部材1(球面受け部材4及び球面固定部材8)が円板形状であると加工に有利である。
【0031】
(5)本実施形態に係る球面状支持部材1においては、球面受け部材4及び球面固定部材8は、アルミニウム合金から形成される。
【0032】
これにより、これらの各部材を鋼材からなるものとした場合と比較すると、球面状支持部材1全体を軽量化することが可能になる。また、これらの各部材の寸法精度を高めることができ、太陽光パネル用架台6の設置を容易かつ正確に行うことができると共に、優れた耐食性および外観を得ることができる。さらに、アルミニウム合金はリサイクル性に比較的優れているため、太陽光パネル用架台6の撤去後に球面受け部材4及び球面固定部材8の材料を再利用することができる。
【0033】
(6)本実施形態に係る太陽光パネル用架台6の固定構造は、前記球面状支持部材1を利用したものである。この固定構造では、球面受け部材4を基礎3に第1締結部材2により固定し、球面固定部材8を太陽光パネル用架台6の支柱6aに第2締結部材5により固定する。
【0034】
これにより、太陽光パネル用架台6を設置する地面(又は基礎)が傾斜していても、太陽光パネル用架台6を所望の設置角度に設置することができ、地面(又は基礎)の傾斜が太陽光パネル用架台6に及ぼす影響を緩和させることができる。
【0035】
ところで、本発明の球面状支持部材及び太陽光パネル用架台の固定構造は前述の実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 球面状支持部材
2 第1締結部材
3 基礎
4 球面受け部材
4a 平坦部
4b 凸状部
4c 凹状面部
5 第2締結部材
6 太陽光パネル用架台(設置構造物)
6a 支柱
7 第3締結部材
8 球面固定部材
8a 平坦部
8b 凸状部
8c 凸状面部
12 ボルト(第1締結部材)
13 ナット(第1締結部材)
14 第1ボルト孔
15 ボルト(第2締結部材)
16 ナット(第2締結部材)
17 第2ボルト孔
18 ボルト(第3締結部材)
19 ナット(第3締結部材)
20 凹状面部に形成されたボルト孔
21 凸状面部に形成されたボルト孔