【解決手段】弁孔の内部を独立に摺動する2つのスプール8a,8b、該2つのスプールを個別に駆動する2つのパイロット弁4a,4b、前記弁孔に、前記2つのスプールが向かい合う位置で連通する主供給ポートP、該主供給ポートPの両側で連通する第1及び第2の出力ポートA1,A2、該出力ポートA1,A2の両外側で連通する第1及び第2の排出ポートE1,E2、該排出ポートE1,E2の両外側で連通する第3及び第4の出力ポートB1,B2、該出力ポートB1,B2の両外側で連通する第1及び第2の供給ポートP1,P2を有し、前記主供給ポートPと前記第1及び第2の供給ポートP1,P2とは相互に連通している。
弁ボディの内部に形成された1つの弁孔、該弁孔内に独立して摺動自在なるように収容された第1スプール及び第2スプール、パイロット流体の作用で前記第1スプール及び第2スプールを個別に駆動する電磁操作式の第1パイロット弁及び第2パイロット弁、前記弁孔に前記第1スプール及び第2スプールが相互に向かい合う位置で連通する主供給ポート、前記弁孔に前記主供給ポートの両側で連通する第1出力ポート及び第2出力ポート、前記弁孔に前記第1出力ポート及び第2出力ポートの両外側で連通する第1排出ポート及び第2排出ポート、前記弁孔に前記第1排出ポート及び第2排出ポートの両外側で連通する第3出力ポート及び第4出力ポート、前記弁孔に前記第3出力ポート及び第4出力ポートの両外側で連通する第1供給ポート及び第2供給ポートを有し、
前記主供給ポートと前記第1供給ポート及び第2供給ポートとは相互に連通し、
前記第1スプール及び第2スプールは、前記第1パイロット弁及び第2パイロット弁を非通電にしたときの第1切換位置と、前記第1パイロット弁及び第2パイロット弁に通電したときの第2切換位置とを有し、
前記第1スプールが前記第1切換位置にあるとき、前記主供給ポートが前記第1出力ポートに連通すると共に、前記第3出力ポートが前記第1排出ポートに連通し、且つ、前記第1供給ポートが遮断され、
前記第1スプールが前記第2切換位置にあるとき、前記主供給ポートが遮断されると共に、前記第1出力ポートが前記第1排出ポートに連通し、且つ、前記第1供給ポートが前記第3出力ポートに連通し、
前記第2スプールが前記第1切換位置にあるとき、前記主供給ポートが前記第2出力ポートに連通すると共に、前記第4出力ポートが前記第2排出ポートに連通し、且つ、前記第2供給ポートが遮断され、
前記第2スプールが前記第2切換位置にあるとき、前記主供給ポートが遮断されると共に、前記第2出力ポートが前記第2排出ポートに連通し、且つ、前記第2供給ポートが前記第4出力ポートに連通する、
ように構成されたことを特徴とするデュアル4ポート電磁弁。
前記弁孔の前記主供給ポートが連通する位置には、前記第1スプールと第2スプールとに共通の復帰用圧力室が形成され、前記第1スプール及び第2スプールの、前記復帰用圧力室に面する側と反対側の端部には、前記第1パイロット弁及び第2パイロット弁からのパイロット流体圧が作用するピストンがそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のデュアル4ポート電磁弁。
前記復帰用圧力室は、前記主供給ポートと前記第1出力ポートとを結ぶ流路の一部と、前記主供給ポートと前記第2出力ポートとを結ぶ流路の一部とを兼ねていることを特徴とする請求項2に記載のデュアル4ポート電磁弁。
前記第1パイロット弁は前記弁ボディの一端側に配設され、前記第2パイロット弁は前記弁ボディの他端側に配設され、前記第1パイロット弁は前記第1供給ポートに第1パイロット通孔を通じて連通し、前記第2パイロット弁は前記第2供給ポートに第2パイロット通孔を通じて連通していることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のデュアル4ポート電磁弁。
前記第1スプールと第2スプール、前記第1出力ポートと第2出力ポート、前記第1排出ポートと第2排出ポート、前記第3出力ポートと第4出力ポート、前記第1供給ポートと第2供給ポート、前記第1パイロット弁と第2パイロット弁は、前記主供給ポートの中央を通り且つ前記弁孔の軸線に対して直交する仮想平面に対して対称に配設されていることを特徴とする請求項4に記載のデュアル4ポート電磁弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、1つの電磁弁に2組の4ポート弁の機能を組み込むことにより、マニホールドやサブプレート等のベース部材に搭載して使用するのに適した、小型で合理的な設計構造を有するデュアル4ポート電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明のデュアル4ポート電磁弁は、弁ボディの内部に形成された1つの弁孔、該弁孔内に独立して摺動自在なるように収容された第1スプール及び第2スプール、パイロット流体の作用で前記第1スプール及び第2スプールを個別に駆動する電磁操作式の第1パイロット弁及び第2パイロット弁、前記弁孔に前記第1スプール及び第2スプールが相互に向かい合う位置で連通する主供給ポート、前記弁孔に前記主供給ポートの両側で連通する第1出力ポート及び第2出力ポート、前記弁孔に前記第1出力ポート及び第2出力ポートの両外側で連通する第1排出ポート及び第2排出ポート、前記弁孔に前記第1排出ポート及び第2排出ポートの両外側で連通する第3出力ポート及び第4出力ポート、前記弁孔に前記第3出力ポート及び第4出力ポートの両外側で連通する第1供給ポート及び第2供給ポートを有し、前記主供給ポートと前記第1供給ポート及び第2供給ポートとは、相互に連通している。
前記第1スプール及び第2スプールは、前記第1パイロット弁及び第2パイロット弁を非通電にしたときの第1切換位置と、前記第1パイロット弁及び第2パイロット弁に通電したときの第2切換位置とを有している。
そして、前記第1スプールが前記第1切換位置にあるとき、前記主供給ポートが前記第1出力ポートに連通すると共に、前記第3出力ポートが前記第1排出ポートに連通し、且つ、前記第1供給ポートが遮断され、前記第1スプールが前記第2切換位置にあるとき、前記主供給ポートが遮断されると共に、前記第1出力ポートが前記第1排出ポートに連通し、且つ、前記第1供給ポートが前記第3出力ポートに連通する。
また、前記第2スプールが前記第1切換位置にあるとき、前記主供給ポートが前記第2出力ポートに連通すると共に、前記第4出力ポートが前記第2排出ポートに連通し、且つ、前記第2供給ポートが遮断され、前記第2スプールが前記第2切換位置にあるとき、前記主供給ポートが遮断されると共に、前記第2出力ポートが前記第2排出ポートに連通し、且つ、前記第2供給ポートが前記第4出力ポートに連通する。
【0007】
本発明においては、前記弁孔の前記主供給ポートが連通する位置に、前記第1スプールと第2スプールとに共通の復帰用圧力室が形成され、前記第1スプール及び第2スプールの、前記復帰用圧力室に面する側と反対側の端部に、前記第1パイロット弁及び第2パイロット弁からのパイロット流体圧が作用するピストンがそれぞれ設けられている。
また、前記復帰用圧力室は、前記主供給ポートと前記第1出力ポートとを結ぶ流路の一部と、前記主供給ポートと前記第2出力ポートとを結ぶ流路の一部とを兼ねている。
【0008】
本発明において、前記第1パイロット弁は前記弁ボディの一端側に配設され、前記第2パイロット弁は前記弁ボディの他端側に配設され、前記第1パイロット弁は前記第1供給ポートに第1パイロット通孔を通じて連通し、前記第2パイロット弁は前記第2供給ポートに第2パイロット通孔を通じて連通していることが望ましい。
【0009】
本発明において好ましくは、前記第1スプールと第2スプール、前記第1出力ポートと第2出力ポート、前記第1排出ポートと第2排出ポート、前記第3出力ポートと第4出力ポート、前記第1供給ポートと第2供給ポート、前記第1パイロット弁と第2パイロット弁は、前記主供給ポートの中央を通り且つ前記弁孔の軸線に対して直交する仮想平面に対して対称に配設されていることである。
【0010】
本発明において、前記第1−第4の出力ポートは、選択的に閉鎖可能であることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、1つの弁ボディの内部に2組の4ポート弁としての弁機構を合理的に組み込むことにより、1つの電磁弁に2つの4ポート弁の機能を持たせたため、独立する2つの4ポート弁を向かい合わせに配置した場合の長さに比べ、電磁弁の長さを大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1−
図6は本発明に係るデュアル4ポート電磁弁の第1実施形態を示すもので、この第1実施形態の電磁弁1Aは、弁ボディ3に形成された出力ポートA1,A2,B1,B2に配管を直接接続する直接配管型の電磁弁である。この電磁弁1Aは、前記弁ボディ3と、該弁ボディ3の一端側と他端側とに配設された電磁操作式の第1及び第2のパイロット弁4a,4bとを有している。
【0014】
前記弁ボディ3は、中央の主ボディ5と、該主ボディ5の第1端5a側に接続された第1アダプター6a及び反対の第2端5b側に接続された第2アダプター6bとを有し、前記第1アダプター6aに前記第1パイロット弁4aが接続され、前記第2アダプター6bに前記第2パイロット弁4bが接続されている。
【0015】
前記主ボディ5の内部には、該主ボディ5を第1端5a側から第2端5b側まで直線状に貫通する円形の弁孔7が形成され、該弁孔7内に、互いに同一構成を有する第1及び第2のスプール8a,8bが、先端面8c同士を互いに向かい合わせにした姿勢で、独立して前記弁孔7の軸線L方向に摺動自在なるように収容されている。
【0016】
また、前記主ボディ5には、前記第1及び第2のスプール8a,8bの先端面8c同士が向かい合う位置で前記弁孔7に連通する主供給ポートPと、該主供給ポートPの両側で前記弁孔7に連通する第1出力ポートA1及び第2出力ポートA2と、該第1出力ポートA1及び第2出力ポートA2の両外側で前記弁孔7に連通する第1排出ポートE1及び第2排出ポートE2と、該第1排出ポートE1及び第2排出ポートE2の両外側で前記弁孔7に連通する第3出力ポートB1及び第4出力ポートB2と、該第3出力ポートB1及び第4出力ポートB2の両外側で前記弁孔7に連通する第1供給ポートP1及び第2供給ポートP2とが設けられている。
【0017】
前記主供給ポートPと前記第1供給ポートP1及び第2供給ポートP2とは、
図3から明らかなように、前記主ボディ5の下面に形成された連通路9によって1つに接続され、前記電磁弁1Aをマニホールドやサブプレート等のベース部材10Aに搭載した際に、該電磁弁1Aとベース部材10Aとの間に介在するガスケット11によって、前記第1及び第2の排出ポートE1,E2から遮断される。従って、前記主供給ポートPと第1及び第2の供給ポートP1,P2とは、1つの供給ポートが分岐して3箇所で前記板孔7に連通しているものである。
【0018】
前記各ポートのうち、第1−第4の出力ポートA1,A2,B1,B2は前記主ボディ5の上面に開口し、その他のポートP,P1,P2,E1,E2は該主ボディ5の下面に開口し、前記電磁弁1Aを前記ベース部材10Aに搭載すると、前記供給ポートPと第1及び第2の供給ポートP1,P2とが、該ベース部材10Aに形成された供給通孔12に連通すると共に、前記第1及び第2の排出ポートE1,E2が、2つの排出通孔13の一方と他方とに連通するようになっている。
【0019】
前記第1−第4の出力ポートA1,A2,B1,B2には雌ねじ14が形成され、
図1に第1出力ポートA1について鎖線で代表的に示すように、公知のクイック接続式の管継手15Aをねじ込んで取り付けることができるようになっており、この管継手15Aを介して各出力ポートA1,A2,B1,B2に、可撓性を有するチューブ状の配管が接続される。
【0020】
前記弁孔7の、前記第1スプール8aと第2スプール8bとの先端面8c同士が向かい合う位置には、前記主供給ポートPに通じる復帰用圧力室17が形成され、この復帰用圧力室17内に導入される圧力流体の作用により、前記第1スプール8aおよび第2スプール8bが、
図1に示す第1切換位置に向けて復帰させられる。この第1切換位置は、前記第1及び第2のパイロット弁4a,4bを非通電にした時の切換位置である。
なお、図では、前記第1スプール8aと第2スプール8bとの先端面8cに形成された凹状のばね座の間に復帰ばね18が圧縮状態に介設されているが、この復帰ばね18は必ずしも設ける必要がない。
【0021】
また、前記第1スプール8a及び第2スプール8bの、前記先端面8cと反対側の後端部には、該スプール8a,8bより大径のピストン19a,19bが一体に形成されている。該ピストン19a,19bは、前記アダプター6a,6bに形成されたピストン室20a,20b内にシール部材21を介して摺動自在に収容され、該ピストン19a,19bの両側には、パイロット圧力室22a,22bと開放室23a,23bとが形成されている。
【0022】
前記パイロット圧力室22a,22bは、前記アダプター6a,6bに形成された通孔24a,24bと、マニュアル弁25a,25bが収容されたマニュアル弁孔26a,26bと、連通孔27a,27bとを通じて前記パイロット弁4a,4bに接続されており、該パイロット弁4a,4bに通電することによって該パイロット弁4a,4bから前記パイロット圧力室22a,22bにパイロット流体が供給されると、該パイロット流体により前記ピストン19a,19bが押され、前記スプール8a,8bが前進して第2切換位置(
図7参照)に切り換わるようになっている。
一方、前記開放室23a,23bは、不図示の開放孔を通じて外気に開放されている。
【0023】
前記第1スプール8aには、前記主供給ポートPと第1出力ポートA1とを結ぶ第1供給流路30aを開閉する第1シール部材31aと、前記第1出力ポートA1と第1排出ポートE1とを結ぶ第1排出流路32aを開閉する第2シール部材33aと、前記第3出力ポートB1と第1排出ポートE1とを結ぶ第2排出流路34aを開閉する第3シール部材35aと、前記第1供給ポートP1と第3出力ポートB1とを結ぶ第2供給流路36aを開閉する第4シール部材37aとが設けられると共に、前記第1供給ポートP1と前記開放室23aとを遮断する第5シール部材38aが設けられている。
【0024】
前記第1スプール8aが前記第1切換位置にあるとき、
図1に示すように、前記主供給ポートPが前記第1出力ポートA1に連通すると共に、前記第3出力ポートB1が前記第1排出ポートE1に連通し、且つ、前記第1供給ポートP1が遮断され、また、前記第1スプール8aが前記第2切換位置にあるとき、
図6に示すように、前記主供給ポートPが遮断されると共に、前記第1出力ポートA1が前記第1排出ポートE1に連通し、且つ、前記第1供給ポートP1が前記第3出力ポートB1に連通する。
【0025】
一方、前記第2スプール8bにも、前記第1スプール8aと同様に、前記主供給ポートPと第2出力ポートA2とを結ぶ第1供給流路30bを開閉する第1シール部材31bと、前記第2出力ポートA2と第2排出ポートE2とを結ぶ第1排出流路32bを開閉する第2シール部材33bと、前記第4出力ポートB2と第2排出ポートE2とを結ぶ第2排出流路34bを開閉する第3シール部材35bと、前記第2供給ポートP2と第4出力ポートB2とを結ぶ第2供給流路36bを開閉する第4シール部材37bとが設けられると共に、前記第1供給ポートP1と前記開放室23bとを遮断する第5シール部材38bが設けられている。
【0026】
前記第2スプール8bが前記第1切換位置にあるとき、
図1に示すように、前記主供給ポートPが前記第2出力ポートA2に連通すると共に、前記第4出力ポートB2が前記第2排出ポートE2に連通し、且つ、前記第2供給ポートP2が遮断され、また、前記第2スプール8bが前記第2切換位置にあるとき、
図6に示すように、前記主供給ポートPが遮断されると共に、前記第2出力ポートA2が前記第2排出ポートE2に連通し、且つ、前記第2供給ポートP2が前記第4出力ポートB2に連通する。
【0027】
前記第1及び第2のパイロット弁4a,4bは、3ポート式電磁弁としての弁構造を有するもので、一方の第1パイロット弁4aは、前記主ボディ5及び第1アダプター6aに形成された第1パイロット通孔41aを通じて前記第1供給ポートP1に連通し、他方の第2パイロット弁4bは、前記主ボディ5及び第2アダプター6bに形成された第2パイロット通孔41bを通じて前記第2供給ポートP2に連通している。
【0028】
そして、前記第1及び第2のパイロット弁4a,4bに通電すると、前記第1及び第2の供給ポートP1,P2からパイロット流体が、前記パイロット圧力室22a,22bに供給され、前記第1及び第2のスプール8a,8bが前記第2切換位置に切り換わる。
また、前記第1及び第2のパイロット弁4a,4bの通電を解除すると、前記パイロット圧力室22a,22bは該パイロット弁4a,4bを通じて外気に開放されるため、前記復帰用圧力室17内の圧力流体の作用力と前記復帰ばね18の作用力とにより、前記第1及び第2のスプール8a,8bは前記第1切換位置に復帰する。前記復帰ばね18が設けられていない場合は、圧力流体の作用力のみで前記第1及び第2のスプール8a,8bの復帰が行われる。
【0029】
前記アダプター6a,6bに設けられた前記マニュアル弁25a,25bは、停電時やメンテナンス時等に、前記パイロット弁4a,4bに通電したときの動作状態と同じ動作状態を手動操作で実現させるもので、該マニュアル弁25a,25bを押し下げ操作することにより、不図示のマニュアル用連通路から前記通孔24a,24bを通じて、前記パイロット圧力室22a,22bと前記第1及び第2の供給ポートP1,P2とが直接連通するように構成されている。
【0030】
図示した実施形態では、前記弁孔7、前記第1スプール8aと第2スプール8b、前記主供給ポートP、前記第1出力ポートA1と第2出力ポートA2、前記第1排出ポートE1と第2排出ポートE2、前記第3出力ポートB1と第4出力ポートB2、前記第1供給ポートP1と第2供給ポートP2、前記第1パイロット弁4aと第2パイロット弁4bは、前記主供給ポートPの中央を通り且つ前記弁孔7の軸線Lに対して直交する仮想平面Sに対して対称をなすように配設されている。しかし、それらは必ずしも完全に対称である必要はない。
【0031】
前述したデュアル4ポート電磁弁1Aの構成を記号で表すと、
図7に示すようになる。この電磁弁1Aの構成は、
図1において、前記仮想平面Sから左側の半部を第1弁部2aとし、前記仮想平面Sから右側の半部を第2弁部2bとした場合、これら第1弁部2a及び第2弁部2bは、何れもシングルソレノイド型の4ポート弁であると考えることができるから、2組のシングルソレノイド型4ポート弁を1つの電磁弁1Aとしてまとめたものであるということができる。この場合、前記主供給ポートP及び復帰用圧力室17は、前記第1弁部2a用と第2弁部2b用とで共通化され、また、前記復帰用圧力室17は、前記第1弁部2aの、前記主供給ポートPと第1出力ポートA1とを結ぶ前記第1供給流路30aの一部と、前記第2弁部2bの、前記主供給ポートPと第2出力ポートA2とを結ぶ前記第1供給流路30bの一部とを、兼ねている。
【0032】
次に、前記デュアル4ポート電磁弁1Aの動作について説明する。
図1は、第1及び第2のパイロット弁4a,4bが何れも非通電のときの動作状態を示すもので、このとき、第1及び第2のスプール8a,8bは何れも第1切換位置にあり、第1及び第2の出力ポートA1,A2から圧力流体が出力され、第3及び第4の出力ポートB1,B2は、第1及び第2の排出ポートE1,E2を通じて外気に開放され、第1及び第2の供給ポートP1,P2は遮断されている。
【0033】
図1の状態から第1パイロット弁4aに通電すると、
図4に示すように、第1パイロット圧力室22aにパイロット流体が供給されるため、ピストン19aが図の右方に押されて前記第1スプール8aが第2切換位置に移動する。このため、前記第1弁部2aにおいては、前記第1出力ポートA1が、前記主供給ポートPから遮断されて第1排出ポートE1に連通し、前記第3出力ポートB1が第1供給ポートP1に連通するため、該第3出力ポートB1から圧力流体が出力される。
前記第1パイロット弁4aの通電を解除すると、前記第1スプール8aは
図1の第1切換位置に復帰する。
【0034】
また、
図1の状態から第2パイロット弁4bに通電すると、
図5に示すように、第2パイロット圧力室22bにパイロット流体が供給されるため、ピストン19bが図の左方に押されて前記第2スプール8bが第2切換位置に移動する。このため、前記第2弁部2bにおいては、前記第2出力ポートA2が、前記主供給ポートPから遮断されて第2排出ポートE2に連通し、前記第4出力ポートB2が第2供給ポートP2に連通するため、該第4出力ポートB2から圧力流体が出力される。
前記第2パイロット弁4bの通電を解除すると、前記第2スプール8bは
図1の第1切換位置に復帰する。
【0035】
更に、
図1の状態から第1及び第2のパイロット弁4a,4bの両方に通電すると、
図6に示すように、第1パイロット圧力室22a及び第2パイロット圧力室22bにパイロット流体が供給されるため、ピストン19a,19bが押されて前記第1及び第2のスプール8a,8bが何れも第2切換位置に移動する。このため、前記第1及び第2の出力ポートB1,B2は、前記主供給ポートPから遮断されて第1及び第2の排出ポートE1,E2に連通し、前記第3及び第4の出力ポートA1,A2が第1及び第2の供給ポートP1,P2に連通するため、該第3及び第4の出力ポートA1,A2から圧力流体が出力される。
前記第1及び第2のパイロット弁4a,4bの通電を解除すると、前記第1及び第2のスプール8a,8bは
図1の第1切換位置に復帰する。
【0036】
前記構成を有するデュアル4ポート電磁弁1Aは、2組のシングルソレノイド型4ポート弁を実質的に1つの電磁弁としてまとめた構成を有しているが、2組の4ポート弁を単に1つの弁ボディ3に組み込んだだけではなく、前記主供給ポートP及び復帰用圧力室17を第1弁部2aと第2弁部2bとで共通化すると共に、前記復帰用圧力室17に、第1弁部2aの第1供給流路30aと第2弁部2bの第1供給流路30bとの一部を兼備させ、さらに、供給ポートを主供給ポートPと第1及び第2の供給ポートP1,P2とに分割して中央と左右両端部に配置するといったように、2組の4ポート弁の構成を互いに関連づけた斬新で合理的な設計構造を採用しているため、2組の4ポート弁を単に1つの弁ボディ3に組み込んだ場合に比べ、電磁弁1Aの軸線L方向の長さを大幅に短縮することが可能になる。勿論、個別に形成された2つの4ポート弁を向かい合わせにしてベース部材10Aに搭載する場合に比べれば、電磁弁1Aの軸線L方向の長さをより一層大きく短縮することが可能である。
【0037】
図8は本発明に係るデュアル4ポート電磁弁の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態の電磁弁1Bは、ベース配管型の電磁弁で、該電磁弁1Bを搭載するベース部材10Bに形成された配管用出力ポートA11,A21,B11,B21に、管継手を介して配管を接続するタイプである。従って、この電磁弁1Bの場合は、主供給ポートP、第1及び第2の供給ポートP1,P2、第1−第4の出力ポートA1,A2,B1,B2、第1及び第2の排出ポートE1,E2が、全て主ボディ5の下面に開口し、該電磁弁1Bをベース部材10Bに搭載すると、前記主供給ポートPと第1及び第2の供給ポートP1,P2とが、該ベース部材10Bの供給通孔12に連通し、前記第1及び第2の排出ポートE1,E2が、該ベース部材10Bの2つの排出通孔13の一方と他方とに連通し、前記第1−第4の出力ポートA1,A2,B1,B2が、該ベース部材10Bの側面に形成された第1−第4の前記配管用出力ポートA11,A21,B11,B21に個別に連通するように構成されている。
【0038】
図8に示す例では、第1弁部2a側の出力ポートA1,B1に連通する配管用出力ポートA11,B11が、前記ベース部材10Bの左側の側面に設けられ、第2弁部2b側の出力ポートA2,B2に連通する配管用出力ポートA21,B21が、前記ベース部材10Bの右側の側面に設けられている。
しかし、
図9に示す変形例のように、全ての前記配管用出力ポートA11,A21,B11,B21を、ベース部材10Bの右側又は左側の側面に集中的に設けても良い。
【0039】
この第2実施形態及びその変形例の前述したこと以外の構成及び作用は、実質的に前記第1実施形態の電磁弁1Aと同じであるので、両者の主要な同一構成部分に第1実施形態で使用した符号と同じ符号を付してその説明は省略する。
【0040】
図10及び
図11は、本発明に係るデュアル4ポート電磁弁の第3実施形態を示すものである。この第3実施形態の電磁弁1Cが前記第1実施形態の電磁弁1Aと相違する点は、2つのスプール8a,8bを第1切換位置に復帰させるための構成と、出力ポートA1,A2,B1,B2に取り付ける管継手として、ねじ込み式の管継手15Aではなく、差込式の管継手15Bを使用するようにした構成である。
【0041】
このため、
図10に示すように、前記スプール8a,8bの中心に先端面8c側から非貫通状態に形成された中心孔8dの内部には、円柱状のガイド軸43が、復帰圧力室17を通り抜けて前記2つのピストン8a,8bに跨るように摺動自在に挿入され、該ガイド軸43の両端と各スプール8a,8bの中心孔8dの孔底との間に、復帰ばね18がそれぞれ圧縮状態で配設され、この復帰ばね18と前記復帰圧力室17内の圧力流体との作用により、前記スプール8a,8bが第1切換位置に復帰するように構成されている。
【0042】
また、前記差込式の管継手15Bを取り付けられるようにするため、前記電磁弁1Cの弁ボディ3における主ボディ5の上端面には、
図11からも明らかなように、第1−第4の4つの前記出力ポートA1,A2,B1,B2を有するポートブロック44が、ガスケット45を介して螺子46により取り付けられ、前記出力ポートA1,A2,B1,B2は、前記主ボディ5に形成された第1−第4の出力通孔A10,A20,B10,B20を通じて弁孔7に連通している。前記ポートブロック44は、弁ボディ3の一部を構成するものである。
【0043】
各々の前記出力ポートA1,A2,B1,B2には、前記差込式の管継手15Bが、1つの取付プレート47によりそれぞれ取り付けられている。この取付プレート47は、前記管継手15Bが嵌合する4つの凹部47aを有していて、各凹部47a内に前記管継手15Bが個々に嵌合し、該凹部47aの縁が前記管継手15Bの外周の係止溝48に係止しており、その状態で前記取付プレート47を螺子49で前記ポートブロック44の上面に固定することにより、前記管継手15Bが、各々の出力ポートA1,A2,B1,B2に、抜け止めされた状態で取り付けられている。図中の符号50は、前記管継手15Bの外周と出力ポートA1,A2,B1,B2の内周との間をシールするOリングである。
【0044】
この第3実施形態の電磁弁1Cのその他の構成及び作用は、第1実施形態の電磁弁1Aと実質的に同じであるので、両者の主要な同一構成部分に第1実施形態で使用した符号と同じ符号を付してその説明は省略する。
なお、前記電磁弁1Cの前記2つのスプール8a,8bを第1切換位置に復帰させるための構成は、前記第1実施形態の電磁弁1Aにも、第2実施形態の電磁弁1Bにも、適用することができる。
その逆に、前記電磁弁1Cにおいて、前記2つのスプール8a,8bを第1切換位置に復帰させるための構成を、第1実施形態の電磁弁1Aと同様に構成することもできる。
【0045】
図12及び
図13は、前記第3実施形態の電磁弁1Cの応用例を示すものである。
図12に示す第1の応用例では、第1及び第2の出力ポートA1,A2が、ポートプラグ51で塞がれることにより不使用状態にされ、第3及び第4の出力ポートB1,B2が、管継手15Bを取り付けることにより使用可能状態になっている。
前記ポートプラグ51は、前記管継手15Bと同様に、前記取付プレート47の凹部47aの縁が係止する係止溝48とOリング50とを有していて、前記取付プレート47により、前記第3及び第4の出力ポートB1,B2の管継手15Bと共に、前記出力ポートA1,A2に取り付けられている。
【0046】
これにより前記電磁弁1Cは、2組の3ポート弁を1つにまとめたものと実質的に同様の構成を有することになる。しかも、この電磁弁1Cは、第1及び第2のパイロット弁4a,4bが非通電状態であるノーマル時に、第1及び第2の供給ポートP1,P2が閉鎖されたノーマルクローズ式の4位置弁としての機能を有する。
【0047】
一方、
図13に示す第2の応用例では、第3及び第4の出力ポートB1,B2が、ポートプラグ51で塞がれることにより不使用状態にされ、第1及び第2の出力ポートA1,A2が、管継手15Bを取り付けることにより使用可能状態になっている。従って、この第2の応用例は、ノーマル時に主供給ポートPが第1及び第2の出力ポートA1,A2に連通するノーマルオープン式の4位置弁としての機能を有する。
【0048】
前記第1及び第2の応用例のような使い方は、前記第1実施形態の電磁弁1Aでも、前記第2実施形態の電磁弁1Bでも、行うことができる。この場合、第1実施形態の電磁弁1Aにおいては、ねじ込み式のポートプラグを用いて不使用の出力ポートを選択的に閉鎖すれば良く、第2実施形態の電磁弁1Bにおいては、ベース部材10Bに形成された配管用出力ポートA11,A21,B11,B21を、該出力ポートの形態に応じたねじ込み式又は差込式のポートプラグで閉鎖すれば良い。