【解決手段】第1円柱部10と、第1円柱部の上面の一部から鉛直上方に伸びるように設けられた第2円柱部11と、支持部12とを有し、第2円柱部の上面の開口に連通する第1配管13と、第1円柱部の上面の開口に連通する第2配管14を内蔵する主部材と、円筒部開口を有する円筒部20と、円板部開口22を有する円板部21とを有するカバー部材を有し、円板部21が第2円柱部11と第1円柱部10と非接触となるように配置され、第1配管を通じて酸素含有ガスを供給し、第2配管を通じて水素含有ガスを供給し、主部材とカバー部材が、真鍮より防錆性が高い材料から形成されている構成とする。
鉛直方向に上面及び下面を有する第1円柱部と、前記第1円柱部より小さな径を有して前記第1円柱部の上面の一部から鉛直上方に伸びるように設けられた第2円柱部と、前記第1円柱部より大きな径を有して前記第1円柱部の下面に設けられた支持部とを有し、前記支持部、前記第1円柱部及び前記第2円柱部を貫通して前記第2円柱部の上面の開口に連通する第1配管と、前記支持部及び前記第1円柱部を貫通して前記第1円柱部の上面の開口に連通する第2配管を内蔵する主部材と、
内径が前記第1円柱部の径以上の円筒部開口を有し、前記第1円柱部より高い高さを有する円筒部と、前記円筒部の鉛直上方側に設けられ、前記第2円柱部の径より大きな円板部開口を有する円板部とを有し、前記円板部が前記第2円柱部と前記第1円柱部と非接触となり、前記円板部開口に前記第2円柱部が陥入され、前記円筒部開口に前記第1円柱部が陥入され、前記円筒部の鉛直下方側の端部が前記支持部の表面で係止するように配置されたカバー部材と
を有し、
前記第1配管を通じて前記第2円柱部の上面の開口から酸素含有ガスを供給し、
前記第2配管を通じて前記第1円柱部の上面の開口から、前記第2円柱部と前記円板開口部の間隙を通して、水素含有ガスを供給し、
前記主部材と前記カバー部材が、真鍮より防錆性が高い材料から形成されている
水素酸素供給装置。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜あるいは果物などの農作物の栽培として、路地栽培の他に、農作物栽培用のハウス(温室)栽培が行われている。
例えば、ハウス栽培では、外気を遮断して、ハウスが受ける太陽光の熱をハウス内に留めるようにしてハウス内の温度を高めることの他に、特に夜間には、暖房機を用いてハウス内部の温度を高める方法が行われている。
ハウス内の温度をハウス外(路地)の温度より高め、農作物の発育に適切な温度に維持することで、高品質の農作物を高効率で栽培することができる。
【0003】
農作物栽培用ハウスの暖房機としては、灯油あるいは重油などの液体燃料の燃焼による熱を用いるものと、プロパンガスなどの気体燃料の燃焼による熱を用いるものがある。
しかしながら、灯油、重油、プロパンガスなどの液体燃料及び気体燃料は、いわゆる化石燃料であり、燃焼により地球温暖化の原因とされている二酸化炭素を発生させる。地球温暖化抑制のため、二酸化炭素の排出削減が求められていることから、化石燃料の使用量の削減が求められている。
【0004】
上記の問題を解決するために、特許文献1には、水素の燃料による熱を用いた農作物栽培用ハウスの暖房機が開示されている。
しかしながら、特許文献1には、水素と酸素を供給して燃焼させる燃焼バーナとして用いられる水素酸素供給装置の詳細な構造は記載がない。
水素を燃焼する、即ち酸化すると、水が生成される。燃焼バーナとして用いられる水素酸素供給装置は、真鍮などの金属で形成されており、水素の燃焼により生成された水が燃焼バーナの表面に凝集して長時間滞留することで、燃焼バーナに錆が発生しやすい状態となり、燃焼バーナの寿命が短いという不利益があった。
【特許文献1】国際公開第2004/109193号パンフレット
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る水素酸素供給装置の実施の形態について説明する。
【0015】
第1実施形態
図1は本実施形態に係る水素酸素供給装置の模式断面図である。
本実施形態に係る水素酸素供給装置は、例えば、主部材とカバー部材を有する。
主部材とカバー部材は、真鍮より防錆性が高い材料から形成されている。
【0016】
真鍮より防錆性が高い材料は、例えば、ステンレススチール、炭素複合材料、セラミックス、あるいは耐熱性樹脂である。
炭素複合材料とは、例えばSiC、TaCなどの炭素を含有する耐熱性の高い材料である。
セラミックスは、例えば酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物の焼成物であり、特性に応じて種々の組成のセラミックを用いることができる。
耐熱性樹脂とは、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂などの、バーナとしての使用に耐えうる耐熱性を有する樹脂である。
【0017】
図2(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態に係る水素酸素供給装置を構成する主部材の平面図及び模式断面図である。
主部材は、例えば、鉛直方向に上面及び下面を有する第1円柱部10と、第1円柱部10より小さな径を有して第1円柱部10の上面10aの一部から鉛直上方に伸びるように設けられた第2円柱部11と、第1円柱部10より大きな径を有して第1円柱部10の下面に設けられた支持部12とを有する。
例えば、支持部12、第1円柱部10及び第2円柱部11を貫通して第2円柱部11の上面11aの開口に連通する第1配管13と、支持部12及び第1円柱部10を貫通して第1円柱部10の上面10aの開口に連通する第2配管14を内蔵する。
【0018】
例えば、第1円柱部10の径は31.8mmφ、第2円柱部11の径が10mmφ、支持部12の径が32.8mmφである。第1円柱部10、第2円柱部11、支持部12は、異なる部材をネジ構造により接続した構成とすることができる。また、第1円柱部10、第2円柱部11、支持部12の一部または全部を一体に加工された構成とすることができる。
例えば、第1配管13の内径は1.7mm程度であり、第2配管14の内径は2.5mm程度である。
【0019】
図3(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態に係る水素酸素供給装置を構成するカバー部材の平面図及び模式断面図である。
カバー部材は、例えば、内径が第1円柱部10の径以上の円筒部開口を有し、第1円柱部10より高い高さを有する円筒部20と、円筒部20の鉛直上方側に設けられ、第2円柱部11の径より大きな円板部開口22を有する円板部21とを有する。
【0020】
例えば、円筒部20の外径は42mmφ、内径は32mmφであり、円板部21の厚みは4mm、径は42mmφ、円板部開口22の径は12mmφである。
【0021】
例えば、上記の構成の主部材とカバー部材は、
図4に示すように、円板部21が第2円柱部11と第1円柱部10と非接触となり、円板部開口22に第2円柱部11が陥入され、円筒部開口に第1円柱部10が陥入され、円筒部20の鉛直下方側の端部20aが支持部12の表面で係止するように配置される。
【0022】
例えば、第1配管13を通じて第2円柱部11の上面11aの開口から酸素含有ガスG1を供給し、第2配管14を通じて第1円柱部10の上面10aの開口から、第2円柱部11と円板開口部22の間隙を通して、水素含有ガスG2を供給する。
本実施形態において、酸素含有ガスG1とは酸素を主たる成分として含有するガスであり、酸素ガスそのものでもよい。
本実施形態において、水素含有ガスG2とは水素を主たる成分として含有するガスであり、水素ガスそのものでもよい。
【0023】
本実施形態の水素酸素供給装置は、円板部21に、円板部21を貫通し、円板開口部22より小さな径を有する副開口部23が設けられており、第2配管14を通じて第1円柱部10の上面10aの開口から、第2円柱部11と円板開口部22の間隙と副開口部23を通して、水素含有ガスG2を供給することが好ましい。
さらに、好ましくは、
図6(a)に示すように、副開口部23が複数個設けられている。
図6(a)においては、3個の副開口部23が設けられている。
副開口部の径は、例えば1.0mmφである。
【0024】
上記の本実施形態の水素酸素供給装置は、水素と酸素を供給して燃焼させる燃焼バーナとして用いられる。
本実施形態の水素酸素供給装置によれば、水素の燃焼により生成された水が水素酸素供給装置の表面に凝集して滞留しても、水素酸素供給装置の表面の錆の発生を抑制できる。さらに、それにより、装置の寿命を延ばすことができる。
【0025】
酸素含有ガスと水素含有ガスは、例えば水の電気分解により生成したガスを用いることができる。この場合、本実施形態の水素酸素供給装置の近傍に電気分解装置を備え付けることにより、生成した酸素含有ガスと水素含有ガスを直接あるいはリザーバ経由で水素酸素供給装置に用いることができる。
また、酸素含有ガスと水素含有ガスをボンベなどから供給してもよい。
【0026】
酸素含有ガスと水素含有ガスは、燃焼して水となることを考慮して、水素:酸素のモル比が2:1となるように供給することが好ましい。
本実施形態の水素酸素供給装置においては、水素と酸素の供給量を個別に制御することが可能となっており、燃焼の条件あるいは必要とする燃焼の温度条件等に合わせて、適宜水素と酸素の供給量を調節可能である。
【0027】
第2実施形態
本実施形態の水素酸素供給装置は、第1実施形態の水素酸素供給装置と同様の構成であるが、主部材とカバー部材の表面がはっ水処理面となっていることが異なる。はっ水処理面とは、例えばフッ素樹脂あるいははっ水塗料などでコーティングされ、水との接触角が90°以上の面である。
上記以外は第1実施形態と同様である。
【0028】
本実施形態の水素酸素供給装置によれば、主部材とカバー部材の表面がはっ水処理面となっていることにより、水素の燃焼により生成された水がさらにテーパ面上を鉛直下方に流れ落ちやすくなり、水素酸素供給装置の表面に凝集して滞留することが抑制される。
これにより、水素の燃焼時において錆の発生を抑制できる。さらに、それにより、装置の寿命を延ばすことができる。
さらに、水の凝集による燃焼バーナの温度低下に伴う燃焼効率の低下を抑制できる。
【0029】
第3実施形態
図4は本実施形態に係る水素酸素供給装置の模式断面図である。
本実施形態に係る水素酸素供給装置は、例えば、主部材とカバー部材を有する。
主部材とカバー部材は、例えば真鍮などの金属で形成されている。
主部材とカバー部材は、真鍮より防錆性が高い材料から形成されている。
真鍮より防錆性が高い材料は、例えば、ステンレススチール、炭素、あるいは樹脂である。
【0030】
図5(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態に係る水素酸素供給装置を構成する主部材の平面図及び模式断面図である。
主部材は、例えば、鉛直方向に上面及び下面を有する第1円柱部10と、第1円柱部10より小さな径を有して第1円柱部10の上面10aの一部から鉛直上方に伸びるように設けられた第2円柱部11と、第1円柱部10より大きな径を有して第1円柱部10の下面に設けられた支持部12とを有する。
例えば、支持部12、第1円柱部10及び第2円柱部11を貫通して第2円柱部11の上面11aの開口に連通する第1配管13と、支持部12及び第1円柱部10を貫通して第1円柱部10の上面10aの開口に連通する第2配管14を内蔵する。
ここで、第1円柱部10の鉛直上方の角部に、鉛直上方ほど径が小さくなる順テーパ面TPが設けられている。
【0031】
例えば、第1円柱部10の径は31.8mmφ、第2円柱部11の径が10mmφ、支持部12の径が32.8mmφである。第1円柱部10、第2円柱部11、支持部12は、異なる部材をネジ構造により接続した構成とすることができる。また、第1円柱部10、第2円柱部11、支持部12の一部または全部を一体に加工された構成とすることができる。
例えば、第1配管13の内径は1.7mm程度であり、第2配管14の内径は2.5mm程度である。
例えば、順テーパ面TPは、鉛直方向に対して50°で交差する面である。
【0032】
図6(a)及び(b)はそれぞれ本実施形態に係る水素酸素供給装置を構成するカバー部材の平面図及び模式断面図である。
カバー部材は、例えば、内径が第1円柱部10の径以上の円筒部開口を有し、第1円柱部10より高い高さを有する円筒部20と、円筒部20の鉛直上方側に設けられ、第2円柱部11の径より大きな円板部開口22を有する円板部21とを有する。
ここで、円板部21の鉛直上方の角部に、鉛直上方ほど径が小さくなる順テーパ面TPが設けられている。
【0033】
例えば、円筒部20の外径は42mmφ、内径は32mmφであり、円板部21の厚みは12mm、径は42mmφ、円板部開口22の径は12mmφである。
例えば、順テーパ面TPは、鉛直方向に対して50°で交差する面である。
【0034】
例えば、上記の構成の主部材とカバー部材は、
図1に示すように、円板部21が第2円柱部11と第1円柱部10と非接触となり、円板部開口22に第2円柱部11が陥入され、円筒部開口に第1円柱部10が陥入され、円筒部20の鉛直下方側の端部20aが支持部12の表面で係止するように配置される。
【0035】
例えば、第1配管13を通じて第2円柱部11の上面11aの開口から酸素含有ガスG1を供給し、第2配管14を通じて第1円柱部10の上面10aの開口から、第2円柱部11と円板開口部22の間隙を通して、水素含有ガスG2を供給する。
本実施形態において、酸素含有ガスG1とは酸素を主たる成分として含有するガスであり、酸素ガスそのものでもよい。
本実施形態において、水素含有ガスG2とは水素を主たる成分として含有するガスであり、水素ガスそのものでもよい。
【0036】
本実施形態の水素酸素供給装置は、円板部21に、円板部21を貫通し、円板開口部22より小さな径を有する副開口部23が設けられており、第2配管14を通じて第1円柱部10の上面10aの開口から、第2円柱部11と円板開口部22の間隙と副開口部23を通して、水素含有ガスG2を供給することが好ましい。
さらに、好ましくは、
図3(a)に示すように、副開口部23が複数個設けられている。
図3(a)においては、3個の副開口部23が設けられている。
副開口部の径は、例えば1.0mmφである。
【0037】
上記の本実施形態の水素酸素供給装置は、水素と酸素を供給して燃焼させる燃焼バーナとして用いられる。
本実施形態の水素酸素供給装置によれば、水素の燃焼により生成された水が水素酸素供給装置の表面に凝集して滞留しても、水素酸素供給装置の表面の錆の発生を抑制できる。さらに、それにより、装置の寿命を延ばすことができる。
さらに、水素の燃焼により生成された水がテーパ面上を鉛直下方に流れ落ちるので、水素酸素供給装置の表面に凝集して滞留することが抑制され、水素酸素供給装置の表面の錆の発生を抑制できる。さらに、それにより、装置の寿命を延ばすことができる。
さらに、水の凝集による燃焼バーナの温度低下に伴う燃焼効率の低下を抑制できる。
上記以外は第1実施形態と同様である。
【0038】
本実施形態の水素酸素供給装置は、主部材とカバー部材の表面がはっ水処理面となっていることが好ましい。はっ水処理面とは、例えばフッ素樹脂あるいははっ水塗料などでコーティングされ、水との接触角が90°以上の面である。
主部材とカバー部材の表面がはっ水処理面となっていることにより、水素の燃焼により生成された水がさらにテーパ面上を鉛直下方に流れ落ちやすくなり、水素酸素供給装置の表面に凝集して滞留することが抑制され、錆の発生を抑制できる。さらに、それにより、装置の寿命を延ばすことができる。さらに、水の凝集による燃焼バーナの温度の低下を抑制し、燃焼効率の低下を抑制できる効果を得ることができる。
【0039】
変形形態
図7は本発明の変形形態に係る水素酸素供給装置の模式断面図である。
実質的に第1実施形態と同様であるが、主部材を構成する第1円柱部10の側面と、カバー部材を構成する円筒部20の円筒部開口の内壁面とが、互いに適合するネジ切りされた表面となっており、当該ネジ構造によりカバー部材が主部材に装着された構造となっている。
上記を除いては、第1実施形態と同様である。
【0040】
上記の本実施形態の水素酸素供給装置は、水素と酸素を供給して燃焼させる燃焼バーナとして用いられる。
本実施形態の水素酸素供給装置によれば、水素の燃焼により生成された水が水素酸素供給装置の表面に凝集して滞留しても、水素酸素供給装置の表面の錆の発生を抑制できる。さらに、それにより、装置の寿命を延ばすことができる。
【0041】
また、上記の第2実施形態及び第3実施形態においても、上記のように、主部材を構成する第1円柱部10の側面と、カバー部材を構成する円筒部20の円筒部開口の内壁面とが、互いに適合するネジ切りされた表面となっており、当該ネジ構造によりカバー部材が主部材に装着された構造とすることが可能である。
【0042】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。
例えば、支持部はカバー部材を係止できる構造となっていればよく、主部材を構成する第1円柱部と支持部との間に、第1円柱部より径の小さい部材が含まれていてもよい。
主部材とカバー部材のテーパ面は、それぞれ適宜好ましい角度に調整可能である。
主部材とカバー部材は、円板部21が第2円柱部11と第1円柱部10と非接触となるように、不図示の位置決め構造を有していてもよい。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。