【解決手段】少なくとも1つのレンズを含むレンズ部21と、レンズ部21をレンズ部21の光軸Lに垂直な方向に沿って、ベース部40に対して相対移動させる第1駆動部39と、レンズ部21を光軸Lに沿って、ベース部40に対して相対移動させるフォーカス部20の第2駆動部38と、を含み、第1駆動部39のコイル36x,36yは、ベース部40に固定され、フォーカス部20と光軸方向で対向している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、小型で多機能なレンズ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るレンズ駆動装置は、
少なくとも1つのレンズを含むレンズ部と、
前記レンズ部を当該レンズ部の光軸に垂直な方向に沿って、ベース部に対して相対移動させる第1駆動部と、
前記レンズ部を前記光軸に沿って、前記ベース部に対して相対移動させる第2駆動部と、を含む。
【0007】
本発明に係るレンズ駆動部は、レンズ部を光軸に垂直な方向に沿って移動させる第1駆動部と、レンズ部を光軸に沿って移動させる第2駆動部とを含むため、レンズ部は、フォーカス調整用のレンズとブレ補正用のレンズを兼ねることができる。したがって、本発明に係るレンズ駆動装置は、小型で多機能なレンズ駆動装置を実現することができる。
【0008】
また、例えば、本発明に係るレンズ駆動装置は、
前記レンズ部と前記第2駆動部を含むフォーカス部を含み、
前記第1駆動部は、前記フォーカス部を前記光軸に垂直な方向に沿って、前記ベース部に対して相対移動させてもよい。
【0009】
このようなレンズ駆動装置における第1駆動部は、レンズ部および第2駆動部を含むフォーカス部全体を移動させるため、第1駆動部および第2駆動部の構造を単純化することができる。また、第1駆動部はフォーカス部全体を光軸に垂直な方向に沿って移動させ、第2駆動部はレンズ部を光軸に沿って移動させることによって、結果的に、レンズ部は3次元方向に移動させられる。このようなレンズ駆動装置は、レンズ部を直接3次元方向に移動させるものと比較して、制御が容易である。
【0010】
また、例えば、前記第1駆動部は、前記フォーカス部に取り付けられた第1マグネットと、前記ベース部に取り付けられており前記第1マグネットに対向するように配置される第1コイルと、を含んでもよい。
【0011】
このようなレンズ駆動装置における第1駆動部は、第1マグネットと第1コイルによって構成されるボイスコイルモータを含むため、フォーカス部に含まれるレンズ部を、光軸に垂直な方向に沿って精度良く移動させることができる。
【0012】
また、例えば、本発明に係るレンズ駆動装置は、少なくとも3つのサスペンションワイヤを含んでいてもよく、
前記フォーカス部と前記ベース部とは、前記少なくとも3つのサスペンションワイヤによって相対移動自在に連結されていてもよい。
【0013】
このようなレンズ駆動装置において、フォーカス部とベース部とは、少なくとも3つのサスペンションワイヤによって相対移動自在に連結されているため、構造がシンプルである。
【0014】
また、例えば、前記フォーカス部は、前記第1駆動部によって前記レンズ部に対して相対移動させられるフォーカスベースと、当該フォーカスベースと前記レンズ部とを相対移動自在に接続するスプリングとを含んでもよく、
前記第2駆動部は、前記レンズ部に取り付けられた第2コイルと、前記フォーカスベースに取り付けられており前記第2コイルに対向するように配置される第2マグネットとを含んでいてもよい。
【0015】
このようなレンズ駆動装置における第2駆動部は、第2マグネットと第2コイルによって構成されるボイスコイルモータを含むため、フォーカス部に含まれるレンズ部を、光軸に沿って精度良く移動させることができる。
【0016】
また、例えば、前記少なくとも3つのサスペンションワイヤに含まれる少なくとも1つのサスペンションワイヤの一端は、前記スプリングを介して、前記第2コイルに対して電気的に接続されており、前記少なくとも1つのサスペンションワイヤの他端は、前記ベース部に含まれる外部接続基板に対して電気的に接続されていてもよい。
【0017】
このようなレンズ駆動装置は、少なくとも1つのサスペンションワイヤを介して、ベース部から第2コイルに対して電力を供給することが可能であるため、構造がシンプルであり、小型化に適している。
【0018】
また、前記スプリングは、前記レンズ部における前記ベース部側に配置されるBスプリングと、前記レンズ部における前記ベース部とは反対側に配置されるFスプリングとを含んでもよく、
前記少なくとも1つのサスペンションワイヤの一端は、前記Fスプリングを介して、前記第2コイルに対して電気的に接続されていてもよい。
【0019】
このようなレンズ駆動装置は、サスペンションワイヤの長さを長くして、フォーカス部を適切な力で支持することが可能であり、フォーカス部の可動範囲を大きくとることが可能である。
【0020】
また、前記少なくとも3つのサスペンションワイヤは、4つのサスペンションワイヤによって構成されていてもよく、
前記第1駆動部は、前記フォーカス部を、前記光軸に垂直な方向であって互いに直交するX方向およびY方向に移動させることができ、
前記4つのサスペンションワイヤは、前記X方向に対する剛性と、前記Y方向に対する剛性が略等しくてもよい。
また、前記少なくとも3つのサスペンションワイヤは、略丸形の断面形状を有していてもよい。
【0021】
このようなレンズ駆動装置は、第1駆動部によってフォーカス部を駆動する場合におけるX方向とY方向の1次共振周波数が等しくなり、手ぶれ動作等における第1駆動部の制御が容易である。また、サスペンションワイヤの断面を略丸形とすることにより、サスペンションワイヤ31の剛性が、サスペンションワイヤの軸を中心とする回転方向に関して略均一となるため、サスペンションワイヤの組立が容易になる。
【0022】
また、例えば、本発明に係るレンズ駆動装置は、前記フォーカス部に取り付けられており、前記第1マグネットと前記第2マグネットとの間に配置されており、磁性体で構成される磁性体プレートを含んでもよい。
【0023】
第1マグネットと第2マグネットの間に配置された磁性体プレートは、第1マグネットと第2マグネットの間で磁気を遮断し、互いの磁場が干渉することを防止することができる。したがって、このような磁性体プレートを含むレンズ駆動装置は、レンズを精度良く駆動することが可能である。
【0024】
また、例えば、前記磁性体プレートは、外周が略矩形であるリング形状を有していてもよく、
前記第1マグネットは、前記光軸方向でみて前記磁性体プレートの各辺に対応するように配置された4つの棒状マグネットによって構成されていてもよく、
前記第2マグネットは、前記光軸方向でみて、前記磁性体プレートの各角部に対応するように配置された4つの個片マグネットによって構成されていてもよい。
【0025】
第1マグネットを、磁性体プレートの各辺に対応するように配置された棒状マグネットによって構成することで、第1駆動部は、より大きい駆動力を発生することが可能となる。それに対して、第2マグネットを、磁性体プレートの各角部に対応するように配置された個片マグネットによって構成することで、レンズ保持装置は、より径の大きいレンズを含むことが可能となる。したがって、このようなレンズ駆動装置は、さらに小型化に適している。
【0026】
好ましくは、前記ベース部には、前記レンズ部を通して入射する光を検出するイメージセンサが固定してある。イメージセンサをベース部に固定することで、イメージセンサに対して、レンズ部を光軸に垂直な方向および光軸に沿った方向に移動させることが可能になる。すなわち、レンズ部は、イメージセンサに対して三軸(三次元)方向に自由に移動可能に保持される。
【0027】
なお、イメージセンサがベース部(固定部)ではなく、レンズ部(可動部)に取り付けられる構造では、イメージセンサからの出力信号を外部に取り出すために、可動部にフレキシブルプリント基板(FPC)の一端を接続し、FPCの他端を固定部に接続する必要がある。このような構造では、可動部と固定部との間をFPCで接続してあるために、固定部に対する可動部であるレンズ部の動きを抑制するおそれがあり、手ぶれ補正制御の精度が低下するおそれがある。また、レンズ部の動きに合わせてFPCが撓んだり、伸ばされたりすることにより、ノイズ信号が発生し、この点でも、手ぶれ補正制御の精度を低下させるおそれがある。
【0028】
これに対して、本発明において、イメージセンサをベース部(固定部)に固定することで、可動部と固定部との間を、画像データの転送のためのFPCで接続する必要が無くなる。その結果、固定部に対する可動部であるレンズ部の動きを滑らかにすることができると共に、FPCの屈曲などが原因で発生するノイズ信号を抑制することができ、手ぶれ補正制御の精度を向上させることができる。また、イメージセンサをベース部(固定部)に固定することで、レンズ駆動装置の組み立ても容易になり、製造コストの低減にも寄与する。
【発明を実施するための形態】
【0030】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ駆動ユニット42を含むカメラユニット44の分解斜視図である。カメラユニット44は、レンズ駆動ユニット42と撮像素子ユニット46によって構成される。なお、カメラユニット44の説明においては、
図1〜
図5に記載の座標に示すように、レンズ駆動ユニット42に含まれるレンズ部21の光軸方向に沿って、イメージセンサ11からレンズ部21に向かう方向をZ軸の正方向とし、レンズ部21の光軸Lに垂直な方向をX軸方向およびY軸方向として説明を行う。なお、X軸、Y軸、Z軸は、相互に垂直になっている。
【0031】
撮像素子ユニット46は、フィルタ13、ブラケット12、イメージセンサ11、イメージセンサ基板10等を有する。イメージセンサ11は、CCDやCMOS等の固体撮像素子によって構成され、光電変換によって画像信号を生成する。イメージセンサ11は、イメージセンサ基板10のZ軸正方向側の表面に取り付けられている。イメージセンサ11で生成された画像信号は、イメージセンサ基板10を介して演算部や記憶部等に送信される。
【0032】
イメージセンサ11のZ軸正方向側には、ブラケット12およびフィルタ13が配置される。ブラケット12は、イメージセンサ基板10に固定され、イメージセンサ11の受光面は、ブラケット12およびフィルタ13によって保護される。ブラケット12には、撮影光を透過させることができるように、矩形形状の貫通孔が形成されている。フィルタ13は透明材料によって構成されており、ブラケット12の貫通孔を塞ぐように、ブラケット12に対して取り付けられる。
【0033】
撮像素子ユニット46のZ軸正方向側には、レンズ駆動ユニット42が配置される。本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、レンズ部21およびAFボイスコイルモータ38を含むフォーカス部20と、磁性体プレート34と、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39と、サスペンションワイヤ31と、ベース部40とを含む。
【0034】
図1に示すように、ブラケット12のZ軸正方向側には、ベース部40が配置される。ベース部40は、ユニット基板33と回路基板32とを含む。ユニット基板33は、ユニット基板33のZ軸正方向側に設置される回路基板32やサスペンションワイヤ31等を支えることができるように、適切な強度を有していることが好ましい。ユニット基板33の材質としては、特に限定されないが、例えばLCP(Liquid Crystal Polymer)等の樹脂材料を用いることができる。ユニット基板33は、ブラケット12に対して固定される。したがって、ユニット基板33を含むベース部40は、イメージセンサ11を含む撮像素子ユニット46に、イメージセンサ11に対して相対移動しないように固定して取り付けられる。
【0035】
回路基板32は、AFボイスコイルモータ38や手ぶれ補正ボイスコイルモータ39に対して、電気信号を伝達するための配線を有している。回路基板32は、例えばFPC(フレキシブルプリント基板)等によって構成される。回路基板32は、接着等によりユニット基板33に固定され、ユニット基板33によって支持される。
【0036】
回路基板32は、レンズ駆動ユニット42の外部に設けられている駆動制御部(不図示)に対して電気的に接続されている。すなわち、回路基板32は、レンズ駆動ユニット42の内部の電子部品と駆動制御部とを中継する外部接続基板の役割を有している。駆動制御部は、AFボイスコイルモータ38や手ぶれ補正ボイスコイルモータ39を、オートフォーカス動作や手ぶれ補正動作が適切に実現されるように、駆動および制御する。例えば、AFコイル23(第2コイル)、X方向手ぶれ補正コイル(第1コイル)36xおよびY方向手ぶれ補正コイル(第1コイル)36yには、駆動制御部からの制御信号が、回路基板32を介して伝えられる。
【0037】
回路基板32には、X方向位置センサ35xと、Y方向位置センサ35yが設置されている。X方向位置センサ35xおよびY方向位置センサ35yは、ベース部40に対するフォーカス部20の相対的な位置を検出する。X方向位置センサ35xおよびY方向位置センサ35yは、例えばホール素子等によって構成されている。X方向位置センサ35xおよびY方向位置センサ35yは、フォーカス部20に取り付けられるX方向手ぶれ補正マグネット37xおよびY方向手ぶれ補正マグネット37yの移動による磁場の変化を検出し、フォーカス部20の位置検出を行う。
【0038】
サスペンションワイヤ31は、ベース部40とフォーカス部20を相対移動自在に連結する。本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、4つのサスペンションワイヤ31を含む。サスペンションワイヤ31の材質は特に限定されないが、りん青銅が好ましい。
【0039】
また、レンズ駆動ユニット42に用いられるサスペンションワイヤ31の数は、3つ以上とすることが、ベース部40とフォーカス部20とをバランス良く連結・支持するうえで好ましい。本実施形態において、サスペンションワイヤ31は、Z軸方向からみて略矩形形状を有するレンズ駆動ユニット42の四隅に配置されている。各サスペンションワイヤ31の一方の端部は、ベース部40の回路基板32またはユニット基板33に固定されており、各サスペンションワイヤの他方の端部は、フォーカス部20に含まれるキャップ27またはFスプリング24に固定されている。サスペンションワイヤ31を、フォーカス部20のZ軸正方向側端部に配置されるキャップ27またはFスプリング24に固定することによって、サスペンションワイヤ31の長さを長くして、フォーカス部20を適切な力で支持することができ、また、X−Y方向の可動範囲を大きくとることができる。
【0040】
また、本実施形態において、ベース部40とフォーカス部20は、4つのサスペンションワイヤ31によって連結されており、これら4つのサスペンションワイヤは、X軸方向に対する剛性とY軸方向に対する剛性が略等しい。このような構成とすることにより、後述の手ぶれ補正ボイスコイルモータ39によってフォーカス部20を駆動する場合におけるX軸方向とY軸方向の1次共振周波数が略等しくなり、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39によるフォーカス部20の相対位置制御が容易になる。また、サスペンションワイヤ31の断面形状を、円形もしくは円形に近い多角形等のような略丸形とすることにより、サスペンションワイヤ31の剛性が、サスペンションワイヤの軸を中心とする回転方向に関して略均一となるため、サスペンションワイヤ31の組立が容易になる。
【0041】
また、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42においては、4つのサスペンションワイヤ31のうち、2つのサスペンションワイヤ31の一端は、Fスプリング24を介してAFコイル23に対して電気的に接続されている。また、これら2つのサスペンションワイヤ31の他端は、回路基板32に対して電気的に接続されている。
【0042】
すなわち、本実施形態において、Fスプリング24は、電気的に2分割されている。
図1に示すAFコイル23の一端は、分割されたFスプリング24の一方に電気的に接続されており、Fスプリング24の一方を介して、サスペンションワイヤ31の一端に電気的に接続されている。それに対して、AFコイル23の他端は、分割されたFスプリング24の他方に電気的に接続されており、Fスプリング24の他方を介して、AFコイル23が接続されているサスペンションワイヤ31とは異なる別のサスペンションワイヤ31の一端に電気的に接続されている。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、2つのサスペンションワイヤ31を介して、ベース部40の回路基板32からAFコイル23に対して電力を供給することができる。
【0043】
ベース部40のZ軸正方向側には、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39が配置される。手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、レンズ部21を、レンズ部21の光軸Lに垂直な方向に沿って、ベース部40に対して相対移動させる。本実施形態に係る手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、レンズ部21およびAFボイスコイルモータ38を含むフォーカス部20全体を移動させることによって、レンズ部21を、ベース部40に対して相対移動させる。
【0044】
手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、磁性体プレート34を介してフォーカス部20に取り付けられるX方向手ぶれ補正マグネット37xおよびY方向手ぶれ補正マグネット37yと、ベース部40に取り付けられるX方向手ぶれ補正コイル36xおよびY方向手ぶれ補正コイル36yを含む。X方向手ぶれ補正マグネット37xのZ軸負方向側には、X方向手ぶれ補正マグネット37xに対向するように、X方向手ぶれ補正コイル36xが配置される。また、Y方向手ぶれ補正マグネット37yのZ軸負方向側には、Y方向手ぶれ補正マグネット37yに対向するように、Y方向手ぶれ補正コイル36yが配置される。
【0045】
手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、2つのX方向手ぶれ補正コイル36xおよび2つのY方向手ぶれ補正コイル36yによって構成される4つのコイル36x,36yと、2つのX方向手ぶれ補正マグネット37xおよびY方向手ぶれ補正マグネット37yによって構成される4つのマグネット37x,37yを含む。各コイル36には、回路基板32から、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39を駆動するための電流が供給される。
【0046】
手ぶれ補正ボイスコイルモータ39のZ軸正方向側には、磁性体プレート34が配置される。磁性体プレート34は、フォーカス部20に取り付けられており、本実施形態ではマグネット保持部材25に固定される。磁性体プレート34は、例えば鉄、ステンレス等の磁性体で構成される。
【0047】
磁性体プレート34は、
図1に示すように、磁性体プレート34のZ軸正方向側に配置されるAFマグネット26と、磁性体プレート34のZ軸負方向側に配置されるX方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yとの間に配置される。したがって、磁性体プレート34は、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39に含まれるマグネット37x,37yと、AFボイスコイルモータ38に含まれるマグネット26の間で磁気を遮断し、互いの磁場が干渉することを防止する。
【0048】
本実施形態において、磁性体プレート34は、外周が略矩形のリング形状を有している。また、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39に含まれるマグネット37x,37yは、棒状マグネットによって構成されており、各マグネット37x,37yは、磁性体プレート34の各辺に対応するように配置されている。
【0049】
図2は、
図1に示すカメラユニット44における手ぶれ補正ボイスコイルモータ39周辺の部品配置を表す部分組立図である。
図1に示す手ぶれ補正ボイスコイルモータ39に含まれるマグネット37x,37yや、コイル36x,36yは、カメラユニット44の組立後において、
図2に示すように配置される。なお、
図2は、フォーカス部20を図示していない。
【0050】
図2において、磁性体プレート34と、磁性体プレート34に固定されるX方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yは、
図2に示されるその他の部材に対して固定されていない。すなわち、
図1に示すカメラユニット44において、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、磁性体プレート34のZ軸正方向側に設置されるフォーカス部20を、撮像素子ユニット46およびベース部40に対して、XY平面に沿う方向に相対移動させる。
【0051】
図1に示すように、磁性体プレート34のZ軸正方向側には、フォーカス部20が設置される。フォーカス部20は、レンズ部21、AFボイスコイルモータ38、Fスプリング24、Bスプリング29、フォーカスベース48およびコイルホルダ22等を含む。
【0052】
本実施形態に係るフォーカスベース48は、マグネット保持部材25とキャップ27によって構成される。マグネット保持部材25には、AFボイスコイルモータ38に含まれるAFマグネット26が固定される。また、マグネット保持部材25には、磁性体プレート34を介して、X方向手ぶれ補正マグネット37xおよびY方向手ぶれ補正マグネット37yも取り付けられる。
【0053】
また、キャップ27とマグネット保持部材25は、
図3に示すように、カメラユニット44の組立後において互いに固定され、フォーカスベース48を構成する。なお、キャップ27は、
図1に示すFスプリング24と絶縁シート30を介して、マグネット保持部材25に取り付けられても良い。
【0054】
図1に示すように、フォーカスベース48の内部には、レンズ部21と、AFボイスコイルモータ38が収納される。レンズ部21は、少なくとも1つのレンズを含み、レンズ部21のZ軸正方向側に配置されるイメージセンサ11の受光面に、撮影光による像を形成する。
【0055】
AFボイスコイルモータ38は、レンズ部21を、レンズ部21の光軸Lに沿って、ベース部40に対して相対移動させる。ここで、本実施形態に係るAFボイスコイルモータ38は、レンズ部21を、フォーカスベース48に対して光軸方向に相対移動させる。しかし、後述するように、フォーカスベース48は、サスペンションワイヤ31によってベース部40に対して接続・支持されている。このため、AFボイスコイルモータ38は、レンズ部21をフォーカスベース48に対して相対移動させることによって、結果的に、レンズ部21を、ベース部40およびイメージセンサ11に対して相対移動させることができる。
【0056】
AFボイスコイルモータ38は、レンズ部21に取り付けられたAFコイル23と、フォーカスベース48に取り付けられたAFマグネット26を含む。AFマグネット26は、
図1に示すように、マグネット保持部材25に固定され、組立後においてAFコイル23に対向するように配置される。AFマグネット26は、4つの個片マグネットにより構成されており、各個片マグネットがAFマグネット26を、レンズ部21の周方向に沿って取り囲むように配置される。AFマグネット26を構成する個片マグネットは、光軸方向(Z軸方向)でみて、磁性体プレート34の各角部に対応するように配置されている。
【0057】
AFコイル23は、レンズ部21に対して直接固定されても良いが、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42のように、コイルホルダ22を介して固定されてもよい。コイルホルダ22は、中空円筒形状を有しており、レンズ部21を固定する部分と、AFコイル23を固定する部分を有している。コイルホルダ22によって、円筒形状のレンズ部21に対して、多角形(八角形)のAFコイル23を確実に取り付けることができる。
【0058】
本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、レンズ部21におけるベース部40側(Z軸負方向側)に取り付けられたBスプリング29と、レンズ部21におけるベース部40とは反対側(Z軸正方向側)に取り付けられたFスプリング24とを有する。Bスプリング29およびFスプリング24は、
図5に示すように、フォーカスベース48と、レンズ部21とを、レンズ部21の光軸方向Lに沿って相対移動自在に接続する。Fスプリング24は、
図1に示すように、フォーカスベース48に対して固定される外周部24aと、レンズ部21に対して固定される内周部24bとを有する。外周部24aは、フォーカスベース48を構成するマグネット保持部材25またはキャップ27に対して直接固定されてもよく、マグネット保持部材25に固定されるAFマグネット26に絶縁シート30を介して固定されることによって、フォーカスベース48に対して間接的に固定されてもよい。
【0059】
内周部24bは、レンズ部21に直接固定されてもよいが、レンズ部21に固定されるコイルホルダ22に固定されることによって、レンズ部21に対して間接的に固定されてもよい。Bスプリング29も、Fスプリング24と同様に、フォーカスベース48およびレンズ部21に対して、直接的または間接的に固定される。Bスプリング29およびFスプリング24は、フォーカスベース48とレンズ部21とを、レンズ部21の光軸方向に沿って相対移動自在に接続できるように、弾性材料によって構成されることが好ましい。
【0060】
本実施形態におけるFスプリング24は、導電性を有する弾性材料を用いて構成されている。Fスプリング24を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、ベリリウムもしくはこれらを含む合金等の金属材料を用いることができる。Fスプリング24の内周部24bは、コイルホルダ22に固定されるAFコイル23に対して電気的に接続される。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、2つのサスペンションワイヤ31とFスプリング24を介して、ベース部40の回路基板32からAFコイル23に対して電力を供給することができる。
【0061】
図1に示すAFコイル23の一端は、分割されたFスプリング24の一方に電気的に接続されており、Fスプリング24の一方を介して、サスペンションワイヤ31の一端に電気的に接続されている。それに対して、AFコイル23の他端は、分割されたFスプリング24の他方に電気的に接続されており、Fスプリング24の他方を介して、AFコイル23が接続されているサスペンションワイヤ31とは異なる別のサスペンションワイヤ31の一端に電気的に接続されている。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、2つのサスペンションワイヤ31を介して、ベース部40の回路基板32からAFコイル23に対して電力を供給することができる。なお、Fスプリングを介してAFコイル23に対して給電を行う場合は、マグネットとFスプリング24の間に、絶縁シート30を挟むことが好ましい。
【0062】
キャップ27は、マグネット保持部材25のZ軸正方向側に取り付けられる。キャップ27のZ軸負方向側には、Fスプリング24、AFボイスコイルモータ38、レンズ部21等が収納される。キャップ27には、Fスプリング24を介して、または直接に、サスペンションワイヤ31の他方の端部が固定される。なお、カメラユニット44は、撮像素子ユニット46およびレンズ駆動ユニット42を覆うためのカバー28を有していてもよい。
【0063】
図3は、
図1に示すカメラユニット44の組立後における斜視図である。なお、
図3では、
図1におけるカバー28は図示していない。レンズ駆動ユニット42の外形状は直方体形状であり、レンズ駆動ユニット42の四隅には、サスペンションワイヤ31が配置されている。サスペンションワイヤ31の一方の端部はベース部40に固定されており、
図3に示すように、サスペンションワイヤ31の他方の端部はフォーカスベース48のマグネット保持部材25またはキャップ27に固定されている。
【0064】
サスペンションワイヤ31が、フォーカスベース48とベース部40の間を支持しているため、フォーカス部20のフォーカスベース48に取り付けられているX方向手ぶれ補正マグネット37xと、ベース部40に取り付けられているX方向手ぶれ補正コイル36xとは、Z軸方向に僅かな間隔を挟んで互いに対向するように配置される。これと同様に、Y方向手ぶれ補正マグネット37yと、Y方向手ぶれ補正コイル36yも、Z軸方向に僅かな間隔を挟んで互いに対向するように配置される。
【0065】
図4は、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39の構成を説明するための概略平面図であり、
図1における手ぶれ補正ボイスコイルモータ39とイメージセンサ11の位置関係を、Z軸正方向側から観察したものである。イメージセンサ11をX軸方向に挟んで配置される2組のX方向手ぶれ補正マグネット37xおよびコイル36xは、
図3に示すフォーカス部20全体を、ベース部40に対して、X軸方向に相対移動させる。
【0066】
また、
図4に示すように、イメージセンサ11をY軸方向に挟んで配置される2組のY方向手ぶれ補正マグネット37yおよびコイル36yは、
図3に示すフォーカス部20全体を、ベース部40に対して、Y軸方向に相対移動させる。これにより、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、
図3に示すフォーカス部20全体を、ベース部40に対して、XY平面に沿う任意の方向に相対移動させることができる。
【0067】
図3および
図4に示すように、ベース部40に取り付けられているX方向位置センサ35xは、X方向手ぶれ補正コイル36xと同様に、フォーカスベース48に取り付けられているX方向手ぶれ補正マグネット37xに対して、Z軸方向に僅かな間隔を挟んで互いに対向するように配置される。また、Y方向位置センサ35yも、Y方向手ぶれ補正マグネット37yに対して、Z軸方向に僅かな間隔を挟んで互いに対向するように配置される。
【0068】
図1に示すレンズ駆動ユニット42を制御する駆動制御部(不図示)は、X方向位置センサ35xおよびY方向位置センサ35yの検出信号をもとに、フォーカス部20またはレンズ部21の位置を検出する。本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、レンズ部21の位置を検出し、これに基づき手ぶれ補正ボイスコイルモータ39を駆動することによって、精度の高い手ぶれ補正動作をおこなうことができる。
【0069】
図5は、カメラユニット44を、
図3に示す光軸LおよびV−V線を通る断面によって観察した概略断面図である。
図5において、紙面に向かって光軸Lより左側の部分は、光軸Lを通り、XZ平面に平行な断面を表しており、紙面に向かって光軸Lより右側の部分は、光軸Lをおよびサスペンションワイヤ31を通る断面を表している。なお、
図5は、レンズ部21の駆動を分かり易く説明するための概念図であり、
図5においては、各部材の形状を単純化して表しており、また、一部の部材の記載を省略している。
【0070】
図5に示すように、レンズ部21は、Fスプリング24およびBスプリング29によって、フォーカスベース48に対して、光軸Lに沿って相対移動自在に保持されている。レンズ部21は、AFボイスコイルモータ38によって、フォーカスベース48に対して、光軸Lに沿って相対移動するように駆動される。AFボイスコイルモータ38は、コイルホルダ22を介してレンズ部21に取り付けられているAFコイル23と、フォーカスベース48のマグネット保持部材25に取り付けられているAFマグネット26を含む。
【0071】
このように、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、Fスプリング24およびBスプリング29を用いることによって、フォーカスベース48とレンズ部21とを相対移動自在に接続し、レンズ部21とフォーカスベース48との間にAFボイスコイルモータ38を配置している。これによって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、非常に単純な構造を有するにもかかわらず、レンズ部21を光軸Lに沿って精度良く移動させることができる。
【0072】
図5に示すように、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42において、レンズ部21、AFボイスコイルモータ38およびフォーカスベース48は、フォーカス動作を行うことができるフォーカス部20を構成している。すなわち、フォーカス部20のAFボイスコイルモータ38は、レンズ部21を、ベース部40に対して、光軸Lに沿って相対移動させ、カメラユニット44の焦点距離を調整することができる。
【0073】
フォーカス部20は、4つのサスペンションワイヤ31によって、ベース部40に対して、光軸Lに垂直な方向に沿って相対移動自在に保持されている。フォーカス部20は、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39によって、ベース部40に対して、光軸Lに垂直な方向に沿って相対移動するように駆動される。手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、磁性体プレート34を介してフォーカス部20に取り付けられているX方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yと、ベース部40に取り付けられているX方向およびY方向手ぶれ補正コイル36x,36yとを含む。
【0074】
このように、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、4つのサスペンションワイヤ31を用いることによって、フォーカス部20とベース部40とを相対移動自在に接続し、フォーカス部30とベース部40との間に手ぶれ補正ボイスコイルモータ39を配置している。これによって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、非常に単純な構造を有するにもかかわらず、レンズ部21を光軸Lに垂直な方向に沿って精度良く移動させることができる。
【0075】
したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39を用いて、カメラユニット44に加えられた手ぶれを打ち消すようにレンズ部21を駆動し、手ぶれ補正を行うことができる。さらに、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42では、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39が、フォーカス部20全体を、光軸Lに垂直な方向に沿って移動させる。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、1つのレンズ部21が、オートフォーカス等に用いられる焦点調整用のレンズと、手ぶれ補正用のレンズとを兼ねることができる。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、部品点数を減少させ、構造を単純にすることが可能であり、高機能であり、かつ小型化に適している。
【0076】
図5に示すように、X方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yは、フォーカス部20のZ軸負方向側の端部に、磁性体プレート34を介して取り付けられている。磁性体プレート34は、磁性体で構成されており、X方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yと、AFマグネット26との間に配置される。
【0077】
磁性体プレート34は、X方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yと、AFマグネット26の間で磁気を遮断し、互いの磁場が干渉することを防止することができる。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、レンズ部21を精度良く駆動することが可能である。また、磁性体プレート34の遮断効果により、X方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yとAFマグネット26とを近接させて配置することが可能であり、この点からも小型化に適している。
【0078】
図1および
図5に示すように、AFマグネット26は、磁性体プレート34の各角部に対応されるように配置された4つの個片マグネットによって構成されている。AFマグネット26の内周側には、
図5に示すように、AFコイル23を配置しなければならない。しかし、AFマグネット26をコーナーに配置することによって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、より径の大きいレンズ部21を含むことが可能となり、小型化に適している。
【0079】
また、
図1、
図4および
図5に示すように、X方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yは、磁性体プレート34の各辺に対応するように配置された4つの棒状マグネットによって構成されている。ここで、X方向およびY方向手ぶれ補正コイル36x,36yは、X方向およびY方向手ぶれ補正マグネット37x,37yに対して、内周側ではなく、Z軸負方向側に配置される。
【0080】
したがって、本実施形態におけるレンズ駆動ユニット42は、全体を小型に保った状態で、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39における磁石とコイルの対向面積を拡大させて駆動力を増加させることが可能であり、この点からも小型化に適している。また、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39は、フォーカス部20全体を移動させるため、AFボイスコイルモータ38より大きい駆動力を有することが好ましい。なお、X方向手ぶれ補正マグネット37xは、X方向手ぶれ補正コイル36xに対応してX軸方向に面内2極着磁され(
図5参照)、同様に、Y方向手ぶれ補正マグネット37yは、Y方向手ぶれ補正コイル36yに対応してY軸方向に面内2極着磁されている。
【0081】
また、
図1に示す4つのサスペンションワイヤ31のうち、2つのサスペンションワイヤ31の一端は、
図5に示すFスプリング24を介してAFコイル23に対して電気的に接続されている。また、これら2つのサスペンションワイヤ31の他端は、回路基板32に対して電気的に接続されている。したがって、本実施形態に係るレンズ駆動ユニット42は、2つのサスペンションワイヤ31を介して、ベース部40の回路基板32からAFコイル23に対して電力を供給することが可能であり、構造がシンプルであり、小型化に適している。
【0082】
さらに、本実施形態では、イメージセンサ11をベース部40(固定部)に固定することで、レンズ部21は、イメージセンサ11に対して三軸(三次元)方向に自由に移動可能に保持される。しかも本実施形態では、可動部と固定部との間を、画像データの転送のためのFPCで接続する必要が無くなり、イメージセンサ11に対する可動部であるフォーカス部20の動きを滑らかにすることができると共に、FPCの屈曲などが原因で発生するノイズ信号を抑制することができ、手ぶれ補正制御の精度を向上させることができる。また、イメージセンサ11をベース部40(固定部)に固定することで、レンズ駆動ユニット42の組み立ても容易になり、製造コストの低減にも寄与する。
【0083】
その他の実施形態
上述の実施形態においては、手ぶれ補正ボイスコイルモータ39が、レンズ部21とAFボイスコイルモータ38を移動させているが、本発明に係るレンズ駆動ユニットとしてはこれに限定されない。たとえば、レンズ駆動ユニットは、AFボイスコイルモータが、レンズ部21および手ぶれ補正ボイスコイルモータを移動させるものであってもよい。また、上述の実施形態においては、レンズ部21を移動させる駆動部として、ボイスコイルモータを採用しているが、ボイスコイルモータ以外の駆動部を採用してもよい。