特開2016-54380(P2016-54380A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-54380(P2016-54380A)
(43)【公開日】2016年4月14日
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/00 20150101AFI20160318BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20160318BHJP
【FI】
   H04B17/00 T
   H04B17/00 K
   G01R31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-179158(P2014-179158)
(22)【出願日】2014年9月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】稲童丸 桃子
(72)【発明者】
【氏名】西尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】近藤 佑樹
【テーマコード(参考)】
2G036
5K042
【Fターム(参考)】
2G036AA06
2G036AA07
2G036AA11
2G036BA14
2G036BA15
2G036CA08
2G036CA10
5K042BA11
5K042CA02
5K042CA04
5K042CA13
5K042CA23
5K042EA01
5K042EA06
5K042EA09
5K042FA11
5K042JA05
5K042JA10
5K042LA11
5K042MA04
(57)【要約】
【課題】試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができるという効果を有する測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】測定装置10は、送信部31又は41に試験信号aを出力する信号発生部11と、送信部31又は41が出力する信号c、dを測定する測定部14と、受信部32、42に試験信号bを出力する送信装置12と、受信部32、42が復調して出力する復調信号e、fを測定する測定部15と、送信部31が出力する信号cと受信部42が出力する復調信号fとを並行して測定する送信/受信モードと、受信部32が復調して出力する復調信号eと送信部41が出力する信号dとを並行して測定する受信/送信モードと、を切り替える制御部17と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の送信部(31)及び第1の受信部(32)を有し半二重方式で通信する第1の被測定装置(30)と、第2の送信部(41)及び第2の受信部(42)を有し半二重方式で通信する第2の被測定装置(40)と、を測定する測定装置(10)であって、
前記第1又は前記第2の送信部に第1の試験信号(a)を出力する第1の試験信号出力手段(11)と、
前記第1又は前記第2の送信部が出力する信号(c、d)を測定する第1の測定手段(14)と、
前記第1又は前記第2の受信部に第2の試験信号(b)を出力する第2の試験信号出力手段(12)と、
前記第1又は前記第2の受信部が復調して出力する復調信号(e、f)を測定する第2の測定手段(15)と、
前記第1の送信部が出力する信号と前記第2の受信部が出力する信号とを並行して測定する第1の測定モードと、前記第1の受信部が出力する信号と前記第2の送信部が出力する信号とを並行して測定する第2の測定モードと、を切り替える測定モード切替手段(17、18、20)と、
を備えたことを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記測定モード切替手段は、
前記第1の測定モードにおいて、前記第1の送信部が信号を出力する送信モードに前記第1の被測定装置を設定するとともに前記第2の受信部が信号を出力する受信モードに前記第2の被測定装置を設定し、
前記第2の測定モードにおいて、前記第1の受信部が信号を出力する受信モードに前記第1の被測定装置を設定するとともに前記第2の送信部が信号を出力する送信モードに前記第2の被測定装置を設定するものであることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の被測定装置は、それぞれ、押すことにより前記送信モードとなり、離すことにより前記受信モードとなる動作を切り換えるPTTスイッチを備え、
前記測定モード切替手段は、前記PTTスイッチに代わって前記第1及び前記第2の被測定装置をそれぞれ前記送信モード及び前記受信モードのいずれか一方に設定するPTTスイッチ制御部(18)を備えたものであることを特徴とする請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記第1の試験信号出力手段は、前記第1の試験信号として可聴周波数の信号を出力するものであり、
前記第2の試験信号出力手段は、前記第2の試験信号として無線周波数の信号を出力するものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
第1の送信部(31)及び第1の受信部(32)を有し半二重方式で通信する第1の被測定装置(30)と、第2の送信部(41)及び第2の受信部(42)を有し半二重方式で通信する第2の被測定装置(40)と、を測定する測定方法であって、
前記第1又は前記第2の送信部に第1の試験信号(a)を出力する第1の試験信号出力ステップ(S12、S28)と、
前記第1又は前記第2の送信部が出力する信号(c、d)を測定する第1の測定ステップ(S15、S31)と、
前記第1又は前記第2の受信部に第2の試験信号(b)を出力する第2の試験信号出力ステップ(S18、S24)と、
前記第1又は前記第2の受信部が復調して出力する復調信号(e、f)を測定する第2の測定ステップ(S20、S26)と、
前記第1の送信部が出力する信号と前記第2の受信部が出力する信号とを並行して測定する第1の測定モードと、前記第1の受信部が出力する信号と前記第2の送信部が出力する信号とを並行して測定する第2の測定モードと、を切り替える測定モード切替ステップ(S11、S22)と、
を含むことを特徴とする測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置の電気的特性を測定する測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、3方向分岐器を備えた無線機テスタの分岐器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1記載のものは、3方向分岐器と、第1及び第2の補助入力出力端子と、第1の補助入力出力端子に接続された周波数カウンタと、第2の補助入力出力端子に接続されたパワーメータと、発振器と、直線検波器と、発振器又は直線検波器を選択するスイッチ回路と、を備えている。
【0004】
3方向分岐器は、被測定対象の無線機に接続された1つの端子と、第1及び第2の補助入力出力端子にそれぞれ接続可能な2つの端子と、スイッチ回路に接続された1つの端子と、を備えている。
【0005】
この構成により、特許文献1記載のものは、内蔵した周波数カウンタやパワーメータ等の各試験機器や、第1及び第2の補助入力出力端子に接続した所望の各試験機器を用いることにより、複数の試験項目を同時に処理することができるので、測定の高速化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平7−45028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載のものは、送信試験と受信試験とを別個に行う構成となっているので、送信試験及び受信試験のいずれか一方の試験中にはいずれか他方の試験機器が待ち状態になって、試験機器リソースが無駄になるという課題があった。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る測定装置は、第1の送信部(31)及び第1の受信部(32)を有し半二重方式で通信する第1の被測定装置(30)と、第2の送信部(41)及び第2の受信部(42)を有し半二重方式で通信する第2の被測定装置(40)と、を測定する測定装置(10)であって、前記第1又は前記第2の送信部に第1の試験信号(a)を出力する第1の試験信号出力手段(11)と、前記第1又は前記第2の送信部が出力する信号(c、d)を測定する第1の測定手段(14)と、前記第1又は前記第2の受信部に第2の試験信号(b)を出力する第2の試験信号出力手段(12)と、前記第1又は前記第2の受信部が復調して出力する復調信号(e、f)を測定する第2の測定手段(15)と、前記第1の送信部が出力する信号と前記第2の受信部が出力する信号とを並行して測定する第1の測定モードと、前記第1の受信部が出力する信号と前記第2の送信部が出力する信号とを並行して測定する第2の測定モードと、を切り替える測定モード切替手段(17、18、20)と、を備えた構成を有している。
【0010】
この構成により、本発明の請求項1に係る測定装置は、第1の測定モードでは第1の送信部が出力する信号と第2の受信部が出力する信号とを並行して測定し、第2の測定モードでは第1の受信部が出力する信号と第2の送信部が出力する信号とを並行して測定することができる。
【0011】
したがって、本発明の請求項1に係る測定装置は、第1及び第2の測定モードにおいて、それぞれ、送信処理を行う試験機器リソースと受信処理を行う試験機器リソースとを同時に使用するので、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができる。
【0012】
本発明の請求項2に係る測定装置は、前記測定モード切替手段は、前記第1の測定モードにおいて、前記第1の送信部が信号を出力する送信モードに前記第1の被測定装置を設定するとともに前記第2の受信部が信号を出力する受信モードに前記第2の被測定装置を設定し、前記第2の測定モードにおいて、前記第1の受信部が信号を出力する受信モードに前記第1の被測定装置を設定するとともに前記第2の送信部が信号を出力する送信モードに前記第2の被測定装置を設定するものである構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項2に係る測定装置は、第1の測定モードでは第1の被測定装置を送信モードに設定するとともに第2の被測定装置を受信モードに設定し、第2の測定モードでは第1の被測定装置を受信モードに設定するとともに第2の被測定装置を送信モードに設定するので、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができる。
【0014】
本発明の請求項3に係る測定装置は、前記第1及び前記第2の被測定装置は、それぞれ、押すことにより前記送信モードとなり、離すことにより前記受信モードとなる動作を切り換えるPTTスイッチを備え、前記測定モード切替手段は、前記PTTスイッチに代わって前記第1及び前記第2の被測定装置をそれぞれ前記送信モード及び前記受信モードのいずれか一方に設定するPTTスイッチ制御部(18)を備えたものである構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項3に係る測定装置は、PTTスイッチ制御部により、第1及び第2の被測定装置のいずれか一方を送信モードに設定し、いずれか他方を受信モードに設定することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係る測定装置は、前記第1の試験信号出力手段は、前記第1の試験信号として可聴周波数の信号を出力するものであり、前記第2の試験信号出力手段は、前記第2の試験信号として無線周波数の信号を出力するものである構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項4に係る測定装置は、可聴周波数の信号を第1又は第2の送信部に出力して送信試験を行うことができ、無線周波数の信号を第1又は第2の受信部に出力して受信試験を行うことができる。
【0018】
本発明の請求項5に係る測定方法は、第1の送信部(31)及び第1の受信部(32)を有し半二重方式で通信する第1の被測定装置(30)と、第2の送信部(41)及び第2の受信部(42)を有し半二重方式で通信する第2の被測定装置(40)と、を測定する測定方法であって、前記第1又は前記第2の送信部に第1の試験信号(a)を出力する第1の試験信号出力ステップ(S12、S28)と、前記第1又は前記第2の送信部が出力する信号(c、d)を測定する第1の測定ステップ(S15、S31)と、前記第1又は前記第2の受信部に第2の試験信号(b)を出力する第2の試験信号出力ステップ(S18、S24)と、前記第1又は前記第2の受信部が復調して出力する復調信号(e、f)を測定する第2の測定ステップ(S20、S26)と、前記第1の送信部が出力する信号と前記第2の受信部が出力する信号とを並行して測定する第1の測定モードと、前記第1の受信部が出力する信号と前記第2の送信部が出力する信号とを並行して測定する第2の測定モードと、を切り替える測定モード切替ステップ(S11、S22)と、を含む構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項5に係る測定方法は、第1の測定モードでは第1の送信部が出力する信号と第2の受信部が出力する信号とを並行して測定し、第2の測定モードでは第1の受信部が出力する信号と第2の送信部が出力する信号とを並行して測定することができる。
【0020】
したがって、本発明の請求項5に係る測定方法は、第1及び第2の測定モードにおいて、それぞれ、送信処理を行う試験機器リソースと受信処理を行う試験機器リソースとを同時に使用するので、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができるという効果を有する測定装置及び測定方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る測定装置の一実施形態におけるブロック構成図である。
図2】本発明に係る測定装置の一実施形態において、PTTスイッチ18a及びPTTスイッチ18bの動作とDUTの動作との関連を示すタイミングチャートである。
図3】本発明に係る測定装置の一実施形態におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0024】
まず、本発明に係る測定装置の一実施形態における構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態における測定装置10は、半二重方式で通信する被測定装置であるDUT30(第1の被測定装置)及びDUT40(第2の被測定装置)の電気的特性を測定するものである。DUT30は、送信部31(第1の送信部)及び受信部32(第1の受信部)を備えている。DUT40は、送信部41(第2の送信部)及び受信部42(第2の受信部)を備えている。DUT30及び40は、いわゆるプッシュトゥトーク(Push To Talk:PTT)通話機能を有する装置(例えば携帯端末)であって、図示を省略したが、押すことにより送信モードとなり、離すことにより受信モードとなる動作を切り換えるPTTスイッチを備えている。
【0026】
測定装置10は、信号発生部11、送信装置12、受信装置13、測定部14及び15、表示部16、制御部17、PTTスイッチ制御部18、切替スイッチ20を備えている。
【0027】
信号発生部11は、可聴周波数(例えば1kHz)の試験信号aを発生するようになっている。この信号発生部11は、第1の試験信号出力手段を構成する。信号発生部11が発生した試験信号aは、切替スイッチ20を介してDUT30の送信部31又はDUT40の送信部41と、送信装置12と、に出力される。なお、切替スイッチ20に代えて分岐回路を用いてもよい。
【0028】
送信装置12は、信号発生部11からの試験信号aを所定の無線周波数の信号(RF信号)に変換するようになっている。すなわち、送信装置12は、図示を省略したが、アンプ、フィルタ、局部発振器、アップコンバータ、変調回路等を備えている。この送信装置12は、第2の試験信号出力手段を構成する。送信装置12の出力信号は、切替スイッチ20を介してDUT30の受信部32又はDUT40の受信部42に出力される。なお、信号発生部11とは別の信号発生部をさらに設ける構成とし、その信号発生部からの試験信号を送信装置12がRF信号に変換する構成であってもよい。
【0029】
受信装置13は、切替スイッチ20を介して送信部31又は41からのRFの信号c又はdを入力するようになっている。そして、受信装置13は、入力した信号c又はdを可聴周波数の信号に変換するようになっている。すなわち、受信装置13は、図示を省略したが、AD(Analog to Digital)変換器、フィルタ、アンプ、ダウンコンバータ、局部発振器、復調回路等を備えている。受信装置13の出力信号は、測定部14に出力される。
【0030】
測定部14は、受信装置13が復調した復調信号について、例えば、レベル、周波数、歪率等を測定するようになっている。この測定部14は、第1の測定手段を構成する。測定部14の測定結果を示す信号は表示部16に出力される。
【0031】
測定部15は、切替スイッチ20を介して受信部32又は42からの復調信号e又はfを入力するようになっている。そして、測定部15は、入力した復調信号e又はfについて、例えば、レベル、周波数、歪率等を測定するようになっている。この測定部15は、第1の測定手段を構成する。測定部15の測定結果を示す信号は表示部16に出力される。
【0032】
表示部16は、測定部14又は15によって測定された測定結果のデータを表示するようになっている。
【0033】
制御部17は、切替スイッチ20の切替動作と、PTTスイッチ制御部18の動作とを制御するようになっている。この制御部17は、例えばCPU、ROM、RAM等を備え、ROMに予め記憶されたプログラムに従って動作するようになっている。なお、制御部17は、測定モード切替手段を構成する。
【0034】
PTTスイッチ制御部18は、制御部17からの制御信号に従って、DUT30及び40が有するPTTスイッチに代わってDUT30及び40を送信モード及び受信モードのいずれか一方に設定するようになっている。
【0035】
具体的には、PTTスイッチ制御部18は、DUT30のPTTスイッチに代わるPTTスイッチ18aを有する。このPTTスイッチ18aをオンにするとDUT30が送信状態に設定され、オフにするとDUT30が受信状態に設定される。また、PTTスイッチ制御部18は、DUT40のPTTスイッチに代わるPTTスイッチ18bを有する。このPTTスイッチ18bをオンにするとDUT40が送信状態に設定され、オフにするとDUT40が受信状態に設定される。図1に示した状態は、PTTスイッチ18aがオンであってDUT30が送信モードであり、PTTスイッチ18bがオフであってDUT40が受信モードである。なお、PTTスイッチ制御部18に代えて、制御部17からの制御信号に従って、DUT30及び40が有するPTTスイッチを物理的に押したり離したりする機構部を設けてもよい。
【0036】
切替スイッチ20は、4つのスイッチ21〜24で構成されている。このうち、スイッチ21及び22は、それぞれ、可聴周波数の信号の入力先及び出力先を切り替えるものである。また、スイッチ23及び24は、それぞれ、RF信号の入力先及び出力先を切り替えるものである。この切替スイッチ20は、測定モード切替手段を構成する。なお、測定装置10が切替スイッチ20を内蔵した例を挙げたが、切替スイッチ20を測定装置10の外部に設けた構成としてもよい。また、4つのスイッチ21〜24のうち、2つのスイッチ21及び22は分岐器、他の2つのスイッチ23及び24はパワースプリッタで構成してもよい。
【0037】
スイッチ21は、接点21a及び21bを有する。スイッチ22は、接点22a及び22bを有する。スイッチ23は、接点23a及び23bを有する。スイッチ24は、接点24a及び24bを有する。これらのスイッチ21〜24は、それぞれ、制御部17からの制御信号に基づいて、2つの接点のいずれか一方を選択するようになっている。すなわち、スイッチ21〜24は、それぞれ、実線で示した選択状態と点線で示した選択状態とを切り替えるようになっている。
【0038】
切替スイッチ20に実線で示した選択状態では、DUT30の送信部31は、信号発生部11からの試験信号aを入力し、それを所定の変調方式で変調し、アップコンバートして受信装置13に信号cとして出力し、これと並行して、DUT40の受信部42は、送信装置12からの信号bを入力し、それをダウンコンバートし、復調して測定部15に復調信号fとして出力する構成となっている。この選択状態は、DUT30が送信モード、DUT40が受信モードであることから、以下、「送信/受信モード」と呼ぶ。これは第1の測定モードに対応する。
【0039】
一方、切替スイッチ20に点線で示した選択状態では、DUT30の受信部32は、送信装置12からの信号bを入力し、それをダウンコンバートし、復調して測定部15に復調信号eを出力し、これと並行して、DUT40の送信部41は、信号発生部11からの試験信号aを入力し、それを所定の変調方式で変調し、アップコンバートして受信装置13に信号dとして出力する構成となっている。この選択状態は、DUT30が受信モード、DUT40が送信モードであることから、以下、「受信/送信モード」と呼ぶ。これは第2の測定モードに対応する。
【0040】
次に、PTTスイッチ制御部18が有するPTTスイッチ18a及びPTTスイッチ18bの動作と、DUT30及び40の動作との関連について、図2に基づき説明する。
【0041】
図2に示すように、送信/受信モードでは、PTTスイッチ18aがオンであるのでDUT30が送信モードに設定され、PTTスイッチ18bがオフであるのでDUT40が受信モードに設定される。その結果、測定装置10は、DUT30の送信部31の測定と、DUT40の受信部42の測定と、を並行して行うことができる。
【0042】
次に、受信/送信モードでは、PTTスイッチ18aがオフであるのでDUT30が受信モードに設定され、PTTスイッチ18bがオンであるのでDUT40が送信モードに設定される。その結果、測定装置10は、DUT30の受信部32の測定と、DUT40の送信部41の測定と、を並行して行うことができる。これらに加えて、測定装置10は、DUT30の送信部31の測定結果の表示と、DUT40の受信部42の測定結果の表示と、を並行して行うこともできる。この受信/送信モードに続いた期間では、DUT30の受信部32の測定の表示と、DUT40の送信部41の測定結果の表示と、を並行して行うことができる。なお、この期間に、全ての測定結果の表示を一括して行う構成としてもよい。
【0043】
次に、本実施形態における測定装置10の動作について図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0044】
制御部17は、送信/受信モードを設定する(ステップS11)。具体的には、制御部17は、DUT30が送信モード、DUT40が受信モードになるようPTTスイッチ制御部18に制御信号を出力する。PTTスイッチ制御部18は、PTTスイッチ18aをオンにし、PTTスイッチ18bをオフにする。
【0045】
また、制御部17は、切替スイッチ20の状態を図1に示した実線の状態にする。すなわち、制御部17は、切替スイッチ20に制御信号を出力し、スイッチ21に接点21a、スイッチ22に接点22a、スイッチ23に接点23a、スイッチ24に接点24aを選択させる。
【0046】
信号発生部11は、スイッチ22を介し、試験信号aをDUT30の送信部31に出力する(ステップS12)。
【0047】
送信部31は、試験信号aを所定RFにアップコンバートした信号cを、スイッチ23を介して受信装置13に出力する(ステップS13)。
【0048】
受信装置13は、送信部31からの信号cを受信処理し(ステップS14)、可聴周波数の信号を測定部14に出力する。
【0049】
測定部14は、受信装置13の出力信号について、例えば、レベル、周波数、歪率等を測定し(ステップS15)、測定結果を示すデータを表示部16に出力する。
【0050】
表示部16は、測定部14から測定結果を示すデータを入力してそれを表示する。すなわち、表示部16は、DUT30の送信部31の測定結果を表示する(ステップS16)。
【0051】
一方、測定装置10は、ステップS11の後において、前述のステップS12〜S16と並行して以下のステップを実行する。すなわち、信号発生部11は、試験信号aを送信装置12に出力する(ステップS17)。
【0052】
送信装置12は、試験信号aを所定RFにアップコンバートした信号bを、スイッチ24を介してDUT40の受信部42に出力する(ステップS18)。
【0053】
受信部42は、送信装置12からの信号bを受信処理し(ステップS19)、可聴周波数の復調信号fを、スイッチ21を介して測定部15に出力する。
【0054】
測定部15は、受信部42からの復調信号fについて、例えば、レベル、周波数、歪率等を測定し(ステップS20)、測定結果を示すデータを表示部16に出力する。
【0055】
表示部16は、測定部15から測定結果を示すデータを入力してそれを表示する。すなわち、表示部16は、DUT40の受信部42の測定結果を表示する(ステップS21)。
【0056】
制御部17は、受信/送信モードを設定する(ステップS22)。具体的には、制御部17は、DUT30が受信モード、DUT40が送信モードになるようPTTスイッチ制御部18に制御信号を出力する。PTTスイッチ制御部18は、PTTスイッチ18aをオフにし、PTTスイッチ18bをオンにする。
【0057】
また、制御部17は、切替スイッチ20の状態を図1に示した点線の状態にする。すなわち、制御部17は、切替スイッチ20に制御信号を出力し、スイッチ21に接点21b、スイッチ22に接点22b、スイッチ23に接点23b、スイッチ24に接点24bを選択させる。
【0058】
信号発生部11は、試験信号aを送信装置12に出力する(ステップS23)。
【0059】
送信装置12は、信号発生部11からの試験信号aを所定RFにアップコンバートした信号bを、スイッチ24を介してDUT30の受信部32に出力する(ステップS24)。
【0060】
受信部32は、送信装置12からの信号bを受信処理し(ステップS25)、可聴周波数の復調信号eを、スイッチ21を介して測定部15に出力する。
【0061】
測定部15は、受信部32からの復調信号eについて、例えば、レベル、周波数、歪率等を測定し(ステップS26)、測定結果を示すデータを表示部16に出力する。
【0062】
表示部16は、測定部15から測定結果を示すデータを入力してそれを表示する。すなわち、表示部16は、DUT30の受信部32の測定結果を表示する(ステップS27)。
【0063】
一方、測定装置10は、ステップS22の後において、前述のステップS23〜S27と並行して以下のステップを実行する。すなわち、信号発生部11は、スイッチ22を介し、試験信号aをDUT40の送信部41に出力する(ステップS28)。
【0064】
送信部41は、試験信号aを所定RFにアップコンバートした信号dを、スイッチ23を介して受信装置13に出力する(ステップS29)。
【0065】
受信装置13は、送信部41からの信号dを受信処理し(ステップS30)、可聴周波数の信号を測定部14に出力する。
【0066】
測定部14は、受信装置13の出力信号について、例えば、レベル、周波数、歪率等を測定し(ステップS31)、測定結果を示すデータを表示部16に出力する。
【0067】
表示部16は、測定部14から測定結果を示すデータを入力してそれを表示する。すなわち、表示部16は、DUT40の送信部41の測定結果を表示する(ステップS32)。
【0068】
以上のように、本実施形態における測定装置10は、送信/受信モードではDUT30の送信部31が出力する信号cとDUT40の受信部42が出力する復調信号fとを並行して測定し、受信/送信モードではDUT30の受信部32が復調して出力する復調信号eとDUT40の送信部41が出力する信号dとを並行して測定する構成を有する。
【0069】
したがって、本実施形態における測定装置10は、送信/受信モード及び受信/送信モードにおいて、それぞれ、送信処理を行う試験機器リソースと受信処理を行う試験機器リソースとを同時に使用するので、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係る測定装置及び測定方法は、試験機器リソースを無駄にすることなく、測定の高速化を図ることができるという効果を有し、通信装置の電気的特性を測定する測定装置及び測定方法として有用である。
【符号の説明】
【0071】
10 測定装置
11 信号発生部(第1の試験信号出力手段)
12 送信装置(第2の試験信号出力手段)
13 受信装置
14 測定部(第1の測定手段)
15 測定部(第2の測定手段)
16 表示部
17 制御部(測定モード切替手段)
18 PTTスイッチ制御部(測定モード切替手段)
18a、18b PTTスイッチ
20 切替スイッチ(測定モード切替手段)
30 DUT(第1の被測定装置)
31 送信部(第1の送信部)
32 受信部(第1の受信部)
40 DUT(第2の被測定装置)
41 送信部(第2の送信部)
42 受信部(第2の受信部)
図1
図2
図3