(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-54876(P2016-54876A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】飲用ストロー
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20160328BHJP
【FI】
A47G21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-182900(P2014-182900)
(22)【出願日】2014年9月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000229232
【氏名又は名称】日本テトラパック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000177209
【氏名又は名称】日本ストロー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】南 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 敬次
(72)【発明者】
【氏名】今村 光伸
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA17
3B115BA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有効開口面積を小さくすることなく、包装容器に突き刺して使用される際に、包装容器内を外気に連通させる機能をより確実かつ十分に確保できるストローの提供。
【解決手段】包装容器Hに突き刺して使用される飲用ストローS(外ストロー部10)外周面に、径方向外方側に突出するようにして、飲み口部11の近傍から先端側に向けて螺旋状に延びる凸条30が形成されている。飲用ストローSを包装容器に突き刺して使用する際に、螺旋状の凸条30が包装容器Hの突き刺し孔の内周縁部を押し広げて、螺旋状の凸条30の左右においてそれぞれ、包装容器H内を外気と連通させる隙間が形成される。飲用ストローSを包装容器Hに突き刺していく過程において、突き刺し孔の内周縁部が、螺旋状の凸条30によって周方向に順次拡径される作用を受けるので、包装容器H内を外気と連通させる機能がより向上される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器に突き刺して使用される飲用ストローであって、
ストロー外周面に、径方向外方側に突出するようにして、飲み口部の近傍から先端側に向けて螺旋状に延びる凸条が形成されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項2】
請求項1において、
外ストロー部と内ストロー部とによりテレスコピック式に伸縮可能とされた2段伸縮式とされ、
前記外ストロー部と前記内ストロー部とのうち、飲み口側とされる一方のストロー部にのみ前記螺旋状の凸条が形成されている、
ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項3】
請求項2において、
前記螺旋状の凸条が形成される前記一方のストロー部が、前記外ストロー部とされている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項4】
請求項3において、
前記外ストロー部が、長手方向途中位置に蛇腹部を有し、
前記螺旋状の凸条が、前記蛇腹部よりも先端側にのみ形成されている、
ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項5】
請求項1において、
全体的に一体とされてテレスコピック式には伸縮しない1本ストローとされている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項6】
請求項5において、
飲み口部側の端面から所定分離間した位置に蛇腹部を有し、
前記螺旋状の凸条が、前記蛇腹部よりも先端側にのみ形成されている、
ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記螺旋状の凸条が、少なくとも周方向180度以上に亘って延びるように形成されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記螺旋状の凸条が、周方向360度以上に亘って延びるように形成されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記螺旋状の凸条のうち少なくともストロー先端側の端部は、その突出高さがストロー先端側に向かうにつれて徐々に低くなるように傾斜されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、
前記螺旋状の凸条の長さが、ストロー長手方向長さにおいて、2cm以上とされている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、
前記螺旋状の凸条が、ストロー周壁を径方向外方側に膨出させることにより形成されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項12】
請求項11において、
前記螺旋状の凸条の内部に、ストロー内に連なる小空間が形成されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項13】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、
前記螺旋状の凸条が、ストロー外周壁に細長い紐状部材を巻き付け一体化することにより形成されている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【請求項14】
請求項13において、
前記紐状部材が、その全長に亘って内孔を有するパイプ状とされている、ことを特徴とする飲用ストロー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器内の飲料物を吸引して飲むための飲用ストローに関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料物を吸引して飲むための飲用ストローの中には、包装容器に突き刺して使用されるものがある。具体的には、例えばカップ状の包装容器の開口部を施蓋する被せ蓋の任意の位置を突き刺して使用される場合や、例えば方形の包装容器に形成されてシールされた小径の挿入孔に突き刺して使用される場合がある。
【0003】
この突き刺して使用される飲用ストローにおいては、飲み口近傍の外周面に、エチケット溝とも呼ばれる長手方向に延びる直線状の凹溝を有して、突き刺して使用する状態で、凹溝を介して包装容器内を外気と連通させることにより、飲みやすくしたり、吸引の際の異音発生を防止(抑制)するようにしたものもある。
【0004】
突き刺して使用される飲用ストローにおいては、例えば特許文献1、特許文献2に記載のように、外ストロー部と内ストロー部とによりテレスコピック式に伸縮可能としたものも多く普及している。このものにあっては、伸長状態として、内ストロー部側から突き刺すようにしたものが多く、この場合前述の凹溝は、外ストロー部に形成されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−208040号公報
【特許文献2】特開2011−168340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、飲用ストローを包装容器に突き刺した際に、包装容器内を外気と連通させる凹溝は、飲用ストローの径方向内方側に突出するように形成されるため、飲用ストローの有効開口面積を小さくする原因となる(吸引の際の抵抗増大)。また、飲用ストローを包装容器に突き刺した状態で、突き刺しにより形成される突き刺し孔の内周縁部が凹溝を塞ぐ方向へと変形(弾性復帰)することもあり、包装容器内と外気との連通機能を確実かつ十分に確保するという点において改善の余地がある。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、有効開口面積を小さくすることなく、包装容器に突き刺して使用される際に、包装容器内を外気に連通させる機能をより確実かつ十分に確保できるようにした飲用ストローを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
包装容器に突き刺して使用される飲用ストローであって、
ストロー外周面に、径方向外方側に突出するようにして、飲み口部の近傍から先端側に向けて螺旋状に延びる凸条が形成されている、
ようにしてある。
【0009】
上記解決手法によれば、包装容器に突き刺して使用する状態において、螺旋状の凸条が包装容器の内外に亘って延びるように位置されて、この螺旋状の凸条の周方向左右部位にそれぞれ、包装容器内を外気と連通させる隙間が形成されることになる。螺旋状の凸条は、ストローの外周面から径方向外方側へ突出する構造であるため、ストローの有効開口面積を小さくすることがなく、吸引抵抗の増大が防止される。また、螺旋状の凸条は、ストローの外周面から径方向外方側へ突出する構造であるため、飲用ストローの突き刺しにより形成される突き刺し孔(飲用ストロー通過孔)を強制的に押し広げる作用をなし、包装容器内を外気と連通させる機能がより確実かつ十分に確保されることになる。とりわけ、飲用ストローを包装容器に突き刺していく過程において、螺旋状の凸条と包装容器に形成される上記突き刺し孔の内周縁部との接触部位が飲用ストローの周方向に変化して、突き刺し孔の内周縁部が周方向において順次押し広げられる作用をなし、包装容器内を外気と連通させる隙間を大きく確保する上で極めて好ましいものとなる。以上に加えて、螺旋状の凸条を形成することにより、飲用ストローの曲げ強度も向上されて折れにくくなるという効果や、螺旋状の凸条が位置する部分では、飲用ストローと突き刺し孔内周縁部との周方向の接触面積が減少されることによる抵抗軽減により、飲用ストローを差し込みやすくなるという効果も期待できる。
【0010】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
外ストロー部と内ストロー部とによりテレスコピック式に伸縮可能とされた2段伸縮式とされ、
前記外ストロー部と前記内ストロー部とのうち、飲み口側とされる一方のストロー部にのみ前記螺旋状の凸条が形成されている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、突き刺して使用されることの多い2段伸縮式の飲用ストローにおいて請求項1に対応した効果を得ることができる。
【0011】
前記螺旋状の凸条が形成される前記一方のストロー部が、前記外ストロー部とされている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、細い方の内ストロー部側から突き刺して使用されるようにして、突き刺しをし易い態様の飲用ストローが提供される。
【0012】
前記外ストロー部が、長手方向途中位置に蛇腹部を有し、
前記螺旋状の凸条が、前記蛇腹部よりも先端側にのみ形成されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、蛇腹部から折り曲げて使用できるようにしつつ、螺旋状の凸条が蛇腹部での折り曲げ機能を阻害することのない飲用ストローが提供される。
【0013】
全体的に一体とされてテレスコピック式には伸縮しない1本ストローとされている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、いわゆる1本ストローにおいて、請求項1に対応した効果を得ることができる。
【0014】
飲み口部側の端面から所定分離間した位置に蛇腹部を有し、
前記螺旋状の凸条が、前記蛇腹部よりも先端側にのみ形成されている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、1本ストローにおいて、蛇腹部から折り曲げて使用できるようにしつつ、螺旋状の凸条が蛇腹部での折り曲げ機能を阻害することのない飲用ストローが提供される。
【0015】
前記螺旋状の凸条が、少なくとも周方向180度以上に亘って延びるように形成されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、請求項1に対応した効果を十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0016】
前記螺旋状の凸条が、周方向360度以上に亘って延びるように形成されている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、請求項1に対応した効果をより十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0017】
前記螺旋状の凸条のうち少なくともストロー先端側の端部は、その突出高さがストロー先端側に向かうにつれて徐々に低くなるように傾斜されている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、ストローを包装容器に突き刺していく過程において、螺旋状の凸条が大きな抵抗となるのを防止あるいは抑制して、スムーズに突き刺しできるようにする上で好ましいものとなる。
【0018】
前記螺旋状の凸条の長さが、ストロー長手方向長さにおいて、2cm以上とされている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、飲用ストローの突き刺し深さの相違に対応して、包装容器の内外を確実に連通させる上で好ましいものとなる。
【0019】
前記螺旋状の凸条が、ストロー周壁を径方向外方側に膨出させることにより形成されている、ようにしてある(請求項11対応)。この場合、螺旋状の凸条を飲用ストローと一体に形成する上で好ましいものとなる。
【0020】
前記螺旋状の凸条の内部に、ストロー内に連なる小空間が形成されている、ようにしてある(請求項12対応)。この場合、螺旋状の凸条の小空間分だけ飲用ストローの有効開口面積を大きくすることができ、また螺旋状の凸条に適度の弾性を与える上でも好ましいものとなる。例えば、包装容器に突き刺す際に、螺旋状の凸条が大きな抵抗となるのを弾性変形により防止あるいは抑制することも期待できる。
【0021】
前記螺旋状の凸条が、ストロー外周壁に細長い紐状部材を巻き付け一体化することにより形成されている、ようにしてある(請求項13対応)。この場合、螺旋状の凸条を形成するための別の態様が提供される。特に、螺旋状の凸条を構成する紐状部材がストロー(本体)を構成する部材とは別体とされているので、螺旋状の凸条として好適な材質を選択する等のことが可能となる。
【0022】
前記紐状部材が、その全長に亘って内孔を有するパイプ状とされている、ようにしてある(請求項14対応)。この場合、螺旋状の凸条を構成するパイプ状の紐状部材内を通しても包装容器内を外気と連通させることができ、連通のための開口面積をより多く確保する上で極めて好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、有効開口面積を小さくすることなく、包装容器内を外気に連通させる機能をより確実かつ十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態を示す飲用ストローの斜視図。
【
図10】
図8のX10−X10線相当での拡大断面図。
【
図11】
図2の状態からもっとも縮長させた状態を示す正面図。
【
図12】包装容器に
図11の縮長状態での飲用ストローが固定されている状態を示す斜視図。
【
図13】
図1の飲用ストローを包装容器に突き刺して、螺旋状の凸条が突き刺し孔に位置している状態を示す要部拡大断面図。
【
図14】本発明の第2の実施形態を示すもので、
図1に対応した斜視図。
【
図16】本発明の第3の実施形態を示すもので、
図1に対応した斜視図。
【
図19】螺旋状の凸条を膨出形成する一例を説明するための図。
【
図20】螺旋状の凸条を紐状部材を利用して形成する例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜
図11は、本発明の第1の実施形態を示すものである。本発明による飲用ストローSは、外ストロー部10と内ストロー部20とにより、テレスコピック式に伸縮可能な2段伸縮式とされている。
図1〜
図5にもっとも伸長した状態の飲用ストローSが示され、
図11にもっとも縮長された状態の飲用ストローSが示される。なお、外ストロー部10と内ストロー部20とはそれぞれ、合成樹脂によって形成されて、細長い円筒形状とされている。
【0026】
外ストロー部10は、その基端部が、口元にくわえられる飲み口部11とされるものである。外ストロー部10の飲み口部11側の端面は、若干径方向内方側に折り返されることにより、丸め処理を兼ねた第1ストッパ部12(かしめ部とも称される)が形成されている(
図8参照)。この第1ストッパ部12の形成により、内ストロー部20の飲み口部11側からの抜けが防止されると共に、飲み口部11側の端面にエッジ部を有しないようにされる。
【0027】
外ストロー部10の先端部は、縮径部13とされて、縮径部13と他の部分(拡径部分)との段差部位が第2ストッパ部14とされている(
図8参照)。また、外ストロー部10には、第2ストッパ部14よりも若干基端部(飲み口部11)側において、径方向内方側に膨出する縦方向に短く延びる第3ストッパ部15が形成されている。
【0028】
内ストロー部20は、その先端部が斜めにカットされることにより、鋭利な突き刺し部21とされている。内ストロー部20の基端部は拡径部22とされて、この拡径部22が、外ストロー部10内にスライド可能に嵌合されている。すなわち、拡径部22は、前述した外ストロー部10の基端部側の第1ストッパ部12と先端部側の第2ストッパ部14との間でスライド可能とされている。
【0029】
より具体的には、
図11に示す最縮長状態から、内ストロー部20を外ストロー部10の先端側から引き出していくことにより、内ストロー部20の拡径部22が外ストロー部10の第3ストッパ部15を乗り越えて、外ストロー部10の第2ストッパ14に当接して、
図1(
図8対応)に示す最伸長状態となる。拡径部22が第2ストッパ部14に当接することにより、内ストロー部20の外ストロー部10の先端部側からの抜けが規制される。そして、拡径部22が第2ストッパ14に当接した状態では、拡径部22は第3ストッパ15によって外ストロー部10の基端部側へのスライドも規制されて、当該最伸長状態が維持される。
【0030】
上述した飲用ストローSの長さや太さは、従来と同様に設定することができる。また、飲用ストローSの材質も従来と同様のものを用いることができる(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)等)。
【0031】
ここで、外ストロー部10の外周面には、螺旋状の凸条30が形成されている。この螺旋状の凸条30は、外ストロー部10を径方向外方側へ膨出させることにより、外ストロー部10と一体に形成されている。螺旋状の凸条30の断面形状の詳細が、
図10に示される。すなわち、螺旋状の凸条30は、
図10の断面形状が示すように、ほぼ円弧状に盛り上がるように形成されて、その内部には、外ストロー部10内(の飲料物が流れる通路)に連なる小空間31を有するようになっている。この小空間31を有することにより、外ストロー部10の実質的な有効開口面積が増大されることになり(流動抵抗となる螺旋状の凸条30の形成範囲での有効開口面積の増大)、また適度な弾性を有するようにされる。
【0032】
螺旋状の凸条30は、飲み口11側から見たときに、時計回りでもって飲用ストローSの先端側に向かうように延びている。この螺旋状の凸条30の外ストロー部10外周面からの突設高さは、例えば0.5mm〜1.5mm程度の範囲で適宜設定することができる(実施形態では略1.0mm)。そして、螺旋状の凸条30の各端部は、その先端に向かうにつれて徐々に低くなるよう傾斜するように形成されて、この傾斜部分が
図6、
図7、
図9において符号32で示される。このような傾斜部分32の形成により、螺旋状の凸条30の端部が、外ストロー部10の外周面に極力滑らかに連なるようにされている。特に、螺旋状の凸条30の端部のうち、飲用ストローSの先端側の端部を上記のような傾斜部分32としておくことにより、後述する包装容器への突き刺しの際の抵抗軽減となる。
【0033】
螺旋状の凸条30は、実施形態では、外ストロー部10の周方向360度よりも若干大きい角度(実施形態では略400度)に亘って形成されている。また、螺旋状の凸条30の長さは、外ストロー部10の軸方向長さにおいて、実施形態では略3.5cm程度の長さとされているが、例えば2cm〜5cm程度の範囲内で適宜の長さに形成することができる。要するに、上述した螺旋状の凸条30の長さは、飲用ストローSを包装容器に突き刺して使用する際に、突き刺し深さが若干相違しても、螺旋状の凸条30が包装容器の内外に亘って延びるように位置させることのできる長さとしておけばよい。
【0034】
以上のような飲用ストローSは、例えば
図12に示すような状態でもって、飲料物を密閉状態で収納した例えば方形の包装容器Hの外壁面に対して、取外し可能に固定される。具体的には、飲用ストローSは、
図11に示す最縮長状態でもって、図中一点鎖線で示す包装袋40内に密閉状態で収納されて、包装袋40が包装容器Hの外壁面に対して接着材等により固定される(容易に剥離できる固定)。包装容器Hは、既知のように、飲用ストローS(の外ストロー部10)の外径とほぼ同程度の内径とされた挿入孔(開口部)50を有し、この挿入孔50が、容易に突き破ることが可能な弱化部としてのシール材51によって施蓋されている。
【0035】
包装容器H内の飲料物を飲用するには、次のような手順で行えばよい。まず、飲用ストローSを、例えば包装袋40ごと包装容器Hから取外し、包装袋40を破って飲用ストローSを取り出す。なお、包装袋40を包装容器Hに固定したまま、包装袋40を破って飲用ストローSを取り出すようにしてもよい。この後、飲用ストローSを、例えば
図1に示すように最伸長状態として、その先端(内ストロー部20の突き刺さし部21)を挿入孔50(を施蓋しているシール材51)に突き刺す。飲用ストローSの先端が包装容器Hの底部付近にまで達した状態で、飲み口部11側から包装容器H内の飲料物を吸引すればよい。このような飲用ストローSの使い方そのものは、従来と同じである。
【0036】
ここで、飲用ストローSを挿入孔50に突き刺していく過程において、螺旋状の凸条30の少なくとも先端側部分は挿入孔50を通過して、飲用を行う使用時には、螺旋状の凸条30が挿入孔50部分に位置することになる。
図13は、飲用を行う使用時において、螺旋状の凸条30が挿入孔50に位置した状態での断面が示される。この
図13から明かなように、突き刺しにより生じた突き刺し孔60の内周縁部には、螺旋状の凸条30の左右部分において、包装容器H内を外気と連通させる隙間70が形成されることになる。なお、実施形態では、挿入孔50の内径が、外ストロー部10の外径とほぼ同一寸法とされているため、突き刺し孔60の直径が挿入孔50の内径とほぼ同じとなり、このため、突き刺し孔60の内周縁部と挿入孔50の内周縁部とは事実上同義とみることができる。
【0037】
螺旋状の凸条30によって突き刺し孔60(挿入孔50)の内周縁部が強制的に径方向外方側へ押し広げられるので、包装容器H内を外気と連通させる上記隙間70は十分に大きな開口面積を有するものとなり、外気との連通機能が大きく向上されることになる。これにより、飲みやすさ(吸引しやすさ)の向上と、吸引している際の異音発生とがより効果的に防止されることになる。
【0038】
飲用ストローSを挿入孔50に突き刺していく過程において、螺旋状の凸条30が、包装容器H内に浅く挿入された位置が、例えば
図13一点鎖線で示される。飲用ストローSをなおも深く突き刺していくと、螺旋状の凸条30の挿入孔50に位置する部分が、
図13における矢印で示すように、挿入孔50の周方向に相対的に移動して、実際に吸引が行われる
図13実線で示す使用位置となる。上述の説明から容易に理解されるように、突き刺し孔60つまり挿入孔50は、飲用ストローSを奥深く突き刺していく過程で、螺旋状の凸条30によって、周方向に順次拡径作用を受けることになり、外気との連通用の隙間が、前述した隙間70を含めて十分に大きなものとして確保されやすいものとなる。螺旋状の凸条30が突き刺し孔60(挿入孔50)に位置している状態で、飲み口部11を手指で把持して正逆回転させることにより、突き刺し孔60(挿入孔50)内周縁部を螺旋状の凸条30によって周方向において拡径させる作用を得ることができる。
【0039】
飲用ストローSを用いて飲用を行う使用時において、飲用ストローSは、飲み口部11側からの外力によって、ほぼ挿入孔50の位置付近において曲げ作用を受けることが応々にして生じる。しかしながら、螺旋状の凸条30を形成してあるので、外ストロー部10の曲げ剛性が高いものとされて、不用意に飲用ストローSが曲がってしまう事態が防止されることなる。飲み口部11部分には螺旋状の凸条30が位置しないようにされているので、飲み口部11への口当たりも従来と同様に良好なものとなる。
【0040】
以上に加えて、
図13実線で示す状態から明かなように、径方向外方側へ突出する螺旋状の凸条30を有するために、外ストロー部10と突き刺し孔60(挿入孔50)の内周縁部との周方向の接触長さが軽減されて、その分飲用ストローSを包装容器H内に突き刺していく抵抗が軽減され、突き刺し抵抗軽減という効果も期待できるものとなる。
【0041】
図14、
図15は、本発明の第2の実施形態を示すものであり、前記実施形態と同一構成要素には同一符号を付して、その重複した説明は省略する(このことは、以下のさらに別の実施形態においても同じ)。第2の実施形態における飲用ストローS2(飲用ストローS対応)では、螺旋状の凸条30の向きを、前記第1の実施形態の場合とは逆向きとしてある。すなわち、螺旋状の凸条30は、飲み口部11側から見て、反時計回りでもって飲用ストローS2の先端側に向かうように形成されている。なお、螺旋状の凸条30の向き以外は、第1の実施形態と同じである。
【0042】
図16〜
図18は、本発明の第3の実施形態を示すものである。第3の実施形態における飲用ストローS3では、外ストロー部10に、飲み口部11の近傍において、蛇腹部16を形成してある。そして、螺旋状の凸条30を、蛇腹部16よりも先端側にのみ形成するようにしてある。飲用ストローS3は、蛇腹部16部分でもって折り曲げ可能である。そして、螺旋状の凸条30を、蛇腹部16とは重ならないように形成してあるので、螺旋状の凸条30が蛇腹部16部分での折り曲げ機能に悪影響を与えることがないものとされる。
【0043】
図19は、外ストロー部10に対する螺旋状の凸条30の形成手法例を示すものであり、特に
図10に示すように、螺旋状の凸条30を外ストロー部10の径方向外方側へ膨出形成する場合の形成例となっている。すなわち、外ストロー部10のうち少なくとも螺旋状の凸条30を形成すべき長さ範囲について、例えば90℃〜150℃の範囲で例えば0.5秒〜5秒程度温風で加熱することにより、容易に変形できるように柔らかくしておく。この加熱途中であるいはその直後に、外ストロー部10の各端部に対して、相対的に逆方向のねじり力を付与することにより、加熱により柔らかくなった部分が径方向外方側に膨出変形されて、螺旋状の凸条30が形成されることになる。上記逆方向へのねじり力の付与は、各端部にそれぞれねじり力を付加してもよく、あるいは一方の端部を固定して、他方の端部にのみねじり力を付与すればよい。なお、ねじり方向は正、逆のいずれでもよいものであり、このねじり方向の変更によって、形成される螺旋状の凸条30のねじれ方向を変更することができる。
【0044】
図20は、螺旋状の凸条30の別の形成手法を示すものである。すなわち、外ストロー部10を構成する部材以外に、合成樹脂製の細長い紐状部材80を別途用意する。この紐状部材80を外ストロー部10の外周に螺旋状に巻き付けた後、加熱(融着)や接着材により紐状部材80を外ストロー部10に一体化すればよい。なお、紐状部材80を、内孔を有するパイプ状部材を用いることにより、パイプ状の紐状部材80の内孔を、包装容器Hを外気に連通させる連通孔として機能させることができる。また、紐状部材80の材質は、外ストロー部10を構成する材質と同一とすることもできるが、異なる材質とすることもできる。
【0045】
図21は、本発明の第4の実施形態を示すものである。第4の実施形態では、飲用ストローS4が、いわゆる1本ストローとされて、テレスコピック式には伸縮しない非伸縮式とされている。そして、飲み口部11の近傍から先端側に向けて延びる螺旋状の凸条30を形成してある。
【0046】
図22は、本発明の第5の実施形態を示すものである。第5の実施形態では、飲用ストローS5が、いわゆる1本ストローとされて、飲み口部11近傍に蛇腹部16を有し、この蛇腹部16よりも先端側にのみ螺旋状の凸条30を形成してある。
【0047】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能である。螺旋状の凸条30の長さは適宜設定できるが、実用上は、飲用ストローの長手方向長さでもって2cm〜5cm程度の範囲で設定するのが好ましい。飲用ストローの周方向長さは、飲用ストローの周回り角度で示した際に、180度以上形成しておくのが好ましく、この他、180度〜360度の範囲に設定したり、360以上とすることもでき、特に略720度以上となる2重螺旋形式や3重螺旋形式の多重螺旋構造とすることもできる。螺旋状の凸条30の断面形状は、略円弧状の他に略三角形状、四角形状等適宜選択できるが、少なくとも突出端部は丸くしておくのが、螺旋状の凸条30に手指が触れた際の手触り感向上等の上で好ましいものとなる。
【0048】
飲用ストローの形式(形状)は、適宜のものであってもよく、要は、飲み口部11近傍から先端側に向けて延びる螺旋状の凸条30を有するものであればよい。なお、螺旋状の凸条30に代えて、飲用ストローの長手方向に直線状に延びる凸条とすることも考えれるが、この場合は、飲用ストローを包装容器に奥深く突き刺していく過程において、直線状の凸条では突き刺し孔を周方向に順次拡径させる機能を期待できないものとなる。本発明による飲用ストローは、シールされた挿入孔50に突き刺して使用される場合に限らず、例えばカップ状の包装容器の開口部を施蓋する被せ蓋の任意の位置に突き刺して使用される場合等、突き刺し可能な適宜の包装容器をその使用対象とすることができる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、包装容器内に収納されたジュース等の飲料物を飲用する際に用いる飲用ストローとして好適である。
【符号の説明】
【0050】
S:飲用ストロー(
図1〜
図11)
S2:飲用ストロー(
図14、
図15)
S3:飲用ストロー(
図16〜
図18)
S4:飲用ストロー(
図21)
S5:飲用ストロー(
図22)
H:包装容器
10:外ストロー部
11:飲み口部
12:第1ストッパ部
13:縮径部
14:第2ストッパ部
15:第3ストッパ部
16:蛇腹部
20:内ストロー部
21:突き刺し部
22:拡径部
30:螺旋状の凸条
31:小空間
32:傾斜部分
40:包装袋
50:挿入孔
51:シール材
60:突き刺し孔
70:隙間(外気との連通用)
80:紐状部材