(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-54987(P2016-54987A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】画材用具セット
(51)【国際特許分類】
A45C 11/34 20060101AFI20160328BHJP
【FI】
A45C11/34 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-184738(P2014-184738)
(22)【出願日】2014年9月11日
(71)【出願人】
【識別番号】514020507
【氏名又は名称】文盛堂有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義一
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045BA20
3B045DA42
3B045EA02
3B045GA01
3B045GB01
3B045GC01
(57)【要約】
【課題】 バッグを用いないで持ち歩くことが出来る画材用具セットの提供。
【解決手段】 筆洗い1は中央部に仕切り2を設け、一方側空間には画筆を水洗いする為の水を入れる水槽部3とし、他方側空間は絵具や画筆などを収容することが出来る画材収容部4とし、上記仕切り上端には持ち手ハンドル5を上下方向にスライド可能に取付け、そして、パレット11には閉じた状態でその中央部に長穴14を貫通し、この長穴14に上記持ち手ハンドル5を嵌めることで該パレット11を筆洗い上部に上蓋として被覆し、さらに被覆したパレット11が位置ズレしないように、位置決め手段を設けている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画材用具セットにおいて、画材用具の1つである筆洗いは中央部に仕切りを設け、一方側空間には画筆を水洗いする為の水を入れる水槽部とし、他方側空間は絵具や画筆などを収容することが出来る画材収容部とし、上記仕切り上端には持ち手ハンドルを上下方向にスライド可能に取付け、そして、パレットには閉じた状態でその中央部に長穴を貫通し、この長穴に上記持ち手ハンドルを嵌めることで該パレットを筆洗い上部に上蓋として被覆し、さらに被覆したパレットが位置ズレしないように、位置決め手段を設けたことを特徴とする画材用具セット。
【請求項2】
上記位置決め手段として、パレット及び筆洗いの外縁の各コーナーに互いに吸着するマグネット又は磁性体を取付けた請求項1記載の画材用具セット。
【請求項3】
上記位置決め手段として、パレット及び筆洗いの外縁の各コーナーに互いに嵌合する凸部と凹部を形成した請求項1記載の画材用具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックに収容することなく持ち歩くことが出来るようにした画材用具セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
小学校では図画・工作の授業があり、その為に児童は画材用具や図工用具を持って登校することになる。ところで、従来の画材用具セットはバッグに収容され、携帯し易いように成っている。
図6は画材用具セットを収容するバッグ(イ)を示している具体例であり、該バッグ(イ)は本体収容部(ロ)と上カバー(ハ)を有している。そして、持ち運びし易いように持ち手(ニ)。(ニ)、及び肩に掛けることが出来るようにストラップ(ホ)を備えている。
【0003】
上記本体収容部(ロ)には画材用具セットが収容され、そして上カバー(ハ)を被覆した状態で、持ち運ぶことが出来る。すなわち、持ち手(ニ)、(ニ)を手で握って持ち、又はストラップ(ホ)を肩に掛けてバッグ(イ)を持ち歩くことが出来る。ここで、該ストラップ(ホ)は肩に掛け易いように、その長さが調整出来る構造と成っている。
【0004】
第3030798号に係る「画材バッグ」は、収納した画材用具が傷むことなく、しかも内部に収納した画材用具を外から素早く確認できるように成っている。
絵の具箱や雑巾,パレット,絵筆,筆洗等の画材用具をバッグ本体に収納する画材バッグであって、バッグ本体の上面及び両側面をダブルメッシュ材で形成すると共にこの部分に開口部を設けてこの開口部をファスナーで開閉可能に構成し、前面の中央部を内部が覗けるように透明ビニルシートで形成している。
【0005】
しかし、上記画材バッグは、個々の画材用具をバラバラに収容するもので、まとまりがなく、持ち歩く際にはガタ付きを生じる。そこで、画材用具の1つである筆洗いの内部に仕切りを設け、絵具、パレット、画筆、雑巾などを収容し、画材用具一式とした状態で上記画材バッグに入れて持ち運びすることが出来るようにしている。
【0006】
上記筆洗いは、例えば、第3051762号に係る「水彩画用筆洗ケース」に記載してように、筆洗ケース本来の機能と利便性を備えたもので、持ち手を上下スライド出来るように取付け、指で摘んで持ち上げる為の小突起を設け、各水槽には水位目安線を設けている。そして、筆洗ケース外縁には画筆保持具を脱着自在に取付けている。
【0007】
このように、画材用具セット、及びそのバッグに関して色々な商品が販売されているが、画材用具セットを持ち歩くには収容する為のバッグを必要としている。しかし、このバッグはコストも高く、一方、バッグ表面に形成している図柄が児童によっては好みと異なる場合が多い。
【特許文献1】第3030798号に係る「画材バッグ」
【特許文献2】第3051762号に係る「水彩画用筆洗ケース」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来の画材用具セット及びこれを収容して持ち歩く為のバッグには上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、コスト的に高いバッグに収容することなく、直接持ち歩くことが出来るようにした画材用具セットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画材用具セットは、筆洗い、パレット、絵具、画筆、雑巾など、絵具を用いて絵を描くことが出来る用具一式で構成している。ここで、用具の種類、及び個々の用具の形態に関して本発明は限定しない。
従来の画材用具セットは、筆洗いの内部にパレット、絵具、絵筆、雑巾などを入れ、この状態でバッグに収容して持ち歩くようにしている。
【0010】
ところで、本発明では画材用具セットの1つであるパレットを筆洗いの上蓋として兼用することが出来るようにしている。そこで、パレットの中央部には細長い長穴を貫通して設け、この長穴に筆洗いの上部中央に取付けた持ち手ハンドルが嵌るようにしている。従って、上蓋をした状態で長穴から上方へ突出する持ち手ハンドルを握って画材用具セットを持ち歩くことが出来る。
そして、パレットには上記持ち手ハンドルが嵌る長穴の他に、絵を描く時に片手で持つことが出来るように、指が嵌る指穴を設けている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画材用具セットは、バッグに収容することなく持ち歩くことが出来る。従って、コスト的に高くつくバッグは不要と成り、親の負担が軽減される。すなわち、パレットを上蓋として筆洗いの上部に被せ、筆洗いの上部中央部取付けた持ち手ハンドルをパレット中央部に貫通した長穴を通して上方へ延ばし、この持ち手ハンドルを握って持ち歩くことが出来る。従って、従来のようにバッグに入れないで直接持ち歩くことで、その重さは軽くなる。
そして、筆洗いの表面には自分好みの絵柄を形成したシールを貼り付けることで、独自の画材用具セットとすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の画材用具セットの筆洗いを示す実施例。
【
図3】筆洗いにパレットを上蓋として被覆した場合。
【
図4】マグネットを用いたパレットの位置決め手段。
【
図5】互いに嵌合する凹部と凸部を用いたパレットの位置決め手段。
【
図6】画材用具セットを収容する従来のバッグを示す実施例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は本発明に係る画材用具セットを構成する筆洗い1を示す具体例である。該筆洗い1は上部を開口した四角形断面の容器であり、中央には仕切り2を設けて容器の内部空間を大きく2区分している。そこで、一方側空間は筆に付着した絵具を洗い落す為に水を入れることが出来る水槽部3とし、該水槽部3も仕切りを介して複数に区分する場合もある。また、他方側の空間には絵具、画筆、雑巾などを収容することが出来る画材収容部4と成っている。
【0014】
そして、上記中央の仕切り2には持ち手ハンドル5が取付けられ、この持ち手ハンドル5は上下方向にスライドすることが出来る。すなわち、絵を描く時には持ち手ハンドル5が邪魔にならないように降下し、持ち歩く時には握り易いように上方へ引き伸ばすことが出来る。同図に示している持ち手ハンドル5は上昇した位置にあり、上記仕切り上縁6との間に手が入って握ることが出来るように、適度な大きさの空間7を有している。
【0015】
ところで、上記筆洗い1に設けている水槽部3には水位目安線8が形成され、また水槽部3の外縁9には、その一部を窪ませた画筆しごき部10,10・・・を形成している。
図2はパレット11を示す具体例であり、本発明の画材用具セットは従来のバッグを使用しないで、
図1に示す筆洗い1に該パレット11にて上部開口を被覆する。すなわち、筆洗い1を持ち手ハンドル5を握って直接持ち歩くことが出来る。
【0016】
図2に示すパレット11は2枚の長方形プレート12a,12bが継手13,13を介して連結し、両プレート12a,12bは折畳まれて重なり合うことが出来る。同図に示すパレット11は、両プレート12a,12bが開いた状態であり、表面には大小色々な大きさの仕切りを有している。絵を描く時には、各仕切りに各種絵具を流し、これを画筆に付けて描くことが出来る。該画筆に異なる色彩の絵具を付ける場合には、水槽部3の水に画筆を浸けて絵具を洗い落とすと共に画筆しごき部10にて水を切る。ここで、該パレット11の具体的な仕切り形態は問わないことにする。
【0017】
ところで、該パレット11のプレート12a,12bの中央には長穴14a,14bが貫通し、パレット11が閉じて両プレート12a,12bが重なり合った場合には、上記長穴14a,14bも重なり合うように同じ位置に設けている。これら長穴14a,14bの周囲には縁20a,20bが起立し、該長穴14a,14bから絵具が流れ落ちないように成っている。
そこで、パレット11が閉じた状態で筆洗い1の上部を被覆する蓋として機能するようになる。
【0018】
一方、プレート12bには長穴14bの継手側に楕円形の指穴15が貫通して設けている。そこで、絵を描く時には上記指穴15に親指を入れてパレット11を手で支えることが出来るようにすることが出来る。そして、この指穴15の周囲にも縁21が起立し、絵具が流れ落ちないようにしている。
図3は筆洗い1にパレット11を上蓋として被せた状態を示している。該パレット11は両プレート12a,12bを閉じて重ね合せた状態で上蓋として機能し、長穴14に持ち手ハンドル5が嵌ることが出来る。
【0019】
ところで、筆洗い1の上端に被覆したパレット11が位置ズレしないように工夫している。位置ズレ防止手段は色々ある為に本発明は特に限定しないが、例えばマグネットの磁気力を利用してパレット11の位置ズレを防止することが出来る。すなわち、プレート12aのコーナーにマグネット16,16・・・又は磁性体を取付け、同じく筆洗い1の外縁9のコーナーにもマグネット17,17・・・を固定し、パレット11のプレート12aに取付けたマグネット16,16・・・が外縁9に固定したマグネット17,17・・・に吸着されることで、該パレット11は位置ズレすることなく上蓋として被覆される。
【0020】
図4はパレット11のプレート12に取付けたマグネット16が筆洗い1の外縁9に固定したマグネット17に吸着した状態を表している。
一方、
図5に示すように、プレート12aのコーナーに小さい凸部18,18・・・を下方へ突出し、筆洗い1の外縁9のコーナーには凹部19,19・・・を形成している。パレット11が筆洗い1の上端に上蓋として被覆されるならば、凸部18,18・・・が凹部19,19・・・に嵌合することが出来る。従って、上蓋としてのパレット11は位置ズレすることなく被覆される。
ここで、上記凸部18は半球体又は円錐台形とし、一方の凹部19も同じ形状とし、パレット11が筆洗い1の上部に載置することで凹部19に凸部18を嵌り易くしている。
【符号の説明】
【0021】
1 筆洗い
2 仕切り
3 水槽部
4 画材収容部
5 持ち手ハンドル
6 上縁
7 空間
8 水位目安線
9 外縁
10 画筆しごき部
11 パレット
12 プレート
13 継手
14 長穴
15 指穴
16 マフネット
17 マグネット
18 凸部
19 凹部
20 縁
21 縁