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特開2016-55345カメラ位置調整装置、溶接ロボットシステムおよびカメラ位置調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-55345(P2016-55345A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】カメラ位置調整装置、溶接ロボットシステムおよびカメラ位置調整方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/127 20060101AFI20160328BHJP
   B23K 9/12 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
   B23K9/127 508B
   B23K9/12 331K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-186578(P2014-186578)
(22)【出願日】2014年9月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪下 英知
(57)【要約】
【課題】保守などにより、単焦点カメラを一旦、取り外した場合、単焦点カメラを取り付け直す際には、カメラ位置や、絞り、露光時間などの調整をやり直す必要がある。人手による調整が行われた場合、調整した人に依って設定がばらついてしまう。
【解決手段】カメラ位置調整装置は、判定部と、信号生成部とを備えている。判定部は、溶接領域にピントの合った第1画像と、第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、溶接領域に向けられた単焦点カメラの、溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定するようになっている。信号生成部は、単焦点カメラの撮像位置を合焦カメラ位置に設定させる制御信号を生成するようになっている。これにより、単焦点カメラの撮像位置の設定に際して、人の判断を介在させなくて済むので、単焦点カメラの設定ばらつきを低減することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接領域にピントの合った第1画像と、前記第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、前記溶接領域に向けられた単焦点カメラの、前記溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定する判定部と、
前記単焦点カメラの撮像位置を前記合焦カメラ位置に設定させる第1制御信号を生成する信号生成部と
を備えたカメラ位置調整装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記単焦点カメラが所定の位置に固定されているときに前記単焦点カメラによって撮像された画像を前記第1画像として取得し、
前記判定部は、前記単焦点カメラの撮像位置が前記所定の位置を含む所定の範囲内で変位しているときに前記単焦点カメラによって撮像された複数の画像を複数の前記第2画像として取得する
請求項1に記載のカメラ位置調整装置。
【請求項3】
前記信号生成部は、前記判定部が複数の前記第2画像を取得する際に、前記単焦点カメラの撮像位置を変位させる第2制御信号を生成する
請求項2に記載のカメラ位置調整装置。
【請求項4】
前記判定部は、複数の前記第2画像の中から前記第1画像と所定の相関関係を持つ画像を選出し、選出した画像が撮像されたときのカメラ位置を前記合焦カメラ位置と判定する
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のカメラ位置調整装置。
【請求項5】
前記第1画像および複数の前記第2画像は、被写体として、前記溶接電極の先端、溶融池もしくは母材に映る、前記先端の反射像、または、溶融池を含み、
前記判定部は、前記第1画像に含まれる前記被写体と、各前記第2画像に含まれる前記被写体とのパターンマッチングを行い、それにより選出した前記第2画像が撮像されたときのカメラ位置を前記合焦カメラ位置と判定する
請求項4に記載のカメラ位置調整装置。
【請求項6】
前記第1画像および複数の前記第2画像は、可視光を選択的にカットするフィルタを前記単焦点カメラの光入射面に取り付けた状態で、前記溶接領域を、前記単焦点カメラで撮像することにより得られた画像である
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のカメラ位置調整装置。
【請求項7】
溶接電極を含む溶接トーチを有し、前記溶接トーチを移動させることによりアーク溶接を行う移動部と、
前記溶接電極の先端を含む溶接領域にピントの合った第1画像と、前記第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、前記溶接領域に向けられた単焦点カメラの、前記溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定する判定部と、
前記単焦点カメラの撮像位置を前記合焦カメラ位置に設定させる制御信号を生成する信号生成部と、
前記信号生成部からの制御信号に基づいて、前記単焦点カメラの撮像位置を設定する調整部と
を備えた
溶接ロボットシステム。
【請求項8】
溶接領域にピントの合った第1画像と、前記第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、前記溶接領域に向けられた単焦点カメラの、前記溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定する判定ステップと、
前記単焦点カメラの撮像位置を前記合焦カメラ位置に設定させる制御信号を生成する信号生成ステップと
を含む
カメラ位置調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ位置調整装置、溶接ロボットシステムおよびカメラ位置調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークが溶接過程で歪んだり、ワークの精度があまり良くない場合、溶接トーチと開先中心との距離が、当初想定していた値からずれることがある。この場合、安定した溶接を行うことが難しく、溶接不良を生じる恐れがある。この対策として、例えば、溶接領域をカメラで撮像し、撮像により得られた画像から開先位置のずれ量を検出することにより、溶接トーチ位置を補正することが行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−301340
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラを溶接ロボットシステムに組み込む際には、カメラ位置や、絞り、露光時間などを設定することが必要となる。しかし、撮像対象の溶接領域は、アーク光が発せられる領域を含むことから、コントラストが大き過ぎて、カメラが露光過多になってしまう場合がある。そのため、カメラには、通常、アーク光を減衰させるフィルタが取り付けられる。アーク光には可視光が多く含まれているので、可視光を選択的に減衰させるフィルタがカメラに取り付けられる。このようなフィルタが取り付けられるカメラの設定は、例えば、以下のようにして行われる。
【0005】
まず、フィルタを取り外した状態で、ワークの溶接ビードにピントが合うように、カメラ位置を調整する。その後、フィルタを取り付け、アーク溶接を行いながら、絞りや露光時間を調整する。必要に応じて、この一連の作業を何度か、繰り返し行う。
【0006】
保守などにより、カメラが一旦、取り外されることがある。この場合、カメラを取り付け直す際には、上述の一連の作業が行われる。しかし、この一連の作業には、人の判断が介在する。そのため、調整した人に依って、カメラの設定がばらついてしまう。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カメラの設定ばらつきを低減することの可能なカメラ位置調整装置、溶接ロボットシステムおよびカメラ位置調整方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカメラ位置調整装置は、判定部と、信号生成部とを備えている。判定部は、溶接領域にピントの合った第1画像と、第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、溶接領域に向けられた単焦点カメラの、溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定するようになっている。信号生成部は、単焦点カメラの撮像位置を合焦カメラ位置に設定させる制御信号を生成するようになっている。
【0009】
本発明の溶接ロボットシステムは、移動部と、判定部と、信号生成部と、調整部とを備えている。移動部は、溶接電極を含む溶接トーチを有しており、溶接トーチを移動させることによりアーク溶接を行うようになっている。判定部は、溶接電極の先端を含む溶接領域にピントの合った第1画像と、第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、溶接領域に向けられた単焦点カメラの、溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定するようになっている。信号生成部は、単焦点カメラの撮像位置を合焦カメラ位置に設定させる制御信号を生成するようになっている。調整部は、信号生成部からの制御信号に基づいて、単焦点カメラの撮像位置を設定するようになっている。
【0010】
本発明のカメラ位置調整方法は、以下の2つのステップを含んでいる。
(1)溶接領域にピントの合った第1画像と、第1画像の視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とを対比することにより、溶接領域に向けられた単焦点カメラの、溶接領域にピントの合った合焦カメラ位置を判定する判定ステップ
(2)単焦点カメラの撮像位置を合焦カメラ位置に設定させる制御信号を生成する信号生成ステップ
【0011】
本発明のカメラ位置調整装置、溶接ロボットシステムおよびカメラ位置調整方法では、溶接領域にピントの合った第1画像と、撮像距離の互いに異なる複数の第2画像とが対比される。これにより、複数の第2画像の中から、溶接領域にピントの合った画像を選択することができる。単焦点カメラの撮像位置を、選択した第2画像が撮像されたときのカメラ位置に設定することにより、単焦点カメラのピントを溶接領域に合わせることができる。本発明では、単焦点カメラの撮像位置を合焦カメラ位置に設定させる制御信号が生成される。これにより、単焦点カメラの撮像位置の設定を、制御信号に基づいて単焦点カメラの撮像位置を設定する調整部に担わせることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカメラ位置調整装置、溶接ロボットシステムおよびカメラ位置調整方法によれば、複数の第2画像の中から、溶接領域にピントの合った画像を選択し、単焦点カメラの撮像位置を、選択した第2画像が撮像されたときのカメラ位置に設定させる制御信号を生成するようにしたので、単焦点カメラの撮像位置の設定に際して、人の判断を介在させなくて済む。その結果、単焦点カメラの設定ばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態の溶接ロボットシステムの概略構成の一例を表す図である。
図2】基準ワークおよび対象ワークの断面構成の一例を表す図である。
図3】対象ワークの位置ずれについて説明するための図である。
図4】アーク溶接の様子の一例を斜視的に表す図である。
図5】撮像装置により得られる画像の一例を表す図である。
図6図1のロボット制御装置の概略構成の一例を表す図である。
図7図1のティーチペンダントの概略構成の一例を表す図である。
図8図1の画像処理装置の概略構成の一例を表す図である。
図9】初期のカメラ位置調整手順の一例を表す図である。
図10】再度のカメラ位置調整手順の一例を表す図である。
図11】再度のカメラ位置調整手順の他の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
<1.実施の形態>
最初に、本発明の一実施の形態に係る溶接ロボットシステム1の概要について説明する。図1は、溶接ロボットシステム1の概略構成の一例を表したものである。溶接ロボットシステム1は、プログラム制御された多関節ロボットによってワークWにアーク溶接を行うものである。溶接ロボットシステム1が本発明の「溶接ロボットシステム」の一具体例に相当する。
【0016】
ワークWは、例えば、図2に示したように、同一面内に配置された2つの母材B1,B2からなる。母材B1の側面S1と母材B2の側面S2とが互いに近接して配置されている。側面S1および側面S2によって、V字型の開先形状が形成されている。なお、ワークWは、V字型の開先形状を有するものに限定されるものではない。
【0017】
溶接ロボットシステム1は、いわゆるティーチング&プレイバック方式を採用している。ティーチング&プレイバック方式とは、教示データとして予め作業員等によって設定された、ワークWの溶接位置(開先位置)に沿った溶接トーチの座標情報等を利用して、溶接トーチによる溶接作業を行う方式を指している。溶接ロボットシステム1は、さらに、倣い制御を採用している。倣い制御とは、ワークWが位置ずれを起こしたときに、予め設定された教示データに対して、ワークWの位置ずれに応じた補正を行うことにより、溶接トーチをより正確にワークWの開先位置に沿わせる制御を指している。溶接ロボットシステム1は、倣い制御に用いる補正データを、後述の撮像装置20によって得られた画像データから得るようになっている。
【0018】
(ワークWの位置ずれ)
なお、上述の「ワークWの位置ずれ」とは、例えば、図3に示したように、教示点に基づいて溶接トーチ13(後述)が配置されたときに、ワークWの開先位置(溶接線WL)が、溶接トーチ13に固定された溶接電極14(後述)の先端位置からずれていることを指している。「ワークWの位置ずれ」は、例えば、ワークWの溶接線WLが、溶接電極14の先端位置との関係で、左右方向(図3のD1方向)および上下方向(図3のD2方向)の少なくとも一方の方向へ変位していることを指している。
【0019】
[構成]
次に、溶接ロボットシステム1の構成について説明する。溶接ロボットシステム1は、図1に示したように、マニピュレータ10と、撮像装置20と、調整装置30と、ロボット制御装置40と、ティーチペンダント50と、溶接機60と、画像処理装置70とを備えている。マニピュレータ10が本発明の「移動部」の一具体例に相当する。撮像装置20が本発明の「単焦点カメラ」の一具体例に相当する。調整装置30は本発明の「調整部」の一具体例に相当する。ロボット制御装置40と画像処理装置70とを含む装置が本発明の「カメラ位置調整装置」の一具体例に相当する。ロボット制御装置40が本発明の「信号生成部」の一具体例に相当する。画像処理装置70が本発明の「判定部」の一具体例に相当する。ロボット制御装置40および画像処理装置70は、図1に示したように互いに別体で構成されていてもよいし、互いに一体に構成されていてもよい。また、ロボット制御装置40およびティーチペンダント50は、図1に示したように互いに別体で構成されていてもよいし、互いに一体に構成されていてもよい。
【0020】
溶接ロボットシステム1は、例えば、各種装置同士を互いに接続するケーブルL1〜L8を備えている。ケーブルL1は、ロボット制御装置40とマニピュレータ10との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置40およびマニピュレータ10に接続されている。ケーブルL2は、ロボット制御装置40とティーチペンダント50との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置40およびティーチペンダント50に接続されている。ケーブルL3は、ロボット制御装置40と溶接機60との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置40および溶接機60に接続されている。ケーブルL4は、ロボット制御装置40と画像処理装置70との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置40および画像処理装置70に接続されている。ケーブルL5は、ロボット制御装置40と調整装置30との間で通信するための通信ケーブルであり、ロボット制御装置40および調整装置30に接続されている。ケーブルL6,L7は、後述の溶接電極14とワークWとの間に高電圧の溶接電圧Vsを供給するための電源ケーブルである。ケーブルL6は、溶接機60および後述の作業台15に接続されており、ケーブルL7は、溶接機60および後述の溶接トーチ13に接続されている。ケーブルL8は、画像処理装置70と撮像装置20との間で通信するための通信ケーブルであり、画像処理装置70および撮像装置20に接続されている。
【0021】
(マニピュレータ10)
マニピュレータ10は、ロボット制御装置40からの制御信号に基づいて溶接トーチ13を移動させることによって、ワークWに対してアーク溶接を行うようになっている。マニピュレータ10は、フロア等に固定されるベース部材11と、ベース部材11上に設けられた多関節アーム部12と、多関節アーム部12の先端に連結された溶接トーチ13と、作業台15とを有している。溶接トーチ13は、溶接電極14を含んで構成されている。溶接電極14は、溶接トーチ13の先端部分に固定されている。溶接トーチ13が本発明の「溶接トーチ」の一具体例に相当する。溶接電極14が本発明の「溶接電極」の一具体例に相当する。
【0022】
多関節アーム部12は、例えば、複数のアーム12Aと、2つのアーム12A同士を回動可能に連結する関節軸(図示せず)とを有している。多関節アーム部12は、さらに、例えば、アーム12Aごとに1つずつ設けられ、対応するアーム12Aを駆動する複数の駆動モータ(図示せず)と、各駆動モータに連結され、各アーム12Aの現在位置を検出するエンコーダ(図示せず)とを有している。各駆動モータは、ケーブルL1を介してロボット制御装置40から入力される制御信号によって駆動される。このようにして各駆動モータが駆動されることにより、各アーム12Aが変位し、結果的に溶接トーチ13が上下前後左右に移動する。エンコーダは、検出した各アーム12Aの現在位置(以下、「位置情報」と称する。)を、ケーブルL1を介してロボット制御装置40に出力するようになっている。
【0023】
多関節アーム部12の一端(先端)が溶接トーチ13に連結されており、多関節アーム部12の他端がベース部材11に連結されている。溶接電極14は、非溶極式の電極であり、例えば、タングステン等の高硬度の金属材料で構成されている。溶接トーチ13は、溶接電極14の先端とワークWとの間にアークを発生させ、そのアークの熱でワークW(さらには、溶加棒)を溶融させることにより、ワークWに対してアーク溶接を行うものである。なお、アーク溶接に溶加棒が使用される場合には、マニピュレータ10は、溶加棒を溶接トーチ13に供給するワイヤ送給装置をさらに有していてもよい。溶接トーチ13は、ケーブルL6に電気的に接続されたコンタクトチップ(図示せず)を有している。コンタクトチップは、ケーブルL6から供給される溶接電圧Vsを溶接電極14に供給するように構成されている。
【0024】
作業台15は、フロア等に固定されており、ワークWを設置する台座として使用される。作業台15は、ワークWに対するトーチ姿勢を最適に維持するためのポジショナであってもよい。作業台15が上述のポジショナである場合には、ロボット制御装置40によってポジショナの軸が駆動制御される。作業台15は、ケーブルL5を介して溶接機60に接続されており、作業台15に設置されるワークWとケーブルL5とを互いに電気的に接続するように構成されている。
【0025】
(撮像装置20)
撮像装置20は、焦点位置の固定されたカメラであり、例えば、単焦点カメラである。撮像装置20は、溶接トーチ13との関係で不動位置に固定されている。撮像装置20は、ケーブルL8を介して画像処理装置70から入力される制御信号に基づいて撮像を行うことにより、画像Iを取得するようになっている。撮像装置20は、可視光を選択的にカットするフィルタ20Aを撮像装置20の光入射面に有している。フィルタ20Aは、例えば、撮像装置20の光入射面に対して着脱可能な状態で固定されている。フィルタ20Aは、アーク溶接時に発生するアーク光に含まれる高強度の可視光線を減衰させるように構成されている。また、フィルタ20Aは、アーク溶接時に溶接電極14の先端から放射された近赤外線を透過するように構成されている。従って、撮像装置20では、フィルタ20Aが装着された状態では、画像Iとして、近赤外領域の画像が得られる。撮像装置20は、撮像により得られた画像Iを、ケーブルL8を介して画像処理装置70に出力するようになっている。
【0026】
撮像装置20は、例えば、調整装置30を介して溶接トーチ13に固定されている。撮像装置20は、例えば、調整装置30に対して着脱可能に固定されており、調整装置30によって撮像装置20の光軸方向に変位可能となっている。撮像装置20の視点方向は、後述する溶接領域WAに向けられている。撮像装置20は、溶接領域WAにピントの合う位置(合焦カメラ位置Po(図示せず))に配置されている。溶接領域WAとは、溶接電極14の先端や、アーク溶接時に生じる電極反射像IRを含む領域を指している。溶接領域WAは、本発明の「溶接領域」の一具体例に相当する。合焦カメラ位置Poは、本発明の「合焦カメラ位置」の一具体例に相当する。
【0027】
(溶接領域WA、電極反射像IR)
電極反射像IRは、溶融池WPまたはワークWに映る、溶接電極14の先端の反射像である。溶融池WPは、本発明の「溶融池」の一具体例に相当する。図4は、アーク溶接時の溶接領域WAの一例を斜視的に表したものである。溶接時、溶接電極14の先端から放射された近赤外線が溶融池WPや、ワークWの側面S1,S2で反射する。その結果、溶融池WPや、ワークWの側面S1,S2に、電極反射像IRが表れる。電極反射像IRの位置および大きさは、ワークWの変位に応じて変化する。例えば、ワークWが溶接電極14に対して下方に変位すると、溶融池WPに映る電極反射像IRが小さくなり、ワークWに映る電極反射像IRが小さくなると共に開先中心から遠ざかる。また、例えば、ワークWが溶接電極14に対して左方向に変位すると、溶融池WPに映る電極反射像IRが溶融池WP内で右方向に変位し、ワークWに映る電極反射像IRもワークW内で右方向に変位する。
【0028】
(画像I)
図5は、画像Iの一例を表したものである。画像Iは、例えば、溶接電極14の先端と、溶融池WPと、溶融池WPに映る電極反射像IRと、ワークWの側面S1に映る電極反射像IRと、ワークWの側面S2に映る電極反射像IRとを含む画像である。なお、画像Iは、溶接電極14の先端、溶融池WPおよび上述した3つの電極反射像IRのうち、少なくとも1つだけを含む画像であってもよい。
【0029】
(調整装置30)
調整装置30は、ロボット制御装置40からの制御信号に基づいて、撮像装置20の撮像位置を設定するものである。調整装置30は、撮像装置20を、撮像装置20の光軸方向に変位可能に構成されている。つまり、調整装置30は、撮像装置20のピント合わせに用いられる。調整装置30は、例えば、溶接トーチ13に固定されている。
【0030】
(ロボット制御装置40)
図6は、ロボット制御装置40の概略構成の一例を表したものである。ロボット制御装置40は、ティーチペンダント50からの指示に従って多関節アーム部12、溶接機60、画像処理装置70および調整装置30を制御するものである。ロボット制御装置40は、制御部41と、サーボ制御部42と、通信部43と、記憶部44とを有している。以下では、記憶部44、サーボ制御部42、通信部43、制御部41の順に説明する。
【0031】
記憶部44は、各種プログラムや各種データファイルを記憶可能に構成されている。記憶部44は、多関節アーム12の動作を制御する制御ソフトウェア44Aを記憶している。制御ソフトウェア44Aは、例えば、ROM(read only memory)に格納されている。記憶部44は、さらに、マニピュレータ10の溶接作業の手順が教示された複数の作業プログラム44Bと、倣い制御プログラム(図示せず)と、カメラ位置調整プログラム44Cとを記憶している。倣い制御プログラムは、上述の倣い制御を実施する手順が記述されたものである。カメラ位置調整プログラム44Cは、撮像装置20のピント合わせを実施する手順が記述されたものである。カメラ位置調整プログラム44Cについては、後に詳述するものとする。
【0032】
複数の作業プログラム44Bは、例えば、カメラ調整モードで使用される1または複数の作業プログラム44Bと、倣い溶接モードで使用される1または複数の作業プログラム44Bとを含んでいる。複数の作業プログラム44B、倣い制御プログラムおよびカメラ位置調整プログラム44Cは、例えば、ハードディスクに格納されている。作業プログラム44Bには、例えば、移動命令や溶接命令等が記述されている。移動命令には、例えば、移動開始命令、移動停止命令、作業経路(教示点)、およびトーチ姿勢などが含まれ得る。溶接命令には、例えば、アーク溶接の開始命令、アーク溶接の終了命令、溶接電流Isの設定値、および溶接電圧Vsの設定値などが含まれ得る。
【0033】
記憶部44は、さらに、カメラ位置調整プログラム44Cが実行されることにより生成される各種データを記憶可能に構成されている。そのようなデータを含むファイルとしては、例えば、カメラ位置ファイル44Dが挙げられる。カメラ位置ファイル44Dには、撮像装置20の現在位置データ(カメラ位置Pi)が格納され得る。カメラ位置Piは、調整装置30における撮像装置20の位置調整に使用されるデータであり、調整装置30に送信する制御信号に含まれ得る。
【0034】
サーボ制御部42は、マニピュレータ10の各駆動モータを制御するものである。サーボ制御部42は、カメラ調整モードのときは、例えば、作業プログラム44Bに記載の移動命令と、マニピュレータ10のエンコーダからの位置情報とに基づいて制御信号を生成するようになっている。サーボ制御部42は、倣い溶接モードのときは、例えば、作業プログラム44Bに記載の移動命令と、倣い制御プログラムの実行によって生成された、溶接トーチ13位置の補正データと、マニピュレータ10のエンコーダからの位置情報とに基づいて制御信号を生成するようになっている。サーボ制御部42は、生成した制御信号をマニピュレータ10に出力することにより、マニピュレータ10の各駆動モータを制御するようになっている。
【0035】
通信部43は、ケーブルL2を介してティーチペンダント50と通信を行ったり、ケーブルL3を介して溶接機60と通信を行ったり、ケーブルL4を介して画像処理装置70と通信を行ったり、ケーブルL5を介して調整装置30と通信を行ったりするものである。通信部43は、ティーチペンダント50からの作業指令を受信し、受信した作業指令を制御部41に出力するようになっている。ティーチペンダント50からの作業指令には、例えば、再生する作業プログラム44Bの番号や、カメラ調整ステータスなどが含まれ得る。カメラ調整ステータスには、例えば、初期調整または再調整が含まれ得る。また、通信部43は、制御部41からの溶接命令を、溶接機60に送信するようになっている。制御部41からの溶接命令には、例えば、アーク溶接の開始命令、アーク溶接の終了命令、溶接電流Isの設定値、または溶接電圧Vsの設定値などが含まれ得る。また、通信部43は、制御部41からの調整開始命令または倣い開始命令を、画像処理装置70に送信するようになっている。調整開始命令には、例えば、カメラ調整ステータスが含まれ得る。
【0036】
制御部41は、ティーチペンダント50から入力された作業指令に基づいて、作業プログラム44Bや、倣い制御プログラム、カメラ位置調整プログラム44Cを読み出し、その内容を解析するようになっている。制御部41は、作業プログラム44Bの解析結果に基づいて、作業プログラム44Bに記載の指示に応じて、命令通知を生成するようになっている。制御部41は、生成した命令通知の内容に応じて、例えば、移動命令、溶接命令、調整開始命令または倣い開始命令を生成するようになっている。制御部41は、移動命令を、サーボ制御部42に出力するようになっている。制御部41は、溶接命令を、通信部43を介して溶接機60に出力するようになっている。制御部41は、調整開始命令または倣い開始命令を、通信部43を介して画像処理装置70に出力するようになっている。制御部41は、画像処理装置70から入力されたカメラ位置送信命令に応じて、撮像装置20の現在位置データ(カメラ位置Pi)をカメラ位置ファイル44Dから読み出すようになっている。制御部41は、カメラ位置Piを、通信部43を介して画像処理装置70に出力するようになっている。
【0037】
(ティーチペンダント50)
図7は、ティーチペンダント50の概略構成の一例を表したものである。ティーチペンダント50は、作業者がマニピュレータ10の動作を教示するものである。ティーチペンダント50は、例えば、制御部51、表示部52、入力部53、通信部54および記憶部55を有している。
【0038】
表示部52は、映像信号に基づく映像を表示するものである。表示部52は、映像を表示する表示面を有する表示パネルと、映像信号に基づいて表示パネルを駆動する駆動部とを有している。入力部53は、作業者からの教示を受け付けるものである。入力部53は、例えば、複数のキーを有しており、各キーの操作に応じて入力信号を生成し、制御部51に出力するようになっている。通信部54は、ケーブルL2を介してロボット制御装置40と通信を行うものである。通信部54は、制御部51からの作業指令を、ロボット制御装置40に送信するようになっている。通信部54は、ロボット制御装置40からの画像Iを受信して、制御部51に出力するようになっている。記憶部55は、各種のモードで種々の表示や作業指示を可能にする教示ソフトウェア55Aを記憶する。教示ソフトウェア55Aは、例えば、ROMに格納されている。
【0039】
制御部51は、映像信号を生成し、表示部52に出力すると共に、必要に応じて作業指令を生成し、通信部54に出力するものである。制御部51は、読み出した教示ソフトウェア55Aに従って映像信号を生成したり、ロボット制御装置40から受信した画像Iを含む映像信号を生成したりするようになっている。制御部51は、また、必要に応じて作業指令を生成したりするようになっている。例えば、入力部53から入力された入力信号が、加工作業を実施する再生モードの選択信号であった場合、制御部51は、教示ソフトウェア55Aに従って、記憶部44に格納されている1または複数の作業プログラム44Bのリストを表示するための映像信号を生成するようになっている。さらに、例えば、再生モードが選択されている場合に、再生する1つの作業プログラム44Bが選択されたときには、制御部51は、教示ソフトウェア55Aに従って、再生する作業プログラム44Bの番号等を含む作業指令を生成するようになっている。さらに、例えば、再生モードが選択されている場合に、制御部51は、通信部54から監視情報を取得したときには、取得した監視情報を表示するための映像信号を生成するようになっている。
【0040】
(溶接機60)
溶接機60は、ロボット制御装置40による制御信号に基づいて、溶接電流Isおよび溶接電圧Vs等を緻密に制御することにより、溶接電極14の先端とワークWとの間にアークを発生させるものである。
【0041】
(画像処理装置70)
図8は、画像処理装置70の概略構成の一例を表したものである。画像処理装置70は、撮像装置20から得られた画像Iを処理するものである。画像処理装置70は、制御部71と、通信部72と、記憶部73とを有している。
【0042】
記憶部73は、各種ソフトウェアを記憶可能に構成されている。記憶部73は、画像Iを処理する画像処理ソフトウェア73Aを記憶している。画像処理ソフトウェア73Aは、例えば、ROMに格納されている。画像処理ソフトウェア73Aについては、後に詳述するものとする。記憶部73は、さらに、画像処理ソフトウェア73Aが実行されることにより生成される各種データを記憶可能に構成されている。そのようなデータを含むファイルとしては、例えば、画像ファイル73Bおよび設定ファイル73Cが挙げられる。画像ファイル73Bには、例えば、撮像装置20によって撮像された複数の画像Iが格納され得る。設定ファイル73Cには、例えば、カメラ設定値(例えば、合焦カメラ位置Po、絞り、および露光時間など)などが格納され得る。
【0043】
通信部72は、ケーブルL4を介してロボット制御装置40と通信を行ったり、ケーブルL8を介して撮像装置20と通信を行ったりするものである。通信部72は、ロボット制御装置40からの調整開始命令または倣い開始命令を受信して、受信した調整開始命令または倣い開始命令を制御部71に出力するようになっている。通信部72は、制御部71からの撮像開始命令を、撮像装置20に送信するようになっている。通信部72は、撮像装置20から複数の画像Iを受信して、受信した複数の画像Iを制御部71に出力するようになっている。通信部72は、制御部71で導出されたカメラ設定値(例えば、合焦カメラ位置Po、絞り、および露光時間など)を、撮像装置20に出力するようになっている。
【0044】
制御部71は、ロボット制御装置40から入力された調整開始命令または倣い開始命令に基づいて、画像処理ソフトウェア73Aを読み出し、その内容を解析するようになっている。制御部71は、その解析結果に基づいて、画像処理ソフトウェア73Aに記載の指示に応じて、命令通知を生成したり、所定の演算処理を実行したりするようになっている。
【0045】
制御部71は、生成した命令通知を、撮像装置20に出力するようになっている。制御部71は、例えば、カメラ調整ステータスとして初期調整を含む調整開始命令を受信したとき(初期のカメラ調整モードのとき)には、所定のタイミングで1または複数の画像Iを撮像する命令通知を、撮像装置20に出力するようになっている。この命令通知は、初期のカメラ調整においてアーク溶接を実行する際に出力される。以下では、このときの画像Iを画像Irと称するものとする。
【0046】
制御部71は、初期のカメラ調整モードのときには、さらに、例えば、以下のような演算処理を実行するようになっている。例えば、撮像装置20から複数の画像Irが得られた場合に、各画像Ir間にばらつきがあるときには、制御部71は、複数の画像Irに対して移動平均処理を行うようになっていてもよい。制御部71は、最終的に1枚の画像Irを選択し、選択した画像Irを溶接領域WAにピントの合った画像Ifとするようになっている。画像Ifが、本発明の「第1画像」の一具体例に相当する。画像Ifは、溶接領域WAにピントの合った画像である。画像Ifは、例えば、溶接電極14の先端、溶融池WPもしくはワークWに映る電極反射像IR、または、溶融池WPにピントの合った画像である。
【0047】
制御部71は、例えば、カメラ調整ステータスとして再調整を含む調整開始命令を受信したとき(再度のカメラ調整モードのとき)には、所定のタイミングごとに画像Iを撮像する命令通知を、撮像装置20に出力するようになっている。以下、再度のカメラ調整モードで得られた画像Iを画像Isと称するものとする。画像Isが、本発明の「第2画像」の一具体例に相当する。制御部71が、所定のタイミングごとに画像Iを撮像する命令通知を、撮像装置20に出力している間、ロボット制御装置1はアーク溶接を実行している。そのため、撮像装置20で得られる複数の画像Isは、画像Ifの視点方向と同じ視点方向から撮像された、撮像距離の互いに異なる複数の画像である。
【0048】
制御部71は、再度のカメラ調整モードのときには、さらに、例えば、以下のような演算処理を実行するようになっている。制御部71は、例えば、画像Ifと、撮像距離の互いに異なる複数の画像Isとを対比することにより、撮像装置20の、溶接領域WAにピントの合った合焦カメラ位置Poを判定するようになっている。制御部71は、例えば、複数の画像Isの中から、画像Ifと所定の相関関係を持つ画像Isを選出し、選出した画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定するようになっている。制御部71は、例えば、画像Ifに含まれる被写体と、各画像Isに含まれる被写体とのパターンマッチングを行い、それにより選出した画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定するようになっている。
【0049】
ここで、画像Irおよび各画像Isは、被写体として、溶接電極14の先端、溶融池WPもしくはワークWに映る電極反射像IR、および溶融池WPのうち少なくとも1つを含んでいる。制御部71は、例えば、画像Ifと各画像Isとの相違度と、画像Ifと各画像Isとの特徴点(つまり被写体)とを求め、複数の画像Isの中で相違度が最小となる画像Isを選択することにより、パターンマッチングを行うようになっている。
【0050】
制御部71は、例えば、倣い開始命令を受信したとき(倣い溶接モードのとき)には、所定のタイミングごとに画像Iを撮像する命令通知を、撮像装置20に出力するようになっている。制御部71は、倣い溶接モードのときに、さらに、例えば、取得した複数の画像Iに基づいて、溶接トーチ13位置の補正データを導出するようになっている。
【0051】
[動作]
次に、カメラ調整モードにおける溶接ロボットシステム1の動作手順について説明する。
【0052】
(初期のカメラ調整モード)
図9は、初期のカメラ調整モードにおけるロボット制御装置40、画像処理装置70および撮像装置20の動作手順の一例を表したものである。
【0053】
まず、作業者が、開先位置に溶接ビードが形成された(つまり、溶接済みの)ワークWを作業台15に設置する。次に、作業者が、撮像装置20からフィルタ20Aを取り外すとともに、撮像箇所に照明を当て、その状態で、撮像装置20によって撮像された画像Iを確認しながら、撮像装置20のピントを合わせる。このとき、作業者が、例えば、溶接ビードにピントを合わせる。次に、作業者が、溶接済みのワークWの代わりに、開先位置に溶接ビードが形成されていない(つまり、未溶接の)ワークWを作業台15に設置する。次に、作業者が、撮像装置20にフィルタ20Aを取り付け、ティーチペンダント50に、初期のカメラ調整の開始を指示する。すると、ティーチペンダント50は、作業者から入力された、初期のカメラ調整の開始の指示に従って、カメラ調整ステータスとして初期調整を含む作業指令を生成し、生成した作業指令をロボット制御装置40に送信する。
【0054】
ロボット制御装置40が、ティーチペンダント50から、カメラ調整ステータスとして初期調整を含む作業指令を受信する(ステップS101)。すると、ロボット制御装置40は、該当する番号の作業プログラム44Bを読み出し、作業プログラム44Bに記載の指示に応じて命令通知を生成する。ロボット制御装置40は、移動命令をマニピュレータ10に送信し、溶接命令を溶接機60に送信する。マニピュレータ10は、ロボット制御装置30からの制御信号に応じて、溶接トーチ13を制御する。溶接機50は、ロボット制御装置30から溶接命令を受信すると、その内容に従って、例えば、溶接電流Isおよび溶接電圧Vsを制御する。その結果、アーク溶接が開始される。ロボット制御装置40は、さらに、カメラ調整ステータスとして初期調整を含む調整開始命令を画像処理装置70に送信する(ステップS102)。
【0055】
画像処理装置70は、ロボット制御装置40から、そのような調整開始命令を受信すると(ステップS103)、例えば、内部状態を初期化する。その後、画像処理装置70は、撮像開始指令を撮像装置20に送信する(ステップS104)。撮像装置20は、画像処理装置70から撮像開始指令を受信すると(ステップS105)、所定のタイミングで撮影を行い、1枚の画像Irを取得する(ステップS106)。つまり、撮像装置20は、初期のカメラ調整においてアーク溶接が実施されている期間に、1枚の画像Irを取得する。このとき、撮像装置20は、所定の位置に固定されている。その後、撮像装置20は、取得した画像Irを画像処理装置70に送信する(ステップS107)。画像処理装置70は、撮像装置20から画像Irを受信する(ステップS108)。
【0056】
画像処理装置70は、撮像装置20から画像Irを受信すると、受信した画像Irを撮像したときのカメラ位置Piをロボット制御装置40に要求する(ステップS109)。ロボット制御装置40は、カメラ位置Piの要求を受信すると(ステップS110)、カメラ位置ファイル44Dからカメラ位置Piを読み出し、読み出したカメラ位置Piを画像処理装置70に送信する(ステップS111)。画像処理装置70は、カメラ位置Piをロボット制御装置40から受信すると(ステップS112)、カメラ位置Piを画像Irと関連付けて、記憶部73に記憶させる。
【0057】
このとき、画像Irの明るさが所望の範囲内となっている場合には、作業者は、初期のカメラ調整を終了する。具体的には、作業者が、ティーチペンダント50に、初期のカメラ調整の終了を指示する。すると、ティーチペンダント50は、作業者から入力された、初期のカメラ調整の終了の指示に従って、調整終了の作業指令を生成し、生成した作業指令をロボット制御装置40に送信する。ロボット制御装置40が、ティーチペンダント50から、調整終了の作業指令を受信する(ステップS113)。すると、ロボット制御装置40は、調整終了命令を生成し、生成した調整終了命令を画像処理装置70に送信する(ステップS114)。
【0058】
画像処理装置70は、ロボット制御装置40から調整終了命令を受信すると(ステップS115)、画像Irを溶接領域WAにピントの合った画像Ir’と判断し、この画像Ir’と関連付けられたカメラ位置Piを、合焦カメラ位置Poとする。画像処理装置70は、画像Ir’の中から、ピントの合った被写体を抽出するための領域を決定し、決定した領域の画像を画像Ifとして、画像Ir’から抽出する。画像処理装置70は、抽出した画像Ifを画像ファイル73Bに保存させる(ステップS116)。画像Ifは、溶接領域WAにピントの合った画像であり、本発明の「第1画像」の一具体例に相当する。画像処理装置70は、さらに、合焦カメラ位置Poをロボット制御装置40に送信する(ステップS117)。ロボット制御装置40は、画像処理装置70から合焦カメラ位置Poを受信すると、合焦カメラ位置Poをカメラ位置ファイル44Dに保存させる(ステップS118)。このようにして、初期のカメラ調整モードが実行されることにより、画像Ifおよび合焦カメラ位置Poが得られる。
【0059】
(再度のカメラ調整モード)
図10は、再度のカメラ調整モードにおけるロボット制御装置40、画像処理装置70および撮像装置20の動作手順の一例を表したものである。
【0060】
作業者が、例えば、保守などにより、撮像装置20を一旦、取り外し、その後、撮像装置20を取り付け直したとする。次に、作業者が、未溶接のワークWを作業台15に設置する。次に、作業者が、撮像装置20にフィルタ20Aが取り付けられた状態で、ティーチペンダント50に、再度のカメラ調整の開始を指示する。すると、ティーチペンダント50は、作業者から入力された、再度のカメラ調整の開始の指示に従って、カメラ調整ステータスとして再調整を含む作業指令を生成し、生成した作業指令をロボット制御装置40に送信する。
【0061】
ロボット制御装置40が、ティーチペンダント50から、カメラ調整ステータスとして再調整を含む作業指令を受信する(ステップS201)。すると、ロボット制御装置40は、該当する番号の作業プログラム44Bを読み出し、作業プログラム44Bに記載の指示に応じて命令通知を生成する。ロボット制御装置40は、移動命令をマニピュレータ10に送信し、溶接命令を溶接機60に送信する。マニピュレータ10は、ロボット制御装置30からの制御信号に応じて、溶接トーチ13を制御する。溶接機50は、ロボット制御装置30から溶接命令を受信すると、その内容に従って、例えば、溶接電流Isおよび溶接電圧Vsを制御する。その結果、アーク溶接が開始される。ロボット制御装置40は、さらに、カメラ調整ステータスとして再調整を含む調整開始命令を画像処理装置70に送信する(ステップS202)。このとき、ロボット制御装置40は、撮像装置20を所定の位置に設定させる制御信号Saを生成し、生成した制御信号Saを調整装置30に送信する。調整装置30は、ロボット制御装置40から受信した制御信号に応じて、撮像装置20の位置を設定する。
【0062】
画像処理装置70は、ロボット制御装置40から、そのような調整開始命令を受信すると(ステップS203)、例えば、内部状態を初期化する。その後、画像処理装置70は、撮像開始指令を撮像装置20に送信する(ステップS204)。撮像装置20は、画像処理装置70から撮像開始指令を受信すると(ステップS205)、所定のタイミングで撮影を行い、1枚の画像Isを取得する(ステップS206)。つまり、撮像装置20は、再度のカメラ調整においてアーク溶接が実施されている期間に、1枚の画像Isを取得する。このとき、撮像装置20は、所定の位置に固定されている。その後、撮像装置20は、取得した画像Isを画像処理装置70に送信する(ステップS207)。画像処理装置70は、撮像装置20から画像Isを受信する(ステップS208)。
【0063】
画像処理装置70は、撮像装置20から画像Isを受信すると、受信した画像Isを撮像したときのカメラ位置Piをロボット制御装置40に要求する(ステップS209)。ロボット制御装置40は、カメラ位置Piの要求を受信すると(ステップS210)、カメラ位置ファイル44Dからカメラ位置Piを読み出し、読み出したカメラ位置Piを画像処理装置70に送信する(ステップS211)。画像処理装置70は、カメラ位置Piをロボット制御装置40から受信すると(ステップS212)、カメラ位置Piを画像Isと関連付けて、記憶部73に記憶させる。
【0064】
続いて、画像処理装置70は、画像Ifと画像Isとを対比することにより、画像Isが溶接領域WAにピントの合った画像であるか否かを判定する(ステップS213)。具体的には、画像処理装置70は、画像Ifと画像Isとが所定の相間関係を持っているか否か判定する。より具体的には、画像処理装置70は、画像Ifに含まれる被写体と、画像Isに含まれる被写体とのパターンマッチングを行う。その結果、画像処理装置70は、画像Ifと画像Isとのパターンマッチ率が所定の閾値以下となっている場合には、画像Isが溶接領域WAにピントの合った画像ではないと判定する。このとき、画像処理装置70は、カメラ位置Piを所定の量だけ変位させる指令をロボット制御装置40に送信する。ロボット制御装置40は、画像処理装置70から、そのような指令を受信すると、カメラ位置Piを所定の量だけ変位させる制御信号Saを生成し(ステップS214)、生成した制御信号Saを調整装置30に送信する。このときの制御信号Saが、本発明の「単焦点カメラの撮像位置を変移させる第2制御信号」の一具体例に相当する。調整装置30は、ロボット制御装置40から受信した制御信号に応じて撮像装置20の現在位置を調整する。画像処理装置70は、撮像装置20の現在位置が変位した後に、上記のステップS204を実行し、再度、上記のステップS213を実行する。つまり、撮像装置20は、ステップS206において、前回とは異なる位置(カメラ位置Pi)で、画像Iを取得する。画像処理装置70は、画像Ifと画像Isとのパターンマッチ率が所定の閾値を超えない限り、ステップS204、S208、S209、S212、S213を繰り返し実行する。このとき、ロボット制御装置40は、撮像装置20の撮像位置が、画像Ifを撮像したときの撮像装置20の撮像位置を含む所定の範囲内で変位するように、制御信号Saを生成する。
【0065】
画像処理装置70は、画像Ifと画像Isとのパターンマッチ率が所定の閾値を超える場合には、その画像Isが溶接領域WAにピントの合った画像であると判定し、判定により選出された画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定する。つまり、このときの撮像装置20の位置を設定するために調整装置30に送信された制御信号Saが、本発明の「単焦点カメラの撮像位置を合焦カメラ位置に設定させる第1制御信号」の一具体例に相当する。このとき、画像処理装置70は、合焦カメラ位置Poをロボット制御装置40に送信する(ステップS215)。ロボット制御装置40は、画像処理装置70から合焦カメラ位置Poを受信すると、合焦カメラ位置Poをカメラ位置ファイル44Dに保存させる(ステップS216)。このようにして、再度のカメラ調整モードが実行されることにより、撮像装置20が、溶接領域WAにピントの合った位置に自動的に設定される。
【0066】
なお、図11に示したように、画像処理装置70は、ステップS212を実行した後に、撮像装置20による画像Isの撮像枚数が所定の枚数(N枚)となるまで(ステップS217)、カメラ位置Piを所定の量ずつ変位させる指令をロボット制御装置40に送信してもよい。ロボット制御装置40は、そのような指令を受信すると、画像Isの撮像枚数が所定の枚数(N枚)となるまで、カメラ位置Piを所定の量だけ変位させる制御信号Saを生成する(ステップS214)。このとき、画像処理装置70は、撮像装置20による画像Isの撮像枚数が所定の枚数(N枚)となるまで、ステップS204、S208、S209、S212、S217を繰り返し実行する。ロボット制御装置40は、撮像装置20の撮像位置が、画像Ifを撮像したときの撮像装置20の撮像位置を含む所定の範囲内で変位するように、制御信号Saを生成する。ロボット制御装置40は、生成した制御信号Saを調整装置30に送信する。このときの制御信号Saが、本発明の「単焦点カメラの撮像位置を変移させる第2制御信号」の一具体例に相当する。調整装置30は、ロボット制御装置40から受信した制御信号に応じて撮像装置20の現在位置を調整する。画像処理装置70は、撮像装置20の現在位置が変位するごとに、ステップS204を実行する。つまり、撮像装置20は、ステップS206において、前回とは異なる位置(カメラ位置Pi)で、画像Iを取得する。画像処理装置70は、このようにして、撮像距離の互いに異なる複数の(N枚の)画像Isを取得した後に、複数の画像Isの中から、溶接領域WAにピントの合った画像Isを選択する(ステップS218)。
【0067】
具体的には、画像処理装置70は、画像Ifに含まれる被写体と、各画像Isに含まれる被写体とのパターンマッチングを行う。画像処理装置70は、画像Ifと画像Isとのパターンマッチ率が所定の閾値を超える画像Isが溶接領域WAにピントの合った画像であると判定し、判定により選出された画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定する。
【0068】
複数の画像Isのパターンマッチ率が所定の閾値を超えた場合には、画像処理装置70は、例えば、パターンマッチ率が所定の閾値を超えた複数の画像Isのうち、パターンマッチ率が最大となる画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定するようになっていてもよい。また、ある撮像期間において、複数の画像Isのパターンマッチ率が所定の閾値を超えた場合には、画像処理装置70は、例えば、その撮像期間の中間に対応する画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定するようになっていてもよい。
【0069】
また、互いに異なる複数の撮像期間において、複数の画像Isのパターンマッチ率が所定の閾値を超えた場合には、画像処理装置70は、例えば、それらの撮像期間のうち、パターンマッチ率が所定の閾値を超えた画像Isの数が最大となる撮像期間を選択し、選択した撮像期間の中間に対応する画像Isが撮像されたときのカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定するようになっていてもよい。また、互いに異なる複数の撮像期間において、複数の画像Isのパターンマッチ率が所定の閾値を超えた場合には、画像処理装置70は、例えば、それらの撮像期間のうち、パターンマッチ率が所定の閾値を超えた画像Isの数が最大となる撮像期間を選択し、選択した撮像期間に含まれる各画像Isのパターンマッチ率を二次曲線近似し、それにより得られた二次曲線の極大値に対応するカメラ位置Piを合焦カメラ位置Poと判定するようになっていてもよい。
【0070】
その後、画像処理装置70は、合焦カメラ位置Poをロボット制御装置40に送信する(ステップS215)。ロボット制御装置40は、画像処理装置70から合焦カメラ位置Poを受信すると、合焦カメラ位置Poをカメラ位置ファイル44Dに保存させるとともに(ステップS216)、合焦カメラ位置Poを含む制御信号を調整装置30に送信する。調整装置30は、画像処理装置70から受信した制御信号に従って、撮像装置20の位置を設定する。このようにして、再度のカメラ調整モードが実行されることにより、撮像装置20が、溶接領域WAにピントの合った位置に自動的に設定される。
【0071】
(倣い溶接モード)
ロボット制御装置40は、ティーチペンダント50から、倣い溶接モード用の作業プログラム44Bの番号を含む作業指令を受信したとする。すると、ロボット制御装置40は、該当する番号の作業プログラム44Bを読み出し、作業プログラム44Bに記載の指示に応じて命令通知を生成する。ロボット制御装置40は、例えば、所定の制御信号をマニピュレータ10に送信し、溶接命令を溶接機60に出力する。ロボット制御装置40は、さらに、倣い開始命令を画像処理装置70に送信する。マニピュレータ10は、ロボット制御装置40からの制御信号に応じて、溶接トーチ13を動作する。溶接機60は、ロボット制御装置40から溶接命令を受信すると、その内容に従って、例えば、溶接電流Isおよび溶接電圧Vsを制御する。その結果、アーク溶接が開始される。
【0072】
画像処理装置70は、ロボット制御装置40から倣い開始命令を受信すると、撮像開始指令を撮像装置20に送信する。撮像装置20は、画像処理装置70から撮像開始指令を受信すると、所定のタイミングごとに撮影を行い、複数の画像Itを取得する。ところで、当初は、溶接トーチ13位置の補正データがまだ導出されていない。そのため、溶接トーチ13は、当初は、教示線の座標に沿った動作をしている。
【0073】
撮像装置20は、所定のタイミングごとに撮像された複数の画像Itを画像処理装置70に送信する。画像処理装置70は、撮像装置20から複数の画像Itを受信する。その後、画像処理装置70は、取得した1または複数の画像Itに基づいて、溶接トーチ13位置の補正データを導出する。画像処理装置70は、導出した補正データを、ロボット制御装置40に送信する。ロボット制御装置40は、画像処理装置70から補正データを受信する。ロボット制御装置40は、補正データに基づいて溶接トーチ13の位置座標を補正し、補正データの考慮された座標に基づいて制御信号を生成する。ロボット制御装置40は、生成した制御信号をマニピュレータ10に出力する。マニピュレータ10は、補正データの考慮された制御信号に応じて、溶接トーチ13を動作させる。従って、これ以降は、溶接トーチ13は、補正データの考慮された座標に従った動作をする。このようにして、ロボット制御装置40は、溶接トーチ13の倣い制御を行う。
【0074】
[効果]
次に、溶接ロボットシステム1の効果について説明する。
【0075】
撮像装置20を溶接ロボットシステム1に組み込んだ場合に、保守などにより、カメラが一旦、取り外されることがある。この場合、撮像装置20を取り付け直す際には、例えば、フィルタ20Aを取り外した状態で、ワークWの溶接ビードにピントが合うように、カメラ位置を調整し、その後、フィルタ20Aを取り付け、アーク溶接を行いながら、絞りや露光時間を調整する。しかし、この一連の作業には、人の判断が介在する。そのため、調整した人に依って、カメラの設定がばらついてしまう。
【0076】
一方、本実施の形態では、溶接領域WAにピントの合った画像Ifと、撮像距離の互いに異なる複数の画像Isとが対比される。これにより、複数の画像Isの中から、溶接領域WAにピントの合った画像Isを選択することができる。撮像装置20の撮像位置を、選択した画像Isが撮像されたときのカメラ位置Pi(合焦カメラ位置Po)に設定することにより、撮像装置20のピントを溶接領域WAに合わせることができる。本実施の形態では、撮像装置20の撮像位置を合焦カメラ位置Poに設定させる制御信号Saが生成される。これにより、撮像装置20の撮像位置の設定を、制御信号Saに基づいて撮像装置20の撮像位置を設定する調整機構30に担わせることができる。その結果、撮像装置20の撮像位置の設定に際して、人の判断が介在しなくなるので、撮像装置20の設定ばらつきを低減することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、画像Ifと各画像Isとの対比に際して、画像Ifに含まれる被写体と、各画像Isに含まれる被写体とのパターンマッチングが行われる。これにより、複数の画像Isの中で、画像Ifと各画像Isとの相違度が最小となる画像Isが選出され、選出された画像Isが撮像されたときの撮像装置20のカメラ位置Piに、撮像装置20が設定される。従って、人の判断が全く介在しないので、撮像装置20の設定ばらつきを低減することができる。
【0078】
<2.変形例>
上記実施の形態において、溶接電極14が、溶極式の電極であってもよい。また、上記実施の形態において、撮像装置20は、焦点位置の固定されたカメラであれば、単焦点カメラでなくても構わない。また、上記実施の形態において、撮像装置20は、倣い溶接に使用されることになっていたが、それ以外の用途に使用されることになっていても構わない。
【符号の説明】
【0079】
1…溶接ロボットシステム、10…マニピュレータ、11…ベース部材、12…多関節アーム部、12A…アーム、13…溶接トーチ、14…溶接電極、15…作業台、20…撮像装置、20A…フィルタ、30…調整装置、40…ロボット制御装置、41…制御部、42…サーボ制御部、43…通信部、44…記憶部、44A…制御ソフトウェア、44B…作業プログラム、44C…カメラ位置調整プログラム、44D…カメラ位置ファイル、50…ティーチペンダント、51…制御部、52…表示部、53…入力部、54…通信部、55…記憶部、55A…教示ソフトウェア、60…溶接機、70…画像処理装置、71…制御部、72…通信部、73…記憶部、73A…画像処理ソフトウェア、73B…画像ファイル、73C…設定ファイル、D1,D2…方向、I,Ir,Ir’,Is,It…画像、IR…電極反射像、L1〜L8…ケーブル、S1,S2…側面、W…ワーク、WB…溶接ビード、WL…溶接線、W…ワーク、WP…溶融池。
図1
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