(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-55616(P2016-55616A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】粘着テープを使用した書類綴じ具
(51)【国際特許分類】
B42B 5/04 20060101AFI20160328BHJP
B42F 13/00 20060101ALI20160328BHJP
B42B 9/06 20060101ALI20160328BHJP
B65H 35/07 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
B42B5/04
B42F13/00 Z
B42B9/06
B65H35/07 H
B65H35/07 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-195774(P2014-195774)
(22)【出願日】2014年9月8日
(71)【出願人】
【識別番号】507237417
【氏名又は名称】神門 徹
(72)【発明者】
【氏名】神門 徹
【テーマコード(参考)】
2C017
3F062
【Fターム(参考)】
2C017UA01
3F062AA12
3F062AB03
3F062BA01
3F062BC08
3F062BD02
3F062BD08
3F062BE02
3F062BE08
3F062BF03
3F062BF22
3F062BG05
3F062BG07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】入手しやすく、コストも低い粘着テープロールを使用して、簡単に書類を綴じることの出来る道具を提供する。
【解決手段】紙束にパンチで通し穴を開け、紙束の表裏を折り曲げられた粘着テープで覆い、穴部分の粘着面同士を圧接することで書類を綴じる方法を採用して、粘着テープをスリットに通したり輪にしたり、といった複雑な機構を廃し、パンチ機構と粘着テープの繰り出し機構とテープライナー2aを紙束に押し付ける圧接機構をひとつにまとめ、一回のハンドル操作で、パンチと紙束片面への粘着テープの貼付を可能とした。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙束の隅部に開けられ貫通した穴を粘着テープによって表と裏から塞ぎ、該粘着テープの粘着面同士を該穴部において圧接させて該紙束を綴じるための道具であって、該紙束に貫通穴を開けるパンチ機構と、巻回された粘着テープロールからテープライナーを引き出す繰り出し機構と、該テープライナーの端部を該紙束に押し付ける圧接機構とからなり、該パンチ機構と該繰り出し機構と該圧接機構が、ひとつのハンドルの操作によって同時並行的に動作することを特徴とする粘着テープを使用した書類綴じ具。
【請求項2】
前記パンチ機構は、前記ハンドルで押し下げられるパンチで前記紙束に前記貫通した穴を開けた後に、該ハンドルをさらに操作することによって該パンチを上昇させて該紙束から該パンチを抜くことを特徴とする請求項1項記載の粘着テープを使用した書類綴じ具。
【請求項3】
前記パンチ機構と前記繰り出し機構と前記圧接機構に加え、使用者によって所定の長さに引き出された前記テープライナーを切断するためのカッターを備え、該カッターは前記ハンドルを戻す操作によって動作することを特徴とする請求項1項記載の粘着テープを使用した書類綴じ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書類等の複数の紙葉の綴じ具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
書類を綴じる道具や装置は多く利用されている。例えば金属針を使用したステープラーは簡便な操作で確実な効果をもたらす。また、綴じられた書類をシュレッダーで裁断することや廃棄することを考慮して、紙製の針を使用するものもある。さらに粘着テープを、書類に開けたスリットに通し、粘着テープの輪をつくって綴じるものも知られている。
【0003】
これらのうち、粘着テープを使用するものは、綴じた跡が出っ張らず廃棄や裁断に際して容易であるため大きな利点を有し、専用の綴じ用テープを用いるタイプと汎用の粘着テープロールを使用するタイプの2種類が知られている。
【0004】
特許文献1は専用の綴じ用テープを使うもので、一定の長さに切断され裏面に粘着材が塗布された紙針が剥離紙上にならべられ巻回されたロールを使用する。
【0005】
特許文献2は、汎用の粘着テープロールから粘着テープを繰り出して紙束に開けられたスリットに通した後、その先端を再度、表面に折り返して粘着テープによる輪を作って綴じるものである。
【0006】
特許文献3は、粘着テープを一定の長さに切断し、両端を紙束の2箇所のスリットに通し、裏面で両端を折って紙に粘着させて綴じるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−39959号公報
【特許文献2】特開平7−195862号公報
【特許文献3】特開2000−25377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら特許文献1の例においては、専用の綴じ用テープの供給上の問題があり、また、綴じ用テープの製造コストも高い。
【0009】
特許文献2および特許文献3の例においては、粘着テープから引き出されたライナーの端部をスリットあるいは穴に通すための機構及び裏面で折り返す機構が必要で複雑になる。
【0010】
以上のように、従来知られている方法では、専用の綴じ用テープの必要性や複雑な機構によりコストが高い欠点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、粘着テープを使う綴じ方法として、紙束にパンチで通し穴を開け、紙束の表裏を折り曲げられた粘着テープで覆い、穴部分の粘着面同士を圧接することで書類を綴じる方法を採用して、粘着テープをスリットに通したり輪にしたり、といった複雑な機構を廃し、パンチ機構と粘着テープの繰り出し機構とテープライナーを紙束に押し付ける圧接機構をひとつにまとめ、一回のハンドル操作で、パンチと紙束片面への粘着テープの貼付を可能とした。
【0012】
さらに、ハンドルを押し下げて通し穴を穿ちテープライナーを粘着テープロールより引き出し紙束片面に貼り付けた後、ハンドルを握ったまま紙束を引き抜けるように、ハンドル操作でパンチを引き抜き復帰させる構成とした。
【0013】
さらに、ハンドルを握ったままで、紙束を引き抜きながら粘着テープを任意の長さまで引き出した後、ハンドルを戻すことにより引き出されたテープライナーを切断するカッターを作動させる構成とした。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成により、ハンドルを押し下げるだけの動作で、紙束への穴開けと粘着テープのテープライナー端部を紙束に仮止めする複数の工程が、簡単に実現できる。
【0015】
また、押し下げられて紙束を貫通したパンチを元の位置に復帰させることで、本体を持ち替える等の手間なしに、紙束を本体から引き抜くことが可能となる。
【0016】
さらに、引き抜いた紙束を片手で保持したまま、本体を動かして任意の長さのテープライナーを引き出した後、ハンドルを戻すだけで切断できるので、切断後、本体を保持していた手指で紙束の外側に伸びているテープライナーを折り返しすべての動作が完結する。
【0017】
以上のように、本発明の効果は明らかなものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の前提条件となる紙束を綴じる方法をしめした外観斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に於けるもうひとつの外観斜視図である。
【
図4】本発明の実施例に於ける一部分のハンドルの分解斜視図である
【
図5】本発明の実施例に於ける一部分のハンドルのもうひとつの分解斜視図である。
【
図6】本発明の実施例に於ける全体の分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施例に於ける使用時の斜視図である。
【
図8】
図7の部分拡大斜視図で構成要素となる部品だけを表している。
【
図9】本発明の実施例に於ける使用時のもうひとつの斜視図である。
【
図10】本発明の実施例に於けるカッター動作を示す斜視図で構成要素となる部品だけを表している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図を基に説明する。
【0020】
図1に本発明の前提条件となる、紙束を綴じる方法を示した。綴じる前と綴じられた後の二つの状態を上下に並べている。
紙束1の隅部に貫通した通し穴1aが開いている。任意の長さのテープライナー2aを、通し穴1aを覆うように紙束片面に粘着させ、右側に伸びた余長部分を折り返して紙束を挟むように裏側に粘着させる。通し穴1a部分の表裏を指で押さえて粘着面同士を圧接させることにより紙束1を綴じることができる。
【0021】
図2及び
図3によって概略構成を説明する。
本体3は、ベース30及びハンドル34及びロールホルダー37の主要部分からなる。ロールホルダー37は内側に粘着テープロール2を回転可能に保持し、ベース30に対して送りローラー回転中心305において軸支され、ロールホルダー静止位置4から反時計方向にわずかに回転することができる。
【0022】
ベース30に設けられたスリット301に紙束1(図示省略)を差し込む。また作用壁302が固定されている。
【0023】
図4及び
図5によってハンドル34の構成を説明する。
ベース30(図示省略)に軸支されるハンドル回転軸343はハンドル戻しバネ345を通した後、ハンドル本体340と一体に固定される。ハンドル回転軸343の一端にはラチェット爪343aが形成されている。ラチェット溝344aを有したハンドルギア344が勘合する。ハンドル本体340の一部を突出させてカッター突き出し部34aが形成されている。
【0024】
ハンドル本体3の裏面にはスライダー341がスライド可能に支持されており、スライダー戻しバネ342によって、左側に引っ張られている。スライダー341にはパンチ突き出し部341aと斜面部341bが形成されている。
【0025】
図6によって全体の詳細な構成を説明する。
【0026】
ベース30の前方(図で左下)にはカッター33が軸支されカッター回転中心307を軸として時計方向に回転可能である。カッター戻しバネ332がカッター33を常に反時計方向に付勢している。なお図示された状態ではカッター33は時計方向に回され規制された位置をとっている。
【0027】
パンチ31が上下方向に移動可能にベース30に支持されている。パンチ面はこの図では隠れている。パンチ戻しバネ32が常にパンチ31を上方に付勢している。
【0028】
送りローラー軸35にはシリコンリング351が嵌められテープライナー2aの粘着面に接触してテープライナー2aを繰り出す。送りローラー軸35は、まずロールホルダー37の送りローラー支持穴371(対面省略)に通され外側からフリクションバネ352を挿入した後、送りローラーギア353が嵌められて一体となる。
【0029】
押さえローラー軸36は、ロールホルダー37の押さえローラー支持穴372に嵌合し、そのテープライナー押さえ部362とシリコンリング351との間でテープライナー2aを挟み繰り出す。
【0030】
送りローラー軸35とフリクションバネ352と送りローラーギア353、及び押さえローラー軸36と押さえローラーギア361は、それぞれロールホルダー37に軸支されて一体となり、その後、ベース30に挿入されて、送りローラー回転中心305を軸としてわずかに全体がスイング可能となる。押さえローラーギア361のボス部363が角度規制穴308に入りスイング角度が規制される。前述したハンドル34にはハンドルギア344が嵌められた後、ベース30に挿入され、ハンドル回転中心304を軸として回転可能となる。
ブラケット303はハンドル34をベース30に挿入したあとから図示の位置で固定され、ハンドルに当接して角度を規制する。ハンドル戻しバネ345によって、ハンドル34は反時計方向に付勢されている。
【0031】
以上により本体3が組み立てられ、ハンドルギア344と送りローラーギア353と押さえローラーギア361は噛合する。
【0032】
図5及び
図6及び
図7によって動作を説明する。
紙束1をスリット301に挿入した後、ハンドル34をパンチ角度5分だけ押し下げると、スライダー341のパンチ突き出し部341aが、パンチ31のフランジ面31aを押し、パンチ341が下降し紙束1に貫通穴を開ける。同時にハンドルギア344は送りローラーギア353を回転駆動するが、送りローラーギア353とロールホルダー37の間にはフリクションバネ352が作用しているので、まずテープホルダー37が反時計方向にスイングさせられた後、送りローラーギア353と押さえローラーギア361が噛み合って回転する。
【0033】
上述のテープホルダー37のスイングによって、押さえローラー軸36のテープライナー押さえ部362が、テープライナー2aを紙束1に圧接させる。
【0034】
同時に、テープライナー2aは繰り出されるので、繰り出された分が連続して紙束1aに粘着する。以上でパンチ機構および繰り出し機構及び圧接機構が実現する。
【0035】
図3及び
図5及び
図8によってパンチ31の戻り動作を説明する。
ハンドル34はパンチ押し下げ位置5aでパンチ31を最下点まで押し下げるが、さらにハンドル34をパンチ逃がし角度6分だけ動かすと、スライダー341の斜面部341bが、ベース30の作用壁302で押されて
図8における右方向にスライドし、パンチ突き出し部341aがフランジ面31から外れるため、パンチ31は、パンチ戻しバネ31によって上昇し、通し穴1aから抜ける。
【0036】
図9に示すように、本体3は使用者の手8に握られたまま右側に動かされ、テープライナー2aは折り返すのに十分な長さに引き出される。尚そのとき、もう一方の使用者の手8は紙束1を保持している。この時、送りローラー軸35及び押さえローラー軸36が移動するテープライナー2aによって回されハンドルギア343に回転が伝わるが、ラチェット溝344aとラチェット爪343aによって、ハンドル34には回転力が伝わらない。
さらに、テープライナー2aがテープライナー押さえ部(図示省略)を左側に押すので、ロールホルダー37はロールホルダー静止位置4(図示省略)まで戻される。
【0037】
図3及び
図4及び
図6及び
図9及び
図10によってカッター33の作動を説明する。
ハンドル34が
図3に示す位置にあるときは、カッター33は
図10に示す角度位置にあるが、ハンドル34が押し下げられると、そのカッター突き出し部34aが、カッター33の当接部331を押して、カッター33は
図6の角度位置をとる。
【0038】
操作の最後に、本体3を握って保持している使用者の手8を話すと。ハンドル34が戻り、カッター突き出し部34aが後退するので、カッター戻しバネ332によってカッター33が回され、テープライナー2aを切断する。尚、このカッター33の動作は、ロールホルダー37がロールホルダー静止位置4(図示省略)まで戻ることで生じるテープライナー押さえ部362(図示省略)直下の隙間を通るので、切断後に残されているテープライナー2aはテープライナー押さえ部362の下に大きくでることが無く、次回の使用に際して問題を生じない。
【0039】
以上のように本実施例によって本発明が実現される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上述べたように、本発明によって広く市販されている粘着テープを使用して書類等の紙束を綴じることが簡単な操作で可能になる。この綴じ方は、例えば色違いの粘着テープによる分類上のわかりやすさや、粘着テープ表面に印刷を施すことによる訴求効果といった使用上の利点だけに留まらず、金属不使用による安全性あるいは廃棄の容易性も優れるので、本発明は特定分野に留まらず広く産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0041】
1 紙束
2 粘着テープロール 2a テープライナー
3 本体
30 ベース
301 スリット 302 作用壁
303 ブラケット 304 ハンドル回転中心
305 送りローラー回転中心 306 押さえローラー回転中心
307 カッター回転中心 308 角度規制穴
31 パンチ 31a フランジ面
32 パンチ戻しバネ
33 カッター
331 当接部 332 カッター戻しバネ
34 ハンドル 34a カッター突き出し部
340 ハンドル本体 341 スライダー
341a パンチ突き出し部 341b 斜面部
342 スライダー戻しバネ 343 ハンドル回転軸
343a ラチェット爪 344 ハンドルギア
344a ラチェット溝 345 ハンドル戻しバネ
35 送りローラー軸
351 シリコンリング 352 フリクションバネ
353 送りローラーギア
36 押さえローラー軸
361 押さえローラーギア 362 テープライナー押さえ部
363 ボス
37 ロールホルダー
371 送りローラー軸支時穴 372 押さえローラー軸支時穴
4 ロールホルダー静止位置
41 ロールホルダー倒れ角度
5 パンチ角度 5a パンチ押し下げ位置
6 パンチ逃がし角度
7 カッター作動方向
8 使用者の手