特開2016-55975(P2016-55975A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田 喜昭の特許一覧

<>
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000003
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000004
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000005
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000006
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000007
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000008
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000009
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000010
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000011
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000012
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000013
  • 特開2016055975-配送伝票表示装置及び受け箱 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-55975(P2016-55975A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】配送伝票表示装置及び受け箱
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20160328BHJP
【FI】
   B65G61/00 524
   B65G61/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-183054(P2014-183054)
(22)【出願日】2014年9月9日
(71)【出願人】
【識別番号】505038357
【氏名又は名称】豊田 喜昭
(74)【代理人】
【識別番号】100144130
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 実
(72)【発明者】
【氏名】豊田 喜昭
(57)【要約】
【課題】アラビア数字を用いずに数字を正確に認識することが可能になるため、誤配を防止することができると共に、配達員を含む第三者に対し個人情報を知られることなく受取人及び送り主を示すことができる配送伝票表示装置を提供する。
【解決手段】配送伝票表示装置1は、受取人及び送り主の情報を示すものであり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種の各数字に対する少なくとも10種の図形が予め規定されていて、配送物の受取人及び送り主を示す情報として、郵便番号を図形で表現した郵便番号図形表示21、集配センター番号及びサテライト番号を図形で表現した集配センター番号図形表示22及びサテライト番号図形表示23、受け箱番号を図形で表現した受け箱番号図形表示25、並びに、個人番号を図形で表現した個人番号図形表示26を、書き換え可能な表示部2に表示させるものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送物の受取人を示す情報として、前記受取人の住所の郵便番号、前記受取人の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記受取人の住所に設置された受け箱を示す受け箱番号、及び、前記受取人の受け箱を使用する人の中で前記受取人に対して予め付与された前記受取人の個人番号を少なくとも含んでいる受取人識別番号を無線で受信すると共に、前記配送物の送り主を示す情報として、前記送り主の住所の郵便番号、前記送り主の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記送り主の住所に設置された受け箱を示す受け箱番号、及び、前記送り主の受け箱を使用する人の中で前記送り主に対して予め付与された前記送り主の個人番号を少なくとも含んでいる送り主識別番号を無線で受信する無線通信部と、
前記無線通信部の受信した前記受取人識別番号及び前記送り主識別番号を記憶する記憶部と、
表示内容を書き換え可能な表示部と、
0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種の各数字に対する少なくとも10種の図形が予め規定されていて、前記記憶部に記憶されている前記受取人識別番号及び前記送り主識別番号の各数字を、前記図形を用いて表現した受取人識別番号図形表示及び送り主識別番号図形表示を、前記表示部に表示させる制御部とを、
備えることを特徴とする配送伝票表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記図形として、数字「1」を「∧」の形状で表し、数字「2」を「∧」を右回りに90°回転させた形状で表し、数字「3」を「∧」を180°回転させた形状で表し、数字「4」を「∧」を右回りに270°回転させた形状で表し、数字「5」を「/」の形状で表し、数字「9」を「▽」の形状で表し、数字「8」を「▽」を右回りに90°回転させた形状で表し、数字「7」を「▽」を180°回転させた形状で表し、数字「6」を「▽」を右回りに270°回転させた形状で表し、数字「0」を「×」を含む形状で表して、前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の配送伝票表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記配送物の管理に必要な温度情報、及び、前記配送物の配送に要求される配送スピード情報の少なくとも一方を、前記表示部に図形で表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の配送伝票表示装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記送り主識別番号図形表示から前記受取人識別番号図形表示に向かう方向で矢印の図形を前記表示部に表示させ、前記無線通信部の受信したコマンドに基づいて、前記矢印の方向を逆向きに変更表示可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の配送伝票表示装置。
【請求項5】
前記配送物を収容するための収容部を有すると共に、この収容部を施錠可能な電気錠が設けられている携帯型の配送容器を備え、
前記電気錠は、前記制御部によって施錠及び開錠が制御されていて、
前記制御部は、前記無線通信部の受信したコマンドに基づいて、前記電気錠を開錠することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の配送伝票表示装置。
【請求項6】
受取人の住所の郵便番号、前記受取人の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記受取人の住所に設置された受け箱を示す受け箱番号、及び、前記受取人の受け箱を使用する人の中で前記受取人に対して予め付与された前記受取人の個人番号を少なくとも含んで受取人識別番号が決められており、
0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種の各数字に対する少なくとも10種の図形が予め規定されていて、
前記受取人識別番号の各数字を前記図形を用いて表現した受取人識別番号図形表示が表示部に表示されている配送伝票表示装置を用いて配達される配送物の受け箱であって、
前記配送物を入れるための入口扉と、
前記入口扉に設けられた電気錠と、
デジタルカメラと、
前記デジタルカメラが撮像した前記表示部のデジタル写真を画像処理して前記受取人識別番号図形表示を検出し、前記受取人識別番号に変換して出力する画像処理部と、
その受け箱の住所の郵便番号、前記受け箱の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記受け箱を示す受け箱番号を予め記憶する記憶部と、
前記画像処理部の出力する前記受取人識別番号に含まれる郵便番号、配送用施設番号、及び受け箱番号と、前記記憶部に記憶されている前記受け箱の郵便番号、配送用施設番号、及び受け箱番号とを比較して、一致しているときに前記電気錠を開錠させる制御部とを、
備えることを特徴とする受け箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送物に受取人及び送り主の情報を表示するための配送伝票表示装置、及びこの配送伝票表示装置の配達に適した受け箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
郵便物、宅配物(宅配便貨物)などの配送物には、受取人及び送り主の郵便番号、住所、氏名等の情報が文字で記載されている。郵便番号は現在7桁のアラビア数字によって表されている。郵便局等では、郵便番号をOCR(光学文字認識)により読み取って、自動的に仕分けを行う区分機が用いられている。
【0003】
OCRでは数字の判別が難しい場合がある。例えば、数字の「1」、「7」、「9」は筆跡が類似しやすいため、何れの数字であるか判別できない場合がある。同様に、数字の「3」、「8」の筆跡が類似することや、数字の「4」、「6」の筆跡が類似することがある。これら数字は手書きの場合に特に筆跡が類似しやすくなるが、印字した場合であっても筆跡(フォント形状)が類似してしまう場合もある。区分機が郵便番号の読み取りを誤ると、誤配(誤配達)の原因になりかねない。そこで、誤配ゼロを目指すために、区分機で区分した後に、全ての郵便物を人間が目視で道順組立することが行われている。
【0004】
しかしながら、目視で郵便物の手区分を行っても、数字を見誤ってしまう場合があり得る。それは、形状が類似しやすいアラビア数字特有の問題であると考えられる。
【0005】
又、配送物の受取人及び送り主の氏名を含む情報は個人情報である。配達伝票が第三者に見られてしまうと個人情報が一目瞭然に分かってしまう。特に女性や有名人などは、第三者はもちろん例え配達員に対してであっても、個人情報を知られたくないと思っている人が多い。
【0006】
例えば特許文献1には、送り主及び受取人を数字で示した送り主用識別番号及び相手先識別番号を配送伝票等に表示する配達システムが記載されている。この配達システムでは、配送伝票には識別番号しか記載されていないので、輸送途中に第三者に個人情報を知られることを防止できる。しかしながら、配達先に届けるときに、送り主情報及び配達先情報をプリンターで印字するため、配達員に対しては個人情報が知られてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−53694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、アラビア数字を用いずに数字を正確に認識することが可能になるため誤配を防止することができると共に、配達員を含む第三者に対して個人情報を知られることなく受取人及び送り主を示すことができる配送伝票表示装置を提供することを目的とする。又、配送伝票表示装置の配達に適しており、誤配を防止できる受け箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特許請求の範囲の請求項1に記載された配送伝票表示装置は、配送物の受取人を示す情報として、前記受取人の住所の郵便番号、前記受取人の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記受取人の住所に設置された受け箱を示す受け箱番号、及び、前記受取人の受け箱を使用する人の中で前記受取人に対して予め付与された前記受取人の個人番号を少なくとも含んでいる受取人識別番号を無線で受信すると共に、前記配送物の送り主を示す情報として、前記送り主の住所の郵便番号、前記送り主の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記送り主の住所に設置された受け箱を示す受け箱番号、及び、前記送り主の受け箱を使用する人の中で前記送り主に対して予め付与された前記送り主の個人番号を少なくとも含んでいる送り主識別番号を無線で受信する無線通信部と、前記無線通信部の受信した前記受取人識別番号及び前記送り主識別番号を記憶する記憶部と、表示内容を書き換え可能な表示部と、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種の各数字に対する少なくとも10種の図形が予め規定されていて、前記記憶部に記憶されている前記受取人識別番号及び前記送り主識別番号の各数字を、前記図形を用いて表現した受取人識別番号図形表示及び送り主識別番号図形表示を、前記表示部に表示させる制御部とを、備えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、受取人及び送り主を識別番号で特定することが可能であるので、配達人を含む第三者に対して個人情報を知られることなく、配送物の配達を行うことができる。さらに、数字を図形で表すことで、数字を正確に認識することが可能になるため、誤配を防止することができる。
【0011】
請求項2に記載された配送伝票表示装置は、請求項1に記載のものであり、前記制御部は、前記図形として、数字「1」を「∧」の形状で表し、数字「2」を「∧」を右回りに90°回転させた形状で表し、数字「3」を「∧」を180°回転させた形状で表し、数字「4」を「∧」を右回りに270°回転させた形状で表し、数字「5」を「/」の形状で表し、数字「9」を「▽」の形状で表し、数字「8」を「▽」を右回りに90°回転させた形状で表し、数字「7」を「▽」を180°回転させた形状で表し、数字「6」を「▽」を右回りに270°回転させた形状で表し、数字「0」を「×」を含む形状で表して、前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0012】
これら各図形は、シンプルな形状であり、それぞれが見誤りにくい形状である。したがって、アラビア数字を使用する場合よりも、数字を正確かつ確実に認識することができ、誤配を効果的に防止することができる。
【0013】
請求項3に記載された配送伝票表示装置は、請求項1又は2に記載のものであり、前記制御部は、前記配送物の管理に必要な温度情報、及び、前記配送物の配送に要求される配送スピード情報の少なくとも一方を、前記表示部に図形で表示させることを特徴とする。
【0014】
図形は、一目瞭然に認識できるため、これら情報を直感的に直ちに理解することができる。
【0015】
請求項4に記載された配送伝票表示装置は、請求項1から3のいずれかに記載のものであり、前記制御部が、前記送り主識別番号図形表示から前記受取人識別番号図形表示に向かう方向で矢印の図形を前記表示部に表示させ、前記無線通信部の受信したコマンドに基づいて、前記矢印の方向を逆向きに変更表示可能であることを特徴とする。
【0016】
矢印は見やすく分かりやすいため、何れが受取人であるか送り主であるかを一目瞭然に認識することができる。又、矢印の方向を逆方向にすることで、受取人を送り主に変更できるため、次回使用するときに、自らの識別番号を新たに入力することなく、送り主に変更して使用することができる。
【0017】
請求項5に記載された配送伝票表示装置は、請求項1から4のいずれかに記載のものであり、前記配送物を収容するための収容部を有すると共に、この収容部を施錠可能な電気錠が設けられている携帯型の配送容器を備え、前記電気錠は、前記制御部によって施錠及び開錠が制御されていて、前記制御部は、前記無線通信部の受信したコマンドに基づいて、前記電気錠を開錠することを特徴とする。
【0018】
受取人は設定用の無線機器を使って収容容器の電気錠を開錠できるため、鍵が不要になり便利である。又、例えば、配送伝票表示装置が受け箱に収容されたときに受け箱の無線機器によって収容容器を開錠させてもよい。この場合、受取人は自らが開錠作業を行わなくてもよいため、手間が省け便利である。
【0019】
請求項6に記載された受け箱は、受取人の住所の郵便番号、前記受取人の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記受取人の住所に設置された受け箱を示す受け箱番号、及び、前記受取人の受け箱を使用する人の中で前記受取人に対して予め付与された前記受取人の個人番号を少なくとも含んで受取人識別番号が決められており、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種の各数字に対する少なくとも10種の図形が予め規定されていて、前記受取人識別番号の各数字を前記図形を用いて表現した受取人識別番号図形表示が表示部に表示されている配送伝票表示装置を用いて配達される配送物の受け箱であって、前記配送物を入れるための入口扉と、前記入口扉に設けられた電気錠と、デジタルカメラと、前記デジタルカメラが撮像した前記表示部のデジタル写真を画像処理して前記受取人識別番号図形表示を検出し、前記受取人識別番号に変換して出力する画像処理部と、その受け箱の住所の郵便番号、前記受け箱の住所を管轄する配送用施設を示す配送用施設番号、前記受け箱を示す受け箱番号を予め記憶する記憶部と、前記画像処理部の出力する前記受取人識別番号に含まれる郵便番号、配送用施設番号、及び受け箱番号と、前記記憶部に記憶されている前記受け箱の郵便番号、配送用施設番号、及び受け箱番号とを比較して、一致しているときに前記電気錠を開錠させる制御部とを、備えることを特徴とする。
【0020】
この場合、配送伝票表示装置が配達先として正しい受取人の受け箱に配達されるときに入口扉が開き、配達先として誤った受け箱では入口扉が開かないので、誤配を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の配送伝票表示装置によれば、アラビア数字を用いずに数字を正確に認識することが可能になるため、誤配を防止することができると共に、配達員を含む第三者に対し個人情報を知られることなく受取人及び送り主を示すことができる。又、本発明の受け箱によれば、配送伝票表示装置と組み合わせて使用することで、誤配を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明を適用する配送伝票表示装置の平面図である。
図2】本発明を適用する配送伝票表示装置を使用する配送システムの構成例を示す概要図である。
図3】本発明を適用する配送伝票表示装置に表示する数字を示す図形である。
図4】本発明を適用する配送伝票表示装置に表示する数字「0」を示す他の図形の例である。
図5図3図4に表した数字を示す図形の表現方法の説明図である。
図6】本発明を適用する配送伝票表示装置に表示する温度図形表示、配送スピード図形表示、及び温度・配送スピード図形表示である。
図7】本発明を適用する配送伝票表示装置の別の表示例である。
図8】インターネットに接続されたデータベースの使用状態を示す説明図である。
図9】本発明を適用する他の配送伝票表示装置の斜視図である。
図10】本発明を適用する他の配送伝票表示装置の電気的なブロック図である。
図11】本発明を適用する他の配送伝票表示装置に適した受け箱の斜視図である。
図12】本発明を適用する他の配送伝票表示装置に適した受け箱の電気的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
【0024】
図1に示す配送伝票表示装置1は、郵便物、宅配物などの配送物の受取人の情報及び送り主の情報を、氏名(個人情報)を示すことなく表示すると共に、視認しやすい形状の図形を用いて表示するものである。配送伝票表示装置1は、配送物又はその収容容器に付されて配送物と共に配達される。
【0025】
配送伝票表示装置1は、全体的に薄いシート状に形成されており、外部から視認可能に設けられた表示部2、並びに、内部に設けられた無線通信部3、アンテナ4、記憶部5、制御部6、及び電源7を備えている。表示部2は、電気的な制御で表示を書き換え可能なものであり、例えばフレキシブル性を有する液晶表示フィルムである。無線通信部3は、無線によりデータの送受信が可能なもので、後述する受取人識別番号及び送り主識別番号や、制御用のコマンド(命令)を受信する。アンテナ4は、例えば銅箔パターンによってループアンテナ形状に形成されていて、無線通信部3に接続されている。記憶部5は、半導体メモリーである。制御部6は、表示部2の表示の制御、無線通信部3の送受信の制御、受信内容の判別、及び、記憶部5の読み書き制御などの各部の制御を行う。制御部6は、無線通信部3の受信した受取人識別番号及び送り主識別番号を記憶部5に記憶させる。無線通信部3、記憶部5、及び制御部6として、ICタグに用いられているような1チップで形成された半導体ICを用いることが好ましい。電源7は、各部の動作用の電池である。電源7として、太陽電池及び二次電池を用いてもよい。
【0026】
図1に示すように、表示部2には、受取人及び送り主の情報を表示する情報表示領域11、12、及び矢印13を、制御部6が表示させる。矢印13は、情報表示領域11、12の間に表示させる。矢印13の方向で、何れの情報表示領域11、12が受取人であるか送り主であるかを示す。同図の例では、矢印13の示す先に表示された情報表示領域11が受取人の情報であり、情報表示領域12が送り主の情報である。矢印13の方向は、無線通信部3の受信したコマンドに基づいて、制御部6が変更して表示可能である。
【0027】
本発明の特徴は、受取人及び送り主の情報として、それぞれ複数の数字で表現した識別番号を用いると共に、配送伝票表示装置1の表示部2(情報表示領域11、12)には、これら識別番号の各数字をアラビア数字ではなく、予め決められた特定の図形で数字を表現した識別番号図形表示20を表示するという点にある。つまり、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10種の各数字に対応する少なくとも10種の図形が予め設定(規定)されていて、制御部6は、記憶部5に記憶されている受取人識別番号及び送り主識別番号の各数字を読み込んで、図形を用いて受取人識別番号図形表示及び送り主識別番号図形表示を表して、表示部2に表示させる。図形には、記号が含まれるものとする。なお、本明細書では、受取人の識別番号を受取人識別番号、送り主の識別番号を送り主識別番号、受取人の識別番号図形表示を受取人識別番号図形表示、送り主の識別番号図形表示を送り主識別番号図形表示ともいう。
【0028】
図2に、識別番号の付与方法を示すために、配送伝票表示装置1を使用する配送システムの構成例を示す。同図に示すように、この配送システムでは、郵便番号がカバーする住所エリア内に、配送用施設として1以上の集配センター(上位局)が設けられている。各集配センターには、個別に識別可能な集配センター番号が予め付与されている。集配センター番号は一例として2桁の番号で表される。集配センターの下位層に当たる配送用施設として、1以上のサテライト(下位局)が設けられている。各サテライトには、個別に識別可能なサテライト番号が予め付与されている。サテライト番号は一例として5桁の番号で表される。サテライトの下位層には、受取人(又は送り主)の住所(すなわち各家庭や会社)に設置されている受け箱がある。受け箱は配送物を配達するための箱である。受け箱には、個別に識別可能な受け箱番号が予め付与されている。受け箱番号は一例として4桁の番号で表される。受け箱を使用する人には、個人を識別可能な個人番号が予め付与されている。個人番号は、受け箱を使用する人同士の中で個人を特定可能であればよいので、受け箱ごとに任意の番号を付与できる。個人番号は一例として2桁の番号で表される。郵便番号から受け箱までの配送用施設の階層の数(深さ)や名称、各番号の桁数は適宜変更してもよい。なお、集配センター及びサテライトが、本発明における受取人(又は送り主)の住所を管轄する配送用施設に当たり、集配センター番号及びサテライト番号が、配送用施設番号に相当する。
【0029】
このように、郵便番号から個人番号までを階層構造化して示す配送システムでは、受取人の住所を示す郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号、及び受取人の個人番号を少なくとも含んでいる受取人識別番号を用いることで、受取人の住所及び氏名を文字で表示することなく、受取人を示すことができる。同様に、送り主の住所を示す郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号、及び送り主の個人番号を少なくとも含んでいる送り主識別番号を用いることで、送り主を示すことができる。
【0030】
図1に示すように、情報表示領域11、12には、識別番号図形表示20を、一例として横3列で表示させる。識別番号図形表示20には、上下の判別ができるように各列の図形の数や位置を異ならせて配分して表示させることが好ましい。例えば、各列には、図形を表示するための四角形状の枠Wを一列につき7個表示させる。3列の内の一番上の1列目は、7個の枠Wを3個と4個に「−」で分けて表示させる。2列目は、7個の枠Wを2個と5個に「−」で分けて表示させる。3列目は、7個の枠Wを1個と4個と2個に「−」で分けて表示させる。このように表示すると、識別番号図形表示20(配送伝票表示装置1)の上下を逆にしたときに、枠Wの配分が変わるため、上下の判別を行うことができる。例えば枠Wが3個と4個に「−」で分けて表示されている方が1列目(上)であることが分かる。枠Wを他の配分で配置してもよい。なお、枠W自体は常に表示されるので、液晶等で表示させずに印刷等で表示させてもよい。
【0031】
識別番号図形表示20を横3列で示す場合、一例として、1列目には、郵便番号の各数字を図形で表現した郵便番号図形表示21を表示させる。2列目には、集配センター番号及びサテライト番号の各数字を図形で表現した集配センター番号図形表示22及びサテライト番号図形表示23を表示させる。3列目には、受け箱番号の各数字を図形で表現した受け箱番号図形表示25、及び個人番号の各数字を図形で表現した個人番号図形表示26を表示させる。
【0032】
又、3列目には、配送物の管理に必要な温度情報、及び、配送物の配送に要求される配送スピード情報の少なくとも一方の情報を、図形で表現した温度・配送スピード図形表示24cを使用して表示させることが好ましい。配送物の管理に必要な温度情報とは、配送物の保管時や輸送時に配送物をどのような温度で管理すべきかを示すもので、例えば、「低温」、「常温」、「高温」を示す情報である。配送スピード情報は、例えば、「速達」、「普通」、配達速度に制限がない「フリー」を示す情報である。これらは、オプション的な表示であるため、表示は無くてもよい。又、他のオプション的な情報を図形で表示させてもよい。温度・配送スピード図形表示24cの表示位置を別の位置に適宜変更してもよい。
【0033】
図3に、0〜9のアラビア数字に対応する10種の図形の具体例を示す。同図に示すように、数字「1」は「∧」の形状で枠Wの下半分に表し、数字「2」は「∧」を右回りに90°回転させた形状で枠Wの左半分に表し、数字「3」は「∧」を180°回転させた形状で枠Wの上半分に表し、数字「4」は「∧」を右回りに270°回転させた形状で枠Wの右半分に表す。数字「5」は「/」の形状で表す。数字「9」は「▽」の形状で枠Wの上半分に表し、数字「8」は「▽」は右回りに90°回転させた形状で枠Wの右半分に表し、数字「7」は「▽」を180°回転させた形状で枠Wの下半分に表し、数字「6」は「▽」を右回りに270°回転させた形状で枠Wの左半分に表す。数字「0」は「×」の形状で表す。
【0034】
図3に示す図形は、足し合わせて10になる2つの数字を示す図形同士を1つの枠W内に表示したときに、数字「0」を示す「×」を含む形状が形成されるように形状及び向きが設定されている。例えば、数字「1」を表す枠Wの下半分の「∧」の形状と、数字「9」を表す枠Wの上半分の「▽」の形状とを同じ枠W内に表示すると、「×」を含む形状が現れる。配達員はこれら図形の意味する数字を覚える必要があるが、上記のように数字に対する図形の形状に特定の規則性を持たせたことで、各数字に対する図形が覚えやすくなる。
【0035】
なお、図4に示すように、数字「0」を(1)〜(4)に示す図形で表してもよい。図3図4に示した数字「0」を表す5種類の図形のうちのいずれか1種類のみを用いてもよいし、5種類のうちのいずれの図形を用いるかによって特定の意味を付加するようにしてもよい。例えば、数字「0」として通常は図3に示した図形を用いるが、「親展」を表すときには数字「0」に図4(1)〜(4)のいずれかの図形を用いるようにしてもよい。つまり少なくとも10種の図形を用いれば数字の0〜9を表すことができるが、10種よりも多い図形を用いることで、数字「0」に限らず特定又は全ての数字に対し複数の図形を割り当てて使用することができる。したがって、各数字に対していずれの図形を用いるかによって特定の意味を付加することができる。
【0036】
図3図4に示すように、各図形はシンプルな形状であり、それぞれを見誤りにくい形状である。したがって、アラビア数字を使用する場合よりも、数字を正確かつ確実に認識することができ、誤配を効果的に防止することができる。
【0037】
各図形を枠W内に配置する位置(下半分、右半分、上半分、左半分)を規定せず、各図形を枠W内の任意の位置に任意の大きさで表示するようにしてもよい。又、数字を異なる形状の図形で表してもよい。
【0038】
なお、図3に示した各図形は、次のように表現することができる。図5に示すように、枠Wの内側に、9個の図形描画用ポイントa、b、c、d、e、f、g、h、iを設定しておく。9個の図形描画用ポイントは、枠W内に、縦3列×横3行のマトリクス状に配置されている。枠W内の下側に横に並べて図形描画用ポイントa、b、cが配置され、枠W内の中程に横に並べて図形描画用ポイントd、e、fが配置され、枠W内の上側に横に並べて図形描画用ポイントg、h、iが配置されている。図形描画用ポイントeが枠Wの中央に配置されている。図形描画用ポイントa、c、i、gが四隅に位置して形成される四角形は、枠Wよりも小さな大きさになっている。
【0039】
数字「1」を表す図形は、図形描画用ポイントa→e→cの順で繋いだ図形である。数字「2」を表す図形は、図形描画用ポイントg→e→aの順に繋いだ図形である。数字「3」を表す図形は、図形描画用ポイントg→e→iの順に繋いだ図形である。数字「4」を表す図形は、図形描画用ポイントi→e→cの順に繋いだ図形である。数字「5」を表す図形は、図形描画用ポイントi→e→aの順に繋いだ図形である。数字「6」を表す図形は、図形描画用ポイントg→e→a→gの順に繋いだ図形である。数字「7」を表す図形は、図形描画用ポイントc→e→a→cの順に繋いだ図形である。数字「8」を表す図形は、図形描画用ポイントi→e→c→iの順に繋いだ図形である。数字「9」を表す図形は、図形描画用ポイントi→e→g→iの順に繋いだ図形である。なお、スタートする図形描画用ポイントや、線を描く順序(この順で描くか、逆順で描くか、右回りに描くか、左回りに描くか)等は適宜変更してもよい。
【0040】
同様に、図4(1)に示した数字「0」を表す図形は、図形描画用ポイントa→i→g→cの順に繋いだ図形である。図4(2)に示した数字「0」を表す図形は、図形描画用ポイントg→c→i→aの順に繋いだ図形である。図4(3)に示した数字「0」を表す図形は、図形描画用ポイントg→c→a→iの順に繋いだ図形である。図4(4)に示した数字「0」を表す図形は、図形描画用ポイントi→a→g→cの順に繋いだ図形である。
【0041】
各図形は、枠Wの中央に位置する図形描画用ポイントeを必ず通るように設定されている。なお、手書き用の配送伝票や手書き用の葉書、封筒の場合、少なくとも枠Wの中央に図形描画用ポイントeが印刷等で表示されていると、その図形描画用ポイントeを通るように図形を描けばよいという目安が出来るので、手書きであっても図形の形状を正確に描くことができる。図形描画用ポイントa、b、c、d、e、f、g、h、iの全てを枠Wに表示しておくと、各図形を手書きで一層描き易くなる。任意の一部の図形描画用ポイントだけを表示させてもよい。また、各図形の形状を破線等で示すガイド線Xを表示させておくことで、各図形を手書きで一層描きやすくなる。したがって、描いた図形の形状が崩れにくくなり、図形の形状の判別が容易になる。
【0042】
図6に、温度図形表示24a、配送スピード図形表示24b、及び温度・配送スピード図形表示24cの表示例を示す。同図に示すように、温度情報を示す温度図形表示24aは、「低温」は枠Wの下部に位置する横線図形、「常温」は枠Wの中程に位置する横線図形、「高温」は枠Wの上部に位置する横線図形で示す。配送スピード情報を示す配送スピード図形表示24bは、「速達」は枠Wの左部に位置する縦線図形、「普通」は枠Wの中程に位置する縦線図形、「フリー」は枠Wの右部に位置する縦線図形で示す。温度情報と配送スピード情報との両方を示すときは、両情報を示す図形を枠Wに一緒に表示させた温度・配送スピード図形表示24cを表示すればよい。例えば、同図の右側に示すように、「常温」及び「普通」を示すときは、横線と縦線を合わせた「+」の形状の図形を枠Wに表示させる。温度・配送スピード図形表示24cは、受取人側に表示することが好ましいが、送り主側に示してもよい。
【0043】
なお、図7に示すように、温度図形表示24aと、配送スピード図形表示24bとを別々の枠Wに表示させてもよい。同図に示す識別番号図形表示20a、温度図形表示24a、及び配送スピード図形表示24bは、1列目に、郵便番号図形表示21を表示させ、2列目に、集配センター番号図形表示22、配送スピード図形表示24b、及びサテライト番号図形表示23aをこの順に「−」で分けて表示させると共に、3列目に、温度図形表示24a、受け箱番号図形表示25、及び個人番号図形表示26をこの順に「−」で分けて表示させた例である。この例では、サテライト番号図形表示23aを4桁の番号で表現している。同図の例であっても、枠Wを3個と4個に分けて表示されている郵便番号図形表示21が上側であることが分かる。温度図形表示24a及び配送スピード図形表示24bを表示させる列や列内の位置は、適宜変更してもよい。
【0044】
次に、この配送伝票表示装置1の使用方法について説明する。
【0045】
受取人及び送り主の識別番号は、以下のようにデータベース化しておくことで、誰でも簡単に調べることができる。
【0046】
図8に示すように、住所及び氏名に対応させて、郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号、個人番号をホストコンピュータにデータベース化しておく。ホストコンピュータをインターネットに接続しておくことで、誰でもスマートフォン(インターネット接続可能な多機能携帯電話)やコンピュータを使ってインターネットに接続することで、データベースを利用することができる。
【0047】
識別番号の内の郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号については、住所に関する番号であるので、集配業者が予め住所に対応付けてデータベースに予め登録しておく。送り主、受取人等の利用者がこれら番号を自分でデータベースに登録してもよい。一方、個人番号は個人情報として重要な氏名に対応するものであるため、利用者が氏名に対応付けて自分で個人番号をデータベースに登録する。利用者はデータベースに登録された個人番号をいつでも変更することができる。
【0048】
送り主は、送り主及び受取人の住所及び氏名を知っている。送り主は、送り主及び受取人の住所及び氏名をデータベースに入力し検索することで、送り主及び受取人の識別番号を知ることができる。なお、個人情報を保護するために、データベースに識別番号を入力しても氏名の検索ができないようにしておく。郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号については、住所に関する番号であるので、配達員が配達を行う必要性から、データベースで検索して集配センター、サテライト、受け箱の住所が分かるようにしてもよい。
【0049】
送り主は、配送伝票表示装置1と無線通信可能な無線機器を使い、データベースから得た受取人及び送り主の識別番号を配送伝票表示装置1に無線送信する。又、送り主は、無線機器を使い、温度情報及び配送スピード情報を配送伝票表示装置1に無線送信する。配送伝票表示装置1(制御部6)は、無線通信部3が受信した受取人及び送り主の識別番号、並びに温度情報及び配送スピード情報を、記憶部5に記憶する。続いて、配送伝票表示装置1は、受取人及び送り主の識別番号、並びに温度情報及び配送スピード情報を、図形で表現して、受取人及び送り主の識別番号図形表示20、並びに温度・配送スピード図形表示24cを表示部2に表示する。なお、温度情報及び配送スピード情報を変更しない場合には、温度・配送スピード図形表示24cを無線で変更可能にせずに、表示部2に固定的に表示するようにしてもよい。
【0050】
配送伝票表示装置1は、スマートフォンと無線通信できる無線通信部3を備えることが好ましい。スマートフォンは、携帯電話回線、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等と無線通信できる機能を有している。配送伝票表示装置1の無線通信部3が、スマートフォンのいずれかの無線通信機能に対応することで、スマートフォンを無線機器として使い、配送伝票表示装置1に対し、受取人及び送り主の識別番号、温度・配送スピード情報、及び矢印の向き等の各種設定を行うことができる。スマートフォンには、配送伝票表示装置1を設定可能なアプリケーションソフトウエアを予めインストールしておく。
【0051】
スマートフォンを使うことで、インターネット上のデータベースで検索して得た受取人及び発送主の識別番号を、そのまま手入力することなくスマートフォンから配送伝票表示装置1に無線送信して設定することができる。なお、スマートフォンの数字等の文字入力機能を使い、識別番号を手入力して、配送伝票表示装置1に無線送信してもよい。又、スマートフォンはタッチパネルを有しているので、タッチパネル上に指やタッチペンを使って図3図6に示す数字や温度等に対応する図形を描くことで識別番号や温度情報等を入力できるようにしてもよい。その際には、スマートフォンのタッチパネル上に、図5に示した図形描画用ポイントa〜i、及びガイド線Xを表示させることが好ましい。
【0052】
スマートフォン(無線機器)は、配送伝票表示装置1に対し、受取人及び送り主であるという情報を付して識別番号を送信する。この場合、配送伝票表示装置1の制御部6は、識別番号に付された情報から受取人であるか、送り主であるかを判別できるので、送り主から受取人に向かう向きで矢印13を表示させる。又、スマートフォンは、表示部2に対し向かって左側の情報表示領域11(図1参照)に表示させる識別番号、表示部2に対し向かって右側の情報表示領域12に表示させる識別番号、及び、矢印13の向きというように、表示させる位置や向きを指定して送信するようにしてもよい。この場合、配送伝票表示装置1の制御部6は、指示通りの位置、向きで表示させる。また、制御部6は、矢印13の向きで、何れの識別番号が受取人であるか送り主であるかを判別できる。
【0053】
配達員が配達時に受け箱の具体的な位置を把握しやすいように、識別番号(郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号)から、受け箱の位置(住所)や配送用施設の位置を示す地図をスマートフォンに表示可能にすることが好ましい。この場合、スマートフォンは、インターネット経由で図8に示したデータベース等が提供する地図を表示するようにしてもよいし、予め受け箱等の位置を示す地図データをスマートフォンにインストールしておいて表示するようにしてもよい。
【0054】
図1に示すように、配送伝票表示装置1は、薄いシート状であるので、配送物の封筒や箱に直接貼り付けて使用することができる。配送伝票表示装置1は表示を書き換え可能であるので、繰り返し使用可能な封筒や箱に配送伝票表示装置1を貼り付けることで、その封筒や箱を配送に繰り返し使用することができる。したがって、ごみの量を削減することができるため、環境にやさしく、省エネルギーである。一度配送に使った封筒や箱から配送伝票表示装置1を取り外し、別の箱等に取り付けて使用してもよい。
【0055】
配送伝票表示装置1を再度使用するときに、配送伝票表示装置1の表示をすべて新たに書き換えて使用してもよいが、受取人と送り主を入れ替えて使用する場合には、無線による制御で、矢印13の向きを逆向きに表示させて使用すればよい。又、自分に届いた配送伝票表示装置1を使用する場合、矢印13の向きを逆向きに表示させると、受取人として表示されていた自分の識別番号図形表示20が送り主を意味するようになる。そのため、送り主として識別番号を再入力する必要がなく、新たに受取人になる識別番号図形表示20だけを書き換えればよいため、入力のための手間を省くことができる。
【0056】
配達人は、郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号から配達先の場所を特定し、配送伝票表示装置1(配送物)を受け箱に投入することで配達が完了する。したがって、配達員であっても、受取人及び送り主の氏名を知ることはできず、個人情報を確実に保護することができる。
【0057】
又、数字を図形で表示しているため、数字と図形との対応関係を知らない人にとっては、どのような数字が表示されているかが分からないことから、個人情報を一層確実に保護することができる。
【0058】
送り主は自分の氏名等の情報を示す書類等を配送物に入れておくことで、受取人は誰が送り主であるかを知ることができる。又は、送り主が受取人に対し、配送物を送ったことを示す電子メールを送るようにしてもよい。又は、送り主が受取人に配送を行うという情報を図8に示したデータベースに登録を行うと、データベースのホストコンピュータから受取人に対し電子メール等で送り主の情報を自動的に通知するようにしてもよい。又は、スマートフォン等でそのデータベースに受取人がアクセスすることで、送り主の情報を得られるようにしてもよい。
【0059】
次に、本発明を適用する他の配送伝票表示装置1aについて説明する。
【0060】
図9に、配送伝票表示装置1aの斜視図を示す。この配送伝票表示装置1aは、配送伝票表示装置1が収容容器31を備えているものである。以下の説明では、配送伝票表示装置1と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0061】
配送伝票表示装置1aは、一例として、携帯型の収容容器31の表面に、表示部2が視認可能に設けられているものである。収容容器31は、内部に配送物を収容するための収容部(不図示)、収容部を開閉する蓋32、蓋32の開閉をロックすることで収容部を施錠可能な電気錠33、及び取っ手34を有している。収容容器31は、携帯が可能なものであれば、同図に示す手持ち鞄(アタッシェケース)の形状のものの他に、手提げ鞄、肩掛け鞄、リュックサック、又は封筒などの他の形状のものであってもよい。
【0062】
表示部2には、配送伝票表示装置1と同様に、受取人及び送り主の識別番号図形表示20、温度・配送スピード図形表示24c、並びに矢印13が表示される。
【0063】
図10に、配送伝票表示装置1aの電気的なブロック図を示す。配送伝票表示装置1aは、配送伝票表示装置1と同様に、表示部2、無線通信部3、アンテナ4、記憶部5、制御部6a、及び電源7を備えると共に、電気錠33、及び温度調節部35を備えている。制御部6aは、各部を制御する。
【0064】
電気錠33は、制御部6aによって電気的に施錠及び開錠が制御される。制御部6aは、無線通信部3が施錠や解除を示す制御用のコマンドを受信したときに、電気錠33の施錠や開錠を行う。利用者は、スマートフォンなどの無線機器から電気錠33の施錠及び開錠を指示することができる。
【0065】
温度調節部35は、収容容器31(図9参照)の収容部の温度を調整可能なものであり、低温に冷却するための冷却器(例えばペルチェ素子)、及び高温に加熱するための加熱器(例えば電気ヒーター)を備えている。電源7には、必要な電力容量を有するものを用いる。温度調節部35は、制御部6aによって温度を制御される。
【0066】
制御部6aは、無線通信部3を介して設定された温度情報を記憶部5に記憶させる。制御部6aは、収容容器31の収容部内の温度が記憶部5に記憶された温度情報に合致するように、温度調節部35を制御する。このため、収容容器31の収容部が所望の一定の温度になる。したがって、例えば、低温貯蔵の必要な物(例えば生もの)の配送や、比較的に高温で貯蔵したほうが好ましい物(例えば果物)の配送を行うことができる。
【0067】
温度情報が「低温」の場合の具体的な温度(例えば7℃)、及び「高温」の場合の具体的な温度(例えば40℃)は予め規定しておく。無線通信により、温度を数値で細かく設定できるようにしてもよい。
【0068】
なお、配送物の温度管理の必要性に応じて、温度調節部35が冷却器及び加熱器のいずれか一方だけを備えていてもよいし、常温による配送だけでよい場合、温度調節部35を備えなくてもよい。
【0069】
図11に、配送伝票表示装置1a(及び配送伝票表示装置1)を配達する(入れる)のに適した受け箱41を示す。受け箱41は、各家庭や会社に設置されて使用される。
【0070】
受け箱41は、一例として、箱形に形成されており、正面に入口扉42、取出扉44、デジタルカメラ48、及び撮像スイッチ47を備え、上面にアンテナ49、及び太陽電池50を備えている。又、正面(この例では取出扉44)の視認しやすい位置には、塗料又はシールによって受け箱番号の文字を示す受け箱番号表示61が付されている。
【0071】
入口扉42は、配送伝票表示装置1aの入口になる開閉式の扉である。入口扉42は、通常閉じた状態であり、箱内に向かって押し開くと受け箱41が開口する。入口扉42には、電気的に施錠及び開錠が可能な第1の電気錠43が設けられている。取出扉44は、配送伝票表示装置1aの取出口になる開閉式の扉である。取出扉44に設けられた取っ手45を手前に引くことで、取出扉44が手前に斜めに持ち上がり受け箱41が開口する。取出扉44には、第2の電気錠46が取り付けられている。
【0072】
図12に、受け箱41の電気的なブロック図を示す。同図に示すように、受け箱41は、アンテナ49、無線通信部51、制御部52、記憶部53、撮像スイッチ47、デジタルカメラ48、画像処理部54、第1の電気錠43、第2の電気錠46、収容検出センサ55、及び電源56を備えている。
【0073】
アンテナ49及び無線通信部51は、配送伝票表示装置1aの無線通信部3と通信可能であると共に、スマートフォン等の設定用の無線機器と通信可能なものである。無線通信部51は制御部52に制御される。記憶部53には、受け箱41の郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号が予め記憶されている。これら番号は、受け箱41の設置時に予め設定される。記憶部53は、制御部52に制御されて読み書き可能である。撮像スイッチ47は、デジタルカメラ48で撮像する時に押すための押しボタンである。デジタルカメラ48は、撮像スイッチ47が押されたときに撮像したデジタル写真のデータを画像処理部54に出力する。画像処理部54は、デジタルカメラ48が撮像したデジタル写真を画像処理して、配送伝票表示装置1aの表示部2に表示された受取人の識別番号図形表示20を検出し、受取人識別番号に変換して制御部52に出力可能に構成されている。
【0074】
電気錠43、46はそれぞれ制御部52に施錠及び開錠を制御される。収容検出センサ55は、受け箱41の内部の収容部に配送伝票表示装置1aが収容されたことを検出するためのセンサである。収容検出センサ55は、例えば、受け箱41の内部に設けられた接触式スイッチ、又は重量検出センサである。電源56は、太陽電池50及び二次電池57を備えている。電源56は、太陽が出ている間は太陽電池50の発電した電力を各部に供給すると共に二次電池57を充電し、夜間等の太陽が出ていない間は二次電池57から各部に電力を供給する。なお、電源56として一次電池を用いてもよいし、商用交流電源を用いてもよい。
【0075】
次に、受け箱41及び配送伝票表示装置1aの動作について説明する。
【0076】
制御部52は、通常状態では、電気錠43を制御して入口扉42を施錠すると共に、電気錠46を制御して取出扉44を施錠する。このため、入口扉42及び取出扉44は閉じた状態でロックされている。
【0077】
配達員は、配送伝票表示装置1a(図11参照)を受け箱41に配達するときに、配送伝票表示装置1aの表示部2を受け箱41のデジタルカメラ48に向けて撮像スイッチ47を押す。これにより、デジタルカメラ48が、表示部2のデジタル写真を撮像し、画像処理部54に出力する。画像処理部54は、デジタルカメラ48が撮像したデジタル写真を画像処理して、配送伝票表示装置1aの受取人識別番号を判別し、制御部52に出力する。制御部52は、出力された受取人識別番号の郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号と、記憶部53に記憶されている受け箱41の郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号とを比較して、一致しているときに電気錠43を開錠する。これにより、配達員は、入口扉42から配送伝票表示装置1aを入れることができる。
【0078】
一方、制御部52は、受取人識別番号の郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号と、受け箱41の郵便番号、集配センター番号、サテライト番号、受け箱番号とが一致していないときは、電気錠43を開錠しない。したがって、入口扉42が開かず配送伝票表示装置1aを入れられないため、誤配を確実に防止することができる。
【0079】
配送伝票表示装置1aが受け箱41に入れられたとき、収容検出センサ55が配送伝票表示装置1aを検出する。この検出により制御部52は、無線通信部51から開錠コマンドを無線で送信させる。開錠コマンドは、配送伝票表示装置1aの電気錠33(図10参照)の開錠を指示するコマンドである。又、制御部52は、開錠コマンドと一緒に、矢印反転コマンドを送信させてもよい。矢印反転コマンドは、表示部2の矢印13(図9参照)の向きを逆向きに表示させるコマンドである。これらコマンドは、受け箱41に入れられた配送伝票表示装置1aに対してだけ指示するために、例えば受取人識別番号を指定することで選択的に指示を行う。撮像したデジタル写真から送り主識別番号も画像処理で検出しておき、受取人識別番号及び送り主識別番号を指定することで、受け箱41の内部の配送伝票表示装置1aだけに選択的に指示をしてもよい。
【0080】
配送伝票表示装置1aの制御部6a(図10参照)は、無線通信部3が開錠コマンドを受信したときに、電気錠33を開錠する。このため、受取人は、受け箱41から配送伝票表示装置1aを取り出した後に、自らがスマートフォン等を操作して開錠作業をする必要がなくなるため、直ちに収容容器31(図9参照)を開けて配送物を取り出すことができる。開錠コマンドは、受け箱41の中に配送伝票表示装置1aが入った状態で送信されるので、配達人が配送伝票表示装置1aを開けてしまうことがない。
【0081】
又、配送伝票表示装置1aの制御部6a(図10参照)は、無線通信部3が矢印反転コマンドを受信したときに、表示部2の矢印13(図9参照)を逆向きに表示させる。これは、次回に配送伝票表示装置1aを使うときの手間を省くためである。つまり、次回、配送伝票表示装置1aを使うときに、すでに矢印13の向きが逆向きに変わっているため、前回受取人だった自分の識別番号図形表示20を送り主にするために自らがスマートフォン等を操作して矢印13の向きを変える操作が不要になる。
【0082】
配送伝票表示装置1aを受け箱41から取り出すときは、受取人は、スマートフォン等を用いて、受け箱41に開錠コマンドを送信する。受け箱41の制御部52(図12参照)は、無線通信部51が受け箱41の開錠コマンドを受信したときに、取出扉44の電気錠46を開錠する。これにより、受取人は、取出扉44を開いて、配送伝票表示装置1aを取り出すことができる。スマートフォンの操作で第三者が勝手に取出扉44を開けることができないように、受け箱41の開錠コマンドを暗号化したり、パスワードを併用したりすることで、受け箱41の所有者だけが開錠できるようにすることが好ましい。
【0083】
受け箱41は、識別番号図形表示20を手書きで記載した配送伝票であっても、識別番号図形表示20の形状が判別しやすい形状であるため、画像処理で識別番号を正確に識別することができる。このため、受け箱41は、手書きの配送伝票であっても、入口扉42を開錠すべきか否かを正しく判別できるため、誤配を確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0084】
1・1aは配送伝票表示装置、2は表示部、3は無線通信部、4はアンテナ、5は記憶部、6・6aは制御部、7は電源、11・12は情報表示領域、13は矢印、20・20aは識別番号図形表示、21は郵便番号図形表示、22は集配センター番号図形表示、23・23aはサテライト番号図形表示、24aは温度図形表示、24bは配送スピード図形表示、24cは温度・配送スピード図形表示、25は受け箱番号図形表示、26は個人番号図形表示、31は収容容器、32は蓋、33は電気錠、34は取っ手、35は温度調節部、41は受け箱、42は入口扉、43は第1の電気錠、44は取出扉、45は取っ手、46は第2の電気錠、47は撮像スイッチ、48はデジタルカメラ、49はアンテナ、50は太陽電池、51は無線通信部、52は制御部、53は記憶部、54は画像処理部、55は収容検出センサ、56は電源、57は二次電池、61は受け箱番号表示、a・b・c・d・e・f・g・h・iは図形描画用ポイント、Wは枠、Xはガイド線である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12