特開2016-56490(P2016-56490A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-56490(P2016-56490A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】衣料
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20160328BHJP
   A41D 1/02 20060101ALI20160328BHJP
   A41D 31/00 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
   A41D13/00 A
   A41D1/02 Z
   A41D31/00 501A
   A41D31/00 502P
   A41D31/00 502N
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-8714(P2015-8714)
(22)【出願日】2015年1月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-181281(P2014-181281)
(32)【優先日】2014年9月5日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】399005943
【氏名又は名称】東光リミー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(72)【発明者】
【氏名】藤下 有路
【テーマコード(参考)】
3B011
3B031
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC13
3B011AC21
3B031AA01
3B031AB01
3B031AC03
3B031AC14
3B031AE08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】保温性に優れた防寒を目的とする衣料を提供する。
【解決手段】衣料1は、バッテリ5が収納される収納部2と、前記バッテリ5が着脱可能に接続されるコネクタ部3と、前記コネクタ部3を介して前記バッテリ5から電力が供給されるヒーター部4とを備え、収納部は、後身頃に少なくとも2つ以上設けられ、左右対称位置に配置され、表地層を備え、表地層の着用者側となる面には、赤外線反射層が設けられ、少なくとも2つ以上設けられた収納部にそれぞれ収納されたバッテリが、ヒーター部に対して並列に接続されるようにコネクタ部が配線されており、コネクタ部は、USB端子31が設けられ、ヒーター部への給電状態を制御するスイッチ部6が設けられ、ヒーター部に電力を供給するバッテリを備え、静電気を除電する機能を有する静電気防止部材を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリが収納される収納部と、
前記バッテリが着脱可能に接続されるコネクタ部と、
前記コネクタ部を介して前記バッテリから電力が供給されるヒーター部と、
を備えることを特徴とする衣料。
【請求項2】
前記収納部は、後身頃に設けられることを特徴とする請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記収納部は、少なくとも2つ以上設けられ、左右対称位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の衣料。
【請求項4】
表地層を備え、
前記表地層の着用者側となる面には、赤外線反射層が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣料。
【請求項5】
少なくとも2つ以上設けられた前記収納部にそれぞれ収納された前記バッテリが、前記ヒーター部に対して並列に接続されるように前記コネクタ部が配線されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣料。
【請求項6】
前記コネクタ部は、USB端子が設けられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣料。
【請求項7】
前記ヒーター部への給電状態を制御するスイッチ部が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の衣料。
【請求項8】
前記ヒーター部に電力を供給する前記バッテリを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の衣料。
【請求項9】
静電気を除電する機能を有する静電気防止部材を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保温性に優れた防寒を目的とする衣料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒーター部及び電源部を備え、防寒を目的として着用する衣料が知られている。
【0003】
特許文献1には、面ファスナーによって着脱可能に構成されたヒーター部を備えた衣料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3130604号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された衣料の構成では、ヒーター部を取り外して洗濯できる点は好ましいが、着用時には再びヒーター部を取り付ける必要があり、手間が掛かるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した技術背景に鑑み、保温性に優れた防寒を目的とする衣料の提供を目的とする。
【0007】
即ち、本発明は下記[1]〜[9]に記載の構成を有する。
【0008】
[1] バッテリが収納される収納部と、
前記バッテリが着脱可能に接続されるコネクタ部と、
前記コネクタ部を介して前記バッテリから電力が供給されるヒーター部と、
を備えることを特徴とする衣料。
【0009】
[2] 前記収納部は、後身頃に設けられることを特徴とする前項1に記載の衣料。
【0010】
[3] 前記収納部は、少なくとも2つ以上設けられ、左右対称位置に配置されることを特徴とする前項1または2に記載の衣料。
【0011】
[4] 表地層を備え、
前記表地層の着用者側となる面には、赤外線反射層が設けられることを特徴とする前項1〜3のいずれかに記載の衣料。
【0012】
[5] 少なくとも2つ以上設けられた前記収納部にそれぞれ収納された前記バッテリが、前記ヒーター部に対して並列に接続されるように前記コネクタ部が配線されていることを特徴とする前項1〜4のいずれかに記載の衣料。
【0013】
[6] 前記コネクタ部は、USB端子が設けられてなることを特徴とする前項1〜5のいずれかに記載の衣料。
【0014】
[7] 前記ヒーター部への給電状態を制御するスイッチ部が設けられることを特徴とする前項1〜6のいずれかに記載の衣料。
【0015】
[8] 前記ヒーター部に電力を供給する前記バッテリを備えることを特徴とする前項1〜7のいずれかに記載の衣料。
【0016】
[9] 静電気を除電する機能を有する静電気防止部材を備えることを特徴とする前項1〜8のいずれかに記載の衣料。
【発明の効果】
【0017】
上記[1]に記載の発明によれば、バッテリが収納される収納部と、バッテリが着脱可能に接続されるコネクタ部と、コネクタ部を介してバッテリから電力が供給されるヒーター部と、を備えるので、収納部に収納されたバッテリを用いてヒーター部を稼働させ、着用者を暖めることができる。
【0018】
バッテリが着脱可能に構成されるので、ヒーター部はそのままでバッテリのみを取り外して洗濯することができ、着用時にはバッテリのみをコネクタ部に取り付ければよいため手間が掛からない。
【0019】
上記[2]に記載の発明によれば、収納部は、後身頃に設けられるので、収納部に収納したバッテリが、例えば、ゴルフのスイング動作や釣りなどする着用者の動作の邪魔になりにくいため好ましく、特に、上衣の場合には、後身頃の裾側に収納部が設けられると、着用中の違和感が少ないためより好ましい。
【0020】
着用者の動作の邪魔になりにくいため、収納部に収納したバッテリがぶつかるなどして破損する虞が低減する。
【0021】
上記[3]に記載の発明によれば、収納部は、少なくとも2つ以上設けられ、左右対称位置に配置されるので、収納部に同重量のバッテリをそれぞれ収納した状態で着用した際に、収納部が左右対称に配置されているおかげでバッテリ重量が左右に均等に配分されてバランスが取れるため、バッテリの収納による違和感などを着用者に生じさせない。
【0022】
上記[4]に記載の発明によれば、表地層を備え、表地層の着用者側となる面には、赤外線反射層が設けられるので、ヒーター部から放射された赤外線が表地層の着用者側の面で反射して人体側に放射されるようになり、ヒーター部から放射される赤外線を余すことなく人体に吸収させることができる。
【0023】
上記[5]に記載の発明によれば、少なくとも2つ以上設けられた収納部にそれぞれ収納されたバッテリが、ヒーター部に対して並列に接続されるようにコネクタ部が配線されているので、バッテリが並列に接続される構成により、1つのバッテリだけが接続された場合であっても、ヒーター部に給電されて稼働させることができる。
【0024】
また、1つのバッテリでヒーター部を駆動させる場合の時間と比較して、ヒーター部を稼働させることができる時間を倍以上に伸ばすことができる。
【0025】
上記[6]に記載の発明によれば、コネクタ部は、USB端子が設けられてなるので、例えば、USB端子に接続可能な市販のバッテリを電力源として使用することができる。
【0026】
上記[7]に記載の発明によれば、ヒーター部への給電状態を制御するスイッチ部が設けられるので、着用者の体感温度に合わせてヒーター部の温度を調整することができる。
【0027】
上記[8]に記載の発明によれば、ヒーター部に電力を供給するバッテリを備えるので、当該バッテリを用いてヒーター部を稼働させ、着用者を暖めることができる。
【0028】
バッテリが着脱可能に構成されるので、ヒーター部はそのままでバッテリのみを取り外して洗濯することができ、着用時にはバッテリのみをコネクタ部に取り付ければよいため手間が掛からない。
【0029】
上記[9]に記載の発明によれば、静電気を除電する機能を有する静電気防止部材を備えるので、除電により静電気放電の発生を抑制して、静電気放電から回路素子を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の衣料の全体図である。
図2】本発明の衣料の生地の構成を説明するための構成図である。
図3】本発明の衣料のヒーター部について説明するための説明図である。
図4】本発明の衣料のコネクタ部を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
図1は、衣料1の全体図、図2は、衣料1の生地の構成を説明するための構成図、図3は、衣料1のヒーター部4について説明するための説明図、図4は、衣料1のコネクタ部3を説明するための説明図である。
【0033】
まず、図1〜4を参照して衣料1について説明する。
【0034】
本発明の衣料1は、バッテリ5が収納される収納部2と、コネクタ部3と、赤外線ヒーターからなるヒーター部4と、ヒーター部4への給電状態を制御するスイッチ部6と、を備え、コネクタ部3を介してバッテリ5から供給される電力によってヒーター部4が稼働するように構成されたものである。
【0035】
衣料1は、屋外であっても着用者を暖めることが可能に構成され、主に上衣に適用されるものである。
【0036】
以降では、前身頃11及び後身頃12を有する上衣のうち、本発明の構成がベストに適用された場合を一例として説明する。
【0037】
図中、14は袖刳を示し、18は、前身頃11及び後身頃12を開閉するために設けられた合成樹脂などからなる線ファスナー部を示している。
【0038】
衣料1は、着用時に一番外側に配される表地層15と、一番内側に配される裏地層17と、表地層15及び裏地層17の間に配される中間層16と、の3層からなっている。
【0039】
前身頃11、後身頃12及び襟部13は、共に同様の表地層15、中間層16及び裏地層17の3層の構成となっている。
【0040】
後に詳述するヒーター部4は、中間層16と裏地層17との間に設けられている。
【0041】
表地層15は、例えば、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維からなる表地本体151と、赤外線反射機能を有する赤外線反射材料からなる赤外線反射層152と、を備える。
【0042】
ここで、赤外線反射材料とは、ヒーター部4から放出される赤外線が、表地層15の外部側へ透過することを防止し、人体側に効率良く反射させる機能を備えた材料のことを意味している。
【0043】
赤外線反射層152は、表地本体151の内側面、即ち、着用者側となる面に、アルミニウムなどの赤外線反射材料を蒸着することにより形成されている。
【0044】
表地層15を備え、表地層15の着用者側となる面には、赤外線反射層が設けられるので、ヒーター部4から放射された赤外線が表地層15の着用者側の面で反射して人体側に放射されるようになり、ヒーター部4から放射される赤外線を余すことなく人体に吸収させることができる。
【0045】
中間層16は、表地層15側から順に、中綿161及び不織布162が配されて構成されている。
【0046】
中綿161には、例えば、ダウンや綿、ポリエステルなどの合成繊維が用いられる。
【0047】
不織布162には、例えば、ポリエステル、綿やレーヨンなどセルロース系繊維の混紡品などが用いられる。
【0048】
中間層16に配された不織布162の内側面、即ち、着用者側面となる裏地層17側の面には、ヒーター部4が設けられている。
【0049】
裏地層17の素材には、例えば、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維が用いられる。
【0050】
裏地層17の内側面、即ち、着用者側に配される面には、バッテリ5が収納される収納部2が設けられている。
【0051】
中間層16に設けられたヒーター部4は、後身頃12の幅方向中央の襟部13側寄り位置(例えば、背中上部を含む周辺部位)と、襟部13の幅方向中央位置(例えば、うなじを含む周辺部位)と、の2箇所に設けられている。
【0052】
ヒーター部4には、例えば、可撓性を有する既存のセラミックヒーターなどの遠赤外線ヒーターを適用することができ、中でも特に吸収率の高いテラヘルツ波領域の赤外線を放射するテラヘルツヒーターが用いられることが好ましい。
【0053】
ヒーター部4は、面状に形成されており、例えば、表面にドット状のプリントが施され、中間層16の不織布162に縫着されて取り付けられて、ヒーター部4が縫着された面が裏地層17側に配置されるように構成される。例えば、ドット状のプリントには、テラヘルツ波を放射する鉱石、ラジウムなどが含まれる。
【0054】
ヒーター部4が中間層16の不織布162に縫着されて取り付けられて構成されることにより、衣料1の表面に縫い目などがなく、見栄えがよくなる。
【0055】
ヒーター部4は、電力供給路となる配線7(7a,7b)の一端側(配線7aの端部)に接続され、配線7の他端側(配線7bの端部)に設けられたコネクタ部3を介してバッテリ5と電気的に接続されている。
【0056】
配線7は、着用時に邪魔にならないように、後身頃12の裾端部に沿わせて各収納部2まで引き回され、配線7bの端部が、裏地層17の中間層16側から収納部2の差込口22に挿入されるように配されて、収納部2内に収納されるようになっている。
【0057】
配線7(7a,7b)は、中間層16及び裏地層17の間における自由な揺動を防止するために、固定部材71によって中間層16の不織布162に固定されている。
【0058】
コネクタ部3は、例えば、接続端子としてUSB端子31が設けられてなる。
【0059】
コネクタ部3は、通常、後述する収納部2内に収納された状態で、USB端子31とバッテリ5の接続端子とが接続されるようになっている。
【0060】
コネクタ部3は、USB端子31が設けられてなるので、例えば、USB端子31に接続可能な市販のバッテリ5を電力源として使用することができる。
【0061】
コネクタ部3のUSB端子31には、端子の先端部を保護するための保護キャップ32が装着可能に構成されている。
【0062】
保護キャップ32は、脱落や紛失防止のために紐状部材321などによって配線7に繋げられている。
【0063】
コネクタ部3に保護キャップ32が設けられているので、コネクタ部3に保護キャップ32を装着することができるため、衣料1を洗濯する際に保護キャップ32を装着しておけばコネクタ部3の端子が水に濡れることがない。
【0064】
収納部2は、裏地層17の内側面、即ち、着用者側の面に設けられており、例えば、後身頃12の裾側の両端部にそれぞれ1つずつ左右対称位置に配置されている。
【0065】
収納部2が後身頃12に設けられた構成であれば、収納部2に収納したバッテリ5が、例えば、ゴルフのスイング動作や釣りなどする着用者の動作の邪魔になりにくいため好ましく、特に、上衣の場合には、後身頃12の裾側に収納部2が設けられると、着用中の違和感が少ないためより好ましい。
【0066】
着用者の動作の邪魔になりにくいため、収納部2に収納したバッテリ5がぶつかるなどして破損する虞が低減する。
【0067】
各収納部2は、少なくともバッテリ5を1つ収納するに十分な寸法、例えば、約15cm×約9cmの寸法の別布が裏地層17に縫着されて形成されている。
【0068】
収納部2の上端部には、バッテリ5の出し入れをするための開閉部21が設けられ、開閉部21には収納したバッテリ5の脱落防止などのため、例えば、合成樹脂製の線ファスナーが取付けられている。
【0069】
収納部2の内部には、裏地層17側面の上部に孔が形成され、配線7bの端部に設けられたコネクタ部3が挿入される差込口22が設けられている。
【0070】
差込口22には、例えば、シリコン製のグロメット221が縫着されるなどして取り付けられており、差込口22に挿入された配線7が逆戻りして抜けるなどしないように構成されている。
【0071】
収納部2は、少なくとも2つ以上設けられ、左右対称位置に配置されるので、収納部2に同重量のバッテリ5をそれぞれ収納した状態で着用した際に、収納部2が左右対称に配置されているおかげでバッテリ重量が左右に均等に配分されてバランスが取れるため、バッテリ5の収納による違和感などを着用者に生じさせない。
【0072】
収納部2に収納されるバッテリ5には、コネクタ部3の接続端子であるUSB端子31と接続可能に構成された接続端子が設けられている。
【0073】
バッテリ5は、コネクタ部3と接続されると、配線7を介してスイッチ部6及びヒーター部4に給電されるように構成されている。
【0074】
図示するように、コネクタ部3は後身頃12の裾側の両端部の収納部2内に収納されており、これ等のコネクタ部3とバッテリ5が接続される。
【0075】
バッテリ5は、ヒーター部4に対してそれぞれ並列に接続されるように構成される。
【0076】
バッテリ5には、電池容量が3.7V〜5.0Vのものを適用することが可能であり、例えば、市販されている携帯電話などの充電用バッテリをコネクタ部3に接続させてヒーター部4を稼働させることも可能である。
【0077】
尚、バッテリ5が後身頃12に設けられた2つの収納部2の何れか一方のみに装着された場合でも、ヒーター部4は稼働するように構成されているが、この場合、ヒーター部4の稼働時間は、両収納部2に同一のバッテリ5をそれぞれ装着した場合の1/2の稼働時間となる。
【0078】
少なくとも2つ以上設けられた収納部2にそれぞれ収納されたバッテリ5が、ヒーター部4に対して並列に接続されるようにコネクタ部3が配線されていると、バッテリ5が並列に接続される構成により、1つのバッテリ5だけが接続された場合であっても、ヒーター部4に給電されて稼働させることができるので好ましい。
【0079】
また、1つのバッテリ5でヒーター部4を駆動させる場合の時間と比較して、ヒーター部4を稼働させることができる時間を倍以上に伸ばすことができるので好ましい。
【0080】
衣料1には、バッテリ5からヒーター部4への給電状態を制御するスイッチ部6が設けられる。
【0081】
スイッチ部6は、例えば、左前身頃11の表側面に取付けられており、着用者が衣料1を着用した状態のままスイッチ部6を操作することができるように構成されている。
【0082】
スイッチ部6は、中間層16の不織布162に固定部材71によって取り付けられて袖刳14に沿って引き回された配線7bが接続され、コネクタ部3と電気的に接続されている。
【0083】
スイッチ部6に接続された配線7aは、袖刳14に沿って引き回されてヒーター部4に接続され、スイッチ部6を介してヒーター部4がコネクタ部3と接続されている。
【0084】
スイッチ部6には、着用時に視認可能なLEDなどの発光部が設けられており、発光部の点灯状態によってヒーター部4の設定状態が認識できるようになっている。
【0085】
例えば、スイッチオフ状態、即ち、ヒーター部4が稼働状態にない場合には、スイッチ部6の発光部は消灯状態となっている。
【0086】
この状態でスイッチ部6が長押しされると、スイッチオン状態となって、スイッチ部6及びヒーター部4にバッテリ5の電力が供給される。
【0087】
スイッチ部6の状態を認識し易くなるため、スイッチオン状態になると、スイッチ部6の発光部が点滅して、ヒーター部4が稼働状態となるように構成するとよい。
【0088】
更に、スイッチ部6は、ヒーター部4の温度設定を切り替えられるように構成するのであってもよい。
【0089】
例えば、スイッチ部6の発光部が点滅状態(スイッチオン状態)で、スイッチ部6を押下すると、ヒーター部4の設定温度が切り替わるように構成する。
【0090】
この時、スイッチオン状態でスイッチ部6を押下する毎に、発光部の点滅色が変化するようにすると、ヒーター部4の設定状態をより認識し易くなるため好ましい。
【0091】
例えば、スイッチ部6が長押しされてヒーター部4が稼働すると、発光部が青色に点滅してヒーター部4が「弱」に設定されたことを示し、この状態でスイッチ部6が1度押下されると、発光部が白色に点滅してヒーター部4が「中」に設定されたことを示し、更にスイッチ部6が押下されると、発光部がオレンジ色に点滅してヒーター部4が「強」に設定されたことを示すように構成する。
【0092】
更に、ヒーター部4の温度設定に関わらず、スイッチ部6が長押しされると、スイッチオン状態から、スイッチ部6及びヒーター部4へのバッテリ5の給電が停止されるスイッチオフ状態に切り替わるように構成すればよい。
【0093】
スイッチ部6には、衣料の着用時などに生じる静電気により引き起こされる放電から回路素子を保護するための保護回路を設けるのであってもよい。
【0094】
ヒーター部4への給電状態を制御するスイッチ部6が設けられるので、着用者の体感温度に合わせてヒーター部4の温度を調整することができる。
【0095】
上述した表地層15は、ヒーター部4から放射された赤外線が反射するなどして人体に吸収されない虞が低減するため、前身頃11、後身頃12及び襟部13の全ての表地層15の中間層16側の全面に赤外線反射材料が蒸着されたものが最も好ましいが、後身頃12及び襟部13の表地層15のみ赤外線反射材料が蒸着した素材が用いられるのであってもよいし、少なくとも表地層15のヒーター部4が設けられた箇所に相当する部分に赤外線反射材料が蒸着した表地層15が設けられるのであればよい。
【0096】
また、赤外線反射材料としては、アルミニウムに限定されたものではなく、その他の赤外線反射材料を適用することが可能であり、例えば、反射したヒーター部4からの赤外線を吸収して即座に放出することができることから、カーボンセラミックなどのプリントが施されるのであってもよい。
【0097】
上述した収納部2は、後身頃12に左右対称に1つずつ設けられるように図示しているが、3つ以上の収納部2が設けられるのであってもよく、収納部2にバッテリ5を収納した状態で、着用者がバッテリ5の重量の偏りなどの違和感なく着用できるように構成されるのであればよい。
【0098】
例えば、最大3つのバッテリ5を収納できるように構成する場合には、後身頃12の裾側の両端部にそれぞれ1つずつ、更にその真ん中の裾側に1つ、合計3つの収納部2をバランスよく配置すればよい。
【0099】
この場合、全ての収納部2にバッテリ5を収納する必要はなく、必要に応じて収納するバッテリ5の数を調整するとよい。
【0100】
また、バッテリ5が、収納部2に2つ以上収納されるように構成するのであってもよい。
【0101】
上述したように、襟部13を有する上衣が好ましくはあるが、これに限定されるものではなく、襟部13を有さず、後身頃12の背中部分のみにヒーター部4が設けられるものであってもよい。
【0102】
本発明の衣料1の形態は、上述したようなベストに限定されるものではなく、袖部を備えたジャケットなどの上衣であってもよいし、更には、ズボンなどの下衣に適用されるのであってもよい。
【0103】
また、ヒーター部4は、襟部13や後身頃12に設けられるだけでなく、前身頃11に設けられるのであってもよく、この場合、例えば、前身頃11において着用者の腹部を温めるようにヒーター部4が設けられるなどして構成するとよい。
【0104】
上述したように、収納部2に収納したバッテリ5が着用者の動作時の邪魔になりにくく着用時の違和感も少ないため、収納部2が後身頃12の裾側に設けられた構成が最も好ましいが、これに限定されるものではなく、収納部2が、前身頃11に設けられるのであってもよいし、後身頃12及び前身頃11の両方、或いは後身頃12及び前身頃11に跨った部位に設けられる構成とするのであってもよい。
【0105】
また、収納部2が裾側以外の部位に設けられるのであってもよい。
【0106】
上述では、スイッチ部6によってヒーター部4の設定温度を切り替えられるように説明したが、スイッチ部6は、ヒーター部4のスイッチオン状態及びスイッチオフ状態のみを切り替えるように構成するのであってもよい。
【0107】
また、スイッチ部6を設けず、バッテリ5がコネクタ部3に接続されると、自ずとヒーター部4に給電が行われるように構成するのであってもよい。
【0108】
上述したように、スイッチ部6に保護回路を設けて静電気放電から回路素子などを保護する構成に加えて更に、収納部2の内部に静電気を除電する機能を有する静電気防止部材などを取り付けた構成とするのであってもよく、保護回路か静電気防止部材の何れか一方を設けて静電気放電から回路素子を保護するようにするのであってもよい。
【0109】
静電気を除電する機能を有する静電気防止部材を備えた構成であれば、除電により静電気放電の発生を抑制して、静電気放電から回路素子を保護することができる。
【0110】
上述したヒーター部4は、赤外線ヒーターからなるように説明したが、これに限定されるものでなく、本発明の衣料1の効果を奏する構成であれば、その種類について限定するものではない。
【0111】
上述したように、衣料1は、バッテリ5が収納される収納部2と、バッテリ5が着脱可能に接続されるコネクタ部3と、コネクタ部3を介してバッテリ5から電力が供給されるヒーター部4と、を備えるので、収納部2に収納されたバッテリ5を用いてヒーター部4を稼働させ、着用者を暖めることができる。
【0112】
バッテリ5が着脱可能に構成されるので、ヒーター部4はそのままでバッテリ5のみを取り外して洗濯することができ、着用時にはバッテリ5のみをコネクタ部3に取り付ければよいため手間が掛からない。
【0113】
上述した構成に加えて、ヒーター部4に電力を供給するバッテリ5を備えて構成された場合であっても、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0114】
以上説明した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の作用効果を奏する範囲において具体的構成などを適宜変更設計できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、保温性に優れた防寒用の衣料として用いられる。
【符号の説明】
【0116】
1…衣料
2…収納部
3…コネクタ部
4…ヒーター部
5…バッテリ
6…スイッチ部
11…前身頃
12…後身頃
15…表地層
16…裏地層
31…USB端子
152…赤外線反射層
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2015年6月23日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリが収納される収納部と、
前記バッテリが着脱可能に接続されるコネクタ部と、
前記コネクタ部を介して前記バッテリから電力が供給されるヒーター部と、
を備え
前記収納部は、後身頃に、少なくとも2つ以上設けられ、左右対称位置に配置されることを特徴とする衣料。
【請求項2】
前記収納部は、前記後身頃の裾側の両端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の衣料。
【請求項3】
前記コネクタ部は、端子の先端部を保護するための保護キャップが装着可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の衣料。
【請求項4】
表地層を備え、
前記表地層の着用者側となる面には、赤外線反射層が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の衣料。
【請求項5】
少なくとも2つ以上設けられた前記収納部にそれぞれ収納された前記バッテリが、前記ヒーター部に対して並列に接続されるように前記コネクタ部が配線されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の衣料。
【請求項6】
前記コネクタ部は、USB端子が設けられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の衣料。
【請求項7】
前記ヒーター部への給電状態を制御するスイッチ部が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の衣料。
【請求項8】
前記ヒーター部に電力を供給する前記バッテリを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の衣料。
【請求項9】
静電気を除電する機能を有する静電気防止部材を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の衣料。
【請求項10】
前記ヒーター部は、表面にプリントが施され、前記プリントには、テラヘルツ波を放射する鉱石、ラジウムなどが含まれることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の衣料