【課題】ポンプケースに設けた第1吐出管と第2吐出管との間に凸部を設けて、一方から流体を吐出する際に他方からの流体が漏れることを抑制した場合でも、凸部に起因する段部で流体が滞留することを抑制することのできるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】ポンプ装置において、ポンプケースの第2ケース4の周壁44には、第1吐出管8が連通する第1開口部48と第2吐出管9が連通する第2開口部49との間には凸部45(第1凸部46および第2凸部47)が設けられている。第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部461の少なくとも一部が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置するため、周壁44において、第1凸部46に起因する段部と第1開口部48とに挟まれた領域が狭いか、あるいはかかる領域が存在しない。
前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部の少なくとも一部が前記第2吐出管の内周面の最も前記第2回転方向側に位置する部分より前記第1回転方向側に位置することを特徴とする請求項1に記載のポンプ装置。
前記第1吐出管の軸線方向からみたとき、前記第1凸部の前記第2回転方向側の端部の全体が、前記第1吐出管の内周面の前記第1回転方向側に位置する部分と重なる位置、または前記第1吐出管の内周面の前記第1回転方向側に位置する部分より前記第2回転方向側の位置にあり、
前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部の全体が、前記第2吐出管の内周面の前記第2回転方向側に位置する部分と重なる位置、または前記第2吐出管の内周面の前記第2回転方向側に位置する部分より前記第1回転方向側の位置にあることを特徴とする請求項2に記載のポンプ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のポンプ装置では、周壁での吐出管の開口部(吐出管の内周面)が円形であるのに対して、かかる円に接するように凸部の端部が直線状に形成されているため、周壁において開口部と凸部とに挟まれた領域の面積が広い。このため、周壁において凸部に起因する段部で流体が滞留しやすいという問題点がある。かかる段部での滞留は、流体に含まれていた異物が段部に溜まる原因となるため、好ましくない。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ポンプケースに設けた第1吐出管と第2吐出管との間に凸部を設けて、一方から流体を吐出する際に他方からの流体が漏れることを抑制した場合でも、凸部に起因する段部で流体が滞留することを抑制することのできるポンプ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、インペラと、該インペラを径方向外側で囲む周壁、前記インペラに対して回転中心軸線方向で対向する吸込み口、前記周壁の第1開口部に連通する第1吐出管、および前記周壁において前記第1開口部から前記インペラの第1回転方向で離間する位置で開口する第2開口部に連通する第2吐出管を備えたポンプケースと、を有し、前記周壁には、前記第1開口部の前記第1回転方向側で径方向内側に突出する第1凸部と、前記第2開口部の前記第1回転方向とは逆の第2回転方向側で径方向内側に突出する第2凸部と、が設けられ、前記第1吐出管の軸線方向からみたとき、前記第1凸部の前記第2回転方向側の端部の少なくとも一部が前記第1吐出管の内周面の最も前記第1回転方向側に位置する部分より前記第2回転方向側に位置していることを特徴とする。
【0008】
本発明では、ポンプケースの周壁には、第1吐出管が連通する第1開口部の第1回転方
向側で径方向内側に突出する第1凸部と、第2吐出管が連通する第2開口部の第1回転方向とは逆の第2回転方向側で径方向内側に突出する第2凸部とが設けられている。このため、インペラを第1回転方向に回転させて第1吐出管から流体を吐出する際、第2吐出管から流体が漏れにくく、インペラを第2回転方向に回転させて第2吐出管から流体を吐出する際、第1吐出管から流体が漏れにくい。また、第1吐出管の軸線方向からみたとき、第1凸部の第2回転方向側の端部の少なくとも一部が第1吐出管の内周面の最も第1回転方向側に位置する部分より第2回転方向側に位置するため、周壁において、第1凸部に起因する段部と第1開口部とに挟まれた領域が狭いか、あるいはかかる領域が存在しない。このため、インペラが第1回転方向に回転した際、第1凸部に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。
【0009】
本発明において、前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部の少なくとも一部が前記第2吐出管の内周面の最も前記第2回転方向側に位置する部分より前記第1回転方向側に位置することが好ましい。かかる構成によれば、周壁において、第2凸部に起因する段部と第2開口部とに挟まれた領域が狭いか、あるいはかかる領域が存在しない。このため、インペラが第2回転方向に回転した際、第2凸部に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。
【0010】
本発明において、前記第1吐出管の軸線方向からみたとき、前記第1凸部の前記第2回転方向側の端部の全体が、前記第1吐出管の内周面の前記第1回転方向側に位置する部分と重なる位置、または前記第1吐出管の内周面の前記第1回転方向側に位置する部分より前記第2回転方向側の位置にあり、前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部の全体が、前記第2吐出管の内周面の前記第2回転方向側に位置する部分と重なる位置、または前記第2吐出管の内周面の前記第2回転方向側に位置する部分より前記第1回転方向側の位置にあることが好ましい。かかる構成によれば、周壁には、第1凸部に起因する段部と第1開口部とに挟まれた領域が存在せず、第2凸部に起因する段部と第2開口部とに挟まれた領域が存在しない。このため、第1凸部に起因する段部や第2凸部に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。
【0011】
本発明において、前記第1吐出管内および前記第2吐出管内はいずれも、断面円形であり、前記第1吐出管の軸線方向からみたとき、前記第1凸部の前記第2回転方向側の端部は、前記第1吐出管の内周面に沿って湾曲した円弧形状を有し、前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部は、前記第2吐出管の内周面に沿って湾曲した円弧形状を有している構成を採用することができる。
【0012】
この場合、前記第1吐出管の軸線方向からみたとき、前記第1凸部の前記第2回転方向側の端部は、前記第1吐出管の内周面と重なる円弧形状を有し、前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部は、前記第2吐出管の内周面と重なる円弧形状を有している構成を採用してもよい。
【0013】
本発明において、前記第1吐出管内および前記第2吐出管内はいずれも、断面円形であり、前記第1吐出管の軸線方向からみたとき、前記第1凸部の前記第2回転方向側の端部は、直線状に延在し、前記第2吐出管の軸線方向からみたとき、前記第2凸部の前記第1回転方向側の端部は、直線状に延在している構成を採用してもよい。
【0014】
本発明において、前記第1吐出管および前記第2吐出管は平行に並列しており、前記第1凸部と前記第2凸部とは周方向で連続した凸部を構成していることが好ましい。かかる構成によれば、第1吐出管および第2吐出管に対する配管が容易である。また、第1吐出管および第2吐出管が平行に並列しているとともに、第1凸部と第2凸部とが周方向で連続した凸部になっているので、ポンプケースを金型成形する際、金型の構成を簡素化する
ことができる。
【0015】
本発明において、前記ポンプケースは、前記第1吐出管および前記第2吐出管が上向きとなるように配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、インペラを第1回転方向に回転させて第1吐出管から流体を吐出する際、重力の影響により第2吐出管から流体が漏れにくく、インペラを第2回転方向に回転させて第2吐出管から流体を吐出する際、重力の影響により第1吐出管から流体が漏れにくい。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、第1吐出管の軸線方向からみたとき、第1凸部の第2回転方向側の端部の少なくとも一部が第1吐出管の内周面の最も第1回転方向側に位置する部分より第2回転方向側に位置するため、周壁において、第1凸部に起因する段部と第1開口部とに挟まれた領域が狭いか、あるいはかかる領域が存在しない。このため、インペラが第1回転方向に回転した際、第1凸部に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、モータ部200の軸線(モータ軸線(インペラ60の回転中心軸線))をL0とし、第1吐出管8の軸線をL1とし、第2吐出管9の軸線をL2として説明する。
【0019】
[実施の形態1]
(ポンプ装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係るポンプ装置1の外観を示す説明図であり、
図1(a)、(b)は、吸込み口40が設けられている側からポンプ装置1をみたときの斜視図、および吸込み口40が設けられている側とは反対側からポンプ装置1をみたときの斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係るポンプ装置1の分解斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係るポンプ装置1の断面図である。
図4は、本発明の実施の形態1に係るポンプ装置1のポンプ部100における第2ケース4とインペラ60との位置関係を示す説明図である。
【0020】
図1、
図2および
図3に示すように、本形態のポンプ装置1は、ポンプ部100と、ポンプ部100を駆動するモータ部200とを有している。ポンプ装置1は、ポンプケース2を有しており、ポンプケース2は、モータハウジング5とポンプハウジング6とを有している。モータハウジング5は、外周壁3aを備える有底筒状の第1ケース3と、第1ケース3の開口部を覆う隔壁部材10とを備えている。また、ポンプハウジング6は、第2ケース4と隔壁部材10とによって構成されている。すなわち、隔壁部材10は、モータハウジング5とポンプハウジング6とにおいて共有であり、隔壁部材10を挟んで第1ケース3と第2ケース4とが結合されている。例えば、第1ケース3、第2ケース4および隔壁部材10の結合は、周方向複数箇所に設けた爪等を用いたバヨネット方式で順次連結
し、ボルト(図示せず)などで回り止めされる。このほか、第1ケース3、第2ケース4および隔壁部材10を複数のボルトとナット等で同時に結合してもよい。
【0021】
隔壁部材10はポンプハウジング6側に膨んだ膨出部12を有している。膨出部12は、後述する回転軸32と同心状の円筒状の外周壁13と、外周壁13から内方へ向かう円盤部14とを備えており、円盤部14の中心部にボス部15を保持している。ボス部15では、ポンプハウジング6側に開口したシール保持部16によってシール部材20が保持されている。隔壁部材10は、モータハウジング5内に延在する筒部18を有しており、筒部18の根元の拡径部17でボス部15に接続している。筒部18は、ロータ33の回転軸32を通す貫通穴19を有しており、貫通穴19の両端には回転軸32を支持する軸受26、27が保持されている。回転軸32は、貫通穴19からポンプハウジング6に向けて延在し、シール部材20を貫通している。
【0022】
筒部18の外周には、ステータコア31aにインシュレータ37a、37bを介してコイル31bを巻いたステータ30が取り付けられている。ステータ30には、インシュレータ37aの側に端子板38が重ねて配置され、インシュレータ37bの側にカバ−39が重ねて配置されている。
【0023】
筒部18からモータハウジング5内に突出した回転軸32の端部には、ステータ30の外方に筒状胴部35が位置するロータケース34が結合されている。ロータケース34の筒状胴部35の内面には永久磁石36が接着等により取り付けられ、永久磁石36の内周面がステータ30の外周面との間に所定の間隙をもつように設定されている。これらロータケース34、永久磁石36および回転軸32によりロータ33が形成されている。
【0024】
回転軸32の軸受26からポンプハウジング6に向けて延在した端部には、樹脂製のインペラ60が取り付けられている。インペラ60は、断面ハット形状のベース壁61の外面に複数枚の羽根63を備えている。インペラ60において、隔壁部材10に対向する裏面側には、大径部67の内側に結合筒部65を備えている。回転軸32の端部には、複数本の溝からなるローレットが形成されており、結合筒部65を回転軸32の端部に圧入することにより、インペラ60が回転軸32に直接結合される。これにより、インペラ60は、モータ部200側のみから保持された片持ち構造となる。インペラ60と回転軸32の結合は、ローレットのほか、スプラインやボルト結合等によっても可能である。
【0025】
第2ケース4は、底壁42と、底壁42の外周端から軸線L0の延在方向に延在した胴部41とを有している。胴部41の内周面は円筒形状であり、開口端は隔壁部材10の膨出部12に対して嵌合している。第2ケース4と外周壁13との嵌合面にはシールリング7が設けられている。
【0026】
第2ケース4の底壁42は隔壁部材10から離間しており、この底壁42には、回転軸32(インペラ60の回転中心軸線)と対向する位置に吸込み口40が設けられている。また胴部41には、周方向で離間する位置に第1吐出管8および第2吐出管9が設けられている。
【0027】
図4に示すように、本形態のポンプ装置1においては、ポンプケース2のうち、第2ケース4の胴部41は、インペラ60を径方向外側で囲む円筒状の周壁44を備えており、モータ部200によってインペラ60が第1回転方向cwに回転すると、吸込み口40から流入した流体が周壁44に沿って第1回転方向cwに移動し、第1吐出管8から吐出される。これに対して、モータ部200によってインペラ60が第1回転方向cwとは逆の第2回転方向ccwに回転すると、吸込み口40から流入した流体が周壁44に沿って第2回転方向ccwに移動し、吸込み口40から流入した流体が第2吐出管9から吐出され
る。
【0028】
(第2ケース4の詳細構成)
図5は、本発明の実施の形態1に係るポンプ装置1に用いた第2ケース4の説明図であり、
図5(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、第2ケース4を吸込み口40とは反対側からみた背面図、第2ケース4を第1吐出管8の延在方向からみた平面図、第2ケース4を第1吐出管8側に傾けてみた斜視図、
図5(b)のA1−A1′線で第2ケース4を切断したときの断面図、および
図5(a)のB1−B1′線で第2ケース4を切断したときの断面図である。
【0029】
図4および
図5に示すように、本形態のポンプ装置1に用いた第2ケース4には、第1吐出管8および第2吐出管9が平行に並列して設けられており、第1吐出管8および第2吐出管9はいずれも重力方向の上方に向かって直線的に突出している。
【0030】
第2ケース4では、周壁44に形成された第1開口部48に第1吐出管8が連通し、周壁44において第1開口部48から第1回転方向cwで離間する位置で開口する第2開口部49に第2吐出管9が連通している。本形態において、第1吐出管8および第2吐出管9は、外径および内径が等しい円筒状である。
【0031】
また、周壁44において、第1開口部48の第1回転方向cw側には、径方向内側に突出する第1凸部46が形成され、第2開口部49の第2回転方向ccw側には、径方向内側に突出する第2凸部47が設けられている。本形態において、第1凸部46と第2凸部47とは周方向で連続した凸部45を構成している。このため、凸部45において、第2回転方向ccw側に位置する部分が第1凸部46であり、第2回転方向ccw側に位置する部分が第2凸部47である。従って、第1開口部48と第2開口部49との間(凸部45が形成されている部分)では、周壁44とインペラ60の外周部分との間隔が狭い。
【0032】
ここで、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部461の少なくとも一部が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置している。
【0033】
より具体的には、まず、第1吐出管8が円筒状である。このため、第1吐出管8の内部は断面円形であり、第1吐出管8の内周面80は円形である。従って、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1吐出管8の内周面80のうち、最も第1回転方向cw側に位置する部分は、第1吐出管8の軸線L1およびモータ軸線L0に直交する方向の直径部分の第1回転方向cw側の部分801である。
【0034】
一方、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の端部461は、第1吐出管8の内周面80に沿って湾曲した円弧形状を有しており、端部461は、第1吐出管8の内周面80と重なっている。このため、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1開口部48の開口縁は、第1凸部46の端部461と重なっている。また、第1凸部46の端部461において、モータ軸線L0方向の両側に位置する部分461a、461bは、第1吐出管8の内周面80のうち、最も第1回転方向cw側に位置する部分801より第2回転方向ccw側に位置する。本形態において、第1凸部46の端部461において、モータ軸線L0方向の両側に位置する部分461a、461bのうち、吸込み口40側に位置する部分461bは、吸込み口40とは反対側に位置する部分461aより第2回転方向ccw側に位置する。
【0035】
また、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2凸部47の第1回転方向cw側の端部471の少なくとも一部が第2吐出管9の内周面90の最も第2回転方向ccw側
に位置する部分より第1回転方向cw側に位置している。
【0036】
より具体的には、まず、第2吐出管9が円筒状である。このため、第2吐出管9の内部は断面円形であり、第2吐出管9の内周面90は円形である。従って、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2吐出管9の内周面90のうち、最も第2回転方向ccw側に位置する部分は、第2吐出管9の軸線L2およびモータ軸線L0に直交する方向の直径部分の第2回転方向ccw側の部分901である。
【0037】
一方、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2凸部47の端部471は、第2吐出管9の内周面90に沿って湾曲した円弧形状を有しており、端部471は、第2吐出管9の内周面90と重なっている。このため、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2開口部49の開口縁は、第2凸部47の端部471と重なっている。また、第2凸部47の端部471において、モータ軸線L0方向の両側に位置する部分471a、471bは、第2吐出管9の内周面90のうち、最も第2回転方向ccw側に位置する部分901より第1回転方向cw側に位置する。本形態において、第2凸部47の端部471において、モータ軸線L0方向の両側に位置する部分471a、471bのうち、吸込み口40側に位置する部分471bは、吸込み口40とは反対側に位置する部分471aより第2回転方向ccw側に位置する。
【0038】
従って、
図5(e)からわかるように、凸部45全体でみたとき、吸込み口40側に位置する部分45bの直線的な長さは、吸込み口40とは反対側に位置する部分45aの直線的な長さより長い。それでも、凸部45において、吸込み口40とは反対側に位置する部分45aの直線的な長さLaは、第1吐出管8の内周面80と第2吐出管9の内周面90との間隔Lb(第1開口部48と第2開口部49との間隔)より長い。なお、本形態では、周壁44の内径Lc(直径)、凸部45において吸込み口40とは反対側に位置する部分45aの長さLa、および第1吐出管8の内周面80と第2吐出管9の内周面90との間隔Lb(第1開口部48と第2開口部49との間隔)は、以下の関係
Lb < Lc/3 < La
を満たすように設定されている。
【0039】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のポンプ装置1においては、ポンプケース2の第2ケース4の周壁44には、第1吐出管8が連通する第1開口部48と第2吐出管9が連通する第2開口部49との間には凸部45(第1凸部46および第2凸部47)が設けられている。このため、インペラ60を第1回転方向cwに回転させて第1吐出管8から流体を吐出する際、第2吐出管9から流体が漏れにくく、インペラ60を第2回転方向ccwに回転させて第2吐出管9から流体を吐出する際、第1吐出管8から流体が漏れにくい。
【0040】
また、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部461の少なくとも一部が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置する。このため、周壁44において、第1凸部46に起因する段部と第1開口部48とに挟まれた領域が狭いか、あるいはかかる領域が存在しない。本形態では、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の端部461は、第1吐出管8の内周面80と重なっているため、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1開口部48の開口縁は、第1凸部46の端部461と重なっている。従って、周壁44において、第1凸部46に起因する段部と第1開口部48とに挟まれた領域が存在しない。それ故、インペラ60が第1回転方向cwに回転した際、第1凸部46に起因する段部に当たった流体がスムーズに第1吐出管8の方に流れるので、第1凸部46に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。よって、流体として洗浄に用いた水を第1吐出管8から吐出する際、洗浄水に含まれている異物
がスムーズに第1吐出管8の方に流れるので、第1凸部46に起因する段部に異物が溜まることを抑制することができる。また、第1凸部46に起因する段部に溜まった異物によってインペラ60の回転が阻害されるという事態も発生しにくい。
【0041】
また、第2吐出管9の側でも、基本的には、第1吐出管8と同様な構成になっており、周壁44には、第2凸部47に起因する段部と第2開口部49とに挟まれた領域が存在しない。それ故、インペラ60が第2回転方向ccwに回転した際、第2凸部47に起因する段部に当たった流体がスムーズに第2吐出管9の方に流れるので、第2凸部47に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。よって、流体として洗浄に用いた水を第2吐出管9から吐出する際、洗浄水に含まれている異物がスムーズに第2吐出管9の方に流れるので、第2凸部47に起因する段部に異物が溜まることを抑制することができる。また、第2凸部47に起因する段部に溜まった異物によってインペラ60の回転が阻害されるという事態も発生しにくい。
【0042】
また、本形態では、第1吐出管8および第2吐出管9が平行に並列し、かつ、第1吐出管8および第2吐出管9は円筒状である。このため、第1吐出管8および第2吐出管9に対するゴムホースの接続等の配管作業が容易である。また、第1吐出管8および第2吐出管9が平行に並列し、かつ、第1凸部46と第2凸部47とを周方向で連続した凸部45として構成してある。従って、ポンプケース2の第2ケース4を金型成形する際、金型の構成を簡素化することができる。
【0043】
また、ポンプケース2の第2ケース4は、第1吐出管8および第2吐出管9が上向きとなるように配置されている。従って、インペラ60を第1回転方向cwに回転させて第1吐出管8から流体を吐出する際、重力の影響で第2吐出管9から流体が漏れにくく、インペラ60を第2回転方向ccwに回転させて第2吐出管9から流体を吐出する際、重力の影響で第1吐出管8から流体が漏れにくい。
【0044】
[実施の形態1の変形例]
上記実施の形態1では、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の端部461は、第1吐出管8の内周面80と重なっていたが、第1凸部46の端部461が第1吐出管8の内周面80より第2回転方向ccw側に位置している構成であってもよい。同様に、第2凸部47の端部471が第2吐出管9の内周面90より第1回転方向cw側に位置している構成であってもよい。
【0045】
また、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部461の少なくとも一部が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置する構成であれば、第1凸部46の端部461が第1吐出管8の内周面80より第1回転方向cw側に位置している構成であってもよい。同様に、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2凸部47の第1回転方向cw側の端部471の少なくとも一部が第2吐出管9の内周面90の最も第2回転方向ccw側に位置する部分より第1回転方向cw側に位置する構成であれば、第2凸部47の端部471が第2吐出管9の内周面90より第2回転方向ccw側に位置している構成であってもよい。
【0046】
[実施の形態2]
図6は、本発明の実施の形態2に係るポンプ装置1に用いた第2ケース4の説明図であり、
図6(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は、第2ケース4を吸込み口40とは反対側からみた背面図、第2ケース4を第1吐出管8の延在方向からみた平面図、第2ケース4を第1吐出管8側に傾けてみた斜視図、
図6(b)のA2−A2′線で第2ケース4を切断したときの断面図、および
図6(a)のB2−B2′線で第2ケース4を切断し
たときの断面図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0047】
図6に示すように、本形態のポンプ装置1に用いた第2ケース4にも、実施の形態1と同様、第1吐出管8および第2吐出管9が平行に並列して設けられており、第1吐出管8および第2吐出管9はいずれも重力方向の上方に向かって突出している。また、第2ケース4では、周壁44に形成された第1開口部48に第1吐出管8が連通し、周壁44において第1開口部48に対して第1回転方向cwで離間する位置で開口する第2開口部49に第2吐出管9が連通している。本形態において、第1吐出管8および第2吐出管9はいずれも円筒状であるが、外径および内径が相違している。本形態において、第1吐出管8は、第2吐出管9より外径および内径が小である。
【0048】
また、周壁44において、第1開口部48の第1回転方向cw側には、径方向内側に突出する第1凸部46が形成され、第2開口部49の第2回転方向ccw側には、径方向内側に突出する第2凸部47が設けられている。本形態において、第1凸部46と第2凸部47とは周方向で連続した凸部45を構成している。このため、凸部45において、第2回転方向ccw側に位置する部分が第1凸部46であり、第2回転方向ccw側に位置する部分が第2凸部47である。
【0049】
ここで、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部462の少なくとも一部が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置している。本形態では、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部462の全体が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置している。
【0050】
より具体的には、まず、第1吐出管8が円筒状である。このため、第1吐出管8の内部は断面円形であり、第1吐出管8の内周面80は円形である。従って、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1吐出管8の内周面80のうち、最も第1回転方向cw側に位置する部分は、第1吐出管8の軸線L1およびモータ軸線L0に直交する方向の直径部分の第1回転方向cw側の部分801である。
【0051】
一方、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の端部462は、第1吐出管8の内周面80のうち、最も第1回転方向cw側に位置する部分801より第2回転方向ccw側でモータ軸線L0と平行に直線状に延在している。また、第1凸部46の端部462は、第1吐出管8の内周面80のうち、第1回転方向cw側に位置する所定角度範囲の部分より第2回転方向ccw側でモータ軸線L0と平行に直線状に延在している。本形態において、第1凸部46の端部462において、モータ軸線L0方向の両側に位置する部分462a、462bは、周方向において同一の位置にある。
【0052】
また、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2凸部47の第1回転方向cw側の端部472の少なくとも一部が第2吐出管9の内周面90の最も第2回転方向ccw側に位置する部分より第1回転方向cw側に位置している。本形態では、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2凸部47の第1回転方向cw側の端部472の全体が第2吐出管9の内周面90の最も第2回転方向ccw側に位置する部分より第1回転方向cw側に位置している。
【0053】
より具体的には、まず、第2吐出管9が円筒状である。このため、第2吐出管9の内部は断面円形であり、第2吐出管9の内周面90は円形である。従って、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2吐出管9の内周面90のうち、最も第2回転方向ccw側
に位置する部分は、第2吐出管9の軸線L2およびモータ軸線L0に直交する方向の直径部分の第2回転方向ccw側の部分901である。
【0054】
一方、第2吐出管9の軸線L2方向からみたとき、第2凸部47の端部472は、第2吐出管9の内周面90のうち、最も第2回転方向ccw側に位置する部分901より第1回転方向cw側でモータ軸線L0と平行に直線状に延在している。また、第2凸部47の端部472は、第2吐出管9の内周面90のうち、第2回転方向ccw側に位置する所定角度範囲の部分より第1回転方向cw側でモータ軸線L0と平行に直線状に延在している。本形態において、第2凸部47の端部472において、モータ軸線L0方向の両側に位置する部分472a、472bは、周方向において同一の位置にある。
【0055】
従って、
図6(e)からわかるように、凸部45全体でみたとき、吸込み口40側に位置する部分45bの直線的な長さは、吸込み口40とは反対側に位置する部分45aの直線的な長さと等しい。また、凸部45の直線的な長さLaは、第1吐出管8の内周面80と第2吐出管9の内周面90との間隔Lb(第1開口部48と第2開口部49との間隔)より長い。なお、本形態では、周壁44の内径Lc(直径)、凸部45の長さLa、および第1吐出管8の内周面80と第2吐出管9の内周面90との間隔Lb(第1開口部48と第2開口部49との間隔)は、以下の関係
Lb < Lc/3 < La
を満たすように設定されている。
【0056】
以上説明したように、本形態のポンプ装置1においても、実施の形態1と同様、ポンプケース2の第2ケース4の周壁44には、第1吐出管8が連通する第1開口部48と第2吐出管9が連通する第2開口部49との間には凸部45(第1凸部46および第2凸部47)が設けられている。このため、インペラ60を第1回転方向cwに回転させて第1吐出管8から流体を吐出する際、第2吐出管9から流体が漏れにくく、インペラ60を第2回転方向ccwに回転させて第2吐出管9から流体を吐出する際、第1吐出管8から流体が漏れにくい。
【0057】
また、第1吐出管8の軸線L1方向からみたとき、第1凸部46の第2回転方向ccw側の端部462の全体が第1吐出管8の内周面80の最も第1回転方向cw側に位置する部分より第2回転方向ccw側に位置する。このため、周壁44において、第1凸部46に起因する段部と第1開口部48とに挟まれた領域が存在しない。それ故、インペラ60が第1回転方向cwに回転した際、第1凸部46に起因する段部に当たった流体がスムーズに第1吐出管8の方に流れるので、第1凸部46に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。よって、流体として洗浄に用いた水を第1吐出管8から吐出する際、洗浄水に含まれている異物がスムーズに第1吐出管8の方に流れるので、第1凸部46に起因する段部に異物が溜まることを抑制することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0058】
また、第2吐出管9の側でも、基本的には、第1吐出管8と同様な構成になっており、周壁44には、第2凸部47に起因する段部と第2開口部49とに挟まれた領域が存在しない。それ故、インペラ60が第2回転方向ccwに回転した際、第2凸部47に起因する段部に当たった流体がスムーズに第2吐出管9の方に流れるので、第2凸部47に起因する段部によって流体が滞留するという事態が発生しにくい。よって、流体として洗浄に用いた水を第2吐出管9から吐出する際、洗浄水に含まれている異物がスムーズに第2吐出管9の方に流れるので、第2凸部47に起因する段部に異物が溜まることを抑制することができる等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0059】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、第1凸部46および第2凸部47で基本的な構成が同一であったが、一方側の凸部のみにおいて、凸部の端部が吐出管の内周面より張り出している構成であってもよい。