(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-56942(P2016-56942A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】炭酸飲料を大瓶から容器に分けるための安全機構を備えた二方弁
(51)【国際特許分類】
F16K 5/06 20060101AFI20160328BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
F16K5/06 Z
F16K27/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-205782(P2014-205782)
(22)【出願日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】62/047,765
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/504,633
(32)【優先日】2014年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512023351
【氏名又は名称】チェン、デイビー ジド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン、デイビー ジド
(72)【発明者】
【氏名】ル、レクン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ベンユ
【テーマコード(参考)】
3H051
3H054
【Fターム(参考)】
3H051AA04
3H051BB10
3H051CC15
3H051DD07
3H051FF15
3H054AA03
3H054BB02
3H054BB24
3H054CA24
3H054CB34
3H054CC05
3H054CE01
3H054CE03
3H054GG14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】炭酸飲料を大瓶から容器に分けるための安全機構を備えた二方弁を提供する。
【解決手段】二方弁3は、弁体4と、弁心5と、ハンドル6と、飲料瓶シールリング7、8と、を備える。弁体は、大瓶1の雄ねじ18とマッチする入口の雌ねじ16を有する入口9と、容器の雄ねじ19にマッチする出口の雌ねじ17を有する出口とを有する。安全機構は、飲料瓶シールリングが炭酸ガスにより飲み手側に吹き飛ばされるのを防止する機構であり、弁体の出口の雌ねじの底部と入口の雌ねじの底部とに軸方向に窪み込んだ軸方向リング形状溝であり、軸方向リング形状溝の一面は、溝の底部まで延伸する雌ねじであり、溝の他面は、溝壁である。飲料瓶シールリングは軸方向リング形状溝に位置する。軸方向リング形状溝の深さが飲料瓶シールリングの厚さより大きいため、流出する炭酸ガスは飲料瓶シールリングを吹き飛ばすことはない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸飲料を大瓶から容器に分けるための安全機構を備えた二方弁であって、
弁体と、弁心と、ハンドルと、瓶シールリングと、を備え、
前記弁体は、大瓶の雄ねじにマッチする雌ねじを有する入口と、容器の雄ねじにマッチする雌ねじを有する出口と、を有し、
前記弁体の前記出口の雌ねじの底部と前記入口の雌ねじの底部とには、それぞれ、瓶シールリングが圧力ガスによって吹き出されるのを防止する安全機構を有することを特徴とする安全機構を備えた二方弁。
【請求項2】
前記安全機構は、弁体の入口の雌ねじの底部と出口の雌ねじの底部とに軸方向に窪み込んだ軸方向リング形状溝であり、軸方向リング形状溝の一面は、軸方向リング形状溝の底部まで延伸する雌ねじであり、軸方向リング形状溝の他面は、溝壁であり、軸方向リング形状溝の深さは、瓶シールリングの厚さより大きく、軸方向リング形状溝の幅は、大瓶の雄ねじの幅より大きいことを特徴とする請求項1に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項3】
前記軸方向リング形状溝は、断面が矩形であり、
前記瓶シールリングもまた断面が矩形であり、弾性プラスチックから作製され、
瓶シールリングの幅と軸方向リング形状溝の幅とはタイトにフィットするように作製されていることを特徴とする請求項2に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項4】
前記安全機構は、弁体の入口の雌ねじと出口の雌ねじとの根元部に径方向に窪み込んだ径方向リング形状溝であることを特徴とする請求項1に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項5】
前記瓶シールリングは、弾性プラスチックから作製され、その厚さが前記径方向リング形状溝の幅より小さく、その外径が前記弁体の入口の雌ねじと出口の雌ねじとの内径より大きいことを特徴とする請求項4に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項6】
前記弁心の棒と弁体との間にシールリングが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の両方弁。
【請求項7】
前記弁体の出口の軸線と入口の軸線とは、互いに直交するか鈍角をなすことを特徴とする請求項1に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項8】
ボール弁であることを特徴とする請求項1に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項9】
前記ボール弁の弁体と弁心は、プラスチックで製造され、前記弁体は、一体射出成型によって製造され、前記弁心は、弁体の空洞に覆われ、回転可能であることを特徴とする請求項8に記載の安全機構を備えた二方弁。
【請求項10】
前記弁体の出口の雌ねじと入口の雌ねじとはサイズが同一であることを特徴とする請求項1に記載の安全機構を備えた二方弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器に属するものである。
【背景技術】
【0002】
個人や家庭では、大瓶の炭酸飲料を購入した場合、飲み切るまで複数回に分けて飲むことがよくある。したがって、瓶の蓋が頻繁に開けられることとなり、飲料におけるガスの脱気を引き起こす。飲料がまだ瓶の中に多く残っているにも関わらず、ガスがすでに全部脱気してしまい、炭酸飲料の品質に大きく影響することがよくある。特許文献1に係る発明は、この問題を解決したが、構造が非常に複雑であり、生産のコストが高く、市場での普及が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5909824号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大瓶の炭酸飲料の市場が巨大であるため、大瓶の炭酸飲料が複数回の飲用において脱気することを防止するための安価で質のよい部品を市場に提供することが必要である。本発明の炭酸飲料を大瓶から容器に分けるための安全機構を備えた二方弁は、このような部品である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の思想は、炭酸飲料瓶の大瓶と小さい容器を二方弁で接続し、二方弁を開いて炭酸飲料を容器に注いでから二方弁を閉じ、二方弁を大瓶の炭酸飲料瓶に残させ、飲料が分けられた容器を取り外すことで、大瓶の炭酸飲料のガスが最後まで維持されることとなる。発明のサンプルによる試験の結果は、この思想が実行可能であることを証明した。
【0006】
試験中に、瓶シールリングが圧力ガスによってハイスピードで吹き出されることがあると分かった。瓶シールリングが偶然飲み手の目に当たると非常に危ないため、瓶シールリングが圧力ガスによって吹き出されることを防止するための安全機構を二方弁へ増設することが重要である。
【0007】
炭酸飲料を大瓶から容器に分けるための安全機構を備えた二方弁であって、
弁体と、弁心と、ハンドルと、瓶シールリングと、を備え、
前記弁体は、大瓶の雄ねじにマッチする雌ねじを有する入口と、容器の雄ねじにマッチする雌ねじを有する出口と、を有し、
前記弁体の前記出口の雌ねじの底部と前記入口の雌ねじの底部とには、それぞれ、瓶シールリングが圧力ガスによって吹き出されるのを防止する安全機構を有する。
【0008】
前記安全機構は、弁体の入口の雌ねじの底部と出口の雌ねじの底部とに軸方向に窪み込んだ軸方向リング形状溝であり、軸方向リング形状溝の一面は、軸方向リング形状溝の底部まで延伸する雌ねじであり、軸方向リング形状溝の他面は、溝壁であり、軸方向リング形状溝の深さは、瓶シールリングの厚さより大きく、軸方向リング形状溝の幅は、大瓶の雄ねじの幅より大きい。
【0009】
前記安全機構は、弁体の入口の雌ねじと出口の雌ねじとの根元部に径方向に窪み込んだ径方向リング形状溝である。
【0010】
前記弁体の出口の軸線と入口の軸線とは、互いに直交するか鈍角をなす。
【0011】
前記安全機構を備えた二方弁は、ボール弁である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の炭酸飲料を大瓶から容器に分けるための安全機構を備えた二方弁の模式図である。入口が炭酸飲料の大瓶に接続し、出口が炭酸飲料の容器に接続する。
【
図2】瓶シールリングが圧力ガスによって吹き出されるのを防止するための安全機構を示す模式図である。
【
図3】瓶シールリングが圧力ガスによって吹き出されるのを防止する他の安全機構を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、大瓶1の炭酸飲料を容器2に分けるための安全二方弁3は、弁体4と、弁心5と、ハンドル6と、瓶シールリング7、8と、を含む。
【0014】
弁体4は、入口9と、出口10と、弁室11と、入口9、出口10、及び弁室11を互いに連絡する通路と、を有する。弁心5の弁心コア12は、弁室11内にあり、弁室11内で回転可能である。弁心5は、弁心孔13と弁心棒14とを有する。弁心棒14は、弁体4の外部へ伸び出し、ハンドル6が装着されている。弁心棒14と弁体4との間に、シールリング15がある。入口9と出口10は、それぞれ、雌ねじ16と雌ねじ17とを有する。入口の雌ねじ16は、大きい飲料瓶の雄ねじ18にマッチし、出口の雌ねじ17は、小さい瓶の雄ねじ19にマッチする。
【0015】
出口の雌ねじの底部と入口の雌ねじの底部とには、瓶シールリングが圧力ガスによって吹き出されるのを防止するための安全機構20を有する。出口の安全機構と入口の安全機構とは、その構造が同一である。
【0016】
弁体の入口9の軸線と出口10の軸線とは互いに直交するか、鈍角をなす。
【0017】
図2に示すように、安全機構20は、弁体の入口及び出口が有する雌ねじ16、17の底面へ軸方向に窪み込んだ軸方向リング形状溝21である。軸方向リング形状溝21の一面は、軸方向リング形状溝21の底部23まで延伸する雌ねじ16、17であり、軸方向リング形状溝21の他面は、溝壁22である。軸方向リング形状溝21の深さHは、瓶シールリング7、8の厚さHmより大きく、軸方向リング形状溝21の幅Gは、瓶の雄ねじの幅Tより大きい。
【0018】
軸方向リング形状溝21は、瓶シールリング7、8を有し、瓶シールリング7、8は弾性プラスチックから作製される。瓶シールリング7、8の幅Gmと軸方向リング形状溝21の幅Gとはタイトにフィットする。シールリング7、8の外径Pmは、雌ねじ16、17の内径Pに等しく、シールリング7、8の内径Dmは、軸方向リング形状溝21の溝壁22の外径Dより大きい。
【0019】
軸方向リング形状溝21の断面は矩形であり、瓶シールリング7、8の断面も矩形である。あるいは、軸方向リング形状溝21の断面が矩形で、瓶シールリング7、8の断面は円形であってもいい。
【0020】
軸方向リング形状溝21の深さHが瓶シールリング7、8の厚さHmより大きいため、放出されたガスの圧力は、瓶シールリング7、8を吹き飛ばすことができず、従って瓶シールリング7、8が吹き出されないことが保証される。
【0021】
図3に示すように、保証機構25は異なる構造を有する。保証機構25は、弁体の出口の雌ねじと入口の雌ねじとの根元部に径方向に窪み込んだ径方向リング形状溝26である。瓶シールリング28は、弾性プラスチックから作製され、その厚さが径方向リング形状溝26の幅より小さく、その外径が雌ねじの内径より大きく、その内径が瓶の内径より小さい。瓶シールリングが径方向リング形状溝内26に嵌入されているため、圧力ガスが瓶シールリング28を吹き飛ばすことはない。
【0022】
弁体の出口と入口の雌ねじ16、17は、国際飲料技術者協会(International Society Beverage Technologists)の飲料瓶規格にしたがって製造される。2リットル以下の炭酸飲料瓶の場合、雄ねじの規格は、PCO規格28mmネック仕上げ(neck finish)であり、この雄ねじの寸法も同じである。
【0023】
本発明の使用方法は、炭酸飲料の大瓶を開け、安全二方弁の入口を炭酸飲料瓶の大瓶の瓶口に締め付け、安全二方弁の出口を容器に締め付け、安全二方弁を開いて炭酸飲料を大瓶から容器に注ぎ、それから安全二方弁を閉め、安全二方弁を炭酸飲料の大瓶上に残させ、飲料を入れられた容器を取り外して、容器へ分ける作業が終了する。閉じた安全二方弁によって炭酸飲料の大瓶を封じ止めるため、大瓶の中の飲料のガスが飲み切られるまで維持され、しかも高い圧力を有する。
【0024】
本出願は2013年10月5日に出願された米国仮出願第61887341号の優先権を主張するものであり、当該特許は参照により本明細書中に取り込まれる。
【外国語明細書】