【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るソーラーパネルの農地用設置架台の一実施例を示す斜視図であり、
図2は、
図1の縦断面図である。
図3は、本発明に係る雨水受板の第一例を示す斜視図であり、
図4は、本発明に係る雨水受板の第二例を示す斜視図であり、
図5は、本発明に係る雨水受板の第三例を示す斜視図である。
【0014】
本発明に係るソーラーパネルの農地用設置架台の一実施例は、
図1に示すように、複数のソーラーパネル2の下方で農作物1を栽培する架台であり、農作物1が栽培可能となる高さに複数のソーラーパネル2を傾斜状態で保持する架台3を設けてその上部にソーラーパネル2が設置され、ソーラーパネル2の下方には、雨水受板4がソーラーパネル2と逆勾配となるよう傾斜状態に設けられている。
【0015】
まずは、本発明に係る架台3について説明する。架台3は、
図1、
図2に示すように、農地に短支柱31、及び長支柱32で一対となる支柱を、短支柱31a、31b同士、長支柱32a、32b同士を直線状に配置して1組立設し、短支柱31a、31b同士の上端を梁部材33で連結し、長支柱32a,32b同士の上端を梁部材34で連結して構成されている。梁部材33、34間には架設部材35a、35bが傾斜状態に架け渡されて架設部材35a、35bには複数のソーラーパネル2が載置されて固定される。
【0016】
短支柱31a、31b、及び長支柱32は、複数のソーラーパネル2を保持可能な強度を有するよう、例えばコンクート製又は金属製の棒状体が用いられる。本実施例において短支柱31の長さは400cm、長支柱32a,32bの長さは450cmとされている。
図1に破線で示すように、各支柱は100cm程、土中に埋設されており、短支柱31の地表からの高さは350cm、長支柱32の地表からの高さは400cmとなり、農地を作業者、若しくは耕作機などの農作業機械が通過できるよう確保されている。ソーラーパネル2の傾斜角度は、太陽光に対して直角となるように傾斜することが発電効率の観点から最適とされるため、短支柱31と長支柱32の長さの差は、架台3の設置場所に応じてで調整されることが好ましい。短支柱31と長支柱32は、250cm程のスパンで配置され、短支柱31a、31b同士は200cm程のスパンで配置されて農地に立設されている。短支柱31a、31bの上端と梁部材33、及び長支柱32a、32bの上端と梁部材34は、互いに着脱可能な固定部材(図示せず)により固着されている。
【0017】
梁部材33、34、及び架設部材35a、35bは、金属製で、例えばアルミニウムや鉄、アルミニウム、亜鉛を用いた合金など、一定の強度を持つ部材であれば何れでも使用できる。本実施例において梁部材33、34の長さは300cmとされ、架設部材35a、35bは載置されたソーラーパネル2に応じた長さとされている。梁部材33、34の上部には、架設部材35a、35bが着脱可能な固定部材(図示せず)により傾斜状態に架け渡され、架設部材35a、35b上には複数のソーラーパネル2が固定金具(図示せず)により固着されている。
【0018】
図1、
図2に示すように、短支柱31a、31bの上部には、受板支持材36がボルト等により固着され、また長支柱32a、32bの上部には、受板支持材36よりも低い位置に受板支持材37がボルト等により固着されている。このように各支柱間に横架した受板支持材36、37に雨水受板4を載置して固定し、雨水受板4がソーラーパネル2とは逆勾配の傾斜状態に保持される。受板支持材36、37は、例えばアルミ筒などの金属製の筒状体で、雨水受板4を支持可能な強度を備えたものであれば例えば丸太などの木材でも良く、何れでも使用することができる。受板支持材37は、その下を作業者、若しくは耕作機などの農作業機械が通過できるよう、地表から少なくとも200cm確保できる位置に横架されることが好ましい。加えて雨水受板4の傾斜角度が10°以上〜15°以下となる位置に受板支持材36、37が横架されることが好ましい。傾斜角度が10°未満の場合には、雨水が流れる勢いが弱く、
図2に示す複数の水抜孔43の内、高位置の水抜孔43から雨水が全て排水されることになり、傾斜角度が15°より大きい場合には、雨水が流れる勢いが強く、低位置の水抜孔43から雨水が全て排水されることになり、結局は農地へ均等に雨水を供給することが困難となる。
【0019】
さらに、雨水受板4は、
図2に示すように、高さを違えて配設された受板支持材36,37に、ボルトやリベット等の一般的な締結具(図示せず)を用いて固着されて傾斜状態に保持される。雨水受板4は、ソーラーパネル2に降り注ぎ流下する雨水を受けることができるよう、雨水受板4の上端側の辺縁4aがソーラーパネル2の下端側の辺縁2aよりも長さt(本実施例においては10cmとした)分、外方に延出して設けられる。
【0020】
このように構成された架台3の頂部に複数のソーラーパネル2が傾斜状態で保持されるとともに、ソーラーパネル2と逆勾配となるように傾斜して雨水受板4が配設され、ソーラーパネル2の下端側の辺縁2aより流下する雨水を雨水受板4の上端部で受けることができる。また、各支柱31、32、梁部材33、34、架設部材35、及び受板支持材36、37は、それぞれが適した強度を有する材質であれば良く、上述した材質に限定されるものではない。さらに、架台3は、短支柱31、及び長支柱32で一対となる支柱を、図示したように1組だけ設けるほか、例えば複数組を直線状、または曲線状に配置して各支柱を梁部材で連結した構成としても良い。
【0021】
次に本発明に係る雨水受板4の第一例について、
図3を参照して説明する。雨水受板4は、アルミニウム、鉄、ガルバニウム鋼板等の金属製、又は合成樹脂製(ポリ塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂)で、
図3に示すように、一定の間隔で千鳥状に複数の水抜孔43が形成されている。このように形成された雨水受板4は、上述したように架台3に配設され、ソーラーパネル2から滴下、または流下した雨水をソーラーパネル2の下端側の辺縁2aよりも外方に延出した部分で受ける。第一例の雨水受板4は、とくに雨量の少ない際に適している。少量の雨水は、雨水受板4の表面を濡らす程度に傾斜方向に向かって伝い、複数の水抜孔43を介して農地へ滴下される。雨量が少ない場合には、ソーラーパネル2から滴下、または流下した位置から直近の水抜孔43から全てが排出されず、雨水が雨水受板4の表面を伝い続けるため、水抜孔43を千鳥状に設けることで、雨水を農地へ均等に供給することが可能となる。
【0022】
次に本発明に係る雨水受板4の第二例について、
図4を参照して説明する。尚、第一例と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、以下、第一例との相違点を主に説明する。第二例の雨水受板4は、
図4に示すように、複数の凹条41と凸条42が交互に、且つ一定の間隔に形成された波板構造体である。凹条41の最底部には複数の水抜孔43が一定の間隔を設けて形成されており、凹条41を流れる雨水が農地へ排出される。第二例の雨水受板4は、とくに雨量の多い場合に適しており、傾斜方向に沿った複数の凹凸を設けることで、雨水受板4の表面を流れる雨水が、確実に水抜孔43から排出される構成されている。
【0023】
さらに雨水受板4は、
図4に示すように、凹条41に仕切部材44を有することが好ましい。豪雨時など雨量が多い際には、ソーラーパネル2や架台3のわずかな傾きなどによりソーラーパネル2からの落水が偏ることがある。その際に凹条41が複数に区画されることで、偏って雨水受板4に流下し凹条41を流れる雨水が、仕切部材44で堰止されて隣り合う凹条41へ越流させることで農地に対して均等に雨水を排水することが可能となる。尚、
図1、
図2に示された雨水受板4は、
図4に示す第二例の雨水受板4である。
【0024】
次に本発明に係る雨水受板4の第三例について、
図5を参照して説明する。尚、第二例と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、以下、第二例との相違点を主に説明する。第三例の雨水受板4は、
図5に示すように、板状体を連続的に直角に折曲させ、複数の凹条41と凸条42が交互に、且つ一定の間隔に形成された角波板である。このように複数の凹条41と凸条42が交互に、且つ一定の間隔に形成された板体であれば凹条41と凸条42の断面形状は何れの形状でも使用することができる。
【0025】
以上のように構成された農地上に構築された架台3に、ソーラーパネル2、及び雨水受板4を設けることで、ソーラーパネル2に降り注ぐ雨水を農地へ均等に供給することが可能となる。尚、ソーラーパネルの下が日陰となるため、栽培される農作物1は、半陰性或いは陰性栽培植物が適する。因みに、半陰性栽培植物としては、苺、ほうれん草、小松菜、蕪、山葵、レタス、春菊、パセリ、馬鈴薯、里芋、生姜、アスパラガスなどが挙げられ、陰性植物としては三つ葉、セリ、クレソン、紫蘇、茗荷、ラッキョウ、蕗、韮などが挙げられる。
【0026】
尚、本発明の要旨は、農作物1を栽培し、その上方でソーラーパネル2を設置する架台3において、ソーラーパネル2の下方に雨水受板4をソーラーパネル2と逆勾配となるように設けた点である。よって本実施例における、各支柱の長さ、埋設深さ、及びスパンは記載された数値に限定されるものではなく、各数値を、適宜変更することは勿論可能である。