特開2016-59118(P2016-59118A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 葛本 洋介の特許一覧

<>
  • 特開2016059118-ソーラーパネルの農地用設置架台 図000003
  • 特開2016059118-ソーラーパネルの農地用設置架台 図000004
  • 特開2016059118-ソーラーパネルの農地用設置架台 図000005
  • 特開2016059118-ソーラーパネルの農地用設置架台 図000006
  • 特開2016059118-ソーラーパネルの農地用設置架台 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2016-59118(P2016-59118A)
(43)【公開日】2016年4月21日
(54)【発明の名称】ソーラーパネルの農地用設置架台
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20160328BHJP
   A01G 25/02 20060101ALI20160328BHJP
【FI】
   H02S20/10 C
   H02S20/10 J
   H02S20/10 T
   A01G25/02 602A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-181974(P2014-181974)
(22)【出願日】2014年9月8日
(71)【出願人】
【識別番号】514227405
【氏名又は名称】葛本 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛本 洋介
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ソーラーパネル下の農地へ均等に雨水を供給することのできるソーラーパネルの農地用設置架台を提供する。
【解決手段】ソーラーパネル2を傾斜状態で保持するソーラーパネル2の農地用設置架台において、ソーラーパネル2の下方に複数の水抜孔43を有する雨水受板4をソーラーパネル2と逆勾配となるように傾斜して設けると共に、雨水受板4の上端側の辺縁2aをソーラーパネル2の下端側の辺縁4aよりも長さt分外方に延出して設ける。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルを傾斜状態で保持するソーラーパネルの農地用設置架台において、
該ソーラーパネルの下方に複数の水抜孔を有する雨水受板を前記ソーラーパネルと逆勾配となるように傾斜して設けると共に、
該雨水受板の上端側の辺縁を前記ソーラーパネルの下端側の辺縁よりも外方に延出して設けたことを特徴とするソーラーパネルの農地用設置架台。
【請求項2】
前記雨水受板が、傾斜方向に沿った複数の凹凸が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のソーラーパネルの農地用設置架台。
【請求項3】
前記凹条に仕切部材が設けられたことを特徴とする請求項2に記載のソーラーパネルの農地用設置架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーラーパネルの設置架台に関し、とくに農地上に構築され、農作物の栽培に適したソーラーパネルの農地用設置架台に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農地上にソーラーパネルを設置して野菜や花弁等の農作物を栽培すると共に、ソーラーパネルで発電を行い、1区画の土地を農場及び発電場として活用する、いわゆるソーラーシェアリング式営農が行われている。ソーラーシェアリング式営農では、ソーラーパネルで発電された電力は、農業機械の電力に使用されるほか、売電、又は生活電力に供される。
【0003】
このようなソーラーシェアリング式営農におけるソーラーパネルの設置架台として、例えばソーラーパネルの裏面に反射板を設け、東西方向、南北方向の2軸に対して回転可能に架台に配設し、太陽の移動に合わせてソーラーパネルの板面を傾斜状態に操作するよう構成されたソーラーパネルの設置架台が先に提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、傾斜したソーラーパネルの上方に回転式散水ヘッドを設け、農地上に設けられたソーラーパネルの土埃や農薬等を清掃するよう構成された太陽光発電装置や(特許文献2参照)、ソーラーパネルの裏面に反射板を設けるとともに、ソーラーパネルを傾斜させて複数のソーラーパネル同士を離間して配置することで開口部を設け、この開口部を介してソーラーパネル下の農作物の日照量を確保するよう構成された太陽光発電装置が先に提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3189168号公報
【特許文献2】実用新案登録第3192088号公報
【特許文献3】特開2013−175520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの文献に記載されたソーラーパネルの設置架台は、傾斜したソーラーパネルに降り注いだ雨水がソーラーパネルの最下端から農地へ滴下、又は流下し、水溜が生じて農作物が浸水するため、ソーラーパネルの最下端の下方に栽培された農作物に水分過多に伴う根腐れや軟腐病が発生する、また、水溜内の農作物に水媒伝染性病害が発生しやすいという問題があった。これに対してソーラーパネル下の農作物は、降雨にさらされないため、水分不足による発育不良を引き起こし、農作物の栽培が、上方のソーラーパネルの配置に左右されるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、ソーラーパネル下の農地へ均等に雨水を供給することのできるソーラーパネルの農地用設置架台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明は、農地上にソーラーパネルを傾斜状態で保持するソーラーパネルの設置架台において、前記ソーラーパネルの下方に複数の水抜孔を有する雨水受板を、前記ソーラーパネルと逆勾配となるように傾斜して設けると共に、該雨水受板の上端側の辺縁を前記ソーラーパネルの下端側の辺縁よりも外方に延出して設けたことを第1の特徴とする。
【0009】
また、前記雨水受板が、傾斜方向に沿って複数の凹条が形成された波板であることを第2の特徴とする。
【0010】
さらに、前記凹条の途中に堰を設けたことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以下の優れた効果を有する。
(1)農地の特定の箇所に水溜が生じることを防止することが可能となり、農作物が浸水することを防止することができる。
(2)ソーラーパネルから滴下、又は流下する雨水を農地へ均等に供給することができる。要するに、架台下の農作物の生育条件を均等化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るソーラーパネルの農地用設置架台の一実施例を示す斜視図である。
図2図1の縦断面図である。
図3】本発明に係る雨水受板の第一例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る雨水受板の第二例を示す斜視図である。
図5】本発明に係る雨水受板の第三例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明に係るソーラーパネルの農地用設置架台の一実施例を示す斜視図であり、図2は、図1の縦断面図である。図3は、本発明に係る雨水受板の第一例を示す斜視図であり、図4は、本発明に係る雨水受板の第二例を示す斜視図であり、図5は、本発明に係る雨水受板の第三例を示す斜視図である。
【0014】
本発明に係るソーラーパネルの農地用設置架台の一実施例は、図1に示すように、複数のソーラーパネル2の下方で農作物1を栽培する架台であり、農作物1が栽培可能となる高さに複数のソーラーパネル2を傾斜状態で保持する架台3を設けてその上部にソーラーパネル2が設置され、ソーラーパネル2の下方には、雨水受板4がソーラーパネル2と逆勾配となるよう傾斜状態に設けられている。
【0015】
まずは、本発明に係る架台3について説明する。架台3は、図1図2に示すように、農地に短支柱31、及び長支柱32で一対となる支柱を、短支柱31a、31b同士、長支柱32a、32b同士を直線状に配置して1組立設し、短支柱31a、31b同士の上端を梁部材33で連結し、長支柱32a,32b同士の上端を梁部材34で連結して構成されている。梁部材33、34間には架設部材35a、35bが傾斜状態に架け渡されて架設部材35a、35bには複数のソーラーパネル2が載置されて固定される。
【0016】
短支柱31a、31b、及び長支柱32は、複数のソーラーパネル2を保持可能な強度を有するよう、例えばコンクート製又は金属製の棒状体が用いられる。本実施例において短支柱31の長さは400cm、長支柱32a,32bの長さは450cmとされている。図1に破線で示すように、各支柱は100cm程、土中に埋設されており、短支柱31の地表からの高さは350cm、長支柱32の地表からの高さは400cmとなり、農地を作業者、若しくは耕作機などの農作業機械が通過できるよう確保されている。ソーラーパネル2の傾斜角度は、太陽光に対して直角となるように傾斜することが発電効率の観点から最適とされるため、短支柱31と長支柱32の長さの差は、架台3の設置場所に応じてで調整されることが好ましい。短支柱31と長支柱32は、250cm程のスパンで配置され、短支柱31a、31b同士は200cm程のスパンで配置されて農地に立設されている。短支柱31a、31bの上端と梁部材33、及び長支柱32a、32bの上端と梁部材34は、互いに着脱可能な固定部材(図示せず)により固着されている。
【0017】
梁部材33、34、及び架設部材35a、35bは、金属製で、例えばアルミニウムや鉄、アルミニウム、亜鉛を用いた合金など、一定の強度を持つ部材であれば何れでも使用できる。本実施例において梁部材33、34の長さは300cmとされ、架設部材35a、35bは載置されたソーラーパネル2に応じた長さとされている。梁部材33、34の上部には、架設部材35a、35bが着脱可能な固定部材(図示せず)により傾斜状態に架け渡され、架設部材35a、35b上には複数のソーラーパネル2が固定金具(図示せず)により固着されている。
【0018】
図1図2に示すように、短支柱31a、31bの上部には、受板支持材36がボルト等により固着され、また長支柱32a、32bの上部には、受板支持材36よりも低い位置に受板支持材37がボルト等により固着されている。このように各支柱間に横架した受板支持材36、37に雨水受板4を載置して固定し、雨水受板4がソーラーパネル2とは逆勾配の傾斜状態に保持される。受板支持材36、37は、例えばアルミ筒などの金属製の筒状体で、雨水受板4を支持可能な強度を備えたものであれば例えば丸太などの木材でも良く、何れでも使用することができる。受板支持材37は、その下を作業者、若しくは耕作機などの農作業機械が通過できるよう、地表から少なくとも200cm確保できる位置に横架されることが好ましい。加えて雨水受板4の傾斜角度が10°以上〜15°以下となる位置に受板支持材36、37が横架されることが好ましい。傾斜角度が10°未満の場合には、雨水が流れる勢いが弱く、図2に示す複数の水抜孔43の内、高位置の水抜孔43から雨水が全て排水されることになり、傾斜角度が15°より大きい場合には、雨水が流れる勢いが強く、低位置の水抜孔43から雨水が全て排水されることになり、結局は農地へ均等に雨水を供給することが困難となる。
【0019】
さらに、雨水受板4は、図2に示すように、高さを違えて配設された受板支持材36,37に、ボルトやリベット等の一般的な締結具(図示せず)を用いて固着されて傾斜状態に保持される。雨水受板4は、ソーラーパネル2に降り注ぎ流下する雨水を受けることができるよう、雨水受板4の上端側の辺縁4aがソーラーパネル2の下端側の辺縁2aよりも長さt(本実施例においては10cmとした)分、外方に延出して設けられる。
【0020】
このように構成された架台3の頂部に複数のソーラーパネル2が傾斜状態で保持されるとともに、ソーラーパネル2と逆勾配となるように傾斜して雨水受板4が配設され、ソーラーパネル2の下端側の辺縁2aより流下する雨水を雨水受板4の上端部で受けることができる。また、各支柱31、32、梁部材33、34、架設部材35、及び受板支持材36、37は、それぞれが適した強度を有する材質であれば良く、上述した材質に限定されるものではない。さらに、架台3は、短支柱31、及び長支柱32で一対となる支柱を、図示したように1組だけ設けるほか、例えば複数組を直線状、または曲線状に配置して各支柱を梁部材で連結した構成としても良い。
【0021】
次に本発明に係る雨水受板4の第一例について、図3を参照して説明する。雨水受板4は、アルミニウム、鉄、ガルバニウム鋼板等の金属製、又は合成樹脂製(ポリ塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂)で、図3に示すように、一定の間隔で千鳥状に複数の水抜孔43が形成されている。このように形成された雨水受板4は、上述したように架台3に配設され、ソーラーパネル2から滴下、または流下した雨水をソーラーパネル2の下端側の辺縁2aよりも外方に延出した部分で受ける。第一例の雨水受板4は、とくに雨量の少ない際に適している。少量の雨水は、雨水受板4の表面を濡らす程度に傾斜方向に向かって伝い、複数の水抜孔43を介して農地へ滴下される。雨量が少ない場合には、ソーラーパネル2から滴下、または流下した位置から直近の水抜孔43から全てが排出されず、雨水が雨水受板4の表面を伝い続けるため、水抜孔43を千鳥状に設けることで、雨水を農地へ均等に供給することが可能となる。
【0022】
次に本発明に係る雨水受板4の第二例について、図4を参照して説明する。尚、第一例と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、以下、第一例との相違点を主に説明する。第二例の雨水受板4は、図4に示すように、複数の凹条41と凸条42が交互に、且つ一定の間隔に形成された波板構造体である。凹条41の最底部には複数の水抜孔43が一定の間隔を設けて形成されており、凹条41を流れる雨水が農地へ排出される。第二例の雨水受板4は、とくに雨量の多い場合に適しており、傾斜方向に沿った複数の凹凸を設けることで、雨水受板4の表面を流れる雨水が、確実に水抜孔43から排出される構成されている。
【0023】
さらに雨水受板4は、図4に示すように、凹条41に仕切部材44を有することが好ましい。豪雨時など雨量が多い際には、ソーラーパネル2や架台3のわずかな傾きなどによりソーラーパネル2からの落水が偏ることがある。その際に凹条41が複数に区画されることで、偏って雨水受板4に流下し凹条41を流れる雨水が、仕切部材44で堰止されて隣り合う凹条41へ越流させることで農地に対して均等に雨水を排水することが可能となる。尚、図1図2に示された雨水受板4は、図4に示す第二例の雨水受板4である。
【0024】
次に本発明に係る雨水受板4の第三例について、図5を参照して説明する。尚、第二例と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、以下、第二例との相違点を主に説明する。第三例の雨水受板4は、図5に示すように、板状体を連続的に直角に折曲させ、複数の凹条41と凸条42が交互に、且つ一定の間隔に形成された角波板である。このように複数の凹条41と凸条42が交互に、且つ一定の間隔に形成された板体であれば凹条41と凸条42の断面形状は何れの形状でも使用することができる。
【0025】
以上のように構成された農地上に構築された架台3に、ソーラーパネル2、及び雨水受板4を設けることで、ソーラーパネル2に降り注ぐ雨水を農地へ均等に供給することが可能となる。尚、ソーラーパネルの下が日陰となるため、栽培される農作物1は、半陰性或いは陰性栽培植物が適する。因みに、半陰性栽培植物としては、苺、ほうれん草、小松菜、蕪、山葵、レタス、春菊、パセリ、馬鈴薯、里芋、生姜、アスパラガスなどが挙げられ、陰性植物としては三つ葉、セリ、クレソン、紫蘇、茗荷、ラッキョウ、蕗、韮などが挙げられる。
【0026】
尚、本発明の要旨は、農作物1を栽培し、その上方でソーラーパネル2を設置する架台3において、ソーラーパネル2の下方に雨水受板4をソーラーパネル2と逆勾配となるように設けた点である。よって本実施例における、各支柱の長さ、埋設深さ、及びスパンは記載された数値に限定されるものではなく、各数値を、適宜変更することは勿論可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 農作物
2 ソーラーパネル
3 架台
31 短支柱
32 長支柱
33 梁部材
34 梁部材
35 架設部材
36 受板支持材
37 受板支持材
4 雨水受板
41 凹条
42 凸条
43 水抜孔
44 仕切部材(堰)
t 長さ
図1
図2
図3
図4
図5