【解決手段】液透過性の表面シート2と、第1裏面シート3と、これらの間に配された吸収体6とを有し、吸収性物品の肌面側に載置して用いられる吸収性パッド1であって、第1裏面シート3は水溶性フィルム4を含んで構成され、水溶性フィルム4が溶けることにより外部へ液が漏洩可能に形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜4に開示された吸収性パッドは、例えば尿等が大量に排泄された場合に、吸収性パッドの下に設けられた吸収性物品に尿等を吸収させて、横漏れが起こるのを防止することができる。しかし、吸収性パッドの裏面シートを液が透過するように形成した場合、当該吸収性パッドの吸収能が十分活用されず、排泄された尿等の多くが吸収性パッドをそのまま通り抜けてしまうことが懸念される。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、吸収性パッドに備えられた吸収体の吸収能が十分に活用され、かつ裏面シートから尿等が透過できるように形成された吸収性パッドおよび吸収性パッド積層体、ならびに当該吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体を備えた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性パッドとは、吸収性物品の肌面側に載置して用いられ、液透過性の表面シートと、第1裏面シートと、これらの間に配された吸収体とを有する吸収性パッドであって、第1裏面シートは水溶性フィルムを含んで構成され、水溶性フィルムが溶けることにより外部へ液が漏洩可能に形成されているところに特徴を有する。
【0007】
本発明の吸収性パッドは第1裏面シートが水溶性フィルムを含んで構成されているため、水溶性フィルムが破れずに存在する状態では、着用者から排泄された尿等の体液が吸収性パッドの吸収体に吸収され、吸収性パッドの吸収能が好適に活用される。水溶性フィルムは、水分と接触してから溶けるまでにある程度の時間を要するため、初期あるいは1回目に排泄された尿等は吸収性パッドの吸収体に吸収される。そして、尿等と接触した水溶性フィルムは,例えば次の排泄までの間に徐々に溶け、2回目以降の排泄の際には、吸収性パッドに排泄された尿等が、第1裏面シートを透過して吸収性パッドの外部へ漏洩し、その下に設けられた別体の吸収性物品や他の吸収性パッドに吸収される。従って、尿等が吸収性パッドから溢れたりして横漏れすることも起こりにくくなる。
【0008】
水溶性フィルムには、液透過性の第2裏面シートが重なって設けられていることが好ましい。水溶性フィルムに液透過性の第2裏面シートが重なって設けられていれば、水溶性フィルムが溶けても、第2裏面シートによって、吸収体に含まれる吸収性材料が外部に脱落しにくくなる。
【0009】
第2裏面シートは、水溶性フィルムの肌面側に設けられていても、外面側に設けられていてもよい。例えば、液透過性の第2裏面シートが水溶性フィルムの肌面側に設けられていれば、尿等が水溶性フィルムと接触して水溶性フィルムが溶けることにより、尿等がスムーズに吸収性パッドの外部に流出しやすくなる。そのため、尿等の横漏れが起こりにくくなる。液透過性の第2裏面シートが水溶性フィルムの外面側に設けられていれば、水溶性フィルムが例えば塊状で外部に流出しにくくなり、その下にある別体の吸収性物品などを使用する際に違和感を覚えにくくなる。
【0010】
本発明はまた、本発明の吸収性パッドが複数積層されている吸収性パッド積層体を提供する。本発明の吸収性パッド積層体は、各吸収性パッドの第1裏面シートが水溶性フィルムを含んで構成されているため、各吸収性パッドの吸収能が有効に活用される。また、各吸収性パッドは、水溶性フィルムが溶けることにより外部へ液が漏洩可能に形成されているため、着用者からの尿等の排泄状況に応じて、適宜1つまたは2つ以上取り外して使用することができる。そのため、着用者はフレッシュな状態で吸収性パッド積層体を使用することができ、尿等の横漏れも起こりにくくなる。また、吸収性パッドを取り外すという簡単な作業により、吸収性パッド(あるいは吸収性物品)の交換作業を代替することができ、着用者や介護者にとって使い勝手のよいものとなる。
【0011】
吸収性パッド積層体を構成する吸収性パッドは、肌面側に設けられたものほど面積が狭くなるように形成されていることが好ましい。このように吸収性パッド積層体が形成されていれば、吸収性パッド積層体を肌面側から見て、積層された全ての吸収性パッドを視認することができる。そのため、吸収性パッドを2つ以上取り外す場合など、取り外したい吸収性パッドの外縁を認識して、所望する吸収性パッドを容易に取り外すことができるようになる。
【0012】
吸収性パッド積層体を構成する各吸収性パッドの第2裏面シートには湿りインジケーターが設けられ、湿りインジケーターは、液と接触した際に、吸収性パッド積層体の肌面側から視認可能に設けられていることが好ましい。このように各吸収性パッドに湿りインジケーターが設けられていれば、尿等を吸収した吸収性パッドを容易に認識でき、吸収性パッドをいくつ取り外せばよいか判断することができる。
【0013】
本発明はさらに、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配された主吸収体とを有する吸収性物品であって、トップシートの肌面側に、本発明の吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体が設けられた吸収性物品を提供する。本発明の吸収性物品は、着用者からの尿等の排泄状況に応じて、吸収性パッドを適宜1つまたは2つ以上取り外して使用することができる。そのため、着用者はフレッシュな状態で吸収性物品を使用することができ、尿等の横漏れも起こりにくくなる。また、吸収性パッドを取り外すという簡単な作業により、吸収性物品の交換作業を代替することができ、着用者や介護者にとって使い勝手のよいものとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の吸収性パッドおよび吸収性パッド積層体は、吸収性パッドの第1裏面シートが水溶性フィルムを含んで構成されているため、水溶性フィルムが溶けて破れるまでは尿等が当該吸収性パッドの吸収体に好適に吸収され、吸収性パッドの吸収能が十分に活用される。水溶性フィルムが溶けて破れた後は、その下に設けられた別体の吸収性物品や他の吸収性パッドに尿等が吸収されるため、尿等が吸収性パッドから溢れて横漏れすることも起こりにくくなる。また、本発明の吸収性物品は、本発明の吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体を肌面側に備えているため、着用者からの尿等の排泄状況に応じて、吸収性パッドを適宜1つまたは2つ以上取り外して使用することができ、着用者や介護者にとって使い勝手のよいものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔吸収性パッド〕
本発明の吸収性パッドは、表面シートと、第1裏面シートと、これらの間に配された吸収体とを有する。本発明の吸収性パッドは、吸収性パッドとは別体の吸収性物品(例えば、使い捨ておむつや尿パッド等)の肌面側に載置して用いられるものである。
【0017】
本発明において、肌面側とは、吸収性パッド、吸収性パッド積層体、または吸収性物品を装着した際に着用者の肌に向く側を意味する。外面側とは、吸収性パッド、吸収性パッド積層体、または吸収性物品を装着した際の着用者とは反対側を意味する。また長手方向とは、吸収性パッド、吸収性パッド積層体、または吸収性物品を装着した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。幅方向とは、吸収性パッド、吸収性パッド積層体、または吸収性物品を装着した際の着用者の左右方向に相当する。
【0018】
吸収性パッドの形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性パッドの形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。
【0019】
吸収体は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0020】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0021】
吸収体は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、液透過性シート間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、高い吸収容量を有しつつ、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0022】
吸収体の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。
【0023】
表面シートは、吸収体の肌面側に配されるシートであり、液透過性である。表面シートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、表面シートとして、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。表面シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0024】
第1裏面シートは、吸収体の外面側に配されるシートであり、水溶性フィルムを含んで構成される。水溶性フィルムは公知のものを用いればよく、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、プルラン等から構成されたフィルムを用いることができる。
【0025】
水溶性フィルムの厚みは、溶解のしやすさを考慮して適宜設定すればよく、例えば、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、また100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましい。
【0026】
第1裏面シートは、全体が水溶性フィルムから構成されていてもよく、一部が水溶性フィルムから構成されていてもよい。いずれの場合も、吸収性パッドは、水溶性フィルムが溶けることにより外部へ液が漏洩可能に形成されている。
【0027】
本発明の吸収性パッドは、上記のように裏面シートが水溶性フィルムを含んで構成されているため、水溶性フィルムが破れずに存在する状態では、着用者から排泄された尿等の体液が吸収性パッドの吸収体に吸収される。水溶性フィルムは、水分(すなわち尿等の体液)と接触してから溶けるまでにある程度の時間を要するため、初期あるいは1回目に排泄された尿等は吸収性パッドの吸収体に吸収される。そして、尿等と接触した水溶性フィルムは、例えば次の排泄までの間に徐々に溶け、2回目以降の排泄の際には、吸収性パッドに排泄された尿等が、第1裏面シートを通り抜けて吸収性パッドの外部へ漏洩することとなる。吸収性パッドの外部へ漏洩した尿等は、当該吸収性パッドの下に設けられた別体の吸収性物品や他の吸収性パッドに吸収される。従って本発明の吸収性パッドは、別体の吸収性物品の肌面側に載置して用いることにより、当該吸収性パッドの吸収能が十分に活用されるとともに、尿等が当該吸収性パッドから溢れて横漏れすることも起こりにくくなる。
【0028】
第1裏面シートの一部が水溶性フィルムから構成される場合、第1裏面シートは、液不透過性領域と、水溶性フィルムにより漏洩可能となっている領域とで構成されていることが好ましい。例えば、液不透過性領域を第1裏面シートの長手方向の中央部および/または幅方向の中央部に設け、それ以外を漏洩可能領域とすることで、尿等が第1裏面シートで平面方向に広がりやすくなり、吸収性パッドの吸収能をより効率的に活用することが可能となる。なお、第1裏面シートの漏洩可能領域は、第1裏面シートの全体の面積の30%以上を占めることが好ましく、50%以上を占めることがより好ましい。これにより、吸収性パッドから尿等が溢れることなく、好適にその下の別体の吸収性物品や他の吸収性パッドに吸収されやすくなる。第1裏面シートの液不透過性領域は、例えば、後述するバックシートに使用可能な液不透過性シートにより形成してもよく、水溶性フィルムにシリコーン加工やフッ素加工等の撥水化処理を施すことにより形成してもよい。なお、本発明の吸収性パッドは、水溶性フィルムが溶けることにより外部へ液が漏洩可能に形成されていることから、水溶性フィルムの全体を覆うように液不透過性シートが重ねられたり、水溶性フィルムの全体が撥水化処理されることはない。
【0029】
第1裏面シートの水溶性フィルムには、液透過性の第2裏面シートが重なって設けられていることが好ましい。すなわち、第1裏面シートが水溶性フィルムによって漏洩可能となっている領域に、液透過性の第2裏面シートが重なって設けられていることが好ましい。水溶性フィルムに液透過性の第2裏面シートが重なって設けられていれば、水溶性フィルムが溶けても、吸収体に含まれる吸収性材料が外部に脱落しにくくなる。そのため、例えば、吸収性パッドに尿等が排泄された後、当該吸収性パッドを取り外してその下にある別体の吸収性物品などを使用する場合など、当該吸収性パッドの取り扱いにそれほど注意を払わなくても、吸収性パッドを容易に取り外すことができる。一方、第2裏面シートは液透過性であるため、第2裏面シートが設けられていても、尿等が吸収性パッドの外部へ漏洩することができる。
【0030】
第2裏面シートとしては、表面シートに使用可能なシート部材を用いることができる。第2裏面シートは、吸収体よりも外面側に設けられる限り、水溶性フィルムの肌面側に設けられても、水溶性フィルムの外面側に設けられてもよい。
【0031】
例えば、液透過性の第2裏面シートが水溶性フィルムの肌面側に設けられていれば、尿等が水溶性フィルムと接触して水溶性フィルムが溶けることにより、尿等がスムーズに吸収性パッドの外部に流出しやすくなる。この場合、溶けて分散した水溶性フィルムが第2裏面シートから剥離しやすくなるため、水溶性フィルムの一部が溶けるだけで、尿等が吸収性パッドの外面側から外部にスムーズに移行しやすくなる。従って、当該吸収性パッドにおいて尿等の横漏れが起こりにくくなる。
【0032】
一方、液透過性の第2裏面シートが水溶性フィルムの外面側に設けられていれば、水溶性フィルムは完全に溶けたものが第2裏面シートを通り抜けて外部に流出することとなるため、例えばその下の別体の吸収性物品などに、一部が溶けて塊状(ゲル状)になった水溶性フィルムが移行しにくくなる。そのため、吸収性パッドに尿等が排泄された後、当該吸収性パッドを取り外してその下にある別体の吸収性物品などを使用する場合に、別体の吸収性物品などの肌面側に水溶性フィルムが塊として存在しにくくなり、違和感を覚えにくくなる。第2裏面シートを水溶性フィルムの外面側に設ける場合は、水溶性フィルムが溶けて尿等が吸収性パッドの外部に漏洩しやすくする点から、水溶性フィルムは比較的薄く形成されることが好ましく、水溶性フィルムの厚みは例えば60μm以下とすることが好ましい。
【0033】
第2裏面シートは、吸収体よりも広い範囲で設けられることが好ましい。具体的には、第2裏面シートは、吸収体の外縁全体より外方に延在するように設けられることが好ましい。このように第2裏面シートが設けられれば、吸収体に含まれる吸収性材料が外部に脱落しにくくなる。
【0034】
第2裏面シートは、液との接触により色が変化する湿りインジケーターを備えていることが好ましい。湿りインジケーターは表面シート側から視認可能に形成されていることが好ましく、従って、吸収体と重ならない部分に湿りインジケーターが存在することが好ましい。このように湿りインジケーターが設けられていれば、湿りインジケーターの色の変化を確認することにより、吸収性パッドを取り外すタイミングを適切に判断することが容易になる。
【0035】
湿りインジケーターとしては、使い捨ておむつ等の吸収性物品に通常用いられる公知のものを用いることができる。例えば、尿等の体液と接触することにより発色、変色、または消色する色材を第2裏面シートに塗布したり、当該色材を塗布したシートを第2裏面シートに重ねて設けることにより、第2裏面シートに湿りインジケーターを設けることができる。色材としては、pH指示薬等を用いることができる。
【0036】
吸収性パッドは、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられていてもよい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、表面シートの幅方向の両側に、長手方向に延在する防漏用シートを接合し、防漏用シートの幅方向内方に弾性部材を設けることにより形成される。このように防漏用シートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力により防漏用シートの幅方向内方が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたは防漏用シートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0037】
立ち上がりフラップに設けられる弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられる。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0038】
吸収性パッドの外面(例えば、第1裏面シートや第2裏面シート)には、別体の吸収性物品に取り付けるための接合手段が設けられていてもよい。接合手段としては、接着剤やフック・ループ・ファスナーのフック部材等が挙げられる。接合手段は、吸収性パッドの外縁またはその近傍に設けられることが好ましく、例えば、吸収性パッドの外縁から30mm以内の領域に設けられる。吸収性パッドの外面側に接合手段が設けられていれば、吸収性パッドを別体の吸収性物品の肌面側に載置して用いる場合に、吸収性パッドを好適に別体の吸収性物品の肌面側に固定することができる。なお吸収性パッドは、外面側に接合手段が設けられず、別体の吸収性物品の肌面側に単に載置して用いられるものであってもよい。
【0039】
本発明の吸収性パッドは、着用者からの排泄状況に応じて、別体の吸収性物品から適宜取り外して使用されることが好ましい。例えば、吸収性パッドを別体の吸収性物品と併用し、着用者から尿等が一度排泄された時点で吸収性パッドを取り外すようにすれば、着用者はフレッシュな状態で別体の吸収性物品を使用することができ、しかも吸収性物品を交換するのではなく吸収性パッドを取り外すだけなので、当該作業を簡便に行うことができる。一方、吸収性パッドを別体の吸収性物品と併用した状態で長時間使用したりして、吸収性パッドに尿等が大量に排泄された場合、吸収性パッドの第1裏面シートの水溶性フィルムが溶けることにより尿等がその下の別体の吸収性物品に移行するため、尿等が吸収性パッドから溢れて漏れることも起こりにくくなる。
【0040】
本発明の吸収性パッドの構成例について、
図1および
図2を参照して説明する。
図1には、本発明の吸収性パッドを表面シート側から見た平面図を示し、
図2には、
図1のII−II断面図を示した。図面では、矢印xが幅方向を表し、矢印yが長手方向を表し、矢印zが上下方向を表す。なお本発明の吸収性パッドは、図面に示された実施態様に限定されない。
【0041】
吸収性パッド1は、液透過性の表面シート2と、第1裏面シート3と、これらの間に配された吸収体6とを有している。表面シート2は、吸収性パッド1の肌面側に配され、着用者から排泄された尿等の体液を受ける。表面シート2を通過した尿等の体液は吸収体6に収容される。
【0042】
第1裏面シート3は水溶性フィルム4を含んで構成されている。図面では、第1裏面シート3の全体が水溶性フィルム4から構成されている。吸収性パッド1は、第1裏面シート3が水溶性フィルム4から構成されているため、初期あるいは1回目の排泄の際には水溶性フィルム4がすぐに破れずに、尿等が吸収体6に吸収される。そのため吸収体6の吸収能が十分活用される。一方、尿等と接触した水溶性フィルム4は次の排泄までの間に徐々に溶け、2回目以降の排泄の際には、吸収性パッド1に排泄された尿等が、第1裏面シート3を通り抜けて吸収性パッド1の外部へ漏洩することとなる。吸収性パッド1の外部へ漏洩した尿等は、吸収性パッド1の下に設けられた別体の吸収性物品や他の吸収性パッドに吸収される。
【0043】
第1裏面シート3の水溶性フィルム4には、液透過性の第2裏面シート5が重なって設けられている。図面では、第2裏面シート5が水溶性フィルム4の肌面側に設けられている。このように第2裏面シート5が設けられていれば、水溶性フィルム4が溶けても、吸収体6に含まれる吸収性材料が外部に脱落しにくくなる。
【0044】
〔吸収性パッド積層体〕
次に本発明の吸収性パッド積層体について説明する。本発明の吸収性パッド積層体は、本発明の吸収性パッドが複数積層されて形成されている。各吸収性パッドの構成は上記に説明した通りである。吸収性パッド積層体は、各吸収性パッドの表面シートが肌面側に位置するように積層されている。本発明の吸収性パッド積層体も、別体の吸収性物品の肌面側に載置して用いられる。
【0045】
積層された吸収性パッドどうしは、公知の接合手段で、取り外し可能に接合されていることが好ましい。例えば、断続的に塗布された接着剤、押圧(エンボス)、熱融着等により、積層された吸収性パッドどうしが取り外し可能に接合されていることが好ましい。接合手段は、各吸収性パッドの外縁またはその近傍に設けられることが好ましく、例えば、各吸収性パッドの外縁から30mm以内の領域に設けられる。吸収性パッド積層体の最も下側(外面側)に位置する吸収性パッドの外面側には、上記に説明したように、別体の吸収性物品に取り付けるための接合手段が設けられていてもよい。
【0046】
吸収性パッド積層体は、2つ以上の吸収性パッドが積層されたものであれば、積層される吸収性パッドの数は特に限定されないが、吸収性パッドが過剰数積層して吸収性パッド積層体の厚みが厚くなりすぎても、取り扱い性や着用感が悪化するおそれがあることから、積層される吸収性パッドの数は5つ以下が好ましく、4つ以下がより好ましく、3つ以下がさらに好ましい。
【0047】
吸収性パッド積層体は、各吸収性パッドに水溶性フィルムを含む第1裏面シートが設けられ、各吸収性パッドは、水溶性フィルムが溶けることにより外部へ液が漏洩可能に形成されている。吸収性パッド積層体を構成する各吸収性パッドは、着用者からの尿等の排泄状況に応じて、適宜1つまたは2つ以上取り外して使用する。例えば、着用者から尿等が排泄されるたびに吸収性パッドを1つずつ取り外して使用すれば、着用者はフレッシュな状態で吸収性パッド積層体を使用することができる。吸収性パッド積層体に尿等が大量に排泄された場合は、吸収性パッドの水溶性フィルムが溶けることにより尿等が上側の吸収性パッドから下側の吸収性パッドに順次移行し、最終的に別体の吸収性物品に移行するため、尿等の横漏れも起こりにくくなる。吸収性パッド積層体に尿等が大量に排泄された場合は、吸収性パッドの使用状況に応じて、吸収性パッドを一度に2つ以上取り外して使用してもよく、吸収性パッド積層体全体を別体の吸収性物品から取り外して使用してもよい。本発明の吸収性パッド積層体は、このように吸収性パッドを取り外すという簡単な作業により、吸収性パッド(あるいは吸収性物品)の交換作業を代替することができる。
【0048】
吸収性パッド積層体を構成する吸収性パッドは、肌面側に設けられたものほど面積が狭くなるように形成されていることが好ましい。このように吸収性パッド積層体が形成されていれば、吸収性パッド積層体を肌面側から見て、積層された全ての吸収性パッドを視認することができる。そのため、吸収性パッドを2つ以上取り外す場合など、取り外したい吸収性パッドの外縁を認識して、所望する吸収性パッドを容易に取り外すことができるようになる。
【0049】
吸収性パッド積層体は、各吸収性パッドの第2裏面シートに湿りインジケーターが備わっていてもよい。この場合、それぞれの湿りインジケーターは、液と接触した際に、吸収性パッド積層体の肌面側から見て視認可能に設けられていることが好ましく、例えば、各吸収性パッドの外縁から30mm以内の領域に少なくとも設けられることが好ましい。このように各吸収性パッドに湿りインジケーターを設けることにより、尿等を吸収した吸収性パッドを容易に認識でき、吸収性パッドをいくつ取り外せばよいか判断することができる。
【0050】
吸収性パッド積層体は、各吸収性パッドに設けられた湿りインジケーターが平面方向に互いにずれた位置に設けられることが好ましい。湿りインジケーターはまた、各吸収性パッドで、互いに異なるパターンや異なる太さの線状パターン、あるいは液との接触により異なる色を呈するように設けられることも好ましい。このように湿りインジケーターが設けられていれば、どの吸収性パッドまで尿等が達したのか容易に認識することができる。
【0051】
本発明の吸収性パッド積層体は、特に認知症患者の排泄ケアに有効に用いることができる。例えば、排泄の自覚がある軽度の認知症患者の場合は、できるだけ患者自身で排泄管理をすることが好ましく、尿パッド等を使用する場合は、患者自身で素早くパッド交換できることが好ましい。この点で、本発明の吸収性パッド積層体は、吸収性パッドを取り外すだけで簡便にパッド交換ができ、患者にとって使いやすいものとなる。排泄の自覚がない中度の認知症患者の場合は、介護者ができるだけ素早くパッド交換できることが好ましく、これにより患者本人が気付かないうちにパッド交換作業をしたり、あるいは患者本人が不快な思いをする時間を極力短くして、患者本人の自尊心を確保することができる。この点で、本発明の吸収性パッド積層体は、介護者が簡単に吸収性パッドを取り外すことができ有効であり、しかも大量の尿等が排泄された場合は吸収性パッドを2つ以上取り外すことで、フレッシュな状態で吸収性パッド積層体あるいは別体の吸収性物品を使用することができる。排泄の概念すらない重度の認知症患者では、パッド交換作業に患者本人の協力が得られない場合があり、この点で、本発明の吸収性パッド積層体は、介護者が簡単に吸収性パッドを取り外すことができ有効である。また、排泄のタイミングを介護者が気付かず患者が複数回排泄した場合であっても、使用状況に応じて吸収性パッドを1つまたは2つ以上取り外すことで、フレッシュな状態で吸収性パッド積層体あるいは別体の吸収性物品を使用することが可能となる。
【0052】
本発明の吸収性パッド積層体の構成例について、
図3および
図4を参照して説明する。
図3には、本発明の吸収性パッド積層体を表面シート側から見た平面図を示し、
図4には、
図3のIV−IV断面図を示した。なお本発明の吸収性パッド積層体は、図面に示された実施態様に限定されない。
【0053】
図3および
図4には、
図1および
図2に示した吸収性パッド1を3つ積層した吸収性パッド積層体10が示されている。吸収性パッド積層体10は、肌面側から、吸収性パッド1A、吸収性パッド1B、吸収性パッド1Cが順に積層されている。各吸収性パッド1A,1B,1Cは、液透過性の表面シート2と、水溶性フィルム4から構成された第1裏面シート3との間に、吸収体6が配されて構成され、第1裏面シート3の水溶性フィルム4の肌面側にさらに液透過性の第2裏面シート5が配されている。上下に隣接する吸収性パッドどうし、すなわち吸収性パッド1Aと吸収性パッド1B、および、吸収性パッド1Bと吸収性パッド1Cは、接合手段7で互いに取り外し可能に接合されている。
【0054】
吸収性パッド積層体10は、尿等の排泄回数や排泄量に応じて、吸収に寄与する吸収性パッド1の数も変わる。そのため、尿等の排泄状況に応じて、吸収性パッド1を適宜1つまたは2つ以上取り外して使用することにより、吸収性パッド積層体10をフレッシュな状態で使用することが可能となる。吸収性パッド積層体10は、吸収性パッド1を取り外すという簡単な作業により、吸収性パッドや吸収性物品の交換作業を代替することができる。
【0055】
図3および
図4に示した吸収性パッド積層体10では、吸収性パッド1は、肌面側に設けられたものほど面積が狭くなるように形成されている。このように吸収性パッド積層体10が形成されていれば、吸収性パッド積層体10を肌面側から見て、積層された全ての吸収性パッド1A,1B,1Cを視認することができる。そのため、吸収性パッド1を2つ以上取り外す場合など、取り外したい吸収性パッド1の外縁を認識して、所望する吸収性パッド1を容易に取り外すことができるようになる。
【0056】
〔吸収性物品〕
次に、本発明の吸収性物品について説明する。本発明の吸収性物品は、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配された主吸収体とを有し、本発明の吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体がトップシートの肌面側に設けられている。吸収性物品としては、例えば、使い捨ておむつ、尿パッド、生理用ナプキン等が挙げられる。
【0057】
本発明の吸収性物品は、一般の吸収性物品と同じように着用することができ、しかも本発明の吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体と同様の効果を得ることができる。吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体を透過した尿等は最終的に主吸収体に収容されるが、主吸収体の外面側には液不透過性のバックシートが設けられているため、吸収性物品のバックシート側から液が外部に漏れることが防止される。
【0058】
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が、尿パッドや生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、略長方形、長円形、砂時計形、ひょうたん形等が示される。
【0059】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置し主吸収体が備えられた股部とから構成される。使い捨ておむつは、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有するパンツ部材の股部に、トップシートとバックシートの間に主吸収体が配された積層体が備えられて構成される。使い捨ておむつはまた、トップシートとバックシートの間に主吸収体が配された積層体が、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有するパンツ形状に形成されていてもよい。
【0060】
前側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前側部と後側部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
【0061】
使い捨ておむつは、後側部の左右側端に一対の止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつであったり、前側部と後側部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。
【0062】
トップシートは、吸収性物品を着用の際に着用者側に位置するシートである。トップシートは液透過性であり、表面シートに使用可能なシートを用いることができる。
【0063】
バックシートは、吸収性物品を着用の際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。バックシートは液不透過性であり、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。バックシートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。なお、液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
【0064】
主吸収体としては、上記に説明した吸収性パッドの吸収体を用いることができる。なお、吸収性物品の主吸収体に用いる吸収性材料と、吸収性パッドの吸収体に用いる吸収性材料は、同じであっても異なっていてもよい。主吸収体の形状も特に限定されない。
【0065】
吸収性物品の主吸収体は、吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体を構成する吸収性パッドの吸収体よりも、目付(単位面積当たりの質量)が大きいことが好ましい。吸収性物品の主吸収体の目付を比較的大きく形成することで、尿等が大量に排泄されても、吸収性物品のバックシート側から漏れるのを防止しやすくなる。
【0066】
吸収性物品は、トップシートの幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。また、立ち上がりフラップを設けることにより、その間に吸収性パッドや吸収性パッド積層体を安定して載置しやすくなる。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、長手方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向内方に弾性部材を設けることにより形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
【0067】
吸収性パッドや吸収性パッド積層体は、公知の接合手段で、トップシートに取り外し可能に接合されていることが好ましい。例えば、断続的に塗布された接着剤、押圧(エンボス)、熱融着等により、吸収性パッドや吸収性パッド積層体がトップシートに取り外し可能に接合されていることが好ましい。接合手段は、吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体の外面側の外縁またはその近傍に設けられることが好ましく、例えば、吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体の外面側の外縁から30mm以内の領域に設けられる。
【0068】
本発明の吸収性物品は、上記に説明した吸収性パッドや吸収性パッド積層体と同じように使用すればよい。すなわち吸収性物品は、着用者からの排泄状況に応じて、トップシートの肌面側に設けられた吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体を構成する各吸収性パッドを、適宜1つまたは2つ以上取り外して使用する。着用者から尿等が排泄されるたびに吸収性パッドを1つずつ取り外して使用すれば、着用者はフレッシュな状態で吸収性物品を使用することができる。吸収性物品に尿等が大量に排泄された場合は、吸収性パッドの水溶性フィルムが溶けることにより尿等が上側の吸収性パッドから下側の吸収性パッドあるいは吸収性物品の主吸収体に移行するため、吸収性パッドまたは吸収性パッド積層体から尿等が溢れて横漏れすることも起こりにくくなる。吸収性物品に尿等が大量に排泄された場合は、吸収性パッドの使用状況に応じて、吸収性パッドを一度に2つ以上取り外して使用してもよい。本発明の吸収性物品は、このように吸収性パッドを取り外すという簡単な作業により、吸収性物品の交換作業を代替することができる。