【解決手段】ゆで卵圧潰器Aは、第1の圧潰部材の一例である圧潰部材1、第2の圧潰部材の一例である圧潰部材2、および切込部材の一例である切込部材3および切込部材4より成る。圧潰部材1は、網体10、および網体10を囲う枠体11から成る。網体10は、線材で形成された切断線100を交差して形成されており、各切断線100は、網体10の外縁と略45°の角度で交差する方向に張設されている。
前記伸縮材は、前記第1の圧潰部材と第2の圧潰部材に力を加えていない常態では前記第1の圧潰部材と前記第2の圧潰部材を所要間隔で維持すると共に、伸長方向及び縮小方向へ弾性変形が可能である
請求項1または請求項2に記載の圧潰器。
【背景技術】
【0002】
日々の食事の準備は、料理の作り手にとって、時には負担となるものである。このため、より簡便に料理を作ることができるよう、様々な器具が発明され、市場に出回っている。
【0003】
卵は、安価に供給されていることもあり、料理に頻繁に用いられる食材である。特にサラダ料理に用いると、卵の黄身の色の鮮やかさもあり、見た目にも華やかになる。
【0004】
サラダに用いる際は、くし形や、スライス状に切るなど、切り方もさまざまであるが、ミモザサラダに用いられるように、細かく刻んで用いる場合もある。
【0005】
しかし、ゆで卵を包丁で刻むと、白身の部分は柔らかすぎで刻みにくく、また、黄身の部分は、崩れやすく、しかも包丁に張り付き、刻みにくい。
【0006】
このため、特許文献1に示すような、「ゆで卵切断器」が開発されている。特許文献1に記載された発明を利用した「ゆで卵切断器」は、切断用の線を交差するように配置しており(特許文献1の
図9参照)、ゆで卵を「ゆで卵切断器」の上から切断用の線に押し付けて潰すものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のゆで卵切断器では、ゆで卵が切断用の線に触れた直後に黄身と白身は乖離し、黄身の部分は、潰されながら、網目を通り抜けていくが、白身の部分は柔らかいため、両側に流れ、網目上に残ってしまう。
【0009】
この白身をつぶすためには、指で、丹念に切断用線に押し付けなければならず、手間がかかっていた。また、切断用の線に指が当たるため痛みを感じるなど、使いづらさがあった。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて発明されたものであり、被圧潰物を容易に細かく切り刻むことができる使い勝手の良い圧潰器、および被圧潰物を容易に細かく切り刻むことができる圧潰方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の圧潰器は、剛性を有し、多数の貫通孔を有する平板状に形成された第1の圧潰部材と、剛性を有し、多数の貫通孔を有する平板状に形成された第2の圧潰部材と、前記第1の圧潰部材と前記第2の圧潰部材を、間に保持空間を設けて間接的に連結し、前記保持空間を挟んで相対向して設けられ、被圧潰物を切る切材を有すると共に、同第1の圧潰部材と同第2の圧潰部材の接近に伴って変形することで、前記切材を前記保持空間において同保持空間の中央方向へ移動させる切込部材とを備える。
【0012】
ここで、多数の貫通孔を有する第1の圧潰部材と、多数の貫通孔を有する第2の圧潰部材を備えることによって、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材を接近させて、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材の間に配置された被圧潰物が貫通孔を通り抜けることで、被圧潰物を細かく切り刻むことができる。
【0013】
また、平板状に形成された第1の圧潰部材と、平板状に形成された第2の圧潰部材とを備えることによって、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材を接近させたとき、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材が密着するので、被圧潰物全体を洩れなく切り刻むことができる。
【0014】
また、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材とが剛性を有していることにより、ある程度の硬さを持った被圧潰物を切断する際、両圧潰部材を撓みにくくすることができ、上記被圧潰物全体を洩れなく切り刻むことに、更に寄与できる。
【0015】
また、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材を、間に保持空間を設けて間接的に連結する切込部材を備えることによって、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材を乖離させることなく、結合した状態を維持させることができる。
【0016】
また、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材の接近に伴い変形する切込部材を備えることによって、圧潰器全体を伸縮させることができる。
【0017】
また、複数の貫通孔を有する第1の圧潰部材と、複数の貫通孔を有する第2の圧潰部材と、保持空間を挟んで相対向して設けられ、被圧潰物を切る切材を有すると共に、切材を保持空間において保持空間の中央方向へ移動させる切込部材とを備えることによって、被圧潰物をより細かく切り刻むことができる。
【0018】
また、切込部材が、弾性を有する線材で所要数の折曲部を有する形状に形成され、並設された二つの伸縮材と、二つの伸縮材の折曲部をつなぐ線材で形成された切材とを有する場合には、伸縮材の動きと連動して切材を移動させることができる。
【0019】
伸縮材が、前記第1の圧潰部材と第2の圧潰部材に力を加えていない常態では前記第1の圧潰部材と前記第2の圧潰部材を所要間隔で維持すると共に、伸長方向及び縮小方向へ弾性変形が可能である場合には、圧潰器に力を加えた後、その力を開放しても常態の形状に戻りやすくなる。
【0020】
また、第1の圧潰部材および第2の圧潰部材が、それぞれ金属製の線材で形成された平板状の網体と、網体の外縁部を囲む枠体とを有する場合には、第1の圧潰部材および第2の圧潰部材を被圧潰物に押し付ける際、網体が枠体により保持されているので、網体が変形することを防ぐことができる。
【0021】
また、網体を構成する線材の断面形状が多角形状である場合には、例えば断面形状が円形のものと相違して鋭利な部分を有しているので、被圧潰物をより確実に、かつ効率よく切り刻むことができる。
【0022】
また、第1の圧潰部材および第2の圧潰部材の所要箇所に、加力操作をするための加力部を備える場合には、第1の圧潰部材および第2の圧潰部材を接近させる作業を容易に行うことができる。
【0023】
また、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材に力を加えていない常態において、第1の圧潰部材と第2の圧潰部材の間隔が所定の間隔を保つように付勢するバネ部材を有する場合には、常態で第1の圧潰部材と第2の圧潰部材を所定の間隔を空けて保つことができ、被圧潰物を保持空間に入れる作業を手早く行うことができる。
【0024】
上記の目的を達成するために、本発明の圧潰方法は、被圧潰物を、多数の貫通孔を有する二つの圧潰部材の間に挟む工程と、前記二つの圧潰部材を接近させて、前記二つの圧潰部材を連結する切込部材を変形させながら、前記切込部材が有する切材を移動させて、被圧潰物を、前記二つの圧潰部材に略平行な方向に切って、前記貫通孔を通る被圧潰物の細片化物を得る工程とを備える。
【0025】
ここで、被圧潰物を、多数の貫通孔を有する二つの圧潰部材の間に挟む工程を備えることによって、被圧潰物を圧潰器の内部(空間部分)に保持することができる。
【0026】
また、二つの圧潰部材を接近させて、二つの圧潰部材を連結する切込部材を変形させながら、切込部材が有する切材を移動させて、被圧潰物を、二つの圧潰部材に略平行な方向に切って、貫通孔を通る被圧潰物の細片化物を得る工程を備えることによって、被圧潰物を細かく切断することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る圧潰器および圧潰方法は、被圧潰物を容易に細かく切り刻むことができる使い勝手の良い圧潰器、および被圧潰物を容易に細かく切り刻むことができる圧潰方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について
図1ないし
図5を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0030】
〔第1の実施の形態〕
図1に示すように、本発明を適用した圧潰器の一例である、ゆで卵圧潰器A1は、第1の圧潰部材の一例である圧潰部材1、第2の圧潰部材の一例である圧潰部材2、切込部材3および切込部材4より成る。
【0031】
圧潰部材1は、網体10、および網体10を囲う枠体11から成る。網体10は、ステンレススチール製の線材で形成された切断線100(
図2参照:
図1には、便宜上あらわしていない)を交差して形成されており、各切断線100は、網体10の外縁と略45°の角度で交差する方向に張設されている。
【0032】
なお、切線材100が交差することで形成される網目109の大きさは、本実施の形態では、一辺が約3mmになるように設定されているが、これに限定せず、適宜大きさに設定できる。
【0033】
枠体11は、いわゆる平枠であり、上記網体10を含む形状がほぼ平板状となるように形成されている。枠体11は、長手方向の中央部分に、網板10が固定される長方形状の口部112を有している。網板10は、口部112内に納められており、かつ、枠体11の内面側(
図1で下面側)とほぼ面一になるように固定されている。
【0034】
枠体11の長手方向の両端側には、口部112の長さの約1/2程の長さの、加力部である指掛け部110、111が設けられている。指掛け部110、111の外側の面(
図1で上面)には、滑り止め用の突条113がそれぞれ一定間隔で複数並設されている。
【0035】
網体10を形成する切断線100は、本実施の形態では、
図2に示すように断面形状がひし形(又は、各面が線周方向において凹曲面である四角形)で、螺旋状に捻った形状の線材である。この構造により、切断線100の線周方向の四箇所に、切断線100の全長にわたり尾根状の角部100a、100b、100c、100dが形成されている。
【0036】
これにより、例えば普通の断面形状が円形の線材と比較して、卵等の被圧潰物の切断をより円滑に行うことができ、圧潰時の抵抗もより少なくなり、圧潰に必要な力もより小さくてすむ。なお、この構造の切断線100は、後述する切線材32、34および切線材42、44にも採用している。
【0037】
圧潰部材2は、網体20、および網体20を囲う枠体21から成る。網体20は、上記網体10と同様に、ステンレススチール製の線材で形成された切断線100(
図2参照:
図1には、便宜上あらわしていない)を交差して形成されており、各切断線100は、網体20の外縁と略45°の角度で交差する方向に張設されている。
【0038】
なお、切線材100が交差することで形成される網目209の大きさは、本実施の形態では、一辺が約3mmになるように設定されているが、これに限定せず、適宜大きさに設定できる。
【0039】
枠体21は、いわゆる平枠であり、上記網体20を含む形状がほぼ平板状となるように形成されている。枠体21は、長手方向の中央部分に、網板20が固定される長方形状の口部212を有している。網板20は、口部212内に納められており、かつ、枠体21の内面側(
図1で上面側)とほぼ面一になるように固定されている。
【0040】
枠体21の長手方向の両端側には、口部212の長さの約1/2程の長さの、加力部である指掛け部210、211が設けられている。指掛け部210、211の外側の面(
図1で下面)には、滑り止め用の突条213(
図4に図示)がそれぞれ一定間隔で複数並設されている。
【0041】
切込部材3は、圧潰部材1および圧潰部材2の間の保持空間9の一端側に設けられている。切込部材3は、折曲部300、折曲部301および折曲部302を有する伸縮材30と、伸縮材30と並設され折曲部310、折曲部311および折曲部312を有する伸縮材31と、および折曲部300と折曲部310を接合して設けられた、切材の一例である切線材32、折曲部301と折曲部311を接合して設けられた、切材の一例である切線材33、折曲部302と折曲部312を接合して設けられた、切材の一例である切線材34から成る。なお、ここでいう「並設」とは、伸縮材が並んでいればよく、必ずしも、同一形状の伸縮材が並んでいる必要はない。
【0042】
伸縮材30は、係合具303によって、回動可能に圧潰部材1に係合され、係合具304によって、回動可能に圧潰部材2に係合されている。
【0043】
伸縮材31は、係合具313によって、回動可能に圧潰部材1に係合され、係合具314によって、回動可能に圧潰部材2に係合されている。
【0044】
上記構造により、圧潰部材1と圧潰部材2が接近すると、折曲部300と折曲部310、および折曲部302と折曲部312は、更に深く折れ曲がりながら圧潰部材1と圧潰部材2の間の保持空間9の中央方向へ入り込むように移動する。折曲部301と折曲部311は、ほぼ移動することなく、折れ曲がる。
【0045】
これにより、切線材32は、折曲部300および折曲部310の動きに伴い、圧潰部材1と圧潰部材2の間の保持空間9の中央方向へ入り込むように移動する。切線材34も同様に、折曲部302および折曲部312の動きに伴い、圧潰部材1と圧潰部材2の間の保持空間9の中央方向へ入り込むように移動する。なお、切線材33は、ほとんど移動することはない。
【0046】
また、切込部材4は、圧潰部材1および圧潰部材2の間の保持空間9の他端に設けられている。切込部材4は、折曲部400、折曲部401および折曲部402を有する伸縮材40と、伸縮材40と並設され、折曲部410、折曲部411および折曲部412を有する伸縮材41、および折曲部400と折曲部410を接合して設けられた、切材の一例である切線材42、折曲部401と折曲部411を接合して設けられた、切材の一例である切線材43、折曲部402と折曲部412を接合して設けられた、切材の一例である切線材44から成る。
【0047】
伸縮材40は、係合具403によって、回動可能に圧潰部材1に係合され、係合具404によって、回動可能に圧潰部材2に係合されている。
【0048】
伸縮材41は、係合具413によって、回動可能に圧潰部材1に係合され、係合具414によって、回動可能に圧潰部材2に係合されている。
【0049】
上記構造により、圧潰部材1と圧潰部材2が接近すると、折曲部400と折曲部410、および折曲部402と折曲部412は、更に深く折れ曲がりながら圧潰部材1と圧潰部材2の間の保持空間9の中央方向へ入り込むように移動する。折曲部401と折曲部411は、ほぼ移動することなく、折れ曲がる。
【0050】
これにより、切線材42は、折曲部400および折曲部410の動きに伴い、圧潰部材1と圧潰部材2の間の保持空間9の中央方向へ入り込むように移動する。切線材44も同様に、折曲部402および折曲部412の動きに伴い、圧潰部材1と圧潰部材2の間の保持空間9の中央方向へ入り込むように移動する。なお、切線材43は、ほとんど移動することはない。
【0051】
(作用)
主に
図3、
図4を参照し、ゆで卵圧潰器A1の作用を説明する。
(1)圧潰器A1の保持空間9に、ゆで卵6を配置する(
図3参照)。保持空間9の大きさは、標準的な大きさ(いわゆるM玉等)のゆで卵がちょうど収まる大きさ(例えば、6〜7cmの間隔)に形成されている。
【0052】
ゆで卵がそれよりやや大きい場合でも、伸縮材30、31、および伸縮材40、41を付勢力に抗して伸ばし、圧潰板1と圧潰板2の間隔を広げて、ゆで卵を配置することができる。この場合は、伸縮材30、31、および伸縮材40、41の縮む力を利用して、圧潰板1と圧潰板2により、ゆで卵を保持することができる。
【0053】
(2)そして、指掛け部110、210を一方の手(
図3では右手)の指で挟むように持ち、指掛け部111、211を他方の手(
図3では左手)の指で挟むように持ち(
図3参照)、両手の指で指掛け部110、210、および指掛け部111、211に力を加え、圧潰板1と圧潰板2を接近させる。
【0054】
(3)圧潰板1と圧潰板2が接近するのに伴って、切込部材3、4の伸縮材30、31、および伸縮材40、41は、さらに深く折れ曲がるように変形し、切線材32、34、および切線材42、44が互いに接近する方向、すなわち保持空間9の中央に向かう方向に移動する(
図4(a)、(b)参照)。
【0055】
(4)上記(3)の切線材32、34、および切線材42、44の動きによって、圧潰板1と圧潰板2で押し潰され変形しているゆで卵6のとがった側(白身が厚くなった部分)が切線材32、34、および切線材42、44によって、圧潰板1と圧潰板2と平行な方向に切り込まれる。
【0056】
(5)上記(4)の動きと合わせて、網板10は、枠体11の内面側(
図1で下面側)とほぼ面一になるように固定され、網板20も、枠体21の内面側(
図1で上面側)とほぼ面一になるように固定されているので、圧潰板1と圧潰板2の各網体10、20による圧潰が進むと、最終的には圧潰板1と圧潰板2の各網体10、20が互いに密着する。
【0057】
これにより、圧潰板1と圧潰板2と平行方向に切り込まれた白身部分と共にゆで卵の他の部分が全て、貫通孔である網目109、209を通り切り刻まれて細片化物60となる。
【0058】
なお、ゆで卵6の上記厚い白身部分は、上記のように切り込まれている(
図4(b)参照)ため、不自然な長い細片とはならない。
【0059】
(6)そのあと、圧潰板1と圧潰板2に加えた力を解除すれば、伸縮材30、31、および伸縮材40、41が
図1に示す状態まで伸び、圧潰板1と圧潰板2の間隔が拡がって、保持空間9が形成される。
【0060】
このように、圧潰器A1によれば、圧潰板1と圧潰板2の各網体10、20で、ゆで卵6を保持した状態から各網体10、20を密着させるまでの一つの操作を行う(ワンアクション)だけで、ゆで卵6を手早く細片化することが可能になる。
【0061】
また、
図3に示すように、直接、レタスなどを盛り付けた皿の上方で、ゆで卵圧潰器A1を使って、上記のようにゆで卵6を圧潰すれば、手を汚すことなく、細片化されたゆで卵を簡単に盛り合わせることができる。
【0062】
また、使用後は、蛇口からの流水を、ゆで卵圧潰器A1に当てれば、簡単に、網体10、20などに挟まった裁断されたゆで卵を洗い流すことができる。
【0063】
また、ゆで卵圧潰器A1は、圧潰部材1と圧潰部材2が網体10、20を備えていることから、通気性が良く、流水で洗っても、乾きが早いため、衛生的である。
【0064】
ここで、必ずしも切断線100は、ステンレススチール製に限られるものではなく、プラスチック製や、ピアノ線なども考えられる。また、切断線100の本数や太さは、特に限定するものではなく、ゆで卵圧潰器A1の大きさに合わせて、適宜変更することができる。
【0065】
また、指掛け部110および指掛け部111は必ずしも設けられる必要はない。枠体11、21を直接押さえつけることができれば、充分にゆで卵圧潰器A1によりゆで卵6を押さえつけて圧潰することができるからである。
【0066】
また、切込部材が有する伸縮材は、必ずしも二つずつ設けられる必要はない。切線材を、圧潰部材1と圧潰部材2の間の空間に入り込ませることができればよく、3本以上であってもよい。
【0067】
また、網体10、20は、必ずしも切断線100を交差して形成する必要はない。切線材を平行に張って形成してもよい。この場合、圧潰部材1と圧潰部材2の切断材の方向および位置が、圧潰部材1と圧潰部材2を重ね合わせた時一致しない構造とすることが望ましい。より細かく切断できるようにするためである。
【0068】
また、圧潰部材1および圧潰部材2のいずれか一方が、網体を有さない形状、例えば板状に形成されていてもよい。この場合は、作業台の上に、板状の圧潰部材が下になるように圧潰器を置いて、両手で圧潰器を押さえつければ、少ない力であっても、ゆで卵6を細片化することができる。
【0069】
更には、圧潰部材1と圧潰部材2を接近させる手段として、例えばハサミやペンチ等の工具のような、軸を中心に交差して回動させることができる操作具と一体化した構成とすることもできる。
【0070】
〔第2の実施の形態〕
図5に示すように、本発明を適用した圧潰器の一例である、ゆで卵圧潰器A2は、上記ゆで卵圧潰器A1と同等構造の圧潰部材1、圧潰部材2、切込部材3および切込部材4を有し、加えて、常態において、圧潰部材1と圧潰部材2を、所要の間隔で維持する、ばね部材5、5aを備えた構造である。
【0071】
ばね部材5とばね部材5aは、それぞれループ部50とアーム51、52を有しており、アーム51、52の先端は、圧潰部材1および圧潰部材2に取り付けられている。ばね部材5とばね部材5aは、バネの力を利用するため、両端部が広がる方向に力が働いており、圧潰部材1と圧潰部材2を所定の間隔に保つことができる。
【0072】
(作用)
主に
図5を参照し、ゆで卵圧潰器A2の作用を説明する。
(1)圧潰器A2の保持空間9に、ゆで卵6を配置する。このとき、ばね部材5、5aの広がろうとする力を利用して、圧潰部材1および圧潰部材2は、ゆで卵6を配置するための、充分な幅を保つことができるので、ゆで卵6を配置しやすい。
【0073】
ゆで卵がやや大きい場合でも、伸縮材30、31、および伸縮材40、41を、ばね部材5、5aによる広がろうとする力を利用して、伸縮材30、31、および伸縮材40、41を伸ばし、圧潰板1と圧潰板2の間隔を充分に広げて、ゆで卵6を配置することができる。この場合は、伸縮材30、31、および伸縮材40、41の縮む力を利用して、圧潰板1と圧潰板2により、ゆで卵6を保持することができる。
【0074】
(2)そして、上記ゆで卵圧潰器A1の作用の説明と同様に、圧潰板1と圧潰板2を接近させ、ゆで卵6を細かく切り刻んで、細片化物60を得る。
【0075】
(3)そのあと、圧潰板1と圧潰板2に加えた手操作による力を解除すれば、ばね部材5、5aの広がろうとする力に助けられて、伸縮材30、31、および伸縮材40、41が
図5に示す状態まで伸び、圧潰板1と圧潰板2の間隔が拡がって、保持空間9が形成される。
【0076】
また、伸縮材30、31、および伸縮材40、41が縮もうとする力と、ばね部材5、5aが広がろうとする力との均衡がとれた位置で、圧潰板1と圧潰板2の間の距離が保持されるので、圧潰器A2の常態における形状を保ちやすくなる。
【0077】
ここで、ばね部材は、ループ状の形状に限らず、らせん状の形状、その他圧潰部材1と圧潰部材2を所定の間隔を空けて保つような力が働くものであれば良い。
【0078】
また、ばね部材は、必ずしも二つ設ける必要はなく、圧潰板1と圧潰板2の間の距離が保持できれば、一つあるいは三つ以上でもよい。
【0079】
また、ばね部材は、必ずしもループ部を備えている必要はない。棒状の金属を二つに折り曲げた際に生じるバネ特性を利用したものなどでもよい。
【0080】
このように、本発明を適用した圧潰器および圧潰方法は、被圧潰物を容易に細かく切り刻むことができる使い勝手の良い圧潰器であり、また、被圧潰物を容易に細かく切り刻むことができる圧潰方法となっている。